特許第6407207号(P6407207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6407207映像信号復号装置、映像表示システム、映像表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407207
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】映像信号復号装置、映像表示システム、映像表示方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20181004BHJP
   H04N 21/431 20110101ALI20181004BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20181004BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20181004BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   H04N7/18 U
   H04N7/18 D
   H04N21/431
   G09G5/36 520P
   G09G5/00 510V
   G09G5/36 520E
   G09G5/00 550H
   G09G5/00 550C
   G09G5/00 510D
   G09G5/00 510X
   G09G5/36 510C
   G08B25/00 510M
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-135625(P2016-135625)
(22)【出願日】2016年7月8日
(65)【公開番号】特開2018-7193(P2018-7193A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2017年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】307030588
【氏名又は名称】アンリツネットワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】新地 雄太
【審査官】 鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2014/192804(JP,A1)
【文献】 特開2010−136099(JP,A)
【文献】 特開2008−131387(JP,A)
【文献】 特開2008−118608(JP,A)
【文献】 特開2006−033380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08B 25/00
G09G 5/00
G09G 5/36
H04N 21/431
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を受信する通信処理部(11)と、
前記通信処理部の受信した映像信号を復号して画像フレームを構成する情報処理部(12)と、
前記画像フレームに含まれる画像の表示範囲を設定する設定部(13)と、
前記設定部によって設定された表示範囲の画像を抽出する表示調整部(14)と、
前記表示調整部の抽出した画像を表示装置(200)に表示するための表示用信号を出力する信号出力部(15)と、
を備え
前記設定部は、前記映像信号を復号した画像フレームの画像サイズが変わった場合、前記設定部が設定した画像の表示範囲を解除する、
映像信号復号装置。
【請求項2】
複数の表示装置(200)が隣接して配置され、請求項1に記載の複数の映像信号復号装置(10)がそれぞれ前記複数の表示装置に接続されている映像表示システムであって、
前記複数の映像信号復号装置のうちの第1の映像信号復号装置は、前記複数の映像信号復号装置のうちの前記第1の映像信号復号装置から表示用信号を出力する第1の表示装置に隣接する少なくとも1つの他の表示装置に表示用信号を出力する他の映像信号復号装置に対し、自装置の受信する映像信号の識別情報、当該映像信号の画像サイズ、前記他の映像信号復号装置において表示する表示範囲を含む制御信号を送信し、
前記他の映像信号復号装置は、制御信号で指定された識別情報の映像信号を受信し、復号後の画像フレームに含まれる各画像から制御信号で指定された表示範囲の画像を抽出し、抽出した画像の表示用信号を出力する、
映像表示システム。
【請求項3】
前記複数の映像信号復号装置は、映像信号に含まれる画像又は音声に予め定められた変化が生じたか否かに基づいて、異常を検出する異常検出部(16)をさらに備え、
前記複数の映像信号復号装置のうちの前記異常検出部が異常を検出した映像信号復号装置が、前記第1の映像信号復号装置として機能する、
請求項に記載の映像表示システム。
