(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407404
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】平面ベイパーチャンバ、その製造方法、および車両ヘッドライト
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20181004BHJP
F21S 41/00 20180101ALI20181004BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20181004BHJP
F21V 29/67 20150101ALI20181004BHJP
F21V 29/51 20150101ALI20181004BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20181004BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20181004BHJP
【FI】
F28D15/02 101H
F28D15/02 102H
F28D15/02 106F
F21S41/00
F21V29/503
F21V29/67 100
F21V29/51
F21V29/76
F21Y115:10
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-505090(P2017-505090)
(86)(22)【出願日】2016年8月15日
(65)【公表番号】特表2018-506009(P2018-506009A)
(43)【公表日】2018年3月1日
(86)【国際出願番号】CN2016095322
(87)【国際公開番号】WO2017101473
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2017年2月23日
(31)【優先権主張番号】201510947019.1
(32)【優先日】2015年12月16日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201610532707.6
(32)【優先日】2016年7月6日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201620787662.2
(32)【優先日】2016年7月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516003551
【氏名又は名称】広州共鋳科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100164013
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 隆一
(72)【発明者】
【氏名】賈 涛涛
【審査官】
西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−028406(JP,A)
【文献】
中国実用新案第201382395(CN,Y)
【文献】
特開平03−051697(JP,A)
【文献】
特開平08−186210(JP,A)
【文献】
特開2002−039693(JP,A)
【文献】
特開昭52−061860(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102774067(CN,A)
【文献】
特開2012−002417(JP,A)
【文献】
特開平04−190092(JP,A)
【文献】
特開2015−050177(JP,A)
【文献】
特開2011−228074(JP,A)
【文献】
特開2015−085921(JP,A)
【文献】
特開2013−020911(JP,A)
【文献】
特開2017−112088(JP,A)
【文献】
実公昭56−054581(JP,Y2)
【文献】
中国特許出願公開第103574455(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/00 − 15/06
F21S 8/00 − 8/08
F21V 29/50 − 29/503
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長板状の中空の蒸発室、および平板状の中空の凝縮室を含み、
前記蒸発室と前記凝縮室は互いに連通され、且つ、前記蒸発室と前記凝縮室は、いずれも真空室とされると共に冷却液が充填されて、前記蒸発室と前記凝縮室の内壁には、いずれもキャピラリーウィック層が設けられており、
前記蒸発室が長方形であり、前記凝縮室が直角台形であり、
前記凝縮室は、前記蒸発室が連通される一方の辺よりも、該辺に対向する他方の辺が短く形成されているとともに、直角台形の斜辺は、前記一方の辺と前記他方の辺の間に配置されており、
