(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
段階1から得られた低圧(LP)スチーム、または段階2から得られた中圧(MP)スチームが熱輸送媒体として用いられて、空気予熱器における炉の燃焼用空気に熱を供給する、請求項1に記載の熱の回収方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の簡単な説明)
本発明は、以降において「コンプレックス」と称される、精製または石油化学方法のいくつかの熱交換器中に含まれる低温熱を回収する方法として規定されてよい。
【0013】
本発明の対象を形成する方法は、所定の熱源から生じた低圧(LP)スチームネットワークを作ること、この低圧スチームを(完全にまたは部分的に)再圧縮して、中間圧(MP)スチームにそれを転化させること、および方法の種々の機能のための熱源として、それにより生じたスチーム(LPおよびMP)を用いることから実質的になる。特に、生じたLPおよびMPスチームは、場合によっては塔の操作圧力を低下させた後に、所定数の蒸留塔のリボイラに要求される熱を提供するために用いられて、それらのリボイラの操作温度を低減させ得る。
【0014】
本発明に照らして、低圧(LP)スチームは、1〜7絶対バール(bar absolute)の範囲の圧力を有するスチームである。中間圧(MP)スチームは、7絶対バールから15〜17絶対バールの値にわたる範囲の圧力を有するスチームとして定義され、高圧(HP)スチームは、17絶対バール超の圧力を有するスチームとして定義される。
【0015】
より具体的には、本発明による方法は、低温度、すなわち、100〜180℃の熱を、「コンプレックス」と呼ばれ、少なくとも1基の蒸留塔を含む、精製または石油化学の方法において回収する方法であって、該方法は、以下の段階:
1) 少なくとも1個の低温熱源との交換により、低圧スチーム(すなわち、1〜7絶対バール(abs)(1バール=0.1MPa)の範囲の圧力にあるスチーム)を発生させる段階、
2) 少なくとも1回の圧縮段階において、発生したスチームの圧力を上げ、MPスチームを生じさせる段階、
3) 操作条件および/または方法の構成を改変して、一方では高温熱の消費を有利に低減させ、他方では、低温熱の消費を低減させる段階、
4) 段階1から得られたLPスチームおよび段階2から得られたMPスチームの少なくとも一部を使用して、必要な熱を、段階3から得られた低温熱消費装置に供給する段階
からなる、方法として規定されてよい。
【0016】
本発明の一つの変形によると、段階1から得られたスチームの他の部分は、発電のために用いられる。
【0017】
本発明の一つの変形によると、段階2は、2段階圧縮機によって行われる。
【0018】
本発明の別の変形によると、段階2は、起動流体(motive fluid)としてHPスチームを用いたエジェクタによって行われる。
【0019】
段階3は、相容れないわけではない種々の方法で行われてよく、すなわち、段階3を実施する種々の方法のあらゆる組合せが、本発明の範囲にとどまる。
− 第1の実施形態において、段階3は、方法の1基以上の蒸留塔において操作圧力を下げ、段階2から得られたスチームの温度未満にそれらのリボイラの温度をより低くすることによって行われる。
− 第2の実施形態において、段階3は、コンプレックスの蒸留塔の供給原料を予備加熱するための交換器のネットワークの改変によって行われる。
【0020】
本発明の方法によると、低圧(LP)スチームを発生させることを可能にする低温熱源の少なくともいくつかは、第一のセットE1を形成するコンプレックスのいくつかの蒸留塔のコンデンサから選ばれる。
【0021】
本発明の変形によると、段階1から得られた低圧スチームは、コンプレックスのいくつかの塔のリボイラに供給される熱輸送流体として直接的に用いられる。
【0022】
本発明の別の変形によると、段階1から得られた低圧スチームは、再圧縮の後に、コンプレックスのいくつかの塔のリボイラに供給される熱輸送流体として用いられる。
