(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変形部の前面が変形の生じていない部分の前面に比して後方に凹んでいると共に、前記変形部の後面が変形の生じていない部分の後面に比して後方に突出していることを特徴とする請求項1又は2記載の袋体の逆止弁構造。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、袋体の逆止弁構造及びその製造方法に関するものである。
従来から、衣類や食品などの物品を収納する空間を備えた物品収納部を気密状態に密封できる密封袋が存在する。この密封袋には、物品収納部に存在する空気などの各種の気体を袋外部に排出し、その状態を保持するために、物品収納部と袋外部とを通気可能に連結する逆止弁が用いられる。また、コーヒー豆などの穀物を収納する袋にあっては、収納した穀物から発生する気体を袋外部に排出するために、逆止弁が用いられている。
【0002】
この逆止弁は、上記気体の排出に当たって、気体の通過する空間である気流通過空間が開放及び閉鎖されることにより、一方向の気流の通過を許容し、他方向の気流を遮断することができるものである。
本願発明者は、逆止弁に関する多くの発明を行なっているが、その一つの従来例として、特許文献1に記載された逆止弁がある。この逆止弁は、柔軟な樹脂製の外装シートと、複数の弁シートとを備えており、弁シートは、上流側弁シートと下流側弁シートの少なくとも2枚が1組とされ、共に一方側外装シートに対して接着されている。上記上流側弁シートは、上記一方側外装シートに対する接着が上流側でなされ、下流側は上記外装シートに対する可動部分とされている。また、上記下流側弁シートは、上記の接着が下流側でなされ、上流側は上記外装シートに対する可動部分とされている。この可動部分(即ち、上記の上流側弁シート下流側と、上記下流側弁シートの上流側)は、他方側外装シートに対して密着・離反可能とされている。上記1組を構成する各弁シートは、一方側外装シートに接着されており、この一方側外装シートは全面において通気性を有する不織布から構成されている。そして、この逆止弁は、不織布を備えた部分を逆止弁への順流時の流入口として密封袋の内部に配位し、逆止弁からの流出口を密封袋の外部に配位して、用いられる。
【0003】
また、特許文献2及び特許文献3に記載された逆止弁にも、通気性を有する不織布が用いられており、この不織布を備えた部分を順流時の流入口として密封袋の内部に配位し、逆止弁の流出口を密封袋の外部に配位して、密封袋に取り付けられる。
これらの特許文献に開示された逆止弁は、上記のように、いずれも密封袋の内外に渡って逆止弁を取り付けられる。特に、上記の弁シートの可動部分が、実質的に密封袋の外部に位置するように、上記逆止弁は密封袋に取り付けられる。
【0004】
本願発明者は、これらの逆止弁の改良を試み、逆止弁の全体を密封袋の内部に配位することかできるようにした逆止弁の開発を行なおうとした。ところが、逆止弁の全体を密封袋の内部に配位した場合、順流時に逆止弁がうまく作動しないという課題が生じた。詳しくは、順流時には、密封袋の内部の圧力が高まり、逆止弁を通って、密封袋の内部から外部に流体が流出する一方、密封袋の外部から内部への流体の流入を止める逆止弁として実施した場合、密封袋の内部の圧力が高まると、弁シート等の逆止弁を構成する各シートが厚み方向に圧力を受けて、逆止弁全体が密封袋の袋シートに押さえつけられるため、逆止弁を開くことができず、流体が逆止弁を通じて上手く流出することができない場合があった。
【0005】
上記の事情に鑑み、本願発明は、順流時に、流体が良好に弁を開いて通過することができる逆止弁の提供を目的として、特許文献4に記載の逆止弁を開発した。この逆止弁は、弁流路を構成する弁シートとこれに重ねられるシートとの少なくともいずれか一方に、その厚み方向に凹んだ流体導入凹部が形成されたものである。この流体導入凹部は、流路の上下方向において、弁シートの上流端の固定部又はこの固定部よりも上流側位置に設けられる。これによって、弁シート等の逆止弁を構成する各シートが厚み方向に圧力を受けた場合にあっても、流体が流体導入凹部から導入されるため、流体が逆止弁を通じて上手く流出することができるようにしたものである。
【0006】
ところが、この特許文献4の提案は、逆止弁全体が密封袋の袋シートに押さえつけられた際に、各シートに変形が生じることを前提に、たとえ変形が生じた場合でも、流体が流体導入凹部から導入されるようにしたものであり、各シートの変形自体に着目した改良ではなかった。また、流体導入凹部は、押し型によってシートの一方の面に形成されるものであり、凹みの程度はシートの厚み以上に大きくすることが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、順流時に、流体が良好に弁を開いて通過することができる逆止弁構造の提供を目的とするものである。特に、逆止弁全体を密封袋の内部に配置することにより、逆止弁の弁シートの厚み方向に圧力が加わった際に、シートの変形に対応できる袋体の逆止弁構造と、その製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、袋体を構成する袋シートと、前記袋シートに固定されたシート製の逆止弁とを備えた袋体の逆止弁構造に関するものである。
