(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記間隔保持機構は、前記配列方向において隣接する一対の前記伝熱管の一方に取り付けられた第1スペーサーと、隣接する一対の前記伝熱管の他方に取り付けられた第2スペーサーと、を有し、
前記第1スペーサーおよび前記第2スペーサーは、前記配列方向における一対の前記伝熱管の間の間隔が前記配列間隔である際に互いに接触するよう構成されている、請求項5に記載の熱交換器。
前記第1スペーサーの端部のうち前記第2スペーサーに接触する端部の長手方向と、前記第2スペーサーの端部のうち前記第1スペーサーに接触する端部の長手方向とが非平行である、請求項6に記載の熱交換器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱交換器は、複数の伝熱管を備えている。各伝熱管は、通常、直管部と折り返し部とを交互に接続することにより蛇行状に延在しており、このため各伝熱管は、平面的なパネル状の形状を有している。また各伝熱管は、パネル形状の平面に直交する方向に沿って配列されている。また従来のダスト除去装置において、連結軸は、配列方向に並ぶ複数の伝熱管の各々に連結されるよう、配列方向に沿って延びている。この場合、連結軸に印加される打撃力は、伝熱管の表面を振動させるよう作用するよりも、複数の伝熱管を一体的に配列方向に沿って変位させるよう作用すると考えられる。従って、従来のダスト除去装置においては、連結軸に印加される打撃力が、伝熱管の表面を振動させてダストを除去するという目的に対して有効に利用されていないと考えられる。
【0006】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るダスト除去装置を提供することを目的とする。また本発明は、ダスト除去装置を備えた熱交換器、熱交換器を備えた排熱ボイラー、および熱交換器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、ケーシングの内部を流れるダストを含むガスの熱を利用して熱媒体を加熱する熱交換器であって、ケーシングの内部に配置され、その中に前記熱媒体が通される伝熱管と、前記伝熱管の複数の部分に連結された連結軸と、前記伝熱管に付着したダストを除去するダスト除去装置と、を備え、前記伝熱管は、直管部および折り返し部を有し、前記直管部および前記折り返し部は、前記伝熱管が平面内で蛇行状に延在するよう交互に配置されており、前記ダスト除去装置は、前記連結軸に打撃力を印加する打撃手段を有している、熱交換器である。
【0008】
本発明による熱交換器において、前記連結軸は、前記伝熱管の前記折り返し部の最外部分に連結されていてもよい。
【0009】
本発明による熱交換器において、前記伝熱管が蛇行状に配置される平面は、ガスの流れ方向と平行になっており、前記伝熱管の前記直管部は、鉛直方向に延びるよう配置されていてもよい。
【0010】
本発明による熱交換器において、前記連結軸および前記打撃手段が、前記ケーシングの内部に配置されていてもよい。
【0011】
本発明による熱交換器において、前記熱交換器は、ガスが水平方向に流れる横型の熱交換器であり、前記ケーシングは、鉛直方向に延びる複数の支柱によって側方から支持されており、複数の前記支柱のうち少なくとも一部の支柱は、側方から見て前記伝熱管と重なるよう配置されていてもよい。
【0012】
本発明による熱交換器において、前記伝熱管を含めて、前記伝熱管が蛇行状に形成された平面に直交する配列方向に沿って複数の伝熱管が並べられており、前記配列方向において隣接する一対の前記伝熱管に、隣接する前記伝熱管の間の間隔を、予め設けられた配列間隔以上に維持するための間隔保持機構が設けられていてもよい。
【0013】
本発明による熱交換器において、前記間隔保持機構は、前記配列方向において隣接する一対の前記伝熱管の一方に取り付けられた第1スペーサーと、隣接する一対の前記伝熱管の他方に取り付けられた第2スペーサーと、を有し、前記第1スペーサーおよび前記第2スペーサーは、前記配列方向における一対の前記伝熱管の間の間隔が前記配列間隔である際に互いに接触するよう構成されていてもよい。
【0014】
本発明による熱交換器において、前記第1スペーサーの端部のうち前記第2スペーサーに接触する端部の長手方向と、前記第2スペーサーの端部のうち前記第1スペーサーに接触する端部の長手方向とが非平行であってもよい。
【0015】
本発明による熱交換器において、前記熱交換器は、ガスが水平方向に流れる横型の熱交換器であり、前記伝熱管の前記折り返し部は、隣接する2つの前記直管部の上端に接続された上側折り返し部と、隣接する2つの前記直管部の下端に接続された下側折り返し部と、を含み、前記伝熱管には、前記伝熱管の延在方向に沿って延び、上下方向において前記伝熱管を支持する支持機構が取り付けられており、前記支持機構は、前記伝熱管の複数の上側折り返し部の近傍を通るように延びる本体部と、前記本体部に結合され、前記上側折り返し部を下方から支持する下側支持部と、前記上側折り返し部に上方から接触する上側支持部と、を有し、前記上側支持部は、1本の上側支持部が複数の前記上側折り返し部に接触するよう構成されていてもよい。
【0016】
本発明による熱交換器において、前記支持機構の前記上側支持部の下端には、各々が前記上側折り返し部の輪郭に適合された複数の切欠部が形成されていてもよい。
【0017】
