(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施形態に係るエレベータを、
図1〜13を用いて説明する。
図1は、エレベータ10を示す正面図である。エレベータ10は、一例として、建築中のビルに設けられている。
図1に示すように、エレベータ10は、一対のポスト20と、ポスト20に設けられるラック30と、ポスト20に沿って昇降可能に設けられるフレーム40と、フレーム40を駆動可能に設けられる駆動部55と、フレーム40に固定される搬器60とを有している。
【0017】
本実施形態では、一例として、一対のポスト20が設けられる。一方のポスト20と他方のポスト20とは、互いに離間して配置されている。ポスト20は、後述される搬器60の走行をガイドする機能を有しており、搬器60を搬送すべき目的地間をつなぐように延びている。本実施形態では、エレベータ10は、搬器60を、地上から上記のビルの各階に搬送可能に構成されており、それゆえ、ポスト20は、地上と上記ビルの最上階とをつなぐように、上下方向Vに平行に延びている。なお、重力が作用する方向を下方向とし、反対方向を上方向として上下方向Vを定める。
【0018】
ポスト20は、本実施形態では一例として、4本の円柱部材21と、各円柱部材21を支持可能に形成される柱部22とを有している。
図14は、
図1中に示すF14−F14線断面に沿って概略的に示すエレベータ10の平断面図である。
図1,14に示すように、柱部22は、一例として、複数の矩形の枠と、複数の矩形の枠を連結する複数の梁とから構成されている。一方のポスト20の柱部22と、他方ポスト20の柱部22とは、地面1に固定されており、上下方向Vに延びている。両柱部22において互いに対向する部位には、それぞれ、ラック30が設けられている。ラック30は、上下方向Vに延びている。
【0019】
一方の柱部22から他方の柱部22へ向かう方向及び他方の柱部22から一方の柱部22へ向かう方向を幅方向Wとする。幅方向Wは、上下方向Vに垂直である。上下方向V及び幅方向Wに垂直な方向を前後方向Fとし、
図1中手前へ向く方向を前方向とし、
図1中の奥へ向かう方向を後方向とする。
【0020】
図14に示すように、円柱部材21は、柱部22の四隅に1本ずつ固定されており、上下方向Vに延びている。柱部22は、円柱部材21を支持している。ここで、各ポスト20の姿勢について説明する。各ポスト20は、柱部22の一辺が前後方向Fに平行となる姿勢で配置されている。このため、柱部22の幅方向内側に固定される2つの円柱部材21は、前後方向Fに並び、柱部22の幅方向外側に固定される2つの円柱部材21も、前後方向Fに並ぶ。
【0021】
図2は、フレーム40を示す正面図であり、図中の(a)は左側部分を示し、(b)は右側部分を示している。
図3は、フレーム40が分解された状態を示す正面図であり、図中の(a)は左側部分を示し、(b)は右側部分を示している。
図2,3に示すように、フレーム40は、後述される駆動部55の駆動部用電動モータ57が固定される駆動フレーム41と、駆動フレーム41の下端部に連結されるガバナフレーム42とを有している。
図3は、駆動フレーム41に対してガバナフレーム42が取り外された状態を示している。
【0022】
図1に示すように、駆動フレーム41は、一方のポスト20に対してスライド可能に連結される第1の駆動フレーム43と、他方のポスト20に対してスライド可能に連結される第2の駆動フレーム44とを有している。
【0023】
第1の駆動フレーム43と第2の駆動フレーム44とは、左右対称に同じ構造であるので、第1の駆動フレーム43を代表して説明する。第2の駆動フレーム44の各構成には、第1の駆動フレーム43の構成要素と同一の符号を付して説明を省略する。
【0024】
第1の駆動フレーム43は、駆動部用電動モータ57が固定される駆動フレーム本体45と、駆動フレーム本体45をポスト20に連結可能に形成される4つの第1の連結部46aと、駆動フレーム本体45をポスト20に連結可能に形成される4つの第2の連結部46bとを有している。
【0025】
駆動フレーム本体45は、一例として、リップなしC型鋼で形成されており、ポスト20に沿って延びている。第1の連結部46aは、駆動フレーム本体45の上端部の前後端部のそれぞれと、駆動フレーム本体45の下端部の前後端部のそれぞれとに、1つずつ設けられている。
図1,2,3は、正面図であるため、前端部に設けられる第1の連結部46aのみが示されている。
【0026】
図14は、駆動フレーム本体45の上端部に設けられる2つの第1の連結部46aを示している。
図14中に、範囲F14内を拡大して示している。範囲F14は、第1の連結部46aが円柱部材21に連結されている状態を示している。
【0027】
図14に示すように、各第1の連結部46aは、ポスト20の円柱部材21に対してスライド可能に形成されている。具体的には、第1の連結部46aは、第1の基部200と、第1の基部200に回動可能に支持される、円柱部材21を幅方向Wに挟持する回動可能な一対の第1のローラ201とを有している。第1の基部200は、駆動フレーム本体45に固定されている。第1のローラ201は、内側が凹む形状である。円柱部材21が第1のローラ201の凹み内に収容されることによって、2つの第1のローラ201が円柱部材21を挟持する。2つの第1のローラ201が円柱部材21を挟持することによって、第1の連結部46aが円柱部材21に係合される。搬器60が昇降する際に、各第1のローラ201が円柱部材21に対して回動することによって、搬器60がスムーズに昇降可能となる。
【0028】
駆動フレーム本体45の上端部と下端部との前端部に設けられる第1の連結部46aは、柱部22の幅内側に固定される2つの円柱部材21のうち前方に配置される円柱部材21に、第1のローラ201を介して連結されている。また、駆動フレーム本体45の上端部及び下端部の後端部に設けられる第1の連結部46aは、柱部22の幅内側に固定される2つの円柱部材21のうち、後方に配置される円柱部材21に第1のローラ201を介して連結されている。
【0029】
第2の連結部46bは、駆動フレーム本体45において、上端部に設けられる第1の連結部46aよりも上側の部分の前後端部に、1つずつ設けられている。また、第2の連結部46bは、駆動フレーム本体45において、下端部に設けられる第1の連結部46aよりも下側の部分の前後端部に、1つずつ設けられる。
【0030】
図15は、
図1に示すF15−F15線断面に沿って概略的に示すエレベータ10の平断面図である。
図15は、駆動フレーム本体45の上端部に設けられる第2の連結部46bを示している。
図15中に、範囲F15を拡大して示している。範囲F15は、2つの第2の連結部46bによって、柱部22の幅方向内側に固定される2つの円柱部材21が前後方向に挟持されている状態を示している。
【0031】
図15に示すように、第2の連結部46bは、第2のローラ202と、第2のローラ202を回動可能に支持する第2の基部203とを有している。第2の基部203は、駆動フレーム本体45に固定されている。
【0032】
前方に配置される第2の連結部46bの第2のローラ202は、柱部22の幅方向内側に固定される2つの円柱部材21のうち、前方に配置される円柱部材21に、前方から後方に向かって係合している。なお、第2のローラ202は、内側が凹む形状である。円柱部材21が第2のローラ202の凹み内に収容されることによって、第2のローラ202が円柱部材21に係合される。
【0033】
後方に配置は位置される第2の連結部46bの第2のローラ202は、柱部22の幅方向内側に固定される2つの円柱部材21のうち、後方に配置される円柱部材21に、後方から前方に向かって係合している。
【0034】
このように、前後方向Fに並ぶ2つの第2の連結部46bによって、2つの円柱部材21を前後方向Fに挟持している。駆動フレーム本体45の下端部に設けられる2つの第2の連結部46bによっても、
図15と同様に2つの円柱部材21が前後方向Fに挟持される。搬器60が昇降する際に、各第2のローラ202が円柱部材21に対して回動することによって、搬器60がスムーズに昇降可能となる。
【0035】
