(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者は、支持体の表面に固定された表示パネルを有する表示装置において、一部の構成要素に欠陥が生じた場合などに、欠陥の無い表示パネルもしくは支持体、または、それら以外の欠陥の無い構成要素の再利用を可能にする構造について鋭意検討を重ねた。そして、表示パネルを支持体の所定の位置に保持し得る部材を介して表示パネルが支持体に固定される構造を用いることによって、表示パネルを支持体の表面に適切に固定することができ、かつ、必要に応じて表示パネルを支持体から容易に取り外すことができることを見出した。すなわち、表示パネルは、支持体に接着されることなく、表示パネルを支持体上に保持すべく形成された保持部材と係合し、その保持部材が支持体に接着される。表示パネルにおける支持体に対する相対的な動きは保持部材によって制限されるため、表示パネルは支持体の表面の所定の位置に固定され得る。そして、表示パネルを支持体から取り外すときには、互いに接着されないで単に係合している保持部材と表示パネルとを分離することによって、容易に表示パネルを支持体から取り外すことができる。
【0011】
さらに、本発明者は、そのような保持部材に表示パネルの表示面を覆う部分を設けることによって、欠陥の無い更なる構成要素の再利用が可能になることを新たに見出した。すなわち、表示パネルの表示面に設けられて特定の機能を果たす偏光板または反射防止層などは、従来、表示パネルに欠陥が生じた場合には表示パネルと共に廃棄されている。偏光板などは、表示パネルに比べて遥かにシンプルな構造を有していて電気的な特性の劣化のおそれもないため、継続して使用され得る状態であるにも拘らず、表示パネルに生じた欠陥のために廃棄されていると考えられる。これに対して保持部材が表示パネルの表示面を覆う部分を備えていると、その部分に偏光板などの特定の機能を果たす層を設けることができる。そして、表示パネルに欠陥が生じた場合には、前述したように表示パネルと保持部材とを分離し、偏光板などを含む機能層を保持部材と共に他の表示パネルに対して再利用することができる。このように、本発明者は、表示パネルを支持体に保持する保持部材に、従来の表示装置では表示パネルに備えられ得る特定の機能層を備えることによって、たとえば表示パネルの交換が必要な場合に、支持体に加えてそのような機能層をも再利用できることを新たに見出したのである。
【0012】
以下、図面を参照し、本発明における実施形態の表示装置および表示装置の製造方法を説明する。なお、以下に説明される実施形態における各構成要素の材質、形状、および、それらの相対的な位置関係などは、あくまで例示に過ぎない。本発明の表示装置および表示装置の製造方法は、これらによって限定的に解釈されるものではない。
【0013】
[実施形態1]
図1Aには、実施形態1の表示装置1の正面図が示され、
図1Bには、
図1AのIB−IB線における表示装置1の断面図が示されている。表示装置1は、光の放射または透過を制御することによって画像を表示する表示パネル3と、表示パネル3が載置された表面5aを有する支持体5と、支持体5の表面5aに接着され、表示パネル3の縁部と係合することによって表示パネル3を支持体5の表面5aにおける所定の位置に保持する保持部材4と、を備えている。表示パネル3は、表示面3aの反対面3bを支持体5に向けられている。表示装置1は、さらに、表示パネル3に接続された配線9を備えている。なお、
図1B、および以下の説明で参照する各断面図では、見易さのために各構成要素が表示パネル3の厚さ方向において適宜強調して描かれている。
【0014】
図2Aには、
図1Aおよび
図1Bに示される保持部材4の背面図(
図1Aに示される面を保持部材4の正面としたときの背面図)が示され、
図2Bには、その平面図(
図2Aにおいて上方から保持部材4を見た図)が示されている。保持部材4は、光を透過させる材料を用いて形成されていて表示パネル3の表示面3a(
図1B参照)を覆う板状の前面部41と、前面部41において表示パネル3の表示面3aに向けられる第1面41aから突出させて、かつ、前面部41の縁部に沿わせて設けられた棒状部材によって構成される枠部42と、を有している。そして、前面部41は、第1面41aまたは第1面41aと反対の第2面41bに、光の伝搬に関して所定の機能を有する第1機能層61を備えている。
図1A、
図1B、
図2Aおよび
図2Bの例では、保持部材4は、第1面41aに第1機能層61を備えると共に、光の伝搬に関して所定の機能を有する第2機能層62を第2面41bに備えている。第2機能層62は、好ましくは、第1機能層61が有する機能と異なる機能を有している。第2機能層62は設けられなくてもよく、その場合、第1機能層61は、第1面41aおよび第2面41bのいずれに設けられていてもよい。
【0015】
ここで「光の伝搬に関して所定の機能を有する」の「機能」には、種々の機能が含まれ得る。たとえば、電場および磁場の振動方向について特定の規則性を有する偏光(直線偏光、円偏光または楕円偏光)だけを透過させる偏光板の機能、光の反射を抑制する反射防止機能、特定の波長の光を反射する選択反射機能、特定の波長の光を吸収する選択吸収機能、特定の波長の光だけを透過させる選択透過機能などが例示される。第1機能層61および第2機能層62(ならびに後述する第3機能層)は、ここに例示された機能のうちのいずれを有していてもよく、光の伝搬に関する、ここに例示されたもの以外の任意の機能を有していてもよい。また、各機能層は、光の伝搬に関して直接的に作用する機能(光学的機能)および光の伝搬に関して間接的に作用する機能のいずれを有していてもよい。
【0016】
ここに「光の伝搬に関して直接的に作用する機能」の「直接的」は、光の伝搬に対して、前述した偏光板の機能、ならびに、反射防止、選択反射、選択吸収および選択透過の各機能などのように、光の透過、反射または吸収などを自らもたらす作用の態様を意味している。また「光の伝搬に関して間接的に作用する機能」の「間接的」は、光の伝搬に関して作用し得る物質の抑制または増強などを介した作用の態様を意味している。たとえば「光の伝搬に関して間接的に作用する機能」としては、保持部材4の前面部41において意図せずに光の反射や吸収をもたらし得る塵、汚れまたは傷などの付着または生成を抑制する機能などが例示される。従って、そのような機能は、帯電防止機能、防汚機能、表面保護機能などであってもよく、これら以外の、光の伝搬に関して間接的に作用する機能であってもよい。
【0017】
表示パネル3としては、有機EL表示パネルや液晶表示パネルが例示される。しかし、表示パネル3は、これらに限定されない。
図1Aおよび
図1Bに例示される表示パネル3は、表示面3aにおいて矩形の形状を有しており、その矩形の形状の二つの長辺のうちの下辺および二つの短辺において、側面および表示面3aで保持部材4と当接している。そのため、表示パネル3は、長辺方向に沿った動き、および、
図1Aにおいて表示パネル3の短辺方向と平行に上辺から下辺に向かって描かれた矢印Yが向く方向への動きを、保持部材4によって制限されている。その保持部材4は接着剤8を用いて支持体5に接着されている。また、表示パネル3の
図1Aにおける下辺が上辺よりも鉛直方向において下側となるように表示装置1が配置される場合には、表示パネル3は、矢印Yが向く方向と反対方向への動きも重力によって制限され得る。その結果、表示パネル3は、支持体5の表面5a上の所定の位置に固定され得る。
【0018】
一方、表示パネル3自体は、支持体5と接着されていない。従って、表示装置1の通常の使用時には表示パネル3を支持体5の上に保持し、必要な時には、表示パネル3を容易に支持体5から取り外すことができる。たとえば、表示パネル3を
図1Aに示される矢印Yが向く方向と反対方向に向けて保持部材4の外側まで動かすことによって、表示パネル3を支持体5から取り外すことができる。従って、支持体5および表示パネル3のいずれかに欠陥が生じた場合に、欠陥の無い支持体5または表示パネル3を再利用することができる。
【0019】
さらに本実施形態では、保持部材4が、少なくとも第1機能層61を前面部41の第1面41aまたは第2面41bに備えている。
図1Aおよび