【請求項4】
通信処理部(11)が映像信号を受信し、
情報処理部(12)が前記映像信号を復号して画像フレームを構成し、
設定部(13)が前記画像フレームに含まれる画像の表示範囲を設定し、
表示調整部(14)が前記画像フレームから設定された前記表示範囲の画像を抽出し、
信号出力部(15)が前記表示調整部の抽出した画像を表示装置(200)に表示するための表示用信号を出力する、
映像信号復号装置の映像信号復号方法であって、
前記設定部は、前記映像信号を復号した画像フレームの画像サイズが変わった場合、前記設定部が設定した画像の表示範囲を解除する、
映像信号復号装置の映像信号復号方法。
【請求項5】
複数の表示装置(200)が隣接して配置され、請求項1に記載の複数の映像信号復号装置(10)がそれぞれ前記複数の表示装置に接続されている映像表示システムの映像信号復号方法であって、
前記複数の映像信号復号装置のうちの第1の映像信号復号装置は、前記複数の映像信号復号装置のうちの前記第1の映像信号復号装置から表示用信号を出力する第1の表示装置に隣接する少なくとも1つの他の表示装置に表示用信号を出力する他の映像信号復号装置に対し、自装置の受信する映像信号の識別情報、当該映像信号の画像サイズ、前記他の映像信号復号装置において表示する表示範囲を含む制御信号を送信し、
前記他の映像信号復号装置は、制御信号で指定された識別情報の映像信号を受信し、復号後の画像フレームに含まれる各画像から制御信号で指定された表示範囲の画像を抽出し、抽出した画像の表示用信号を出力する、
映像表示システムの映像信号復号方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像信号復号装置、映像表示システム、映像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の表示装置を相互隣接するように配置し、1つの大きな画面として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の技術は、全体イメージのサイズ及びポジションをディスプレイデバイスごとに定めておき、各ディスプレイデバイスは、予め定められたサイズ及びポジションを受け取った画像から切り出して表示する。これにより、多数の表示装置を用いて、1つの全体イメージを表示する。
【0003】
一方で、台風や地震などの自然災害や設備の老朽化を監視するための監視映像の分野においても、複数台の表示装置を用いて監視映像を表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2005−78069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
監視映像の分野においては、通常、各表示装置に異なる映像を表示している。しかし、監視映像の1つが通常とは異なる場合、その映像を拡大することが好ましい。そのときに、複数の表示装置を用いて1つの監視映像を拡大表示したいという要望があがっている。
【0006】
しかし、特許文献1の技術は、全体イメージのサイズ及びポジションがディスプレイデバイスに予め設定されるため、常に1つの全体イメージしか表示できない。そのため、監視映像を切り替えようとすると、監視映像を切り替えるための装置と、切り替えた際に各ディスプレイを制御するための装置と、が必要になるため、制御が複雑になる問題がある。
【0007】
監視映像を受信する各受信装置において、映像における表示範囲を任意に設定できれば、監視映像を切り替えるための装置や、切り替えた際に各ディスプレイを制御するための装置を別途設けずに、複数の表示装置を用いて1つの監視映像が表示可能となる。
【0008】
そこで、本開示は、監視映像を受信する各受信装置において、映像における表示範囲を任意に設定可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の映像信号復号装置は、
映像信号を受信する通信処理部(11)と、
前記通信処理部の受信した映像信号を復号して画像フレームを構成する情報処理部(12)と、
前記画像フレームに含まれる画像の表示範囲を設定する設定部(13)と、
前記設定部によって設定された表示範囲の画像を抽出する表示調整部(14)と、
前記表示調整部の抽出した画像を表示装置(200)に表示するための表示用信号を出力する信号出力部(15)と、
を備え
前記設定部は、前記映像信号を復号した画像フレームの画像サイズが変わった場合、前記設定部が設定した画像の表示範囲を解除する
【0010】
本開示の映像表示システムは、
複数の表示装置(200)が隣接して配置され、本開示に係る複数の映像信号復号装置(10)がそれぞれ前記複数の表示装置に接続されている映像表示システムであって、