前記シート製の逆止弁は、少なくもと弁シートと、前記弁シートの前方に配置された流路構成シート、前記弁シートの後方に配置された基礎シートとを備える。
【0010】
前記弁シートは、上端側が弁シート固定部によって固定され、下端側が厚み方向に動くことができるものであり、前記弁シート固定部よりも上側に流入口が設けられ、前記弁シート固定部よりも下側に設けられた流出口が設けられる。
前記流路構成シートは、前記弁シート固定部より上側の上流部分と、前記弁シート固定部より下側の下流部分とを備える。前記弁シートは、その厚み方向への動きによって、前記流路構成シートの前記下流部分と接触離反することで、弁の開閉がなされるものであり、前記逆止弁により、前記開口部を通じてなされる前記袋体の内外の流体の流れが制御される。
【0011】
前記弁シート固定部より上側の前記上流部分を含む領域においては、前記逆止弁を構成するシートのうち、少なくとも1枚のシートに変形部が形成される。この変形部は、そのシート自体が、変形の生じていない部分に比して後方に突出しており、前記変形部の前面が変形の生じていない部分の前面に比して後方に凹んでいると共に、前記変形部の後面が変形の生じていない部分の後面に比して後方に突出している。
【0012】
本発明の逆止弁構造にあっては、逆止弁に対して、その厚み方向に圧力が加わった場合にあっても、後方に突出する前記変形部によって、逆止弁を構成する上記のシート自体が前方に突出するように変形することが抑制される。また、たとえ変形が生じたとしても、シート自体が不規則に変形する場合が多いため、シート同士の間に隙間が生じ易くなり、順流時の流体の流れが隙間から生じて、弁を開くことができる。
【0013】
本発明は、少なくとも前記流入口を後方から覆う位置にフィルターシートが配置され、前記流入口を含む領域において、前記逆止弁を構成する全てのシート及び前記袋シートに前記変形部が形成したものとして、実施することができる。
前記変形部は、少なくともその一部が、前記貼り付けシールの前面よりも後方に凹んでいるものとすることができる。
【0014】
また、本発明は、少なくとも前記流入口を後方から覆う位置にフィルターシートが配置され、前記流入口を含む領域において、前記逆止弁を構成するシートのうちの少なくとも前記フィルターシートに前記変形部が形成されたものとして実施することもできる。
また、前記変形部は、前記フィルターシートよりも前方に配置された変形保持部材によって、少なくとも前記フィルターシートが後方に凹むことによって形成されたものとすることができる。
【0015】
また本発明は、前記袋シートに開口部が形成され、前記開口部を後方から覆う位置に貼り付けシールによって前記逆止弁が固定され、前記貼り付けシールは、前記逆止弁の全周にて、前記袋シートと前記逆止弁とをシールしたものであり、前記流入口は、前記逆止弁の前記弁シート固定部よりも上側の領域で後方に開口するものとして実施することができる。
【0016】
前記流入口は、前記逆止弁の前記弁シート固定部よりも下側の領域で前方に開口しており、前記袋内部の圧力が袋外部の圧力よりも高くなった際に、前記袋内部の流体が前記流入口から逆止弁の内部に流入し、前記流路構成シートと前記弁シートとの間を通過して、前記流出口を経て前記開口部から前記袋外部に流出する。
【0017】
また、本発明は、逆止弁構造を備えた袋体の製造方法を提供する。即ち、袋体を構成する袋シートに対してシート製の逆止弁を固定するに際して、開口部が形成された前記袋シートと、前記逆止弁とを用意する。そして、前記開口部を後方位置に前記逆止弁を配置して、貼り付けシールによって前記逆止弁の全周を前記袋体に固定する固定工程を備える。
【0018】
前記逆止弁は、上端側が弁シート固定部によって固定され、下端側が厚み方向に動くことができる弁シートと、前記弁シート固定部を挟んで上側に設けられた流入口と、下側に設けられた流出口と、前記弁シートの前方に配置された流路構成シートと、前記弁シートの後方に配置された基礎シートとを備えるものを用いることができる。前記流路構成シートは、前記弁シート固定部より上側の上流部分と、前記弁シート固定部より下側の下流部分とを備える。前記弁シートは、その厚み方向への動きによって、前記流路構成シートの前記下流部分と接触離反することで、弁の開閉がなされるものであり、前記逆止弁により、前記開口部を通じてなされる前記袋体の内外の流体の流れを制御するものである。
