(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0014】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0015】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0016】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0017】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0018】
(実施の形態1)
本実施の形態1における技術的思想は、同一の半導体チップに、半導体チップのメイン機能を実現する主回路と、主回路に付加されるアドオン回路と呼ばれる付加回路とを含む半導体装置であって、アドオン回路をMONOS型の書き換え可能な不揮発性メモリから構成する半導体装置に関する技術的思想である。
【0019】
例えば、SOC(System On Chip)を例に挙げると、主回路としては、以下のものを挙げることができる。すなわち、主回路としては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)もしくはSRAM(Static Random Access Memory)などのようなメモリ回路、CPU(Central Processing Unit)もしくはMPU(Micro Processing Unit)などのような論理回路、または、これらのメモリ回路および論理回路の混在回路等を挙げることができる。
【0020】
一方、アドオン回路としては、主回路に関する比較的小容量の情報を記憶する記憶回路や、回路の救済に使用される電子ヒューズなどを挙げることができる。例えば、比較的小容量の情報としては、半導体チップ内のトリミングの際に使用する素子の配置アドレス情報、メモリ回路の救済の際に使用するメモリセルの配置アドレス情報、半導体装置の製造番号などを挙げることができる。また、半導体チップがLCD(Liquid Crystal Display)ドライバである場合、比較的小容量の情報としては、LCD画像調整時に使用する調整電圧のトリミングタップ情報を挙げることができる。
【0021】
<半導体チップのレイアウト構成例>
以下に示す本実施の形態1では、メイン機能を実現するシステムが形成された半導体チップを例に挙げて説明する。本実施の形態1における半導体チップは、相対的に低い電圧で駆動する低耐圧MISFETと、高電圧駆動を可能とするために相対的に高い電圧で駆動する高耐圧MISFETと、書き換え可能な不揮発性メモリセルとを含んでいる。
【0022】
MISFETにおいて、耐圧とは、MISFETを構成するソース領域と半導体基板(ウェル)やドレイン領域と半導体基板(ウェル)との境界に生じるpn接合耐圧や、ゲート絶縁膜の絶縁耐圧をいう。このとき、本実施の形態1では、相対的に耐圧の高い高耐圧MISFETと相対的に耐圧の低い低耐圧MISFETが半導体基板に形成されている。
【0023】
図1は、実施の形態1における半導体チップのレイアウト構成例を示す図である。
図1において、半導体チップCHP1は、CPU1、ROM(Read Only Memory)2、RAM3、アナログ回路4、不揮発性メモリ5およびI/O(Input/Output)回路6を有する。
【0024】
CPU1は、中央演算処理装置とも呼ばれ、コンピュータなどの心臓部にあたる。このCPU1は、記憶装置から命令を読み出して解読し、それに基づいて多種多様な演算や制御を行うものであり、処理の高速性が要求される。したがって、CPU1を構成しているMISFETには、半導体チップCHP1に形成されている素子の中で、相対的に大きな電流駆動力が必要とされる。すなわち、CPU1は、低耐圧MISFETから構成される。
【0025】
ROM2は、記憶情報が固定され変更できないメモリで、読み出し専用メモリと呼ばれる。ROM2の構成には、MISFETを直列接続したNAND型と、MISFETを並列接続したNOR型がある。NAND型は、集積密度重視であるのに対し、NOR型は、動作速度重視の目的で使用されることが多い。このROM2も動作の高速性が要求されるため、ROM2を構成しているMISFETには、相対的に大きな電流駆動力が必要とされる。すなわち、ROM2は、低耐圧MISFETから構成される。
【0026】
RAM3は、記憶情報をランダムに、すなわち随時記憶されている記憶情報を読み出したり、記憶情報を新たに書き込んだりすることができるメモリであり、随時書き込み読み出しができるメモリとも呼ばれる。ICメモリとしてのRAM3には、ダイナミック回路を用いたDRAM(Dynamic RAM)とスタティック回路を用いたSRAM(Static RAM)の2種類がある。DRAMは、記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリであり、SRAMは、記憶保持動作が不要な随時書き込み読み出しメモリである。これらRAM3も動作の高速性が要求されるため、RAM3を構成しているMISFETには、相対的に大きな電流駆動力が必要とされている。すなわち、RAM3は、低耐圧MISFETから構成される。
【0027】
アナログ回路4は、時間的に連続して変化する電圧や電流の信号、すなわちアナログ信号を扱う回路であり、例えば増幅回路、変換回路、変調回路、発振回路、電源回路などから構成されている。これらアナログ回路4は、半導体チップCHP1に形成された素子の中で、相対的に高耐圧の高耐圧MISFETが使用される。
【0028】
不揮発性メモリ5は、書き込み動作および消去動作とも電気的に書き換え可能な不揮発性メモリの一種であり、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリとも呼ばれる。本実施の形態1では、この不揮発性メモリ5は、MONOS型トランジスタから構成される。MONOS型トランジスタの書き込み動作および消去動作には、例えばファウラーノルドハイム(FN)型トンネル現象が利用される。なお、ホットエレクトロンやホットホールを用いて書き込み動作や消去動作させることも可能である。
【0029】
不揮発性メモリ5の書き込み動作時などには、MONOS型トランジスタに高い電位差(12V程度)を印加するため、MONOS型トランジスタとして、相対的に高耐圧のトランジスタが必要とされる。
【0030】
I/O回路6は、入出力回路であり、半導体チップCHP1内から半導体チップCHP1の外部に接続された機器へのデータの出力や、半導体チップCHP1の外部に接続された機器から半導体チップCHP1内へのデータの入力を行うための回路である。このI/O回路6は、相対的に高耐圧の高耐圧MISFETから構成される。
【0031】
ここで、CPU1、ROM2、RAM3およびアナログ回路4によって主回路が構成され、不揮発性メモリ5によってアドオン回路が構成されている。すなわち、本実施の形態1における半導体チップCHP1には、メイン機能を実現する主回路と、主回路に付加されるアドオン回路とが形成されている。そして、本実施の形態1では、このアドオン回路にMONOS型トランジスタを適用することによって、以下に示す利点を得ることができる。
【0032】
例えば、アドオン回路が電子ヒューズを含んでおり、この電子ヒューズを書き換え可能な不揮発性メモリであるMONOS型トランジスタから構成することにより、ウェハ状態やパッケージ状態で何度も調整可能なMTP(Multi Time Program)型の電子ヒューズを実現できる利点が得られる。
【0033】
また、例えば、トリミング情報を記憶するメモリとして、主回路に含まれる電界効果トランジスタとの混載に適した浮遊ゲート構造の不揮発性メモリ(NVメモリ)が使用されているが、メモリセルのサイズが大きくなる。この点に関し、浮遊ゲート構造の不揮発性メモリ(NVメモリ)に替えて、MONOS型トランジスタを適用することにより、メモリセルのサイズを縮小できる利点が得られる。さらに、MONOS型トランジスタでは、データの書き換えにFNトンネリング電流を使用するため、低電流でのデータの書き換えが可能となり低消費電力を図ることができる。
【0034】
本実施の形態1の半導体装置は、主回路とアドオン回路とを含む半導体装置において、アドオン回路としてMONOS型トランジスタを適用した半導体装置を実現するにあたって、半導体装置の製造技術に特徴を有するものである。すなわち、本実施の形態1の半導体装置においては、主回路の構成要素である低耐圧MISFETと高耐圧MISFETとともに、アドオン回路の構成要素であるMONOS型トランジスタを混載する製造技術に特徴がある。
【0035】
<不揮発性メモリの回路ブロック構成>
次に、
図2は、不揮発性メモリの回路ブロック構成の一例を示す図である。
図2において、不揮発性メモリ5は、メモリアレイ10と、直接周辺回路部11と、間接周辺回路部12と、を有している。
【0036】
メモリアレイ10は、不揮発性メモリ5の記憶部にあたり、メモリセルが縦と横の2次元状(アレイ状)に多数配置されている。メモリセルは、1ビットの単位情報を記憶するための回路であり、記憶部であるMONOS型トランジスタより構成されている。
【0037】
直接周辺回路部11は、メモリアレイ10を駆動するための回路、すなわち駆動回路であり、例えば電源電圧から数倍の電圧を生成する昇圧回路、昇圧用クロック発生回路、電圧クランプ回路、行や列を選択するカラムデコーダやロウアドレスデコーダ、カラムラッチ回路およびWELL制御回路などを有している。これら直接周辺回路部11を構成するMISFETは、半導体チップCHP1に形成されている素子の中で、相対的に高耐圧を必要とする高耐圧MISFETより形成されている。
【0038】
また、間接周辺回路部12は、メモリアレイの書換え制御回路であり、設定回路、通常用書換えクロック生成部、高速用書換えクロック生成部および書換えタイミング制御部などを有している。これら間接周辺回路部12を構成するMISFETは、半導体チップCHP1に形成されている素子の中で、相対的に低い電圧で駆動し、高速動作が可能な低耐圧MISFETより形成されている。
【0039】
<半導体装置の構造>
次に、実施の形態1の半導体装置としての半導体チップCHP1の構造を、図面を参照して説明する。
図3は、実施の形態1の半導体装置の要部断面図である。
【0040】
図3に示すように、実施の形態1の半導体装置としての半導体チップCHP1は、メモリ形成領域MRと、主回路形成領域ARと、を有する。また、主回路形成領域ARは、低耐圧MISFET形成領域LRと、高耐圧MISFET形成領域HRと、を含む。
【0041】
メモリ形成領域MRには、
図1に示す不揮発性メモリ5のメモリセルが形成されており、このメモリセルは、MONOS型トランジスタMCから形成されている。
【0042】
低耐圧MISFET形成領域LRには、高速動作を可能とするために大きな電流駆動力を必要とする低耐圧MISFETQLが形成されている。このような低耐圧MISFETQLが形成される領域としては、例えば、CPU1やROM2やRAM3の形成領域などが考えられる。低耐圧MISFETQLは、例えば、1.5V程度の電源電圧で動作する。
【0043】
また、高耐圧MISFET形成領域HRには、高耐圧MISFETQHが形成されている。このような高耐圧MISFETQHが形成される領域としては、例えば、アナログ回路4の形成領域やI/O回路6が形成されている領域などが考えられる。高耐圧MISFETQHは、例えば、5V程度の電源電圧で動作する。
【0044】
図3に示すように、半導体チップCHP1は、半導体基板SBを有し、半導体基板SBの主面としての上面PSには、素子を分離する素子分離領域STIが形成されている。また、素子分離領域STIによって分離された活性領域が、それぞれメモリ形成領域MR、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRとなっている。すなわち、メモリ形成領域MR、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRは、半導体基板SBの上面PSのそれぞれ一部の領域である。メモリ形成領域MRで、半導体基板SBの上面PS側には、p型ウェルPWMが形成されている。同様に、低耐圧MISFET形成領域LRで、半導体基板SBの上面PS側には、p型ウェルPWLが形成されており、高耐圧MISFET形成領域HRで、半導体基板SBの上面PS側には、p型ウェルPWHが形成されている。なお、「p型」とは、主要な電荷担体が正孔である導電型を意味する。
【0045】
また、本実施の形態1では、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRに形成されているMISFETとして、nチャネル型MISFETを例示して説明するが、それぞれの領域にはpチャネル型MISFETが形成されていてもよい。
【0046】
次に、
図3に示すMONOS型トランジスタMCについて説明する。MONOS型トランジスタMCは、p型ウェルPWMと、ゲート絶縁膜GIMと、ゲート電極CGと、サイドウォールスペーサSWと、n
-型半導体領域LDMと、n
+型半導体領域NDMと、を有する。すなわち、不揮発性メモリは、ゲート電極CGおよびゲート絶縁膜GIMにより形成される。また、ゲート絶縁膜GIMは、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF1と、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜としての電荷蓄積膜ECと、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF2と、を含み、ONO(Oxide-Nitride-Oxide)膜とも称される。なお、「n
-型」および「n
+型」とは、主要な電荷担体が電子であり、p型とは反対の導電型を意味する。
【0047】
半導体基板SBの上面PS側に形成されたp型ウェルPWM上に、絶縁膜IF1が形成され、絶縁膜IF1上に、電荷蓄積膜ECが形成されている。そして、電荷蓄積膜EC上に、絶縁膜IF2が形成され、絶縁膜IF2上に、導電膜からなるゲート電極CGが形成されている。ゲート電極CGは、例えばポリシリコン膜からなる。
【0048】
ゲート電極CGの両側面には、LDD(Lightly Doped Drain)構造を形成するため、例えば絶縁膜からなる側壁部としてのサイドウォールスペーサSWが形成されている。サイドウォールスペーサSW下に位置する部分のp型ウェルPWMの上層部には、n
-型半導体領域LDMが形成されており、平面視において、n
-型半導体領域LDMの外側に位置する部分のp型ウェルPWMの上層部には、n
+型半導体領域NDMが形成されている。n
+型半導体領域NDMは、n
-型半導体領域LDMと接触しており、n
+型半導体領域NDMにおける不純物濃度は、n
-型半導体領域LDMにおける不純物濃度よりも高い。また、絶縁膜IF1の直下に位置する部分のp型ウェルPWMの上層部には、チャネル領域が形成されている。ゲート電極CGの上面、および、n
+型半導体領域NDMの上面には、低抵抗化を図るため、シリサイド膜CSが形成されている。
【0049】
絶縁膜IF1は、例えば酸化シリコンからなる。半導体基板SBから絶縁膜IF1を介して電荷蓄積膜ECに電子を注入したり、電荷蓄積膜ECに蓄積した電子を半導体基板SBへ放出したりしてデータの記憶や消去を行う場合には、絶縁膜IF1は、トンネル絶縁膜として機能する。
【0050】
電荷蓄積膜ECは、データ記憶に寄与する電荷を蓄積する電荷蓄積部として設けられた絶縁膜であり、例えば窒化シリコンからなる。したがって、ゲート絶縁膜GIMは、内部に電荷蓄積部としての電荷蓄積膜ECを有する。
【0051】
従来、電荷蓄積膜ECとしてポリシリコン膜が主に使用されてきたが、電荷蓄積膜ECとしてポリシリコン膜を使用した場合、電荷蓄積膜ECを取り囲む酸化膜のどこか一部に欠陥があると、電荷蓄積膜ECが導体であるため、異常リークにより電荷蓄積膜ECに蓄積された電荷がすべて抜けてしまうことが起こりうる。
【0052】
そこで、上述したように電荷蓄積膜ECとして、窒化シリコンからなる絶縁膜が使用されてきている。この場合、データ記憶に寄与する電荷は、電荷蓄積膜EC中に存在する離散的なトラップ準位(捕獲準位)に蓄積される。したがって、電荷蓄積膜ECを取り巻く酸化膜中の一部に欠陥が生じても、電荷は電荷蓄積膜ECの離散的なトラップ準位に蓄積されているため、すべての電荷が電荷蓄積膜ECから抜け出てしまうことがない。このため、データ保持の信頼性向上を図ることができる。
【0053】
このような理由から、電荷蓄積膜ECとして、窒化シリコンからなる絶縁膜に限らず、離散的なトラップ準位を含むような膜を使用することにより、データ保持の信頼性向上を図ることができる。
【0054】
絶縁膜IF2は、例えば酸化シリコンからなる。ゲート電極CGから絶縁膜IF2を介して電荷蓄積膜ECに電子を注入したり、電荷蓄積膜ECに蓄積した電子をゲート電極CGへ放出したりしてデータの記憶や消去を行う場合には、絶縁膜IF2は、トンネル絶縁膜として機能する。
