(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A1)成分は、スチレン含有率が20〜50重量%、ジブロック共重合体の含有率が20〜80重量%であるスチレン系ブロック共重合体を含む、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のホットメルト接着剤は、(A)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物に基づく熱可塑性ブロック共重合体(以下「(A)熱可塑性ブロック共重合体」ともいう)を有する。
本発明において、「(A)熱可塑性ブロック共重合体」とは、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とのブロック共重合体であって、通常、ビニル芳香族炭化水素に基づくブロック(以下「ビニル系芳香族炭化水素ブロック」ともいう)と共役ジエン化合物に基づくブロック(以下「共役ジエン化合物ブロック」ともいう)を有するブロック共重合体を含む樹脂組成物である。
【0020】
「ビニル芳香族炭化水素」とは、ビニル基を有する芳香族炭化水素化合物を意味し、具体的には、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセン等を例示できる。ビニル芳香族炭化水素として、特にスチレンが好ましい。これらのビニル芳香族炭化水素は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0021】
「共役ジエン化合物」とは、少なくとも一対の共役二重結合を有するジオレフィン化合物を意味する。「共役ジエン化合物」として、具体的には、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(又はイソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエンを例示することができる。共役ジエン化合物として、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが特に好ましい。これらの共役ジエン化合物は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
本発明に係る(A)熱可塑性ブロック共重合体は、未水素添加物であっても、水素添加物であってもよい。
【0022】
「(A)熱可塑性ブロック共重合体」の「未水素添加物」とは、具体的には、共役ジエン化合物に基づくブロックが水素添加されていないそのままのブロック共重合体を例示できる。また、「(A)熱可塑性ブロック共重合体」の「水素添加物」とは、具体的には、共役ジエン化合物に基づくブロックの全部、又は一部が水素添加されたブロック共重合体を例示できる。
【0023】
(A)熱可塑性ブロック共重合体の「水素添加物」の水素添加された割合を、「水素添加率」で示すことができる。(A)熱可塑性ブロック共重合体の「水素添加物」の「水素添加率」とは、共役ジエン化合物に基づくブロックに含まれる全脂肪族二重結合を基準とし、その中で、水素添加されて飽和炭化水素結合に転換された二重結合の割合をいう。この「水素添加率」は、赤外分光光度計及び核磁器共鳴装置等によって測定することができる。
【0024】
(A)熱可塑性ブロック共重合体の「未水素添加物」として、具体的には、例えばスチレンとイソプレンのブロック共重合体、スチレンとブタジエンのブロック共重合体を例示できる。(A)熱可塑性ブロック共重合体の「水素添加物」として、具体的には、例えば水素添加されたスチレンとイソプレンのブロック共重合体及び水素添加されたスチレンとブタジエンのブロック共重合体を例示できる。
【0025】
本発明に係るホットメルト接着剤において、(A)熱可塑性ブロック共重合体は、(A1)成分:ジブロック共重合体(以下、単に「ジブロック」ともいう)を含有するスチレン系ブロック共重合体を含む。
【0026】
本発明では、(A1)スチレン系ブロック共重合体は、スチレン含有率が20〜50重量%、ジブロック含有率が20〜80重量%、及び25℃において25重量%トルエン溶液の粘度が100〜3500mPa・s以下であることが好ましい。
【0027】
本明細書において、「スチレン含有率」とは、スチレン系ブロック共重合体に含まれるスチレンブロックの割合をいう。(A1)は、スチレン含有率が20〜50重量%であることが好ましく、30〜50重量%であることがより好ましい。