本発明による熱交換器において、前記伝熱管を含めて、前記伝熱管が蛇行状に形成された平面に直交する配列方向に沿って複数の伝熱管が並べられており、前記支持機構の前記本体部は、当該本体部の一方の側に位置する一方の前記伝熱管の複数の前記上側折り返し部の近傍を通るとともに、当該本体部の他方の側に位置する他方の前記伝熱管の複数の前記上側折り返し部の近傍を通るよう延びており、前記下側支持部は、前記本体部に結合され、前記一方の伝熱管の前記上側折り返し部を下方から支持する一方の下側支持部と、前記本体部に結合され、前記他方の伝熱管の前記上側折り返し部を下方から支持する他方の下側支持部と、を含み、前記上側支持部は、前記本体部に結合され、前記一方の伝熱管の前記上側折り返し部に上方から接触する一方の上側支持部と、前記本体部に結合され、前記他方の伝熱管の前記上側折り返し部に上方から接触する他方の上側支持部と、を含み、前記一方の上側支持部は、1本の上側支持部が前記一方の伝熱管の複数の前記上側折り返し部に接触するよう構成されており、前記他方の上側支持部は、1本の上側支持部が前記他方の伝熱管の複数の前記上側折り返し部に接触するよう構成されていてもよい。
【0018】
第2の本発明は、上記記載の熱交換器に設けられ、前記伝熱管に付着したダストを除去するダスト除去装置であって、前記熱交換器の前記連結軸に打撃力を印加する打撃手段を有する、ダスト除去装置である。
【0019】
第3の本発明は、ダストを含む排ガスから熱を回収する排熱ボイラーであって、ケーシングと、前記ケーシングの内部に配置され、前記ケーシングの内部を流れる排ガスの熱を利用して熱媒体を加熱する熱交換器と、を備え、前記熱交換器は、上記記載の熱交換器からなる、排熱ボイラーである。
【0020】
第4の本発明は、上記記載の熱交換器の製造方法であって、前記ケーシングの外部で前記伝熱管に前記連結軸を連結して伝熱管ユニットを形成する伝熱管ユニット形成工程と、前記伝熱管ユニットを前記ケーシングの内部に配置する配置工程と、を備える、熱交換器の製造方法である。
【0021】
本発明による熱交換器の製造方法において、前記熱交換器においては、前記伝熱管を含めて、前記伝熱管が蛇行状に形成された平面に直交する配列方向に沿って複数の伝熱管が並べられており、前記伝熱管ユニット形成工程は、複数の前記伝熱管ユニットを組み合わせて伝熱管モジュールを形成する工程を含み、前記配置工程は、前記伝熱管ユニットを前記伝熱管モジュールの形態で前記ケーシングの内部に配置する工程を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、熱交換器は、伝熱管の複数の部分に連結された連結軸と、伝熱管に付着したダストを除去するダスト除去装置と、を備えている。伝熱管は、交互に配置された直管部および折り返し部を有し、このため伝熱管は、平面内で蛇行状に形成されている。またダスト除去装置は、連結軸に打撃力を印加する打撃手段を有している。このため、伝熱管の剛性が高い方向においてダスト除去装置が伝熱管に打撃力を印加することができる。従って、伝熱管に印加される打撃力が、伝熱管の振動に効率的に変換される。このことにより、伝熱管に付着したダストを効率的に除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態
以下、
図1乃至
図11を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお図面において、同じ機能を表す要素には同じ参照番号を付して、説明を省略する場合がある。まず
図1および
図2により、排ガスの熱を回収する排熱ボイラー10全体について説明する。
図1は、セメント焼成プラントに設置される排熱ボイラー10を示す側面図であり、
図2は、排熱ボイラー10のケーシング11の上面を便宜的に取り除いて、ケーシング11の内部に配置されている複数の熱交換器20の位置関係を模式的に示す平面図である。なお側面図とは、ケーシング11の側面12に直交する方向から観察した場合の図を意味している。
【0025】
(排熱ボイラー)
排熱ボイラー10には、セメント焼成プラントのサスペンションプレヒーターから排出される、ダストを含む高温の排ガスが導入される。
図1および2において、符号Fが付された矢印は、排熱ボイラー10に導入される排ガスの流れ方向を表している。本実施の形態においては、水平方向に流れる排ガスから熱を回収する横型の排熱ボイラー10および熱交換器20について説明する。しかしながら、これに限られることはなく、本発明の技術的思想は、鉛直方向に流れる排ガスから熱を回収する縦型の排熱ボイラーおよび熱交換器に適用されてもよい。
【0026】
排熱ボイラー10は、ケーシング11と、排ガスの流れ方向に沿って並べられ、ケーシング11の内部を流れる排ガスの熱を利用して熱媒体を加熱する複数の熱交換器20と、を備えている。ケーシング11は、ケーシング11の側面12に取り付けられ、鉛直方向に延びる複数の支柱13によって側方から支持されている。各熱交換器20はそれぞれ、複数の伝熱管22を有している。また各熱交換器20の下方には、熱交換器20に付着していたダストを下方に導くためのホッパー14が設けられている。
【0027】
複数の熱交換器20の役割は特には限られないが、例えば、排ガスの流れの最も上流側に配置された熱交換器20は、過熱器SHとして機能し、過熱器SHの下流側に配置された熱交換器20は、蒸発器GENとして機能し、蒸発器GENの下流側に配置された熱交換器20は、節炭器ECOとして機能する。本明細書において、特に断らない限り、上流側または下流側とは、排ガスの流れの向きに基づいて位置関係を表現する用語である。なお
図1においては、ケーシング11の内部に配置され、熱交換器20を構成する伝熱管22が点線で描かれている。伝熱管22は、排ガスとの間で熱交換を行う熱媒体を管の内部に通すものである。各伝熱管22は、効率的な熱交換を実施するため、
図1に示すように、排ガスの流れ方向に平行な面内で蛇行状に延在している。また
図1においては、後述する連結軸51および打撃手段55も点線で示されている。
【0028】
