(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
挟持構造は、前記クリップ基部の内面から突設され、前記表紙体を構成するベース体の第1の端縁近傍に穿設された案内溝部を前記厚さ方向において通り抜けることにより、前記案内溝部に案内され、且つ可動範囲を規制する可動規制部を含み、
前記ベース体は、前記第1の端縁に相対する第2の端縁と、前記第1の端縁および前記第2の端縁に直交する方向に延びて前記第1の端縁と前記第2の端縁を結ぶ第3の端縁と、前記第3の端縁に相対する第4の端縁とを含み、
前記案内溝部は、前記第1の端縁から前記第2の端縁に向かうほど前記第3の端縁または前記第4の端縁のいずれかへと円弧を描くように湾曲して穿設され、且つ
前記クリップ体は、前記表紙体を構成するベース体に対して前記第3の端縁と前記第4の端縁とを結ぶ方向である高さ方向と前記第1の端縁と前記第2の端縁とを結ぶ方向である幅方向が交わる平面において回動可能に取り付けられ、且つ前記可動規制部が前記回動に合わせて前記案内溝部に案内されて摺動する、請求項1に記載の挟持構造を備えたファイル。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルに用紙を挟持させた状態を内面側から見た斜視図である。
【
図2】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルに挟持させていた用紙を開放した状態を内面側から見た斜視図である。
【
図3】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを見開いて内面側から見たときの平面図である。
【
図4】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体を内面側から見たときの平面図である。
【
図5】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体を外面側から見たときの平面図である。
【
図6】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体の
図4に示すVI−VI断面図である。
【
図7】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体の
図4に示すVII−VII断面図である。
【
図8】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体の
図4に示すVIII−VIII断面図である。
【
図9】この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体を内面側から見たときの平面図である。
【
図10】この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体を外面側から見たときの平面図である。
【
図11】この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体を下方側から見たときの底面図である。
【
図12】この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体の右側面図である。
【
図13】この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体の
図9に示すXIII−XIII断面図である。
【
図14】この発明の一実施の形態に係る挟持構造の押え体の見開いた状態を内面側から見たときの平面図である。
【
図15】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの固着部材を内面側から見たときの平面図である。
【
図16】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの固着部材を外面側から見たときの平面図である。
【
図17】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの固着部材を右方側から見たときの側面図である。
【
図18】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの固着部材の
図15に示すXVIII−XVIII断面図である。
【
図19】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの表表紙部を内面側から見たときの平面図である。
【
図20】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの固着部材を用いてベース体と表表紙部とを固着する工程の一例を示す模式図である。
【
図21】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの挟持状態を示す内面側から見た挟持構造およびその近傍の平面図である。
【
図22】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの挟持状態を示す挟持構造およびその近傍を内面側から見た図であり、クリップ体および押え体のみその厚さ方向の中央付近で幅方向に沿って切断した図である。
【
図23】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの挟持状態を示す挟持構造およびその近傍の高さ方向に沿った断面図である。
【
図24】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを挟持状態から開放状態に切り替える途中の状態を示す内面側から見た挟持構造近傍の平面図である。
【
図25】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを挟持状態から開放状態に切り替える途中の状態を示す挟持構造およびその近傍を内面側から見た図であり、クリップ体および押え体のみその厚さ方向の中央付近で幅方向に沿って切断した図である。
【
図26】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを挟持状態から 開放状態に切り替える途中の状態を示す挟持構造およびその近傍の高さ方向に沿った断面図である。
【
図27】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの開放状態を示す内面側から見た挟持構造およびその近傍の平面図である。
【
図28】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの開放状態を示す挟持構造およびその近傍を内面側から見た図であり、クリップ体および押え体のみその厚さ方向の中央付近で幅方向に沿って切断した図である。
【
図29】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの開放状態を示す挟持構造およびその近傍の高さ方向に沿った断面図である。
【
図30】この発明の他の実施の形態に係る狭持構造の変形例を示す平面図であり、挟持状態を示す図である。
【
図31】この発明の他の実施の形態に係るファイルの狭持構造の変形例の挟持状態を示す
図30のXXXI−XXXI断面図である。
【
図32】この発明の他の実施の形態に係る狭持構造の変形例を示す平面図であり、開放状態を示す図である。
【
図33】この発明の他の実施の形態に係る狭持構造の変形例の開放状態を示す
図32のXXXIII−XXXIII断面図である。
【
図34】この発明の他の実施の形態に係る挟持構造の変形例に用いられるクリップ体を内面側から見たときの平面図である。
【
図35】この発明の他の実施の形態に係る挟持構造の変形例に用いられるクリップ体を下方側から見たときの底面図である。
【
図36】この発明の他の実施の形態に係る挟持構造の変形例に用いられる押え体の見開いた状態を内面側から見たときの平面図である。
【
図37】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルに用紙を挟持させた状態を内面側から見た平面図である。
【
図38】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルに挟持させていた用紙を開放した状態を内面側から見た図解図である。
【
図39】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの表紙体を内面側から見たときの平面図である。
【
図40(A)】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの表紙体の
図39に示すXXXXA−XXXXA断面図である。
【
図40(B)】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの表紙体の
図39に示すXXXXB−XXXXB断面図である。
【
図40(C)】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの表紙体の押え体をベース体側に折り曲げた状態の
図39に示すXXXXB−XXXXB断面図である。
【
図41】この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体を内面側から見たときの平面図である。
【
図42】この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体を外面側から見たときの平面図である。
【
図43】この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体の右側面図である。
【
