(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407316
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】複数のプリント基板を各実装ラインへと割り当てるための方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20181004BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
G05B19/418 Z
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-11958(P2017-11958)
(22)【出願日】2017年1月26日
(62)【分割の表示】特願2015-518906(P2015-518906)の分割
【原出願日】2013年4月24日
(65)【公開番号】特開2017-98575(P2017-98575A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2017年1月26日
(31)【優先権主張番号】102012211814.4
(32)【優先日】2012年7月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー プファフィンガー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ロイアー
【審査官】
土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−138467(JP,A)
【文献】
特開2005−093849(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0004762(US,A1)
【文献】
特開2006−253184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 −13/08
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリント基板(120)を、当該プリント基板(120)に電子的な構成部品(155)を実装するための実装システム(100)の各実装ライン(110)へと割り当てるための方法において、
当該方法(200)は、
a)各実装ライン(110)へのプリント基板(120)の初期割り当てを決定するか、又は、現在の割り当てを、当該初期割り当てとするステップ(305)と、
b)これから割り当てようとする複数のプリント基板(120)の中から、プリント基板の部分集合を選択するステップ(310)と、
c)前記部分集合のプリント基板(120)の1つ又は複数の択一的な割り当てを、整数線形計画法を用いて形成するステップ(315)であって、
前記割り当ては、全ての実装ラインに亘って、機械配備ファミリ(250,255)の合計数がそれぞれ最小化されるように実施され、
前記機械設備ファミリは、1つの実装ライン(110)に実装用に用意されている構成部品種類の集合を変更することなく、当該1つの実装ライン(110)上で実装することが可能なプリント基板(120)の集合として定義されている、ステップ(315)と、
d)所定の終了基準が満たされている場合に、前記割り当てを出力するステップ(330)と、
e)所定の終了基準が満たされていない場合には、形成された前記割り当ての中から、少なくとも1つの現在の割り当てを選択するステップ(335)と、
f)前記ステップa)からe)を繰り返すステップ(345)と、
を含み、
前記所定の終了基準は、前記各実装ライン(110)の前記機械設備ファミリの数が、所定の閾値よりも大きい又は小さいという条件を含む、
又は
前記所定の終了基準は、前記各実装ライン(110)の前記機械設備ファミリの数の間の差が、所定の閾値を下回るという条件を含む
ことを特徴とする方法(200)。
【請求項2】
前記基準が所定の条件の遵守を含む場合に、前記終了基準が満たされる、
ことを特徴とする請求項1記載の方法(200)。
【請求項3】
前記所定の閾値の1つを、前記各実装ライン(110)の少なくとも1つに対して個別的に予め定める、
ことを特徴とする請求項1または2記載の方法(200)。
【請求項4】
1つの機械設備ファミリに割り当てられているプリント基板(120)の数又はトラック使用数が少ない場合に、当該機械設備ファミリの各プリント基板(120)の、実装ライン(110)への割り当てを阻止する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の方法(200)。
【請求項5】
