(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面と合わせて以下に記載される詳細な説明は、本発明の例示的実施形態の説明として意図されるものであり、本発明が実施され得る唯一の実施形態を示すように意図されるものではない。本明細書の全体にわたり用いられる「例示的な」という用語は、「例、事例、または実例としての役割を果たす」という意味であり、必ずしもいかなる他の実施形態よりも好ましいまたは好都合であると解釈されるとは限らない。詳細な説明は、本発明の例示的実施形態の十分な理解を提供するという目的のために、特定の詳細を含む。いくつかの事例において、いくつかのデバイスがブロック図の形式で示される。
【0024】
電力を無線で伝送することは、物理的な導電体を使用することなく(例えば、電力が自由空間を通じて伝送され得る)電場、磁場、電磁場に関連付けられる、または別様に送信機から受信機への任意の形式のエネルギーを伝送することに関連し得る。無線フィールド(例えば、磁場)への電力の出力は、電力伝送を達成するために「受信コイル」によって受信、捕捉、または結合され得る。
【0025】
本明細書において、電気車両は、遠隔システムを説明するために用いられ、その例は、その移動能力の一部として、充電可能なエネルギー貯蔵デバイス(例えば、1つ以上の再充電可能な電気化学セルまたは他の種類のバッテリ)に由来する電気出力を含む車両である。非制限例として、いくつかの電気車両は、電力モータの他に、直接移動のため、または車両のバッテリを充電するために、従来の燃焼機関を含むハイブリッド電気車両であり得る。他の電気車両は、すべての移動能力を電気出力から引き出し得る。電気車両は自動車に制限されず、オートバイ、カート、スクーター、および同等物を含み得る。制限されない例として、電気車両(EV)の形式の遠隔システムが本明細書に記載される。その上、充電可能なエネルギー貯蔵デバイスを用いて少なくとも部分的に電力供給され得る他の遠隔システムもまた企図される(例えば、パーソナルコンピューティングデバイスおよび同等物などの電子デバイス)。
【0026】
図1は、本発明の例示的実施形態に従う電気車両112を充電するための例示的な無線電力伝送システム100の図である。無線電力伝送システム100は、電気車両112がベース無線充電システム102aの近くに駐車されている間の電気車両112の充電を可能にする。2つの電気車両の間隔は、対応するベース無線充電システム102aおよび102bの上に駐車される駐車場の中に図示されている。いくつかの実施形態において、ローカル分配センター130が電力基幹132に接続され、かつ電力リンク110を通じてベース無線充電システム102aへと交流電流(AC)または直流(DC)の供給を提供するように構成され得る。ベース無線充電システム102aはまた、電力を無線で伝送または受信するためのベースシステム誘導コイル104aを含む。電気車両112は、バッテリユニット118、電気車両誘導コイル116、および電気車両無線充電システム114を含み得る。電気車両誘導コイル116は、例えば、ベースシステム誘導コイル104aによって生成される電磁場の領域を介してベースシステム誘導コイル104aとやりとりし得る。
【0027】
いくつかの例示的実施形態において、電気車両誘導コイル116は、電気車両誘導コイル116がベースシステム誘導コイル104aによって産生されるエネルギー場に位置するときに、電力を受信し得る。この場は、ベースシステム誘導コイル104aによるエネルギー出力が電気車両誘導コイル116によって捕捉され得る領域に相当する。いくつかの場合、この場は、ベースシステム誘導コイル104aの「近接場」に相当し得る。近接場は、ベースシステム誘導コイル104aから離して電力を放射しないベースシステム誘導コイル104aにおける電流および電荷に起因する、強い反応場が存在する領域に相当し得る。いくつかの場合、以下にさらに記載されるように、近接場は、約1/2π内の波長のベースシステム誘導コイル104a(および電気車両誘導コイル116についてはその逆)の領域に相当し得る。
【0028】
