(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407583
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】車両用操作装置
(51)【国際特許分類】
B62J 6/16 20060101AFI20181004BHJP
B62J 1/12 20060101ALI20181004BHJP
B62J 35/00 20060101ALI20181004BHJP
B62H 5/08 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
B62J6/16
B62J1/12 C
B62J35/00 Z
B62H5/08
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-134213(P2014-134213)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-11074(P2016-11074A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】森國 大地
【審査官】
結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/145795(WO,A1)
【文献】
特開2009−299318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/16
B62H 5/08
B62J 1/12
B62J 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イグニッションキーにより回転操作可能なロータを有した車両のイグニッションスイッチ装置の近傍位置に取り付けられ、前記ロータが特定位置にあるときに限り操作が可能な操作部を具備した車両用操作装置において、
前記操作部は、押圧操作により操作ワイヤを操作して車両が具備する構成部品を作動し得る複数の操作ノブから成り、且つ、前記操作ワイヤは、外周がアウタチューブに覆われ、前記操作ノブに対応した前記構成部品のそれぞれに接続されるとともに、前記アウタチューブの端部が前記操作ノブに接続され、前記操作ノブが押圧操作されると、前記操作ワイヤの先端が固定された状態で前記アウタチューブの端部が前記押圧操作方向に移動して前記構成部品を作動し得ることを特徴とする車両用操作装置。
【請求項2】
前記構成部品は、車両の着座シートをロックするロック機構、及び燃料タンクのリッドを開閉する開閉機構から成り、一方の操作ノブを押圧操作することにより前記ロック機構のロックを解除するとともに、他方の操作ノブを押圧操作することにより前記開閉機構にて前記リッドを開状態とすることを特徴とする請求項1記載の車両用操作装置。
【請求項3】
前記操作ノブを押圧操作方向に移動させ得る案内部が形成されたケース部と、
前記操作ノブを初期位置に向かって付勢する付勢手段と、
前記操作ノブに形成され、前記付勢手段を収容可能な凹部と、
該凹部内で突出形成され、前記付勢手段の一端を保持する第1保持部と、
前記ケース部に固定されるとともに、前記操作ワイヤの先端を係止する係止部及び前記付勢手段の他端を保持する第2保持部が形成された固定部と、
を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用操作装置。
【請求項4】
前記第1保持部又は第2保持部は、その突端又は側面が弧状に形成されたことを特徴とする請求項3記載の車両用操作装置。
【請求項5】
前記操作ノブは、押圧操作が可能な押圧部と、該押圧部と係止爪による係止にて一体化された連結部とを有して構成され、前記案内部は、当該押圧部と連結部とを係止爪にて係止させ得る開口が形成されたことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の車両用操作装置。
【請求項6】
前記ケース部は、前記開口を介して前記係止爪による係止状態を視認させ得る窓部が形成されたことを特徴とする請求項5記載の車両用操作装置。
【請求項7】
隣接する前記操作ノブの間に仕切り部が形成されたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1つに記載の車両用操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イグニッションキーにより回転操作可能なロータを有した車両のイグニッションスイッチ装置の近傍位置に取り付けられ、ロータが特定位置にあるときに限り操作が可能な操作部を具備した車両用操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、二輪車に取り付けられたイグニッションスイッチ装置の近傍位置(隣接位置)に取り付けられ、当該イグニッションスイッチ装置のロータが特定位置にあるときに限り揺動操作が可能とされた車両用操作装置について開示されている。