1つの機械設備ファミリに割り当てられているプリント基板(120)の数又はトラック使用数が多い場合に、当該機械設備ファミリの各プリント基板(120)の、実装ライン(110)への割り当ての変更を阻止する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の方法(200)。
【請求項6】
前記方法(300)のための所定の決定時間が経過した場合に、前記終了基準が満たされる、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品において、
処理装置(115)にて実行されるか、又は、コンピュータ読み出し可能な媒体に記憶されている場合に、当該プログラムコード手段により、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法(200)が実行される、
ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項8】
複数のプリント基板(120)を、実装システムの各実装ライン(110)を用いて実装することを制御するための制御装置(115)において、
当該制御装置(115)は、
・複数のプリント基板(120)にそれぞれ割り当てられた構成部品(155)を実装するための要件を検出し、
当該各プリント基板(120)を、所定の設定に基づいて、整数線形計画法を用いて、各実装ライン(110)へと割り当てる(315)ように構成されており、
但し、前記所定の設定は、
−技術的制限により、それぞれの実装ライン(110)においてどのようなプリント基板(120)でも製造可能であるとは限らないこと、
−各プリント基板は、各実装ライン(110)においてそれぞれ異なる生産時間を有していることが多いこと、及び、
−各実装ライン(110)の最大生産時間能力を上回ってはいけないこと
を含み、
・前記制御装置(115)はさらに、前記割り当てに基づいて、前記各実装ライン(110)のための機械設備ファミリを決定するように構成されており、但し、前記機械設備ファミリは、1つの実装ライン(110)に実装用に用意されている構成部品種類の集合を変更することなく、当該1つの実装ライン(110)上で実装することが可能なプリント基板(120)の集合として定義されており、
・前記制御装置(115)はさらに、新たな割り当て(325)を実施するように構成されており、この際、前記割り当て及び/又は前記新たな割り当ては、全ての実装ラインに亘って、機械配備ファミリ(250,255)の合計数がそれぞれ最小化されるように実施され、所定の終了基準が満たされている場合には、前記割り当てを出力し、前記所定の終了基準が満たされていない場合には、形成された前記割り当ての中から、少なくとも1つの現在の割り当てを選択し、
但し、前記基準は、前記各実装ライン(110)の前記機械設備ファミリの数が、所定の閾値よりも大きい又は小さいという条件を含む、
又は
前記基準は、前記各実装ライン(110)の前記機械設備ファミリの数の間の差が、所定の閾値を下回るという条件を含み、
・前記制御装置(115)はさらに、前記プリント基板(120)を、それぞれ割り当てられた前記各実装ライン(110)上で実装するように構成されている、
ことを特徴とする制御装置(115)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプリント基板を、当該プリント基板又は他のモジュールに構成部品を実装するための各実装ラインへと割り当てるための方法に関する。本発明はさらに、プリント基板に構成部品を実装するための製造ライン又は組立ラインのための制御装置に関する。本発明はさらに、コンピュータプログラム製品と、コンピュータ読み出し可能な媒体とに関する。
【0002】
特に電子機器製造の分野では、製造すべきプリント基板乃至モジュールは、SMT実装ラインにおいて表面実装技術(surface mounted technology, SMT)によって製造されている。しかしながら技術的制限により、それぞれの実装ラインにおいてどのようなプリント基板でも製造可能であるとは限らない。各プリント基板は、各実装ラインにおいてそれぞれ異なる生産時間を有していることも多い。さらに、各実装ラインの最大生産時間能力を上回ってはいけない。
【0003】
DE 10 2009 013 353 B3は、このような実装ラインに機械設備を配置するための方法を開示している。
【0004】
実装システムの各実装ラインへのプリント基板の割り当ては、通常、経験値又はヒューリスティック法に基づいて手動又は半自動で実施される。この場合、実際には幾度となく不均等な割り当てが実施されることが判明しており、これによって、実装ラインを構成する機械設備の中に、稼働率が高いものと稼働率が低いものとが生じてしまうので、この実装システムを最適に利用することができなくなってしまう。
