(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407169
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】圧延機用のシールアセンブリ及びネックシール
(51)【国際特許分類】
B21B 31/07 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
B21B31/07 F
B21B31/07 E
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-555202(P2015-555202)
(86)(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公表番号】特表2016-504201(P2016-504201A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】US2014012168
(87)【国際公開番号】WO2014116531
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2016年10月14日
(31)【優先権主張番号】61/756,506
(32)【優先日】2013年1月25日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】316012658
【氏名又は名称】プライメタルズ テクノロジーズ ユーエスエー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Primetals Technologies USA LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エリック エル. ジョハンソン
(72)【発明者】
【氏名】アール エス. ウィンズロー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ディー. パルフレマン
(72)【発明者】
【氏名】トマス シー. ウォイトコウスキー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ピーター エヌ. オズグッド
【審査官】
河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/139471(WO,A1)
【文献】
特開昭53−009959(JP,A)
【文献】
特表2010−516474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 31/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延機におけるロール(10)を回転支持している油膜軸受に用いるためのシールアセンブリであって、
前記ロールは、前記ロールの端面(12)から、スリーブ(18)内に収容された減径端部区分(16)まで先細りになっている中間区分(14)を有するネックを備え、前記スリーブは、前記ネックに対して位置固定されていて、かつチョック(22)内に収容されたブッシュ(20)内で回転するように軸支されており、
当該シールアセンブリは、前記ロールと一緒に、前記チョックに固定された円形のシールエンドプレート(36a)の内側で回転するように、前記ネックの中間区分(14)に取り付けられたシール(24a)を備え、前記シールエンドプレート(36a)は、環状の内側のシール面(32a)及び外側のシール面(34a)を形成する段付きの内側部分を有している、シールアセンブリにおいて、
前記外側のシール面(34a)は、前記内側のシール面(32a)の直径よりも大きな直径を有し、前記シール(24a)は、前記内側のシール面(32a)に接触する半径方向に突出している内側のフランジ(26a)と、前記外側のシール面(34a)に接触する半径方向に突出している外側のフランジ(28a)とを有し、
前記内側のシール面(32a)と前記外側のシール面(34a)とは、環状の堰止め面(37a)により互いに連結されており、
前記内側のシール面(32a)は、前記堰止め面(37a)の、前記半径方向における内側の端縁から前記ロールの回転軸線に対して平行に延在していることを特徴とする、シールアセンブリ。
【請求項2】
前記内側のシール面及び前記外側のシール面は、前記ロールの回転軸線に対して平行である、請求項1記載のシールアセンブリ。
【請求項3】
前記堰止め面は、前記ロールの前記回転軸線に対して垂直である、請求項1又は2記載のシールアセンブリ。
【請求項4】
圧延機におけるロール(10)のネック(14)を回転支持するように構成されかつ配置された油膜軸受用のシールアセンブリであって、
当該シールアセンブリは、位置固定の円形のシールエンドプレート(36a)を備え、該シールエンドプレート(36a)は、前記ネック(14)に該ネック(14)と一緒に回転するように取り付けられたシール(24a)を包囲しており、前記シールエンドプレート(36a)は、内側のシール面(32a)及び外側のシール面(34a)を形成する段付きの内側部分を有している、シールアセンブリにおいて、
前記外側のシール面(34a)は、前記内側のシール面(32a)の直径よりも大きな直径を有し、前記シール(24a)は、前記内側のシール面(32a)に接触するように構成されかつ寸法決めされた半径方向に突出している内側のフランジ(26a)と、前記外側のシール面(34a)に接触するように構成されかつ寸法決めされた半径方向に突出している外側のフランジ(28a)とを有し、
前記内側のシール面(32a)と前記外側のシール面(34a)との間で延在している堰止め面(37a)を更に備え、
前記内側のシール面(32a)は、前記堰止め面(37a)の、前記半径方向における内側の端縁から前記ロールの回転軸線に対して平行に延在していることを特徴とする、シールアセンブリ。
【請求項5】
前記内側のシール面(32a)及び前記外側のシール面(34a)は、前記ロール(10)の回転軸線に対して平行であり、前記堰止め面(37a)は、前記回転軸線に対して垂直である、請求項4記載のシールアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年1月25日に出願された米
国特許出願第61/756506号に基づく優先権を主張し、その全ての内容及び要旨は、引用することにより本出願に援用される。
【0002】
背景
1.発明の技術分野
本発明の態様は、概して、