前記凝縮室のハウジングの端部に前記凝縮室と連通する真空吸引孔が設けられ、該真空吸引孔は、直角台形である前記凝縮室の斜辺の外面に位置することを特徴とする平面ベイパーチャンバ。
【請求項2】
前記キャピラリーウィック層は、厚みが0.1mm〜100mmであり、空隙率が50%であることを特徴とする請求項1に記載の平面ベイパーチャンバ。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載の平面ベイパーチャンバを製造する製造方法であって、
プレス成形された二つの無酸素銅板体または無酸素アルミ板体の内側の表面を覆うようにそれぞれ銅粉末またはアルミ粉末が押圧され、あるいは、銅金網またはアルミ金網が押圧される状態で焼成により前記キャピラリーウィック層が形成されるステップと、
前記二つの板体が、特定雰囲気の環境において、加圧溶接または金属半田溶接されて、前記二つの板体の間に互いに連通する前記凝縮室および前記蒸発室とを形成し、且つ前記板体に前記真空吸引孔を設けるステップと、
特定雰囲気の環境において、前記真空吸引孔に銅管またはアルミ管が挿入され、溶接して還元脱酸素されることにより、排気注液口が形成されるステップと、
前記排気注液口から前記凝縮室および前記蒸発室に冷却液が注入されると共に、真空引きされた後、押し潰されてカシメられて、溶接シールされることで、平面ベイパーチャンバが得られるステップと、
を含むことを特徴とする平面ベイパーチャンバの製造方法。
【請求項4】
前記キャピラリーウィック層の焼成プロセスにおいて、前記銅粉末と前記銅金網の焼成温度を800℃〜1050℃とし、焼成時間を1h〜6hとすることを特徴とする請求項3に記載の平面ベイパーチャンバの製造方法。
【請求項5】
前記キャピラリーウィック層の焼成プロセスにおいて、前記銅金網と前記アルミ金網の焼成温度を400℃〜550℃とし、焼成時間を1h〜6hとすることを特徴とする請求項3に記載の平面ベイパーチャンバの製造方法。
【請求項6】
前記銅粉末または前記アルミ粉末は、直径が10μm〜1000μmであり、前記被覆の厚みが0.1mm〜100mmであることを特徴とする請求項3に記載の平面ベイパーチャンバの製造方法。
【請求項7】
LED光源、電球金属カバー、放熱ユニット、および請求項1〜2のいずれかに記載される平面ベイパーチャンバを含み、
前記LED光源は、前記蒸発室の外面に貼設され、
前記電球金属カバーは、前記LED光源および前記平面ベイパーチャンバの外側に外嵌され、
前記放熱ユニットは、前記電球金属カバーと接続され、前記凝縮室に対して冷却することを特徴とする車両ヘッドライト。
【請求項8】
前記LED光源および前記放熱ユニットを電気的に接続する分電盤をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の車両ヘッドライト。
【請求項9】
前記LED光源は、二つのグループに分けられ、それぞれ前記蒸発室の上下の二つの表面に貼設され、且つ、前記LED光源と前記蒸発室の厚みの合計が3mmを超えないことを特徴とする請求項7に記載の車両ヘッドライト。
【請求項10】
前記放熱ユニットは、ベースハウジング、ファン、フィン付き放熱器を含み、
前記ベースハウジングは、一端が前記電球金属カバーと接続され、他端には気体入口が設けられ、側壁面には気体出口が設置されており、かつ、電気コネクタが設けられており、
前記ベースハウジングが前記ファンおよび前記フィン付き放熱器を包むように構成されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の車両ヘッドライト。
【請求項11】
前記フィン付き放熱器は、先端が前記凝縮室の外面に貼設され、前記凝縮室を冷却し、
前記ファンは、前記フィン付き放熱器の後端に設置されるとともに、前記気体入口に配置され、前記フィン付き放熱器の冷却を加速することを特徴する請求項10に記載の車両ヘッドライト。
【請求項12】
前記気体出口には、気体ガイドが設置されることを特徴とする請求項10に記載の車両ヘッドライト。
【請求項13】
前記平面ベイパーチャンバ、前記LED光源、前記電球金属カバー、および前記フィン付き放熱器の間は、鉛フリーの錫銀銅ペーストで高温溶接により接続されることを特徴とする、請求項10に記載の車両ヘッドライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両ライト分野に関する。特に平面ベイパーチャンバ、その製造方法、および車両ヘッドライトに関する。
【背景技術】
【0002】
ベイパーチャンバ(Vapor Chamber)は、高い熱伝導性、高い熱伝導率、軽量で簡単な構造、多目的な特性、および、電力を消耗しないように多量の熱が伝えられる、などのメリットを有する。このため、ベイパーチャンバは電子部品の熱伝導に広く適用され、発熱部品(例えば、電子部品、LEDチップ等)の熱を速やかに伝熱して発熱部品の蓄熱現象を効果的に解決する。
【0003】