図1Bの例では、第1面41aに第1機能層61が備えられ、第2面41bには第2機能層62が備えられている。第1機能層61および第2機能層62は、前述したように種々の機能を有し得る。たとえば、第1機能層61または第2機能層62は、光の反射を抑制すべく構成された反射防止層、または、偏光板によって構成されていてもよい。たとえば、従来の液晶表示パネルにおいて駆動トランジスタが形成されたTFT(薄膜トランジスタ)基板と対向して配置される対向基板に備えられる直線偏光板が、第1機能層61として保持部材4に設けられてもよい。または、有機EL表示パネルにおいて光の放射面に備えられる円偏光板が第1機能層61として設けられてもよい。そうすることで、表示パネル3への少なくとも一つの偏光板の配置を省略することができる。そして、表示パネル3に欠陥が生じたときには、第1機能層61として備えられた直線偏光板などを、保持部材4および第2機能層62と共に、他の表示パネルなどに再利用することができる。
【0020】
第1機能層61が偏光板で構成される場合、第2機能層62は、光の反射を抑制すべく構成された反射防止層であってもよい。たとえば、従来の有機EL表示パネルなどにおいてその表示面に形成され、光の反射による視認性の低下を防止する反射防止膜などが、第2機能層62として保持部材4に設けられてもよい。そうすることで、表示パネル3への反射防止膜の形成を省略することができる。そして、表示パネル3に欠陥が生じたときには、第2機能層62として備えられた反射防止膜を、保持部材4および第1機能層61と共に、他の表示パネルに対して再利用することができる。なお、前述したように、第1機能層61だけが保持部材4に備えられてもよい。その場合、前面部41の第2面41bに、反射防止層によって構成された第1機能層61が備えられてもよい。
【0021】
第1機能層61または第2機能層62として偏光板が設けられる場合、市販の偏光板が前面部41に接着されてもよい。たとえば、ヨウ素化合物が吸着配向されたポリビニルアルコールを主体とする層が二つのトリアセチルセルロース膜で挟まれた構造を有する直線偏光板が前面部41に接着される。また、そのような直線偏光板に、ポリカーボネートなどによって形成された1/4位相差板が積層された円偏光板が、前面部41に接着されてもよい。第1機能層61または第2機能層62として設けられる偏光板は、好ましくは、保持部材4の第1面41aに設けられる。
【0022】
第1機能層61または第2機能層62が反射防止層である場合、そのような反射防止層は、たとえば、保持部材4の前面部41を構成する材料の屈折率よりも低い屈折率nを有する誘電体材料などを用いて形成される。そして、各機能層61、62は、各機能層61、62の表裏各面における反射光が干渉によって互いに弱め合うような厚さで形成される。好ましくは、誘電体材料などによって形成される層の厚さdとして、その層における可視光領域の光(たとえば波長λを有する光)の光路長L(=n×d)=(1/4)×λとなる厚さが選択される。第1機能層61および第2機能層62は、それらが反射防止層である場合、誘電体材料などによって形成される層を複数個含む多層構造を有していてもよい。そうすることで、広範な波長の光の反射を効率よく抑制することができる。第1機能層61または第2機能層62として設けられる反射防止層は、好ましくは、保持部材4の第2面41bに設けられる。
【0023】
第1機能層61または第2機能層62が前述した選択反射機能、たとえば、赤外線を反射する機能を有する場合、各機能層は、たとえば、互いに異なる屈折率を有する材料が交互に積層された多層構造を有している。異なる屈折率を有する材料、たとえば、酸化チタン(TiO
2)と二酸化ケイ素(SiO
2)、または、硫化亜鉛(ZnS)とフッ化マグネシウム(MgF
2)、などでそれぞれ形成される層は、各層の界面における赤外線領域の反射光同士が互いに強め合うような厚さで形成される。赤外線を反射することによって、表示パネル3の温度上昇を抑制することができ、従って表示パネル3の特性の低下や品質の劣化を緩和することができる。第1機能層61または第2機能層62として設けられる、赤外線に対する選択反射機能を有する膜は、好ましくは、保持部材4の第2面41bに設けられる。
【0024】
また、第1機能層61または第2機能層62が前述した選択吸収機能として、紫外線吸収機能を有する場合、各機能層は、紫外線吸収剤が添加された樹脂、たとえば、ポリカーボネート樹脂またはアクリル樹脂などによって形成される。紫外線吸収剤としては、ベソゾフェノン誘導体、サリチル酸エステル誘導体、トリアゾール誘導体またはアクリル誘導体などが例示される。紫外線を吸収することによって、表示パネル3が有機EL表示パネルである場合に、有機素子への紫外線によるストレスを軽減することができる。また、前述した選択透過機能を有する第1機能層61または第2機能層62は、上記の選択反射機能を備えた層および選択吸収機能を備えた層を組み合わせることによって形成され得る。
【0025】
支持体5は、表示パネル3を適切に支持し得るものであれば、その形状や材料について特に限定されない。支持体5は、ガラス、金属、および合成樹脂などの任意の材料を用いて形成され得る。また、支持体5は、各種機器の筐体、住居の窓、ショーウィンドウもしくは展示用ケースなどに用いられているガラス板であってもよい。また、支持体5は、自動車のフロントガラスであってもよく、その場合、表面5aは、好ましくは、フロントガラスにおいて車室に向けられている面である。
【0026】
配線9は、表示パネル3に駆動信号を供給するドライバ(図示せず)と表示パネル3とを接続すべく表示装置1に備えられている。配線9は、配線9の一端において表示面3a上に設けられた接続パッド(図示せず)に異方性導電フィルム(ACF)などを用いて接続されている。
図1Aおよび
図1Bに示されるように、配線9と表示パネル3との接続部は、保持部材4と支持体3とで囲まれた空間に収められ、保持部材4の前面部41に覆われている。配線9は、保持部材4の枠部42における不連続部分を通って保持部材4の外側に引き出されている。配線9としてはフレキシブル配線基板(FPC)が例示されるが、任意の配線部材が配線9に用いられてもよい。
【0027】
接着剤8は、保持部材4を安定して支持体5に接合できる接着強度を有するものであれば、特に限定されない。任意のエポキシ系接着剤やアクリル系接着剤が接着剤8に用いられ得る。たとえば、光学透明接着剤(OCA:Optical Clear Adhesive)または光学透明樹脂(OCR:Optical Clear Resin)などと呼ばれる、アクリル系、シリコーン系またはウレタン系などの任意の接着剤が、接着剤8に用いられ得る。
【0028】
図1A、
図1B、
図2Aおよび
図2Bに示されるように、保持部材4は、概して矩形の正面形状を有し、そして、第1面41aおよび第2面41bを有する前面部41と、前面部41の縁部において第1面41aから突出する枠部42とを有している。
図2Aおよび
図2Bの例では、前面部41と枠部42は一体的に形成されている。しかし、前面部41と枠部42は、別個に形成されたうえで接続されてもよい(
図11B参照)。
図2Aなどに示される例では、略矩形の前面部41の両短辺、および長辺の一つである下辺それぞれに沿って枠部42が形成されている。そして枠部42は前面部41の縁部の一部(
図2における前面部41の上辺)において不連続部分を有している。その結果、
図2Bに示されるように、保持部材4において枠部42によって構成された側面(
図2Bでは正面に描かれている)に切り欠き42aが形成されている。切り欠き42aは、表示パネル3が挿通され得る大きさで形成される。そのような大きさの切り欠き42aを設けることによって、保持部材4を支持体5に接着したまま、必要に応じて表示パネル3を支持体5から取り外すことができる。
【0029】
保持部材4における前面部41の第1面41aは、枠部42のすぐ内側において表示パネル3の表示面3aと当接する。また、第1面41aにおいて表示パネル3との当接部分411のさらに内側は当接部分411よりも第2面41bの方に凹んでおり、この凹部412に第1機能層61が設けられている。表示パネル3の表示面3aは、保持部材4の第1面41aに設けられ得る第1機能層61などと接触していることが好ましい。両者の間に隙間があると、外光の反射が生じたり、それによって表示パネル3からの光の透過率が低下したりして視認性が低下するからである。従って、第1機能層61において表示パネル3に向けられる面と、保持部材4の第1面41aにおける当接部411とが略面一となるように、凹部412の深さが選択されることが好ましい。なお、表示パネル3の表示面3aと第1面41aに設けられ得る第1機能層61などとの間に隙間がある場合は、その隙間が、第1機能層61の屈折率と略同じ屈折率を有する充填材で充填されていることが好ましい。
【0030】
図3Aおよび
図3Bには、
図2Aおよび
図2Bに例示される保持部材4の枠部42における内壁の形状の変形例が示されている。