ローカル分配130は、通信バックホール134を介して外部供給源(例えば、送電網)と、および通信リンク108を介してベース無線充電システム102aと通信するように構成され得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、電気車両誘導コイル116は、ベースシステム誘導コイル104aと整列し得、それにより、造作なくベースシステム誘導コイル104aに関連して電気車両112を正確に整列させる運転者によって近接場領域内に並べられ得る。他の実施形態において、運転者は、電気車両112が無線電力伝送のために正確に置かれたことを確認するために、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、またはそれらの組み合わせを与えられ得る。また他の実施形態において、電気車両112は、整列エラーが許容値に達するまで電気車両112を前後に(例えば、ジグザグの動き)動かし得るオートパイロットシステムによって位置付けられ得る。これは、電気車両112にサーボハンドル、超音波センサ、および車両を調整する知能が装備されていることを条件として、運転者の介在なしで、またはわずかな介在のみで電気車両112によって自動的におよび自律的に実施され得る。さらに他の実施形態において、電気車両誘導コイル116、ベースシステム誘導コイル104a、またはそれらの組み合わせは、誘導コイル116および104aを、互いに関連してより的確に方向合わせをし、かつこれらの間により効率的な結合を発現させるために、立ち退かせるまたは移動させるための機能性を有し得る。
【0030】
ベース無線充電システム102aは、種々の場所に位置し得る。非制限例として、いくつかの適切な場所は、電気車両112の所有者の自宅の駐車区域。、石油をベースとする給油所にならって作る電気車両無線充電のために留保される駐車区域、およびショッピングセンターおよび勤務先などの他の場所の駐車場を含む。
【0031】
電気車両を無線で充電することは、多数の利益を提供し得る。例えば、運転者の介在および操作を事実上要さずに充電が自動的に実施され得、よってユーザに対する利便性を向上する。露出した電気接点および機械の摩耗がないことも可能であり得るため、無線電力伝送システム100の信頼性を向上する。さらに、電気車両112は送電網を安定化させるための分散ストレージデバイスとして用いられ得るため、車両のビークルツーグリッド(V2G)運用についての能力を増大させるために、グリッドへのドッキングという解決法が用いられ得る。
【0032】
無線電力伝送システム100は、
図1を参照して記載されるように、審美的および非妨害的な利点をも提供し得る。例えば、車両および/または歩行者にとって妨害となり得る充電用の柱およびケーブルが存在しない場合があり得る。
【0033】
ビークルツーグリッド能力のさらなる説明として、無線電力送信および受信能力は、例えば電力基幹132におけるエネルギー不足の場合に、ベース無線充電システム102aが電気車両112に電力を伝送する能力があり、および電気車両112もまたベース無線充電システム102aに電力を伝送する能力があるように、互恵的であるように構成され得る。この能力は、需要過多に起因するエネルギー不足、または可変もしくは再生可能なエネルギー生産(例えば、風力または太陽光)における不足の場合に、電気車両が全体の分配システムに電力を供することを可能にすることにより、電力分配グリッドを安定化させるために有用であり得る。
【0034】
図2は、
図1の無線電力伝送システム100の例示的な中核的構成要素の概略図である。
図2に示されるように、無線電力伝送システム200は、インダクタンスL
1を有するベースシステム誘導コイル204を含むベースシステム送信回路206を含み得る。無線電力伝送システム200は、インダクタンスL
2を有する電気車両誘導コイル216を含む電気車両受信回路222をさらに含む。本明細書に記載の実施形態は、一次および二次の両方が共通の共振周波数に同調されている場合、一次構造(送信機)から二次構造(受信機)へのエネルギーを、近傍磁界または近傍電磁界を介して効率的に結合する共振構造を形成する、容量的に装荷されたワイヤループ(すなわち、マルチターンコイル)を用い得る。電気車両誘導コイル216およびベースシステム誘導コイル204にはコイルが用いられ得る。エネルギーの結合に共振構造を用いることは、「磁気結合共振」、「電磁結合共振」、および/または「共振誘導」と称され得る。無線電力伝送システム200の動作は、ベース無線電力充電システム202から電気車両112への電力伝送に基づいて記載されるが、これに制限されない。例えば、上述したように、電気車両112はベース無線充電システム102aに電力を伝送し得る。