しかしながら、従来のベイパーチャンバは、その利用空間に制限があり、放熱部分の面積が小さい。このため、放熱部品の寸法と、放熱方式と、取り付けの影響により、放熱効率が低くなる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、放熱面積が小さく、空間を効率的に利用できないという課題を解決する平面ベイパーチャンバ、その製造方法、および車両のヘッドライトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、長板状の中空の蒸発室、および平板状の中空の凝縮室を含み、前記蒸発室と前記凝縮室は互いに連通され、且つ、前記蒸発室と前記凝縮室は、いずれも真空室とされると共に冷却液が充填されて、前記蒸発室と前記凝縮室の内壁には、いずれもキャピラリーウィック層が設けられる平面ベイパーチャンバを提供する。
【0006】
さらに、前記凝縮室のハウジングの端部に前記凝縮室と連通する真空吸引孔が設けられ、前記蒸発室が長方形であり、前記凝縮室が直角台形であり、前記真空吸引孔は、直角台形である前記凝縮室の斜辺の外面に位置する。
【0007】
さらに、前記蒸発室のハウジングの端部に前記蒸発室と連通する真空吸引孔が設けられ、前記蒸発室が長方形であり、前記凝縮室が直角台形であり、前記真空吸引孔は、長方形である前記蒸発室の長手方向の自由端に位置する。
【0008】
さらに、前記キャピラリーウィック層は、厚みが0.1mm〜100mmであり、空隙率が50%である。
【0009】
本発明は、さらに、プレス成形された二つの無酸素銅板体または無酸素アルミ板体の内側の表面を覆うようにそれぞれ銅粉末またはアルミ粉末が押圧され、あるいは、銅金網またはアルミ金網が押圧される状態で焼成により前記キャピラリーウィック層が形成されるステップと、
前記二つの板体が、特定雰囲気の環境において、加圧溶接または金属半田溶接されて、前記二つの板体の間に互いに連通する前記凝縮室および前記蒸発室とを形成し、且つ前記板体に前記真空吸引孔を設けるステップと、
特定雰囲気の環境において、前記真空吸引孔に銅管またはアルミ管が挿入され、溶接して還元脱酸素されることにより、排気注液口が形成されるステップと、
前記排気注液口から前記凝縮室および前記蒸発室に冷却液が注入されると共に、真空引きされた後、押し潰されてカシメられて、溶接シールされることで、平面ベイパーチャンバが得られるステップと、
を含む平面ベイパーチャンバの製造方法を提供する。
【0010】
前記キャピラリーウィック層の焼成プロセスにおいて、前記銅粉末と前記銅金網の焼成温度を800℃〜1050℃とし、焼成時間を1h〜6hとすることが好ましい。
【0011】
前記キャピラリーウィック層の焼成プロセスにおいて、前記銅金網と前記アルミ金網の焼成温度を400℃〜550℃とし、焼成時間を1h〜6hとすることが好ましい。
【0012】
前記銅粉末または前記アルミ粉末は、直径が10μm〜1000μmであり、前記被覆の厚みが0.1mm〜100mmであることが好ましい。
【0013】
本発明は、さらに、LED光源、電球金属カバー、放熱ユニット、および請求項1〜4のいずれかに記載される平面ベイパーチャンバを含み、
前記LED光源は、前記蒸発室の外面に貼設され、
前記電球金属カバーは、前記LED光源および前記平面ベイパーチャンバの外側に外嵌され、
前記放熱ユニットは、前記電球金属カバーと接続され、前記凝縮室に対して冷却する車両ヘッドライトを提供する。
【0014】
さらに、前記LED光源および前記放熱ユニットを電気的に接続する分電盤をさらに有する。
【0015】
さらに、前記LED光源は、二つのグループに分けられ、それぞれ前記蒸発室の上下の二つの表面に貼設され、且つ、前記LED光源と前記蒸発室の厚みの合計が3mmを超えない。
【0016】
さらに、前記放熱ユニットは、ベースハウジング、ファン、フィン付き放熱器を含み、前記ベースハウジングは、一端が前記電球金属カバーと接続され、他端には気体入口が設けられ、側壁面には気体出口が設置されており、かつ、電気コネクタが設けられており、前記ベースハウジングが前記ファンおよび前記フィン付き放熱器を包むように構成されている。
【0017】
さらに、前記フィン付き放熱器は、先端が前記凝縮室の外面に貼設され、前記凝縮室を冷却し、前記ファンは、前記フィン付き放熱器の後端に設置されるとともに、前記気体入口に配置され、前記フィン付き放熱器の冷却を加速する。
【0018】
さらに、前記気体出口には、気体ガイドが設置される。
【0019】
さらに、前記平面ベイパーチャンバ、前記LED光源、前記電球金属カバー、および前記フィン付き放熱器の間は、鉛フリーの錫銀銅ペーストで高温溶接により接続される。
【0020】
先行技術と比べると、本発明の有利な効果は以下の通りである。
【0021】
