(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0025】
[トナー]
本発明に係るトナーは、上記一般式(1)で表されるレゾルシン誘導体の1種又は2種以上を有効成分として含有する電荷制御剤(以後、「本発明に係る電荷制御剤」ともいう。)と、着色剤と、結着樹脂と、を含有する。
【0026】
〔電荷制御剤〕
まず、上記一般式(1)で表されるレゾルシン誘導体について説明する。
【0027】
一般式(1)中、R
1、R
2で表される「ハロゲン原子」としては、具体的に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等をあげることができる。
【0028】
一般式(1)中、R
1、R
2で表される「エステル基」は、「アルキルオキシカルボニル基」又は「アリールオキシカルボニル基」を意味する。「アルキルオキシカルボニル基」における「アルキルオキシ基」としては、具体的に、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、2−メチルプロピルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、1−メチルブチルオキシ基、1−エチルプロピルオキシ基、1,1−ジメチルプロピルオキシ基、1,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、1−エチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、1,1−ジメチルブチルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、1,4−ジメチルブチルオキシ基、2,2−ジメチルブチルオキシ基、2,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチル−2−メチル−プロピルオキシ基、1,1,2−トリメチルプロピルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、2−メチルヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3−メチルヘプチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、1−メチルオクチルオキシ基、2−エチルヘプチルオキシ基、n−デシルオキシ基、1−メチルノニルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、1,1−ジメチルノニルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基等の炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基をあげることができる。「アリールオキシカルボニル基」における「アリールオキシ基」としては、具体的に、フェニルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、ピリジルオキシ基、フリルオキシ基、ピロリルオキシ基、チエニルオキシ基、キノリルオキシ基、イソキノリルオキシ基、ピラゾリルオキシ基等をあげることができる。
【0029】
一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」又は「置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」における「炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」又は「炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」としては、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、2−メチルプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,4−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基、n−ノニル基、イソノニル基、1−メチルオクチル基、2−エチルヘプチル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、n−ウンデシル基、1,1−ジメチルノニル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基等をあげることができる。
【0030】
一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基」又は「置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基」における「炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基」又は「炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基」としては、具体的に、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、2−メチルプロピルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、1−メチルブチルオキシ基、1−エチルプロピルオキシ基、1,1−ジメチルプロピルオキシ基、1,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、1−エチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、1,1−ジメチルブチルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、1,4−ジメチルブチルオキシ基、2,2−ジメチルブチルオキシ基、2,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチル−2−メチル−プロピルオキシ基、1,1,2−トリメチルプロピルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、2−メチルヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3−メチルヘプチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、1−メチルオクチルオキシ基、2−エチルヘプチルオキシ基、n−デシルオキシ基、1−メチルノニルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、1,1−ジメチルノニルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基及び2−アダマンチルオキシ基等をあげることができる。
【0031】
一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6のアシル基」における「炭素原子数2〜6のアシル基」としては、具体的に、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、2−メチルプロピオニル基、ペンタノイル基、1−メチルブタノイル基、1−エチルプロピオニル基、1,1−ジメチルプロピオニル基、1,2−ジメチルプロピオニル基、ヘキサノイル基、1−メチルペンタノイル基、2−メチルペンタノイル基、3−メチルペンタノイル基、4−メチルペンタノイル基、1−エチルブタノイル基、2−エチルブタノイル基、1,1−ジメチルブタノイル基、1,2−ジメチルブタノイル基、1,3−ジメチルブタノイル基、1,4−ジメチルブタノイル基、2,2−ジメチルブタノイル基、2,3−ジメチルブタノイル基、3,3−ジメチルブタノル基、1−エチル−2−メチル−プロピオニル基、1,1,2−トリメチルプロピオニル基等をあげることができる。
【0032】
一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換基を有する炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有する炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」、「置換基を有する炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基」、「置換基を有する炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基」又は「置換基を有する炭素原子数2〜6のアシル基」(以下、まとめて「置換基を有するアルキル基等」ともいう。)における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基等の炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基等の炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基;アリル基等のアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルキルオキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基等の芳香族炭化水素基若しくは縮合多環芳香族基;ピリジル基、ピラニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピロリジニル基、イミダゾリル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、チオラニル基、チアニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基等の複素環基;スチリル基、ナフチルビニル基等のアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等の芳香族炭化水素基若しくは縮合多環芳香族基で置換されたジ置換アミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基、ジピペリジニルアミノ基等の複素環基で置換されたジ置換アミノ基;ジアリルアミノ基等のジアルケニルアミノ基;アルキル基、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、アラルキル基、複素環基又はアルケニル基から選択される置換基で置換されたジ置換アミノ基等をあげることができる。これらの置換基はさらに、前記例示した置換基を有していてもよく、また、単結合、酸素原子又は硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0033】
一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換若しくは無置換の複素環基」又は「置換若しくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「複素環基」又は「縮合多環芳香族基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピリジル基、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、ピロリジニル基、イミダゾリル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、チオラニル基、チアニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、及びカルボリニル基等をあげることができる。
【0034】
一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換芳香族炭化水素基」、「置換複素環基」又は「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、上記一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換基を有するアルキル基等」における「置換基」として例示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0035】
一般式(1)中、R
3、R
4で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」又は「置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」における「炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」又は「炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」としては、上記一般式(1)中、のR
1、R
2で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」又は「置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」における「炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」又は「炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」として例示したものと同様のものをあげることができる。
【0036】
一般式(1)中、R
3、R
4で表される、「置換基を有する炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」又は「置換基を有する炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」における「置換基」としては、上記一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換基を有するアルキル基等」における「置換基」として例示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0037】
一般式(1)中、R
3、R