【0035】
図2を参照して、電源208(例えば、ACまたはDC)は、電気車両112にエネルギーを伝送するために、電力P
SDCをベース無線電力充電システム202に供給する。ベース無線電力充電システム202は、ベース充電システム電力変換器236を含む。ベース充電システム電力変換器236は、標準的な主AC電力からの電力を適切な電圧レベルでDC電力に変換するように構成されるAC/DC変換器、およびDC電力を動作周波数で無線高電力伝送に適した電力に変換するように構成されるDC/低周波(LF)変換器などの回路を含み得る。ベース充電システム電力変換器236は、所望される周波数で電磁場を放出するためのベースシステム誘導コイル204を持つ、直列または並列構成または両方の組み合わせのリアクタンス性同調構成要素から成り得るベース充電システム同調回路205を含むベースシステム送信回路206に電力P
1を供給する。一実施形態において、コンデンサは、所望される周波数で共振するベースシステム誘導コイル204を持つ共振回路を形成するために提供され得る。
【0036】
ベースシステム誘導コイル204を含むベースシステム送信回路206、および電気車両誘導コイル216を含む電気車両受信回路222は、実質的に同一の周波数に同調され得、かつベースシステム誘導コイル204および電気車両誘導コイル116のうちの1つによって送信される電磁場の近接場内に位置付けられ得る。この場合、ベースシステム誘導コイル204および電気車両誘導コイル216は、電気車両充電システム同調回路221および電気車両誘導コイル216を含む電気車両受信回路222に電力が送信され得るように、互いに結合され得る。電気車両充電システム同調回路221は、所望される周波数で共振する電気車両誘導コイル216に共振回路を形成するために提供され得る。コイル分離で生じた相互結合係数は、略図の中においてk(d)で表される。等価抵抗R
eq,1およびR
eq,2は、誘導コイル204および216に固有であり得る損失およびいくつかの実施形態においてベース充電システム同調回路205および電気車両充電システム同調回路221に各々提供され得る任意の非リアクタンスコンデンサを表す。電気車両誘導コイル216および電気車両充電システム同調回路221を含む電気車両受信回路222は、電力P
2を受信し、この電力P
2を電気車両充電システム214の電気車両電力変換器238に提供する。
【0037】
電気車両電力変換器238は、動作周波数での電力を電気車両バッテリユニット218の電圧レベルに一致された電圧レベルでのDC電力に戻して変換するように構成されるLF/DC変換器をとりわけ含み得る。電気車両電力変換器238は、電気車両バッテリユニット218を充電するための変換された電力P
LDCを提供し得る。電源208、ベース充電システム電力変換器236、およびベースシステム誘導コイル204は固定であり得、上述したように種々の場所に設置され得る。バッテリユニット218、電気車両電力変換器238、および電気車両誘導コイル216が、電気車両112の一部、またはバッテリパック(図示せず)の一部である電気車両充電システム214に含まれ得る。電気車両充電システム214はまた、電力をグリッドに返すように、電気車両誘導コイル216を通じてベース無線電力充電システム202に電力を無線で提供するように構成され得る。電気車両誘導コイル216およびベースシステム誘導コイル204のそれぞれは、動作モードに基づいて、送信または受信誘導コイルとして機能し得る。
【0038】
さらに、電気車両充電システム214は、電気車両誘導コイル216を電気車両電力変換器238に選択的に接続および接続解除するためのスイッチング回路(図示せず)を含み得る。電気車両誘導コイル216を接続解除することは、充電を一時中断し得、また「負荷」をベース無線充電システム102a(送信機として動作する)によって「見られた」ように調整し得、これは電気車両充電システム214(受信機として動作する)をベース無線充電システム202から接続解除するために用いられ得る。負荷変動は、送信機が負荷検出回路を含む場合に検知され得る。したがって、ベース無線充電システム202などの送信機は、電気車両充電システム214などの受信機がいつベースシステム誘導コイル204の近接場に存在するのかを判断するための機構を有し得る。