図44】この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体を下方側から見たときの底面図である。
【
図45】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの
図37に示すXXXXV―XXXXV断面図である。
【
図46】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを見開いて内面側から見たときの分解図である。
【
図47】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの
図37に示すXXXXVII−XXXXVII断面図である。
【
図48】この発明の一実施の形態に係る固定部材の平面図である。
【
図49】この発明の一実施の形態に係る固定部材の背面図である。
【
図50】この発明の一実施の形態に係る固定部材の底面図である。
【
図51(A)】この発明の一実施の形態に係る固定部材の
図48に示すXXXXIA−XXXXIA断面図である。
【
図51(B)】この発明の一実施の形態に係る固定部材の
図48に示すXXXXIB−XXXXIB断面図である。
【
図52】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの挟持状態を示す内面側から見た挟持構造およびその近傍の平面図である。
【
図53】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの
図52に示すXXXXXIII−XXXXXIII断面図である。
【
図54(A)】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを挟持状態から開放状態に切り替える途中の状態を示す内面側から見た挟持構造近傍の平面図である。
【
図54(B)】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを挟持状態から開放状態に切り替えた状態を示す内面側から見た挟持構造近傍の平面図である。
【
図55】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの
図54(B)に示すXXXXXV−XXXXXV断面図である。
【
図56】この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルに用紙を挟持させた状態を内面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(ファイル10)
この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルについて、図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルに用紙を挟持させた状態を内面側から見た斜視図である。
図2は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルに挟持させていた用紙を開放した状態を内面側から見た斜視図である。
図3は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを見開いて内面側から見たときの平面図である。
【0018】
なお、本件発明の説明において、高さ方向とは、
図1および
図2において、挟持構造が取り付けられたベース体の上端縁とそれに相対する下端縁とを結ぶ方向である。また、幅方向とは、
図1および
図2において、高さ方向に直交し、且つベース体の左端縁とそれに相対する右端縁とを結ぶ方向である。さらに、厚さ方向とは、
図1および
図2において、高さ方向と幅方向の両方に直交し、且つ被挟持材たる用紙Pを挟み込む方向である。
そして、本件発明の説明において、外面とは、表紙体を閉じたときの表紙体の外側の面又は外側に位置する面をいう。また、内面とは、表紙体を見開いた状態において、表紙体を閉じたときに対向する表紙体の内部に向いた面又は内部に位置する面をいう。
【0019】
ファイル10は、平面視略矩形状のベース体20と、ベース体20の上端縁22aと左端縁22cとが交わる角部またはその近傍に取り付けられた挟持構造40と、ベース体20の左端縁22cに固着され、且つ高さ方向に沿って延びる固着部材100と、ベース体20の左端縁22cに固着された平面視矩形状の表表紙部110とを備える。
【0020】
(ベース体20)
この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体について、
図4〜8に基づいて説明する。
図4は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体を内面側から見たときの平面図である。
図5は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体を外面側から見たときの平面図である。
図6は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体の
図4に示すVI−VI断面図である。
図7は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体の
図4に示すVII−VII断面図である。
図8は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体の
図4に示すVIII−VIII断面図である。
【0021】
ベース体20は、平面視略矩形状であって、その表面に載置された用紙Pに筆記するに適した構造を備えており、高さ方向において相対する上端縁22a(第1の端縁)および下端縁22b(第2の端縁)と、幅方向において相対する左端縁22c(第3の端縁)および右端縁22d(第4の端縁)とを含む。ベース体20は、平面視略矩形状のベース本体24と、ベース本体24の左端縁に沿って一体的に形成され、高さ方向に沿って延びる表表紙取付け部34とを含む。ベース体20は、ABS樹脂などの適度な剛性を有した材料により一体成形されることが好ましい。
【0022】
ベース本体24には、上端縁22aの左端縁22c近傍を切り欠くようにして形成された案内溝部26と、上端縁22a近傍の幅方向における略中央よりもやや右端縁22dよりの位置に穿設された平面視略円形状の押え取付け部31と、内面側の表表紙取付け部34との境界部分から突出するように形成され、用紙Pの左端縁に当接し得る厚さ方向に立設され、且つ高さ方向に沿って延びる垂直面を有する左端縁位置決め部32と、上端縁22aに沿って内面から突出するように形成され、用紙Pの上端縁に当接し得る厚さ方向に立設され、且つ幅方向に沿って延びる垂直面を有する上端縁位置決め部33とを備える。ベース本体24の案内溝部26は、後述する挟持構造40に含まれるクリップ体60の可動規制部70がその内壁に案内されて摺動するために形成される。案内溝部26は、ベース本体24の内面側に形成される凹部28と、凹部28の底面に穿設された長孔部30とを含む。案内溝部26は、ベース本体24の上端縁22aから左端縁22c側へと円弧を描くように湾曲して略下方へと延びる。案内溝部26の先端部分(すなわち、下端部分)は、上端縁22aの近傍であり、且つ左端縁位置決め部32の近傍に位置する。
【0023】
表表紙取付け部34は、上端縁22a近傍に穿設された平面視略円形状のベース軸孔36と、高さ方向に沿って一直線状に並ぶように形成された平面視略円形状の貫通孔38とを有する。
【0024】
(挟持構造40)
挟持構造40は、用紙Pの上端縁の近傍を挟持してベース体20の内面に用紙Pを保持できる構造を備えており、高さ方向と幅方向が交わる平面(すなわち、ファイル10の見開いた状態を内面側から平面視したときに視認できる面)において、ベース体20の上端縁22aの近傍に取り付けられ、ベース体20に対して回転可能なクリップ体60と、ベース体20の上端縁22aの近傍に取り付けられ、クリップ体60の回転により厚さ方向において開閉し、クリップ体60によって押圧されて挟持された用紙P(被挟持材)に当接する押え体80とを含む。
【0025】
(クリップ体60)
この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体について、
図9〜13に基づいて説明する。
図9は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体を内面側から見たときの平面図である。
図10は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体を外面側から見たときの平面図である。
図11は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体を下方側から見たときの底面図である。
図12は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体の右側面図である。
図13は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体の
図9に示すXIII−XIII断面図である。
【0026】
クリップ体60は、高さ方向と幅方向の交わる平面に延在する板状のクリップ基部62と、板状のクリップ基部62の上端縁から屈曲して幅方向と厚さ方向の交わる平面に延在する板状のクリップ側部64と、クリップ側部64の内側端縁から屈曲して円弧を描くように湾曲しながら略下方へと延び、その先端部がクリップ基部62の内面近傍まで至る板状のクリップ押え部66とを含む。クリップ基部62の左側部分は、厚さ方向においてクリップ押え部66と相対していない。この部分の内面において、上端縁と左端縁で形成される角部近傍に回転軸78が突設され、且つ下端縁の近傍に可動規制部70が突設される。可動規制部70は、クリップ基部62の内面から突設される略円柱形状の規制本体部72と、規制本体部72の先端部分に形成された規制本体部72よりも外径寸法が大きいヒンジ押圧部74とを有する。挟持状態において、規制本体部72がベース体20に穿設された長孔部30を貫通し、且つヒンジ押圧部74は、ベース体20に形成された凹部28の底面よりもベース体20の内面に近い側に位置する。クリップ押え部66の外面の上端縁近傍には、左側部分を幅方向に延びるように指掛部68が突設される。クリップ体60は、ポリアセタール樹脂などの材料により一体成形されることが好ましい。