【0005】
本発明の課題は、複数のプリント基板を各実装ラインへと割り当てるための改善された技術を提供することである。
【0006】
本発明の課題は、独立請求項に記載の特徴を有する方法、コンピュータプログラム製品、及び、実装システムによって解決される。従属請求項は、好ましい実施形態を示している。
【0007】
実装システムは、プリント基板に電気的な構成部品を実装するための複数の実装ラインを含む。複数のプリント基板を各実装ラインへと割り当てるための本発明の方法は、複数のプリント基板にそれぞれ割り当てられた構成部品を実装するための要件を検出するステップと、当該各プリント基板を、所定の設定に基づいて、整数線形計画法を用いて、各実装ラインへと割り当てるステップとを含む。その後、前記割り当てに基づいて、前記各実装ラインのための機械設備ファミリが決定され、前記各実装ラインの前記機械設備ファミリの数に基づいて作成された基準が所定の閾値に達するまで、割り当てが繰り返し実施される。
【0008】
ここでは、1つの実装ラインに実装用に用意されている構成部品種類の集合を変更することなく、当該1つの実装ライン上で実装することが可能なプリント基板の集合として、機械設備ファミリなる用語が定義されている。実装ラインに用意されている構成部品種類の集合は、機械設備とも呼ばれる。通常は、各実装ラインにおける各構成部品種類の構成部品は、常に充分な数が用意されているものと仮定される。
【0009】
通常、1つの実装ラインに対して、1つの機械設備ファミリに含まれているプリント基板よりも多いプリント基板が割り当てられる。なぜなら当該1つの実装ラインに、任意に多数の構成部品種類を用意できるわけではないからである。従って、実装ラインの機械設備は、時々変更される。機械設備の変更時には、第1機械設備ファミリのための機械設備が、第2機械設備ファミリのための機械設備と交換される。この機械設備の変更の頻度が少なくなればなるほど、また、機械設備の変更時に交換しなければならない構成部品種類が少なくなればなるほど、この実装システムは、低コストに稼働することができる。
【0010】
実装システムにおいて合計して使用される機械設備ファミリの数は、例えば実装ラインの構成部品分散値よりも、より現実に即した品質指標を表すことが可能であると判明している。実装ラインの構成部品分散値は、当該実装ラインに割り当てられている複数のプリント基板上に実装されている各々異なる構成部品の数によって表される。従って本発明の方法によれば、実装システム全体の稼働率の改善を可能にするような、各実装ラインへのプリント基板の割り当てを決定することができる。
【0011】
さらに本発明は、実装システムの操作者の実際の状況又は要望にフレキシブルに適合させることができる。整数線形計画法を使用することにより、グローバルな最適化アプローチを実現することが可能である。本発明は、容易に拡張可能である。整数線形計画法を用いて最適化を実行するためのランタイム環境は、例えばIlog又はXpressのような市販の製品の形態で使用可能である。このようないわゆる標準ソルバーは常時アップグレードされているので、将来的には、本発明の方法に基づく割り当てを、より高速及び/又は最適に実施することが可能となることが予想される。
【0012】
本発明の方法によれば、各実装ラインへのプリント基板の割り当てを、比較的短い所要時間内で非常に良好に実施することができる。この方法は、他の最適化手法に比べて、結果品質又は所要時間の点で改善された結果をもたらすことができる。また本発明によれば、各機械設備ファミリの数を均等にし、かつ、不変の交換テーブルの数を増加させることができるような、各実装ラインへのプリント基板の割り当てを発見することができる。
【0013】
機械設備ファミリを決定するために、好ましくは、線形計画法から分離された方法が呼び出される。整数線形計画法から分離して評価基準を決定することによって、整数線形計画法が複雑すぎる割り当て問題を処理する必要性を回避することができ、ひいては、割り当てを決定するために非常に長い時間がかかること、又は、解が良好でないことを回避することができる。
【0014】
しかしながら、ソルバーが充分に高性能である場合には、別の1つの実施形態においては、この割り当てを、整数線形計画法を用いて、直接的に、各実装ラインのための機械設備ファミリの数の最小化に関して実施することも可能である。
【0015】
1つの実施形態においては、前記基準は、前記各実装ラインの前記機械設備ファミリの数が所定の閾値よりも大きいという条件を含む。これにより、整数線形計画法を用いた最適化の収束を加速することができる。
【0016】
