特許第6407646号(P6407646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407646
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】組電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20181004BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20181004BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
   H01M2/10 E
   H01M2/10 S
   H01M10/48 Z
   H01M10/48 P
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-198699(P2014-198699)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-72011(P2016-72011A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】岩村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】間明田 博清
(72)【発明者】
【氏名】川村 公一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 達也
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−191436(JP,A)
【文献】 特開2009−087723(JP,A)
【文献】 特開2003−197268(JP,A)
【文献】 特表2013−543644(JP,A)
【文献】 特開平9−284904(JP,A)
【文献】 特開2003−274513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/34
H01M 2/10
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池と、
外力を検出する外力検出部と、
前記外力検出部での検出結果に基づいて制御を行う制御部と、
を具備し、
前記各二次電池は、
正極及び負極が重ねられて捲回された電極群と、
前記電極群の正極に接続された正極端子と、
前記電極群の負極に接続された負極端子と、
前記正極端子と前記負極端子とを短絡させることが可能なスイッチと、
をそれぞれ具備し、
前記制御部は、前記外力検出部により外力が検出された場合、全ての前記二次電池において、前記スイッチによって前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる、組電池。
【請求項2】
前記外力検出部は、前記複数の二次電池が組み合わされた二次電池群に対して加えられた外力を検出する請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記外力検出部は、
前記二次電池群が有する面に設置され、間に空間が設けられた複数の金属板と、
前記複数の金属板間の抵抗値を検出する抵抗値検出部と、
を具備し、
前記制御部は、前記抵抗値検出部により検出された抵抗値が予め設定された閾値以下である場合、全ての前記二次電池において、前記スイッチによって前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる、
請求項2に記載の組電池。
【請求項4】
前記制御部は、前記抵抗値検出部により前記閾値以下の抵抗値が検出された時間が予め設定された閾値以上である場合に、全ての前記二次電池において、前記スイッチによって前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる請求項3に記載の組電池。
【請求項5】
前記組電池の加速度を検出する加速度検出部をさらに具備し、
前記制御部は、前記抵抗値検出部により前記閾値以下の抵抗値が検出され、且つ前記加速度検出部により予め設定された閾値以上の加速度が検出された場合に、全ての前記二次電池において、前記スイッチによって前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる請求項3に記載の組電池。
【請求項6】
前記外力検出部は、
前記二次電池群が有する面に設置されたひずみゲージと、
前記ひずみゲージの抵抗値を検出する抵抗値検出部と、
を具備し、
前記制御部は、前記抵抗値検出部により検出された抵抗値が予め設定された閾値範囲外である場合、全ての前記二次電池において、前記スイッチによって前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる、
請求項2に記載の組電池。
【請求項7】