4で表される、「置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換若しくは無置換の複素環基」又は「置換若しくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「複素環基」又は「縮合多環芳香族基」としては、上記一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換若しくは無置換の複素環基」又は「置換若しくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「複素環基」又は「縮合多環芳香族基」として例示したものと同様のものをあげることができる。
【0038】
一般式(1)中、R
3、R
4で表される、「置換芳香族炭化水素基」、「置換複素環基」又は「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、上記一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換基を有するアルキル基等」における「置換基」として例示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0039】
一般式(1)中、R
3及びR
4は、互いに単結合を介して環を形成していてもよい。当該環を形成しているR
3及びR
4は、同一のレゾルシン環上に存在してもよく、また、下記一般式(2)に示すように、それぞれが隣り合うレゾルシン環上に存在していてもよい。
【0040】
【化2】
一般式(2)中、R
6は、相互に同一でも異なってもよく、R
3及びR
4が互いに単結合を介して結合することで形成される2価の基を示す。R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、一般式(1)中のものと同義である。
【0041】
一般式(1)中、R
5で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」又は「置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」における「炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」又は「炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」としては、上記一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」又は「置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」における「炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」又は「炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」として例示したものと同様のものをあげることができる。
【0042】
一般式(1)中、R
5で表される、「置換基を有する炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」又は「置換基を有する炭素原子数5〜10のシクロアルキル基」における「置換基」としては、上記一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換基を有するアルキル基等」における「置換基」として例示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0043】
一般式(1)中、R
5で表される「置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換若しくは無置換の複素環基」又は「置換若しくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「複素環基」又は「縮合多環芳香族基」としては、上記一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換若しくは無置換の複素環基」又は「置換若しくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「複素環基」又は「縮合多環芳香族基」として例示したものと同様のものをあげることができる。
【0044】
一般式(1)中、R
5で表される、「置換芳香族炭化水素基」、「置換複素環基」又は「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、上記一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換基を有するアルキル基等」における「置換基」として例示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0045】
一般式(1)中のR
1としては、水素原子、重水素原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6のアシル基が好ましく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基がより好ましく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基が更に好ましい。ここで、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、置換基を有しない炭素原子数1〜3の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基がより好ましい。
【0046】
一般式(1)中のR
2としては、水素原子、重水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6のアシル基が好ましく、水素原子、重水素原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜6のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜6のシクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜4のアシル基がより好ましく、水素原子、重水素原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜4のアシル基が更に好ましい。ここで、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、置換基を有しない炭素原子数1〜3の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基がより好ましい。また、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基としては、置換基を有しない炭素原子数1〜3の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基がより好ましい。さらに、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜4のアシル基としては、置換基を有しない炭素原子数2〜3のアシル基がより好ましい。
【0047】
一般式(1)中のR
3、R
4としては、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の複素環基、置換若しくは無置換の縮合多環芳香族基が好ましく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基がより好ましく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜6のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基が更に好ましい。ここで、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、置換基としてフェニル基を有する炭素原子数1〜3の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、置換基を有しない炭素原子数1〜3の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基がより好ましい。
【0048】
一般式(1)中のR
5としては、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基が好ましく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基がより好ましい。ここで、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、置換基を有しない炭素原子数6〜11の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基がより好ましい。
【0049】
一般式(2)中のR
6としては、置換若しくは無置換の2価の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の2価の複素環基、置換若しくは無置換の2価の縮合多環芳香族基が好ましく、置換若しくは無置換のフェニレン基、置換若しくは無置換のナフタレンジイル基、置換若しくは無置換のピペラジンジイル基、置換若しくは無置換のキノキサリンジイル基がより好ましい。
【0050】
ここで、一般式(2)中、R
6で表される「2価の芳香族炭化水素基」、「2価の複素環基」又は「2価の縮合多環芳香族」としては、具体的に、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、ピロールジイル基、フランジイル基、ピリジンジイル基、ピペラジンジイル基、キノリンジイル基、及びキノキサリンジイル基等をあげることができる。
【0051】
一般式(2)中、R
6で表される、「2価の置換芳香族炭化水素基」、「2価の置換複素環基」又は「2価の置換縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、上記一般式(1)中、R
1、R
2で表される、「置換基を有するアルキル基等」における「置換基」として例示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0052】
一般式(1)で表されるレゾルシン誘導体は、例えば、下記一般式(3)又は(4)で表されるレゾルシン誘導体であってもよい。
【0053】
【化3】
一般式(3)中、R
1は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基を示し、R
2は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜6のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜6のシクロアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜4のアシル基を示し、R
3及びR
4は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、又は置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基を示し、R
5は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、又は置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基を示す。
【0054】
【化4】
一般式(4)中、R
1は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示し、R
2は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜4のアシル基を示し、R
3及びR
4は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜6のシクロアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示し、R
5は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
【0055】
一般式(1)で表されるレゾルシン誘導体はまた、上述のとおり、下記一般式(2)で表されるレゾルシン誘導体であってもよい。
【化5】
一般式(2)中、R
1及びR
2は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、エステル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6のアシル基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の複素環基、又は置換若しくは無置換の縮合多環芳香族基を示し、R
5は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の複素環基、又は置換若しくは無置換の縮合多環芳香族基を示し、R
6は、相互に同一でも異なってもよく、R
3及びR
4が互いに単結合を介して結合することで形成される2価の基を示し、R
3及びR
4は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の複素環基、又は置換若しくは無置換の縮合多環芳香族基を示す。
【0056】
一般式(2)で表されるレゾルシン誘導体は、例えば、下記一般式(5)又は(6)で表されるレゾルシン誘導体であってもよい。
【化6】
一般式(5)中、R
1は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基を示し、R
2は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜6のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜6のシクロアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜4のアシル基を示し、R
5は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、又は置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基を示し、R
