(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明に係る眼科装置の実施形態の典型的な例について、図面を参照しながら詳細に説明する。実施形態に係る眼科装置は被検眼の光学的な検査に用いられる。このような眼科装置には、前述のように、眼科撮影装置と眼科測定装置が含まれる。眼科撮影装置としては、光干渉断層計、眼底カメラ、走査型レーザ検眼鏡(SLO)、スリットランプなどがある。また、眼科測定装置としては、眼屈折検査装置、ウェーブフロントアナライザ、眼軸長測定装置などがある。以下の実施形態では光干渉断層計と眼底カメラとを組み合わせた装置について説明するが、この発明の適用対象はこのような複合機には限定されない。たとえば、他の組み合わせからなる複合機や、単体機としての眼科装置に対して、この発明を適用することも可能である。
【0015】
この明細書において、OCTによって取得される画像をOCT画像と総称することがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。なお、この明細書に記載された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として適宜援用することが可能である。
【0016】
また、以下の実施形態では、低コヒーレンス光源と分光器が搭載された、いわゆるスペクトラルドメイン(Spectral Domain)タイプのOCTを用いた光干渉断層計について説明するが、スペクトラルドメイン以外のタイプ、たとえばスウェプトソースタイプ、インファスタイプのOCTの手法を用いた光干渉断層計に対してこの発明を適用することも可能である。なお、スウェプトソース(Swept Source)OCTとは、被測定物体に照射される光の波長を走査(波長掃引)し、各波長の光の反射光と参照光とを重ね合わせて得られる干渉光を順次に検出することでスペクトル強度分布を取得し、それに対してフーリエ変換を施すことにより被測定物体の形態を画像化する手法である。また、インファス(en−face)OCTとは、所定のビーム径を有する光を被測定物体に照射し、その反射光と参照光とを重ね合わせて得られる干渉光の成分を解析することにより、光の進行方向に直交する断面における被測定物体の画像を形成する手法であり、フルフィールド(full−field)タイプとも呼ばれる。
【0017】
〈第1の実施形態〉
[構成]
図1に示すように、眼科装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100および演算制御ユニット200を含んで構成される。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。眼底カメラユニット2の前面(被検者の顔に臨む面)には、被検眼Eの前眼部Eaを撮影するための一対の前眼部カメラ300が設けられている。OCTユニット100には、眼底のOCT画像を取得するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
【0018】
また、1以上の種類のアタッチメントを眼科装置1に装着することが可能である。アタッチメントとしては、前眼部撮影用のレンズ等が格納された前眼部撮影用アタッチメント、額当てアタッチメント、顎受けアタッチメントなどがある。
図1は、前眼部撮影用アタッチメント500が装着されている状態を表している。前眼部撮影用アタッチメント500は、眼底カメラユニット22の対物レンズ22と被検眼Eとの間に配置される。
【0019】
前眼部撮影用アタッチメント500の少なくとも一部は、前眼部カメラ300の撮影視野に含まれる。すなわち、前眼部カメラ300による撮影画像には前眼部撮影用アタッチメント500の少なくとも一部が描出される。なお、前眼部カメラ300の撮影倍率や位置や向きを変更可能な構成が適用されている場合、前眼部撮影用アタッチメント500の少なくとも一部が撮影視野に含まれる状態と含まれない状態とを切り替えることが可能である。他のアタッチメントについても同様に、その一部が前眼部カメラ300の撮影視野に含まれてもよい。
【0020】
〔眼底カメラユニット〕
図1に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。なお、被検眼Eの前眼部Eaに光学系のピントが合っている場合、眼底カメラユニット2は前眼部Eaの観察画像を取得することができる。撮影画像は、たとえば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、または近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、たとえばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。
【0021】
眼底カメラユニット2には、被検者の顔を支持するための顎受けと額当てが設けられている。顎受けおよび額当ては、
図5Aおよび
図5Bに示す支持部440に相当する。なお、顎受けアタッチメントや額当てアタッチメントは、支持部440の所定位置に装着される。また、
図5Aおよび
図5Bにおいて、符号410は、光学系駆動部2A等の駆動系や、演算制御回路が格納されたベースを示す。また、符号420は、ベース410上に設けられた、光学系が格納された筐体を示す。また、符号430は、筐体420の前面に突出して設けられた、対物レンズ22が収容されたレンズ収容部を示す。
【0022】
眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの測定光を眼底Efに導くとともに、眼底Efを経由した測定光をOCTユニット100に導く。
【0023】
照明光学系10の観察光源11は、たとえばハロゲンランプにより構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。さらに、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19およびリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。なお、観察光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いることも可能である。
【0024】
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。さらに、この眼底反射光は、ハーフミラー39Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、たとえば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
【0025】
撮影光源15は、たとえばキセノンランプにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置3と撮影画像を表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。また、撮影光源としてLEDを用いることも可能である。
【0026】
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底撮影時やOCT計測時などに使用される。
【0027】
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー39Aにて反射され、ミラー32に反射され、合焦レンズ31およびダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
【0028】
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、たとえば従来の眼底カメラと同様に、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。また、固視標の表示位置を任意に変更することも可能である。
【0029】
さらに、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系(検査用光学系)の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
【0030】
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53およびリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に投影される。
【0031】
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46および上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を通過し、ミラー32により反射され、ハーフミラー39Aを透過し、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。なお、この実施形態では、後述の前眼部カメラ300を用いてオートアライメントを実行することができるので、アライメント指標を用いたオートアライメントが可能なことは必須な事項ではない。ただし、前眼部カメラ300を用いたオートアライメントが成功しなかった場合などにアライメント指標を用いたオートアライメントを行えるように構成したり、前眼部カメラ300を用いたオートアライメントとアライメント指標を用いたオートアライメントとを選択的に使用できるように構成したりすることも可能である。
【0032】
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。さらに、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
【0033】
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して合焦レンズ31およびフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
【0034】
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路からOCT計測用の光路を分岐させている。ダイクロイックミラー46は、OCT計測に用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT計測用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、ガルバノスキャナ42と、合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。
【0035】
光路長変更部41は、
図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT計測用の光路の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、たとえばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
【0036】
ガルバノスキャナ42は、OCT計測用の光路を通過する光(測定光LS)の進行方向を変更する。それにより、眼底Efを測定光LSで走査することができる。ガルバノスキャナ42は、たとえば、測定光LSをx方向に走査するガルバノミラーと、y方向に走査するガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、測定光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。
【0037】
眼底カメラユニット2には前眼部カメラ300が設けられている。前眼部カメラ300は、前眼部Eaを異なる方向から実質的に同時に撮影する。この実施形態では、眼底カメラユニット2の被検者側の面に2台のカメラが設けられている(
図5Aに示す前眼部カメラ300A、300Bを参照)。また、前眼部カメラ300Aおよび300Bはそれぞれ、
図1および
図5Aに示すように、照明光学系10の光路および撮影光学系30の光路から外れた位置に設けられている。つまり、前眼部カメラ300Aおよび300Bは、照明光学系10および撮影光学系30と非同軸に設けられている。以下、2台の前眼部カメラ300Aおよび300Bをまとめて符号300で表すことがある。
【0038】