本発明のホットメルト接着剤は、(A1)成分のスチレン含有率が上記範囲にある場合、凝集力が向上し、紙、プラスチック、及び金属に対して、常温および低温(5℃前後)の接着性がより優れる。
【0028】
本発明において、「ジブロック」とは、二つのブロックを有するブロック共重合体を意味するが、通常「ビニル系芳香族ブロック」、好ましくは「スチレンブロック」と、「共役ジエン化合物ブロック」又は水素添加された「共役ジエン化合物ブロック」を一つずつ有するブロック共重合体を意味し、例えば下記化学式(1)で示すことができる。
S−E (1)
ここで化学式(1)中、Sはビニル系芳香族ブロック、好ましくはスチレンブロック、Eは共役ジエン化合物ブロック又は水素添加された「共役ジエン化合物ブロック」である。共役ジエン化合物は、ブタジエン又はイソプレンが好ましい。
【0029】
従って、「ジブロック含有率」は、スチレン系ブロック共重合体に含まれる「ジブロック共重合体」の割合をいう。(A1)成分のジブロック含有率は、20〜80重量%であることが好ましく、50〜80重量%であることがより好ましい。
【0030】
本発明のホットメルト接着剤は、(A1)成分のジブロック含有率が上記範囲にある場合、紙、プラスチック、及び金属に対し、常温および低温(5℃前後)の接着性を維持しつつ、更に、耐水接着性にも優れる。
【0031】
本発明では、「25重量%トルエン溶液の25℃での粘度」とは、トルエンを溶媒とする25重量%の濃度の溶液の25℃における粘度をいい、各種粘度計を用いて測定することができるが、例えばブルックフィールドBM型粘度計(スピンドルNo.2)を用いて測定される。
【0032】
(A1)成分の25重量%トルエン溶液の25℃での粘度は、100〜3500mPa・sであることが好ましく、特に100〜1000mPa・sであることがより好ましく、100〜500mPa・sであることが最も好ましい。
【0033】
本発明のホットメルト接着剤は、(A1)成分の25重量%トルエン溶液の25℃での粘度が上記範囲にある場合、低温塗工に優れ、基材への均一な塗工か可能となるので、結果的に低温時(5℃前後)の接着性により優れる。
【0034】
本発明では、(A1)成分として、市販のブロック共重合体を使用することができる。例えば、旭化成ケミカルズ(株)製のアサプレンT432(商品名)、アサプレンT438(商品名)、アサプレンT439(商品名)及び日本ゼオン(株)製のクインタック3270(商品名)を例示できる。
尚、(A1)成分は、ジブロック共重合体以外にトリブロック共重合体などを含むことができる。
【0035】
本発明において、(A)熱可塑性ブロック共重合体は、(A1)成分のほかに、さらに、(A2)トリブロックスチレン系ブロック共重合体を含むことが好ましい。
【0036】
トリブロックスチレン系ブロック共重合体のジブロック含有率は0重量%である。すなわち、(A2)トリブロックスチレン系ブロック共重合体は、先述の(A1)成分とは明確に区別できる。
【0037】
本発明では、(A2)トリブロックスチレン系ブロック共重合体は、スチレン含有率が25〜50重量%であることが好ましく、35〜50重量%であることが特に好ましい。(A2)のスチレン含有率が上記範囲にある場合、ホットメルト接着剤は、凝集力が向上するので、接着性がより向上する。
【0038】
(A2)トリブロックスチレン系ブロック共重合体として、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(以下「SBS」ともいう)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(以下「SIS」ともいう)を例示することができる。
更に(A2)トリブロックスチレン系ブロック共重合体は、水素添加物であってよい。水素添加物については、既に、説明した通りである。そのような水素添加物として、例えば、水素添加されたスチレン−イソプレン−スチレン共重合体(以下「SEPS」ともいう)及び水素添加されたスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(以下「SEBS」ともいう)を例示することができる。
【0039】
(A2)トリブロックスチレン系ブロック共重合体として、市販品を使用することができる。例えば、JSR(株)社製のTR2000(商品名)、TR2003(商品名)及びTR2250(商品名);旭化成ケミカルズ(株)製のタフプレン125、タフプレンA及びアサプレンT420(商品名);及びDexco(株)製のVector4411A(商品名)、Vector4211A(商品名)等を例示することができる。
【0040】