ガバナフレーム42は、第1の駆動フレーム43に連結される第1のガバナフレーム47と、第2の駆動フレーム44に連結される第2のガバナフレーム48とを有している。なお、第1のガバナフレーム47と第2のガバナフレーム48とは左右対称に同じ構造であるので、第1のガバナフレーム47を代表して説明する。第2のガバナフレーム48の構成要素は、第1のガバナフレーム47の構成要素と同一であるので、第2のガバナフレーム48の各構成は、第1のガバナフレーム47の構成要素と同じ符号を付す。
【0036】
第1のガバナフレーム47は、ガバナフレーム本体49と、ガバナフレーム本体49をポスト20に対して連結可能に形成される4つの第1の連結部46aと、ガバナフレーム本体49をポスト20に対して連結可能に形成される4つの第2の連結部46bとを有している。ガバナフレーム本体49は、一例として、リップなしC型鋼で形成されており、ポスト20に沿って延びている。第1の連結部46a及び第2の連結部46bは、駆動フレーム41に設けられる第1の連結部46a及び第2の連結部46bと同じものであるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
第1の連結部46aは、ガバナフレーム本体49の上端部の前後端部のそれぞれと、ガバナフレーム本体49の下端部の前後端部のそれぞれとに、1つずつ設けられている。ガバナフレーム本体49に固定される第1の連結部46aでは、第1の基部200がガバナフレーム本体49に固定される。
【0038】
ガバナフレーム本体49の前端部に設けられる第1の連結部46aは、柱部22の幅方向内側に固定される2本の円柱部材21のうち、前方に配置される円柱部材21に第1のローラ201を介して連結されている。搬器60が昇降する際に、第1のローラ201が円柱部材21に対して回動することによって、搬器60がスムーズに昇降可能となる。
【0039】
ガバナフレーム本体49の後端部に設けられる2つの第1の連結部46aは、柱部22の幅方向内側に固定される2本の円柱部材21のうち、後方に配置される円柱部材21に第1のローラ201を介して連結されている。各第1の連結部46aの2つの第1のローラ201が円柱部材21を幅方向に挟持する。
【0040】
第2の連結部46bは、ガバナフレーム本体49の上端部において第1の連結部46aよりも上側の部分の前後端部のそれぞれに1つずつ設けられている。また、第2の連結部46bは、ガバナフレーム本体49の下端部において第1の連結部46aよりも下側の部分の前後端部のそれぞれに1つずつ設けられている。ガバナフレーム本体49に固定される第2の連結部46bでは、第2の基部203がガバナフレーム本体49に固定されている。
【0041】
前方に配置される第2の連結部46bの第2のローラ202は、柱部22の幅方向内側に固定される2つの円柱部材21のうち、前方に配置される円柱部材21に、前方から後方に向かって係合している。後方に配置は位置される第2の連結部46bの第2のローラ202は、柱部22の幅方向内側に固定される2つの円柱部材21のうち、後方に配置される円柱部材21に、後方から前方に向かって係合している。
【0042】
このように、前後方向に並ぶ2つの第2の連結部46bによって、2つの円柱部材21を前後方向Fに挟持している。
【0043】
第1の駆動フレーム43と第1のガバナフレーム47とは、前後方向Fに一対のリンク部材50によって互いに連結されている。第2の駆動フレーム44と第2のガバナフレーム48とは、一対のリンク部材50によって互いに連結されている。
【0044】
第1の駆動フレーム43と第1のガバナフレーム47とを互いに連結する連結構造と、第2の駆動フレーム44と第2のガバナフレーム48とを互いに連結する連結構造とは、同じである。このため、第1の駆動フレーム43と第1のガバナフレーム47とを互いに連結する連結構造を代表して説明する。
【0045】
第1のガバナフレーム47は、一対のリンク部材50によって、第1の駆動フレーム43に連結される。リンク部材50は、直線形状である。リンク部材50の一端部には、リンク部材50を貫通する第1の貫通孔51が形成されている。リンク部材50の他端部には、リンク部材50を貫通する第2の貫通孔52が形成されている。
【0046】
駆動フレーム本体45の下端部には、駆動フレーム本体45を前後方向Fに貫通する第3の貫通孔45aが形成されている。第1のガバナフレーム47のガバナフレーム本体49の上端部には、ガバナフレーム本体49を前後方向Fに貫通する第4の貫通孔49aが形成されている。
【0047】
なお、本実施形態では、ポスト20は、一例として、1本の柱部22と、4本の円柱部材21とを有している。そして、4本の円柱部材は、上下方向Vに垂直な平断面が矩形となる柱部22の4隅に1本ずつ配置されている。
【0048】
このため、ポスト20の姿勢を、第1の連結部46aと第2の連結部46bとが連結される2本の円柱部材21を幅方向内側にする姿勢とする調整する作業を、簡単にすることができる。
【0049】
ポスト20は、他の例として、例えば、柱部22と、円柱部材として第1の連結部46aと第2の連結部46bとが連結される2本の円柱部材21のみとを有してもよい。
【0050】
一対のリンク部材50は、一端部の第1の貫通孔51が駆動フレーム本体45の下端部の第3の貫通孔45aと連通する状態で、これらの間に前後方向Fに駆動フレーム本体45の下端部を挟んでいる。そして、一対のリンク部材50の一端部の第1の貫通孔51と、駆動フレーム本体45の下端部の第3の貫通孔45aとに第1の軸部材53が挿入される。
【0051】
第1の軸部材53は、リンク部材50に対して駆動フレーム本体45が第1の軸部材53回りに回動可能となるように形成されている。一例として、本実施形態では、第1の軸部材53は、貫通孔51,45aに対して若干小さく形成されており、それゆえ、駆動フレーム本体45がリンク部材50に対して回動可能である。なお、第1の軸部材53と貫通孔51,45aとの間には、第1の軸部材53が貫通孔51,45aから抜けることを防止する構造が設けられている。
【0052】
また、一対のリンク部材50は、他端部の第2の貫通孔52がガバナフレーム本体49の上端部の第4の貫通孔49aと連通する状態で、これらの間に前後方向Fにガバナフレーム本体49の上端部を挟んでいる。そして、一対のリンク部材50の他端部の第2の貫通孔52と、ガバナフレーム本体49の上端部の第4の貫通孔49aとに第2の軸部材54が挿入される。
【0053】
第2の軸部材54は、リンク部材50に対してガバナフレーム本体49が第2の軸部材54回りに回動可能となるように形成されている。一例として、本実施形態では、第2の軸部材54は、貫通孔52,49aに対して若干小さく形成されており、それゆえ、ガバナフレーム本体49は、リンク部材50に対して回動可能である。なお、第2の軸部材54と貫通孔52,49aとの間には、第2の軸部材54が貫通孔52,49aから抜けることを防止する構造が設けられている。
【0054】
駆動部55は、第1の駆動フレーム43と第2の駆動フレーム44とに、それぞれ1つずつ設けられている。第1の駆動フレーム43に設けられる駆動部55を代表して説明する。
【0055】
駆動部55は、ラック30に歯合可能に形成されるピニオン56と、駆動源の一例である駆動部用電動モータ57と、駆動部用電動モータ57の出力軸の回動を減速してピニオン56に伝達可能に構成される減速機58とを有している。ラック30と、ピニオン56と、減速機58と、駆動部用電動モータ57との連結について、概略図を、
図1中の範囲F1内に示している。駆動部用電動モータ57と減速機58とは、一体に構成されており、駆動フレーム本体45の上端部に固定されている。
【0056】
また、第1の駆動フレーム43と第2の駆動フレーム44とには、第1の駆動フレーム43の昇降と第2の駆動フレーム44の昇降とを同期させる連結管59が設けられている。連結管59は、第1の駆動フレーム43と第2の駆動フレーム44とにわたって設けられている。
【0057】
図4は、搬器60を示す正面図である。
図5は、
図4に示すF5−F5線断面に沿って示す搬器60の断面図である。
図4,5に示すように、搬器60は、内部に作業員や荷物を収容可能な収容空間が規定されるとともに乗降用の開口62が正面に形成される搬器本体61と、開口62を開閉可能に構成される扉70と、開口62に対する扉70の開閉を案内可能に形成される扉ガイド機構80(