【0019】
前記固定工程は、基板の上に突出部を設け、前記突出部の前方に前記逆止弁の少なくとも前記弁シート固定部より上側の部分が位置すると共に、前記逆止弁の外周が前記突出部のない前記基板の前方に位置するように、前記逆止弁を位置合わせして前記基板の上に配置し、前記逆止弁の上に前記袋シートを配置する。そして、前記袋シートの上から、前記逆止弁の外周と前記袋シートとをシールする。これにより、少なくとも前記流路構成シートの前記上流部分を含む領域において、前記貼り付けシールに比して後方に突出した変形部が形成される。
【発明の効果】
【0020】
本願発明は、順流時に、流体が良好に弁を開いて通過することができる逆止弁構造を提供することができたものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。なお、本願発明に係る請求の範囲や明細書に記載した、「前、後」「表、裏」「上、下、左、右」「縦、横」「一方、他方」などの位置や方向を示す表現は、相対的な位置関係を示すに止まるものであり、これらの態様に限定するものではない。「上流、下流」との表現は、正方向(逆止弁が使用される際に、流体の通過を許容する方向、言い換えれば弁が開く際の流れ方向)を基準としたものである。
【0023】
(全体構成の概略)
この実施の形態に係る袋体の逆止弁構造は、
図1に示す逆止弁1を、
図2に示す袋体2の袋シート3に取り付けた構造である。逆止弁1は、袋シート3に取り付ける際に変形部81が形成されるものであり、
図1では変形部81が形成される前の状態の逆止弁1を図示しており、
図2では変形部81が形成された後の逆止弁1を備えた袋体1を図示している。
袋体2は、柔軟性と気密性を有する袋シート3をその全部又は一部に含み、溶着や接着剤の接着などによって、袋状に形成したものである。袋体2の内部にはコーヒー豆等の被収納物が収納される。焙煎後のコーヒー豆からは気体が放散されるため、コーヒー豆を密封袋に収納した場合、発生した気体を密封袋の外に排出する手段として、逆止弁が用いられる場合がある。この実施の形態は、このコーヒー袋用のシート製の逆止弁1の構造として最適なものを提案する。この逆止弁1は、袋体2の内側、より詳しくは、袋シート3に設けられた開口部4に位置合わせして、袋シート3の内面側に取り付けられている。具体的には、逆止弁1の前面側(
図2(B)の右側の面)が袋シート3の裏面(袋体2の内側となる面)に、貼り付けシール75にて、融着や接着剤による接着などによって固定される。
【0024】
この逆止弁1は、
図2に示すように、貼り付けシール75によって、上下左右の逆止弁1の全周を袋シート3にシールして取り付けられるものである。袋体2内の流体は、
図2(B)の上部の後面側の流入口11から流入し、逆止弁1内の弁流路13を通過し、下部の正面側の流出口12を経て、開口部4から袋体2の外へ流出する。なお、袋体2に取り付けられた状態では、上流の流入口11が上に、下流の流出口12が下に位置するとして説明する。従って、下記の全ての説明では、特に断りがない限り、上、上方、上部などの「上」の位置を示す言葉は、「上流」と読み替えることができ、下、下方、下部などの「下」の位置を示す言葉は、「下流」と読み替えることができる。
【0025】
(各シートの概要)
ここで、
図1及び
図2を参照しながら、各シートの概要を説明する。この逆止弁1は、流路構成シート21、基礎シート31、フィルターシート41と、弁シート51とを備える。さらにこの例では、弁シート51の下方に補助シート61が配置されているが、補助シート61を用いずに実施することもできる。これら4枚のシート(補助シート61を含めて5枚)の横幅(
図1(A)の左右幅)は、互いに等しく設定されている。説明の都合上、各断面図では各シートの厚みと間隔を実際よりも大きく描いているが、実際には各シートは接触した状態で重ねられており、合成樹脂フィルムなどの薄いフィルムの単体又は積層体や、不織布によって構成されている。
【0026】
上記シートの内、流路構成シート21と基礎シート31との2枚が密閉性(気体などの目的とする流体を通過させることなのない)合成樹脂フィルムの単体又は複合体から構成されている。
フィルターシート41は、不織布や織布などの通気性のある(厚み方向に目的とする流体を通過させることができる)シートから構成されている。このフィルターシート41は、被収納物であるコーヒー豆の破片や微細な粉が逆止弁1内に入ることを防止するためものであり、微粉末が発生しない被収納物の場合には、省略して実施することができる。
【0027】
弁シート51は弁の開閉をなすために可動に取り付けられたもので、合成樹脂フィルムの単体又は複合体から構成される。弁シート51は、その厚み方向に動いて弁の開閉をなす点で、流路構成シート21や基礎シート31よりも薄く、柔軟性の高いものを用いることが望ましいが、これに限定して理解されるべきではない。