図3Aおよび
図3Bは、
図2Bに一点鎖線で囲まれた部分に相当する部分の拡大図である。
図3Aに示される例では、枠部42の内壁に溝4aが形成されている。溝4aには表示パネル3の縁部が挿入され、表示パネル3は、その縁部において、表示面の反対面3bでも保持部材4と当接する。従って、表示パネル3と、保持部材4の第1面41aに設けられた第1機能層61との接触の成否が、接着剤8(
図1B参照)の厚さのばらつきの影響を受けることを回避することができる。
【0031】
しかし、保持部材4は、
図3Bに示されるように、枠部42の内壁において
図3Aに示されるような溝4aを有していなくてもよく、さらに、第1面41aにおいて
図2Aおよび
図2Bに示されるような表示パネル3との当接部411を有していなくてもよい。換言すると、第1面41aは必ずしも
図2Bに示される凹部412を有していなくてもよい。
図3Bに示される例において、表示パネル3における支持体5(
図1B参照)から離間する動きは、第1機能層61との当接、または、枠部42の内壁との摩擦によって制限され得る。
【0032】
保持部材4の前面部41において、少なくとも表示パネル3に表示される画像を覆う部分は、光を透過させる材料を用いて形成される。たとえば、前面部41は、ガラスまたは可撓性を有する透明シリコーンゴムなどを用いて形成される。透明シリコーンゴムを用いることによって、支持体5の表面5aが自動車のフロントガラスの表面のように曲面であっても、過度な応力を前面部41に生じさせることなく、保持部材4を支持体5に接着することができる。表示パネル3の画像を覆う部分を除いて、保持部材4は任意の材料で形成され得る。たとえば、エポキシ樹脂や汎用プラスチックなどの合成樹脂、天然ゴムなどの天然樹脂およびゴムスポンジなどが、保持部材4の材料として用いられてもよい。しかし、保持部材4は、好ましくは、前述した前面部41だけでなく全体的に、可撓性を有すると共に弾性を有する材料で形成される。また保持部材4は、前述した前面部41だけでなく全体的に、光を透過させる材料、たとえば、前述した透明シリコーンゴム、アクリル樹脂、透明PC(ポリカーボネート)樹脂、透明PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、または、透明MS(ポリメタクリルスチレン)樹脂などを用いて形成されてもよい。そうすることで、表示装置1を見る人の目に付き難くすることができる。
【0033】
図4には、本実施形態の表示装置1の他の例が示されている。
図4に示されるように、保持部材4に備えられる第1機能層61として設けられ得る偏光板とは別に、支持体5の表面5aに偏光板51が設けられてもよい。支持体5の表面5aに偏光板51として、たとえば直線偏光板を設けることによって、表示パネル3が液晶表示パネルである場合に、従来の液晶表示パネルにおいてTFT基板に備えられ得る直線偏光板を省略することができる。
図4の例において、第1機能層61として直線偏光板が設けられている場合、第1機能層61として設けられる直線偏光板の偏光軸と、偏光板51として設けられる直線偏光板の偏光軸とは、直交していてもよく、平行であってもよい。さらには、これら両直線偏光板それぞれの偏光軸は、互いに対して45度傾いていてもよい。支持体5に偏光板51が設けられていると、表示パネル3に欠陥が生じたときに、保持部材4および支持体5と共に、偏光板51を他の表示パネルに対して再利用することができる。なお、偏光板51に加えて、または、偏光板51に代えて、第1機能層61について前述した赤外線反射機能または紫外線吸収機能を有する機能層(図示せず)が設けられてもよい。たとえば支持体5が自動車のフロントガラスである場合、太陽光に含まれる赤外線を反射し、または紫外線を吸収することによって表示パネル3に対するストレスを軽減することができる。
【0034】
図5Aおよび
図5Bには、本実施形態の表示装置1のさらに他の例が示されている。
図5Aおよび
図5Bの例では、略矩形の正面形状を有する表示パネル3は、その矩形の形状の二つの長辺および二つの短辺のいずれにおいても、側面、表示面3aおよび表示面の反対面3bで保持部材4と当接している。すなわち、保持部材4の枠部42は、前面部41の縁部において途切れることなく連続しており、表示パネル3をその全周において囲んでいる。また、枠部42は、
図3Aの例と同様に、内壁において溝4aを有しており、溝4aに表示パネル3の縁部が挿入されている。従って、表示パネル3は、支持体5の表面5aに沿った任意の方向および表面5aから離間する方向への動きを保持部材4によって制限され得る。また、
図3Aを参照して前述したように、表示パネル3と第1機能層61との接触の成否が、接着剤8の厚さのばらつきの影響を受けない。なお、
図5Aおよび
図5Bに例示される表示装置では、溶剤などを用いて接着剤8を軟化させ、保持部材4と支持体5とを分離することによって、必要に応じて表示パネル3を支持体5から取り外すことができる。
【0035】
図5Bに示されるように、溝4aを有する保持部材4を用いることによって生じ得る表示パネル3と支持体5との間には、粘着剤から構成される弱粘着層7が設けられている。弱粘着層7によって、表示パネル3と支持体5とが確実に密着される。従って、表示装置1の使用中における表示パネル3の浮きや、表示パネル3と支持体5との界面への気泡の巻き込みなどが防止される。なお「弱粘着」は、被着体にぴったり付着するものの、剥離方向に力を加えられるだけで、被着体を破損させることなく、また、糊などを付着面に残さずに容易に剥離され得る程度の付着を意味している。弱粘着層7は、たとえば、アクリル系、シリコーン系またはウレタン系の樹脂を単独で、または複数組み合わせて主成分として含む粘着剤から構成される。
【0036】
また、
図5Aおよび
図5Bの例では、保持部材4が表示パネル3の縁部と表示パネル3の全周において係合しているため、表示面3aに接続された配線9は、保持部材4の前面部41に形成された開口4bを通って保持部材4の外部に引き出されている。開口4bは、配線9と表示パネル3との接合部に対応する位置に設けられ、長円形の正面形状を有している。
【0037】
図6Aには、
図5Aおよび
図5Bに示される保持部材4の背面図(
図5Aに示される面を保持部材4の正面としたときの背面図)が示され、
図6Bには、
図6AにおけるVIB−VIB線での断面図が示されている。開口4bは、略矩形の正面形状を有する保持部材4の一方の長辺の近傍に、その長辺に沿った方向と開口4bの長手方向とを一致させて形成されている。開口4bは、好ましくは、前面部41において表示パネル3(
図5B参照)に表示される画像を覆う部分には形成されない。従って、表示パネル3に表示される画像を覆う部分には、第1機能層61および第2機能層62が備えられ得る。また、枠部42の内壁には、枠部42の全周にわたって溝4aが形成されている。
図5Aおよび
図5Bに示される表示装置1は、保持部材4において枠部42が全周にわたって形成され、前面部41に開口4bが形成されており、弱粘着層7が支持体5と表示パネル3との間に設けられている点を除いて、
図1Aおよび
図1Bに示される表示装置1と同様である。
図1Aおよび
図1Bの例と同様の構成についての重複となる説明は省略される。
【0038】
[実施形態2]
図7には、実施形態2の表示装置1aの断面図が示されている。
図7は、実施形態2の表示装置1aについて、前述した実施形態1の表示装置1について
図1Bが示している断面に相当する断面を示している。また、
図8Aには、
図7に示される保持部材40の背面図(
図7において支持体5を向く面を背面とする背面図)が示され、
図8Bには、保持部材40の平面図(
図8Aにおいて上方から保持部材40を見た図)が示されている。
図7、
図8Aおよび
図8Bに示されるように、保持部材40は、前述した実施形態1に用いられている保持部材4と同様に、前面部41と枠部42とを有し、さらに、板状の背面部43を有している。背面部43は、前面部41の第1面41aと離間かつ対向するように、枠部42を介して前面部41に連結されている。保持部材40は、支持体5の表面5aに背面部43を接着されている。
図7の例では、保持部材40において支持体5を向く面の全面が、接着剤8を用いて支持体5の表面5aに接着されている。表示パネル3は保持部材40の前面部41と背面部43との間に配置されている。なお、実施形態2の表示装置1aは、保持部材40が背面部43を有している点を除いて
図1Aおよび
図1Bに例示される実施形態1の表示装置1と同様である。従って、実施形態1の表示装置1と同様の構成要素については、
