(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407243
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】高演色性白色発光素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20181004BHJP
F21V 9/00 20180101ALI20181004BHJP
F21V 9/08 20180101ALI20181004BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20181004BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20181004BHJP
【FI】
H01L33/50
F21V9/00
F21V9/08 200
F21S2/00 311
F21Y115:10 500
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-241369(P2016-241369)
(22)【出願日】2016年12月13日
(62)【分割の表示】特願2016-508915(P2016-508915)の分割
【原出願日】2014年8月18日
(65)【公開番号】特開2017-59854(P2017-59854A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0117971
(32)【優先日】2013年10月2日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0071997
(32)【優先日】2014年6月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515242984
【氏名又は名称】ジーエルビーテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】キム ハン ド
【審査官】
大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/020541(WO,A1)
【文献】
特表2004−501512(JP,A)
【文献】
特開2007−324475(JP,A)
【文献】
特開2012−109532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
440nm〜460nmの励起波長を有する青色LEDチップと、前記青色LEDチップの発光面を覆い、前記青色LEDチップの励起波長によって励起されて発光し、蛍光体粉末を含む蛍光体層とを含む白色発光素子であって、
前記蛍光体粉末は、
480〜499nmの発光ピーク波長を有し、化学式(Ba、Eu)Six(O、Cl)xNx(1<x<5)で表される蛍光体を含む第1蛍光体粉末と、
500〜560nmの発光ピーク波長を有し、化学式(Sr、Ba、Ca)xSiO2x:Eu(1<x<5)で表される蛍光体、化学式Si6−yAlyOyN8−y:Eu(0.1<y<0.5)で表される蛍光体、及び化学式Al8−zLuzO12:Ce++(1<z<5)で表される蛍光体のうち少なくとも一つを含む第2蛍光体粉末と、
600〜650nmの発光ピーク波長を有し、化学式(Sr、Ca)AlSiNx:Eu(1<x<5)で表される蛍光体、及び化学式CaAlSiNy:Eu(1<y<5)で表される蛍光体のうち少なくとも一つを含む第3蛍光体粉末と、のみからなり、
前記白色発光素子は、平均演色指数が90%以上であり、R9が90%以上であることを特徴とする、白色発光素子。
【請求項2】
前記白色発光素子は、R12が90%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の白色発光素子。
【請求項3】
440nm〜460nmの励起波長を有する青色LEDチップと、前記青色LEDチップの発光面を覆い、前記青色LEDチップの励起波長によって励起されて発光し、蛍光体粉末を含む蛍光体層とを含む白色発光素子であって、
前記蛍光体粉末は、
480〜499nmの発光ピーク波長を有し、化学式(Ba、Eu)Six(O、Cl)xNx(1<x<5)で表される蛍光体を含む第1蛍光体粉末と、
500〜560nmの発光ピーク波長を有し、化学式(Sr、Ba、Ca)xSiO2x:Eu(1<x<5)で表される蛍光体、化学式Si6−yAlyOyN8−y:Eu(0.1<y<0.5)で表される蛍光体、及び化学式Al8−zLuzO12:Ce++(1<z<5)で表される蛍光体のうち少なくとも一つを含む第2蛍光体粉末と、
