特許第6407662号(P6407662)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407662
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】微粉砕装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 13/18 20060101AFI20181004BHJP
   B02C 13/28 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   B02C13/18 Z
   B02C13/28 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-221694(P2014-221694)
(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公開番号】特開2016-87501(P2016-87501A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】309014610
【氏名又は名称】スカイミルネードジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111855
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 好昭
(72)【発明者】
【氏名】細野 泰弘
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5558060(JP,B2)
【文献】 特開平04−334560(JP,A)
【文献】 特許第3813605(JP,B2)
【文献】 実開昭55−119142(JP,U)
【文献】 特開平11−33425(JP,A)
【文献】 特開平9−24285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 13/00−13/31
B02C 18/00−18/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、前記ケーシング内に配置された回転体と、前記回転体を回転中心軸を中心に回転駆動する駆動装置と、前記ケーシングに形成された前記回転中心軸を中心とする円形状の開口部を覆うように前記ケーシングに取り付けられた外装体と、前記外装体に貫通して取り付けられているとともに前記開口部に一方の開口端が挿入されて前記ケーシング内に被粉砕物を供給する筒状体と、前記開口部から前記ケーシング外に放出された微粉体を回収する回収手段とを備え、前記筒状体から前記ケーシング内に投入された被粉砕物を前記回転体の回転動作により微粉砕するとともに微粉砕された微粉体を旋回気流により前記開口部から前記ケーシング外に放出して回収する微粉砕装置において、前記回転体は、中心部に開口が形成された複数の回転部材と、前記駆動装置の回転駆動軸に取り付けられるとともに前記回転部材を前記回転中心軸方向に所定間隔を空けて支持して複数の前記回転部材の間に前記回転部材の中心部の開口から前記回転部材の外周縁部までを連通する空隙が形成されるように設定する支持部材とを備えており、前記筒状体の前記開口端は、前記回転部材の前記開口に挿入されており、前記筒状体から供給された被粉砕物が前記回転体に衝突することなく前記ケーシング内に投入される微粉砕装置。
【請求項2】
前記回転部材には、表面に突起部が形成された回転板が含まれている請求項1に記載の微粉砕装置。
【請求項3】
前記ケーシング内には、前記駆動装置と前記回転体との間に回転羽根が前記回転駆動軸に取り付けられている請求項1又は2に記載の微粉砕装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記回転駆動軸に取り付けられる中心部から複数の支持バーが放射状に延設された支持フレームを備えている請求項1から3のいずれかに記載の微粉砕装置。
【請求項5】