図7、
図8Aおよび
図8Bにおいて、
図1Aなどに付された符号と同じ符号が付され、重複となる説明は省略される。
【0039】
図7の例では、背面部43は、前面部41の第1面41aと対向する第3面43cに、光の伝搬に関して所定の機能を有する第3機能層63を備えている。背面部43は、
図7の例と異なり、第3面43cと反対の面(第4面)43dに第3機能層63を備えていてもよい。第3機能層63が有する所定の機能は、前述した第1機能層61および第2機能層62について例示した各機能と同様の機能が例示される。たとえば、背面部43は、第3面43cに第3機能層63として偏光板を備えていてもよい。第3機能層63が、たとえば直線偏光板である場合、支持体5の表面5aに表示パネル3として載置される液晶表示パネルにおいて、従来、TFT基板に備えられている直線偏光板を省略することができる。
図7の例において、第1機能層61として直線偏光板が設けられている場合、第1機能層61として設けられる直線偏光板の偏光軸と、第3機能層63として設けられる直線偏光板の偏光軸とは、直交していてもよく、平行であってもよい。さらには、これら両直線偏光板それぞれの偏光軸は、互いに対して45度傾いていてもよい。第3機能層63は、前述した選択反射機能、または選択吸収機能などを有していてもよく、同様の機能を有する第1機能層61などと同様の構造を有し得る。保持部材40に第3機能層63として偏光板、または選択反射機能もしくは選択吸収機能などを有する層が設けられていると、表示パネル3に欠陥が生じたときに、保持部材40および支持体5と共に、第3機能層63として設けられた偏光板などを他の表示パネルに対して再利用することができる。
【0040】
図8Aおよび
図8Bに示されるように、背面部43は、前面部41の第1面41aに対向して配置されており、枠部42を介して前面部41に連結されている。枠部42は、
図2Aおよび
図2Bに例示される保持部材4の枠部42と同様に、前面部41および背面部43の縁部の一部(
図8Aにおける背面43の上辺)において不連続部分を有している。その結果、
図8Bに示されるように、枠部42によって構成された、保持部材40の側面(
図8Bでは正面に描かれている)に開口42bが形成されている。好ましくは、表示パネル3が挿通され得る開口42bが形成される。そのような大きさの開口42bを設けることによって、保持部材40を支持体5に接着したまま、必要に応じて表示パネル3を支持体5から取り外すことができる。
【0041】
図8Aおよび
図8Bの例では、背面部43の第3面43cは、枠部42のすぐ内側において表示パネル3(
図7参照)と当接する当接部分431と、当接部431のさらに内側に、当接部分431よりも第4面43dの方に凹んだ凹部432を有している。そして凹部432に第3機能層63が設けられている。好ましくは、第3機能層63における表示パネル3に向けられる面と、第3面43cにおける当接部431とが略面一となるように、凹部432の深さが調整される。しかし、凹部432は設けられていなくてもよい。保持部材40の側面の内側には溝4cが形成されている。溝4cに表示パネル3の縁部が挿入される。なお、
図8Aおよび
図8Bの例では、前面部41に第1機能層61および第2機能層62が備えられているが、少なくとも第1機能層61が、第1面41aまたは第2面41bに備えられていればよい。背面部43は、好ましくは、枠部42および前面部41のいずれかまたは両方と同じ材料を用いて形成される。背面部43は、光を透過させる材料を用いて形成されてもよい。また、背面部43は、前面部41および枠部42と一体的に形成されていてもよく、それらと別個に形成された後に互いに連結されていてもよい。
【0042】
保持部材40の背面部43には、第3機能層63に加えて、
図8Bに二点鎖線で示されるように、光の伝搬に関して所定の機能を有する第4機能層64を備えていてもよい。第4機能層64は、背面部43において第3機能層63が備えられる面(第3面43cまたは第4面43d)と反対の面に備えられる。
図7および
図8Bの例のように第3面43cに第3機能層63として偏光板が備えられる場合、たとえば、赤外線反射機能または紫外線吸収機能などを有する第4機能層64が第4面43dに備えられてもよい。前述したように、保持部材40は背面部43を支持体5に接着されるため、第4面43dが支持体5に向けられる。支持体5が、たとえば自動車のフロントガラスである場合、太陽光に含まれる赤外線または紫外線による表示パネル3へのストレスを軽減することができる。
【0043】
[表示パネル]
図9には、前述した各実施形態において表示パネル3として用いられる有機EL表示パネルの断面構造の一例が示されている。
図9に示されるように、表示パネル3は、基板3cと、基板3cの上に形成された複数の表示素子30とを備えている。基板3cは、たとえば、ポリイミド樹脂を用いて形成された樹脂フィルム、またはガラス板などである。表示パネル3が可撓性を有する透明有機EL表示パネルである場合、基板3cの材料には、たとえば透明なポリイミド樹脂が用いられる。各表示素子30は、TFT31と、TFT31に接続された第1電極33と、第1電極33上に蒸着された有機材料によって形成されていて光を発する有機層34と、有機層34の上に形成された第2電極35と、を有している。各表示素子30は、SiO
2などを用いて形成されたバンク36によって分離されている。第1電極33およびバンク36は、TFT31を覆う平坦化膜32の上に形成されている。
【0044】
TFT31は、たとえば、多結晶シリコンなどを用いて形成され、そのチャネル層にはインジウム・ガリウム・亜鉛の酸化物のような透明アモルファス酸化物半導体が用いられてもよい。また、TFT31は有機半導体材料を用いて形成されてもよい。第1電極33は、たとえば、ITO膜などの透光性を備えた導電性材料により形成されている。有機層34は、
図4では1層で示されているが、実際には、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などを含む多層構造の積層膜として形成され得る。正孔輸送層はたとえばアミン系材料により形成され、発光層は、たとえば、ホスト材料であるAlq
3やBAlqなどに、発光色に応じたドーパントをドープすることによって調製された材料を用いて形成され、電子輸送層は、たとえばAlq
3などによって形成される。有機層34は、さらに、図示されない正孔注入層および電子注入層を含んでいてもよい。第2電極35は、たとえばMg−Ag合金層やアルミニウムなどの仕事関数の小さな金属によって形成される。なお、
図9に示される断面構造は一例に過ぎず、表示パネル3を構成する有機EL表示パネルの構造および各構成要素の材料は、ここで説明された構造や材料に限定されない。
【0045】
図9に示される例において表示パネル3は、さらに、表示素子30と基板3cとの間、および、表示素子30の上に、非透湿性の材料を用いて形成されたバリア膜を備えている。表示素子30と基板3cとの間には第1バリア膜37が形成され、表示素子30の上には第2バリア膜38が形成されている。第1バリア膜37は、具体的には、TFT31と基板3cとの間に形成されている。第1バリア膜37および第2バリア膜38の水蒸気透過度は、たとえば、1×10
-4g/m
2/日以下である。このように第1バリア膜37および第2バリア膜38が備えられることによって、水分との接触に伴って劣化し易い有機層34が保護される。また、表示パネル3を通って表示パネル3と支持体5(
図1B参照)との界面まで達するような水分の浸透が厳重に防がれる。たとえば表示パネル3が透明有機EL表示パネルである場合、水分の浸透などによって表示パネル3と支持体5との界面において表示パネル3の部分的な浮きなどが生じると、表示パネル3を見る人の目に映る画像に色ムラなどが生じることがある。しかし、
図9に示されるように、第1バリア膜37および第2バリア膜38を設けることによって、そのような画像への悪影響を防止することができる。なお、表示パネル3は、
図9の例と異なり、表示素子30と基板3cとの間、または、表示素子30の上だけに各バリア膜37、38を備えていてもよい。
【0046】
図9の例では、第1バリア膜37は、窒化ケイ素膜37aと、酸化ケイ素膜37bとを含む多層膜である。酸化ケイ素膜37bは、二つの窒化ケイ素膜37aに挟まれている。第1バリア膜37をこのような多層膜とすることによって、バリア性能が高く、かつ、クラックなどの生じ難いバリア膜を得ることができる。しかし、第1バリア膜37は、単層膜であってもよく、3層以外の複数の層を含む多層膜であってもよく、窒化ケイ素および酸化ケイ素以外の材料を用いて形成されていてもよい。
