(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407211
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】カメラ装置とその使用
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20181004BHJP
G01S 17/89 20060101ALI20181004BHJP
G01S 17/93 20060101ALI20181004BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20181004BHJP
G02B 7/40 20060101ALI20181004BHJP
G03B 13/36 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
H04N5/225
H04N5/225 600
G01S17/89
G01S17/93
G01S7/481 A
G02B7/40
G03B13/36
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-142964(P2016-142964)
(22)【出願日】2016年7月21日
(62)【分割の表示】特願2014-549504(P2014-549504)の分割
【原出願日】2013年1月7日
(65)【公開番号】特開2017-5726(P2017-5726A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2016年7月29日
(31)【優先権主張番号】102012000176.2
(32)【優先日】2012年1月7日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102012207931.9
(32)【優先日】2012年5月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】エッピンガー、 アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュリエプ、 フランク
(72)【発明者】
【氏名】キルシュ、 オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ベーム、 ハネス ルネ
【審査官】
藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−224856(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0128109(US,A1)
【文献】
特開2008−052029(JP,A)
【文献】
特開平11−041510(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0165323(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222− 5/257
G01B 11/00 −11/30
G01C 3/00 − 3/32
G01S 7/48 − 7/51
G01S 17/00 −17/95
G02B 7/40
G03B 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ装置(1)であって、
検出される少なくとも一つの対象(8.1、8.2)がそれぞれに存在する複数の視野(7.1、7.2)を照明する一つの照明デバイス(5)と、
TOFセンサ(2)と、
前記対象(8.1、8.2)と前記TOFセンサ(2)との間に配列された共通対物レンズ(4)と
を含み、
前記一つの照明デバイス(5)と、前記共通対物レンズ(4)と、前記TOFセンサ(2)とが、前記視野(7.1、7.2)に存在する前記対象(8.1、8.2)に向かうように配列されることにより、前記対象(8.1、8.2)の像(A、B、C、D)を一つのTOFセンサ(2)上に同時に又は経時連続的に結像することができ、
前記視野(7.1、7.2)に存在する前記対象(8.1、8.2)の像(D)が、前記TOFセンサ(2)上の異なる領域(2.1、2.2)に別個に結像可能であるカメラ装置(1)。
【請求項2】
カメラ装置(1)であって、
検出される少なくとも一つの対象(8.1、8.2)がそれぞれに存在する複数の視野(7.1、7.2)を、それぞれが照明する2つの照明デバイス(5.1、5.2)と、
TOFセンサ(2)と、
前記対象(8.1、8.2)と前記TOFセンサ(2)との間に配列された共通対物レンズ(4)と
を含み、
