(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドープされた半導体材料(11)をエピタキシャル法によって半導体ウェハ(1)の複数のトレンチ(10)に充填するステップを含む、半導体ウェハ(1)の処理方法であって、
前記トレンチ(10)は、第1の横方向(X)において互いに隣接して配置されており、
前記処理方法は、
・前記エピタキシャル法による充填を行う場合に予測される、前記第1の横方向(X)における前記ドープされた半導体材料(11)のドーパント濃度のばらつきと、前記ドーパント濃度の予測される平均値と所定の公称値との偏差と、のうち少なくとも1つを示すパラメータを求めるステップと、
・少なくとも1つの後続の処理ステップを、前記パラメータに依存して実施するステップと、
を有し、
前記少なくとも1つの後続の処理ステップは、
・ハードマスク(12)を作製するために前記半導体ウェハ(1)上にハードマスク材料を堆積するステップと、
・前記ハードマスク(12)を構造化するステップと、
を含み、
前記構造化は、前記第1の横方向(X)において互いに隣接して配置される複数の開口(121a〜121e)を前記ハードマスク(12)に形成することを含み、
前記第1の横方向(X)において前記開口(121a〜121e)の各幅(Wa〜We)は、前記求められたパラメータに依存して変化し、
前記構造化は、前記パラメータに依存して半導体ウェハ処理システム(3)の露光ユニット(311)の露光焦点を制御することを含み、
前記少なくとも1つの後続の処理ステップはさらに、
・前記半導体ウェハ(1)に前記トレンチ(10)を、前記開口(121a〜121e)より下方に形成するステップ
を含む、
ことを特徴とする処理方法。
前記少なくとも1つの試験用ウェハを処理した後、前記半導体ウェハ(1)を処理するために前記半導体ウェハ処理システム(3)を用いて、前記後続の処理ステップを行う、
請求項5記載の処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明では、添付の図面を参照する。本図面は詳細な説明の一部を構成し、本図面中には、本発明を実施する特定の形態を図解により示している。
【0011】
これについては、たとえば「上部」、「下部」、「下方」、「前方」、「後方」、「背面部」、「進行方向」、「後退方向」等の方向に関する用語は、以下説明する図面の向きを基準として使用される場合がある。実施形態の各部分は、複数の異なる向きで配置することが可能であるから、上述の方向に関する用語は説明のために用いられるものであり、本発明を限定するものではない。本発明の範囲を逸脱することなく、他の実施形態を使用し、また、構造または論理についての変更を行うことができると解すべきである。よって、以下の詳細な説明は本発明を限定するものであると解すべきものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって特定される。
【0012】
以下の詳細な記載は、複数の異なる実施形態を参照しており、これらの実施形態のうち1つまたは複数は、図面に示している。各実施例はそれぞれ本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。たとえば、1つの実施形態の構成要件として図示または記載した特徴を、他の実施形態にて、または他の実施形態とともに使用して、さらに別の実施形態を実現することができる。本発明は、かかる改良や変更を含むことを予定したものである。特定の表現を使用して実施例を説明するが、この特定の表現は、添付の特許請求の範囲を限定するものとして解釈してはならない。図面は実寸の比率通りではなく、説明目的のためだけのものである。分かりやすくするため、同一の要素または同一の製造ステップには、特記しない限り、異なる各図において同一の符号を付している。
【0013】
本願明細書にて使用されている「水平方向」との用語は、半導体基板または半導体領域の水平面に対して実質的に平行な向きを意味するものである。これはたとえば、半導体ウェハまたはダイスの表面となり得る。たとえば、以下にいう、互いに垂直方向となり得る「第1の横方向X」および「第2の横方向Y」は双方とも、水平方向となり得る。
【0014】
本願明細書にて使用されている「垂直方向」との用語は、半導体ウェハの水平面に対して実質的に垂直な向き、すなわち半導体ウェハの表面の面法線方向に対して平行な向きを意味するものである。たとえば、以下にいう「延在方向Z」とは、第1の横方向Xと第2の横方向Yとの双方に対して垂直である垂直方向とすることができる。
【0015】
本願明細書では、「n型ドープ」を「第1の導電型」といい、「p型ドープ」を「第2の導電型」という。これに代えて、ドーピング関係を逆にして使用し、「第1の導電型」をp型ドープとし、「第2の導電型」をn型ドープとすることも可能である。さらに、本願明細書において「ドーパント濃度」との用語は、トレンチ内の半導体領域等の特定の半導体領域もしくは半導体ゾーンの積分ドーパント濃度もしくは平均ドーパント濃度を意味することができ、または、そのシートキャリア濃度を意味することができる。よって、たとえば「特定の半導体領域が、他の半導体領域のドーパント濃度より高いまたは低い特定のドーパント濃度を有する」という記載は、これらの各半導体領域の平均ドーパント濃度が相違する、ということを意味し得る。
【0016】
