(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
物理量測定装置として、圧力を測定する圧力センサがある。この圧力センサとして、導入される被測定流体の圧力により変位するダイアフラム部と筒状部とが一体に形成され、ダイアフラム部のうち被測定流体が接触する面とは反対側にダイアフラム部の変位を検知する検知部が形成された歪ゲージ式のものがある。
この歪ゲージ式圧力センサの従来例として、歪ゲージ抵抗が感圧素子に形成され、感圧素子と出力端子とをフレキシブル回路基板で接続し、このフレキシブル回路基板に電子部品としてASICを搭載し、かつ、端部をコネクタに取り付けたセンサ(特許文献1)がある。
【0003】
歪ゲージ式以外の圧力センサの従来例として、ダイアフラムを有する容量型圧力感知素子がハウジングに収納され、容量型圧力感知素子の上に条件付け電子回路が配置された静電容量式圧力センサ(特許文献2)がある。
特許文献2の従来例では、圧力感知素子は、セラミックベースと、このセラミックベースに設けられ被測定流体の圧力により変位するダイアフラムとを有する。セラミックベースのダイアフラムとは反対側の面に条件付け電子回路が設けられている。条件付け電子回路は、コネクタハウジングに搭載された感知装置端子に電気的に接続される。
歪みゲージ式以外の圧力センサの他の従来例として、可変コンデンサがハウジングに収納された静電容量式圧力センサ(特許文献3)がある。
特許文献3の従来例では、可変コンデンサは、ハウジングに収納された剛固な基板と、この基板に設けられた可撓性のダイアフラムとを有し、基板に信号調整回路が設けられている。ハウジングにはコネクタが設けられ、このコネクタに装着されたコネクタ端子は、信号調整回路に電気的に接続されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
歪みゲージ式の圧力センサでは、ASIC等の電子部品がダイアフラム部に干渉しないように設置されることが求められる。そのため、電子部品の設置位置は制限されることになり、特許文献1の従来例では、電子部品はフレキシブル基板に取り付けられている。電子部品をフレキシブル基板に取り付けるためには、フレキシブル基板を固定しなければならず、電子部品のフレキシブル回路基板への取付作業が煩雑となる。その上、電子部品が取り付けられた状態で、フレキシブル基板を感圧素子に電気的に接続しなければならないため、圧力センサの組立作業の効率が悪く、製造コストが高いものとなる。
【0006】
特許文献2や特許文献3の従来例は、静電容量式であるため、電子部品を設置するにあたり、前述の歪みゲージ式特有の課題は生じない。
つまり、特許文献2の従来例では、条件付け電子回路は、圧力感知素子のダイアフラムとは反対側の面にダイアフラムとは離れて設けられているため、ダイアフラムと干渉することがない。しかも、特許文献2の従来例では、条件付け電子回路と感知装置端子とを電気的に接続するための具体的な手段が開示されていない。
同様に、特許文献3の従来例では、信号調整回路は、ダイアフラムとは離れた剛固な基板に設けられているため、ダイアフラムと干渉することがない。しかも、特許文献3の従来例では、コネクタ端子と信号調整回路とを電気的に接続するための具体的な手段が開示されていない。
【0007】
本発明の目的は、測定精度を低下させることなく組立作業を容易に行えるセンサモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のセンサモジュールは、導入される被測定流体の圧力により変位するダイアフラム部及び前記ダイアフラム部の周縁部に一体に形成された筒状部を有するセラミック製のモジュール本体と、前記ダイアフラム部のうち前記被測定流体が接触する面とは反対側に位置する平面に形成され前記ダイアフラム部の変位を検知する検知部と、前記ダイアフラム部の前記平面より径方向外側に隣接した前記筒状部の平面に形成されるパッドと、前記筒状部の前記平面に配置され、前記検知部及び前記パッドに電気的に接続される電子部品と、を有し、前記電子部品は、前記ダイアフラム部の前記平面に対して前記パッドとは反対側に配置され、前記筒状部の外周部には前記筒状部の軸方向と平行に位置決め用の外周溝が形成されていることを特徴とする。