クリップ基部62とクリップ側部64との境界64aは、直線状であり、又、クリップ側部64とクリップ押え部66との境界64bは、直線状である。
境界64aと境界64bとは、平行であり、後述する押え体80のヒンジ部84の幅より若干長い間隔をおいて形成されている。
クリップ押え部66は、クリップ側部64側より自由端の押圧部66aに至るに従ってクリップ基部62との間隔が狭くなるようにわん曲しており、その弾力性により、挟持状態において押え体80の押え内板86を自由端の押圧部66aにより、押え内板86及びクリップ基部62側に向けて厚さ方向に閉じるように構成されている。
クリップ押え部66は、開放状態から挟持状態にするとき、最初に押え体80のヒンジ部84の近傍に当接する領域に、進入補助部67が形成されている。
進入補助部67は、クリップ押え部66の上面より若干その先端が前方に立ち上がっており、クリップ基部62との間隔がその他の領域、例えば押圧部66aより拡がっている。
進入補助部67は、クリップ押え部66の回転軸78に近い領域に形成されている。
【0027】
(押え体80)
この発明の一実施の形態に係る押え体80について、
図14に基づいて説明する。
図14は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造の押え体の見開いた状態を内面側から見たときの平面図である。
【0028】
押え体80は、高さ方向と幅方向の交わる平面に延在する押え外板82と、押え外板82の上端縁から屈曲して厚さ方向に延在するヒンジ部84と、ヒンジ部84の内側端縁から屈曲して高さ方向と幅方向の交わる平面に延在する押え内板86とを含む。すなわち、押え外板82と押え内板86とは、挟持状態である閉じた状態において、厚さ方向においてヒンジ部84の寸法分だけ離間して相対する。押え外板82には、上端縁と左端縁で形成される角部近傍に平面視略円形状の押え軸孔96が穿設され、且つ押え軸孔96よりも右方に押え案内溝部90が穿設される。押え案内溝部90は、ベース体20に穿設された案内溝部26に対応した平面視形状を有し、押え外板82の上端縁の近傍から左端縁側へと湾曲しつつ下端縁の近傍まで延びるように穿設される。また、押え体80の上端縁と右端縁で形成される角部近傍には、平面視略円形状のベース体取付け部92が穿設される。押え体80は、ポリプロピレンなどの合成樹脂により一体成形されることが好ましい。
押え内板86とヒンジ部84の境界の屈曲部分84aは、直線状であり、又、押え外板押え外板82とヒンジ部84との境界の屈曲部分84bは、直線状である。
屈曲部分84aと屈曲部分84bとは、一定の距離をおいて、平行にのびる。
押え体80は、ベース体20の上端縁22aに沿ってヒンジ部84が延びるように取り付けられており、屈曲部分84bが上端縁22aに沿って平行に取り付けられている。
そして、ヒンジ部84は、押え外板82より自由端側が上方に立ち上がっている。
【0029】
押え内板86は、外力が加えられてない状態において、押え外板82に対して厚さ方向に開いた状態となる。例えば、押え内板86は、外力が加えられていない状態において、押え外板82に対して厚さ方向と高さ方向が交わる平面において90°より僅かに小さい角度まで開いた状態となる。しかしながら、挟持状態の押え内板86は、その内面側(押え外板82とは反対側)からクリップ押え部66によりベース本体24側に押さえ付けられるため、厚さ方向と高さ方向が交わる平面において押え外板82と平行にまたはほぼ平行に延在する。
【0030】
(固着部材100)
この発明の一実施の形態に係る固着部材100について、
図15〜18に基づいて説明する。
図15は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの固着部材を内面側から見たときの平面図である。
図16は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの固着部材を外面側から見たときの平面図である。
図17は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの固着部材を右方側から見たときの側面図である。
図18は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの固着部材の
図15に示すXVIII−XVIII断面図である。
【0031】
固着部材100は、高さ方向に延在し、その高さ寸法がベース体20のそれと同じかまたはほぼ同じである固着本体102と、固着本体102の内面側に高さ方向において一直線状に並ぶように突設された複数の固着突部104と、その上端縁の近傍に穿設された平面視略円形状の固着軸孔106とを含む。固着部材100は、ポリプロピレンなどの合成樹脂により一体成形されることが好ましい。
【0032】
(表表紙部110)
この発明の一実施の形態に係る表表紙部110について、
図19に基づいて説明する。
図19は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの表表紙部を内面側から見たときの平面図である。表表紙部110は、ベース体20に対応した平面視略矩形状に形成される。表表紙部110は、平面視略矩形状の表表紙本体112と、表表紙本体112の左端縁に高さ方向に延在するように形成された背表紙部114と、表表紙本体110の内面側に溶着され、且つ表表紙本体112よりも僅かに小さい寸法を有した平面視略矩形状のポケット部116とを含む。ポケット部116は、その左端縁および下端縁が表表紙本体112の内面側に溶着される。すなわち、ポケット部116は、その上端縁および右端縁が開口されており、当該開口から用紙などをその内部に挿入することができる。表紙本体112およびポケット部116は、ポリプロピレンなどの合成樹脂により形成されることが好ましい。また、背表紙部114は、トムソン加工により高さ方向に沿って延在する複数の折り罫線を形成することが好ましい。これにより、背表紙部114をヒンジとして適切に機能させることができる。
【0033】
(ベース体と表表紙部を溶着する工程)
この発明の一実施の形態に係るベース体と表表紙部とを固着する工程の一例について、
図20に基づいて説明する。
図20は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの固着部材を用いてベース体と表表紙部とを固着する工程の一例を示す模式図である。
【0034】
まず、固着部材100の外面側にベース体20の表表紙取付け部34の内面側を載置する。このとき、固着部材100に突設された複数の固着突部104をベース体20に穿設された複数の貫通孔38に通すように載置する。
【0035】
次に、表表紙部110の一部である背表紙部114の右端部の内面側を固着部材100に突設された複数の固着突部104およびベース体20に穿設された複数の貫通孔38の内面側に載置する。
【0036】
また、上記したように厚さ方向に重ね合わせた固着部材100と、ベース体20と、背表紙部114とを背表紙部114の外面側から超音波ホーンを押し当てることにより超音波溶着する。具体的には、固着部材100に突設された複数の固着突部104それぞれの先端部分と、背表紙部114の内面部分とが互いに溶融することにより超音波溶着される。なお、固着方法は超音波溶着に限定されず、熱板を押し当てることによる熱溶着など適宜の溶着方法を用いることができる。また、固着部材100を用いず、代わりに複数の螺子部材などの固定部材を用いて互いに固定されてもよい。
【0037】
(挟持構造の取付け工程)
この発明の一実施の形態に係る挟持構造をファイルに取り付ける工程の一例について説明する。
【0038】
まず、外面側から順に、押え体80の押え軸孔96と、ベース体20のベース軸孔36と、固着部材100の固着軸孔106とを厚さ方向に互いに連なるように配置する。
【0039】
そして、この互いに連なった軸孔にクリップ体60の回転軸78をベース体20のベース軸孔36の側から嵌合する。
【0040】
なお、押え体80の右端部は、押え外板82に穿設された押え軸孔96とベース本体24に穿設された押え取付け部31を厚さ方向に連ねたあと、この連なった軸孔に任意の固定部材、例えば、ハトメを貫通することにより、ベース本体24に対して固定される。
押え体80は、ベース体20の上端縁22aの下部に形成された押え体80の取り付け凹部22eに、押え外板82を嵌合させてベース体20の背面に取り付けられる。
ベース体20の取り付け凹部28は、押え体80の押え外板82及びクリップ体60のクリップ基部62と相似形であり、押え外板82の厚さとよりも若干長い深さを備える。
押え体80の押え内板86は、ヒンジ部84を中心にして接近したり離間したりするように、ベース体20に取り付けられる。
クリップ体60は、ベース体20の上端縁22aに接近したり離間したりするように、回転軸78を中心にして回動するように、ベース体20に取り付けられる。
クリップ体60は、挟持状態においては、押え体80の押え内板86と押え外板82とを挟み付けるように、ベース体20に取り付けられる。
【0041】
上記のようにして、この発明の一実施の形態に係る挟持構造40をファイル10に取り付けることができる。
【0042】
(挟持状態から開放状態への切り替え手順)
この発明の一実施の形態に係る挟持構造の挟持状態から開放状態への切り替え手順の一例について、
図21〜29に基づいて説明する。
【0043】