本願明細書において「オーミック接触」、「電気的コンタクト」、「オーミック接続」および「電気的に接続」との用語は、1つの半導体素子の2つの領域、区画、ゾーン、一部もしくは部分間、または、1つもしくは複数の素子の複数の端子間、または、半導体素子の一部もしくは部分とメタライゼーションもしくは電極との間に、低抵抗の電気的接続部または低抵抗の電流路が存在することを意味する。さらに、本願明細書において「コンタクト/接触する」との用語は、各半導体素子の2つの要素が物理的に直接接続されていること、たとえば、互いにコンタクトしている2つの要素間の接合部が、他に介在要素等を含まないことを意味するものである。
【0017】
本願明細書に記載されている具体的な実施形態は、複数のパワー半導体素子を有する半導体ウェハに関するものであるが、本発明はこれに限定されない。このパワー半導体素子はたとえば、モノリシック集積型ダイオード、または、モノリシック集積型IGBTセル、モノリシック集積型MOSゲートダイオード(MGD)セルもしくはモノリシック集積型MOSFETセル等のトランジスタセル、および/または、これから派生した、電力変換器もしくは電源において使用できる素子等である。
【0018】
本願明細書において使用されている「パワー半導体素子」との用語は、電圧阻止能力が高いおよび/または電流容量が大きい、単一チップ上の半導体素子を意味するものである。具体的にはかかるパワー半導体素子は、典型的にはたとえば最大数十Aもしくは数百Aのアンペア範囲の高電流に対応したものであり、および/または、典型的には30V超、より典型的には100V超、もしくは600V以上を超える高電圧に対応したものである。
【0019】
図1は、1つまたは複数の実施形態の半導体ウェハ1の水平面の一区画を示す概略図である。
図2Cは、1つまたは複数の実施形態の半導体素子1の垂直方向の断面の一区画を例示する概略図である。以下、
図1および
図2Cの双方を参照する。
【0020】
たとえば、半導体ウェハ1の直径は数mmであり、たとえば100mm、150mm、200mm、300mmまたは450mmまたは450mm以上である。半導体ウェハ1は、活性領域15と、当該活性領域15を包囲するウェハ縁部領域16と有することができ、ウェハ縁部領域16は非活性領域とすることができる。
【0021】
たとえば活性領域15は、半導体ウェハ1の半導体ドリフト領域13を用いて負荷電流を流すように構成された複数のトランジスタセル(図面に示されていない)を含む。半導体ドリフト領域13は活性領域15内に配置することができ、半導体ドリフト領域13は、垂直延在方向に沿って全体的な延在を有することができ、すなわち少なくとも5μmの深さを有することができる。たとえばウェハ縁部領域16は、負荷電流を流すように構成されたいかなるトランジスタセルも含まない。各トランジスタセルは、それぞれ少なくとも1つのゲート電極を有することができ、このゲート電極はたとえば、半導体ドリフト領域13内へ延在するトレンチゲート電極、または択一的に、半導体ドリフト領域13の上方に配置されるプレーナゲート電極として実現することができる。
【0022】
半導体ウェハ1はさらに、垂直延在方向Zにおいて半導体ドリフト領域13内へ延在する複数のトレンチ10も有する。
図1中には、一例として13個のトレンチ10aから10mを概略的に示している。もちろん、半導体ウェハ1のトレンチ数を13より増減することができることは言うまでもない。たとえば、1つの半導体ウェハに含まれるトレンチ10は少なくとも10
5個である。
図2Cでは、上述のトレンチのうち5つ10aから10eのみを概略的に示している。トレンチ10は、第1の横方向Xにおいて互いに隣接して配置することができ、各トレンチ10にそれぞれ、ドープされた半導体材料11を充填することができる。
【0023】
たとえば、各トレンチ10の垂直延在方向Zにおける総延在寸法は等しい。換言すると、各トレンチ10のトレンチ深さは全て等しくすることができる。たとえば、各トレンチ深さは0.2μmから20μmまでの範囲内である。たとえば、各トレンチ深さ(すなわち、垂直延在方向における総延在寸法)は1μmから10μmまでの範囲内である。さらに、各トレンチ10の第2の横方向Yにおける総延在寸法も等しくすることができる。換言すると、各トレンチ10のトレンチ長は全て等しくすることができる。各2つの隣接するトレンチ10間の第1の横方向Xにおける距離(「ピッチ」ともいう)は、10μm未満、3μm未満または1μm未満とすることができる。
【0024】
ドープされた半導体材料11は、シリコンのバンドギャップより大きいバンドギャップを有することができる。たとえば、ドープされた半導体材料11は、ドープされた炭化シリコン(SiC)である。さらに、ドープされた半導体材料11のバンドギャップを少なくとも2eVとすることもできる。
【0025】
1つの実施形態では、半導体ドリフト領域13は、第1の導電型のドーパントを含む半導体材料から成り、ドープされた半導体材料11は第2の導電型のドーパントを含む。たとえば、半導体ドリフト領域13はn型ドープ領域であり、半導体材料11はp型ドープされたものである。たとえば、半導体ドリフト領域13のドーパント濃度は10
13/cm
3を上回り、各トレンチ10内に充填されたドープされた半導体材料11のドーパント濃度は、10
15/cm
3を上回る。1つの実施形態では、ドープされた半導体材料11をp型ドープとし、半導体ドリフト領域13をn型ドープとすることができ、かかる半導体材料11のドーパント濃度は、半導体ドリフト領域13のドーパント濃度の少なくとも2倍である。たとえば、トレンチ10内に充填されたドープされた半導体材料11が補償用に用いられ(補償トレンチ)、たとえばスーパージャンクション構造を形成するために用いられる場合、ドーパントの型およびドーパント濃度の後者の関係が適し得る。
【0026】
さらに、ドープされた半導体材料11を半導体ドリフト領域13に接触させることができる。
【0027】