図6に示す)と、扉70を開閉可能に構成される扉開閉機構90と、搬器本体61の下端部に設けられる踏板100と、踏板100を開閉可能に構成される踏板開閉機構110とを有している。なお、乗降とは、荷物の積込みや積降し及び人の乗り降りを含む概念である。
【0058】
搬器本体61は、底壁部63と、一対の側壁部64,65と、後壁部66と、天井壁部67とを有している。後壁部は、底壁部63の後端から上方に延びている。一方の側壁部64は、底壁部63の一方の幅方向側端から上方に延びている。他方の側壁部65は、底壁部63の他方の幅方向側端から上方に延びている。天井壁部67は、後壁部66の上端と、両側壁部64,65の上端とに連結されており、底壁部63に対向している。開口62は、底壁部63の前端縁と、両側壁部64,65の前端縁と、天井壁部67の前端縁とによって規定されている。
【0059】
搬器本体61は、ガバナフレーム42に固定されている。このため、駆動部55と連結管59とは、搬器本体61に対して上方に位置している。搬器本体61は、搬器60の下端63bがガバナフレーム本体49の下端49bより下方に位置するように、ガバナフレーム本体49に固定されている。下端63bは、本実施形態では、底壁部63の下面の近傍である。
【0060】
なお、下端63bの位置は、搬器60の構造によって異なる。例えば、底壁部63の下面が搬器本体61の下端63bとなる構造もある。または、両側壁部64,65の下端が底壁部63よりも下方に突出する構造の場合は、側壁部64,65の下端が搬器本体61の下端63bとなる。または、下扉72の下端が下端63bとなる構造もある。
【0061】
具体的には、搬器本体61の一方の側壁部65は、下端63bが、第1のガバナフレーム47の下端49bよりも下方に位置するように、第1のガバナフレーム47に固定されている。他方の側壁部64は、下端63bが第2のガバナフレーム48の下端49bよりも下方に位置するように、第2のガバナフレーム48に固定されている。
【0062】
このように、駆動部55と連結管59とを搬器本体61の底壁部63の上面63aよりも上方に配置するとともに、搬器60の下端63bをガバナフレーム42の下端49bよりも下方に配置することによって、搬器60の下端63bから、搬器本体61の底壁部63の上面63aまでの長さを、小さくすることができる。
【0063】
扉70は、開口62の上側半分の範囲を開閉可能に形成される上扉71と、開口62の下側部分の範囲を開閉可能に形成される下扉72とを有している。なお、本実施形態では、開口62の下端縁近傍の範囲は、後述される踏板100によって、開閉されるため、下扉72は、開口62の下側半分の範囲のうち、踏板100によって開閉される範囲を除いた範囲を開閉可能に形成されている。
【0064】
上扉71は、開口62の上側半分の範囲を前後方向Fに覆うことが可能な大きさを有しており、一例として、平面形状が矩形である。下扉72は、開口62の下側半分の範囲のうち踏板100によって開閉される範囲を除いた範囲を前後方向Fに覆うことが可能な大きさを有しており、一例として、平面形状が矩形である。上扉71の上下方向Vの長さと下扉72の上下方向Vの長さとは、略同じである。また、上扉71及び下扉72の幅方向Wの両端部については、後で具体的に説明する。
【0065】
上扉71が、前後方向Fに見たときに、開口62の上側半分の範囲を覆う位置にある状態を、上扉71が上扉用閉位置P1にある状態とする。上扉71が開口を開く位置にある状態を、上扉71が上扉用開位置P2(
図12に示す)にある状態とする。上扉用開位置P2は、上扉用閉位置P1に対して上方の位置である。
【0066】
下扉72が、前後方向Fに見たときに、開口62の下側半分の範囲のうち踏板100によって開閉される範囲を除いた範囲を覆う位置にある状態を、下扉72が下扉用閉位置P3にある状態とする。下扉72が開口62を開く位置にある状態を、下扉72が下扉用開位置P4(
図12に示す)にある状態とする。つまり、下扉用開位置P4は、上扉用開位置P2と上下方向Vに略同じ位置である。下扉用開位置P4は、下扉用閉位置P3に対して上方の位置である。
【0067】
上扉71が上扉用開位置P2にあり、かつ、下扉72が下扉用開位置P4にある状態は、扉70が開位置にある状態である。扉70が開位置にある状態とは、扉70が全開となる状態である。なお、ここで言う全開となる状態とは、扉70が予め設定される最大に開いた位置まで開いた状態にあることを示す。
【0068】
上扉71が上扉用閉位置P1にあり、かつ、下扉72が下扉用閉位置P3にある状態は、扉70が閉位置にある状態である。扉70が閉位置にある状態とは、予め設定される、開口62を最も閉じた位置にある状態にあることを示す。本実施形態では、上述したように、開口62の下端縁近傍の範囲は、後述される踏板100によって開閉される。このため、本実施形態では、扉70が開口62を最も閉じる位置とは、開口62において踏板100によって開閉される範囲を除いた範囲を覆う位置である。
【0069】
図6は、
図4に示すF6−F6線断面に沿って示す搬器60の断面図である。
図6は、搬器60の幅方向Wの一端部の前端部を示している。より具体的には、
図6は、上扉71及び下扉72の側端部と、その周囲を示している。
図6に示すように、下扉72は、上扉71に対して後方に配置されている。上扉71は、下扉72に対して幅方向Wに長い。このため、上扉71の幅方向両端は、下扉72の幅方向両端よりも幅方向外側に突出している。なお、
図6では、上扉71の幅方向Wの一端部を示しているが、他端部においても同様である。扉70は、後述される扉ガイド機構80によって、搬器本体61に支持されている。
【0070】
扉ガイド機構80は、上扉71の開閉動作、言い換えると上下方向Vの移動を案内可能に形成される上扉用ガイドレール81と、下扉72の開閉動作、言い換えると上下方向Vの移動を案内する可能に形成される下扉用ガイドレール82と、上扉71に設けられる上扉用ガイドローラ83と、下扉72に設けられる下扉用ガイドローラ84とを有している。
【0071】
上扉用ガイドレール81は、上扉71の幅方向両端の近傍にそれぞれ1本ずつ配置されており、搬器本体61に固定されている。上扉用ガイドレール81は、少なくとも、上扉用閉位置P1と上扉用開位置P2との間の上扉71の移動を案内可能な長さを有している。本実施形態では、上扉用ガイドレール81は、一例として、搬器本体61の下端から上端まで延びている。上扉用ガイドレール81は、幅方向内側に開口する凹形状である。
【0072】
上扉用ガイドローラ83は、上扉71の幅方向両端部にそれぞれ設けられている。上扉用ガイドローラ83の回動軸は、幅方向Wに平行である。上扉71の幅方向一端部と他端部のそれぞれに設けられる上扉用ガイドローラ83の数は、1つでも、または、複数でもよい。
【0073】
上扉用ガイドローラ83は、上扉用ガイドレール81内に収容されている。上扉用ガイドローラ83は、上扉用ガイドレール81内に嵌まる大きさを有している。上扉71が上下方向Vに移動する際に、上扉用ガイドローラ83が上扉用ガイドレール81の内面に接触することによって回動するので、上扉71の上下方向Vの移動が、上扉用ガイドレール81によって案内される。また、上扉用ガイドローラ83によって、上扉71の上下方向Vの移動がスムーズになる。
【0074】
なお、上扉用ガイドローラ83の大きさは、上扉用ガイドレール81に嵌まる大きさではなく、上扉用ガイドレール81内の収容空間に対して小さくてもよい。上扉用ガイドローラ83の大きさは、上扉71の上下移動をスムーズに案内できるように設定されている。
【0075】
下扉用ガイドレール82は、下扉72の幅方向両端の近傍にそれぞれ1本ずつ配置されており、搬器本体61に固定されている。下扉用ガイドレール82は、少なくとも、下扉用閉位置P3と下扉用開位置P4との間の下扉72の移動を案内可能な長さを有している。本実施形態では、下扉用ガイドレール82は、一例として、搬器本体61の下端から上端まで延びている。下扉用ガイドレール82は、幅方向内側に開口する凹形状である。
【0076】
下扉用ガイドローラ84は、下扉72の幅方向両端部にそれぞれ設けられている。下扉用ガイドローラ84の回動軸は、幅方向に平行である。下扉72の幅方向一端部と他端部のそれぞれに設けられる下扉用ガイドローラ84の数は、1つでも、または、複数でもよい。
