特許第6407656号(P6407656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ムラコシ精工の特許一覧

<>
  • 特許6407656-蝶番装置 図000002
  • 特許6407656-蝶番装置 図000003
  • 特許6407656-蝶番装置 図000004
  • 特許6407656-蝶番装置 図000005
  • 特許6407656-蝶番装置 図000006
  • 特許6407656-蝶番装置 図000007
  • 特許6407656-蝶番装置 図000008
  • 特許6407656-蝶番装置 図000009
  • 特許6407656-蝶番装置 図000010
  • 特許6407656-蝶番装置 図000011
  • 特許6407656-蝶番装置 図000012
  • 特許6407656-蝶番装置 図000013
  • 特許6407656-蝶番装置 図000014
  • 特許6407656-蝶番装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407656
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】蝶番装置
(51)【国際特許分類】
   E05C 21/02 20060101AFI20181004BHJP
   E05D 3/06 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   E05C21/02
   E05D3/06
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-211145(P2014-211145)
(22)【出願日】2014年10月15日
(65)【公開番号】特開2016-79642(P2016-79642A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137959
【氏名又は名称】株式会社ムラコシ精工
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】菊地 健
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−54722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 21/02
E05D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材に対して第2部材を回動可能に連結する蝶番装置であって、
前記第1部材に取り付けられる第1体と、
前記第2部材に取り付けられる第2体と、
前記第1体にて可動可能に支持され、震動時に前記第2部材の前記第1部材に対する回動を規制する規制体と、
前記第1体と前記第2体とを連結する連結体を備え、
前記規制体は、震動時に前記連結体との係合により前記第2部材の前記第1部材に対する回動を規制する
ことを特徴とする蝶番装置。
【請求項2】
規制体は、震動を感知して第1体に対して可動する感震体を兼ねている
ことを特徴とする請求項1記載の蝶番装置。
【請求項3】
規制体は、震動が停止すると規制状態から許容状態に自重で復帰する
ことを特徴とする請求項1または2記載の蝶番装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部材に対して第2部材を回動可能に連結する蝶番装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載されたばね付き蝶番である蝶番装置が知られている。
【0003】
この従来の蝶番装置は、例えば被収納物を収納する収納本体(第1部材)に取り付けられる蝶番本体と、開閉扉(第2部材)に取り付けられる扉取付片とを備え、その蝶番本体内には、開閉扉を閉方向に回動させる付勢体であるばねが配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−319752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の蝶番装置では、例えば併用開放防止力が所定値以上となるように、その蝶番装置とは別体のマグネットキャッチを併用しないと、地震時等の震動時に開閉扉が開方向に回動してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、震動時に第2部材の回動を適切に規制できる蝶番装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
