特許第6407385号(P6407385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407385
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】遠近両用眼鏡状のフレーム
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/04 20060101AFI20181004BHJP
   G02C 5/06 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   G02C5/04
   G02C5/06
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-189696(P2017-189696)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-72816(P2018-72816A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2017年12月27日
(31)【優先権主張番号】特願2016-210161(P2016-210161)
(32)【優先日】2016年10月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596179070
【氏名又は名称】関 則雄
(74)【代理人】
【識別番号】100083633
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏
(72)【発明者】
【氏名】関 則雄
【審査官】 山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−102025(JP,A)
【文献】 特開2007−148029(JP,A)
【文献】 特開2001−142031(JP,A)
【文献】 特開2009−003335(JP,A)
【文献】 特表2002−539493(JP,A)
【文献】 特表2012−502318(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203069896(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のツル部(1)と、その先端を連結する連結杆(2)と、該連結杆(2)の中央に設けた吊下する軸(3)と、その軸(3)に固着した鼻当部材(4)と、前記軸(3)に着脱可能な挟持部材(5)と、上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠(6)と、該レンズ保持枠(6)を中央高さで連結すると共にその中央に前記挟持部材(5)を固着したブリッジ(7)と、から少なくとも構成し、且つ、前記レンズ保持枠(6)が前記連結杆(2)の前方に配置されたことを特徴とする遠近両用眼鏡状のフレーム。
【請求項2】
一対のツル部(1)と、その先端を連結する連結杆(2)と、該連結杆(2)の中央に設けた立設する軸(3)と、その軸(3)に固着した鼻当部材(4)と、上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠(6)と、該レンズ保持枠(6)を中央高さで連結するブリッジ(7)と、前記軸(3)に挿入すると共に前記ブリッジ(7)の中央に固着した軸受(8)と、から少なくとも構成し、且つ、前記レンズ保持枠(6)が前記連結杆(2)の前方に配置されたことを特徴とする遠近両用眼鏡状のフレーム。
【請求項3】
前記連結杆(2)が、前記レンズ保持枠(6)に対向する上辺部(21)と、その両端部を下方に折曲した垂直部(22)とで形成され、前記垂直部(22)と連結した前記ツル部(1)の後部高さを、レンズA或いはレンズBの中心と合致させ、更に、前記垂直部(22)と前記レンズ保持枠(6)の間にガイド部材(9)を設けた請求項1又は2記載の遠近両用眼鏡状のフレーム。
【請求項4】
前記軸(3)が多角形状の柱であり、且つ、前記挟持部材(5)が、前記軸(3)へ挟持するための弾性を有する挟持本体(51)と、該挟持本体(51)の端部を開くためのツマミ部(52)と、から構成された請求項1記載の遠近両用眼鏡状のフレーム。
【請求項5】
前記軸(3)が略コの字状の軸であり、且つ、前記挟持部材(5)が、前記軸(3)に挿入して配置する一対の挿入部(53)と、該挿入部(53)に先端を固着した略三角形状の板バネ(54)と、その板バネ(54)を開いて挿入部(53)の間隔を広げるための操作ツマミ(55)と、から構成された請求項1記載の遠近両用眼鏡状のフレーム。
