(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対向するアーチアバット(2,2)にそれぞれ取付部(20,20)を構築し、前記各取付部(20,20)は、前記アーチアバット(2)から立上がり対側の前記アーチアバット(2)に向かって伸びてその上端(21a)に至る円弧状のアーチリブ基部(21)を備え、前記両取付部(20,20)の少なくとも一方に、前記アーチリブ基部(21)の上端(21a)を引き下げる昇降手段(25)を備え、クレーン(C)で円弧状のアーチリブ部(11)を備えたアーチ桁(10)を取り下ろす際に、前記アーチリブ部(11)の頂部のみを支持して吊り下げて、前記アーチリブ部(11)の両方の端部(11a,11a)間の水平距離が静置状態の時よりも縮小した状態で、前記アーチ桁(10)を前記アーチアバット(2,2)間に取り下ろし、
前記昇降手段(25)が前記アーチリブ基部(21)の上端(21a)を引き下げることにより、前記両取付部(20,20)の前記アーチリブ基部(21,21)の上端(21a,21a)間の水平距離を縮小し、前記アーチリブ部(11)の両方の端部(11a,11a)と前記アーチリブ基部(21)の上端(21a,21a)とをそれぞれ当接させ、その後、前記昇降手段(25)による前記アーチリブ基部(21)の上端(21a)の引き下げを解除し、前記アーチリブ部(11)の両方の端部(11a)が上昇して、前記アーチリブ部(11)の両方の端部(11a)と前記アーチリブ基部(21)の上端(21a)とをアーチ軸方向の軸力伝達が可能な状態に接続することによりアーチ構造体(3)を構築することを特徴とするアーチ橋の架橋方法。
前記アーチリブ部(11)の両方の端部(11a,11a)と前記アーチリブ基部(21)の上端(21a,21a)とをそれぞれ当接させ、前記クレーン(C)の吊り下げ力を解放した際に、前記アーチリブ部(11)の両端部(11a,11a)間の水平距離が拡大することにより、前記アーチリブ部(11)と前記アーチリブ基部(21)とがアーチ軸方向の軸力伝達が可能な状態に接続されることを特徴とする請求項1に記載のアーチ橋の架橋方法。
前記アーチ桁(10)及び前記取付部(20)の一方に軸力伝達手段(30)が他方に受け部(32)が備えられており、前記アーチ桁(10)を取り下ろした後、前記軸力伝達手段(30)で前記受け部(32)をアーチ軸方向へ押圧することにより、前記アーチリブ部(11)の両端部(11a,11a)と前記アーチリブ基部(21)の上端(21a,21a)とを当接させることを特徴とする請求項1又は2に記載のアーチ橋の架橋方法。
前記軸力伝達手段(30)はアーチ軸方向に進退自在のロッド(31a)を備え、前記アーチ桁(10)を取り下ろす際は前記ロッド(31a)が後退しており、前記アーチ桁(10)を取り下ろした後は前記ロッド(31a)が伸長することにより前記受け部(32)を押圧することを特徴とする請求項3に記載のアーチ橋の架橋方法。
【背景技術】
【0002】
海峡部や湖沼、河川、運河、その他各種の自然地形や、あるいは、人工の施設等を跨いで架設される橋梁の構造として、アーチ橋がある。このアーチ橋は、架橋地点の両側に設けたアーチアバット間を結ぶ円弧状のアーチ構造体を主要部材とする。
【0003】
アーチ構造体の架設方法としては、例えば、特許文献1〜3に記載のものがある。この架設方法では、アーチ構造体を構成する円弧状の部材を、橋長方向に沿って複数に分割して製作しておき、その分割して製作された円弧状の部材を順次接続することで、架橋地点の両側から、アーチ構造体を径間中央に向かって片持ち梁状に仮設して、徐々にその張り出し長さを伸ばしていくものである。最終的に、両側から伸びる片持ち梁状の構造物の先端同士を径間中央で接続することで、両アーチアバット間を結ぶアーチ構造体が構築される。
【0004】
この架設方法では、アーチ構造体を構成する円弧状の部材を、順次接続しながら架橋が成されるため、架設に時間がかかるという問題がある。また、この架設方法では、仮設状態において、アーチアバットから径間中央に向かって、片持ち梁状の構造物を支持しなければならないため、特に径間が長くなればなるほど、その支持構造が大型化するという問題もある。
【0005】
このため、例えば、特許文献4に記載のように、工場等の別の場所(以下、「ヤード」と称する)で製作されたアーチ構造体を架橋地点に搬入し、それらを片持ち梁状に仮設することなく、クレーンを用いて径間全長に亘って一斉に架設する架橋方法もある。
【0006】
また、海峡部等に架設される長大橋梁においては、例えば、
図14に示すように、ヤードで製作されたアーチ桁10を、クレーンCを備えた台船Dを用いて海上輸送で架橋地点に搬入する手法が採用される場合もある。
【0007】