【0077】
下扉用ガイドローラ84は、下扉用ガイドレール82内に収容されている。下扉用ガイドローラ84は、下扉用ガイドレール82内に嵌まる大きさを有している。下扉72が上下方向Vに移動する際に、下扉用ガイドローラ84が下扉用ガイドレール82の内面に接触することによって回動するので、下扉72の上下方向Vの移動が、下扉用ガイドレール82によって案内される。また、下扉用ガイドローラ84によって、下扉72の上下方向Vの移動がスムーズになる。
【0078】
なお、下扉用ガイドローラ84の大きさは、下扉用ガイドレール82に嵌まる大きさではなく、下扉用ガイドレール82内の収容空間に対して小さくてもよい。下扉用ガイドローラ84の大きさは、下扉72の上下移動をスムーズに案内できるように設定されている。
【0079】
図7は、
図5に示す断面図の概略図であり、扉開閉機構90を概略的に示している。扉開閉機構90について、
図7を用いて説明する。
図7では、上扉用閉位置P1にある上扉71は、2点鎖線で示されており、上扉用閉位置P1より上方であってかつ上扉用開位置P2よりも下方にある上扉71が実線で示されている。また、下扉用閉位置P3にある下扉72は、2点鎖線で示されており、下扉用閉位置P3よりも上方であってかつ下扉用開位置P4よりも下方にある下扉72が実線で示されている。
【0080】
図7に示すように、扉開閉機構90は、回動自由に形成される扉開閉機構用滑車91と、扉開閉機構用滑車91を回動可能に形成される扉開閉機構用電動モータ92と、扉開閉機構用滑車91に回し掛けられて一端部が下扉72の上端部に連結される扉開閉機構用チェーン93と、扉開閉機構用チェーン93の他端部に連結される開閉機構用カウンターウェイト94と、下扉72の下端部に設けられる扉開閉機構用係合部95を有している。
【0081】
扉開閉機構用滑車91は、搬器本体61、または、搬器60と一体に昇降する部分に回動可能に支持されている。本実施形態では、扉開閉機構用滑車91は、一例として、搬器本体61の一方の側壁部65に回動可能に連結されている。他の例としては、扉開閉機構用滑車91は、例えばフレーム40に回動可能に支持されてもよい。
【0082】
扉開閉機構用滑車91の回動軸は、幅方向Wに平行である。扉開閉機構用滑車91の周縁部には、後述される扉開閉機構用チェーン93が係合可能な溝が形成されている。
【0083】
扉開閉機構用電動モータ92は、搬器本体61の底壁部63の上面63aよりも上方に配置されており、例えば駆動フレーム41に固定されている。扉開閉機構用電動モータ92は、扉開閉機構用滑車91を回動可能に形成されている。扉開閉機構用電動モータ92の出力軸は、例えば、減速機構を介して扉開閉機構用滑車91に連結されている。扉開閉機構用電動モータ92の出力軸の回動は、上記の減速機構を介して、扉開閉機構用滑車91に伝達される。
【0084】
扉開閉機構用チェーン93は、扉開閉機構用滑車91に回し掛けられている。扉開閉機構用チェーン93は、扉開閉機構用滑車91の周縁に形成される溝に係合可能に形成されている。このため、扉開閉機構用チェーン93は、扉開閉機構用滑車91が回動すると、この回動に伴って、扉開閉機構用滑車91に対して前側または後側に繰り出される。
【0085】
扉開閉機構用チェーン93の一端部は、下扉72の上端部に固定されている。上述したように、下扉72は、上扉71に対して後方に配置されており、それゆえ、下扉72は、上下方向Vに上扉71に重なっていない。このため、扉開閉機構用チェーン93を下扉72の上端部に固定することができる。
【0086】
また、扉開閉機構用滑車91は、扉開閉機構用チェーン93のうち、扉開閉機構用滑車91で折り返された前側の部分が上下方向Vに平行に延びるように考慮された位置に配置されている。
【0087】
開閉機構用カウンターウェイト94は、扉開閉機構用チェーン93の他端部に連結されている。なお、
図7中では、下扉72が下扉用閉位置P3にあるときの開閉機構用カウンターウェイト94は、2点鎖線で示されている。開閉機構用カウンターウェイト94は、下扉72と略同じ重さを有している。
【0088】
扉開閉機構用係合部95は、下扉72の下端部に設けられている。扉開閉機構用係合部95は、下扉72の前面から前方に突出しており、下扉72が上扉71と前後方向Fに重なる位置まで上方に移動すると、上扉71の下端に下方から上方に向かって当接可能に形成されている。具体的には、扉開閉機構用係合部95は、上下方向に上扉71と重なる位置まで突出している。扉開閉機構用係合部95は、本実施形態では一例として、下扉72の下端縁部に、幅方向Wの一端から他端にわたって延びている。
【0089】
図8は、上扉71が上扉用閉位置P1にあり、かつ、扉開閉機構用係合部95が上扉71の下端縁に当接する位置まで移動した状態の搬器60を示す正面図である。
図8では、開口62において下扉72によって覆われる範囲が開いた状態を示している。
【0090】
図8に示すように、搬器本体61の下端部には、踏板100が設けられている。踏板100は、板形状である。踏板100は、搬器本体61内に収容されており、一方の側壁部64から他方の側壁部65まで延びる長さを有している。
【0091】
図7に示すように、踏板100は、支持部101によって、搬器本体61に回動可能に支持されている。なお、他の例としては、踏板100は、搬器本体61と一体に昇降する部分に支持部101によって回動可能に支持されてもよい。他の例としては、踏板100は、フレーム40に、支持部101によって回動可能に支持されてもよい。
【0092】
踏板100の回動軸は、幅方向Wに平行である。踏板100は、踏板用閉位置P6と、踏板100が開口62を通して搬器本体61の外側に突出する踏板用開位置P7との間で回動可能に、支持部101によって支持されている。踏板用開位置P7では、踏板100は、その上面が上下方向Vに対して略垂直となる姿勢となる。
【0093】
踏板用閉位置P6は、搬器60の上下移動の際に、踏板100が建築中のビルの各フロアの床や天井に接触することがないように、搬器本体61内の収容空間に向かって退避した位置である。なお、本実施形態では、踏板100は、踏板用閉位置P6にある状態では、開口62の下端縁近傍の範囲を前後方向Fに覆う機能も有している。このため、踏板100は、踏板用閉位置P6では、上下方向Vに略平行な姿勢となる。
【0094】
支持部101は、踏板100の踏板用閉位置P6側から踏板用開位置P7に向かって回動するとき、踏板用開位置P7で回動を止めるストッパ機能を有している。なお、このストッパ構造は、支持部101ではなく、搬器本体61に設けられてもよい。
【0095】
搬器本体61の両側壁部64,65の下端部には、戻りばね102が設けられている。戻りばね102は、例えばスプリングばねであって、その軸線が前後方向Fに平行となる姿勢で配置されている。また、戻りばね102は、踏板用閉位置P6にある踏板100に対して後方から当接可能に形成されている。
【0096】
踏板開閉機構110は、扉70の開閉に連動して、踏板100を開閉可能に構成されている。具体的には、踏板開閉機構110は、回動可能に形成される第1の踏板開閉機構用滑車111と、第2の踏板開閉機構用滑車112と、踏板開閉機構用滑車111,112に回し掛けられて一端部が踏板100に連結される踏板開閉機構用チェーン113と、踏板開閉機構用チェーン113の他端部に設けられる第1の踏板開閉機構用係合部114と、上扉71に設けられて第1の踏板開閉機構用係合部114に係合可能に形成される第2の踏板開閉機構用係合部115とを有している。
【0097】
第1の踏板開閉機構用滑車111は、例えば、搬器本体61の幅方向外側において扉開閉機構用滑車91の近傍に配置されており、例えば搬器本体61の側壁部65に回動可能に支持されている。なお、第1の踏板開閉機構用滑車111は、搬器本体61、または、搬器60と一体に昇降する部分に回動可能に支持されればよい。他の例としては、第1の踏板開閉機構用滑車111は、例えば、搬器本体61ではなく、搬器60と一体に昇降するフレーム40に回動可能に支持されてもよい。
【0098】
図5と、後述される