前記制御部は、前記抵抗値検出部により前記閾値範囲外の抵抗値が検出された時間が予め設定された閾値以上である場合に、全ての前記二次電池において、前記スイッチによって前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる請求項6に記載の組電池。
【請求項8】
前記組電池の加速度を検出する加速度検出部をさらに具備し、
前記制御部は、前記抵抗値検出部により前記閾値範囲外の抵抗値が検出され、且つ前記加速度検出部により予め設定された閾値以上の加速度が検出された場合に、全ての前記二次電池において、前記スイッチによって前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる請求項6に記載の組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年二酸化炭素排出量の削減や、ガソリンのような化石燃料の枯渇の懸念などから、エネルギー源として二次電池を使用した自動車が実用化されて来ている。この二次電池としては、高出力、高エネルギー密度、小型軽量化、低価格などが求められるほか、安全性、耐久性の改善も必要不可欠である。
【0003】
高エネルギー密度の自動車用二次電池としては、リチウムイオン二次電池が知られている。この高エネルギー密度リチウムイオン二次電池は、セパレータを介して積層した正極および負極を巻回した電極組立体を、有機電解液に含浸し電池缶に封入したものが典型的である。
【0004】
二次電池は、外部からの力による損傷(圧壊)によって外装缶が変形し、外装缶内で正極の活物質と負極の活物質とが短絡する可能性がある。この場合、外装缶内で活物質が熱分解して電池温度が上昇する可能性があるという課題がある。そこで、外力が二次電池に加えられた場合に正極の活物質と負極の活物質とが短絡する前に正極もしくは正極に電気的に接続され活物質が付与されていない部分と負極もしくは負極に電気的に接続され活物質が付与されていない部分とを短絡させる二次電池がある。しかし、リチウムイオン二次電池が複数組み合わされた組電池では、全ての二次電池に外力が加えられない可能性がある。この為、組電池内の全ての二次電池の正極と負極とを短絡させることができない可能性があるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−49147号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するために、安全性の高い組電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る組電池は、複数の二次電池と、外力を検出する外力検出部と、前記外力検出部での検出結果に基づいて制御を行う制御部と、を具備し、前記各二次電池は、正極及び負極が重ねられて捲回された電極群と、前記電極群の正極に接続された正極端子と、 前記電極群の負極に接続された負極端子と、前記正極端子と前記負極端子とを短絡させることが可能なスイッチと、をそれぞれ具備し、前記制御部は、前記外力検出部により外力が検出された場合、全ての前記二次電池において、前記スイッチによって前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る組電池について説明する為の図である。
図2図2は、一実施形態に係る組電池について説明する為の図である。
図3図3は、一実施形態に係る組電池について説明する為の図である。
図4図4は、一実施形態に係る組電池について説明する為の図である。
図5図5は、一実施形態に係る組電池について説明する為の図である。
図6図6は、一実施形態に係る組電池について説明する為の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態に係る組電池1の例を示す。
組電池1は、複数の二次電池10と、外力検出部40と、加速度検出部50とを備える。例えば、組電池1は、二次電池10A、二次電池10B、二次電池10C、二次電池10D、二次電池10E、二次電池10F、二次電池10G、二次電池10H、及び二次電池10Iを有する二次電池群1aを備える。
【0010】
外力検出部40は、組電池1に対して加えられた圧力を検出する。外力検出部40は、検出結果に基づいて外力検出信号を各二次電池10に送信する。外力検出部40は、例えば、複数枚の金属板を有する圧力センサ、またはひずみゲージなどにより抵抗値を検出する。外力検出部40は、検出した抵抗値を外力検出信号として各二次電池10に送信する。
【0011】
加速度検出部50は、組電池1の加速度を検出する。加速度検出部50は、検出結果に基づいて加速度検出信号を各二次電池10に送信する。加速度検出部50は、例えば、静電容量検出方式、ピエゾ抵抗方式、または熱検知方式などの加速度センサにより加速度を検出する。加速度検出部50は、検出した加速度の値を加速度検出信号として各二次電池10に送信する。
【0012】
図2は、二次電池群1aの例を示す。