前記筒状体の前記開口端には、周端部から外方に向かって突出するフランジ部が形成されている請求項1から4のいずれかに記載の微粉砕装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そば、米、麦、トウモロコシ、豆等の穀物、胡桃、アーモンド、コーヒー豆等の木の実、茶葉といった食材等の被粉砕物を微粉砕化する微粉砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した食材を微粉砕する方法としては、古来より石臼などの道具が用いられてきたが、生産効率の面からボールミル、震動ミル、ハンマーミル等により機械化して量産化が図られている。しかし、こうした粉砕方法は、粉砕時に摩擦熱が発生し、その熱により水分の蒸発等が生じて穀物が変質することが多く、特に、細かい微粉体を得るためには長時間の粉砕が必要となって、熱の影響は大きくなる。また、機械部品の摩耗による異物混入のおそれもある。このような機械的な粉砕の問題点を考慮して、空気流を用いて粉砕する方法が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ケーシング内に配置された回転体の回転動作により発生した旋回気流が調整口から外装体内に流出するとともに外気が下降気流となってケーシング内に流入する気流の流れが形成されて、管体に投入された穀物が下降気流に乗ってケーシング内に導入され回転体の回転動作により微粉砕されて調整口から微粉体が旋回気流に乗ってケーシング外に放出される穀物微粉砕装置が記載されている。また、特許文献2では、開口部が形成されたケーシング内に回転体を収容し、管体からケーシング内に被粉砕物を投入して回転体の回転により被粉砕物を微粉砕する微粉砕装置において、回転体の取付部材及び支持台部材に回転中心軸方向に連通路を形成して、形成された連通路に管体より供給された被粉砕物を通過させて回転羽根に対してケーシングに形成された開口部とは反対側の空隙に投入するようにした点が記載されている。また、特許文献3では、投入管から回転羽根車の下円盤上に投入された被粉砕物を、電動モータにより高速回転される回転羽根車により、回転羽根車内を羽根等に衝突させつつ回転羽根車の外周方向に搬送し、旋回路ケーシングの内周面に沿って流れる高速旋回気流層によりさらに粉砕して上円盤の上側を流れる排気流により旋回路ケーシングの中心部に搬送し、微粉を回収ケース内に回収する点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3813605号公報
【特許文献2】特許第5558060号公報
【特許文献3】特開平9−24285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された穀物微粉砕装置では、投入された食材が、例えば、大豆や米といった硬い食材の場合には、投入する際に回転体に衝突すると反発力により飛散して微粉砕されずに粗粉のまま放出されることが生じる。こうした粗粉が微粉砕された粉体とともに排出されると、製造された粉体は粒度の揃っていない品質の劣化したものとなってしまう。
【0006】
特許文献2では、特許文献1に記載された装置に比べて粒度の揃った良好な品質の粉体が得られるものの、米のような穀物に対しては、回転体の回転動作中に粉砕されずにそのまま放出される場合があり、また長時間の処理による熱の影響が避けられず、安定した微粉砕処理を行うことが難しいといった課題がある。特許文献3では、回転羽根車の高速回転に伴う熱が内部に籠りやすく、熱により変質しやすい食材の場合には品質劣化が避けられない。
【0007】
そこで、本発明は、こうした課題に対応して、投入された被粉砕物が確実に微粉砕されて粒度の揃った高品質で熱による変質のほとんどない微粉体を安定して得ることができる微粉砕装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る微粉砕装置は、ケーシングと、前記ケーシング内に配置された回転体と、前記回転体を回転中心軸を中心に回転駆動する駆動装置と、前記ケーシングに形成された前記回転中心軸を中心とする円形状の開口部を覆うように前記ケーシングに取り付けられた外装体と、前記外装体に貫通して取り付けられているとともに前記開口部に一方の開口端が挿入されて前記ケーシング内に被粉砕物を供給する筒状体と、前記開口部から前記ケーシング外に放出された微粉体を回収する回収手段とを備え、前記筒状体から前記ケーシング内に投入された被粉砕物を前記回転体の回転動作により微粉