本発明のセンサモジュールでは、前記外周溝は、互いに非等間隔に複数が配置されている構成としてもよい。
【0009】
なお、本発明に関連する物理量測定装置は、センサモジュールと、前記センサモジュールを収納するハウジングと、前記ハウジングに設けられたコネクタと、前記コネクタに設けられたターミナル端子と、前記センサモジュールと前記コネクタとの間の空間に配置され前記ターミナル端子と前記センサモジュールとの間に設けられた弾性を有する導電性部材とを備え、前記センサモジュールは、導入される被測定流体の圧力により変位するダイアフラム部及び前記ダイアフラム部の周縁部に一体に形成された筒状部を有するセラミック製のモジュール本体と、前記ダイアフラム部のうち前記被測定流体が接触する面とは反対側に位置する平面に形成され前記ダイアフラム部の変位を検知する検知部と、前記ダイアフラム部の前記平面より径方向外側に隣接した前記筒状部の平面に形成され、前記導電性部材に接続されたパッドと、前記筒状部の前記平面に配置され、前記検知部及び前記パッドに電気的に接続される電子部品と、を有し、前記電子部品は、前記ダイアフラム部の前記平面に対して前記パッドとは反対側に配置されていることを特徴とする。
この構成では、ハウジングにセンサモジュールを収納し、導電性部材の一端をターミナル端子の端部に接続し、センサモジュールを覆うようにコネクタをハウジングに取り付ける。コネクタをハウジングに取り付けることで、導電性部材は弾性変形してパッドに押しつけられ、確実に接続される。導電性部材の他端とパッドとは固定される。そのため、ターミナル端子とパッドとの電気的な接続作業を容易に行える。
その上、電子部品とパッドとがモジュール本体のうちダイアフラム部の平面とは異なる位置にある筒状部の平面に配置されている。そのため、被測定流体がセンサモジュールに導入されてダイアフラム部が変位しても、その変位が電子部品等で妨げられることがないから、物理量の適正な測定を行える。
また、ダイアフラム部の変位が電子部品に機械的な影響を与えることがない。さらに、導電性部材が接続されるパッドは、センサモジュールのうちダイアフラム部ではなく筒状部の平面に形成されているので、弾性部材がその弾性力でパッドを押圧しても、ダイアフラム部の変位が妨げられるものではない。
しかも、電子部品は、ダイアフラム部から径方向に離れた筒状部の平面に配置されているから、ダイアフラム部の平面上に電子部品が配置される場合に比べてパッドの位置や大きさが制限されない。つまり、電子部品を筒状部の平面の一部に設置すると、電子部品を設置した領域のダイアフラム部を挟んだ反対側の領域には大きなスペースが生じるため、このスペースに外部と電気的に接続するためのパッド等を配置することができる。
さらに、モジュール本体がセラミック製の硬質部材であるため、これに電子部品を直接モジュール本体に取り付けることで、撓みやすいフレキシブル回路基板に電子部品を取り付ける特許文献1の従来例に比べて、電子部品のセンサモジュールへの電気的な接続作業を容易に行うことができる。
【0010】
本発明に関連する物理量測定装置では、前記筒状部は、前記ハウジングに装着される被装着部を内周に有し、前記筒状部の被装着部には、前記筒状部の径方向に延びたモジュール側平坦面を有する段部が形成されている構成が好ましい。
この構成では、筒状部に段部が形成されているので、筒状部の平面のうち段部に相当する部分も電子部品を設置するためのスペースとして利用でき、電子部品を配置しやすくなる。しかも、筒状部の段部より開口側に位置する被装着部は、その内径がダイアフラム部の径より大きいので、モジュール本体を装着する対象物の外径を大きなものにできる。
【0011】
本発明に関連する物理量測定装置では、前記筒状部の前記平面に温度測定素子が設けられている構成が好ましい。