図9,11,13では、踏板開閉機構110をわかりやすく示すために、踏板開閉機構110の近傍に配置される扉開閉機構90は、省略されている。なお、本実施形態では、踏板開閉機構110は、搬器本体61の幅方向外側において、扉開閉機構90と同じ側に配置されている。他の例としては、踏板開閉機構110は、扉開閉機構90が設けられる側に対して幅方向反対側に設けられてもよい。
【0099】
第1の踏板開閉機構用滑車111は、本実施形態では、一例として、搬器本体61の側壁部64において扉開閉機構用滑車91の近傍に回動可能に支持されている。第1の踏板開閉機構用滑車111は、下扉72よりも後方に配置されている。また、第1の踏板開閉機構用滑車111は、踏板100の支持部101よりも後方に位置している。
【0100】
第1の踏板開閉機構用滑車111の回動軸は、幅方向Wに平行である。第1の踏板開閉機構用滑車111の周縁には、後述される踏板開閉機構用チェーン113が係合可能な溝が形成されている。
【0101】
第2の踏板開閉機構用滑車112は、本実施形態では、一例として、第1の踏板開閉機構用滑車111と同じものが用いられている。第1の踏板開閉機構用滑車111の径と第2の踏板開閉機構用滑車112の径は、同じである。第2の踏板開閉機構用滑車112は、搬器本体61の幅方向外側において第1の踏板開閉機構用滑車111が配置される側に配置されている。
【0102】
第2の踏板開閉機構用滑車112は、搬器本体61、または、搬器60と一体に昇降する部分に、回動可能に支持されている。第2の踏板開閉機構用滑車112の回動軸は、幅方向Wに平行である。第2の踏板開閉機構用滑車112は、本実施形態では、一例として、側壁部65に回動可能に支持されている。他の例としては、搬器本体61ではなく、例えば、搬器60と一体に昇降するフレーム40に回動可能に支持されてもよい。
【0103】
踏板開閉機構用滑車111,112の回動軸は、互いに上下方向Vに並んでいる。第2の踏板開閉機構用滑車112の周縁には、後述される踏板開閉機構用チェーン113が係合可能な溝が形成されている。
【0104】
踏板開閉機構用チェーン113は、踏板開閉機構用滑車111,112に回しかけられており、踏板開閉機構用滑車111,112に係合している。踏板開閉機構用滑車111,112が同じものであり、かつ、踏板開閉機構用滑車111,112の回動軸が互いに上下方向Vに並んでいるため、踏板開閉機構用チェーン113において第1の踏板開閉機構用滑車111と第2の踏板開閉機構用滑車112との間の部分は、上下方向Vに平行に延びている。
【0105】
踏板開閉機構用チェーン113において第1の踏板開閉機構用滑車111を挟んで後側の部分の端部は、踏板100の端部に連結されている。ここで言う端部は、踏板100の部材幅方向において支持部101に対して反対側に位置する端部であり、踏板100が踏板用開位置P7にあるとき搬器本体61の外側に突出する先端部である。なお、踏板100の部材幅方向とは、踏板100が搬器本体61に取り付けられる前の状態における、踏板100自体の幅方向であり、搬器本体61に取り付けられ、踏板用開位置P7にある状態では、前後方向Fとなる。
【0106】
踏板100において、踏板用開位置P7にあるとき搬器本体61の外側に突出する先端部は、側面視(幅方向Wに見た状態)で支持部101に対して搬器本体61の外側に突出する先端側の部分の一例である。
【0107】
なお、踏板開閉機構用チェーン113は、上述の端部に連結されることに限定されるものではない。踏板開閉機構用チェーン113は、踏板用開位置P7にある踏板100において、支持部101の回動軸Aに対して前側の部分に連結されればよい。言い換えると、踏板開閉機構用チェーン113は、踏板100において、踏板用開位置P7にあるときに外側に突出する先端と、回動中心となる回動軸Aとの間の部分に連結されればよい。
【0108】
踏板開閉機構用チェーン113が、踏板100において、踏板用開位置P7にあるときに外側に突出する先端と、回動中心となる回動軸Aとの間の部分に連結されることによって、踏板開閉機構用チェーン113を介して踏板用開位置P7にある踏板100を引っ張ることによって、踏板100を踏板用開位置P7から踏板用閉位置P6まで回動することが可能となる。
【0109】
踏板100において踏板用開位置P7にあるときに外側に突出する先端と回動中心となる回動軸Aとの間の部分の他の例としては、上記の端部の近傍であってもよい。なお、踏板開閉機構用チェーン113が上記の端部に設けられることによって、踏板100の開閉を比較的小さい力で開閉することができるようになる。
【0110】
踏板開閉機構用チェーン113において踏板100に連結される端部は、幅方向W回りに回動可能に踏板100に連結されている。このため、踏板100が踏板用閉位置P6と踏板用開位置P7との間を回動する際に、踏板開閉機構用チェーン113において踏板100に連結される端部が、踏板100の回動に合わせて回動すると共に、踏板開閉機構用チェーン113には後述するように張力が付与されるので踏板開閉機構用チェーン113が屈曲することが防止される
第1の踏板開閉機構用係合部114は、踏板開閉機構用チェーン113において、第1の踏板開閉機構用滑車111を挟んで前側の部分の端部に固定されている。第1の踏板開閉機構用係合部114は、踏板開閉機構用チェーン113を張った状態にすべく踏板開閉機構用チェーン113に張力を付すとともに、踏板用開位置P7にある踏板100を踏板用閉位置P6に向かって回動させることなく踏板用開位置P7に維持可能な重さを有している。
【0111】
第1の踏板開閉機構用係合部114の重さについて、具体的に説明する。踏板100が踏板用開位置P7にあるとき、踏板100には、踏板開閉機構用チェーン113を介して、第1の踏板開閉機構用係合部114の重さが作用する。この重さは、踏板100に対して、踏板用閉位置P6に向かって回動させるように作用する。
【0112】
このため、第1の踏板開閉機構用係合部114、踏板用開位置P7にある踏板100を踏板用開位置P7に維持可能とするために、踏板用開位置P7にある踏板100を踏板用閉位置P6に向かって回動させることがない程度の重さを有している。
【0113】
第2の踏板開閉機構用係合部115は、上扉71において第1の踏板開閉機構用滑車111が設けられる側の幅方向端部に設けられている。より具体的には、第2の踏板開閉機構用係合部115は、上扉71の上下方向Vの中腹部に設けられており、搬器本体61側に突出している。第2の踏板開閉機構用係合部115は、第1の踏板開閉機構用係合部114に係合可能に形成されている。
【0114】
第2の踏板開閉機構用係合部115の形状について、具体的に説明する。
図6に示すように、第2の踏板開閉機構用係合部115は、上扉71から後方に延びる第1の部分116と、第1の部分116の先端に設けられて、前方に折り返す第2の部分117とを有している。
【0115】
第1の部分116は、踏板開閉機構用チェーン113の材軸の中心を越える位置まで後方に延びている。第2の部分117は、踏板開閉機構用チェーン113を時計廻りに囲むように、かつ、摺動可能なように、第1の部分116と合わせて平面視で全体として略J字状に形成されている。
【0116】
なお、第2の部分117は、踏板開閉機構用チェーン113に接触しないように、踏板開閉機構用チェーン113から離れた位置を通るように形成されている。このため、上扉71が下方に移動することによって、第2の踏板開閉機構用係合部115が、第1の踏板開閉機構用係合部114に上方から当接することが可能となる。
【0117】
ここで、踏板開閉機構用チェーン113の長さについて、具体的に説明する。
図7に示すように、踏板開閉機構用チェーン113は、上扉71が上扉用閉位置P1にあるときに、第2の踏板開閉機構用係合部115が第1の踏板開閉機構用係合部114に上方から下方に向かって当接して第1の踏板開閉機構用係合部114を押し下げることによって、踏板開閉機構用チェーン113を介して踏板100を踏板用閉位置P6に保持可能な長さを有している。
【0118】
次に、搬器60の動作について、説明する。まず、搬器60の昇降動作について、説明する。作業員が搬器60内に乗り込んだ後、搬器60内に設けられるコントローラを、搬器60を上昇させるべく、操作する。
【0119】
