(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記軸受部は、前記回転軸部を回転可能に収容する収容空間と、前記回転軸部を前記収容空間に挿入するために前記収容空間を形成する壁部の一部が切り欠かれて形成された挿入口と、を有している、請求項1に記載の車両用シャッター装置。
前記回転軸部の軸方向と直交する断面において、前記回転軸部は長径と短径とを有し、前記長径は、前記挿入口の開口幅より大きく、前記フィン本体が全開状態と全閉状態との間で回転する通常作動状態では、前記短径が前記回転軸部の挿脱方向と直交しない、請求項1または2に記載の車両用シャッター装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この車両用シャッター装置において、フレームの内部には、複数枚のフィンが設けられている。それぞれのフィンは、一枚の板状の部材である。これにより、それぞれのフィンは、全閉状態において大きな面積を閉塞することができ、密閉率が高められている。
しかし、このような車両用シャッター装置は、長手方向の両端部分でのみ支持されているため、フィンが長手方向に撓んでしまうおそれがあった。
【0005】
そこで本発明は、密閉率が高く、かつ、フィンが高い剛性で支持された車両用シャッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用シャッター装置は、
車両の表面の外部から内部への空気の流入量を調整する車両用シャッター装置であって、
車両に取り付けられる枠部と、
水平方向に延びる回転軸部回りに回転可能に前記枠部の内部に軸支される板状のフィン本体と、
前記フィン本体を全開状態と全閉状態との間で回転させる駆動機構と、を有し、
前記枠部および前記フィン本体のいずれか一方に前記回転軸部が設けられ、
前記枠部および前記フィン本体のいずれか他方に前記回転軸部を回転可能に軸支する軸受部が設けられ、
前記回転軸部および前記軸受部のいずれか一方は、板状の前記フィン本体からオフセットされた位置に設けられ、
前記回転軸部および前記軸受部は、前記フィン本体の水平方向の両端部およびその中間に位置している、車両用シャッター装置。
【0007】
本発明に係る車両用シャッター装置によれば、フィン本体は、その両端とその中間部が支持されるので、支持剛性が高い。また、回転軸部および軸受部のいずれか一方は、フィン本体からオフセットされた位置に設けられているので、全閉状態でフィン本体に回転軸部や軸受部との干渉を避けるための隙間を設ける必要がなく、全閉状態での密閉率が高い。
【0008】
上記本発明に係る車両用シャッター装置において、
前記軸受部は、前記回転軸部を回転可能に収容する収容空間と、前記回転軸部を前記収容空間に挿入するために前記収容空間を形成する壁部の一部が切り欠かれて形成された挿入口と、を有してもよい。
回転軸部を挿入口から軸受部の収容空間へ挿入することにより、フィン本体を枠部に取り付けることができ、組立が容易である。
【0009】
本発明に係る車両用シャッター装置によれば、全閉状態において、フィン本体と軸受部との干渉が生じないので、全閉状態における密閉度が高められている。
【0010】
上記本発明に係る車両用シャッター装置において、
前記枠部は、前記開口の内部の水平方向の中間部に中間壁部を有し、
前記中間壁部は、水平方向に互いに離間し、上下方向に延びる一対の板状壁を有し、
水平方向の中間部に位置する前記回転軸部または前記軸受部は、一対の前記板状壁に跨って設けられていてもよい。
【0011】
本発明に係る車両用シャッター装置によれば、一対の板状壁の間に隙間があるので、中間壁部を設けても開口率が低下しにくい。また、枠部を樹脂成型する際に、中間壁部が薄肉なので成型しやすい。
【0012】
上記本発明に係る車両用シャッター装置において、
前記回転軸部の軸方向と直交する断面において、前記回転軸部は長径と短径とを有し、前記長径は、前記挿入口の開口幅より大きく、前記フィン本体が全開状態と全閉状態との間で回転する通常作動状態では、前記短径が前記回転軸部の挿脱方向と直交しないように構成されていてもよい。
【0013】
本発明に係る車両用シャッター装置によれば、回転軸部が軸受部から脱落しにくい。
【0014】
上記本発明に係る車両用シャッター装置において、
前記フィン本体は、前記全開状態の時に、前記回転軸部または前記軸受部より前方に位置して、前記回転軸部または前記軸受部を覆うカバーを有していてもよい。