砕するとともに微粉砕された微粉体を旋回気流により前記開口部から前記ケーシング外に放出して回収する微粉砕装置において、前記回転体は、中心部に開口が形成された複数の回転部材と、前記駆動装置の回転駆動軸に取り付けられるとともに前記回転部材を前記回転中心軸方向に所定間隔を空けて支持して複数の前記回転部材の間に前記回転部材の中心部の開口から前記回転部材の外周縁部までを連通する空隙が形成されるように設定する支持部材とを備えており、前記筒状体の前記開口端は、前記回転部材の前記開口に挿入されており、前記筒状体から供給された被粉砕物が前記回転体に衝突することなく前記ケーシング内に投入される。さらに、前記回転部材には、表面に突起部が形成された回転板が含まれている。さらに、前記ケーシング内には、前記駆動装置と前記回転体との間に回転羽根が前記回転駆動軸に取り付けられている。さらに、前記支持部材は、前記回転駆動軸に取り付けられる中心部から複数の支持バーが放射状に延設された支持フレームを備えている。さらに、前記筒状体の前記開口端には、周端部から外方に向かって突出するフランジ部が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のような構成を備えることで、管体から供給された被粉砕物が円筒部材を通過して回転体に衝突することなくケーシング内に投入されるので、投入された被粉砕物が確実に微粉砕されて粒度の揃ったものとなる。また、回転体の複数の回転部材を回転中心軸方向に所定間隔を空けて支持して、回転部材の間に中心部の開口から外周縁部までを連通する空隙を形成して回転部材の間に気流が生じるように設定されているので、粉砕された微粉体の堆積を抑制するとともにケーシング内部の放熱効果を高めて高品質で熱による変質のほとんどない微粉体を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】微粉砕装置に関する概略断面図である。
図2】回転羽根に関する平面図である。
図3】回転体に関する平面図及び側面図である。
図4】回転体の支持フレームに関する平面図である。
図5】回転体に取り付けられる回転羽根に関する平面図である。
図6】回転体に取り付けられる回転板に関する平面図である。
図7】回転板の突起部の変形例に関する側面図及び平面図である。
図8】回転体の変形例に関する側面図である。
図9】円筒部材に関する平面図、側面からみた断面図及び底面図である。
図10】装置の動作状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。図1は、微粉砕装置に関する概略断面図である。微粉砕装置1は、支持部3の上部に設けられた載置台30の上面にケーシング2が載置固定されており、支持部3の内部には、載置台30の下面に駆動装置である駆動モータ4が固定されている。支持部3には、複数個のキャスター付きの支持脚31が設けられている。駆動モータ4の回転駆動軸40は、載置台30に形成された穴部を通して上方に向かってケーシング2内に突出するように設けられている(以下の記載では、回転駆動軸40の回転中心軸を単に「回転中心軸」と称する)。
【0012】
ケーシング2内には、回転羽根5及び回転体6が収容されており、回転羽根5及び回転体6は、載置台30を貫通してケーシング2内に突設された回転駆動軸40と連結している。そして、回転羽根5は、載置台30と回転体6との間に配設されている。ケーシング2は、上方に円形の開口部20が形成されており、開口部20以外の部分については気密な構造になっている。また、開口部20の中心は、回転中心軸と一致するように設定されている。
【0013】
ケーシング2は、円筒状の本体部21の内周面が回転羽根5の外側先端との間に所定間隔を空けるように設定されている。また、本体部21から開口部20に向かって次第に縮径するように連続した曲面形状の周縁部22が形成されており、周縁部22の内周面は、丸みを帯びた形状に形成されている。なお、周縁部22の内周面の形状は、微粉砕する材料に応じて適宜変更することが可能で、例えば、角ばった形状にすることもできる。
【0014】
開口部20は、回転羽根5の回転範囲よりも小さい口径に設定されており、その上部には外装体7が上方から覆うようにケーシング2に気密に取り付けられている。この例では、開口部20の周縁と密着するように外装体7が取り付けられている。