まず、この発明の一実施の形態に係る挟持構造の挟持状態について、
図21〜23に基づいて説明する。
図21は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの挟持状態を示す内面側から見た挟持構造およびその近傍の平面図である。
図22は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの挟持状態を示す挟持構造およびその近傍を内面側から見た図であり、クリップ体および押え体のみその厚さ方向の中央付近で幅方向に沿って切断した図である。
図23は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの挟持状態を示す挟持構造およびその近傍の高さ方向に沿った断面図である。
【0044】
開放状態に位置するクリップ体60は、回転軸78を枢軸として回動させることにより、進入補助部67から押え体80に向けて進入し始め、クリップ側部64とは反対側の自由端の押圧部66a側より押え体80の押え内板86の上面及び押え外板82の下面を摺接して押え内板86と押え外板82とを挟み付け、挟持状態に至る。
挟持状態において、クリップ体60は、その可動規制部70がベース体20に穿設された案内溝部26の下端部に位置する。また、クリップ基部64は、その上端縁がベース本体24の上端縁22aに沿って延び、且つその内面がベース本体24の上端縁22aおよびその近傍の外面と相対する。さらに、クリップ押え部66は、その上端縁がベース本体24の上端縁22aに沿って延び、且つその内面がベース本体24の上端縁22aおよびその近傍の内面と相対する。そして、クリップ側部64は、ベース本体24の上端縁24に沿って延在する。押え外板82は、その上端縁がベース体20の上端縁22aに沿って延び、且つその内面がベース本体24の上端縁22aおよびその近傍の外面と相対する。さらに、押え内板86は、その上端縁がベース本体24の上端縁22aに沿って延び、且つその内面がベース本体24の上端縁22aおよびその近傍の内面と相対する。そして、ヒンジ部84は、ベース本体24の上端縁22aに沿って延在する。
【0045】
次に、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を挟持状態から開放状態に切り替える途中の状態について、
図24〜26に基づいて説明する。
図24は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを挟持状態から開放状態に切り替える途中の状態を示す内面側から見た挟持構造近傍の平面図である。
図25は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを挟持状態から開放状態に切り替える途中の状態を示す挟持構造およびその近傍を内面側から見た図であり、クリップ体および押え体のみその厚さ方向の中央付近で幅方向に沿って切断した図である。
図26は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを挟持状態から開放状態に切り替える途中の状態を示す挟持構造およびその近傍の高さ方向に沿った断面図である。
【0046】
挟持状態のクリップ体60を指掛部68に指を掛けて回転軸78を中心に内面側から平面視して左回転(反時計回り)させていくと、可動規制部70がベース本体24に穿設された案内溝部26に案内されて可動範囲を規制されながら略上方へと移動する。このとき、クリップ押え部66によりベース本体24の内面側へと押さえ付けられていた押え内板86は、クリップ押え部66による押え付けがなくなるため、ヒンジ部84を中心として厚さ方向と高さ方向の交わる平面においてベース体20の右端縁22d側から見て右回転(時計回転)し、押え外板82に対して厚さ方向に開いていく。
【0047】
最後に、この発明の一実施の形態に係る挟持構造の開放状態について、
図27〜29に基づいて説明する。
図27は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの開放状態を示す内面側から見た挟持構造およびその近傍の平面図である。
図28は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの開放状態を示す挟持構造およびその近傍を内面側から見た図であり、クリップ体および押え体のみその厚さ方向の中央付近で幅方向に沿って切断した図である。
図29は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの開放状態を示す挟持構造およびその近傍の高さ方向に沿った断面図である。
【0048】
挟持状態のクリップ体60の指掛部68に指を掛けて回転軸78を中心に内面側から平面視して左回転(反時計回り)させていくと、可動規制部70の先端に形成されたヒンジ押圧部74が押え体80のヒンジ部84に下方側から突き当たって略上方へと押す。これにより、押え内板86は、厚さ方向において押え外板82に対して完全に開いた状態となる。なお、クリップ体60は、可動規制部70の規制本体部72が押え案内溝部90の上端部に突き当たることにより、内面側から平面視したときの左回転(反時計回り)動作を規制されて停止する。
【0049】
上記のようにして、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を挟持状態から開放状態への切り替えることができる。なお、開放状態から挟持状態への切り替え手順は、クリップ体60を高さ方向と厚さ方向の交わる平面において内面側から平面視して右回転(時計回り)させるのみである。
【0050】
(効果)
この発明の一実施の形態に係る挟持構造40は、用紙Pが挟持された状態におけるクリップ体60がベース体20の上端縁22aから離間させられることに伴って、可動規制部70がベース体20に穿設された案内溝部26に案内されてベース体20の上端縁22a側へと摺動し、且つ押え体80のヒンジ部84をベース体20の上端縁22a側から押すことにより、押え内板86をベース体20の内面から離間させて厚さ方向において開いた状態とし、用紙Pが開放された状態となる。すなわち、この発明の一実施の形態に係る挟持構造40は、部品点数が少なく簡単な構造である。これにより、故障の虞が抑制され、且つ生産性が向上し得る。さらに、押え内板86により用紙Pの端縁およびその近傍をベース体20の内面に押え付けて挟持するため、用紙Pを傷めることなく確実に挟持することができる。その結果、この発明の一実施の形態に係る挟持構造40は、簡単な構造を有し、且つ用紙を傷めないで確実に挟持することができる。
【0051】
また、この発明の一実施の形態に係る挟持構造40は、押え体80が、外力が加えられていない状態において、ベース体20の内面から離間して厚さ方向において開いた状態となり、且つ用紙Pが挟持された状態において、クリップ押え部66によりベース体20の内面側へと押え付けられて厚さ方向において閉じた状態となる。これにより、この発明の一実施の形態に係る挟持構造40は、厚さ方向における開閉動作を一層円滑に行うことが可能となるため、挟持状態と開放状態の切り替えを容易に行うことが可能となる。
【0052】
さらに、この発明の一実施の形態に係る挟持構造40は、案内溝部26は、上端縁22aから下端縁22bに向かうほど左端縁22cへと円弧を描くように湾曲して穿設され、且つクリップ体60は、ベース体20に対して高さ方向と幅方向が交わる平面において回動可能に取り付けられ、且つ可動規制部70が回動に合わせて案内溝部26に案内されて摺動する。この発明の一実施の形態に係る挟持構造40は、このように回動するクリップ体60を備えることにより、より少ない部品点数で簡単な構成とすることが可能となり、且つ挟持状態と開放状態の切り替えが美観を起こしながら行われ得る。
【0053】
そして、この発明の一実施の形態に係る挟持構造40を備えるファイル10は、ポリプロピレン(第1の合成樹脂)により形成された固着部材100と、複数の固着突部104に対応した複数の貫通孔38が穿設され、且つABS樹脂(剛性を有した第1の合成樹脂とは異なる材料)により形成されたベース体20と、ポリプロピレン(第1の合成樹脂)により形成された表表紙部110とを備え、ベース体20に穿設された複数の貫通孔38に通された固着部材100の複数の固着突部104の先端部と、背表紙部114とが互いに溶融して溶着されることにより、ベース体20の端縁を背表紙部114と固着部材100とにより厚さ方向において挟むように構成される。その結果、この発明の一実施の形態に係る挟持構造40を備えるファイル10は、容易に製造することが可能となる。
【0054】
(変形例)
次に、この発明の他の実施の形態に係る狭持構造の変形例について説明する。
図30は、この発明の他の実施の形態に係る狭持構造の変形例を示す平面図であり、挟持状態を示す図である。
図31は、この発明の他の実施の形態に係るファイルの狭持構造の変形例の挟持状態を示す
図30のXXXI−XXXI断面図である。
図32は、この発明の他の実施の形態に係る狭持構造の変形例を示す平面図であり、開放状態を示す図である。
図33は、この発明の他の実施の形態に係る狭持構造の変形例の開放状態を示す
図32のXXXIII−XXXIII断面図である。
【0055】
図30〜33に示すように、この変形例に係る狭持構造40Aは、上述した狭持構造40とは、クリップ体60Aの摺動方向が、ベース体20に対して高さ方向である点で異なる。まず、この狭持構造40Aを備えるファイル10Aについて説明する。なお、上記したこの発明の一実施の形態に係るファイル10と同一部分については同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0056】