【0028】
上記の4枚のシートに加えて、逆止弁1の下端に、補助シート61を配置することもできる。この補助シート61は、弁シート51の形状や厚みのバランスを保つために設けられたもので、弁シート51と同じ材質同じ厚みのものを用いることが望ましいが、これに限定して理解されるべきではない。補助シート61と弁シート51とは、製造過程では、同一の1枚のシートによって形成して、両者の間をカットしたり、切除したりして、形成してもよい。
【0029】
これらのシートは、合成樹脂製フィルムを積層したシートを用いることができるが、流路構成シート21の後面側と弁シート51の前面側とに自己密着性のフィルムを配置することによって、両者の密着性を高めることができ、弁流路13における流体の逆流を防止する逆流防止機能が強くすることができる。
【0030】
袋シート3は、被収納物の種類などに応じて種々変更して実施することができるもので、合成樹脂フィルムの単体や積層体、金属フィルムや紙などの他の素材との複合材料製など種々のものを用いることができる。
【0031】
(各シートの位置関係と接着状態)
次に、これらのシートの位置関係と接着状態を説明するが、
図1及び
図2では、背面側を後側、正面側を前側として説明する。
まず最も後側、即ち背面側(
図1(B)及び
図2(B)の左側)に、基礎シート31が配置され、その前にフィルターシート41が配置される。
フィルターシート41の正面側に、弁シート51と必要に応じて補助シート61とが配置され、さらにその正面側に流路構成シート21が配置され、これらによって、逆止弁1が構成されている。この逆止弁1の正面側に袋シート3が配置された状態で、貼り付けシール75によって逆止弁1の全周が袋シート3にシールされて取り付けられる。
【0032】
これらのシートの左右両端は、この種の他の逆止弁と同様、サイドシール74によって互いに接合されている。
この接合は、ヒートシールや超音波シールなどの溶着が好ましいが、接着剤によって行ってもよい(以下、このシールのみならず他のシールにおいても同様)。このサイドシール74は、貼り付けシール75と兼ねることもできる。詳しくは、袋体2に取り付ける前にはサイドシール74を施さない状態としておき、袋シート3に取り付ける時に、貼り付けシール75を施すことで、貼り付けシール75とサイドシール74とを兼ねることもできる。また、サイドシール74を貼り付けシール75と別個に設ける場合でも、サイドシール74を貼り付けシール75よりも細いものにし、サイドシール74を含む位置に貼り付けシール75重ねてシールすることもできる。また、サイドシール74として2本の細いシールを施し、これら2本の細いサイドシールの間をシールのない無シール部分とし、無シール部分に貼り付けシール75を施すようにしてもよい。なお、
図1ではサイドシール74を逆止弁1に形成したものとし、それと同位置に重ねて貼り付けシール75を形成した状態で図示している。
【0033】
基礎シート31とフィルターシート41との関係を説明すると、フィルターシート41は、逆止弁1の略全長に渡って配位されたものであり、フィルターシート41の後面側に基礎シート31が配位されている。この基礎シート31は、
図2(B)に示すように、その上下長さがフィルターシート41よりも短く設定されており、フィルターシート41の上部には基礎シート31が重ねられておらず、フィルターシート41が露出している。フィルターシート41は前述のように通気性があり、この露出した部分が逆止弁1内部への流入口11となる流体通過部である。
【0034】
基礎シート31はフィルターシート41の下部に重ねられ、基礎シート31の上端は、弁シート固定部71によってフィルターシート41へ固定されている。この弁シート固定部71も、前述のサイドシール74と同様、ヒートシールや超音波シールなどの溶着が好ましいが、接着剤によって形成するものであってもよい。弁シート固定部71は、逆止弁1の左右両側(左のサイドシール74と左のサイドシール74との間)を結ぶように形成されたもので、流入口11と開閉する弁流路13との境界となる。またこの例では弁シート固定部71は1本のシールで構成したが、複数本のシールを平行に設けるなどしてもよい。さらにこの弁シート固定部71より下部(下流側)における基礎シート31の全面をフィルターシート41に熱溶着などでシールしておくことによって、逆止弁1に腰を持たせるようにしてもよい。これによって、袋体2内の流体の圧力の変動によって、逆止弁1が前方側(袋体2の外側)に向けて反り返るなどの現象の発生を抑制することができる。
【0035】