求項記載の蝶番装置は、第1部材に対して第2部材を回動可能に連結する蝶番装置であって、前記第1部材に取り付けられる第1体と、前記第2部材に取り付けられる第2体と、前記第1体にて可動可能に支持され、震動時に前記第2部材の前記第1部材に対する回動を規制する規制体と、前記第1体と前記第2体とを連結する連結体を備え、前記規制体は、震動時に前記連結体との係合により前記第2部材の前記第1部材に対する回動を規制するものである。
【0008】
求項記載の蝶番装置は、請求項1記載の蝶番装置において、規制体は、震動を感知して第1体に対して可動する感震体を兼ねているものである。
【0009】
請求項記載の蝶番装置は、請求項1または2記載の蝶番装置において、規制体は、震動が停止すると規制状態から許容状態に自重で復帰するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、震動時に第2部材の第1部材に対する回動を適切に規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る蝶番装置の斜視図である。
図2】同上蝶番装置の分解斜視図である。
図3】同上蝶番装置の規制体を支持する支持部材の斜視図である。
図4】同上蝶番装置の通常時(平常時)の正面図である。
図5図4におけるA−A断面図である。
図6図4におけるB−B断面図である。
図7】同上蝶番装置の震動時(ロック時)の正面図である。
図8図7におけるA−A断面図である。
図9図7におけるB−B断面図である。
図10】同上蝶番装置の連結体を示す図で、(a)および(b)が斜視図で、(c)が正面図である。
図11】同上蝶番装置を備えた収納装置の斜視図で、(a)が扉閉状態の図、(b)が扉開状態の図、(c)が震動時に開閉扉の回動が規制された状態の図である。
図12】本発明の第2の実施の形態に係る蝶番装置の通常時における扉閉状態の図で、(a)が正面視断面図、(b)が下面視断面図である。
図13】同上蝶番装置の通常時における扉開状態の図で、(a)が正面視断面図、(b)が下面視断面図である。
図14】同上蝶番装置の震動時における扉閉状態の図で、(a)が正面視断面図、(b)が下面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図11を参照して説明する。
【0013】
図11において、1は収納装置で、この収納装置1は、例えば食器等の被収納物(図示せず)が前面の開口部2を介して出し入れ可能に収納される収納空間部3を内部に有する第1部材である収納本体(固定部材)4を備えている。
【0014】
また、収納装置1は、収納本体4の開口部2を開閉する板状の第2部材である開閉扉(回動部材)5と、この開閉扉5を収納本体4に対して回動可能(開閉動作可能)に連結する複数、例えば上下2つの蝶番装置(ばね付き蝶番)6とを備えている。
【0015】
収納本体4は、互いに離間対向する左右対をなす側板部8を有し、一方の側板部8に蝶番装置6が取付ベース9を介して取り付けられている。つまり、収納本体4の側板部8と開閉扉5とが蝶番装置6にて互いに回動可能に連結されている。
【0016】
そして、開閉扉5は、通常時(非震動時)には、収納本体4に対する一方向である開方向への回動(開動作)により開状態になって開口部2を開口させ(図11(b)参照)、かつ、収納本体4に対する他方向である閉方向への回動(閉動作)により閉状態になって開口部2を閉鎖する(図11(a)参照)。
【0017】
しかし、例えば地震時等の震動時には、開閉扉5の収納本体4に対する開方向への回動が蝶番装置6によって規制され、開閉扉5の閉状態が維持される(図11(c)参照)。つまり、蝶番装置6は、収納本体4に対して開閉扉5を回動可能に連結する機能に加え、耐震ラッチの機能を兼ね備えたものであり、以下にその具体的構成を説明する。なお、図4図6図11(c)等に示す矢印方向を前後、左右および上下の方向として説明する。
【0018】
蝶番装置6は、図1ないし図9に示されるように、収納本体4の側板部8に取付ベース9を介して取り付けられる水平方向である前後方向に沿ってやや長手状の第1体11と、開閉扉5の回動支点側の端部である基端部に取り付けられるカップ状の第2体12と、第1体11にて前後方向に移動可能(可動可能)に収納支持され、震動時に第1体11に対する前方向への移動により許容状態から規制状態になって開閉扉5の収納本体4に対する回動を規制する規制体13とを備えている。
【0019】
この規制体13は、例えば地震等に基づく震動を感知して第1体11に対して前方向へ移動、すなわち感震動作する感震体(感震錘)を兼ねている。つまり、この感震体兼規制体である規制体(センサー兼ロック棒)13は、L字状(略L字状を含む)をなす断面円形の棒状の規制部13aと、この規制部13aの端部に連設されこの規制部13aよりも径大な截頭円錐状(略截頭円錐状を含む)の感震部である錘部13bとにて構成されている。
【0020】