かかる従来の車両用操作装置は、揺動操作が可能なシーソー型の操作ノブを具備し、当該操作ノブを一方側に揺動させることにより、車両の着座シートをロックするロック機構を作動させ、当該ロックを解除させるとともに、当該操作ノブを他方側に揺動させることにより、車両の燃料タンクのリッドを開閉する開閉機構を作動させ、当該リッドを開状態とするよう構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−176239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、操作ノブがシーソー型とされ、揺動操作によってロック機構又は開閉機構を作動させるものであったので、ロック機構と開閉機構とを略同時に作動させることができないという問題があった。特に、給油時において、燃料タンクのリッドを開状態とするとともに、着座シートを開状態として内部の収容空間から必要な物(給油時の支払い等に必要な物等)を取り出すことがあり、その場合、従来技術においては、操作ノブを一方側に揺動させた後、他方側に揺動させる必要があり、操作性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、車両が具備する構成部品を略同時に作動させることができる車両用操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、イグニッションキーにより回転操作可能なロータを有した車両のイグニッションスイッチ装置の近傍位置に取り付けられ、前記ロータが特定位置にあるときに限り操作が可能な操作部を具備した車両用操作装置において、前記操作部は、押圧操作により操作ワイヤ
を操作して車両が具備する構成部品を作動し得る複数の操作ノブから成
り、且つ、前記操作ワイヤは、外周がアウタチューブに覆われ、前記操作ノブに対応した前記構成部品のそれぞれに接続されるとともに、前記アウタチューブの端部が前記操作ノブに接続され、前記操作ノブが押圧操作されると、前記操作ワイヤの先端が固定された状態で前記アウタチューブの端部が前記押圧操作方向に移動して前記構成部品を作動し得ることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両用操作装置において、前記構成部品は、車両の着座シートをロックするロック機構、及び燃料タンクのリッドを開閉する開閉機構から成り、一方の操作ノブを押圧操作することにより前記ロック機構のロックを解除するとともに、他方の操作ノブを押圧操作することにより前記開閉機構にて前記リッドを開状態とすることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の車両用操作装置において、前記操作ノブを押圧操作方向に移動させ得る案内部が形成されたケース部と、前記操作ノブを初期位置に向かって付勢する付勢手段と、前記操作ノブに形成され、前記付勢手段を収容可能な凹部と、該凹部内で突出形成され、前記付勢手段の一端を保持する第1保持部と、前記ケース部に固定されるとともに、前記操作ワイヤの先端を係止する係止部及び前記付勢手段の他端を保持する第2保持部が形成された固定部とを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の車両用操作装置において、前記第1保持部又は第2保持部は、その突端又は側面が弧状に形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4記載の車両用操作装置において、前記操作ノブは、押圧操作が可能な押圧部と、該押圧部と係止爪による係止にて一体化された連結部とを有して構成され、前記案内部は、当該押圧部と連結部とを係止爪にて係止させ得る開口が形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の車両用操作装置において、前記ケース部は、前記開口を介して前記係止爪による係止状態を視認させ得る窓部が形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れか1つに記載の車両用操作装置において、隣接する前記操作ノブの間に仕切り部が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、操作部は、押圧操作により操作ワイヤを引っ張り操作して車両が具備する構成部品を作動し得る複数の操作ノブから成るので、車両が具備する構成部品を略同時に作動させることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、構成部品は、車両の着座シートをロックするロック機構、及び燃料タンクのリッドを開閉する開閉機構から成り、一方の操作ノブを押圧操作することによりロック機構のロックを解除するとともに、他方の操作ノブを押圧操作することにより開閉機構にて前記リッドを開状態とするので、給油時等において、ロック機構及び開閉機構を同時に操作することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、ケース部に固定されるとともに、操作ワイヤの先端を係止する係止部及び付勢手段の他端を保持する第2保持部が形成された固定部を具備したので、操作ワイヤを係止する係止機能と、付勢手段の他端を保持する保持機能とを固定部にて兼用させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、第1保持部又は第2保持部は、その突端又は側面が弧状に形成されたので、付勢手段