6は、相互に同一でも異なってもよく、置換若しくは無置換の2価の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の2価の複素環基、置換若しくは無置換の2価の縮合多環芳香族基を示す。
【0057】
【化7】
一般式(6)中、R
1は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示し、R
2は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜4のアシル基を示し、R
5は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示し、R
6は、相互に同一でも異なってもよく、置換若しくは無置換のフェニレン基、置換若しくは無置換のナフタレンジイル基、置換若しくは無置換のピペラジンジイル基、又は置換若しくは無置換のキノキサリンジイル基を示す。
【0058】
一般式(1)で表されるレゾルシン誘導体は、既知の方法によって製造することができる。例えば、相当するレゾルシン化合物と、相当するアルデヒドとを、塩酸等の存在下で反応させることによって、本発明に使用するレゾルシン誘導体を合成することができる。
【0059】
一般式(1)で表されるレゾルシン誘導体の中で、好ましい化合物の具体例を以下に示すが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。なお、下記構造式では、水素原子を一部省略して記載している。また、立体異性体が存在する場合であっても、その平面構造式を記載している。
【0085】
上記レゾルシン誘導体は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0086】
本発明に係る電荷制御剤は、体積平均粒径を0.1〜20μmに調製して用いるのが好ましく、0.1〜10μmに調製して用いるのがより好ましい。上記体積平均粒径が0.1μmより小さいと、トナー表面に出現する該電荷制御剤が極めて少なくなり、目的の電荷制御効果が得られにくくなる傾向にあり、また20μmより大きいと、トナーから欠落する電荷制御剤が増加し、機内汚染等の悪影響が出やすくなる傾向にあるため好ましくない。
【0087】
本発明に係る電荷制御剤を重合トナーに用いる場合は、体積平均粒径を1.0μm以下に調製して用いるのが好ましく、0.01〜1.0μmに調製して用いるのがより好ましい。上記体積平均粒径が1.0μmを越えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子が発生したりすることにより、性能又は信頼性の低下を招く場合がある。一方、上記体積平均粒径が上記範囲内にあると、上記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能及び信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、電荷制御剤の体積平均粒径とは、レーザー式粒度分布測定機(例えば、ミクロンサイザー(例えば、セイシン企業株式会社製))を使用した測定における体積基準の平均粒径を意味する。
【0088】
本発明に係る電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子の内部に添加する方法(内添)、トナー粒子の表面に添加する方法(外添)があり、いずれも公知の方法を制限なく用いることができる。トナー粒子の内部に添加する方法の具体例としては、結着樹脂に着色剤等とともに本発明に係る電荷制御剤を添加し、混練し、粉砕してトナーを得る方法(粉砕法)、又は重合性の単量体モノマーに本発明に係る電荷制御剤を添加し、重合してトナーを得る方法(重合法)があげられる。内添の場合、本発明に係る電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがより好ましい。外添の場合、本発明に係る電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部であることが好ましく、0.01〜2質量部であることがより好ましい。また、本発明に係る電荷制御剤をメカノケミカル的にトナー粒子表面に固着させるのが好ましい。
【0089】
本発明に係るトナーには、本発明に係る電荷制御剤と、既知の他の負帯電性の電荷制御剤と、を併用することができる。併用できる他の電荷制御剤としては、例えば、アゾ系鉄錯体又は錯塩、アゾ系クロム錯体又は錯塩、アゾ系マンガン錯体又は錯塩、アゾ系コバルト錯体又は錯塩、アゾ系ジルコニウム錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体のクロム錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体の亜鉛錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体のアルミニウム錯体又は錯塩、カルボン酸誘導体のジルコニウム錯体又は錯塩、ホウ素錯体又は錯塩、負帯電性樹脂型電荷制御剤があげられる。上記カルボン酸誘導体としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸が好ましく、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸がより好ましい。
【0090】
本発明に係るトナーに、本発明に係る電荷制御剤と既知の他の負帯電性の電荷制御剤とを併用する場合、本発明に係る電荷制御剤以外の電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましい。
【0091】
本発明に係る電荷制御剤は、静電粉体塗装用塗料における電荷制御剤(電荷増強剤)としても好適である。すなわち、この電荷増強剤を用いた静電塗装用塗料は、耐環境性、保存安定性、特に熱安定性と耐久性に優れ、塗着効率が100%に達し、塗膜欠陥のない厚膜を形成することができる。
【0092】
〔結着樹脂〕
結着樹脂としては、公知のものを制限なく使用することができる。結着樹脂としては、例えば、スチレン系単量体、アクリレート系単量体、メタクリレート系単量体等のビニル重合体、又はこれらの単量体2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂等があげられる。
【0093】
スチレン系単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン又はその誘導体等があげられる。
【0094】
アクリレート系単量体としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸又はアクリル酸エステル等があげられる。
【0095】
メタクリレート系単量体としては、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はメタクリル酸エステル等があげられる。
【0096】
上記ビニル重合体又は共重合体を形成する他のモノマーの例としては、以下の(1)〜(18)があげられる。(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)ビニルナフタレン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステル等の不飽和二塩基酸のモノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との混合酸無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有するモノマー;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノマー。
【0097】
上記ビニル重合体又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。ビニル基を2個以上有する架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等のジアクリレート化合物又は対応するジメタクリレート化合物;ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等のアルキレンジオールのジアクリレート化合物又は対応するジメタクリレート化合物があげられる。
【0098】
その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、又は対応するジメタクリレート化合物、ポリエステル型ジアクリレート(例えば日本化薬株式会社製、商品名MANDA)があげられる。
【0099】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート等のアクリレート化合物又は対応するメタクリレート化合物、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートがあげられる。
【0100】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部用いることが好ましく、0.03〜5質量部用いることがより好ましい。これらの架橋剤のうち、定着性、耐オフセット性の点から、トナー用樹脂に好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼンが好ましい。)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類があげられる。これらの中でも、スチレン系共重合体、スチレン−アクリレート系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
【0101】
上記ビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2’,4’−ジメチル−4’−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジエトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエ−ト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート等があげられる。
【0102】
結着樹脂がスチレン−アクリレート系樹脂の場合、樹脂成分のテトラヒドロフラン(以後、THFと略称する)に可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以後、GPCと略称する)による分子量分布で、分子量3千〜5万(数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在し、分子量10万以上の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。またTHF可溶成分の分子量分布で、分子量10万以下の成分が50〜90%となるような結着樹脂も好ましく、より好ましくは、分子量5千〜3万の領域に、特に好ましくは分子量5千〜2万の領域にメインピークを有するのがよい。
【0103】
結着樹脂がスチレン−アクリレート系樹脂等のビニル重合体の場合、その酸価は、0.1〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1〜50mgKOH/gであることが特に好ましい。なお、酸価とは、結着樹脂1g中の遊離脂肪酸を中和するために必要な水酸化カリウムの質量を意味し、JIS K−0070に準拠して測定される。
【0104】
ポリエステル系重合体を構成するモノマーとしては、以下のものがあげられる。2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又はビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール等があげられる。
【0105】
ポリエステル樹脂を架橋させるために、3価以上のアルコールを併用することが好ましい。3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等があげられる。
【0106】
前記ポリエステル系重合体を形成する酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸又はこれらの無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸又はこれらの無水物;マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸又はこれらの無水物等があげられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリト酸、ピロメリト酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、トリマー酸又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル等があげられる。
【0107】
結着樹脂がポリエステル系樹脂の場合は、樹脂成分のTHF可溶成分の分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのがトナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶成分の分子量分布で、分子量10万以下の成分が60〜100%となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのがより好ましい。本発明において、結着樹脂の分子量分布は、THFを溶媒としたGPCによって測定される。上記分子量は、例えば、HLC−8220GPC装置(東ソー株式会社製)で測定した、標準ポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0108】
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価が、0.1〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1〜50mgKOH/gであることが特に好ましい。また、水酸基価は、30mgKOH/g以下であることが好ましく、10〜25mgKOH/gであることがより好ましい。なお、水酸基価とは、結着樹脂1g中の水酸基を無水酢酸を用いてアセチル化した際に生じる酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムの質量を意味し、JIS K−0070に準拠して測定される。
【0109】