600〜650nmの発光ピーク波長を有し、化学式(Sr、Ca)AlSiNx:Eu(1<x<5)で表される蛍光体、及び化学式CaAlSiNy:Eu(1<y<5)で表される蛍光体のうち少なくとも一つを含む第3蛍光体粉末と、のみからなり、
前記白色発光素子は、平均演色指数が90%以上であり、R9が90%以上であり、
発光スペクトル上の485〜504nmの範囲でピーク波長が形成されたことを特徴とする、白色発光素子。
【請求項4】
前記白色発光素子は、R12が90%以上であることを特徴とする、請求項3に記載の白色発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明用白色LED素子に係り、より詳しくは、高輝度の青色LEDチップを励起光源とし、高い演色性を有する照明用白色LED素子に関する。
【背景技術】
【0002】
1990年代の後半、青色LEDの商用化に伴い、青色LEDチップを励起光源とし、この波長帯の励起光源を吸収して黄色波長の光を発光するYAG(Yittrium Aluminium Garnet)などの蛍光体を使用する白色LED素子が登場するようになった。この白色LEDは、高輝度を有するという点で有利であるが、青色と黄色の波長間隔が広いため、色分離による閃光効果が現れて色座標の同じ白色LEDの量産に困難があった。特に、照明光源における重要な特性である色温度(Color Temperature;CT)と演色性評価指数(Color Rendering Index;CRI)の調節が非常に難しいという欠点を持つ。このような通常の白色LEDの演色評価指数は75〜80に止まっていた。
【0003】
かかる問題点により、紫外線LEDチップ上にR/G/Bの多層蛍光物質を塗布して白熱電球のように広い領域の発光スペクトルを有するとともに、優れた色安定性を有する白色LED素子が開発された。この白色LEDは、CTとCRIの調節が容易であって、照明用LEDの光源として浮き彫りになった(日本特開第2002−171000号公報)。ところが、UVチップを励起光源とする白色LEDは、青色LEDチップを用いた白色LED素子に比べて輝度が低いという欠点を持っている。
【0004】
一方、その他にも、R/G/BなどのマルチLEDチップを組み合わせて白色を実現する方法があるが、この方法は、チップごとに動作電圧が不均一で、周辺温度に応じてチップの出力が変化して色度座標が変わるなどの欠点を持っている。
【0005】
このように、白色LEDの実現のために様々な方式が開発されてきたが、青色LEDが示す高輝度特性により青色LEDを励起光源とするが、黄色蛍光体の代わりに緑色および赤色蛍光体を使用する白色LEDの研究が行われている(韓国公開特許第2008−0063709号)。この場合、色再現性がある程度増加するが、まだ十分ではない実情である。例えば、前述した緑色および赤色蛍光体を含む白色LEDランプは、R9(Red)やR12(Blue)などの特定の色に対して低い演色性評価指数を示すという欠点を持っている。
【0006】
また、白色LED装置に使用された赤色または緑色蛍光体が外部のエネルギーなどにより損傷するなど、蛍光体材料の不安定性により製品の信頼性が良好ではないという問題点を持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術の問題点を解決しようとするもので、青色LEDチップを励起光源とする高演色性の白色LEDチップを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、高演色性および高い発光輝度の実現のために、各蛍光体の組成および配合比率を最適化して、自然光に近似する白色光を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る白色発光素子は、440nm〜460nmの励起波長を有する青色LEDチップと、前記青色LEDチップの励起波長によって励起されて発光する蛍光体層とを含む白色発光素子であって、前記蛍光体層は、480〜499nmの発光ピーク波長を有する第1蛍光体;500〜560nmの発光ピーク波長を有する第2蛍光体;および600〜650nmの発光ピーク波長を有する第3蛍光体を含むことができる。
【0010】
好ましくは、前記白色発光素子は、平均演色指数が90%以上であり、R12が90%以上である。
【0011】
より好ましくは、前記白色発光素子は、R9が90%以上である。
また、前記白色発光素子は、発光スペクトル上の485〜504nmの範囲でピーク波長が形成できる。
【0012】
好ましくは、前記白色発光素子は、発光スペクトル上で互いに異なる波長帯域のピーク波長が3つ以上形成されてもよい。
【0013】
