【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
電気光学的ディスプレイに使用するためのバックプレーン(100,200,300,400)であって、貫通して伸びる複数のアパチャを有し、絶縁ポリマ材料(104,106,108)により少なくとも側面が被覆されているパタン化金属箔(102)を含み、前記絶縁ポリマ材料(104,106,108)上に設けられた複数の薄膜電子素子(302,402)を有する前記バックプレーン。
(項目2)
項目1によるバックプレーンであって、前記アパチャが矩形格子上に配列された前記バックプレーン。
(項目3)
項目1によるバックプレーンであって、前記アパチャが前記パタン化金属箔の面積の約30パーセント以上を占める前記バックプレーン。
(項目4)
項目3によるバックプレーンであって、前記アパチャが前記パタン化金属箔の面積の約60パーセント以上を占める前記バックプレーン。
(項目5)
項目1によるバックプレーンであって、前記パタン化金属箔の両側が絶縁ポリマ材料によって被覆されている前記バックプレーン。
(項目6)
項目5によるバックプレーンであって、前記パタン化金属箔の両側が同一の絶縁ポリマ材料によって被覆されている前記バックプレーン。
(項目7)
項目5によるバックプレーンであって、前記パタン化金属箔の両側が異なる絶縁ポリマ材料によって被覆されている前記バックプレーン。
(項目8)
項目1によるバックプレーンであって、前記薄膜電子素子(302)のおのおのは、各全
体が前記金属箔中の一つのアパチャの範囲内にある前記バックプレーン。
(項目9)
項目1によるバックプレーンであって、前記薄膜電子素子(402)のおのおのが前記金属箔中の複数のアパチャに亘って広がっている前記バックプレーン。
(項目10)
項目1によるバックプレーンを含む電気光学的ディスプレイ。
(項目11)
カプセル化電気泳動電気光学的媒体を含む、項目10による電気光学的ディスプレイ。
(項目12)
電気光学的ディスプレイ中に使用するためのバックプレーンであって、前記バックプレーンは、絶縁ポリマ材料(504)により少なくとも1つの側面が被覆された金属箔(502)を含み、絶縁ポリマ材料(504)上に設けられた複数の薄膜電子素子(506)を有し、さらに前記バックプレーンは、前記ポリマ材料(504)を貫通して伸び、且つ前記薄膜電子素子(506)の少なくとも1つを金属箔(502)へ電気的に接続する少なくとも1つの伝導バイア(510)を含む前記バックプレーン。
(項目13)
項目12によるバックプレーンであって、前記金属箔がアンテナ、インダクタ・ループ、パワー・プレーン、キャパシタ、キャパシタ・コンタクト、ピクセル電極、および電磁誘導遮蔽の少なくとも一つとして機能する前記バックプレーン。
(項目14)
項目12によるバックプレーンを含む電気光学的ディスプレイ。
(項目15)
電気光学的ディスプレイを有するスマート・カードの形態をした、項目14による電気光学的ディスプレイであって、前記金属箔が前記カードとカード読み取り装置との間の通信に寄与する前記電気光学的ディスプレイ。
(項目16)
伝導層、絶縁層、および前記絶縁層の前記伝導層から反対側に配置された少なくとも1つのトランジスタを有するバックプレーンを駆動するためのプロセスであって、前記プロセスは、前記トランジスタのゲートに印加する電圧を変化させ、これによって前記トランジスタをオン状態とオフ状態との間で切り換えるためのステップを含み、前記プロセスはさらに、前記バックプレーンの駆動の間、前記伝導層を接地から異なる電圧に、かつ前記トランジスタのソースに印加される前記電圧の範囲内に維持するステップを含む前記プロセス。
(項目17)
項目16によるプロセスであって、前記伝導層に印加される前記電圧が、次の関係
(3*Vmax+Vmin)/4>Vc>(Vmax+3*Vmin)/4
を満たし、Vmax、Vminはそれぞれ、駆動中に前記ソースに印加される最大電圧および最小電圧であり、Vcは、前記伝導層に印加される前記電圧である前記プロセス。
(項目18)
項目17によるプロセスであって、前記伝導層に印加される前記電圧が、次の関係
(3*Vmax)+2*Vmin)/5>Vc>(2*Vmax+3*Vmin)/5
を満たす、前記プロセス。
(項目19)
項目17によるプロセスであって、前記伝導層に印加される前記電圧が、次の関係
Vc=(Vmax+Vmin)/2
を実質的に満たす、前記プロセス。
(項目20)