【0055】
サイドウォールスペーサSWは、MONOS型トランジスタMCの半導体領域であるソース領域およびドレイン領域をLDD構造にするために形成されたものである。すなわち、MONOS型トランジスタMCのソース領域およびドレイン領域の各々は、n
-型半導体領域LDMおよびn
+型半導体領域NDMより形成されている。このとき、ゲート電極CG下の部分のソース領域、および、ゲート電極CG下の部分のドレイン領域をn
-型半導体領域LDMとすることで、ゲート電極CGの端部下における電界集中を抑制することができる。
【0056】
次に、低耐圧MISFETQLについて説明する。低耐圧MISFETQLは、p型ウェルPWLと、ゲート絶縁膜GILと、ゲート電極GELと、サイドウォールスペーサSWと、n
-型半導体領域LDLと、n
+型半導体領域NDLと、を有する。
【0057】
半導体基板SBの主面としての上面PS側に形成されたp型ウェルPWL上に、ゲート絶縁膜GILが形成されており、ゲート絶縁膜GIL上に、ゲート電極GELが形成されている。ゲート絶縁膜GILは、例えば酸化シリコンからなる。ゲート電極GELは、例えばポリシリコン膜からなる。
【0058】
ゲート電極GELの両側面には、例えば絶縁膜からなる側壁部としてのサイドウォールスペーサSWが形成されている。サイドウォールスペーサSW下に位置する部分のp型ウェルPWLの上層部には、n
-型半導体領域LDLが形成されており、平面視において、n
-型半導体領域LDLの外側に位置する部分のp型ウェルPWLの上層部には、n
+型半導体領域NDLが形成されている。n
+型半導体領域NDLは、n
-型半導体領域LDLと接触しており、n
+型半導体領域NDLにおける不純物濃度は、n
-型半導体領域LDLにおける不純物濃度よりも高い。また、ゲート絶縁膜GILの直下に位置する部分のp型ウェルPWLの上層部には、チャネル領域が形成されている。ゲート電極GELの上面、および、n
+型半導体領域NDLの上面には、低抵抗化を図るため、シリサイド膜CSが形成されている。
【0059】
続いて、高耐圧MISFETQHについて説明する。高耐圧MISFETQHは、p型ウェルPWHと、ゲート絶縁膜GIHと、ゲート電極GEHと、サイドウォールスペーサSWと、n
-型半導体領域LDHと、n
+型半導体領域NDHと、を有する。
【0060】
半導体基板SBの主面としての上面PS側に形成されたp型ウェルPWH上に、ゲート絶縁膜GIHが形成されており、ゲート絶縁膜GIH上に、ゲート電極GEHが形成されている。ゲート絶縁膜GIHは、例えば酸化シリコンからなる。ゲート電極GEHは、例えばポリシリコン膜からなる。
【0061】
ゲート電極GEHの両側面には、例えば絶縁膜からなる側壁部としてのサイドウォールスペーサSWが形成されている。サイドウォールスペーサSW下に位置する部分のp型ウェルPWHの上層部には、n
-型半導体領域LDHが形成されており、平面視において、n
-型半導体領域LDHの外側に位置する部分のp型ウェルPWHの上層部には、n
+型半導体領域NDHが形成されている。n
+型半導体領域NDHは、n
-型半導体領域LDHと接触しており、n
+型半導体領域NDHにおける不純物濃度は、n
-型半導体領域LDHにおける不純物濃度よりも高い。また、ゲート絶縁膜GIHの直下に位置する部分のp型ウェルPWHの上層部には、チャネル領域が形成されている。ゲート電極GEHの上面、および、n
+型半導体領域NDHの上面には、低抵抗化を図るため、シリサイド膜CSが形成されている。
【0062】
高耐圧MISFETQHは、低耐圧MISFETQLに比べて高い電圧が印加される。そのため、高耐圧MISFETQHのゲート絶縁膜GIHの厚さは、低耐圧MISFETQLのゲート絶縁膜GILの厚さよりも、厚い。これにより、高耐圧MISFETQHのゲート絶縁膜GIHの絶縁耐性を向上させることができる。すなわち、高耐圧MISFETQHの耐圧を高めることができる。
【0063】
なお、
図3では、ゲート電極GEHのゲート長と、ゲート電極GELのゲート長との差異を図示していないが、ゲート電極GEHのゲート長は、ゲート電極GELのゲート長に比べて長くなっていてもよい。低耐圧MISFETQLにおいて、ゲート電極GELのゲート長を短くすることにより、ソース領域とドレイン領域との間の抵抗を低減し、電流駆動力を向上させることができる。一方、高耐圧MISFETQHにおいて、ゲート電極GEHのゲート長を長くすることにより、比較的高い電位が印加された場合でも、ソース領域とドレイン領域との間でパンチスルーが発生することを防止することができる。
【0064】
なお、MONOS型トランジスタMCのゲート絶縁膜GIMの厚さは、低耐圧MISFETQLのゲート絶縁膜GILの厚さよりも、厚い。このような場合、ゲート絶縁膜GILをゲート絶縁膜GIMよりも後の工程で形成する効果が顕著になる。
【0065】
半導体基板SB上には、MONOS型トランジスタMC、低耐圧MISFETQLおよび高耐圧MISFETQHを覆うように、絶縁膜SNFが形成されている。絶縁膜SNFは、例えば窒化シリコンなどからなる。
【0066】
絶縁膜SNF上には、層間絶縁膜IL1が形成されている。層間絶縁膜IL1は、例えば、酸化シリコンからなる絶縁膜、または、窒化シリコンからなる絶縁膜と酸化シリコンからなる絶縁膜との積層膜などからなる。層間絶縁膜IL1の上面は平坦化されている。
【0067】
層間絶縁膜IL1にはコンタクトホールCNTが形成され、そのコンタクトホールCNT内に、導体膜からなるプラグPGが埋め込まれている。プラグPGは、コンタクトホールCNTの底部、および、側壁上すなわち側面上に形成された薄いバリア導体膜と、このバリア導体膜上にコンタクトホールCNTを埋め込むように形成された主導体膜と、により形成されている。
図3では、図面の簡略化のために、プラグPGを構成するバリア導体膜および主導体膜を一体化して示す。なお、プラグPGを構成するバリア導体膜は、例えば、チタン(Ti)膜、窒化チタン(TiN)膜、またはそれらの積層膜とすることができ、プラグPGを構成する主導体膜は、例えばタングステン(W)膜とすることができる。
【0068】
プラグPGは、n
+型半導体領域NDM、NDLおよびNDHの各々の上に形成されており、図示は省略するが、ゲート電極CG、GELおよびGEHの各々の上にも形成されている。そして、プラグPGは、n
+型半導体領域NDM、NDLおよびNDHと、電気的に接続されており、図示は省略するが、ゲート電極CG、GELおよびGEHの各々とも、電気的に接続されている。
【0069】
プラグPGが埋め込まれた層間絶縁膜IL1上には、層間絶縁膜IL2が形成され、層間絶縁膜IL2に形成された配線溝には、例えば銅(Cu)を主導電材料とする埋込配線としてのダマシン配線として、第1層目の配線ML1が形成されている。また、第1層目の配線ML1上には、ダマシン配線として、上層の配線も形成されているが、ここではその図示および説明は省略する。また、第1層目の配線ML1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン(W)配線またはアルミニウム(Al)配線などとすることもできる。
【0070】
本実施の形態1では、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1は0であるか、または、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GELからのオフセット量OD2、すなわち、n
-型半導体領域LDHのゲート電極GEHからのオフセット量OD2よりも、小さい。
【0071】
ここで、オフセット量OD1とは、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CG側の端部EPMの位置が、平面視において、ゲート電極CGの両側面SSMのうち、そのn
-型半導体領域LDM側の側面SSMから外側に離れた距離である。また、オフセット量OD2とは、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GEL側の端部EPLの位置が、平面視において、ゲート電極GELのゲート長方向において、ゲート電極GELの両側面SSLのうち、そのn
-型半導体領域LDL側の側面SSLから外側に離れた距離である。さらに、オフセット量OD2とは、n
-型半導体領域LDHのゲート電極GEH側の端部EPHの位置が、平面視において、ゲート電極GEHのゲート長方向において、ゲート電極GEHの両側面SSHのうち、そのn
-型半導体領域LDH側の側面SSHから外側に離れた距離である。
【0072】
これにより、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1を、小さくすることができる。そのため、n
-型半導体領域LDMが活性化アニールの際に拡散した場合でも、n
-型半導体領域LDMとゲート電極CGとが平面視において重なる部分の、ゲート電極CGのゲート長方向における長さが増加し、ゲート電極CGによる電界がチャネル領域により伝わりやすくなる。したがって、MONOS型トランジスタMCにおいて、ゲート長が減少しても、書込時の閾値電圧Vth1と消去時の閾値電圧Vth2との電圧差が、減少しにくくなる。
【0073】
なお、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GELからのオフセット量OD2と、n
-型半導体領域LDHのゲート電極GEHからのオフセット量OD2とは、互いに等しくてもよく、互いに異なってもよい。
【0074】
<不揮発性メモリの動作>
本実施の形態1における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、この半導体装置に含まれるメモリセル(不揮発性メモリセル)の動作について説明する。
【0075】
図4は、不揮発性メモリのメモリアレイ構造と動作条件(1セル/1トランジスタ)の一例を示す説明図である。
図4において、セルトランジスタCT1〜CT8のそれぞれは、
図3に示すMONOS型トランジスタMCから構成されるメモリセルに対応している。セルトランジスタCT1〜CT4の各々のゲート電極は、ワード線WL1に接続され、セルトランジスタCT5〜CT8の各々のゲート電極は、ワード線WL2に接続されている。
【0076】
セルトランジスタCT1およびCT5の各々のソース領域は、ソース線SL1に接続され、セルトランジスタCT2およびCT6の各々のソース領域は、ソース線SL2に接続されている。また、セルトランジスタCT3およびCT7の各々のソース領域は、ソース線SL3に接続され、セルトランジスタCT4およびCT8の各々のソース領域は、ソース線SL4に接続されている。
【0077】
セルトランジスタCT1およびCT5の各々のドレイン領域は、データ線DL1に接続され、セルトランジスタCT2およびCT6の各々のドレイン領域は、データ線DL2に接続されている。また、セルトランジスタCT3およびCT7の各々のドレイン領域は、データ線DL3に接続され、セルトランジスタCT4およびCT8の各々のドレイン領域は、データ線DL4に接続されている。
【0078】
セルトランジスタCT1、CT2、CT5およびCT6の各々のバックゲートは、ウェルWE1に接続され、セルトランジスタCT3、CT4、CT7およびCT8の各々のバックゲートは、ウェルWE2に接続されている。
【0079】
図4では、説明を簡単にするため、メモリセルが2行4列に配列されている場合を示しているが、これに限定されるわけでなく、実際は、さらに多くのメモリセルがマトリクス状に配置され、メモリアレイを構成している。また、同一ウェルおよび同一ワード線上のメモリセル配列は、
図4において、例えばセルトランジスタCT1およびCT2の2列構成であるが、8ビット(1バイト)構成の場合、同一ウェル上に8列のセルトランジスタが形成されている。この場合、メモリセルの消去および書き込みは、1バイト単位で行われる。
【0080】
次に、
図4を用いて、1セル1トランジスタ型のメモリセルの消去、書き込みおよび読み出し動作を説明する。
【0081】
まず、消去動作から説明する。例えば、データを消去するメモリセル(選択メモリセル)として、セルトランジスタCT1およびCT2に蓄積されたデータを消去する場合を考える。選択されたウェルWE1の電位を1.5V、ワード線WL1の電位を−8.5V、ソース線SL1およびSL2の電位を1.5V、データ線DL1およびDL2をフローティング(
図4ではFと表記)にする。すると、セルトランジスタCT1およびCT2の電荷蓄積膜に蓄積された電荷が半導体基板側に引き抜かれ、データが消去される。
【0082】
このとき、消去を行わない他のメモリセル(非選択メモリセル)としてのセルトランジスタCT3〜CT8については、選択しないウェルWE2の電位を−8.5V、ワード線WL2の電位を1.5V、ソース線SL3およびSL4の電位を1.5V、データ線DL3およびDL4の電位をフローティングにする。これにより、セルトランジスタCT3〜CT8の電荷蓄積膜に蓄積された電荷が逃げないようにして消去されないようにする。
【0083】
次に、書き込み動作について説明する。例えば、データを書き込むメモリセル(選択メモリセル)として、セルトランジスタCT1にデータを書き込む場合を考える。選択されたウェルWE1の電位を−10.5V、ワード線WL1の電位を1.5V、ソース線SL1の電位を−10.5V、データ線DL1をフローティングにする。すると、セルトランジスタCT1の電荷蓄積膜に電荷が注入され、データの書き込みが行われる。
【0084】
このとき、書き込みを行わない他のセルトランジスタ(非選択メモリセル)CT2〜CT8については、選択しないウェルWE2の電位を−10.5V、ワード線WL2の電位を−10.5V、ソース線SL2〜SL4の電位を1.5V、データ線DL2〜DL4の電位をフローティングにする。これにより、セルトランジスタCT2〜CT8の電荷蓄積膜に電荷が注入されないようにする。
【0085】
次に、読み出し動作について説明する。例えば、セルトランジスタCT1にデータ“1”が書き込まれトランジスタの閾値電圧が高くなっており、セルトランジスタCT2がデータ“0”となってトランジスタの閾値電圧が低くなっているとする。セルトランジスタCT1およびCT2のデータを読み出す場合、選択されたウェルWE1の電位を−2V、ワード線WL1の電位を0V、ソース線SL1およびSL2の電位を0V、データ線DL1およびDL2の電位を1.0Vにする。これにより、セルトランジスタCT1およびCT2のデータを読み出す。この場合、セルトランジスタCT1の閾値電圧は高く、セルトランジスタCT2の閾値電圧は低くなっているので、データ線DL1の電位は変わらず、データ線DL2の電位は下がる。
【0086】
また、読み出しを行わない他のセルトランジスタCT3〜CT8については、選択しないウェルWE2の電位を−2V、ワード線WL2の電位を−2V、ソース線SL3およびSL4の電位を0V、データ線DL3およびDL4の電位を0Vにして、セルトランジスタCT3〜CT8がオンしないようにする。読み出し時に非選択メモリセルのバックゲート電位を下げることにより、メモリセルに選択トランジスタが不要となる。
【0087】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態1の半導体装置の製造方法について説明する。
【0088】
図5および
図6は、実施の形態1の半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
図7〜
図39は、実施の形態1の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図7〜
図39には、メモリ形成領域MRおよび主回路形成領域ARの要部断面図が示されている。
【0089】
本実施の形態1においては、メモリ形成領域MRにnチャネル型のMONOS型トランジスタMCを形成する場合について説明するが、導電型を逆にしてpチャネル型のMONOS型トランジスタMCを形成することもできる(以下の実施の形態においても同様)。
【0090】
同様に、本実施の形態1においては、主回路形成領域ARの低耐圧MISFET形成領域LRに、nチャネル型の低耐圧MISFETQLを形成する場合について説明する。しかし、低耐圧MISFET形成領域LRに、導電型を逆にしてpチャネル型の低耐圧MISFETQLを形成することもでき、また、CMISFET(Complementary MISFET)などを形成することもできる(以下の実施の形態においても同様)。
【0091】
さらに同様に、本実施の形態1においては、主回路形成領域ARの高耐圧MISFET形成領域HRに、nチャネル型の高耐圧MISFETQHを形成する場合について説明する。しかし、高耐圧MISFET形成領域HRに、導電型を逆にしてpチャネル型のMISFETQHを形成することもでき、また、CMISFETなどを形成することもできる(以下の実施の形態においても同様)。