本発明によれば、取付面積と放熱面積が拡大され、空間をより効率的に利用することが可能になり、冷却液の循環流路が短縮され、接触面積が拡大されて、放熱効率が向上され、放熱効果がよりよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の具体的な実施形態を詳しく説明する。以下に、説明に必要な図面を簡単に紹介する。以下の図面は、本発明の一部の実施形態である。当業者にとって進歩性を付さないことを前提に、これらの図面に記載された実施形態に基づいて他の実施形態を獲得可能であることは自明である。
【
図1】
図1は本発明の実施例により提供される平面ベイパーチャンバの断面図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例により提供される平面ベイパーチャンバの第二種の変形構成の模式図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例により提供される平面ベイパーチャンバの第三種の変形構成の模式図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの装配図である。
【
図7】
図7は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの第二種の変形構成の分解図である。
【
図8】
図8は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの第三種の変形構成の模式図である。
【
図9】
図9は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの第四種の変形構成の模式図である。
【
図10】
図10は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの第五種の変形構成の模式図である。
【
図11】
図11は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの第六種の変形構成の模式図である。
【
図12】
図12は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの第七種の変形構成の模式図である。
【
図13】
図13は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの第八種の変形構成の模式図である。
【
図14】
図14は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの第九種の変形構成の模式図である。
【
図15】
図15は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの第十種の変形構成の模式図である。
【
図16】
図16は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの第十一種の変形構成の模式図である。
【
図17】
図17は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの第十二種の変形構成の模式図である。
【
図18】
図18は本発明の実施例により提供される車両ヘッドライトの第十三種の変形構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を結合して本発明の技術方案を明瞭に、完備に説明する。記載された実施例は、本発明の実施例の一例であって、全ての実施例ではないことは明らかである。当業者が本発明の実施例に基づいて、進歩性を付さないことを前提に得る全てのその他の実施例が、本発明の保護範囲に属する。本発明の記載において、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」など指示している方位又は位置関係は、図面に基づいて示す方位又は位置関係である。これらの用語は、本発明と簡略化した記載を便利に記述するためだけに用いられている。これらの用語は、装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され、特定の方位に操作されなければならないと指示又は暗示するものではないため、本発明の限定に用いることはできない。また、用語の「第一」、「第二」、「第三」は、説明の便宜のために用いられており、相対的な重要性を指示又は暗示するものではない。
【0024】
本発明の記載には、別に明確的な規定と限定があった以外に、用語「取付」、「連接」、「接続」は、広義に理解すべきである。例えば、固着でもよく、取外可能に接続してもよく、又は一体的に接続されてもよい。また、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよい。また、直接的に接続してもよく、中間部材を介して間接的に接続してもよく、二つの素子内部を連通してもよい。当業者にとって、具体的な情況によって上述用語の本発明における具体的な意味を理解できる。
【0025】
図1〜