金属基板を被覆するポリマ材料上に複数の電子的構成要素を形成するプロセスであって、前記プロセスは、前記金属基板上にポリマ材料の複数の離散エリアを形成するステップ、およびその後、前記複数の電子的構成要素をポリマ材料の前記離散エリア上に形成するス
テップを含む前記プロセス。
(項目21)
項目20によるプロセスであって、前記ポリマ材料の連続層が、前記金属基板上に形成され、その後、この連続層が分割されてポリマ材料の前記離散エリアを形成する前記プロセス。
(項目22)
項目20によるプロセスであって、ポリマ材料の前記離散エリアの前記端の少なくともいくつかがアンダーカットされるプロセス。
(項目23)
項目22によるプロセスであって、ポリマ材料の前記離散エリアの前記端の前記アンダーカットが、エッチング・ステップで行われるプロセス。
(項目24)
金属基板を有する電気光学的ディスプレイ(900)であって、前記ディスプレイは、電気光学的材料および前記電気光学的材料上に画像を書き込む手段を含む中央部分(902)、および前記中央部分(902)の周辺の少なくとも一部の周りに伸びる周辺部分(904)を有し、前記周辺部分(904)が、前記金属基板を貫通して伸びる複数のアパチャ(906)を有し、これらのアパチャを使って前記電気光学的ディスプレイを可撓性媒体にステッチ状に合わせることができるようになっていることを特徴とする前記電気光学的ディスプレイ。
(項目25)
項目24による電気光学的ディスプレイであって、前記ディスプレイの周辺部分が、電気光学的材料を持たない前記電気光学的ディスプレイ。
(項目26)
項目24による電気光学的ディスプレイであって、前記周辺部分が、前記中央部分の周りに完全に広がり、そのため前記電気光学的ディスプレイの全周辺を前記織物または他の可撓性材料にステッチ状に合わせることができるようになっている前記電気光学的ディスプレイ。
(項目27)
一次元に曲がった基板上の電気光学的ディスプレイを形成するためのプロセスであって、
少なくとも1つのピクセル電極を有し、一次元に曲がったバックプレーンを準備するステップ、
前記バックプレーンに電気光学的媒体の層および光伝送電気的伝導層を含む積層体を付けるステップ、ただし前記積層体は前記電気光学的媒体が前記バックプレーンと前記伝導層との間にあるように付けられるものとするステップ、および
前記積層体を熱および/または圧力の下で前記バックプレーンに接着するステップを含む前記プロセス。
(項目28)
項目27によるプロセスであって、前記積層体はさらに前記電気光学的媒体層を覆う積層体接着剤層を含み、前記積層体接着剤層が前記バックプレーンと接触する前記プロセス。(項目29)
一次元に曲がった基板上に電気光学的ディスプレイを形成するプロセスであって、前記プロセスは、
少なくとも1つのピクセル電極を有し、一次元に曲がったバックプレーンを準備するステップ、
対向する面上に第一接着剤層と第二接着剤層とを有する固体電気光学的媒体の層を含む両面リリース膜を準備するステップ、ただし前記接着剤層の少なくとも一方はリリース・シートでカバーされている、ステップ
第一接着剤層および第二接着剤層の一方を露出させ、前記両面リリース・シートを前記バックプレーンに積層するステップ、および
第一接着剤層および第二接着剤層の他方を露出させ、前記露出された接着層を電気的伝
導層に積層するステップを含む前記プロセス。
(項目30)
少なくとも1つのピクセル電極を有する曲がったバックプレーン上に電気光学的ディスプレイを形成するプロセスであって、前記プロセスは、
被覆可能な電気光学的媒体を前記バックプレーンの表面上に付けて、その上に前記電気光学的媒体の均一な層(coherent layer)を形成するステップ、
透明電気的伝導層を前記バックプレーン上の前記電気光学的媒体の表面に付けて、その上に前記伝導層の均一な層を形成するステップ、および
透明カプセル剤を前記電気的伝導層の表面に適用して、その上に前記カプセル剤の均一な層を形成するステップを含む前記プロセス。
(項目31)
端シーラントを前記ディスプレイの端の少なくとも一部の周りに付けるステップをさらに含む項目30によるプロセス。
一側面において、本発明は、電気光学的ディスプレイ中での使用のためのバックプレーンを提供することを模索するもので、金属基板を使ったこのバックプレーンは、上述の金属ベース基板よりも重量的に軽い。
【0016】