【0015】
本発明に係る車両用シャッター装置によれば、
全開状態のときに、空気中のダストが挿入口から収容空間内に入り込みやすいが、カバーによってダストの進入を抑制できる。
【0016】
上記本発明に係る車両用シャッター装置は、車両のエンジンルームの前部に取り付けられ、車両のエンジンルームへの空気の流入量を調整する車両用グリルシャッターであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フィンが枠部から抜けにくくかつ組立の容易な車両用シャッター装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る車両用シャッター装置1を、図面を参照して詳細に説明する。車両用シャッター装置1は、車両の表面の外部から内部への空気の流入量を調整可能にしている。本実施形態の車両用シャッター装置1は、車両前部の下部に設けられ、エンジンルームへ空気を導入可能にし、このエンジンルームへの空気の導入量を変更する車両用グリルシャッターとして機能する。
【0020】
図1は、車両用シャッター装置1の正面図である。
図1に示すように、車両用シャッター装置1は、前方に開口する開口部11を有するフレーム10(枠部の一例)と、この開口部11の内部に上下に並んで配置された複数(図示の例では3枚)のフィン20を有している。フィン20は、水平方向に延びる回転軸部21a,22a,23a(
図2参照)を有し、フレーム10に回転可能に支持されている。複数のフィン20は、回転軸部21a,22a,23a回りに回転することにより、開口部11の開口率を変更して、エンジンルームへの空気の導入量を調整可能である。
【0021】
車両用シャッター装置1は、さらにリンク機構30とモータ40を有する。モータ40は出力軸41を有し、複数のフィン20を開閉させる駆動を発生させる。リンク機構30は、複数のフィン20が同期して動くように、モータ40の駆動力を複数のフィン20に伝達せる。リンク機構30は、複数のフィン20の水平方向の一端に連結された第一リンク部31と、複数のフィン20の水平方向の他端に連結された第二リンク部32と、を有する。これにより、リンク機構30は、フィン20を水平方向の両端で支持し、高い支持剛性でフィン20を支持している。
【0022】
車両用シャッター装置1は、フレーム10の開口部11が前方を向く姿勢で車両に取り付けられている。フレーム10は、車両に取り付けられる。本実施形態では、フレーム10は車両の前部に取り付けられる。フレーム10は、開口部11を形成する正面視で矩形状の内周面12を有している。この内周面12は、上壁13、下壁14、側壁15から構成されている。開口部11は、正面視で水平方向に長い扁平な矩形状である。
本実施形態では、開口部11の内部に、水平方向に3つの中間壁部16が配列されている。中間壁部16は上壁13から下壁14に亘って上下方向に延びている。正面から見て、中間壁部16により、開口部11は水平方向に4つの区画に分割されている。それぞれの区画に亘って3枚のフィン20が縦方向に配列されている。それぞれのフィン20は、水平方向の両端およびその中間の3箇所の合計5箇所で回転可能に支持されている。
【0023】
図1に示すように、車両用シャッター装置1は、上下方向で最も上方に位置する上フィン21と、最も下方に位置する下フィン23と、上フィン21と下フィン23の中間に位置する中間フィン22とを有している。上フィン21と中間フィン22は共通の形状とされている。なお、以降の説明において、上フィン21、中間フィン22、下フィン23をまとめてフィン20と呼ぶ。
【0024】
図2はフィン20を示す斜視図である。
図2の(a)は上フィン21および中間フィン22を示し、
図2の(b)は下フィン23を示している。
図2の(a)に示すように、上フィン21および中間フィン22はそれぞれ、横方向に延びる長尺の部材である。上フィン21および中間フィン22はそれぞれ、横方向に延びる回転軸部21a,22aと、横方向に延びる面状の板状部(フィン本体の一例)21b,22bと、接続部21c,22cと、リンク連結部21d,22dとを有している。
接続部21c,22cは板状部21b,22bから突出する形状に形成され、接続部21c,22cの先端に回転軸部21a,22aが設けられている。このように、回転軸部21a,22aは、それぞれ上フィン21の板状部21bおよび中間フィン22の板状部22bからオフセットされた位置に設けられている。回転軸部21a,22aは、板状部21b,22bの裏面からオフセットされた位置に設けられている。板状部21b,22bの裏面とは、全閉状態において空気の導入方向の下流側を向く面である。