図2に示すように、熱交換器20の複数の伝熱管22は、配列方向Aに並べられている。配列方向Aは、例えば、伝熱管22が蛇行状に延在する面に直交する方向になっている。なお伝熱管22は、上述のように、排ガスの流れ方向Fに平行な面内で蛇行状に延在しており、このため伝熱管22の全体的な形状は、パネル状とも表現され得る。
図2においては、伝熱管22がパネル状に描かれている。以下、蛇行状に延在する伝熱管によって形成される包括的な形状を「伝熱管パネル」と称し、伝熱管パネルによって形成される平面を「伝熱管パネル面」と称することもある。
【0029】
(熱交換器)
次に、
図3乃至
図8を参照して、本実施の形態に係る熱交換器20について詳細に説明する。
図3は、熱交換器20の1本の伝熱管22、および、伝熱管22に取り付けられたその他の構成要素を示す図である。本実施の形態において、伝熱管22は、鉛直方向に延び、ガスの流れ方向Fに沿って配列された複数の直管部23と、隣接する2つの直管部23を連結する複数の折り返し部と、を有している。折り返し部は、隣接する2つの直管部23の上端に接続され、U字状の形状からなる上側折り返し部24と、隣接する2つの直管部23の下端に接続され、U字状の形状からなる下側折り返し部25と、を含んでいる。これら複数の直管部23及び複数の折り返し部24,25を同一平面内で交互に配置することにより、上述の伝熱管パネル面が形成されている。
図3における右上の入口部から流入した熱媒体は、矢印fで示すように、上側折り返し部24および下側折り返し部25において順次折り返しながら伝熱管22内を蛇行状に流れる。伝熱管22内を流れる熱媒体は、主として直管部23において排ガスとの間で熱交換し、その後、
図3における左上の出口部から流出する。
【0030】
図3に示すように、熱交換器20は、伝熱管22に付着したダストを除去するダスト除去装置50をさらに備えている。ダスト除去装置50は、伝熱管パネル面内において伝熱管22が延在する方向(以下、「伝熱管延在方向」とも称する)で伝熱管22に打撃力を印加するよう構成されている。例えば熱交換器20には、伝熱管延在方向に延び、少なくとも1本の伝熱管22の複数の部分に連結された連結軸51が設けられており、そしてダスト除去装置50は、伝熱管延在方向において連結軸51に打撃力を印加する打撃手段55を備えている。
図3においては、連結軸51が、伝熱管22の複数の下側折り返し部25の最外部分25aに当て板53および連結部52を介して連結される例が示されている。なお折り返し部の最外部分とは、伝熱管22の延びる方向が反転する境目となる部分である。下側折り返し部25において、最外部分25aは、伝熱管22が延びる方向が下方向から上方向に反転する部分であって、最も下方に位置する部分である。上側折り返し部24において、最外部分24aは、伝熱管22が延びる方向が上方向から下方向に反転する部分であって、最も上方に位置する部分である。打撃手段55の具体的な構成は特には限られないが、例えば打撃手段55は、連結軸51に打撃力を印加するハンマー55aを含んでいる。本実施の形態によれば、伝熱管22の複数の部分が、下側折り返し部25において当て板53と連結部52を介して連結軸51で連結されている。このため、打撃手段55により連結軸51の一端部に打撃力を印加すると、その振動が伝熱管パネル全体に伝わり、これによって、伝熱管22の表面に付着しているダストを落下させることができる。特に、
図3の実施形態の場合には、伝熱管22の直管部23が鉛直に配置されているため、直管部23の表面に付着しているダストを、振動および重力を利用してより容易に除去できる。
なお本明細書において、「延在方向」という用語は、巨視的に見た場合の、対象物が広がる方向を意味している。一方、「延びる方向」という用語は、微視的に見た場合の、対象物が広がる方向を意味している。例えば微視的に見た場合、伝熱管22は、直管部23においては上下方向に延び、折り返し部24,25においては円周方向に延びている。一方、巨視的に見た場合、伝熱管22は、ガスの流れ方向Fに平行に延びていると言える。
【0031】
なお
図3に示すように、伝熱管22は、伝熱管延在方向に沿って延びる支持機構30を用いることにより、伝熱管22の上部において水平方向および上下方向に支持および固定されている。また以下の説明において、連結軸51に連結された1本又は複数の伝熱管22を組み合わせ、これによって一体的に取り扱えるようにした単位を、伝熱管ユニット21と称することもある。
図3に示す例においては、連結軸51に1本の伝熱管22を組み合わせて伝熱管ユニット21が構成されている。また、1本の連結軸51に複数、例えば、2本の伝熱管22を組み合わせて伝熱管ユニット21を構成する例についても後述する。
【0032】
図4は、伝熱管22を便宜的に取り除いてダスト除去装置50を上方から観察した場合を模式的に示す平面図である。本実施の形態においては、1本の伝熱管22に対して1本の連結軸51が連結されるため、
図4に示すように、ケーシング11の内部には、配列方向Aに沿って並べられた複数の連結軸51および打撃手段55が配置されている。なお
図4に示すように、各打撃手段55に結合された駆動軸57が、ケーシング11の側面12を貫通してケーシング11の外部まで延びていてもよい。また、駆動軸57を回転駆動する駆動装置58が、ケーシング11の外部に配置されていてもよい。
【0033】
図4に示すように、隣り合う打撃手段55は、異なるタイミングで各連結軸51を打撃するように、互いに異なる角度で駆動軸57に結合されていてもよい。各連結軸51の打撃のタイミングをずらすことにより、駆動装置58の負荷を低減することができる。また、一度に大量のダストが除去されることを防ぐことができる。これによって、ダストを排出する機構にかかる負荷を低減することができ、かつ、ダストの排出口が詰まってしまうことを防ぐことができる。