この構成では、温度測定素子により、温度補正が行える。被測定流体の熱がセラミック製のモジュール本体を通じて温度測定素子に正確に伝達されることになり、温度補正の精度を向上させることができる。温度測定素子は、モジュール本体の被測定流体が導入される側の部位から離れた位置に設置されても、測定精度は、それほど低下しない。特に、温度測定素子が設けられている場所は筒状部であって、ダイアフラム部ではないので、温度測定素子によりダイアフラム部の変位が阻害されない。なお、温度測定素子とは、筒状部の平面に取り付けられるチップ部品であってもよく、あるいは、筒状部の平面に印刷等されたペーストを焼成して形成されたものであってもよく、その具体的な構成は問われるものではない。
これに対して、特許文献3では、温度反応サーミスタはダイアフラムの被測定流体が導入される側に配置されているので、温度反応サーミスタは被測定流体の圧力が大きい場合には、測定精度に影響を及ぼすことになる。また、被測定流体が導電性を有する場合、温度測定精度に影響を及ぼすので、サーミスタの絶縁コーティング等が必要となる。
【0012】
ここで、前記コネクタは、前記ハウジングにかしめて嵌合される構成が好ましい。
この構成では、ハウジングへのコネクタの接続作業が容易となる。
【0013】
本発明に関連する物理量測定装置では、前記コネクタには係止用突起が形成され、前記係止用突起に係止される係止用溝が前記センサモジュールの外周に形成されている構成が好ましい。
この構成では、コネクタがセンサモジュールに対して回り止めされるので、パッドと導電性部材との接続箇所、導電性部材とターミナル端子との接続箇所がずれない。
【0014】
本発明に関連する物理量測定装置では、前記ハウジングは、外周部に前記筒状部の被装着部が装着され内部に前記被測定流体が導入される導入孔が形成された突出部を有し、前記突出部には、前記モジュール側平坦面と対向するハウジング側平坦面が形成され、前記モジュール側平坦面と前記ハウジング側平坦面との間にはOリングが配置されている構成が好ましい。
この構成では、Oリングを設けるための断面コ字状の溝をハウジングにのみに形成する作業が不要となり、Oリングを保持するための構造が簡易なものとなる。つまり、突出部の先端側にはハウジング側平坦面を形成すればよいので、突出部にコ字状溝を形成する場合に比べて溝加工が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の第1実施形態を
図1から
図5に基づいて説明する。
図1及び
図2には、第1実施形態の物理量測定装置の全体構成が示されている。
図1及び
図2において、物理量測定装置は、ハウジング1と、ハウジング1に収納されるセンサモジュール2と、ハウジング1に設けられたコネクタ3と、コネクタ3にそれぞれ設けられた3本のターミナル端子4と、ターミナル端子4とセンサモジュール2とを電気的に接続する接続部材5とを備えて構成されている。
【0017】
ハウジング1は、被測定流体を導入する導入孔1Aが形成される継手部11と、継手部11の中央部分から径方向に延びて形成されたフランジ部12と、フランジ部12の外周部に一体形成されたスリーブ部13とを有する金属製部材である。本実施形態で測定される被測定流体には、水等の液体や空気等の気体が含まれる。
継手部11の一端部は、図示しない被取付部に螺合されるねじ部14である。継手部11の他端部はセンサモジュール2が設けられる突出部15である。
突出部15の中間部分には基端部より先端部の径が小さな段差が形成されている。この段差の平面は、突出部15の軸方向と直交平面であって径方向に延びたハウジング側平坦面15Aとされている。突出部15の先端部には、先端に向かうに従って径が小さくなる傾斜面15Bが形成されている。
【0018】