前記複数の映像信号復号装置のうちの第1の映像信号復号装置は、前記複数の映像信号復号装置のうちの前記第1の映像信号復号装置から表示用信号を出力する第1の表示装置に隣接する少なくとも1つの他の表示装置に表示用信号を出力する他の映像信号復号装置に対し、自装置の受信する映像信号の識別情報、当該映像信号の画像サイズ、前記他の映像信号復号装置において表示する表示範囲を含む制御信号を送信し、
前記他の映像信号復号装置は、制御信号で指定された識別情報の映像信号を受信し、復号後の画像フレームに含まれる各画像から制御信号で指定された表示範囲の画像を抽出し、抽出した画像の表示用信号を出力する。
【0011】
本開示に係る映像信号復号装置の映像信号復号方法は、
通信処理部(11)が映像信号を受信し、
情報処理部(12)が前記映像信号を復号して画像フレームを構成し、
設定部(13)が前記画像フレームに含まれる画像の表示範囲を設定し、
表示調整部(14)が前記画像フレームから設定された前記表示範囲の画像を抽出し、
信号出力部(15)が前記表示調整部の抽出した画像を表示装置(200)に表示するための表示用信号を出力する、映像信号復号装置の映像信号復号方法であって、
前記設定部は、前記映像信号を復号した画像フレームの画像サイズが変わった場合、前記設定部が設定した画像の表示範囲を解除する
【0012】
本開示の映像表示システムの映像信号復号方法は、
複数の表示装置(200)が隣接して配置され、請求項1に記載の複数の映像信号復号装置(10)がそれぞれ前記複数の表示装置に接続されている映像表示システムの映像信号復号方法であって、
前記複数の映像信号復号装置のうちの第1の映像信号復号装置は、前記複数の映像信号復号装置のうちの前記第1の映像信号復号装置から表示用信号を出力する第1の表示装置に隣接する少なくとも1つの他の表示装置に表示用信号を出力する他の映像信号復号装置に対し、自装置の受信する映像信号の識別情報、当該映像信号の画像サイズ、前記他の映像信号復号装置において表示する表示範囲を含む制御信号を送信し、
前記他の映像信号復号装置は、制御信号で指定された識別情報の映像信号を受信し、復号後の画像フレームに含まれる各画像から制御信号で指定された表示範囲の画像を抽出し、抽出した画像の表示用信号を出力する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、監視映像を受信する各受信装置において、映像における表示範囲を任意に設定可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係る映像表示システムの一例を示す。
図2】画像サイズ及び表示範囲の一例を示す。
図3】実施形態1に係る表示例を示す。
図4】実施形態2に係る映像表示システムの一例を示す。
図5】実施形態2に係る表示装置200A〜200Dの配置例を示す。
図6】映像信号Sを拡大したいときの映像信号の流れの一例を示す。
図7】実施形態2に係る映像信号の拡大例を示す。
図8】実施形態3に係る映像表示システムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0016】
(実施形態1)
図1に、本実施形態に係る映像表示システムの一例を示す。本実施形態に係る映像表示システムは、複数の監視装置20、映像信号復号装置10及び表示装置200を備える。図1では、一例として、複数の監視装置20が4台の監視装置20A,20B,20C,20Dである例を示す。監視装置20A〜20Dと映像信号復号装置10は通信ネットワーク100で接続されている。映像信号復号装置10は、通信処理部11、情報処理部12、設定部13、表示調整部14、信号出力部15、異常検出部16を備える。
【0017】
通信処理部11は、監視装置20A〜20Dからの映像信号を受信する。情報処理部12は、映像信号を復号化する。これにより、画像フレームが情報処理部12から出力される。信号出力部15は、画像フレームを表示装置200に表示するための表示用信号を出力する。これにより、監視装置20A〜20Dからの映像信号が表示装置200に表示される。
【0018】
ここで、設定部13は、表示範囲入力部131と表示範囲記憶部132とを備え、画像フレームに含まれる画像の表示範囲を設定する。表示調整部14は、画像フレームに含まれる画像から、設定された表示範囲を抽出する。信号出力部15は、抽出された表示範囲の画像を、表示用信号として出力する。これにより、設定部13に設定されている表示範囲の映像が、表示装置200に表示される。
【0019】
表示範囲入力部131は、表示範囲を指定する。例えば、マウスやキーボードなどの映像信号復号装置10に備わる任意の入力部を用いて表示範囲が入力されると、これを表示範囲として指定する。入力部を用いた表示範囲の指定は、例えば、映像内のカーソルの位置やタップの位置で表示範囲の端点や中心位置を指定し、スクロールする方向やピンチアウト若しくはピンチインで拡大率を増減する。これにより、映像信号復号装置10のユーザが任意の表示範囲を指定することができる。また、映像信号復号装置を制御するための制御信号に表示範囲が含まれている場合、表示範囲入力部131は、制御信号に含まれている表示範囲を指定する。表示範囲記憶部132は、受け取った表示範囲を記憶する。ここで、複数の異なる表示範囲を記憶できるようにしてもよい。
