(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
炎症性疾患、閉塞性気道疾患、アレルギー、HIVによるレトロウイルス感染、心血管障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオンによる疾患及びアミロイドによる障害から選択される疾患の予防又は治療のための医薬の製造のための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
炎症性疾患、閉塞性気道疾患、アレルギー、HIVによるレトロウイルス感染、心血管障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオンによる疾患及びアミロイドによる障害から選択される疾患の予防又は治療における使用のための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ヒトALX受容体の非ペプチド性アゴニストであるジフルオロエチル−オキサゾール置換架橋スピロ[2.4]ヘプタン誘導体を提供する。ヒトALX受容体に対してアゴニスト活性を有する他の架橋スピロ[2.4]ヘプタン誘導体が、WO2010/134014、WO2011/163502、WO2012/066488、WO2013/009543、WO2013/171694及びWO2013/171687に開示されている。異なる架橋スピロ[2.4]ヘプタン誘導体がWO95/02587に開示されている。本発明の化合物は、炎症性疾患、閉塞性気道疾患、アレルギー、HIVによるレトロウイルス感染、心血管障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオンによる疾患及びアミロイドによる障害(特に、アルツハイマー病)等のALX受容体の調節に反応する疾患の予防又は治療に有用である;加えて、本発明の化合物は、自己免疫疾患の予防又は治療並びに免疫応答(特に、免疫化によって誘起される免疫応答。)の調節に有用である。
【0006】
本発明の種々の態様を以下に記述する:
1) 本発明は、式(I)の化合物及びそのような化合物の塩(特に薬学的に許容される塩)に関する:
【化1】
式中、ピペリジン環における置換基はトランス配置にある。
【0007】
いかなる疑義をも避けるために、態様1)に従う式(I)の化合物の立体配置において、架橋スピロ[2.4]ヘプタン部分における2つのアミド置換基はトランス配置にあり、シクロプロピル部分は、ピペリジン−置換アミドに対して相対的に近接している(exo−位)。
【0008】
いかなる疑義をも避けるために、式(I)の化合物は下記の例と同様に命名される:
構造
【化2】
の純粋な立体異性体は、(1S,2R,3R,4R)−N
2−((4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メチル)−N
3−((3S,4S)−3−フルオロピペリジン−4−イル)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジカルボキサミドと命名される。
【0009】
態様1)に従う式(I)の化合物は、1又は2以上の不斉炭素原子などの、1又は2以上のキラル又は不斉中心を含んでいてもよい。二重結合の置換基は、特に明記しない限り、(Z)−又は(E)−配置で存在してもよい。従って、式(I)の化合物は、立体異性体の混合物として、又は好ましくは純粋な立体異性体として存在してもよい。立体異性体の混合物は当業者に知られた方法で分離してもよい。
【0010】
2) 本発明の好ましい態様は、式(I
ST1)の化合物でもある、態様1)に従う式(I)の化合物及びそのような化合物の塩(特に薬学的に許容される塩)に関する:
【化3】
式中、ピペリジン環における置換基はトランス配置にある。
【0011】
3) 態様1)に定義した式(I)の好ましい化合物は、
(1S,2R,3R,4R)−N
2−((4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メチル)−N
3−((3S,4S)−3−フルオロピペリジン−4−イル)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジカルボキサミド;
又はそのような化合物の塩(特に薬学的に許容される塩)である。
【0012】
4) 態様1)に定義した式(I)の別の好ましい化合物は、
(1S,2R,3R,4R)−N
2−((4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メチル)−N
3−((3R,4R)−3−フルオロピペリジン−4−イル)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジカルボキサミド;
又はそのような化合物の塩(特に薬学的に許容される塩)である。
【0013】
本発明はまた、同位体標識された、特に
2H(デューテリウム)標識された式(I)の化合物をも含み、当該同位体標識された化合物は、1又は2以上の原子が、同じ原子番号を有するが、自然において通常見出される原子量と異なる原子量を有する原子によってそれぞれ置き換えられていることを除いては、式(I)の化合物と同一である。同位体標識された、特に
2H(デューテリウム)標識された式(I)の化合物、及びその塩は、本発明の範囲に含まれる。水素をより重い同位体
2H(デューテリウム)に置換することにより代謝安定性が増大するため、例えば、in−vivoでの半減期が長くなり、あるいは、必要用量を減らすことができ、又は、チトクロームP450酵素の阻害が軽減され得るため、例えば、安全性プロファイルが改善される。本発明の1つの態様においては、式(I)の化合物は同位体標識されていないか、又は、それらは1若しくは2以上のデューテリウム原子によってのみ標識されている。副態様においては、式Iの化合物は全く同位体標識されていない。同位体標識された式Iの化合物は、適切な試薬又は出発物質の適宜な同位体種を用いることを除いては、下記の方法と同様に製造してもよい。
【0014】
「薬学的に許容される塩」という用語は、対象化合物の所望の生物活性を保持し、かつ最小の望ましくない毒性作用を示す塩を意味する。そのよう塩としては、対象化合物中の塩基性基及び/又は酸性基の存在に応じた、無機又は有機の酸及び/又は塩基付加塩が挙げられる。参考としては、例えば、「Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties、Selection and Use.」、P.Heinrich Stahl、Camille G.Wermuth(Eds.)、Wiley−VCH、2008;及び「Pharmaceutical Salts
and Co−crystals」、Johan Wouters and Luc Quere(Eds.)、RSC Publishing、2012を参照されたい。
【0015】
化合物、塩、医薬組成物、疾病等について複数形が使用される場合は、単数の化合物、塩、医薬組成物、疾病等をも意味することが意図されている。
【0016】
態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、医薬としての使用に好適である。特に、式(I)の化合物はALX受容体を調節し、すなわち、ALX受容体アゴニストとして作用し、炎症性疾患、閉塞性気道疾患、アレルギー、HIVによるレトロウイルス感染、心血管障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオンによる疾患、白血病及びアミロイドによる障害(特に、アルツハイマー病)等のALX受容体の活性化に反応する疾患の予防又は治療に有用である;加えて、これらは、免疫応答(特に、免疫化によって惹起される免疫応答)の調節に有用である。
【0017】
特に、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、炎症性疾患、閉塞性気道疾患及びアレルギーから選択される疾患の予防又は治療に好適である。
【0018】
炎症性疾患、閉塞性気道疾患及びアレルギーは、下記の群の疾患及び障害の1つ、幾つか又はすべてを含むが、これらに限定されるものではない:
1) 急性肺障害(ALI);成人/急性呼吸窮迫症候群(ARDS);慢性気管支炎若しくはそれに関連する呼吸困難を含む、慢性閉塞性の肺(pulmonary)、気道又は肺(lung)疾患(COPD,COAD又はCOLD);肺気腫;及び他の薬物治療、特に他の吸入薬物治療に起因する気道過敏性の悪化。特に、炎症性疾患、閉塞性気道疾患及びアレルギーは、COPD,COAD及びCOLDを含む。