ファイル10Aは、平面視略矩形状のベース体20Aと、ベース体20Aの上端縁22aと上端縁22aの中間部に取り付けられた挟持構造40Aと、ベース体20Aの左端縁22cに固着され、且つ高さ方向に沿って延びる固着部材100と、ベース体20Aの左端縁22cに固着され、且つ平面視矩形状の表表紙部110とを備える。
【0057】
(ベース体20A)
ベース体20Aは、平面視略矩形状であり、高さ方向において相対する上端縁22aおよび下端縁22bと、幅方向において相対する左端縁22cおよび22dとを含む。ベース体20Aは、平面視略矩形状のベース本体24と、ベース本体24の左端縁に沿って一体的に形成され、高さ方向に沿って延びる表表紙取付け部34とを含む。ベース体20Aは、ABS樹脂などの適度な剛性を有した材料により一体成形されることが好ましい。
【0058】
ベース本体24には、上端縁22a近傍を切り欠くようにして形成された第1の案内溝部26aおよび第2の案内溝部26bと、表表紙取付け部34との境界部分から厚さ方向において内面側に突出するように形成され、高さ方向に延びる左端縁位置決め部32とを有する。ベース本体24の第1の案内溝部26aおよび第2の案内溝部26bは、後述する挟持構造40Aに含まれるクリップ体60Aの第1の可動規制部70aおよび第2の可動規制部70bがその内壁に案内されて摺動するために、それぞれ形成される。第1の案内溝部26aおよび第2の案内溝部26bは、ベース本体24の上端縁22aの中間部において、一定の間隔をおいて位置している。また、第1の案内溝部26aおよび第2の案内溝部26bは、上端縁22aから下端縁22bに向かって所望の距離だけ延びる。第1の案内溝部26aおよび第2の案内溝部26bは、ベース体20Aの内面から凹むように形成された凹部28と、凹部28の底面に形成される長孔部30とをそれぞれ含む。
【0059】
なお、第1の案内溝部26aおよび第2の案内溝部26bにより構成されているが、これに限るものではなく、3つ以上の案内溝部が形成されていてもよい。その場合、当然、可動規制部は、案内溝部の形成される数に合わせて、クリップ体に形成される。
【0060】
(挟持構造40A)
挟持構造40Aは、高さ方向と幅方向が交わる平面(すなわち、ファイル10Aの見開いた状態を内面側から平面視したときに視認できる面)において、ベース体20Aに対して高さ方向に摺動可能なクリップ体60Aと、クリップ体60Aの摺動により厚さ方向において開閉し、挟持された用紙Pに当接する押え体80Aとを含む。
【0061】
(クリップ体60A)
この発明の他の実施の形態に係る挟持構造のクリップ体について、
図34および
図35に基づいて説明する。
図34は、この発明の他の実施の形態に係る挟持構造の変形例に用いられるクリップ体を内面側から見たときの平面図である。
図35は、この発明の他の実施の形態に係る挟持構造の変形例に用いられるクリップ体を下方側から見たときの底面図である。
【0062】
クリップ体60Aは、高さ方向と幅方向の交わる平面に延在するクリップ基部62と、クリップ基部62の上端縁から屈曲して幅方向と厚さ方向の交わる平面に延在するクリップ側部64と、クリップ側部64の内側端縁から屈曲して滑らかに湾曲しながら略下方へと延び、その先端部がクリップ基部62の内面近傍まで至るクリップ押え部66とを含む。クリップ基部62の下端縁の部分は、厚さ方向においてクリップ押え部66と相対していない。この部分の内面において、クリップ基部62の下端縁の近傍に第1の可動規制部70aおよび第2の可動規制部70bが一定の間隔をおいて突設される。第1の可動規制部70aおよび第2の可動規制部70bは、クリップ基部62の内面から突設される円柱状の規制本体部72と、規制本体部72の先端部に形成される規制本体部よりも外径寸法が大きいヒンジ部押圧部74とを含む。第1の案内溝部26aおよび第2の案内溝部26bそれぞれに形成される凹部28に、第1の可動規制部70aおよび第2の可動規制部70bのヒンジ部押圧部74の下面が接するように配置される。また、第1の可動規制部70aおよび第2の可動規制部70bそれぞれのヒンジ部押圧部74は、その上面がベース本体24の内側面と略同一平面となるように配置される。さらに、第1の案内溝部26aおよび第2の案内溝部26bそれぞれに形成される長孔部30に、第1の可動規制部70aおよび第2の可動規制部70bの規制本体部72が厚さ方向に貫通して配置される。また、クリップ基部62の内面側には、その上端縁の近傍の幅方向ほぼ全域に延びるように指掛部68が配置される。クリップ体60は、ポリアセタール樹脂などの材料により一体成形されることが好ましい。
【0063】
(押え体80A)
この発明の他の実施の形態に係る押え体80Aについて、
図36に基づいて説明する。
図36は、この発明の他の実施の形態に係る挟持構造の変形例に用いられる押え体の見開いた状態を内面側から見たときの平面図である。
【0064】
押え体80Aは、高さ方向と幅方向の交わる平面に延在する押え外板82と、押え外板82の上端縁から屈曲して厚さ方向に延在するヒンジ部84と、ヒンジ部84の内側端縁から屈曲して高さ方向と幅方向の交わる平面に延在する押え内板86とを含む。すなわち、押え外板82と押え内板86とは、挟持状態である閉じた状態において、厚さ方向においてヒンジ部84の寸法分だけ離間して相対する。押え外板82には、第1の押え案内溝部90aおよび第2の押え案内溝部90bが一定の間隔をおいて穿設される。第1の押え案内溝部90aおよび第2の押え案内溝部90bは、ベース体20Aに穿設された第1の案内溝部26aおよび第2の案内溝部26bに形成される長孔部30の形状に対応した平面視形状を有する。押え外板82の上端縁(押え外板82とヒンジ部84との接続部分)の近傍から下端縁の近傍へ延びるように穿設される。押え体80は、ポリプロピレンなどの合成樹脂により一体成形されることが好ましい。
【0065】
(挟持状態から開放状態への切り替え手順)
この発明の他の実施の形態に係る挟持構造の挟持状態から開放状態への切り替え手順の一例について、
図30〜33に基づいて説明する。
【0066】
まず、この発明の他の実施の形態に係る挟持構造の挟持状態について、
図30および
図31に基づいて説明する。
【0067】
挟持状態において、クリップ体60Aは、その第1の可動規制部70aがベース体20Aに穿設された第1の案内溝部26aの下端部に位置し、且つその第2の可動規制部70bがベース体20Aに穿設された第2の案内溝部26bの下端部に位置する。また、クリップ基部64は、その上端縁がベース本体24の上端縁22aに沿って延び、且つその内面がベース本体24の上端縁22aおよびその近傍の外面と相対する。さらに、クリップ押え部66は、その上端縁がベース本体24の上端縁22aに沿って延び、且つその内面がベース本体24の上端縁22aおよびその近傍の内面と相対する。そして、クリップ側部64は、ベース本体24の上端縁22aに沿って延在する。押え外板82は、その上端縁がベース体20Aの上端縁22aに沿って延び、且つその内面がベース本体24の上端縁22aおよびその近傍の外面と相対する。さらに、押え内板86は、その上端縁がベース本体24の上端縁22aに沿って延び、且つその内面がベース本体24の上端縁22aおよびその近傍の内面と相対する。そして、ヒンジ部84は、ベース本体24の上端縁22aに沿って延在する。
【0068】
次に、この発明の他の実施の形態に係る挟持構造を挟持状態から開放状態に切り替える途中の状態について説明する。
【0069】
挟持状態のクリップ体60Aを指掛部68に指を掛けて略上方へと移動させていくと、第1の可動規制部70aがベース本体24に穿設された第1の案内溝部26aに案内されて可動範囲を規制されながら略上方へと移動し、且つ第2の可動規制部70bがベース本体24に穿設された第2の案内溝部26bに案内されて可動範囲を規制されながら略上方へと移動する。このとき、クリップ押え部66によりベース本体24の内面側へと押さえ付けられていた押え内板86は、クリップ押え部66による押え付けがなくなるため、ヒンジ部84を中心として厚さ方向と高さ方向の交わる平面においてベース体20Aの右端縁22d側から見て右回転(時計回転)し、押え外板82に対して厚さ方向に開いていく。
【0070】
最後に、この発明の他の実施の形態に係る挟持構造の開放状態について、
図32および
図33に基づいて説明する。
【0071】
挟持状態のクリップ体60Aを指掛部68に指を掛けて略上方へと移動させていくと、第1の可動規制部70aの先端に形成されたヒンジ押圧部74が押え体80Aのヒンジ部84に下方側から突き当たって略上方へと押し、且つ第2の可動規制部70bの先端に形成されたヒンジ押圧部74が押え体80Aのヒンジ部84に下方側から突き当たって略上方へと押す。これにより、押え内板86は、厚さ方向において押え外板82に対して完全に開いた状態となる。なお、クリップ体60Aは、第1の可動規制部70aの規制本体部72が第1の押え案内溝部90aの上端部に突き当たり、且つ第2の可動規制部70bの規制本体部72が第2の押え案内溝部90bの上端部に突き当たることにより、略上方への移動を規制される。
【0072】
上記のようにして、この発明の他の実施の形態に係る挟持構造40Aは、挟持状態から開放状態へと切り替えることができる。なお、開放状態から挟持状態への切り替え手順は、クリップ体60Aを略下方へと移動させるのみである。
【0073】
(効果)
この発明の他の実施の形態に係る挟持構造40Aは、ベース体20Aに2つの案内溝部26(第1の案内溝部26aおよび第2の案内溝部26b)が穿設され、これに可動範囲を規制されるように、クリップ体60Aに形成された2つの可動規制部70(第1の可動規制部70aおよび第2の可動規制部70b)が厚さ方向に通される。これにより、この実施の形態に係る挟持構造40Aは、上記した一実施の形態のようにベース体20Aの案内溝部26およびクリップ体60の可動規制部70が1つのみ配設される場合と比較して、一層確実に用紙Pを挟持してベース体20Aに対して保持することが可能となる。
【0074】
(他の変形例)