この実施形態では、2台の前眼部カメラ300Aおよび300Bが設けられているが、実施形態に係る前眼部カメラの個数は2以上の任意の個数であってよい(ただし、アライメント指標を用いる場合には前眼部カメラを設ける必要はない)。しかし、後述の演算処理を考慮すると、異なる2方向から実質的に同時に前眼部を撮影可能な構成であれば十分である。また、この実施形態では、照明光学系10および撮影光学系30とは別個に前眼部カメラ300を設けているが、少なくとも撮影光学系30を用いて同様の前眼部撮影を行うことができる。つまり、2以上の前眼部カメラのうちの1つを撮影光学系30を含む構成によって担うようにしてもよい。いずれにしても、この実施形態は、異なる2(以上の)方向から実質的に同時に前眼部を撮影可能に構成されていればよい。
【0039】
なお、「実質的に同時」とは、2以上の前眼部カメラによる撮影において、眼球運動を無視できる程度の撮影タイミングのズレを許容することを示す。それにより、被検眼Eが実質的に同じ位置(向き)にあるときの画像を2以上の前眼部カメラによって取得することができる。
【0040】
また、2以上の前眼部カメラによる撮影は動画撮影でも静止画撮影でもよいが、この実施形態では動画撮影を行う場合について特に詳しく説明する。動画撮影の場合、撮影開始タイミングを合わせるよう制御したり、フレームレートや各フレームの撮影タイミングを制御したりすることにより、上記した実質的に同時の前眼部撮影を実現することができる。また、2以上の前眼部カメラから制御部210(後述)に対して実質的に同時に入力された信号同士を対応付けるように構成してもよい。一方、静止画撮影の場合、撮影タイミングを合わせるよう制御することにより、これを実現することができる。
【0041】
前眼部撮影用アタッチメント500が装着されている場合、前眼部撮影用アタッチメント500の少なくとも一部が、2以上の前眼部カメラのうち少なくとも1つの撮影視野に含まれる。すなわち、1以上の前眼部カメラによる撮影画像には、前眼部撮影用アタッチメント500の少なくとも一部が描出される。
【0042】
〔OCTユニット〕
図2を参照しつつOCTユニット100の構成の一例を説明する。OCTユニット100には、眼底EfのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスペクトラルドメインタイプの光干渉断層計と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、光源からの光(低コヒーレンス光)を参照光と測定光に分割し、眼底Efを経由した測定光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号)は演算制御ユニット200に送られる。
【0043】
なお、スウェプトソースタイプの光干渉断層計の場合には、低コヒーレンス光源を出力する光源の代わりに波長掃引光源が設けられるとともに、分光器の代わりにバランスドフォトダイオード等が設けられる。一般に、OCTユニット100の構成については、OCTのタイプに応じた公知の技術を任意に適用することができる。
【0044】
光源ユニット101は広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、たとえば、近赤外領域の波長帯(約800nm〜900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。なお、人眼では視認できない波長帯、たとえば1040〜1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光L0として用いてもよい。
【0045】
光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
【0046】
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて測定光LSと参照光LRに分割される。
【0047】
参照光LRは、光ファイバ104により導かれて光減衰器(アッテネータ)105に到達する。光減衰器105は、公知の技術を用いて、演算制御ユニット200の制御の下、光ファイバ104に導かれる参照光LRの光量を自動で調整する。光減衰器105により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ104により導かれて偏波調整器(偏波コントローラ)106に到達する。偏波調整器106は、たとえば、ループ状にされた光ファイバ104に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ104内を導かれる参照光LRの偏光状態を調整する装置である。なお、偏波調整器106の構成はこれに限定されるものではなく、任意の公知技術を用いることが可能である。偏波調整器106により偏光状態が調整された参照光LRは、ファイバカプラ109に到達する。
【0048】
ファイバカプラ103により生成された測定光LSは、光ファイバ107により導かれ、コリメータレンズユニット40により平行光束とされる。さらに、測定光LSは、光路長変更部41、ガルバノスキャナ42、合焦レンズ43、ミラー44、およびリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に到達する。そして、測定光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに照射される。測定光LSは、眼底Efの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。眼底Efによる測定光LSの後方散乱光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれ、光ファイバ108を経由してファイバカプラ109に到達する。
【0049】
ファイバカプラ109は、測定光LSの後方散乱光と、光ファイバ104を経由した参照光LRとを干渉させる。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ110により導かれて出射端111から出射される。さらに、干渉光LCは、コリメータレンズ112により平行光束とされ、回折格子113により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ114により集光されてCCDイメージセンサ115の受光面に投影される。なお、
図2に示す回折格子113は透過型であるが、たとえば反射型の回折格子など、他の形態の分光素子を用いることも可能である。
【0050】
CCDイメージセンサ115は、たとえばラインセンサであり、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ115は、この電荷を蓄積して検出信号を生成し、これを演算制御ユニット200に送る。
【0051】
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。また、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることが可能である。
【0052】
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ115から入力される検出信号を解析して眼底EfのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のスペクトラルドメインタイプの光干渉断層計と同様である。
【0053】
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3およびOCTユニット100の各部を制御する。たとえば演算制御ユニット200は、眼底EfのOCT画像を表示装置3に表示させる。
【0054】
また、眼底カメラユニット2の制御として、演算制御ユニット200は、観察光源11、撮影光源15およびLED51、61の動作制御、LCD39の動作制御、合焦レンズ31、43の移動制御、反射棒67の移動制御、フォーカス光学系60の移動制御、光路長変更部41の移動制御、ガルバノスキャナ42の動作制御、前眼部カメラ300の動作制御などを行う。
【0055】
また、OCTユニット100の制御として、演算制御ユニット200は、光源ユニット101の動作制御、光減衰器105の動作制御、偏波調整器106の動作制御、CCDイメージセンサ115の動作制御などを行う。
【0056】
アタッチメントが電気信号により制御される要素(光源、駆動部等)を含む場合、演算制御ユニット200は、この要素の制御を行うことが可能である。たとえば、前眼部撮影用アタッチメント500が固視光源やレンズ駆動部を含む場合、演算制御ユニット200は、これらの制御を実行する。また、額当てアタッチメントや顎受けアタッチメントがその形態(位置、サイズ、向き等)を変更するための機構を含む場合、演算制御ユニット200は、この機構の制御を実行する。
【0057】
演算制御ユニット200は、たとえば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼科装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、たとえばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
【0058】
眼底カメラユニット2、表示装置3、OCTユニット100および演算制御ユニット200は、一体的に(つまり単一の筺体内に)構成されていてもよいし、2つ以上の筐体に別れて構成されていてもよい。
【0059】
(アタッチメント)
アタッチメントについて説明する。前述したように、眼科装置1には各種のアタッチメントを装着可能である。額当てアタッチメントや顎受けアタッチメントは従来と同様の構成を有していてよい。ここでは前眼部撮影用アタッチメント500について説明する。
【0060】
前眼部撮影用アタッチメント500の外観を
図3Aに示す。前眼部撮影用アタッチメント500の側面500Aにはマーク510Aが付されている。側面500Aは、前眼部カメラ300A側の面である。マーク510Aは、所定の形態を有する。たとえば、マーク510Aは、所定の形状、サイズ、色、濃度、塗りつぶしパターン等を有する。前眼部撮影用アタッチメント500が適正に装着された状態において、マーク510Aは、前眼部カメラ300Aの撮影視野内の所定位置に配置される。よって、前眼部撮影用アタッチメント500が適正に装着された状態において、前眼部カメラ300Aによる撮影画像中の所定位置にマーク510Aが描出される。
【0061】
前眼部撮影用アタッチメント500に2以上のマークを設けることが可能である。たとえば、上記のような前眼部カメラ300Aの撮影視野内に描出されるマーク510Aに加えて、前眼部カメラ300Bの撮影視野内に描出されるマークを設けることが可能である。前眼部カメラ300Bの撮影視野内に描出されるマークは、たとえば、側面500Aの対向面(前眼部カメラ300B側の側面)に設けられる。
【0062】
複数の前眼部撮影用アタッチメントが選択的に装着される場合、互いに異なる形態のマークがこれら前眼部撮影用アタッチメントに設けられる。なお、異なる形態とは、形状、サイズ、色、濃度、塗りつぶしパターン、位置など、形態に関する各種の要素のうち少なくとも1つの要素が異なることを意味する。
【0063】
アタッチメントに付されるマークの典型的な例のいくつかを
図3B〜
図3Dに示す。
図3Bに示すマーク511Aは、円形のマークである。
図3Cに示すマーク512Aは、矢印形状のマークである。
図3Dに示すマーク513Aは、アルファベットの「F」形状のマークである。
【0064】
アタッチメントに付されるマークは、アタッチメントの装着状態を検知するために利用される。上記のように、前眼部撮影用アタッチメント500が適正に装着されている場合、前眼部カメラ300による撮影画像中の所定位置にマークが描出される。逆に、前眼部撮影用アタッチメント500の装着位置が適正位置から変位している場合、マークが描出される位置や形状やサイズや向きなどが、適正位置に配置されている場合と異なる。この実施形態では、このようなマークの画像の描出態様に基づいて前眼部撮影用アタッチメント500の装着状態を検知する。なお、装着状態には、装着の適否だけでなく、装着の有無も含まれる。すなわち、前眼部カメラ300による撮影画像にマークが描出されているか否かに応じて、前眼部撮影用アタッチメント500が装着されているか否かを判定することができる。
【0065】