【0019】
2) さらに、炎症性疾患、閉塞性気道疾患及びアレルギーは、いかなるタイプの、又はいかなる病因による気管支炎をも包含する。
【0020】
3) さらに、炎症性疾患、閉塞性気道疾患及びアレルギーは、いかなるタイプの、又はいかなる病因による気管支拡張症及び塵肺症をも包含する。
【0021】
4) さらに、炎症性疾患、閉塞性気道疾患及びアレルギーは、内因性(非アレルギー性)喘息及び外因性(アレルギー性)喘息、軽度の喘息、中等度の喘息、重症喘息、気管支炎性喘息、運動誘発喘息、職業性喘息並びに細菌感染に続いて誘発される喘息を含む、いかなるタイプの、又はいかなる病因による喘息をも包含する。
【0022】
5) さらなる態様において、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、特に炎症性疾患の予防又は治療に好適である。炎症性疾患は、下記の群の疾患及び障害の1つ、幾つか又はすべてを含む:
5a) 特に、炎症性疾患は、好中球関連障害、特に、過剰−好中球増多症を含む、気道及び/又は肺に影響を与えるような気道の好中球関連障害を意味する。さらに、好中球関連障害はまた、歯肉炎、歯周炎、糸球体腎炎、嚢胞性線維症をも含む。
【0023】
5b) さらに、炎症性疾患は、乾癬、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ヘルペス状皮膚炎、硬皮症、過敏性血管炎、じんましん、紅斑性狼瘡、円盤状狼瘡及び表皮剥離等の皮膚疾患を含む。
【0024】
5c) さらに、炎症性疾患はまた、炎症相を有する疾患又は状態にも関連する。炎症相を有する疾患又は状態は、ぶどう膜炎(前部、中間部及び後部)、ベーチェット症候群
に伴うぶどう膜炎、結膜炎、角膜乾燥症、シェーグレン症候群に伴う角膜乾燥症及び春季カタル等の眼に影響を与える疾患及び状態;鼻炎及びアレルギー性鼻炎を含む鼻に影響を与える疾患(特にアレルギー性鼻炎);並びに全身性紅斑性狼瘡、強直性脊椎炎、ベーチェット症候群、シェーグレン症候群、多発性軟骨炎、硬皮症、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞動脈炎、好中球性皮膚病、膠原病、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーブンス・ジョンソン症候群、突発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病)、バセドウ病眼症、慢性過敏性肺炎、原発性胆汁性肝硬変、角膜乾燥症及び春季カタル、間質性肺線維症、乾癬性関節炎及び糸球体腎炎;等の自己免疫反応が関連し、又は自己免疫相若しくは自己免疫的な病因を有する炎症性疾患を含むが、これらに限定されるものではない。
【0025】
5d) さらに、自己免疫反応が関連し、又は自己免疫相若しくは自己免疫的な病因を有する炎症性疾患は、関節リウマチ、橋本病及びI又はII型糖尿病を含む。
【0026】
さらに、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、臓器又は組織移植拒絶の予防又は治療、例えば、心臓、肺、心肺、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚又は角膜の被移植者の治療並びに、特に、急性又は慢性の自家−及び異種移植拒絶の治療において又はインスリン産生細胞、例えば膵島細胞の移植において、骨髄移植に続いて時々起るような移植片対宿主病の予防に適している。
【0027】
さらに、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、HIVによるレトロウイルス感染の予防又は治療に好適である。HIVによるレトロウイルス感染は、GUN−4v、GUN−7wt、AG204、AG206、AG208、HCM305、HCM308、HCM342、mSTD104及びHCM309等のHIV−1及びHIV−2株によって引き起こされる疾患及び障害の群の1つ、幾つか又はすべてを含むが、これらに限定されるものではない。
【0028】
さらに、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、心血管障害の予防又は治療に好適である。心血管障害は、(心臓を含む)心血管系統の1又は2以上の病的状態及びそれに係る組織の疾患を意味する。心血管系統の病的状態及び依存性組織の疾患は、突発性心筋症、糖尿病性心筋症を含む代謝性心筋症、アルコール性心筋症、薬剤誘発性心筋症、虚血性心筋症及び高血圧性心筋症等の心筋の障害(心筋症又は心筋炎);大動脈、冠動脈、頸動脈、脳動脈、腎動脈、腸骨動脈、大腿動脈、膝窩動脈等の主要血管のアテローム性疾患(大血管性疾患);網膜細動脈、糸球体細動脈、神経栄養血管、心細動脈、及び目、腎臓、心臓及び中枢及び末梢神経系の関連する毛細血管等の細血管の中毒性、薬剤誘発性及び(高血圧性及び/又は糖尿病性を含む)代謝性障害(微小血管障害);並びに大動脈、冠動脈、頸動脈、脳動脈、腎動脈、腸骨動脈、大腿動脈、膝窩動脈等の主要血管のアテローム病変のプラーク破裂を含むが、これらに限定されるものではない。
【0029】
さらに、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、神経炎症の予防又は治療に好適である。神経炎症は、細胞情報伝達分子の産生、グリア若しくはグリアの活性化経路及び反応の活性化、炎症促進性サイトカイン若しくはケモカイン、アストロサイト若しくはアストロサイトの活性化経路及び反応の活性化、ミクログリア若しくはミクログリアの活性化経路及び反応の活性化、一酸化窒素合成酵素の産生及び一酸化窒素の蓄積、急性期タンパク質、シナプトフィジン及びシナプス後肥厚部タンパク95(PSD−95)の喪失、補体カスケードの構成要素、シナプス機能の喪失若しくは減少、プロテインキナーゼ活性(例えば、細胞死関連プロテインキナーゼ活性)、行動障害、細胞損傷(例えば、神経細胞損傷)、細胞死(例えば、神経細胞死)及び/又はアミロイド班のアミロイドβ沈着等の酸化ストレス関連反応を意味する。
【0030】
さらに、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、神経障害の予防又は治療に好適である。特に、神経障害は、てんかん、脳卒中、脳虚血、脳性麻痺、再発型多発性硬化症、進行型多発性硬化症、視神経脊髄炎、臨床的に孤発した症候群(clinically isolated syndrome)、アルパース病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、老年認知症、レビー小体型認知症、レット症候群、脊髄外傷、外傷性脳損傷、三叉神経痛、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、ギラン−バレー症候群、舌咽神経痛、ベル麻痺、重症筋無力症、筋ジストロフィー、進行型筋萎縮症、進行型延髄遺伝性筋萎縮症、ヘルニア性、破裂性若しくは脱出性椎間板症候群、頸椎症、神経叢疾患、胸郭出口破壊症候群、末梢神経障害、軽度の認知機能低下、認知機能低下、アルツハイマー病、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病を含むが、これらに限定されるものではない。
【0031】
さらに、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、疼痛の予防又は治療に好適である。疼痛は、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、有痛性糖尿病性多発神経障害、卒中後痛、切断後痛、骨髄障害性若しくは神経根性疼痛、非定形顔面痛及びカウザルギー様症候群等の状態を例とする神経因性疼痛を含むが、これらに限定されるものではない。
【0032】
さらに、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、プリオンによる疾患の予防又は治療に好適である。プリオンによる疾患は、伝達性海綿状脳症(TSE)としても知られており、クールー、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)及びクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0033】