本発明のホットメルト接着剤は、(A2)を含む場合、凝集力がより向上し、タックと凝集力とのバランスにより優れる。従って、ストロー包装体を容器から剥がす時、ホットメルト接着剤が凝集破壊し難くなり、その結果界面破壊がより生じやすくなり、容器からストロー包装体をより綺麗に剥がすことができる。
【0041】
更に、本発明は、(A)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物に基づく熱可塑性ブロック共重合体を含むホットメルト接着剤であって、
(A)熱可塑性ブロック共重合体は、ジブロックスチレン系ブロック共重合体を含む、ストロー付容器用ホットメルト接着剤を提供する。
(A)熱可塑性ブロック共重合体は、ジブロックスチレン系ブロック共重合体を含むので、紙基材およびポリオレフィン基材への接着性に優れ、低温時(5℃前後)での接着性にも優れ、ストロー付容器を作製するために適する。
【0042】
本発明のホットメルト接着剤は、(B)粘着付与樹脂、(C)軟化剤および(D)ワックスを有することが好ましい。
【0043】
(B)粘着付与樹脂は、ホットメルト接着剤に通常使用されるものであって、本発明が目的とするホットメルト接着剤を得ることができるものであれば、特に限定されることはない。本発明のホットメルト接着剤は、(B)粘着付与樹脂を有する場合、接着剤の凝集力とタックのバランスにより優れる。よって、ストロー包装体を、本発明のホットメルト接着剤を介し、紙やプラスチック等の基材により容易に貼り付けることができる。
【0044】
そのような(B)粘着付与樹脂として、例えば、天然ロジン、変性ロジン、水添ロジン、天然ロジンのグリセロールエステル、変性ロジンのグリセロールエステル、天然ロジンのペンタエリスリトールエステル、変性ロジンのペンタエリスリトールエステル、水添ロジンのペンタエリスリトールエステル、天然テルペンのコポリマー、天然テルペンの3次元ポリマー、水添テルペンのコポリマーの水素化誘導体、ポリテルペン樹脂、フェノール系変性テルペン樹脂の水素化誘導体、脂肪族石油炭化水素樹脂、脂肪族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体、芳香族石油炭化水素樹脂、芳香族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体、環状脂肪族石油炭化水素樹脂、環状脂肪族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体を例示することができる。
【0045】
これらの粘着付与樹脂は、単独で、又は組み合わせて使用することができる。粘着付与樹脂は、色調が無色〜淡黄色であって、臭気が実質的に無く熱安定性が良好なものであれば、液状タイプの粘着付与樹脂も使用できる。これらの特性を総合的に考慮すると、粘着付与樹脂として、樹脂等の水素化誘導体が好ましい。なお、未水素添加粘着付与樹脂を併せて使用しても良い。
【0046】
(B)粘着付与樹脂として、市販品を用いることができる。そのような市販品として例えば、トーネックス社製のECR179EX(商品名);丸善石油化学社製のマルカクリヤーH(商品名);荒川化学社製のアルコンM100(商品名);出光興産社製のアイマーブS100(商品名);ヤスハラケミカル社製のクリアロンK100(商品名)、クリアロンK4090(商品名)及びクリアロンK4100;トーネックス社製のECR179EX(商品名)およびECR231C(商品名)、イーストマンケミカル社製のリガライトC6100L(商品名)およびリガライトC8010(商品名);三井化学社製のFTR2140(商品名)を例示することができる。また、未水素添加粘着付与樹脂として、日本ゼオン社製のクイントンDX390NおよびクイントンDX395を例示することができる。また、これらの市販の粘着付与樹脂は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0047】
(C)軟化剤は、ホットメルト接着剤の溶融粘度低下、柔軟性の付与、被着体への濡れ向上を目的として配合される。(C)軟化剤は、ブロック共重合体に相溶し、本発明が目的とするホットメルト接着剤を得ることができるものであれば、特に限定されることはない。本発明のホットメルト接着剤は、(C)軟化剤を有する場合、紙やプラスチック等の基材への塗工性が向上し、結果的に、低温(特に5℃前後)時の接着性も向上しえる。
【0048】