図4に示すように、本発明の実施例は、長板状の中空の蒸発室303および平板状の中空の凝縮室304を含む平面ベイパーチャンバ1を提供する。蒸発室303および凝縮室304は、互いに連通し、且つ、いずれも真空室とされている。蒸発室303内および凝縮室304内には、冷却液が充填されている。蒸発室303の内壁と凝縮室304の内壁にはキャピラリーウィック層305が設けられている。蒸発室303は、凝縮室304の表面に垂直に固定され、「T」型の平面構成とされている。
【0026】
具体的には、平面ベイパーチャンバ1は、蒸発端301および蒸発端301に対応する凝縮端302を有し、蒸発端301と凝縮端302が並設される。蒸発端301の中空室が蒸発室303を構成し、凝縮端302の中空室が凝縮室304を構成する。
【0027】
好ましい実施例では、キャピラリーウィック層305は、厚みが0.1mm〜100mmであり、空隙率は50%である。冷却液の気液循環プロセスを保証し、熱伝導効率を加速するために、蒸発室303と凝縮室304は、適当な厚みを持つ必要がある。
【0028】
好ましい実施例では、冷却液として水を用いる。もちろん、冷却液として他の気液両相相変化機能を有する物質、例えば、アルコール、アセトンなどを採用することができる。また、熱源の発熱温度および相変化材料の相変化温度によって冷却液を選択することができる。
【0029】
好ましい実施例では、蒸発室303および凝縮室304は、純銅又はアルミを採用して製造され、キャピラリーウィック層305は、銅又はアルミを採用して製造される。
【0030】
図1に示すように、好ましい実施例では、蒸発室303のハウジングの端部に蒸発室303と連通する真空吸引孔13が設けられる。蒸発室303は長方形であり、凝縮室304は直角台形である。真空吸引孔13は、蒸発室303の長手方向の自由端に位置する。
【0031】
図3および
図4に示すように、好ましい実施例では、凝縮室304のハウジングの端部に凝縮室304と連通する真空吸引孔13が設けられる。蒸発室303は長方形であり、凝縮室304は直角台形であり、真空吸引孔13は、凝縮室304の斜辺の外面に位置する。このように設計することにより、真空吸引孔13が利用する空間を小さくすることによって、真空吸引孔13を使用した後、真空吸引孔13に対してシール処理することに便利であるとともに、凝縮室304と蒸発室303の形状設計が気化した冷却液の流度を加速することに有利で、製品の放熱効率を向上することになる。
【0032】
図1に示すように、この実施例では、平面ベイパーチャンバ1内には、相変化放熱方式および毛細構成輸送の原理が採用される。冷却液がキャピラリーウィック層305に吸収されており、蒸発端301が熱量を吸収する時に、蒸発端301でのキャピラリーウィック層305における冷却液を吸熱気化させ、気相冷却液109がキャピラリーウィック層305から溢れる。気相冷却液109は、蒸発室303に沿って凝縮室304の方向に流れ、凝縮室304で放熱して凝縮液化され、液相冷却液110になる。液相冷却液110は凝縮端302のキャピラリーウィック層305に吸収される。さらに液相冷却液110は、キャピラリーウィック層305の毛細作用によって蒸発端301のキャピラリーウィック層305に輸送される。これにより放熱冷却循環が完成される。
【0033】
好ましい実施例では、凝縮室304の断面寸法は、蒸発室303の断面寸法より大きい。このような構成により、凝縮室304と蒸発室303との間に圧力差が生成され、気相冷却液109の流速が加速され、循環速度と放熱効率を向上させることができる。
【0034】
本発明は、さらに、平面ベイパーチャンバの製造方法を提供する。具体的には、以下のステップを含む。
【0035】
ステップS1では、プレス成形された二つの無酸素銅板体または無酸素アルミ板体の内側の表面を覆うようにそれぞれ銅粉末またはアルミ粉末が押圧され、あるいは、銅金網またはアルミ金網が押圧される状態で焼成によりキャピラリーウィック層305が形成される。具体的には、二つの板体とも無酸素銅板体であり、あるいは、二つの板体とも無酸素アルミ板体である。
【0036】
ステップS2では、二つの板体は、特定雰囲気の環境において、加圧溶接または金属半田溶接される。二つの板体の間には互いに連通する凝縮室304と蒸発室303とが形成され、且つ板体に真空吸引孔13を設ける。具体的には、二つの板体が溶接されて中空のハウジングが形成され、中空のハウジング内に互いに連通する凝縮室304と蒸発室303が形成される。
【0037】
好ましい実施例では、ステップS2において、真空吸引孔13を凝縮室304と連通させるように、凝縮室304のハウジングの端部に設ける。蒸発室303は長方形であり、凝縮室304は直角台形である。真空吸引孔13は、凝縮室304の斜辺の外面に位置する。
【0038】
別の好ましい実施例では、ステップS2において、真空吸引孔13を蒸発室303と連通させるように、蒸発室303のハウジングの端部に設ける。蒸発室303は長方形であり、凝縮室304は直角台形である。真空吸引孔13は、蒸発室303の長手方向の自由端に位置する