図3Bに示す円形マーク511Aは、側面500A上の任意の方向において対称な形状を有する。円形マーク511Aが適用される場合、円形マーク511Aの中心位置を中心とする回転移動に相当する変位を検知することはできないが、それ以外の変位、たとえば側面500Aに沿う方向への平行移動に相当する変位や、側面500Aの法線方向への成分を含む変位や、円形マーク511Aの中心位置以外の位置を中心とする回転移動に相当する変位などを検知することが可能である。
【0066】
図3Cに示す矢印マーク512Aは、上方(+y方向)を指す矢印の形状を有する。なお、矢印マークの向きは上向きには限定されず、任意の向きであってよい。矢印マーク512Aは、矢印マーク512A自身を固定点集合とする鏡映に関してのみ対称的な形状を有する。よって、矢印マーク512Aが適用される場合、3次元空間(実空間)における任意の平行移動および任意の回転移動に相当する変位を検知することが可能である。なお、上記鏡映は、前眼部撮影用アタッチメント500の前後を間違えて装着した場合にのみ発生する。よって、このような誤装着が発生しないように前眼部撮影用アタッチメント500を構成したり、側面500Aの中心位置以外の位置に矢印マーク512Aを設けたりすることで、任意の誤装着の検知が可能となる。
【0067】
図3Dに示すFマーク513Aは、任意のアフィン変換に関して非対称的な形状を有する。よって、Fマーク513Aが適用される場合、前眼部撮影用アタッチメント500の任意の誤装着を検知することが可能である。
【0068】
〔制御系〕
眼科装置1の制御系の構成について
図4Aおよび
図4Bを参照しつつ説明する。
【0069】
(制御部)
眼科装置1の制御系は、制御部210を中心に構成される。制御部210は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部210には、主制御部211と、記憶部212と、光学系位置取得部213と、動作モード制御部214とが設けられている。
【0070】
(主制御部)
主制御部211は前述した各種の動作制御を行う。なお、合焦レンズ31の移動制御は、図示しない合焦駆動部を制御して合焦レンズ31を光軸方向に移動させるものである。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。また、合焦レンズ43の移動制御は、図示しない合焦駆動部を制御して合焦レンズ43を光軸方向に移動させるものである。それにより、測定光LSの合焦位置が変更される。
【0071】
主制御部211は、光学系駆動部2Aを制御して、眼底カメラユニット2に設けられた光学系を3次元的に移動させることができる。この制御は、オートアライメントやトラッキングにおいて実行される。ここで、トラッキングとは、被検眼Eの眼球運動に合わせて装置光学系を移動させる動作である。トラッキングは、たとえばアライメントよりも後の段階で実行される(場合によってはピント合わせも事前に実行される)。トラッキングは、装置光学系の位置を眼球運動に追従させることにより、アライメント(およびピント)が合った好適な位置関係を維持する機能である。
【0072】
なお、この実施形態の光学系駆動部2Aは眼底カメラユニット2に搭載された光学系を移動させるものであるが、眼底カメラユニット2に搭載された光学系とOCTユニット100に搭載された光学系とを光学系駆動部2Aによって移動させるように構成されていてもよい。
【0073】
また、この実施形態の前眼部カメラ300は眼底カメラユニット2の筐体に設けられているので、光学系駆動部2A(撮影移動部)を制御することにより前眼部カメラ300を移動させることができる。また、2以上の前眼部カメラ300をそれぞれ独立に移動させることが可能な撮影移動部を設けることができる。具体的には、撮影移動部は、各前眼部カメラ300に対して設けられた駆動機構(アクチュエータ、動力伝達機構等)を含む構成であってもよい。また、撮影移動部は、単一のアクチュエータにより発生された動力を前眼部カメラ300ごとに設けられた動力伝達機構によって伝達することにより、2以上の前眼部カメラ300を移動させるように構成されていてもよい。
【0074】
また、主制御部211は、記憶部212にデータを書き込む処理や、記憶部212からデータを読み出す処理を行う。
【0075】
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部212には、眼科装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
【0076】
複数のアタッチメントが選択的に装着される場合、これらアタッチメントの種別と眼科装置1の動作モードとが関連付けられた関連情報を記憶部212にあらかじめ記憶することができる。たとえば、対物レンズ22と被検眼Eとの間に複数のアタッチメントが択一的に配置される場合がある。その具体例として、前眼部撮影用アタッチメント500と広角撮影用アタッチメントとが択一的に適用される場合がある。広角撮影用アタッチメントは、眼底Efの広角撮影を行う場合に使用され、そのためのレンズ系を備えている。この場合に準備される関連情報においては、前眼部撮影用アタッチメント500の種別である「前眼部撮影」と動作モードである「前眼部撮影モード」とが関連付けられ、かつ、広角撮影用アタッチメントの種別である「広角撮影」と動作モードである「広角撮影モード」とが関連付けられている。なお、前述したように、前眼部撮影用アタッチメント500と広角撮影用アタッチメントには、互いに異なるマークが付与されているものとする。関連情報を用いて実行される処理については後述する。
【0077】
(光学系位置取得部)
光学系位置取得部213は、眼科装置1に搭載された検査用光学系の現在位置を取得する。検査用光学系とは、被検眼Eを光学的に検査するために用いられる光学系である。この実施形態の眼科装置1(眼底カメラと光干渉断層計の複合機)における検査用光学系は、被検眼の画像を得るための光学系である。
【0078】
光学系位置取得部213は、たとえば、主制御部211による光学系駆動部2Aの移動制御の内容を表す情報を受けて、光学系駆動部2Aにより移動される検査用光学系の現在位置を取得する。この処理の具体例を説明する。主制御部211は、所定のタイミング(装置起動時、患者情報入力時など)で光学系駆動部2Aを制御して、検査用光学系を所定の初期位置に移動させる。それ以降、主制御部211は、光学系駆動部2Aが制御される度に、その制御内容を記録する。それにより、制御内容の履歴が得られる。光学系位置取得部213は、この履歴を参照して現在までの制御内容を取得し、この制御内容に基づいて検査用光学系の現在位置を求める。
【0079】
また、主制御部211が光学系駆動部2Aを制御する度にその制御内容を光学系位置取得部213に送信し、光学系位置取得部213が当該制御内容を受ける度に検査用光学系の現在位置を逐次求めるようにしてもよい。
【0080】
他の構成例として、検査用光学系の位置を検知する位置センサを光学系位置取得部213に設けるようにしてもよい。
【0081】
以上のようにして光学系位置取得部213により検査用光学系の現在位置が取得された場合、主制御部211は、取得された現在位置と、後述のアライメント処理部231により求められた被検眼Eの3次元位置とに基づいて、光学系駆動部2Aに検査用光学系を移動させることができる。具体的には、主制御部211は、光学系位置取得部213による取得結果によって検査用光学系の現在位置を認識し、アライメント処理部231による解析結果によって被検眼Eの3次元位置を認識する。そして、主制御部211は、被検眼Eの3次元位置に対する検査用光学系の位置が所定の位置関係になるように、検査用光学系の現在位置を起点としてその位置を変更する。この所定の位置関係は、x方向およびy方向の位置がそれぞれ一致し、かつ、z方向の距離が所定の作動距離になるようなものである。ここで、作動距離とは、ワーキングディスタンスとも呼ばれる既定値であり、検査用光学系を用いた検査時における被検眼Eと検査用光学系との間の距離を意味する。
【0082】
(動作モード制御部)
動作モード制御部214は、眼科装置1の動作モードに関する各種の処理を実行する。以下、いくつかの典型的な処理について説明するが、動作モードに関する処理はこれらに限定されるものではない。たとえば、動作モード制御部214は、眼科装置の動作モードに関する公知の任意の処理を実行可能に構成されていてよい。また、動作モード制御部214は、以下に説明する処理のうちのいずれか1つ以上を実行可能に構成されていてよい。また、以下に説明する処理のうち2以上を実行可能である場合、これら2以上の処理を切り替えて実行してもよいし、これら2以上の処理を所定の順序でシリアルに実行してもよいし、これら2以上の処理をパラレルに実行してもよい。
【0083】
動作モードに関する処理の第1の例は、アタッチメントの装着の有無の検知結果に基づく動作モードの切り替えである。本例において、後述のマーク画像判定部2321は、アタッチメントに付されたマーク(たとえば前眼部撮影用アタッチメント500に付されたマーク510A)が前眼部カメラ300により取得された画像に描出されているか判定を行う。動作モード制御部214は、マーク画像判定部2321による判定結果に基づいて動作モードの切り替えを行う。
【0084】
この処理についてより具体的に説明する。前眼部カメラ300により取得された画像にマークの画像が描出されていると判定された場合、動作モード制御部214は、このアタッチメントが装着されている状態で実行される既定の動作モードを選択する。一方、前眼部カメラ300により取得された画像にマークの画像が描出されていないと判定された場合、動作モード制御部214は、このアタッチメントが装着されていない状態で実行される既定の動作モードを選択する。主制御部211は、動作モード制御部214により選択された動作モードに対応する既定の設定を装置各部に適用する。
【0085】
このような処理の具体例を説明する。前眼部カメラ300により取得された画像に前眼部撮影用アタッチメント500のマーク510Aの画像が描出されていると判定された場合、動作モード制御部214は前眼部撮影モードを選択する。前眼部撮影モードに対応する既定の設定として、たとえば、前眼部撮影用光源の適用、前眼部撮影用波長の適用、前眼部撮影用合焦位置の適用、前眼部撮影用プログラムの適用、前眼部解析用プログラムの適用、前眼部撮影用駆動プログラムの適用などがある。一方、前眼部カメラ300により取得された画像にマーク510Aの画像が描出されていないと判定された場合、動作モード制御部214は眼底撮影モードを選択する。眼底撮影モードに対応する既定の設定として、たとえば、眼底撮影用光源の適用、眼底撮影用波長の適用、眼底撮影用合焦位置の適用、眼底撮影用プログラムの適用、眼底解析用プログラムの適用、前眼部撮影用駆動プログラムの適用などがある。なお、前眼部撮影用プログラムや眼底撮影用プログラムは、対象部位に応じた撮影プロトコルを実行するためのプログラムを含む。また、前眼部解析用プログラムや眼底解析用プログラムは、対象部位に応じた解析処理(たとえば、層の形態や厚さ等を表すパラメータ値の算出処理など)を実行するためのプログラムを含む。また、前眼部撮影用駆動プログラムや眼底撮影用駆動プログラムは、光学系の一部または全体を移動させる動作を対象部位に応じて実行するためのプログラムを含む。具体例として、前眼部撮影時における眼底カメラユニット2の+z方向への可動範囲が、眼底撮影時における眼底カメラユニット2の+z方向への可動範囲よりも制限される。
【0086】
動作モードに関する処理の第2の例は、装着されているアタッチメントの種別に応じた動作モードの選択である。本例において、後述の種別判定部2323は、前眼部カメラ300により取得された画像に含まれるマークの画像に基づいて、現に装着されているアタッチメントの種別を判定する。動作モード制御部214は、種別判定部2323による判定結果に基づいて動作モードの選択を行う。
【0087】
本例は、たとえば、前述した関連情報を利用して実行される。関連情報は、複数のアタッチメントの種別と動作モードとを関連付ける情報であり、記憶部212にあらかじめ記憶されている。前述した関連情報の例においては、互いに異なるマークが付与された前眼部撮影用アタッチメント500と広角撮影用アタッチメントとが択一的に適用される。さらに、関連情報によって、前眼部撮影用アタッチメント500と前眼部撮影モードとが関連付けられ、かつ、広角撮影用アタッチメントと広角撮影モードとが関連付けられている。
【0088】