例えば、二次電池群1aは、並列または直列で接続された複数の二次電池10を有する。図2の例によると、二次電池10A、二次電池10B、二次電池10C、二次電池10F、二次電池10E、二次電池10D、二次電池10G、二次電池10H、二次電池10Iの順に複数の二次電池10が直列に接続されている。この場合、二次電池10Aの正極端子が二次電池群1aの正極として機能し、二次電池10Iの負極端子が二次電池群1aの負極として機能する。
【0013】
なお、二次電池10は、図2の例によると、三行三列で並べられて積まれている。これにより、二次電池群1aは、6個の平面を有する六面体となっている。
【0014】
図3は、図1及び図2に示された二次電池10の例を示す。
【0015】
本例の二次電池10は、外装缶19、スイッチ11、外装缶内に収納される電極群13、正極端子14、負極端子15、正極短絡リード21、負極短絡リード22、スペーサ23、キャップ24、正極リード28、負極リード29、正極集電タブ30、負極集電タブ31、及び制御部35を備える。また、スイッチ11は、駆動体32、締結機構33、及び加熱部34を備える。また、電解質が電極群13に保持されている。なお、電解質は、例えば、非水電解質である。
【0016】
スイッチ11は、正極端子14と負極端子15との間に設けられたスイッチである。スイッチ11は、制御部35の制御に応じて正極端子14と負極端子15とを短絡させる。
【0017】
電極群13は、正極と負極がその間にセパレータを介して偏平形状に捲回されたものである。正極は、例えば金属箔からなる帯状の正極集電体と、正極集電体の長辺に平行な一端部からなる正極集電タブ30と、少なくとも正極集電タブ30の部分を除いて正極集電体に形成された正極材料層(正極活物質含有層)とを含む。一方、負極は、例えば金属箔からなる帯状の負極集電体と、負極集電体の長辺に平行な一端部からなる負極集電タブ31と、少なくとも負極集電タブ31の部分を除いて負極集電体に形成された負極材料層(負極活物質含有層)とを含む。
【0018】
このような正極、セパレータ、及び負極は、正極集電タブ30が電極群13の捲回軸方向にセパレータから突出し、かつ負極集電タブ31がこれとは反対方向にセパレータから突出するよう、正極及び負極の位置をずらして捲回されている。このような捲回により、電極群13は、一方の端面から渦巻状に捲回された正極集電タブ30が突出し、かつ他方の端面から渦巻状に捲回された負極集電タブ31が突出する状態になる。
【0019】
正極端子14は、内部の正極リード28を介して正極集電タブ30に電気的に接続されている。また、負極端子15は、内部の負極リード29を介して負極集電タブ31に電気的に接続されている。
【0020】
キャップ24は、外装缶19の上面を覆うプレートである。キャップ24は、正極端子14を通過させる穴と、負極端子15を通過させる穴と、を備える。キャップ24は、穴に設置される絶縁部材であるスペーサ23を介して正極端子14及び負極端子15を固定する。また、キャップ24は、図示されない絶縁物質などを介して正極短絡リード21、負極短絡リード22、駆動体32、及び締結機構33などを固定する。
【0021】
正極リード28及び負極リード29は、それぞれ、帯状の導電板からなる。正極リード28が正極集電タブ30に電気的に接続され、また、負極リード29が負極集電タブ31に電気的に接続されている。正極端子14及び負極端子15は、それぞれ、絶縁部材であるスペーサ23を介してキャップ24に固定されている。正極リード28の先端は、正極端子14に電気的に接続され、負極リード29の先端は負極端子15に電気的に接続されている。
【0022】
スイッチ11は、上記したように、駆動体32、締結機構33、及び加熱部34を備える。また、正極短絡リード21及び負極短絡リード22は、キャップ24側から正極短絡リード21、空間、負極短絡リード22の順で設けられている。正極短絡リード21と負極短絡リード22との間には、互いに接触しないように所定間隔の空間が設けられている。
【0023】
駆動体32は、外部からの圧力に応じて応力を生じる弾性体である。駆動体32は、圧縮されると、駆動体32が圧縮された方向と逆方向に応力を生じる。駆動体32は、たとえば、板バネ、コイルバネなどである。
【0024】
駆動体32は、圧縮された状態で正極短絡リード21とキャップ24の上面との間に設置される。そのため、駆動体32は、正極短絡リード21に上方向の応力を印加し続けている。即ち、駆動体32は、正極短絡リード21に対して、負極短絡リード22と正極短絡リード21とを接触させる方向に応力を印加し続けている。
【0025】
締結機構33は、駆動体32が印加する応力に抗って正極短絡リード21を上方向に移動することを防止している。たとえば、締結機構33は、キャップ24と正極短絡リード21を機械的に締結する。締結機構33により、正極短絡リード21と負極短絡リード22とは、所定の間隔を維持することができる。
【0026】