【0023】
リボイラが直接的にまたは圧縮の後に、段階1から得られた低圧スチームを用いる塔は、E1とは異なる第2のセットE2を形成する。異なるセットは、本発明に照らして、E1およびE2が共通に塔を有しないことを指し示す。
【0024】
別の変形(これは、2つの従前の変形と両立できる)によると、段階1または段階2から得られた低圧スチームは、熱交換器において方法流体に熱を供給するために熱輸送流体として用いられる。
【0025】
別の変形(これも、従前のものと両立できる)によると、段階1または段階2から得られた低圧スチームは、空気予備ヒータにおける炉の燃焼用空気に熱を供給するために熱輸送流体として用いられる。
【0026】
最後に、本発明の方法の変形によると、セットE2のいくつかの蒸留塔は、より低い操作圧力で機能して、それらの再沸騰のために要求される温度を低減させる。
【0027】
本発明は、低圧スチームを発生させることができる低温熱源を有する全タイプの方法に適用されてよい。
【0028】
特に、本発明は、少なくとも1基の抽出蒸留装置(P1)、パラキシレン吸着装置(P2)、キシレン類異性化装置(P3)およびトランスアルキル化装置(P4)を使用するいわゆる「アロマティクス・コンプレックス」方法に適用され、前記装置からの流出物は、以下の意味を有するC1〜C11で差し示される蒸留塔において分離され:C1:リフォメート塔、C2:キシレン類塔、C3:重質芳香族化合物塔、C4:ラフィネート塔、C5:エキストラクト塔、C6:精製塔、C7:デヘプタナイザ(deheptaniser)、C8:ストリッパ、C9:ベンゼン塔、C10:トルエン塔、C11:安定化塔;アロマティクス・コンプレックスにおいて、
− 低温熱源は、低圧(LP)スチームを生じさせることを可能にする以下の蒸留塔C3、C4およびC5によって形成されるセットE1において選ばれるものである;
− 圧力が解放され、セットE1(またはそれのサブセットのいずれか1つ)によって生じたLPスチームの圧縮の後に中間圧(MP)スチームの形態で熱が供給される塔は、以下の塔によって形成されるセットから選ばれるものである:C7、C8、C10、C11、
− セットE1(またはそのサブセットのいずれか1つ)によって生じた低圧スチームの熱が供給される塔は、圧力の低減は伴わない。アロマティクス・コンプレックスへの適用の場合、これは、塔C9である。
【0029】
アロマティクス・コンプレックスへの適用の場合、塔E1によって生じたスチームを用いる塔のセットE2は、それ故に、塔C7、C8、C9、C10およびC11からなる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(発明の詳細な説明)
以下の説明において、用語「方法」または「コンプレックス」は、少なくとも2基の蒸留塔を含むあらゆる精製または石油化学方法を指し示すために用いられる。
【0031】
この定義は、非常に広く、例えば、ガソリンのための接触分解方法、およびいわゆる「アロマティクス・コンプレックス」の芳香族化合物フラクションからパラキシレンまたはメタキシレンを製造する方法を含む。
【0032】
以下の説明および本発明を例証する実施例は、アロマティクス・コンプレックスの場合に与えられるが、当然、これは、単なる一つの適用事例に過ぎず、決して、開示された方法の範囲を制限しないことが理解される。
【0033】
本発明による方法は、一般的に、低温熱を回収して、低圧スチームを生じさせる方法として定義されてよく、この低圧スチームは、再圧縮の後に、種々の目的のために用いられ得、これは、場合によっては前記塔の操作圧力を低下させた後に、問題の方法のいくつかの塔のリボイラを加熱して、前記塔のリボイラをより低い温度で操作することを可能にすることを含む。
【0034】
本発明による低温熱を回収する方法は、アロマティクス・コンプレックスにおいて利用可能な低温熱からスチームを生じさせることから実質的になる。