さらに、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、アミロイドによる障害の治療に好適である。アミロイドによる障害は、アミロイド又はアミロイド様タンパク質により引き起こされ、又はこれらと関連する疾患又は障害と定義される。アミロイド又はアミロイド様タンパク質により引き起こされるか又はこれらと関連する疾患又は障害は、軽度の認知障害(MCI)等の認知記憶能力の喪失により特徴づけられる疾患又は状態を含む、アルツハイマー病(AD);レビー小体型認知症;ダウン症;アミロイドーシスを伴う脳内出血を含むが、これらに限定されるものではない。別の態様においては、アミロイド又はアミロイド様タンパク質により引き起こされるか又はこれらと関連する疾患又は障害は、進行性核上性麻痺、アミロイド軽鎖アミロイド症、家族性アミロイドニューロパチー、多発性硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、血管性認知症、HIV−関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、封入体筋炎(IBM)、成人発症型糖尿病及び老人性心アミロイドーシス)を含む。
【0034】
さらに、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、免疫応答の調節に好適である。免疫応答の調節は、少なくとも1つの抗原と少なくとも1つの態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組成物を対象に投与することに基づく方法を含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの場合においては、抗原含有組成物を最初に投与し、次いで、少なくとも1つの態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組成物を投与する。他の場合においては、抗原含有組成物が最後に投与される。異なる組成物の投与は、同時に行ってもよく、連続的に行ってもよく、又は異なる時間に行ってもよい。これらの方法及び組成物は、治療的及び予防的免疫化(すなわち、獲得及び/又は自然免疫応答の意図的な誘発、増強(enhancement)、強化(intensification)又は調節)のために供されるものである。特記すべき利点として、以下の1又は2以上を含みうる:
1) 抗原を単独で投与した場合と比較した、態様1)〜4)に従う少なくとも1つの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び抗原の投与に続く免疫応答の促進;
2) 少量の抗原(例えば、毒素又は病原体)、又は通常強い免疫応答を惹起しない抗原に対する感受性の増強;及び
3) より効果的な抗腫瘍治療。
【0035】
さらに、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、嚢胞性線維症、肺線維症、肺高血圧、創傷治癒、糖尿病性腎症、移植組織における炎症の軽減、病原微生物により引き起こされる炎症性疾患の予防又は治療に好適である。
【0036】
特に、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記の群の疾患及び障害の1つ、幾つか又はすべてから選択される疾患の予防又は治療に好適である:
1) 急性肺障害(ALI);成人/急性呼吸窮迫症候群(ARDS);慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎及びそれに伴う呼吸困難を含む気道又は肺疾患(COPD、COAD又はCOLD)、並びに内因性(非アレルギー性)喘息及び外因性(アレルギー性)喘息、軽度の喘息、中等度の喘息、重症喘息、気管支炎性喘息、運動誘発喘息、職業性喘息及び細菌感染に続いて誘発される喘息を含む、いかなるタイプの、又はいかなる病因によるかを問わない喘息等の炎症性疾患、閉塞性気道疾患及びアレルギー;
2) 好中球関連障害、特に、過剰−好中球増多症を含む、気道及び/又は肺に影響を与えるような気道の好中球関連障害;歯周炎;糸球体腎炎;嚢胞性線維症;等の炎症性疾患及び乾癬、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ヘルペス状皮膚炎、硬皮症、過敏性血管炎、じんましん、紅斑性狼瘡及び表皮剥離;等の皮膚病;
3) 結膜炎、角膜乾燥症及び春季カタル等の眼に影響を与える疾患及び状態;自己免疫反応が関連し、又は自己免疫相若しくは自己免疫的な病因を有する炎症性疾患;並びに自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病);等の炎症相を有する疾患;
4) GUN−4v、GUN−7wt、AG204、AG206、AG208、HCM305、HCM308、HCM342、mSTD104及びHCM309等のHIV−1及びHIV−2株によって引き起こされる疾患及び障害等のHIVによるレトロウイルス感染;
5) 細胞情報伝達分子の産生、グリア又はグリアの活性化経路及び反応の活性化、炎症促進性サイトカイン又はケモカイン、アストロサイト又はアストロサイトの活性化経路及び反応の活性化、ミクログリア又はミクログリアの活性化経路及び反応の活性化、アミロイド班のアミロイドβ沈着等の酸化ストレス関連反応に関連する神経炎症;
6) 脳卒中、脳虚血、アルツハイマー病及びパーキンソン病等の神経障害;
7) 伝達性海綿状脳症(TSE)としても知られている、クールー、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)及びクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)等のプリオンによる疾患;
8) アミロイドによる障害;
9) 嚢胞性線維症、創傷治癒及び病原微生物により引き起こされる炎症性疾患。
【0037】
最も好ましくは、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、急性肺障害(ALI);喘息;嚢胞性線維症;角膜乾燥症;炎症性腸疾患;関節リウマチ;及びアルツハイマー病からなる群より選択される疾患の予防又は治療に好適である。
【0038】
本発明はまた、上記の疾患の治療及び/又は予防のための医薬組成物の製造のための態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物の使用に関する。
【0039】
本発明はまた、態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物の、薬学的に許容される塩並びに医薬組成物及び製剤に関する。
【0040】
本発明に従う医薬組成物は、活性成分としての態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物の少なくとも1つ(又は、その薬学的に許容される塩)と、任意に、担体及び/又は希釈剤及び/又はアジュバントとを含む。
【0041】
態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩は、医薬として、たとえば(特に経口等の)経腸又は(局所的適用又は吸入を含む)非経口投与のための医薬組成物の形態で使用することができる。
【0042】
医薬組成物の製造は、いずれの当業者によく知られた様式で(例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、21st Edition(2005)、Part 5、「Pharmaceutical Manufacturing」[Lippincott Williams & Wilkinsにより出版]参照。)、記載される式(I)の化合物又はこれらの薬学的に許容される塩を、任意にその他の治療的に有益な物質と組み合わせて、適切な無毒の不活性な治療上適合性のある固体又は液体の担体材料、及び必要に応じて、通常の薬学的アジュバントと共に、製剤投与形態とすることにより遂行することができる。
【0043】
本発明はまた、薬学的に活性な量の態様1)〜4)のいずれか1つに従う式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、本明細書に言及した疾患又は障害の予防又は治療方法に関する。
【0044】
本明細書における、式I又はI
ST1の化合物に対するいかなる言及も、適宜かつ文脈に応じて、そのような化合物の塩(特に、薬学的に許容される塩)にも言及しているものと解される。式Iの化合物に対して示した好適性は、当然のことながら、式I
ST1の化合物並びに式I又は式I