締結機構33は、正極短絡リード21を固定するために必要な強度を有し、かつ二次電池10が生じる電力によって加熱される加熱部34の熱で融解して切断される物質で形成される。締結機構33を構成する物質は、たとえば、ポリフェニルサルファイド(PPS)などである。
【0027】
加熱部34は、二次電池10が生じる電力をジュール熱に変換する。加熱部34は、発生されたジュール熱を締結機構33に加える。実施形態において、加熱部34は、キャップ24の上面と正極短絡リード21との間にある締結機構33の領域33aにジュール熱を加える。たとえば、加熱部34は、ニクロム線などである。たとえば、加熱部34は、締結機構33の領域33aに巻き付けられる。
【0028】
制御部35は、上述した外力検出部40から送信された外力検出信号に基づいて加熱部34に電圧を印加する。制御部35は、外力検出部40から送信された外力検出信号に基づいて組電池1に外力が加えられたか否か判断する。制御部35は、組電池1に外力が加えられたと判断した場合、加熱部34に電圧を印加する。
【0029】
例えば、制御部35は、外力検出部40から外力検出信号として送信された抵抗値が予め設定された閾値以上である場合、組電池1に外力が加えられたと判断する。即ち、制御部35は、予め設定された閾値以上の抵抗値が外力検出部40で検出された場合、組電池1に外力が加えられたと判断する。
【0030】
加熱部34は、電圧が印加された場合、締結機構33の領域33aにジュール熱を加える。この結果、加熱部34は、締結機構33の領域33aを融解することができる。
【0031】
加熱部34が締結機構33の領域33aを融解させた場合、締結機構33は、領域33aにおいて切断される。締結機構33が切断されると、駆動体32は、自身の応力によって、正極短絡リード21を上方向に押し上げる。駆動体32が正極短絡リード21を押し上げると、正極短絡リード21は、負極短絡リード22と接触し、電気的に負極短絡リード22と接続される。これにより、スイッチ11がONになる。即ち、制御部35は、組電池1に外力が加えられたと判断した場合、スイッチ11をONし、二次電池10の正極と負極とを短絡させる。
【0032】
負極短絡リード22と正極短絡リード21とが電気的に接続されると、正極短絡リード21、正極端子14、正極リード28、正極集電タブ30、電極群13、負極集電タブ31、負極リード29、負極端子15、及び負極短絡リード22からなる閉回路が形成される。これにより、外装缶19内で正極の活物質と負極の活物質とが短絡することを防ぐことができる。
【0033】
以下、上記の二次電池の正極、負極、セパレータ、及び非水電解質について説明する。
【0034】
(1)正極
正極は、例えば、正極活物質を含むスラリーをアルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔からなる集電体に塗着することにより作製される。正極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウムを吸蔵放出できる酸化物や硫化物、ポリマーなどが使用できる。好ましい活物質としては、高い正極電位が得られるリチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウム燐酸鉄等が挙げられる。
【0035】
(2)負極
負極は、負極活物質を含むスラリーをアルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔からなる集電体に塗着することにより作製される。負極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウムを吸蔵放出できる金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、合金等が使用でき、好ましくは、リチウムイオンの吸蔵放出電位が金属リチウム電位に対して0.4V以上貴となる物質である。このようなリチウムイオン吸蔵放出電位を有する負極活物質は、アルミニウムもしくはアルミニウム合金とリチウムとの合金反応を抑えられることから、負極集電体および負極関連構成部材へのアルミニウムもしくはアルミニウム合金の使用を可能とする。たとえば、チタン酸化物、チタン酸リチウムのようなリチウムチタン複合酸化物、タングステン酸化物、アモルファススズ酸化物、スズ珪素酸化物、酸化珪素などがあり、中でもリチウムチタン複合酸化物が好ましい。
【0036】
(3)セパレータ
セパレータは、絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、ポリオレフィン、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、及びビニロンのようなポリマーで作られた多孔質フィルム又は不織布を用いることができる。セパレータの材料は1種類であってもよく、或いは、2種類以上を組合せて用いてもよい。
【0037】
(4)非水電解質