【0020】
図2に、表示範囲の一例を示す。図3に、表示装置200の表示例を示す。表示範囲は、1フレームの画像における任意の範囲である。画像サイズは、映像信号における1フレームの画像の幅W及び高さHである。表示範囲は、この画像サイズにおける、始点となる座標(x,y)、幅WAC、及び、高さHABである。表示範囲は、x軸方向の範囲(x,x)、及び、y軸方向の範囲(y,y)であってもよい。
【0021】
この場合、図3に示すように、表示装置200には、図2で設定した表示範囲が表示される。このとき、図3に示すように、表示装置200の画面全体に画像を拡大する。ここで、設定した表示範囲の縦横比と表示装置200の縦横比が異なる場合は、表示範囲の縦横比を維持した状態で表示装置200の幅W又は高さHまで拡大することが好ましい。これにより、監視映像の歪みが防止できるため、監視映像における異常の認識が容易になる。
【0022】
映像信号復号装置10は、異常検出部16を備えることが好ましい。異常検出部16は、映像信号に含まれる画像や音声から、監視対象の異常を検知する。監視対象の異常は、例えば、画像や音声に予め定められた変化が生じたことに基づいて判定する。この場合、表示範囲入力部131は、異常が発生したと予想される範囲を表示範囲に設定する。これにより、監視対象において異常が発生の現場を自動的に拡大表示することができる。
【0023】
なお、画像フレームの画像サイズが変わると、設定されている表示範囲が適切でなくなる。そこで、映像信号復号装置10の情報処理部12は、受信する映像信号が変わると、映像信号を復号後の画像フレームの画像サイズを設定部13に通知する。表示範囲入力部131は、既に記憶している元の画像サイズW×Hと新たな画像サイズW×Hが異なっているか否かを判定する。画像サイズが異なっている場合、表示範囲入力部131は、表示範囲記憶部132に記憶されている表示範囲を解除する。これにより、映像信号が変更になったことによって、監視すべき対象が表示装置200に表示されなくなることを防止することができる。
【0024】
以上説明したように、本実施形態に係る映像表示システムは、映像信号を受信して復号しながら、設定部13に設定されている表示範囲の映像を表示装置200に表示する。このため、設定部13の設定を変更することで、任意の範囲を選択的に拡大して表示装置200に表示することができる。
【0025】
(実施形態2)
図4に、本実施形態に係る映像表示システムの一例を示す。本実施形態に係る映像表示システムは、複数台の映像信号復号装置10A〜10Dが連携することで、表示装置200A〜200Dに1つの映像を表示する。複数台の映像信号復号装置10A〜10Dは共通のL2スイッチ101に接続されている。これにより、映像信号復号装置10A〜10Dは、L2スイッチ101を介して制御信号を送受信することができる。
【0026】
図5に、表示装置200A〜200Dの配置例を示す。図5では、一例として、2×2で配列されている例を示す。なお、図5では、図1に示した通信ネットワーク100及び監視装置20A〜20Dは省略した。
【0027】
映像信号復号装置10A〜10Dがそれぞれ異なる映像信号S〜Sを受信しているとき、各表示装置200A〜200Dはそれぞれ映像信号S〜Sを表示する。映像信号S〜Sのいずれか、例えば、映像信号Sを拡大したいとき、映像信号復号装置10Aの表示範囲入力部131は、映像信号復号装置10B〜10Dに対し、自装置の受信する映像信号Sの識別情報と、映像信号Sの画像サイズ及び表示範囲を含む制御信号を送信する。ここで、制御信号の伝送方法は、有線でも無線でもよいし、L2スイッチ101を経由してデータを交換するようにしてもよい。
【0028】
映像信号復号装置10B〜10Dの表示範囲入力部131は、自装置に備わる情報処理部12に対して受信する映像信号を映像信号Sに設定し、自装置に備わる表示調整部14に対して画像サイズ及び表示範囲を設定する。すると、映像信号復号装置10B〜10Dにおいて、通信処理部11が映像信号Sを受信し、情報処理部12が映像信号Sを復号し、表示調整部14が設定されている表示範囲を調整する。これにより、図7に示すように、表示装置200A〜200Dを用いて、1つの映像信号Sを拡大表示することができる。
【0029】
このとき、監視装置20A〜20Dから各映像信号復号装置10A〜10Dへ流れている映像信号は、図6のようになる。映像信号SはL2スイッチ101でコピーされて各映像信号復号装置10A〜10Dへ流れるので、各映像信号復号装置10A〜10Dが同じ映像信号Sを受信しているときでも監視装置20Aや通信ネットワーク100の負荷は増えない。
【0030】