なお、上記した他の実施の形態では、ベース体20に2つの案内溝部26が穿設され、且つこれに対応してクリップ体60に2つの可動規制部70が形成される場合について説明したが、この場合に限定されない。すなわち、ベース体20に1つまたは3つ以上の案内溝部26が穿設され、且つこれに対応してクリップ体60に1つまたは3つ以上の可動規制部70が形成されてもよい。
【0075】
また、上記した一実施の形態では、ベース体20の上端縁22aと左端縁22cとの角部に回転軸78を有するクリップ体60について説明したが、この場合に限定されない。すなわち、ベース体20の上端縁22aと右端縁22dとの角部に回転軸78を有するクリップ体60であってもよいし、ベース体20の下端縁22bと左端縁22cとの角部に回転軸78を有するクリップ体60であってもよいし、またはベース体20の下端縁22bと右端縁22dとの角部に回転軸78を有するクリップ体60であってもよい。また、クリップ体60は、上記したような角部に限らず、ベース体20の上端縁22a、下端縁22b、左端縁22cまたは右端縁22dのいずれかの部分(例えば、中央部付近)に配設されてもよい。さらに、上記した一実施の形態のようなベース体20に対して高さ方向と幅方向において回動可能なクリップ体60を複数個配設してもよい。これにより、より確実に用紙Pをベース体20に対して挟持することが可能となる。
【0076】
なお、上記した実施の形態では、ベース体20の端縁に表表紙部110が固着されてファイル10が構成される場合について説明したが、これに限定されない。すなわち、挟持構造40およびそれを取り付けられたベース体20のみからなる構造であってもよい。
【0077】
なお、上記した実施の形態では、ヒンジ部84は、屈曲部分84a、屈曲部分84bおよび屈曲部分84aと屈曲部分84bに厚さ方向において挟まれた部分により構成される場合について説明したが、この場合に限定されない。すなわち、ヒンジ部84は、1つの屈曲部分84aのみから構成されてもよい。この場合、可動規制部70が押え体80のヒンジ部84(すなわち、屈曲部分84a)およびその近傍部分の少なくとも1つをベース体20の上端縁22a側から押すことにより、押え内板86をベース体20の内面から離間させて厚さ方向において開いた状態とし、用紙Pが開放状態となるものであってもよい。
【0078】
なお、上記した実施の形態では、押え体80は、押え外板82を有し、且つベース体取付け部92および押え軸孔96を用いてベース体20に取り付けられる場合について説明したが、この場合に限定されない。すなわち、押え体80は、ベース体取付け部92を有さず、代わりに押え外板82がベース体20の外面に接着剤などにより直接固着されてもよい。或いは、押え体80は、ベース体20と一体成形されてもよい。この場合、例えば、押え体80は、押え外板82を有さず、ヒンジ部84の外側端縁(すなわち、屈曲部分82b)がベース体20の上端縁22aに一体的に接続されてもよい。
【0079】
(ファイル510)
この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルについて、主として
図37ないし
図55に基づいて説明する。
図37は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルに用紙を挟持させた状態を内面側から見た平面図である。
図38は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルに挟持させていた用紙を開放した状態を内面側から見た図解図である。
【0080】
なお、本件発明の説明において、高さ方向とは、
図37および
図38において、挟持構造を備えた表紙体520の上端縁とそれに相対する下端縁とを結ぶ方向である。また、幅方向とは、
図37および
図38において、高さ方向に直交し、且つベース体の左端縁とそれに相対する右端縁とを結ぶ方向である。さらに、厚さ方向とは、
図37および
図38において、高さ方向と幅方向の両方に直交し、且つ被挟持材たる用紙Pを挟み込む方向である。
そして、本件発明の説明において、外面とは、表紙体を閉じたときの表紙体の外側の面又は外側に位置する面をいう。また、内面とは、表紙体を見開いた状態において、表紙体を閉じたときに対向する表紙体の内部に向いた面又は内部に位置する面をいう。
【0081】
ファイル510は、平面視略矩形状の表紙体520と、表表紙部522と裏表紙部を形成するベース体524と連結された背表紙部526の近傍において、ベース体524に形成された挟持構造540とを備える。
【0082】
(表紙体520)
次に、
図37および
図38を参照しながら、上述した挟持構造が形成されるファイル表紙体について、説明する。表紙体520は、平面視略矩形状の表表紙部522と、前記表表紙部522と対向するベース体524と、表表紙部522と裏表紙部を形成するベース体524とを連結する背表紙部526とを備える。
ベース体524は、挟持構造を構成するクリップ体560を取り付けるためのベース体であって、裏表紙部を構成している。
形成された表紙体520は、表表紙部522と背表紙部526とを接続する境界に形成された第1ヒンジ部528と、ベース体524と背表紙部526を接続する境界に形成された第2ヒンジ部530とを備える。
【0083】
表紙体520は、平面視略矩形状で、表表紙部522と、ベース体524と、背表紙部526とを一体に構成されている。表紙体520は、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂材料で形成される。表紙体520は、表表紙部522と背表紙部526とが第1ヒンジ部528を介して一体に形成されている。また、ベース体524と背表紙部526とが第2ヒンジ部530を介して一体に形成されている。これら第1ヒンジ部528及び第2ヒンジ部530は、互いに所定の間隔をおいて平行な2本の折り目線からなる。これら第1ヒンジ部528及び第2ヒンジ部530は、表紙体520を板状またはロール状の原材料から打ち抜く際に、同時にプレス加工で形成されるものである。なお、これら第1ヒンジ部528及び第2ヒンジ部530は、折り目線を2本形成することに限らず、それ以外の本数を形成してもよいのはもちろんである。
【0084】
表紙体520の中央部には、表表紙部522を厚み方向に貫通して挟持構造を構成するクリップ体560の通路となるべきクリップ体通路542が穿設されている。このクリップ体通路542は、たとえばクリップ体560の外形よりも少しだけ大きな平面視略台形状に形成される。クリップ体通路542の上端には、クリップ押え部565の上端部の通路となる略三角形状の端部通路544が形成される。したがって、クリップ体通路542と端部通路544とを一体として見れば、
図37に示すように台形状の貫通孔が形成されていることになる。なお、端部通路544の形状は、この実施形態のものに限定されるものでない。
【0085】
クリップ体通路542には、被挟持材たる用紙Pの幅方向一端側の中央部を、被覆材622との間に挟持するための短冊状の押え体600が配置される。この押え体600の大きさは、たとえばクリップ体通路542の大きさよりも少しだけ小さく形成される。押え体600は、その高さ方向の一端側がベース体524に第3ヒンジ部604を介して一体に接続される。第3ヒンジ部604は、
図37および
図38に示すように、上述した第2ヒンジ部530よりもベース体524側よりに形成される。このとき、第2ヒンジ部530と第3ヒンジ部604との間隔は、クリップ体560のクリップ側部564の厚みとほぼ同じに形成される。したがって、押え体600を第3ヒンジ部604で折り返し、ベース体524を第2ヒンジ部530で折り返した際に、第3ヒンジ部604と第2ヒンジ部530との間にクリップ体560のクリップ側部564の厚み分の段差が生じる。そのため、後述するように、クリップ体560で押え体600を挟持しながら、表表紙部522を第2ヒンジ部530で折り返してベース体524と重ね合わせると、クリップ体560の背部と背表紙部526とが一直線に配列される。したがって、見栄えが良い。
【0086】
クリップ体通路542、端部通路544および押え体600は、表紙体520を板状またはロール状の原材料から打ち抜く際に、同時に、表紙体520の中央部を所定形状に打ち抜いて形成される。このとき同時に第1ヒンジ部528、第2ヒンジ部530、第3ヒンジ部604が、プレス加工により形成される。なお、上述の第1ヒンジ部528、第2ヒンジ部530、第3ヒンジ部604は、従来からヒンジを形成するために行われているのと同様に、それぞれ表紙体520の主面を断面略凹字形状に凹ませて形成されるものである。
【0087】
また、ベース体524には、
図38および
図39に示すように、クリップ体560を回動自在に枢着させるための取付孔548が形成される。回転軸578を構成する固定部材582の固定部材脚部582bにより、取付孔548およびクリップ体560の回転軸孔580を貫通してベース体に固定されている。
【0088】
(ベース体524)
この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体について、
図39および
図40に基づいて説明する。
図39は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの表紙体を内面側から見たときの平面図である。
図40(A)は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの表紙体の
図39に示すXXXXA−XXXXA断面図である。
図40(B)は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの表紙体の
図39に示すXXXXB−XXXXB断面図である。
図40(C)は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルのベース体の押え体を表紙体側に折り曲げた状態の