【0035】
実際に、これらの熱源は、いくつかの塔の塔頂蒸気の冷却タワーによって形成され、LPスチームの発生は、LPスチーム気化器または発生器と称される交換器によって冷却タワーを置き換えることによってもたらされる。
【0036】
それにより生じたスチームは、それ故に、通常は100〜170℃の温度を有する。
【0037】
100〜170℃の温度を有するこのLPスチームは、種々の方法で用いられ得る。
a) このスチームは、熱輸送流体として直接的に運ばれ、アロマティクス・コンプレックスの種々のポイントで、特に(および非限定的な方法で)いくつかの塔のリボイラにおいて用いられ得る。この使用は、
図2の流れF1の回路に対応する。
b) あるいは、それは、1以上の過熱流体を生じさせることを可能にする中間圧(MP)スチームを生じさせる1個以上の圧縮段を含む圧縮回路に運ばれてよい。これらの過熱流体は、次いで、凝縮させられ、アロマティクス・コンプレックスの種々の部位において、特に、いくつかの塔のリボイラにおいてそれらの凝縮の熱を解放し、いくつかの塔のリボイラにおいて、操作圧力は、場合によっては、低減させられる。十分に効率的な熱交換を得るために、高温流体の温度は、好ましくは、熱輸送が行われる帯域の温度より5〜15℃高くあるべきであることが認識される。この使用は、
図2の流れf3の回路に対応する。
c) あるいは、このLPスチームは、電気を発生させるために膨張器に導入されてよい。この場合、膨張タービンが好ましくは用いられ、周囲圧力未満にスチームの凝縮を可能にする(「真空膨張タービン」と略される)。この使用は、
図2の流れf2の回路に対応する。
【0038】
使用a)、b)またはc)に由来するLPスチームは、凝縮した状態で存在し、得られた流体は、凝縮ネットワークにおいて処理されて、閉じられた水/スチームのループ(脱塩水の供給を有する)を形成するように種々の気化器の入口にリサイクルされ得る流体を形成してよい。
【0039】
閉じられた有用物回路(utilities circuit)は、それ故に、以下に基づいて、構成される・
− 蒸留塔の第1のシリーズのコンデンサ内の低圧スチームの発生、
− 方法、特に、蒸留塔の第2のシリーズのリボイラのいくつかの低温流体のための熱輸送剤としての、または、発電のための起動流体としてのこのスチーム(圧縮または非圧縮)の使用、および
− 気化を目的として流体を再構成するための、処理の後の凝縮物の回収。
【0040】
(図面の詳細な説明)
図1aは、従来技術による塔(COL1)を示し、この塔(COL1)は、塔からの塔頂流を冷却する冷却タワー(AER)を使用する還流フラスコ(CD1)と、リボイラとを備え、リボイラは炉(F1)である。
【0041】
この塔の圧力は、利用可能な低温有用物の温度より高い温度で蒸気を凝縮することができるように最小にされる一方で、塔の頂部での脱ガス流体を通じた生成物の喪失を制限する。広範に相違する揮発性を有する物質の混合物を含有する反応セクションからの流出物を安定にするために、この手段は、5〜12絶対バール程度の圧力下に塔を操作する。
【0042】
図1bは、塔(COL1)の頭部においてなされなければならない改変を示し、前記塔の操作圧力における降下が補填され、前記圧力における降下に由来する気相補足物が回収される。
【0043】
塔の底部において、炉は、より低い温度で操作する熱交換器によって置き換えられた。
【0044】
より具体的には、本発明に従って改変された塔(COL1)からの塔頂蒸気を凝縮させるためのシステムは以下のように記載されてよい。
【0045】
塔(COL1)からの塔頂蒸気は、例えば冷却タワー(AER)において、部分的に凝縮させられ、塔の還流フラスコ(RD1)において混合相の形態で回収される。還流フラスコ(RD1)から逃れたガスOVD1は、塔頂ガス圧縮機(OVDC1)の取入れ口に通される。
【0046】
圧縮機(OVDC1)の出口におけるガスは、コンデンサ(OGC1)を介して部分的に(または完全に)凝縮させられる。コンデンサ(OGC1)を出た流れは、フラスコ(SEP1)において回収され分離される。