【請求項6】
前記軸(3)が、弾性を有したスリ割部(3a)を先端に形成した多角形状の柱である請求項2記載の遠近両用眼鏡状のフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズの上下を反転して異種類のレンズなどを使い分け出来る遠近両用眼鏡状のフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に遠近両用眼鏡は、1枚のレンズの上部を遠視用に、その下部を近視用に成し、眼鏡の装着者が眼球の方向や見る角度を変え、遠くの物を見る時には上目使いに、近くの物を見る時には下目使いにして見ているのが現状である。この場合、図9(a)に示すように視線が水平位置から下方に向って物を見るため、物を見るのに正視する(レンズの中心と装着者の目の高さが合致した視線で見る)のが自然であるのに対して、特に近くの物を見る時の視線は、不自然な見方、不自然な使い方で無理が生じ易く、目の疲れを誘発し易いものとなっていた。
【0003】
このため、下方の近視用領域を目の位置に近付けて、視線を正視状態に近くするための提案も多くある。この中で、鼻当部だけを上下移動させる提案のものは、図9(b)に示すように、視線を水平位置から下方に向けて物を見ると、図9(a)の時よりも下方に向ける位置が少なくて済み、目の高さに近付けることができる。しかし、これはレンズ全体が図中のように傾くため、見にくいものとなり、目の疲労が生じ易いものとなっていた。
【0004】
又、眼鏡自体を反転させる眼鏡や、眼鏡自体の高さを鼻当て位置の上下高さ調節によって目の位置に近付けた眼鏡など多種類のものがある。この中で、眼鏡自体を反転させる提案のものとして、特開平7−199126号があり、これは、反転して眼鏡が掛けられるようにツル部を反転して耳当部を上下移動させると共に、鼻当部を上下移動させて、遠中視部又は近視部の中央付近に目が位置するような構造のものである。
【0005】
しかしなら、眼鏡自体を反転させる眼鏡は、ツル部の取付部が眼鏡枠の外側中央高さに設けられているため、眼鏡自体を反転させても、視線が上下のレンズの境に来て見にくくなり、必ず鼻当部の上下高さ調節をしなければならないものであった。この眼鏡は反転させて使用できるようにした後、鼻当部を上下移動させて高さ調節する必要があり、面倒であると共に、その微調節はなかなか正確に行うのは困難である。又、この時の視線としては、図9(c)に示すようになり、装着者の目の高さにズレが生じ、且つ、レンズ全体が図中のように傾くため、目の疲労をなくすことはできないものであった。
【0006】
尚、上記以外に眼鏡自体を反転させて掛けられるようにしたものとして、実開昭56−52721号「持運び用細身形老眼鏡」,特開2014−85363「上下反転式遠近両用メガネ」,実用新案登録第3031992号「めがね」,特開平7−159733号「遠近両用眼鏡」などが提案されているが、実開昭56−52721号と特開2014−85363は、耳当部が略直線であるため、眼鏡がズレたり、或いは外れて落下し易いものであった。又、実用新案登録第3031992号と特開平7−159733号は上下用の耳当部がそのままの形状で単に一体化されたものであるため、見栄えが悪く且つ違和感があるものとなり、実用性に欠けたものとなっていた。更に、実開昭56−52721号,特開2014−85363,実用新案登録第3031992号,特開平7−159733号は、レンズの中心と装着者の目の高さのズレが生じるため、目の疲労を誘発し易いものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−199126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はレンズの上下を反転して異種類のレンズなどを簡単に使い分け出来ると共に、眼精疲労が軽減され、且つ、レンズなどの交換が出来る遠近両用眼鏡状のフレームを提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的は、レンズなどの中心と装着者の目の高さを合致させて眼精疲労がより軽減される遠近両用眼鏡状のフレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記現状に鑑みて成されたものであり、つまり、一対のツル部と、その先端を連結する連結杆と、該連結杆の中央に設けた吊下する軸と、その軸に固着した鼻当部材と、軸に着脱可能な挟持部材と、上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠と、該レンズ保持枠を中央高さで連結すると共にその中央に挟持部材を固定したブリッジと、から少なくとも構成し、且つ、レンズ保持枠が連結杆の前方に配置されたものとする。又、連結杆を、レンズ保持枠に対向する上辺部と、その両端部が下方に折曲された垂直部とで形成し、垂直部と連結したツル部の後部高さを、レンズA或いはレンズBの中心と合致させ、更に、垂直部とレンズ保持枠の間にガイド部材を設けたものとするのが好ましく、軸に多角形状の柱或いは略コの字状の軸を用いると良い。