コントローラが操作されると、駆動部用電動モータ57が駆動される。駆動部用電動モータ57の出力軸の回動は、減速機58を介してピニオン56に伝達される。ピニオン56が回動することによって、ポスト20に固定されるラック30に対してピニオン56が上方に移動する。このことによって、搬器60が上昇する。
【0120】
同様に、搬器60を下降させるべくコントローラが操作されると、駆動部用電動モータ57の出力軸は、搬器60を上昇させる場合に対して逆回転をする。駆動部用電動モータ57の出力軸が、上昇する場合に対して逆回転することによって、搬器60が下降する。
【0121】
搬器60が昇降する際の振動は、主に、駆動部55が固定される駆動フレーム41で生じる。駆動フレーム41と、搬器60が固定されるガバナフレーム42との間にリンク部材50が介装されることによって、ガバナフレーム42は、駆動フレーム41に対して揺動可能となる。言い換えると、ガバナフレーム42に対して駆動フレーム41が揺動可能となる。このため、駆動フレーム41が振動しても、この振動が、ガバナフレーム42に伝達されることが防止される。
【0122】
さらに、リンク部材50は、第1の軸部材53によって駆動フレーム41に連結されかつ第2の軸部材54によってガバナフレーム42に連結されている。このため、駆動フレーム41の振動がガバナフレーム42に伝達されることがより一層防止される。
【0123】
次に、扉70の開閉動作について、説明する。なお、扉開閉機構用電動モータ92の駆動を制御する制御部は、搬器60が昇降している場合では、扉開閉機構用電動モータ92を駆動しないように設定されている。
【0124】
まず、扉70を、閉位置から開位置移動する動作、言い換えると、下扉72が下扉用閉位置P3にあり、かつ、上扉71が上扉用閉位置P1にある状態から、下扉72を下扉用開位置P4に移動し、かつ、上扉71を上扉用開位置P2に移動する際の動作を説明する。
【0125】
作業員が、扉70を開くべくコントローラを操作すると、
図7に示すように、扉開閉機構用電動モータ92が駆動し、扉開閉機構用滑車91が、下扉72を上方に移動すべく回動する。すると、扉開閉機構用滑車91の回動に伴って扉開閉機構用チェーン93が後方に繰り出されることによって、扉開閉機構用チェーン93が下扉72を、
図4に示す下扉用閉位置P3にある状態から上方に持ち上げる。下扉72の開閉動作は、下扉用ガイドレール82によって案内される。
【0126】
図9は、
図8に示すF9−F9線断面に沿う搬器60の断面図である。
図8,9に示すように、下扉72が上昇すると、下扉72に設けられる扉開閉機構用係合部95は、上扉用閉位置P1にある上扉71の下端縁に、下方から上方に向かって当接する。
【0127】
上扉71が上扉用閉位置P1にある状態では、上扉71に設けられる第2の踏板開閉機構用係合部115が、第1の踏板開閉機構用係合部114を上方から押し付ける状態が維持されている。このため、下扉72が移動しても、この移動に伴って踏板開閉機構用チェーン113が繰り出されることがないので、踏板100は、踏板用閉位置P6に保持される。
【0128】
図10は、
図8に示す状態に対して、下扉72がさらに上昇した状態であり下扉用開位置P4へ上昇しつつある状態を示す正面図である。
図11は、
図10中に示すF11―F11線断面に沿って示す搬器60の断面図である。
図10,11に示すように、下扉72が上昇することによって、下扉72に設けられる扉開閉機構用係合部95が、上扉71を上方に押し上げる。このため、上扉71は、下扉72の上昇に伴って、上昇する。
【0129】
上扉71が上昇すると、上扉71に設けられる第2の踏板開閉機構用係合部115が上扉71に伴って上昇する。第2の踏板開閉機構用係合部115が上昇すると、第1の踏板開閉機構用係合部114も上昇するため、踏板100が踏板用閉位置P6から踏板用開位置P7に向かって回動を開始する。
【0130】
踏板100が回動開始について、具体的に説明する。踏板用閉位置P6では、踏板100には、戻りばね102の弾性力による、踏板用開位置P7へ向かって回動するように作用する力と、踏板開閉機構用チェーン113によって伝達される、踏板用閉位置P6に保持しようとする力とがつり合う。
【0131】
このため、上扉71が上昇することによって踏板開閉機構用チェーン113が後方に繰り出されると、当該踏板開閉機構用チェーン113による、踏板100を踏板用閉位置P6に保持しようとする力がなくなるので、踏板100は、戻りばね102の弾性力(復元力)による踏板用開位置P7へ向かって回動させる力のみ作用するので、この内在する復元力によって、踏板用開位置P7に向かって押し出される。
【0132】
さらに、第1の踏板開閉機構用係合部114の重さによる、踏板100を踏板用閉位置P6に向かって回動するように作用する力よりも、踏板100の自重による、踏板100を踏板用開位置P7に向かって回動するように作用する力の方が大きいために、踏板100が、踏板用閉位置P6から踏板用開位置P7に向かって回動を開始する。
【0133】
図11に示すように、上扉71が、上扉用閉位置P1と上扉用開位置P2との間の位置まで上昇すると、踏板100は、踏板用開位置P7まで回動する。踏板100は、開口62の下端縁から建築中のビルにおいて搬器60が停止しているフロアの床5にわたされる。
【0134】
踏板100が踏板用開位置P7に到達することによって、第1の踏板開閉機構用係合部114の上方への移動が停止する。このため、上扉71が、
図11に示す状態よりも上方に移動すると、第2の踏板開閉機構用係合部115は、第1の踏板開閉機構用係合部114から離れる。
【0135】
図12は、下扉72が下扉用開位置P4にあり、かつ、上扉71が上扉用開位置P2にある状態の搬器60を示す正面図である。
図13は、
図12に示すF13−F13線断面に沿う搬器60の断面図である。
図12,13に示すように、下扉72が下扉用開位置P4まで開くと、つまり扉70が開位置まで開くと、扉開閉機構用電動モータ92が停止する。扉70が開位置にある状態を維持するために、扉70が開位置まで開くと、扉開閉機構用電動モータ92の出力軸の回転は、ロックされる。
【0136】
例えば、搬器60は、下扉72が下扉用開位置P4にある状態を検出するスイッチが設けられている。下扉72が下扉用開位置P4にあることをスイッチが検出すると、スイッチの検出結果に基づいて、扉開閉機構用電動モータ92の駆動を制御する制御部が、扉開閉機構用電動モータ92を停止する。
【0137】
なお、本実施形態では、下扉72が下扉用開位置P4にある状態では、上扉71も上扉用開位置P2にあるため、スイッチは、扉70が開位置にある状態を検出するために下扉72が下扉用開位置P4にある状態を検出する。他の例としては、上扉71が上扉用開位置P2にある状態を検出するようにしてもよい。なお、扉70が開位置にある状態を検出する手段は、上記のスイッチに限定されるものではない。
【0138】
下扉72が下扉用開位置P4まで上昇し、かつ、上扉71が上扉用開位置P2まで上昇すると、作業員は、開口62を通って搬器本体61外に出ることができる。また、荷物を搬入または搬出を行うことができる。
【0139】
このとき、踏板100が踏板用開位置P7にあるため、踏板100が、搬器本体61の開口62の下端縁と、搬器本体61が着床するフロアの床5との間の隙間Sを埋めるため、荷物の搬入または搬出作業の効率よく行うことができる。
【0140】
次に、扉70を、開位置から閉位置に移動する動作を説明する。
図12,13に示すように、開口62が開位位置にある状態、つまり、上扉71が上扉用開位置P2にあり、かつ、下扉72が下扉用開位置P4にある状態で、作業員が、扉70を閉めるべくコントローラを操作する。
【0141】
すると、扉開閉機構用電動モータ92が、扉70を開く際の回転方向に対して逆方向に回転し、扉開閉機構用滑車91も、扉70を開く際の回転方向に対して逆方向に回転する。
【0142】
扉開閉機構用滑車91が扉70を閉じる方向に回転することによって、扉開閉機構用チェーン93が前側に繰り出される。扉開閉機構用チェーン93が前側に繰り出されることによって、下扉72が下方に移動を開始する。下扉72が下方に移動すると、下扉72に設けられる扉開閉機構用係合部95に支持される上扉71も下方に移動する。
【0143】
上扉71が、