【0034】
次に
図5を参照して、連結軸51について詳細に説明する。
図5は、連結軸51および連結軸51に連結された伝熱管22を示す斜視図である。連結軸51の具体的な構造は特には限られないが、例えば連結軸51は、四角パイプから構成されていてもよい。
図5に示す例においては、連結部52の一端が、連結軸51を構成する四角パイプの上面に固定され、連結部52の他端が、当て板53を介して伝熱管22の下側折り返し部25に固定されている。なお、連結軸51の軸方向に沿った打撃力を適切に伝熱管22に印加することができる限りにおいて、連結軸51と伝熱管22とを連結するための具体的な方法が特に限られることはない。例えば連結軸51は、図示はしないが、伝熱管22の直管部23や上側折り返し部24に連結されていてもよい。また
図5に示すように、連結軸51にヘッド54が固定されていてもよい。この場合、ヘッド54が打撃手段55によって打たれ、この結果、打撃力が、ヘッド54、連結軸51、連結部52および当て板53を介して伝熱管22に伝達される。
【0035】
次に、上述の支持機構30について、
図3および
図6を参照して詳細に説明する。
図6に示すように、支持機構30は、伝熱管22の複数の直管部23の近傍を通るように延びる本体部31と、本体部31に結合され、各々が本体部31との間で伝熱管22の直管部23を把持する複数の把持部32と、を有している。このような支持機構30を用いることにより、横型の熱交換器20において、各伝熱管22を上方から吊り下げることができる。また支持機構30は、水平方向における伝熱管22の位置決めを行うこともできる。
【0036】
複数の伝熱管を伝熱管パネル面に対して直交する方向に沿って連結する従来のタイプのダスト除去装置の場合には、伝熱管パネル面に直交する方向において振動が生じる。この場合、伝熱管の剛性の低い方向において振動を与えることになる。従って、振動による伝熱管の変位や破損等を防止するためには、支持構造を強固にするなどの対応が必要であった。これに対して本実施の形態においては、伝熱管22の剛性の高い方向(伝熱管パネル面の面内方向)において伝熱管22に振動を与える。従って、伝熱管パネル面に直交する方向における伝熱管22の変位等が少ない。このため、比較的簡易な支持構造を用いて、振動による伝熱管22の変位を防止することや、伝熱管22の支持を確保することが可能である。支持機構30は、このような点を考慮して構成されたものである。
【0037】
但し、
図3および
図6に示す支持機構30においては、複数の伝熱管22が上方から吊り下げられ、伝熱管22の下部は特に支持されていない。従って、打撃力が印加される際の振動などに起因して伝熱管22の位置が配列方向Aにおいて変位し、この結果、隣接する2つの伝熱管22が接触してしまう可能性がないとは言えない。このような接触を防ぐため、好ましくは
図7に示すように、配列方向Aにおいて隣接する一対の伝熱管22に、隣接する伝熱管22の間の間隔を、予め設けられた配列間隔S以上に維持するための間隔保持機構40が設けられている。これによって、伝熱管22が配列方向Aにおいて変位する場合であっても、隣接する2つの伝熱管22が接触してしまうことを防ぐことができる。なお
図7に示すように、本実施の形態における複数の伝熱管22の配列方法は、格子配列となっている。
【0038】
図8は、間隔保持機構40の形態の一例を示す斜視図である。
図8に示す例において、間隔保持機構40は、隣接する一対の伝熱管22の一方に取り付けられた第1スペーサー41と、隣接する一対の伝熱管22の他方に取り付けられた第2スペーサー42と、を有している。第1スペーサー41および第2スペーサー42は、配列方向Aにおける隣接する伝熱管22の間の間隔が上述の配列間隔Sである際に互いに接触するよう構成されている。これによって、隣接する伝熱管22の間の間隔が配列間隔Sよりも小さくなることを防ぐことができる。また、隣接する伝熱管22を溶接によって互いに固定する必要が無いため、熱交換器20の製造工程において、伝熱管22をケーシング11の内部に配置する作業が容易になる。なお各スペーサー41,42は、当て板43を介して伝熱管22に取り付けられていてもよい。
【0039】
好ましくは、第1スペーサー41の端部のうち第2スペーサー42に接触する端部の長手方向N
1と、第2スペーサー42の端部のうち第1スペーサー41に接触する端部の長手方向N
2と、が非平行になっている。例えば
図8に示すように、第1スペーサー41の端部の長手方向N
1は鉛直方向に延びており、一方、第2スペーサー42の端部の長手方向N
2は水平方向に延びている。すなわち、第1スペーサー41の端部が延びる方向と、第2スペーサー42の端部が延びる方向とが直交している。このように第1スペーサー41および第2スペーサー42を構成することにより、第1スペーサー41と第2スペーサー42とをより確実に接触させることができる。
【0040】
なお本実施の形態においては、ダスト除去装置50が伝熱管22に対して伝熱管パネル面の面内方向において打撃力を印加するため、これによって生じる振動に対して伝熱管22は十分な剛性を有している。従って、伝熱管22の全域ではなく伝熱管22の一部にのみ間隔保持機構40が設けられていてもよい。例えば
図7に示すように、伝熱管22のうち排ガスの流れ方向Fにおける伝熱管パネルの両端部近傍にのみ間隔保持機構40が設けられていてもよい。
【0041】
(熱交換器の製造方法)
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。はじめに、熱交換器20を製造する方法について、
図9A乃至