また挟持部材として、軸へ挟持するための弾性を有する挟持本体と、該挟持本体の端部を開くためのツマミ部と、から構成されたものとしても良い。略コの字状の軸を用いる時には、挟持部材として、軸に挿入して配置する一対の挿入部と、該挿入部に先端を固着した略三角形状の板バネと、その板バネを開いて挿入部の間隔を広げるための操作ツマミと、から構成するものとしても良い。
【0011】
別発明の構成としては、一対のツル部と、その先端を連結する連結杆と、該連結杆の中央に設けた立設する軸と、その軸に固着した鼻当部材と、上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠と、該レンズ保持枠を中央高さで連結するブリッジと、軸に挿入する共にブリッジの中央に固着した軸受と、から少なくとも構成し、且つ、レンズ保持枠を連結杆の前方に配置させたものとする。又、立設する軸の先端に、弾性を有したスリ割部を設けたものとしても良い。
また連結杆を、レンズ保持枠に対向する上辺部と、その両端部が下方に折曲された垂直部とに形成し、垂直部と連結したツル部の後部高さを、レンズA或いはレンズBの中心と合致させ、更に、垂直部とレンズ保持枠の間にガイド部材を設けると良く、軸に多角形状の柱或いは略コの字状の軸を用いるのが好ましい。尚、本発明で言う「ツル部の後部高さ」とは、耳当部の手前のツル部の高さを指すものとする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のように一対のツル部(1)と、その先端を連結する連結杆(2)と、該連結杆(2)の中央に設けた吊下する軸(3)と、その軸(3)に固着した鼻当部材(4)と、軸(3)に着脱可能な挟持部材(5)と、上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠(6)と、該レンズ保持枠(6)を連結すると共にその中央に前記挟持部材(5)を固着したブリッジ(7)と、から少なくとも構成し、且つ、レンズ保持枠(6)を連結杆(2)の前方に配置させることにより、レンズの上下を反転して異種類のレンズなどを簡単に使い分け可能となる。特にツル部(1)や鼻当部材(4)を動かすことなく、レンズ保持枠(6)のみを上下反転するだけで、レンズAとレンズBの使い分けが簡単で迅速且つ確実に行えると共に、上下反転しても装着者の目の高さがズレないので、極めて見え易いものとなる。
【0013】
請求項2のように一対のツル部(1)と、その先端を連結する連結杆(2)と、該連結杆(2)の中央に設けた立設する軸(3)と、その軸(3)に固着した鼻当部材(4)と、上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠(6)と、該レンズ保持枠(6)を中央高さで連結するブリッジ(7)と、前記軸(3)に挿入すると共にブリッジ(7)の中央に固着した軸受(8)と、から少なくとも構成し、且つ、レンズ保持枠(6)が連結杆(2)の前方に配置されたことにより、請求項1と同様な効果が得られると共に、レンズの中心と装着者の目の高さを始めから合致させておけば、レンズ保持枠(6)を反転して取付けても合致できるので、正視する自然状態となり、眼精疲労が軽減されるものとなる。
【0014】
請求項3に示すように連結杆(2)を、レンズ保持枠(6)に対向する上辺部(21)と、その両端部を下方に折曲した垂直部(22)とで形成し、垂直部(22)と連結したツル部(1)の後部高さを、レンズA或いはレンズBの中心と合致させ、更に、垂直部(22)とレンズ保持枠(6)の間にガイド部材(9)を設けることにより、上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠(6)の外側の動きが規制されるので、レンズ保持枠(6)の上下移動が正確に且つスムーズに行なえるものとなる。又、本発明品を装着すれば、正視する自然状態が維持出来るので、眼精疲労が軽減される。
【0015】