【0092】
まず、
図7に示すように、半導体基板SBを用意、すなわち準備する(
図5のステップS1)。このステップS1では、例えばボロン(ホウ素)などのp型の不純物を導入した、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するシリコン単結晶よりなる半導体基板SBを、用意する。このとき、半導体基板SBは、略円盤形状をした半導体ウェハの状態になっている。
【0093】
次に、
図7に示すように、素子分離領域STIを形成する(
図5のステップS2)。このステップS2では、例えば、STI(Shallow Trench Isolation)法を用いて素子分離領域STIを形成する。
【0094】
このSTI法では、まず、半導体基板SBにフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して素子分離溝を形成する。そして、素子分離溝を埋め込むように半導体基板SB上に、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜を形成し、その後、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)法により、半導体基板SB上に形成された不要な絶縁膜を除去する。これにより、素子分離溝内にだけ絶縁膜を埋め込んだ素子分離領域STIを形成することができる。
【0095】
このようにして、素子分離領域STIを形成することにより、素子分離領域STIによって、メモリ形成領域MRと主回路形成領域ARとが区画され、主回路形成領域ARは、低耐圧MISFET形成領域LRと高耐圧MISFET形成領域HRとに区画される。
【0096】
次に、
図8に示すように、犠牲酸化膜SO1、SO2およびSO3を形成する(
図5のステップS3)。このステップS3では、メモリ形成領域MRおよび主回路形成領域ARで、半導体基板SBの主面としての上面PSに、犠牲酸化膜SO1、SO2およびSO3を、例えば熱酸化法などにより形成する。
【0097】
このとき、メモリ形成領域MRで、半導体基板SBの上面PSに犠牲酸化膜SO1が形成される。また、主回路形成領域ARの低耐圧MISFET形成領域LRで、半導体基板SBの上面PSに犠牲酸化膜SO2が形成され、主回路形成領域ARの高耐圧MISFET形成領域HRで、半導体基板SBの上面PSに犠牲酸化膜SO3が形成される。犠牲酸化膜SO1、SO2およびSO3の各々は、例えば酸化シリコンからなる。
【0098】
犠牲酸化膜SO1を形成することにより、後述するステップS4において、p型ウェルPWMを形成する際に、p型ウェルPWMの上面に損傷が加えられることを防止することができる。また、犠牲酸化膜SO2を形成することにより、後述するステップS7において、p型ウェルPWLおよびPWHを形成する際に、p型ウェルPWLおよびPWHの上面に損傷が加えられることを防止することができる。
【0099】
次に、
図9および
図10に示すように、p型ウェルPWMを形成する(
図5のステップS4)。
【0100】
このステップS4では、まず、
図9に示すように、半導体基板SBの上面PS上にレジスト膜PR1を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜PR1をパターニングする。レジスト膜PR1は、主回路形成領域ARを覆い、かつ、メモリ形成領域MRを露出するように、パターニングされる。
【0101】
このステップS4では、次に、
図10に示すように、パターニングされたレジスト膜PR1をマスクにしたイオン注入法により、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を、半導体基板SBに導入する。このとき、メモリ形成領域MRで、半導体基板SBに、p型の不純物イオンを注入することになる。
【0102】
これにより、メモリ形成領域MRで、半導体基板SBの上面PS側に、p型ウェルPWMを形成する。このとき、メモリ形成領域MRで、半導体基板SBの上面PSに犠牲酸化膜SO1が形成されているため、イオン注入法によりp型ウェルPWMを形成する際に、p型ウェルPWMの上面に損傷が加えられることを防止することができる。
【0103】
このステップS4では、次に、
図10に示すように、メモリ形成領域MRで、半導体基板SBの上面PSに形成されている犠牲酸化膜SO1を、例えばフッ酸(HF)を用いたウェットエッチングにより、除去する。
【0104】
次に、
図11に示すように、絶縁膜IFGおよびIF3を形成する(
図4のステップS5)。
【0105】
このステップS5では、まず、
図11に示すように、レジスト膜PR1を除去した後、メモリ形成領域MRで、半導体基板SBの上面PSに絶縁膜IF1を形成し、絶縁膜IF1上に電荷蓄積膜ECを形成し、電荷蓄積膜EC上に絶縁膜IF2を形成する。絶縁膜IF1と、電荷蓄積膜ECと、絶縁膜IF2と、により絶縁膜IFGが形成される。絶縁膜IFGは、内部に電荷蓄積部としての電荷蓄積膜ECを有する絶縁膜である。
【0106】
このとき、低耐圧MISFET形成領域LRでは、犠牲酸化膜SO2上に電荷蓄積膜ECが形成され、電荷蓄積膜EC上に絶縁膜IF2が形成される。また、高耐圧MISFET形成領域HRでは、犠牲酸化膜SO3上に電荷蓄積膜ECが形成され、電荷蓄積膜EC上に絶縁膜IF2が形成される。
【0107】
絶縁膜IF1は、例えば酸化シリコンからなる。好適には、絶縁膜IF1を、ISSG(In Situ Steam Generation)酸化法により形成することができる。ISSG酸化法は、減圧した熱処理チャンバ内に水素と酸素を直接導入し、例えば800〜1100℃の温度に加熱したシリコンなどからなる半導体基板の表面でラジカル酸化反応をさせることにより、半導体基板の表面に例えば酸化シリコンからなる酸化膜を形成する方法である。ISSG酸化法における酸化力は、ラジカル酸化反応を用いるため、例えば熱酸化法などにおける酸化力に比べて高い。したがって、ISSG酸化法を用いることにより、緻密で良質な膜質の酸化シリコンからなる絶縁膜IF1を形成することができる。絶縁膜IF1の厚さは、例えば2nm程度である。
【0108】
電荷蓄積膜ECは、例えば窒化シリコンからなる。例えば、電荷蓄積膜ECを、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成することができる。電荷蓄積膜ECの厚さは、例えば8nm程度である。
【0109】
絶縁膜IF2は、例えば酸化シリコンからなる。好適には、絶縁膜IF2を、例えば、HTO(High Temperature Oxide)法により形成することができ、これにより、緻密で良質な膜質の酸化シリコンからなる絶縁膜IF2を形成することができる。絶縁膜IF2の厚さは、例えば3nm程度である。
【0110】
以上のようにして、半導体基板SBの上面PSに、緻密で絶縁耐性に優れた良質な膜質の積層絶縁膜としての絶縁膜IFGを形成することができる。絶縁膜IFGは、ONO(Oxide Nitride Oxide)膜とも称される。また、半導体基板SBの上面PSに犠牲酸化膜SO1が形成されている状態で、p型ウェルPWMを形成し、犠牲酸化膜SO1を除去した後、絶縁膜IFGを形成するため、絶縁膜IFGのうち絶縁膜IF1とp型ウェルPWMとの界面状態を良好にすることができる。
【0111】
このステップS5では、次に、
図11に示すように、絶縁膜IF3を形成することができる。すなわち、メモリ形成領域MR、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRで、絶縁膜IF2上に、すなわち絶縁膜IFG上に、絶縁膜IF3が形成される。絶縁膜IF3は、例えば窒化シリコンからなる。好適には、絶縁膜IF3を、CVD法により形成することができる。絶縁膜IF3の厚さは、例えば4nm程度以上である。なお、絶縁膜IF3を形成しないようにすることもできる。
【0112】
次に、
図12〜
図14に示すように、絶縁膜IFGおよびIF3をパターニングする(
図5のステップS6)。
【0113】
このステップS6では、まず、
図12に示すように、絶縁膜IF3上にレジスト膜PR2を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜PR2をパターニングする。レジスト膜PR2は、メモリ形成領域MRで、絶縁膜IF3がレジスト膜PR2により覆われ、かつ、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRで、絶縁膜IF3がレジスト膜PR2から露出するように、パターニングされる。
【0114】
このステップS6では、次に、
図13に示すように、パターニングされたレジスト膜PR2をマスクとしたエッチング技術により、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRに形成された部分の、絶縁膜IF3、絶縁膜IF2および電荷蓄積膜ECを除去する。すなわち、絶縁膜IFGおよびIF3をパターニングする。
【0115】
このステップS6では、次に、
図14に示すように、パターニングされたレジスト膜PR2を、例えばアッシングにより除去する。
【0116】
次に、
図15および
図16に示すように、p型ウェルPWLおよびPWHを形成する(
図5のステップS7)。なお、形成に必要なレジスト膜やその除去ステップは省略している。
【0117】
このステップS7では、まず、
図15に示すように、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を、半導体基板SBに、イオン注入法により導入する。このとき、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRで、半導体基板SBに、p型の不純物イオンを注入することになる。
【0118】
これにより、低耐圧MISFET形成領域LRで、半導体基板SBの上面PS側に、p型ウェルPWLが形成され、高耐圧MISFET形成領域HRで、半導体基板SBの上面PS側に、p型ウェルPWHが形成される。
【0119】
低耐圧MISFET形成領域LRで、半導体基板SBの上面PSに犠牲酸化膜SO2が形成されているため、イオン注入法によりp型ウェルPWLを形成する際に、p型ウェルPWLの上面に損傷が加えられることを防止することができる。また、高耐圧MISFET形成領域HRで、半導体基板SBの上面PSに犠牲酸化膜SO3が形成されているため、イオン注入法によりp型ウェルPWHを形成する際に、p型ウェルPWHの上面に損傷が加えられることを防止することができる。
【0120】
このステップS7では、次に、
図16に示すように、低耐圧MISFET形成領域LRで半導体基板SBの上面PSに形成されている犠牲酸化膜SO2を、例えばフッ酸(HF)を用いたウェットエッチングにより、除去する。また、高耐圧MISFET形成領域HRで半導体基板SBの上面PSに形成されている犠牲酸化膜SO3を、例えばフッ酸を用いたウェットエッチングにより、除去する。
【0121】
図16に示すように、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜IF3が絶縁膜IF2上に形成されている場合には、絶縁膜IF3は、例えばフッ酸を用いたウェットエッチングにより除去されない。そのため、メモリ形成領域MRに残された部分の絶縁膜IF2、電荷蓄積膜ECおよび絶縁膜IF1からなる絶縁膜IFGを、フッ酸から保護することができる。
【0122】
次に、
図17に示すように、絶縁膜IF4およびIF5を形成する(
図5のステップS8)。
【0123】
このステップS8では、
図17に示すように、低耐圧MISFET形成領域LRで、半導体基板SBの上面PSに、ゲート絶縁膜用の絶縁膜IF4を形成し、高耐圧MISFET形成領域HRで、半導体基板SBの上面PSに、ゲート絶縁膜用の絶縁膜IF5を形成する。低耐圧MISFET形成領域LRで、絶縁膜IF4は、p型ウェルPWL上に形成され、高耐圧MISFET形成領域HRで、絶縁膜IF5は、p型ウェルPWH上に形成される。
【0124】
半導体基板SBの上面PSに犠牲酸化膜SO2が形成されている状態で、p型ウェルPWLを形成し、犠牲酸化膜SO2を除去した後、絶縁膜IF4を形成するため、絶縁膜IF4とp型ウェルPWLとの界面状態を良好にすることができる。また、半導体基板SBの上面PSに犠牲酸化膜SO3が形成されている状態で、p型ウェルPWHを形成し、犠牲酸化膜SO3を除去した後、絶縁膜IF5を形成するため、絶縁膜IF5とp型ウェルPWHとの界面状態を良好にすることができる。
【0125】
絶縁膜IF4およびIF5の各々として、例えば、酸化シリコンもしくは酸窒化シリコンからなる絶縁膜、または、High−k膜、すなわち高誘電率膜を用いることができる。また、絶縁膜IF4およびIF5を、熱酸化法、スパッタリング法、原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法またはCVD法などを用いて形成することができる。
【0126】
なお、ステップS8では、酸化シリコンからなる絶縁膜IF4およびIF5を、ISSG酸化法を用いて形成することができる。ISSG酸化法を用いて絶縁膜IF4およびIF5を形成する場合を、
図18および
図19に示す。
【0127】
ステップS8で、ISSG酸化法を用いて絶縁膜IF4およびIF5を形成する場合、前述したように、ISSG酸化法における酸化力は、例えば熱酸化法など他の酸化法における酸化力よりも高い。したがって、絶縁膜IF5をISSG酸化法により形成し、絶縁膜IF7(
図24参照)をISSG酸化法以外の酸化法により形成することにより、絶縁膜IF5の厚さを、絶縁膜IF7の厚さよりも、容易に厚くすることができる。
【0128】
一方、ステップS8で、ISSG酸化法を用いて絶縁膜IF4およびIF5を形成する場合、
図18に示すように、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜IF3の表面が酸化され、絶縁膜IF3上に、例えば酸化シリコン膜などの、酸素およびシリコンを含有する絶縁膜IF6が形成される。
【0129】
このようにISSG酸化法を用いて絶縁膜IF4およびIF5を形成した場合、ステップS8では、次に、
図19に示すように、半導体基板SBの上面PS上にレジスト膜PR3を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜PR3をパターニングする。レジスト膜PR3は、低耐圧MISFET形成領域LRで、絶縁膜IF4がレジスト膜PR3により覆われ、高耐圧MISFET形成領域HRで、絶縁膜IF5がレジスト膜PR3により覆われ、かつ、メモリ形成領域MRで、絶縁膜IF6がレジスト膜PR3から露出するように、パターニングされる。そして、レジスト膜PR3がパターニングされた後、メモリ形成領域MRで、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF6を、例えばフッ酸(HF)を用いたウェットエッチングにより、除去する。このとき、低耐圧MISFET形成領域LRでは、絶縁膜IF4が残され、高耐圧MISFET形成領域HRでは、絶縁膜IF5が残される。
【0130】
その後、パターニングされたレジスト膜PR3を、例えばアッシングにより除去することにより、
図17に示した構造が得られる。
【0131】
次に、
図20〜
図23に示すように、絶縁膜IF4を除去する(
図5のステップS9)。
【0132】
このステップS9では、まず、
図20に示すように、メモリ形成領域MRで、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜IF3を、例えば熱リン酸を用いたウェットエッチングにより、除去する。これにより、メモリ形成領域MRで、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF2が露出する。また、このとき、低耐圧MISFET形成領域LRでは、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF4が除去されずに残され、高耐圧MISFET形成領域HRでは、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF5が除去されずに残される。
【0133】
このステップS9では、次に、
図21に示すように、半導体基板SBの上面PS上にレジスト膜PR4を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜PR4をパターニングする。レジスト膜PR4は、メモリ形成領域MRで、絶縁膜IFGがレジスト膜PR4により覆われ、高耐圧MISFET形成領域HRで、絶縁膜IF5がレジスト膜PR4により覆われ、かつ、低耐圧MISFET形成領域LRで、絶縁膜IF4がレジスト膜PR4から露出するように、パターニングされる。
【0134】
このステップS9では、次に、
