特許第6407595号(P6407595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6407595ベッドの在床状況検知方法及びベッド用在床状況検知装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407595
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】ベッドの在床状況検知方法及びベッド用在床状況検知装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/05 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   A61G7/05
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-144842(P2014-144842)
(22)【出願日】2014年7月15日
(65)【公開番号】特開2016-19649(P2016-19649A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(72)【発明者】
【氏名】石川 元樹
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 和男
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−250046(JP,A)
【文献】 特開2014−128695(JP,A)
【文献】 特開2014−023700(JP,A)
【文献】 米国特許第04657026(US,A)
【文献】 特開2001−258957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/05
A61G 7/043
A61G 7/00
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド使用者が臥床したベッドに掛かる荷重を荷重検出手段により所定の検出周期で検出する荷重検出工程と、
前記荷重検出手段からの出力値に基づいてベッド上で使用者が臥床状態から離床までの所定の離床予備動作をしたか否かを判定する離床予備動作判定工程と、
前記離床予備動作判定工程で使用者が離床予備動作をしたと判定した場合、離床予備動作アラームを発する離床予備動作アラーム工程と、
前記離床予備動作アラームを発した後で、前記荷重検出手段からの出力値に基づいて、ベッド上での使用者の動作が検出されない安定状態であるか否かを判定するとともにベッド上で使用者が離床予備動作状態から臥床状態に戻るという戻り動作をしたか否かを判定する状態判定工程と、
前記状態判定工程で使用者の動作が安定状態ではないと判定し且つ使用者が前記戻り動作をしていないと判定した場合、前記荷重検出手段からの出力値に基づいて使用者が離床動作をしたか否かを判定する離床動作判定工程と、
前記離床動作判定工程で使用者が離床動作をしたと判定した場合、離床動作アラームを発する離床動作アラーム工程と、を含んでおり、
前記離床動作判定工程で使用者が離床動作をしていないと判定した場合、前記状態判定工程へ戻ることを特徴とするベッドの在床状況検知方法。
【請求項2】
前記離床動作判定工程は、
前記荷重検出手段からの出力値に基づいて演算されたベッド上の使用者の重心位置がベッドの最端エリア内に存在するか否かを判定する最端エリア判定工程と、
前記最端エリア判定工程で使用者の重心位置が前記最端エリア内に存在していると判定した場合、前記離床予備動作判定工程で使用者が離床予備動作をしたと判定した時刻から現時刻までの経過時間がβ時間(但しβ>0)以上である否かを判定する経過時間判定工程と、
前記経過時間判定工程で前記経過時間が前記β時間以上であると判定した場合、前記離床動作アラームの一つとして最端アラームを発する最端アラーム工程と、
前記経過時間判定工程で前記経過時間が前記β時間以上ではないと判定した場合と前記最端アラーム工程で前記最端アラームを発した場合とのそれぞれの場合に、前記荷重検出手段からの出力値に基づいてベッド上の使用者が離床したか否かを判定する離床判定工程と、
前記離床判定工程で使用者が離床したと判定した場合、前記離床動作アラームの一つとして離床アラームを発する離床アラーム工程と、を備えており、
前記最端エリア判定工程で使用者の重心位置が前記最端エリア内に存在していないと判定した場合と前記離床判定工程で使用者が離床していないと判定した場合とのそれぞれの場合に、使用者が離床動作をしていないと判定して前記状態判定工程へ戻る請求項1記載のベッドの在床状況検知方法。
【請求項3】
前記荷重検出手段は、使用者が臥床したベッドの頭側右部、頭側左部、足側右部及び足側左部に掛かる荷重をそれぞれ検出する第1〜第4荷重検出センサを備えており、
前記状態判定工程は、前記離床予備動作判定工程で使用者が離床予備動作をしたと判定した時の前記第1〜第4荷重検出センサからの出力値に対する、現時刻の前記第1〜第4荷重検出センサからの出力値の変動率が、いずれも、安定状態を示す±α%以内であり且つその±α%以内の状態がt1時間(但しt1>0)以上継続しているという安定条件を満たした場合に、使用者の動作が安定状態であると判定し、一方、前記第1〜第4荷重検出センサからの出力値の前記変動率の少なくとも一つが前記安定条件を満たしていない場合に、使用者の動作が安定状態ではないと判定する請求項1又は2記載のベッドの在床状況検知方法。
【請求項4】
ベッド使用者が臥床したベッドに掛かる荷重を所定の検出周期で検出する荷重検出手段と、
前記荷重検出手段からの出力値に基づいてベッド上で使用者が臥床状態から離床までの所定の離床予備動作をしたか否かを判定する離床予備動作判定手段と、
前記離床予備動作判定手段で使用者が離床予備動作をしたと判定した場合、離床予備動作アラームを発する離床予備動作アラーム手段と、
前記離床予備動作アラームを発した後で、前記荷重検出手段からの出力値に基づいて、ベッド上での使用者の動作が検出されない安定状態であるか否かを判定するとともにベッド上で使用者が離床予備動作状態から臥床状態に戻るという戻り動作をしたか否かを判定する状態判定手段と、
前記状態判定手段で使用者の動作が安定状態ではないと判定し且つ使用者が前記戻り動作をしていないと判定した場合、前記荷重検出手段からの出力値に基づいて使用者が離床動作をしたか否かを判定する離床動作判定手段と、
前記離床動作判定手段で使用者が離床動作をしたと判定した場合、離床動作アラームを発する離床動作アラーム手段と、を含んでおり、
前記離床動作判定手段で使用者が離床動作をしていないと判定した場合、前記状態判定手段を再度実行するように構成されていることを特徴とするベッド用在床状況検知装置。
【請求項5】
前記離床動作判定手段は、
前記荷重検出手段からの出力値に基づいて演算されたベッド上の使用者の重心位置がベッドの最端エリア内に存在するか否かを判定する最端エリア判定手段と、
前記最端エリア判定手段で使用者の重心位置が前記最端エリア内に存在していると判定した場合、前記離床予備動作判定手段で使用者が離床予備動作をしたと判定した時刻から現時刻までの経過時間がβ時間(但しβ>0)以上である否かを判定する経過時間判定手段と、
前記経過時間判定手段で前記経過時間が前記β時間以上であると判定した場合、前記離床動作アラームの一つとして最端アラームを発する最端アラーム手段と、
前記経過時間判定手段で前記経過時間が前記β時間以上ではないと判定した場合と前記最端アラーム手段で前記最端アラームを発した場合とのそれぞれの場合に、前記荷重検出手段からの出力値に基づいてベッド上の使用者が離床したか否かを判定する離床判定手段と、
前記離床判定手段で使用者が離床したと判定した場合、前記離床動作アラームの一つとして離床アラームを発する離床アラーム手段と、を備えており、
前記最端エリア判定手段で使用者の重心位置が前記最端エリア内に存在していないと判定した場合と前記離床判定手段で使用者が離床していないと判定した場合とのそれぞれの場合に、使用者が離床動作をしていないと判定して前記状態判定手段を再度実行するように構成されている請求項記載のベッド用在床状況検知装置。
【請求項6】
前記荷重検出手段は、使用者が臥床したベッドの頭側右部、頭側左部、足側右部及び足側左部に掛かる荷重をそれぞれ検出する第1〜第4荷重検出センサを備えており、
前記状態判定手段は、前記離床予備動作判定手段で使用者が離床予備動作をしたと判定した時の前記第1〜第4荷重検出センサからの出力値に対する、現時刻の前記第1〜第4荷重検出センサからの出力値の変動率が、いずれも、安定状態を示す±α%以内であり且つその±α%以内の状態がt1時間(但しt1>0)以上継続しているという安定条件を満たした場合に、使用者の動作が安定状態であると判定し、一方、前記第1〜第4荷重検出センサからの出力値の前記変動率の少なくとも一つが前記安定条件を満たしていない場合に、使用者の動作が安定状態ではないと判定する請求項4又は5記載のベッド用在床状況検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド上に臥床したベッド使用者の在床状況を検知するベッドの在床状況検知方法及びベッド用在床状況検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベッド上に臥床したベッド使用者(例:高齢者、病人、健康人)の離床動作などの在床状況を検知する方法として、幾つか知られており(例えば、特許文献1〜7)、その基本的な構成は次のとおりである。