【0039】
前述したように、動作中、エネルギー伝送が車両またはバッテリへと向かうと仮定すると、ベースシステム誘導コイル204がエネルギー伝送を供給するための場を生成するように、入力電力が電源208から供給される。電気車両誘導コイル216は、放射された場に結合し、電気車両112による貯蔵または消費のための出力電力を生成する。前述したように、いくつかの実施形態において、ベースシステム誘導コイル204および電気車両誘導コイル216は、電気車両誘導コイル216の共振周波数およびベースシステム誘導コイル204の共振周波数が非常に近いか、または実質的に同一となるように、相互共振関係に従って構成される。ベース無線電力充電システム202と電気車両充電システム214との間の伝送損失は、電気車両誘導コイル216がベースシステム誘導コイル204の近接場に位置するときに極小である。
【0040】
述べたように、効率的なエネルギー伝送は、電磁波におけるほとんどのエネルギーを非近接場に伝播させるよりはむしろ、送信誘導コイルの近接場におけるエネルギーの大部分を受信誘導コイルに結合させることによって起きる。近接場ににあるときに、結合モードは送信誘導コイルと受信誘導コイルとの間に確立され得る。この近接場結合が起き得る誘導コイル周辺地帯は、本明細書において近接場結合モード領域と称される。
【0041】
開示される実施形態の全体において記載されるような電気車両誘導コイル216およびベースシステム誘導コイル204は、「ループ」アンテナ、より具体的にはマルチターンループアンテナと称されるか、またはそのように構成され得る。誘導コイル204および216もまた、本明細書において「磁気」アンテナと称されるか、またはそのように構成され得る。「コイル」という用語は、別の「コイル」と結合するために、エネルギーを無線で出力または受信し得る構成要素を示すことを意図する。コイルはまた、無線で電力を出力または受信するように構成される種類の「アンテナ」とも称され得る。ループ(例えば、マルチターンループ)アンテナは、フェライト磁心などの空心または物理的磁心を含むように構成され得る。空心ループアンテナは、磁心区域内に他の構成要素を設置することを可能にし得る。強磁性体材料を含む物理的磁心アンテナは、より強い電磁場および改善された結合の発現を可能にし得る。
【0042】
上述したように、送信機と受信機との間のエネルギーの効率的な伝送は、送信機と受信機との間の一致するまたはほぼ一致する共振の間に起きる。しかしながら、送信機と受信機との間の共振が一致していないときでさえも、エネルギーはより低い効率で伝送され得る。エネルギーの伝送は、送信誘導コイルの近接場からのエネルギーを、送信誘導コイルから自由空間へと伝播させるよりはむしろ、この近接場が確立される領域(例えば、共振周波数の既定の周波数範囲内、または近接場領域の既定の距離内)の中に存在する受信誘導コイルに結合することによって起きる。
【0043】
共振周波数は、上記に記載されるように、誘導コイル(例えば、ベースシステム誘導コイル204)を含む送信回路のインダクタンスおよび静電容量に基づき得る。
図2に示されるように、インダクタンスは概して、誘導コイルのインダクタンスであり得、一方、所望される共振周波数での共振構造を作るために、静電容量が誘導コイルに追加され得る。非制限例として、
図2に示されるように、電磁場を生成する共振回路(例えば、ベースシステム送信回路206)を作るために、コンデンサが誘導コイルと直列に追加され得、これは直列同調共振回路と称され得る。したがって、より大きい直径の誘導コイルについて、共振を誘発する静電容量の値は、コイルの直径またはインダクタンスが増大するにつれて低下し得る。インダクタンスはまた、誘導コイルのターンの巻数にも依存し得る。その上、誘導コイルの直径が増大すると、近接場の効率的なエネルギー伝送区域が増大し得る。他の共振回路が可能である。別の非制限例として、コンデンサは、誘導コイルの2つの終端の間に並列に設置され得る(例えば、代替的に並列同調共振回路と称され得る並列の共振回路)。その上、誘導コイルは、誘導コイルの共振を向上させるために、高い線質(Q)係数を有するように設計され得る。
【0044】
図1および
図2のベース無線充電システム102a、ベースシステム送信回路206、電気車両コイル116、および電気車両受信回路222は、本明細書において概して無線電力伝送デバイス、またはより具体的には誘導電力伝送デバイスとして個別に称され得るものの例を提供する。特に