請求項4に示すように軸(3)が多角形状の柱であり、且つ、挟持部材(5)が、軸(3)へ挟持するための弾性を有する挟持本体(51)と、該挟持本体(51)の端部を開くためのツマミ部(52)と、から構成されることにより、簡単な構造で、且つ、レンズの上下反転が極めて簡単で且つ素早く行えるものとなる。
【0016】
請求項5のように吊下軸(3)が略コの字状の軸であり、且つ、挟持部材(5)が、軸(3)に挿入して配置する一対の挿入部(53)と、該挿入部(53)に先端を固着した略三角形状の板バネ(54)と、その板バネ(54)を開いて挿入部(53)の間隔を広げるための操作ツマミ(55)と、から構成されることにより、請求項4と同様な効果が得られる。
【0017】
請求項6のように軸(3)が、弾性を有したスリ割部(3a)を先端に形成した多角形状の柱が用いられることにより、簡単な構造で、且つ、レンズの上下反転も簡単に行えるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態を示す説明図である。
図2】本実施形態の分解部品を示す斜視図である。
図3】本発明の別実施形態の連結杆を用いた分解部品を示す斜視図である。
図4】他の実施形態の分解部品を示す斜視図である。
図5】別発明の実施形態の分解部品を示す説明図である。
図6】本実施形態のガイド部材を設けた状態を示す説明図である。
図7】別実施形態の三角板状のツル部を用いた状態を示す説明図である。
図8】本発明の作用を示す説明図である。
図9】従来品の視線を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図1図2に基づいて説明する。(1)は先端が折畳み可能に取付けられた一対のツル部であり、該ツル部(1)の後端部には耳当部(1a)が形成されている。(2)はツル部(1)の先端を連結した連結杆であり、該連結杆(2)はツル部(1)の太さと同一又は略同じ太さである。又、前記連結杆(2)には、図2に於ける2点鎖線からレンズ全体の高さ(上下方向のレンズ全体の寸法)の1/4よりも上方に位置するように上辺部(21)を形成させ、該上辺部(21)の両端部を下方へ折曲して垂直部(22)を形成している。またフレームを装着した際に、前記連結杆(2)が視界の邪魔にならないようにしている(図8参照)。又、前記連結杆(2)を2点鎖線のような直線のものを用い、視界の邪魔にならないように透明な合成樹脂等で成形したものとしても良い。又、図3に示すように上辺部(21)の外側の垂直部(22)を、後述するレンズ保持枠(6)と略同じ幅或いはそれ以上にするために、図2のものよりも幅を広げたものとしても良い。
【0020】
(3)は連結杆(2)の中央に設けた透明な合成樹脂製の吊下する軸であり、該軸(3)は連結杆(2)よりも若干前方へ突出させ(図2図8参照)、四角柱などの多角柱に形成している。また前記軸(3)の下端には鍔状の落下防止具(31)が一体に成形されている。尚、前記軸(3)は透明な合成樹脂製が好ましいが、他の色や材質でも良い。(4)は軸(3)に固着した鼻当部材であり、該鼻当部材(4)は、パット(41)と支持棒(42)とから少なくとも構成されている。また支持棒(42)の上端部は軸(3)に固着している。尚、前記支持棒(42)の上端部は軸(3)に固着せず、連結杆(2)に固着させたものとしても良い。
【0021】
(5)は軸(3)に後述するレンズ保持枠(6)を着脱可能にするための挟持部材であり、該挟持部材(5)は、軸(3)へ挟持するための弾性を有する挟持本体(51)と、該挟持本体(51)の端部を開くためのツマミ部(52)と、から構成されている。前記挟持本体(51)は、透明な合成樹脂製の板状のバネ材で三角形状に形成すると共にその頂部が開口可能に形成されている。前記ツマミ部(52)の端部は、前記挟持本体(51)の開口縁に設けられている。このツマミ部(52)は、挟持本体(51)を開口し、それを軸(3)へ挟持するために備えられたものであり、且つ、透明な合成樹脂で形成されている。尚、前記挟持本体(51)とツマミ部(52)は、透明な合成樹脂製に限定されるものではなく、視界の邪魔にならない他の色や材質であれば良い。又、前記挟持本体(51)とツマミ部(52)は、文具用品として用いられているダブルクリップと略同一構造のものである。
【0022】
(6)は上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠であり、該レンズ保持枠(6)はレンズA,Bの外周を図中の如く囲っているが、これに限定するものではなく、例えば、縁なし眼鏡のレンズ保持枠(6)を用いても良い。尚、前記レンズ保持枠(6)によって保持されるレンズとしては、凹レンズ,凸レンズ,板ガラス(素通しや偏光板),色付きガラス(サングラスなど),ウェアラブル端末グラスなどを用いるのが好ましい。またレンズの形状としては、四角形に限定されるものではなく、例えば円形,楕円形や他の形状でも良い。またレンズA,Bは個別でなく、1枚のレンズに一体化させたものとしても良い。更に前記レンズの代わりに、ウェアラブル端末用の表示画面として使用するものとしても良い。