(C)軟化剤として、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル及び芳香族系オイルを挙げることができる。これらの中でも、(C)成分は、パラフィン系オイル、ナフテン系オイルの少なくとも一方を含む場合、(A)成分と(B)成分の相溶性がより高まり、各成分が分離し難くなる。各成分が分離せずにより均一に混ざることで、ホットメルト接着剤の接着強度もより向上し得る。
【0049】
(C)軟化剤としては、市販品を用いることができる。例えば、Kukdong Oil&Chem社製のWhite Oil Broom350(商品名)、出光興産社製のダイアナフレシアS32(商品名)、ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名)、DNオイルKP−68(商品名)、BPケミカルズ社製のEnerperM1930(商品名)、Crompton社製のKaydol(商品名)、エッソ社製のPrimol352(商品名)、出光興産社製のプロセスオイルNS100、ペトロチャイナカンパニー社製のKN4010(商品名)、日本サン石油社製のサンピュアN90を例示することができる。これらの(C)軟化剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0050】
本明細書で(D)ワックスとは、常温で固体、加熱すると液体となる有機物であって、一般的に「ワックス」とされているものをいい、ワックス状の性質を有するものであれば、本発明に係るホットメルト接着剤を得ることができる限り、特に制限されるものではない。ワックスの重量平均分子量は、一般に10000未満である。
【0051】
本発明のホットメルト接着剤は、(D)ワックスを含む場合、塗工後の固化速度がより速くなり、初期凝集力もより向上しえる。よって、ストロー包装体の容器への貼り付けがより迅速になり、ストロー包装体が貼り付け直後に容器からより容易に剥がれ難くなる。
(D)ワックスは、ホットメルト接着剤に一般的に用いられるワックスであって、本発明が目的とするホットメルト接着剤を得ることができるものであれば極性官能基等で変性されていてもよい。
【0052】
具体的には、フィッシャートロプシュワックス、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)等の合成ワックス系;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックス;カスターワックスなどの天然ワックス;等を例示できる。
【0053】
本発明において、(D)ワックスとしては、フィッシャートロプシュワックスを含むことが好ましい。フィッシャートロプシュワックスとは、フィッシャートロプシュ法によって合成され、一般的にフィッシャートロプシュワックスとされているもの(酸変性体を含む)をいう。フィッシャートロプシュワックスは、成分分子が比較的幅広い炭素数分布を持つワックスから成分分子が狭い炭素数分布を持つようにワックスを分取したものである。(D)ワックスが、フィッシャートロプッシュワックスを含む場合、ホットメルト接着剤の塗工後の固化速度および初期凝集力のバランスがより向上しえる。
【0054】
代表的なフィッシャートロプシュワックスとして、サゾールH1(商品名)、サゾールH8(商品名)、サゾールH105(商品名)及びサゾールC80(商品名)を例示することができ、いずれもサゾールワックス社から市販されている。
【0055】
また、パラフィンワックスの市販品として、日本精蝋社製のParaffin Wax−150が挙げられる。(D)ワックスは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
本発明のホットメルト接着剤は、(A)〜(D)成分に加え、(E)安定化剤(以下、「(E)成分」と記載することもある。)を含むことが好ましい。
「安定化剤」とは、ホットメルト接着剤の熱による分子量低下、ゲル化、着色、臭気の発生等を防止して、ホットメルト接着剤の安定性を向上するために配合されるものをいい、本発明が目的とするホットメルト接着剤を得ることができるものである限り、特に制限されるものではない。「安定化剤」として、例えば酸化防止剤及び紫外線吸収剤を例示することができる。
【0057】
「紫外線吸収剤」は、ホットメルト接着剤の耐光性を改善するために使用される。「酸化防止剤」は、ホットメルト接着剤の酸化劣化を防止するために使用される。酸化防止剤および紫外線吸収剤は、後述する目的とする紙製品を得ることができるものであれば使用することができ、特に制限されるものではない。
【0058】