この架橋方法において、架橋地点の両側のアーチアバット2には、予め、取付部20が立ち上げられている。取付部20は、アーチ構造体3の一部を構成するアーチリブ基部21と、完成時において路面が形成される水平方向の補剛桁基部22とを備える。アーチリブ基部21は、アーチアバット2から立上がり、対岸側に向かって円弧状に伸びてその上端21aに至っている。
【0008】
また、アーチ桁10は、アーチ構造体3の一部を構成する円弧状のアーチリブ部11と、完成時において路面が形成される水平方向の補剛桁部12とを備える。
【0009】
アーチ桁10は、クレーンCによって対向する両取付部20,20間に取り下ろされ、架橋地点の直下に立ち上げられたベントB上に載置される。
そして、そのベントB上に載置されたアーチ桁10のアーチリブ部11の両側の端部11a,11aと、取付部20のアーチリブ基部21の上端21aとを接続することで、両アーチアバット2,2間を結ぶアーチ構造体3が構築される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記
図14に示すクレーンCを用いたアーチ橋の架設方法によれば、アーチ桁10を両取付部20,20間に取り下ろす際の作業が問題となる。
【0012】
すなわち、アーチ桁10は、クレーンCで吊り下げられるため、その取り下ろし中、アーチ桁10に揺れが生じる。また、アーチ桁10の桁長は、温度変化によって伸縮する。この揺れ幅や伸縮量は、長大橋梁であるほど大きくなる。さらに、クレーンCが陸上ではなく海上にあれば、その揺れはさらに大きくなる。また、アーチ桁10や取付部20を構成する部材の製作誤差の存在も無視できない。
このため、仮に、アーチ桁10の桁長と両取付部20,20間の間隔とを同一に設定すると、アーチ桁10が、その両取付部20,20間にぴったりと収まらない場合がある。また、その取り下ろし中に、そのアーチ桁10が取付部20に接触して部材を損傷してしまう可能性がある。
【0013】
そこで、例えば、
図15の比較例に示すように、取付部20を、予め正規の位置に対してセットバックした
図15(a)の位置に設けておき、アーチ桁10を取り下ろした後、そのセットバックしていた取付部20を、
図15(b)に示すように、正規の位置に前進させることで、アーチ桁10と取付部20,20とを接続する手法も考えられる。ただし、このようなセットバックは地形的に不可能な場合が多く(後方に山地が迫っている等)、また、巨大な取付部20の構造物を可動状態にするためには、その支持構造が複雑になるという問題がある。
【0014】
そこで、通常は、
図16(a)(b)に示すように、アーチ桁10を取り下ろした際に、前記端部11aと前記上端21aとの間に、アーチ軸方向の隙間w1ができるように設定している。
【0015】
そして、アーチ桁10を取り下ろした後、その隙間w1を埋めるべく、アーチ桁10のアーチリブ部11の両側の端部11a,11aと、取付部20のアーチリブ基部21の上端21aとの間に、それぞれ調整ブロックA1を介在させている。
なお、このとき、同じく隙間w2が生じているアーチ桁10の補剛桁部12の両側の端部12a,12aと、取付部20の補剛桁基部22の先端22aとの間の隙間w2にも、それぞれ調整ブロックA2を介在させている。
【0016】
しかし、このように調整ブロックA1,A2を用いた架設方法を採用すると、両取付部20,20間に、アーチ桁10を仮受けするためのベントBが必要となる。
なぜならば、アーチ桁10がクレーンCに吊り下げられたままの状態では、アーチ桁10が揺れるので、調整ブロックA1,A2による取付部20との接続ができないからである。また、アーチ桁10や取付部20の寸法誤差や温度による伸縮誤差に対応するため、隙間w1,w2の寸法計測を行い、その寸法に基づいて調整ブロックA1,A2を製作する必要があるからである。隙間w1,w2の寸法計測は、アーチ桁10がクレーンCに吊り下げられたままの状態では行うことができない。
【0017】
また、このようなベントBを設けることは、工事の工程を長くしてしまうとともに、施工のコストを大幅に上昇させるので好ましくない。
さらに、特に、そのベントBを海上や河川等に設ける場合は、そのベントBを設けることに対して時期的、場所的な制限が多い。仮に、ベントBを設けることができない時期であれば、工事の工程はさらに長くなってしまい、また、ベントBを設けることが許される位置が、架橋地点において径間中央を境に対称でなければ、仮受けされたアーチ桁10に非対称な変形を生じさせてしまうからである。
【0018】