別の側面において、本発明は、電気光学的ディスプレイ、とりわけ、一次元または二次元の湾曲面への、カプセル化された電気泳動ディスプレイのアセンブリに関する。このような湾曲面は、例えば、時計、電気剃刀、携帯電話および様々な他の消費者電子製品中に見られる。気のついたことは、もし湾曲面にカプセル化電気泳動ディスプレイを電気泳動媒体の層を平面上に被覆することによって形成し、その後で、電気泳動媒体を所望の湾曲面構成に変形させようとしたら(従来の印刷および類似のコーティング処理が要求するように)、正確な湾曲面構成によるが、電気泳動媒体に本質的な損傷が起こる可能性があることである。このような損傷は、電気泳動媒体の不均一切替えをもたらすクリープ、および/またはいくつかのカプセルの破壊を含み得、結果的には、コントラスト比および動作寿命の低下を含む、低劣な電気光学的性能をもたらす。類似の問題は、他のタイプの電気光学的媒体についても経験されうる。
【0017】
本発明は、上述の問題を低減または除去する一方で、湾曲基板上の電気光学的ディスプレイのアセンブリを可能にするプロセスを提供する。
【0018】
したがって、本発明は、一側面において、電気光学的ディスプレイにおける使用のためのバックプレーンを提供し、そのバックプレーンは、貫通した複数のアパチャを有する、少なくとも一側面を絶縁ポリマ材料で被覆した、絶縁ポリマ材料上に設けられた複数の薄膜電子素子を有するパタン化金属箔を含む。本発明のこの側面は、今後“パタン化金属箔バックプレーン”と呼ぶことにする。
【0019】
このバックプレーンにおいて、アパチャは矩形の格子上に配列することもでき、パタン化金属箔の面積の、最低約30%を占めることができ、最低約60%を占めることが好ましい。通常、パタン化金属箔は、両側を絶縁ポリマ材料で被覆され、両方とも同じ絶縁ポリマ材料で被覆されても、両側を異なる絶縁ポリマ材料で被覆されてもよい。
【0020】
本発明のいくつかのバックプレーンにおいては、各薄膜電子素子は、金属箔中の一つのアパチャの面積の内部に完全に横たわっている。他のバックプレーンにおいては、各々の薄膜電子素子は、金属箔中の複数のアパチャを横切って伸びている。
【0021】
本発明は、本発明のバックプレーンを含む電気光学的ディスプレイ、とりわけ、カプセル化電気泳動電気光学的媒体を含む電気光学的ディスプレイに広がる。
【0022】
別の側面においては、本発明は、電気光学的ディスプレイ中の使用のためのバックプレーンを提供し、このバックプレーンは、絶縁ポリマ材料の少なくとも一側面に被覆された金属箔を含み、絶縁ポリマ材料上に設けられた複数の薄膜電子素子を有し、そのバックプレーンはさらに、ポリマ材料を貫通して伸び、一つ以上の薄膜電子素子を金属箔に電気的に接続する一つ以上の伝導バイアを含む。本発明のこの側面を今後、“伝導バイア・バックプレーン”と呼ぶことにする。
【0023】
伝導バイア・バックプレーンにおいて、金属箔は、アンテナ、インダクタ・ループ、パワー・プレーン、キャパシタ、キャパシタ・コンタクト、ピクセル電極、および電磁誘導遮蔽の少なくとも一つとして働く。
【0024】
本発明は、本発明の伝導バイア・バックプレーンを含む電気光学的ディスプレイに広がる。そのような電気光学的ディスプレイは、その上に電気光学的ディスプレイを有するスマート・カードの形態を取り得、金属箔は、カードとカード読取装置間の通信のために働く。
【0025】
別の側面においては、本発明は、伝導層、絶縁層、および伝導層から絶縁層の反対側に配置された一つ以上のトランジスタを含むバックプレーンを駆動するためのプロセスを提供し、このプロセスは、トランジスタのゲートに印加される電圧を変化させること、およびトランジスタをオン状態とオフ状態との間で切替えることを含み、このプロセスはさらに、伝導層を接地から異なる電圧で、かつバックプレーンの駆動の間、トランジスタのソースに印加される電圧の範囲内に維持することを含む。本発明のこの側面を今後、“制御電圧伝導層”と呼ぶことにする。
【0026】
通常、このプロセスにおいては、伝導層に印加される電圧は、次の関係を満足させる:
(3*Vmax+Vmin)/4>Vc>(Vmax+3*Vmin)/4
ここに、Vmax、Vminはそれぞれ、駆動中にソースに印加される最大電圧および最小電圧、Vcは、伝導層に印加される電圧である。電圧は次の式を満足させるのが好ましい。
【0027】
(3*Vmax)+2*Vmin)/5>Vc>(2*Vmax+3*Vmin)/5さらに、最も望ましいのは、次の関係を実質的に満たすことである。
【0028】
Vc=(Vmax+Vmin)/2