種別判定部2323は、前眼部カメラ300により取得された画像に描出されているマークが、前眼部撮影用アタッチメント500に付されたマーク510Aであるか、或いは、広角撮影用アタッチメントに付されたマークであるか判別する。描出されているマークが前眼部撮影用アタッチメント500に付されたマーク510Aであると判定された場合、モード制御部214は、前眼部撮影モードに対応する既定の設定を装置各部に適用する。一方、描出されているマークが広角撮影用アタッチメントに付されたマークであると判定された場合、モード制御部214は、広角撮影モードに対応する既定の設定を装置各部に適用する。
【0089】
動作モードに関する処理の第3の例は、手動または自動で指定された動作モードと、装着されているアタッチメントの種別に対応する動作モードとの照合である。本例において、アタッチメントの撮影画像に基づく制御モードの設定とは別に、制御モードの指定が行われる。この制御モードの指定は手動または自動で行われる。手動指定の例として、ユーザは、ユーザインターフェイス240を用いることにより、動作モードの指定を行う。指定された動作モードの種別を表す情報は、主制御部211から動作モード制御部214に送られる。自動指定の例として、主制御部211は、当該被検眼に対して過去に適用された動作モードを表す情報を当該被検者の電子カルテ等から取得し、この情報を動作モード制御部214に送る。自動指定の他の例として、健康診断や検診やクリニカルパスのように検査内容が事前に決まっている場合、主制御部211は、この検査内容に含まれる動作モードの種別を表す情報を外部から取得し、この情報を動作モード制御部214に送る。
【0090】
このように、動作モード制御部214は、手動または自動で指定された動作モードの種別を表す情報(第1の動作モード種別情報)を受ける。一方、動作モード制御部214は、種別判定部2323によるアタッチメントの種別の判定結果(第2の動作モード種別情報)を受ける。さらに、動作モード制御部214は、第1の動作モード種別情報と第2の動作モード種別情報とを照合する。すなわち、動作モード制御部214は、第1の動作モード種別情報と第2の動作モード種別情報とが同じであるか否か判定する。
【0091】
主制御部211は、この判定結果(照合結果)に基づいてユーザインターフェイス240を制御する。たとえば、主制御部211は、得られた照合結果を表す情報を表示部241に表示させる。特に、第1の動作モード種別情報と第2の動作モード種別情報とが異なると判定された場合に、主制御部211は、その旨のメッセージや、アタッチメントの確認を促すメッセージや、動作モードを手動で選択するためのグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)などを表示させる。
【0092】
この具体例は、眼底撮影モードと前眼部撮影モードとの間の選択のように、アタッチメントの有無に対応する2つの動作モードの選択に適用可能であり、また、前眼部撮影モードと広角撮影モードとの間の選択のように、アタッチメントの種別に対応する2以上の動作モードの選択にも適用可能である(もちろん、これらの組み合わせにも適用可能である)。後者の場合、複数のアタッチメントの種別と複数の動作モードとが関連付けられた前述の関連情報を参照することが可能である。
【0093】
(画像形成部)
画像形成部220は、CCDイメージセンサ115からの検出信号に基づいて、眼底Efの断面像の画像データを形成する。この処理には、従来のスペクトラルドメインタイプのOCTと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。他のタイプのOCTが適用される場合、画像形成部220は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。
【0094】
画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。
【0095】
(データ処理部)
データ処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。たとえば、データ処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の各種補正処理を実行する。また、データ処理部230は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施す。
【0096】
データ処理部230は、断面像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行して、眼底Efの3次元画像データを形成する。なお、3次元画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。表示部241には、この擬似的な3次元画像が表示される。
【0097】
また、3次元画像データとして、複数の断面像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数の走査線に沿って得られた複数の断面像を、走査線の位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断面像を、1つの3次元座標系により表現する(つまり1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。
【0098】
また、データ処理部230は、3次元画像データに基づいて、任意の断面における断面像を形成することができる。この処理は、断面変換または多断面再構成(Multi−Planar Reconstruction)などと呼ばれ、指定された断面に位置する画素(ボクセル)を抽出する処理と、抽出された画素を配列する処理とを含む。
【0099】
さらに、データ処理部230には、アライメント処理部231と、アタッチメント情報生成部232とが設けられている。
【0100】
(アライメント処理部)
アライメント処理部231は、前眼部カメラ300を用いたアライメントに関する処理を実行する。より具体的には、アライメント処理部231は、2以上の前眼部カメラ300により実質的に同時に得られた2以上の撮影画像を解析することで、被検眼Eの3次元位置を求める。この処理を実行するための構成の一例として、アライメント処理部231には、画像補正部2311と、特徴位置特定部2312と、3次元位置算出部2313が設けられている。
【0101】
(画像補正部)
画像補正部2311は、前眼部カメラ300により得られた各撮影画像の歪みを、記憶部212に記憶されている収差情報212aに基づいて補正する。この処理は、たとえば、歪曲収差を補正するための補正係数に基づく公知の画像処理技術によって実行される。なお、前眼部カメラ300の光学系が撮影画像に与える歪曲収差が十分に小さい場合などには、収差情報212aおよび画像補正部2311を設けなくてもよい。
【0102】
(特徴位置特定部)
特徴位置特定部2312は、(画像補正部2311により歪曲収差が補正された)各撮影画像を解析することで、前眼部Eaの所定の特徴部位に相当する当該撮影画像中の位置(特徴位置と呼ぶ)を特定する。所定の特徴部位としては、たとえば被検眼Eの瞳孔中心または角膜頂点が用いられる。以下、瞳孔中心を特定する処理の具体例を説明する。
【0103】
まず、特徴位置特定部2312は、撮影画像の画素値(輝度値など)の分布に基づいて、被検眼Eの瞳孔に相当する画像領域(瞳孔領域)を特定する。一般に瞳孔は他の部位よりも低い輝度で描画されるので、低輝度の画像領域を探索することによって瞳孔領域を特定することができる。このとき、瞳孔の形状を考慮して瞳孔領域を特定するようにしてもよい。つまり、略円形かつ低輝度の画像領域を探索することによって瞳孔領域を特定するように構成することができる。
【0104】
次に、特徴位置特定部2312は、特定された瞳孔領域の中心位置を特定する。上記のように瞳孔は略円形であるので、瞳孔領域の輪郭を特定し、この輪郭(の近似円または近似楕円)の中心位置を特定し、これを瞳孔中心とすることができる。また、瞳孔領域の重心を求め、この重心位置を瞳孔中心としてもよい。
【0105】
なお、他の特徴部位に対応する特徴位置を特定する場合であっても、上記と同様に撮影画像の画素値の分布に基づいて当該特徴位置を特定することが可能である。
【0106】
(3次元位置算出部)
3次元位置算出部2313は、2以上の前眼部カメラ300の位置と、特徴位置特定部2312により特定された2以上の撮影画像中の特徴位置とに基づいて、被検眼Eの特徴部位の3次元位置を算出する。この処理について
図6Aおよび
図6Bを参照しつつ説明する。
【0107】
図6Aは、被検眼Eと前眼部カメラ300Aおよび300Bとの間の位置関係を示す上面図である。
図6Bは、被検眼Eと前眼部カメラ300Aおよび300Bとの間の位置関係を示す側面図である。2つの前眼部カメラ300Aおよび300Bの間の距離(基線長)を「B」で表す。2つの前眼部カメラ300Aおよび300Bの基線と、被検眼Eの特徴部位Pとの間の距離(撮影距離)を「H」で表す。各前眼部カメラ300Aおよび300Bと、その画面平面との間の距離(画面距離)を「f」で表す。
【0108】
このような配置状態において、前眼部カメラ300Aおよび300Bによる撮影画像の分解能は次式で表される。ここで、Δpは画素分解能を表す。
【0109】
xy方向の分解能(平面分解能):Δxy=H×Δp/f
z方向の分解能(奥行き分解能):Δz=H×H×Δp/(B×f)
【0110】
3次元位置算出部2313は、2つの前眼部カメラ300Aおよび300Bの位置(既知である)と、2つの撮影画像において特徴部位Pに相当する特徴位置とに対して、
図6Aおよび
図6Bに示す配置関係を考慮した公知の三角法を適用することにより、特徴部位Pの3次元位置、つまり被検眼Eの3次元位置を算出する。
【0111】
3次元位置算出部2313により算出された被検眼Eの3次元位置は制御部210に送られる。制御部210は、この3次元位置の算出結果に基づいて、検査用光学系の光軸を被検眼Eの軸に合わせるように、かつ、被検眼Eに対する検査用光学系の距離が所定の作動距離になるように光学系駆動部2Aを制御する。
【0112】
また、前眼部カメラ300が前眼部Eaを異なる方向から並行して動画撮影する場合、たとえば次のような処理(1)および(2)を行うことにより、被検眼Eの動きに対する検査用光学系のトラッキングを実行することが可能である。
(1)アライメント処理部231が、2以上の前眼部カメラ300による動画撮影において実質的に同時に得られた2以上のフレームを逐次に解析することで、被検眼Eの3次元位置を逐次に求める。
(2)制御部210が、アライメント処理部231により逐次に求められる被検眼Eの3次元位置に基づき光学系駆動部2Aを逐次に制御することにより、検査用光学系の位置を被検眼Eの動きに追従させる。
【0113】
アライメント処理部231は、3次元位置算出部2313により取得された被検眼Eの3次元位置に基づいて、被検眼Eと検査用光学系との間の変位を求めることができる。この処理は、前眼部カメラ300の位置および検査用光学系の位置が既知であることを利用して実行される。なお、検査用光学系の位置は、あらかじめ決められた所定位置であり、たとえば、対物レンズ22の前面(被検眼E側の面)と、検査用光学系の光軸とが交差する位置である。
【0114】
被検眼Eと検査用光学系との間の変位を求めるための処理の他の例を説明する。本例では、被検眼Eの前眼部にアライメント指標が投影される。さらに、アライメント指標が投影されている状態の前眼部を眼底カメラユニット2によって動画撮影する。この動画撮影により取得される各フレームには、一般に、一対のアライメント指標が映り込んでいる。アライメント処理部231は、一対のアライメント指標の描画位置に基づいて、目的の変位を算出する。
【0115】
この処理についてより具体的に説明する。検査用光学系が被検眼Eに対して所定の検査可能位置に配置されると、一対のアライメント指標はフレームの所定位置(たとえばフレーム中心)に重なって描画される。検査可能位置とは、たとえば、被検眼Eの所定位置(角膜頂点、瞳孔中心など)のx座標およびy座標と、検査用光学系の光軸のx座標およびy座標とが実質的に等しく、かつ、被検眼Eと検査用光学系(たとえば対物レンズ22)との間の距離が所定の作動距離に実質的に等しくなるような、被検眼Eと検査用光学系との位置関係を示す。また、2つのアライメント指標の間の描画位置のズレ(第1のズレ)は、z方向における作動距離からの変位を反映し、フレームの所定位置に対するアライメント指標の描画位置のズレ(第2のズレ)は、xy方向における被検眼Eの所定位置からの変位を反映する。アライメント処理部231は、この関係を利用することにより、第1のズレからz方向の変位を求め、第2のズレからxy方向の変位を求める。それにより、被検眼Eと検査用光学系との間の3次元的な変位が得られる。なお、このような変位算出処理は、公知のオートアライメントにおいて実行される処理である。