図11に示す位置まで下がると、上扉71に設けられる第2の踏板開閉機構用係合部115が、第1の踏板開閉機構用係合部114に上方から当接する。上扉71がさらに下がると、第2の踏板開閉機構用係合部115が第1の踏板開閉機構用係合部114を押し下げることによって、踏板開閉機構用チェーン113が前側に繰り出されるため、踏板100が踏板用開位置P7から踏板用閉位置P6に向かって回動を開始する。
【0144】
図9に示すように、上扉71が上扉用閉位置P1まで下がると、踏板100は、踏板用閉位置P6まで回動する。踏板100が踏板用開位置P7から踏板用閉位置P6まで戻る際に、踏板100は、戻りばね102に当接する。踏板100には、踏板開閉機構用チェーン113によって踏板用閉位置P6側に向かって回動させようとする力と、戻りばね102の弾性力によって踏板用開位置P7側に向かって回動させようとする力とが作用する。踏板用閉位置P6では、踏板開閉機構用チェーン113による力と戻りばね102による力とがつり合う。
【0145】
さらに下扉72が下がると、下扉72に設けられる扉開閉機構用係合部95が上扉71の下端から離れる。
図5に示すように、下扉72が下扉用閉位置P3まで下がると、扉開閉機構用電動モータ92の駆動が停止される。
【0146】
搬器60は、例えば、下扉72の位置を検出するスイッチが設けられており、このスイッチが、下扉72が下扉用閉位置P3にあることを検出すると、スイッチの検出結果に基づいて、扉開閉機構用電動モータ92の駆動を制御する制御部が、扉開閉機構用電動モータ92の駆動を停止する。
【0147】
なお、スイッチは、扉70が閉位置にある状態として、下扉72が下扉用閉位置P3にある状態を検出している。下扉72が下扉用閉位置P3にある状態を検出する手段は、上記のスイッチに限定されるものではない。
【0148】
扉70が閉位置にある状態では、扉70を開くべく操作がなされない状態で不意に扉70が開くことがないよう、扉開閉機構用電動モータ92の出力軸の回転は、ロックされている。
【0149】
このように構成されるエレベータ10では、駆動部用電動モータ57を搬器本体61の底壁部63の上面63aよりも上方に配置し、かつ、扉70を搬器本体61に対して上方に移動することによって開口62を開く構造であるので、地上階に着床している搬器60に対する乗降を簡単に行うことができる。この点について具体的に説明する。
【0150】
駆動部用電動モータ57を搬器60の下方に配置すると、駆動部用電動モータ57の最下端が搬器60の最下端となるため、搬器60の最下端となる位置から底壁部63の上面63aまでの長さが長くなる。さらに、扉70を下方に移動することによって開口62を開く構造であると、扉70を開位置まで移動すると、扉70が搬器本体61に対して下方に突出することになる。
【0151】
このように搬器60の最下端となる位置と底壁部63の上面63aまでの長さが長くなるとともに、開口62を開いた状態において扉70が搬器本体61から下方に突出することによって、搬器60を地上階に着床する場合、地面から底壁部63の上面63aまでの高さを、駆動部用電動モータ57と、搬器本体61に対する扉70の突出量とを考慮して、高くしなければならない。
【0152】
このため、地上階に着床する搬器60に対して乗降するために、地面1と底壁部63の上面63aとの高低差を補うためのステージが必要になる。このため、地上階に着床する搬器60に対する乗降が難しくなる。
【0153】
しかしながら、本実施形態のエレベータ10では、駆動部用電動モータ57を搬器本体61の天井壁部67よりも上方に配置し、かつ、扉70は、上方に移動することによって開口62を開く構造である。
【0154】
このため、搬器60を地上階に着床する場合、地面と搬器60との間の隙間を大きく取る必要がない。言い換えると、地面と底壁部63の上面63aとの間の高低差を小さくすることができる。このため、地面と底壁部63の上面63aとの間の高低差を補うためのステージが不要となるので、地上階にある搬器60に対する乗降を簡単に行うことができる。
【0155】
また、駆動部55の減速機58とピニオン56とを底壁部63の上面63aよりも上方に配置することによって、搬器60の下方に駆動部55を配置する配置スペースを設ける必要がないので、地上階に着床する搬器60に対する乗降をより一層簡単に行うことができる。
【0156】
また、連結管59を底壁部63の上面63aよりも上方に配置することによって、搬器60の下方に連結管59を配置する配置スペースを設ける必要がないので、地上階に着床する搬器60に対する乗降をより一層簡単に行うことができる。
【0157】
また、駆動部55と連結管59とを、搬器本体61の上方であって上下方向Vに天井壁部67に重なる位置に設けることによって、エレベータ10をコンパクトにすることができる。
【0158】
この点について、具体的に説明する。駆動部55と連結管59とを、搬器本体61の上方であって上下方向Vに天井壁部67に重なる位置に設けることによって、駆動部55と連結管59とが、搬器60に対して搬器60の移動方向に垂直な方向に突出することを防止できる。
【0159】
例えば、駆動部55を搬器60の側壁部64,65に対して幅方向外側に設けると、駆動部55は、搬器60に対して幅方向外側に突出する。駆動部55が搬器60に対して幅方向外側に突出することによって、両ポスト20間を広げなければならないので、エレベータ10が大型化する。
【0160】
また、連結管59を、扉70に対して前方または後壁部66に対して後方に配置すると、連結管59が搬器60に対して前後方向Fに突出する。連結管59が搬器60に対して前後方向Fに突出することによって、昇降中に搬器60が通る範囲を前後方向Fに広く確保しなければならないため、エレベータ10が大型化する。
【0161】
しかしながら、本実施形態では、駆動部55と連結管59とは、搬器60の上方において上下方向Vに天井壁部67に重なる位置に設けられている。さらに、駆動部55の大部分が、天井壁部67に上下方向Vに重なる範囲内に収容されている。このため、駆動部55と連結管59とが、搬器60に対して搬器60の移動方向に垂直な方向に突出することを防止できるので、エレベータ10をコンパクトにすることができる。
【0162】
また、フレーム40が駆動フレーム41とガバナフレーム42とを有しており、駆動フレーム41とガバナフレーム42とが、リンク部材50によって互いに連結される構造である。このため、フレーム40を、駆動フレーム41とガバナフレーム42とに分解可能である。フレーム40を駆動フレーム41とガバナフレーム42とに分解可能であることによって、エレベータ10の組立作業、及び、エレベータ10の解体作業を簡単にすることができる。この点について、具体的に説明する。
【0163】
エレベータ10は、例えば、建築現場とは異なる場所にある工場で構成要素ごとに組み立てられた後、建築現場に搬送されて、組み立てられる。このとき、搬器60は、工場からフレーム40に組み付けられた状態で、建築現場に搬送される。
【0164】
本実施形態では、フレーム40が駆動フレーム41とガバナフレーム42とに分解可能であるため、搬器60とガバナフレーム42との一体物に対して駆動フレーム41を分解することができる。
【0165】
このため、駆動フレーム41を分解できる分、搬器60とフレーム40との一体物をコンパクトにすることができるので、搬器60とフレーム40との一体物の搬送作業を簡単にすることができる。
【0166】
さらに、搬器60とガバナフレーム42との一体物に対して駆動フレーム41を分解可能であることによって、搬器60とフレーム40との一体物をポスト20に連結する作業を、ポスト20に対して駆動フレーム41を連結する作業と、ポスト20及び駆動フレーム41に対して搬器60とガバナフレーム42との一体物を連結する作業とに分けることができる。作業を分けることによって、作業時に係る重さを分散することができる。具体的には、駆動フレーム41を連結する作業時には、駆動フレーム41の重さが作業員に対して作用し、搬器60とガバナフレーム42との一体物を連結する作業時には、搬器60とガバナフレーム42との一体物の重さが作業員に作用する。作業に係る重さを分散できるので、作業を行いやすくなる。このように、搬送作業を簡単し、かつ、各作業に係る重さを分散できるので、エレベータ10の組み立て作業及び分解作業を簡単にすることができる。
【0167】