図9Cを参照して説明する。ここでは、伝熱管ユニット21として最も代表的なものである、1本の連結軸51と1本の伝熱管22とを組み合わせた伝熱管ユニット21を用いる場合を中心に、熱交換器20の製造方法を説明する。
【0042】
まず、ケーシング11の外部で伝熱管22に連結軸51を連結して伝熱管ユニット21を形成する伝熱管ユニット形成工程を実施する。例えば
図9Aに示すように、工場内の定盤15上に伝熱管22を配置する。次に
図9Bに示すように、伝熱管22の複数の下側折り返し部25に、当て板53および連結部52を介して連結軸51を連結する。連結方法としては、例えば溶接が用いられる。このようにして、伝熱管22と、伝熱管22に連結された連結軸51とを含む伝熱管ユニット21を、工場において形成することができる。なお、上述の間隔保持機構40の一部の構成要素や上述の支持機構30を伝熱管22に取り付ける工程を、工場内においてさらに実施してもよい。
【0043】
次に
図9Cに示すように、伝熱管ユニット21をケーシング11の内部に配置する配置工程を実施する。ここで上述のように、伝熱管ユニット21の伝熱管22には既に連結軸51が連結されている。このため、ケーシング11の内部において伝熱管22に連結軸51を連結する作業を実施する必要がない。一般に、ケーシング11の内部の空間は狭く、このため、ケーシング11の内部における作業は、工場における作業に比べて効率が悪い。従って、ケーシング11の内部における作業を工場における作業に置き換えることにより、熱交換器20および排熱ボイラー10の製造に要する工数や工期を低減することができる。
【0044】
なお
図9A乃至
図9Cにおいては、伝熱管ユニット21を工場において形成し、そして伝熱管ユニット21を一つずつケーシング11の内部に配置する例を示したが、これに限られることはない。例えば
図10Aに示すように、上述の伝熱管ユニット形成工程は、複数の伝熱管ユニット21、例えば2つの伝熱管ユニット21を組み合わせて伝熱管モジュール26を形成する伝熱管モジュール形成工程を含んでいてもよい。また伝熱管ユニット形成工程は、複数の伝熱管22と複数の連結軸51とを組み合わせることにより、2つの伝熱管ユニット21を含む伝熱管モジュール26を形成するものであってもよい。また上述の配置工程は、伝熱管ユニット21を伝熱管モジュール26の形態でケーシング11の内部に配置する工程を含んでいてもよい。これによって、複数の伝熱管ユニット21をケーシング11の内部に迅速に配置することができ、このことにより、熱交換器20および排熱ボイラー10の製造に要する工数や工期をさらに低減することができる。
【0045】
(ダストの除去効果)
次に、本実施の形態によるダスト除去装置50のダスト除去効果について説明する。
図11は、ダスト除去装置50からの打撃力が伝熱管22に印加される際の伝熱管22の様子を示す図である。上述のように、伝熱管22は上方から吊り下げられている。このため、伝熱管22の上端はいわゆる固定端となっており、伝熱管22の下端はいわゆる自由端となっている。また上述のように、伝熱管22は、伝熱管パネル面の面内で蛇行状に延在しているため、伝熱管パネル面内における伝熱管22の剛性は、面に直交する方向、すなわち上述の配列方向Aにおける伝熱管22の剛性よりも高くなっている。またダスト除去装置50は、伝熱管パネル面内の伝熱管延在方向で、すなわち伝熱管22の剛性が高い方向で、伝熱管パネルに打撃力を印加するよう構成されている。この結果、
図11に示すように、伝熱管22は、自由端である下端が固定端である上端に対して、伝熱管延在方向において変位し振動する。従って、伝熱管22の上端と下端との間において、伝熱管22の表面を十分に振動させることができ、これによって、伝熱管22の表面に付着したダストを十分に除去することができる。なお
図11においては、理解の容易のために、伝熱管22が変形する様子を誇張して示している。従って、実際に
図11に示すように伝熱管22が変形するとは限らない。
【0046】
次に、このような打撃力が印加される際に伝熱管22に生じる振動の周波数について検討する。伝熱管22に生じる振動の周波数を決定する要因の一つとして、伝熱管22の剛性が考えられる。一般に、物体の固有振動数は、物体の剛性が高いほど高くなることが知られている。ここで上述のように、伝熱管パネル面内の伝熱管延在方向における伝熱管22の剛性は、伝熱管パネル面に直交する方向Aにおける伝熱管22の剛性よりも高くなっている。従って、本実施の形態によれば、伝熱管延在方向において伝熱管22に打撃力を印加することにより、伝熱管22に生じる振動の周波数を高くすることができる。例えば、1kHz以上の周波数成分を多く有する振動を伝熱管22に生じさせることができる。
【0047】
本件発明者が鋭意研究を重ねた結果、伝熱管22の振動の周波数が1kHz近傍の周波数またはより高い周波数になっているときに、伝熱管22に付着したダストが効率的に除去されることを見出した。ここで本実施の形態によれば、伝熱管22の剛性が高い方向において伝熱管22に打撃力を印加することにより、1kHz以上の周波数成分を多く有する振動を伝熱管22に生じさせることができ、これによって、ダストを効率的に除去することができる。
【0048】
また本実施の形態によれば、上述のように、伝熱管22の直管部23が鉛直に配置されている。このため、直管部23の表面に付着しているダストを、振動だけでなく重力を利用して除去することができる。このため、伝熱管の直管部が水平方向に延びるタイプの熱交換器の場合に比べて、ダストを効率的に除去することができる。
【0049】
比較の形態
次に、本実施の形態の効果を、比較の形態と比較して説明する。
図12および
図13は、比較の形態に係るダスト除去装置70を示す側面図および平面図である。12および
図13に示す比較の形態において、
図1乃至