【0047】
フラスコ(SEP1)からの液体(LSEP1)は、還流フラスコ(RD1)に再送され、フラスコ(SEP1)から得られたガスVSEP1は、装置の別の部分または装置の末端に送られる。
【0048】
図2は、塔からの塔頂蒸気の凝縮から得られたLPスチームの流れf2)およびf3)の回路に対応する使用を例証する。
【0049】
塔C4からの塔頂蒸気(OVD2)の凝縮の熱により、熱交換器(STG1)を介して液体流体を気化させることが可能になる。この液体の圧力は、その気化温度が凝縮させられるべき蒸気OCD2の温度未満であるように選ばれる。
【0050】
こうして得られた低圧スチームは、3つの流れf1)、f2)およびf3)に分けられ、これらは、異なる回路を流れ、以下のように記載されてよい:
− 流れf1):LPスチームの一部は、熱輸送流体としていくつかの塔のリボイラに直接的に通されてよい。LPスチームのこの使用(当業者にとってごく従来的である)は、
図2に例示されない。
− 流れf2):LPスチームの別の一部は、2個の圧縮段(ST1およびST2)に通されて、中間圧スチームが生じさせられ、この中間圧スチームは、塔C7のリボイラ(REB1)において熱輸送流体として用いられる。このスチームは、リボイラ(REB1)の下流で凝縮させられる(CD1)。この使用は、本発明に合致する。
− 流れf3):LPスチームの別の一部は、LPスチームタービン(TES)に導入されて、発電させられる。スチームタービン(TES)の出口において、流体は、冷却タワーにおいて完全に凝縮させられて、凝縮水が生じる(CD2)。
【0052】
図3は、従来技術によるアロマティクス・コンプレックスの典型的な方法のフロースキームを示し、以下の段落において詳細に記載される。
【0053】
図4は、従来技術の典型的な方法(
図3)と比較して本発明により改変されたアロマティクス・コンプレックスの帯域を、点線で前記帯域を取り囲むことによって強調する。
【0054】
簡単のために、還流セクション、還流フラスコまたはコンデンサセクションは、
図2および4において示されていない。
【0055】
(実施例)
以下の実施例は、アロマティクス・コンプレックスの場合において後で説明される方法の適用である。この適用を良く理解するには、アロマティクス・コンプレックス自体の説明が必要とされるが、これは、従来技術に合致する
図3に対して与えられる。
【0056】
本発明に合致する
図4は、以下の本発明の手段により改変されたアロマティクス・コンプレックスの帯域を示す:
− コンプレックスのいくつかの塔の操作圧力の低減、
− スチームを生じさせるためのいくつかの塔の塔頂流出物の利用、
− アロマティクス・コンプレックス内で生じたスチームの利用。
【0057】
以下の実施例において記載されるようなアロマティクス・コンプレックスは、一連の転化および分離段であって、ベンゼンから接触改質装置に由来する10個超の炭素原子を有する芳香族化合物(C10+で示す)にわたる範囲の芳香族化合物を豊富に含む供給原料から出発して、キシレン類と呼ばれる、8個の炭素原子を有する芳香族化合物、より具体的にはPXで示されるパラキシレンを生じさせることを目的としたものとして定義されてよい。
【0058】
供給原料は、非常に低い含有率からゼロの含有率にわたる硫黄および窒素化合物およびオレフィンを有するべきである。これらの化合物は、コンプレックスの装置において採用されるいくつかの触媒およびモレキュラーシーブの性能および耐用年数に影響を及ぼし得るからである。
【0059】
(リフォメート塔(C1))
処理されるべき供給原料が、ライン(1)および交換器ECH1を介して(C1)で示される第1の蒸留塔に運ばれる。この第1の蒸留塔(C1)は、トルエンおよびより軽質の化合物をより重質の化合物(C8からC10+の範囲にわたる)から分離する。
【0060】