基礎シート31の下部は、フィルターシート41の下部に対して(補助シート61を用いた場合には、補助シート61に対しても)、下部シール73によって接合されている。この下部シール73は、逆止弁1の左右両側(左右のサイドシール74間)に渡ってシールされている。この下部シール73も、貼り付けシール75と兼ねることもできるものであり、前述のサイドシール74にて説明した種々の実施形態を採ることができる。
【0036】
基礎シート31は、フィルターシート41の流入口11以外の部分を被覆するものとして実施されており、被覆された部分ではフィルターシート41は、その機能を発揮しない。そのため、図示は略するが、基礎シート31に被覆されたフィルターシート41の下部については、フィルターシート41を一部又は全部について、設けずに実施することができる。言い換えれば、弁シート固定部71よりも上部ではフィルターシート41のみを設け、弁シート固定部71よりも下部では基礎シート31のみを設けるようにしてもよい。なお、弁シート固定部71よりも上部においても基礎シート31を設けて、その一部に流入口11となる開口を形成してもよい。また、弁シート固定部71よりも上部においても基礎シート31を全面に設けて、流路構成シート21との間を一部シールしないことによって、当該シールしない部分を流入口11とすることもできるが、この場合には、貼り付けシール75を当該シールしない部分には施さないようにする必要がある。
【0037】
次に、弁シート51について説明する。弁シート51はその上部(望ましくは最上端)が、弁シート固定部71によって、フィルターシート41及び基礎シート31に対してシールされている。ただし、弁シート51とフィルターシート41とのシール位置と、フィルターシート41と基礎シート31とのシール位置とを異なる位置に設定してもよい。
【0038】
弁シート51は、弁シート固定部71より下方の領域では、フィルターシート41に接着されておらず、弁シート51の厚み方向に動くことができる。なお従来の逆止弁と同様、弁シート51は、その下方の領域をも含めて、その両横は、前述のサイドシール74で固定されているが、その中央の大部分は厚み方向に動くことができ、流路構成シート21に対して接触離反することにより、弁の開閉を行うものである。
【0039】
次に、補助シート61について説明する。補助シート61は、弁シート51との関係で、積層構造とシールのバランスをとるために設けられたもので、弁としての機能を果たさないものであるが、特許文献3や4に示すように、上方に突出させることで、弁としての機能を果たすものとして実施することもできる。
【0040】
補助シート61は、基礎シート31及びフィルターシート41にシールされている。この例では、逆止弁1の下辺に沿った下部シール73で固定されている。ただし、補助シート61とフィルターシート41とのシール位置と、フィルターシート41と基礎シート31とのシール位置とを異なる位置に設定してもよい。
【0041】
この下部シール73は、前述のサイドシール74と同様、貼り付けシール75と兼ねることもできる。詳しくは、袋体2に取り付ける前には下部シール73を施さない状態としておき、袋シート3に取り付ける時に、貼り付けシール75を施すことで、貼り付けシール75と下部シール73とを兼ねることもできる。また、下部シール73を貼り付けシール75と別個に設ける場合でも、下部シール73を貼り付けシール75よりも細いものにし、下部シール73を含む位置に貼り付けシール75重ねてシールすることもできる。また、下部シール73として2本の細いシールを施し、これら2本の細いサイドシールの間をシールのない無シール部分とし、無シール部分に貼り付けシール75を施すようにしてもよい。
【0042】
最後に、流路構成シート21について説明する。流路構成シート21の上部は、上部シール72によって、フィルターシート41の上部にシールされている。この上部シール72も、下部シール73と同様、袋の左右両側(左右のサイドシール74の間)を結ぶように、逆止弁1の上辺に沿って形成されている。また、上部シール72は、前述の貼り付けシール75との関係においても下部シール73やサイドシール74と同様の構成とすることができる。
【0043】
ここで貼り付けシール75についてまとめておくと、貼り付けシール75は、上下左右の逆止弁1の全周を袋シート3にシールしてしまうもので、前述の上部シール72、下部シール73及び左右のサイドシール74と、独立して、共用して、若しくは重複して形成されることができる。貼り付けシール75によって袋シート3の内面に貼り付けられた逆止弁1に対して、袋体2内の流体が、上部の背面側の流入口11から流入する。この流体は、逆止弁1内の弁流路13を通過し、下部の正面側の流出口12を経て、開口部4から袋体2の外へ流出する。
【0044】
(流体の流れ)