【0003】
すなわち、ベッドの頭側右部、頭側左部、足側右部及び足側左部に掛かる荷重をそれぞれ第1〜4荷重検出センサにより検出し、これらの荷重検出センサからの出力値(荷重値)を用いてベッド上の使用者の在床状況を検知する。そして、もしベッド上で使用者が離床動作をしたことを検知した場合には、その旨の情報を介護者に対してアラーム等で報知する。報知された介護者は、離床動作をした使用者の介助(介護を含む)のために使用者の元へ向かうことができる。
【0004】
このような検知方法において、ベッド上の使用者が離床動作を開始する際には、通常、その前に使用者は離床予備動作として起上がり動作をする。したがって、使用者の離床動作を早期に検知するためには、使用者の起上がり動作を検知できる方が望ましい。なお、使用者の起上がり動作とは、使用者が上体を起こす動作を意味しており、「背上げ動作」や「上体起こし動作」とも呼ばれている。
【0005】
検知装置で起上がり動作を判定(検知)する基本的な方法は次のとおりである。すなわち、ベッドの頭側右部及び頭側左部にそれぞれ掛かる荷重を検出する2個の荷重検出センサからの出力値(荷重値)を合計した頭側出力値(頭側荷重値)は、通常、使用者の起上がり動作により減少する。そこで従来の検知装置では、頭側出力値の減少量が所定の閾値以上である場合に使用者が起上がり動作をしたと判定(検知)して使用者が起上がり動作をしたことを知らせる起上がりアラームが離床予備動作アラームとして発せられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−316915号公報
【特許文献2】特開2007−190269号公報
【特許文献3】特開2006−305343号公報
【特許文献4】特開2007−175208号公報
【特許文献5】特開2007−330658号公報
【特許文献6】特開2007−330689号公報
【特許文献7】特開2011−67247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の検知装置には次のような問題があった。
【0008】
すなわち、ベッド上に臥床した使用者は、就寝中等に臥床状態のままでベッドの足側へ自らずり下がったり、使用者への介護等のために介護者によってベッドの足側へずり下げられたりすることがしばしばある。この場合、頭側出力値が減少し、その減少量が所定の閾値以上であると、使用者が実際に起上がり動作をしていないのにも拘わらず起上がり動作をしたと誤判定し、その後で使用者が本当の起上がり動作をしても当該起上がり動作を判定することができないという問題があった。
【0009】
そこで本発明者らは、このような使用者のずり下がりにより発生する起上がり動作の誤判定を防止するため、使用者が起上がり動作をしたと判定した時刻から所定時間(例えば約20秒)経過したらその判定を強制的にリセットして使用者は起上がり動作をしていない(即ち、使用者は起上がり状態ではなく臥床状態である)とみなすという構成の検知装置を考えた。
【0010】
しかしながら、この検知装置には次のような問題があった。
【0011】
すなわち、使用者がベッド上で起上がり動作をした後で離床しないでベッド上で生活動作(例:洗濯物を畳む動作、布団を直す動作、着替え動作、生活用品等の整理作業動作)を長時間に亘ってしている場合などには、起上がり動作の判定時刻からの経過時間に基づいてその判定を強制的にリセットしても、その後で当該生活動作により生じる頭側出力値の減少量が所定の閾値以上になると起上がりアラームが再度発せられてしまい、その結果、起上がりアラームの発生回数が多くなる。そのため、起上がりアラームが発せられると使用者の元へ向かわなければならない介護者に対して負担になるという問題があった。
【0012】
本発明は上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、起上がりアラーム等のアラームの不必要な発生を抑制することができるベッドの在床状況検知方法及びベッド用在床状況検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以下の手段を提供する。
【0014】
[1] ベッド使用者が臥床したベッドに掛かる荷重を荷重検出手段により所定の検出周期で検出する荷重検出工程と、
前記荷重検出手段からの出力値に基づいてベッド上で使用者が離床予備動作をしたか否かを判定する離床予備動作判定工程と、
前記離床予備動作判定工程で使用者が離床予備動作をしたと判定した場合、離床予備動作アラームを発する離床予備動作アラーム工程と、
前記離床予備動作アラームを発した後で、前記荷重検出手段からの出力値に基づいて、ベッド上での使用者の動作が安定状態であるか否かを判定するとともにベッド上で使用者が離床予備動作状態から臥床状態に戻るという戻り動作をしたか否かを判定する状態判定工程と、
前記状態判定工程で使用者の動作が安定状態ではないと判定し且つ使用者が前記戻り動作をしていないと判定した場合、前記荷重検出手段からの出力値に基づいて使用者が離床動作をしたか否かを判定する離床動作判定工程と、
前記離床動作判定工程で使用者が離床動作をしたと判定した場合、離床動作アラームを発する離床動作アラーム工程と、を含んでおり、
前記離床動作判定工程で使用者が離床動作をしていないと判定した場合、前記状態判定工程へ戻ることを特徴とするベッドの在床状況検知方法。
【0015】
[2] 前記離床動作判定工程は、
前記荷重検出手段からの出力値に基づいて演算されたベッド上の使用者の重心位置がベッドの最端エリア内に存在するか否かを判定する最端エリア判定工程と、
前記最端エリア判定工程で使用者の重心位置が前記最端エリア内に存在していると判定した場合、前記離床予備動作判定工程で使用者が離床予備動作をしたと判定した時刻から現時刻までの経過時間がβ時間(但しβ>0)以上である否かを判定する経過時間判定工程と、
前記経過時間判定工程で前記経過時間が前記β時間以上であると判定した場合、前記離床動作アラームの一つとして最端アラームを発する最端アラーム工程と、
前記経過時間判定工程で前記経過時間が前記β時間以上ではないと判定した場合と前記最端アラーム工程で前記最端アラームを発した場合とのそれぞれの場合に、前記荷重検出手段からの出力値に基づいてベッド上の使用者が離床したか否かを判定する離床判定工程と、
前記離床判定工程で使用者が離床したと判定した場合、前記離床動作アラームの一つとして離床アラームを発する離床アラーム工程と、を備えており、
前記最端エリア判定工程で使用者の重心位置が前記最端エリア内に存在していないと判定した場合と前記離床判定工程で使用者が離床していないと判定した場合とのそれぞれの場合に、使用者が離床動作をしていないと判定して前記状態判定工程へ戻る前項1記載のベッドの在床状況検知方法。
【0016】
[3] 前記荷重検出手段は、使用者が臥床したベッドの頭側右部、頭側左部、足側右部及び足側左部に掛かる荷重をそれぞれ検出する第1〜第4荷重検出センサを備えており、
前記状態判定工程は、前記離床予備動作判定工程で使用者が離床予備動作をしたと判定した時の前記第1〜第4荷重検出センサからの出力値に対する、現時刻の前記第1〜第4荷重検出センサからの出力値の変動率が、いずれも、±α%以内であり且つその状態がt1時間(但しt1>0)以上継続しているという安定条件を満たした場合に、使用者の動作が安定状態であると判定し、一方、前記第1〜第4荷重検出センサからの出力値の前記変動率の少なくとも一つが前記安定条件を満たしていない場合に、使用者の動作が安定状態ではないと判定する前項1又は2記載のベッドの在床状況検知方法。
【0017】
[4] 前記状態判定工程は、前記離床予備動作判定工程で使用者が離床予備動作をしたと判定した時の前記第1及び第2荷重検出センサからの出力値を合計した頭側出力値に対する、現時刻の頭側出力値の増加率と、前記離床予備動作判定工程で使用者が離床予備動作をしたと判定した時の前記第3及び第4荷重検出センサからの出力値を合計した足側出力値に対する、現時刻の足側出力値の減少率と、のうち少なくとも一方が、λ%以内(但しλ≧0)であり且つその状態がt2時間(但しt2>0)以上継続しているという戻り動作条件を満たした場合に、使用者が前記戻り動作をしたと判定し、一方、前記頭側出力値の増加率と前記足側出力値の減少率とがいずれも前記戻り動作条件を満たしていない場合に、使用者が前記戻り動作をしていないと判定する前項3記載のベッドの在床状況検知方法。
【0018】
[5] ベッド使用者が臥床したベッドに掛かる荷重を所定の検出周期で検出する荷重検出手段と、
前記荷重検出手段からの出力値に基づいてベッド上で使用者が離床予備動作をしたか否かを判定する離床予備動作判定手段と、
前記離床予備動作判定手段で使用者が離床予備動作をしたと判定した場合、離床予備動作アラームを発する離床予備動作アラーム手段と、
前記離床予備動作アラームを発した後で、前記荷重検出手段からの出力値に基づいて、ベッド上での使用者の動作が安定状態であるか否かを判定するとともにベッド上で使用者が離床予備動作状態から臥床状態に戻るという戻り動作をしたか否かを判定する状態判定手段と、
前記状態判定手段で使用者の動作が安定状態ではないと判定し且つ使用者が前記戻り動作をしていないと判定した場合、前記荷重検出手段からの出力値に基づいて使用者が離床動作をしたか否かを判定する離床動作判定手段と、