従来技術によるこの塔のリボイラおよびコンデンサの構成は、下記の表1に示される。
【0061】
(抽出蒸留装置(P1))
塔C1の頭部において回収されたトルエンおよびより軽質の化合物は、ライン(10)を介して(P1)で示される抽出蒸留装置に通され、抽出蒸留装置(P1)は、パラフィン化合物からなる「ラフィネート」と呼ばれる生成物から高純度の芳香族化合物C6−C7フラクションを分離する。前記ラフィネートは、ライン(13)を介してコンプレックスから排出される。この抽出蒸留装置において好適に用いられる溶媒は、N−ホルミルモルホリン(N-formylmorpholine:NFM)である。
【0062】
(キシレン類塔(C2))
塔(C1)の底部において回収されたC8−C10+芳香族化合物は、ライン(11)を介していわゆるキシレン類塔(C2)に通される。このキシレン類塔(C2)は、C8芳香族化合物(いわゆるキシレン類)からC9およびより重質の化合物を分離し、このC8芳香族化合物は、下流に位置するコンプレックスの装置に供給する。
【0063】
従来技術によると、塔C2からの塔頂蒸気の凝縮によって回収された熱は、塔C1、塔C4(いわゆるラフィネート塔)および塔C5(いわゆるエキストラクト塔)のリボイラに必要な熱を供給するために用いられ、これらは、以降に議論されることになる。
【0064】
この目的で、塔C2の頭部における操作圧力は、一般的に、要求される最小の圧力(一般的には7.0〜9.0絶対バール)に維持され、これにより、キシレン類塔(C2)からの塔頂蒸気の凝縮温度が塔(C1)、(C4)および(C5)のリボイラための熱輸送流体として用いられるのに十分であることが可能となる。
【0065】
従来技術によるこの塔のリボイラおよびコンデンサの構成は、下記表1に示される。
【0066】
(パラキシレン吸着装置(P2))
キシレン類フラクション、すなわち、パラキシレン、メタキシレンおよびオルトキシレンおよびエチルベンゼンを含有するC8芳香族化合物フラクションは、それ故に、塔C2の頭部において回収され、ライン(20)を介して吸着装置P2に通される。吸着装置P2は、前記フラクションに含有されるパラキシレンを選択的に回収する。吸着装置P2は、それ故に、パラキシレンおよび脱着剤の混合物(エキストラクトと呼ばれる)、および他のC8芳香族化合物および脱着剤の混合物(ラフィネートと呼ばれる)を生じさせる。
【0067】
吸着剤は、モレキュラーシーブであり、パラキシレンの吸着を特に目的とするものであり、すなわち、それは、この化合物に特に高い親和性を有する。
【0068】
一般に用いられる固体吸着剤は、シリカバインダによる成形型フォージャサイトタイプのゼオライトであり、バリウムまたはカリウムにより交換されたものである。好適に用いられる脱着剤は、パラジエチルベンゼン(paradiethylbenzene:PDEB)である。
【0069】
(エキストラクト塔(C5))
吸着塔を出る、パラキシレンおよび脱着剤を含有するエキストラクトの流れは、ライン(22)を介してエキストラクト塔(C5)に通され、このエキストラクト塔(C5)は、脱着剤からパラキシレンを分離する。
【0070】
塔(C5)の底部において回収された脱着剤は、ライン(51)を介して吸着塔に戻される。
【0071】
エキストラクト塔は、還流フラスコにおいて、好ましくは、低圧で、すなわち、1.0〜2.0絶対バールの範囲の圧力で操作され、リボイラの温度、さらには前記リボイラに供給されることになる熱の量が最小にされる。
【0072】
従来技術によると、エキストラクト塔(C5)からの塔頂蒸気の凝縮は、冷却タワーによって行われる。従来技術によるこの塔のリボイラおよびコンデンサの構成は、表1に示される。
【0073】
(精製塔(C6))
塔(C5)の頭部からの流れは、ライン(50)を介して精製塔(C6)に通され、精製塔(C6)は、パラキシレンからトルエン(パラキシレンと共に部分的に抽出されたものである)を分離する。塔(C6)の頭部を出るトルエンは、ライン(60)を介してベンゼン塔(C9)の入口に通される。生じた高純度のパラキシレンは、精製塔(C6)の底部において回収され、ポンプで貯蔵設備に吸い出されることによってライン(61)を介して最終生成物として通される。