非晶性のポリエステル樹脂と結晶性のポリエステル樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。この場合、それぞれの相溶性を考慮に入れて材料を選択するのが好ましい。非晶性のポリエステル樹脂としては多価カルボン酸成分、好ましくは芳香族多価カルボン酸と多価アルコール成分とから合成されるものが好適に用いられ、結晶性のポリエステル樹脂としては2価カルボン酸成分、好ましくは脂肪族ジカルボン酸と2価アルコール成分とから合成されるものが好適に用いられる。
【0110】
結着樹脂として、上記ビニル重合体成分及び/又はポリエステル系樹脂成分中に、これらの両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含む樹脂もあげられる。ポリエステル系樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物等があげられる。ビニル重合体成分を構成するモノマーとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するもの、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類があげられる。また、ポリエステル系重合体、ビニル重合体とその他の結着樹脂を併用する場合、全体の結着樹脂の酸価が0.1〜50mgKOH/gである樹脂を、60質量%以上含有するものが好ましい。
【0111】
本明細書において、結着樹脂の酸価は、以下の方法により求め、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、又は結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
(3)0.1mol/Lの水酸化カリウム(KOH)のエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時の水酸化カリウム溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時の水酸化カリウム溶液の使用量をB(ml)とし、以下の式により算出する。ここで、fは水酸化カリウム濃度のファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W
【0112】
トナーの結着樹脂及び結着樹脂を含む組成物は、トナー保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が35〜80℃であるのが好ましく、40〜75℃であるのがより好ましい。Tgが35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなる。またTgが80℃より高いと、定着性が低下する傾向にある。
【0113】
本発明の重合トナーにおいては、軟化点が80〜140℃である結着樹脂が好適に用いられる。結着樹脂の軟化点が80℃未満であると、定着後及び保管時のトナー及びトナーの画像安定性が悪化する場合がある。一方、軟化点が140℃を超えると、低温定着性が悪化する場合がある。
【0114】
〔着色剤〕
着色剤としては、公知のものを制限なく使用することができる。黒色トナーの場合、着色剤としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料等の黒色若しくは青色の染料、又はカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等の黒色若しくは青色の顔料があげられる。
【0115】
カラートナーの場合、着色剤として、次のようなものを例示できる。マゼンダ着色剤として、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基性染料、レーキ染料、ナフトール染料、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物があげられる。具体的には、顔料系マゼンダ着色剤としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等があげられる。これら顔料は単独で使用してもよいが、画質の鮮明度を向上させる観点から、染料と併用するのが好ましい。
【0116】
染料系マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121;C.I,ディスパースレッド9;C.I.ソルべントバイオレット8,13,14,21,27;C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.べーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40;C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料があげられる。
【0117】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン、塩基染料レーキ化合物等があげられる。具体的には、顔料系のシアン着色剤としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45;フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等があげられる。
【0118】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物等があげられる。具体的には、顔料系イエロー着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,83;C.I.バットイエロー1,3,20等があげられる。
【0119】
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダンスレンブリリアントオレンジGK等があげられる。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等があげられる。緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等があげられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等があげられる。
【0120】
上記着色剤は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。
【0121】
〔磁性体〕
本発明に係るトナーは更に磁性体を含有していてもよい。磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又はこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金等があげられる。
【0122】
磁性体の具体例として、Fe
3O
4、γ−Fe
2O
3、ZnFe
2O
4、Y
3Fe
5O
12、CdFe
2O
4、Gd
3Fe
5O
12、CuFe
2O
4、PbFe
12O、NiFe
2O
4、NdFe
2O、BaFe
12O
19、MgFe
2O
4、MnFe
2O
4、LaFeO
3、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉等があげられる。これらの中でも、Fe
3O
4又はγ−Fe
2O
3の微粉末が好ましい。
【0123】
また、磁性体として、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又はその混合物も使用できる。異種元素の具体例として、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム等があげられる。中でも、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、又はジルコニウムから選択される異種元素が好ましい。異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよく、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよく、酸化鉄の表面に酸化物あるいは水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として酸化鉄中に取り込まれているのが好ましい。
【0124】
上記異種元素は、磁性体粒子生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させ、pH調整により粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整することにより、又は各々の異種元素の塩を添加しpH調整することにより、粒子表面に析出させることができる。
【0125】
上記磁性体は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記磁性体の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、10〜200質量部であることが好ましく、20〜150質量部であることがより好ましい。磁性体の個数平均粒径は、0.1〜2μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。個数平均粒径は透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
【0126】
また、磁性体としては、10Kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力20〜150エルステッド、飽和磁化50〜200emu/g、残留磁化2〜20emu/gのものが好ましい。なお、上記磁性体は、着色剤としても使用することができる。
【0127】
〔ワックス〕
本発明に係るトナーは更にワックスを含有していてもよい。ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス;脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステルの一部又は全部を脱酸化したものがあげられる。
【0128】
ワックスの例としては、さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、又は更に直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸等の不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレン及びアクリレート等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物があげられる。
【0129】
好ましいワックスとしては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン;高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン;低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等の触媒を用いて重合したポリオレフィン;放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン;高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス;ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス;炭素数が1の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基等の官能基を有する炭化水素系ワックス;炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物;これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸等のビニルモノマーでグラフト変性したワックスがあげられる。
【0130】
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたもの、又は低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
【0131】
また、2種以上のワックスを併用することにより、ワックスの作用である可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。可塑化作用を有するワックスとしては、例えば、融点の低いワックス、分岐構造のワックス、又は極性基を有するワックスがあげられる。離型作用を有するワックスとしては、例えば、融点の高いワックス、直鎖構造のワックス、又は官能基を有さない無極性のワックスがあげられる。使用例としては、2種以上のワックスの融点の差が10℃〜100℃のものの組み合わせ、及びポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせ等があげられる。
【0132】
2種のワックスを併用する場合であって、同様の構造を有するワックスの場合は、相対的に融点の低いワックスが可塑化作用を発揮し、相対的に融点の高いワックスが離型作用を発揮する。この時、融点の差が10〜100℃の場合に、機能分離が効果的に発現する。融点の差が10℃未満では機能分離効果が表れにくく、融点の差が100℃を超える場合には相互作用による機能の強調が行われにくい。この場合、少なくとも一方のワックスの融点が70〜120℃であるのが好ましく、70〜100℃であるのがより好ましい。融点がこの範囲にあると、機能分離効果を発揮しやすくなる傾向がある。
【0133】
また、ワックスは、相対的に、分岐構造のもの、官能基等の極性基を有するもの、又は主成分とは異なる成分で変性されたものが可塑作用を発揮し、より直鎖構造のもの、官能基を有さない無極性のもの、又は未変性のストレートなものが離型作用を発揮する。好ましい組み合わせとしては、エチレンを主成分とするポリエチレンホモポリマー又はコポリマーとエチレン以外のオレフィンを主成分とするポリオレフィンホモポリマー又はコポリマーの組み合わせ;ポリオレフィンとグラフト変成ポリオレフィンの組み合わせ;アルコールワックス、脂肪酸ワックス又はエステルワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせ;フイシャートロプシュワックス又はポリオレフィンワックスとパラフィンワックス又はマイクロクリスタルワックスの組み合わせ;フィッシャートロプシュワックスとポリオレフィンワックスの組み合わせ;パラフィンワックスとマイクロクリスタルワックスの組み合わせ;カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス又はモンタンワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせがあげられる。