図11に示す本実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0050】
図12および
図13に示すように、比較の形態において、ダスト除去装置70の連結軸71は、複数の伝熱管22が並べられる配列方向Aに沿って延びている。このため
図13に示すように、連結軸71に打撃力を印加する打撃手段73は、伝熱管パネル面に直交する方向、すなわち配列方向Aに平行な方向で連結軸71に打撃力を印加するよう構成されている。また、排ガスの流れ方向Fにおける連結軸71の変位を制限するため、
図12に示すように、一対の留め金75が連結軸71の近傍に設けられている。留め金75は、連結軸71の下方において排ガスの流れ方向Fに沿って延びる固定軸74に固定されている。
【0051】
比較の形態においては、ケーシング11の内部の空間の制約のため、打撃手段73はケーシング11の外部に配置されている。またケーシング11の側面12には貫通孔76が形成されており、この貫通孔76には、打撃手段73からの打撃力を連結軸71に伝達するためのロッド77が設けられている。
【0052】
上述の貫通孔76は、ロッド77の数と同一の数だけケーシング11の側面12に形成される。このため比較の形態においては、ケーシング11の外部の空気がケーシング11の内部に流入してケーシング11の内部の温度が低下し、この結果、排熱ボイラーの性能が低下してしまうことが考えられる。また、打撃手段73がケーシング11の外部に配置されているため、打撃に起因して生じる音が拡散することを防ぐための防音手段が必要になる。
【0053】
これに対して本実施の形態によれば、連結軸51は、伝熱管パネル面の伝熱管延在方向に沿って延びている。このため、連結軸51および打撃手段55をケーシング11の内部に配置することが可能になる。従って、ケーシング11の側面12に形成される貫通孔の数を低減することができ、これによって、排熱ボイラー10の性能を高めることができる。また、貫通孔の形成に要する工数や工期を低減することができる。また、防音手段が不要になり、このため、工数や工期をさらに低減することができる。
【0054】
また比較の形態においては、空気がケーシング11の内部に流入することを防ぐため、貫通孔76の隙間がパッキン78によって塞がれている。この場合、打撃手段73からロッド77に印加される打撃力が、ロッド77とパッキン78との間の摩擦力によって減衰される。このため、連結軸71に伝達される打撃力が小さくなってしまい、この結果、伝熱管22に付着したダストを十分に除去することができないと考えられる。
【0055】
これに対して本実施の形態によれば、連結軸51および打撃手段55がいずれもケーシング11の内部に配置されており、このため、打撃力が打撃手段55から連結軸51に伝達される際の損失を小さくすることができる。このことにより、伝熱管22に付着したダストを効率的に除去することができる。
【0056】
また比較の形態においては、
図13に示すように、1本の連結軸71が多数の伝熱管22に連結されている。このため、多数の伝熱管22の位置を精密に調整しながら連結軸71を伝熱管22に連結する必要がある。例えば、ケーシング11内に設置されて上方から吊り下げられた状態にある多数の伝熱管22の下方に存在する狭い領域で、連結軸71を伝熱管22に連結する必要がある。一方、比較の形態においては、連結軸71が多数の伝熱管22に取り付けられた状態で、すなわち連結軸71と多数の伝熱管22とが一体となった状態で、伝熱管22をケーシング11の内部に搬入して据え付けることは、工場から現地への移送を含め非常に困難である。従って比較の形態において、連結軸71を伝熱管22に連結する作業は、工場ではなく、ケーシング11の内部で実施される。このため、熱交換器および排熱ボイラーの製造に要する工数や工期が大きくなってしまう。
【0057】
これに対して本実施の形態によれば、連結軸71は、伝熱管延在方向に沿って延びている。このため、伝熱管22に連結軸51を連結して伝熱管ユニット21を形成する作業をケーシング11の外部で実施することができる。このことにより、熱交換器20および排熱ボイラー10の製造に要する工数や工期を低減することができる。
【0058】
また比較の形態においては、多数の伝熱管22が連結軸71によって互いに連結されている。このため、例えば一部の伝熱管22が損傷した場合に、損傷した伝熱管22のみをケーシング11の外部に取り出すことが困難である。従って、連結軸71によって互いに連結された多数の伝熱管22の全部を交換することになり、この結果、排熱ボイラー10の修復に要するコストが大きくなってしまう。
【0059】
これに対して本実施の形態によれば、損傷した伝熱管22のみ、若しくは損傷した伝熱管モジュール26のみを容易に取り出すことができる。このため、排熱ボイラー10の修復に要するコストを低減することができる。
【0060】
次に、比較の形態によるダスト除去装置70のダスト除去効果について説明する。
図14Aおよび
図14Bは、ダスト除去装置70からの打撃力が連結軸71に印加される際の伝熱管22の様子を示す図である。
【0061】
比較の形態において、連結軸71は、配列方向Aに沿って延びており、また打撃手段73は、配列方向Aに平行な方向で連結軸71に打撃力を印加するよう構成されている。ここで上述のように、配列方向A、すなわち伝熱管パネル面に直交する方向における伝熱管22の剛性は、伝熱管パネル面の面内方向における伝熱管22の剛性よりも小さくなっている。この場合、連結軸71に印加される打撃力は、
図14Bにおいて矢印Bで示すように、複数の伝熱管22を一体的に変位させるよう作用する。従って比較の形態においては、伝熱管22の表面を十分に振動させることができず、このため、伝熱管22の表面に付着したダストを十分に除去することができないと考えられる。