【0074】
好ましくは、精製塔(C6)は、(還流フラスコにおいて1.0〜2.0絶対バールの圧力範囲の)低圧で操作され、リボイラの温度および前記リボイラに供給されるべき熱の量が最小にされる。
【0075】
従来技術によるこの塔のリボイラおよびコンデンサの構成は、表1に示される。
【0076】
(ラフィネート塔(C4))
吸着塔(P2)から得られたラフィネートの流れは、ライン(23)を介してラフィネート塔(C4)に運ばれ、このラフィネート塔(C4)は、脱着剤からC8芳香族化合物(ラフィネート)を分離する。
【0077】
塔(C4)の底部において回収された脱着剤は、ライン(41)を介して吸着セクション(P2)に戻される。
【0078】
ラフィネート(C8芳香族化合物フラクション)は、側流として抽出され、ライン(40)を介してキシレン類異性化装置(P3)のための供給原料として通される。
【0079】
好ましくは、塔(C4)は、(還流フラスコにおいて1.0〜2.0絶対バールの圧力範囲内の)低圧で操作され、リボイラの温度
、さらには前記リボイラに供給されるべき熱が最小にされる。従来技術によると、ラフィネート塔(C4)からの塔頂蒸気の凝縮は、冷却タワーによって行われる。
【0080】
従来技術によるこの塔のリボイラおよびコンデンサの構成は、表1に示される。
【0081】
(脱着剤塔(
図3または4に示されない))
吸着セクション(P2)中を流通する脱着剤のごく一部は、いわゆる脱着塔に通され、ループ中にさもなければ蓄積するであろう重質化合物が除去される。
【0082】
従来技術によるこの塔のリボイラおよびコンデンサの構成は、表1に示される。
【0083】
(キシレン類異性化装置(P3))
キシレン類異性化装置(P3)は、パラキシレンを欠く供給原料を熱力学的平衡にあるキシレン類の流れに転化させるために用いられる。
【0084】
8個の炭素原子を有する炭化水素を異性化することができるあらゆるタイプの触媒が、本発明において用いられ得る。好ましくは、脱水素化金属、例えば、白金、パラジウムまたはニッケルと酸相、例えば、ドーピングされたアルミナ、ゼオライト、例えば、モルデナイト、MFI、Yゼオライト、または酸性を示すゼオライ性または非ゼオライト性のモレキュラーシーブ、例えば、アルミノリン酸塩(AIPO、SAPO)とを含有する触媒が用いられる。より好ましくは、したがって、特許US4,640,829、EP-B-042226またはEP-B-051318において記載されたようなEUO構造型ゼオライト、例えば、ゼオライトEU1、ゼオライトZSM50またはゼオライトTPZ3を含有する異性化触媒が用いられてよい。
【0085】
(デヘプタナイザ(deheptaniser)(C7)およびストリッパ(C8))
異性化反応器(セクション(P3))からの流出物は、ライン(42)を介して、デヘプタナイザ(C7)に通され、このデヘプタナイザ(C7)は、異性体(C8+芳香族化合物)を軽質C7フラクションから分離し、軽質C7フラクションは、前記デヘプタナイザ塔(C7)の頭部において回収される。このC7フラクションは、ライン(71)を介して、ストリッピング塔(C8)に通されて、軽質化合物がC7フラクションから分離される。
【0086】
それによって安定化したC7フラクションは、ストリッピング塔(C8)の底部において回収されて、ライン(81)を介してリサイクルされ、塔(C1)から来る蒸留物と結び付けられ、その後、抽出蒸留装置(P1)に通される。
【0087】
従来技術によると、デヘプタナイザ塔(C7)からの塔頂蒸気の部分的な凝縮は、冷却タワーを用いることによって行われ、必要ならば、ウォータークーラーに続けられる。
【0088】