たとえば、半導体ドリフト領域13も、シリコンのバンドギャップより大きいバンドギャップを有する半導体材料から成るものとすることができる。たとえば、半導体ドリフト領域13は、ドープされた炭化シリコン(SiC)から成る。
【0028】
1つの実施形態では、半導体ウェハ1の各トランジスタセルは、ドープされた半導体材料11をトレンチ10に充填したものを少なくとも用いて形成された補償構造(「スーパージャンクション」構造とも称する)をそれぞれ有することができる。具体的にはトレンチ10は、半導体ドリフト領域13のドーパントを補償するための補償構造を構成することができる。
【0029】
さらに、隣接するトレンチの各対において、たとえばトレンチ10aと10bとの対、またはトレンチ10bと10cとの対、またはトレンチ10lと10mとの対等において、各対の第1のトレンチに充填されたドープされた半導体材料の11のドーパント濃度の体積積分と、各対の第2のトレンチに充填された前記ドープされた半導体材料11のドーパント濃度の対応する体積積分との偏差は、10%を超えない。1つの実施形態では、かかるばらつきを10%未満とし、たとえば8%未満、6%未満、または6%未満、たとえば4%未満とすることができる。また、ばらつきを3%未満または2%未満とすることもできる。
【0030】
たとえば、トレンチのうちいずれか1つに充填された前記ドープされた半導体材料11のドーパント濃度の体積積分と、各トレンチ10に充填されたドープされた半導体材料のドーパント濃度の体積積分の平均値との偏差は、10%を超えない。1つの実施形態では、かかる偏差を10%未満とし、たとえば8%未満、6%未満、または6%未満、たとえば4%未満とすることができる。このように各体積積分間のばらつきが小さいことにより、半導体ウェハ1のトランジスタセルの阻止電圧は比較的均一になることができる。
【0031】
体積積分はたとえば、第1の横方向Xにおける各トレンチの全幅と、第2の横方向Yにおける全長と、垂直延在方向Zにおける全深さとにわたって求められる。このようにして、第1の横方向Xにおける体積積分のばらつきを求めることができる。体積積分の分布例を、
図4に概略的に示す。これによれば例えば、トレンチ10aのドーパント濃度の体積積分は、破線19で示された平均ドーパント濃度を僅かに上回り、トレンチ10bのドーパント濃度の体積積分は平均19を僅かに下回り、以下同様である。たとえば、第1の横方向Xにおける各トレンチ10間の体積積分のばらつきを、スカラー関数によって表現することができる。
【0032】
以下、半導体ウェハの処理方法の実施形態と半導体ウェハ処理システムの実施形態について説明する。たとえば一実施形態では、上記にて
図1および
図2Cを参照して説明した半導体ウェハ1は、この半導体ウェハ処理方法または半導体ウェハ処理システムを用いて製造することができる。
【0033】
図2A〜Cは、1つまたは複数の実施形態の半導体ウェハ1の処理方法の一部ステップ中の半導体ウェハ1の垂直方向の断面図の複数の区画を示す概略図である。
図3は、1つまたは複数の実施形態の半導体ウェハ処理システム3の各構成要素の概略的なブロック図である。以下、
図2A〜Cおよび
図3の双方を参照する。
【0034】
半導体ウェハ1の処理方法はたとえば、半導体ウェハ1に、第1の横方向Xにおいて互いに隣接して配置された複数のトレンチ10を形成するステップを含み得る。さらに各トレンチは、第2の横方向Yにおいて延在し、かつ、垂直延在方向Zにおいて半導体ウェハ1内へ延在することができる。たとえば、半導体ウェハ処理システム3のトレンチ形成装置31(
図3参照)によって上述のトレンチ形成を実施することができる。
【0035】
たとえば、全てのトレンチ10の垂直延在方向Zにおける総延在寸法が等しくなるように、トレンチ10を形成する。換言すると、各トレンチ10のトレンチ深さは全て近似的に等しくすることができる。さらに、各トレンチ10の第2の横方向Yにおける総延在寸法も近似的に等しくすることができる。換言すると、各トレンチ10のトレンチ長は全て近似的に等しくすることができる。各2つの隣接するトレンチ10間の第1の横方向Xにおける距離(「ピッチ」ともいう)は、10μm未満、3μm未満または1μm未満とすることができる。
【0036】
半導体ウェハの処理方法はさらに、半導体ウェハ1のトレンチ10に、ドープされた半導体材料11をエピタキシャル法により充填することを含むことができる。たとえば、ドープされた半導体材料をトレンチ10にエピタキシャル法により充填することは、半導体ウェハ処理システム3のトレンチ充填装置32によって実施することができる。上記にて既に説明したように、ドープされた半導体材料11は、シリコンのバンドギャップより大きいバンドギャップを有することができ、たとえば2eVを超えるバンドギャップを有することができる。たとえば、ドープされた半導体材料11は、ドープされた炭化シリコン(SiC)である。
【0037】
半導体ウェハ1の処理方法はさらに、
前記エピタキシャル法による充填を行う場合に予測される、前記第1の横方向Xにおける半導体材料11のドーパント濃度のばらつきと、
前記ドーパント濃度の予測される平均値と予め定められた公称値との偏差と
のうち少なくとも1つを示すパラメータを求めるステップ
を含むことができる。
【0038】
このようにして、上述のパラメータは、第1の横方向Xにおけるドーパント濃度のばらつきの予測値を表すことができる。かかるパラメータはたとえば、
図4を参照して既に説明したように、少なくとも第1の横方向Xにおける各トレンチ10間のドーパント濃度の予測ばらつきを表すスカラー関数を含むことができる。または、パラメータは単に、予測される平均ドーパント濃度が、予め定められた公称値をたとえば15%または15%以上上回るかもしくは下回るかを表すだけでもよい。