例えば、図2に示す画像の場合、映像信号復号装置10Bの表示範囲入力部131への制御信号は座標(x,y)、幅WBD、及び、高さHABを表示範囲として含み、映像信号復号装置10Cの表示範囲入力部131への制御信号は座標(x,y)、幅WAC、及び、高さHCDを表示範囲として含み、映像信号復号装置10Dの表示範囲入力部131への制御信号は座標(x,y)、幅WBD、及び、高さHCDを表示範囲として含む。
【0031】
映像信号復号装置10Aは、制御信号を各映像信号復号装置10B〜10Dに送信する際、どの表示装置がどこに配置されているかを知っておく必要がある。そこで、各映像信号復号装置10A〜10Dの表示範囲入力部131は、各表示装置200A〜200Dの配置を特定可能な情報を表示範囲記憶部132に保持する。
【0032】
例えば、図5に示す2×2の配置の場合、座標(1,1)=200A、座標(1,2)=200B、座標(2,1)=200C、座標(2,2)=200Dのように、座標を用いて各装置の配置を特定する。ここで、表示装置200A〜200Dを特定する識別情報は、例えば、表示装置200A〜200Dまたはこれに接続されている映像信号復号装置10A〜10DのMACアドレス(Media Access Control address)などの物理アドレスである。
【0033】
各表示装置200A〜200Dの配置の特定は、表示装置200A〜200Dの座標を用いて行ってもよい。例えば、表示装置200A〜200Dの座標が図5に示すように定められている場合、表示装置200Aの表示範囲記憶部132は、例えば、座標(xA1,yA1)はどの表示装置とも隣接せず、座標(xA2,yA1)は座標(xB1,yB1)と一致し、座標(xA1,yA3)は座標(xC1,yC1)と一致し、座標(xA2,yA3)は座標(xB1,yB3)、座標(xC2,yC1)及び座標(xD1,yD1)と一致する旨を保持する。これにより、映像信号復号装置10Aが映像信号復号装置10B〜10Dに座標情報を送信することにより、表示装置200A〜200Dの大きさが異なる場合であっても、1つの映像信号Sを拡大表示することができる。
【0034】
ここで、表示装置200A〜200Dを用いて、1つの映像信号Sを拡大表示する場合、表示装置200A〜200Dの間にベゼルが存在する。そこで、表示範囲の設定は、ベゼルの幅Wを考慮することが好ましい。
【0035】
例えば、ベゼルの幅Wを加算した座標を表示範囲の設定に設定する。この場合、映像信号復号装置10Bの表示範囲入力部131への制御信号に含まれる座標を(x+W,y)にし、映像信号復号装置10Cの表示範囲入力部131への制御信号に含まれる座標を(x,y+W)にし、映像信号復号装置10Dの表示範囲入力部131への制御信号に含まれる座標を(x+W,y+W)にする。これにより、現場の風景に近い監視映像を表示装置200A〜200Dに表示することができる。
【0036】
ただし、表示範囲の設定においてベゼルの幅を加算すると、表示装置200B〜200Dにおいて表示されない範囲が生じる。そのため、あまり変化のない監視対象であるなどのベゼルの存在が許容できる用途や、文字や記号を監視映像から読み取る必要のある用途の場合、表示範囲の設定においてベゼルの幅を加算しないことが好ましい。
【0037】
このように、監視映像の用途によって表示範囲の設定が異なるため、表示範囲の設定は映像信号ごとに定められていることが好ましい。
【0038】
なお、画像フレームの画像サイズが変わると、設定されている表示範囲が適切でなくなる。そこで、映像信号復号装置10A〜10Dにおいて、情報処理部12は、受信する映像信号が変わると、映像信号を復号後の画像フレームの画像サイズを表示範囲入力部131に通知することが好ましい。
【0039】
既に記憶している元の画像サイズW×Hと新たな画像サイズW×Hが異なる場合、元の画像サイズW×Hのときの全体画像に対する表示範囲の相対位置を用いて、新たな画像サイズW×Hのときの全体画像に対する表示範囲の相対位置を求める。そして、求められた相対位置を新たな表示範囲に設定する。これにより、画像フレームの画像サイズが変わった場合であっても、複数の表示装置200A〜200Dに1つの映像を表示し続けることができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る映像表示システムは、1台の映像信号復号装置10Aに制御を行うだけで、連携する映像信号復号装置10B〜10D間で自動的に表示する表示位置、表示範囲を合わせることができる。このため、本実施形態に係る映像表示システムは、各表示装置に表示していた異なる映像を、必要な場合に複数の表示装置を用いて1つの監視映像を表示することができる。
【0041】
(実施形態3)