図22に示すように、低耐圧MISFET形成領域LRで、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF4を、例えばフッ酸(HF)を用いたウェットエッチングにより、除去する。このとき、メモリ形成領域MRでは、絶縁膜IF2が残され、高耐圧MISFET形成領域HRでは、絶縁膜IF5が残される。その後、
図23に示すように、パターニングされたレジスト膜PR4を、例えばアッシングにより除去する。
【0135】
次に、
図24に示すように、絶縁膜IF7を形成する(
図5のステップS10)。このステップS10では、低耐圧MISFET形成領域LRで、半導体基板SBの上面PSに、ゲート絶縁膜用の絶縁膜IF7を形成する。低耐圧MISFET形成領域LRで、絶縁膜IF7は、p型ウェルPWL上に形成される。
【0136】
絶縁膜IF4とp型ウェルPWLとの界面状態が良好なまま、絶縁膜IF4を除去した後、絶縁膜IF7を形成するため、絶縁膜IF7とp型ウェルPWLとの界面状態を良好にすることができる。
【0137】
絶縁膜IF7として、例えば、酸化シリコン、窒化シリコンもしくは酸窒化シリコンからなる絶縁膜、または、High−k膜、すなわち高誘電率膜を用いることができる。また、絶縁膜IF7を、熱酸化法、ISSG酸化法、スパッタリング法、ALD法またはCVD法などを用いて形成することができる。
【0138】
絶縁膜IF7の厚さは、絶縁膜IF5の厚さよりも薄い。すなわち、絶縁膜IF5の厚さは、絶縁膜IF7の厚さよりも厚い。これにより、低耐圧MISFET形成領域LRに形成される低耐圧MISFETQL(
図39参照)の駆動電圧を、高耐圧MISFET形成領域HRに形成される高耐圧MISFETQH(
図39参照)の駆動電圧よりも低くすることができる。なお、絶縁膜IF7の厚さは、絶縁膜IFGの厚さよりも薄い。
【0139】
ステップS10までの工程を行うことにより、メモリ形成領域MRで、半導体基板SBの上面PSに、絶縁膜IFGを形成し、低耐圧MISFET形成領域LRで、半導体基板SBの上面PSに、絶縁膜IF7を形成し、高耐圧MISFET形成領域HRで、半導体基板SBの上面PSに、絶縁膜IF5を形成することになる。
【0140】
次に、
図25に示すように、導電膜CF1を形成する(
図6のステップS11)。このステップS11では、メモリ形成領域MR、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRで、絶縁膜IFG、IF7およびIF5上に、ゲート電極用の導電膜CF1を形成する。
【0141】
好適には、導電膜CF1は、多結晶シリコン膜、すなわちポリシリコン膜からなる。このような導電膜CF1を、CVD法などを用いて形成することができる。導電膜CF1の厚さを、絶縁膜IFG、IF7およびIF5を覆うように十分な程度の厚さとすることができる。また、導電膜CF1の成膜時は導電膜CF1をアモルファスシリコン膜として成膜してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜とすることもできる。
【0142】
導電膜CF1として、例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物またはホウ素(B)などのp型の不純物を導入して低抵抗率としたものを用いることが、好ましい。不純物は、導電膜CF1の成膜時または成膜後に導入することができる。導電膜CF1の成膜時に不純物を導入する場合には、導電膜CF1の成膜用のガスにドーピングガスを含ませることで、不純物が導入された導電膜CF1を成膜することができる。なお、「n型」とは、主要な電荷担体が電子であり、p型とは反対の導電型を意味する。
【0143】
一方、シリコン膜の成膜後に不純物を導入する場合には、意図的には不純物を導入せずにシリコン膜を成膜した後に、このシリコン膜に不純物をイオン注入法などで導入することにより、不純物が導入された導電膜CF1を形成することができる。
【0144】
次に、
図26および
図27に示すように、メモリ形成領域MRで、導電膜CF1および絶縁膜IFGをパターニングする(
図6のステップS12)。
【0145】
このステップS12では、まず、
図26に示すように、半導体基板SBの上面PS上にレジスト膜PR5を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜PR5をパターニングする。レジスト膜PR5は、メモリ形成領域MRのうち、ゲート電極CGを形成する領域に配置された部分の導電膜CF1が、レジスト膜PR5により覆われ、メモリ形成領域MRのうち、ゲート電極CGを形成する領域以外の領域に配置された部分の導電膜CF1が、レジスト膜PR5から露出するように、パターニングされる。また、レジスト膜PR5は、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRで、導電膜CF1がレジスト膜PR5により覆われるように、パターニングされる。
【0146】
このステップS12では、次に、
図27に示すように、パターニングされたレジスト膜PR5をマスクとして用いて、導電膜CF1および絶縁膜IFGを、例えばドライエッチングなどによりエッチングしてパターニングする。
【0147】
これにより、メモリ形成領域MRで、導電膜CF1からなるゲート電極CGが形成され、ゲート電極CGと半導体基板SBのp型ウェルPWMとの間の部分の絶縁膜IFGからなるゲート絶縁膜GIMが形成される。すなわち、ゲート電極CGは、メモリ形成領域MRで、半導体基板SBのp型ウェルPWM上に、ゲート絶縁膜GIMを介して形成される。一方、低耐圧MISFET形成領域LRでは、導電膜CF1および絶縁膜IF7が残され、高耐圧MISFET形成領域HRでは、導電膜CF1および絶縁膜IF5が残される。
【0148】
次に、
図28および
図29に示すように、n
-型半導体領域LDMを形成する(
図5のステップS13)。
【0149】
このステップS13では、まず、
図28に示すように、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGおよびゲート電極CG上に残された部分のレジスト膜PR5をマスクとして用いて、例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、半導体基板SBに、イオン注入法により導入する。このとき、メモリ形成領域MRでは、ゲート電極CGをマスクとして、半導体基板SBに、n型の不純物イオンを注入することになる。
【0150】
これにより、メモリ形成領域MRで、平面視において、ゲート電極CGを挟んで両側に位置する部分のp型ウェルPWMの上層部に、n
-型半導体領域LDMがそれぞれ形成される。n
-型半導体領域LDMは、ゲート電極CGの両側面SSMにそれぞれ整合して形成される。すなわち、平面視において、ゲート電極CGと隣り合う部分のp型ウェルPWMの上層部に、n
-型半導体領域LDMが形成される。
【0151】
図28に示すように、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量を、オフセット量OD1とする。オフセット量OD1を、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CG側の端部EPMの位置が、ゲート電極CGのゲート長方向において、ゲート電極CGの両側面SSMのうち、そのn
-型半導体領域LDM側の側面SSMから外側に離れた距離と、定義する。このとき、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1は、0であるか、または、略0に等しい。
【0152】
本実施の形態1では、ステップS13にてイオン注入する際に、ステップS12で形成されたレジスト膜PR5からなるレジストパターンをそのままマスクとして用いる。そのため、メモリ形成領域MRで、n
-型半導体領域LDMを形成するための専用のマスクを用意する必要がない。
【0153】
このステップS13では、次に、
図29に示すように、パターニングされたレジスト膜PR5を、例えばアッシングにより除去する。
【0154】
次に、
図30〜
図32に示すように、主回路形成領域ARで、導電膜CF1ならびに絶縁膜IF7およびIF5をパターニングする(
図6のステップS14)。
【0155】
このステップS14では、まず、
図30に示すように、半導体基板SBの上面PS上にレジスト膜PR6を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜PR6をパターニングする。レジスト膜PR6は、低耐圧MISFET形成領域LRのうち、ゲート電極GELを形成する領域に配置された部分の導電膜CF1が、レジスト膜PR6により覆われるように、パターニングされる。また、レジスト膜PR6は、高耐圧MISFET形成領域HRのうち、ゲート電極GEHを形成する領域に配置された部分の導電膜CF1が、レジスト膜PR6により覆われるように、パターニングされる。さらに、レジスト膜PR6は、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGおよびゲート絶縁膜GIMがレジスト膜PR6により覆われるように、パターニングされる。
【0156】
このステップS14では、次に、
図31に示すように、パターニングされたレジスト膜PR6をマスクとして用いて、導電膜CF1ならびに絶縁膜IF7およびIF5を、例えばドライエッチングなどによりエッチングしてパターニングする。
【0157】
これにより、低耐圧MISFET形成領域LRで、導電膜CF1からなるゲート電極GELが形成され、ゲート電極GELと半導体基板SBのp型ウェルPWLとの間の部分の絶縁膜IF7からなるゲート絶縁膜GILが形成される。すなわち、ゲート電極GELは、低耐圧MISFET形成領域LRで、半導体基板SBのp型ウェルPWL上に、ゲート絶縁膜GILを介して形成される。
【0158】
また、高耐圧MISFET形成領域HRで、導電膜CF1からなるゲート電極GEHが形成され、ゲート電極GEHと半導体基板SBのp型ウェルPWHとの間の部分の絶縁膜IF5からなるゲート絶縁膜GIHが形成される。すなわち、ゲート電極GEHは、高耐圧MISFET形成領域HRで、半導体基板SBのp型ウェルPWH上に、ゲート絶縁膜GIHを介して形成される。
【0159】
このステップS14では、次に、
図32に示すように、パターニングされたレジスト膜PR6を、例えばアッシングにより除去する。
【0160】
次に、
図33および
図34に示すように、オフセットスペーサOF2を形成する(
図6のステップS15)。
【0161】
このステップS15では、まず、
図33に示すように、半導体基板SBの上面PS全面に、オフセットスペーサ用の絶縁膜IF8を、例えばCVD法により形成する。絶縁膜IF8は、例えば、酸化シリコンからなる絶縁膜、窒化シリコンからなる絶縁膜、または、それらの積層膜などからなる。なお、絶縁膜IF8を、熱酸化法により形成することもできる。
【0162】
このとき、メモリ形成領域MRでは、絶縁膜IF8は、n
-型半導体領域LDMの上面、ゲート絶縁膜GIMの側面、ならびに、ゲート電極CGの側面および上面に、形成される。また、低耐圧MISFET形成領域LRでは、絶縁膜IF8は、ゲート絶縁膜GILの側面、ならびに、ゲート電極GELの側面および上面に、形成される。さらに、高耐圧MISFET形成領域HRでは、絶縁膜IF8は、ゲート絶縁膜GIHの側面、ならびに、ゲート電極GEHの側面および上面に、形成される。
【0163】
このステップS15では、次に、
図34に示すように、絶縁膜IF8を、例えば異方性エッチングによりエッチバックする。このようにして、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGの両側面SSMに選択的に絶縁膜IF8を残すことにより、ゲート電極CGの両側面SSMの各々に、絶縁膜IF8からなる側壁部としてのオフセットスペーサOF2をそれぞれ形成する。そして、ゲート電極CGおよび2つのオフセットスペーサOF2からなるマスク体M2Mを形成する。なお、各オフセットスペーサOF2は、ゲート絶縁膜GIMの各側面にも形成される。
【0164】
また、低耐圧MISFET形成領域LRで、ゲート電極GELの両側面SSLに選択的に絶縁膜IF8を残すことにより、ゲート電極GELの両側面SSLの各々に、絶縁膜IF8からなるオフセットスペーサOF2をそれぞれ形成する。そして、ゲート電極GELおよび2つのオフセットスペーサOF2からなるマスク体M2Lを形成する。なお、各オフセットスペーサOF2は、ゲート絶縁膜GILの各側面にも形成される。
【0165】
さらに、高耐圧MISFET形成領域HRで、ゲート電極GEHの両側面SSHに選択的に絶縁膜IF8を残すことにより、ゲート電極GEHの両側面SSHの各々に、絶縁膜IF8からなるオフセットスペーサOF2をそれぞれ形成する。そして、ゲート電極GEHおよび2つのオフセットスペーサOF2からなるマスク体M2Hを形成する。なお、各オフセットスペーサOF2は、ゲート絶縁膜GIHの各側面にも形成される。
【0166】
図34に示すように、オフセットスペーサOF2の厚さを厚さTH2とする。オフセットスペーサOF2の厚さTH2は、絶縁膜IF8の厚さと等しい。低耐圧MISFET形成領域LRでは、厚さTH2は、ゲート電極GELのゲート長方向、すなわちゲート電極GELの側面SSLに垂直な方向におけるオフセットスペーサOF2の厚さである。また、高耐圧MISFET形成領域HRでは、厚さTH2は、ゲート電極GEHのゲート長方向、すなわちゲート電極GEHの側面SSHに垂直な方向におけるオフセットスペーサOF2の厚さである。
【0167】
次に、
図35に示すように、n
-型半導体領域LDLおよびLDHを形成する(
図5のステップS16)。このステップS16では、低耐圧MISFET形成領域LRで、マスク体M2Lをマスクとして用いて、例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、半導体基板SBに、イオン注入法により導入する。また、高耐圧MISFET形成領域HRで、マスク体M2Hをマスクとして用いて、例えばヒ素またはリンなどのn型の不純物を、半導体基板SBに、イオン注入法により導入する。
【0168】
このとき、低耐圧MISFET形成領域LRでは、ゲート電極GELおよびオフセットスペーサOF2をマスクとして、半導体基板SBに、n型の不純物イオンを注入することになる。また、高耐圧MISFET形成領域HRでは、ゲート電極GEHおよびオフセットスペーサOF2をマスクとして、半導体基板SBに、n型の不純物イオンを注入することになる。
【0169】
これにより、低耐圧MISFET形成領域LRで、平面視において、マスク体M2Lを挟んで両側に位置する部分のp型ウェルPWLの上層部に、n
-型半導体領域LDLがそれぞれ形成される。また、高耐圧MISFET形成領域HRで、平面視において、マスク体M2Hを挟んで両側に位置する部分のp型ウェルPWHの上層部に、n
-型半導体領域LDHがそれぞれ形成される。n
-型半導体領域LDLは、低耐圧MISFET形成領域LRで、マスク体M2Lの両側面にそれぞれ整合して形成され、n
-型半導体領域LDHは、高耐圧MISFET形成領域HRで、マスク体M2Hの両側面にそれぞれ整合して形成される。
【0170】
すなわち、低耐圧MISFET形成領域LRでは、平面視において、オフセットスペーサOF2を介してゲート電極GELと隣り合う部分のp型ウェルPWLの上層部に、n
-型半導体領域LDLが形成される。また、高耐圧MISFET形成領域HRでは、平面視において、オフセットスペーサOF2を介してゲート電極GEHと隣り合う部分のp型ウェルPWHの上層部に、n
-型半導体領域LDHが形成される。
【0171】
図35に示すように、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GELからのオフセット量、および、n
-型半導体領域LDHのゲート電極GEHからのオフセット量を、オフセット量OD2とする。オフセット量OD2を、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GEL側の端部EPLの位置が、ゲート電極GELのゲート長方向において、ゲート電極GELの両側面SSLのうち、そのn
-型半導体領域LDL側の側面SSLから外側に離れた距離と、定義する。また、オフセット量OD2を、n
-型半導体領域LDHのゲート電極GEH側の端部EPHの位置が、ゲート電極GEHのゲート長方向において、ゲート電極GEHの両側面SSHのうち、そのn
-型半導体領域LDH側の側面SSHから外側に離れた距離と、定義する。オフセット量OD2は、オフセットスペーサOF2の厚さTH2と等しい。
【0172】
オフセット量OD2が0より大きな有限な値であることにより、n
-型半導体領域LDLが活性化アニールの際に拡散し、n