【0116】
(アタッチメント情報生成部)
アタッチメント情報生成部232は、アタッチメントによる反射光の検出結果に基づいてアタッチメントに関する情報(アタッチメント情報)を生成する。アタッチメント情報の典型的な例として、アタッチメントの装着状態(装着の有無、装着の適否など)を表す情報や、アタッチメントの種別を表す情報などがある。この実施形態では、前眼部カメラ300により取得された画像に基づいてアタッチメント情報が生成される。アタッチメント情報生成部232は、マーク画像判定部2321と、装着状態情報生成部2322と、種別判定部2323とが設けられている。
【0117】
(マーク画像判定部)
マーク画像判定部2321は、アタッチメントに付されたマーク(たとえば前眼部撮影用アタッチメント500に付されたマーク510A)が前眼部カメラ300により取得された画像に描出されているか判定する。この処理は、たとえば次のようにして実行することが可能である。
【0118】
前眼部カメラ300の一方または双方により取得された画像は、制御部210を介してデータ処理部230に送られる。マーク画像判定部2321は、入力された画像の画素値(輝度値など)を解析することにより、マーク画像に相当する画像領域が当該入力画像に含まれているか判定する。この解析処理は、特定の画像領域を入力画像から抽出するための公知の画像処理を含んでいてよい。たとえば、この解析処理は、マーク画像の輪郭を抽出するための輪郭抽出処理(エッジ抽出処理)や、マーク画像のテンプレート画像とマーク画像の候補領域とを照合するためのテンプレートマッチングなどを含んでいてよい。さらに、この解析処理は、マーク画像の抽出を容易化するための画像補正処理(たとえばコントラスト補正)を含んでいてよい。
【0119】
マーク画像に相当する画像領域が抽出されなかった場合、マーク画像判定部2321は、アタッチメントに付されたマークが前眼部カメラ300により取得された画像に描出されていないとの判定結果を得る。この判定結果が得られた場合、アタッチメント情報生成部232は、アタッチメントが装着されていないことを表すアタッチメント情報を生成し、このアタッチメント情報を制御部210に送る。制御部210は、このアタッチメント情報に基づいて制御を実行することができる。
【0120】
一方、マーク画像に相当する画像領域が抽出された場合、マーク画像判定部2321は、アタッチメントに付されたマークが前眼部カメラ300により取得された画像に描出されているとの判定結果を得る。この判定結果は、装着状態情報生成部2322および種別判定部2323に送られる。また、この判定結果が得られた場合、アタッチメント情報生成部232は、アタッチメントが装着されていることを表すアタッチメント情報を生成することが可能である。このアタッチメント情報は制御部210に送られる。制御部210は、このアタッチメント情報に基づいて制御を実行することができる。
【0121】
(装着状態情報生成部)
装着状態情報生成部2322は、マーク画像判定部2321によりマークの画像が描出されていると判定された場合に、このマークの画像の描出状態に基づいてアタッチメントの装着状態を表す情報(装着状態情報)を生成する。装着状態情報は、たとえば、アタッチメントが適正に装着されているか否かを表す情報(装着適否情報)を含む。装着適否情報は、たとえば次のようにして生成される。
【0122】
前述したように、マークは所定の形態を有する。さらに、アタッチメントが適正に装着されている状態において、マークは、撮影視野内の所定位置に描出される。したがって、アタッチメントの装着状態が適正でない場合、マークの画像の描出位置が適正位置から変位したり、マークの画像が歪んで描出されたり、マークの画像が傾斜して描出されたりする。装着状態情報生成部2322は、このようなマークの画像の描出状態を、適正な描出状態と比較することによって装着適否情報を生成する。ここで、適正な描出状態を表す情報(適正描出状態情報)は、たとえば記憶部212にあらかじめ記憶されている。
【0123】
アタッチメントに2以上のマークが設けられている場合、アタッチメントの装着状態に応じてこれらマークの画像の相対位置関係が変化することを利用することができる。すなわち、装着状態情報生成部2322は、2以上のマークの画像の相対位置関係に基づいて装着適否情報を生成することが可能である。たとえば、アタッチメントが適正に装着されている状態におけるこれらマークの画像の相対位置関係を表す情報(適正描出状態情報)が、記憶部212等にあらかじめ記憶される。装着状態情報生成部2322は、1または2以上の前眼部カメラ300による撮影画像におけるこれらマークの画像の相対位置関係を求める。さらに、装着状態情報生成部2322は、求められた相対位置関係と適正描出状態情報とを比較することにより装着適否情報を生成する。
【0124】
生成された装着状態情報(たとえば装着適否情報)は制御部210に送られる。制御部210は、この装着状態情報に基づいて制御を実行することができる。
【0125】
(種別判定部)
種別判定部2323は、マーク画像判定部2321によりマークの画像が描出されていると判定された場合に、このマークの画像に基づいて現に装着されているアタッチメントの種別を判定し、この判定結果を表す情報(アタッチメント種別情報)を生成する。この処理は、特に、2以上のアタッチメントが選択的に装着される場合に適用される。
【0126】
前述したように、2以上のアタッチメントには、互いに異なる形態のマークが付されている。記憶部212には、2以上のアタッチメントの種別と、それらに付されている異なるマークの形態(形状、サイズ、色、濃度、塗りつぶしパターン等)とを関連付けた情報があらかじめ記憶されている。種別判定部2323は、マーク画像判定部2321により抽出されたマークの画像が、既定の2以上のマークのうちのいずれのマークの形態に相当するか特定する。この処理は、たとえば、既定の2以上のマークのテンプレートを用いたテンプレートマッチングや、マークの形態の特徴に基づく判定処理を含む。さらに、種別判定部2323は、上記の情報を参照することにより、前段の処理において特定されたマークの形態に関連付けられたアタッチメント種別を特定する。このような処理により、種別判定部2323は、たとえば、現に装着されているアタッチメントが前眼部撮影用アタッチメント500であるか広角撮影用アタッチメントであるか判定する。
【0127】
以上のように機能するデータ処理部230は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。
【0128】
(ユーザインターフェイス)
ユーザインターフェイス240には、表示部241と操作部242とが含まれる。表示部241は、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部242は、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部242には、眼科装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。たとえば眼底カメラユニット2が従来の眼底カメラと同様の筺体を有する場合、操作部242は、この筺体に設けられたジョイスティックや操作パネル等を含んでいてもよい。また、表示部241は、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
【0129】
なお、表示部241と操作部242は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部242は、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部242に対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部241に表示されたGUIと、操作部242とを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
【0130】
[動作]
眼科装置1の動作について説明する。眼科装置1の動作の一例を
図7に示す。本例には実施形態に係るいくつかの典型的な動作が含まれるが、この実施形態に係る動作はこれに限定されるものではない。たとえば、これら典型的な動作のうちのいずれか1以上を選択的に組み合わせたり、これら典型的な動作のいずれか1以上と他の動作とを組み合わせたりすることが可能である。
【0131】
以下に説明する動作例において、眼科装置1は、いずれのアタッチメントも装着されていない状態で適用される眼底撮影モードと、前眼部撮影用アタッチメント500が装着されている状態で適用される前眼部撮影モードと、広角撮影用アタッチメントが装着されている状態で適用される広角撮影モードとを実行可能であるとする。
【0132】
(S1:患者登録)
まず、ユーザは、ユーザインターフェイス240を用いて被検者の患者情報を入力する。患者情報としては、患者ID、患者氏名などがある。
【0133】
(S2:撮影条件を設定する)
次に、撮影条件の設定が行われる。撮影条件の項目の例として、撮影部位(眼底/前眼部、視神経乳頭/黄斑/双方など)、撮影眼(左眼/右眼/両眼)、画像撮影パターン(眼底像のみ/OCT画像のみ/双方)、OCTスキャンパターン(ラインスキャン/十字スキャン/ラジアルスキャン/円スキャン/3次元スキャンなど)がある。
【0134】
(S3:前眼部の撮影を開始する)
所定の操作が行われたことを受けて、制御部210は前眼部カメラ300Aおよび300Bによる前眼部Eaの撮影を開始させる。この撮影は、前眼部Eaを撮影対象とする動画撮影である。各前眼部カメラ300Aおよび300Bは所定のフレームレートで動画撮影を行う。ここで、前眼部カメラ300Aおよび300Bによる撮影タイミングが制御部210によって同期されていてもよい。各前眼部カメラ300Aおよび300Bは、取得されたフレームをリアルタイムで順次に制御部210に送る。制御部210は、双方の前眼部カメラ300Aおよび300Bにより得られたフレームを、撮影タイミングに応じて対応付ける。つまり、制御部210は、双方の前眼部カメラ300Aおよび300Bにより実質的に同時に取得されたフレーム同士を対応付ける。この対応付けは、たとえば、上記の同期制御に基づいて、または、前眼部カメラ300Aおよび300Bからのフレームの入力タイミングに基づいて実行される。制御部210は、対応付けられた一対のフレームをデータ処理部230に送る。
【0135】
(S4:マーク画像の有無を判定する)
マーク画像判定部2321は、入力されるフレームにマーク画像が描出されているか否か判定する。
【0136】
マーク画像が描出されていないと判定された場合(S4:NO)、アタッチメント情報生成部232は、アタッチメントが装着されていないことを表すアタッチメント情報を生成し、このアタッチメント情報を制御部210に送る。
【0137】
(S5:眼底撮影モードを適用する)
モード制御部214は、このアタッチメント情報に対応する眼底撮影モードを選択する。主制御部211は、眼底撮影モードに応じた設定を眼科装置1の各部に適用し、ステップS12に移行する。
【0138】
(S6:アタッチメントの装着状態の適否を判定する)
ステップS4においてマーク画像が描出されていると判定された場合(S4:YES)、装着状態情報生成部2322は、アタッチメントが適正に装着されているか否か判定する。
【0139】
(S7:適正に装着されていないことを警告する)
アタッチメントが適正に装着されていないと判定された場合(S6:NO)、装着状態情報生成部2322は、その旨を表すアタッチメント情報を生成して制御部210に送る。このアタッチメント情報を受けた主制御部211は、ユーザインターフェイス240を制御することにより、アタッチメントが適正に装着されていないことを表す情報(警告情報)を出力する。
【0140】
(S8:アタッチメントの装着状態を修正する)
警告情報を認識したユーザは、アタッチメントの装着状態を確認し、修正する。修正が完了したら、所定の情報が制御部210に入力される。この所定の情報は、たとえば、ユーザインターフェイス240を用いたユーザからの指示でもよいし、前眼部カメラ300により取得される画像に基づき装着状態情報生成部2322により生成される、装着が適正である旨のアタッチメント情報でもよい。所定の情報が入力されたことに対応し、ステップS9に移行する。
【0141】
(S9:アタッチメントの種別は前眼部/広角?)