また、本発明に係る白色発光素子は、440nm〜460nmの励起波長を有する青色LEDチップと、前記青色LEDチップの励起波長によって励起されて発光する蛍光体層とを含む白色発光素子であって、前記蛍光体層は、480〜650nmの範囲内に発光ピーク波長を有する少なくとも3種の蛍光体を含み、前記白色発光素子は、発光スペクトル上の485〜504nmの範囲でピーク波長が形成できる。
【0014】
好ましくは、前記白色発光素子は、発光スペクトル上で互いに異なる波長帯域のピーク波長が3つ以上形成されてもよい。
【0015】
ここで、前記白色発光素子は、平均演色指数が90%以上で且つ演色指数R12が90%以上であってもよく、演色指数R9が90%以上であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明によれば、青色LEDチップを励起光源とする高演色性の白色LEDチップを提供することができる。本発明の白色LEDチップは、特にR9およびR12などの特殊色相に対する高い演色性を示す。
【0017】
特に、本発明は、青色LEDチップを励起光源として適用しながら、各蛍光体の波長帯域の選択および各蛍光体の配合割合の調節を行ってR9とR12の両方が90%以上の高い演色性を持つように実現することにより、より太陽光に近いLED素子の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の好適な実施例に係る白色LED素子を例示的に示す図である。
【
図2】本発明に係る白色LED素子の実施例1〜実施例12を示す。
【
図3】本発明と対比される白色LED素子の比較例1〜比較例12を示す。
【
図4】本発明に係る実施例1〜実施例12に対する演色性評価実験の結果を示す。
【
図5】本発明と対比される比較例1〜比較例12に対する演色性評価実験の結果を示す。
【
図6】本発明に係る実施例1と比較例1に対する発光スペクトルを示す。
【
図7】本発明に係る実施例3と比較例3に対する発光スペクトルを示す。
【
図8】本発明に係る実施例5と比較例5に対する発光スペクトルを示す。
【
図9】本発明に係る実施例7と比較例7に対する発光スペクトルを示す。
【
図10】本発明に係る実施例9と比較例9に対する発光スペクトルを示す。
【
図11】本発明に係る実施例11と比較例11に対する発光スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明と本発明の動作上の利点および本発明の実施によって達成される目的を説明するために、以下では本発明の好適な実施例を例示し、これを参照して考察する。
【0020】
本発明を説明するにあたり、関連する公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にするおそれがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0021】
図1は本発明の好適な実施例に係る白色LED素子を例示的に示す図である。
【0022】
図1を参照すると、LED素子100は、ベース基板110上に装着されたLEDチップ130を含む。前記LED素子100は、金属のような基板(metal PCB)200上に表面実装方式(SMT)でボールグリッド接合210が施されることにより、LEDパッケージを構成することができる。勿論、図示したパッケージ構造は、本発明のLED素子の適用例を例示したもので、本発明は他のパッケージング方式にも適用可能である。
【0023】
前記LED素子100のベース基板110上には所定の形状、例えば円筒状のフレーム170が設置され、前記フレームの内面にはLEDチップ130から放出される光を効率よく反射させるためのリフレクターが設置される。図示してはいないが、前記LEDチップ130の一つの電極はボンディングワイヤーを介在してフレーム170と電気的に接続できる。また、前記LEDチップ130の他の電極はベース基板上の金属配線と電気的に接続できる。
【0024】
前記LEDチップ130としては、440nm乃至460nmのピーク波長を有する発光ダイオードを含む。前記発光ダイオードとしては、InGaN系またはGaN系などの発光ダイオードが使用できる。本発明において、LEDチップの代わりに、レーザーダイオードなどの他の発光素子が使用できるのは当業者ならば誰でも分かることができる。
【0025】
前記LEDチップ130は蛍光体層150によって囲まれている。前記蛍光体層150は、前記LEDチップ130の発光波長によって励起されて所定の波長の光を放出する少なくとも3種の互いに異なる発光ピーク波長を有する蛍光体152、153、154を含む。本発明において、前記蛍光体は、好ましくは粉末として提供される。このため、前記蛍光体層150は、前記蛍光体を分散および固定し且つ前記LEDチップ130を密封する透明樹脂を含むことができる。
【0026】