前記離床動作判定手段で使用者が離床動作をしたと判定した場合、離床動作アラームを発する離床動作アラーム手段と、を含んでおり、
前記離床動作判定手段で使用者が離床動作をしていないと判定した場合、前記状態判定手段を再度実行するように構成されていることを特徴とするベッド用在床状況検知装置。
【0019】
[6] 前記離床動作判定手段は、
前記荷重検出手段からの出力値に基づいて演算されたベッド上の使用者の重心位置がベッドの最端エリア内に存在するか否かを判定する最端エリア判定手段と、
前記最端エリア判定手段で使用者の重心位置が前記最端エリア内に存在していると判定した場合、前記離床予備動作判定手段で使用者が離床予備動作をしたと判定した時刻から現時刻までの経過時間がβ時間(但しβ>0)以上である否かを判定する経過時間判定手段と、
前記経過時間判定手段で前記経過時間が前記β時間以上であると判定した場合、前記離床動作アラームの一つとして最端アラームを発する最端アラーム手段と、
前記経過時間判定手段で前記経過時間が前記β時間以上ではないと判定した場合と前記最端アラーム手段で前記最端アラームを発した場合とのそれぞれの場合に、前記荷重検出手段からの出力値に基づいてベッド上の使用者が離床したか否かを判定する離床判定手段と、
前記離床判定手段で使用者が離床したと判定した場合、前記離床動作アラームの一つとして離床アラームを発する離床アラーム手段と、を備えており、
前記最端エリア判定手段で使用者の重心位置が前記最端エリア内に存在していないと判定した場合と前記離床判定手段で使用者が離床していないと判定した場合とのそれぞれの場合に、使用者が離床動作をしていないと判定して前記状態判定手段を再度実行するように構成されている前項5記載のベッド用在床状況検知装置。
【0020】
[7] 前記荷重検出手段は、使用者が臥床したベッドの頭側右部、頭側左部、足側右部及び足側左部に掛かる荷重をそれぞれ検出する第1〜第4荷重検出センサを備えており、
前記状態判定手段は、前記離床予備動作判定手段で使用者が離床予備動作をしたと判定した時の前記第1〜第4荷重検出センサからの出力値に対する、現時刻の前記第1〜第4荷重検出センサからの出力値の変動率が、いずれも、±α%以内であり且つその状態がt1時間(但しt1>0)以上継続しているという安定条件を満たした場合に、使用者の動作が安定状態であると判定し、一方、前記第1〜第4荷重検出センサからの出力値の前記変動率の少なくとも一つが前記安定条件を満たしていない場合に、使用者の動作が安定状態ではないと判定する前項5又は6記載のベッド用在床状況検知装置。
【0021】
[8] 前記状態判定手段は、前記離床予備動作判定手段で使用者が離床予備動作をしたと判定した時の前記第1及び第2荷重検出センサからの出力値を合計した頭側出力値に対する、現時刻の頭側出力値の増加率と、前記離床予備動作判定手段で使用者が離床予備動作をしたと判定した時の前記第3及び第4荷重検出センサからの出力値を合計した足側出力値に対する、現時刻の足側出力値の減少率と、のうち少なくとも一方が、λ%以内(但しλ≧0)であり且つその状態がt2時間(但しt2>0)以上継続しているという戻り動作条件を満たした場合に、使用者が前記戻り動作をしたと判定し、一方、前記頭側出力値の増加率と前記足側出力値の減少率とがいずれも前記戻り動作条件を満たしていない場合に、使用者が前記戻り動作をしていないと判定する前項7記載のベッド用在床状況検知装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明は以下の効果を奏する。
【0023】
前項[1]の検知方法によれば、状態判定工程は、ベッド上での使用者の動作が安定状態であるか否かを判定するとともにベッド上で使用者が離床予備動作状態から臥床状態に戻るという戻り動作をしたか否かを判定し、また離床動作判定工程は、状態判定工程で使用者の動作が安定状態ではないと判定し且つ使用者が戻り動作をしていないと判定した場合に、使用者が離床動作をしたか否かを判定する。
【0024】
したがって、ベッド上で離床予備動作(例:起上がり動作)をした使用者が離床予備動作状態(例:起上がり状態)のままで離床しないでベッド上で生活動作を長時間に亘ってしている場合には、状態判定工程で使用者の動作が安定状態ではないと判定され且つ使用者が戻り動作をしていないと判定されて、離床動作判定工程へ進む。そして、この離床動作判定工程で使用者が離床動作をしていないと判定された場合、離床予備動作判定工程ではなく状態判定工程へ戻るので、離床予備動作アラーム(例:起上がりアラーム)は発せられず、離床予備動作アラームの発生回数が減る。したがって、起上がりアラーム等の離床予備動作アラームの不必要な発生を抑制することができ、その結果、介護者の負担が軽減される。
【0025】
前項[2]によれば、使用者がベッド上で離床予備動作(例:起上がり動作)をして生活動作をした後で離床行動をする場合には、離床予備動作をして生活動作をしていた使用者が離床するためにベッドの最端エリアに移動すると、最端エリア判定工程で使用者の重心位置が最端エリア内に存在すると判定されて、経過時間判定工程へ進む。このとき、使用者は生活動作をしていたために、使用者が離床予備動作をしたと判定した時刻から最端エリア判定工程で使用者の重心位置が最端エリア内に存在すると判定した時刻までの経過時間は長い。その結果、経過時間判定工程では経過時間がβ時間以上であると判定されて、最端アラーム工程へ進んで最端アラームが発せられる。そして、離床判定工程へ進み、この離床判定工程で使用者が離床したと判定した場合、離床アラーム工程で離床アラームが発せられる。
【0026】
一方、使用者がベッド上で離床予備動作をした後で生活動作をしないで速やかに離床動作をする場合、すなわち使用者が離床予備動作と離床動作とを生活動作を介さないで一連動作で行う場合には、離床予備動作をした使用者がベッドの最端エリアに移動すると、最端エリア判定工程で使用者の重心位置が最端エリア内に存在すると判定されて、経過時間判定工程へ進む。このとき、使用者は生活動作をしていなかったので、使用者が離床予備動作をしたと判定した時刻から最端エリア判定工程で使用者の重心位置が最端エリア内に存在すると判定した時刻までの経過時間は短い。その結果、経過時間判定工程では経過時間がβ時間以上ではないと判定されて、最端アラーム工程ではなく離床判定工程へ進む。したがって最端アラームは発せられない。そして、離床判定工程で使用者が離床したと判定した場合、離床アラーム工程で離床アラームが発せられる。ここで、このように使用者が離床予備動作と離床動作とを一連動作で行う場合には、使用者が離床予備動作をしたと判定して離床予備動作アラームを発した時から離床アラームを発するまでの経過時間は短く、わざわざ最端アラームを発する必要はない。そのため、経過時間判定工程から離床判定工程へ進むときに最端アラーム工程が省略されている。これにより、最端アラームの不必要な発生を抑制することができて、介護者の負担を更に軽減できる。
【0027】
前項[3]によれば、状態判定工程において使用者の動作が安定状態であるか否かを簡単且つ確実に判定することができる。
【0028】
前項[4]によれば、状態判定工程において使用者が戻り動作をしたか否かを簡単且つ確実に判定することができる。
【0029】
前項[5]〜[8]の検知装置は、それぞれ上記[1]〜[4]の検知方法を確実に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るベッド用在床状況検知装置を示す概略図である。
図2図2は、ベッドの概略平面図である。
図3図3は、同検知装置の構成を示すブロック図である。
図4図4は、同検知装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0032】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るベッド用在床状況検知装置20は、ベッド30上のベッド使用者Uの在床状況を検知するものである。在床状況としては、臥床、離床予備動作、離床動作、ベッド30上の使用者Uの重心位置G、その移動量等が挙げられる。
【0033】
ベッド30は、医療施設(例:病院)、高齢者施設、介護施設、一般家庭等で用いられるものであり、一般的に、寝室(病室を含む)等の部屋内の床面35上に設置されるものである。ベッド30は平面視方形状(詳述すると長方形状)である(図2参照)。そして、ベッド30の4個の脚部としての頭側右脚部31a、頭側左脚部31b、足側右脚部31c及び足側左脚部31dによってベッド30が下方から略水平状に床面35に対して離間して支持されている。各脚部の下端部には、ベッド30が床面35上をスムーズに移動できるようにするためのベッド移動用キャスタが固定状態に設けられている。ベッド30上にはベッド使用者Uが就寝などを目的として臥床する。
【0034】
使用者Uとしては、高齢者、病人(障がい者を含む)、健康人等が挙げられる。本実施形態では、使用者Uは、高齢者や病人などの、介護が必要な人(被介護者)であるとする。また、離床予備動作アラーム(起上がりアラーム)、離床アラーム等の各種アラームは、使用者Uへの介護(介助を含む)を行う介護者(例:看護師、使用者Uの家族や親類)に対して発せられるものとする。
【0035】
ベッド30の頭側の端辺にはヘッドボード32aがベッド30の上面に対して立上がり状に設けられており、ベッド30の足側の端辺にはフットボード32bがベッド30の上面に対して立上がり状に設けられている。