【0134】
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対し、0.2〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。
【0135】
ワックスはの融点は、定着性と耐オフセット性のバランスを取るという観点から、50〜140℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましい。融点が50℃未満では耐ブロッキング性が低下する傾向があり、融点が140℃を超えると耐オフセット効果が発現しにくくなる。なお、本明細書において、ワックスの融点は、示差熱分析(以後、「DSC」と略称する)において測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度である。
【0136】
本発明において、ワックス又はトナーのDSC測定では、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計を用いて行うことが好ましい。測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。DSC曲線としては、1回昇温、降温をさせて前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に得られるDSC曲線を用いる。
【0137】
〔流動性向上剤〕
本発明に係るトナーは更に流動性向上剤を含有していてもよい。流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善する(流動しやすくする)ものである。流動性向上剤としては、例えば、カーボンブラック、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、又はそれらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、若しくはシリコーンオイルにより表面処理した、処理シリカ、処理酸化チタン、若しくは処理アルミナがあげられる。これらの中でも、微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナが好ましく、これらをシランカップリング剤等により表面処理した処理シリカがより好ましい。
【0138】
好ましい微粉末シリカは、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。具体的には、例えば、AEROSIL(日本アエロジル株式会社製、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84;Ca−O−SiL(CABOT株式会社製、以下同じ)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5、Wacker HDK(WACKER−CHEMIEGMBH株式会社製、以下同じ)−N20 V15、−N20E、−T30、−T40;D−CFineSilica(ダウコーニング株式会社製);Fransol(Fransil株式会社製)等があげられる。
【0139】
さらには、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。処理シリカ微粉体としては、メタノール滴定試験によって測定した疎水化度が30〜80%の値を示すものが好ましい。疎水化は、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で、化学的又は物理的に処理することによって付与される。ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法が好ましい。
【0140】
有機ケイ素化合物としては、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、へキサメチルジシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、α−クロルエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位にそれぞれSiに結合した水酸基を0〜1個含有するジメチルポリシロキサン、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイルがあげられる。これらは1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0141】
流動性向上剤は、平均一次粒径が0.001〜2μmであることが好ましく、0.002〜0.2μmであることがより好ましい。流動性向上剤の個数平均粒径は、5〜100nmであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。また、流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が、30m
2/g以上であるのが好ましく、60〜400m
2/gであるのがより好ましい。流動性向上剤が表面処理された微粉体の場合は、上記比表面積が20m
2/g以上であるのが好ましく、40〜300m
2/gであるのががより好ましい。これらの微粉体の含有量は、微粉体以外の成分の総量100質量部に対して、0.03〜8質量部であるのが好ましい。
【0142】
〔その他の添加剤〕
本発明に係るトナーは、感光体・キャリアの保護、クリーニング性の向上、熱特性・電気特性・物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率の向上等を目的として、必要に応じて他の添加剤を更に含有していてもよい。他の添加剤としては、各種金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチル、導電性付与剤として酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化アンチモン等、又は酸化チタン、酸化アルミニウム、若しくはアルミナ等の無機微粉体等があげられる。また、これらの無機微粉体は必要に応じて疎水化してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤、酸化セシウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、ケーキング防止剤、さらに、トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0143】
これらの添加剤は、帯電量コントロール等の目的で、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤で処理することも好ましい。
【0144】
〔トナーの製造方法〕
本発明に係るトナーは、上記のとおり、公知の方法によって製造することができる。トナーの製造方法は、粉砕法と重合法とに大別される。
【0145】
粉砕法によるトナーの製造方法(内添)は、例えば、本発明に係る電荷制御剤、結着樹脂及び着色剤を含むトナー構成材料を混合するステップ(混合ステップ)と、得られた混合物を加熱混練するステップ(混練ステップ)と、加熱混練した混合物を冷却固化するステップ(固化ステップ)と、冷却固化した混合物を粉砕するステップ(粉砕ステップ)と、得られた粉砕物を分級してトナーを得るステップ(分級ステップ)とを含む。
【0146】
混合ステップでは、結着樹脂、電荷制御剤、及び着色剤、並びに必要に応じて上述したトナー構成材料(添加剤等)を均一に混合する。混合には、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル等の既知の混合機又は攪拌機を用いることができる。
【0147】
混練ステップでは、得られた混合物を加熱混練する。加熱混練は、例えば、熱ロールニーダ等の加熱混練装置、密閉式のニーダー、又は1軸若しくは2軸の押出機を用いて、熱溶融混練することで実施することができる。
【0148】
固化ステップでは、加熱混練した混合物(混練物)を冷却固化する。冷却固化は、例えば、室温で放置すること、又は冷水若しくはブラインを循環させた圧延ロール及び挟み込み式冷却ベルト等の冷却器で冷却することにより実施することができる。
【0149】
粉砕ステップでは、冷却固化した混合物を粉砕する。粉砕は、例えば、クラッシャー又はハンマーミルを用いて粗粉砕した後、ジェットミル、高速ローター回転式ミル等の粉砕機で微粉砕することにより実施することができる。
【0150】
分級ステップでは得られた粉砕物を分級してトナーを得る。分級は、風力分級機、例えばコアンダ効果を利用した慣性分級方式のエルボジェット、サイクロン(遠心)分級方式のミクロプレックス、DSセパレーター等を用いて、所定の粒度にまで分級を行うことで実施することができる。
【0151】
上記粉砕法によるトナーの製造方法(内添)は、上記混合ステップと、混合ステップで得られた混合物を溶媒に溶解させた後、噴霧により微粒化するステップ(微粒化ステップ)と、微粒化した混合物(微粒化物)を乾燥させるステップ(乾燥ステップ)と、乾燥させた微粒化物を分級してトナーを得るステップ(分級ステップ)とを含むものであってもよい。
【0152】
微粒化ステップは、混合ステップで得られた混合物を適切な溶媒に溶解させた後、例えば、噴霧機により噴霧して混合物を微粒化する。
【0153】
粉砕法によるトナーの製造方法(外添)の場合は、例えば、混合ステップで本発明に係る電荷制御剤以外のトナー構成材料を用いること以外は、粉砕法によるトナーの製造方法(内添)と同様にして、本発明に係る電荷制御剤以外のトナー構成材料を含むトナーを得た後、当該トナーと、本発明に係る電荷制御剤と、及び必要に応じて上述の添加剤とを混合攪拌するステップ(外添処理ステップ)を実施する。
【0154】
外添処理ステップは、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ナウターミキサー、V型ミキサー、W型ミキサー、スーパーミキサー等の混合機により十分に混合攪拌することで、得られるトナー粒子表面に本発明に係る電荷制御剤を均一に外添する。
【0155】
本明細書において、上述の粉砕法によるトナーの製造方法により得られたトナーを「粉砕トナー」とも称する。
【0156】
重合法としては、懸濁重合法、乳化凝集法及び乳化重合法等があげられる。重合法では、コア材及びシェル材からなるいわゆるマイクロカプセルトナーにおいて、コア材若しくはシェル材、又はこれらの両方に所定のトナー構成材料を含有させる方法によってもトナーを製造できる。さらに必要に応じて所望の添加剤(外添剤等)をトナー表面に添加する場合は、当該添加剤とトナー粒子とをヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機又は混合機等により十分に攪拌混合することにより、トナーを製造することもできる。
【0157】
懸濁重合法によるトナーの製造方法は、例えば、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、及び電荷制御剤、並びに必要に応じて架橋剤、分散安定剤及びその他の添加剤を、均一に溶解又は分散させて単量体組成物を調製するステップ(調製ステップ)と、該単量体組成物を連続相に分散させ、重合反応によりトナーを得るステップ(重合ステップ)と、を含む。連続相(例えば水相)は、分散安定剤を含有していてもよい。重合ステップにおいて、分散に用いる攪拌機又は分散機としては、ホモミキサー、ホモジナイザー、アトマイザー、マイクロフルイダイザー、一液流体ノズル、気液流体ノズル、電気乳化機等をあげることができる。重合ステップでは、単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子の大きさとなるように撹拌速度、温度、時間等を調整し、造粒することが好ましい。重合反応は、例えば、40〜90℃で行うことができる。重合反応は、単量体組成物を連続相に分散させながら行ってもよい。懸濁重合法によるトナーの製造方法は、重合ステップで得られたトナー粒子を洗浄し、ろ別した後、乾燥するステップを更に含んでいてもよい。トナー粒子の製造後の外添処理は、上述した方法が使用できる。
【0158】
乳化凝集法によるトナーの製造方法は、例えば、電荷制御剤分散液、結着樹脂分散液、着色剤分散液等のトナー粒子の構成材料を含有する各種分散液を調製するステップ(分散液調製ステップ)と、分散液を混合して混合液を得るステップ(混合ステップ)と、混合液を凝集させて凝集体粒子を形成するステップ(凝集体粒子形成ステップ)と、得られた凝集体粒子を加熱融合してトナー粒子を得るステップ(融合ステップ)とを含む。乳化凝集法によるトナーの製造方法は、融合ステップで得られたトナー粒子を洗浄するステップ(洗浄ステップ)と、洗浄したトナー粒子を乾燥させるステップ(乾燥ステップ)とを更に含んでいてもよい。なお、各種分散液は、界面活性剤等の分散剤を用いて製造することができる。
【0159】
乳化重合法によるトナーの製造方法は、例えば、重合性単量体及び着色剤担持樹脂粒子等を水系媒体中で乳化分散させるステップ(乳化分散ステップ)と、上記重合性単量体を重合させるステップ(重合ステップ)とを含む。重合ステップは、乳化分散液に水溶性重合開始剤を添加することを含んでもよい。重合性単量体の重合は、例えば、加熱等により行うことができる。乳化重合法により得られたトナー粒子は、上記懸濁重合法により得られた粒子と比べ、均一性には優れるものの、平均粒子径が0.1〜1.0μmと極めて小さくなる。そのため、場合によっては乳化粒子を核として重合性単量体を後添加して粒子を成長させる、いわゆるシード重合、又は乳化粒子を適当な平均粒径にまで合一及び融着させる方法で製造することもできる。
【0160】
これらの重合法は、粉砕工程を経ないためトナー粒子に脆性を付与させる必要がなく、さらに従来の粉砕法では使用することが困難であった低軟化点物質を多量に使用できることから、材料の選択幅を広げることができる。また、疎水性の材料である離型剤及び着色剤が、トナー粒子表面に露出しにくいため、トナー担持部材、感光体、転写ローラー及び定着器等への汚染を低減させることができる。
【0161】
重合法により得られたトナーは、画像再現性、転写性、色再現性等の特性がさらに向上する。また、比較的容易に小粒径で粒度分布がシャープなトナーを得ることができるため、高画質化にも適している。