そこで、この発明は、アーチ橋の架橋に際し、ベントによる仮受けを不要とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、この発明は、対向するアーチアバットにそれぞれ取付部を構築し、前記各取付部は、前記アーチアバットから立上がり対側の前記アーチアバットに向かって伸びてその上端に至る円弧状のアーチリブ基部を備え、前記両取付部の少なくとも一方に、前記アーチリブ基部の上端を
引き下げる昇降手段を備え、クレーンで円弧状のアーチリブ部を備えたアーチ桁を取り下ろす際に、前記アーチリブ部の頂部のみを支持して吊り下げて、前記アーチリブ部の両方の端部間の水平距離が静置状態の時よりも縮小した状態で、前記アーチ桁を前記アーチアバット間に取り下ろし、前記昇降手段が前記アーチリブ基部の上端を
引き下げることにより、前記両取付部の前記アーチリブ基部の上端間の水平距離を縮小し、
前記アーチリブ部の両方の端部と前記アーチリブ基部の上端とをそれぞれ当接させ、その後、前記昇降手段による前記アーチリブ基部の上端の引き下げを解除し、前記アーチリブ部の両方の端部が上昇して、前記アーチリブ部の両方の端部と前記アーチリブ基部の上端とをアーチ軸方向の軸力伝達が可能な状態に接続することによりアーチ構造体を構築することを特徴とするアーチ橋の架橋方法を採用した。
【0020】
上記の架橋方法によれば、アーチリブ基部の上端を
引き下げて両取付部間の水平距離を縮小すれば、その両取付部間の水平距離を、クレーンによって吊り下げられた状態のアーチ桁の橋長(地盤等への静置状態よりも短い橋長)に近づけることができる。このため、アーチ桁を取り下ろす際には、広いスペース(前記両取付部間の距離)を確保して安全にアーチ桁を取り下ろし、アーチ桁を取り下ろした後は、アーチリブ基部の上端を
引き下げることにより、アーチリブ部のアーチ軸方向両方の端部と各アーチリブ基部の上端とをそれぞれ容易に接続できる。このため、アーチ桁がクレーンに吊り下げられたままの状態であっても、アーチ桁の取り下ろしと接続が可能であり、アーチ桁を仮受けするためのベントを不要とすることができる。前記昇降手段は、両側の取付部にそれぞれ設けられることが望ましい。
【0021】
従来は、アーチ桁や取付部の寸法誤差や温度による伸縮誤差に対応するため、ベント上に取り下ろされたアーチ桁と、架橋地点の両側に設けられた取付部との間の隙間の寸法計測を行い、その寸法に基づいた調整ブロックを製作していたが、この発明によれば、調整ブロックが不要であるから、アーチ桁を取り下ろした後に行う隙間の計測が不要である。この点においても、アーチ桁を仮受けするためのベントを不要とできる。
【0022】
上記の構成において、前記アーチリブ部の両方の端部と前記アーチリブ基部の上端とをそれぞれ当接させ、前記クレーンの吊り下げ力を解放した際に、前記アーチリブ部の両端部間の水平距離が拡大することにより、前記アーチリブ部と前記アーチリブ基部とがアーチ軸方向の軸力伝達が可能な状態に接続される構成を採用することができる。
【0023】
また、前記アーチ桁及び前記取付部の一方に軸力伝達手段が他方に受け部が備えられており、前記アーチ桁を取り下ろした後、前記軸力伝達手段で前記受け部をアーチ軸方向へ押圧することにより、前記アーチリブ部の両端部と前記アーチリブ基部の上端とを当接させる構成を採用することができる。
【0024】
その軸力伝達手段はアーチ軸方向に進退自在のロッドを備え、前記アーチ桁を取り下ろす際は前記ロッドが後退しており、前記アーチ桁を取り下ろした後は前記ロッドが伸長することにより前記受け部を押圧する構成を採用することができる。
【0025】
軸力伝達手段としては、受け部を押圧することで、アーチリブ部とアーチリブ基部とを当接させ、互いに接続できる機能を有していればよく、例えば、進退自在のロッドを備えたジャッキを用い、そのロッドによって受け部を押圧する構成や、あるいは、回転中心からの距離が周方向に沿って徐々に変化するカム部材の回転運動により、このカム部材で受け部を押圧する構成等が考えられる。
軸力伝達手段を進退自在のロッドを備えた構成とする場合、具体的には、前記軸力伝達手段はアーチ軸方向に進退自在のロッドを備え、前記アーチ桁を取り下ろす際は前記ロッドが後退しており、前記アーチ桁を取り下ろした後は前記ロッドが伸長することにより前記受け部を押圧する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明は、アーチ桁を取り下ろす際には、広いスペース(前記両取付部間の距離)を確保して安全にアーチ桁を取り下ろし、アーチ桁を取り下ろした後は、アーチリブ基部の上端を
引き下げることにより、アーチリブ部のアーチ軸方向両方の端部と各アーチリブ基部の上端とをそれぞれ容易に接続できるので、アーチ桁がクレーンに吊り下げられたままの状態であっても、アーチ桁の取り下ろしと接続が可能であり、アーチ桁を仮受けするためのベントを不要とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。この実施形態は、海峡部を跨いで架設されるアーチ橋1の架橋方法に関するものである。