【0047】
また、
図9の例では、第2バリア膜38は、二つの窒化ケイ素膜38a、二つの酸化ケイ素膜38b、および有機膜38cを含む5層構造を有している。有機膜38cは、たとえば、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂などを用いて形成される。表示素子30の表面の凹凸およびその表面に付着した図示されない異物などが、柔軟性を有し得る有機膜38cの内部に埋没するため、有機膜38cの上に、窒化ケイ素膜38aなどを安定して形成することができる。また、酸化ケイ素膜38bを介在させることによって、窒化ケイ素膜38aと有機膜38cとの密着性を向上させることができる。しかし、酸化ケイ素膜38bおよび有機膜38cは形成されていなくてもよく、窒化ケイ素膜38aに代えて、成膜速度の速い酸窒化ケイ素膜が設けられていてもよく、第2バリア膜38は、単層膜であっても、5層以外の複数の層を含む多層膜であってもよい。
【0048】
前述した各実施形態では、従来の有機EL表示パネルにおいて複数の表示素子の上に設けられ得る円偏光板または反射防止層などが、保持部材4の前面部41に備えられる第1機能層61または第2機能層62(
図2B参照)によって代替され得る。また、TFTが形成される基板の上面(表示素子が設けられる面)および/または下面(表示素子と反対を向く面)に設けられ得る赤外線反射層または紫外線吸収層などが、保持部材40の背面部43に備えられる第3機能層63または第4機能層64(
図8B参照)によって代替され得る。
【0049】
なお、図示されていないが、表示パネル3が液晶表示パネルである場合は、表示パネル3は、ガラス板などを用いて形成された第1基板(前述したTFT基板)と、第1基板と離間して配置された可撓性を有する第2基板(前述した対向基板)と、第1および第2の基板の間の液晶層とを含んでいる。また、表示パネル3は、第1基板上に形成されたTFTと、このTFTに接続される画素電極と、画素電極上に形成された第1配向膜と、を備えている。さらに表示パネル3は、第2基板における第1基板を向く面の上に順に設けられた、カラーフィルタ、共通電極、および第2配向膜を備えている。第1および第2の基板の液晶層を向く面と反対面それぞれには偏光板が備えられる。これらの偏光板が、前述したように、保持部材4(
図2B参照)または保持部材40(
図8B参照)における第1機能層61または第3機能層63として設けられ得る偏光板によって代替され得る。なお、前述した各実施形態の表示装置1、1aにおける表示パネル3を構成し得る液晶表示パネルの構造は、ここで説明された構造に限定されない。
【0050】
[製造方法]
つぎに、実施形態3の表示装置の製造方法について、図面を参照して説明する。
図10には、前述した説明で参照した
図1に示される表示装置1を例に、本実施形態の製造方法の概要が示されている。
図10に示されるように本実施形態の表示装置の製造方法は、基板3cの上に複数の表示素子30(
図9参照)を形成することによって表示パネル3を形成し、表示パネル3が載置されるべき表面5aを有する支持体5を用意し、板状の前面部41と、前面部41の縁部に沿って設けられた棒状部材によって構成される枠部42と、を有する保持部材4を用意することを含んでいる。さらに、本実施形態の表示装置の製造方法は、前面部41の第1面41aを支持体5に向けて保持部材4を支持体5の表面5aに接着し、前面部41によって表示パネル3の表示面3aが覆われるように、保持部材4の枠部42の内壁と表示パネル3の縁部とを係合させ、表示面3aの反対面3bを支持体5に向けて表示パネル3を支持体5の表面5aに載置する、ことを含んでいる。そして、本実施形態の表示装置の製造方法は、保持部材4の用意において、光を透過させる材料を用いて前面部41を形成し、前面部41における第1面41aまたは第1面41aと反対の第2面41bに、光の伝搬に関して所定の機能を有する第1機能層61を設ける(
図11Aおよび
図11B参照)ことを含んでいる。以下、さらに詳細に説明する。
【0051】
まず、表示パネル3の形成について、
図9を再度参照して説明する。表示パネル3として、有機EL表示パネルまたは液晶表示パネルなどが形成される。表示パネル3として有機EL表示パネルが形成される場合、たとえば、ポリイミドフィルムまたはガラス板などで構成された基板3cの上に、TFT31および有機層34などを含む有機EL表示素子(表示素子30)が形成される。この際、好ましくは、基板3cと表示素子30との間に、非透湿性の材料を用いて第1バリア膜37が形成される。非透湿性の材料は、窒化ケイ素および酸化ケイ素などである。
図9の例では、基板3cの上に3層の膜(酸化ケイ素膜37bおよび酸化ケイ素膜37bの上下両側における各窒化ケイ素膜37a)を形成することによって第1バリア膜37が形成されている。窒化ケイ素膜37aおよび酸化ケイ素膜37bは、たとえば、プラズマ励起化学気相成長(PECVD)法やスパッタリング法などによって形成される。
【0052】
有機EL表示素子を構成するTFT31や、第1および第2の電極33、35ならびに有機層34は、周知の方法を含む任意の方法で形成され得るため、その詳細な説明は省略する。また、表示パネル3として液晶表示パネルが形成される場合も、液晶表示素子を構成する各電極や配向膜、偏光板ならびに液晶層は周知の方法を含む任意の方法で形成され得る。従って、その詳細な説明は省略する。
【0053】
表示素子30の形成後、好ましくは、表示素子30の上に、非透湿性の材料を用いて第2バリア膜38が形成される。
図9の例では、表示素子30の上に、順に、窒化ケイ素膜38a、酸化ケイ素膜38b、さらに有機膜38cが形成され、再度、酸化ケイ素膜38bおよび窒化ケイ素膜38aが形成されている。窒化ケイ素膜38aおよび酸化ケイ素膜38bは、たとえば、PECVD法やスパッタリング法などによって形成される。有機膜38cは、たとえば、インクジェットプリンタを用いてエポキシ樹脂やアクリル樹脂を印刷することによって形成される。なお、第2バリア膜38が形成される場合に、たとえば、窒化ケイ素膜38aおよび有機膜38cだけが形成されてもよい。このように、本実施形態の表示装置の製造方法では、表示パネル3の形成において、基板3cと表示素子30との間、および、表示素子30の上のいずれかまたは両方に、非透湿性の材料を用いてバリア膜(第1バリア膜37および第2バリア膜38)が形成されてもよい。
【0054】
再度
図10が参照される。保持部材4は、合成樹脂または天然樹脂などの材料を適切に加工することによって用意される。保持部材4は、板状の前面部41と、前面部41の縁部に沿って前面部41の第1面41aから突出させて設けられた棒状部材によって構成される枠部42とを有するように、適切に製作された金型を用いた成型加工もしくはプレス加工、または切削加工などによって形成される。なお、保持部材4の前面部41における第1面41aは、板状の前面部41における側面以外の表面であって表示装置1において表示パネル3および支持体5に向けられる面である。
図10の例では、枠部42に不連続部分を設けることによって、保持部材4の側面に切り欠き42aが設けられている。たとえば、保持部材4の形成に用いられる金型を適切に製作することによって、保持部材4に切り欠き42aを設けることができる。後述するように、切り欠き42aを通して枠部42の外側から枠部42の内側の所定の載置位置へと表示パネル3が動かされる。
【0055】
保持部材4の用意において、前面部41のうち少なくとも表示パネル3に表示される画像を覆う部分は、光を透過させる材料を用いて形成される。たとえば、保持部材4の全体が、透明シリコーンゴム、アクリル樹脂、透明PC樹脂、透明PET樹脂、または、透明MS樹脂などを用いて一体的に金型成型などによって形成されてもよい。
【0056】
図11Aおよび
図11Bを参照して、保持部材4の用意についてさらに説明する。保持部材4の用意において、前述したように第1機能層61が設けられる。また、保持部材4の用意において、第1機能層61に加えて、光の伝搬に関して第1機能層61が有する機能と異なる所定の機能を有する第2機能層62が、前面部41に設けられてもよい。第1機能層61および第2機能層62が有する所定の機能は、前述したように、偏光板としての機能、選択反射機能、または選択吸収機能などである。第2機能層62は、前面部41において第1機能層61が設けられる面と反対の面に設けられる。すなわち、