電解液は、非水溶媒に電解質(例えば、リチウム塩)を溶解させることにより調製された非水電解液が用いられる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等を挙げることができる。非水溶媒は、単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ過リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)等のリチウム塩を挙げることができる。電解質は単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.2mol/L〜3mol/Lとすることが望ましい。
【0038】
図4は、外力検出部40の一例を示す。図4は、複数枚の金属板を有する圧力センサを備えた外力検出部40の例を示す。
【0039】
図4の例によると、外力検出部40は、絶縁体40A、第1の金属板40B、第2の金属板40C、スペーサ40D、及び抵抗値検出部40Eを備える。絶縁体40A、第1の金属板40B、及び第2の金属板40Cは、六面体として構成されている二次電池群1aのいずれかの面に設置される。
【0040】
絶縁体40A、第1の金属板40B、及び第2の金属板40Cは、内側(二次電池群1aに接する側)から絶縁体40A、第2の金属板40C、第1の金属板40B、絶縁体40Aの順で重ねられて設置されている。
【0041】
絶縁体40Aは、電気抵抗の大きい絶縁体である。絶縁体40Aは、第1の金属板40B、及び第2の金属板40Cが二次電池10の外装缶19または組電池1の外装などに接触しないように設けられている。第1の金属板40B、及び第2の金属板40Cは、それぞれ導電性の金属である。
【0042】
また、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間にスペーサ40Dが設置されている。スペーサ40Dは、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとが互いに接触しないように第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間に所定間隔の空間を作る為の部材である。スペーサ40Dは、電気抵抗の大きい絶縁体であることが望ましい。
【0043】
第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとは、組電池1に外力が加えられていない場合、互いに接触しないように設けられている。また、組電池1に外力が加えられた場合、第1の金属板40B及び/または第2の金属板40Cが変形し、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとが接触する。
【0044】
抵抗値検出部40Eは、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間の抵抗値を検出する。抵抗値検出部40Eは、検出した抵抗値を二次電池群1a内の各二次電池10の制御部35に送信する。
【0045】
例えば、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとが接触していない場合、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間に空間及び電気抵抗の大きいスペーサ40Dが設置されている為、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間の抵抗値が大きい。これに対して、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとが接触している場合、第1の金属板40B及び第2の金属板40Cが導電性の金属である為、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間の抵抗値が小さくなる。
【0046】
制御部35は、上記のように第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間の抵抗値の変化を認識することにより、組電池1に外力が加えられたか否かを判断する。即ち、制御部35では、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとが接触していない場合の抵抗値と、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとが接触している場合の抵抗値との間の値が閾値として設定されている。制御部35は、抵抗値検出部40Eから出力された抵抗値が閾値以下であるか否かに基づいて、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとが接触しているか否か判断することができる。これにより、制御部35は、複数の二次電池10を有する組電池1に外力が加えられたことを検知することができる。