【0039】
1つの実施形態では、予測される平均ドーパント濃度は、全てのトレンチ10の予測平均値であるか、または少なくとも一部の複数のトレンチ10の予測平均値、たとえば2番目ごとのトレンチ10等の予測平均値である。上述の予め定められた公称値はたとえば、各トレンチ10内のドーパント濃度の目標値とすることができる。
【0040】
たとえば上述のパラメータを求めるステップは、半導体ウェハ処理システム3を以下のように動作させることを含み得る:第1のステップにおいて、システム3のトレンチ形成装置31が少なくとも1つの試験用ウェハ(図示されていない)にトレンチを形成し、トレンチ充填装置32が当該少なくとも1つの試験用ウェハのトレンチに、ドープされた半導体材料11をエピタキシャル法により充填する。次のステップにおいて、上述の少なくとも1つの試験用ウェハのトレンチのうち少なくとも2つのトレンチ内のドープされた半導体材料11のドーパント濃度を求める。かかるドーパント濃度を求めるステップは、その測定ステップおよび/またはサンプリングステップを含むことができる。その際には、複数の異なる技術を使用することができ、たとえば静的サンプリング、適応的サンプリングおよび/または動的サンプリング等を使用することができる。さらに、方向(X、YまたはZ方向)に応じてサンプリングの種類を変えることもできる。また一実施形態では、ドープされた半導体材料11のドーパント濃度を上述の少なくとも1つの試験用ウェハの各トレンチごとに、および/または、少なくとも2つの試験用ウェハの少なくとも一部の複数のトレンチにおいて測定することや、これに類する測定も可能であることが分かる。ドープされた半導体材料11のドーパント濃度を求めた後、この求めたドーパント濃度に依存して上述のパラメータを算出することができる。
【0041】
上述の少なくとも1つの試験用ウェハを処理した後、半導体ウェハ処理システム3を用いて半導体ウェハ1を処理するための後続の処理ステップを実施することができる。たとえば、半導体ウェハ1のトレンチ10にエピタキシャル法により充填するステップを実施する前に、または、半導体ウェハ1にトレンチ10を形成する前に、パラメータを求める。
【0042】
一実施形態では、上述の少なくとも1つの後続の処理ステップを、求めたパラメータに依存して実施する。たとえば、半導体ウェハ処理システム3はさらにコントローラ34も備えており、コントローラ34は、トレンチ形成装置31およびトレンチ充填装置32のうち少なくとも1つに動作可能に結合されている。コントローラ34は、上述のパラメータに依存してトレンチ形成装置31およびトレンチ充填装置32のうち少なくとも1つを制御するように構成することができる。たとえばコントローラ34は、トレンチ形成装置31およびトレンチ充填装置32のうち少なくとも1つを制御するため、当該パラメータに基づいてフィードフォワード制御を行う。
【0043】
たとえば、パラメータを求めるために半導体ウェハ処理システム3は、少なくとも上記2つのトレンチ10内のドープされた半導体材料11のドーパント濃度を求めるように構成された特定ユニット33を含むことができる。コントローラ34は、特定ユニット33に動作可能に結合することができ、また、求められた上述のドーパント濃度に依存してパラメータを算出するように構成することができる。たとえば特定ユニット33は、半導体ウェハ1のトレンチ内または上述の試験用半導体ウェハのトレンチ内のドーパント濃度を測定するように構成することができる。さらに特定ユニット33は、パラメータを算出できるようにすべく、上述のサンプリングを、すなわち静的サンプリング、適応的サンプリングおよび/または動的サンプリングを行うことによりドーパント濃度を求めるように構成することもできる。1つの実施形態では、特定ユニット33は容量電圧測定(C‐V測定)を行うことによりドーパント濃度を求めるように構成されている。たとえば上述の容量電圧測定は、半導体ウェハのソーイング経路(「ダイシング線」または「ダイシング経路」または「切り口」とも称され、図中には示されていない)上の場所に、またはソーイング経路に沿って実施することができる。これに代えて、またはこれと併用して、特定ユニット33はドーパント濃度を測定するための水銀プローバ(図示されていない)を備えることもできる。たとえば、後者の種類の測定は、半導体ウェハの活性領域15において行うことができる。さらに特定ユニット33は、半導体ウェハ試験現場において、たとえば半導体ウェハ製造設備の設置位置にて配置するために構成することもできる。特定ユニット33によるドーパント濃度の測定は、半導体ウェハを切断する前に実施することができる。上記にて説明したように、活性領域15は、半導体ウェハの半導体ドリフト領域13を用いて負荷電流を流すように構成された複数のトランジスタセル(図面中に示されていない)を含み得る。各トランジスタセルは、それぞれ少なくとも1つのゲート電極を有することができ、このゲート電極はたとえば、半導体ドリフト領域13内へ延在するトレンチゲート電極、または択一的に、半導体ドリフト領域13の上方に配置されるプレーナゲート電極として実現することができる。したがって、特定ユニット33により行われる測定は、プレーナゲート構造を有する半導体ウェハと、トレンチゲート構造を有する半導体ウェハとのうち少なくとも1つに適用することができる。
【0044】
1つの実施形態では、ドープされた半導体材料11をトレンチ10にエピタキシャル法により充填するステップは、1400℃を超える処理温度で行われる。かかる処理温度は、シリコンのバンドギャップより大きいバンドギャップを有する半導体材料に適したものとなり得る。たとえば、処理温度は1500℃を上回ることができ、または、1700℃を上回ることができる。