【0015】
回転体6は、中心部に開口が形成された複数の回転部材と、これらの回転部材を回転中心軸方向に所定間隔を空けて支持する支持部材とを備えている。支持部材は、回転駆動軸40に取付固定された支持フレーム60を備えており、支持フレーム60の中心部から放射状に延設された複数の支持バーの先端部には、回転中心軸方向に所定間隔を空けて複数の回転部材が取り付けられている。この例では、回転部材として、1枚の回転羽根61及び2枚の回転板62が取り付けられている。回転板62の表面には、回転中心軸から半径方向に沿って配置された複数の突起部が設けられている。回転部材である回転羽根61及び回転板62の中心部は開口しており、後述する円筒部材84が挿入されるようになっている。また、所定間隔を空けて取り付けられた回転部材の間には、中心部の開口から外周縁部までを連通する空隙が形成されて空気の流れを遮るものがなくなり、高速回転中に開口した中心部から外周縁部に向かって気流が生じて、粉砕処理された微粉体がスムーズに流れて堆積することが抑制される。
【0016】
外装体7には、被粉砕物を装置内部に供給するための筒状体8が取り付けられている。筒状体8は、円筒状の管体80を備えており、管体80は、外装体7の上部を貫通するように気密に取り付けられて固定されている。管体80の中心軸は、回転中心軸とほぼ一致するように設定されている。筒状体8の上側開口端となる管体80の上端開口部には投入口部81が設けられており、投入口部81は、漏斗状に形成されて被粉砕物を供給しやすくなっている。管体80の下端開口部82には、円板状のカバー部材83が固定されている。カバー部材83は、中心部に下端開口部82に対応する開口が形成されており、管体80の中心軸と直交するように取り付けられている。カバー部材83は、開口部20の内径よりも大きい外径の外周縁に形成されており、ケーシング2内に挿入されて周縁部22に対向する位置に配置されている。そして、カバー部材83の外周縁は、周縁部22の内周面との間に所定の間隔を空けて配置されており、カバー部材83は、回転体6の最上部の回転部材を覆うように設定されている。
【0017】
カバー部材83の下面には、円筒部材84が取り付けられており、円筒部材84の中心軸が管体80の中心軸と一致するように設定されている。円筒部材84は、回転体6の複数の回転部材の中心部における開口により形成された開口部に挿入されて取り付けられており、円筒部材84の内部には、支持フレーム60の中心部を覆う蓋状体85が複数の連結バーにより支持されて設けられている。筒状体8の下側開口端となる円筒部材84の下端には、周端部から外方に向かって延設されたフランジ部が形成されており、回転体6の中心部に形成された開口部との間の隙間を覆うようになっている。
【0018】
筒状体8は、下側開口端が回転体6の開口部に挿入されているので、被粉砕物を回転体6に衝突させることなくケーシング2内の底部までスムーズに投入することができ、ケーシング2内で粉砕中の被粉砕物が未粉砕の状態で外装体7に向かって飛散するのを抑止することが可能となる。また、開口部20にカバー部材83を配置することで、ケーシング2内に生じる旋回気流を外装体7に向かってスムーズに誘導して、旋回気流が回転体6の中心部に還流することを抑制する。なお、カバー部材83のサイズや形状は、微粉砕する材料に応じて変更することができる。
【0019】
外装体7の側面には排出管9が接続されており、外装体7の内部に放出された微粉体は排出管9に取り付けられた図示せぬ吸引装置により吸引されて回収されるようになっている。排出管9の取付位置は外装体7のいずれの位置でもよく、粉砕された微粉体の特性に応じて効率よく回収できる位置に設定すればよい。
【0020】
ケーシング2及び外装体7を開口部20を介して接続した内部空間は、排出管9及び筒状体8以外には外部に連通する部分のない気密な構造となっている。なお、排出管9から吸引する場合に吸引による内部空間の減圧状態によっては外装体7の適当な位置に微小な空気穴を形成するようにしてもよい。
【0021】
図2は、回転羽根5に関する平面図である。回転羽根5は、中心部5bから放射状に延設された複数の羽根部5aを備えており、中心部5bには、回転駆動軸40に嵌合する取付孔5cが形成されている。羽根部5aは、その先端とケーシング2の内周面との間にわずかな隙間が形成されるように設定されている。