多数の表示装置を相互隣接するように配置する映像表示システムでは、表示装置200の配置換えや増減が起こりうる。例えば、図8に示すように、2×2台から4×3の12台に表示装置200が増設された場合を考える。本実施形態は、表示装置200の数や配置に応じ、各映像信号復号装置10に設定する画像サイズ及び表示範囲を調整する。図8では、図1に示した通信ネットワーク100及び監視装置20A〜20D、映像装置30、映像信号復号装置10は省略した。
【0042】
図8に示すように、2×2台から4×3の12台に表示装置200が増設された場合、各表示装置200A〜200Lに映像信号復号装置10A〜10Lを接続し、各表示装置200A〜200Lの配置を特定可能な情報を、各表示装置200Aの表示範囲入力部131に入力する。配置の特定方法は、実施形態2と同様である。
【0043】
映像信号復号装置10Aの受信する映像信号Sを拡大したいとき、映像信号復号装置10Aの表示範囲入力部131は、表示装置200A〜200Lの配置に基づいて各表示装置200B〜200Lの表示範囲を算出する。そして、映像信号復号装置10Aの表示範囲入力部131は、表示装置200B〜200Lの映像信号復号装置(不図示)に対し、画像サイズ及び表示範囲を含む制御信号を送信する。これにより、表示装置200A〜200Lを用いて、1つの映像信号Sを拡大表示することができる。
【0044】
ここで、拡大表示に用いる表示装置は、表示装置200A〜200Lの一部であってもよい。例えば、表示装置200B,200E,200D及び200G、又は、表示装置200D,200G,200J及び200Kを、拡大表示する表示装置に定める。これにより、注目すべき映像又は画像を、特定の位置に拡大表示することができる。
【0045】
また、各表示装置200A〜200Lは、隣接する表示装置に表示される映像が拡大されると、それに合わせて拡大された映像を表示してもよい。例えば、映像信号復号装置10Dが表示装置200Dに表示されている映像を拡大すると、表示装置200Dに表示されていた映像を、隣接する表示装置200A,200B,200E,200C,200G,200I,200J,200Kに拡大表示する。
【0046】
このとき、表示装置200Dの映像信号復号装置に備わる表示範囲入力部131は、表示装置200Dに表示できない範囲を算出し、当該範囲の配置されている位置に配置されている表示装置に当該範囲を表示するよう、隣接する表示装置200A,200B,200E,200C,200G,200I,200J,200Kの各映像信号復号装置に対し、映像信号Sの識別情報と、映像信号Sの画像サイズ及び表示範囲を含む制御信号を送信する。
【0047】
図8に示すように、複数の表示装置200が配置されている場合、各表示装置200に表示する映像信号の表示パターンを予め定め、表示パターンに従って各表示装置200に表示させてもよい。例えば、パターンP1の場合は表示装置200A〜200Lにそれぞれ異なる映像信号を表示させ、パターンP2の場合は表示装置200A〜200Dを用いて1つの映像を表示させつつ他の表示装置200E〜200Lに個別の映像を表示させるなどである。これらの表示パターンに応じた制御コマンドを各映像信号復号装置(不図示)の表示範囲入力部131に記憶させることで、表示パターンに応じた表示を容易に切り替えることができる。
【0048】
また、本実施形態では、異常検出部16が監視対象の異常を検知すると、表示範囲入力部131は、異常が発生したと予想される範囲を拡大表示することが好ましい。例えば、表示装置200Aの映像信号において異常が検出された場合、図7に示すように、表示装置200A〜200Dを用いて表示装置200Aの映像を拡大表示することが好ましい。これにより、監視対象の異常の発生の見逃しを防止することができる。
【0049】
以上説明したように、本開示に係る映像表示システムは、映像信号を受信して復号しながら、任意の範囲を選択的に拡大して表示装置200に表示することができる。このため、監視映像の切り替えや拡大表示を容易に行うことができる。
【0050】
特に、本開示に係る映像表示システムは、各表示装置200に接続されている各映像表性装置10を用いて複数の表示装置200を用いた拡大表示を行うことができる。このため、表示装置200や外部機器を用いずに表示調整が実現できるため、監視映像の拡大が可能なシステム構成を簡略化でき、コストダウンも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10,10A,10B,10C,10D:映像信号復号装置
11:通信処理部
12:情報処理部
13:設定部
131:表示範囲入力部
132:表示範囲記憶部
14:表示調整部
15:信号出力部
20A、20B、20C、20D:監視装置
100:通信ネットワーク
101:L2スイッチ
200,200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200H,200I,200J,200K,200L:表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8