の組み付け時又は操作ノブに対する付勢力の付与時、付勢手段が第1保持部又は第2保持部と干渉して損傷してしまうのを抑制することができるとともに、円滑な押圧操作を行わせることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、操作ノブは、押圧操作が可能な押圧部と、該押圧部と係止爪による係止にて一体化された連結部とを有して構成され、案内部は、当該押圧部と連結部とを係止爪にて係止させ得る開口が形成されたので、案内部の強度を維持しつつ押圧部と連結部とを係止爪にて確実且つ容易に係止させることができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、ケース部は、開口を介して係止爪による係止状態を視認させ得る窓部が形成されたので、ケース部に操作ノブが組み付けられた状態において、押圧部と連結部との係止爪による係止を容易に確認することができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、隣接する前記操作ノブの間に仕切り部が形成されたので、意図せず隣接する操作ノブを略同時に押圧してしまうのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用操作装置を示す外観図
【
図3】同車両用操作装置のイグニッションスイッチ装置と分離した状態を示す斜視図
【
図4】同車両用操作装置のイグニッションスイッチ装置と分離した状態を示す斜視図
【
図5】同車両用操作装置及びイグニッションスイッチ装置の分解斜視図
【
図6】同車両用操作装置及びイグニッションスイッチ装置を示す図であって、(a)ロータが特定位置にあるとき(b)ロータが特定位置にないときを示す模式図
【
図7】同車両用操作装置を示す正面図であって、(a)操作ノブが押圧操作される前(b)操作ノブが押圧操作された後を示す模式図
【
図8】同車両用操作装置におけるケース部を示す斜視図
【
図9】同車両用操作装置におけるケース部を示す3面図
【
図10】同車両用操作装置における固定部を示す5面図
【
図11】同車両用操作装置における操作ノブを示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る車両用操作装置Bは、二輪車に配設されたイグニッションスイッチ装置Aの近傍位置(隣接位置)に取り付けられ、車両が具備する構成部品(本実施形態においては、車両の着座シートをロックするロック機構、及び燃料タンクのリッドを開閉する開閉機構)を作動し得るもので、
図1〜5に示すように、複数(本実施形態においては2つ)の操作ノブG(操作部)と、ケース部3と、固定部4とを有して構成されている。
【0022】
イグニッションスイッチ装置Aは、キー孔Raに挿通されたイグニッションキー(不図示)により回転操作可能なロータRを有したものである。かかるロータRは、シリンダS内で回転可能とされており、例えばオフ位置から右方向に回転するとスイッチ手段Dにて所定の電気回路が形成されて車両のエンジンを始動するオン位置となり、オフ位置から左方向に回転するとロックバーLを突出させて車両のハンドルバーをロックするロック位置となるよう構成されている。
【0023】
さらに、本実施形態に係るイグニッションスイッチ装置Aには、オフ位置とロック位置との間にオープン位置(特定位置)が設定されており、ロータRがオープン位置にあるときに限り、車両用操作装置Bの操作ノブGの操作が可能とされている。すなわち、イグニッションスイッチ装置Aは、ロータRと共に回転するカム部材Cと、該カム部材Cにより車両用操作装置B側に向かって進退可能なロックプレートPと、該ロックプレートPを車両用操作装置Bから離間する方向に付勢するスプリングs1とを有して構成されているのである。
【0024】
しかして、ロータRがオープン位置にあるとき、
図6(a)に示すように、スプリングs1の付勢力によってロックプレートPが操作ノブGから離間した位置に保持され、当該操作ノブGの押圧操作を許容するとともに、ロータRが他の位置(オフ位置、オン位置及びロック位置)にあるとき、同図(b)に示すように、カム部材Cのカム部CaがロックプレートPのカム部Paを押圧することによって当該ロックプレートPを車両用操作装置B側に移動させ、操作ノブGの押圧部1(
図11参照)の下端に係止することによって当該操作ノブGの押圧操作が規制されている。
【0025】
車両用操作装置Bは、イグニッションスイッチ装置Aと隣接した位置(近傍)に取り付けられたもので、操作ノブGと、ケース部3と、固定部4とを有して構成されている。操作ノブG(操作部)は、上述のように、ロータRがオープン位置(特定位置)にあるときに限り押圧操作が可能なもので、押圧操作により操作ワイヤWを引っ張り操作して車両が具備する構成部品を作動し得るものである。
【0026】
本実施形態に係る操作ノブGは、
図11〜13に示すように、押圧操作が可能な押圧部1と、押圧部1と係止爪2aによる係止にて一体化された連結部2とを有して構成されている。具体的には、押圧部1における連結部2との係止位置には、一対のフランジ1bが形成されており、それぞれのフランジ1bに係止孔1aが形成されているとともに、連結部2における各係止孔1aに対応する位置には、一対の係止爪2aが形成されており、所謂スナップフィットにて押圧部1と連結部2とが係止可能とされている。