この逆止弁1にあっては、流路構成シート21と、これに対向する弁シート51との間が、弁流路13となるものである。弁流路13は、常時は流路構成シート21と弁シート51とが重なっているが、袋体2内の圧力が高まるなどして、流体が流入口11から流入すると、その流体が弁シート51を背面側に動かし、弁流路13が開き流体が流出する。逆方向に流体が流れようとしても、弁シート固定部71によって弁シート51の上部が固定されているため、流入口11及び基礎シート31との間に比して、弁シート51と流路構成シート21との間が負圧となる。その結果、弁シート51が流路構成シート21に密着して、弁流路13が閉じる。したがって流路構成シート21の長さは、上記の弁機能が果たされることを条件に設定されるもので、その下端は、弁シート固定部71よりも下方であって、弁シート51との密着性が確保できる位置に設定される。図の例では、流路構成シート21の下端は、弁シート51の下端よりも下方に設定されているが、同じ位置でもよく、弁シート51よりも上方でもよい。そして、この流路構成シート21の下端は開放されており、この開放箇所が流出口12となるが、この例では、上述のように、逆止弁1の外周が袋シート3に対して貼り付けシール75によって接着されるため、流路構成シート21の下端と、下方の貼り付けシール75(補助シート61の位置にある貼り付けシール75)との間が流出口12となる。なお、流路構成シート21を逆止弁1の下端まで延ばして逆止弁1の全面を覆うものとすることもできる。この場合には、流路構成シート21にスリットや開口穴を設けることによって流出口12を形成すればよい。
【0045】
流出口12から流出した流体は、開口部4から袋体2外に流出する。
図2では、下方の流出口12と略同じ位置に設けられているが、開口部4は貼り付けシール75の内側であればどの位置に設けてもよい。なお、場合によっては、流路構成シート21を設けずに、袋シート3を流路構成シート21と兼用させることもできる。この場合には開口部4が流出口12となるため、開口部4は、弁シート固定部71よりも下方であって、弁シート51と袋シート3との密着性が確保できる位置に設けられる。
【0046】
(変形部81についての説明)
以上の構造の逆止弁1は全周を袋シート3にシールして用いるため、袋体2の内圧が高くなると、
図2(C)の矢印のように、逆止弁1を構成する全シートの全体に圧力が厚み方向に加わる。そのため、流路構成シート21と弁シート51とが密着してしまい、流入口11から流入した流体が弁シート51を動かして弁を開くという、開弁動作が円滑に行われない場合があり、順流における流体の流出性能が低下する。さらに内圧が極めて高くなった場合には、逆止弁1を構成するシートが袋体2の外側方向(前方)に突出するように、反り返ってしまうように変形してしまうこともある。設計者は、逆止弁1を構成するシートが略平面状に重なっていることを通常の使用状態として設計しているが、上記のように反り返ってしまうと、順流における流体の流出性能が低下するなどの弊害の発生が顕著になる。
【0047】
そこで本発明は、逆止弁1及びその前方に重ねられた袋シート3が、袋体2の内側方向(後方)に突出するように、変形させることによって、その弊害の発生防止を行った。詳しくは、流路構成シート21の弁シート固定部71よりも上流部分を含む領域において、当該領域における袋シート3と逆止弁1を構成するシート(フィルターシート41及び流路構成シート21)とをそれぞれ変形させて、それら自体を後方に全体的に突出させた。以下、この変形した部分を、変形部81という。
【0048】
この変形部81は、それらのシート自体が、変形の生じていない部分に比して後方に突出しており、変形部81の前面が変形の生じていない部分の前面に比して後方に凹んでいると共に、変形部81の後面が変形の生じていない部分の後面に比して後方に突出している。
特許文献4の逆止弁では、押し型によって流体導入凹部を形成するため、その凹みの程度はシートの厚みよりも大きくすることは困難であったが、この変形部81は、弁シート固定部71よりも上流部分を含む領域において、シート自体を全体的に後方に突出させるため、突出の程度(言い換えれば、変形部81におけるシートの前面を凹ませる程度)を、比較的自由に設定することができる。
【0049】
このシート自体を突出させる程度は、順流時の流体が弁シート固定部71から弁流路13内に導入できる程度であれば少しであってもよいが、変形部81の中央部分などの少なくともその一部が、貼り付けシール75の前面よりも後方に凹んでいるようにすることが適当である。具体的には、凹み深さは、貼り付けシール75の前面よりも0.5〜3.0mm程度、凹んでいれば足り、10mm以下、より好ましくは5mm以下程度であることが望ましい。
凹み深さが少なすぎると変形させた効果が発揮されないおそれがあり、凹み深さが大きすぎると、逆止弁の機能に悪影響を及ぼすおそれがあるが、このような問題が生じない場合には、上記の数値範囲を超えるものであってもよい。
【0050】