ST1の化合物の塩及び薬学的に許容される塩にも適宜準用される。同様のことが、医薬としてのこれらの化合物に、これらの化合物を活性成分として含む医薬組成物に、又は疾患の治療のための医薬の製造のためのこれらの化合物の使用に適用される。
【0045】
温度に関して使用されていない場合には、数値「X」の前に置かれる「約」(あるいは「およそ」)という用語は、本出願において、X−10%XからX+10%Xの間、好ましくはX−5%XからX+5%Xの間を表す。温度の特定の場合には、温度「Y」の前に置かれる「約」(あるいは「およそ」)という用語は、この出願において、Y−10℃からY+10℃の間、好ましくはY−5℃からY+5℃の間を表す。さらに、ここで使用される「室温」(rt)という用語は、約25℃の温度を意味する。
【0046】
数値の範囲を記述するために「間」という単語が使用される場合は常に、示された範囲の末端の点は明示的にその範囲に含まれると解される。これは、例えば、温度範囲が40℃と80℃の間であると記述される場合、末端の点である40℃と80℃はその範囲に含まれることを意味し;あるいは、可変数が1と4の間の整数であると定義される場合、可変数は整数の1、2、3又は4であることを意味する。
【0047】
式(I)の化合物は、実施例に示された方法によって、又は類似の方法によって製造することができる。最適反応条件は、使用する具体的反応物又は溶媒によって変わるが、このような条件は、当業者により、ルーチンの最適化手順によって決定することができる。
【0048】
実験の部(この項において、及び明細書の上記の部分において使用される)略語:
Ac アセチル
AcCN アセトニトリル
AcOH 酢酸
aq. 水溶液
Boc tert−ブトキシカルボニル
bp 沸点
ca. 約
COAD 慢性閉塞性気道疾患
COLD 慢性閉塞性肺疾患
COPD 慢性閉塞性肺疾患
DAD ダイオードアレイ検出
DEA ジエチルアミン
Deoxo−Fluor ビス(2−メトキシエチル)アミノ硫黄トリフルオリド
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMEM ダルベッコ変法イーグル培地
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EA 酢酸エチル
EC
50 半数効果濃度
EDC N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−
エチル−カルボジイミド
ELSD 蒸発光散乱検出器
eq. 当量
Et エチル
Et
2O ジエチルエーテル
Et
3N トリエチルアミン
EtOH エタノール
FC シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー
FLIPR 蛍光イメージングプレートリーダー
FPRL1 ホルミルペプチド受容体様受容体−1
FPRL2 ホルミルペプチド受容体様受容体−2
h 時間
Hank’s BSS ハンクス平衡塩類溶液
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−
ピペラジンエタンスルホン酸
hept ヘプタン
HIV ヒト免疫不全ウイルス
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
IpAc 酢酸イソプロピル
LC−MS 液体クロマトグラフィー−質量分析
lem 発光波長
lex 励起波長
Me メチル
MeOH メタノール
min 分
(m)M ミリモル
μM マイクロモル
MPLC 中圧液体クロマトグラフィー
MS 質量分析
nm ナノメーター
nM ナノモル
NMR 核磁気共鳴
org. 有機
p パラ
PG 保護基
rf 保持係数
rpm 分当たりの回転数
rt 室温
sat. 飽和した
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMS トリメチルシリル
t
R 保持時間
UV 紫外線
Vis 可視
【0049】
I−化学
全般。すべての温度は摂氏温度(℃)で示す。別段の記載が無い限り、反応はrtで行う。
【0050】
分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、0.2mmプレート:Merck、Silica gel 60 F
254を用いて行った。分取用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、0.2又は0.5mmプレート:Merck、Silica gel 60 F
254を用いて行った。検出は、UV、又はKMnO
4(3g)、K
2CO
3(20g)、NaOH5%(3mL)及びH
2O(300mL)の溶液を用い、次いで加熱することにより行った。
【0051】
フラッシュカラムクロマトグラフィー(FC)及びろ過は、Silica gel 60 Merck(0.063−0.200mm)又はMacherey−Nagel シリカゲル(0.063−0.200mm)を用いて行った:溶出は、EA、Et
2O、hept、ヘキサン、石油エーテル、CH
2Cl
2、CHCl
3、MeOH、NH
4OH又はこれらの混合物を用いて行った。
【0052】
MPLCは、international sorbent technologyの、isolute(登録商標)SPE Flash SI IIカラムを用い、溶出は、EA、Et
2O、hept、ヘキサン、CH
2Cl
2、CHCl
3、MeOH、NH
4OH又はこれらの混合物を用いて行った。
【0053】
LC−MS−条件01(別段の記載が無い限り):分析用:Agilent 1100
Binary Pump及びDADを備えたThermo Finnigan MSQ
Plus MS。カラム:Agilent TechnologiesのZorbax
SB−AQ 5μm、4.6x50mmID。溶出液:A:H
2O+0.04%TFA;B:CH
3CN;勾配:1分に渡り5%Bから95%Bへ。流速:4.50mL/min。検出:UV/Vis及び/又はELSD及びMS、t
Rはmin.で示す。
【0054】
LC−MS−条件02(別段の記載が無い限り):分析用:ポンプ:Dionex HPG−3000 Binary Pump、MS: Thermo MSQ MS、DA
D: Dionex 3000RS、ELSD: Sedere Sedex 85。カラム: Dionex TCC−3200コンパートメント内で温度制御された、Waters のAtlantis T3、5μm、4.6x30mm。溶出液:A:H
2O+0.04%TFA;B:CH
3CN;勾配:1.00minに渡り5%Bから95%Bへ。流速:4.5mL/min。検出:UV/Vis及び/又はELSD及びMS、t
Rはmin.で示す。
【0055】
LC−MS−条件03(別段の記載が無い限り):分析用。ポンプ:Dionex HPG−3200RS、MS:Thermo MSQ Plus、DAD:Dionex DAD−3000RS、ELSD:Sedere Sedex 85。カラム:Dionex TCC−3200コンパートメント内で温度制御された、Agilent TechnologiesのZorbax SB−AQ 3.5μm、4.6x50mmID。溶出液:A:H
2O+0.04%TFA;B:CH
3CN。方法:勾配:1.00分に渡り5%Bから95%Bへ。流速:4.5mL/min。検出:UV/Vis及び/又はELSD、及びMS、t
Rはmin.で示す。
【0056】
LC−MS−条件4(別段の記載が無い限り):分析用。ポンプ:Agilent G4220A、MS:Thermo MSQ Plus、DAD:Agilent G4212A、ELSD:Sedere Sedex 90。カラム:Dionex TCC−3200コンパートメント内で温度制御された、Agilent TechnologiesのZorbax SB−AQ 3.5μm、4.6x50mmID。溶出液:A:H
2O+0.04%TFA;B:CH
3CN。溶出液の調整(Eluent MakeUp):CH
3CN/H
2O 7:3を0.250mL/minで。方法:勾配:1.07minに渡り5%Bから95%Bへ。流速:4.5mL/min。検出:UV/Vis及び/又はELSD及びMS、t
Rはmin.で示す。
【0057】
分取用HPLC:WatersのX−Bridge C18 5μm、50x19mmID。溶出液:A:H
2O+0.5%NH
4OH;B:CH
3CN;勾配:5minに渡って10%Bから90%Bへ。流速:40.0mL/min。検出:UV/Vis及び/又はELSD、及びMS、t
Rはmin.で示す。
【0058】