-型半導体領域LDLとゲート電極GELとが平面視において重なる部分の、ゲート電極GELのゲート長方向における長さが、増加すること、および、ばらつくことを、防止することができる。また、オフセット量OD2が0より大きな有限な値であることにより、n
-型半導体領域LDHが活性化アニールの際に拡散し、n
-型半導体領域LDHとゲート電極GEHとが平面視において重なる部分の、ゲート電極GEHのゲート長方向における長さが、増加すること、および、ばらつくことを、防止することができる。
【0173】
また、前述したように、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1は、0であるか、または、略0に等しい。したがって、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1は、0になるか、または、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GELからのオフセット量OD2、すなわち、n
-型半導体領域LDHのゲート電極GEHからのオフセット量OD2よりも、小さくなる。
【0174】
つまり、本実施の形態1では、メモリ形成領域MRで、n
-型半導体領域LDMを形成した後、低耐圧MISFET形成領域LRで、ゲート電極GELおよびゲート絶縁膜GILを形成し、高耐圧MISFET形成領域HRで、ゲート電極GEHおよびゲート絶縁膜GIHを形成する。これにより、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1を、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GELからのオフセット量OD2、すなわち、n
-型半導体領域LDHのゲート電極GEHからのオフセット量OD2と異ならせることができる。
【0175】
なお、メモリ形成領域MRで、n
-型半導体領域LDMを形成する前に、低耐圧MISFET形成領域LRで、ゲート電極GELおよびゲート絶縁膜GILを形成し、高耐圧MISFET形成領域HRで、ゲート電極GEHおよびゲート絶縁膜GIHを形成することもできる。後述する
図41を用いて説明する実施例1は、このような製造方法により製造されたものである。
【0176】
あるいは、オフセットスペーサOF2を形成せず、オフセット量OD2を0にすることもできる。
【0177】
次に、
図36〜
図38に示すように、サイドウォールスペーサSWを形成する(
図6のステップS17)。
【0178】
このステップS17では、まず、
図36に示すように、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGの両側面SSMにそれぞれ形成されている2つのオフセットスペーサOF2を、例えばフッ酸(HF)を用いたウェットエッチングにより、除去する。また、低耐圧MISFET形成領域LRで、ゲート電極GELの両側面SSLにそれぞれ形成されている2つのオフセットスペーサOF2を、例えばフッ酸を用いたウェットエッチングにより、除去する。さらに、高耐圧MISFET形成領域HRで、ゲート電極GEHの両側面SSHにそれぞれ形成されている2つのオフセットスペーサOF2を、例えばフッ酸を用いたウェットエッチングにより、除去する。なお、オフセットスペーサOF2を除去せず、残しておいてもよい。
【0179】
このステップS17では、次に、
図37に示すように、半導体基板SBの上面PS全面に、サイドウォールスペーサ用の絶縁膜IF9を形成する。絶縁膜IF9は、例えば、酸化シリコンからなる絶縁膜、窒化シリコンからなる絶縁膜、または、それらの積層膜などからなる。
【0180】
このとき、メモリ形成領域MRでは、絶縁膜IF9は、n
-型半導体領域LDMの上面、ゲート絶縁膜GIMの側面、ならびに、ゲート電極CGの側面および上面に、形成される。また、低耐圧MISFET形成領域LRでは、絶縁膜IF9は、n
-型半導体領域LDLの上面、ゲート絶縁膜GILの側面、ならびに、ゲート電極GELの側面および上面に、形成される。さらに、高耐圧MISFET形成領域HRでは、絶縁膜IF9は、n
-型半導体領域LDHの上面、ゲート絶縁膜GIHの側面、ならびに、ゲート電極GEHの側面および上面に、形成される。
【0181】
このステップS17では、次に、
図38に示すように、絶縁膜IF9を、例えば異方性エッチングによりエッチバックする。このようにして、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGの両側面SSMに選択的に絶縁膜IF9を残すことにより、ゲート電極CGの両側面SSMの各々に、絶縁膜IF9からなるサイドウォールスペーサSWをそれぞれ形成する。なお、サイドウォールスペーサSWは、ゲート絶縁膜GIMの両側面にも形成される。
【0182】
また、低耐圧MISFET形成領域LRで、ゲート電極GELの両側面SSLに選択的に絶縁膜IF9を残すことにより、ゲート電極GELの両側面SSLの各々に、絶縁膜IF9からなるサイドウォールスペーサSWをそれぞれ形成する。なお、各サイドウォールスペーサSWは、ゲート絶縁膜GILの各側面にも形成される。
【0183】
さらに、高耐圧MISFET形成領域HRで、ゲート電極GEHの両側面SSHに選択的に絶縁膜IF9を残すことにより、ゲート電極GEHの両側面SSHの各々に、絶縁膜IF9からなるサイドウォールスペーサSWをそれぞれ形成する。なお、各サイドウォールスペーサSWは、ゲート絶縁膜GIHの各側面にも形成される。
【0184】
好適には、絶縁膜IF9の厚さは、オフセットスペーサOF2の厚さTH2(
図35参照)よりも厚い。そのため、ゲート電極CG、GELおよびGEHの各々の側面に形成されたサイドウォールスペーサSWのゲート長方向の厚さは、オフセットスペーサOF2の厚さTH2よりも厚い。
【0185】
次に、
図39に示すように、n
+型半導体領域NDM、NDLおよびNDHを形成する(
図6のステップS18)。このステップS18では、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGおよび2つのサイドウォールスペーサSWをマスクとして用いて、例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、半導体基板SBに、イオン注入法により導入する。また、低耐圧MISFET形成領域LRで、ゲート電極GELおよび2つのサイドウォールスペーサSWをマスクとして用いて、例えばヒ素またはリンなどのn型の不純物を、半導体基板SBに、イオン注入法により導入する。さらに、高耐圧MISFET形成領域HRで、ゲート電極GEHおよび2つのサイドウォールスペーサSWをマスクとして用いて、例えばヒ素またはリンなどのn型の不純物を、半導体基板SBに、イオン注入法により導入する。
【0186】
これにより、メモリ形成領域MRで、平面視において、サイドウォールスペーサSWを挟んでゲート電極CGと反対側に位置する部分のp型ウェルPWMの上層部に、n
+型半導体領域NDMが形成される。また、低耐圧MISFET形成領域LRで、平面視において、サイドウォールスペーサSWを挟んでゲート電極GELと反対側に位置する部分のp型ウェルPWLの上層部に、n
+型半導体領域NDLが形成される。さらに、高耐圧MISFET形成領域HRで、平面視において、サイドウォールスペーサSWを挟んでゲート電極GEHと反対側に位置する部分のp型ウェルPWHの上層部に、n
+型半導体領域NDHが形成される。
【0187】
n
+型半導体領域NDMは、メモリ形成領域MRで、サイドウォールスペーサSWに整合して形成される。また、n
+型半導体領域NDLは、低耐圧MISFET形成領域LRで、サイドウォールスペーサSWに整合して形成され、n
+型半導体領域NDHは、高耐圧MISFET形成領域HRで、サイドウォールスペーサSWに整合して形成される。
【0188】
これにより、
図39に示すように、メモリ形成領域MRで、p型ウェルPWMと、ゲート絶縁膜GIMと、ゲート電極CGと、サイドウォールスペーサSWと、n
-型半導体領域LDMと、n
+型半導体領域NDMと、により、MONOS型トランジスタMCが形成される。また、MONOS型トランジスタMCにより、不揮発性メモリとしてのメモリセルが形成される。
【0189】
一方、
図39に示すように、低耐圧MISFET形成領域LRで、p型ウェルPWLと、ゲート絶縁膜GILと、ゲート電極GELと、サイドウォールスペーサSWと、n
-型半導体領域LDLと、n
+型半導体領域NDLと、により、低耐圧MISFETQLが形成される。また、高耐圧MISFET形成領域HRで、p型ウェルPWHと、ゲート絶縁膜GIHと、ゲート電極GEHと、サイドウォールスペーサSWと、n
-型半導体領域LDHと、n
+型半導体領域NDHと、により、高耐圧MISFETQHが形成される。
【0190】
本実施の形態1では、
図28を用いて説明したように、メモリ形成領域MRでは、ゲート電極CGをマスクとして不純物イオンが注入されることにより、n
-型半導体領域LDMが形成される。そのため、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1は、0であるか、または、略0に等しい。
【0191】
一方、
図35を用いて説明したように、低耐圧MISFET形成領域LRでは、ゲート電極GELおよび2つのオフセットスペーサOF2からなるマスク体M2Lをマスクとして不純物イオンが注入されることにより、n
-型半導体領域LDLが形成される。また、高耐圧MISFET形成領域HRでは、ゲート電極GEHおよび2つのオフセットスペーサOF2からなるマスク体M2Hをマスクとして不純物イオンが注入されることにより、n
-型半導体領域LDHが形成される。したがって、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1は、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GELからのオフセット量OD2、すなわち、n
-型半導体領域LDHのゲート電極GEHからのオフセット量OD2よりも、小さい。
【0192】
次に、
図3に示すように、シリサイド膜CS、絶縁膜SNF、層間絶縁膜IL1およびプラグPGを形成する(
図5のステップS19)。
【0193】
このステップS19では、まず、
図3に示すように、シリサイド膜CSを形成する。半導体基板SBの上面PS全面に、n
+型半導体領域NDM、NDLおよびNDH、ゲート電極CG、GELおよびGEH、ならびに、サイドウォールスペーサSWを覆うように、金属膜を形成する。金属膜は、例えば、コバルト(Co)膜、ニッケル(Ni)膜、または、ニッケル白金合金膜などからなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。そして、半導体基板SBに対して熱処理を施すことによって、n
+型半導体領域NDM、NDLおよびNDH、ならびに、ゲート電極CG、GELおよびGEHの各々の上層部を、金属膜と反応させる。その後、未反応の金属膜を除去する。
【0194】
このようないわゆるサリサイドプロセスを行うことによって、
図3に示すように、n
+型半導体領域NDM、NDLおよびNDH、ゲート電極CG、GELおよびGEHの各々の上に、シリサイド膜CSがそれぞれ形成される。シリサイド膜CSは、例えばコバルトシリサイド層、ニッケルシリサイド層、または、白金添加ニッケルシリサイド層とすることができる。
【0195】
このステップS19では、次に、
図3に示すように、絶縁膜SNFを形成する。半導体基板SBの上面PS全面に、n
+型半導体領域NDM、NDLおよびNDH、ゲート電極CG、GELおよびGEH、ならびに、サイドウォールスペーサSWを覆うように、絶縁膜SNFを形成する。絶縁膜SNFは、例えば窒化シリコンからなる。絶縁膜SNFを、例えばCVD法により形成することができる。
【0196】
このステップS19では、次に、
図3に示すように、絶縁膜SNF上に、層間絶縁膜IL1を形成する。層間絶縁膜IL1は、例えば、酸化シリコンからなる絶縁膜、または、窒化シリコンからなる絶縁膜と酸化シリコンからなる絶縁膜との積層膜などからなる。層間絶縁膜IL1を、例えばCVD法により形成した後、層間絶縁膜IL1の上面を平坦化する。
【0197】
このステップS19では、
図3に示すように、層間絶縁膜IL1を貫通するプラグPGを形成する。まず、フォトリソグラフィを用いて層間絶縁膜IL1上に形成したレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして、層間絶縁膜IL1をドライエッチングすることにより、層間絶縁膜IL1にコンタクトホールCNTを形成する。次に、コンタクトホールCNT内に、例えば導電体部として、タングステン(W)などからなる導電性のプラグPGを形成する。
【0198】
プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCNTの内部を含む層間絶縁膜IL1上に、例えば、チタン(Ti)膜、窒化チタン(TiN)膜、またはそれらの積層膜からなるバリア導体膜を形成する。それから、このバリア導体膜上に、例えばタングステン(W)膜などからなる主導体膜を、コンタクトホールCNTを埋めるように形成し、層間絶縁膜IL1上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去する。これにより、プラグPGを形成することができる。なお、図面の簡略化のために、
図3では、プラグPGを構成するバリア導体膜および主導体膜を一体化して示してある。
【0199】
コンタクトホールCNTおよびそれに埋め込まれたプラグPGは、n
+型半導体領域NDM、NDLおよびNDHの各々の上に形成され、図示は省略するが、ゲート電極CG、GELおよびGEHの各々の上などにも形成される。コンタクトホールCNTの底部では、例えばn
+型半導体領域NDM、NDLおよびNDHの各々の上のシリサイド膜CSの一部が露出され、図示は省略するが、ゲート電極CG、GELおよびGEHの各々の上のシリサイド膜CSの一部も露出される。
【0200】
次に、
図3に示すように、層間絶縁膜IL2および配線ML1を形成する(
図6のステップS20)。
【0201】
このステップS20では、まず、
図3に示すように、プラグPGを形成した層間絶縁膜IL1上に、例えば酸化シリコンからなる層間絶縁膜IL2を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、層間絶縁膜IL2に配線溝を形成する。その後、配線溝内を含む層間絶縁膜IL2上に銅(Cu)膜を形成する。その後、配線溝の内部以外の層間絶縁膜IL2上に露出している銅膜を、例えばCMP法で研磨して除去することにより、層間絶縁膜IL2に形成された配線溝内にだけ銅膜を残す。これにより、配線ML1を形成することができる。このようにして、本実施の形態1の半導体装置を形成することができる。
【0202】
なお、本実施の形態1では、銅膜よりなる配線ML1を形成する例について説明したが、例えば、アルミニウム(Al)膜よりなる配線ML1を形成してもよい。
【0203】
<ゲート電極およびゲート絶縁膜を形成する際の損傷について>
次に、ゲート電極およびゲート絶縁膜を形成する際の損傷について、比較例の半導体装置の製造方法と対比しながら説明する。
図40は、比較例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0204】
比較例では、実施の形態1と同様に、
図5のステップS1〜
図6のステップS11に相当する工程を行う。その後、比較例では、実施の形態1と異なり、
図6のステップS12に相当する工程において、メモリ形成領域MRで、導電膜CF1および絶縁膜IFGをパターニングする際に、低耐圧MISFET形成領域LRで、導電膜CF1および絶縁膜IF7をパターニングする。また、メモリ形成領域MRで、導電膜CF1および絶縁膜IFGをパターニングする際に、高耐圧MISFET形成領域HRで、導電膜CF1および絶縁膜IF5をパターニングする。
【0205】
前述したように、絶縁膜IFGの厚さは、絶縁膜IF7の厚さよりも厚い。そのため、ゲート電極CGが形成される領域以外の領域に位置する部分の絶縁膜IFGがエッチングされて完全に除去される前に、低耐圧MISFET形成領域LRで、ゲート電極GELが形成される領域以外の領域に位置する部分の絶縁膜IF7がエッチングされて除去され、半導体基板SBの上面PSが露出する。
【0206】
そして、その後、ゲート電極CGが形成される領域以外の領域に位置する部分の絶縁膜IFGがエッチングされて完全に除去されるまでの間、低耐圧MISFET形成領域LRのうち、ゲート電極GELが形成される領域以外の領域で、露出した半導体基板SBの上面PSがエッチングされる。
【0207】
これにより、低耐圧MISFET形成領域LRのうち、ゲート電極GELが形成される領域以外の領域で、半導体基板SBの上面PSで表層にドライエッチングにより損傷が加えられるか、または、半導体基板SBの上面PSで表層がドライエッチングにより除去されるおそれがある。あるいは、さらにその後、低耐圧MISFET形成領域LRで、平面視において、ゲート電極GELの両側に位置する部分のp型ウェルPWLの上層部に形成されるn