【0036】
また本実施形態では、図2に示すように、ベッド30上に使用者Uが横臥姿勢(即ち、仰向きで横になった姿勢)で臥床した状態において、使用者Uの右側、左側、頭側及び足側を、それぞれベッド30の右側、左側、頭側及び足側という。
【0037】
また本実施形態では、ベッド30上で使用者Uが行う離床予備動作は起上がり動作であるとして以下に説明する。なお起上がり動作とは、使用者Uが上体を起こす動作を意味しており、「背上げ動作」や「上体起こし動作」とも呼ばれている。
【0038】
本実施形態の検知装置20は、図1に示すように、荷重検出手段1、制御手段2などを含んでいる。
【0039】
荷重検出手段1は、使用者Uが臥床したベッド30に掛かる荷重を所定の検出周期で検出するものであり、4個の第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dを備えている。各荷重検出センサ1a〜1dは、例えば公知のロードセル式のものであり、また特開2006−302266号公報、特開2007−167492号公報、特開2008−12202号公報などに開示されているものであり、ベッド30の各脚部31a〜31dと床面35との間に配置されている。これらの荷重検出センサ1a〜1dにおいて、頭側右脚部31aと床面35との間に配置された荷重検出センサ1a(これを「第1荷重検出センサ1a」という)は、ベッド30の頭側右部(詳述すると頭側右端部)に掛かる荷重を検出するものである。頭側左脚部31bと床面35との間に配置された荷重検出センサ1b(これを「第2荷重検出センサ1b」という)は、ベッド30の頭側左部(詳述すると頭側左端部)に掛かる荷重を検出するものである。足側右脚部31cと床面35との間に配置された荷重検出センサ1c(これを「第3荷重検出センサ1c」という)は、ベッド30の足側右部(詳述すると足側右端部)に掛かる荷重を検出するものである。足側左脚部31dと床面35との間に配置された荷重検出センサ1d(これを「第4荷重検出センサ1d」という)は、ベッド30の足側左部(詳述すると足側左端部)に掛かる荷重を検出するものである。
【0040】
これらの荷重検出センサ1a〜1dは互いに同一構成のものであり、各荷重検出センサの上面に設けられた荷重受け面上にベッド30の対応する脚部が載置されることでベッド30の対応する部分に掛かる荷重を所定の検出周期で検出するものである。そして、各荷重検出センサ1a〜1dからは、ベッド30の対応する部分に掛かる荷重に対応する荷重値が出力値として荷重検出センサの検出周期毎に出力される。すなわち、第1荷重検出センサ1aからは、ベッド30の頭側右部に掛かる荷重に対応する荷重値が出力値として検出周期毎に出力される。第2荷重検出センサ1bからは、ベッド30の頭側左部に掛かる荷重に対応する荷重値が出力値として検出周期毎に出力される。第3荷重検出センサ1cからは、ベッド30の足側右部に掛かる荷重に対応する荷重値が出力値として検出周期毎に出力される。第4荷重検出センサ1dからは、ベッド30の足側左部に掛かる荷重に対応する荷重値が出力値として検出周期毎に出力される。
【0041】
ここで本発明では、荷重検出センサの検出周期は限定されるものではないが、0.005秒〜1秒の範囲に設定されることが望ましい。本実施形態では、検出周期は例えば0.5秒としている。
【0042】
各荷重検出センサ1a〜1dからの出力値は、有線通信手段(又は無線通信手段)を介して制御手段2に荷重検出センサの検出周期毎に送信される。なお本実施形態では、各荷重検出センサ1a〜1dからの出力値は荷重値であり、その単位は、例えば「kgf」であるとする。
【0043】
図2に示すように、第1荷重検出センサ1aからの出力値をW1、第2荷重検出センサ1bからの出力値をW2、第3荷重検出センサ1cからの出力値をW3、及び、第4荷重検出センサ1dからの出力値をW4とする。ここで、W1〜W4は、ベッド30の重量を風袋値として減算処理された値であることが望ましく、即ち風袋処理された値であることが望ましい。なお、この風袋処理は制御手段2又は各荷重検出センサ1a〜1dに備えられた風袋処理手段(図示せず)で行われる。本実施形態では、W1〜W4は風袋処理された値であるとする。
【0044】
制御手段2は、ROM、RAM、CPU等を有するコンピュータを搭載した制御器からなるものであり、図3に示すように、出力値データ記憶手段3、離床予備動作判定手段4としての起上がり動作判定手段4A、離床予備動作アラーム手段5としての起上がりアラーム手段5A、状態判定手段6、離床動作判定手段9などを具備している。コンピュータには、ベッド30上の使用者Uの在床状況の検知に必要な所定の判定、演算(計算)、制御などを実行するための所定のプログラムが予めインストールされている。なおこの制御手段2は、通常、ベッド30の近傍、介護者の詰め所などに設置されたり、各種サーバーに搭載されたり、多機能端末(例:携帯電話器、スマートフォン、タブレット型端末)に搭載されたりする。
【0045】
出力値データ記憶手段3は、各出力値W1〜W4、頭側出力値H、足側出力値F、総出力値WT、各出力値の変動率、ベッド30上の使用者Uの重心位置Gなど、所定の判定、演算(計算)、制御などに必要なデータ(これを「出力値データ」という)を、荷重検出センサの検出周期毎に算出して、必要に応じて各荷重検出センサからの出力時刻(検出時刻)と関連付けて記憶するものである。
【0046】
総出力値WTとは、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4を合計した値を意味しており、即ちWT=W1+W2+W3+W4である。
【0047】
ベッド30上の使用者Uの重心位置G(GX,GY)は、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4を用いて演算され、例えば次式(1X)及び(1Y)に従って算出可能である。なお、図2中のO(0,0)は使用者Uの重心位置Gを定めるX−Y直交座標の原点を示している。また、ベッド30の長さ方向をX軸方向、ベッド30の幅方向(即ちベッドの左右方向)をY軸方向とそれぞれ定義している。
【0048】
GX=(W1+W2−W3−W4)×(1/WT)×(BX/2) …式(1X)
GY=(W1+W3−W2−W4)×(1/WT)×(BY/2) …式(1Y)
但し、
BX:ベッド30の長さ方向(即ちX軸方向)の脚部間隔
BY:ベッド30の幅方向(即ちY軸方向)の脚部間隔。
【0049】
頭側出力値Hとは、第1及び第2荷重検出センサ1a、1bからの出力値W1、W2を合計した値である。足側出力値Fとは、第3及び第4荷重検出センサ1c、1dからの出力値W3、W4を合計した値である。すなわち、HとFはそれぞれ次式(2)及び(3)で算出される。
【0050】
頭側出力値H=W1+W2 …式(2)
足側出力値F=W3+W4 …式(3)。
【0051】
ここで、図2に示したベッド30において、ベッド30の中央部は使用者Uの重心位置Gが臥床時に通常、存在するエリア(臥床エリア)ある。また本実施形態では、ベッド30の中央部よりも左右各端側の領域において、ベッド30の左右各端辺Q0に隣接しているエリアを「最端エリア30A(ドットハッチングで示す)」とし、各最端エリア30Aにベッド中央部側に隣接しているエリア(即ち、最端エリア30Aとベッド中央部との間のエリア)を「端寄りエリア30B(クロスハッチングで示す)」とする。換言すると、「最端エリア30A」とは、ベッド30の左右各端辺Q0からベッド中央部側へ所定距離離れた第1設定位置Q1までのエリアであり、また「端寄りエリア30B」とは、各第1設定位置Q1からベッド中央部側へ所定距離離れた第2設定位置Q2までのエリアである。
【0052】
最端エリア30Aは、使用者Uがベッド30上から落下する危険性が高いエリアである。
【0053】
端寄りエリア30Bは、端座位状態の使用者Uの重心位置Gが存在する可能性が高いエリアである。なお端座位状態とは、起上がり状態の使用者Uがベッド30の端部に腰を掛けている状態であり、本実施形態では端座位状態の使用者Uはその足裏を床面35に着ていないものとする。
【0054】
ベッド30の中央部、各最端エリア30A及び各端寄りエリア30Bにそれぞれ対応する座標の範囲は、いずれも、制御手段2に備えられた所定の記憶部(図示せず)に介護者等が任意に変更可能に予め設定記憶されている。
【0055】
起上がり動作判定手段4A(離床予備動作判定手段4)は、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4に基づいてベッド30上で使用者Uが離床予備動作として起上がり動作をしたか否かを判定するものである。
【0056】
起上がりアラーム手段5A(離床予備動作アラーム手段5)は、起上がり動作判定手段4Aで使用者Uが起上がり動作(離床予備動作)をしたと判定した場合、離床予備動作アラームとして起上がりアラームを報知対象者としての介護者に対して発するものであり、スピーカなどを有している。この起上がりアラーム手段5Aは、当該アラームを発した時から所定時間経過したら自動的に当該アラームが停止されるように構成されており、更に、介護者等がアラーム停止操作を行う(例:アラーム停止ボタン(図示せず)を押す)ことにより強制的にアラームが停止されるように構成されている。
【0057】