別の1つの実施形態においては、前記基準は、前記各実装ラインの前記機械設備ファミリの数が所定の閾値よりも小さいという条件を含む。これにより、複数の実装ラインのうちの1つの実装ラインの稼働率が過剰に高くなり過ぎるのを阻止することができる。
【0017】
別の実施形態においては、上に挙げた2つの所定の閾値の一方又は両方を、1つ又は複数の実装ラインに対して個別的に予め定めることができる。これにより、有利であると判明している閾値に関する経験値を考慮することができる。
【0018】
1つの実施形態においては、前記基準は、前記各実装ラインの前記機械設備ファミリの数の間の差が所定の閾値を下回るという条件を含む。これにより、各実装ラインへのプリント基板の割り当てを、各実装ラインができるだけ均等な数の機械設備ファミリを有するように最適化することができる。所定の閾値を増加又は減少させることによって、高品質の割り当てと、方法の所要時間のとの間における妥協点を改善的に選択することができる。1つの実施形態においては、閾値を、ゼロとすることもできる。別の1つの実施形態においては、前記基準を、個々の前記各実装ラインの機械設備ファミリの数の間における定量的な差を含むことができる。この場合には、各実装ラインへのプリント基板の割り当ては、方法を繰り返し反復することによって前記差の最小化に関して最適化することもできる。
【0019】
さらに別の1つの実施形態においては、1つの機械設備ファミリに割り当てられているプリント基板の数又はトラック使用数が少ない場合に、当該機械設備ファミリの各プリント基板の、実装ラインへの割り当てが阻止される。プリント基板の数とトラック使用数とに対しては、それぞれ1つの閾値を定めることができ、この閾値を下回る各値は「少ない」と識別される。種々異なる構成部品をストックするために実装ラインに設けられる装置は、通常各々8mmの幅を有する所定数のトラックを含む。この実施形態によれば、当該機械設備ファミリの各プリント基板を、別の実装ラインへと割り当て直すよう強制することができる。
【0020】
同様にして、1つの機械設備ファミリに割り当てられているプリント基板の数又はトラック使用数が多い場合には、既に実施された割り当ての変更を阻止することによって、当該プリント基板の、実装ラインへの割り当てを確定することも可能である。この場合にも閾値を定めることができ、この閾値を上回る各値は「多い」と識別される。この実施形態によれば、各実装ラインへのプリント基板の割り当ての最適化を加速乃至改善することができる。
【0021】
コンピュータプログラム製品は、処理装置にて実行されるか、又は、コンピュータ読み出し可読な媒体に記憶される場合に、上述した方法を実行するためのプログラムコード手段を含む。コンピュータプログラム製品は、通常のプログラミング言語(例えばC++、Java)で作成することができる。処理装置は、相応の入力手段、出力手段、記憶手段を有する市販のコンピュータ又はサーバを含むことができる。
【0022】
複数のプリント基板を、実装システムの各実装ラインへと割り当てるための本発明の制御装置は、上述した方法を実行するように構成されている。
【0023】
本発明の上述した特性、特徴、利点、並びにこれらを達成するための様態及び方法は、実施例に関する以下の記述に関連して、より明確かつ明示的に理解することができる。以下では、実施例に関して図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】
図1の実装システムにおける機械設備ファミリを説明する図である。
【
図3】整数線形計画法による最適化方法のフローチャートである。
【0025】
線形計画法は、数理最適化分野における主要な方法の1つであり、一次方程式及び一次不等式によって制約された集合に関する線形目的関数の最適化を扱うものである。線形計画法は、(混合)整数線形計画法の解法の基礎である。
【0026】
線形計画法の利点は、以下の通りである:
・グローバルな最適化アプローチ、
・容易に拡張可能、
・実際に広く普及しており有効性が判明している、非常に良好な市販の標準ソルバー(SCIP, CPLEX, Ilog, Xpress)、
・求められた解が最適解から最大でどのくらい乖離しているか(ギャップ)が知られている。
【0027】
図1は、実装システム100を示す。実装システム100は、複数の実装ライン110と、複数のプリント基板120を各実装ライン110へと割り当てるための制御装置115とを含む。各実装ライン110は、通常、1つの搬送システム125と、1つ又は複数の実装機130とを含む。各実装機130は、1つ又は複数の実装ヘッド135を含み、各実装ヘッド135はそれぞれ、不変テーブル140又は可変テーブル145から構成部品を取り上げて、搬送システム125上に配置されているプリント基板120上の所定の位置へと位置付けるように構成されている。