キラルHPLC、分析用:(R,R)Whelk−O1 250x4.6mmID、5μm。溶出液A(80%):ヘプタン+0.05%DEA。溶出液B(20%):エタノール+0.05%DEA。流速:0.8mL/min。検出:UV/Vis、t
Rはmin.で示す。
【0059】
NMR:Bruker Avance 400(400MHz);Varian Mercury 300(300MHz);化学シフトは、使用する溶媒と関連して、ppmで示す;多重度:s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、p=五重項、hex=六重項、hept=七重項、m=多重項、br=広域、結合定数はHzで示す。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は本発明を説明するものであり、その範囲を限定するものではまったくない。
【0061】
中間体の合成:
一般的手順A:Boc脱保護
ガラスバイアル内で、不活性雰囲気下(N
2)、Boc−保護アミン(1.0eq.)をCH
2Cl
2中に溶解したものを、ジオキサン中4N HCl(10.0eq.)で処理し、反応混合物を、反応が完結するまで0℃又はrtで撹拌した。次いで、反応混合物を
減圧下で濃縮し、必要に応じて残渣をFC又はHPLCで精製し、所望の化合物を得た。
【0062】
スピロ[2.4]ヘプタ−4,6−ジエン:
【化4】
磁気攪拌棒を備えた、火炎乾燥した丸底スラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(18.0g、78mmol)を50%NaOH水溶液(1.2L)中に混合したものを、45℃に加熱した。シクロペンタジエン(シクロペンタジエン二量体の180℃におけるクラッキングにより形成、140mL、1.70mol)を1,2−ジクロロエタン(122mL、1.55mol)中に溶解した冷溶液を、内部温度を55℃未満に保ちながら、攪拌したNaOH溶液に加えた。添加完了後(ca.1.75h)、反応混合物を50℃にて2h攪拌し、rtに冷ました。層を分離し、有機層を1M NaOHで洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、ろ過した。粗製の茶色の液体を減圧下で蒸留し(85−95mbar)、表題化合物を無色の液体として得た(80mbarにおいてbp=45−50℃)。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ6.58(m、2H)、6.19(m、2H)、1.71(s、4H)。
【0063】
Diels Alder反応−(5R,6R)−5,6−ビス−[(1−(1S)−エトキシカルボニル)−エトキシ−カルボニル]−(4S,7R)−[4,7−エテニレン−スピロ[2.4]ヘプタン]の形成:
【化5】
磁気攪拌棒を備えた、火炎乾燥した丸底スラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、(E)−1,2−ビス−[((1S)−1−エトキシカルボニル)−エトキシ−カルボニル]−エテン(7.40g、22.7mmol)をn−ヘキサン(76mL)中に溶解したものに、スピロ[2.4]ヘプタ−4,6−ジエン(3.14g、34.0mmol)をrtにて加えた。反応混合物をこの温度で一晩攪拌した。混合物を減圧下で濃縮し、粗製の残渣をFC(hept/EA、9:1)で精製した。表題化合物を薄黄色のオイルとして得た。TLC:rf(hept/EA、9:1)=0.25。LC−MS−条件01:t
R=1.12min;[M+H]
+=409.00。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ6.44(dd、J=5.5、3.0Hz、1H)、6.32(dd、J=5.5、2.8Hz、1H)、5.12(q、J=7.1Hz、1H)、5.06(q、J=7.1Hz、1H)、4.28−4.14(m、4H)、3.76(app.t、J=4.0Hz、1H)、2.92(d、J=4.8Hz、1H)、2.86(m、1H)、2.80(m、1H)、1.55−1.47(m、6H)、1.29(t、J=7.3Hz、3H)、1.29(t、J=7.3Hz、3H)、0.70(m、1H)、0.56−0.44(m、3H)。
【0064】
けん化−(4S,7R)−[4,7−エテニレン−スピロ[2.4]ヘプタン]−(5R,6R)−5,6−ビス−カルボン酸の形成:
【化6】
【0065】
(5R,6R)−5,6−ビス−[(1−(1S)−エトキシカルボニル)−エトキシ−カルボニル]−(4S,7R)−[4,7−エテニレン−スピロ[2.4]ヘプタン](9.51g、23.28mmol)をTHF/H
2O(1:1、232mL)中に溶解したものに、LiOH(3.91g、93.13mmol)を加えた。反応混合物をrtにて一晩攪拌した。1N HCを加え、反応混合物のpHをpH=3に調整し、層を分離し、水層をEA(3x)で抽出した。有機性抽出物を合わせたものをMgSO
4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗製の残渣をFC(CH
2Cl
2/MeOH、9:1)で精製し、表題化合物を無色のオイルとして得た。TLC:rf(CH
2Cl
2/MeOH、9:1)=0.31。LC−MS−条件01:t
R=0.72min;[M+CH
3CN+H]
+=250.18。
【0066】
ヨードラクトン化−6−ヨード−2−オキソヘキサヒドロスピロ[3,5−メタノシクロペンタ[b]フラン−4,1’−シクロプロパン]−7−カルボン酸の形成:
【化7】
(4S,7R)−[4,7−エテニレン−スピロ[2.4]ヘプタン]−(5R,6R)−5,6−ビス−カルボン酸(5.60g、22.32mmol)をCH
2Cl
2(33mL)中に溶解したものに、NaHCO
3(2.06g、24.56mmol)、水(100mL)、KI(1.37g、82.60mmol)及びI
2(6.80g、26.79mmol)を加えた。反応混合物をrtにて3h攪拌した。反応を飽和Na
2S
2O
3水溶液の添加によりクェンチした。層を分離し、水層をCH
2Cl
2(3x)で抽出した。有機性抽出物を合わせたものをMgSO
4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗製のフォームをFC(EA)により精製し、表題化合物を白色の固体として得た。TLC:rf(EA)=0.33。
【0067】
エステル化−メチル 6−ヨード−2−オキソヘキサヒドロスピロ[3,5−メタノシクロペンタ[b]フラン−4,1’−シクロプロパン]−7−カルボキシレートの形成:
【化8】
磁気攪拌棒を備えた、火炎乾燥した丸底スラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、6−ヨード−2−オキソヘキサヒドロスピロ[3,5−メタノシクロペンタ[b]フラン−4,1’−シクロプロパン]−7−カルボン酸(5.00g、14.96mmol)を乾燥MeOH(75mL)中に溶解したものに、TMSCH
2N
2(ヘキサン中2.0M、37.0mL、74.83mmol)を加えた。反応混合物をrtにて一晩攪拌し、減圧下で濃縮し、FC(hept/EA、4:1)で精製し、表題化合物を白色の固体として得た。TLC:rf(hept/EA、4:1)=0.18。
【0068】
レトロ−ヨードラクトン化−(6R)−6−メトキシカルボニル−(4S,7R)−[4,7−エテニレン−スピロ[2.4]ヘプタン]−(5R)−5−カルボン酸の形成:
【化9】
磁気攪拌棒を備えた、火炎乾燥した丸底スラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、メチル 6−ヨード−2−オキソヘキサヒドロスピロ[3,5−メタノシクロペンタ[b]フラン−4,1’−シクロプロパン]−7−カルボキシレート(2.86g、8.21mmol)を酢酸(29mL)中に溶解したものに、亜鉛粉末(8.06g、123.23mmol)を加えた。反応混合物を65℃にて4h攪拌し、rtに冷却し、ろ過し、水とEAの間で分画した。層を分離し、水層をEA(3x)で抽出した。有機性抽出物を合わせたものを塩水(brine)で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗製の残渣をFC(hept/EA、1:1)で精製し、表題化合物を無色のオイルとして得た。TLC:rf(1:1、hept/EA)=0.41。
【0069】
二重結合の還元−(6R)−6−メトキシカルボニル−(4S,7R)−[4,7−エチレン−スピロ[2.4]ヘプタン]−(5R)−5−カルボン酸の形成:
【化10】