デヘプタナイザ(C7)の操作圧力を決定する制限パラメータは、還流フラスコにおける脱気された生成物を通じて失われる回収可能な化合物(例えば、ベンゼン)の量である。これらの喪失を最小限にするために、デヘプタナイザ(C7)の還流フラスコにおける操作圧力は、一般的には、5.0〜8.0絶対バールの圧力範囲に維持される。
【0089】
デヘプタナイザ(C7)の底部において結果として得られた温度は、一般的には230〜250℃であり、これは、250℃超の温度にある熱源の使用を必要とする。一般的に、用いられる発熱性流体は、高圧スチーム、炉、または熱油のいずれかである。
【0090】
デヘプタナイザ(C7)の底部において回収されたキシレン類および重質化合物からなるC8+フラクションは、ライン(72)を介してキシレン類塔(C2)の入口にリサイクルされる。
【0091】
従来技術による塔(C7)および(C8)のリボイラおよびコンデンサの構成が、表1に示される。
【0092】
(重質芳香族化合物塔(C3))
キシレン類塔(C2)の底部において回収されたC9+芳香族化合物の流れは、ライン(21)を介して重質芳香族化合物塔(C3)に通され、この重質芳香族化合物塔は、C9およびC10芳香族化合物をより重質の化合物(例えばナフタレン)から分離し、このより重質の化合物は、トランスアルキル化触媒に悪影響を有する。重質芳香族化合物塔は、一般的に、低圧(すなわち、還流フラスコ中1.0〜2.0絶対バールの圧力範囲)で操作され、温度、さらには、前記塔のリボイラに供給されるべき熱の量が最小限にされる。
【0093】
従来技術による塔(C3)のリボイラおよびコンデンサの構成は表1に示される。
【0094】
(トランスアルキル化装置(P4))
重質芳香族化合物塔(C3)の頭部にて回収されたC9およびC10芳香族化合物は、ライン(30)を介して通されて、トルエン塔(C10)から得られたトルエンと混合され、トランスアルキル化装置(P4)に給送される。この装置は、トルエンおよび装置(P3)のリフォメートおよびイソメレートから得られたC9+芳香族化合物をキシレン類およびベンゼンの混合物に、熱力学によって制限される反応を介して転化させる。
【0095】
全てのタイプのトランスアルキル化触媒が本発明による方法において用いられ得る。例えば、米国特許3,437,710に記載されたモルデナイトまたはフォージャサイトをベースとする触媒、または米国特許5,030,787に記載されたMCM−22またはベータゼオライトをベースとする触媒、または米国特許出願2012/0065446に記載されたようなモルデナイトおよびMFIゼオライトをベースとする触媒である。これらの触媒は、一般的に、金属性化合物も含み、この金属性化合物は、好ましくは、レニウム、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、パラジウムおよび白金からなる群から選ばれる。
【0096】
(安定化塔(C11))
トランスアルキル化装置(P4)からの流出物は、ベンゼンと、未転化のトルエンと、C8およびC9+の芳香族化合物とを含有し、このものは、ライン(102)を介して、安定化塔(C11)に通され、安定化塔(C11)は、ベンゼンより軽質の化合物を、ベンゼンおよびC7+によって示されるより重質の芳香族化合物から分離する。
【0097】
安定化塔(C11)の還流フラスコを出るガスは、ライン(110)を介して、アロマティクス・コンプレックスの末端に通される。
【0098】
未精製ベンゼンフラクションは、側流として取り除かれ、ライン(111)を介してストリッピング塔(C8)に通され、ストリッピング塔(C8)により、前記フラクションの軽質化合物を分離することが可能となる。
【0099】
従来技術によると、安定化塔(C11)からの塔頂蒸気の部分的凝縮は、冷却タワーによって行われ、もし必要であれば、ウォータークーラーが続けられる。
【0100】
安定化塔(C11)の操作圧力を決定する制限パラメータは、還流フラスコを出るガスを通じて失われる回収可能な化合物(例えばベンゼン)の量である。
【0101】