【0028】
プリント基板120は通常、実装工程中は、実装機130に対して静止している。テーブル140,145は、それぞれ複数の供給装置150を含む(これらのうちの1つだけを例示的に図示している)。各供給装置150は、所定の種類の構成部品155のストックを用意している。各供給装置150は、種々異なる構成部品155を用意するよう構成することが可能であり、1つのテーブル140,145に複数の異なる供給装置150を設置することも可能ではある。しかしながら、設置されている各テーブル140,145のいずれにも用意されていない構成部品155を実装機130へと供給しなければならない場合には、速度的な理由から、通常はテーブル140,145が完全に交換される。
【0029】
通常、このような交換は、製造の一時停止と結びついているので、交換すべきテーブル140,145の数は少なく抑えるよう努められる。機械設備の変更時に交換されないテーブルは、不変テーブル140と呼ばれ、交換される場合には可変テーブル145と呼ばれる。不変テーブル140と可変テーブル145との機能的な違いは、その他には存在しない。
【0030】
プリント基板120には複数の異なる構成部品155を実装することができる。可変テーブル145の交換頻度を最小化するため、理想的には不変テーブル140の数を最大化するために、制御装置115は、各実装ライン110へのプリント基板120の割り当てを最適化するよう構成されている。この場合には通常、各プリント基板120の特性、乃至、各プリント基板120上に実装される各構成部品155の特性、並びに、各実装ライン110乃至各実装機130の個々の特性も考慮しなければならない。
【0031】
図2は、“クラスタ(Cluster)”とも呼ばれる機械設備ファミリを説明するための
図200を示す。第1プリント基板205と、第2プリント基板210と、第3プリント基板215とが図示されており、これらはそれぞれ
図1の実装システム100におけるプリント基板120の1つに相当する。第1プリント基板205には、構成部品155の第1集合220が割り当てられており、第2プリント基板210には、構成部品155の第2集合225が割り当てられており、第3プリント基板215には、構成部品155の第3集合230が割り当てられている。例えば、各集合220〜230は、それぞれ5つの各々異なる構成部品種類を含み、これら5つの構成部品種類の中から各々異なる数の構成部品155が使用される。当該方法200においては、同じ1つの構成部品種類の構成部品155同士は、互いに区別することができない。従って、構成部品155の各集合220〜230は、構成部品種類の各集合235〜245へと割り当てられている。これらの集合235〜245の中には、対応する集合220〜230の各構成部品155の各々1つのみが再び見て取れる。
【0032】
1つの機械設備ファミリは、同じ1つの実装ライン110上で実装するよう割り当てられている複数のプリント基板120を含む。
図2の例では、プリント基板205と210とが同じ1つの実装ライン110へと割り当てられており、第1機械設備ファミリ250を形成している。従って、第1機械設備ファミリ250は、プリント基板205と210とに割り当てられている集合235と240の和集合に含まれている各構成部品種類を有する第1機械設備260を必要とする。この実施例では、第1機械設備260は、6つの構成部品種類を有する。第1機械設備260の前記6つの構成部品種類を用意することにより、当該第1機械設備ファミリ250のプリント基板205及び210は、当該1つの実装ライン110上において機械設備を変更することなく実装することができる。
【0033】
第3プリント基板215は、別の1つの実装ライン110へと割り当てられており、単独で第2機械設備ファミリ255を形成している。第2機械設備ファミリ255に割り当てられている第2機械設備265は、5つの構成部品種類を有する。
【0034】
集合220と225とが、同一の構成部品種類の構成部品155を多く含んでいれば、第1機械設備260に含まれる各々異なる構成部品種類も少なくなる。通常は、できるだけ多数の各々異なるプリント基板120を1つの実装ライン110で処理することができるように、各プリント基板120を各機械設備ファミリ250,255へと割り当てることが試みられる。
【0035】
第3プリント基板215は、別の1つの実装ライン110へと割り当てられており、単独で、第2機械設備ファミリ255を形成している。第2機械設備ファミリ255に割り当てられている第2機械設備265は、5つの構成部品種類を有する。
【0036】