ステップS6においてアタッチメントが適正に装着されていると判定された場合(S6:YES)またはステップS8において所定の情報が入力された場合、種別判定部2323は、装着されているアタッチメントが前眼部撮影用アタッチメント500であるか、或いは広角撮影用アタッチメントであるか判定する。種別判定部2323は、その判定結果を表すアタッチメント情報を生成して制御部210へ送る。
【0142】
(S10:広角撮影モードを適用する)
装着されているアタッチメントが広角撮影用アタッチメントであると判定された場合(S9:広角)、モード制御部214は、種別判定部2323からのアタッチメント情報に対応する広角撮影モードを選択する。主制御部211は、広角撮影モードに応じた設定を眼科装置1の各部に適用し、ステップS12に移行する。
【0143】
(S11:前眼部撮影モードを適用する)
一方、装着されているアタッチメントが前眼部撮影用アタッチメントであると判定された場合(S9:前眼部)、モード制御部214は、種別判定部2323からのアタッチメント情報に対応する前眼部撮影モードを選択する。主制御部211は、前眼部撮影モードに応じた設定を眼科装置1の各部に適用し、ステップS12に移行する。
【0144】
(S12:ステレオアライメント等を行う)
以上で、アタッチメントに関する処理は終了である。アタッチメントに関する処理の終了を受けて、主制御部211は、OCT計測等のための他の準備動作を実行する。準備動作には、たとえば次の動作のうちのいずれかが含まれる:前眼部カメラ300により取得された画像に基づくアライメント(ステレオアライメント);撮影光学系30のフォーカス調整;トラッキング;OCT画像のフレーム内の所定位置に画像を表示させるための、測定光LSと参照光LRとの間の光路長差調整(オートZ);オートZにより達成された光路長差を維持するための光路長差の制御(Zロック);測定光LSに関するフォーカス調整(ビームウェスト深度の調整);測定光LSと参照光LRとの干渉感度を最適化するための偏光調整。なお、準備動作の内容は、たとえば、動作モードに応じて選択される。
【0145】
(S13:OCT等を行う)
ステレオアライメント等の準備動作が完了したら、主制御部211は被検眼EのOCT計測や撮影を実行させる。データ処理部230は、OCT計測等により取得されたデータに基づく解析処理を実行することが可能である。また、主制御部211は、OCT計測等により取得されたデータを記憶部212に格納したり、外部装置に送信したりすることが可能である。以上で、本動作例に関する処理は終了となる。
【0146】
[効果]
実施形態に係る眼科装置の効果について説明する。
【0147】
実施形態に係る眼科装置は、本体部と、アタッチメントと、光検出部と、情報生成部とを含む。本体部には、被検眼に関する情報を取得するための光学系が格納されている。この光学系は、たとえば、OCT計測のための光学系や、前眼部を観察・撮影するための光学系や、眼底を観察・撮影するための光学系などを含む。アタッチメントは、本体部と被検者との間に配置可能である。光検出部は、アタッチメントからの反射光を検出可能に構成される。情報生成部(アタッチメント情報生成部232)は、光検出部からの出力に基づいてアタッチメント情報を生成する。アタッチメントに関する情報としては、アタッチメントの装着の有無を表す情報や、アタッチメントが適正に装着されているか否かを表す情報や、アタッチメントの種別を表す情報などがある。
【0148】
このような実施形態によれば、アタッチメントからの反射光に基づく光学的な手法を用いてアタッチメントの装着の有無を検知することが可能である。さらに、この実施形態によれば、このような光学的な手法を用いることにより、アタッチメントの装着の有無だけでなく、アタッチメントの装着状態の検知も行うことが可能である。
【0149】
実施形態において、光検出部は、本体部と被検者との間に配置されている状態のアタッチメントの外面を撮影可能な撮影部を含んでいてよい。上記の構成においては、ステレオアライメントを行うための前眼部カメラ300が撮影部として利用されている。すなわち、上記の構成では、前眼部の撮影とアタッチメントの撮影とを共通の撮影手段を用いて行っている。さらに、情報生成部は、撮影部により取得された画像を解析することによりアタッチメント情報を生成するように構成される。
【0150】
このような構成によれば、アタッチメントを外部から撮影して得られる画像に基づく光学的な手法を用いて、アタッチメントの装着の有無の検知や、アタッチメントの装着状態の検知を行うことが可能である。また、他の用途(たとえばステレオアライメント)と共通の撮影部を用いることにより、多機能かつシンプルな構成の眼科装置を実現することが可能となる。
【0151】
実施形態において、アタッチメントの外面にマークを設けることができる。この場合、情報生成部は、アタッチメントを撮影して得られた画像に描出されるマークの画像に基づいてアタッチメント情報を生成することが可能である。
【0152】
このような構成によれば、アタッチメントの撮影画像におけるマークの画像の有無や形態に基づいて、アタッチメントの装着の有無や、アタッチメントの装着状態の検知を行うという、新規な技術を提供することが可能である。
【0153】
実施形態において、情報生成部は、マークの画像の描出状態に基づいてアタッチメントの装着状態を表す情報をアタッチメント情報として生成することができる。マークの画像の描出状態は、たとえば、マークの画像の位置や向きや形状などを含む。また、このアタッチメント情報は、たとえば、アタッチメントが適正に装着されているか否かを表す情報を含む。
【0154】
このような構成によれば、アタッチメントの撮影画像におけるマークの画像の描出状態からアタッチメントの装着状態の検知を行うという、新規な技術を提供することが可能である。
【0155】
実施形態において、アタッチメントに付されるマークは非対称形状を有していてよい。この場合、情報生成部は、マークの画像に基づいてアタッチメントの装着状態を表す情報を生成することができる。上記の構成では、矢印マーク512AやFマーク513Aが例示されている。
【0156】
このような構成によれば、マークの形状の非対称性を利用することにより、アタッチメントの装着状態を高確度、高精度に検知することが可能である。
【0157】
実施形態において、情報生成部は、撮影部により取得された画像にマークの画像が含まれているか判定するマーク画像判定部(2321)を含んでいてよい。マークの画像が含まれていないと判定された場合、情報生成部は、アタッチメントは装着されていないとの判定結果を生成する。
【0158】
このような構成によれば、アタッチメントの撮影画像にマークの画像が描出されているか否かに応じてアタッチメントの装着の有無を検知するという、新規な技術を提供することが可能である。
【0159】
実施形態において、眼科装置は、マーク画像判定部による判定結果に基づいて本体部の動作モードを切り替えるモード切替部を備えていてよい。上記の構成においては、モード制御部214がモード切替部の機能を担っている。
【0160】
このような構成によれば、アタッチメントの撮影画像にマークの画像が描出されているか否かに応じて、本体部により情報を取得するための動作モードを切り替えるという、新規な技術を提供することが可能である。
【0161】
実施形態において、本体部と被検者との間に複数のアタッチメントを選択的に配置可能であってよい。これらアタッチメントには、互いに異なるマークが付されている。さらに、情報生成部は、撮影部により取得された画像に含まれるマークの画像に基づいて、本体部と被検者との間に配置されているアタッチメントの種別を判定する種別判定部(2323)を含んでいてよい。
【0162】
このような構成によれば、複数のアタッチメントを選択的に適用可能な場合において、アタッチメントの撮影画像に描出されているマークの画像の形態に基づいて、本体部に装着されているアタッチメントの種別を特定するという、新規な技術を提供することが可能である。
【0163】
実施形態において、眼科装置は、種別判定部による判定結果に基づいて本体部の動作モードを選択するモード選択部を備えていてよい。上記の構成においては、モード制御部214がモード選択部の機能を担っている。
【0164】
このような構成によれば、アタッチメントの撮影画像に描出されているマークの画像の形態に応じて、本体部により情報を取得するための動作モードを切り替えるという、新規な技術を提供することが可能である。
【0165】
実施形態において、眼科装置は、記憶部と、モード指定部と、照合部と、出力部とを備えていてよい。記憶部(212)は、複数のアタッチメントの種別と複数の動作モードとが関連付けられた関連情報をあらかじめ記憶する。モード指定部は、本体部の動作モードを指定するために用いられる。上記の構成においては、ユーザインターフェイス240または制御部210がモード指定部の機能を担っている。照合部は、関連情報に基づいて、モード指定部を用いて指定された動作モードと種別判定部による判定結果とを照合する。上記の構成においては、モード制御部214が照合部の機能を担っている。出力部は、照合部による照合結果を出力する。上記の構成においては、表示部241が出力部を担っている。なお、出力部により出力される情報は視覚情報には限定されず、警告音等の聴覚情報などを含んでいてもよい。
【0166】
このような構成によれば、指定された動作モードと、アタッチメントの撮影画像から得られた動作モードとが一致するか否か判定し、それらが一致しない場合に(つまり、指定された動作モードまたは装着されているアタッチメントが誤っている場合に)、その旨を報知することが可能である。それにより、誤った設定状態で撮影や測定を行うことを防止することができる。
【0167】
なお、動作モードの指定が先に行われた場合、指定された動作モードに対応するアタッチメントの種別(つまり、装着すべきアタッチメントの種別)を報知するよう構成することができる。逆に、アタッチメントの装着が先に行われた場合、このアタッチメントに対応する動作モードの種別(つまり、指定すべき動作モードの種別)を報知するよう構成することができる。このような構成によっても、誤った設定状態で撮影や測定を行うことを防止することが可能である。
【0168】
[変形例]
上記の実施形態に関するいくつかの変形例について説明する。
【0169】
(第1の変形例)