磁気攪拌棒を備えた、火炎乾燥した丸底スラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、(6R)−6−メトキシカルボニル−(4S,7R)−[4,7−エテニレン−スピロ[2.4]ヘプタン]−(5R)−5−カルボン酸(220mg、0.99mmol)、Pd/C10%(44mg)及びシクロヘキセン(0.20mL、1.98mmol)を
乾燥THF(2.5mL)中に懸濁した脱酸素懸濁液を、還流下にて2h攪拌した。反応混合物をセライトを通してろ過し、フィルターケークをTHFで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮し、表題化合物を白色の固体として得た。TLC:rf(hept/EA、2:3)=0.48。
【0070】
2−(クロロメチル)オキサゾール−4−カルバルデヒド:
磁気撹拌棒を備えた火炎乾燥した丸底フラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、メチル 2−(クロロメチル)オキサゾール−4−カルボキシレート(25.00g、142.00mmol)をCH
2Cl
2(475mL)中に溶解した−78℃に冷却した溶液に、CH
2Cl
2中の1M 水素化ジイソブチルアルミニウム(285.00mL、285.00mmol)を添加した。反応混合物を−78℃にて3h撹拌した。メタノール(125mL)を注意深く加え、反応混合物をrtに温めた。次いで、反応混合物をCH
2Cl
2(500mL)で希釈し、Rochelle塩の飽和水溶液で洗浄した。有機層をMgSO
4上で乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で除き、表題化合物をオレンジ色のオイルとして得た。LC−MS−条件02:t
R=0.40min;[M+CH3CN+H]
+=187.44。
【0071】
1−(2−(クロロメチル)オキサゾール−4−イル)エタノール:
磁気撹拌棒を備えた火炎乾燥した丸底フラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、2−(クロロメチル)オキサゾール−4−カルバルデヒド(18.10g、124.36mmol)をCH
2Cl
2(625mL)中に溶解したものを、0℃にて、トリメチルアルミニウム(ヘプタン中の2M溶液を311.00mL、621.80mmol)で処理した。次いで、反応混合物を0℃にて60min撹拌した。次いで、飽和NH
4Cl水溶液を添加し、水層をCH
2Cl
2で2回、そしてEAで2回抽出した。有機抽出物を合わせたものをMgSO
4上で乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で除いた。粗製残渣をFC(hept/EA、3:7)で精製し、表題化合物を黄色のオイルとして得た。TLC:rf(hept/EA、3:7)=0.38。LC−MS−条件02:t
R=0.43min,[M+H]
+=162.12。
【0072】
1−(2−(クロロメチル)オキサゾール−4−イル)エタノン:
磁気撹拌棒を備えた火炎乾燥した丸底フラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、1−(2−(クロロメチル)オキサゾール−4−イル)エタノール(14.90g、92.20mmol)をAcCN(458mL)中に溶解したものを、rtにて、MnO
2(44.54g、461.00mmol)で処理した。反応混合物をrtにて5h撹拌した後、セライトを通してろ過した。溶媒を減圧下で除いた。粗製残渣をMPLC(hept/EA,1:1)で精製し、表題化合物を白色の固体として得た。TLC:rf(hept/EA、1:1)=0.50。LC−MS−条件02:t
R=0.47min、[M+H]
+=160.11。
【0073】
2−(クロロメチル)−4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール:
磁気撹拌棒を備えた火炎乾燥した丸底フラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、CH
2Cl
2(2.5mL)中の1−(2−(クロロメチル)オキサゾール−4−イル)エタノン(1.55g、9.71mmol)を、Deoxo−Fluor(トルエン中の50%溶液を14.30mL、38.90mmol)で処理し、45℃にて72h撹拌した。溶液を0℃に冷却し、1M NaOH水溶液(35mL)を注意深く加え(発熱(exotermic))、得られた混合物をCH
2Cl
2で希釈した。層を分離し、有機層を飽和NaCl水溶液及び水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で除いた。残渣をFC(hept/IpAc 5:1)で精製し、表題化合物を黄色のオイルとして得た。LC−MS−条件03:t
R=0.72min,[M+H]
+=182.06。
【0074】
2−(アジドメチル)−4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール:
磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、アジ化ナトリウム(380mg、5.78mmol)を、2−(クロロメチル)−4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール(1.00g、5.51mmol)をDMF(25mL)中に溶解したものに添加し、80℃に4h加熱した。反応混合物を水で希釈し、Et
2Oで抽出した。有機相をMgSO
4上で乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で除き、表題化合物を黄色のオイルとして得た。LC−MS−条件04:t
R=0.73min、[M+H]
+=189.35。
【0075】
(4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メタンアミン:
磁気撹拌棒及び凝縮器を備えた丸底フラスコ内において、2−(アジドメチル)−4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール(1.253g、6.66mmol)をTHF(90mL)中に溶解したものに、トリフェニルホスフィン ポリスチレン(1.60mmol/g、100−200メッシュ、2.096g、7.99mmol)及び水(5mL)を添加した。得られた混合物を60℃に3h加熱した。混合物をろ過し、ろ液をMgSO
4上で乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で除き、表題化合物を得た。LC−MS−条件04:t
R=0.24min、[M+H]
+=163.21。
【0076】
(4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メタンアミンとのカップリング−(1R、2R,3R,4S)−メチル 3−(((4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メチル)カルバモイル)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−カルボキシレートの形成:
【化11】
磁気撹拌棒を備えた火炎乾燥した丸底フラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、(6R)−6−メトキシカルボニル−(4S,7R)−[4,7−エチレン−スピロ[2.4]ヘプタン]−(5R)−5−カルボン酸(1.00g、4.46mmol)を乾燥CH
2Cl
2(16mL)中に溶解したものに、3滴のDMF及び塩化オキサリル(0.426mL、4.93mmol)を加えた。反応混合物をrtにて60分間撹拌し、減圧下で濃縮した。(4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メタンアミン(0.723g、4.46mmol)をピリジン(1.08mL)中に溶解したものに、塩化アシルをアセトン(6mL)中に溶解したものを添加し、反応混合物をrtにて1h撹拌し、EAで希釈し、1N HCl水溶液、飽和NaHCO
3水溶液及び塩水で連続的に洗浄した。有機層をMgSO
4上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をFC(heptからhept/EAへ、7:3)で精製し、表題化合物を黄色のオイルとして得た。LC−MS−条件04:t