【0047】
なお、絶縁体40A、第1の金属板40B、及び第2の金属板40Cは、六面体として構成されている二次電池群1aの全ての面、または複数の面に設置されていてもよい。この場合、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとのセット毎に抵抗値検出部40Eが設置される。
【0048】
また、抵抗値検出部40Eは、複数の第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとのセットの抵抗値の検出値を時分割で制御部35に送信する構成であってもよい。この場合1つの抵抗値検出部40Eで複数の第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとのセットの抵抗値を制御部35に送信することができる。
【0049】
図5は、外力検出部40の他の例を示す。図5は、ひずみゲージを有する圧力センサを備えた外力検出部40の例を示す。
【0050】
図5の例によると、外力検出部40は、ひずみゲージ40Fを備える。ひずみゲージ40Fは、変形した場合に抵抗値が変化する素材により形成されたモジュールである。例えば、金属材料は、金属固有の抵抗値を有する。この抵抗値は、金属材料の変形(伸びまたは縮み)により変化する。外力検出部40は、ひずみゲージ40Fの抵抗値の変化を検出することにより、外力を検出することができる。ひずみゲージ40Fは、六面体として構成されている二次電池群1aのいずれかの面に設置される。
【0051】
抵抗値検出部40Eは、ひずみゲージ40Fの抵抗値を検出する。抵抗値検出部40Eは、検出した抵抗値を二次電池群1a内の各二次電池10の制御部35に送信する。
【0052】
例えば、ひずみゲージ40Fが変形して伸びる場合、ひずみゲージ40Fが変形していない場合に比べてひずみゲージ40Fの抵抗値が大きくなる。また、ひずみゲージ40Fが変形して縮む場合、ひずみゲージ40Fが変形していない場合に比べてひずみゲージ40Fの抵抗値が小さくなる。
【0053】
制御部35は、上記のようにひずみゲージ40Fの抵抗値の変化を認識することにより、組電池1に外力が加えられたか否かを判断する。即ち、制御部35では、ひずみゲージ40Fが変形していない場合の抵抗値と、ひずみゲージ40Fが変形している場合の抵抗値との間の値が閾値として設定されている。制御部35は、抵抗値検出部40Eから出力された抵抗値が閾値の範囲外であるか否かに基づいて、ひずみゲージ40Fが変形しているか否か判断することができる。これにより、制御部35は、複数の二次電池10を有する組電池1に外力が加えられたことを検知することができる。
【0054】
なお、ひずみゲージ40Fは、六面体として構成されている二次電池群1aの全ての面、または複数の面に設置されていてもよい。また、1つの面に複数のひずみゲージ40Fが設けられていてもよい。この場合、ひずみゲージ40F毎に抵抗値検出部40Eが設置される。
【0055】
また、抵抗値検出部40Eは、複数のひずみゲージ40Fの抵抗値の検出値を時分割で制御部35に送信する構成であってもよい。この場合1つの抵抗値検出部40Eで複数のひずみゲージ40Fの抵抗値を制御部35に送信することができる。
【0056】
上記したように、組電池1は、複数の二次電池10と、複数の二次電池により構成された二次電池群1aに加えられた外力を検出する外力検出部40を備える。また、各二次電池10は、それぞれの正極と負極とを短絡させるスイッチ11と、スイッチを制御する制御部35とを備える。外力検出部40は、外力検出信号を各制御部35に逐次送信する。制御部35は、外力検出信号に基づいて二次電池群1aに外力が加えられたか否か判断する。制御部35は、二次電池群1aに外力が加えられたと判断した場合、二次電池10のスイッチ11をONし、二次電池10の正極と負極とを短絡させる。
【0057】
これにより、組電池1は、二次電池群1aに外力が加えられた場合に、直接外力が加えられていない二次電池10の正極と負極とを短絡させることができる。この結果、安全性の高い組電池を提供することができる。
【0058】
なお、上記した実施形態では、制御部35は、外力検出部40から外力検出信号として送信された抵抗値が予め設定された閾値を超えた場合、二次電池10の正極と負極とを短絡させる構成であると説明したが、この構成に限定されない。この構成によると、制御部35は、例えば、圧壊ではなく、一時的な衝撃が組電池1に加えられた場合に組電池1内の全ての二次電池10の正極と負極とを短絡させてしまう可能性がある。そこで、制御部35は、一定時間以上外力が組電池1に加えられたことを認識した場合に二次電池10の正極と負極とを短絡させる構成であってもよい。
【0059】
図6は、外力検出部40から出力された抵抗値の例を示す。図6Aは、一時的な衝撃が組電池1に加えられた場合に外力検出部40から出力された抵抗値の例を示す。図6Bは、組電池1が圧壊する外力が組電池1に加えられた場合に外力検出部40から出力された抵抗値の例を示す。