フランジ部12、突出部15及びスリーブ部13で仕切られる空間Sは、センサモジュール2を収納するための空間である。空間Sはフランジ部12の外周平面部に所定幅の平面リング状に形成された凹部S1と連通されている。凹部S1は、センサモジュール2の角部が収まるようにするために形成されたものである。凹部S1の平面はセンサモジュール2の底面から離れている。
センサモジュール2を収納するための空間Sの平面形状は円形であり、センサモジュール2の平面形状は略円形であって、これらの直径はほぼ等しい。
スリーブ部13の開口端は、コネクタ3をかしめて嵌合する係止部13Aとされている。
【0019】
図3にはコネクタ3の概要が示されている。
図1から
図3において、コネクタ3は、係止部13Aに保持されるリング状の基部31と、この基部31に一体形成されターミナル端子4を支持する本体部32とを備えた合成樹脂製部品である。
基部31の本体部32とは反対側の端部3Aの外周部には係止部13Aを係止するための肩部31Aが形成されている。基部31の肩部31Aより開口端側は凹部31Bとされている。凹部31Bとスリーブ部13の内周との間には、Oリングからなるシール部材33が設けられている。
基部31の内周のうち軸芯を挟んで互いに反対側に位置する部分に係止用突起31Cが形成されている。係止用突起31Cは、平面視で矩形状に形成されている(
図4参照)。
本体部32は、ターミナル端子4がインサート成形される板部32Aと、板部32Aの外周縁部に一体形成された筒部32Bとを有する。
基部31の内周には、モジュール本体20の角部に係合し板部32Aへの移動を規制する段部が形成されている(
図2参照)。
【0020】
図1及び
図2において、ターミナル端子4は、L型の金具であり、L型を構成する一方の長尺部は、基端が板部32Aに係止されるとともに中央部から先端にかけて筒部32Bの内部に露出されている。ターミナル端子4のL型を構成する他方の長尺部は板部32Aに対向している。
接続部材5は、一端がターミナル端子4の他方の長尺部に電気的に接続され他端がセンサモジュール2に接続される弾性を有する導電性部材51と、導電性部材51の他端をセンサモジュール2に向けて付勢する弾性部材52とを有する。
【0021】
導電性部材51は、板状部材を折り曲げて形成された連結金具である。連結金具の弾性力により、導電性部材51の一端がターミナル端子4に付勢され、導電性部材51の他端がセンサモジュール2に付勢される。なお、導電性部材51の一端とターミナル端子4との間並びに導電性部材51の他端とセンサモジュール2とは必要に応じて導電性接着剤や溶接(図示せず)で接着固定される。
弾性部材52は、シリコンゴム製の角柱状のクッションであり、その一端部がコネクタ3の基部31に形成された凹部31Dに嵌合されている。弾性部材52の他端は導電性部材51の他端に当接されている。
【0022】
センサモジュール2の具体的な構成が
図4及び
図5に示されている。
図4及び
図5において、センサモジュール2は、ダイアフラム部21及びダイアフラム部21の周縁部に一体形成された筒状部22を有するセラミック製のモジュール本体20と、ダイアフラム部21の変位を検知する検知部23と、検知部23と電気的に接続されたパッド24と、モジュール本体20にそれぞれ設けられた電子部品25及び温度測定素子26とを備えて構成されている。
【0023】
ダイアフラム部21は、継手部11から導入される被測定流体の圧力により変位するものであり、薄い円板状に形成されている。ダイアフラム部21のうち突出部15に対向する面が被測定流体と接触する面となる(
図1及び
図2参照)。
ダイアフラム部21の被測定流体が接触する面とは反対側の面は検知部23が形成される平面21Aである。
検知部23は、4箇所に形成された歪みゲージ23Aと、これらの歪みゲージ23Aと接続された導電パターン(図示せず)とを有する。
【0024】
筒状部22の外周部には筒状部22の軸方向と平行に外周溝20Aと係止用溝20Bとがそれぞれ形成されている。
外周溝20Aは、センサモジュール2の平面に検知部23や導電パターン(図示せず)等をパターン印刷する際に、センサモジュール2を図示しない位置決め装置で位置決めするために用いられる。