さらに、起上がりアラーム手段5Aは、起上がり動作判定手段4Aで使用者Uが起上がり動作(離床予備動作)をしたと判定した場合、可及的速やかに起上がりアラームを発するように構成されている。したがって、起上がり動作判定手段4Aによる起上がり動作の判定時刻と起上がりアラーム手段5Aによる起上がりアラームの発生時刻との間の時間的なずれは非常に小さく、両者の時刻は同時刻であると捉えて良い。
【0058】
起上がり動作判定手段4Aによる判定方法は、例えば公知の方法により行われ、その基本的な判定方法は例えば次のとおりである。
【0059】
すなわちその判定方法とは、頭側出力値の判定基準値に対する現時刻(現在の時刻)の頭側出力値の減少率又は減少量が所定の閾値以上であるか否かを判定し、現時刻の頭側出力値の減少率又は減少量が所定の閾値以上であると判定した場合に使用者Uが起上がり動作をしたと判定(検知)し、一方、現時刻の頭側出力値の減少率又は減少量が所定の閾値以上ではないと判定した場合に使用者Uが起上がり動作をしていないと判定(検知)する方法である。
【0060】
頭側出力値の判定基準値としては、現時刻から所定時間前の頭側出力値や、ベッド30上に使用者Uが臥床した時の頭側出力値などが採用される。
【0061】
特に本実施形態では、起上がり動作判定手段4Aによる判定方法は次のように行われる。
【0062】
すなわちその判定方法とは、所定の第1条件と所定の第2条件とのうち少なくとも一方を満足しているか否かを判定し、少なくとも一方を満足していると判定した場合に使用者Uが起上がり動作をしたと判定(検知)し、一方、第1条件と第2条件とをいずれも満足していないと判定した場合に使用者Uが起上がり動作をしていないと判定(検知)するものである。
【0063】
第1条件とは、現時刻からτ1時間前の頭側出力値に対する現時刻の頭側出力値の減少率がε1以上である状態がμ1時間以上継続しているという条件である。但し、τ1、ε1、μ1は、それぞれ0<τ1、0<ε1、0<μ1である。
【0064】
ここで、第1条件において、現時刻の頭側出力値をH0、現時刻からτ1時間前の頭側出力値をH1、現時刻からτ1時間前の頭側出力値H1に対する現時刻の頭側出力値H0の減少率をHG1とするとき、HG1は次式(4)で算出される。
【0065】
HG1=(H1−H0)/H1 …式(4)。
【0066】
第2条件とは、現時刻からτ2時間前の頭側出力値に対する現時刻の頭側出力値の減少率がε2以上であり且つ現時刻からτ2時間前の足側出力値に対する現時刻の足側出力値の増加率がε3以上である状態がμ2時間以上継続しているという条件である。但し、τ2、ε2、μ2、ε3は、それぞれτ1≦τ2、0<ε2<ε1、μ1<μ2、0<ε3≦ε2の関係を満足するように設定されている。その理由については後述する。
【0067】
ここで、第2条件において、現時刻の頭側出力値をH0、現時刻からτ2時間前の頭側出力値をH2、現時刻からτ2時間前の頭側出力値H2に対する現時刻の頭側出力値H0の減少率をHG2、現時刻の足側出力値をF0、現時刻からτ2時間前の足側出力値をF2、現時刻からτ2時間前の足側出力値F2に対する現時刻の足側出力値F0の増加率をFZ2とするとき、HG2及びFZ2はそれぞれ次式(5a)及び(5b)で算出される。
【0068】
HG2=(H2−H0)/H2 …式(5a)
FZ2=(F0−F2)/F2 …式(5b)。
【0069】
なお後述するように、τ1はτ1<τ2の関係を満足するように設定されることが望ましく、またμ1はμ1≦μ2×(3/5)の関係を満足するように設定されることが望ましい。その理由については後述する。
【0070】
なお、起上がり動作判定手段4Aで用いられるτ1、τ2、ε1、ε2、ε3、μ1、μ2などの閾値は、いずれも、制御手段2に備えられた所定の記憶部(図示せず)に介護者等が任意に変更可能に予め設定記憶されている。
【0071】
起上がり動作判定手段4Aについて更に具体的に説明すると、以下のとおりである。なお本実施形態では、起上がり動作判定手段4Aを理解し易くするため、τ1、τ2、μ1、μ2の単位は、いずれも「秒(s)」であるとする。
【0072】
ベッド30上で横臥姿勢で臥床していた使用者Uが起上がり動作をした場合、頭側出力値Hは減少し、一方、足側出力値Fは増加する。
【0073】
第1条件において、現時刻τ0秒からτ1秒前の頭側出力値H1に対する現時刻τ0秒の頭側出力値H0の減少率HG1とは、上記式(4)から分かるように(H1−H0)/H1の値である。HG1がε1以上であり且つその状態がμ1秒以上継続している場合には、起上がり動作判定手段4Aは第1条件を満足していると判定し、すなわちベッド30上の使用者Uが起上がり動作をしたと判定する。
【0074】
第2条件において、現時刻τ0秒からτ2秒前の頭側出力値H2に対する現時刻τ0秒の頭側出力値H0の減少率HG2とは、上記式(5a)から分かるように(H2−H0)/H2の値である。また、現時刻τ0秒からτ2秒前の足側出力値F2に対する現時刻τ0秒の足側出力値F0の増加率FZ2とは、上記式(5b)から分かるように(F0−F2)/F2の値である。HG2がε2以上であり且つFZ2がε3以上であり更にその状態がμ2秒以上継続している場合には、起上がり動作判定手段4Aは第2条件を満足していると判定し、すなわちベッド30上の使用者Uが起上がり動作をしたと判定する。
【0075】
したがって、起上がり動作判定手段4Aで第1条件と第2条件とのうち少なくとも一方を満足していると判定された場合には、ベッド30上の使用者Uが起上がり動作をしたことを検知できる。
【0076】
ここで、起上がり動作判定手段4Aにおいて、第1条件が起上がり動作が速い場合に適する起上がり判定条件になり、第2条件が起上がり動作が遅い場合に適する起上がり判定条件になるようにするため、本実施形態では、τ1、τ2、ε1、ε2、ε3、μ1、μ2を次のように設定する。なお、これらの値はいずれも0よりも大きな値である。
【0077】
すなわち、起上がり動作が速い場合は比較的短時間で頭側出力値Hが減少し、一方、起上がり動作が遅い場合は比較的長い時間をかけて頭側出力値Hが減少する。そこで、第1条件のτ1と第2条件のτ2との関係を「τ1≦τ2」と設定する。
【0078】
さらに、起上がり動作が速い場合は、比較的短時間で頭側出力値Hが減少するのでその減少率は比較的大きく、一方、起上がり動作が遅い場合は、比較的長い時間をかけて頭側出力値Hが減少するのでその減少率は比較的小さい。そこで、第1条件のε1と第2条件のε2との関係を「ε1>ε2」と設定する。
【0079】
このように設定することにより、第1条件が起上がり動作が速い場合に適する起上がり判定条件となるとともに、第2条件が起上がり動作が遅い場合に適する起上がり判定条件となる。そして、起上がり動作判定手段4Aでは、第1条件と第2条件とのうち少なくとも一方を満足しているか否かを判定し、起上がり動作判定手段4Aで少なくとも一方を満足していると判定された場合、ベッド30上の使用者Uが起上がり動作をした旨の情報として起上がりアラームが起上がりアラーム手段5Aで発させられる。したがって、使用者Uの起上がり動作が速い場合でも遅い場合でも使用者Uが起上がり動作をしたか否かについて判定することができ、すなわち、使用者Uの起上がり動作についてその速さに追従して判定することができ、これにより使用者Uの起上がり動作を確実に検知することができる。
【0080】
さらに、起上がり動作が遅い場合は、上述したように頭側出力値Hの減少率は比較的小さいことから、起上がり動作が遅い場合の頭側出力値Hの減少率は、起上がり動作が速い場合の頭側出力値Hの減少率よりも、起上がり動作に関係のない小さな出力値の変動(ノイズ)の影響を受け易い。そこで、第1条件のμ1と第2条件のμ2との関係を「μ1<μ2」と設定する。これにより、ノイズの影響による誤判定を回避することができ、その結果、起上がり動作についての判定精度を向上させることができる。さらに、「μ1<μ2」と設定することにより、起上がり動作が速い場合は起上がり動作が遅い場合よりも早期に起上がり動作を検知することができる。
【0081】
さらに、起上がり動作が遅い場合は、上述したように頭側出力値Hの減少率は比較的小さく、起上がり判定について誤判定を生じ易い。一方、第3及び第4荷重検出センサ1c、1dから出力される出力値W3、W4を合計した足側出力値Fは、使用者Uの起上がり動作に伴って増加する。そこで、第2条件では、頭側出力値Hの減少率だけではなく足側出力値Fの増加率についても起上がり判定の条件に追加している。こうすることにより、起上がり動作(特に、遅い起上がり動作)についての判定精度を更に向上させることができる。ここで、もしε3をε2よりも大きく設定する(即ち、ε3>ε2)と、起上がり判定のタイミングが遅くなり、起上がり動作に追従した判定が困難になる。そこで、ε3を「ε3≦ε2」と設定する。こうすることにより、起上がり判定のタイミングを速くし得て、起上がり動作に追従した判定を確実に行うことができる。
【0082】
τ1とτ2は、いずれも1秒〜10分(600秒)の範囲に設定されることが望ましく、こうすることにより、様々な起上がり動作の速さに対応した判定を確実に行うことができる。
【0083】
ε1は、限定されるものではないが、5%〜80%に設定されることが望ましく、こうすることにより速い起上がり動作についての判定を確実に行うことができる。
【0084】
ε2は、限定されるものではないが、5%〜50%に設定されることが望ましく、こうすることにより遅い起上がり動作についての判定を確実に行うことができる。