これらの喪失を最小限にするために、安定化塔(C11)の還流フラスコ内の操作圧力は、一般的に、還流フラスコにおいて5.0〜8.0絶対バールの圧力範囲内に維持される。
【0102】
リボイラにおける結果として得られる温度は、210〜230℃であり、これは、リボイラの温度を230℃超に上げるために熱源の使用を必要とする(これは、一般的には、高圧蒸気、炉、さらには熱油のいずれかからなる)。
【0103】
従来技術によるこの塔のリボイラおよびコンデンサの構成は、表1に示される。
【0104】
(ベンゼン塔(C9))
ベンゼンは、ベンゼン塔(C9)の頭部から最終生成物としてライン(90)を介して抽出される。C7+フラクションは、塔(C9)の底部において抽出され、ライン(91)を介してトルエン塔(C10)に通される。
【0105】
塔(C9)は、好ましくは、還流フラスコ内において1.0〜2.0絶対バールの範囲の低圧で操作され、温度並びにリボイラに加えられるべき熱の量が最小にされる。
【0106】
従来技術によるこの塔のリボイラおよびコンデンサの構成は、表1に示される。
【0107】
(トルエン塔(C10))
トルエン塔(C10)の頭部において回収されたトルエンは、ライン(100)を介してトランスアルキル化装置のための供給原料として通される。塔(C10)の底部において抽出されたC8+フラクションは、ライン(101)を介してキシレン類塔(C2)にリサイクルされ、このキシレン類塔(C2)は、C9+およびより重質の化合物をC8芳香族化合物フラクションから分離し、C8芳香族化合物フラクションをアロマティクス・コンプレックスに給送する。
【0108】
従来技術によると、トルエン塔(C10)からの塔頂蒸気の凝縮の熱の一部は、必要な熱をベンゼン塔(C9)のリボイラに供給するために用いられる。
【0109】
この目的のために、トルエン塔(C10)の頭部トレイの操作圧力は、一般的に、5.0〜7.0絶対バールであり、これにより、トルエン塔(C10)からの塔頂蒸気のための凝縮温度がベンゼン塔(C9)の再沸騰のために用いられるのに十分であることが可能となる。
【0110】
トルエン塔(C10)の底部における対応する温度は、およそ240〜250℃であり、これは、250℃超の温度でリボイラへ熱を供給するための熱源を必要とする(これは、一般的には、高圧スチーム、炉、または熱油のいずれかからなる)。
【0111】
従来技術によるこの塔のリボイラおよびコンデンサの構成は、表1に示される。
【0112】
従来技術による表1により、アロマティクス・コンプレックスの塔頂蒸気の凝縮および塔の底部の再沸騰のために用いられる手段が要約される。
【0113】
本発明による表2は、以下の特徴を示す:
− 塔のセットE1(本発明による例において、塔C3、C4、C5)は、
図2の原理に従って低圧スチームの発生のために用いられる。
− 塔のセットE2(本発明による例において、塔C7、C8、C9、C10、C11)は、発生したスチームを用いて、リボイラに熱を供給する。
【0114】
このセットにおいて、いくつかの塔は、より低い操作圧力で機能する:塔(本発明による例において、塔C7、C8、C10、C11)およびいくつか(本発明による例において、C7およびC11)は、したがって、
図1b)の流れ図に従ってそれらの塔頂ガスのために再圧縮段階を必要とする。
− セットE2のいくつかの塔(本発明による例において、塔C7、C10、C11)は、LPスチームの2回の圧縮段階によって得られたMPスチームを、再沸騰のための熱輸送流体として、
図2の流れ図に従って用いる(流れ回路f2))。
【0115】
下記の表3により、従来技術による方法のベース1から出発する、本発明によるアロマティクス・コンプレックスのエネルギー利得が要約される。燃料、スチーム生産および電気の3の消費項目に関して著しく有意な利得がある。
【0117】
【表2】
注意
(n.a.) 適用不能
注意1: (n.a.)は適用不能を示す
注意2 : 塔C8の圧力は低下する。この圧力は塔C7の圧力に調節されるからである。