図1により図示されるように、これらをローカル分配センター130、ベース充電電力変換器236、電気車両無線充電システム114、および電動電力変換器236などの他の電気デバイスに各々接続することが所望され、これらは好ましくは接続される無線電力伝送デバイスの遠隔に設置される。
【0045】
図3は、本発明の例示的実施形態に従う、例示的な無線電力伝送システム300のサブセットの略図である。ベース無線充電システム301の形式の無線電力伝送デバイスは、ケーブル304を備える配線ハーネス303によって電源302の形式の電気デバイスに接続される。配線ハーネスへの言及は、取り外し可能なコネクタによって電気デバイス、典型的にモジュール式デバイスを相互接続するように構成される1群の1つ以上の導電性ケーブルを意味すると理解されるべきである。
【0046】
ベース無線充電システム301および電源302はそれぞれ、ソケット305a、305bを含む。コネクタ306a、306bがケーブル304のそれぞれの端部に提供され、それぞれが各々のソケット305a、305bによって受容されるように構成される。
【0047】
無線電力伝送システムの構成要素を接続可能に構成することにより、特に車両の中への設置または充電場所について製造の容易性が高まり得る。これらの構成要素は、配線接続されたケーブルがからまるというリスク、または配線接続されたケーブルにより動きが制限されることなく、より容易に所定位置へと操作され得、および続いて配線ハーネスに接続され得る。これは、別様であれば組立の速度が永久的に相互接続された構成要素の複雑性によって制限され得る製造ラインにおいて特に重要であり得る。
【0048】
取り外し可能な接続はまた、設置前に永久的物理接続を築くステップを除去し、システムの個別の構成要素がより容易に製造されることを可能にする。これは、構成要素が異なる施設で製造される場合に特に有用であり得る。無線電力伝送システムの保管および輸送もまた、永久的物理接続が築かれるものと比較して簡略化され得る。これはまた、システムから他の構成要素に干渉することなく接続解除され得る個別の構成要素の進行中の修繕または取り換えを支援し得る。
【0049】
例示的な無線電力伝送システム300のサブセットはより広範な無線電力伝送システムのベース側を参照して記述されているが、本発明は、本システムの電気車両または受信機側に適用され得るということが理解されるべきである。
【0050】
一実施形態において、無線電力伝送デバイスと他の電気デバイスを接続するために用いられているケーブルはリッツ線である。本発明において用いられる場合、リッツ線は、高周波数交流電流における配線の使用のより適切な種類のうちの1つであると考えられる。リッツ線は、細いより線の形の多くの導電性フィラメントを含む絶縁被覆から成り、そのそれぞれがエナメルまたはポリウレタンなどの材料を用いて個別に絶縁され、次により合わされるか編まれる。複数の素線が、電流が流れる多くの磁心を有することにより高周波数で発生する表皮効果を効率的にネゲートする。
【0051】
一実施形態において、ケーブル自体が、これを通る電流によって発生する外部場を最小限に抑えるために折り合わされ得る。この折り合わせのパターンは、用いられるケーブルの数およびこのケーブルの電流の流れる方向に依存し得るということが理解されるべきである。
【0052】
いくつかの実施形態に従ってリッツ線が用いられ得ることが予測されるが、ケーブルについて代替的な形の電線が用いられ得るということが理解されるべきである。
【0053】
リッツ線は、コネクタへの接続に関していくつかの困難を示す。それぞれの個別の素線が個別に絶縁されているため、リッツ線を用いることによる利益を得るために、それぞれの素線とコネクタとの間に導電経路を作ることがそもそも難しい。圧着タイプのコネクタは、適用される線に機械的応力を加える。リッツ線の場合、素線は比較的繊細であり、曲げられると損傷しやすい。車両内などの高レベルの振動による影響を受けやすい環境において、圧着は、振動によって引き起こされる長期にわたる微小な曲げにより機能しなくなるという弱点を素線に作り得る。さらに、かかるコネクタは外部の素線のみと接触し得、内部の素線との電気的接続性の形成を素線の圧縮に依存し得る。素線の間に空隙を作ることとあわせて、素線対素線インターフェースに対する依存は、素線が曲がるか、または別様に損傷した場合、低度の接続を招き得る。