図39に示すXXXXB−XXXXB断面図である。
【0089】
ベース体524は、平面視略矩形状であって、その表面に用紙Pを載置するのに適した構造を備えており、幅方向において相対する左端縁524a(第1の端縁)および右端縁524b(第2の端縁)と、高さ方向において相対する上端縁524c(第3の端縁)および下端縁524d(第4の端縁)とを含む。
ベース体524は、平面視略矩形状の裏表紙部と、裏表紙部の内面に付設された被覆体622とを含み、裏表紙部の左端縁が第2ヒンジ部を介して背表紙部526に連設されている。
ベース体524は、ABS樹脂、ポリプロピレン(PP)などの弾力性を有した熱可塑性プラスチック材料により一体成形されることが好ましい。
【0090】
ベース体524は、左端縁524aの第2ヒンジ部530の近傍を始端として切り欠くようにして形成された案内溝部546と、左端縁524aの近傍の幅方向における略中央よりもやや上端縁524cよりの位置に穿設された平面視略円形状の取付孔548を備える。
ベース体524の案内溝部546は、後述する挟持構造540に含まれるクリップ体560の可動規制部570がその内壁に案内されて摺動するために形成される。案内溝部546は、ベース体524の上端縁524cから左端縁524a側へと円弧を描くように湾曲して略上方へと延びる。案内溝部546の先端部分(すなわち、左端部分)は、左端縁524aの近傍に位置する。
【0091】
(挟持構造540)
挟持構造540は、用紙Pの左端縁の近傍を挟持してベース体524の内面に用紙Pを保持できる構造を備えており、高さ方向と幅方向が交わる平面(すなわち、ファイル510の見開いた状態を内面側から平面視したときに視認できる面)において、ベース体524の左端縁524aの近傍に取り付けられ、ベース体524に対して回転可能なクリップ体560と、ベース体524の左端縁524aの近傍に取り付けられ、クリップ体560の回転により厚さ方向において開閉し、クリップ体560によって押圧されて挟持された用紙P(被挟持材)に当接する押え体600とを含む。
【0092】
(クリップ体560)
この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体について、
図41〜44に基づいて説明する。
図41は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体を内面側から見たときの平面図である。
図42は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体を外面側から見たときの平面図である。
図43は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体の右側面図である。
図44は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造のクリップ体を下方側から見たときの底面図である。
【0093】
クリップ体560は、高さ方向と幅方向の交わる平面に延在する板状のクリップ基部562と、クリップ基部562の左端縁から屈曲して高さ方向と厚さ方向の交わる平面に延在する板状のクリップ側部564と、クリップ側部564の左側端縁から屈曲して円弧を描くように湾曲しながら略右方へと延び、その先端部がクリップ基部562の内面近傍まで至る板状のクリップ押え部565とを含む。
クリップ基部562の上側部分は、厚さ方向においてクリップ押え部565と相対していない。クリップ基部562の上端縁近傍に回転軸孔580が設けられ、且つ回転軸孔580の近傍に可動規制部570が突設される。
可動規制部570は、クリップ基部562の内面から突設される略円柱形状の規制本体部572と、規制本体部572の先端部分に形成された規制本体部572よりも外径寸法が大きいヒンジ押圧部574とを有する。挟持状態において、規制本体部572がベース体524に穿設された案内溝部546を貫通し、且つヒンジ押圧部574は、ベース体524に形成された案内溝部546よりもベース体524の内面に近い側に位置する。クリップ押え部565の外面の下端縁近傍には、左側部分を幅方向に延びるように指掛部568が突設される。クリップ体560は、ポリアセタール樹脂などの材料により一体成形されることが好ましい。
クリップ基部562とクリップ側部564との境界564aは、直線状であり、又、クリップ側部564とクリップ押え部565との境界564bは、直線状である。
境界564aと境界564bとは、平行であり、後述する押え体600の第3ヒンジ部604の幅より若干長い間隔をおいて形成されている。
クリップ押え部565は、クリップ側部564側より自由端の押圧部576に至るに従ってクリップ基部562との間隔が狭くなるように湾曲しており、その弾力性により、挟持状態において押え体600を自由端の押圧部576により、押え内板610及びクリップ基部562側に向けて厚さ方向に閉じるように構成されている。
【0094】
(押え体600)
この発明の一実施の形態に係る押え体600について、
図45に基づいて説明する。
図45は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの
図37に示すXXXXV―XXXXV断面図である。
【0095】
押え体600は、第3ヒンジ部604と、第3ヒンジ部604から屈曲して高さ方向と幅方向の交わる平面に延在する押え内板610とを含む。押え体600は、ポリプロピレンなどの合成樹脂により表紙体520と一体成形されることが好ましい。
押え体600とベース体524との境界の屈曲部分608は、直線状である。
そして、第3ヒンジ部604は、ベース体524より上方に立ち上がっている。
【0096】
押え体600は、外力が加えられてない状態において、その弾力性によりベース体524に対して厚さ方向に開いた状態となる。例えば、押え体600は、外力が加えられていない状態において、第3ヒンジ部604に対して厚さ方向と高さ方向が交わる平面において90°より僅かに小さい角度まで開いた状態となる。しかしながら、挟持状態の押え体600は、その外面側(第3ヒンジ部604)からクリップ押え部565によりベース体524側に押さえ付けられるため、厚さ方向と高さ方向が交わる平面においてベース体524と平行にまたはほぼ平行に延在する。
【0097】
(被包シート体620)
また、上記被覆材622として被包シート材620を構成することができる。
この発明の一実施の形態に係る被包シート材620について、
図46および
図47に基づいて説明する。
図46は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを見開いて内面側から見たときの分解図である。
図47は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの
図37に示すXXXXVII−XXXXVII断面図である。
【0098】
被包シート体620は、平面視略矩形状であって、ベース体524よりも少しだけ高さ方向および幅方向の長さが短く、挟持構造を構成するクリップ基部562が回転軸578により取り付けられた表紙体520を構成するベース体524の内面側に配設され、その左端縁及び上端縁の近傍の角部分において、前記回転軸578および可動規制部570を覆うよう構成されている。
また、被包シート体620は、ベース体524と前記被包シート体620との間に被保持物Gが保持されるようにベース体524と前記被包シート体620を厚さ方向に重ね、被保持物Gを保持するための一定領域が確保できるように、前記被包シート体620の下端縁の近傍を下端縁より適宜な幅をもって幅方向に溶着し、かつ右端縁の近傍を右端縁より適宜な幅をもって高さ方向に溶着することにより、ポケット部640が形成されている。
前記被包シート体620の代わりに、ベース体524の下端縁または右端縁のいずれか一方より延長して被包シート体620を形成し、延長したベース体524の下端縁または右端縁のいずれか一方をベース体524と重ね合わせ、かつ前記回転軸578および可動規制部570を覆うように折り曲げる。延長していないベース体524の下端縁または右端縁と、重ね合わされた被包シート体620の折り曲げられていない下端縁又は右端縁とを、前述したように溶着してポケット部640を形成することも可能である。
被包シート体620は、ポリプロピレン(PP)などの熱可塑性プラスチック材料により成形される。
【0099】
(ベース体と被包シート体とを固着する工程)
この発明の一実施の形態に係るベース体524と被包シート体620とを固着する工程の一例について説明する。
【0100】
ベース体524と、ベース体524よりも少しだけ高さ方向および幅方向が短い被包シート体620を準備する。
そして、挟持構造を構成するクリップ体560が回転軸578により表紙体520に取り付けられた表紙体520を構成するベース体524の内面側に、前記回転軸および可動規制部570を覆うように、被包シート体620を配設する。
【0101】
そして、上述したように厚さ方向に重ね合わせた被包シート体620とベース体524を、前記被包シート体620の下端縁の近傍を幅方向、および右端縁の近傍を高さ方向に、ベース体524の外面側から熱板を押し当てることにより、適宜な長さを有するドット状又は帯状に熱溶着する。なお、固着方法は、熱溶着に限定されず、超音波溶着や複数の螺子部材などの固定部材を用いて互いに固定されてもよい。
上記のようにして、この発明の一実施の形態に係るポケット部640をベース体524に配設することができる。
【0102】
(挟持構造の取付け工程)
この発明の一実施の形態に係る挟持構造をファイルに取り付ける工程の一例について説明する。
【0103】
まず、外面側から順に、クリップ体560の回転軸孔580と、表紙体520の取付孔548を互いに連なるように配置する。
そして、この互いに連なった回転軸孔580と取付孔548に回転軸578を構成する固定部材582を、表紙体520の取付孔548の側から嵌合する。