-型半導体領域LDLで、例えば移動度などの電気的特性が低下するか、そのような電気的特性の信頼性が低下する。その結果として、低耐圧MISFETQLのトランジスタ特性が低下するか、または、低耐圧MISFETQLの信頼性が低下することにより、MONOS型トランジスタMCおよび低耐圧MISFETQLを有する半導体装置の性能が低下する。
【0208】
導電膜CF1および絶縁膜IFGをエッチングする工程において、絶縁膜IFGのうち例えば窒化シリコンからなる電荷蓄積膜ECを、例えば熱リン酸を用いたウェットエッチングによりエッチングすることも考えられる。しかし、熱リン酸を用いたウェットエッチングでは、レジスト膜をマスクとして用いることができない。そのため、導電膜CF1および絶縁膜IFGをエッチングする工程においては、レジスト膜をマスクとして用いる都合上、絶縁膜IFGのうち例えば窒化シリコンからなる電荷蓄積膜ECを、ドライエッチングによりエッチングする必要がある。したがって、上記したように、主回路形成領域ARおよびメモリ形成領域MRで、同一の工程により導電膜CF1ならびに絶縁膜IFGおよびIF7をパターニングする限り、低耐圧MISFET形成領域LRで先に露出した半導体基板SBの上面PSがドライエッチングにより損傷を受ける課題は、不可避である。
【0209】
上記特許文献3に記載された技術と同様の技術では、主回路形成領域およびメモリ形成領域で、導電膜をパターニングすることにより、主回路形成領域およびメモリ形成領域の各々でそれぞれゲート電極を形成する。次に、各々のゲート電極の側面にサイドウォールスペーサを形成し、両側面にサイドウォールスペーサがそれぞれ形成されたゲート電極をマスクとして用いてゲート絶縁膜用の絶縁膜をエッチングすることにより、主回路形成領域でゲート絶縁膜を形成し、メモリ形成領域で、内部に電荷蓄積部を有するゲート絶縁膜を形成する。
【0210】
しかし、このような方法では、メモリ形成領域で、ゲート電極の下に位置する部分のゲート絶縁膜用の絶縁膜のみならず、ゲート電極の側面に形成されたサイドウォールスペーサの下に位置する部分のゲート絶縁膜用の絶縁膜も残される。このサイドウォールスペーサの下に位置する部分のゲート絶縁膜用の絶縁膜、および、その下に位置する部分のチャネル領域には、ゲート電極による電圧が印加されにくくなる。したがって、例えば、サイドウォールスペーサの下に位置する部分のゲート絶縁膜用の絶縁膜に一旦蓄積された電荷が、その後、サイドウォールスペーサの下に位置する部分のゲート絶縁膜用の絶縁膜から抜けにくくなることなどにより、メモリセルの特性が低下する。
【0211】
また、上記特許文献4に記載された技術と同様の技術では、主回路形成領域で、シリコンからなる半導体基板の上面に、酸化シリコンからなるゲート絶縁膜用の絶縁膜を形成する際に、メモリ形成領域で、窒化シリコンからなる電荷蓄積膜の上面に、酸化シリコンからなる絶縁膜を形成する。また、上記特許文献4に記載された技術では、シリコンからなる半導体基板の上面における酸化速度が、窒化シリコンからなる絶縁膜の上面における酸化速度よりも大きいことを利用して、主回路形成領域におけるゲート絶縁膜用の絶縁膜の厚さを、メモリ形成領域における電荷蓄積膜上の絶縁膜の厚さよりも厚くする。
【0212】
しかし、このような方法では、主回路形成領域におけるゲート絶縁膜を形成する工程の条件によって、メモリ形成領域におけるゲート絶縁膜用の絶縁膜の厚さが変動するおそれがある。したがって、主回路形成領域に形成される主回路に汎用性が求められ、主回路形成領域におけるゲート絶縁膜の厚さとして各種の厚さが設定される場合には、メモリ形成領域におけるゲート絶縁膜用の厚さを最適な厚さに調整することができず、半導体装置の性能が低下する。
【0213】
なお、絶縁膜IFGの厚さが、絶縁膜IF5の厚さよりも厚い場合には、低耐圧MISFETQLのトランジスタ特性に加えて、高耐圧MISFETQHのトランジスタ特性も低下することにより、MONOS型トランジスタMC、低耐圧MISFETQLおよび高耐圧MISFETQHを有する半導体装置の性能が低下する。
【0214】
一方、本実施の形態1では、メモリ形成領域MRで、導電膜CF1および絶縁膜IFGをパターニングしてゲート電極CGおよびゲート絶縁膜GIMを形成する際には、主回路形成領域ARの低耐圧MISFET形成領域LRでは、導電膜CF1および絶縁膜IF7をパターニングしない。そして、その後、低耐圧MISFET形成領域LRで、導電膜CF1および絶縁膜IF7をパターニングしてゲート電極GELおよびゲート絶縁膜GILを形成する。
【0215】
これにより、低耐圧MISFET形成領域LRのうち、ゲート電極GELが形成される領域以外の領域で、半導体基板SBの上面PSで表層に損傷が加えられること、および、半導体基板SBの上面PSで表層が除去されることを、防止することができる。そして、低耐圧MISFET形成領域LRで、平面視において、ゲート電極GELを挟んで両側に位置する部分のp型ウェルPWLの上層部に形成されるn
-型半導体領域LDLで、例えば移動度などの電気的特性が低下すること、および、そのような電気的特性の信頼性が低下することを、防止または抑制することができる。その結果として、低耐圧MISFETQLのトランジスタ特性を向上させることができ、低耐圧MISFETQLの信頼性を向上させることができ、MONOS型トランジスタMCおよび低耐圧MISFETQLを有する半導体装置の性能を向上させることができる。
【0216】
前述したように、主回路形成領域ARとメモリ形成領域MRで、同時に導電膜および絶縁膜をパターニングする限り、低耐圧MISFET形成領域LRで先に露出した半導体基板SBの上面PSがドライエッチングにより損傷を受ける課題は不可避である。したがって、本実施の形態1では、低耐圧MISFET形成領域LRで、半導体基板SBの上面PSがドライエッチングにより損傷を受けることを、確実に防止することができる。
【0217】
また、本実施の形態1では、上記特許文献3に記載された技術と異なり、メモリ形成領域MRで、導電膜CF1をパターニングする工程と連続して絶縁膜IFGをパターニングする工程を行うことにより、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGを形成するとともにゲート絶縁膜GIMを形成する。すなわち、本実施の形態1では、上記特許文献3に記載された技術と異なり、絶縁膜IFGをパターニングする際に、ゲート電極CGの側面にサイドウォールスペーサSWが形成されていない状態で、ゲート電極CGをマスクとして用いて絶縁膜IFGをエッチングする。
【0218】
これにより、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGの側面に形成されたサイドウォールスペーサSWの下には、絶縁膜IFGは残されない。したがって、例えば、サイドウォールスペーサSWの下に位置する部分の絶縁膜IFGが残された場合に、サイドウォールスペーサSWの下に位置する部分の絶縁膜IFGに一旦蓄積された電荷が、その後、サイドウォールスペーサSWの下に位置する部分の絶縁膜IFGから抜けにくくなることを、防止することができる。
【0219】
また、本実施の形態1では、上記特許文献4に記載された技術と異なり、主回路形成領域ARで、ゲート絶縁膜用の絶縁膜IF7またはIF5を形成する工程とは別の工程により、メモリ形成領域MRで、電荷蓄積膜EC上に絶縁膜IF2を形成する。そのため、主回路形成領域ARにおける絶縁膜IF7またはIF5を形成する工程の条件によって、メモリ形成領域MRにおける電荷蓄積膜EC上の絶縁膜IF2の厚さが変動することを、防止することができる。したがって、主回路形成領域ARに形成される主回路に汎用性が求められ、ゲート絶縁膜GILまたはGIHの厚さとして各種の厚さが設定される場合でも、電荷蓄積膜EC上の絶縁膜IF2の厚さを最適な厚さに調整することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0220】
なお、絶縁膜IFGの厚さが、絶縁膜IF5の厚さよりも厚い場合には、低耐圧MISFETQLのトランジスタ特性を向上させることに加えて、高耐圧MISFETQHのトランジスタ特性を向上させることができる。
【0221】
<オフセットスペーサ形成前にn
-型半導体領域を形成することについて>
前述した
図35を用いて説明したように、低耐圧MISFET形成領域LRでは、ゲート電極GELおよび2つのオフセットスペーサOF2からなるマスク体M2Lをマスクとして半導体基板SBに不純物をイオン注入し、n
-型半導体領域LDLを形成する。これにより、n
-型半導体領域LDLが活性化アニールの際に拡散し、n
-型半導体領域LDLとゲート電極GELとが平面視において重なる部分の、ゲート電極GELのゲート長方向における長さが、増加すること、および、ばらつくことを、防止することができる。
【0222】
また、高耐圧MISFET形成領域HRでは、ゲート電極GEHおよび2つのオフセットスペーサOF2からなるマスク体M2Hをマスクとして半導体基板SBに不純物をイオン注入し、n
-型半導体領域LDHを形成する。これにより、n
-型半導体領域LDHが活性化アニールの際に拡散し、n
-型半導体領域LDHとゲート電極GEHとが平面視において重なる部分の、ゲート電極GEHのゲート長方向における長さが、増加すること、および、ばらつくことを、防止することができる。
【0223】
同様に、メモリセル形成領域MRでも、ゲート電極CGの両側面SSMにオフセットスペーサOF2を形成した後に、ゲート電極CGおよび2つのオフセットスペーサOF2からなるマスク体M2Mをマスクとして半導体基板SBに不純物をイオン注入し、n
-型半導体領域LDMを形成してもよい。しかし、好適には、ゲート電極CGの両側面SSMにオフセットスペーサOF2を形成する前に、前述した
図28を用いて説明したように、ゲート電極CGをマスクとして半導体基板SBに不純物をイオン注入し、n
-型半導体領域LDMを形成する。以下では、オフセットスペーサOF2を形成する前にn
-型半導体領域LDMを形成する効果について、説明する。
【0224】
図41は、MONOS型トランジスタにおける、ゲート電極のゲート長と、書込および消去における閾値電圧との関係を示すグラフである。
図41の縦軸は、書込または消去における閾値電圧を示し、
図41の横軸は、ゲート電極CGのゲート長を示している。また、
図41では、ゲート電極CGの両側面SSMにオフセットスペーサOF2を形成した後にn
-型半導体領域LDMを形成する場合を実施例1とし、ゲート電極CGの両側面SSMにオフセットスペーサOF2を形成する前にn
-型半導体領域LDMを形成する場合を実施例2として示している。なお、
図41の縦軸、および、
図41の横軸の各々は、任意単位(arbitrary unit)で記載されている。
【0225】
図41に示すように、オフセットスペーサOF2を形成した後にn
-型半導体領域LDMを形成する場合(実施例1)、書込時の閾値電圧Vth1は、ゲート長の減少に伴って低下する。一方、消去時の閾値電圧Vth2は、ゲート長の減少に伴って若干低下するものの、ゲート長の減少に伴う消去時の閾値電圧Vth2の低下量は、ゲート長の減少に伴う書込時の閾値電圧Vth1の低下量よりも小さい。そのため、書込時の閾値電圧Vth1と消去時の閾値電圧Vth2との電圧差は、ゲート長の減少に伴って漸減し、短チャネル効果が発現する。
【0226】
一方、
図41に示すように、オフセットスペーサOF2を形成する前にn
-型半導体領域LDMを形成する場合(実施例2)、書込時の閾値電圧Vth1は、実施例1に比べて高く、かつ、ゲート長の減少に伴ってほとんど低下しない。一方、消去時の閾値電圧Vth2は、実施例1に比べて低く、かつ、ゲート長の減少に伴ってほとんど低下しない。そのため、書込時の閾値電圧Vth1と消去時の閾値電圧Vth2との電圧差は、実施例1に比べて高く、かつ、ゲート長の減少に伴ってほとんど減少せず、短チャネル効果が発現しない。
【0227】
実施例2において、オフセットスペーサOF2を形成する前にn
-型半導体領域LDMを形成することにより、
図3に示したように、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1は、0になるか、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GELからのオフセット量OD2よりも、小さくなる。
【0228】
これにより、実施例2では、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1を、小さくすることができる。そのため、実施例2では、n
-型半導体領域LDMが活性化アニールの際に拡散した場合でも、n
-型半導体領域LDMとゲート電極CGとが平面視において重なる部分の、ゲート電極CGのゲート長方向における長さが増加し、ゲート電極CGによる電界がチャネル領域により伝わりやすくなる。したがって、実施例2では、MONOS型トランジスタMCにおいて、ゲート長が減少しても、書込時の閾値電圧Vth1と消去時の閾値電圧Vth2との電圧差が、減少しにくくなるものと考えられる。
【0229】
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
本実施の形態1の半導体装置の製造方法では、メモリ形成領域MRで形成され、内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜IFG上、および、主回路形成領域ARの例えば低耐圧MISFET形成領域LRで形成された絶縁膜IF7上に、導電膜CF1を形成する。次いで、メモリ形成領域MRで、導電膜CF1および絶縁膜IFGをパターニングしてゲート電極CGおよびゲート絶縁膜GIMを形成し、低耐圧MISFET形成領域LRで、導電膜CF1および絶縁膜IF7を残す。次いで、低耐圧MISFET形成領域LRで、導電膜CF1および絶縁膜IF7をパターニングしてゲート電極GELおよびゲート絶縁膜GILを形成する。
【0230】
これにより、例えば低耐圧MISFET形成領域LRのうち、ゲート電極GELが形成される領域以外の領域で、半導体基板SBの上面PSで表層に損傷が加えられること、および、半導体基板SBの上面PSで表層が除去されることを、防止することができる。そして、低耐圧MISFET形成領域LRにおいて、平面視において、ゲート電極GELを挟んで両側に位置する部分のp型ウェルPWLの上層部に形成されるn
-型半導体領域LDLで、例えば移動度などの電気的特性が低下すること、および、そのような電気的特性の信頼性が低下することを、防止または抑制することができる。その結果として、低耐圧MISFETQLのトランジスタ特性を向上させることができ、低耐圧MISFETQLの信頼性を向上させることができ、MONOS型トランジスタMCおよび低耐圧MISFETQLを有する半導体装置の性能を向上させることができる。
【0231】
なお、絶縁膜IFGの厚さが、絶縁膜IF7の厚さよりも薄い場合でも、導電膜CF1および絶縁膜IFGをパターニングした後、導電膜CF1および絶縁膜IF7をパターニングすることにより、低耐圧MISFETQLのトランジスタ特性を向上させることができる。
【0232】
(実施の形態2)
実施の形態1の半導体装置の製造方法では、ゲート電極CGの両側面にオフセットスペーサOF2が形成されていない状態で、半導体基板SBに不純物を導入し、n
-型半導体領域LDMを形成した。それに対して、実施の形態2の半導体装置の製造方法では、ゲート電極CGの両側面に、オフセットスペーサOF2の厚さよりも厚い厚さを有するオフセットスペーサOF1がそれぞれ形成されている状態で、半導体基板SBに不純物を導入し、n
-型半導体領域LDMを形成する。
【0233】
なお、本実施の形態2においても、半導体チップのレイアウト、および、不揮発性メモリの回路ブロックについては、実施の形態1と同様にすることができる。
【0234】
<半導体装置の構造>
次に、実施の形態2における半導体装置としての半導体チップCHP1の構造を、図面を参照して説明する。
図42は、実施の形態2の半導体装置の要部断面図である。
【0235】
図42に示すように、本実施の形態2の半導体装置としての半導体チップCHP1のうち、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1以外の各部分については、
図3に示した実施の形態1の半導体装置としての半導体チップCHP1における各部分と同様にすることができ、それらの説明を省略する。
【0236】
一方、本実施の形態2では、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1が、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GELからのオフセット量OD2よりも、大きい。また、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1が、n