【0085】
ε3は、限定されるものではないが、5%〜50%に設定されることが望ましく、こうすることにより遅い起上がり動作についての判定を更に確実に行うことができる。
【0086】
μ1は、限定されるものではないが、1秒〜5秒に設定されることが望ましく、こうすることにより速い起上がり動作についての判定を確実に行うことができる。
【0087】
μ2は、限定されるものではないが、1秒〜10秒に設定されることが望ましく、こうすることにより遅い起上がり動作についての判定を確実に行うことができる。
【0088】
さらに、τ1はτ1<τ2の関係を満足するように設定されることが望ましく、こうすることにより、起上がり動作判定手段4Aの第1条件で用いた頭側出力値の減少率HG1を第2条件よりも直近の起上がり動作に確実に対応させることができる。これにより、第1条件が起上がり動作が速い場合の起上がり判定条件に更に適するものとなる。したがって、使用者Uの起上がり動作についてその速さに確実に追従して判定することができ、これにより、使用者Uの起上がり動作を更に確実に検知することができるし、起上がり動作が速い場合は起上がり動作が遅い場合よりも確実に早期に検知することができる。
【0089】
さらに、μ1はμ1≦μ2×(3/5)の関係を満足するように設定されることが望ましく、こうすることにより、起上がり動作判定手段4Aの第1条件が起上がり動作が速い場合の起上がり判定条件に更に一層適するものとなる。したがって、使用者Uの起上がり動作についてその速さに更に確実に追従して判定することができ、これにより、使用者Uの起上がり動作を更に確実に検知することができるし、起上がり動作が速い場合は起上がり動作が遅い場合よりも更に確実に早期に検知することができる。
【0090】
起上がり動作判定手段4Aで使用者Uの背上げ動作の判定に用いる値は、頭側出力値Hの減少量ではなく減少率なので、使用者Uの体重の大小による判定のばらつきを極力なくすことができ、これにより背上げ動作についての判定精度を向上させることができる。
【0091】
状態判定手段6は、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4に基づいて、ベッド30上での使用者Uの動作が安定状態であるか否かを判定するとともにベッド30上で使用者Uが起上がり状態(離床予備動作状態)から臥床状態に戻るという戻り動作をしたか否かを判定するものである。状態判定手段6について詳述すると次のとおりである。
【0092】
すなわち状態判定手段6は、起上がり動作判定時の第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4に対する、現時刻の第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4の変動率がいずれも所定の安定条件を満たした場合に、使用者Uの動作が安定状態であると判定し、一方、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4の変動率の少なくとも一つが安定条件を満たしていない場合に、使用者Uの動作が安定状態ではないと判定するものである。
【0093】
さらに、状態判定手段6は、起上がり動作判定時の第1及び第2荷重検出センサ1a、1bからの出力値W1、W2を合計した頭側出力値に対する、現時刻の頭側出力値の増加率と、起上がり動作判定時の第3及び第4荷重検出センサ1c、1dからの出力値W3、W4を合計した足側出力値に対する、現時刻の足側出力値の減少率と、のうち少なくとも一方が、所定の戻り動作条件を満たした場合に、使用者Uが戻り動作をしたと判定し、一方、頭側出力値の増加率と足側出力値の減少率とがいずれも戻り動作条件を満たしていない場合に、使用者Uが戻り動作をしていないと判定するものである。
【0094】
ここで、「起上がり動作判定時」とは、起上がり動作判定手段4Aで使用者Uが起上がり動作をしたと判定した時を意味している。
【0095】
安定条件とは、荷重検出センサからの出力値の変動率が±α%以内であり且つその状態がt1時間(但しt1>0)以上継続しているという条件である。
【0096】
αは、限定されるものではないが、5%〜30%に設定されるのが望ましく、こうすることによりベッド30上の様々な使用者Uの安定状態を確実に判定することができる。
【0097】
t1は、限定されるものではないが、1秒〜120秒に設定されるのが望ましく、こうすることによりベッド30上の様々な使用者Uの安定状態を確実に判定することができる。
【0098】
戻り動作条件とは、現時刻の頭側出力値の増加率と現時刻の足側出力値の減少率とのうち少なくとも一方がλ%以内(但しλ≧0)であり且つその状態がt2時間(但しt2>0)以上継続しているという条件である。
【0099】
λは、限定されるものではないが、5%〜50%に設定されるのが望ましく、こうすることによりベッド30上の様々な使用者Uの戻り動作を確実に判定することができる。
【0100】
t2は、限定されるものではないが、1秒〜600秒に設定されるのが望ましく、こうすることによりベッド30上の様々な使用者Uの戻り動作を確実に判定することができる。
【0101】
ここで、安定条件において、起上がり動作判定時の第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値をそれぞれW1、W2、W3及びW4とし、現時刻の第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値をそれぞれW1、W2、W3及びW4とする。
【0102】
起上がり動作判定時の第1荷重検出センサ1aからの出力値W1に対する、現時刻の第1荷重検出センサ1aからの出力値W1の変動率V1は、(W1−W1)/W1で算出される。
【0103】
起上がり動作判定時の第2荷重検出センサ1bからの出力値W2に対する、現時刻の第2荷重検出センサ1bからの出力値W2の変動率V2は、(W2−W2)/W2で算出される。
【0104】
起上がり動作判定時の第3荷重検出センサ1cからの出力値W3に対する、現時刻の第3荷重検出センサ1cからの出力値W3の変動率V3は、(W3−W3)/W3で算出される。
【0105】
起上がり動作判定時の第4荷重検出センサ1dからの出力値W4に対する、現時刻の第4荷重検出センサ1dからの出力値W4の変動率V4は、(W4−W4)/W4で算出される。
【0106】
状態判定手段6において、起上がり動作判定時の第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4に対する、現時刻の第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4の変動率V1〜V4がいずれも安定条件を満たした場合とは、V1、V2、V3及びV4のいずれもが安定条件を満たした場合を意味しており、この場合、使用者Uの動作が安定状態であると判定される。また、現時刻の第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4の変動率V1〜V4の少なくとも一つが安定条件を満たしていない場合とは、V1、V2、V3及びV4の少なくとも一つが安定条件を満たしていない場合を意味しており、この場合、使用者Uの動作が安定状態ではないと判定される。
【0107】
ここで、戻り動作条件において、起上がり動作判定時の頭側出力値をHとし、現時刻の頭側出力値をH0とし、現時刻の頭側出力値H0の増加率をHZとする。また、起上がり動作判定時の足側出力値をFとし、現時刻の足側出力値をF0とし、現時刻の足側出力値F0の減少率をFGとする。HZ及びFG はそれぞれ次式(6a)及び(6b)で算出される。
【0108】
HZ=(H0−H)/H …式(6a)
FG=(F−F0)/F …式(6b)。
【0109】
状態判定手段6において、起上がり動作判定時の頭側出力値Hに対する現時刻の頭側出力値H0の増加率HZと、起上がり動作判定時の足側出力値Fに対する現時刻の足側出力値F0の減少率FGと、のうち少なくとも一方が戻り動作条件を満たした場合とは、HZとFGとのうち少なくとも一方が戻り動作条件を満たした場合を意味しており、この場合、使用者Uが戻り動作をしたと判定される。また、頭側出力値H0の増加率HZと足側出力値F0の減少率FGとがいずれも戻り動作条件を満たしていない場合とは、HZとFGとがいずれも戻り動作条件を満たしていない場合を意味しており、この場合、使用者Uは戻り動作をしていないと判定される。
【0110】
離床動作判定手段9は、状態判定手段6で使用者Uの動作が安定状態ではないと判定し且つ使用者Uが戻り動作をしていないと判定した場合、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4に基づいて使用者Uが離床動作をしたか否かを判定するものである。ここで、ベッド30上の使用者Uが離床する場合には、使用者Uはベッド30の中央部から最端エリア30A内へ移動してから離床する。そこで本実施形態では、離床動作とは、ベッド30上の使用者Uが離床をした動作だけではなく、更に使用者Uがベッド30の中央部からベッド30の最端エリア30A内に移動する動作を含んでいる。
【0111】
離床動作アラーム手段15は、離床動作判定手段9で使用者Uが離床動作をしたと判定した場合、離床動作アラームを報知対象者として介護者等に対して発するものであり、スピーカなどを有している。