【0104】
固定部材582は、例えば、
図48〜
図51に示すように固定部材頭部582aと固定部材脚部582bからなるハトメ等の弾力性を有する合成樹脂製の部品が用いられる。固定部材脚部582bは、厚さ方向において横断面略円形であり、回転軸578となるように構成されている。
また、固定部材582は、クリップ体560と表紙体520とを連結する連結部材を構成している。固定部材582は、固定部材脚部582bが分割されており、取付孔548に嵌挿し且つ回転軸孔580に嵌合したとき、回転軸孔580の中間の径に対応して、一旦縮径して回転軸孔580を貫通し、回転軸孔580を貫通後、縮径状態から復元することによりクリップ体560と表紙体520とに固定される。
固定部材582の固定部材脚部582bが、クリップ体560の回転軸孔580と表紙体520の取付孔548に貫通し固定されることにより、クリップ体560が、固定部材582の固定部材脚部582bを枢軸として回転自在にベース体524に固定される。
【0105】
上記のようにして、この発明の一実施の形態に係る挟持構造540を表紙体520に取り付けることができる。
押え体600は、第3ヒンジ部604を中心にして接近したり離間したりするように、ベース体524に形成されている。
クリップ体560は、表紙体520の左端縁524aに接近したり離間したりするように、回転軸578を中心にして回動するように、表紙体520に取り付けられる。
クリップ体560は、挟持状態においては、押え体600を挟み付けるように、表紙体520に取り付けられている。
【0106】
(挟持状態から開放状態への切り替え手順)
この発明の一実施の形態に係る挟持構造の挟持状態から開放状態への切り替え手順の一例について、
図52および
図53に基づいて説明する。
【0107】
図52は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの挟持状態を示す内面側から見た挟持構造およびその近傍の平面図である。
図53は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの
図52に示すXXXXXIII−XXXXXIII断面図である。
【0108】
開放状態に位置するクリップ体560は、回転軸578を枢軸として回動させることにより、押え体600に向けて進入し始め、クリップ側部564とは反対側である押圧部576の自由端側より押え体600の上面及び第3ヒンジ部604に続くベース体524の下面を摺接して押え体600を挟み付け、用紙Pを押え体600とベース体524とで挟持した挟持状態に至る。
挟持状態において、クリップ体560は、その可動規制部570が表紙体520に穿設された案内溝部546の上端部に位置する。また、クリップ基部562は、その上端縁がベース体524の左端縁524aに沿って延び、且つその内面がベース体524の左端縁524aおよびその近傍の外面と相対する。さらに、クリップ押え部565は、その上端縁がベース体524の左端縁524aに沿って延び、且つその内面が表表紙部522の左端縁およびその近傍の内面と相対する。そして、クリップ側部564は、ベース体524の左端縁524aに沿って延在する。さらに、押え体600は、その左端縁がベース体524の左端縁524aに沿って延び、且つその内面がベース体524の左端縁524aおよびその近傍の内面と相対する。そして、第1ヒンジ部528および第2ヒンジ部530は、ベース体524の左端縁524aに沿って延在する。そして、第3ヒンジ部604は、その左端縁がベース体524の左端縁524aに沿って延在する。
【0109】
次に、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を挟持状態から開放状態に切り替える状態について
図54(A)に基づいて説明する。
図54(A)は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを挟持状態から開放状態に切り替える途中の状態を示す内面側から見た挟持構造近傍の平面図である。
【0110】
挟持状態のクリップ体560を指掛部568に指を掛けて回転軸578を中心に内面側から平面視して右回転(時計回り)させていくと、可動規制部570がベース体524に穿設された案内溝部546に案内されて可動範囲を規制されながら略下方へと移動する。このとき、クリップ押え部565によりベース体524の内面側へと押さえ付けられていた押え体600は、クリップ押え部565による押え付けがなくなるため、第3ヒンジ部604を中心として厚さ方向と高さ方向の交わる平面においてベース体の右端縁524b側から見て押え体600の先端がベース体から上向きに離間し、第3ヒンジ部604に対して厚さ方向に開いていく。
【0111】
最後に、この発明の一実施の形態に係る挟持構造の開放状態について
図54(B)および
図56に基づいて説明する。
図54(B)は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルを挟持状態から開放状態に切り替えた状態を示す内面側から見た挟持構造近傍の平面図である。
図55は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルの
図54(B)に示すXXXXXV−XXXXXV断面図である。
図56は、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を備えたファイルに用紙を挟持させた状態を内面側から見た斜視図である。
【0112】
挟持状態のクリップ体560の指掛部568に指を掛けて回転軸578を中心に、クリップ体560を表紙体520の内面側から平面視して右回転(時計回り)させていくと、可動規制部570の先端に形成されたヒンジ押圧部574が押え体600の第3ヒンジ部604に下方側から突き当たって略上方へと押す。これにより、押え体600は、厚さ方向において第3ヒンジ部604に対して完全に開いた状態となる。なお、クリップ体560は、可動規制部570の規制本体部572が押え案内溝部546の上端部に突き当たることにより、内面側から平面視したときの右回転(時計回り)動作を規制されて停止する。
【0113】
上記のようにして、この発明の一実施の形態に係る挟持構造を挟持状態から開放状態への切り替えることができる。なお、開放状態から挟持状態への切り替え手順は、クリップ体560を高さ方向と厚さ方向の交わる平面において内面側から平面視して左回転(反時計回り)させるのみである。
【0114】
(効果)
この発明の一実施の形態に係る挟持構造540は、用紙Pが挟持された状態におけるクリップ体560がベース体524の左端縁524aから離間させられることに伴って、可動規制部570がベース体524に穿設された案内溝部546に案内されてベース体524の左端縁524a側へと摺動し、且つ押え体600の第3ヒンジ部604をベース体524の左端縁524a側から押すことにより、押え体600を表紙体520の内面から離間させて厚さ方向において開いた状態とし、用紙Pが開放された状態となる。すなわち、この発明の一実施の形態に係る挟持構造540は、部品点数が少なく簡単な構造である。これにより、故障の虞が抑制され、且つ生産性が向上し得る。さらに、押え体600により用紙Pの端縁およびその近傍を表紙体520の内面に押え付けて挟持するため、用紙Pを傷めることなく確実に挟持することができる。その結果、この発明の一実施の形態に係る挟持構造540は、簡単な構造を有し、且つ用紙を傷めないで確実に挟持することができる。
【0115】
また、この発明の一実施の形態に係る挟持構造540は、押え体600が、その弾力性により、外力が加えられていない状態において、表紙体520の内面から離間して厚さ方向において開いた状態となり、且つ用紙Pが挟持された状態において、クリップ押え部565により表紙体520の内面側へと押え付けられて厚さ方向において閉じた状態となる。これにより、この発明の一実施の形態に係る挟持構造540は、厚さ方向における開閉動作を一層円滑に行うことが可能となるため、挟持状態と開放状態の切り替えを容易に行うことが可能となる。
【0116】
さらに、この発明の一実施の形態に係る挟持構造540は、案内溝部546が、上端縁524cから下端縁524dに向かうほど左端縁524aへと円弧を描くように湾曲して穿設され、且つクリップ体560は、表紙体520に対して高さ方向と幅方向が交わる平面において回動可能に取り付けられ、且つ可動規制部570が回動に合わせて案内溝部546に案内されて摺動する。この発明の一実施の形態に係る挟持構造540は、このように回動するクリップ体560を備えることにより、より少ない部品点数で簡単な構成とすることが可能となり、且つ挟持状態と開放状態の切り替えが美観を起こしながら行われ得る。
【0117】
さらに、この発明の一実施の形態に係る被覆材622は、表紙体520の内側面に突出した回転軸578の固定部材頭部582aおよび可動規制部570を被覆している。これにより、この発明の一実施の形態に係る被覆材622は、挟持構造540で紙を挟みこむ際に突出した回転軸578および可動規制部570に引っかかることなく用紙Pを挿入することができ、用紙Pを傷めることはない。
また、この発明の一実施の形態に係る被覆材622は、被包シート体620を兼用しており、被包シート体620の下端縁および右端縁を固着することによって、ポケット部640が形成される。これにより、この発明の一実施の形態に係る被包シート体620は、上記効果以外にも、ポケット部640を形成することにより、用紙P以外の被保持物Gを同一ファイル510内で保持することができる。
また、表紙体520を透明とした場合に、被包シート体620の色を変更することによって、ファイルの仕分けも可能となる。
【0118】
以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。