仮に、第3プリント基板215が、プリント基板205及び210と同じ機械設備ファミリへと割り当てられたとすれば、その結果として形成された機械設備ファミリに割り当てられている機械設備は、各集合235,240,245の和集合を含むこととなり、つまりこの実施例では7つの構成部品種類を有することとなる。実装ライン110が例えば6つの各々異なる構成部品155に対する収容能力しか有さない場合には、このようにして形成された前記機械設備ファミリを、当該実装ライン110へと割り当てることはできない、乃至、第3プリント基板215はもはや、当該実装ライン110へと割り当てられる機械設備ファミリには適合しない。
【0037】
当該実装ライン110において別の機械設備ファミリのプリント基板120を実装するためには、機械設備の変更が必要となる。この場合には通常、当該実装ライン110の実装機130における1つ以上の供給装置、特に可変テーブル145又はコンベヤ150が交換される。
【0038】
1つの実装ライン110の機械設備ファミリ250,255の数を減らすことによって、機械設備の変更の回数を低減し、また、不変テーブル140の数を増加させることができる。このことは、各プリント基板120を各機械設備ファミリ250,255へと巧妙に割り当てることによって達成することができる。以下、各機械設備ファミリ250,255へのプリント基板120の割り当ての最適化について、
図3を参照しながらより詳細に説明する。
【0039】
図3には、複数のプリント基板120を各実装ライン110へと割り当てるための方法300が、フローチャートの形態で図示されている。
【0040】
ステップ305:まず、各実装ライン110へのプリント基板120の初期割り当てを決定し、そして現在の割り当てを、当該初期割り当てとする。この初期割り当てを算出するために、種々異なるヒューリスティック法を使用することができ、これには手動による設定又は制限を含めることもできる。
【0041】
ステップ310:次いで、これから割り当てようとする複数のプリント基板120の中から、プリント基板120の部分集合が選択される。方法300が連続的に実施される場合には、通常、各々異なる複数の部分集合が選択される。
【0042】
ステップ315:その後、前記部分集合のプリント基板120の、各実装ライン110への1つ又は複数の択一的な割り当てが、好ましくは整数線形計画法を用いて形成される。これらの割り当ては、
図2を参照して説明するように、全ての実装ライン110に亘って、機械配備ファミリ250,255の合計数がそれぞれ最小化されるように形成される。割り当てのために、複数の個別基準からなる1つの重み付けされた基準を使用することもでき、このようにすると、1つの最適化された割り当てを獲得するために、さらなる別の複数のパラメータを最小化又は最大化することも可能となる。
【0043】
ステップ320:ここでは、個々の基準、又は、複数の基準から組み合わされた1つの基準を作成することよって、決定された前記割り当ての品質が決定される。当該基準は、各実装ライン110における機械設備ファミリの数に基づいて作成される。好ましい1つの実施形態においては、このために、整数線形計画法から分離された方法が呼び出される。この方法は、決定された前記割り当てに基づき、まず各実装ラインのための機械設備ファミリを作成した後、全ての実装ライン110に亘って、前記作成された機械設備ファミリの合計を求めるというものである。
【0044】
別の1つの実施形態においては、当該基準は、所定の条件の遵守を含むことができる。例えば、各実装ライン110の機械設備ファミリの数が所定の閾値よりも大きい又は小さいという条件を遵守することができる。なお、この閾値は、各実装ライン110に対してそれぞれ個別的に割り当てることができる。条件が満たされると、基準は第1所定値へとセットされ、そうでない場合には第2所定値へとセットされる。このようにして、条件が満足されない場合における割り当ての許可を阻止することができる。
【0045】
別の実施形態においては、各実装ライン110の機械設備ファミリの数の間の差が所定の閾値を下回ることを、条件として要求することができる。この閾値は、例えばゼロとすることができる。1つの実施形態においては、この差を基準として定量的に表すことができ、このようにして方法300は、基準に対する最適化を実施することができる。
【0046】
別の実施形態においては、複数の個別基準を組み合わせて1つの基準にすることができ、これらの個別基準は、重み係数を使用して、共に足し合わせて又は互いに乗算して、1つの全体基準にすることができる。例えばこれらの個別基準は、上に挙げた基準、すなわち実装機130の稼働率、又は、不変テーブル140対可変テーブル145の比率、又は、実装機130の稼働率、のうちの1つ又は複数とすることができる。
【0047】