【0029】
アーチ橋1は、
図1に示すように、工場で製作されたアーチ桁10を、クレーンCを備えた台船Dを用いて架橋地点に搬入し、その架橋地点の両側のアーチアバット2,2にそれぞれ立ち上げられた取付部20,20間に取り下ろしされる。そして、アーチ桁10の両端が各取付部20,20に接続されて、アーチアバット2,2間を結ぶアーチ構造体3を構成し、アーチ橋1が架橋されるものである。
【0030】
アーチ桁10の構成は、アーチ構造体3の一部を構成する円弧状のアーチリブ部11と、完成時において床版が載置等されることで路面が形成される水平方向の補剛桁部12とを備える。アーチリブ部11と補剛桁部12とは、多数のハンガー13で結ばれている。アーチリブ部11及び補剛桁部12は、いずれも、上下フランジと両側のウェブとからなる箱桁である。
【0031】
取付部20の構成は、アーチ構造体3の一部を構成するアーチリブ基部21と、完成時において床版が載置等されることで路面が形成される水平方向の補剛桁基部22とを備える。アーチリブ基部21は、アーチアバット2から立上がり、対岸側に向かって円弧状に伸びてその上端21aに至っている。アーチリブ基部21と補剛桁基部22とは垂直材23で結ばれている。また、補剛桁基部22の後方側端部(径間中央から遠い側の端部)は、アーチアバット2から立ち上げられた橋脚24によって支持されている。アーチリブ基部21及び補剛桁基部22は、いずれも、上下フランジと両側のウェブとからなる箱桁である。
【0032】
アーチ桁10の補剛桁部12と、取付部20の補剛桁基部22とは、アーチ桁10を取り下ろした後に接続されて、例えば、道路橋の場合は、補剛桁部12と補剛桁基部22とに路面が形成される。
【0033】
アーチ橋1の架橋方法を順に説明すると、まず、
図2に示すように、対向するアーチアバット2,2にそれぞれ取付部20,20を構築する。アーチリブ基部21は、その上端21a近くが、アーチアバット2の前方(径間中央に近い側)の地盤から立ち上げられた仮設受け台26によって支持されている。仮設受け台26は、その上端に昇降手段25としてジャッキを備えている。昇降手段25は、アーチリブ基部21の上端21aの
引き下げ及び押し上げができるようになっている。このジャッキとしては、例えば、油圧ジャッキを用いることができる。
【0034】
つぎに、
図3に示すように、ヤードで製作されたアーチ桁10が、クレーンCを備えた台船Dによって架橋地点に搬入される。アーチ桁10は、その架橋地点の両側の取付部20,20間に取り下ろしされる。
【0035】
なお、ヤードにおいては、事前にクレーンCを用いた吊り下げ試験が行われており、地盤上に架台を介して載置された状態(以下、「静置状態」と称する。)のアーチ桁の桁長、吊り下げ状態におけるアーチ桁10の桁長が計測されている。桁長は、アーチリブ部11の両方の端部11a,11a間の水平距離で求められる。測定位置としては、例えば、アーチリブ部11を構成する箱桁の断面の軸心等で計測してよい。
【0036】
静置状態における計測は、アーチ桁10が両取付部20,20間に実際に架橋された状態に近い応力状態となるよう、アーチ桁10の橋軸方向両端付近にのみ架台の支持点を設けて行う。
【0037】
また、吊り下げ状態における計測は、実際の架橋作業の際と同一の吊り下げ条件で行う。
図9(a)に示すように、アーチ桁10を、クレーンCでアーチリブ部11の頂部のみを支持して吊り下げ、アーチリブ部11の両方の端部11a,11a間の水平距離が、静置状態の時よりも縮小した状態のアーチ桁10の桁長を計測する。
図9(a)に示す吊り下げ状態の桁長L4は、
図9(b)に示す静置状態の桁長L5よりも短くなっている。これは、吊り下げ状態では、アーチリブ部11の部材の自重により、アーチリブ部11の両端11a,11a付近が、静置状態の時よりも大きく垂れ下がるからである。このため、アーチリブ部11の両端11a,11aと頂部との高低差は、静置状態のそれよりも大きくなっている。
【0038】
なお、補剛桁部12の両端部12a,12aも、吊り下げ状態では静置状態の時よりも若干垂れ下がっており、両端部12a,12aと頂部との高低差は、静置状態のそれよりも大きくなっている。
図9では理解がしやすいように、アーチ桁10の桁長の変化や部材の高低差の変化を大きく誇張して表現している。
【0039】
両取付部20,20は、その計測された桁長に基づいて、適切な位置に構築されている。その適切な位置とは、静置状態のアーチ桁10の桁長に対応して、アーチリブ部11の両方の端部11a,11aが、それぞれ両取付部20,20のアーチリブ基部21,21の上端21a,21aに合致し、その合致した部分の接続によって、円弧状のアーチラインが折れ点なく形成される位置である。