R=0.84min;[M+H]
+=369.20。
【0077】
(1R,2R,3R,4S)−3−(((4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メチル)カルバモイル)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−カルボン酸:
【化12】
(1R,2R,3R,4S)−メチル 3−(((4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メチル)カルバモイル)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−カルボキシレート(1.27g、3.45mmol)をTHF(20mL)中に溶解したものに、aq.2N NaOH(16.00mL、32.00mmol)を添加した。反応混合物を反応が完結するまでrtで撹拌した。次いで、混合物をaq.1N HCl中に注ぎ、EA(3x)で抽出した。有機性抽出物を合わせたものを塩水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、表題化合物を白色のフォームとして得た。LC−MS−条件04:t
R=0.75min;[M+H]
+=355.25。
【0078】
tert−ブチル 3−フルオロ−4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート:
磁気攪拌棒を備えた、火炎乾燥した丸底スラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、tert−ブチル 4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(5.00g、25.09mmol)を乾燥DMF(25mL)中に溶解したものに、クロロトリメチルシラン(5.77mL、45.17mmol)、次いでEt
3N(8.38mL、60.23mmol)をrtにて加えた。反応混合物を80℃にて24h攪拌した。次いで、混合物をrtに冷却し、ヘキサンで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄した。層を分離し、有機層をMgSO
4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をFC(ヘキサン/EA、9:1)で精製し、tert−ブチル 4−((トリメチルシリル)オキシ)−5,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレートを無色のオイルとして得た。TLC:rf(ヘキサン/EA、9:1)=0.50。
【0079】
磁気攪拌棒を備えた、火炎乾燥した丸底スラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、tert−ブチル 4−((トリメチルシリル)オキシ)−5,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレート(5.00g、18.40mmol)を乾燥アセトニトリル(25mL)中に溶解したものに、1−(クロロメチル)−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン ジテトラフルオロボレート(7.55g、20.3mmol)をrtにて加えた。反応混合物をrtにて2h乾燥し、次いでEA中に注ぎ、1%NaHCO
3水溶液と塩水で連続的に洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をFC(ヘキサン/EA、4:1)で精製し、表題化合物を薄黄色の固体として得た。LC−MS−条件03:t
R=0.55min;[M−CH
3+H]
+=203.23;TLC:rf(ヘキサン/EA、4:1)=0.17。
【0080】
トランス−tert−ブチル 4−アミノ−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート及びシス−tert−ブチル 4−アミノ−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート:
磁気撹拌棒を備えた火炎乾燥した丸底フラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、tert−ブチル 3−フルオロ−4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(0.80g、3.68mmol)をMeOH(10mL)中に溶解したものに、酢酸アンモニウム(1.99g、25.80mmol)を加え、得られた溶液をrtで2h撹拌した。
次いで、NaCNBH
3(0.29g、4.42mmol)を加え、溶液をrtで一晩撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、有機物を1%Na
2CO
3水溶液からEAで抽出した。有機性抽出物を合わせて、塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をFC(CH
2Cl
2/MeOH、9:1)で精製し、トランス−tert−ブチル 4−アミノ−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレートを最初に溶出するジアステレオマーとして、及びシス−tert−ブチル 4−アミノ−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレートを2番目に溶出するジアステレオマーとして、その双方を自然に固化する無色のオイルとして得た。トランス体のジアステレオマー:LC−MS−条件03:t
R=0.48min;[M−CH
3+H]
+=204.25;TLC:rf(CH
2Cl
2/MeOH、9:1)=0.30。シス体のジアステレオマー:LC−MS−条件03:t
R=0.46;[M+H]
+=219.26;TLC:rf(CH
2Cl
2/MeOH、9:1)=0.09。
【0081】
実施例の製造:
tert−ブチル 4−((1R,2R,3R,4S)−3−(((4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メチル)カルバモイル)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−イルカルボキサミド)−3,4−トランス−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート:
【化13】
磁気撹拌棒を備えた火炎乾燥した丸底フラスコ内において、不活性雰囲気下(N
2)、(1R,2R,3R,4S)−3−(((4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メチル)カルバモイル)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−カルボン酸(0.200g、0.564mmol)をCH
2Cl
2(8.5mL)中に溶解したものに、トランス−tert−ブチル 4−アミノ−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.148g、0.677mmol)、EDC HCl(0.224g、1.130mmol)、HOBt(0.092g、0.68mmol)及びDIPEA(0.29mL、1.69mmol)を添加した。反応混合物を反応が完結するまでrtで撹拌した。次いで、水を添加し、層を分離し、有機層をMgSO
4上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。ジアステレオマーをFC(EA/ヘキサンs、7:3)で分離した。最初に溶出するジアステレオマー:LC−MS−条件04:t
R=0.90min;[M+H]
+=555.29;TLC:rf(ヘキサン/EA、3:7)=0.54。2番目に溶出するジアステレオマー:LC−MS−条件04:t
R=0.90min;[M+H]
+=555.30; TLC:rf(ヘキサンs/EA、3:7)=0.35。
【0082】
実施例1:(1S,2R,3R,4R)−N
2−((4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メチル)−N
3−(トランス−3−フルオロピペリジン−4−イル)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジカルボキサミド(ジアステレオ異性体1):