酸化防止剤として、例えばフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤を例示できる。紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を例示できる。更に、ラクトン系安定剤を添加することもできる。これらは単独又は組み合わせて使用することができる。酸化防止剤の市販品として、以下の製品を使用することができる。
【0059】
具体的には、住友化学工業(株)製のスミライザーGM(商品名)、スミライザーTPD(商品名)及びスミライザーTPS(商品名)、BASFジャパン社製のイルガノックス1010(商品名)、イルガノックスHP2225FF(商品名)、イルガフォス168(商品名)及びイルガノックス1520(商品名)、チヌビンP、城北化学社製のJF77(商品名)、エーピーアイコーポレーション製のトミノックスTT(商品名)、アデカ社製のAO−412S(商品名)を例示することができる。これら安定化剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0060】
本発明のホットメルト接着剤は、更に、微粒子充填剤を含むことができる。微粒子充填剤は、一般に使用されているものであれば良く、本発明が目的とするホットメルト接着剤を得ることができる限り特に限定されることはない。「微粒子充填剤」として、例えば雲母、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、ケイソウ土、尿素系樹脂、スチレンビーズ、焼成クレー、澱粉等を例示できる。これらの形状は、好ましくは球状であり、その寸法(球状の場合は直径)については特に限定されるものではない。
【0061】
本発明に係るホットメルト接着剤は、一般的に知られているホットメルト接着剤の製造方法を用いて、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分、必要に応じて(E)安定化剤や各種添加剤を配合して製造することができる。例えば、上述の成分を所定量配合し、加熱溶融して製造することができる。目的とするホットメルト接着剤を得ることができる限り、各成分を加える順序、加熱方法等は、特に制限されるものではない。
【0062】
本発明の実施形態として、各成分の配合比率は以下の通りが好ましい。
本発明のホットメルト接着剤において、(A)成分は、(A)成分〜(D)成分の総重量100重量部に対して、10〜40重量部配合されることが好ましく、10〜30重量部配合されることがより好ましい。(A1)成分は、(A)成分〜(D)成分の総重量100重量部に対し、3〜30重量部配合されることが好ましく、3〜25重量部配合されることがより好ましい。本発明のホットメルト接着剤は、上記範囲の(A1)成分を含む場合、紙やプラスチック、金属等の基材に対する接着性のバランスにより優れる。
【0063】
(B)成分は、(A)成分〜(D)成分の総重量100重量部に対して、30〜70重量部配合されることが好ましく、40〜60重量部配合されることがより好ましい。
(C)成分は、(A)成分〜(D)成分の総重量100重量部に対して、10〜50重量部配合されることが好ましく、20〜40重量部配合されることがより好ましく、20〜30重量部配合されることが最も好ましい。
【0064】
(D)成分は、(A)〜(D)成分の合計量を100重量部に対して、1〜40重量部配合されることが好ましく、5〜25重量部配合されることがより好ましく、5〜20重量部配合されることが最も好ましい。
【0065】
本発明のホットメルト接着剤において、(E)成分を添加する場合、(E)成分は、(A)成分〜(D)成分の総重量100重量部に対し、0.1〜1重量部添加されることが好ましく、0.1〜0.5重量部添加されることがより好ましい。
【0066】
本発明のさらなる好ましい態様として、ホットメルト接着剤は160℃での粘度(又は溶融粘度)が6000mPa・s以下であることが好ましく、特に5000mPa・s以下であることが好ましく、1000〜2000mPa・sであることが最も好ましい。
【0067】
ホットメルト接着剤は、160℃での粘度が上記範囲にある場合、より容易に均一に塗工することができ、ストロー包装体と容器との接着性がより向上する。本明細書の160℃での粘度(又は溶融粘度)とは、27番ローターを用い、ブルックフィールド粘度計で測定された値を意味する。
【0068】
本発明に係るホットメルト接着剤の軟化点は、70〜130℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましく、80〜110℃であることが特に好ましい。軟化点が、上記範囲にある場合、ホットメルト接着剤の固化速度と初期凝集力とのバランスがより向上する。軟化点は、リング&ボール法に従って測定した。