【0040】
アーチ桁10を両取付部20,20間に取り下ろす際には、クレーンCでアーチリブ部11の頂部のみを支持してアーチ桁10を吊り下げる。吊り下げ位置は、アーチの頂部を挟んで橋軸方向に対称であることが望ましく、また、頂部から最も遠い支持点の頂部からの水平距離は、アーチ桁10の桁長に対してあまり大きくならないことが望ましい。このようにして、アーチリブ部11の両方の端部11a,11a間の水平距離L4が、静置状態の水平距離L5よりも縮小した状態のアーチ桁10をアーチアバットの両取付部20,20間に取り下ろす。
【0041】
このとき、吊り下げ状態のアーチリブ部11の両方の端部11a,11aと、対向する各取付部20,20のアーチリブ基部21,21の上端21a,21aとの間には、比較的大きな隙間があるので、アーチ桁10の取り下ろしはスムーズである。
【0042】
両取付部20,20にそれぞれ昇降手段25を備えているので、アーチ桁10を取り下ろした後、
図8(a)(b)に破線から実線へと示すように、昇降手段25がアーチリブ基部21の上端21aを
引き下げることができる。この
引き下げにより、アーチリブ基部21の上端21aは、橋軸方向に距離L3だけ前進する。このため、両取付部20,20のアーチリブ基部21,21の上端21a,21a間の水平距離は、図中のL1からL2へと縮小するので、アーチ桁10と取付部20との離隔が小さくなり、アーチ桁10と取付部20との接続が可能な状態となる。
【0043】
すなわち、昇降手段25が、アーチリブ基部21の上端21aを
引き下げることにより、両取付部20,20のアーチリブ基部21,21の上端21a,21a間の水平距離をL1からL2へと縮小させ、アーチリブ部11とアーチリブ基部21とを近接させることにより、その後の両者の接続を容易としている。
【0044】
このとき、
図4に示すように、アーチリブ部11とアーチリブ基部21との間には、円弧状のアーチ方向に沿って折れ点が発生する。この折れ点の角度は微小な大きさであるが、図では理解がしやすいように、その角度を大きく誇張して表現している。
【0045】
ところで、この実施形態では、
図10(a)に示す第一引き寄せ手段60、第二引き寄せ手段70を用いている。
【0046】
図10において、実際には、アーチリブ部11とアーチリブ基部21との間の折れ点が発生しているが、その角度は微小であるので、図中では、アーチリブ部11とアーチリブ基部21との間の折れ点は無視して、向かい合う部材同士が一直線上にあるように表現している。
【0047】
第一引き寄せ手段60は、アーチ桁10の補剛桁部12に設けた定着部63にワイヤー61aが接続され、
図10(b)に示すように、連結部材67に接続されている。取付部20の補剛桁基部22に設けた定着部62に別のワイヤー61bが接続され、そのワイヤー61bは、定着部65に接続された定滑車66aと、連結部材67に接続された動滑車66bとに交互に巻回されて、ウィンチ64に接続されている。ウィンチ64を動作させれば、その駆動力によってワイヤー61bが引かれ、動滑車66b、連結部材67、ワイヤー61aを介して、アーチ桁10が取付部20側へ引き寄せられるようになっている。
【0048】
第二引き寄せ手段70は、アーチ桁10のアーチリブ部11に設けた定着部73にワイヤー71aが接続され、
図10(c)に示すように、連結部材77に接続されている。また、取付部20のアーチリブ基部21に設けた定着部72に別のワイヤー71bが接続され、そのワイヤー71bは、定着部75に接続された定滑車76aと、連結部材77に接続された動滑車76bとに交互に巻回されて、ウィンチ74に接続されている。さらに、別のワイヤー71cは、ワイヤー71aから分岐して、陸上側に設けたウィンチ(図示せず)に接続されている。図中の符号78,79a,79b,79cは、定着部である。ウィンチ74を動作させれば、その駆動力によってワイヤー71bが引かれ、動滑車76b、連結部材77、ワイヤー71aを介して、アーチ桁10が取付部20側へ引き寄せられるようになっている。また、併せて、陸上側のウィンチを動作させれば、ワイヤー71c、ワイヤー71aを通じて引き寄せが行われる。
【0049】
次に、アーチリブ部11のアーチ軸方向両方の端部11a,11aと、各アーチリブ基部21,21の上端21a,21aとをそれぞれ接続する。
【0050】
アーチ桁10と取付部20との正確な位置決めは、そのアーチ桁10と取付部20とに備えられた位置決め手段40,50によって行う。位置決め手段40,50は、それぞれ、アーチリブ部11とアーチリブ基部21とを上下方向及びアーチ軸に直交する水平方向に対して位置決めする機能を有する。