一対のリンク連結部21d,22dは、板状部21b,22bの長手方向の両端部に設けられている。リンク連結部21d,22dは、板状部21b,22bから突出する形状に形成され、リンク連結部21d,22dの先端で回転軸部21a,22aと異なる位置に連結穴21e,22eが形成されている。
【0025】
同様に、下フィン23は、横方向に延びる長尺の部材である。
図2の(b)に示すように、下フィン23は、横方向に延びる回転軸部23aと、横方向に延びる面状の板状部23bと、接続部23cと、リンク連結部23dとを有している。
接続部23cは板状部23bから突出する形状に形成され、接続部23cの先端に回転軸部23aが設けられている。このように、回転軸部23aは、下フィン23の板状部23bからオフセットされた位置に設けられている。回転軸部23aは、板状部23bの裏面からオフセットされた位置に設けられている。板状部23bの裏面とは、全閉状態において空気の導入方向の下流側を向く面である。
一対のリンク連結部23dは、板状部23bの長手方向の両端部に設けられている。リンク連結部23dは、板状部23bから突出する形状に形成され、リンク連結部23dの先端で回転軸部23aと異なる位置に連結穴23eが形成されている。
下フィン23の板状部23bは、上フィン21および中間フィン22の板状部21b,22bよりも肉厚に形成されている。また、下フィン23の板状部23の幅方向(上下方向)の中間部には、横方向に延びるリブが設けられている。これにより、下フィン23の剛性は上フィン21および中間フィン22の剛性より高く設定されている。
【0026】
図3は、回転軸部の軸方向と直交する断面での車両用シャッター装置1の断面図である。
図3の(a)は
図1のa−a線矢視図である。
図3の(b)は
図1のb−b線矢視図である。
図3の(a)に示すように、フレーム10は、フィン20を水平方向に延びる回転軸回りに回転可能に支持する軸受部50を有している。この軸受部50には、フィン20の回転軸部21a〜23aを回転可能に収容する略円柱状の収容空間51が形成されている。この収容空間51は、壁部により形成されている。この収容空間51は、この収容空間51を形成する壁部の一部(本例では前方の一部)が切り欠かれて形成された挿入口52を有している。この挿入口52は、フィン20の回転軸部21a,22a,23aを収容空間51に挿入するためのものである。車両用シャッター装置1は、フィン20の回転軸部21a,22a,23aを前方からこの挿入口52を介して収容空間51に挿入することにより、組み立てられる。
【0027】
この軸受部50は、フレーム10の3つの中間壁部16および左右の側壁15に設けられている。このため、一つのフィン20は長手方向の中間部の3箇所と両端部の2箇所をあわせた5箇所で支持されるので、フィン20の長手方向に必要とされる剛性を低減できる。これにより、フィン20の肉厚を減少させて、開状態のときの開口率を高めることができる。
なお、フィン20が支持されている長手方向の端部とは、フィン20の長手方向の中央に比べてフィン20の長手方向の端に位置している部位を言い、端縁部のみを言うのではない。
【0028】
図3の(b)に示すように、フィン20は、そのリンク連結部21d〜23dを介してリンク機構30に連結されている。リンク機構30はモータ40により上下に駆動される。これにより、フィン20は回転軸部21a〜23a回りに回転する。
図3の(a),(b)において、開口部11がフィン20によって完全に閉じられた全閉状態のフィン20の姿勢を実線で示し、開口部11が開放されフィン20による流路抵抗が最も小さい全開状態のフィン20の姿勢を二点鎖線で示している。モータ40は、フィン20を全開状態と全閉状態との間で回転させる。
【0029】
(収容空間と回転軸部)
図4は、下フィン23を軸受部50の収容空間51に挿入する際の回転軸部23aと収容空間51の拡大図である。なお、以降の説明では、上フィン21、中間フィン22および下フィン23の回転軸部は同じ構造を有するので、下フィン23を具体的に説明し、上フィン21および中間フィン22の説明を省略する。
【0030】