【0027】
すなわち、押圧部1と連結部2とを一体化させる際、係止爪
2aに押圧されてフランジ1bが僅かに外方に撓んだ後、係止孔1aに係止爪2aが嵌入して係止が図られるのである。なお、本実施形態においては、押圧部1側にフランジ1b及び係止孔1aが形成され、連結部2側に係止爪2aが形成されているが、押圧部1側に係止爪を形成し、連結部2側にフランジ及び係止孔を形成するようにしてもよい。
【0028】
また、連結部2は、
図11、12に示すように、操作ノブを初期位置に向かって付勢する付勢手段としてのスプリングs2(
図2、5参照)を収容可能な凹部2bが形成されるとともに、その凹部2b内には、当該スプリングs2の一端(上端)を保持する第1保持部2cが形成されている。かかる第1保持部2cは、凹部2bの上側壁面から下方に向かって突出形成されたスプリングs2の座部を構成するもので、その突端及び側面が弧状に形成されている。さらに、連結部2における凹部2bの下側壁面には、アウタチューブFの取付金具Faを係止可能な係止部2dが形成されている。
【0029】
ケース部3は、
図8、9に示すように、操作ノブGを押圧操作方向に移動させ得る一対の案内部3aと、これら案内部3aの間に形成された仕切り部3bとを有したもので、イグニッションスイッチ装置Aの側面に固定可能とされている。仕切り部3bは、隣接する操作ノブGの間の位置においてケース部3と一体成形された板状の部位から成り、その突端が操作ノブGの押圧部1の操作面(上面)と略同一高さに設定されている。
【0030】
案内部3aは、操作ノブGを挿通し得る筒状部位から成り、上端部において、押圧部1と連結部2とを係止爪2aにて係止させ得る開口3cが形成されている。すなわち、操作ノブGを組み付ける際、連結部2を案内部3a内に挿通させた状態としつつ当該案内部3aの上部から押圧部1を合致させることにより、係止孔1aに係止爪2aを嵌入させて連結部2に押圧部1を係止させるのであるが、その係止時にフランジ1bが外方に撓み得るよう開口3cが形成されているのである。
【0031】
さらに、本実施形態に係るケース部3は、開口3cを介して係止爪2aによる係止状態を視認させ得る窓部3eが形成されている。すなわち、ケース部3の外周面には、窓部3eが形成されており、この窓部3eから案内部3aの開口3cが視認可能とされているので、これら窓部3e及び開口3cを介して係止爪2aによる係止状態を視認することができるのである。
【0032】
固定部4は、ケース部3の外周面に固定されるもので、
図10に示すように、その両側端に形成された取付部4aと、第2保持部4bと、係止部4cとを有して構成されている。取付部4aには、それぞれネジ孔4aaが形成されており、取付部4aをケース部3に形成された取付部3d(
図8、9参照)と合致させると、取付部3dのそれぞれに形成されたネジ孔3daとネジ孔4aaとが合致するので、それらにネジを挿通することによりケース部3に固定部4が固定されることとなる。
【0033】
第2保持部4bは、付勢手段としてのスプリングs2の他端(下端)を保持するもので、固定部4の所定部位から上方に向かって突出形成されたスプリングs2の座部を構成するものである。すなわち、スプリングs2(付勢手段)は、その一端(上端)が操作ノブGにおける連結部2に形成された第1保持部2cに保持されるとともに、他端(下端)が固定部4に形成された第2保持部4bに保持されて組み付けられ、操作ノブGが押圧操作されると、初期位置に向かう方向に付勢力を付与し得るのである。かかる第2保持部4bは、突出寸法が比較的小さく設定されており、その突端が弧状に形成されている。
【0034】
係止部4cは、2つの操作ワイヤWの先端(係止駒Wa)をそれぞれ係止する切欠き状の部位から成るものである。操作ワイヤWは、操作ノブGのそれぞれに取り付けられており、外周がアウタチューブFにより覆われ、当該アウタチューブF内で摺動可能とされるとともに、各先端が車両の着座シートをロックするロック機構、及び燃料タンクのリッドを開閉する開閉機構(何れも不図示)に接続されている。そして、一方の操作ノブGを押圧操作することによりロック機構のロックを解除するとともに、他方の操作ノブGを押圧操作することにより開閉機構にてリッドを開状態とするよう構成されている。
【0035】
操作ワイヤWは、その端部に太鼓状の係止駒Waが形成されており、当該係止駒Waが固定部4に形成された係止部4c(
図10参照)に接続されるとともに、アウタチューブFは、その端部に取付金具Faが形成されており、当該取付金具Faが操作ノブGにおける連結部2に形成された係止部2d(
図11、12参照)に接続されている。これにより、操作ノブGが押圧操作されると、
図7に示すように、操作ワイヤWの係止駒Waに対してアウタチューブFの取付金具Faが下方に移動することとなり、他端側に接続された着座シートのロック機構又は燃料タンクにおけるリッドの開閉機構を作動させることができる。
【0036】
次に、本実施形態に係る車両用操作装置の作用について説明する。
イグニッションスイッチ装置AにおけるロータRのキー孔Raにイグニッションキーを差し込み、オープン位置(特定位置)まで操作すると、カム部材Cが回転してロックプレートPを操作ノブGから離間した位置まで移動してロックプレートPと操作ノブGとの係止が解かれるので、操作ノブGの押圧操作が可能とされる。