【0051】
位置決め手段40(以下、「第一位置決め手段40」と称する)は、アーチ桁10及び取付部20にそれぞれ設けられたピン受け部41,42と、その両ピン受け部41,42間に収容されるピン43とを備えている。ピン43は、後方に配置したジャッキ44の機能により、アーチ軸方向に進退可能である。この実施形態では、ジャッキ44として油圧ジャッキを採用している。また、この位置決め手段40は、アーチリブ部11とアーチリブ基部21の両側のウェブに沿って、それぞれ1箇所ずつ設けられている。
【0052】
アーチ桁10を取り下ろした際に、アーチリブ部11とアーチリブ基部21とが向かい合うタイミングで、両ピン受け部41,42間にピン43を収容する。これにより、アーチリブ部11とアーチリブ基部21とは位置決めされるとともに、そのアーチリブ部11とアーチリブ基部21との間に生じるせん断力に対抗することができる。
【0053】
図11(a)〜(d)は、その第一位置決め手段40によるアーチリブ部11とアーチリブ基部21との位置合わせの状況を示している。
図12及び
図13は、第一位置決め手段40の構成を示す詳細図である。
【0054】
この実施形態では、ピン受け部41,42は、アーチ軸方向に伸びる貫通孔で構成され、その両貫通孔の軸心が同一直線上に並列した状態で、両貫通孔内にピン43がぴったりと嵌るようになっている。
【0055】
ピン43の先端はテーパー状に狭まっており、いわば砲弾形状のかんぬきとなって、ピン受け部41,42に入りやすいようになっている。また、アーチリブ部11側のピン受け部42は、その貫通孔の形状が径間中央側に向かうにつれてテーパー状に狭まっている。このテーパー状の内面にピン43の先端のテーパー状の外面が全面に亘って面接触するので、ピン43の抜け止め機能を発揮する。
【0056】
ピン受け部41,42の構成は、必ずしもこの実施形態のような孔には限定されず、例えば、周方向の一部が開口する凹部等としてもよいが、少なくとも、ピン43が収容されることによって、そのピン43がしっかりと固定され、アーチリブ部11とアーチリブ基部21とを位置決めできるものであることが必要である。
また、アーチリブ部11とアーチリブ基部21との間で、せん断力を伝達できるものであることが望ましい。例えば、
図13(c)に示すように、アーチリブ部11とアーチリブ基部21とが、円弧状のアーチ軸方向に対して折れる(一直線上にならない)ような状態、すなわち、前述の折れ点が発生している状態においても、ピン43がピン受け部41,42から離脱しない構成となっている。
【0057】
また、位置決め手段50(以下、「第二位置決め手段50」と称する)は、アーチ桁10及び取付部20の一方に設けられたガイド受け部51と、他方に設けられたガイド部材52とを備えている。この実施形態では、ガイド部材52は、アーチリブ部11のウェブの外面としているが、このガイド部材52を、ウェブからアーチ軸方向又はアーチ軸に直交する水平方向に突出する別部材としてもよい。
【0058】
ガイド受け部51は、
図11(e)や
図12(c)に示すように、アーチリブ基部21のウェブの両側において、上方に向かって徐々に外側に拡がる傾斜板51aを備えている。傾斜板51aはリブ51bで補強されている。両側の傾斜板51a,51a間の間隔は、その最も下方の位置(アーチリブ部11の下フランジ付近)において、アーチリブ部11の両側のウェブ外面間の距離よりもやや広い程度が望ましい。
【0059】
この第二位置決め手段50によって、アーチ桁10を取り下ろす際に、ガイド部材52が両側の傾斜板51aに当たることにより、アーチリブ部11とアーチリブ基部21とをアーチ軸に直交する水平方向に対して位置決めすることができる。このため、前述の第一位置決め手段40による位置決めの作業が簡単である。すなわち、第二位置決め手段50の機能によって、両ピン受け部41,42の貫通孔の軸心が一直線上に近い状態に並びやすくなるので、その後、ピン43をピン受け部41,42に収容する作業が簡単である。
【0060】
なお、この実施形態では、ガイド受け部51を取付部20側に、ガイド部材52をアーチ桁10側に設けているが、これを逆に配置することは可能である。
【0061】
また、第一位置決め手段40によって、アーチ桁10の動揺を抑えた後、アーチリブ部11とアーチリブ基部21とを仮添接板(図示せず)で接続してもよい。この仮添接板は、逸脱防止装置として機能し、第一位置決め手段40や第二位置決め手段50に支障しない箇所、例えば、アーチリブ部11のウェブとアーチリブ基部21のウェブとを掛け渡すように設けることができる。
【0062】