【0045】
以下、後続の処理ステップの例の一部について説明する。
【0046】
一実施形態では本方法は、それぞれ独自のトレンチ幅の構成を有する複数のマスクを設けるステップ(図示されていない)を含むことができる。具体的には、かかる複数のマスクの各トレンチ幅構成は互いに異なる、ということになる。たとえば、上述のマスクのうち第1のマスクのトレンチ幅構成は、第1の横方向Xにおける各トレンチの幅を3.5μmに規定するものである。複数のマスクのうち第2のマスクのトレンチ幅構成は、第1の横方向Xにおけるトレンチ幅を1μmに規定するものとすることができる。さらに、複数のマスクのうち別の1つのマスクのトレンチ幅構成は、第1の横方向Xにおいて各トレンチ幅が異なるものとすることもできる。前記少なくとも1つの後続の処理ステップはさらに、求められたパラメータに依存して上述の複数のマスクのうち1つを選択するステップと、当該選択されたマスクを用いてトレンチ10を形成して半導体ウェハ1を製造するステップとを含むことができる。たとえば、求められたパラメータに依存して選択されたマスクは、第1の横方向Xにおけるドーパント濃度のばらつきを低減して当該ドーパント濃度の分布をより均一にするために当該ドーパント濃度の予測されるばらつきを補償するトレンチ幅構成を有するものとすることができる。1つの実施形態では、トレンチ形成装置31が、適切な記憶手段(図示されていない)内に上述の複数のマスクを記憶するように構成することができる。コントローラ34は、トレンチ形成装置31が上記パラメータに依存して複数のマスクのうち1つを選択するように、かつ、選択された当該マスクを用いてトレンチ形成ステップを実施するように、トレンチ形成装置31を制御するように構成することができる。
【0047】
他の1つの実施形態では本方法は、ハードマスク12を作製するために半導体ウェハ1上にハードマスク材料を堆積するステップを含むことができる。
図2Aに、かかるハードマスク12の一例を概略的に示している。次のステップにおいて、ハードマスク12を構造化することができる。この構造化は、ハードマスク12に開口121aから121eを形成することを含むことができ、開口121aから121eは、第1の横方向Xにおいて互いに隣接して配置することができ、開口121aから121eはそれぞれ幅Wa〜Weを有する。たとえば、求められたパラメータに依存して幅WaからWeが互いに異なるように構造化を行う。たとえば幅WaからWeのばらつきは、トレンチ10内に充填されるドープされた半導体材料11のドーパント濃度の体積積分のばらつきが、パラメータにより予測されるばらつきより小さくなるようにする。1つの実施形態では、トレンチ形成装置31は上述の堆積と上述の構造化とを実施するように構成されている。
【0048】
たとえば、各幅WaからWeは0.5μmから5μmまでの範囲内である。
【0049】
次のステップにおいて、開口121aから121eより下方にトレンチ10を作製することができる。よって、上記にて説明した実施形態では、予測されたばらつきを表すパラメータが、トレンチ10の形成ステップに影響を及ぼし得る。上記から既に分かるように、たとえばハードマスク材料を堆積するステップとハードマスクを構造化するステップとを含む、トレンチ10を形成するステップは、システム3のトレンチ形成装置31を用いて実施することができる。トレンチ10をパラメータに依存して形成した後、ドープされた半導体材料11をトレンチ10にエピタキシャル法により充填することができ、後者のステップはたとえば、システム3の充填装置32を用いて行うことができる。
【0050】
一実施形態では、上述のハードマスク12の構造化は、求めたパラメータに依存してウェットエッチング処理を制御することを含み得る。たとえば、トレンチ形成装置31は上掲のウェットエッチング処理を実施するように構成されており、かつ、コントローラ34は、求められたパラメータに依存してトレンチ形成装置31を、たとえばウェットエッチング処理の実施を制御する構成とすることができる。
【0051】
他の一実施形態では、上述のマスク12を構造化するステップは、パラメータに依存して露光ユニットの露光焦点を制御することを含み得る。たとえば、半導体ウェハ処理システム3のトレンチ形成装置31が、かかる露光ユニットを有することができる。この露光ユニットは
図3中に概略的に示されており、符号311によって特定されている。たとえば露光ユニット311は、焦点外れモードおよび合焦モードのうち1つに選択的に設定されるように構成されている。露光ユニット311が焦点外れモードである場合、ハードマスク12の幅、たとえば幅Waは比較的大きくなり、露光ユニット311が合焦モードである場合、ハードマスク12の開口の幅は比較的小さくなり得る。よって、露光ユニット311の露光焦点を制御することにより、ハードマスク12の開口121aから121eの各幅が互いに異なるように、当該ハードマスク12を構造化することが可能となる。露光焦点の制御は、パラメータに依存して、たとえば、トレンチ10内に充填されたドープされた半導体材料の体積積分のばらつきを、当該パラメータにより表される予測ばらつきと比較して低減するように行うことができる。
【0052】