【0162】
本発明に係るトナーを重合法で製造する際に使用する重合性単量体としては、重合により所望の結着樹脂が得られるように選択される。重合性単量体としては、例えば、ラジカル重合が可能な、単官能性又は多官能性のビニル系重合性単量体があげられる。
【0163】
単官能性重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−フェニルスチレン等のスチレン系重合性単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートメチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレート等のアクリレート系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ジエチルフォスフェートメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレート等のメタクリレート系重合性単量体;不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン等のビニルケトン類があげられる。
【0164】
本発明に係るトナーを重合法で製造する際に使用する重合開始剤としては、有機過酸化物等、公知のものが使用できるが、水溶性開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N、N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素があげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましい。
【0165】
重合トナーを製造する際に使用する分散剤としては、例えば無機系酸化物としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等があげられる。有機系化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等があげられる。
【0166】
これら分散剤は、市販のものをそのまま使用してもよいが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒体中、高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることもできる。分散剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜2.0質量部が好ましい。
【0167】
重合法により得られるトナーは、粉砕法によるトナーに比べ、トナー粒子の凹凸の度合いが小さい傾向にあり、不定形であるために静電潜像担持体とトナーとの接触面積が増加することにより、トナー付着力が高くなり、結果として機内汚染が少なく、より高画像濃度、より高品位な画像を得られやすい。
【0168】
また、粉砕法によるトナーにおいても、トナー粒子を、水中に分散させ加熱する湯浴法、熱気流中を通過させる熱処理法、又は機械的エネルギーを付与して処理する機械的衝撃法等によりトナー表面の凹凸の度合いを小さくすることができる。凹凸の度合いを小さくするために有効な装置としては、乾式メカノケミカル法を応用したメカノフージョンシステム(ホソカワミクロン株式会社製)、I式ジェットミル、ローターとライナーを有する混合装置であるハイブリダイザー(奈良機械製作所株式会社製)、高速撹拌羽を有する混合機であるヘンシェルミキサー等があげられる。
【0169】
トナー粒子の凹凸の度合いを示す値の一つとして、平均円形度がある。平均円形度(C)とは、測定された全粒子の円形度(Ci)の総和を、測定された全粒子数(m)で除した値であり、下式(2)及び(3)により求めることができる。
【0172】
円形度(Ci)は、フロー式粒子像分析装置(例えば、東亜医用電子株式会社製FPIA−1000)を用いて測定する。測定方法としては、ノニオン界面活性剤約0.1mgを溶解している水10mlにトナー約5mgを分散させた分散液を調整し、超音波(20kHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜20000個/μLとして、前記フロー式粒子像測定装置を用い、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の円形度分布を測定する。
【0173】
平均円形度は、0.955〜0.995が好ましく、0.960〜0.985がより好ましい。平均円形度がこの範囲となるようにトナー粒子を調整すると、転写残トナーの増加を招きにくく、再転写を起こしにくい傾向にある。
【0174】
本明細書において、上述の重合法によるトナーの製造方法により得られたトナーを「重合トナー」とも称する。また、特に懸濁重合法により得られたトナーを「懸濁重合トナー」と、乳化凝集法により得られたトナーを「乳化凝集トナー」と、乳化重合法により得られたトナーを「乳化重合トナー」とも称する。
【0175】
〔トナー〕
本発明に係るトナーは熱的にも安定であり、電子写真プロセス時に熱的変化を受けることがなく、安定した帯電特性を保持することが可能である。また、どのような結着樹脂にも均一に分散することから、フレッシュトナーの帯電分布が均一である。そのため、本発明に係るトナーは未転写、回収トナー(廃トナー)であっても、フレッシュトナーと比べて飽和摩擦帯電量、帯電分布とも変化はほとんど認められない。しかし、本発明に係るトナーから出る廃トナーを再利用する場合は、結着樹脂として脂肪族ジオールを含むポリエステル樹脂、又は金属架橋されたスチレン−アクリレート共重合体を用い、これに多量のポリオレフィンを加えてトナーを製造することにより、フレッシュトナーとの格差をさらに小さくすることができる。
【0176】
本発明に係るトナーの体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定機(例えば、ミクロンサイザー(例えば、セイシン企業株式会社製))を使用した測定における体積基準の平均粒径として定義される。粉砕トナーの場合、画像性とトナーの生産性が向上するという観点から、粉砕トナーの体積平均粒径は、2〜15μmであることが好ましい。体積平均粒径が15μm以下であると、解像度及び鮮鋭性がより鮮明になり、また、2μm以上であると、解像性がより良好になることに加え、トナー製造時の歩留まりがより向上してコストをより低減することができ、また機内でのトナー飛散、皮膚浸透等の健康への障害をより低減することができる。これらの効果をより一層発揮させる観点から、粉砕トナーの体積平均粒径は、2〜12μmであることがより好ましく、2〜9.5μmであることが更に好ましく、3〜12μmであることが更により好ましく、3〜9.5μmであることが特に好ましい。
【0177】
一方、重合トナーの場合、重合トナーの体積平均粒径は、2〜9.5μmであることが好ましい。体積平均粒径が2μm以上であると、トナー流動性がより向上し、各粒子の帯電性の低下、及び帯電分布の広がりがより生じにくくなり、背景へのかぶり又は現像器からのトナーこぼれ等がより生じにくくなり、またクリーニング性により優れたものになる。体積平均粒径が9.5μm以下であると、解像度の低下がより抑制され、近年の高画質要求を満たすことのできる十分な画質が得られ易くなる。これらの効果をより一層発揮させる観点から、重合トナーの体積平均粒径は、3〜9μmであることがより好ましく、4〜8.5μmであることが更に好ましく、5〜8μmであることが特に好ましい。
【0178】
また、本発明に係る重合トナーは、体積平均粒度分布指標(GSDv)が、1.15〜1.30であることが好ましく、1.15〜1.25であることがより好ましい。体積平均粒度分布指標は、下記の方法により測定される粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、数、それぞれに小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を体積D16%、累積50%となる粒径を体積D50%、累積84%となる粒径を体積D84%と定義したときに、(D84%/D16%)1/2より算出される値である。
【0179】
トナーの粒度分布は、例えばコールターカウンター(コールター株式会社製TA−II)による粒度測定により測定される。
【0180】
本発明に係るトナーは、上記の方法により測定される粒度分布において、2μm以下の粒子含有量が個数基準で10〜90%のものが好ましく、12.7μm以上の粒子の含有量が体積基準で0〜30%のものが好ましい。また、粒径均一性の高い(体積平均粒径/個数平均粒径が1.00〜1.30)ものが好ましい。
【0181】
本発明に係るトナーの比表面積は、脱吸着ガスを窒素としたBET比表面積測定において、1.2〜5.0m
2/gであることが好ましく、1.5〜3.0m
2/gであることがより好ましい。比表面積の測定は、例えばBET比表面積測定装置(例えば、株式会社島津製作所製、FlowSorb II2300)を使用し、50℃で30分間トナー表面の吸着ガスを脱離後、液体窒素により急冷して窒素ガスを再吸着し、さらに再度50℃に昇温し、このときの脱ガス量から求めた値と定義する。
【0182】
本発明に係るトナーの見かけ比重(かさ密度)は、非磁性トナーの場合は0.2〜0.6g/cm
3であることが好ましく、磁性トナーの場合は磁性粉の種類及び含有量にもよるが0.2〜2.0g/cm
3であることが好ましい。この場合の見かけ比重は、例えばパウダーテスター(例えば、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測定される値と定義する。
【0183】
本発明に係るトナーの真比重は、非磁性トナーの場合は、0.9〜1.2g/cm
3であることが好ましく、磁性トナーの場合は磁性粉の種類及び含有量にもよるが0.9〜4.0g/cm
3であることが好ましい。この場合のトナーの真比重は、次のようにして算出される。トナー1.000gを精秤し、これを10mmΦの錠剤成型器に入れ、真空下で200kgf/cm
2の圧力をかけながら圧縮成型する。この円柱状の成型物の高さをマイクロメーターで測定し、これより真比重を算出する。
【0184】
本発明に係るトナーの流動安息角は、5〜45度であることが好ましく、静止安息角は10〜50度であることが好ましい。この場合の流動安息角及び静止安息角は、例えば、安息角測定装置(例えば、筒井理化株式会社製)による流動安息角と静止安息角として定義する。流動安息角と静止安息角は、トナーの流動性に関連する。
【0185】
本発明に係るトナーは、粉砕トナーの場合の形状係数(SF−1)の平均値が100〜400であることが好ましく、形状係数(SF−2)の平均値が100〜350であることが好ましい。
【0186】
本明細書において、トナーの形状係数を示すSF−1、SF−2は、以下のように算出することができる。例えばCCDカメラを備えた光学顕微鏡(例えば、オリンパス株式会社製BH−2)を用い、1000倍に拡大したトナー粒子群を一視野に30個程度となるようサンプリングし、得られた画像を画像解析装置(例えば、ニレコ株式会社製ルーゼックスFS)に転送し、同作業をトナー粒子に対し約1000個となるまで繰り返し行い、下式より形状係数(SF−1)と形状係数(SF−2)を算出する。
SF−1=((ML
2×π)/4A)×100
(式中、MLは粒子の最大長、Aは一粒子の投影面積を示す。)
SF−2=(PM
2/4Aπ)×100
(式中、PMは粒子の周囲長、Aは一粒子の投影面積を示す。)。
【0187】
SF−1は粒子の歪みを表し、粒子が球に近いものほど100に近く、細長いものであるほど数値が大きくなる。またSF−2は粒子の凹凸を表し、粒子が球に近いものほど100に近く、粒子の形が複雑であるほど数値が大きくなる。
【0188】
本発明に係るトナーは、トナーの体積抵抗率が、非磁性トナーの場合は1×10
12〜1×10
16Ω・cmであることが好ましく、また磁性トナーの場合は磁性粉の種類及び含有量にもよるが、1×10
8〜1×10
16Ω・cmであることが好ましい。この場合のトナーの体積抵抗率は、トナー粒子を圧縮成型し直径50mm、厚み2mmの円盤状の試験片を作製し、これを固体用電極(例えば、安藤電気株式会社製SE−70)にセットし、高絶縁抵抗計(例えば、ヒューレットパッカッ−ド株式会社製4339A)を用いて、直流電圧100Vを連続印加した時の1時間経過後の値と定義する。
【0189】
本発明に係るトナーは、トナーの誘電正接が、非磁性トナーの場合は1.0×10
−3〜15.0×10
−3であることが好ましく、また磁性トナーの場合は磁性粉の種類及び含有量にもよるが、2×10
−3〜30×10
−3であることが好ましい。この場合のトナーの誘電正接は、トナー粒子を圧縮成型し、直径50mm、厚み2mmの円盤状の試験片を作製し、これを固体用電極にセットし、LCRメーター(例えば、ヒューレットパッカッ−ド株式会社製4284A)を用いて、測定周波数1KHz、ピークトゥーピーク電圧0.1KVで測定した時に得られる誘電正接値(Tanδ)と定義する。
【0190】
本発明に係るトナーは、トナーのアイゾット衝撃値が0.1〜30kg・cm/cmであるのが好ましい。この場合のトナーのアイゾット衝撃値とは、トナー粒子を熱溶融し板状の試験片を作製し、これをJIS K−7110(硬質プラスチックの衝撃試験法)に準じて測定する。
【0191】
本発明に係るトナーは、トナーのメルトインデクス(MI値)が10〜150g/10minであるのが好ましい。この場合のトナーのメルトインデクス(MI値)とは、JIS K−7210(A法)に準じて測定するものである。この場合、測定温度は125℃、荷重は10kgとする。
【0192】
本発明に係るトナーは、トナーの溶融開始温度が80〜180℃であるのが好ましく、4mm降下温度が90〜220℃であることが好ましい。この場合のトナー溶融開始温度は、トナー粒子を圧縮成型し直径10mm、厚み20mmの円柱状の試験片を作製し、これを熱溶融特性測定装置、例えばフローテスター(例えば、株式会社島津製作所製CFT−500C)にセットし、荷重20kgf/cm
2で測定した時に溶融が始まりピストンが降下し始める値と定義する。また同様の測定で、ピストンが4mm降下したときの温度を4mm降下温度と定義する。
【0193】
本発明に係るトナーは、トナーのガラス転移温度(Tg)が35〜80℃であることが好ましく、40〜75℃であることがより好ましい。この場合のトナーのガラス転移温度は、DSCを用いて測定し、一定温度で昇温後、急冷し、再昇温したときに現れる相変化のピーク値より求めるものと定義する。トナーのTgが35℃を下回ると、耐オフセット性及び保存安定性が低下する傾向にあり、80℃を超えると画像の定着強度が低下する傾向がある。本発明に係るトナーのDSC測定において観測される吸熱ピークにおいて、70〜120℃の領域に最大ピークのピークトップ温度があることが好ましい。