【0112】
離床動作判定手段9による判定方法は、例えば公知の方法により行われ、その基本的な判定方法は例えば次のとおりである。
【0113】
すなわちその判定方法とは、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4を合計した総出力値の判定基準値に対する、現時刻の総出力値の減少率又は減少量が所定の閾値以上であるか否かを判定し、現時刻の総出力値の減少率又は減少量が所定の閾値以上であると判定した場合に使用者Uが離床動作をしたと判定(検知)し、一方、現時刻の総出力値の減少率又は減少量が所定の閾値以上ではないと判定した場合に使用者Uが離床動作をしていないと判定(検知)する方法である。
【0114】
総出力値の判定基準値としては、現時刻から所定時間前の総出力値や、ベッド30上に使用者Uが臥床した時の総出力値などが採用される。
【0115】
特に本実施形態では、離床動作判定手段9は、最端エリア判定手段10、経過時間判定手段11、離床動作アラーム手段15の一つとしての最端アラーム手段12、離床判定手段13、離床動作アラーム手段15の一つとしての離床アラーム手段14などを備えている。
【0116】
最端エリア判定手段10は、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4に基づいて演算されたベッド30上の使用者Uの重心位置Gがベッド30の最端エリア30A内に存在するか否かを判定するものである。なお、使用者Uの重心位置Gは例えば上記式(1X)及び(1Y)で演算される。
【0117】
経過時間判定手段11は、最端エリア判定手段10で使用者Uの重心位置Gが最端エリア30A内に存在していると判定した場合、起上がり動作判定手段4Aで使用者Uが起上がり動作をしたと判定した時刻から現時刻までの経過時間がβ時間(但しβ>0)以上である否かを判定するものである。
【0118】
βは、限定されるものではないが、1分〜5分に設定されることが望ましく、こうすることによりベッド30上の様々な使用者Uの離床動作を確実に判定することができる。
【0119】
最端アラーム手段12は、経過時間判定手段11で経過時間がβ時間以上であると判定した場合、離床動作アラームの一つとして最端アラームを発するものである。この最端アラーム手段12は、当該アラームを発した時から所定時間経過したら自動的に当該アラームが停止されるように構成されており、更に、介護者等がアラーム停止操作を行う(例:アラーム停止ボタン(図示せず)を押す)ことにより強制的にアラームが停止されるように構成されている。
【0120】
さらに、最端アラーム手段12は、経過時間判定手段11で経過時間がβ時間以上であると判定した場合、可及的速やかに最端アラームを発するように構成されている。したがって、経過時間判定手段11による経過時間の判定時刻と最端アラーム手段12による最端アラームの発生時刻との間の時間的なずれは非常に小さく、両者の時刻は同時刻であると捉えて良い。
【0121】
離床判定手段13は、経過時間判定手段11で経過時間がβ時間以上ではないと判定した場合と最端アラーム手段12で最端アラームを発した場合とのそれぞれの場合に、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4に基づいてベッド30上の使用者Uが離床したか否かを判定するものである。
【0122】
離床判定手段13による判定方法は、例えば公知の方法により行われ、その基本的な判定方法は例えば次のとおりである。
【0123】
すなわちその判定方法とは、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4を合計した総出力値の判定基準値に対する、現時刻の総出力値の減少率又は減少量が所定の閾値以上であるか否かを判定し、現時刻の総出力値の減少率又は減少量が所定の閾値以上であると判定した場合に使用者Uが離床をしたと判定(検知)し、一方、現時刻の総出力値の減少率又は減少量が所定の閾値以上ではないと判定した場合に使用者Uが離床をしていないと判定(検知)する方法である。
【0124】
総出力値の判定基準値としては、現時刻から所定時間前の総出力値や、ベッド30上に使用者Uが臥床した時の総出力値などが採用される。
【0125】
離床アラーム手段14は、離床判定手段13で使用者Uが離床したと判定した場合に、離床動作アラームの一つとして離床アラームを発するものである。この離床アラーム手段14は、当該アラームを発した時から所定時間経過したら自動的に当該アラームが停止されるように構成されており、更に、介護者等が所定のアラーム停止操作を行う(例:アラーム停止ボタン(図示せず)を押す)ことにより強制的にアラームが停止されるように構成されている。
【0126】
さらに、離床アラーム手段14は、離床判定手段13で使用者Uが離床したと判定した場合、可及的速やかに離床アラームを発するように構成されている。したがって、離床判定手段13による離床判定時刻と離床アラーム手段14による離床アラームの発生時刻との間の時間的なずれは非常に小さく、両者の時刻は同時刻であると捉えて良い。
【0127】
さらに本実施形態の検知装置20は、最端エリア判定手段10で使用者Uの重心位置Gがベッド30の最端エリア30A内に存在していないと判定した場合と離床判定手段13で使用者Uが離床していないと判定した場合とのそれぞれの場合に、使用者Uが離床動作をしていないと判定(検知)して状態判定手段6を再度実行するように構成されている。
【0128】
次に、本実施形態の検知装置20を用いたベッド30の在床状況検知方法を図4を参照して以下に説明する。
【0129】
図4において、ステップS1では、使用者Uはベッド30上に横臥姿勢で臥床している。使用者Uが臥床しているベッド30のエリア(臥床エリア)はベッド30の中央部である。
【0130】
ステップS2は、離床予備動作判定工程としての起上がり動作判定工程に相当するものである。本ステップS2では、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4に基づいてベッド30上で使用者Uが離床予備動作として起上がり動作をしたか否かを起上がり動作判定手段4Aで判定する。その判定方法は、上述した起上がり動作判定手段4Aの構成で説明したとおりである。もし起上がり動作をしたと判定した場合(「YES」の場合)には、ステップS3へ進む。もし起上がり動作をしていない判定した場合(「NO」の場合)には、本ステップS2へ戻る。
【0131】
ステップS3は、離床予備動作アラーム工程としての起上がりアラーム工程に相当するものである。本ステップS3では、起上がりアラーム手段5Aで起上がりアラームを介護者等に対して発する。
【0132】
ステップS4は、状態判定工程に相当するものである。本ステップS4では、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4に基づいて、ベッド30上での使用者Uの動作が安定状態であるか否かを判定するとともにベッド30上で使用者Uが起上がり状態から臥床状態に戻るという戻り動作をしたか否かを状態判定手段6で判定する。その判定方法は、上述した状態判定手段6の構成で説明したとおりである。もし使用者Uの動作が安定状態ではないと判定し且つ使用者Uが戻り動作をしていないと判定した場合(「NO」の場合)には、ステップS6へ進む。もし使用者Uの動作が安定状態であると判定し又は/及び使用者Uが戻り動作をしたと判定した場合(「YES」の場合)には、使用者Uが臥床状態であるとし(ステップS5)、ステップS2へ戻る。
【0133】
ステップS6〜S10は、離床動作判定工程に相当するものである。
【0134】
ステップS6は、離床動作判定工程の最端エリア判定工程に相当するものである。本ステップS6では、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4に基づいて演算されたベッド30上の使用者Uの重心位置Gがベッド30の最端エリア30A内に存在するか否かを最端エリア判定手段10で判定する。もし使用者Uの重心位置Gが最端エリア30A内に存在すると判定した場合(「YES」の場合)には、ステップS7へ進む。もし使用者Uの重心位置Gが最端エリア30A内に存在しないと判定した場合(「NO」の場合)には、ステップS4へ戻る。
【0135】
ステップS7は、離床動作判定工程の経過時間判定工程に相当するものである。本ステップS7では、ステップS2で使用者Uが起上がり動作をしたと判定した時刻から現時刻までの経過時間がβ時間(但しβ>0)以上である否かを経過時間判定手段11で判定する。なお図4では、β時間を「β分」と記載している。もし経過時間がβ時間以上であると判定した場合(「YES」の場合)には、ステップS8へ進んで、最端アラーム手段12で離床動作アラームの一つとして最端アラームを介護者等に対して発する(最端アラーム工程)。次いでステップS9へ進む。もし経過時間がβ時間以上ではないと判定した場合(「NO」の場合)には、ステップS8ではなくステップS9へ進む。
【0136】