最初に溶出するジアステレオ異性体のtert−ブチル 4−((1R,2R,3R,4S)−3−(((4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メチル)カルバモイル)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン
]−2−イルカルボキサミド)−3,4−トランス−フルオロピペリジン−1−カルボキシレートを出発物質として、一般的手順Aに従う。LC−MS−条件04:t
R=0.62min;[M+H]
+=455.28。キラルHPLC、分析用:t
R=15.91min。
【0083】
実施例2:(1S,2R,3R,4R)−N
2−((4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メチル)−N
3−(トランス−3−フルオロピペリジン−4−イル)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジカルボキサミド(ジアステレオ異性体2):
2番目に溶出するジアステレオ異性体のtert−ブチル 4−((1R,2R,3R,4S)−3−(((4−(1,1−ジフルオロエチル)オキサゾール−2−イル)メチル)カルバモイル)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−イルカルボキサミド)−3,4−トランス−フルオロピペリジン−1−カルボキシレートを出発物質として、一般的手順Bに従う。LC−MS−条件04:t
R=0.61min;[M+H]
+=455.29。キラルHPLC、分析用:t
R=13.043min。
【0084】
II. 生物学的アッセイ
FLIPRアッセイ(ALX受容体)
実験方法:
細胞内カルシウムの測定:
リコンビナントヒトALX受容体及びG−タンパク質Gα16(HEK293−hALXR−Gα16)発現細胞を、Growing Medium(GM)中で、80%の培養密度になるまで培養した。細胞解離バッファー(Invitrogen、13151−014)を用いて、細胞を培養皿からはがし、rtにて5min、アッセイバッファー(AB)(同量のハンクス平衡塩溶液(Hank’s BSS)(Gibco、14065−049)と、Phemol Redを含まないDMEM(Gibco、11880−028))中にて1’000rpmで遠心して集めた。5%のCO
2下、1μMのFluo−4(AM)(Invitrogen、F14202)及び20mMのHEPES(Gibco、15630−056)を添加したAB中で、37℃にて60minインキュベートした後、細胞を洗浄し、ABに再懸濁した。次に、それらを、384−ウェルのFLIPRアッセイプレート(Greiner、781091)上に、1ウェル当たり70μl、50’000個を播種し、1’000rpmで1min遠心して沈殿させた。被検化合物の保存溶液はDMSO中に10mMの濃度で調製し、ABで段階希釈することにより活性用量反応曲線に必要な濃度とした。対照アゴニストとしては、WKYMVm(Phoenix Peptides)を用いた。FLIPR Tetra装置(Molecular
Devices)は製造元の標準使用説明書に従って操作し、DMSO中に10mMの濃度で溶解し、所望の最終濃度を得るために実験に先立ってアッセイバッファーで希釈した被検化合物を4μl添加した。被検化合物添加の前後における蛍光の変化を、lex=488nm、lem=540nmにてモニターした。化合物添加後の、ベースレベルを超える発光強度のピーク値を、ベースラインを差し引いた後に出力した。値は、ベースラインの値(ABの添加)を差し引いた後、ハイレベルコントロール(WKYMVm化合物、10nMの最終濃度)に基づいて調整した。
【0085】
例示化合物のALX受容体に対するアゴニスト活性(EC
50値、n回反復の中央値)を表1に示す。
【表1】
【0086】
FLIPRアッセイ(FPR1受容体)
実験方法:
細胞内カルシウムの測定:
リコンビナントヒトFPR1受容体及びG−タンパク質Gα16(HEK293−hFPR1−Gα16)発現細胞を、Growing Medium(GM)中で、80%の培養密度になるまで培養した。細胞解離バッファー(Invitrogen、13151−014)を用いて、細胞を培養皿からはがし、rtにて5min、アッセイバッファー(AB)(同量のハンクス平衡塩溶液(Hank’s BSS)(Gibco、14065−049)と、Phemol Redを含まないDMEM(Gibco、11880−028))中にて1’000rpmで遠心して集めた。5%のCO
2下、1μMのFluo−4(AM)(Invitrogen、F14202)及び20mMのHEPES(Gibco、15630−056)を添加したAB中で、37℃にて60minインキュベートした後、細胞を洗浄し、ABに再懸濁した。次に、それらを、384−ウェルのFLIPRアッセイプレート(Greiner、781091)上に、1ウェル当たり70μl、50’000個を播種し、1’000rpmで1min遠心して沈殿させた。被検化合物の保存溶液はDMSO中に10mMの濃度で調製し、ABで段階希釈することにより活性用量反応曲線に必要な濃度とした。対照アゴニストとしては、WKYMVm(Phoenix Peptides)を用いた。FLIPR Tetra装置(Molecular Devices)は製造元の標準使用説明書に従って操作し、DMSO中に10mMの濃度で溶解し、所望の最終濃度となるように実験に先立ってアッセイバッファーで希釈した被検化合物を4μl添加した。被検化合物添加の前後における蛍光の変化を、lex=488nm、lem=540nmにてモニターした。化合物添加後の、ベースレベルを超える発光強度のピーク値を、ベースラインを差し引いた後に出力した。値は、ベースラインの値(ABの添加)を差し引いた後、ハイレベルコントロール(WKYMVm化合物、10nMの最終濃度)に基づいて調整した。
【0087】
例示化合物のFPR1受容体に対するアゴニスト活性(EC
50値、n回反復の中央値)を表1に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
血漿安定性試験
乳酸又は水酸化アンモニウムでpH7.4に調整したラット又はヒト血清を、5%のCO
2を含むインキュベーター内で、軌道振とう(orbital shaking)しながら、37℃にて平衡化した。1μMの化合物(999μlの血漿にDMSO中の1mMストック溶液を1μl)を添加することにより反応を開始した。0.01h、0.25h、0.5h、1h、2h、4h、及び6h後に、反応を止めるために、アリコート(30μl)を、アイス上に置いた90μlのMeOHを含む96ウェルプレートに移した。Eppendorf thermomixer上で、1400rpmにて20minヴォルテックスにかけた後、プレートを、4℃にて20min、3220gで遠心分離し、上清をLC−MS/MSで分析した。0.1%のジクロルボス(2,2−ジクロロビニル−ジメチル−ホスファート)を含む血清中の較正試料を調製し、定量化を可能にするために、インキュベーションした試料と並行して分析した。次いで、半減期(T
1/2)を時間で算出した。加えて、初期濃度に対するT
last後の各化合物の残存濃度を決定した(表3)。
【0090】
【表3】
【0091】
血漿タンパク結合アッセイ
化合物を、乳酸又は水酸化アンモニウムでpH7.4に調整したヒト血漿に添加し(最終濃度1μM)、5%CO
2を含むインキュベーター内にて、RED(Rapid Equilibrium Dialysis)装置を用いて、0.1M、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(0.1M リン酸ナトリウム及び0.15M 塩化ナトリウム)に対して37℃にて4h透析した。透析の後、血漿及び緩衝液を等量の逆マトリクス(opposite matrix)に分注してマトリクス効果を相殺し、また、混合マトリクス中の
較正試料を調製した。試料及び較正試料(30μl)を、90μlのMeOHを入れた96穴プレートに分注して移して、タンパク質を沈殿させた。Eppendorf thermomixer上にて、1400rpmで20minボルテックスで撹拌した後、プレートを4℃にて3220gで20min遠心分離し、上清をLC−MS/MSで分析した。血漿に結合した割合の算出には、被検対象の濃度を用いた。参照化合物であるプロプラノロール[(±)−1−イソプロピルアミノ−3−(1−ナフチルオキシ)−2−プロパノール]を並行して試験した。
【0092】
【表4】