また、扉70を、上扉71と下扉72とに分割するとともに、上扉71と下扉72とを、上扉71と下扉72との移動方向に対して交差する方向の一例である前後方向Fに離間して配置することによって、開位置P2,P4にある上扉71と下扉72とを前後方向Fに重ねることができるので、搬器本体61から突出する扉70の突出量を小さくすることができる。
【0168】
また、扉開閉機構用係合部95を、下扉72の下端部に設けることによって、開位置P2,P4にある上扉71と下扉72とを、互いの下端を上下方向Vに略合わせることができるので、搬器本体61から突出する扉70の突出量を小さくすることができる。また、上扉71の上下方向の長さと下扉72の上下方向の長さとを略同じにすることによって、搬器本体61から突出する扉70の突出量を小さくすることができる。
【0169】
また、踏板開閉機構110を有することによって、踏板100の開閉動作を、扉70の開閉動作に連動させて自動的に行うことができる。
【0170】
また、踏板開閉機構110の第1の踏板開閉機構用係合部114が、踏板開閉機構用チェーン113に張力を与える程度の重さを有することによって、踏板開閉機構用チェーン113がたるむことを防止できる。踏板開閉機構用チェーン113がたるまないことによって、踏板開閉機構用チェーン113が周囲に、例えば扉70に接触することを防止することができる。
【0171】
次に、本発明の第2の実施形態に係るエレベータを、
図16を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第2の踏板開閉機構用係合部が上扉71ではなく、下扉72に設けられる点が、第1の実施形態に対して異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。
【0172】
図16は、本実施形態のエレベータ10の搬器60を、
図7と同様に示す概略図である。
図16に示すように、本実施形態では、第2の踏板開閉機構用係合部115は、下扉72に設けられている。
【0173】
本実施形態では、第2の踏板開閉機構用係合部115が下扉72に設けられるため、下扉72が下扉用閉位置P3にある状態から上方に移動を開始すると、下扉72の上昇に伴って、踏板100は踏板用閉位置P6から踏板用開位置P7に向かって回動を開始する。本実施形態では、一例として、第2の踏板開閉機構用係合部115は、下扉72の上下方向中腹部に設けられている。
【0174】
踏板開閉機構用チェーン113は、下扉72が下扉用閉位置P3にあるときに、踏板100が踏板用閉位置P6にあるように考慮された長さを有している。
【0175】
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、踏板100の開閉は、下扉72の開閉に連動する。このため、扉70を全閉状態から開く場合、第1の実施形態で説明した、第2の踏板開閉機構用係合部115が上扉71に設けられる構造に比較して、踏板100は、早い段階で踏板用開位置P7まで開く。言い換えると、扉70を大きく開くことなく、踏板100を踏板用開位置P7まで開くことができる。
【0176】
このため、小さい荷物を搬器本体61内に搬入する場合など、扉70を大きく開く必要がない場合でも、踏板100を踏板用開位置P7まで開くことができるので、荷物の搬入作業の効率を向上することができる。
【0177】
なお、第1,2の実施形態では、下扉72の下扉用閉位置P3は、開口62の下側半分の範囲のうち踏板100によって開閉される範囲を除いた範囲を覆う位置とした。これは、本実施形態では、踏板100が一例として開口62を開閉する機能を有するためである。他の例としては、下扉72は、開口62において踏板100が開閉する範囲を覆うように形成されてもよい。この点について、
図17を用いて説明する。
【0178】
図17は、第1の実施形態のエレベータ10の変形例を、
図7と同様に示す概略図である。
図17では、上扉用閉位置P1にある上扉71は、実線で示されており、上扉用閉位置P1より上方であってかつ上扉用開位置P2よりも下方にある上扉71が2点鎖線で示されている。また、下扉用閉位置P3にある下扉72は、実線で示されており、下扉用閉位置P3よりも上方であってかつ下扉用開位置P4よりも下方にある下扉72が2点鎖線で示されている。
【0179】
図17に示すように、下扉72の下扉用閉位置P3は、開口62の下端縁を覆う位置あってもよい。言い換えると、下扉72は、開口62において踏板100が開閉する範囲を覆うように形成されている。この場合、踏板100は、下扉用閉位置P3にある下扉72に接触しないように、下扉72に対して後方に退避した位置に配置される。
図17では、踏板100が下扉用閉位置P3に対して後方に退避した位置に配置されたことに伴って、底壁部63の前端部を、
図7に対して前方に延ばしている。具体的には、底壁部63の前端部を、下扉72の下端に上下方向Vに重なる位置まで延ばしている。
【0180】
なお、第2の実施形態においても、下扉72の下扉用閉位置P3は、
図17に示すように、開口62の下端縁を覆う位置あってもよい。言い換えると、
図17に示す構成において、第2の踏板開閉機構用係合部115が第2の実施形態で説明したように下扉72に設けられてもよい。
【0181】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
以下に、本願出願の当初の特許請求範囲に記載された発明を付記する。
[1]
開口が形成される搬器本体と、前記開口を開閉可能な扉部とを具備する搬器と、
前記扉部を、閉位置と、前記閉位置に対して上方に位置する開位置との間で移動する開閉手段と、
前記搬器の移動をガイドするガイドレールと、
前記搬器において前記搬器本体の底壁部の上面よりも上方の部分に固定されて位置する駆動用電動モータと、
前記駆動用電動モータの出力軸の回転を前記ガイドレールに沿う前記搬器の移動に変換する変換手段と
を具備することを特徴とするエレベータ。
[2]
前記変換手段は、
前記ガイドレールに設けられるラックと、
前記ラックに係合するピニオンと、
前記駆動用電動モータの前記出力軸の回転を前記ピニオンに伝達する減速機構と
を具備し、
前記ピニオンと前記減速機構とは、前記搬器本体において前記底壁部の前記上面よりも上方の部分に固定されて位置する
ことを特徴とする[1]に記載のエレベータ。
[3]
前記扉部は、
前記開口の下方部分を覆う下扉であって、下扉用閉位置と、前記下扉用閉位置に対して上方の下扉用開位置との間で移動可能な下扉と、
前記開口の前記下方部分に対して上方部分を覆う上扉であって、上扉用閉位置と、前記上扉用閉位置に対して上方の上扉用開位置との間で移動可能な上扉と
を具備し、
前記扉部が前記閉位置にある状態は、前記下扉が前記下扉用閉位置にあり、かつ、前記扉部が前記上扉用閉位置にある状態であり、前記扉部が前記開位置にある状態は、前記下扉が前記下扉用開位置にあり、かつ、前記上扉が前記上扉用開位置にある状態であり、
前記開閉手段は、
前記下扉を、前記下扉用閉位置と前記下扉用開位置との間で移動する移動手段と、
前記下扉に設けられて、前記上扉用閉位置にある前記上扉に係合して前記下扉用開位置に向かう前記下扉の移動に伴って前記上扉を押し上げる扉開閉機構用係合部と
を具備することを特徴とする[1]または[2]に記載のエレベータ。
[4]
踏板と、
前記踏板の一端部を前記搬器本体の下端部に回動可能に支持する支持部であって、前記踏板を、前記開口の下端縁に対して前記搬器の外側に突出する踏板用開位置と、前記踏板用開位置に対して前記搬器本体の内側に向かって回転した踏板用閉位置との間で回動可能に支持する支持部と、
前記踏板を前記踏板用閉位置と前記踏板用開位置との間で回動する回動手段と
を具備し、
前記回動手段は、
滑車と、
前記滑車に回し掛けられるとともに、一端部が前記踏板において前記外側に突出する先端と回動軸との間の部分に連結される伝達部材と、
前記伝達部材の他端部に設けられる第1の係合部であって、前記伝達部材を張った状態とする張力を付与する重さを有する第1の係合部と、
前記扉部に設けられる第2の係合部であって、前記扉部が前記開位置から前記閉位置に移動する際に前記第1の係合部に係合して前記扉部の移動に伴って前記第1の係合部を押し下げる第2の係合部と
を具備することを特徴とする[3]に記載のエレベータ。