請求項1及び5の前段部に記載の、軸受に利用するための柔軟なシールの使用、並びに油膜軸受技術を用いる圧延機に使用されるシールアセンブリに関する。本発明の態様は、特に、汚染物の侵入及びそのような軸受からの油漏れを阻止する
、請求項8の前段部に記載のシールアセンブリ及びネックシールの改善に関する。
【0003】
2.関連技術の説明
図1に関して、公知の油膜軸受アセンブリが図示されている。この油膜軸受アセンブリは、ロール10を含む。ロール10は、端面12と、先細りにされたネック部分14とを有し、ネック部分14は、スリーブ18により包囲された、先細りにされた減径部分16へと続いている。スリーブ18は、キー又は別の装置(図示されていない)によりロール10に固定されており、ロールスタンドチョック22により収容されかつロールスタンドチョック22に対して相対的に位置固定されたブッシュ20の内側で回転する。
【0004】
柔軟なネックシール24は、先細りにされたロール区分14に、これと一緒に回転するように取り付けられている。シール24は、円形のボディを有し、スリーブ18とロール先細り部分14との間の位置に保持されている。
【0005】
内側及び外側のフランジ26,28は、シールボディから半径方向外方へ突出している。ここで使用されるとき、用語「内側」は、ロール端面12に最も近いコンポーネントを意味し、用語「外側」は、ブッシュ20及びチョック22に最も近いコンポーネントを意味する。フィンガ30は、チョック22に向かって斜めに突出している。
【0006】
内側及び外側のフランジ26,28は、シールエンドプレート36の環状の内側及び外側のシール面32,34に接触するように配置された、互いに反対に向けられたリップシールを備える。シールエンドプレートは、溜め38を形成するようにチョック22に固定されていて、かつチョック22と協働している。シールエンドプレート36の環状のシール面32,34は、機械的な堰止め部として働く、内方へ突出している円形のフランジ37により分けられている。シール内側リング40及び冷却液ガード42は、シールアセンブリを完成させる。
【0007】
運転中、ロール10、ネックシール24、シール内側リング40及びスリーブ18は、一緒に回転し、これに対してブッシュ20、チョック22、シールエンドプレート36及び冷却液ガード42は、静止したままである。油は、スリーブ18とブッシュ20との間に供給されている。この油は、溜め38に集めるためにスリーブ18とブッシュ20との間に現れる前に、軸受荷重域において潤滑薄膜になっている。
【0008】
フィンガ30及び外側のフランジ28は、軸受に油を留めるように働く。これに対して、冷却液ガード42、内側のシールリング40及び内側のフランジ26は、軸受への外部の汚染物の侵入を排除するように働く。
【0009】
概要
簡潔に述べると、本発明の態様は、
請求項1、5及び8に記載の、改善されたシールアセンブリ及びネックシールに関する。例示的な態様によれば、
図1において記載された従来慣用のシール及びシールアセンブリと比べて、本発明のシール及びシールエンドプレートは、減少された幅を有し、これにより、ロール胴体の幅を増加すること、又は、ロールスタンド耐荷重を改善するために同一のロールスタンド内で代わりの軸受ジオメトリを用いることが可能になる。
【0010】
シール及びシールエンドプレートの幅の減少は、内側及び外側のシール面を形成した段付き内側部分に置き換えて、従来慣用のシールプレートのフランジ37を省略することにより、可能とされている。その場合、外側のシール面は内側のシール面の直径よりも大きな直径を有し、両シール面は環状の堰止め面により互いに連結されている。これに応じて、シールは、内側のシールフランジの外径よりも大きな外径を有する外側のシールフランジを提供するように変更されている。
【0011】
本発明のこれらの特徴及び別の特徴並びに利点を、以下に、
従属請求項として提示するとともに付属の図面に関して更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】従来慣用の油膜軸受アセンブリの部分横断面図である。
【
図2】本発明の例示的な態様による油膜軸受アセンブリ及びシールの部分横断面図である。
【0013】
詳細な説明
本発明の実施の態様、原理及び特徴の理解を容易にするために、本発明の実施の態様、原理及び特徴を、例示的な実施の態様に関して以下に説明する。特に、本発明の実施の態様、原理及び特徴を、圧延機に設けられる油膜軸受用のシールアセンブリ及びネックシールに関して記載する。
【0014】
様々な実施の態様を形成する、以下に説明される構成要素及び材料は、説明するためのものであり、限定するものではない。ここに記載される材料及び構成要素と同一の又は同様の機能を行う多くの適切な構成要素及び材料は、本発明の実施の態様の範囲に含まれるものとする。
【0015】
図2は、本発明の例示的な実施の態様による油膜軸受アセンブリ及びネックシールを示している。シールエンドプレート36aは、環状の堰止め面37aにより連結された、内側及び外側の環状のシール面32a,34aを形成した段付き内側部分を持つように、変更されている。外側のシール面34aの直径は、内側のシール面32aの直径よりも大きい。両シール面32a,34aは、好適には、ロール10の回転軸線「A」に対して平行であり、この場合、堰止め面37aは、好適にはこの軸線Aに対して垂直である。
【0016】
ネックシール24aは、これに応じて、内側のフランジ26aの外径よりも大きな外側のフランジ28aの外径を持つように、変更されている。
【0017】
ネックシール24a及びシールエンドプレート36aのこのように変更されたジオメトリは、従来慣用のシールエンドプレート36のフランジ37の省略を可能にし、ひいては、ネックシール及びシールエンドプレートの両方の幅が好適に減少されることを可能にする。
【0018】
この構造の多くの利点が存在する。例えば、その限りではないが、任意の順序で、第1に、ネックシール及びシールエンドプレートの減少された幅により、同一の圧延機スタンドにおいてロール10の幅の潜在的な増加(
図2の「L」参照)が可能となり、圧延機使用者に対する明らかなメリットとなる。第2に、択一的に、標準的なロール幅を維持し、シール及びシールエンドプレートの減少した幅を、ロールスタンドの耐荷重を改善するように設計された、同一の圧延機スタンド内の代替の軸受ジオメトリのために利用することができる。第3に、変更されたシールアセンブリは、シールコンポーネントの製造及び組立を簡単化する。
【0019】
本発明の実施の態様は、例示的な形で説明されているが、当業者にとって、以下の請求項で明らかなように、本発明及び本発明の等価物の思想及び範囲から逸脱することなく、本発明において多くの改良、追加及び削除が可能である。