これによって、内圧が極めて高くなった場合にも、逆止弁1を構成するシートが袋体2の外側方向(前方)に突出するように、反り返ってしまうことが緩和され、また変形が生じたとしても、弁シート固定部71よりも下流側に流体が流れやすい状態を保つことができる。
【0051】
より具体的には、袋体2の内側方向(後方)から流体の圧力が加わった場合、逆止弁1は袋シート3に密着しようとする。ところが、変形部81を設けたことによって、
図2(C)の状態から
図2(D)に示す状態へ、不規則に袋体2の外側方向(図では上方)に変形する。これによって、シート同士の間(特に、弁シート51の弁シート固定部71の周辺部分と、流路構成シート21との間)において、隙間が形成される。その結果、この隙間を通って袋体2の内部の流体が弁流路13に導入され、弁シート51と流路構成シート21の下流側領域との間が開かれて、流出口12から円滑に流出する。なお、一度この隙間は僅かなものであれば足りる。というのも、弁シート51と流路構成シート21の下流側領域との間に一旦流体が導入されると、たとえその流体の量が僅かなものであっても、弁シート51と流路構成シート21の下流側領域との間隔は続いて流れる流体によって大きく開かれていくためである。
【0052】
なお、変形部81は、流入口11を中心にシートを後方に突出させることが適当である。順流時の流体の導入の改善は、弁シート固定部71よりも上流側の流入口11の周辺で解決することが適当であり、また、上流側の流入口11の下流側の弁流路13を構成する流路構成シート21及び弁シート51に大きな変形を加えすぎると、逆流を防止する逆流防止機能が低下するおそれが生じるためである。勿論、逆止弁1は、小型化することが求められており、流入口11の大きさも小さな面積を占めるに止まる場合も多いため、変形部81が弁シート固定部71よりも下流側の領域に及ぶことがあってもよい。このように、変形部81の変形は、弁シート固定部71よりも下流側の領域など逆止弁1の全体に及ぶ場合があってよい。但し、弁流路13に対して、求められる逆流防止機能を損なうような、局部的な変形を加えるなどは適当ではないが、逆止弁機を損なうような変形でなければ、変形を加えたものであってもよい。
【0053】
(変形部81の製造例)
この変形部81は、逆止弁1を袋シート3に貼り付ける際に形成する方法と、逆止弁1の製造過程において袋シート3とは別個に形成する方法との、2つの方法を採ることができる。
図3の例では、逆止弁1を袋シート3に貼り付ける固定工程の際に、変形部81を形成する方法を示したものであり、第1工程から第3工程までの各ステップが順次実行される。
【0054】
(第1工程)
この固定工程においては、まず、
図3(A)に示すように、袋体2の製造方法の常法に従って、袋シート3が、基板91に配置される。この袋シート3は、1つの袋体2用に別々に分離した状態で基板91上に配置されることもできるが、連続的な生産を行う場合には、複数個の袋体2を製造するための袋シート3がウエブ状に連続して供給される。この袋シート3は、常法に従ってロール状に巻かれた状態となっており、これを順次繰り出していき、必要な折り曲げや貼り合わせが行われる。なお、図では、袋シート3は1枚のみが描かれているが、2枚のシートを貼り合わせて袋体2を製造する場合には、2つのウエブが供給され、逆止弁1の貼り合わせ後に重ねられて、袋体2が完成する。もちろん、1枚の袋シート3を折り曲げて貼り合わせることにより袋体2を完成させることも可能であり、この場合には1つのウエブのみが供給される。その他、袋体2の形状に応じて袋シート3の使用枚数は貼り合わせ箇所などは種々変更され得るが、逆止弁1が貼り付けられる対象となる袋シート3が基板91上に供給され、自動送り装置(図示せず)によって間歇的にウエブの長手方向に送られる。
【0055】
この基板91は、袋体の製造装置の常法に従い、金属や合成樹脂板や木質板などの硬質な変形しない素材によって構成されており、その表面はウエブの送りが円滑に行われるように平滑な平板状体で構成されている。
この基板91には、変形部81を形成するための突出部92が形成されている。この突出部92は、基板91と同様の硬質な変形しない素材によって構成することができるが、比較的軟質で大きな力が加わると変形するゴムなどの弾性を有する素材によって構成することもできる。
【0056】
突出部92の大きさは、平面視では開口部4よりも小さくすることが望ましく、また、基板91からの突出高さは、前述の変形部81の凹み深さと同程度であれば足りる。但し、この変形部81は、シート自体を完全に塑性変形させるものではないため、加工後に突出部92の高さよりも凹み深さよりも変形部81の突出高さを少し大きくしておくこともできる。
【0057】
この突出部92は、基板91上に完全に固定することもでき、着脱可能に配置することもできる。また、基板91に穴を開けて、この穴から突出部92を出没可能に配置するなどして、その突出高さを調整することができるようにしてもよい。突出部92を逆止弁1の左右幅と同じかそれ以上の長さに渡って設けることもでき、この場合には変形部81も逆止弁1の左右両辺間に伸びる状態で形成される。