【0062】
これに対して本実施の形態によれば、ダスト除去装置50は、伝熱管22の剛性が高い方向で伝熱管パネルに打撃力を印加するよう構成されている。このため、伝熱管22の表面に付着したダストを十分に除去することができる。
【0063】
本実施の形態の変形例
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0064】
(支柱の変形例)
図1において、ケーシング11を側方から支持する支柱13が、各熱交換器20の間に配置される例を示した。しかしながら、本実施の形態においては、上述のように連結軸51および打撃手段55がケーシング11の内部に配置されている。従って、ケーシング11の側面12に多数の貫通孔を形成する必要がない。このため、上述の比較の形態の場合と比べて、支柱13の寸法や配置を自由に決定することができる。例えば
図15に示すように、複数の支柱13のうち少なくとも一部の支柱13を、側方から見て熱交換器20の伝熱管22と重なるよう配置することができる。従って、支柱13やケーシング11の寸法を全体的に最適化することができ、このことにより、支柱13の本数を削減することや、支柱13やケーシング11の全体的な重量を削減することができる。このため、排熱ボイラー10のコストを削減することができる。
【0065】
(連結軸の変形例)
また上述の本実施の形態において、1本の伝熱管22が1本の連結軸51に連結される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、複数の伝熱管22が1本の連結軸51に連結されてもよい。例えば
図16に示すように、2本の伝熱管22が連結軸51に連結されてもよい。この場合、1本の連結軸51に連結される複数の伝熱管22を1つのユニットとして、伝熱管モジュール26が構成されてもよい。
【0066】
(打撃手段の変形例)
また上述の本実施の形態において、1本の連結軸51につき1つの打撃手段55が設けられる例を示したが、これに限られることはない。例えば
図17に示すように、1つの打撃手段55が複数の連結軸51、例えば2本の連結軸51に打撃力を印加するよう、打撃手段55が構成されていてもよい。
【0067】
(支持機構の変形例)
また上述の本実施の形態において、支持機構30が、1本の本体部31と、複数の把持部32とを含む例を示したが、これに限られることはない。
図18は、支持機構30の一変形例を示す側面図であり、
図19は、
図18の支持機構30をXIX−XIX方向から見た場合を示す縦断面図である。
図18および
図19に示す例において、支持機構30は、伝熱管22の複数の上側折り返し部24の近傍を通るように延びる本体部33と、本体部33に結合され、上側折り返し部24を下方から支持する下側支持部34と、上側折り返し部24に上方から接触する上側支持部35と、を有している。上側支持部35は、1本の上側支持部35が複数の上側折り返し部24に接触するよう構成されている。下側支持部34は、伝熱管22の上側折り返し部24の下側部分の輪郭に適合された輪郭を有している。また上側支持部35の下端には、各々が伝熱管22の上側折り返し部24の上側部分の輪郭に適合された輪郭を有する複数の切欠部35aが形成されている。このため、伝熱管22の上側折り返し部24を安定に上下方向において支持することができる。
【0068】
本変形例による支持機構30の具体的な形状は特には限られないが、例えば
図19に示すように、本体部33および上側支持部35が山形鋼から構成されていてもよい。この場合、上側支持部35を構成する山形鋼の一端が、上側折り返し部24に接触しており、山形鋼の他端が、本体部33を構成する山形鋼の上に配置されている。また
図19に示すように、上側支持部35を構成する山形鋼の一端は、本体部33との間で上側折り返し部24の水平方向位置を固定するよう配置される。
【0069】
次に
図20Aおよび
図20Bを参照して、本変形例に係る支持機構30を形成する方法の一例について説明する。はじめに本体部33を準備し、その後、
図20Aに示すように、本体部33に複数の下側支持部34を例えば溶接によって取り付ける。次に、
図20Bに示すように、伝熱管22を準備し、その後、各下側支持部34に、対応する各上側折り返し部24を接触させる。次に、各上側折り返し部24に上側支持部35を接触させ、その後、上側支持部35を例えば溶接によって本体部33に取付ける。このように本変形例によれば、本体部33に複数の下側支持部34を取り付ける工程を、伝熱管22を準備する前に実施することができる。このため、伝熱管22に対する位置を調整しながら本体部33に下側支持部34を取り付ける場合に比べて、取り付け工程に要する工数および工期を低減することができる。また上側支持部35は、1本の上側支持部35が複数の上側折り返し部24に接触するよう構成されている。このため、1つの上側折り返し部24につき1つの上側支持部が必要になる場合に比べて、上側支持部35を本体部33に取付ける工程に要する工数および工期を低減することができる。
【0070】
(支持機構のその他の変形例)
また上述の本実施の形態および変形例において、1つの支持機構30が1本の伝熱管22を支持する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、1つの支持機構30が複数の伝熱管22を支持してもよい。以下、
図21を参照して、1つの支持機構30が2本の伝熱管22を支持する例について説明する。
【0071】