【0022】
回転羽根5は、回転体6とケーシング2の底面との間に配置されており、回転羽根5が高速回転することによりケーシング2内に旋回気流を発生させる。羽根部5aの形状は、この例では、平板状に形成されているが、平面形状以外にプロペラ状にわずかに捻りを加えた形状にしてもよく、微粉砕処理の状態に応じて適宜変更することもできる。
【0023】
図3は、回転体6に関する平面図(図3(a))及び側面図(図3(b))である。また、図4は、回転体6の支持フレーム60に関する平面図であり、図5は、回転体6に取り付けられる回転羽根61に関する平面図であり、図6は、回転体6に取り付けられる回転板62に関する平面図である。支持フレーム60は、中心部60aから放射状に延設された4本の支持バー60bを備えており、中心部60aには、回転駆動軸40に嵌合して取り付けられる取付孔60cが形成されている。そして、支持バー60bは、回転中心軸を中心に半径方向に沿って同じ長さで延設されている。支持バー60bの先端部には、リング状の装着部60dが設けられており、挿着部60dには円形の挿入孔60eが形成されている。4つの挿入孔60eは、回転中心軸を中心に描かれる円の円周上において90度ずつずれた位置に設定されている。
【0024】
なお、支持フレーム60に設けられる支持バー60bは、4本以外の本数を設けてもよく、例えば、3本又は5本以上にすることもできる。また、支持バーの先端部を円形のリング状の枠体で一体化すれば、リング状の枠体と中心部60aとを2本の支持バーで連結することも可能で、複数の支持バーにより構成することもできる。リング状の枠体を設ける場合には、挿入孔60eの形成位置を支持バーとは関係なく設定することができる。
【0025】
このように、支持フレーム60の中心部60aの周囲に筒状体8から投入される被粉砕物が回転羽根5側に通過する空隙をできるだけ広く形成することで、投入された被粉砕物が支持フレーム60に衝突して跳ね返ることを抑止することができる。
【0026】
この例では、回転部材として、1枚の回転羽根61及び2枚の回転板62が回転中心軸方向に所定間隔を空けて支持フレーム60に取り付けられている。各回転部材は、回転中心軸と直交して互いに平行となるように設定されており、中心部に円形の開口が形成されている。
【0027】
回転羽根61は、中心部61bから放射状に延設された複数の羽根部61aを備えており、中心部61bには、円形の開口61cが形成されている。開口61cの周縁には、支持フレーム60の挿入孔60eに対応する位置に取付孔61dが形成されている。開口61cは、回転中心軸を中心に描かれる円に沿って形成されており、筒状体8の円筒部材84が挿入された場合に、円筒部材84の外周面との間に所定の間隔が空くように設定されている。
【0028】
2枚の回転板62は、サイズの異なる2枚の回転板からなり、図6(a)には小さいサイズの回転板に関する平面図を示しており、図6(b)には大きいサイズの回転板を示している。大きいサイズの回転板は、その外周縁とケーシング2の内周面との間にわずかな隙間が形成されるように設定されており、小さいサイズの回転板は、大きいサイズの回転板よりも小さい外径となるように設定されている。
【0029】
回転板62は、中心部に開口が形成されたリング状の板状体からなる基体部62aを備えており、基体部62aには、周方向に所定角度ずつずらして複数の突起部62bが配置されている。各突起部62bは、回転中心軸に対して半径方向に沿うように回転中心軸から等距離に設定されている。突起部62bは、所定の厚さで細幅の突条体62cを長手方向に配置された複数のボルト62dにより固定して構成されている。ボルト62dは、突条体62c及び基体部62bを貫通して、先端部が基体部62bの反対側に突出し、突出した先端部にナットを螺合して締付固定されている。そのため、突起部62bは、回転板62の一方の片面において突条体62c及びボルト62dの頭部からなる突起が突設しており、他方の片面においてボルト62dの先端部及びナットが突設している。なお、突条体62cを基体部62bに溶接等により取付固定することで、ボルト及びナットを用いることなく突起部62bを構成することもできる。また、ボルトの頭部と同じ六角形状の角柱部品を薄板状の突条体に貫通するように取付固定した突起部用部材を作成し、突起部用部材を基体部に形成された角柱部品と同形状の複数の取付孔に挿着して固定することで、図6に示す突起部62bと同様に、六角形状の突起が回転板62の両面に突出するように構成することができる。このような突起部用部材を用いることで、両面に突出する突起の形状及び向きをすべて揃えることが可能となり、粉砕効率をさらに向上させることができる。