又、レンズA,Bが傾斜するようにレンズ保持枠(6)を図示しないが、前後方向へ折曲(傾斜)させたものとしても良い。
【0023】
(7)は一対のレンズ保持枠(6)を一体に連結するブリッジであり、該ブリッジ(7)の取付け位置は、レンズ保持枠(6)の中央高さ位置に設けられている。またブリッジ(7)の中央には挟持部材(5)の挟持本体(51)が固着されている。
【0024】
図4は他の実施形態を示す図であり、これは前記実施形態に比べ、軸(3)が線材で略コの字状に形成されており、挟持部材(5)が、軸(3)に挿入して配置する一対で透明な合成樹脂製の挿入部(53)と、該挿入部(53)に先端を固着した透明な合成樹脂製の略三角形状の板バネ(54)と、その板バネ(54)を開いて挿入部(53)の間隔を広げるための透明な合成樹脂製の操作ツマミ(55)と、から構成されている。尚、前記挿入部(53),板バネ(54),操作ツマミ(55)は透明な合成樹脂製が好ましいが、視界の邪魔にならない他の色や材質でも良い。
【0025】
図6は本実施形態のガイド部材を設けた状態を示す図であり、これについて説明する。先ず、前記実施形態(図1のもの)の連結杆(2)に対して、連結杆(2)の垂直部(22)が長くなり、該垂直部(22)とレンズ保持枠(6)の外側枠部(61)との間に、レンズ保持枠(6)のぐらつきを少なくするためのガイド部材(9)を設けたものである。又、ツル部(1)を図7のように略三角板状に形成したものとしても良い。この時のツル部(1)の材質としては、合成樹脂が好ましいが、他の材料でも良い。
【0026】
先ず、連結杆(2)について説明する。前記連結杆(2)の上辺部(21)の外側端部が下方に折曲されて形成した垂直部(22)をレンズ保持枠(6)の外側枠部(61)に対向して配置し、垂直部(22)の長さは、レンズ保持枠(6)の中央位置(レンズAとレンズBの境)よりも少し長くし、ツル部(1)の高さ位置が、レンズA或いはレンズBの中心と同じ高さになるように連結されている。
【0027】
次にガイド部材(9)について詳細に説明する。ガイド部材(9)には、連結杆(2)の垂直部(22)に挟持する挟持片(91)と、該挟持片(91)とレンズ保持枠(6)の外側枠部(61)とを接続する接続杆(92)と、がある。また挟持片(91)は弾性を有した材料でC字状に形成している。尚、前記ガイド部材(9)は上記構造に限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、挟持片(91)の代りに挿入片(93)を設け、それを垂直部(22)に穿設した長穴に挿入するものとしても良い。この時の接続杆(92)は、弾性を有した合成樹脂などで製作されるのが好ましい。
【0028】
図5は別発明の実施形態を示す図であり、これは前記発明に比べ、連結杆(2)の中央下方に段部(23)が形成されており、軸(3)が吊下する代りに立設されている。また挟持部材(5)の代りに、前記軸(3)に挿入する透明な合成樹脂製の軸受(8)が、ブリッジ(7)の中央に固着されると共に一対のレンズ保持枠(6)の間に一体に形成されている。また軸受(8)の内側には、軸(3)の外形と同一形状の穴が穿設されている。このため、レンズ保持枠(6)を上下反転させる場合は、軸(3)から軸受(8)を外し、レンズ保持枠(6)を上下反転させた後、軸受(8)を軸(3)に挿入すれば良い。又、前記軸(3)の先端には、弾性を有したスリ割部(3a)が形成されている。このスリ割部(3a)は軸受(8)を軸(3)に挿入した後、抜けないようにするためのものである。また前記軸(3)の形状は四角柱などの多角柱とするのが好ましいが、回転しない形状であれば良く、例えば楕円柱としても良い。
【0029】
次に本発明の作用を図8に基づいて説明する。先ず始めに(a)の状態について説明する。レンズ保持枠(6)の上方にレンズAを、下方にレンズBを保持しており、レンズ保持枠(6)の間には、挟持部材(5)がブリッジ(7)を介して設けられている(図2参照)。先ずツマミ部(52)を指で押し、挟持本体(51)を広く開口させた後、図中の矢印の方向へ移動して軸(3)へ挟持本体(51)を挟持する。この時、挟持本体(51)の上下端が落下防止具(31)や軸(3)の上部に乗り上げていないか確認すると共に挟持本体(51)が所定位置で挟持されているか確認して指を離すと、レンズ保持枠(6)は軸(3)にセットされる。この時、挟持本体(51)は軸(3)へ挟持する力が作用し続けるものとなる。又、この時、ガイド部材(9)を設けたものが使用される場合、両側の挟持片(91)を垂直部(22)に押し付けて挟持させるか、或いは、両側の挿入片(93)を長穴に挿入させる。