ステップS9は、離床動作判定工程の離床判定工程に相当するものである。本ステップS9では、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4に基づいてベッド30上の使用者Uが離床したか否かを離床判定手段13で判定する。その判定方法は、上述した離床判定手段13の構成で説明したとおりである。もし使用者Uが離床したと判定した場合(「YES」の場合)には、ステップS10へ進んで、離床アラーム手段14で離床アラームを介護者等に対して発する(離床アラーム工程)。その後、使用者Uが再度ベッド30上に臥床した場合(ステップS11)には、ステップS2へ戻る。もし使用者Uが離床していないと判定した場合(「NO」の場合)には、ステップS4へ戻る。
【0137】
本実施形態の検知方法には次の利点がある。
【0138】
本実施形態の検知方法によれば、ベッド30上で離床予備動作として起上がり動作をした使用者Uが起上がり状態のままで離床しないでベッド30上で生活動作(例:洗濯物を畳む動作、布団を直す動作、着替え動作、生活用品等の整理作業動作)を長時間に亘ってしている場合には、ステップS4(状態判定工程)で使用者Uの動作が安定状態ではないと判定され且つ使用者Uが戻り動作をしていないと判定されて、ステップS6〜S10(離床動作判定工程)へ進む。そして、このステップS6〜S10で使用者Uが離床動作をしていないと判定された場合、ステップS2(起上がり動作判定工程)ではなくステップS4(状態判定工程)へ戻るので、起上がりアラームは発せられず、起上がりアラームの発生回数が減る。したがって、起上がりアラーム等の離床予備動作アラームの不必要な発生を抑制することができ、その結果、介護者の負担が軽減される。もとより、本実施形態の検知方法は、起上がり動作を判定した時刻からの経過時間に基づいて起上がり動作の判定を強制的にリセットするものではないので、起上がりアラーム等の離床予備動作アラームの不必要な発生を更に抑制することができる。
【0139】
一方、ステップS4(状態判定工程)で使用者Uの動作が安定状態であると判定し又は/及び使用者Uが戻り動作をしたと判定した場合には、ステップS2(起上がり動作判定工程)へ戻るので、ベッド30上で使用者Uが起上がり動作をしたか否かを再度判定することができる。
【0140】
さらに、使用者Uがベッド30上で起上がり動作をして生活動作をした後で離床行動をする場合には、起上がり動作をして生活動作をしていた使用者Uが離床するためにベッド30の中央部(臥床エリア)から最端エリア30Aに移動すると、ステップS6(最端エリア判定工程)で使用者Uの重心位置Gが最端エリア30A内に存在すると判定されて、ステップS7(経過時間判定工程)へ進む。このとき、使用者Uは生活動作をしていたために、使用者Uが起上がり動作をしたと判定した時刻からステップS6(最端エリア判定工程)で使用者Uの重心位置Gが最端エリア30A内に存在すると判定した時刻までの経過時間は長い。その結果、ステップS7(経過時間判定工程)では経過時間がβ時間以上であると判定されて、ステップS8(最端アラーム工程)へ進んで最端アラームが発せられる。そして、ステップS9(離床判定工程)へ進み、このステップS9で使用者Uが離床したと判定した場合、ステップS10(離床アラーム工程)で離床アラームが発せられる。
【0141】
一方、使用者Uがベッド30上で起上がり動作をした後で生活動作をしないで速やかに離床動作をする場合、すなわち使用者Uが起上がり動作と離床動作とを生活動作を介さないで一連動作で行う場合には、起上がり動作をした使用者Uがベッド30の中央部(臥床エリア)から最端エリア30Aに移動すると、ステップS6(最端エリア判定工程)で使用者Uの重心位置Gが最端エリア30A内に存在すると判定されて、ステップS7(経過時間判定工程)へ進む。このとき、使用者Uは生活動作をしていなかったので、使用者Uが起上がり動作をしたと判定した時刻からステップS6(最端エリア判定工程)で使用者Uの重心位置Gが最端エリア30A内に存在すると判定した時刻までの経過時間は短い。その結果、ステップS7(経過時間判定工程)では経過時間がβ時間以上ではないと判定されて、ステップS8(最端アラーム工程)ではなくステップS9(離床判定工程)へ進む。したがって最端アラームは発せられない。そして、ステップS9(離床判定工程)で使用者Uが離床したと判定した場合、ステップS10(離床アラーム工程)で離床アラームが発せられる。ここで、このように使用者Uが起上がり動作と離床動作とを一連動作で行う場合には、使用者Uが起上がり動作をしたと判定して起上がりアラームを発した時から離床アラームを発するまでの経過時間は短く、わざわざ最端アラームを発する必要はない。そのため、ステップS7(経過時間判定工程)からステップS9(離床判定工程)へ進むときにステップS8(最端アラーム工程)が省略されている。これにより、最端アラームの不必要な発生を抑制することができて、介護者の負担を更に軽減できる。
【0142】
上記実施形態では、離床予備動作が起上がり動作である場合について説明したが、本発明では、離床予備動作がその他に例えば使用者Uが端座位になる動作、即ち端座位動作である場合を排除するものではない。
【0143】
離床予備動作が端座位動作である場合において、端座位動作とは、使用者Uの重心位置Gがベッド30の中央部(臥床エリア)内に存在している状態で使用者Uが臥床状態から起上がり状態になってから使用者Uの重心位置Gがベッド30の中央部から端寄りエリア30B内に移動する動作と、使用者Uの重心位置Gがベッド30の端寄りエリア30B内に存在している状態で使用者Uが臥床状態から起上がり状態になる動作とを意味する。さらに、状態判定手段6(状態判定工程)において、ベッド30上で使用者Uが離床予備動作状態から臥床状態に戻るという戻り動作とは、離床予備動作が起上がり動作である場合と同じくベッド30上で使用者Uが起上がり状態から臥床状態に戻る動作を意味する。
【0144】
さらに離床予備動作が端座位動作である場合において、離床予備動作判定工程(離床予備動作判定手段4)としての端座位動作判定工程(端座位動作判定手段)は、使用者Uが離床予備動作として端座位動作をしたか否かを判定するものである。また、離床予備動作アラーム工程(離床予備動作アラーム手段5)としての端座位アラーム工程(端座位アラーム手段)は、端座位動作判定工程(端座位動作判定手段)で使用者Uが端座位動作をしたと判定した場合、離床予備動作アラームとして端座位アラームを発するものである。また、状態判定工程(状態判定手段6)は、離床予備動作が起上がり動作である場合と同じく、荷重検出手段1からの出力値に基づいて、ベッド30上での使用者Uの動作が安定状態であるか否かを判定するとともにベッド30上で使用者Uが起上がり状態から臥床状態に戻るという戻り動作をしたか否かを判定するものである。
【0145】
以上で本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲内で様々に変更可能である。
【0146】
また上記実施形態では、起上がり動作判定手段4Aの第2条件は、現時刻からτ2時間前の頭側出力値に対する現時刻の頭側出力値の減少率HG2がε2以上であり現時刻からτ2時間前の足側出力値に対する現時刻の足側出力値の増加率FZ2がε3以上である状態がμ2時間以上継続しているという条件であるが、本発明では、第2条件はこれに限定されず、現時刻からτ2時間前の頭側出力値に対する現時刻の頭側出力値の減少率HG2がε2以上である状態がμ2時間以上継続しているという条件であっても良い。
【0147】
また上記実施形態では、第1〜第4荷重検出センサ1a〜1dからの出力値W1〜W4として荷重値を用いているが、本発明では、荷重検出センサからの出力値は荷重値であることに限定されるものではなく、その他に例えば、ベッド30の対応する部位に掛かる荷重に対応する電圧値であっても良い。なおこの場合、荷重値は電圧値を所定の変換式に従って変換することにより演算可能であり、その演算を行うための荷重値演算手段(信号増幅部及びA/D変換部を含む)は例えば制御手段2に備えられる。
【0148】
また上記実施形態では、荷重検出センサ1a〜1dはベッド30の脚部31a〜31dと床面35との間に配置されているが、本発明では、荷重検出センサはこの箇所に配置されることに限定されるものではない。例えば、荷重検出センサは、ベッド30に掛かる荷重が当該ベッド30から床面35に伝達される荷重伝達経路の途中に配置される。具体的には、荷重検出センサは、ベッド30と各脚部31a〜31dとを連結する連結部(例:連結フレーム)や、ベッド30と各脚部31a〜31dとの間に配置されてベッド30を支持する支持部(例:支持フレーム)や、ベッド30を昇降させる昇降機構のリンク部(例:リンクフレーム、リンク軸)や、各脚部31a〜31dや、各脚部31a〜31dとベッド移動用キャスタとを連結する連結部や、キャスタ軸部などに取り付けられたり組み込まれたりするなどして配置される。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は、ベッド上の使用者の在床状況を検知するベッド用在床状況検知方法、及び、ベッド用在床状況検知装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0150】
1:荷重検出手段
4:離床予備動作判定手段
4A:起上がり動作判定手段
5:離床予備動作アラーム手段
5A:起上がりアラーム手段
6:状態判定手段
9:離床動作判定手段
10:最端エリア判定手段
11:経過時間判定手段
12:最端アラーム手段
13:離床判定手段
14:離床アラーム手段
15:離床動作アラーム手段
20:ベッド用在床状況検知装置
30:ベッド
30A:ベッドの最端エリア
U:ベッド使用者
図1
図2
図3
図4