前記2つの照明デバイス(5.1、5.2)と、前記共通対物レンズ(4)と、前記TOFセンサ(2)とが、前記対象(8.1、8.2)の像(A、B、C、D)を一つのTOFセンサ(2)上に同時に又は経時連続的に結像することができるように、互いに対して配列され、かつ、前記視野(7.1、7.2)及び前記視野(7.1、7.2)に存在する前記対象(8.1、8.2)に対して配列され、
前記対象(8.1、8.2)と前記共通対物レンズ(4)との間に制御可能なマイクロミラーを含むデジタルミラーである鏡(9)が配列され、
前記鏡(9)は、第1視野(7.1)のビーム経路又は第2視野(7.2)のビーム経路のいずれかが前記共通対物レンズ(4)まで送達され得るように少なくとも2つの位置間で制御可能であり、
前記対象(8.1、8.2)の像(B、C)は、前記TOFセンサ(2)上の共通領域に結像可能であるカメラ装置(1)。
【請求項3】
前記2つの照明デバイス(5.1、5.2)は制御デバイスに結合され、
前記制御デバイスにより前記2つの照明デバイス(5.1、5.2)は、互いから独立して異なる時刻(t1、t2)にアクティブにすることができる、請求項2に記載のカメラ装置(1)。
【請求項4】
第1照明デバイス(5.1)は、前記鏡(9)によって前記第1視野(7.1)のビーム経路が前記TOFセンサ(2)上に結像される第1時刻(t1)にアクティブにすることができ、
第2照明デバイス(5.2)は、前記鏡(9)によって前記第2視野(7.2)のビーム経路が前記TOFセンサ(2)上に結像される第2時刻(t2)にアクティブにすることができる、請求項3に記載のカメラ装置(1)。
【請求項5】
前記カメラ装置(1)から各視野(7.1、7.2)に存在する前記少なくとも一つの対象(8.1、8.2)までの距離が、前記少なくとも一つの照明デバイス(5、5.1、5.2)によって前記視野(7.1、7.2)まで放出される光の飛行時間から決定される、請求項1から4のいずれか一項に記載のカメラ装置(1)の使用。
【請求項6】
運転者の頭部及び/若しくは乗員の頭部、前記運転者及び/若しくは乗員のジェスチャ、表現、目の位置、視認方向、シート位置、頭部位置、並びに/又は身体計測的特徴が車両内で監視される、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記共通対物レンズ(4)は、前記TOFセンサ(2)上にある第1領域(2.1)の第1視野(7.1)に第1ビーム経路を合焦するべく構成され、
前記共通対物レンズ(4)は、前記TOFセンサ(2)上にある第2領域(2.2)の、前記第1視野(7.1)とは重ならない第2視野(7.2)に第2ビーム経路を合焦するべく構成される、請求項1に記載のカメラ装置(1)。
【請求項8】
前記照明デバイス(5)は、前記対象(8.1、8.2)と前記TOFセンサ(2)との間にある前記第1ビーム経路又は前記第2ビーム経路の外側に配列される、請求項7に記載のカメラ装置(1)。
【請求項9】
前記照明デバイス(5)から前記対象(8.1、8.2)までの光の往復時間を測定し、測定された前記光の往復時間に基づいて前記対象(8.1、8.2)から前記カメラ装置(1)までの距離を測定するように適合された制御デバイス(6)をさらに含む、請求項8に記載のカメラ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ装置に関し、及びかかるカメラ装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるTOFカメラ(飛行時間式カメラ)が知られている。これは、例えば赤外光を使用して風景を能動的に照明し、その照明に使用された光の飛行時間をセンサにより決定する。そして、これに基づき、照明された対象のカメラからの距離が決定される。これらTOFカメラの多くは、カメラ光源から入来するわけではない背景光を抑制することができる。
【0003】
特許文献1は、第1周波数範囲の電磁放射線を検出するカメラであって、電気光学結晶と、分析器と、第2周波数範囲の電磁放射線を検出する複数の検出器を有する検出器アレイとを含むカメラを開示する。分析器は、第2周波数範囲の電磁放射線のビーム方向において電気光学結晶と検出器アレイとの間に配列される。検出器アレイの複数の検出器はそれぞれ、第2周波数範囲の電磁放射線を復調するデバイスを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2009 001 159(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、先行技術よりも改善されたカメラ装置、及びかかるカメラ装置の使用を与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば、カメラ装置については請求項1に特定される特徴によって、及び使用については請求項9に特定される特徴によって解決される。
【0007】