図4に示すように、回転軸部23aの軸方向と直交する断面において、収容空間51は、直径L1の円の一部51aと、挿入口52を形成する矩形状の空間51bとを有する。直径L1は、挿入口52の上下方向を向く開口方向の長さ(開口幅)Hより大きくされている。挿入口52は収容空間51の前部に設けられ、下フィン23の回転軸部23aは収容空間51に対して前方から後方に向かって挿入される。つまり、本実施形態では、下フィン23の収容空間51に対する挿脱方向Dは前後方向である。
【0031】
図4に示すように、回転軸部23aの軸方向と直交する断面において、回転軸部23aは長径L1と短径L2とを有する。長径L1は、挿入口52の開口幅Hよりも大きい。また、フィン20が全開状態と全閉状態との間で回転する通常作動状態では、短径L2が回転軸部23aの挿脱方向Dと直交しない。回転軸部23aは、軸芯Oを中心とする回転対称の形状である。
【0032】
なお、本実施形態では、短径L2は挿入口52の開口幅Hよりも短い。回転軸部23aを収容空間51に挿入する際には、
図4に示したように、回転軸部23を回転させながら収容空間51に向かって移動させる。回転軸部23aを回転させる途中で、開口長さHより短い短径L2の方向と挿入口52の開口方向とが一致する。短径L2の方向と開口方向とが一致した状態から下フィン23を回転させながら収容空間51に押し込む。これにより、
図4で一点鎖線で示すように、回転軸部23aを無理なく収容空間51に挿入することができる。
【0033】
図5は、収容空間51の中で回転軸部23aが回転する様子を示した図である。
図5の(a)は、下フィン23を軸受部50に取り付けた直後の状態を示し、
図5の(b)は全閉状態を示し、
図5の(c)は全開状態を示す。
なお、短径L2の向く方向は、下フィン23の板状部23bの延びる面とは異なる方向を向いている。このため、
図5の(b)および(c)に示す全閉状態から全開状態まで下フィン23が回転する通常作動状態の間では、
図5の(a)に示したように短径L2の方向と挿入口52の開口方向とが一致することがない。つまり、車両に取り付けられた車両用シャッター装置1が動作する通常作動状態において、下フィン23の回転軸部23aが収容空間51から抜け出しにくくされている。
【0034】
このように、本実施形態に係る車両用シャッター装置1によれば、回転軸部23aを収容空間51に挿入するための挿入口52は、収容空間52を形成する壁部の一部が切り欠かれて形成されている。このため、下フィン23を収容空間51に挿入する際に、特許文献1のように下フィンを撓ませる必要がなく、挿入口52から簡単に回転軸部23aを挿入できる。このため、フィン20をフレーム10を取り付けやすい。
さらに、回転軸部23aの長径L1は挿入口52の開口幅Hより大きいため、回転軸部23aが収容空間51から抜け出しにくい。また、下フィン23が全開状態と全閉状態との間で回転する通常作動状態では、回転軸部23aの短径L2が回転軸部23aの挿脱方向Dと直交しない。このため、車両用シャッター装置1が通常時に使用される通常作動状態では、回転軸部23aが収容空間51から抜け出しにくい。
これらの理由により、フィン20がフレーム10から外れにくくかつ組立の容易な車両用シャッター装置1が提供される。なお、上述の説明では、下フィン23について説明したが、上フィン21および中間フィン22についても同様である。
【0035】
<効果>
ところで、
図1に示したように、例えば上フィン21について、回転軸部21aおよび軸受部50は、水平方向の両端部と、その中間の3箇所、合計5箇所に位置している。これは、中間フィン22および下フィン23についても同様である。このように、フィン20は長手方向に沿って複数箇所で支持されているため、フレーム10に対する支持剛性が高い。このため、フィン20に高い風圧が作用したり、あるいは、飛散した泥水がフィン20に大きな衝撃力を作用させたときでも、フィン20が撓みにくい。さらには、フィン20を薄肉に形成できるため、全開状態の時の開口部11の開口率を高めることができる。
このように、本実施形態に係る車両用シャッター装置1によれば、フィンが高い剛性で支持されている。
なお、上述した水平方向の中間部には、1つ以上の回転軸部21aおよび軸受部50を位置させてもよいことは言うまでもない。
【0036】
また、
図2および