【0054】
図4は、本発明の例示的実施形態に従う、配線ハーネスの一端の雄型コネクタ部分またはプラグ400、および無線電力伝送デバイスの対応する雌型コネクタ部分またはソケット401を図示したものである。配線ハーネスは6つのリッツ線ケーブル402を備え、うち3つが
図4に示される。プラグ400は、筐体403、インサート404、およびインサート404によって受容されるピン405を備える。ケーブル402は、グランド407を介して筐体403に進入する前はシース406によって保護されている。ケーブル402はそれぞれ、
図5によって図示される手法で各々のピン405に接続され得る。
【0055】
図5は、リッツ線ケーブル501のピン502への接続の図示を提供する。
図6は、
図4に図示されるものなどの配線ハーネスを製造する例示的な方法論600のためのフローチャートである。方法論600を説明する中で、
図3、
図4、および
図5に対する参照がなされる。
【0056】
ステップ601で、ケーブル501の絶縁503が除去され、エナメルで505被覆された個別の素線504を曝露する。ステップ603で、素線504を、それぞれの素線504からエナメル被覆505を剥がし、それらを電気的に相互接続するためにはんだ506を素線504の間の空隙に浸透させるために、実質的に摂氏450度に熱したはんだを含むはんだ槽(図示せず)に同時に浸すことにより、ケーブル501が終端処理される。はんだの温度はエナメル被覆の材料特性によりさまざまであり得るが、摂氏350〜500度の範囲内であると予想されるということが理解されるべきである。
【0057】
一実施形態において、ステップ603で素線をはんだに浸す前に、温度制約要素、例えば湿った布が、ステップ602でケーブルに提供され得る。ケーブルを冷却することにより、はんだ槽からケーブル絶縁503およびエナメル被覆505への熱伝送が制限され得、これらが融解および溶解する程度を最小限に抑える。
【0058】
ピン502は、ケーブル501のはんだ付けされた端部を受容するための、円筒形のレセプタクル507の形状の凹型終端を含み、ステップ604でこれに終端処理されたケーブル501が挿入される。熱が次にステップ605で素線504またはレセプタクル507に加えられ、はんだを融解させて素線504とピン502との間に連続する接続パスを作成する。
【0059】
ピン502は、直径が実質的に4ミリメートルの円筒形の接触面509を有する雄型部分508を含む。この円形外面は、ケーブルを通過するAC信号に起因する渦電流効果および近接効果を低減するように働く。高周波数、例えば20kHzで、銅の表皮深度は0.46ミリメートルである。広い周縁を有するピンは、かかる周波数で高レベルの電流がケーブルを通過することを可能にし得る。円筒形の接触面はまた、無線電力伝送デバイス(図示せず)の対応するコネクタ部分のピンの雄型部分508と対応する雌型部分との間の接続の程度を最大限にする。この最大限にされた接続は、コネクタを通る電流通過における効率をより良くすることを可能にする。一実施形態において、ピン502はまた、銅などの導電性の高い材料から成るが、これは制限を意図しない。一実施形態において、それぞれのピン502およびケーブル501は、830V(rms)で定格約23A(rms)であることができ、配線ハーネスが接続されるデバイスのインピーダンスは、約12オームである。これらの定格は例としてのみ提供されるということが理解されるべきである。
【0060】
一実施形態において、DC用途における使用が意図された、部品番号09 32 000 6108を有する、Harting(商標)によって生産されたピンを用いることが望ましい場合がある。概して、上述の性質を有する任意のピンが、本発明の高周波、高電流環境における使用に適切であり得る。コネクタの配線ハーネス側の部分のピンが雄型部分を有することに制限されず、この構成は反転されるか、または組み合わせであり得るということが理解されるべきである。
【0061】