別の側面において、本発明は、金属基板を被覆するポリマ材料上に、複数の電子的構成要素を形成するプロセスを提供するものであって、このプロセスには金属基板上にポリマ材料の複数の離散エリアを形成した後、このポリマ材料の離散エリア上に複数の電子的構成部品を形成することが含まれる。下に述べる理由によって、本発明のこの側面は、今後、“メサ・プロセス”と呼ぶことにする。
【0029】
このメサ・プロセスにおいては、ポリマ材料の連続層が金属基板上に形成された後、この連続層は、ポリマ材料の離散エリアを形成するために分割されうる。このポリマ材料の離散エリアの端の少なくともいくつかは、アンダーカットされる。このようなポリマ材料の離散エリアのエッジのアンダーカットは、エッチング・ステップによって行いうる。
【0030】
別の側面においては、本発明は、金属基板を有する電気光学的ディスプレイを提供する。このディスプレイは、電気光学的材料およびこの電気光学的材料上に画像を書き込む手段、および中央部分の周辺の少なくとも部分の周りに広がる周辺部分を含む中央部分を有する。この周辺部分は、金属基板を貫通して伸びる複数のアパチャを有する。これらのアパチャを使って、電気光学的ディスプレイは、可撓性媒体に縫い付けられうる。本発明の
この側面は、今後、“縫付け可能なディスプレイ”と呼ぶことにする。
【0031】
このような縫付け可能なディスプレイにおいて、ディスプレイの周辺部分は、電気光学的材料がないことが望ましい。ディスプレイの周辺部分は、中央部分の周囲に完全に広がることができるので、電気光学的ディスプレイの全周辺は、繊維材料または他の可撓性材料に縫付けが可能である。
【0032】
別の側面において、本発明は、一元方向に曲がった基板上に電気光学的ディスプレイを形成するためのプロセスを提供する。そのプロセスは、
少なくとも1つのピクセル電極を有する、一元方向に曲がったバックプレーンを準備するステップ、
このバックプレーンを電気光学的媒体の層および光伝送電気的伝導層を含む積層体に、電気光学的媒体がバックプレーンと伝導層との間に横たわるように適用するステップ、および
この積層体をバックプレーンに熱および/または圧力を加えて接着するステップを含む。
【0033】
本発明のこの側面を今後、“第一1D湾曲プロセス”と呼ぶことにする。このプロセスでは、積層体はさらに、電気光学的媒体に塗布する積層接着剤の層を含みうる。この積層接着剤の層は、バックプレーンに接触する。
【0034】
別の側面においては、本発明は、一元方向に曲がった基板上に電気光学的ディスプレイを形成するプロセスを提供する。このプロセスは、
少なくとも1つのピクセル電極を有する、一元方向に曲がったバックプレーンを準備するステップ、
反対側に第一接着剤層および第二接着剤層を有し、その少なくとも一方はリリース・シートでカバーされている、固体電気光学的媒体の層を含む両面リリース・フィルムを準備するステップ、
第一接着剤層および第二接着剤層の一方をさらし、両面リリース・シートをバックプレーンに積層するステップ、および
第一接着剤層および第二接着剤層の他方をさらし、さらされた接着剤層を伝導層に積層するステップを含む。
【0035】
本発明のこの側面は、今後、“第二1D湾曲プロセス”と呼ぶことにする。
【0036】
最後に、本発明は、少なくとも1つのピクセル電極を有する曲がったバックプレーン上に電気光学的ディスプレイを形成するプロセスを提供する。このプロセスは、
被覆可能な電気光学的媒体をバックプレーンの表面に適用して、その上に電気光学的媒体の均一層を形成するステップ、
透明な伝導層をバックプレーン上の電気光学的媒体の表面上に適用し、その上に伝導層の均一層を形成するステップ、および
透明なカプセル材を伝導層の表面上に適用し、カプセル材の均一層を形成するステップを含む。
【0037】
本発明のこの側面を今後、“2D湾曲プロセス”と呼ぶことにする。このプロセスはさらに、ディスプレイの少なくとも一端の周りに、エッジ・シーラントを適用するステップを含む。
【0038】
上述のように、本発明は、電気光学的ディスプレイ用のバックプレーンの改善をもたらすいくつかの異なる側面、およびこのようなバックプレーンおよびディスプレイを形成す
るプロセスを有する。理解を容易にするために、本発明の様々な異なる側面は今後、個別に記述するが、単一のバックプレーンまたはディスプレイでも本発明の一つを超える側面を利用しうることを理解されたい。例えば、本発明の1D湾曲プロセスは、本発明のパタン化金属箔バックプレーンを使って実施されうる。