そして、規制体13は、震動が停止すると、開閉扉5の収納本体4に対する回動を規制する規制状態から、開閉扉5の収納本体4に対する回動を許容する許容状態に自重で自動復帰する。
【0021】
また、蝶番装置6は、第1体11と第2体12とを連結する板状の連結体である第1連結体(前側連結体)15と、この第1連結体15と対向配設され第1体11と第2体12とを連結する板状の連結体である第2連結体(後側連結体)14と、この第2連結体14を付勢して開閉扉5を収納本体4に対して閉方向に回動させる付勢体であるばね16とを備えている。
【0022】
第1体11は、前後方向長手状で断面コ字状のアーム部材21と、このアーム部材21の前端側の内側に嵌合されて固定的に取り付けられ、規制体13を前後方向に移動可能に支持するブロック状の支持部である支持部材(ハウジング)22とを有している。
【0023】
アーム部材21は、互いに離間対向する上下対をなす対向板部23を有し、これら両対向板部23の左端部同士が連結板部24にて連結されている。対向板部23の前端側には、複数の孔部26,27,28が形成されている。連結板部24には、ねじ挿入用の孔部29,30が形成されている。
【0024】
支持部材22は、互いに離間対向する上下対をなす対向部31を有し、これら両対向部31間の距離が第2体12側、すなわち前方向に向かって徐々に減少している。そして、下側の対向部31の上面が、規制体13の錘部13bを前後方向に移動可能(スライド移動可能)に支持する前上がり傾斜状の傾斜支持面32となっている。各対向部31には、上下面に貫通した孔部33が形成されている。そして、アーム部材21の孔部26および支持部材22の孔部33には、固定ピン34が挿入されている。
【0025】
また、支持部材22は、両対向部31の右端部同士を連結する連結部35を有し、この連結部35には、規制体13の規制部13aを前後方向に移動可能(スライド移動可能)に嵌合支持する水平状の凹状溝36が形成されている。こうして、支持部材22の傾斜支持面32上および凹状溝36上に規制体13が載置され、この載置された規制体13が後述の規制用孔部65と係合しない非係合位置と規制用孔部65と係合する係合位置との間で移動可能となっている。
【0026】
なお、第1体11は、収納本体4の側板部8に固着された取付ベース9に対してワンタッチで取付可能な取付部材40を有し、この取付部材40がねじ39にてアーム部材21に取り付けられている(図6参照)。
【0027】
第2体12は、開閉扉5の取付凹部5aに嵌着される扉取付部材41のみで構成されている。この扉取付部材41は、上下方向長手状の取付板部42と、この取付板部42に前方に向かって突設され、2つの連結体14,15が収納される箱形状のケース部43とを有している。取付板部42の上下端部には、ねじ挿入用の孔部45が形成されている。ケース部43には、複数の孔部47,48が形成されている。
【0028】
そして、第2体12の扉取付部材41は、2つの回動連結板である連結体14,15によって第1体11のアーム部材21に対して回動可能に連結されている。
【0029】
具体的には、第2連結体14の一端側である左端部がアーム部材21に第2ピン51を介して回動可能に取り付けられ、かつ、第2連結体14の他端側である右端部が扉取付部材41にU字ピン53の第2ピン部53bを介して回動可能に取り付けられている。
【0030】
また同様に、第1連結体15の一端側である左端部がアーム部材21に第1ピン52を介して回動可能に取り付けられ、かつ、第1連結体15の他端側である右端部が扉取付部材41にU字ピン53の第1ピン部53aを介して回動可能に取り付けられている。
【0031】
つまり、第2連結体14の左端側筒部54およびアーム部材21の孔部27に第2ピン51が挿入され、かつ、第2連結体14の右端側筒部55および扉取付部材41の孔部47にU字ピン53の第2ピン部53bが挿入されている。
【0032】
また同様に、第1連結体15の左端側孔部56およびアーム部材21の孔部28に第1ピン52が挿入され、かつ、第1連結体15の右端側孔部57および扉取付部材41の孔部48にU字ピン53の第1ピン部53aが挿入されている。
【0033】
そして、開閉扉5に対して閉方向への回動力を付与するばね16は、例えばねじりコイルばねで、第1ピン52にて支持されている。このばね16は、第1当接部61および第2当接部62を有し、棒状の第1当接部61がアーム部材21の連結板部24に当接しかつU字状の第2当接部62が第2連結体14の凸状部63に当接している(図6参照)。
【0034】
この凸状部63は、第2連結体14の本体板部64のうち左端側筒部54側の部分に湾曲板状に突設されている。また、本体板部64のうち上下方向の中央部分でかつ左右方向中央より少し左寄りの部分には、規制体13の規制部13aが挿脱可能に挿入される円形状の規制用孔部65が形成されている(図10参照)。この規制用孔部65の開口径は、規制体13の規制部13aの外径よりも若干大きい。