アーチリブ部11のウェブとアーチリブ基部21のウェブにそれぞれボルト孔を形成しておき、その各ウェブに設けたボルト孔と、仮添接板に設けたボルト孔とを位置合わせした上で、その位置合わせしたボルト孔にボルトを挿入してナットの締め付けを行う。この締め付けは、アーチリブ部11やアーチリブ基部21を構成する箱桁の内外に作業員を配置して行うことができる。この仮添接板を通じて、アーチリブ部11のウェブとアーチリブ基部21との間のせん断力が伝達可能である。
【0063】
このため、仮に、製作誤差や過大変形などによって、計画以上の仕口角度の変形(アーチリブ部11とアーチリブ基部21とが、アーチ軸方向に対して折れるような状態)がある場合は、ピン43を完全にピン受け部41,42に収容できないような場合も想定されるが、このような場合に、仮添接板が第一位置決め手段40の機能を代替することも可能である。
【0064】
なお、各ウェブに設けたボルト孔と、仮添接板に設けたボルト孔のいずれか一方は、アーチ軸方向に伸びる長孔としている。また、その仮添接板は、ウェブの外面に直交する回転軸によって、そのウェブに対して回転自在に取付けておいてもよい。仮添接板を接続する際には、その仮添接板をウェブの外面に沿って回転軸周りに回転させることにより、所定の位置に位置合わせすることができる。
【0065】
つぎに、軸力伝達手段30によって、アーチリブ部11とアーチリブ基部21とをアーチ軸方向の軸力伝達が可能な状態に接続する。
【0066】
図11に示すように、取付部20のアーチリブ基部21に軸力伝達手段30が、アーチ桁10のアーチリブ部11に受け部32が備えられている。軸力伝達手段30はアーチ軸方向に進退自在のロッド31aを備えた油圧ジャッキ31で構成している。
この実施形態では、軸力伝達手段30と受け部32は、アーチリブ基部21及びアーチリブ部11を構成する箱桁の上フランジ側に二組、下フランジ側に二組設けられているが、その設置数は、設計荷重に応じて適宜増減することができる。
【0067】
ロッド31aは、アーチ桁10を取り下ろす際は、
図11(a)〜(c)に示すように後退している。
【0068】
アーチ桁10を取り下ろした後、油圧の機能により、ロッド31aが伸長することにより、
図11(d)に示すように、そのロッド31aで受け部32を押圧する。ロッド31aが受け部32をアーチ軸方向へ押圧することにより、アーチリブ部11とアーチリブ基部21とを当接させる。
【0069】
このとき、ロッド31aの先端と受け部32との間に、ライナー材を挿入してもよい。ライナー材は、ロッド31aの先端と受け部32との密着度合いを高めたり、あるいは、万が一、ロッド31aのストロークが不足する場合にそのストローク不足を補うことができる。
【0070】
このように、アーチリブ部11の端部11a,11aと、対向するアーチリブ基部21,21の上端21a,21aとをそれぞれ当接させた状態で、クレーンCの吊り下げ力(アーチ桁10を上方に引っ張る力)を徐々に解放する。
【0071】
クレーンCの吊り下げ力を徐々に解放すると、アーチ桁10の自重が、アーチリブ部11の両方の端部11a,11aから、対向するアーチリブ基部21,21の上端21a,21aへと伝わる。その力の大きさは、最大で、アーチ桁10の自重の半分の大きさからなる鉛直下向重力に対する、アーチの接線方向下向きへの分力である。
【0072】
この接線方向への分力は、吊り下げ力の解放とともにアーチリブ基部21側へ徐々に伝わっていく。逆に、アーチアバット2からの反力は、アーチアバット2、アーチリブ基部21からアーチリブ部11へと前記分力と反対方向に作用する。そして、アーチリブ部11とアーチリブ基部21との間の軸力が徐々に増加するとともに、アーチリブ部11とアーチリブ基部21との間の折れ点の角度が徐々に小さくなっていく。
【0073】
このとき、昇降手段25によるアーチリブ基部21,21の
引き下げ力は解除しているので、
図5に鎖線から実線へと示すように、アーチリブ基部21の上端21aは、もとの位置に復帰することとなる。アーチリブ部11の両方の端部11a,11aの位置も、鎖線から実線に示すように上昇する。このとき、昇降手段25が、油圧の作用によりアーチリブ基部21,21を押し上げて、アーチリブ基部21,21の上昇を補助してもよい。
【0074】
アーチリブ基部21,21の上端21a,21a、及び、アーチリブ部11の端部11a,11aの上昇に伴い、アーチリブ部11の両方の端部11a,11a間の水平距離は徐々に拡大し、最終的に折れ点は解消し、アーチリブ部11とアーチリブ基部21とが、円弧状のアーチ軸方向に沿って軸力伝達が可能な状態に接続される。すなわち、アーチリブ部11とアーチリブ基部21とは連続する円弧状のアーチを形成し、折れ点の無い状態となり円弧状のアーチ軸方向に沿って軸力伝達が可能な状態となる。これにより、両アーチアバット2,2間を結ぶアーチ構造体3を構築することができる(