本発明によれば、カメラ装置は、複数の視野を照明する少なくとも一つの照明デバイスを含み、少なくとも一つの検出対象が当該視野のそれぞれに存在する。本発明によれば、カメラ装置はさらに、複数の視野の少なくとも一つを含むビーム経路を合焦する少なくとも一つの対物レンズを含む。一代替例として、本発明によれば、カメラ装置は、それぞれが複数の視野の少なくとも一つを含む複数のビーム経路を合焦する少なくとも一つの対物レンズを含む。本発明によれば、カメラ装置はさらにTOFセンサも含む。少なくとも一つの照明デバイスと、少なくとも一つの対物レンズと、TOFセンサとが、互いに対して配列されることにより、かつ、視野及びその視野に存在する対象に対して配列されることにより、対象の像を一つのTOFセンサ上に同時に又は経時連続的に結像することができる。
【0008】
したがって、カメラ装置は、2以上の視野(FOV)を、単数のTOFセンサチップによって取得され得るように形成することができる。これは、空間重畳によって又は時分割多重方式によって行われる。
【0009】
この場合、複数の風景を検出するべく単数のTOFセンサチップのみが必要とされることが有利である。このようにして、カメラ装置は、一風景当たりの一TOFセンサチップと比較して経済的に構成することができる。
【0010】
本発明の一改良例では、それぞれが視野を照明可能な2つの照明デバイスが設けられる。対象とTOFセンサとの間にはそれぞれ対物レンズが配列される。対象の像は、TOFセンサ上の少なくとも部分的な共通領域に結像可能である。この場合、2つの照明デバイスは特に、制御デバイスに結合される。制御デバイスにより2つの照明デバイスは、互いから独立して異なる時刻にアクティブにすることができる。
【0011】
この場合、2つの風景の2つの視野が一つのセンサ上に同時に結像される。したがって、2つの像の重なりが当該センサチップ上に形成される。双方の視野を結像するべくビームスプリッタを使用することができる。それにもかかわらず、重なった2つの視野を当該センサチップ上に結像することを達成する他の装置も可能である。
【0012】
TOFカメラ装置は、風景を能動的に照明して背景光を抑制する。複数の風景の一つへの照明をそれぞれ切り替えることにより、照明を受けた風景が遮られるので、現在照明を受けている風景の視野のみが検出される。
【0013】
本発明の一構成例によれば、視野を照明可能な一つの照明デバイスが設けられる。対象とTOFセンサとの間に共通対物レンズが配列される。視野内に存在する対象の像が、TOFセンサ上の異なる領域に別個に結像可能となる。
【0014】
すなわち、2つの視野が、センサチップの異なる領域上に結像される。このようにして、双方の視野を同時に検出することができる。
【0015】
他の構成例では、それぞれが視野を照明可能な2つの照明デバイスが設けられる。対象とTOFセンサとの間に共通対物レンズが配列される。対象と対物レンズとの間に制御可能な鏡が配列される。鏡は、第1視野のビーム経路又は第2視野のビーム経路のいずれかが対物レンズまで送達され得るように制御可能である。対象の像は、TOFセンサ上の共通領域に結像可能である。
【0016】
この場合、2つの照明デバイスが制御デバイスに結合されるのが再び好ましい。制御デバイスにより照明デバイスは、互いから独立して異なる時刻にアクティブにすることができる。特に、第1照明デバイスは、鏡によって第1視野のビーム経路がTOFセンサ上に結像される第1時刻にアクティブにすることができる。第2照明デバイスは特に、鏡によって第2視野のビーム経路がTOFセンサ上に結像される第2時刻にアクティブにすることができる。
【0017】
したがって、カメラ装置を異なる風景に逐次的に向けることによって視野領域が検出される。各風景は、カメラ視野が現在向けられているときにのみ照明されればよい。
【0018】
本発明の一改良例によれば、鏡はデジタルミラー、特にマイクロミラー(いわゆるMEMS(微小電気機械システム))である。
【0019】
カメラ装置は例えば、測距用に使用することができる。カメラ装置から各視野に存在する少なくとも一つの対象までの距離を、少なくとも一つの照明デバイスによって当該視野まで放出される光の飛行時間から決定することができる。
【0020】
一改良例では、カメラ装置は、一つのTOFセンサのみによって運転者及び乗員の頭部を監視するべく、車両において使用される。さらに、運転者及び/若しくは乗員のジェスチャ、表現、目の位置、視認方向、シート位置、頭部位置並びに/又は身体計測的特徴を車両内で監視することができる。ジェスチャは特に、手のジェスチャである。
【0021】
添付の模式図面を使用して本発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、カメラ装置1の第1実施形態の模式図を示す。カメラ装置1は、TOFセンサ2、ビームスプリッタ3、2つの対物レンズ4.1及び4.2、2つの照明デバイス5.1、5.2、並びに制御デバイス6を含む。