図3に示したように、例えば、下フィン23について、回転軸部23aの軸方向と直交する断面において、回転軸部23aは板状部23bから突き出す接続部23cの先端に設けられている。このため、回転軸部23aは板状部23bからオフセットされた位置に設けられている。これは、上フィン21および中間フィン22についても同様である。
本実施形態とは異なり、回転軸部を板状部の面上に設けた場合には、特に全閉状態の時に軸受部とフィンとが干渉しないように、軸受部とフィンとの間に隙間を設ける必要がある。このため、全閉状態でも空気が開口部11を通過する虞がある。しかし、本実施形態に係る車両用シャッター装置1によれば、フィン20と軸受部50との干渉が避けられているので、閉状態では、正面視で軸受部50はフィン20によって覆われて、隙間が生じない。このため、車両用シャッター装置1の密閉率を高めることができる。
これらの理由により、本実施形態に係る車両用シャッター装置1によれば、全閉状態での密閉率が高くかつフィンが高い剛性で支持された車両用シャッター装置が提供される。
【0037】
本実施形態において、
図3に示したように、軸受部50の収容空間51は、前方に開口する。このため、開状態において前方から後方に向けて通過する空気がフィン20を押しても、収容空間51の内面の後部が回転軸部21aを確実に支持する。これにより、下フィン23が抜けにくい。また、下フィン23を前方から軸受部50に取り付けることができるので、従来のようにフィンを長手方向に撓ませる必要がなく、車両用シャッター装置1を容易に組み立てることができる。
【0038】
また、
図4に示したように、本実施形態に係る車両用シャッター装置1においては、回転軸部23aの軸方向と直交する断面において、回転軸部23aの長径L1と、円状の収容空間51の直径L1とが等しく、回転軸部23aの外周面の少なくとも一部は、軸受部50の収容空間51をなす内周面の曲率と略等しい曲率を有する。
これにより、回転軸部23aの外周面と収容空間51の内周面の接触面積が大きくなり、支持剛性が高くなるので、下フィン23を安定した姿勢で回転させやすい。また、接触圧力が大きくなりにくいので、下フィン23および軸受部50の磨耗を抑制できる。
【0039】
また、
図4に示したように、本実施形態では、回転軸部23aの軸方向と直交する断面において、回転軸部23aは、収容空間51の内面に摺接する第一摺接面および第二摺接面とを有する。第二摺接面は、第一摺接面と向かい合う位置に設けられている。
図5に示したように、これら第一摺接面と第二摺接面の少なくとも一部は、通常作動状態において常時、収容空間の内面に摺接する。これにより、通常作動状態において回転軸部23aは大きな面積で収容空間の内面に摺接し、回転軸部23aは安定的に収容空間51内で軸支される。
【0040】
また、回転軸部23aの軸方向と直交する断面において、第一摺接面と第二摺接面は円弧をなしている。これら第一摺接面の円弧と第二摺接面の円弧は、収容空間51の内周面の曲率と等しくされている。これにより、回転軸部23aが大面積で収容空間51の内周面と接触するので、回転軸部23aは安定的に収容空間51内で軸支される。
【0041】
さらに、回転軸部23aの軸方向と直交する断面において、第一摺接面と第二摺接面は、回転軸部の内側に湾曲した湾曲面によって接続されている。回転軸部23aを収容空間51に挿入する際に、この内側に湾曲した湾曲部を使って、挿入口52が乗り越えられる。これにより、回転軸部23aを収容空間51に挿入しやすくされている。
【0042】
なお、回転軸部23aの形状は上述したものに限られない。回転軸部は、円、楕円、などの一部の曲線同士を組み合わせた形状、あるいは、これらの一部の曲線と直線を組み合わせた形状としてもよい。
【0043】
なお、上述の実施形態では、回転軸部の軸方向と直交する断面において、回転軸部の短径L2が挿入口52の開口幅Hより小さい例を説明したが、本発明はこの例に限られない。例えば、回転軸部の短径L2を挿入口52の開口幅より大きくしてもよい。この場合には、挿入口52に対して回転軸部を押し込むことにより、回転軸部が収容空間52に収容される。これにより、回転軸部が収容空間51からさらに抜けにくくなる。
【0044】
また、本実施形態において、
図1に示したように、フレーム10は、開口部11の内部の水平方向の中間に3つの中間壁部16が設けられている。
図6は、この中間壁部16の一つを拡大して示す斜視図である。