センサモジュール2の位置決めを正確に行うために、外周溝20Aの配置は非等間隔に配置された3箇所とされる。つまり、これらの外周溝20Aのうち2箇所の外周溝20Aは、センサモジュール2の軸芯を挟んで互いに反対側の位置にあり、これらの2箇所の外周溝20Aのうちいずれか一方に近接した位置に残り1箇所の外周溝20Aが配置されている。
【0025】
係止用溝20Bは、コネクタ3に対してセンサモジュール2の周方向の移動を規制するためにコネクタ3の係止用突起31Cに係止されるものであり、本実施形態では、係止用突起31Cに合わせて筒状部22の軸芯を挟んで互いに反対側となる位置にそれぞれ形成されている。なお、係止用溝20Bと係止用突起31Cとのセンサモジュール2の軸方向の移動は許容される。
2箇所の係止用溝20Bは、それぞれ平面が矩形状とされ、かつ、開口端が互いに反対側に向くように形成されている。
【0026】
筒状部22は、その内周がハウジング1に装着するための被装着部27とされる。被装着部27のダイアフラム部21の近傍には、筒状部22の径方向に延びたモジュール側平坦面22Aを有する段部27Aが形成されている。被装着部27のうち段部27Aより開口端側は突出部15の外周に対向する(
図1及び
図2参照)。
図1及び
図2に示される通り、モジュール側平坦面22Aとハウジング1のハウジング側平坦面15Aとの間にはOリング6が配置されている。モジュール側平坦面22Aとハウジング側平坦面15Aとは、Oリング6の突出部15の軸方向の移動を規制するものであり、センサモジュール2が突出部15に装着された状態では、互いに平行とされている。
モジュール側平坦面22Aとハウジング側平坦面15Aとは、Oリング6が筒状部22と突出部15とで挟持されるように、それぞれ筒状部22の径方向の幅寸法がOリング6の厚み寸法と同じか、やや小さくされている。
突出部15のハウジング側平坦面15Aから傾斜面15Bまでの軸方向寸法は、少なくとも、Oリング6の厚み寸法あればよい。
【0027】
図4及び
図5に示される通り、筒状部22には、パッド24、電子部品25及び温度測定素子26がそれぞれ設けられる平面22Bが形成されている。平面22Bは、ダイアフラム部21の平面21Aの径方向外側に隣接しかつ平面21Aと同一面上に形成されている。
パッド24は、3箇所配置されており、それぞれ導電性部材51の端部に接続されている。パッド24と検知部23との間には導電性パターン(図示せず)が形成されており、導電性パターンと電子部品25及び温度測定素子26とが電気的に接続されている。
電子部品25は、平面21Aを挟んでパッド24とは反対に配置されるもので、1つのASIC回路251と複数のコンデンサ252とを備える。
温度測定素子26はモジュール本体20を通じて被測定流体の温度を検知するチップ部品である。
【0028】
以上の構成の物理量測定装置を組み立てるには、まず、セラミックでモジュール本体20を製作する。
モジュール本体20を製作するには種々の方法を採用することができる。例えば、図示しない金型にセラミック粉末を充填して成形体を形成し、この成形体を焼結する。この際、金型には、モジュール側平坦面22Aを形成するための段部を予め金型内に設けておく。これにより、モジュール側平坦面22Aが成形体の一部として形成されることになる。
成形体を図示しない焼成炉に投入し、所定温度で焼成した後、焼成炉から取り出す。
【0029】
このように製作されたモジュール本体20のダイアフラム部21や筒状部22の平面21A,22Bに検知部23、パッド24、導電パターンレジストを形成する。そして、電子部品25及び温度測定素子26を筒状部22の平面22Bに取り付ける。
さらに、金属のブロック体を研削加工等して、ハウジング1を形成する。この際、ハウジング1を加工すると同時に突出部15にハウジング側平坦面15Aを形成する。物理量測定装置を構成する他の部品も製造しておく。
【0030】