本発明において、前記透明樹脂としては、通常のシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などが使用できる。
【0027】
本発明において、前記蛍光体152、153、154は、互いに異なる組成の蛍光物質から構成され、互いに異なる発光ピーク波長を有するが、好ましくは、前記蛍光体152、153、154は、480〜650nmの範囲内に互いに異なる発光波長を有する少なくとも3種の蛍光物質を含む。一つの実施例として、本発明において、前記蛍光体152、153、154は、前記LEDチップから放出される光によって励起されて青色光を発する第1蛍光体B、緑色光を発する第2蛍光体G、および赤色光を発する第3蛍光体Rを含む。本発明において、前記第1、第2および第3蛍光体は酸化物または窒化物であることが好ましい。
【0028】
本発明において、前記第1蛍光体は、前記LEDチップ130の発光によって励起されて480〜499nmの範囲でピーク波長を有する光を放出する。前記第1蛍光体の発光ピーク波長は前記LEDチップ130から放出される光のピーク波長よりも大きい。
【0029】
本発明において、前記第1蛍光体Bとしては、青色光を発する蛍光体であって、下記化学式1で表される蛍光物質を使用することが好ましい。
【0030】
(化学式1)
(Ba、Eu)Si
x(O、Cl)
xN
x(1<x<5)
【0031】
本発明において、前記第2蛍光体は、前記LEDチップ130の発光によって励起されて500乃至560nmの範囲でピーク波長を有する光を放出する。前記第2蛍光体としては、緑色光を発する蛍光体であって、下記化学式2〜化学式4で表される蛍光物質を単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0032】
(化学式2)
(Sr、Ba、Ca)
xSiO
2x:Eu(1<x<5)
【0033】
(化学式3)
Si
6−yAl
yO
yN
8−y:Eu(0.1<y<0.5)
【0034】
(化学式4)
Al
8−zLu
zO
12:Ce
++(1<z<5)
【0035】
本発明において、前記第3蛍光体は、前記LEDチップ130の発光によって励起されて600〜650nmの範囲でピーク波長を有する光を放出する。前記第3蛍光体としては、下記化学式5または化学式6で表される蛍光物質を単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0036】
(化学式5)
(Sr、Ca)AlSiN
x:Eu(1<x<5)
【0037】
(化学式6)
CaAlSiN
y:Eu(1<y<5)
【0038】
以下では、本発明に係る高演色性白色発光素子の実施例、およびこれと対比される比較例に対する演色性評価実験の結果を説明する。
【0039】
<実施例1〜12>
本発明に係る実施例1〜12では、第1蛍光体としてはD50が15±3μmである480〜499nmの発光ピーク波長を有する(Ba、Eu)Si
2(O、Cl)
2N
2を、第2蛍光体としてはD50が12±3μmである500〜560nmの発光ピーク波長を有するAl
5Lu
3O
12:Ce
++を、第3蛍光体としてはD50が11±3μmである600〜650nmの発光ピーク波長を有する(Sr、Ca)AlSiN
3:Euをそれぞれ準備した。
【0040】
青色LEDチップ上に、前述したような第1蛍光体、第2蛍光体、第3蛍光体およびシリコーン樹脂を
図2のような割合で混合したスラッジを注入し、温度150〜180℃の熱処理でシリコーン樹脂を硬化させて
図1のような白色LED素子を製作したが、実施例1、3、5、7、9および11は440〜450nmの発光ピーク波長を有するLEDチップを使用し、前記実施例2、4、6、8、10および12は450〜460nmの発光ピーク波長を有するLEDチップを使用した。
【0041】
<比較例1〜12>
比較例1〜12では、第1蛍光体としては430〜470nmの発光ピーク波長を有する(Ba、Eu)Si
2(O、Cl)
2N
2を準備し、第2蛍光体および第3蛍光体としては実施例1〜12と同様の発光ピーク波長および組成を有するものを準備した。
【0042】
青色LEDチップ上に、前述したような第1蛍光体、第2蛍光体、第3蛍光体およびシリコーン樹脂を
図3のような割合で混合したスラッジを注入し、温度150〜180℃の熱処理でシリコーン樹脂を硬化させて
図1のような白色LED素子を製作したが、比較例1、3、5、7、9および11は440〜450nmの発光ピーク波長を有するLEDチップを使用し、比較例2、4、6、8、10および12は450〜460nmの発光ピーク波長を有するLEDチップを使用した。
【0043】
実施例1〜12と比較例1〜12で製作された白色発光素子に対して演色性評価実験を行った。
【0044】
図4は実施例1〜12に係る白色発光素子に対する演色性評価実験の結果を示し、