【0030】
そして眼鏡を掛けると、(b)の状態になる。この時、装着者の目の高さとレンズAの中心が合致しているので、物が非常に見易く、且つ、レンズAの上下を有効に使用できるものとなる。次にレンズBを使用する時は、先ず指でツマミ部(52)を指で押して、挟持本体(51)を広く開口させて軸(3)から外す。この時、ガイド部材(9)を設けた場合は、先に挟持片(91)を垂直部(22)から外しておく。そしてレンズ保持枠(6)を上下反転させた後、軸(3)へ挟持本体(51)を挟持させて、指をツマミ部(52)から離すと、挟持本体(51)は(c)の位置で軸(3)へ挟持する力が作用し続けるものとなる。この時、上記レンズAの時と同じようにレンズBの中心が装着者の目の高さと合致するので、物を見る時に正視できるため、目の疲れが激減出来るものとなる。
【0031】
次に別発明の作用を説明する。先ず始めに(b)の如くレンズAの状態で眼鏡を掛けると、上記同様に装着者の目の高さとレンズAの中心が合致しているので、物が非常に見易く、且つ、レンズAの上下を有効に使用できるものとなる。次にレンズBを使用する時は、先ず指で軸(3)のスリ割部(3a)を押付け、出張りをなくすと共に他方の手の指で軸受(8)を掴んで上方へ持上げて軸(3)から外す。そしてレンズ保持枠(6)を上下反転させた後、軸受(8)を軸(3)の先端に挿入すれば良い。この時、軸受(8)を軸(3)の先端に挿入すると、スリ割部(3a)の隙間がくっ付き、軸受(8)が挿入されて通過すると、スリ割部(3a)は弾性によって元の隙間が確保されて、スリ割部(3a)の先端が広がった状態となる。このため、軸受(8)は軸(3)から抜けぬものとなる。尚、ガイド部材(9)を設けた場合は、上記同様の操作を行う。
【0032】
このようにレンズ保持枠(6)を軸(3)から外し、その後、上下反転してレンズ保持枠(6)を取付けるだけの簡単な作業で、レンズの上下を反転して異種類のレンズなどを使い分け出来るものとなるのである。
尚、前記レンズ保持枠(6)に上下に異種類のレンズを分けずに、1つのレンズだけを保持させ、それを交換するものとしても良い。例えば、凸レンズを使用したもの、サングラスを使用したもの、などを複数個用意し、用途によって、それらを交換させるようにしたものとしても良い。
【0033】
又、前記レンズ保持枠(6)の上下に異種類のレンズなどを配置して使い分ける具体例について説明する。例えば、レンズAとして凹レンズを使用し、レンズBとして凸レンズを使用すれば、従来の問題点が、素早く解決できるものとなる。つまり、1)コンピューターの前で、手元のデーターや文字を確認した後、素早くレンズ交換すれば、画面を見ると、細かな文字が見えにくく、且つ、眩しく感じたりすることがなくなり、目の疲れが軽減し、頭痛や肩こり等も軽減するものとなる。2)階段を下がる時、素早くレンズ交換すれば、足元がボケて、歩きにくくなることが防止でき、階段を踏み外す事故も防止出来るものとなる。3)TVを見ながら、素早くレンズ交換すれば、新聞や雑誌を見てもピンボケが減少する。4)岩場で釣りをする場合、針に餌を付けた後に、素早くレンズ交換すれば、すぐに岩場を歩いても岩につまずくことが殆どなくなる。
【0034】
又、レンズAとしてサングラスを使用し、レンズBとして凸レンズを使用する際、特に運転席のカーナビやオーディオ機器等を操作した後、直ぐにサングラスに変えて見れば、前方がボケたり或いは距離に違和感がなくなると共に眩しさに対応できるものとなる。更に、レンズAとしてウェアラブル端末グラスを使用し、レンズBとして凸レンズを使用すると、眼鏡としてレンズBを使用しながら、一々眼鏡を外さなくてもウェアラブル端末が使用できるものとなるのである。
このように、本発明品や別発明品を用いれば、眼鏡を掛け変えなくても簡単に2種類のレンズがそれぞれ単独状態で使用できるものとなるのである。
【符号の説明】
【0035】
1 ツル部
2 連結杆
21 上辺部
22 垂直部
3 軸
3a スリ割部
4 鼻当部材
5 挟持部材
51 挟持本体
52 ツマミ部
53 挿入部
54 板バネ
55 操作ツマミ
6 レンズ保持枠
7 ブリッジ
8 軸受
9 ガイド部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9