図4に戻り、ステップ606で、それぞれのピン405がインサート404によって受容され、これがピンを筐体403と比較して適切な場所に保持する。筐体403はインサート404とグランド407との間に空隙408を有する。リッツ線ケーブル402の終端処理の工程中、熱はケーブル402の短い長さに沿って個別の素線上のエナメル被覆を溶解させ、固い部位を作る。この固い部位内にある素線はより脆く、よってケーブル402が曲げられた場合により損傷しやすい。固い部位を筐体403内に含むことは、設置中に配線ハーネスを操作する間のピン405での、またはその隣接でのケーブルの固い部位の曲げ、または例えば振動に起因し得る、長期間にわたるわずかな曲げを防ぐか、または少なくとも緩和する。
【0062】
ソケット401は、無線電力伝送デバイス、または無線電力伝送システムにおいて用いられる電気デバイスに取り付けられ、プラグ400の雄型ピン405を受容するように構成される雌型ピン409を備える。雌型ピン409は第2のインサート410によって受容され、これは次にソケット筐体411内に取り付けられる。
【0063】
図7は、本発明の例示的実施形態に従う、
図4に図示されるようなプラグまたはソケットのどちらかのコネクタ部分の中で用いられるためのインサート700の図の外観を図示している。インサート700は、それぞれがケーブル(図示せず)を終端処理するピン(図示せず)を受容するように構成される6つの開口部702a〜fを有する本体701を備える。
【0064】
無線電力伝送システムは、一方のケーブルが送出ケーブルとして、および他方が帰還ケーブルとして指定される一対のケーブルを含み得る。送出および帰還ケーブルの間の電圧分離を最大限とすることが望ましい。そうするために、コネクタの物理サイズを最小限に抑える一方で、開口部702a〜fは、出開口部702a〜c、および入開口部702d〜fの2つの組に分けられる。1組の中の開口部間の距離703は、2つの組の間の距離704よりも近い。
【0065】
さらに、インサート700の本体701は、開口部の組の間に導電ループを形成し得るいかなる材料も含まない。これは、出ケーブルと入ケーブルとの間の渦電流の誘発によるエネルギー損失を低減するためである。これはまた、コネクタの他の構成要素にも適用される。一実施形態において、本体701はプラスティック製であるが、これは制限を意図せず、任意の適切な材料製であり得る。
【0066】
図8は、接続されたプラグ800およびソケット801の外観図を図示したものであり、その構成要素は、本発明の例示的実施形態に従い、
図4によって図示されるものと類似し得る。プラグ800は突起802を含み、その上に、ソケット801に取り付けられたラッチ803がかかり、プラグ800とソケット801とを一緒に締結する。無線電力伝送システムが設置される環境、例えば、車両上または車両によって運転される区域内は、衝撃または振動に非常に影響を受けやすい場合があり得、これは摩擦に依存する接続が接続解除となることを招き得る。突起およびラッチによって提供される機械的締結具は、これが発生する可能性を最小限に抑えるための追加的度合いの接続を与える。プラグ800およびソケット801を締結するために他の締結具が用いられ得るということ、および図示されるラッチ機構は制限的であることを意図しないということが理解されるべきである。
【0067】
上記に記載の方法の種々の動作は、種々のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素(複数可)、回路、および/またはモジュール(複数可)などの動作を実施する能力を持つ、任意の適切な手段によって実施され得る。概して、図面に図示される任意の動作は、その動作を実施する能力を持つ対応する機能的手段によって実施され得る。
【0068】
情報および信号は、さまざまな異なる技術および技法の任意のものを用いて表され得る。例えば、上記の記載の全体において言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁性粒子、光場もしくは光学粒子、またはこれらの任意の組み合わせによって表され得る。
【0069】
本明細書に開示される実施形態に関連して記載される、種々の説明のための論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組み合わせとして実装され得る。ハードウェアとソフトウェアとのこの互換性を明確に図示するために、種々の例示的構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、概してこれらの機能性について上記に記載された。かかる機能性がハードウェアとして、またはソフトウェアとして実装されるかどうかは、全体のシステムに課される特定の用途および設計制約に依存する。記載の機能性は、それぞれの特定の用途について異なる方途において実装され得るが、しかしかかる実装の決定は、本発明の実施形態の範囲からの逸脱を招くものとして解釈されるべきでない。