図11Aに示されるように、第1機能層61が第1面41aに設けられる場合、第2機能層62は第2面41bに形成される。
【0057】
偏光板としての機能を有する第1機能層61または第2機能層62が備えられる場合、
図11Aに示される第1機能層61のように、たとえば、市販の偏光板が保持部材4の前面部41に接着されてもよい。このような偏光板は、たとえば、前述したOCAまたはOCRなどの光学透明接着剤を用いて保持部材4に接着される。
【0058】
前述した反射防止機能、または選択反射、選択吸収もしくは選択透過の各機能を有する第1機能層61または第2機能層62が備えられる場合も、これらの機能を備えた光学的機能膜などが用意されて保持部材4に接着されてもよい。しかし、保持部材4と別個に形成された光学的機能膜は、通常、母材を有しているために光の透過率を低下させると共に屈折率の異なる材料の界面を増加させる。またそのように別個に形成された膜と保持部材4との間に隙間が生じると、さらに界面が増加する。従って、反射防止機能などを有する第1機能層61または第2機能層62は、保持部材4の前面部41に直接形成されることが好ましい。たとえば、
図11Aにおいて示される第2機能層62のように、スパッタリング粒子Sを保持部材4の前面部41に付着させるスパッタリング法、または、真空蒸着法もしくはCVD(Chemical Vapor Deposition)法などが用いられる。好ましくは、これらの方法のいずれかを用いて、前述したフッ化マグネシウムなどを含む多層膜などを成膜することによって、光学的機能を有する第1機能層61または第2機能層62が形成される。また、光学的機能を有する第1機能層61または第2機能層62は、ゾル−ゲル法を用いて、材料粒子を含む溶液を塗布、乾燥および加熱することによって形成されてもよい。
【0059】
また、帯電防止機能を有する第1機能層61または第2機能層62は、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)などの透明な導電性材料のスパッタリング、または、それらの溶液の塗布および加熱硬化によって形成され得る。また、汚泥防止機能を有する第1機能層61または第2機能層62は、たとえば、フッ素樹脂をコーティングすることによって形成され得る。また、傷などに対する表面保護機能を有する第1機能層61または第2機能層62は、SiO
2を含む膜などによって形成され得る。SiO
2を含む膜は、CVD法または塗布などによって、たとえば、10μm〜30μm程度の厚さに形成される。SiO
2を含む膜は、このように形成されることによって5H程度の鉛筆硬度を有し、さらに焼成されることによって6H〜8H程度の鉛筆硬度を有し得る。また、スパッタリング法または真空蒸着法によって、5μm以下の厚さで8Hを超える鉛筆硬度を有する、SiO
2を含む膜が、第1機能層61または第2機能層62として形成されてもよい。
【0060】
保持部材4の前面部41および枠部42は、
図11Bに示されるように、別個に金型成型などによって形成され、その後、両者が接着されてもよい。この場合、前面部41と枠部42とは、異なる材料を用いて形成されてもよい。光を透過する材料を用いて形成される前面部41には、たとえばガラス板が用いられてもよい。
図11Bの例では、枠部42と接着される前の前面部41に、既に第1機能層61および第2機能層62が備えられている。前面部41単体の状態で偏光板の接着および/または前述した光学機能膜の成膜などが行えるので、容易に第1機能層61などの形成を行うことができる。前面部41と枠部42との接着は、枠部42だけを支持体5に接着した後、表示パネル3(
図10参照)を支持体5の表面5aに載置する前もしくはその後に実行されてもよい。そうすることで、表示パネル3の載置が容易になることがある。
【0061】
再度
図10を参照して、本実施形態の表示装置の製造方法が引き続き説明される。表示パネル3が載置されるべき表面5aを有する支持体5が用意される。ガラス、金属、および合成樹脂などの任意の素材が、支持体5に用いられ得る。支持体5は、これらの材料を任意の方法で加工することによって用意されてもよく、既存の物品が支持体5として用意されてもよい。前述したように、たとえば、各種機器の筐体、住居の窓もしくは展示用ケースなどに用いられるガラス板、または、自動車のフロントガラスなどが支持体5として用意されてもよい。
【0062】
図10には示されていないが、支持体5の表面5aに偏光板51(
図4参照)が設けられてもよい。また、偏光板51に加えて、または、偏光板51に代えて、赤外線反射機能または紫外線吸収機能を有する機能層(図示せず)が設けられてもよい。支持体5の表面5aに設けられ得るこれらの光学的機能膜または偏光板は、第1機能層61および第2機能層62の形成方法として前述した方法と同様の方法で設けられ得る。
【0063】
用意された支持体5の表面5aに、接着剤8を用いて保持部材4が接着される。保持部材4は、枠部42が表示パネル3の適正な載置位置を囲むような位置において支持体5に接着される。必要な場合は、接着剤8の硬化のために加熱処理が行われる。また、FPCなどで構成される配線9が用意され、たとえば、異方性導電フィルムを配線9と表示パネル3との間に挟んだ状態で加圧および加熱することによって配線9と表示パネル3とが接続される。接着剤8は、保持部材4の接合面および表面5aのいずれかまたは両方に塗布されてもよく、
図10に示されるように、枠状のシートの形態に成型されたうえで、保持部材4と支持体5との間に置かれてもよい。接着剤8は、アクリル系やシリコーン系またはウレタン系などの任意の接着剤が用いられる。
【0064】
保持部材4が支持体5に接着された後、保持部材4の枠部42の内壁と表示パネル3の縁部とが係合される。
図10に示されるように、保持部材4に形成された切り欠き42aを通して枠部42の外側から枠部42の内側の所定の載置位置へと表示パネル3が動かされる。枠部42の内側において、枠部42の内壁と表示パネル3の縁部とが係合し、また、前面部41によって表示パネル3の表示面3aが覆われる。表示パネル3は、表示面3aの反対面3bを支持体5に向けて枠部42の内部へと動かされる。そして、表示パネル3は、たとえば、表示パネル3における移動方向の先端部が、枠部42において切り欠き42aと対向する内壁に当接する位置である適正な載置位置に載置される。保持部材4を支持体5の適正な位置に接着しておくことで、表示パネル3を切り欠き42aから枠部42の内側へと移動させ、表示パネル3の先端が枠部42の内壁に当接するまで移動させるだけで、表示パネル3を適正な載置位置に位置付けることができる。なお、保持部材4が支持体5の表面5a上の適正な位置に接着されなかった場合でも、表示パネル3と比べてシンプルな構造を有し得る保持部材4は、破損などをすることなく支持体から取り外されて再度接着され易いと考えられる。また、万一保持部材4が破損しても、保持部材4は表示パネル3と比べて安価で用意され得るため、損失コストを少なくすることができる。
【0065】
なお、保持部材4が支持体5に接着される前に、表示パネル3と保持部材4とが組み合わされることによって、表示パネル3の縁部と保持部材4の内壁とが係合されてもよい。そして、その後、保持部材4が支持体5に接着されると共に、表示パネル3が表面5aに載置されてもよい。この場合も、保持部材4の再配置の可能性が比較的高く、また万一のときの損失コストを抑制し易い点は、前述した説明と同じである。
【0066】
図10は
図1に示される表示装置1を例に本実施形態の製造方法の概要を示しているが、先に参照した
図7に例示される表示装置1aも、
図10に示される方法と同様の方法で製造され得る。
図7に例示される表示装置1aが製造される場合は、先に参照した
図8Aおよび
図8Bに示される保持部材40が用意される。保持部材40は、前面部41の第1面41aと離間かつ対向するように、枠部42を介して前面部41に連結された板状の背面部43をさらに有している。保持部材40は、このような背面部43を有し得るように、前述した保持部材4の形成方法と同様の方法で形成され得る。保持部材40は、背面部43を支持体5に向けて、好ましくは背面部43の全面において接着剤8などを用いて支持体5の表面5aに接着される。また、たとえば保持部材40の形成に用いられる金型を適切に製作することによって枠部42に不連続部分が設けられ、その結果、保持部材4の側面に開口42bが設けられる。前述した支持体5の表面5aへの表示パネル3の載置において、開口42bを通して枠部42の外側から枠部42の内側の所定の載置位置へと表示パネル3が動かされる。
【0067】