【0039】
ステップS3では、特定雰囲気の環境において、真空吸引孔13に銅管またはアルミ管が挿入され、溶接して還元脱酸素されることにより、排気注液口が形成される。
【0040】
ステップS4では、排気注液口から凝縮室304と蒸発室303へ冷却液が注入され、真空引きが行われた後、押し潰され、カシメられて、溶接シールされることで、平面ベイパーチャンバ1が得られる。具体的には、真空に吸引した後、排気注液口を押し潰してカシメる。
【0041】
ステップS1において、キャピラリーウィック層305の焼成プロセスでは、銅粉末と銅金網を用いる場合は、焼成温度は800℃〜1050℃、焼成時間は1h〜6hである。銅粉末又はアルミ粉末は、直径が10μm〜1000μmであり、被覆厚みが0.1mm〜100mmである。
【0042】
ステップS1において、キャピラリーウィック層305の焼成プロセスでは、銅金網とアルミ金網を用いる場合は、焼成温度は400℃〜550℃であり、焼成時間は1h〜6hである。
【0043】
好ましい実施例では、平面ベイパーチャンバ1の製造方法における特定雰囲気は、窒素ガス雰囲気であり、窒素ガス雰囲気のプロセスにおいて、窒素ガスの温度が1050°から80°まで徐々に下げられ、時間は5分〜30分である。
【0044】
本発明の実施例では、
図5から
図18に示すように、LED光源101、電球金属カバー2、放熱ユニットおよび平面ベイパーチャンバ1を含む車両ヘッドライトが提供される。
【0045】
LED光源101は、蒸発室303の外面に貼設される。LED光源101が生じた熱は、平面ベイパーチャンバ1の蒸発室303内に伝導される。電球金属カバー2は、LED光源101および平面ベイパーチャンバ1の外側に外嵌される。放熱ユニットは、電球金属カバー2と接続され、凝縮室304の冷却を行う。
図5および
図6に示した車両ヘッドライトが
図1に示した平面ベイパーチャンバを用い、
図7に示した車両ヘッドライトは、
図3に示した平面ベイパーチャンバ1を用い、
図8〜
図18に示した車両ヘッドライトは、何れも
図3又は
図4に示した平面ベイパーチャンバ1の何れかを用いることができる。
【0046】
好ましい実施例では、
図5および
図6に示すように、電球金属カバー2の外部には、石英ガラス防護管103およびキャップ104が外嵌され、一層の保護作用が果たされる。具体的には、電球金属カバー2が石英ガラス防護管103の管内に位置される。電球金属カバー2は、二つの対称形のハウジングから構成される。
【0047】
この車両ヘッドライトは、相変化放熱、金属放熱フィン熱伝導放熱、空冷放熱、および放射放熱という四種の放熱技術手段を集合して、LED光源101が生じた熱を高効率に直ちに発散して、LED光源101が適宜の作動温度に保持される。
【0048】
実施例により提供される車両ヘッドライトは、真空吸引孔13が凝縮室304のハウジングの端部に設置されることにより、平面ベイパーチャンバ1の長さを非常に短縮することができ、平面ベイパーチャンバ1が利用する空間を少なくし、LED光源101の発光合焦効果を好ましくし、製品の発光性能を向上して、製品の使用安定性を保証する。また、分電盤4が設置されることで、LED光源101と放熱ユニットとの電圧および電流が更に安定し、放熱ユニットの放熱機能を確保して、LED光源101の発光安定性が更に向上する。
【0049】
また、「T」型の平面構成の平面ベイパーチャンバ1は、冷却液の流路が更に短く、循環速度が更に速く、蒸発室303と凝縮室304の面積が更に大きく、LED光源101およびその他の放熱ユニットとの取付が更に容易で、且つ吸熱放熱効果が更によく、構成が更に安定し、防振効果がよくなる。
【0050】
好ましい実施例では、
図8に示すように、車両ヘッドライトは、更に分電盤4を含む。分電盤4は、LED光源101と放熱ユニットを電気的に接続し、分電盤4が車両電源と接続され、車両電源によって分電盤4に給電される。
【0051】
好ましい実施例では、
図6に示すように、LED光源101は、蒸発室303の上下の二つの表面に貼設され、且つ、LED光源101と蒸発室303の厚みの合計が3mmを超えない。LED光源101は、蒸発室303の外面に貼設される。この実施例では、平面ベイパーチャンバ1を非常に薄くにすることができ、各種車両ヘッドライトアセンブリーの各タイプの自由曲面のX軸、Y軸、Z軸の精確な合焦を満たすことができ、既存のハロゲンランプ又はHIDランプに代えて、良好な光形を提供する。
【0052】
好ましい実施例では、
図5および