【0070】
本明細書に開示される実施形態に関連して記載される種々の説明のためのブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、別個のゲートまたはトランジスタ論理、別個のハードウェア構成要素、または本明細書に記載の機能を実施するように設計される任意の組み合わせによって実装または実施され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るが、しかし代替において、プロセッサは、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動する1つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のかかる構成としても実装され得る。
【0071】
方法またはアルゴリズムのステップ、および本明細書に開示される実施形態に関連して記載される機能は、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、またはこれら2つの組み合わせにおいて直接具現化され得る。ソフトウェアの中に実装された場合、機能は有形の非一持性コンピュータ可読媒体上に保存されるか、または1つ以上の命令またはコードとしてこれに送信され得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能なディスク、CD ROM、または当技術分野で既知の任意の他の形式の記憶媒体の中に存在し得る。記憶媒体は、プロセッサがこの記憶媒体から情報を読み出すこと、およびこの記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合される。代替において、記憶媒体は、プロセッサに統合され得る。本明細書において使用される場合、ディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は通常データを磁気的に再生するが、ディスク(disc)はレーザによってデータを光学的に再生する。上記の組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC内に存在し得る。ASICはユーザ端末内に存在し得る。代替において、プロセッサおよび記憶媒体は、別個の構成要素としてユーザ端末内に存在し得る。
【0072】
本開示を要約することを目的として、本発明の一定の態様、利点、および新規の機能が本明細書に記載された。すべてのかかる利点が任意の特定の本発明の実施形態に従って達成され得るものでは必ずしもないということが理解されよう。ゆえに、本発明は、1つの利点または利点群を達成または最適化するような方途において、本明細書において教示または示唆され得るように他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるように具現化または実行され得る。
【0073】
上記に記載の実施形態の種々の変形は容易に明白となり、また本明細書に画定される総称的主題は、本発明の精神または範囲を逸脱することなく他の実施形態に適用され得る。ゆえに、本発明は、本明細書に記載の実施形態に制限されることではなく、本明細書に開示される主題および新規の機能と一致する最も広範な範囲を認められることを意図している。
【0074】
文脈が明確に別様であることを要求しない限り、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたり、「〜を含む」、「〜を備える」という用語および同等物は、排他的または網羅的意味とは対照的に、包括的意味において解釈されるものとする。つまり、「含むが制限されない」という意味ということである。
【0075】
本明細書の全体にわたる先行技術のあらゆる検討は、かかる先行技術が広く既知である、または当技術分野における一般的な常識の一部を形成するということを、いかなる意味においても承認すると解釈されるべきでない。