図5の実線参照)。図中の符号Jは、アーチリブ部11とアーチリブ基部21との接続部を示している。
【0075】
なお、この実施形態では、軸力伝達手段30を取付部20側に、受け部32をアーチ桁10側に設けているが、これを逆に配置することは可能である。ただし、軸力伝達手段30は取付部20側に設けることが望ましい。
【0076】
その後、箱桁で構成されるアーチリブ基部21とアーチリブ部11とを添接板(図示せず)で接続する。
この添接板による接続は、上フランジ同士、下フランジ同士、両側のウェブ同士、あるいは、箱桁内部の縦リブ同士に跨った状態に添接板を掛け渡し、その上下フランジやウェブに設けたボルト孔と、添接板に設けたボルト孔とを位置合わせした上で、その位置合わせしたボルト孔にボルトを挿入してナットの締め付けを行う。この締め付けは、アーチリブ部11やアーチリブ基部21を構成する箱桁の内外に作業員を配置して行うことができる。
【0077】
この添接板による接続を行った後は、第一位置決め手段40や第二位置決め手段50、軸力伝達手段30や受け部32は、全て撤去することができる。
【0078】
アーチ構造体3が構築された後は、
図6に示すように、仮設受け台26及び昇降手段25を撤去する。そして、
図7に示すように、アーチ桁10の補剛桁部12の両側の端部12a,12aと、取付部20の補剛桁基部22の先端22aとの間の隙間に対応する調整ブロックA2を搬入し、その調整ブロックA2で補剛桁部12と補剛桁基部22とを接続し、路面舗装等の付帯的な作業を除いて、アーチ橋1の架橋を終了する。
【0079】
ここで、軸力伝達手段30と受け部32とは、
図12の矢印aに示すように、アーチリブ基部21とアーチリブ部11との間の軸力の伝達を受け持つことができる。また、軸力伝達手段30と受け部32とは、
図12の矢印bに示すように、その軸力伝達手段30と受け部32との偶力抵抗によるモーメント、トルクの伝達をも受け持つことができる。さらに、位置決め手段40を構成するピン43とピン受け部41,42が、アーチリブ基部21とアーチリブ部11との間のせん断力の伝達を受け持つことができる。
【0080】
すなわち、取付部20のアーチリブ基部21とアーチ桁10のアーチリブ部11との接続部Jにおいて、正曲げモーメントを伝達する場合、下フランジ側は引張で上フランジ側は圧縮の力が作用することが一般的である。この発明に係るアーチ橋1の場合は、軸力(圧縮)に対して曲げモーメントが非常に小さいため、モーメントが作用しても引張応力はほとんど作用しない。したがって、仕口部分(前記接続部J)をメタルタッチ構造にすることで、モーメント連結が可能になる。しかし、仕口部分をメタルタッチ構造とすると、製作時に精度が確保できても、架設誤差は吸収できない。
【0081】
このため、軸力伝達手段30と受け部32とを、仕口の四隅みに配置することにより、その軸力伝達手段30と受け部32とで、アーチリブ基部21とアーチリブ部11とのモーメント連結を行うこととしたものである。また、ガイド装置を兼用するせん断力伝達手段(前記位置決め装置40)を用いたことにより、せん断力を伝達させることを可能としたものである。
【0082】
この架橋方法によれば、アーチリブ基部21の上端21aを
引き下げて、両取付部20,20間の水平距離を縮小するので、その取付部20,20間の水平距離を、クレーンCによって吊り下げられた状態のアーチ桁10の橋長に近づけることができる。このため、アーチ桁10を取り下ろす際には、広いスペースを確保して安全にアーチ桁10を取り下ろし、アーチ桁10を取り下ろした後は、アーチリブ基部21の上端21aを
引き下げることにより、アーチリブ部11のアーチ軸方向両方の端部11aと各アーチリブ基部21の上端21aとをそれぞれ容易に接続できる。このため、アーチ桁10がクレーンCに吊り下げられたままの状態であっても、アーチ桁10の取り下ろしと接続が可能であり、アーチ桁10を仮受けするためのベントBを不要とすることができる。
【0083】
また、従来は、アーチ桁10や取付部20の寸法誤差や温度による伸縮誤差に対応するため、ベントB上に取り下ろされたアーチ桁10と、架橋地点の両側に設けられた取付部20,20との間の隙間の寸法計測を行い、その寸法に基づいた調整ブロックを製作していたが、この発明によれば、調整ブロックが不要であるから、アーチ桁10を取り下ろした後に行う隙間の計測が不要である。この点においても、アーチ桁10を仮受けするためのベントBを不要とできる。
【0084】
なお、この発明のアーチ橋1の架橋方法は、いかなるアーチ橋構造においても採用することができ、例えば、この実施形態のニールセンローゼ橋の他、ローゼ橋、ランガー橋においても採用することができる。また、鋼構造以外のアーチ橋においても、採用することは可能である。