【0030】
図7は、回転板62の突起部の変形例に関する側面図(図7(a))及び平面図(図7(b))である。この例では、突起部62b’は、突状体62c’を凹凸加工して平面視四角形状の複数の突起62d’が形成されている。そして、突起部62b’を回転板62の両面の対向する位置に配置し、ビス等の固定手段により取付固定している。突起部62’をこのような一体形状に形成することで、複数の突起の形状及び向きを揃えることができ、粉砕効率をさらに向上させることが可能となる。
【0031】
基体部62aの外周部には、突起部62bの間に切欠き部62eが形成されており、基体部62aの中心部には、開口62fが形成されている。切欠き部62eの間の周方向の間隔は、突状体62cを中心に配置してほぼ同じ間隔となるように設定されている。また、切欠き部62eは、小さいサイズの回転板ではほぼ同じ幅で半径方向に切欠いて形成されており、大きいサイズの回転板では半径方向にテーパ状に幅が狭くなるように切欠いて形成されている。開口62fは、回転中心軸を中心に円形に形成されており、回転羽根61の開口61cと同じ大きさに設定されている。開口62fの周縁には、支持フレーム60の挿入孔60eに対応する位置に取付孔62gが形成されている。
【0032】
回転体6を組み立てる場合には、支持フレーム60の挿入孔60eに固定部材である支持ボルト63を挿入し、支持ボルト63に回転羽根61の取付孔61dを挿入して回転羽根61を支持フレーム60に挿着する。そして、間隔保持部材64を支持ボルト63に挿着して回転羽根61を支持フレーム60に取り付ける。間隔保持部材としては、円筒状のスペーサや長ナットといったものを用いることができる。
【0033】
次に、小さいサイズの回転板62を突条体62cが回転羽根61側となるようにして取付孔62gを支持ボルト63に挿入し、小さいサイズの回転板62を支持フレーム60に挿着する。回転羽根61と回転板62との間には、間隔保持部材64により所定の間隔が保持されるように設定される。そして、間隔保持部材64を支持ボルト63に挿着して回転板62を支持フレーム60に取り付ける。大きいサイズの回転板62についても、小さいサイズの回転板62と同様に支持フレーム60に挿着して、小さいサイズの回転板62との間に所定の間隔を保持した状態に設定する。そして、回転板62から突出した支持ボルト63の先端部に固定ナット65を螺着して締付固定し、支持フレーム60に回転羽根61及び回転板62を一体化した状態に設定する。回転体6の中心部には、回転羽根61の開口61c及び回転板62の開口62fが平面視で重なり合って開口部が形成されており、回転羽根61の羽根部61a及び回転板62の突起部62bが平面視で互いに対向する位置に設定される。
【0034】
回転体6に取り付ける複数の回転部材の種類及び枚数は、被粉砕物の特性に応じて適宜選択すればよく、回転部材の間の間隔も間隔保持部材64の長さにより適宜変更することができる。また、回転部材として用いる回転羽根の羽根部の形状は、平面形状以外にプロペラ状にわずかに捻りを加えた形状にしてもよく、微粉砕処理の状態に応じて適宜変更することができる。
【0035】
また、上述した例では、回転部材の支持部材として、支持フレーム60、支持ボルト63、間隔保持部材64及び固定ナット65を用いているが、回転部材を所定間隔を空けて支持して回転部材の間に中心部の開口から外周縁部までを連通する空隙を形成して空気をスムーズに流れるようにすることができればよく、こうした部材以外のものを用いることも可能である。例えば、支持ボルトに代えて支持ピンを支持フレームに溶接一体化したものを用いたり、支持フレームを交差する2つの枠体を組み合せて構成し、それぞれの枠体をコ字状に形成して回転部材を支持することもできる。
【0036】