さらに他の1つの実施形態では、本方法の上記少なくとも1つの後続の処理ステップは、エッチング処理ステップを行うことによりトレンチ10を作製するステップを含むことができ、当該エッチング処理ステップは、上記パラメータに依存して制御することができる。たとえば、システム3のトレンチ形成装置31が、かかるエッチング処理ステップを行うように構成することができる。コントローラ34は、パラメータに依存してエッチング処理ステップの実施を制御するように構成することができる。たとえば、エッチング処理ステップを行う基準となる1つまたは複数のトレンチエッチングパラメータを適宜調整することにより、トレンチ幅WaからWeのばらつきを達成することができる。たとえばプラズマ電力、プラズマ密度、ガス流量および/またはガス組成がトレンチパラメータとなり、一実施形態では、ドーパント濃度の予測されるばらつきを示す上述の求められたパラメータに依存して、このトレンチパラメータを変化し得る。たとえば、少なくとも1つの上述のトレンチエッチングパラメータを調整することにより、等方性エッチング速度から異方性エッチング速度まで横方向ばらつきを制御することができる。一実施形態ではガスパラメータを調整することにより、たとえば、キャリアガス(たとえばヘリウム(He)および/またはアルゴン(Ar))、反応性成分(フルオロカーボン(CF
4)、フルオロホルム(CFH
3)、窒素フッ素化合物(NF3)、六フッ化硫黄(SF
6)および/または酸素(O
2))とキャリアガスとの比、およびガス圧の少なくとも1つを調整することにより、化学(異方性)エッチング成分と物理(等方性)エッチング成分との比を制御する。さらに、上掲のパラメータを調整することによってプラズマ密度の制御も行うことができ、たとえば、径方向すなわちプラズマ放射方向に対して実質的に垂直な方向におけるプラズマ密度の制御も行うことができる。
【0053】
さらに他の1つの実施形態では、本方法の前記少なくとも1つの後続の処理ステップはさらに、実質的にドープされていない半導体材料19(
図2B参照)を、トレンチ10のうち少なくとも一部のトレンチに部分的に充填することを含み得る。たとえば、実質的にドープされていない半導体材料19をトレンチ10の少なくとも一部のトレンチに部分的に充填することは、半導体ウェハ処理システム3のトレンチ充填装置31によって実施することができる。たとえば、前記一部のトレンチ10a,10b内の実質的にドープされていない半導体材料19の厚さTa,Tbは、上述の求められたパラメータに依存して調整することができる。
図2Bに、かかるオプションのステップを概略的に例示している。これにより、第1の横方向Xにおいて、実質的にドープされていない半導体材料19の厚さTa,Tbを変化させることができる。たとえば、トレンチ10a内に部分的に充填された、実質的にドープされていない半導体材料19の幅Taは、隣接するトレンチ10b内に部分的に充填された、実質的にドープされていない半導体材料19の厚さTbより小さくすることができる。たとえば、実質的にドープされていない半導体材料19の厚さを調整することにより、各トレンチ10a,10bの残りの内部領域の容積を調整することができる。
【0054】
たとえば、上述の実質的にドープされていない半導体材料19は、シリコン(Si)、多結晶シリコン(poly-Si)、たとえば3C、4H、6Hもしくは15R等の多結晶型の半導体、または、他の多結晶型の炭化シリコン(SiC)のうち少なくとも1つを含む。
【0055】
たとえば、実質的にドープされていない半導体材料19は上述の少なくとも一部のトレンチ10a,10b内に堆積されている。実質的にドープされていない半導体材料19をこの少なくとも一部のトレンチ10a,10bに部分的に充填する上述のステップを実施した場合、一実施形態では、かかるトレンチ10a,10bの内側表面全体が当該実質的にドープされていない半導体材料19によって覆われることなく、たとえばトレンチ10a,10bの底部領域に開口が残ることを保証することができる。このように開口が残ることにより、その後でトレンチ10内にエピタキシャル法によって充填されるドープされた半導体材料11が半導体ドリフト領域13と接触し、
図2Cに概略的に例示されているように、実質的にドープされていない半導体材料19によって半導体ドリフト領域13から完全に隔絶されることがないことを保証することができる。
【0056】
さらに他の1つの実施形態では、上述の少なくとも1つの後続の処理ステップは、ドープされた半導体材料11をトレンチ10にエピタキシャル法によって充填した後、打ち込み処理ステップを行うことにより、当該ドープされた半導体材料11のドーパント濃度を変化させることを含むことができる。
【0057】
たとえば、上述の打ち込み処理ステップはパラメータに依存して制御される。一実施形態では、半導体ウェハ処理システム3のトレンチ充填装置32が打ち込み処理ステップを実施するように構成することができ、また、コントローラ34がパラメータに依存して当該打ち込み処理ステップの実施を制御するように構成することができる。打ち込み処理ステップはたとえば、トレンチ10の側壁および/またはトレンチ10のトレンチ底部に打ち込みイオンを打ち込むことを含む。打ち込みイオンの型に依存して、n型荷電領域およびp型荷電領域のいずれにおいても、補償の程度を調整することができる。この打ち込みステップは、従来技術にて公知の手段により行うことができる。打ち込みステップはさらに、プラズマドーピング(PLAD)および/またはエッチング‐打ち込み‐エッチングのシーケンスを含むことができる。たとえば、打ち込みステップの実施が完了した後、トレンチ底部に存在している打ち込みイオンを除去することができる。こうするためにはたとえば、異方性エッチング処理ステップを行う。
【0058】
図1から