【0035】
次に、上記蝶番装置6の作用等を説明する。
【0036】
図4ないし図6に示すように、通常時には、規制体13は、第2連結体14の規制用孔部65と係合しない非係合位置に位置して開閉扉5の収納本体4に対する回動、換言すると第2体12の第1体11に対する回動を許容する許容状態になっている。
【0037】
この許容状態時において、規制体13の錘部13bは、支持部材22の傾斜支持面(傾斜部)32の下側部分にて支持されており、また、規制体13の規制部13aは、第2連結体14の規制用孔部65から離れた状態(抜け出た状態)となっている。
【0038】
このため、例えば食器等の被収納物を収納本体4内に出し入れするために、開閉扉5を収納本体4に対して開方向および閉方向に回動させることが可能である。
【0039】
ここで、例えば地震等によって震動が発生すると、図7ないし図9に示すように、規制体13は、その震動を感知して支持部材22に対して前方向へ所定量だけ移動することによって、開閉扉5の回動を許容する許容状態から開閉扉5の回動を規制する規制状態となる。
【0040】
つまり、規制体13の錘部13bが自重に抗して支持部材22の傾斜支持面32に沿って前方向(前斜め上方)にスライド移動(上動)するとともに、規制体13の規制部13aが支持部材22の凹状溝36に沿って非係合位置から係合位置まで前方向にスライド移動し、その結果、その規制部13aの先端側が第2連結体14の規制用孔部65に挿入される。
【0041】
このため、震動に基づいて開閉扉5が開方向に回動しようとしても、規制体13の規制部13aと第2連結体14の規制用孔部65とが互いに係合し、この係合によって第2連結体14の第1体11に対する回動が規制され、これにより開閉扉5の収納本体4に対する開方向の回動が規制される。
【0042】
なお、震動が停止すると、錘部13bがその自重によって傾斜支持面32に沿って係合位置から非係合位置まで後方向(後斜め下方)へ滑り降りるようにスライド移動(下動)し、規制部13aの先端側が規制用孔部65から抜け出る。このように、震動の停止により、規制体13が規制状態からもとの許容状態に自動復帰する。
【0043】
そして、上記のようなヒンジ装置である蝶番装置6によれば、この蝶番装置6とは別体のマグネットキャッチや耐震ラッチ等を併用しなくても、地震時等の震動時に規制体13によって開閉扉5の収納本体4に対する開方向への回動を適切に規制でき、よって収納本体4内からの被収納物の飛び出しを適切に防止できる。
【0044】
また、蝶番装置6に内蔵された規制体13は、震動時に第2連結体14の規制用孔部65との係合により開閉扉5の収納本体4に対する回動を規制するため、この開閉扉5の収納本体4に対する開方向への回動をより一層適切に規制できる。
【0045】
さらに、規制体13が感震体を兼ねているため、例えば規制体と感震体とが別部材からなる場合等に比べて、部品点数が少なく、構成が簡単である。
【0046】
また、規制体13は震動が停止すると規制状態から許容状態に自重で復帰するため、震動停止後に規制体13を手動で復帰させる必要がなく、使用者の負担をなくすことができる。
【0047】
さらに、収納本体4の側板部8および開閉扉5に対して蝶番装置6を取り付けさえすれば、震動時における開閉扉5の開動作を防止できるため、マグネットキャッチや耐震ラッチ等を別途取り付ける必要がなく、収納装置1の施工性が良好で、しかも収納本体4内のスペースを有効利用できる。
【0048】
また、例えば収納装置1の構造や形状等によって耐震ラッチ等を取り付けることができない場合であっても、蝶番装置6のみを取り付けるだけで、耐震ラッチ機能を持つ収納装置(キャビネット)1を簡単に得ることができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態について図12ないし図14を参照して説明する。
【0050】
この第2の実施の形態に係る蝶番装置6は、前記第1の実施の形態におけるL字棒状の規制体13の代わりに、球状の規制体(センサー兼ロックボール)71を備えている。
【0051】
規制体71は、震動を感知して第1体11に対して前方向へ転動(可動)する感震体(感震錘)を兼ねたもので、第1体11の支持部材72にて前後方向に転動可能(可動可能)に収納支持されている。
【0052】
支持部材72は、第1体11のアーム部材21の前端側の内側に嵌合され、そのアーム部材21に対して固定ピン34にて固定的に取り付けられている。また、支持部材72は、互いに離間対向する上下対をなす対向部73を有し、これら両対向部73間の距離が第2体12側、すなわち前方向に向かって徐々に減少している。そして、下側の対向部73の上面が、規制体71を前後方向に転動可能に支持する前上がり傾斜状の傾斜支持面74となっている。