図8は、回転体6の変形例に関する側面図である。図8(a)は、回転部材として回転板62のみを用いた例を示しており、複数の回転板62は、突条体をボルト及びナットにより固定した突起部を備えている。この例では、米のような被粉砕物に好適である。なお、ボルト及びナットを用いた突起部に代えて図7に示す突起部を取り付けた回転体を用いることもできる。図8(b)は、回転部材として回転板62’のみを用いた例を示しているが、回転板62’は、突条体を溶接等により固定した突起部を備えている。そのため、回転板62’の片面のみに突起部が形成されている。この例では、ヨモギのような被粉砕物に好適である。図8(c)は、回転部材として回転羽根61のみを用いた例を示している。この例では、茶葉のような被粉砕物に好適である。
【0037】
このように、回転体6に取り付ける複数の回転部材の構成を微粉砕処理の状態に応じて適宜変更することで、最適な微粉砕処理を行うことができる。
【0038】
図9は、円筒部材84に関する平面図(図9(a))、側面からみた断面図(図9(b))及び底面図(図9(c))である。円筒部材84の下端部の内周面には、内部に収容された蓋状体85を支持する4本の連結バー86が設けられており、ドーム状の蓋状体85は、その中心が円筒部材84の中心軸と一致するように連結バー86により取り付けられている。円筒部材84の上面には、カバー部材83に取付固定されるリング状の取付部87が設けられており、取付部87の中心部には、カバー部材83の中心部に形成された円形状の開口に対応した円形状の開口が形成されている。円筒部材84の下端には、周端部から外方に向かって突出するフランジ部88が形成されており、回転体6の中心部に形成された開口部との間の隙間を覆うようになっている。
【0039】
円筒部材84の上面に形成された開口を通過して投入された被粉砕物は、蓋状体85と円筒部材84の内周面との間に形成されたリング状の空間を通過するようになる。その際に、蓋状体85により回転駆動軸40及び回転体6の支持フレーム60の中心部が覆われているため、投入された被粉砕物が跳ね返ってケーシング2の外に飛散することが防止される。また、円筒部材84の下側部分は、回転体6の開口部内に収容されているため、円筒部材84内を通過した被粉砕物は、回転体6に衝突することなくケーシング2の底部に誘導されるようになる。また、円筒部材84を通過した被粉砕物が支持フレーム60又は回転羽根5に衝突して跳ね返った場合にも、フランジ部88により上方に飛散することが防止されて確実にケーシング2の底部に投入されてケーシング2内で微粉砕処理される。
【0040】
図10は、装置の動作状態を示す概略断面図である。まず、駆動モータ4の回転駆動を開始し、3000rpm〜7200rpmで高速回転させる。そうすると、回転羽根5及び回転体6が高速回転してケーシング2内に旋回気流が発生し、開口部20とカバー部材83との間から旋回気流が外装体7内に噴出するようになる。一方、筒状体8から外気が流入して下降気流が発生し、筒状体8の下端からケーシング2内に流入するようになる。排出管9から外装体7内の空気を吸引するため、開口部20から噴出した旋回気流は排出管8を通り外部に排出される。
【0041】
こうした気流の流れが形成された後、筒状体8の投入口部81に図示せぬ投入調整装置から所定量の被粉砕物を順次供給する。供給された被粉砕物は、下降気流に乗って管体80及び円筒部材84内を通過してケーシング2内に導入される。円筒部材84内を通過した被粉砕物は、円筒部材84の内周面と蓋状体85との間のリング状の空間を通ってケーシング2内に投入される。そのため、供給された被粉砕物は、回転体6に衝突して跳ね返ることなく回転羽根5に向けて投入されるようになり、ケーシング2内の底部に確実に供給されて微粉砕されるようになる。
【0042】
投入された被粉砕物は、回転羽根5により撹拌されて旋回気流とともに巻き上げられて回転体6により微粉砕される。回転体6では、回転羽根61及び回転板62が所定間隔を空けて支持されているため、回転羽根61及び回転板62の間に中心部の開口から外周縁部までを連通する空隙が形成されて気流が常時生じるようになり、回転羽根61及び回転板62の表面に被粉砕物が付着して堆積することが抑制される。また、回転体6内を気流がスムーズに抜けるようになるため、ケーシング2内部の放熱効果を高めるようになる。そのため、熱の影響を受けずに安定した粉砕処理を行うことが可能となる。
【0043】