【0194】
本発明に係るトナーは、トナーの溶融粘度が1000〜50000ポイズであることが好ましく、1500〜38000ポイズであることがより好ましい。この場合のトナー溶融粘度は、トナー粒子を圧縮成型し直径10mm、厚み20mmの円柱状の試験片を作製し、これを熱溶融特性測定装置、例えばフローテスター(株式会社島津製作所製CFT−500C)にセットし、荷重20kgf/cm
2で測定した時の値と定義する。
【0195】
本発明に係るトナーの溶媒溶解残分は、THF不溶分として0〜30質量%、酢酸エチル不溶分として0〜40質量%及びクロロホルム不溶分として0〜30質量%であることが好ましい。この場合の溶媒溶解残分は、トナー1gをTHF、酢酸エチル及びクロロホルムの各溶剤100mlに均一に溶解/又は分散させ、この溶液/又は分散液を圧ろ過し、ろ液を乾燥させ定量し、この値からトナー中の有機溶剤への不溶解物の割合を算出した値とする。
【0196】
本発明に係るトナーは、電子写真用として、また静電荷像現像用として好適に用いられる。
【0197】
[現像剤]
本発明に係るトナーは、1成分現像方式及び2成分現像方式に使用することができる。1成分現像方式とは、薄膜化させたトナーを潜像担持体に供給して潜像を現像する方式である。トナーの薄膜化は、通常、トナー搬送部材、トナー層厚規制部材及びトナー補給補助部材を備え、かつ該補給補助部材とトナー搬送部材並びにトナー層厚規制部材とトナー搬送部材とがそれぞれ当接している装置を用いて行われる。
【0198】
また、2成分現像方式とは、トナーとキャリアを使用する方式である。キャリアとしては、例えば、上述した磁性体、及びガラスビーズ等を使用することができる。現像剤(トナー及びキャリア)は、攪拌部材によって攪拌されることにより、所定の電荷量を発生させ、マグネットローラー等によって現像部位にまで搬送される。マグネットローラー上では、磁力によりローラー表面に現像剤が保持され、現像剤規制板等により適当な高さに層規制された磁気ブラシを形成する。現像剤は現像ローラーの回転に伴って、ローラー上を移動し、静電荷潜像保持体と接触又は一定の間隔で非接触状態で対向させ、潜像を現像可視化する。非接触状態での現像の場合は、通常、現像剤と潜像保持体の間に直流電界を生じさせる事によりトナーが一定間隔の空間を飛翔する駆動力を得ることができるが、より鮮明な画像に現像するために、交流を重畳させる方式にも適用することができる。
【0199】
本発明に係るトナーは、キャリアと混合して現像剤(本明細書中、「2成分系現像剤」という場合がある。)として使用してもよい。キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリア(ノンコートキャリア)及び樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
【0200】
キャリアとしては、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物、又は鉄、コバルト、ニッケル等の金属、若しくはこれらの合金を用いることができる。またこれらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムがあげられる。好ましいものとして、銅、亜鉛、及び鉄を主成分とする銅−亜鉛−鉄系フェライト、マンガン、マグネシウム及び鉄を主成分とするマンガン−マグネシウム−鉄系フェライトがあげられる。
【0201】
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。キャリアコア粒子は、例えば、上述のキャリアであってもよい。該被覆材に使用する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリレート系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリレート系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂が好ましい。他にもアイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等キャリアの被覆材として使用できる樹脂を用いることができる。これらの中でも、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物、又はシリコーン樹脂が好ましく、シリコーン樹脂が特に好ましい。これらの樹脂は単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0202】
含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(共重合体質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合体質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸−2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体質量比20:60:5〜30:10:50)との混合物があげられる。
【0203】
シリコーン樹脂としては、含窒素シリコーン樹脂及び含窒素シランカップリング剤とシリコーン樹脂との反応により得られる変性シリコーン樹脂があげられる。
【0204】
樹脂コートキャリアにおいて、キャリアコアの表面を被覆材で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解若しくは懸濁させてキャリアコアに塗布して付着させる方法、又は粉体状態の樹脂とキャリアコアを混合する方法が適用できる。樹脂コートキャリア中の被覆材の割合は、適宜決定すればよいが、樹脂コートキャリアの全量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましい。
【0205】
樹脂コートキャリアは、キャリアコアを2種以上の樹脂の混合物からなる被覆材で被覆したものであってもよい。2種以上の樹脂の混合物からなる被覆材でキャリアコア(磁性体)を被覆した例としては、(1)酸化チタン微粉体100質量部を、ジメチルジクロロシランとジメチルシリコンオイル(質量比1:5)の混合物12質量部で処理したもの、(2)シリカ微粉体100質量部を、ジメチルジクロロシランとジメチルシリコンオイル(質量比1:5)の混合物20質量部で処理したものがあげられる。
【0206】
キャリアの抵抗値は、キャリアの表面の凹凸度合い及び被覆する樹脂の量を調整して、10
6〜10
10Ω・cmにするのが好ましい。キャリアの粒径は4〜200μmであってよく、10〜150μmであるのが好ましく、20〜100μmであるのがより好ましい。特に、樹脂コートキャリアの場合は、50%粒径が20〜70μmであることが好ましい。
【0207】
2成分系現像剤では、キャリア100質量部に対して本発明に係るトナーを1〜200質量部使用することが好ましく、2〜50質量部使用するのがより好ましい。
【0208】
本発明に係る2成分系現像剤は、トナーが粉砕トナー又は乳化凝集トナーである場合、キャリアが樹脂コートキャリアであることが好ましい。これにより、帯電量の環境安定性に極めて優れた現像剤を提供することが可能となる。この場合の樹脂コートキャリアは、上記効果をより一層発揮させる観点から、フェライトを含むキャリアがシリコーン樹脂を含む被覆材で被覆されたシリコンコート系のフェライトキャリアであることがより好ましい。この場合のトナーは、上記効果をより一層発揮させる観点から、上記化合物5、化合物12、化合物13又は化合物21から選択される1種又は2種以上の電荷制御剤を含むものであることが好ましい。
【0209】
本発明に係る2成分系現像剤は、トナーが懸濁重合トナーである場合、キャリアがノンコートキャリアであることが好ましい。これにより、高い帯電量を有し、かつ帯電量の環境安定性に極めて優れた現像剤を提供することが可能となる。この場合のノンコートキャリアは、上記効果をより一層発揮させる観点から、フェライトを含むキャリアであることがより好ましい。この場合のトナーは、上記効果をより一層発揮させる観点から、化合物13、化合物17又は化合物21から選択される1種又は2種以上の電荷制御剤を含むものであることが好ましい。
【実施例】
【0210】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明をなんら制限するものではない。以下の実施例において、「部」は全て「質量部」を表す。
【0211】
一般式(1)で表されるレゾルシン誘導体の精製は、カラムクロマトグラフによる精製、シリカゲル、活性炭、活性白土等による吸着精製、溶媒による再結晶又は晶析法等によって行った。また、化合物の同定は、NMR分析によって行った。
【0212】
[合成実施例1](化合物2の合成)
窒素置換した反応容器に、エタノール100ml、レゾルシン11.0g(100ミリモル)、ベンズアルデヒド11.6g(100ミリモル)を加え、反応温度を10〜15℃に保ちながら、35%塩酸10mlを滴下した。さらに加熱し、70℃で18時間攪拌した。放冷した後、反応溶液を水に加え、析出する粗製物をろ過によって採取した。エタノールを用いて再結晶による精製を行った後、60℃で減圧乾燥することによって灰白色結晶19.2g(収率96.7%)を得た。
【0213】
得られた灰白色結晶についてNMRを使用して構造を同定した。
1H−NMR(DMSO−d
6)で以下の40個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=5.63(8H)、6.13(4H)、6.74(8H)、6.96(12H)、8.58(8H)。
【0214】
[合成実施例2](化合物5の合成)
窒素置換した反応容器に、エタノール100ml、レゾルシン14.6g(130ミリモル)、n−デカナール20.8g(130ミリモル)を加え、反応温度を10〜15℃に保ちながら、35%塩酸13mlを滴下した。さらに加熱し、70℃で15時間攪拌した。放冷した後、反応溶液を水に加え、析出する粗製物をろ過によって採取した。エタノールを用いて再結晶による精製を行った後、60℃で減圧乾燥することによって黄白色結晶19.4g(収率60.1%)を得た。
【0215】
得られた黄白色結晶についてNMRを使用して構造を同定した。
1H−NMR(DMSO−d
6)で以下の96個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=0.84(12H)、1.21−1.26(56H)、1.96(8H)、4.22(4H)、6.14(4H)、7.07(4H)、8.86(8H)。
【0216】
[合成実施例3](化合物12の合成)
窒素置換した反応容器に、エタノール100ml、2−メチルレゾルシノール12.4g(100ミリモル)、n−オクタナール12.8g(100ミリモル)を加え、反応温度を10〜15℃に保ちながら、35%塩酸10mlを滴下した。さらに加熱し、75℃で10時間攪拌した。放冷した後、反応溶液を水に加え、析出する粗製物をろ過によって採取した。メタノールを用いて洗浄を行った後、60℃で減圧乾燥することによって薄黄色結晶19.3g(収率82.5%)を得た。
【0217】
得られた薄黄色結晶についてNMRを使用して構造を同定した。
1H−NMR(DMSO−d
6)で以下の80個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=0.85(12H)、1.15−1.34(40H)、1.93(12H)、2.19(8H)、4.19(4H)、7.20(4H)、8.65(8H)。
【0218】
[合成実施例4](化合物13の合成)
窒素置換した反応容器に、エタノール100ml、2−メチルレゾルシノール12.4g(100ミリモル)、n−デカナール15.6g(100ミリモル)を加え、反応温度を10〜15℃に保ちながら、35%塩酸10mlを滴下した。さらに加熱し、70℃で15時間攪拌した。放冷した後、反応溶液を水に加え、析出する粗製物をろ過によって採取した。エタノールを用いて再結晶による精製を行った後、60℃で減圧乾燥することによって黄白色結晶21.9g(収率83.6%)を得た。
【0219】
得られた黄白色結晶についてNMRを使用して構造を同定した。
1H−NMR(DMSO−d
6)で以下の104個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=0.86(12H)、1.23(62H)、1.94(8H)、2.16(6H)、4.18(4H)、7.16(4H)、8.67(8H)。
【0220】
[合成実施例5](化合物14の合成)
窒素置換した反応容器に、エタノール100ml、ピロガロール12.6g(100ミリモル)、n−ヘプタナール11.4g(100ミリモル)を加え、反応温度を10〜15℃に保ちながら、35%塩酸10mlを滴下した。さらに加熱し、70℃で15時間攪拌した。放冷した後、反応溶液を水に加え、析出する粗製物をろ過によって採取した。エタノールを用いて再結晶による精製を行った後、60℃で減圧乾燥することによって灰白色結晶14.8g(収率66.6%)を得た。
【0221】
得られた灰白色結晶についてNMRを使用して構造を同定した。
1H−NMR(DMSO−d
6)で以下の72個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=0.85(12H)、1.14−1.35(32H)、2.12−2.13(8H)、4.14(4H)、6.84(4H)、8.13(4H)、8.64(8H)。
【0222】
[合成実施例6](化合物17の合成)
窒素置換した反応容器に、エタノール100ml、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン15.6g(100ミリモル)、ベンズアルデヒド11.4g(100ミリモル)を加え、反応温度を10〜15℃に保ちながら、35%塩酸28mlを滴下した。さらに加熱し、75℃で10時間攪拌した。放冷した後、反応溶液を水に加え、析出する粗製物をろ過によって採取した。エタノールを用いて再結晶による精製を行った後、60℃で減圧乾燥することによって灰白色結晶14.8g(収率66.6%)を得た。
【0223】
得られた灰白色結晶についてNMRを使用して構造を同定した。
1H−NMR(DMSO−d
6)で以下の48個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=2.49(12H)、3.25(8H)、5.56−5.57(4H)、6.38−6.39(10H)、6.76−6.82(10H)、10.70(2H)、11.01(2H)。