図4までに概略的に示された、上記にて説明した実施形態は、エピタキシャル法によりトレンチに充填する一部の手法が、10%の範囲内のドーパント濃度の横方向のばらつきを生じ得るという認識を含んでいる。さらに、1つのロット内でのウェハごとのばらつきは10%を超えることがあり、また、ウェハロットごとのばらつきが15%を超えることもある。ドーパント濃度のかかるばらつきを低減することが望ましい場合がある。たとえば、補償型半導体素子(「スーパージャンクション半導体素子」または「クールモス(CoolMOS)(登録商標)半導体素子」ともいう)の場合、たとえばSiC系の補償型半導体素子の場合には、特に、半導体素子の補償トレンチ内に充填されたドープされた半導体材料のドーパント濃度に関して、上述の横方向のばらつきの低減が望ましい場合がある。上述の実施形態では、半導体ウェハのトレンチ内に充填されたドープされた半導体材料のドーパント濃度の再現性と、横方向におけるドーパント濃度の均一性との双方を、増大することができる。さらに、上述の実施形態では、半導体ウェハに含まれる半導体素子の垂直方向の総延在寸法に対する当該半導体素子の阻止電圧を増大させることができる。
【0059】
さらに、上述の実施形態では、半導体ウェハを処理する際にフィードフォワード制御を行うこともできる。かかるフィードフォワード制御は、
前記エピタキシャル法による充填を行う場合に予測される、前記第1の横方向における前記ドープされた半導体材料のドーパント濃度のばらつきと、
前記ドーパント濃度の予測される平均値と予め定められた公称値との偏差と
のうち少なくとも1つを示すパラメータを求めること
を含むことができる。たとえば、当該パラメータを求めた後、次の半導体ウェハにトレンチを形成して、ドープされた半導体材料をエピタキシャル法によって当該トレンチに充填し、このとき、ドーパント濃度の予測されるばらつきを低減すべく、トレンチ形成およびエピタキシャル法による充填との少なくとも1つを、上記求められたパラメータに依存して制御する。
【0060】
上記にて説明したように、上記の基本的原理により製造された半導体ウェハは、複数のトランジスタセルを有することができ、これらの各トランジスタセルは、それぞれ補償構造を含み得る。この補償構造は、少なくとも、半導体ウェハに形成されたトレンチを用いて形成することができる。このトレンチはたとえば、半導体ドリフトゾーン内に形成されたものである。たとえば、半導体ドリフト領域は低濃度でドープされた半導体領域であり、この半導体ドリフト領域のドーパント濃度は、半導体ウェハに形成されたトレンチ内に充填されたドープされた半導体材料を用いて補償される。上記にて
図1〜4を参照して言及した、補償目的で使用するための構成とすることができるトレンチ10のうち2つの隣接するトレンチ間に、他の1つまたは複数のトレンチも配置できること、たとえば、補償以外の目的で使用されるトレンチ、たとえばターンオフおよび/またはターンオン過程についての制御目的で使用されるトレンチも配置できることは、理解できるはずである。
【0061】
図3を参照して例示として説明したような半導体ウェハ処理システム3は、複数の半導体ウェハ処理装置構成要素を含む分散システムとすることが可能であることが理解できるはずである。たとえば、トレンチ形成装置31は、半導体ウェハ上にハードマスクを形成するための手段を、および/または、事前作製された複数のマスクのうち1つを選択して半導体ウェハの上部に選択したマスクを位置決めするための手段を含むことができる。また、トレンチ形成装置31は、エッチングにより半導体ウェハにトレンチを形成するための手段、ハードマスクをたとえば露光ユニットの露光焦点の変更により構造化するための手段、たとえばウェットエッチング処理、プラズマエッチング処理等のエッチング処理を行うための手段、および/または、従来技術において公知の、トレンチを作製および改質するための他の手段を含むこともできる。よってトレンチ充填装置32は、ドープされた半導体材料をトレンチに充填するための、および/または、ドープされた半導体材料のドーパント濃度を変化させるための複数の手段を含むこともできる。たとえばトレンチ充填装置32は、エピタキシャル処理ステップを実施するように構成されたエピタクシー装置、打ち込み処理ステップを行うように構成された打ち込みユニット、および/または、ドープされた半導体材料をトレンチに充填するように構成されならびに/もしくはドープされた半導体材料のドーパント濃度の従来技術にて公知の変化を行うために構成された別の手段を含む。よって特定ユニット33は、形成されたトレンチのうち少なくとも一部のトレンチ内のドーパント濃度を求めるため、ドーパント濃度の測定を実施しおよび/またはサンプリングステップを実施するように構成された手段を含むことができる。当該サンプリングステップは、たとえば静的、適応的および/または動的サンプリングステップ等である。コントローラ34は、プロセッサと、当該プロセッサに動作可能に結合されたデータ記憶手段とを含むことができ、データ記憶手段は、プロセッサにより実行することができるコードを記憶するように構成されたものである。たとえば上述のコードは、トレンチ形成装置31を制御するための命令、トレンチ充填装置32を制御するための命令、および/または、特定ユニット33を制御するための命令を含むことができる。コントローラ34は、トレンチ形成装置31とトレンチ充填装置32と特定ユニット33との各々に結合することができる。かかる結合は、たとえば無線インタフェースおよび/またはハードワイヤドインタフェースを用いて実現することができる。一実施形態では半導体処理システム3は、特定ユニット33を用いてパラメータを自動的に求めるように構成されている。
【0062】