また、回転羽根5及び回転羽根61により発生する気流により、被粉砕物が回転羽根61、回転板62及びケーシング2の内周面に衝突して粉砕される気流粉砕処理と、回転板62の突起部62bが回転中に被粉砕物と衝突して粉砕される機械粉砕処理とが並行して行われるようになる。機械粉砕処理では、回転板62には突起部62bの間に切欠きがないため被粉砕物が回転板62の間に滞留しやすくなって、機械粉砕処理が効率よく行われる。
【0044】
被粉砕物は、気流粉砕処理及び機械粉砕処理により微粉砕され旋回気流によりケーシング2の内周面21に向かって移動するようになる。その際に、遠心力により粒径の小さい粒子は軽いため本体部21の内周面の近傍まで移動するが、粒径の大きい粒子は重いため回転羽根61及び回転板62に衝突してさらに微粉砕される。被粉砕物は回転羽根5に対して開口部20と反対側に投入されているため、粒径の大きい粒子は回転羽根5及びカバー部材83に遮られて開口部20から飛び出ることはない。そして、粒径が小さく微粉化された粒子だけがケーシング2の内周面と回転羽根5及び回転体6の先端との間の隙間に集まり、所定の粒径にまで小さくなって軽くなった微粉体が本体部21から周縁部22の内周面に沿って流れる旋回気流に乗って上方に移動して開口部20とカバー部材83との間から外装体7に放出されるようになる。放出された微粉体は排出管9を通して吸引されて回収される。
【0045】
回転羽根5の回転により生じる旋回気流がケーシング2から外装体7に向かって流れるようになるが、カバー部材83を開口部20に設けることで、外装体7からケーシング2へ還流する気流の流れを阻止するようになるため、ケーシング2内が減圧状態となって内部温度の上昇が抑えられるようになり、微粉砕処理を長時間安定して行うことができる。
【0046】
回転羽根5及び回転体6の高速回転に伴い発生する熱は筒状体8内を下降して流入する外気により冷却されるが、常時ケーシング2の周囲を冷却すれば、ケーシング2内の温度上昇をさらに抑えることができる。したがって、熱に弱い被粉砕物の場合でも容易に微粉砕することができ、食材の場合には風味が熱により損なわれることがなくなる。
【0047】
以上説明した例では、駆動モータ4をケーシング2の下側に設けて回転中心軸を上下方向に設定するようにしているが、回転中心軸を水平方向に設定して装置を構成することもできる。例えば、支持部3の載置台30を上下方向に沿うように取り付けて、ケーシング2、外装体7及び筒状体8を含む装置全体を図1に示す状態から90度回転して水平方向に配列するように構成すればよい。装置全体を水平方向に配列することで、ケーシング2及び外装体7の内部の清掃等のメンテナンスを容易に行うことができるようになる。また、排出管9を外装体7の下側に接続することが可能となり、得られた微粉体の回収を効率よく行うことができるようになる。
【0048】
また、上述した例では、駆動モータを支持部内に内蔵し、駆動モータの回転駆動軸を直接回転中心軸として用いているが、支持部に外付けで駆動モータを配置し、駆動モータの回転駆動軸と回転中心軸とを伝動ベルト等で連結して回転駆動するように構成することもできる。こうした構成にすることで、支持部及びケーシングの構造をコンパクト化することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る微粉砕装置は、そば、米、麦、トウモロコシ、豆等の穀物類、胡椒、唐辛子等の香辛料類、胡桃、アーモンド、コーヒー豆等の木の実、茶葉類、シイタケ等のきのこ類、昆布等の海藻類といった食材の微粉砕に好適であり、特に、熱により変質しやすい米等の食材に対して好適で、粒度の揃った良好な品質の微粉体を製造することができる。
【0050】
食材以外にも、籾殻、米糠、木材といった植物由来の材料、樹脂材料、セラミック材料、金属材料といった産業資材を微粉砕することもでき、様々な用途に用いられる材料の微粉砕に使用することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1・・・微粉砕装置、2・・・ケーシング、3・・・支持部、4・・・駆動モータ、40・・・回転駆動軸、5・・・回転羽根、6・・・回転体、61・・・回転羽根、62・・・回転板、7・・・外装体、8・・・筒状体、9・・・排出管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10