-型半導体領域LDHのゲート電極GEHからのオフセット量OD2よりも、大きい。
【0237】
これにより、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量を、大きくすることができる。そのため、n
-型半導体領域LDMが活性化アニールの際に拡散し、n
-型半導体領域LDMとゲート電極CGとが平面視において重なることを、防止することができ、半導体基板SBの上面PSからより深い位置までn
-型半導体領域LDMを形成することができる。したがって、主回路形成領域ARで低耐圧MISFETQLおよび高耐圧MISFETQHを形成する際のプロセス条件を変更せずに、ドレイン領域とソース領域との間、ドレイン領域とp型ウェルとの間、または、ソース領域とp型ウェルとの間の接合耐圧を、向上させることができる。
【0238】
<半導体装置の製造工程>
図43は、実施の形態2の半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
図44〜
図56は、実施の形態2の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図44〜
図56には、メモリ形成領域MRおよび主回路形成領域ARの要部断面図が示されている。
【0239】
本実施の形態2の半導体装置の製造方法では、実施の形態1の半導体装置の製造方法と同様に、まず、
図5のステップS1〜ステップS10に相当する工程を行った後、
図6のステップS11と同様の工程(
図43のステップS21)を行って、
図25に示したように、導電膜CF1を形成する。
【0240】
次に、
図6のステップS12と同様の工程(
図43のステップS22)を行って、
図26および
図27に示したように、メモリ形成領域MRで、導電膜CF1および絶縁膜IFGをパターニングし、ゲート電極CGおよびゲート絶縁膜GIMを形成する。ただし、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、ゲート電極CGおよびゲート絶縁膜GIMを形成した後、
図44に示すように、パターニングされたレジスト膜PR5(
図27参照)を、例えばアッシングにより除去する。
【0241】
次に、
図45および
図46に示すように、n
-型半導体領域LDMを形成する(
図43のステップS23)。
【0242】
このステップS23では、まず、
図45に示すように、半導体基板SBの上面PS全面に、オフセットスペーサ用の絶縁膜IF10を、例えばCVD法により形成する。絶縁膜IF10は、例えば、酸化シリコンからなる絶縁膜もしくは窒化シリコンからなる絶縁膜、または、それらの積層膜などからなる。なお、絶縁膜IF10を、熱酸化法により形成することもできる。
【0243】
このとき、メモリ形成領域MRでは、絶縁膜IF10は、p型ウェルPWMの上面、ゲート絶縁膜GIMの側面、ならびに、ゲート電極CGの側面および上面に、形成される。また、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRでは、絶縁膜IF10は、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRに残された部分の導電膜CF1の上面および側面に、形成される。
【0244】
このステップS23では、次に、
図46に示すように、絶縁膜IF10を、例えば異方性エッチングによりエッチバックする。このようにして、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGの両側面SSMに選択的に絶縁膜を残すことにより、ゲート電極CGの両側面SSMの各々に、絶縁膜IF10からなる側壁部としてのオフセットスペーサOF1をそれぞれ形成する。そして、ゲート電極CGおよび2つのオフセットスペーサOF1からなるマスク体M1Mを形成する。
【0245】
このステップS23では、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRに残された部分の導電膜CF1の側面にもオフセットスペーサが形成されるが、導電膜CF1の側面に形成されたオフセットスペーサは、その後、除去される。
【0246】
図46に示すように、オフセットスペーサOF1の厚さを厚さTH1とする。厚さTH1は、絶縁膜IF10の厚さと等しい。メモリ形成領域MRでは、厚さTH1は、ゲート電極CGのゲート長方向、すなわちゲート電極CGの側面SSMに垂直な方向におけるオフセットスペーサOF1の厚さである。オフセットスペーサOF1の厚さTH1は、オフセットスペーサOF2の厚さTH2(
図51参照)よりも厚い。
【0247】
このステップS23では、次に、
図46に示すように、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGおよび2つのオフセットスペーサOF1からなるマスク体M1Mをマスクとして用いて、例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、半導体基板SBに、イオン注入法により導入する。このとき、メモリ形成領域MRでは、ゲート電極CGおよびオフセットスペーサOF1をマスクとして、半導体基板SBに、n型の不純物イオンを注入することになる。
【0248】
これにより、メモリ形成領域MRで、平面視において、ゲート電極CGおよび2つのオフセットスペーサOF1からなるマスク体M1Mを挟んで両側に位置する部分のp型ウェルPWMの上層部に、n
-型半導体領域LDMが形成される。n
-型半導体領域LDMは、メモリ形成領域MRで、マスク体M1Mの両側面にそれぞれ整合して形成される。すなわち、平面視において、オフセットスペーサOF1を介してゲート電極CGと隣り合う部分のp型ウェルPWMの上層部に、n
-型半導体領域LDMが形成される。
【0249】
図46に示すように、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1は、オフセットスペーサOF1の厚さTH1と等しい。
【0250】
次に、
図6のステップS14と同様の工程(
図43のステップS24)を行って、
図47〜
図49に示すように、主回路形成領域ARで、導電膜CF1ならびに絶縁膜IF7およびIF5をパターニングする。
【0251】
このステップS24では、まず、前述した
図30を用いて説明した工程と同様の工程を行って、
図47に示すように、半導体基板SBの上面PS上にレジスト膜PR6を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜PR6をパターニングする。レジスト膜PR6は、低耐圧MISFET形成領域LRのうち、ゲート電極GELを形成する領域に配置された部分の導電膜CF1が、レジスト膜PR6により覆われるように、パターニングされる。また、レジスト膜PR6は、高耐圧MISFET形成領域HRのうち、ゲート電極GEHを形成する領域に配置された部分の導電膜CF1が、レジスト膜PR6により覆われるように、パターニングされる。さらに、レジスト膜PR6は、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGおよびオフセットスペーサOF1がレジスト膜PR6により覆われるように、パターニングされる。
【0252】
このステップS24では、次に、前述した
図31を用いて説明した工程と同様の工程を行って、
図48に示すように、パターニングされたレジスト膜PR6をマスクとして用いて、導電膜CF1ならびに絶縁膜IF7およびIF5を、例えばドライエッチングなどによりエッチングしてパターニングする。
【0253】
これにより、低耐圧MISFET形成領域LRで、導電膜CF1からなるゲート電極GELが形成され、ゲート電極GELと半導体基板SBのp型ウェルPWLとの間の部分の絶縁膜IF7からなるゲート絶縁膜GILが形成される。また、高耐圧MISFET形成領域HRで、導電膜CF1からなるゲート電極GEHが形成され、ゲート電極GEHと半導体基板SBのp型ウェルPWHとの間の部分の絶縁膜IF5からなるゲート絶縁膜GIHが形成される。
【0254】
このステップS24では、次に、
図49に示すように、パターニングされたレジスト膜PR6を、例えばアッシングにより除去する。
【0255】
次に、
図6のステップS15と同様の工程(
図43のステップS25)を行って、
図50および
図51に示すように、オフセットスペーサOF2を形成する。
【0256】
このステップS25では、まず、前述した
図33を用いて説明した工程と同様の工程を行って、
図50に示すように、半導体基板SBの上面PS全面に、オフセットスペーサ用の絶縁膜IF8を、例えばCVD法により形成する。絶縁膜IF8は、例えば、酸化シリコンからなる絶縁膜、窒化シリコンからなる絶縁膜、または、それらの積層膜などからなる。なお、絶縁膜IF8を、熱酸化法により形成することもできる。
【0257】
このとき、メモリ形成領域MRでは、絶縁膜IF8は、n
-型半導体領域LDMの上面、ゲート絶縁膜GIMの側面、ならびに、ゲート電極CGの側面および上面に、形成される。また、ゲート絶縁膜GIMの側面、および、ゲート電極CGの側面には、絶縁膜IF8は、オフセットスペーサOF1を介して形成される。
【0258】
このステップS25では、次に、前述した
図34を用いて説明した工程と同様の工程を行って、
図51に示すように、絶縁膜IF8を例えば異方性エッチングによりエッチバックする。このようにして、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGの両側面SSMにそれぞれ形成されたオフセットスペーサOF1の側面に選択的に絶縁膜IF8を残す。これにより、ゲート電極CGの両側面SSMの各々に、絶縁膜IF8からなる側壁部としてのオフセットスペーサOF2を、それぞれオフセットスペーサOF1を介して形成する。そして、ゲート電極CG、2つのオフセットスペーサOF1および2つのオフセットスペーサOF2からなるマスク体M2Mを形成する。なお、各オフセットスペーサOF2は、ゲート絶縁膜GIMの各側面にもオフセットスペーサOF1を介して形成される。
【0259】
オフセットスペーサOF2の厚さTH2は、絶縁膜IF8の厚さと等しい。低耐圧MISFET形成領域LRでは、厚さTH2は、ゲート電極GELのゲート長方向、すなわちゲート電極GELの側面SSLに垂直な方向におけるオフセットスペーサOF2の厚さである。また、高耐圧MISFET形成領域HRでは、厚さTH2は、ゲート電極GEHのゲート長方向、すなわちゲート電極GEHの側面SSHに垂直な方向におけるオフセットスペーサOF2の厚さである。また、オフセットスペーサOF2の厚さTH2は、オフセットスペーサOF1の厚さTH1(
図46参照)よりも薄い。
【0260】
次に、
図6のステップS16と同様の工程(
図43のステップS26)を行って、
図52に示すように、n
-型半導体領域LDLおよびLDHを形成する(
図5のステップS26)。
【0261】
これにより、低耐圧MISFET形成領域LRで、平面視において、マスク体M2Lを挟んで両側に位置する部分のp型ウェルPWLの上層部に、n
-型半導体領域LDLがそれぞれ形成される。また、高耐圧MISFET形成領域HRで、平面視において、マスク体M2Hを挟んで両側に位置する部分のp型ウェルPWHの上層部に、n
-型半導体領域LDHがそれぞれ形成される。n
-型半導体領域LDLは、低耐圧MISFET形成領域LRで、マスク体M2Lの両側面にそれぞれ整合して形成され、n
-型半導体領域LDHは、高耐圧MISFET形成領域HRで、マスク体M2Hの両側面にそれぞれ整合して形成される。
【0262】
図52に示すように、オフセット量OD2は、オフセットスペーサOF2の厚さTH2と等しい。また、前述したように、オフセットスペーサOF2の厚さTH2は、オフセットスペーサOF1の厚さTH1(
図46参照)よりも薄い。したがって、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GELからのオフセット量OD2、すなわち、n
-型半導体領域LDHのゲート電極GEHからのオフセット量OD2は、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1よりも、小さくなる。
【0263】
次に、
図6のステップS17と同様の工程(
図43のステップS27)を行って、
図53〜
図55に示すように、サイドウォールスペーサSWを形成する。
【0264】
このステップS27では、まず、前述した
図36を用いて説明した工程と同様の工程を行って、
図53に示すように、メモリ形成領域MRおよび主回路形成領域ARで、オフセットスペーサOF1およびOF2を、例えばフッ酸(HF)を用いたウェットエッチングにより、除去する。なお、オフセットスペーサOF1およびOF2を除去せず、残しておいてもよい。
【0265】
このステップS27では、次に、前述した
図37を用いて説明した工程と同様の工程を行って、
図54に示すように、半導体基板SBの上面PS全面に、サイドウォールスペーサ用の絶縁膜IF9を形成する。
【0266】
このステップS27では、次に、前述した
図38を用いて説明した工程と同様の工程を行って、
図55に示すように、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGの両側面SSMの各々に、絶縁膜IF9からなるサイドウォールスペーサSWをそれぞれ形成する。また、低耐圧MISFET形成領域LRで、ゲート電極GELの両側面SSLの各々に、絶縁膜IF9からなるサイドウォールスペーサSWをそれぞれ形成し、高耐圧MISFET形成領域HRで、ゲート電極GEHの両側面SSHの各々に、絶縁膜IF9からなるサイドウォールスペーサSWをそれぞれ形成する。
【0267】
好適には、絶縁膜IF9の厚さは、オフセットスペーサOF1の厚さTH1(
図46参照)よりも厚い。そのため、ゲート電極CG、GELおよびGEHの各々の側面に形成されたサイドウォールスペーサSWのゲート長方向の厚さは、オフセットスペーサOF1の厚さTH1よりも厚い。
【0268】
次に、
図6のステップS18と同様の工程(
図43のステップS28)を行って、
図56に示すように、n
+型半導体領域NDM、NDLおよびNDHを形成する。このとき、メモリ形成領域MRで、平面視において、サイドウォールスペーサSWを挟んでゲート電極CGと反対側に位置する部分のp型ウェルPWMの上層部に、n
+型半導体領域NDMが形成される。また、低耐圧MISFET形成領域LRで、平面視において、サイドウォールスペーサSWを挟んでゲート電極GELと反対側に位置する部分のp型ウェルPWLの上層部に、n
+型半導体領域NDLが形成される。さらに、高耐圧MISFET形成領域HRで、平面視において、サイドウォールスペーサSWを挟んでゲート電極GEHと反対側に位置する部分のp型ウェルPWHの上層部に、n
+型半導体領域NDHが形成される。
【0269】
これにより、
図56に示すように、メモリ形成領域MRで、MONOS型トランジスタMCが形成され、低耐圧MISFET形成領域LRで、低耐圧MISFETQLが形成され、高耐圧MISFET形成領域HRで、高耐圧MISFETQHが形成される。
【0270】
本実施の形態2では、
図46を用いて説明したように、メモリ形成領域MRでは、ゲート電極CGおよび2つのオフセットスペーサOF1からなるマスク体M1Mをマスクとして不純物イオンが注入されることにより、n
-型半導体領域LDMが形成される。
【0271】
一方、本実施の形態2では、
図52を用いて説明したように、低耐圧MISFET形成領域LRでは、ゲート電極GELおよび2つのオフセットスペーサOF2からなるマスク体M2Lをマスクとして不純物イオンが注入されることにより、n
-型半導体領域LDLが形成される。また、高耐圧MISFET形成領域HRでは、ゲート電極GEHおよび2つのオフセットスペーサOF2からなるマスク体M2Hをマスクとして不純物イオンが注入されることにより、n
-型半導体領域LDHが形成される。
【0272】
オフセットスペーサOF1の厚さTH1(
図46参照)は、オフセットスペーサOF2の厚さTH2(
図51参照)よりも、厚い。したがって、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1は、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GELからのオフセット量OD2、すなわち、n
-型半導体領域LDHのゲート電極GEHからのオフセット量OD2よりも、大きい。
【0273】
その後、
図6のステップS19およびステップS20と同様の工程(
図43のステップS29およびステップS30)を行って、
図42に示すように、本実施の形態2の半導体装置を形成することができる。
【0274】
<メモリ形成領域におけるオフセットスペーサについて>
実施の形態1で