上記にて一部の実施形態を参照して説明した基本的原理の可能な用途は、以下のものを含むことができる:半導体ウェハの1ロットのトレンチエッチングの準備が完了すると直ちに、たとえば、少なくとも1つの試験用ウェハを先行して処理した後にコントローラ34を用いて特定ユニット33を制御することにより、パラメータを求める。上記にて説明したように、このパラメータは、エピタキシャル法による充填を行う場合に予測される、第1の横方向Xにおけるドープされた半導体材料のドーパント濃度のばらつきと、ドーパント濃度の予測される平均値と予め定められた公称値との偏差と、のうち少なくとも1つを示すものとすることができる。パラメータを求めた後、半導体処理システム3を一時的にブロックすることができる。パラメータは、後続の処理ステップを適宜調整するために用いることができ、たとえば、トレンチ形成装置31によって行われるプラズマエッチングプロセスの処理パラメータを求めるために用いることができる。上述のパラメータに依存して後続の処理ステップの調整を完了すると直ちに、半導体処理システム3のブロックを解除し、たとえばトレンチ形成装置31およびトレンチ充填装置32を用いて上述の後続の処理ステップを実施することにより、1つの半導体ウェハロットの全ての半導体ウェハにトレンチを形成してトレンチに充填することができる。たとえば、第1の半導体ウェハロットと第2の半導体ウェハロットとの間のばらつきを補償するために更に実施することができる。
【0063】
従属請求項に、他の実施形態の特徴が特定されている。他の実施形態および上記の実施形態の特徴が明示的に互いに択一的であると記載されていない限り、他の実施形態の特徴と、上記の実施形態の特徴とを互いに組み合わせて他の実施形態を構成することができる。
【0064】
上記では、半導体ウェハおよび半導体ウェハおよび方法および半導体ウェハ処理システムに関する実施形態を説明した。たとえば、かかる半導体ウェハは炭化シリコン(Si)をベースとするものである。よって、単結晶の半導体領域または半導体層、たとえば実施例の半導体領域13および10aから10eは、単結晶のSi領域またはSi層とすることができる。他の実施形態では、多結晶シリコンまたは非晶質シリコンを用いることもできる。
【0065】
しかし、半導体領域13および10aから10eは、半導体素子を製造するために適したいかなる半導体材料からも作製できると解すべきである。かかる材料の例には、たとえばごく一部を挙げると、シリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)等の単元素半導体材料、炭化シリコン(SiC)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)等の第IV族化合物半導体材料、窒化ガリウム(GaN)、砒化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、リン化インジウムガリウム(InGaPa)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化アルミニウムインジウム(AlInN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)またはヒ化リン化インジウムガリウム(InGaAsP)等の2元、3元もしくは4元第III-V族半導体材料、および、テルル化カドミウム(CdTe)およびテルル化水銀カドミウム(HgCdTe)等の2元または3元第II-VI族半導体材料を含むが、これらは限定列挙ではない。上掲の半導体材料は、「ホモ接合型半導体材料」とも称される。2つの異なる半導体材料を組み合わせた場合、ヘテロ接合型半導体材料が形成されることとなる。ヘテロ接合型半導体材料の例には、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)‐窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)‐窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)‐窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)‐窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)‐窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、シリコン‐炭化シリコン(Si
xC
1−x)、および、シリコン‐SiGeのヘテロ接合型半導体材料が含まれるが、これらは限定列挙ではない。パワー半導体素子を用途とする場合、現在のところは主に、Si、SiC、GaAsおよびGaN材料が用いられる。
【0066】
「下方」、「下部」、「低い」、「上方」、「上部」または「高い」等の位置関係に関する用語は、他の第2の要素に対する1つの要素の相対配置を説明しやすくするために用いている。かかる用語は、各1つの素子の種々の異なる向きを包含し、かつ、図中に示された向きとは異なる向きも包含するものである。また、「第1」、「第2」等の用語は、複数の要素、領域、区画等を表すために用いられたものであり、限定を意図したものではない。同様の用語は、明細書全体を通じて同様の要素を示している。
【0067】
本願にて使用されている「有する」、「含む」、「包含する」、「含有する」、「保有する」等の用語はオープンエンドの用語であり、当該用語に係る要素または構成の有無を示すが、他の要素または構成を排除しない用語である。単数形の「1つ(a, an)」および「前記1つ(the)」等は、複数形および単数形の双方を含むことを意図したものである。ただし、文脈から別の意味を示すことが明らかである場合にはこの限りでない。
【0068】
もちろん、上記の変形態様および用途を考慮しても、本発明は上記の詳細な説明によって限定されることはなく、また、添付の図面によって限定されることもない。本発明は、添付の特許請求の範囲および法上の等価的態様によってのみ限定される。