その後、ハウジング1の突出部15の外周部にOリング6を装着し、電子部品25及び温度測定素子26、その他の必要な部材が取り付けられたセンサモジュール2を突出部15に装着する。
さらに、ターミナル端子4をコネクタ3にインサート成形により一体化する。コネクタ3の凹部31Dに弾性部材52を嵌め込み、ターミナル端子4と導電性部材51の一端とを溶接等で接続させ、パッド24に導電性接着剤等を塗布し、コネクタ3をハウジング1に押し込んで、弾性部材52で導電性部材51の他端をパッド24に押しつける。導電性部材51の他端とパッド24とは、例えば、導電性接着剤で固定される。
その後、ハウジング1にコネクタ3をかしめる。
【0031】
従って、本実施形態では次の作用効果を奏することができる。
(1)ハウジング1にセンサモジュール2を収納し、ハウジング1にコネクタ3を設け、コネクタ3にターミナル端子4を設け、ターミナル端子4とセンサモジュール2のパッド24との間に弾性を有する導電性部材51を設けたから、コネクタ3をハウジング1に取り付けることで、導電性部材51は弾性変形してターミナル端子4の端部に確実に接続される。そのため、ターミナル端子4とパッド24との電気的な接続作業を容易かつ確実に行うことができる。
しかも、センサモジュール2は、ダイアフラム部21の周縁部に筒状部22が一体に形成されたモジュール本体20と、ダイアフラム部21の平面21Aに形成された検知部23と、筒状部22において平面21Aより径方向外側に隣接した平面22Bにそれぞれ設けられたパッド24及び電子部品25とを備えているため、被測定流体がセンサモジュール2に導入されてダイアフラム部21が変位しても、その変位がパッド24及び電子部品25で妨げられることがないから、物理量の適正な測定を行える。電子部品25は、筒状部22の平面22Bの一部に配置されているから、ダイアフラム部21の平面21Aを挟んだ反対側の位置にパッド用のスペースが生じることになるので、パッド24の形成を容易に行える。モジュール本体20がセラミック製の硬質部材であるため、電子部品25の電気的な接続作業を容易に行うことができる。
【0032】
(2)筒状部22の内周に形成された被装着部27に、モジュール側平坦面22Aを有する段部27Aを形成したので、筒状部22の平面22Bのうち段部に相当する部分も電子部品25を設置するためのスペースとして利用できる一方で、筒状部22の段部27Aより開口側に位置する被装着部27は、その内径がダイアフラム部21の径より大きいことから、モジュール本体20を装着する突出部15の外径を大きなものにできる。
【0033】
(3)筒状部22の平面22Bに温度測定素子26が設けられているから、モジュール本体20の被測定流体が導入される側の部位から離れた位置に温度測定素子26が設置されることになっても、測定精度がそれほど低下しない。しかも、温度測定素子26は、筒状部22に設けられるものであって、ダイアフラム部21には設けられていないから、温度測定素子26によりダイアフラム部21の変位が阻害されない。
【0034】
(4)導電性部材51を連結金具から構成し、この一端を弾性部材52でパッド24に向けて付勢させたので、導電性部材51とパッド24との接続を確実に行うことができる。
【0035】
(5)コネクタ3はハウジング1にかしめて嵌合されるから、ハウジング1へのコネクタ3の接続作業が容易となる。しかも、ハウジング1に接続した後では、コネクタ3がハウジング1から外れにくいものとなる。
【0036】
(6)コネクタ3に形成された係止用突起31Cと、センサモジュール2の外周に形成された係止用溝20Bとが互いに係止することで、コネクタ3に対してセンサモジュール2が回り止めされることになり、導電性部材51とパッド24やターミナル端子4との接続箇所がずれることがない。そのため、断線に伴う不都合を回避することができる。
【0037】
(7)ハウジング1の突出部15には、モジュール側平坦面22Aと対向するハウジング側平坦面15Aが形成され、モジュール側平坦面22Aとハウジング側平坦面15Aとの間にOリング6が配置されているから、Oリングを保持するための構造が簡易なものとなる。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態を