図41を用いて前述したように、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1が小さくなると、書込時の閾値電圧Vth1と消去時の閾値電圧Vth2との電圧差も、ゲート長の減少に伴ってほとんど減少せず、短チャネル効果が発現しない。
【0275】
一方、メモリセルの書込または消去の速度を増加させるために、書込電圧または消去電圧を高く設定せざるを得ない場合がある。このような場合には、MONOS型トランジスタMCにおいて、ドレイン領域とソース領域との間、ドレイン領域とp型ウェルとの間、または、ソース領域とp型ウェルとの間の接合耐圧を向上させる必要が生ずる。このような場合であって、かつ、主回路形成領域ARで低耐圧MISFETQLおよび高耐圧MISFETQHを形成する際の例えば温度などのプロセス条件を変更しにくい場合には、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1を大きくする必要がある。
【0276】
本実施の形態2では、メモリ形成領域MRでn
-型半導体領域LDMを形成するためのオフセットスペーサOF1の厚さTH1が、主回路形成領域ARでn
-型半導体領域LDLおよびLDHを形成するためのオフセットスペーサOF2の厚さTH2よりも厚い。そのため、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1は、n
-型半導体領域LDLのゲート電極GELからのオフセット量OD2、すなわち、n
-型半導体領域LDHのゲート電極GEHからのオフセット量OD2よりも、大きい。
【0277】
これにより、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1を、大きくすることができる。そのため、n
-型半導体領域LDMが活性化アニールの際に拡散し、n
-型半導体領域LDMとゲート電極CGとが平面視において重なることを、防止することができ、半導体基板SBの上面PSからより深い位置までn
-型半導体領域LDMを形成することができる。したがって、主回路形成領域ARで低耐圧MISFETQLおよび高耐圧MISFETQHを形成する際のプロセス条件を変更せずに、ドレイン領域とソース領域との間、ドレイン領域とp型ウェルとの間、または、ソース領域とp型ウェルとの間の接合耐圧を、向上させることができる。
【0278】
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
本実施の形態2の半導体装置の製造方法では、実施の形態1の半導体装置の製造方法と同様に、メモリ形成領域MRで形成された絶縁膜IFG上、および、主回路形成領域ARの例えば低耐圧MISFET形成領域LRで形成された絶縁膜IF7上に、導電膜CF1を形成する。次いで、メモリ形成領域MRで、導電膜CF1および絶縁膜IFGをパターニングしてゲート電極CGおよびゲート絶縁膜GIMを形成し、低耐圧MISFET形成領域LRで、導電膜CF1および絶縁膜IF7を残す。次いで、低耐圧MISFET形成領域LRで、導電膜CF1および絶縁膜IF7をパターニングしてゲート電極GELおよびゲート絶縁膜GILを形成する。
【0279】
これにより、実施の形態1と同様に、例えば低耐圧MISFET形成領域LRのうち、ゲート電極GELが形成される領域以外の領域で、半導体基板SBの上面PSで表層に損傷が加えられること、および、半導体基板SBの上面PSで表層が除去されることを、防止することができる。したがって、実施の形態1と同様に、低耐圧MISFETQLのトランジスタ特性を向上させることができ、低耐圧MISFETQLの信頼性を向上させることができる。
【0280】
一方、本実施の形態2では、メモリ形成領域MRでn
-型半導体領域LDMを形成するためのオフセットスペーサOF1の厚さTH1が、主回路形成領域ARの例えば低耐圧MISFET形成領域LRでn
-型半導体領域LDLを形成するためのオフセットスペーサOF2の厚さTH2よりも厚い。これにより、n
-型半導体領域LDMのゲート電極CGからのオフセット量OD1を大きくすることができる。そのため、ドレイン領域とソース領域との間、ドレイン領域とp型ウェルとの間、または、ソース領域とp型ウェルとの間の接合耐圧を向上させることができる。
【0281】
(実施の形態3)
実施の形態1の半導体装置の製造方法では、メモリ形成領域MRで、内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜IFGを、ドライエッチングによりパターニングした。それに対して、実施の形態3では、メモリ形成領域MRで、内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜IFGを、ウェットエッチングによりパターニングする。
【0282】
なお、本実施の形態3の半導体装置の構造は、実施の形態1の半導体装置の構造と同様である。
【0283】
<半導体装置の製造工程>
図57は、実施の形態3の半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
図58〜
図61は、実施の形態3の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図58〜
図61には、メモリ形成領域MRおよび主回路形成領域ARの要部断面図が示されている。
【0284】
本実施の形態3の半導体装置の製造方法では、実施の形態1の半導体装置の製造方法と同様に、まず、
図5のステップS1〜ステップS10に相当する工程を行った後、
図6のステップS11と同様の工程(
図57のステップS31)を行って、
図25に示したように、導電膜CF1を形成する。
【0285】
次に、
図58および
図59に示すように、メモリ形成領域MRで、導電膜CF1をパターニングする(
図57のステップS32)。
【0286】
このステップS32では、まず、前述した
図26を用いて説明した工程と同様の工程を行って、半導体基板SBの上面PS上にレジスト膜PR5を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜PR5をパターニングする。
【0287】
このステップS32では、次に、
図58に示すように、パターニングされたレジスト膜PR5をマスクとして用いて、導電膜CF1を、例えばドライエッチングなどによりエッチングしてパターニングする。これにより、メモリ形成領域MRで、導電膜CF1からなるゲート電極CGが形成される。一方、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRでは、導電膜CF1が残される。
【0288】
このステップS32では、次に、
図59に示すように、パターニングされたレジスト膜PR5を、例えばアッシングにより除去する。
【0289】
次に、
図60および
図61に示すように、メモリ形成領域MRで、絶縁膜IFGをパターニングし、n
-型半導体領域LDMを形成する(
図57のステップS33)。
【0290】
このステップS33では、まず、
図60に示すように、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGから露出した部分、すなわち、平面視において、ゲート電極CGを挟んで両側に位置する部分の、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF2を、例えばフッ酸(HF)を用いたウェットエッチングにより、除去する。これにより、メモリ形成領域MRで、平面視において、ゲート電極CGを挟んで両側に位置する部分の、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF2が除去され、ゲート電極CGを挟んで両側に位置する部分の、例えば窒化シリコンからなる電荷蓄積膜ECが、絶縁膜IF2から露出する。
【0291】
このステップS33では、次に、
図60に示すように、メモリ形成領域MRで、例えば熱酸化法などにより、例えばポリシリコン膜からなるゲート電極CGの側面および上面を酸化し、ゲート電極CGの側面および上面に、酸化シリコンからなる絶縁膜IF11を形成する。このとき、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRでは、例えばポリシリコン膜からなる導電膜CF1の上面および側面にも、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF11が形成される。一方、メモリ形成領域MRで、絶縁膜IF2から露出した部分の、例えば窒化シリコンからなる電荷蓄積膜ECの上面は、酸化されない。
【0292】
このステップS33では、次に、
図61に示すように、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGおよび絶縁膜IF2から露出した部分、すなわち、平面視において、ゲート電極CGを挟んで両側に位置する部分の、例えば窒化シリコンからなる電荷蓄積膜ECを、例えば熱リン酸を用いたウェットエッチングにより、除去する。これにより、メモリ形成領域MRで、平面視において、ゲート電極CGを挟んで両側に位置する部分の、例えば窒化シリコンからなる電荷蓄積膜ECが除去され、ゲート電極CGを挟んで両側に位置する部分の、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF1が、電荷蓄積膜ECから露出する。一方、ゲート電極CGの表面、ならびに、導電膜CF1の表面に形成された、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF11は、除去されずに残されるので、ゲート電極CGおよび導電膜CF1を熱リン酸から保護することができる。
【0293】
このステップS33では、次に、
図61に示すように、n
-型半導体領域LDMを形成する。このn
-型半導体領域LDMを形成する工程では、まず、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGをマスクとして用いて、例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、半導体基板SBのp型ウェルPWMに、イオン注入法により導入する。このとき、メモリ形成領域MRでは、ゲート電極CGをマスクとして、半導体基板SBに、n型の不純物イオンを注入することになる。
【0294】
これにより、メモリ形成領域MRで、平面視において、ゲート電極CGを挟んで両側に位置する部分のp型ウェルPWMの上層部に、n
-型半導体領域LDMがそれぞれ形成される。n
-型半導体領域LDMは、ゲート電極CGの両側面にそれぞれ整合して形成される。すなわち、平面視において、ゲート電極CGと隣り合う部分のp型ウェルPWMの上層部に、n
-型半導体領域LDMが形成される。
【0295】
このステップS33では、次に、メモリ形成領域MRで、電荷蓄積膜ECから露出した部分、すなわち、平面視において、ゲート電極CGを挟んで両側に位置する部分の、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF1を、例えばフッ酸(HF)を用いたウェットエッチングにより、除去する。また、ゲート電極CGの側面および上面に形成された、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF11を、例えばフッ酸を用いたウェットエッチングにより、除去する。このとき、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRでは、導電膜CF1の上面および側面に形成された、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜IF11が除去される。これにより、
図29に示した構造が得られ、ゲート電極CGと半導体基板SBのp型ウェルPWMとの間の部分の絶縁膜IFGからなるゲート絶縁膜GIMが形成される。
【0296】
その後、
図5のステップS14〜ステップS20と同様の工程(
図57のステップS34〜ステップS40)を行って、
図3に示した実施の形態1の半導体装置と同様の半導体装置を形成することができる。
【0297】
<ドライエッチングによりゲート絶縁膜を形成する際の損傷について>
実施の形態1では、メモリ形成領域MRで、内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜IFGをドライエッチングでパターニングすることにより、ゲート絶縁膜GIMを形成した。このような場合、メモリ形成領域MRのうち、ゲート電極CGが形成される領域以外の領域で、半導体基板SBの上面PSで表層にドライエッチングにより損傷が加えられるか、または、半導体基板SBの上面PSで表層がドライエッチングにより除去されるおそれがある。
【0298】
あるいは、メモリ形成領域MRで、平面視において、ゲート電極CGを挟んで両側に位置する部分の半導体基板SBの上面PSに形成されるn
-型半導体領域LDMで、例えば移動度などの電気的特性が低下するか、そのような電気的特性の信頼性が低下する。その結果として、例えばホットキャリアによるトランジスタ特性の劣化などにより、MONOS型トランジスタMCのトランジスタ特性が低下するか、または、MONOS型トランジスタMCの信頼性が低下する。
【0299】
一方、本実施の形態3では、メモリ形成領域MRで、内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜IFGをウェットエッチングでパターニングすることにより、ゲート絶縁膜GIMを形成する。これにより、メモリ形成領域MRのうち、ゲート電極CGが形成される領域以外の領域で、半導体基板SBの上面PSで表層に損傷が加えられるか、または、半導体基板SBの上面PSで表層が除去されることを、実施の形態1に比べ、抑制することができる。
【0300】
あるいは、メモリ形成領域MRで、平面視において、ゲート電極CGを挟んで両側に位置する部分の半導体基板SBの上面PSに形成されるn
-型半導体領域LDMで、例えば移動度などの電気的特性が低下するか、そのような電気的特性の信頼性が低下することを、実施の形態1に比べ、抑制することができる。その結果として、例えばホットキャリアによりトランジスタ特性が劣化することを抑制し、MONOS型トランジスタMCのトランジスタ特性を向上させ、MONOS型トランジスタMCの信頼性を向上させることができる。したがって、MONOS型トランジスタMCを有する半導体装置の性能を、実施の形態1に比べ、さらに向上させることができる。
【0301】
なお、本実施の形態3では、ステップS33において、メモリ形成領域MRで、ゲート電極CGの側面および上面を酸化する際に、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRでは、半導体基板SBの上面PSは、導電膜CF1により覆われているため、酸化されない。したがって、ステップS33において、ゲート電極CGの側面および上面を酸化することは、低耐圧MISFET形成領域LRおよび高耐圧MISFET形成領域HRで形成される低耐圧MISFETQLおよび高耐圧MISFETQHの特性には影響しない。
【0302】
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
本実施の形態3の半導体装置の製造方法では、実施の形態1の半導体装置の製造方法と同様に、メモリ形成領域MRで形成された絶縁膜IFG上、および、主回路形成領域ARの例えば低耐圧MISFET形成領域LRで形成された絶縁膜IF7上に、導電膜CF1を形成する。次いで、メモリ形成領域MRで、導電膜CF1および絶縁膜IFGをパターニングしてゲート電極CGおよびゲート絶縁膜GIMを形成し、低耐圧MISFET形成領域LRで、導電膜CF1および絶縁膜IF7を残す。次いで、低耐圧MISFET形成領域LRで、導電膜CF1および絶縁膜IF7をパターニングしてゲート電極GELおよびゲート絶縁膜GILを形成する。そのため、本実施の形態3でも、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0303】
一方、本実施の形態3では、メモリ形成領域MRで、内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜IFGをウェットエッチングでパターニングすることにより、ゲート絶縁膜GIMを形成する。これにより、メモリ形成領域MRのうち、ゲート電極CGが形成される領域以外の領域で、半導体基板SBの上面PSで表層に損傷が加えられるか、または、半導体基板SBの上面PSで表層が除去されることを、実施の形態1に比べ、抑制することができる。そのため、MONOS型トランジスタMCを有する半導体装置の性能を、実施の形態1に比べ、さらに向上させることができる。
【0304】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。