【0069】
本発明のホットメルト接着剤は、種々の形状をとりえるが、常温で、一般的にブロック状である。ブロック状のホットメルト接着剤は、上記の製造法によって得られた生成物をそのまま冷却固化することで得られる。
【0070】
本発明のホットメルト接着剤は、被着体に塗工して使用できる。塗工する際、有機溶剤をホットメルト接着剤に配合する必要がないので、環境的にも好ましい。
【0071】
塗工方法は、一般的によく知られたホットメルト接着剤の塗布(又は塗工)方法を使用でき、それは接触塗工及び非接触塗工に大別される。「接触塗工」とは、ホットメルト接着剤を塗工する際、噴出機を部材やフィルムに接触させる塗工方法をいい、「非接触塗工」とは、ホットメルト接着剤を塗工する際、噴出機を部材やフィルムに接触させない塗工方法をいう。接触塗工方法として、例えば、スロットコーター塗工及びロールコーター塗工等を例示でき、非接触塗工方法として、例えば、螺旋状に塗工できるスパイラル塗工、波状に塗工できるオメガ塗工やコントロールシーム塗工、面状に塗工できるスロットスプレー塗工やカーテンスプレー塗工、点状に塗工できるドット塗工、線状に塗工できるビード塗工等を例示できる。
【0072】
本発明のホットメルト接着剤はストロー付容器を作製するために用いられるので、その塗工方法は、点状に塗工できるドット塗工が最も好ましい。
ホットメルト接着剤が120〜180℃でストロー包装体もしくは容器側にドット塗工され、ストロー包装体がホットメルト接着剤を介して容器に貼り付けられ、ストロー付容器を好ましく得ることができる。
【0073】
図1は、本発明のストロー付容器の一実施形態である紙パックを、模式的に斜視図で示す。同図に示すように、ストロー付容器1の上面2に、ストロー刺し込み孔3が形成されている。ストロー付容器1の側面にストロー包装体6がホットメルト接着剤(図示せず)で保持されている。ストロー包装体6は、ポリオレフィン等のフィルムでストロー5を内包している。
【0074】
図2は、本発明のストロー付容器の別の実施形態であるプラスチックカップを、模式的に正面図で示す。同図に示すように、ストロー付容器1は、ストロー5を収納するストロー包装体6がホットメルト接着剤(図示せず)で容器(プラスチック基材)の側面に貼り付けられている。プラスチック基材として、ポリプロピレン及びポリエチレンを例示できる。
【0075】
ストロー付容器は、
図1および
図2の実施形態に制限されることはない。例えば、容器が金属製の金属缶(アルミ缶及びスチール缶等)であってよく、更にストロー包装体を用いず、直接、ストローが容器に貼り付けられてもよい。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例の記載において、特に記載がない限り、溶媒を考慮しない部分を、重量部及び重量%の基準とする。
【0077】
本実施例で使用した成分を以下に示す。
(A)熱可塑性ブロック共重合体
(A1)ジブロック含有スチレン系ブロック共重合体
(A1−1)SBS(アサプレンT432(商品名)、旭化成ケミカルズ社製、スチレン含有率30重量%、ジブロック含有率25重量%)
(A1−2)SBS(アサプレンT438(商品名)、旭化成ケミカルズ社製、スチレン含有率35重量%、ジブロック含有率70重量%)
(A1−3)SBS(アサプレンT439(商品名)、旭化成ケミカルズ社製、スチレン含有率45重量%、ジブロック含有率62重量%)
(A1−4)SIS(クインタック3270(商品名)、日本ゼオン社製、スチレン含有率24重量%、ジブロック含有率67重量%)
(A1−5)SEBS(KratonG1726(商品名)、クレイトンポリマー社製、スチレン含有率30重量%、ジブロック含有率70重量%)
【0078】
(A2)トリブロックスチレン系ブロック共重合体
(A2−1)SBS(タフプレン125(商品名)、旭化成ケミカルズ社製、スチレン含有率40重量%)
(A2−2)SBS(タフプレンA(商品名)、旭化成ケミカルズ社製、スチレン含有率40重量%)
(A2−3)SBS(TR2250(商品名)、JSR社製、スチレン含有率52重量%)
【0079】
(B)粘着付与樹脂
(B−1)水素添加型粘着付与樹脂(アルコンM100(商品名)、荒川化学工業社製)
(B−2)水素添加型粘着付与樹脂(アイマーブS100(商品名)、出光興産社製)
(B−3)ロジンエステル型粘着付与樹脂(SYLVALITE RE105L(商品名)、アリゾナケミカル社製)
【0080】