手動で操作を行うことが可能なアタッチメントがある。たとえば、格納されている光学系のディオプタを手動で変更可能なアタッチメントや、合焦位置を手動で変更可能なアタッチメントがある。本変形例では、アタッチメントに対して手動で行われた操作の内容をアタッチメントの撮影画像から認識することが可能な構成について説明する。
【0170】
本変形例に係る眼科装置は、上記の実施形態と同様の構成を有していてよい。なお、アタッチメントには、操作の内容に応じて変化するマークが付されている。その具体例を説明する。アタッチメントは、手動操作を行うための可動部が設けられている。可動部の例として、回転操作が可能な回転可動部や、スライド操作が可能なスライド可動部や、2以上のボタンや、ダイヤルなどがある。マークの少なくとも一部は可動部に付されている。マークの典型的な例として目盛がある。それにより、可動部の操作状態を視覚的に認識できるようになっている。
【0171】
前眼部カメラ300は動画撮影を行う。アタッチメント情報生成部232は、前眼部カメラ300により取得されるフレームを解析することにより、マーク画像を抽出する。この処理は、前眼部カメラ300により時系列で取得されるフレームに対して順次に実行される。さらに、アタッチメント情報生成部232は、順次に抽出されるマーク画像の時系列変化を求める。この処理は、たとえば、一のフレームから抽出されたマーク画像の位置や形態と、その次のフレームから抽出されたマーク画像の位置や形態との間の変位を求める処理と、このようにして順次に求められる変位を累積する処理とを含む。それにより、アタッチメントに対する操作に応じたマークの位置等の経時的な変化が得られる。制御部210は、このようにして取得された経時的な変化に基づいて、眼底カメラユニット2やOCTユニット100を制御する。なお、アタッチメントに対する操作内容と、眼底カメラユニット2やOCTユニット100やデータ処理部230やユーザインターフェイス240の制御内容とは、あらかじめ関連付けられている。
【0172】
このような変形例によれば、アタッチメントに対して手動で行われた操作の内容をアタッチメントの撮影画像から把握することができる。そして、取得された操作内容を表示したり、操作内容に応じて光学系やデータ処理系を制御したりすることが可能である。
【0173】
なお、従来の眼科装置においては、アタッチメントに電気的な構成を搭載することによってこのような機能を実現していた。しかし、アタッチメントに電気的な構成を搭載することは、アタッチメントが被検者に近接したり接触したりすることを考慮すると好ましいとは言いがたい。それに対し、本変形例は、アタッチメントに電気的な構成を搭載することなく当該機能を実現できる点において好適と言える。
【0174】
(第2の変形例)
上記の実施形態においては、アタッチメントの撮影画像中のマーク画像に基づいてアタッチメントの装着状態を検知しているが、撮影画像に基づく検知はこれには限定されない。
【0175】
たとえば、前述したように、前眼部カメラ300による撮影画像にはアタッチメントの少なくとも一部が描出される。アタッチメントが適正に装着されていない場合、その描出位置が本来の位置から変位する。そこで、撮影画像におけるアタッチメントの描出状態、特にその輪郭の描出状態に基づいてアタッチメントの装着状態を表す情報を生成するようにアタッチメント情報生成部232を構成することが可能である。
【0176】
このような処理は、たとえば、各フレームからアタッチメントの輪郭を抽出し、抽出された輪郭の状態(位置、傾き等)と本来の状態との間の変位を求め、この変位が閾値以下であるか判定する処理を含む。変位が閾値以下である場合、アタッチメントは適正に装着されていると判定される。逆に、変位が閾値を超える場合、アタッチメントの装着状態は不適正であると判定される。
【0177】
本変形例によれば、マークが設けられていないアタッチメントについても、その装着状態の適否を判定することが可能である。
【0178】
また、輪郭等の形態が異なる複数のアタッチメントが選択的に装着される場合において、撮影画像に描出されているアタッチメントの輪郭等に基づいて、装着されているアタッチメントの種別を判別することが可能である。
【0179】
〈第2の実施形態〉
上記の実施形態では、アタッチメントの外面からの反射光に基づいて、すなわちアタッチメントの外観の撮影画像に基づいて、アタッチメント情報を生成している。これに対し、第2の実施形態では、アタッチメントの内部の反射光に基づいてアタッチメント情報を生成する場合について説明する。
【0180】
なお、第2の実施形態に係る眼科装置の構成は第1の実施形態と同様であってよい。以下、第1の実施形態の構成を適宜参照する。また、第2の実施形態に係る眼科装置に対し、第1の実施形態で説明した任意の事項を適用することが可能である。
【0181】
この実施形態に係るアタッチメントの一例を
図8に示す。アタッチメント600は、前眼部撮影を行うときに眼科装置の本体部(眼底カメラユニット2等)に装着される。すなわち、アタッチメント600は、前眼部撮影用アタッチメント500の一例である。
【0182】
アタッチメント600は、対物レンズ22と被検眼Eとの間に配置される。アタッチメント600には、2つのレンズ601および603と、これらの間に配置されたビームスプリッタ602とが設けられている。2つのレンズ601および603は、本来は眼底撮影用の眼科装置1の焦点位置を前眼部に移動させるための屈折力を有する。ビームスプリッタ602は、眼科装置1の光路(対物レンズ22を通過する光路)と他の光路とを合成している。この他の光路は周辺固視を行うための光を導く(周辺固視光路と呼ぶ)。周辺固視光路には、コリメータレンズ604が設けられている。コリメータレンズ604は、アタッチメント600の外部に設けられた周辺固視光源610から光ファイバ620を通じて導かれた光を平行光束にしてビームスプリッタ602に導く。この平行光束(固視光束)はビームスプリッタ602により反射され、レンズ603を経由して被検眼Eに入射し、固視標として眼底Efに投影される。
【0183】
対物レンズ22を通過してアタッチメント600に入射した光(観察照明光、撮影照明光、測定光LS等)は、レンズ601を通過してビームスプリッタ602に到達する。ビームスプリッタ22に到達した光の大部分は被検眼Eに導かれるが、その僅かな一部はビームスプリッタ602により反射されて受光器605により検出される。受光器605は、眼科装置1からの光の一部を検出したことに対応して電気信号を出力する。この電気信号は制御部210に入力される。制御部210は、受光器605からの電気信号を受けると、この電気信号を受けたことを表す信号をデータ処理部230に送る。アタッチメント情報生成部232は、制御部210からのこの信号を受けると、アタッチメント600が装着されていることを表すアタッチメント情報を生成する。眼科装置1は、このアタッチメント情報に基づいて、第1の実施形態と同様の処理を実行することができる。
【0184】
この実施形態の作用および効果について説明する。
【0185】
この実施形態に係る眼科装置は、第1の実施形態と同様に、本体部(眼底カメラユニット2、OCTユニット100など)と、アタッチメント(600)と、光検出部と、情報生成部(アタッチメント情報生成部232)とを含む。
【0186】
本体部に格納されている光学系は、第1光源(観察光源11、撮影光源15、光源ユニット101等)からの光を対物レンズ(22)を介して被検眼(E)に導く第1光路を形成する。アタッチメント(600)は、1以上のレンズ(601、603)と、ビームスプリッタ(602)と、受光部(605)とを含む。1以上のレンズ(601、603)は、第1光路において対物レンズ(22)と被検眼(E)との間に配置される。ビームスプリッタ(602)は、対物レンズ(22)と被検眼(E)との間において、第2光源(周辺固視光源610)からの光の第2光路を第1光路に合成する。受光部(605)は、ビームスプリッタ(602)による第1光源(610)からの光の反射光を受ける。ここで、受光部(605)は、アタッチメントによる反射光を検出可能な光検出部に含まれる。情報生成部(232)は、受光部(605)からの出力に基づいてアタッチメントに関する情報を生成する。
【0187】
このような実施形態によれば、アタッチメントからの反射光に基づく光学的な手法を用いてアタッチメントの装着の有無を検知することが可能である。
【0188】
また、たとえば次のような構成を適用することにより、アタッチメントの装着の有無だけでなく、アタッチメントの装着状態の検知も行うことが可能である。まず、受光器としてエリアイメージセンサを用いる。アタッチメントが適正に装着されている場合、眼科装置からの光はエリアイメージセンサの受光面の特定位置(適正位置)に投影される。一方、たとえばアタッチメントが傾いた状態で装着されると、眼科装置からの光は適正位置からずれた位置に投影される。情報生成部は、エリアイメージセンサからの出力信号に基づいて眼科装置からの光の投影位置を特定し、この投影位置が適正位置であるか判定する。投影位置が適正位置であると判定された場合、情報生成部は、アタッチメントが適正に装着されていることを表すアタッチメント情報を生成する。一方、投影位置が適正位置でないと判定された場合、情報生成部は、アタッチメントが適正に装着されていないことを表すアタッチメント情報を生成する。この場合において、適正位置に対する投影位置の変位(変位方向や変位量)に基づいて、アタッチメントの装着のずれ状態(ずれの向き、ずれの量)を取得することができる。
【0189】
〈第3の実施形態〉
第3の実施形態に係る眼科装置は、第2の実施形態と同様に、アタッチメントの内部の反射光に基づいてアタッチメント情報を生成する。なお、第3の実施形態に係る眼科装置の構成は第1の実施形態と同様であってよい。以下、第1の実施形態の構成を適宜参照する。また、第3の実施形態に係る眼科装置に対し、第1の実施形態で説明した任意の事項を適用することが可能である。
【0190】
この実施形態に係るアタッチメントの一例を
図9に示す。アタッチメント700は、前眼部撮影を行うときに眼科装置の本体部(眼底カメラユニット2等)に装着される。アタッチメント700は、前眼部撮影用アタッチメント500の一例である。
【0191】