保持部材40が用意される場合、本実施形態の表示装置の製造方法は、保持部材40の背面部43における前面部41の第1面41aと対向する第3面43c、または、第3面43cと反対の面(第4面43d)に、光の伝搬に関して所定の機能を有する第3機能層63を設けることをさらに含んでいてもよい。第3機能層63として、第1機能層61または第2機能層62と同様に、偏光板が設けられてもよく、選択反射機能または選択吸収機能などの任意の機能を有する光学的機能膜が設けられてもよい。第3機能層63は、前述した第1機能層61および第2機能層62を設ける方法と同様の方法で形成され得る。
【0068】
保持部材40の用意において、前面部41と背面部43とは、
図11Cに示されるように別個に形成され、その後両者が接続されてもよい。その場合、好ましくは、前面部41と背面部43とが接続される前に、必要に応じて、第1機能層61が、前面部41の第1面41aに設けられ、第3機能層63が背面部43の第3面43cに設けられる。すなわち、前面部41の第1面41aに第1機能層61を設けること、および、背面部43の第3面43cに第3機能層63を設けること、のいずれかまたは両方を行った後、前面部41と背面部43とが枠部42を介して接続されてもよい。前面部41と背面部43とを別個に形成することによって、両者を接続する前に、第1機能層61および第3機能層63のいずれかまたは両方を容易に設けることができる。
【0069】
先に参照した
図10に示されるように表示パネル3を所定の載置位置へと動かす際には、
図12Aに示されるように、潤滑剤Fを用いることによって表示パネル3の滑動性を向上させてもよい。
図12Aの例では、支持体5の表面5aが、塗布、滴下または噴霧などによって供給された潤滑剤Fに覆われている。潤滑剤Fを用いることによって、表示パネル3を滑らかに載置位置に向って動かすことができる。潤滑剤Fとしては、エタノールなどの水溶性溶剤またはシリコーンオイルなどが例示されるが、潤滑剤Fはこれらに限定されない。前述した第1および第2のバリア膜37、38(
図9参照)のいずれかまたは両方が形成されていると、表示パネル3への潤滑剤Fの浸透が阻止されるため、広範な種類の潤滑剤Fを用いることができる。
【0070】
潤滑剤Fが用いられる場合、表示パネル3を所定の載置位置まで動かした後に、
図12Bに示されるように、表示パネル3を支持体5に向けて押すことによって潤滑剤Fを表示パネル3と支持体5との間から押し出してもよい。
図12Bの例では、保持部材4の前面部41における第2面41bから、前面部41と共に表示パネル3が押圧部材101によって支持体5に向って押し込まれている。保持部材4が前述したように、透明シリコーンゴムなどのように、弾性を有する材料を用いて形成されていると、このような押圧作業において、保持部材4に過度なストレスを与えることなく、表示パネル3に適度な荷重を加えることができる。
【0071】
押圧部材101は、好ましくは、表示パネル3における、保持部材4の切り欠き42aまたは開口42b(
図8B参照)からの遠位端から近位端へと動かされる。すなわち、表示パネル3における、保持部材4の切り欠き42aまたは開口42b(
図8B参照)からの遠位端から近位端へと押圧位置を変えながら表示パネル3が支持体5に向けて押し込まれる。このように表示パネル3を押し込むことによって、潤滑剤Fを表示パネル3と支持体5との間から効率よく押し出すことができる。また、気泡を新たに巻き込むことなく、表示パネル3と支持体5とを密着させることができる。押圧部材101は、表示パネル3に荷重を加え得るものであれば特に限定されない。保持部材4などに与えるストレスの軽減の観点から、ローラーなどの転動可能な部材が押圧部材101として好ましい。
【0072】
なお、必要に応じて、表示パネル3を支持体5から取り外す際には、たとえば、保持部材4の切り欠き42aまたは保持部材40の開口42b(
図8B参照)から気体を注入してもよく、そうすることで、表示パネル3と支持体5の表面5aとを容易に分離することができる。また、
図12Bに示されるように、そのような気体注入用の通気孔42cを保持部材4の枠部42に設けてもよい。このような通気孔42cは、表示パネル3を枠部42の内側に動かす際においても、保持部材4の内部の気体の排出孔となり得る点で有益である。
【0073】
図13には、先に参照した
図5Aおよび
図5Bに示される表示装置1を例に、本実施形態の表示装置の製造方法における他の例が示されている。
図5Aおよび
図5Bに示される表示装置1に用いられている保持部材4は、枠部42に不連続部分を有さず、従って、保持部材4の側面には、切り欠きおよび開口のいずれも形成されていない。そのため、
図13に示される方法では、主に、表示パネル3における保持部材4との係合および支持体5の表面5aへの載置の仕方が、
図10に示される例と異なる。
【0074】
すなわち、表示パネル3、保持部材4および支持体5が、
図10を参照して説明した方法と同様の方法で用意され、その後、表示パネル3は、表示面3aと、保持部材4の前面部41における第1面41a(
図5B参照)とが対向する状態から、保持部材4と組み合わされる。表示パネル3の縁部が枠部42の内壁の溝4a(
図5B参照)に挿入され、表示パネル3の縁部と枠部42の内壁とが係合する。また、表示パネル3の表示面3aが保持部材4の前面部41によって覆われる。保持部材4が前述したシリコーンゴムなどのように弾性や可撓性を有する材料で形成されていると、
図14に示されるように、保持部材4を変形させることによって溝4aに表示パネル3の縁部を容易に挿入することができる。また、
図13に示されるように、配線9は、保持部材4の前面部41における開口4bを通って保持部材4の外部に引き出される。
【0075】
保持部材4は、表示パネル3と組み合わされた状態で、前面部41の第1面41aを支持体5に向けて、接着剤8などによって支持体5の表面5aに接着される。また、その接着と共に、表示パネル3が、表示面3aの反対面を支持体5に向けて支持体5の表面5aに載置される。
図13に示される例では、表示パネル3が、弱粘着層7を介して支持体5の表面5aの上に載置されている。弱粘着層7は、たとえば、粘着剤を用いて形成された弱粘着シートを、支持体5の表面5a上、または、表示パネル3における表示面3aの反対面上に配置することによって形成され得る。
図13に示される例においても、表示パネル3が支持体5の表面5aに載置される前に、支持体5の表面5aに偏光板51または選択反射機能などを有する光学的機能膜が前述した方法で形成されてもよい。
【0076】
[まとめ]
(1)本発明の一実施形態の表示装置は、光の放射または透過を制御することによって画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルが載置された表面を有する支持体と、前記支持体の前記表面に接着され、前記表示パネルの縁部と係合することによって前記表示パネルを前記表面における所定の位置に保持する保持部材と、を備え、前記表示パネルは、その表示面の反対面を前記支持体に向けられており、前記保持部材は、光を透過させる材料を用いて形成されていて前記表示面を覆う板状の前面部と、前記前面部において前記表示面に向けられる第1面から突出させて、かつ、前記前面部の縁部に沿わせて設けられた棒状部材によって構成される枠部と、を有し、前記前面部は、前記第1面または前記第1面と反対の第2面に、光の伝搬に関して所定の機能を有する第1機能層を備えている。
【0077】
(1)の構成によれば、表示装置の構成要素の一部に欠陥が生じた場合でも、その他の構成要素を当該表示装置または別の表示装置において容易に再利用することができる。
【0078】
(2)上記(1)の表示装置において、前記第1機能層は、光の反射を抑制すべく構成された反射防止層、または、偏光板によって構成されていてもよい。そうすることによって、表示パネルに欠陥が生じた場合でも、これら偏光板または反射防止層を再利用することができる。
【0079】
(3)上記(1)または(2)の表示装置において、前記保持部材は、前記前面部の前記第1面に前記第1機能層を備えると共に、光の伝搬に関して前記第1機能層が有する機能と異なる所定の機能を有する第2機能層を前記第2面に備えていてもよい。そうすることによって、表示パネルに欠陥が生じた場合でも、光の伝搬に関して互いに異なる機能を有する二つの機能層を再利用することができる。
【0080】
(4)上記(3)の表示装置において、前記第1機能層は偏光板によって構成され、前記第2機能層は、光の反射を抑制すべく構成された反射防止層によって構成されていてもよい。そうすることによって、偏光板と表示パネルとを接触させることが可能となり、適切な偏光作用が得られると共に、効果的に外光の反射を防止することができる。