(C)軟化剤
(C−1)パラフィンオイル(ダフニーオイルKP68(商品名)、出光興産社製)
(C−2)パラフィンオイル(ダイアナプロセスオイルS32(商品名)、出光興産社製)
(C−3)ナフテンオイル(サンピュアN90(商品名)、日本サン石油社製)
【0081】
(D)ワックス
(D−1)フィッシャートロプシュワックス(サゾールH1(商品名)、サゾール社製)
(D−2)パラフィンワックス(Paraffin Wax−150(商品名)、日本精蝋社製)
(D−3)マイクロクリスタリンワックス(マイクロワックス180(商品名)、JX日鉱日石エネルギー社製)
(E)安定化剤
(E−1)酸化防止剤(アデカスタブAO-412S(商品名)、アデカ社製)
【0082】
万能攪拌機を用い、表1〜3に示す割合(重量部)で(A)〜(E)の各成分を約145℃で約1.5時間、加熱、溶融及び混合し、実施例及び比較例のホットメルト接着剤を、製造した。
上述のホットメルト接着剤について、溶融粘度、軟化点、紙パック及びプラスチックカップに対する接着性能、及び紙パックを使用した耐水接着性能を評価した。
評価用のサンプル作製方法、評価試験方法及び評価基準を、以下に記載する。
【0083】
<粘度測定>
120℃、140℃、160℃及び180℃の各々の温度でホットメルト接着剤を溶融し、20分後、ブルックフィールド粘度計を用い、27番のローターを使用して粘度を測定した。
<軟化点測定>
ホットメルト接着剤の軟化点は、リング&ボール法(日本接着剤工業会規格JAI−7−1999に記載された方法)を用いて測定した。
【0084】
<接着強度評価>
(サンプル作製)
被着体(又は基材)である紙パック又はプラスチックカップに、ホットメルト接着剤0.03〜0.04gを、ホットメルトガンを使用して塗工した。塗工温度は180℃であった。ホットメルト接着剤が塗工された被着体と、ストロー包装体とを重ね合わせ、指で押圧して評価用サンプルを得た。
常温および低温時の接着強度評価用のサンプルは、24時間室温(23℃)で静置後、評価に用いた。
耐水接着強度評価用のサンプルは、上述の常温および低温時の接着強度評価試験で準備した、被着体が紙パックのサンプルから作製した。被着体が紙パックのサンプルを、さらに12時間、室温下で水道水に浸漬した。試験前に紙タオルで紙パックから水分を拭って、耐水接着強度評価用のサンプルを得た。
【0085】
(試験方法)
万能引張試験機(島津製作所社製)を用い、上記にて作製した接着強度評価用のサンプルについて300mm/minの速度で剥離試験を行った。ホットメルト接着剤(実施例および比較例)の各々について、少なくとも3個のサンプルを測定して各々の接着強度の値を得、それらの平均値を計算して平均接着強度の値(単に「接着強度」ともいう)を得た。5℃及び23℃の各々の温度で測定した。
更に、各サンプルについて、剥離部分を目視で観察して、その状態を調べた。
接着強度評価の評価基準を以下に示す。
【0086】
接着強度評価
A(優):平均接着強度が15N以上
B(良):平均接着強度が8N以上〜15N未満
C(不可):平均接着強度が8N未満
【0087】
剥離部分の状態(接着強度評価のA〜Cの右に表示する)
++:界面破壊(基材の表面が破壊された)
+ :界面破壊と凝集破壊が混在した複合破壊(基材の表面と接着剤の両方の破壊が混在した)
* :凝集破壊(接着剤が破壊された)
接着強度が、高い方が(AよりBが、BよりCが)好ましいが、A同士、B同士では、界面破壊の方が凝集破壊より好ましい。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
表1及び2に示すように、実施例1〜12のホットメルト接着剤は、(A1)成分:ジブロックを含有するスチレン系ブロック共重合体を含むので、低温(5℃)時および常温(23℃)時の接着強度(紙パック及びプラスチックカップに対する)に優れ、さらには、耐水接着強度も優れる。実施例のホットメルト接着剤は、上記性能のバランスに優れるので、ストロー付容器に好適である。
【0092】
比較例1〜4のホットメルト接着剤は、表3に示すように、実施例1〜12の接着剤と比較すると、いずれかの被着体(又は基材)で、低温(5℃)時および常温(23℃)時の接着強度が劣る。耐水接着強度は、比較例のホットメルト接着剤は、実施例よりも、著しく劣る。比較例のホットメルト接着剤は、耐水接着強度がCなので、実質的にストロー付容器用に使用することができない。
従って、ホットメルト接着剤は、ジブロックスチレン系ブロック共重合体を含むので、ストロー付容器を製造するためのホットメルト接着剤として適することが示された。