図5は比較例1〜12に係る白色発光素子に対する演色性評価実験の結果を示す。
【0045】
図4および
図5において、白色LED素子のサンプルの相関色温度(CCT)、輝度および演色性評価指数(CRI)の測定は、各素子に対して65mAの電流を基準として行い、測定装備としてインスツルメント社のCAS140スペクトロメーターおよび大塚電子社製のMCPD装置を使用し、日本工業規格(JIS Z 8726−1990)に準拠して行った。
【0046】
図4の測定結果から分かるように、実施例1〜12では、色温度3000K〜6500Kで演色性指数Raがすべて96%以上であり、さらにR1〜R15の色相指数がすべて90%以上であって安定的且つ均一に高演色性を有する。特に、特定の色相であるR9に対して90%以上であり、高くは98%までの結果値を示した。また、R12に対しても90%以上であり、高くは97%までの結果値を示した。
【0047】
これに対し、
図5の測定結果から分かるように、比較例1〜12では、演色性指数Raが90%〜94%と比較的安定的であったが、実施例1〜12では、比較例1〜12よりも演色性指数Raが5%以上向上した。また、比較例1〜12では、R1〜R15の色相指数の中には60%台まで落ちる数値が見られ、特に、特定の色相であるR9に対しては60%台〜70%台程度、R12に対しても80%台程度に止まっている。よって、実施例1〜12におけるR9とR12が遥かに高いことが分かる。
【0048】
さらに、前述した実施例と比較例に対する発光スペクトルを考察すると、
図6〜
図11は、実施例1、3、5、7、9および11、並びにこれと対比される比較例1、3、5、7、9および11に対する発光スペクトルを示すが、各図面において、(a)は比較例に対する発光スペクトルを示し、(b)は実施例に対する発光スペクトルを示し、(c)は実施例と比較例とを対比した発光スペクトルを示す。
【0049】
図6に示すように、色温度3000K帯域で、実施例1は比較例1よりも480〜510nmの波長帯域の数値が遥かに高く現れることが分かる。
【0050】
ひいては、
図7および
図8を参照すると、色温度3500Kと4000Kの帯域で実施例3および5が比較例3および5に比べて全体的に特殊色相指数(R9〜R15)に対応する発光波長帯域の数値が遥かに高く現れ、
図9〜
図11に示した色温度5000K〜6500K帯域でも実施例7、9および11が比較例7、9および11に比べて全体的に特殊色相指数(R9〜R15)に対応する発光波長帯域の数値が遥かに高く現れることが分かる。
【0051】
図12は
図6〜
図11の発光スペクトルを総合した結果を示すが、
図12の(a)は比較例の発光スペクトルを示し、
図12の(b)は実施例の発光スペクトルを示す。
【0052】
図12の(b)に示すように、本発明に係る実施例の発光スペクトルでは485〜504nmの範囲内でピーク波長が形成されるが、
図12の(a)における比較例の発光スペクトルでは485〜504nmの範囲でピーク波長が存在しないことが分かる。
【0053】
さらに、
図12の(b)に示すように、本発明に係る実施例では、全体的なスペクトル上で互いに異なる波長帯域のピーク波長が3つ以上形成されるが、
図12の(a)における比較例では全体的なスペクトル上で互いに異なる波長帯域のピーク波長が2つ形成されることが分かる。
【0054】
前記発光スペクトルの結果を基に、本発明によって、発光スペクトルで485〜504nmの範囲内のピーク波長が形成されることにより、演色指数R12を90%以上に向上させることができ、485〜504nmの範囲内でピーク波長が形成されることにより、演色指数R9も大幅に向上させることができ、これにより全体的に特殊演色指数R9からR15までを均一に向上させることができる。
【0055】
このような結果から判断すると、440nm〜460nmの励起波長を有する青色LEDチップを使用しながら、第1蛍光体として480〜499nmのピーク波長帯域を有する蛍光体を適用する場合に色温度3000Kから6500K帯域まで全体的に演色指数が均一に現れ、特に演色指数R9とR12が著しく向上できる。
【0056】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎない。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正および変形が可能であろう。したがって、本発明に記載された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、これらの実施例により本発明の技術思想が限定されるのではない。本発明の保護範囲は下記の請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。