アタッチメント700は、対物レンズ22と被検眼Eとの間に配置される。アタッチメント700には、第2の実施形態におけるアタッチメント600と同様に、2つのレンズ701および703と、これらの間に配置されたビームスプリッタ702とが設けられている。ビームスプリッタ702は、眼科装置1の光路(対物レンズ22を通過する光路)と周辺固視光路とを合成している。周辺固視光路には、コリメータレンズ704が設けられている。コリメータレンズ704は、周辺固視光源710から光ファイバ720を通じて導かれた光を平行光束(固視光束)にしてビームスプリッタ702に導く。固視光束はビームスプリッタ702により反射され、レンズ703を経由して被検眼Eに入射し、固視標として眼底Efに投影される。
【0192】
このようなアタッチメント700に眼科装置1からの光が入射されると、アタッチメント700内のレンズ701および/または703からの反射光が眼科装置1に戻ってくる。たとえば、アタッチメント700が装着されている状態で観察照明光を照射すると、被検眼Eに到達した観察照明光の戻り光に加え、レンズ701および/または703による観察照明光の反射光がCCDイメージセンサ35によって検出される。すなわち、アタッチメント700が装着されている状態で得られる被検眼Eの観察画像には、アタッチメント700からの反射光に起因するゴーストが写り込む。
【0193】
アタッチメント700からの反射光に起因するゴーストの典型的な例を
図10に示す。レンズ701および703のレンズ面における光軸上の部位には黒点が設けられている。この黒点は、レンズ面による正反射が画像に混入することを防止するように作用する。このようなレンズ面からの反射光は、リング状のゴースト761および762として観察画像750中に現れる。
【0194】
アタッチメント情報生成部232は、観察画像(フレーム)を解析することにより、このようなゴーストが写り込んでいるか判定する。ゴーストが写り込んでいると判定された場合、アタッチメント情報生成部232は、アタッチメント700が装着されていることを表すアタッチメント情報を生成する。一方、ゴーストが写り込んでいないと判定された場合、アタッチメント情報生成部232は、アタッチメント700が装着されていないことを表すアタッチメント情報を生成する。眼科装置1は、このようなアタッチメント情報に基づいて、第1の実施形態と同様の処理を実行することができる。また、第2の実施形態と同様に、ゴーストが写り込んでいる位置に基づいてアタッチメント700の装着状態(たとえば適正に装着されているか否か)を判定することが可能である。
【0195】
この実施形態の作用および効果について説明する。
【0196】
この実施形態に係る眼科装置は、第1の実施形態と同様に、本体部(眼底カメラユニット2、OCTユニット100など)と、アタッチメント(700)と、光検出部と、情報生成部(アタッチメント情報生成部232)とを含む。
【0197】
本体部に格納されている光学系は、照射系(照明光学系10等)と、撮影系(撮影光学系30)とを含む。照射系(10)は、対物レンズ(22)を介して被検眼(E)に光を照射する。撮影系(30)は、照射系(10)により被検眼(E)に照射された光の戻り光をエリアイメージセンサ(CCDイメージセンサ35等)に導く。アタッチメント(700)は、対物レンズ(22)と被検眼(E)との間に配置される1以上のレンズ(701、703)を含む。エリアイメージセンサ(35)は光検出部に含まれる。情報生成部(232)は、エリアイメージセンサ(35)により取得された撮影画像に含まれる、1以上のレンズ(701、703)のいずれかからの反射光の像に基づいて、アタッチメント(700)に関する情報を生成する。
【0198】
このような実施形態によれば、アタッチメントからの反射光に基づく光学的な手法を用いてアタッチメントの装着の有無を検知することが可能である。さらに、この実施形態によれば、このような光学的な手法を用いることにより、アタッチメントの装着の有無だけでなく、アタッチメントの装着状態の検知も行うことが可能である。
【0199】
また、描出されるゴーストの位置や形状などに基づいて、アタッチメントの種別を判定するように構成することも可能である。
【0200】
また、この実施形態には、第2の実施形態のような電気的な構成(受光部)を設ける必要がないというメリットもある。
【0201】
〈第4の実施形態〉
第4の実施形態に係る眼科装置は、第2および第3の実施形態と同様に、アタッチメントの内部の反射光に基づいてアタッチメント情報を生成する。特に、第4の実施形態では、OCT用の光学系が用いられる。なお、第4の実施形態に係る眼科装置の構成は第1の実施形態と同様であってよい。以下、第1の実施形態の構成を適宜参照する。また、第4の実施形態に係る眼科装置に対し、第1の実施形態で説明した任意の事項を適用することが可能である。
【0202】
この実施形態に係る構成は、OCT計測用の光(測定光LS)の経路に配置されるアタッチメントに適用可能である。このアタッチメントは、測定光LSの経路に配置される1以上の光学素子(レンズ等)を備える。
【0203】
眼科装置1には、
図1および
図2に示すように、測定光LSの光路(測定光路、測定アーム)と参照光LRの光路(参照光路、参照アーム)とを有する干渉光学系が設けられている。眼科装置1は、測定光路と参照光路との間の光路長差を変更する手段として、測定光路の長さを変更する光路長変更部41を備えている。なお、参照光路の長さを変更する要素(参照ミラー等)を備えていてもよい。
【0204】
アタッチメント情報を生成する場合、制御部210は、アタッチメント内の光学素子がOCT画像のフレームに描出されるように光路長変更部41を制御する。この制御は、たとえば、アタッチメントに対応する既定の位置に光路長変更部41を移動させる制御でもよいし、光路長変更部41を移動させつつ収集されるデータを解析することにより光路長変更部41の適正位置を探索する制御でもよい。
【0205】
光路長変更部41を既定の位置に配置させる制御が実行される場合、この制御が完了したら、制御部210は、OCTユニット100を制御してOCT計測を実行させる。アタッチメント情報生成部232は、OCT計測により取得されたデータを解析することにより、アタッチメント内の光学素子が描出されているか判定する。光学素子が描出されていると判定された場合、アタッチメント情報生成部232は、アタッチメントが装着されていることを表すアタッチメント情報を生成する。一方、光学素子が描出されていないと判定された場合、アタッチメント情報生成部232は、アタッチメントが装着されていないことを表すアタッチメント情報を生成する。
【0206】
或いは、光路長変更部41の適正位置を探索する制御が実行される場合において、光学素子の像が描出された場合(つまり光学素子の像が検出された場合)、アタッチメント情報生成部232は、アタッチメントが装着されていることを表すアタッチメント情報を生成する。一方、光路長変更部41の位置にかかわらず光学素子の像が描出されない場合(つまり光学素子の像が検出されない場合)、アタッチメント情報生成部232は、アタッチメントが装着されていないことを表すアタッチメント情報を生成する。
【0207】
眼科装置1は、このようにして生成されたアタッチメント情報に基づいて、第1の実施形態と同様の処理を実行することができる。また、第2の実施形態と同様に、光学素子が描出されている位置や像の傾きなどに基づいてアタッチメントの装着状態(たとえば適正に装着されているか否か)を判定することが可能である。
【0208】
また、光学素子の像の位置や形状、或いは光路長変更部41の位置に基づいて、装着されているアタッチメントの種別を判定することが可能である。また、アタッチメントに2以上の光学素子が格納されている場合、光路長変更部41を移動させつつこれら光学素子の像を検出し、検出された2以上の光学素子の像の相対的な位置関係(z方向における距離など)に基づいてアタッチメントの種別を判定することが可能である。
【0209】
この実施形態の作用および効果について説明する。
【0210】
この実施形態に係る眼科装置は、第1の実施形態と同様に、本体部(眼底カメラユニット2、OCTユニット100など)と、アタッチメント(700)と、光検出部と、情報生成部(アタッチメント情報生成部232)とを含む。
【0211】
本体部は、干渉光学系(OCTユニット100、眼底カメラユニット2内の測定光路など)と、光路長差変更部(光路長変更部41)とを含む。干渉光学系は、光源(光源ユニット101)からの光を測定光(LS)と参照光(LR)とに分割し、被検眼(E)からの測定光(LS)の戻り光を参照光(LR)と干渉させて得られる干渉光(LC)を検出する。光路長差変更部(41)は、干渉光学系における測定光路と参照光路との間の光路長差を変更する。アタッチメントは、測定光路に配置される1以上の光学素子を含む。光検出部は、干渉光学系に設けられて干渉光(LC)を検出する光検出器(CCDイメージセンサ115)を含む。情報生成部(232)は、光検出器(115)により取得されたデータに基づいて、アタッチメントに関する情報を生成する。
【0212】
このような実施形態によれば、アタッチメントからの反射光に基づく光学的な手法を用いてアタッチメントの装着の有無を検知することが可能である。さらに、この実施形態によれば、このような光学的な手法を用いることにより、アタッチメントの装着の有無だけでなく、アタッチメントの装着状態の検知やアタッチメントの種別の判定も行うことが可能である。
【0213】
また、この実施形態には、第2の実施形態のような電気的な構成(受光部)を設ける必要がないというメリットもある。
【0214】
〈変形例〉
以上に説明した実施形態は一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を施すことが可能である。
【0215】
上記の実施形態においては、光路長変更部41の位置を変更することにより、測定光LSの光路と参照光LRの光路との光路長差を変更しているが、この光路長差を変更する手法はこれに限定されるものではない。たとえば、参照光の光路に反射ミラー(参照ミラー)を配置し、この参照ミラーを参照光の進行方向に移動させて参照光の光路長を変更することによって、当該光路長差を変更することが可能である。また、被検眼Eに対して眼底カメラユニット2やOCTユニット100を移動させて測定光LSの光路長を変更することにより当該光路長差を変更するようにしてもよい。また、特に被測定物体が生体部位でない場合などには、被測定物体を深度方向(z方向)に移動させることにより光路長差を変更することも可能である。
【0216】
上記の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。