【0060】
図6Aに示されるように、一時的な衝撃が組電池1に加えられた場合、閾値以上の抵抗値が検出される時間t1が短い。これは、外力により変形した圧力センサが元に戻る為である。このような場合、組電池1内の各二次電池10が正常に動作する為、制御部35は、二次電池10の正極と負極とを短絡させない。
【0061】
また、図6Bに示されるように、組電池1が圧壊する外力が組電池1に加えられた場合、値が検出される時間t2がt1に比べて長い。これは、外力により変形した圧力センサが元に戻らずに変形したままの状態になる為である。このような場合、外装缶19内で正極の活物質と負極の活物質とが短絡する可能性がある為、制御部35は、二次電池10の正極と負極とを短絡させる。
【0062】
具体的には、制御部35は、外力検出部40により閾値以上の抵抗値が検出された時間をカウントする。制御部35は、カウントした時間があらかじめ設定された時間(閾値)以上である場合、組電池1が圧壊する外力が組電池1に加えられたと判断する。この場合、制御部35は、スイッチ11をONし、二次電池10の正極と負極とを短絡させる。 即ち、制御部35は、予め設定された閾値以上の抵抗値が予め設定された時間以上外力検出部40で検出され続けた場合、スイッチ11をONし、二次電池10の正極と負極とを短絡させる。
【0063】
これにより、組電池1は、一時的な衝撃が加えられた場合に二次電池10の正極と負極とを短絡させず、且つ、組電池1が圧壊する外力が組電池1に加えられた場合に二次電池10の正極と負極とを短絡させることができる。この結果、安全性と利便性の高い組電池を提供することができる。
【0064】
また、制御部35は、加速度検出部50から出力された加速度検出信号に基づいて、組電池1が圧壊する外力が組電池1に加えられたか否か判断する構成であってもよい。
【0065】
例えば、制御部35は、外力検出部40から外力検出信号として送信された抵抗値が予め設定された閾値以上であり、且つ加速度検出部50から加速度検出信号として送信された加速度が予め設定された閾値以上である場合、組電池1が圧壊する外力が組電池1に加えられたと判断する。即ち、制御部35は、組電池1の速度が大きく変化し、且つ組電池1に対して外力が加えられたことを認識した場合、組電池1が圧壊する外力が組電池1に加えられたと判断する。この場合、制御部35は、スイッチ11をONし、二次電池10の正極と負極とを短絡させる。
【0066】
これにより、組電池1は、組電池1が静止している状態で外力が加えられた場合に二次電池10の正極と負極とを短絡させず、且つ、組電池1の速度の変化が大きい状態で外力が加えられた場合に二次電池10の正極と負極とを短絡させることができる。この結果、安全性と利便性の高い組電池を提供することができる。
【0067】
なお、上記の実施形態では、各二次電池10が制御部35を備える構成であると説明したが、この構成に限定されない。組電池1が1つの制御部35を備え、この制御部35が各二次電池10のスイッチ11を制御する構成であってもよい。
【0068】
また、上記の実施形態では、スイッチ11は、駆動体32の動作を制限する締結機構33を加熱部34が溶断することにより駆動体32を動作させて正極短絡リード21と負極短絡リード22とを短絡させる構成であると説明したが、この構成に限定されない。スイッチ11は、制御部35の制御に応じて正極短絡リード21と負極短絡リード22とを短絡させる構成であれば如何なるものであってもよい。
【0069】
なお、上記の実施形態では、外力検出部40は、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間の抵抗値を検出する抵抗値検出部40Eを備えると説明したが、この構成に限定されない。抵抗値検出部40Eの機能を二次電池群1a内の各二次電池10の制御部35が備える構成であってもよい。また、この場合、抵抗値検出部40Eは、省略されてもよい。抵抗値検出部40Eの機能を二次電池群1a内の各二次電池10の制御部35が備える場合、制御部35は、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとに接続される。制御部35は、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間の抵抗値を逐次検出する。
【0070】
さらに、制御部35は、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間の抵抗値の変化を認識することにより、組電池1に外力が加えられたか否かを判断する。制御部35は、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間の抵抗値が閾値以下であるか否かに基づいて、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとが接触しているか否か判断する。これにより、制御部35は、複数の二次電池10を有する組電池1に外力が加えられたことを検知する。