【0037】
この状態で操作ノブGの押圧部1を押圧すると、スプリングs1の付勢力に抗して当該押圧部1及び連結部2が一体的移動(
図7(a)で示した状態から同図(b)で示した状態に移動)するので、操作ワイヤWの係止駒Waに対してアウタチューブFの取付金具Faが下方に移動する。これにより、係止駒Waを引っ張り操作したのと同様の作用が得られるので、操作ワイヤWの他端側に接続された着座シートのロック機構を作動させロックを解除させることができ、或いは燃料タンクにおけるリッドの開閉機構を作動させ、リッドを開状態とすることができる。
【0038】
上記実施形態によれば、ロータRが特定位置にあるときに限り操作が可能な操作部は、押圧操作により操作ワイヤ
Wを引っ張り操作(具体的には、押圧操作により取付金具Faを下方に移動させて、その結果、操作
駒Waを引っ張り操作したのと同様の作用が得られる)して車両が具備する構成部品を作動し得る複数の操作ノブGから成るので、車両が具備する構成部品を略同時に作動させることができる。特に、本実施形態に係る構成部品は、車両の着座シートをロックするロック機構、及び燃料タンクのリッドを開閉する開閉機構から成り、一方の操作ノブGを押圧操作することによりロック機構のロックを解除するとともに、他方の操作ノブGを押圧操作することにより開閉機構にて前記リッドを開状態とするので、給油時等において、ロック機構及び開閉機構を同時に操作することができる。
【0039】
また、ケース部3に固定されるとともに、操作ワイヤWの先端(係止駒Wa)を係止する係止部4c及びスプリングs2(付勢手段)の他端を保持する第2保持部4bが形成された固定部4を具備したので、操作ワイヤWを係止する係止機能と、スプリングs2(付勢手段)の他端を保持する保持機能とを固定部4にて兼用させることができる。さらに、第1保持部2c又は第2保持部4bは、その突端又は側面が弧状に形成されたので、スプリングs2(付勢手段)の組み付け時又は操作ノブGに対する付勢力の付与時、スプリングs2が第1保持部2c又は第2保持部4bと干渉して損傷してしまうのを抑制することができるとともに、円滑な押圧操作を行わせることができる。
【0040】
またさらに、本実施形態に係る操作ノブGは、押圧操作が可能な押圧部1と、該押圧部1と係止爪2aによる係止にて一体化された連結部2とを有して構成され、ケース部3に形成された案内部3aは、当該押圧部1と連結部2とを係止爪2aにて係止させ得る開口3cが形成されたので、案内部3aの強度を維持しつつ押圧部1と連結部2とを係止爪2aにて確実且つ容易に係止させることができる。また、ケース部3は、開口3cを介して係止爪2aによる係止状態を視認させ得る窓部3eが形成されたので、ケース部3に操作ノブGが組み付けられた状態において、押圧部1と連結部2との係止爪2aによる係止を容易に確認することができる。
【0041】
さらに、隣接する操作ノブGの間に仕切り部3bが形成されたので、意図せず隣接する操作ノブGを略同時に押圧してしまうのを回避することができる。なお、本実施形態においては、仕切り部3bがケース部3と一体成形されているが、別体の板状部材を隣接する操作ノブGの間に取り付けるようにしてもよく、更には、隣接した2つの操作ノブGに対する同時押圧操作をより容易とするため、仕切り部3bを具備しないものとしてもよい。
【0042】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば操作ノブG(操作部)を押圧操作することにより、操作ワイヤを引っ張り操作して車両が具備する構成部品を作動し得るものであれば、車両の着座シートをロックするロック機構、及び燃料タンクのリッドを開閉する開閉機構とは異なる他の構成部品を作動するものとしてもよい。また、本実施形態においては、操作ノブGを2つ具備するものとされているが、3つ以上具備するものとしてもよい。
【0043】
さらに、本実施形態に係る操作ノブGは、押圧操作が可能な押圧部1と、該押圧部1と係止爪2aによる係止にて一体化された連結部2とを有して構成されているが、係止爪2aによる係止(所謂スナップフィットによる係止)に代え、ネジ止め等によって一体化されたもの、或いは押圧部と連結部とが一体成形されたもの等としてもよい。また、操作ノブGを初期位置に向かって付勢するスプリングs2に代えて、他の付勢手段としてもよい。なお、適用される車両は、二輪車に限定されず、イグニッションスイッチ装置を有した他の車両に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
押圧操作により操作ワイヤ
を操作して車両が具備する構成部品を作動し得る複数の操作ノブから成る操作部を具備し
、且つ、操作ワイヤは、外周がアウタチューブに覆われ、操作ノブに対応した構成部品のそれぞれに接続されるとともに、アウタチューブの端部が操作ノブに接続され、操作ノブが押圧操作されると、操作ワイヤの先端が固定された状態でアウタチューブの端部が押圧操作方向に移動して構成部品を作動し得る車両用操作装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 押圧部
2 連結部
3 ケース部
4 固定部
A イグニッションスイッチ装置
B 車両用操作装置
G 操作ノブ