【0024】
対物レンズ4.1は、第1検出対象8.1が存在する第1視野7.1のビーム経路を合焦する。
【0025】
対物レンズ4.2は、第2検出対象8.2が存在する第2視野7.2のビーム経路を合焦する。
【0026】
2つの対物レンズ4.1、4.2からの合焦されたビーム経路が、ビームスプリッタ3において重なる異なる方向からビームスプリッタ3まで送達されてTOFセンサ2上に結像される。
【0027】
照明デバイス5.1は、第1視野7.1を照明するべく配列される。
【0028】
照明デバイス5.2は、第2視野7.2を照明するべく配列される。
【0029】
制御デバイス6は、好ましくはいずれの場合も視野7.1、7.2の一方のみが時刻t
1、t
2において照明されるように、照明デバイス5.1、5.2を制御する。
【0030】
カメラ装置1は、背景光が少なくとも優位に抑制されるように、かつ、照明デバイス5.1、5.2から入来して対象8.1、8.2によって反射される光のみが検出されるように形成される。
【0031】
視野7.1、7.2の双方を照明する場合、TOFセンサ2は、互いに重なる双方の対象8.1、8.2を検出する。その結果、像Aが形成される。
【0032】
視野7.1のみを時刻t
1において照明する場合、対象8.1のみが可視となる像BがTOFセンサ2上に形成される。その結果、光の飛行時間の決定により、この対象までの距離を決定することができる。
【0033】
視野7.2のみを時刻t
2において照明する場合、対象8.2のみが可視となる像CがTOFセンサ2上に形成される。その結果、光の飛行時間の決定により、この対象までの距離を決定することができる。
【0034】
図2は、カメラ装置1の第2実施形態の模式図を示す。カメラ装置1は、TOFセンサ2、対物レンズ4及び照明デバイス5を含む。
【0035】
対物レンズ4.1は、2つの視野7.1、7.2を含むビーム経路を合焦する。第1検出対象8.1が視野7.1に存在し、かつ、第2検出対象8.2が視野7.2に存在する。
【0036】
合焦されたビーム経路がTOFセンサ2上に結像されるが、視野7.1がTOFセンサ2の第1領域2.1に結像され、かつ、視野7.2がTOFセンサ2の第2領域2.2に結像される。
【0037】
照明デバイス5は、視野7.1、7.2の双方を照明するべく配列される。
【0038】
カメラ装置1は、背景光が少なくとも優位に抑制されるように、かつ、照明デバイス5から入来して対象8.1、8.2によって反射される光のみが検出されるように形成される。
【0039】
2つの対象8.1、8.2が別個の領域において可視となる像DがTOFセンサ2上に形成される。その結果、光の飛行時間の決定により、これらの対象までのそれぞれの距離を決定することができる。
【0040】
図3は、カメラ装置1の第3実施形態の模式図を示す。カメラ装置1は、TOFセンサ2、対物レンズ4、2つの照明デバイス5.1、5.2、制御デバイス(提示せず)及び制御可能な鏡9を含む。
【0041】
鏡9は、第1検出対象8.1が存在する第1視野7.1のビーム経路又は第2検出対象8.2が存在する第2視野7.2のビーム経路のいずれかを対物レンズ4まで送達するように、制御デバイスによって制御することができる。対物レンズ4は、ビーム経路を合焦してTOFセンサ2上に結像させる。
【0042】
照明デバイス5.1は、第1視野7.1を照明するべく配列される。
【0043】
照明デバイス5.2は、第2視野7.2を照明するべく配列される。
【0044】
カメラ装置1は、背景光が少なくとも優位に抑制されるように、かつ、照明デバイス5.1、5.2から入来して対象8.1、8.2によって反射される光のみが検出されるように形成される。
【0045】
鏡9が時刻t
1において視野7.1に向けられている場合、対象8.1のみが可視である像BがTOFセンサ2上に形成される。その結果、光の飛行時間の決定により、この対象までの距離を決定することができる。
【0046】
鏡9が時刻t
2において視野7.2に向けられている場合、対象8.2のみが可視である像CがTOFセンサ2上に形成される。その結果、光の飛行時間の決定により、この像までの距離を決定することができる。
【0047】
制御デバイス6は好ましくは、いずれの場合も視野7.1、7.2の一方のみが所定時刻において照明されるように照明デバイス5.1、5.2を制御することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 カメラ装置
2 TOFセンサ
2.1、2.2 領域
3 ビームスプリッタ
4、4.1、4.2 対物レンズ
5、5.1、5.2 照明デバイス
6 制御デバイス
7.1、7.2 視野
8.1、8.2 検出対象
9 鏡
A、B、C、D 像
t
1、t
2 時刻