ステップ325:その後、所定の終了基準に到達したか否かがチェックされる。ステップ320の基準乃至全体基準が所定の閾値に到達した場合に、終了基準が満たされる。方法300のための所定の決定時間が経過した場合には、割り当てを中断することもできる。これによって、割り当てのエンドレスの最適化を阻止することができる。
【0048】
ステップ330:終了基準が満たされている場合には、決定された各割り当てが出力される。
【0049】
ステップ335:終了基準が満たされていない場合には、決定された各割り当ての中から、さらに最適化すべき割り当てを選択することができる。たとえば、以前の実行時に決定された割り当ての方がより良好な基準又は全体基準を有している場合には、最後に決定された割り当てを、当該以前の実行時に決定された割り当てに基づいて放棄することができる。
【0050】
ステップ340:この場合には、現在の割り当てが、前記最適化すべき割り当ての1つにセットされ、方法300は改めてステップ310から実行される。最適化すべき割り当てが複数選択された場合には、方法300は、これに応じて何重にも平行に分岐することができる。
【0051】
数学的背景
厳密な数学的手法を使用することにより、従来実際に使用されてきたヒューリスティック法よりも格段に良好な解を獲得することができる。さらには、この数学的手法によれば、従来とは異なり良好な生産時間を達成することも可能となる。
【0052】
複数のプリント基板120乃至モジュールを各実装ライン110へと割り当てる際には、技術的制限により、それぞれの実装ライン110においてどのようなプリント基板120でも製造可能であるとは限らないことに留意すべきである。各プリント基板は、各実装ライン110においてそれぞれ異なる生産時間を有していることも多い。さらに、各実装ライン110の最大生産時間能力を上回ってはいけない。
【0053】
複数のプリント基板120を各実装ライン110へと割り当てる際には、通常、以下の目的が追求される:
・機械設備の変更に係るコストを削減するために、できるだけ多くのプリント基板120を、不変テーブル140によって製造できるようにすべきである。
・機械設備の変更に係る時間コストを削減するために、各実装ライン110における機械設備ファミリ(“クラスタ”)の数はできるだけ少なくしたい。
・必要となる機械設備(例えばコンベヤ150)はできるだけ少なくすべきである。
・プリント基板120に対する総生産時間はできるだけ最小化すべきである。
【0054】
これらの目的は一般的に、1つの実装ライン110の各プリント基板120同士における構成部品の重複ができるだけ多くなるよう努めることによって、乃至、各実装ライン110の構成部品分散値の合計を最小化することによって達成するよう試みられる。
【0055】
各実装ライン110へのプリント基板120の最適化された割り当てを決定するために、IPモデル(IPはInteger Programming、整数計画法、乃至、整数最適化モデルを表す)が使用される。この決定は、公知の標準ソルバーを用いて実施することができる。
【0056】
添字
L システム100のSMT実装ライン110の集合
R プリント基板120の集合
C 構成部品種類155の集合
R
c 構成部品種類cを有するプリント基板の集合
R
l ラインlにおいて実装可能なプリント基板の集合。
【0057】
パラメータ
Time
r,l ラインlにおけるプリント基板rに対する総生産時間
TimeLimit
l ラインlにおける生産時間制限値。
【0058】
2値変数
Assign
r,l ラインlへのプリント基板の割り当て
Setup
c,l ラインl上における構成部品cの使用。
【0059】
IP定式化
【数1】
【0060】
各実装ライン110へのプリント基板120の割り当てを改善するために、ソルバーに条件を与えることができる。与えられた条件は、各実装ライン110へのプリント基板120の割り当ての最適化を、実装システム100の全ての実装ライン110の各機械設備ファミリの数の合計が最小化されるように実施することを目的としている。
【0061】
この設定を使用することによって、各実装ライン110に亘るプリント基板120の分布が改善されるので、各機械設備ファミリの数を均等にすることが可能となる。このようにすると、実装システム100を、改善された効率乃至稼働率で動作させることが可能となる。さらに、IPソルバーを用いた上述のアプローチによれば、割り当てを、従来公知のものよりも迅速に決定することが可能である。
【0062】
本発明の詳細を、好ましい実施形態に基づいて詳しく図示及び説明してきたが、本発明は開示された実施形態に限定されておらず、当業者が本発明の範囲から逸脱することなくこれらの実施形態から他の変形形態を導出することが可能である。