【0071】
制御部35は、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間の抵抗値が閾値以下であると判断した場合、組電池1に外力が加えられたことを検知する。制御部35は、第1の金属板40Bと第2の金属板40Cとの間の抵抗値が閾値以下であると判断した場合、すなわち、組電池1に外力が加えられたことを検知した場合、加熱部34に電圧を印加する。これにより、制御部35は、組電池1に外力が加えられた場合に加熱部34により締結機構33の領域33aにジュール熱を加えさせることができる。これにより、締結機構33の領域33aを融解され、締結機構33が領域33aにおいて切断される。この結果、駆動体32は、自身の応力によって、正極短絡リード21を上方向に押し上げられ、正極短絡リード21と負極短絡リード22とが接触して短絡する。即ち、スイッチ11がONになる。
【0072】
このような構成によっても、組電池1は、組電池1が静止している状態で外力が加えられた場合に二次電池10の正極と負極とを短絡させず、且つ、組電池1の速度の変化が大きい状態で外力が加えられた場合に二次電池10の正極と負極とを短絡させることができる。この結果、安全性と利便性の高い組電池を提供することができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本出願の出願当初の特許請求の範囲に記載された事項を付記する。
(付記項1)
複数の二次電池と、
外力を検出する外力検出部と、
を具備し、
前記各二次電池は、
正極及び負極が重ねられて捲回された電極群と、
前記電極群の正極に接続された正極端子と、
前記電極群の負極に接続された負極端子と、
前記外力検出部により外力が検出された場合、前記正極端子と前記負極端子とを短絡させるスイッチと、
をそれぞれ具備する、組電池。
(付記項2)
前記外力検出部は、前記複数の二次電池が組み合わされた二次電池群に対して加えられた外力を検出する付記項1に記載の組電池。
(付記項3)
前記外力検出部は、
前記二次電池群が有する面に設置され、間に空間が設けられた複数の金属板と、
前記複数の金属板間の抵抗値を検出する抵抗値検出部と、
を具備し、
前記スイッチは、前記抵抗値検出部により検出された抵抗値が予め設定された閾値以下である場合、前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる、
付記項2に記載の組電池。
(付記項4)
前記スイッチは、前記抵抗値検出部により前記閾値以下の抵抗値が検出された時間が予め設定された閾値以上である場合に前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる付記項3に記載の組電池。
(付記項5)
前記組電池の加速度を検出する加速度検出部をさらに具備し、
前記スイッチは、前記抵抗値検出部により前記閾値以下の抵抗値が検出され、且つ前記加速度検出部により予め設定された閾値以上の加速度が検出された場合に前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる付記項3に記載の組電池。
(付記項6)
前記外力検出部は、
前記二次電池群が有する面に設置されたひずみゲージと、
前記ひずみゲージの抵抗値を検出する抵抗値検出部と、
を具備し、
前記スイッチは、前記抵抗値検出部により検出された抵抗値が予め設定された閾値範囲外である場合、前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる、
付記項2に記載の組電池。
(付記項7)
前記スイッチは、前記抵抗値検出部により前記閾値範囲外の抵抗値が検出された時間が予め設定された閾値以上である場合に前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる付記項6に記載の組電池。
(付記項8)
前記組電池の加速度を検出する加速度検出部をさらに具備し、
前記スイッチは、前記抵抗値検出部により前記閾値範囲外の抵抗値が検出され、且つ前記加速度検出部により予め設定された閾値以上の加速度が検出された場合に前記正極端子と前記負極端子とを短絡させる付記項6に記載の組電池。
【符号の説明】
【0074】
1…組電池、1a…二次電池群、10…二次電池、11…スイッチ、13…電極群、14…正極端子、15…負極端子、19…外装缶、21…正極短絡リード、22…負極短絡リード、23…スペーサ、24…キャップ、28…正極リード、29…負極リード、30…正極集電タブ、31…負極集電タブ、32…駆動体、33…締結機構、34…加熱部、35…制御部、40…外力検出部、40A…絶縁体、40B…第1の金属板、40C…第2の金属板、40D…スペーサ、40E…抵抗値検出部、40F…ひずみゲージ、50…加速度検出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6