図6に示すように、放熱ユニットは、ベースハウジング31、ファン32、およびフィン付き放熱器102を含む。ベースハウジング31は、ファン32およびフィン付き放熱器102を包み、且つベースハウジング31には電気コネクタが設けられる。フィン付き放熱器102の方向は、具体的には、平面ベイパーチャンバ1の軸線方向と同じにして、ファン32からの風を通しやすくしている。 フィン付き放熱器102の先端は凝縮室304の外面に貼設され、平面ベイパーチャンバ1の凝縮室304を冷却する。ファン32はフィン付き放熱器102および凝縮端302の後端に設けられ、フィン付き放熱器102に風を供給して、フィン付き放熱器102の冷却を加速する。ファン32は、ねじでベースハウジング31内に固定され、且つベースハウジング31はフィン付き放熱器102を完全に包み、且つねじで固定される。ベースハウジング31は、フィン付き放熱器102を外嵌できるように一端が開放され、他端には風を取り込むようにファン32の寸法とマッチングする円孔が設置される。ベースハウジング31の開放された一端は、電球金属カバー2側であり、円孔が開設される他端は、電球金属カバー2の反対側である。
【0053】
好ましい実施例では、
図8〜
図18に示すように、放熱ユニットは、ベースハウジング31、ファン32とフィン付き放熱器102を含む。ベースハウジング31の一端は、電球金属カバー2と接続され、他端には気体入口が設けられ、且つベースハウジング31の側壁面には気体出口311が設置される。ベースハウジング31は、ファン32およびフィン付き放熱器102を包む。ベースハウジング31には電気コネクタが設けられる。このように、ベースハウジング31の一端に気体出口311を設置することで、電球金属カバー2が風量に影響を与えず、風量を効果的に向上し、製品の放熱効果を増加することになる。具体的には、フィン付き放熱器102の先端は凝縮室304の外面に貼設され、平面ベイパーチャンバ1の凝縮室304を冷却する。ファン32はフィン付き放熱器102の後端に設けられ、気体入口に位置され、フィン付き放熱器102に対する冷却を加速することが実現される。気体出口311には気体ガイドが設置される。
【0054】
平面ベイパーチャンバ1、LED光源101、電球金属カバー2、フィン付き放熱器102の間は、いずれも鉛フリーの錫銀銅ペーストにより高温溶接で接続される。フィン付放熱102は方形構成とし、複数の水平フィンが等間隔に配列されている。
【0055】
好ましい実施例では、
図8〜
図18に示すように、電球金属カバー2に係止溝22、差込口21及又は係止板23が設けられ、係止溝22、差込口21及又は係止板23が各種の車両ライトのアセンブリーハウジングと接続する。この実施例では、電球金属カバー2は、必要に応じて、各種の外形と接続構成を用いて、各種の車両のライトアセンブリーハウジングと整合可能である。これにより、既存のハロゲンランプ又はHIDランプは、直接的に取替えられることができ、既存のライトアセンブリーハウジングを交換する必要がなく、合焦が精確で、取付しやすく、同時にコストが低下される。
【0056】
この実施例において、平面ベイパーチャンバ1の蒸発室303において、キャピラリーウィック層305を用いて複数の通路を分けることができ、気相冷却液109を各通路に流れて、流速を増加する。同時に、平面ベイパーチャンバ1の蒸発端301両側の相変化効率が不均衡している時に、通路を構成するキャピラリーウィック層305により調節の作用を果たせる。
【0057】
以上の通り、本実施例の車両ヘッドライトは、相変化放熱、金属放熱フィン熱伝導放熱、空冷放熱および放射放熱という四種の放熱技術手段を集合して、放熱効率が高く、放熱効果がよい。ライトの全体は、100℃の環境で作動されて、ライトの温度が、環境温度との差が10℃以内で、ダイオードPN接合温度より低い。全体構成は、防振効果がよく、構成が牢固で、合焦が精確で、完璧に既存のハロゲンランプ又はキセノンランプを取替えできて、各種の車両に適用することができる。
【0058】
以上の各実施例の説明は、本発明の技術方案を説明するだけに用いられ、本発明を限定するものではない。前記の各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者にとって、前記各実施例に記載の技術方案に対して改正することができ、又はその一部或いは全部の技術特徴を均等に取替えることができる。これらの改正又は取替えは、相応する技術方案の実質を本発明の各実施例の技術方案の範囲から離脱させない。
【0059】
また、当業者は、ここに記載された一部の実施例が、他の特徴ではなく、他の実施例に含まれたある特徴を含んでいるが、異なる実施例の特徴の組合せが、依然に本発明の範囲に属することを理解すべきである。例えば、以下の請求の範囲において、保護しようと求める実施例のいずれかは、いずれかの組合せ方式によって用いられることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 平面ベイパーチャンバ
2 電球金属カバー
4 分電盤
13 真空吸引孔
21 差込口
22 係止溝
23 係止板
31 ベースハウジング
32 ファン
311 気体出口
101 LED光源
102 フィン付き放熱器
103 石英ガラス防護管
104 キャップ
109 気相冷却液
110 液相冷却液
301 蒸発端
302 凝縮端
303 蒸発室
304 凝縮室
305 キャピラリーウィック層