【0224】
[合成実施例7](化合物21の合成)
窒素置換した反応容器に、ジメチルスルホキシド200ml、合成実施例3で合成したレゾルシン誘導体(化合物12)3.0g(6.3ミリモル)、2,3−ジクロロキノキサリン5.0g(25.2ミリモル)を加え、反応温度を30℃以下に保ちながら、炭酸セシウム8.6g(26.5ミリモル)を添加した。添加終了後、30℃で72時間撹拌し、析出した結晶をろ過によって採取した。結晶を酢酸エチルで分散洗浄した後、濾過、乾燥することにより黄色結晶7.3g(収率80.0%)を得た。
【0225】
得られた薄黄色結晶についてNMRを使用して構造を同定した。
1H−NMR(CDCl
3)で以下の96個の水素シグナルを検出した。δ(ppm)=0.7(12H)、1.05−1.07(40H)、1.78−1.90(8H)、2.25(6H)、3.16(6H)、3.53−3.54(4H)、6.18(2H)、6.87(2H)、7.16(4H)、7.43(4H)、7.65(4H)、7.79(4H)。
【0226】
[実施例8](非磁性トナー1の製造と評価)
スチレン−アクリレート系共重合体樹脂(三井化学株式会社製、商品名CPR−100、酸価0.1mgKOH/g)91部、合成実施例2で合成したレゾルシン誘導体(化合物5)1部、カーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名MA−100)5部及び低分子量ポリプロピレン(三洋化成株式会社製、商品名ビスコール550P)3部を、130℃の加熱混合装置(2軸押出混練機)によって溶融混合した。冷却した混合物をハンマーミルで粗粉砕した後、ジェットミルで微粉砕し、分級して体積平均粒径8±0.5μmの非磁性トナー1を得た。
【0227】
得られた非磁性トナー1を、ノンコート系のフェライトキャリア(パウダーテック株式会社製、F−150)100部に対して4部の割合で混合振とうしてトナーを負に帯電させた後、ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて温度10℃、湿度30%の雰囲気下(LL環境下)及び温度35℃、湿度85%の雰囲気下(HH環境下)における飽和帯電量の測定を行った。結果を表1にまとめて示した。なお、表中、LL/HHとは、「低温低湿下(LL環境下)における飽和帯電量」と「高温高湿下(HH環境下)における飽和帯電量」の比であり、環境安定性の指標となる値である。
【0228】
また、シリコンコート系のフェライトキャリア(パウダーテック社製、F96−150)と混合した場合についても同様に、飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。結果を表1にまとめて示した。
【0229】
【表1】
【0230】
[実施例9](非磁性トナー2の製造と評価)
実施例8において電荷制御剤として用いた化合物5を、合成実施例4で合成したレゾルシン誘導体(化合物13)に代えた以外は、実施例8と同様の条件で非磁性トナー2を製造し、飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。結果を表1にまとめて示した。
【0231】
[実施例10](非磁性トナー3の製造と評価)
実施例8において電荷制御剤として用いた化合物5を、合成実施例7で合成したレゾルシン誘導体(化合物21)に代えた以外は、実施例8と同様の条件で非磁性トナー3を製造し、飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。結果を表1にまとめて示した。
【0232】
[比較例1](比較非磁性トナーの製造と評価)
実施例8において電荷制御剤として用いた化合物5を下記比較化合物1に代えた以外は、実施例8と同様の条件で比較非磁性トナーを製造し、飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。結果を表1にまとめて示した。
【0233】
【化33】
【0234】
表1に示すとおり、本発明の一般式(1)で表されるレゾルシン誘導体を有効成分として含有する電荷制御剤を用いた非磁性トナーは、高温高湿下(温度35℃、湿度85%)における飽和帯電量が高く、また、低温低湿下(温度10℃、湿度30%)における飽和帯電量との差が小さくなることが分かった。すなわち、本発明に係る非磁性トナーは、環境安定性に優れたトナーである。
【0235】
[実施例11](乳化凝集トナー1の製造と評価)
[樹脂分散液の調製]
ポリエステル樹脂(三菱レイヨン株式会社製、DIACRON ER−561)80部、酢酸エチル320部、イソプロピルアルコール32部を混合し、ホモジナイザー(株式会社美粒製、泡レスミキサー NGM−0.5TB)を用いて、5000〜10000rpmで攪拌しながら0.1質量%のアンモニア水を適量滴下して転相乳化させ、さらにエバポレーターで減圧しながら脱溶剤を行い、樹脂分散液を得た。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径は0.2μmであった(樹脂粒子濃度はイオン交換水で調整して20質量%とした)。
【0236】
[電荷制御剤分散液の調製]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、ソルボンT−20(東邦化学工業株式会社製)0.2部、イオン交換水17.6部を混合溶解し、さらに合成実施例3で合成したレゾルシン誘導体(化合物12)2.0部、ジルコニアビーズ(ビーズの粒子径0.65mmφ、15ml相当量)を加えて、ペイントコンディショナー(UNION N.J.(USA)社製、Red Devil No.5400−5L)で3時間分散させた。篩いを用いてジルコニアビーズを除き、イオン交換水で調整して10質量%の電荷制御剤分散液とした。
【0237】
[乳化凝集トナーの製造]
温度計、pH計、攪拌機を備えた反応容器に、前記樹脂分散液125部、20質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液1.0部、イオン交換水125部を加え、液温を30℃に制御しながら、150rpmで30分撹拌した。1質量%の硝酸水溶液を添加してpHを3.0に調整し、さらに5分間撹拌した。ホモジナイザー(IKAジャパン社製、ウルトラタラックスT−25)で分散させながら、ポリ塩化アルミニウム0.125部を加え、液温を50℃まで昇温させた後、さらに30分間分散させた。前記樹脂分散液62.5部、前記電荷制御剤分散液4.0部を加えた後、1質量%の硝酸水溶液を添加してpHを3.0に調整し、さらに30分間分散した。攪拌機を用いて400〜700rpmで撹拌しながら、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液8.0部を加え、トナーの体積平均粒子径が9.5μmとなるまで撹拌を継続した。液温を75℃まで昇温させた後、さらに2時間撹拌し、体積平均粒子径が6.0μmとなり、粒子形状が球形化したことを確認した後、氷水を用いて急速冷却させた。ろ過によって採取し、イオン交換水で分散洗浄を行った。分散洗浄は、分散後のろ液の電気伝導度が20μS/cm以下となるまで繰り返した。その後、40℃の乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。得られたトナーを166メッシュ(目開き90μm)の篩いで篩分して乳化凝集トナー1を得た。
【0238】
[評価]
得られた乳化凝集トナー1を、ノンコート系のフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)100部に対して2部の割合で混合して振とうし、トナーを負に帯電させた後、ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて、実施例8と同様に、温度10℃、湿度30%の雰囲気下(LL環境下)及び温度35℃、湿度85%の雰囲気下(HH環境下)における飽和帯電量を測定し、環境安定性の評価を行った。また、シリコンコート系のフェライトキャリア(パウダーテック社製、F96−150)と混合した場合についても同様に、飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。結果を表2にまとめて示した。
【0239】
【表2】
【0240】
[実施例12](乳化凝集トナー2の製造と評価)
実施例11において電荷制御剤として用いた化合物12を、合成実施例4で合成したレゾルシン誘導体(化合物13)に代えた以外は、実施例11と同様の条件で乳化凝集トナー2を製造し、飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。結果を表2にまとめて示した。
【0241】
[実施例13](乳化凝集トナー3の製造と評価)
実施例11において電荷制御剤として用いた化合物12を、合成実施例7で合成したレゾルシン誘導体(化合物21)に代えた以外は、実施例11と同様の条件で乳化凝集トナー3を製造し、飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。結果を表2にまとめて示した。
【0242】
[比較例2](比較乳化凝集トナーの製造と評価)
比較のため、実施例11において電荷制御剤として用いた化合物12を下記比較化合物2に代えた以外は、実施例11と同様の条件で比較乳化凝集トナーを製造し、飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。結果を表2にまとめて示した。
【0243】
【化34】
【0244】
表2に示すとおり、本発明の一般式(1)で表されるレゾルシン誘導体を有効成分として含有する電荷制御剤を用いた乳化凝集トナーは、高温高湿下(温度35℃、湿度85%)における飽和帯電量が高く、また、低温低湿下(温度10℃、湿度30%)における飽和帯電量との差が小さくなることが分かった。すなわち、本発明に係る乳化凝集トナーは、環境安定性に優れたトナーである。
【0245】
[実施例14](懸濁重合トナー1の製造と評価)
[水系分散媒体の調製]
トールビーカー中にイオン交換水382部と0.3mol/lのNa
3PO
4水溶液157部を加え、高速攪拌装置ウルトラタラックスを用いて3200rpmで攪拌しながらウォーターバスで60℃に保持した。攪拌機の回転数を10000rpmに上げた後、ここに3.0mol/lのCaCl
2水溶液28部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca
3(PO
4)
2を含む水系分散媒体を調製した。
【0246】
[懸濁重合トナーの調製]
スチレンモノマー19.1部、n−ブチルアクリレート8.1部、シアン顔料(ピグメントブルー 15:3)0.3部、ポリエステル樹脂(三菱レーヨン製、ER−561)1.5部、合成実施例6で合成したレゾルシン誘導体(化合物17)0.9部、ジルコニアビーズ(ビーズの粒子径0.65mmφ、15ml相当量)をPP製容器に加え、ペイントコンディショナー(UNION N.J.(USA)社製、Red Devil No.5400−5L)で3時間分散させた。篩いを用いてジルコニアビーズを除き、油層とした。ここに、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部を加え、さらに上記水系分散媒体36.5部に精製水44gを加えた水層を加えた。内温を70℃に保ち、ウルトラタラックスを使用して7000rpmで攪拌し、造粒した後、窒素雰囲気下、80℃において5時間重合反応を行った。反応終了後、35%塩酸を添加してpHを1〜2に調製し、ろ過、水洗を行い、40℃で乾燥することによりトナー粒子を得た。得られたトナーを166メッシュ(目開き90μm)の篩いで篩分して体積平均粒子径が5〜6μmの懸濁重合トナー1を得た。
【0247】
[評価]
得られた懸濁重合トナー1を、ノンコート系のフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)100部に対して2部の割合で混合して振とうし、トナーを負に帯電させた後、ブローオフ粉体帯電量測定装置によって飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。また、シリコンコート系のフェライトキャリア(パウダーテック社製、F96−150)と混合した場合についても同様に、飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。結果を表3にまとめて示した。
【0248】
【表3】
【0249】
[実施例15](懸濁重合トナー2の製造と評価)
実施例14において電荷制御剤として用いた化合物17を、合成実施例4で合成したレゾルシン誘導体(化合物13)に代えた以外は、実施例14と同様の条件で懸濁重合トナー2を製造し、飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。結果を表3にまとめて示した。
【0250】
[実施例16](懸濁重合トナー3の製造と評価)
実施例14において電荷制御剤として用いた化合物17を、合成実施例7で合成したレゾルシン誘導体(化合物21)に代えた以外は、実施例14と同様の条件で懸濁重合トナー3を製造し、飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。結果を表3にまとめて示した。
【0251】
[比較例3](比較懸濁重合トナーの製造と評価)
実施例14において電荷制御剤として用いた化合物17を、下記比較化合物3に代えた以外は、実施例14と同様の条件で比較懸濁重合トナーを製造し、飽和帯電量及び環境安定性の評価を行った。結果を表3にまとめて示した。
【0252】
【化35】
【0253】
表3に示すとおり、本発明の一般式(1)で表されるレゾルシン誘導体を有効成分として含有する電荷制御剤を用いた懸濁重合トナーは、高温高湿下(温度35℃、湿度85%)における飽和帯電量が高く、また、低温低湿下(温度10℃、湿度30%)における飽和帯電量との差が小さくなることが分かった。すなわち、本発明に係る懸濁重合トナーは、環境安定性に優れたトナーである。
【0254】
以上の結果から明らかなように、本発明の一般式(1)で表されるレゾルシン誘導体を有効成分として含有する電荷制御剤を用いたトナーは、優れた飽和帯電量を有すると共に、高温高湿下においても飽和帯電量の低下が極めて少なく、環境安定性に優れている。すなわち本発明の一般式(1)で表されるレゾルシン誘導体を有効成分として含有する電荷制御剤を用いることによって、静電荷像現像用トナー、特に重合トナーに高い帯電性能、特に優れた環境安定性を付与することができる。