【0053】
つまり、支持部材72の対向部73の傾斜支持面74上に規制体71が載置され、この載置された規制体71が傾斜支持面74上においてばね16と係合しない非係合位置とばね16と係合する係合位置との間で転動可能となっている。なお、第2の実施の形態におけるその他の構成は、前記第1の実施の形態と基本的に同じである。
【0054】
そして、図12および図13に示すように、通常時には、規制球である規制体71は、ばね16と係合しない非係合位置に位置して開閉扉5の収納本体4に対する回動、換言すると第2体12の第1体11に対する回動を許容する許容状態になっている。つまり、規制体71は、支持部材72の傾斜支持面(傾斜部)74の下側部分にて支持され、ばね16から離れた状態となっている。
【0055】
このため、例えば食器等の被収納物を収納本体4内に出し入れするために、開閉扉5を収納本体4に対して開方向および閉方向に回動させることが可能である。
【0056】
ここで、例えば地震等によって震動が発生すると、図14に示すように、規制体71は、その震動を感知して支持部材72に対して右方向へ所定量だけ移動(転動)することによって、開閉扉5の回動を許容する許容状態から開閉扉5の回動を規制する規制状態となる。
【0057】
つまり、規制体71は、その自重に抗して支持部材72の傾斜支持面74に沿って非係合位置から係合位置まで前方向(前斜め上方)に転動(上動)し、その結果、その規制体71がアーム部材21の連結板部24とばね16の第2当接部62との間に挿入される。
【0058】
このため、震動に基づいて開閉扉5が開方向に回動しようとしても、規制体71とばね16の第2当接部62とが互いに係合し、この係合によってばね16が凸状部63にて押圧されても弾性変形できず、その結果、第2連結体14の第1体11に対する回動が規制され、これにより開閉扉5の収納本体4に対する開方向の回動が規制される。
【0059】
なお、震動が停止すると、規制体71がその自重によって傾斜支持面74に沿って係合位置から非係合位置まで後方向(後斜め下方)へ転がり降りるように転動(下動)し、規制状態からもとの許容状態に自動復帰する。
【0060】
そして、この第2の実施の形態に係る蝶番装置6でも、震動時に規制体71によって開閉扉5の収納本体4に対する開方向への回動を適切に規制でき、よって収納本体4内からの被収納物の飛び出しを適切に防止できる等、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0061】
また、開閉扉5の回動を規制する規制体71が1個の球状部材のみで構成されているため、構成が簡単であるばかりでなく、L字棒状の規制体13に比べて球状の規制体71の動きがスムーズであり、被収納物の飛び出しをより一層適切に防止できる。
【0062】
なお、上記いずれの実施の形態においても、第1体11内に可動可能に設けられた規制体13,71が、所定以上の重量を有して感震動作する感震体を兼ねたものには限定されず、例えば規制体と感震体とをそれぞれ別部材で構成してもよい。
【0063】
また、第1体11と第2体12とが複数の連結体14,15にて連結された構成には限定されず、例えば1枚の連結板や1本の連結軸等にて第1体11と第2体12とが互いに連結された構成でもよい。
【0064】
さらに、ばね16を内蔵した構成には限定されず、ばねを有しない構成の蝶番装置でもよく、この構成の場合には例えば通常のばね付き蝶番とともに併用する。
【0065】
また、例えば取付ベース9を用いずに、第1体11が収納本体4の側板部8に直接取り付けられる構成でもよい。
【0066】
さらに、第1体11を取り付ける第1部材は側板部8以外でもよく、同様に第2体12を取り付ける第2部材は開閉扉5以外でもよく、また、規制体は震動時に第2部材の第1部材に対する相対的な回動を規制するものでもよい。
【0067】
なお、上記いずれの実施の形態等においても、震動時に規制体による回動規制で開閉扉5の閉状態が維持された状態で、収納本体4内の被収納物が開閉扉5の裏面に凭れ掛かった場合、すなわち、被収納物が開閉扉5の裏面を開方向へ付勢した場合には、規制体と連結体(または付勢体)との係合が解除されず、震動が停止しても、規制体の規制状態が維持される。しかしこのような場合でも、開閉扉5を一旦静かに閉めることにより、被収納物による開閉扉5の付勢を解除すれば、規制体が自重で規制状態から許容状態に復帰するため、開閉扉5を通常通り開閉できる。
【符号の説明】
【0068】
4 第1部材である収納本体
5 第2部材である開閉扉
6 蝶番装置
11 第1体
12 第2体
13,71 規制体
14 連結体である第2連結体
16 付勢体であるばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14