図6に示すように、中間壁部16は、一対の板状壁16a,16bを有している。一対の板状壁16a,16bは、水平方向に互いに離間し、上下方向に延びている。一対の板状壁16a,16bにそれぞれ挿入口52を有する収容空間51が設けられ、軸受部50が形成されている。フィン20に設けられた回転軸部21a,22a,23aは、それぞれの収容空間51にはめ込まれ、一対の板状壁16a,16bに設けられた軸受部50に跨って設けられる。
このように、一対の板状壁16a,16bの間に隙間があるので、開口部11に中間壁部16を設けても開口部11の開口面積が著しく損なわれない。また、フレーム10を樹脂成型する際には、一対の板状壁16a,16bの間の隙間によって中間壁部16を薄肉にすることができ、成型しやすい。
【0045】
なお、上述の実施形態では、回転軸部21a,22a,23aが板状部21b,22b,23bに設けられてフィン20を形成し、軸受部50がフレーム10に設けられる例を説明したが、回転軸部がフレームに設けられ軸受部が板状部(フィン本体の一例)に設けられても良い。
図7は本発明の変形例に係る図であり、
図7(a)は
図6と同様の図であり、
図7(b)は
図5(b)と同様の図である。
図7に示したように、本変形例においては、回転軸部60がフレーム10に設けられ、軸受部50がフィン20の板状部20bと一体に設けられている。
【0046】
この変形例においては、
図7(b)に示す回転軸部60に直交する断面において、回転軸部60は円を基調とする形状である。このような形状の回転軸部60がフレーム10の板状壁部16,16bと一体に形成されている。このような構成によれば、フレーム10を樹脂成型で形成しやすい。
フレーム10は全体として、空気の導入方向(前後方向)に沿う方向に凹凸が少ない。このため、フレーム10を樹脂成型する際には、空気の導入方向に沿って金型を抜くと成型しやすい。このとき、回転軸部60も該断面において円を基調とする形状であると、回転軸部60も含めてフレーム10を一体成形しやすい。このように、本変形例によれば、製造効率のよい車両用シャッター装置が得られる。なお、円を基調とする形状とは、円形、楕円形、トラック形状、これらの形状の外周が一部切り欠かれた形状、などを含む。
【0047】
図8は、本発明の他の変形例に係る車両用シャッター装置の中間フィン22を示す図である。
図8は、フィン20が全開状態のときの中間フィン22を示している。
図8に示したように、この変形例においては、軸受部50はフレーム10に設けられ、回転軸部22aは中間フィン22の板状部22b(フィン本体の一例)に一体に設けられている。軸受部50の挿入口52は、流入させる空気の上流側(車両用シャッター装置1の前面側)に開口している。中間フィン22の板状部22bには、板状部22bから突き出すカバー部22fが設けられている。カバー部22fは、フィン20が全開状態のときに、軸受部50および回転軸部22aより前方に位置している。カバー部22fは、回転軸部22aおよび軸受部50の挿入口52を覆う形状とされている。なお、中間フィン22にカバー部22fを設ける例を説明したが、上フィン21や下フィン23に設けてもよい。
本変形例のように、挿入口52が流入させる空気の上流側に開口している場合、全開状態のときに、空気中に含まれる塵芥などが挿入口52を介して収容空間51内に入り込む虞がある。しかし、全開状態でもカバー部22fが挿入口52を覆っているので、挿入口52から異物が入り込むことを抑制できる。
【0048】
図9は、本発明の他の変形例に係る車両用シャッター装置の中間フィン22を示す図である。
図9は、
図8に対応する図である。
本変形例では
図9に示すように、
図8の例とは異なり、軸受部50が中間フィン22の板状部22b(フィン本体の一例)に一体に設けられ、回転軸部60がフレーム10に設けられている。軸受部50の挿入口52は下向きに開口している。
本変形例においても、フィン20の全開状態において、軸受部50および回転軸部60よりも前方にカバー22fが位置している。このカバー22fは、フィン20の全開状態において、軸受部50および回転軸部を覆っている。このような変形例によっても、カバー22fが回転軸部60と軸受部50との間に異物が入り込むことを抑制できる。
【0049】
また、
図4においては、回転軸部の軸方向に直交する断面において、複数のフィン20が一直線上に並んだ例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、この断面において、複数のフィン20が上下にジグザグ状に並んでいたり、あるいは上下に円弧状に並んでいてもよい。