【0081】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの表示装置において、前記保持部材は、前記前面部の前記第1面と離間かつ対向すべく前記枠部を介して前記前面部に連結された板状の背面部をさらに有し、前記背面部を前記表面に接着されており、前記表示パネルは前記前面部と前記背面部との間に配置されていてもよい。そうすることによって、表示パネルと支持体との間に特定の機能層を設けることが容易になる。
【0082】
(6)上記(5)の表示装置において、前記背面部は、前記前面部の前記第1面と対向する第3面または前記第3面と反対の面に、光の伝搬に関して所定の機能を有する第3機能層を備えていてもよい。そうすることによって、従来の表示パネルにおいて表示面の反対面に設けられ得る光学的機能膜などを、表示パネルに欠陥が生じた場合に再利用することができる。
【0083】
(7)上記(6)の表示装置において、前記背面部は、前記第3面に前記第3機能層として偏光板を備えていてもよい。そうすることによって、表示パネルと接触する状態で偏光板を設けることができると共に、その偏光板を、表示パネルに欠陥が生じた場合に再利用することができる。
【0084】
(8)上記(1)〜(5)のいずれかの表示装置において、前記支持体の前記表面に偏光板が設けられていてもよい。そうすることによって、従来の表示パネルにおいて表示面の反対面に設けられ得る偏光板を、表示パネルに欠陥が生じた場合に再利用することができる。
【0085】
(9)上記(1)〜(8)のいずれかの表示装置において、前記枠部は、前記前面部の前記縁部の一部において不連続部分を有しており、前記枠部によって構成された前記保持部材の側面に、前記表示パネルが挿通され得る切り欠きまたは開口が形成されていてもよい。そうすることによって、必要に応じて、表示パネルを支持体から容易に取り外すことができる。
【0086】
(10)上記(1)〜(9)のいずれかの表示装置において、前記表示パネルは、基板と、前記基板の上に形成された複数の表示素子とを備え、前記表示パネルは、さらに、前記表示素子と前記基板との間および前記表示素子の上のいずれかまたは両方に、非透湿性の材料を用いて形成されたバリア膜を備えていてもよい。そうすることによって、表示パネルを水分などから保護することができる。また、表示パネルにおける支持体からの浮きなどを抑制することができる。
【0087】
(11)上記(10)の表示装置において、前記バリア膜の水蒸気透過度が、1×10
-4g/m
2/日以下であってもよい。そうすることによって、表示パネルへの水分の浸透をいっそう確実に防ぐことができる。
【0088】
(12)本発明の他の実施形態の表示装置の製造方法は、基板の上に複数の表示素子を形成することによって表示パネルを形成し、前記表示パネルが載置されるべき表面を有する支持体を用意し、板状の前面部と、前記前面部における側面以外の表面である第1面から突出させて、かつ、前記前面部の縁部に沿って設けられた棒状部材によって構成される枠部と、を有する保持部材を用意し、前記第1面を前記支持体に向けて前記保持部材を前記支持体の前記表面に接着し、前記前面部によって前記表示パネルの表示面が覆われるように、前記枠部の内壁と前記表示パネルの縁部とを係合させ、前記表示面の反対面を前記支持体に向けて前記表示パネルを前記支持体の前記表面に載置する、ことを含み、前記保持部材の用意において、光を透過させる材料を用いて前記前面部を形成し、前記前面部における前記第1面または前記第1面と反対の第2面に、光の伝搬に関して所定の機能を有する第1機能層を設ける、ことを含んでいる。
【0089】
(12)の構成によれば、構成要素の再利用が容易で、しかも表示パネルを適正な位置に備える表示装置を容易に製造することができる。
【0090】
(13)上記(12)の表示装置の製造方法は、前記保持部材の前記前面部における前記第1面に前記第1機能層を設け、前記第2面に、光の伝搬に関して前記第1機能層が有する機能と異なる所定の機能を有する第2機能層を設ける、ことをさらに含んでいてもよい。そうすることによって、表示パネルに欠陥が生じた場合でも、光の伝搬に関して互いに異なる機能を有する二つの機能層を再利用することができる表示装置を製造することができる。
【0091】
(14)上記(12)または(13)の表示装置の製造方法において、前記保持部材は、前記前面部の前記第1面と離間かつ対向すべく前記枠部を介して前記前面部に連結された板状の背面部をさらに有しており、前記保持部材の用意において、前記背面部における前記前面部の前記第1面と対向する第3面、または、前記第3面と反対の面に、光の伝搬に関して所定の機能を有する第3機能層を設けることをさらに含み、前記背面部を前記支持体に向けて前記保持部材を前記支持体の前記表面に接着してもよい。そうすることによって、従来の表示パネルにおいて表示面の反対面に設けられ得る光学的機能膜などを、表示パネルに欠陥が生じた場合に再利用することができる表示装置を製造することができる。
【0092】
(15)上記(14)の表示装置の製造方法は、前記保持部材の用意において、前記前面部と前記背面部とを別個に形成し、前記前面部の前記第1面に前記第1機能層を設けること、および、前記背面部の前記第3面に前記第3機能層を設けること、のいずれかまたは両方を行い、前記前面部と前記背面部とを前記枠部を介して接続する、ことをさらに含んでいてもよい。そうすることによって、第1機能層および/または第3機能層を容易に設けることができる。
【0093】
(16)上記(12)または(13)の表示装置の製造方法は、前記支持体の前記表面に偏光板を設けることをさらに含んでいてもよい。そうすることによって、従来の表示パネルにおいて表示面の反対面に設けられ得る偏光板を、表示パネルに欠陥が生じた場合に再利用することができる表示装置を製造することができる。
【0094】
(17)上記(12)〜(16)のいずれかの表示装置の製造方法は、前記表示パネルの形成において、前記基板と前記表示素子との間および前記表示素子の上のいずれかまたは両方に、非透湿性の材料を用いてバリア膜を形成することをさらに含んでいてもよい。そうすることによって、表示パネルが水分などから保護され、表示パネルにおける支持体からの浮きの少ない表示装置を製造することができる。
【0095】
(18)上記(12)〜(17)のいずれかの表示装置の製造方法は、前記保持部材の用意において、前記枠部に不連続部分を設けることによって前記保持部材の側面に開口または切り欠きを設けることをさらに含み、前記開口または切り欠きを通して前記枠部の外側から前記枠部の内側の所定の載置位置へと前記表示パネルを動かすことをさらに含んでいてもよい。そうすることによって、表示パネルを所定の載置位置に容易に載置することができる。
【0096】
(19)上記(18)の表示装置の製造方法は、前記表示パネルの形成において、前記基板と前記表示素子との間および前記表示素子の上の両方に、非透湿性の材料を用いてバリア膜を形成することをさらに含み、前記表示パネルを前記所定の載置位置へと動かす際に、潤滑剤を用いることによって前記表示パネルの滑動性を向上させ、前記表示パネルを前記所定の載置位置まで動かした後に、前記表示パネルにおける前記開口または切り欠きからの遠位端から近位端へと押圧位置を変えながら前記支持体に向けて前記表示パネルを押すことによって、前記潤滑剤を前記表示パネルと前記支持体との間から押し出すことを、さらに含んでいてもよい。そうすることによって、表示パネルを滑らかに載置位置に向って動かすことができ、また、表示パネルと支持体の表面とを密着させることができる。
表示装置は、光の放射または透過を制御することによって画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルが載置された表面を有する支持体と、前記支持体の前記表面に接着され、前記表示パネルの縁部と係合することによって前記表示パネルを前記表面における所定の位置に保持する保持部材と、を備え、前記表示パネルは、その表示面の反対面を前記支持体に向けられており、前記保持部材は、光を透過させる材料を用いて形成されていて前記表示面を覆う板状の前面部と、前記前面部において前記表示面に向けられる第1面から突出させて、かつ、前記前面部の縁部に沿わせて設けられた棒状部材によって構成される枠部と、を有し、前記前面部は、前記第1面または前記第1面と反対の第2面に、光の伝搬に関して所定の機能を有する第1機能層を備えている。