図21に示す支持機構30は、隣接する2つの伝熱管22を同時に支持する実施例である。において、本体部33は、本体部33の一方の側に位置する一方の伝熱管22の複数の上側折り返し部24の近傍を通るとともに、本体部33の他方の側に位置する他方の伝熱管22の複数の上側折り返し部24の近傍を通るよう延びている。このような本体部33は、例えばT形鋼から構成されており、左右対称となっている中央部の共通壁の両側でそれぞれ1本の伝熱管22の上側折り返し部24を通している。また下側支持部は、一方の側において本体部33に結合され、一方の伝熱管22の上側折り返し部24を下方から支持する一方の下側支持部34と、他方の側において本体部33に結合され、他方の伝熱管22の上側折り返し部24を下方から支持する他方の下側支持部34と、を含んでいる。また上側支持部は、一方の側において本体部33に結合され、一方の伝熱管22の上側折り返し部24に上方から接触する一方の上側支持部35と、他方の側において本体部33に結合され、他方の伝熱管22の上側折り返し部24に上方から接触する他方の上側支持部35と、を含んでいる。また一方の上側支持部35は、1本の上側支持部35が一方の伝熱管22の複数の上側折り返し部24に接触するよう構成されており、他方の上側支持部35は、1本の上側支持部35が他方の伝熱管22の複数の上側折り返し部24に接触するよう構成されている。このように支持機構30を構成することによって、1つの支持機構30を用いて2本の伝熱管22を安定に上下方向において支持することができる。この場合、1つの支持機構30によって支持される複数の伝熱管22を1つのユニットとして、伝熱管モジュール26が構成されてもよい。
【0072】
千鳥配列の場合の例
また上述の本実施の形態および変形例において、複数の伝熱管22の配列方法が格子配列である場合について説明した。しかしながら、これに限られることはなく、複数の伝熱管22の配列方法が千鳥配列であってもよい。以下、
図22乃至
図25を参照して、千鳥配列が採用される場合の例について説明する。
【0073】
(間隔保持機構)
はじめに、千鳥配列の場合に用いられる間隔保持機構40の一例について説明する。
図22および
図23は、間隔保持機構40の一例を示す横断面図および斜視図を示す図である。
【0074】
千鳥配列が採用される場合、好ましくは
図22に示すように、隣接する2つの伝熱管ユニット21を組み合わせて伝熱管モジュール26が形成されている。この場合、伝熱管モジュール26に含まれる2つの伝熱管ユニット21は、結合機構45によって互いに結合されている。従って本変形例において、配列方向Aにおける2つの伝熱管22の間の間隔を予め定められた配列間隔S以上に維持する間隔保持機構40は、対向する一対の伝熱管モジュール26の間に配置されていればよい。
【0075】
結合機構45は、例えば
図23に示すように、当て板47を介して一対の伝熱管22に連結された連結棒46を有している。連結棒46を当て板47に結合する方法は特には限られないが、例えば溶接が採用される。これによって、伝熱管モジュール26に含まれる2本の伝熱管22を互いに強固に連結することができる。このような連結作業は、連結軸51を伝熱管22に連結する作業の場合と同様に、定盤15の上において実施されてもよい。
【0076】
(支持機構)
千鳥配列が採用される場合にも、
図21に示す格子配列の場合の例と同様に、1つの支持機構30が2本の伝熱管22を上下方向において支持するよう、支持機構30が構成されていてもよい。なお千鳥配列の場合、一方の伝熱管22の上側折り返し部24の位置と、他方の伝熱管22の上側折り返し部24の位置とが、排ガスの流れ方向Fにおいてずれている。従って、
図24において、他方の伝熱管22の上側折り返し部24および下側支持部34を一点鎖線で示している。
【0077】
(連結軸)
また千鳥配列が採用される場合にも、
図16に示す格子配列の場合の例と同様に、2本の伝熱管22が連結軸51に連結されてもよい。
【0078】
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【実施例】
【0079】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0080】
横型の熱交換器20において、ダスト除去装置からの打撃力によって伝熱管22に生じる振動の特性をシミュレーションによって評価した。ダスト除去装置50としては、排ガスの流れ方向Fに沿って延び、1本の伝熱管22の上端近傍に連結された連結軸51を備えたものを設定した。伝熱管22に生じる加速度を、X方向、Y方向およびZ方向において算出した。サンプリング間隔は12kHzとした。なお座標系として、連結軸51の軸方向をY方向とし、鉛直方向をZ方向とする右手座標系を設定している。Y方向においては、連結軸51に打撃を与える向きが正の向きとなっている。またZ方向においては、上向きが正の向きとなっている。
【0081】
X方向、Y方向およびZ方向における加速度周波数の算出結果をそれぞれ
図26(a)(b)(c)に示す。図から分かるように、1kHzを中心とした周波数成分が支配的であった。また、1kHzを超える高周波成分も多く発生していた。
【0082】
(比較例)
配列方向Aに沿って延び、鉛直断面内において蛇行状に形成された複数の伝熱管22の上端近傍に連結された連結軸71を備えたダスト除去装置70を設定したこと以外は、上述の実施例と同様にして、ダスト除去装置からの打撃力によって伝熱管22に生じる振動の特性をシミュレーションによって評価した。X方向、Y方向およびZ方向における加速度周波数の算出結果をそれぞれ
図27(a)(b)(c)に示す。
【0083】
図26(a)(b)(c)と
図27(a)(b)(c)との比較から分かるように、実施例の方が比較例に比べて、1kHzを超える高周波成分が多く発生していた。このように実施例によれば、伝熱管22の剛性が高い方向で伝熱管パネルに打撃力を印加することによって、発生する振動の周波数を高くすることができた。