図6に基づいて説明する。
第2実施形態は第1実施形態とは弾性の導電性部材の構成が異なるもので、他の構成は第1実施形態と同じである。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同一又は同様の構成は同一符号を付して説明を省略する。
図6は第1実施形態の
図2に相当する図である。
図6において、弾性の導電性部材7は、ターミナル端子4とセンサモジュール2のパッド24との間に設けられたコイルばねである。コイルばねは、ターミナル端子4とは、パッド24からの押しつけのみで固定されている。なお、コネクタ3には、コイルばねをガイドする図示しないガイド部が設けられている。
第2実施形態において、物理量測定装置の組立手順は第1実施形態とほぼ同じである。
【0039】
第2実施形態では、第1実施形態の(1)〜(3)(5)〜(7)と同様の効果を奏することができる他、次の効果を奏することができる。
(8)導電性部材7を、ターミナル端子4とセンサモジュール2のパッド24との間に設けられたコイルばねとしたから、導電性部材51を連結金具から構成し、この連結金具の端部をクッションからなる弾性部材でモジュール本体20に付勢する第1実施形態に比べて、部品点数が減少し、物理量測定装置の構成を簡易なものにできる。
【0040】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、筒状部22の平面22Bに直接設置する電子部品25を、ASIC回路251とコンデンサ252とから構成したが、本発明では、これらの一方のみとしてもよく、さらには、これらの電子部材に代えて増幅回路を用いてもよい。
前記各実施形態では、筒状部22の内周に形成された被装着部27に、モジュール側平坦面22Aを有する段部27Aを形成したが、本発明では、筒状部22の被装着部27に必ずしも段差27Aを形成することを要しない。
前記各実施形態では、Oリング6の突出部15の軸方向に沿った移動を規制するために、筒状部22の軸方向と直交する方向に延びてモジュール側平坦面22Aを形成し、突出部15の軸方向と直交する方向に延びてハウジング側平坦面15Aを形成したが、本発明では、Oリング6の移動を規制できるのであれば、他の構成、例えば、突出部15にOリング6を保持する溝を形成するものでもよい。
【0041】
さらに、セラミック製のセンサモジュール2やハウジング1の加工方法は、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、センサモジュール2のベースとなるモジュール本体20を金型等で成形し、このモジュール本体20を切削や研削加工をしてモジュール側平坦面22Aを加工するものでもよい。
また、筒状部22の平面22Bに温度測定素子26を設けたが、温度測定素子26は必要に応じて設ければよく、物理量測定装置の機種によっては、温度測定素子26を設けることを要しない。
仮に、筒状部22の平面22Bに温度測定素子26が設けられる場合であっても、温度測定素子26はチップ部品に限定されるものではない。例えば、温度測定素子26は、筒状部22の平面22Bに印刷等されたペーストを焼成して形成されたものであってもよい。
【0042】
さらに、前記各実施形態ではハウジング1を金属製部材から形成したが、本発明では、合成樹脂部材から継手を形成するものであってもよい。
また、電子部品25を、平面21Aを挟んでパッド24とは反対側に配置したが、これに限定されるものではない。例えば、センサモジュール2の平面21Aが大きな面積であれば、電子部品25をパッド24と隣接させるものであってもよい。
さらに、前記各実施形態では、物理量測定装置として圧力センサを例示して説明したが、本発明では、これに限定されることはなく、例えば、差圧センサや温度センサにも適用可能である。