【0058】
(第2工程)
次に、
図3(B)に示すように、袋シート3には、突出部92に到達する以前に、逆止弁1を取り付ける予定位置に、開口部4が刃物や金型によって形成される。この開口部4の加工は、ロール状に巻かれる前後何れの段階でも行うことができ、同じ基板91上で突出部92の手前で開口部4の加工を行うようにしてもよい。開口部4と突出部92とが所定の位置関係となっている逆止弁1を取り付ける予定位置にて、袋シート3のウエブの送りは一度停止する。この停止中又は停止の前に、逆止弁1が袋シート3の上方位置に供給される。この逆止弁1も、複数個が連続したウエブ状にしたものであることが連続生産には有利であり、供給前に又は供給中に、さらに場合によっては供給後に、刃物などによって1個ずつの逆止弁1に切り離される。
【0059】
またこの
図3(B)に示したように、逆止弁1が袋シート3の所定の位置に配置されるように、特に袋シート3の開口部4と逆止弁1との位置関係が正確に定まるように、逆止弁1の基礎シート31には、光電管で検知されるための検知用マーク32を印刷などで施しておくことも好ましい。さらにまた、流路構成シート21の後面側(
図3(B)では上側)には、密着性を調整する調整剤層22を形成しておくこともできる。この調整剤層22は、インキやシリコーン樹脂などを塗布しておくことで形成できる。前述のように、流路構成シート21の後面側と弁シート51の前面側とに自己密着性のフィルムを配置した場合、逆流を防止する逆流防止機能が強くなる反面、順流時の弁流路13の開きが悪くなる。そこで、流路構成シート21の上流側の部分に調整剤層22を形成して順流時の弁流路13の開きを促す一方、調整剤層22を流路構成シート21の下流側の部分には形成しないことによって、弁シート51との間での逆流防止機能を有効に発揮させることができる。調整剤層22は、弁シート固定部71よりも上流側に形成するだけでもよく、弁シート51との間での逆流防止機能を有効に発揮させることができることを条件に弁シート固定部71の下流側にも形成してもよい。
なお図では、検知用マーク32と調整剤層22とを
図3(B)にのみ図示したが、他の図でも同じく検知用マーク32と調整剤層22とが形成され得る。
【0060】
(第3工程)
最後に、
図3(C)に示すように、逆止弁1の上方から、先端面が加熱された金型93が降下して、貼り付けシール75を施す。この貼り付けシール75は、従来の逆止弁の取り付け方法を実施する際に用いられるヒートシール用の一般的なもので足り、常法に従い、逆止弁1を基板91に押しつけると共に、その加熱された先端面によって、袋シート3及び逆止弁1を構成する各シートを融着する。その時、逆止弁における変形部81の形成予定位置(具体的には開口部4を中心とする位置)に、突出部92が位置合わせされているため、突出部92によって押し上げられるようにして、各シートが変形した状態で貼り付けシール75が形成される。この変形は、直接熱加工が変形部81の箇所に加えられたものではなく、その周囲の貼り付けシール75の位置でヒートシールされているに止まるため、変形部81における各シート(特に流路構成シート21及び袋シート3)はその柔軟性を維持しており、また、フィルターシート41に目詰まりが生じることもない。なお、突出部92の高さや大きさによって、開口部4以外の部分(具体的には弁シート固定部71)よりも下流側も緩やかな傾斜が生じる場合があるが、逆止弁の機能を損なわないものであれば、差し支えはない。
【0061】
(開口部4との位置関係)
逆止弁1の流出口12と、袋シート3の開口部4の位置関係は、流出口12からの流体が開口部4から外部に流出できるものであれば、特に限定されるものではないが、開口部4を弁シート固定部71よりも上流側に設けると、前述の逆止弁1の反り返りが生じ易いため、この実施の形態では、開口部4は、弁シート固定部71よりも下流側に設けられている。特に、この例では、開口部4は、逆止弁の幅方向に伸びる横切り目5の中央から、逆止弁の長さ方向に伸びる縦切り目6を設けた略T字状をなしているが、横切り目5は、流路構成シート21の下流端及び弁シート51の下流端よりも下流側の位置に設けられ、縦切り目6は、横切り目5から上流側に伸びて流路構成シート21の下流端及び弁シート51の下流端よりも上流側にまで達している。この開口部4は、順流時に弁流路13を流体が通過する際、流路構成シート21と弁シート51との間の間隔が広がり易くするため、T字状に形成されている。即ち、間隔が広がる際に、袋シート3における縦切り目6の両側の部分が左右に分かれて拡げられるものであり、これによって弁流路13を流体が通過し易くすると共に拡がった開口部4からの流体が外部に排出され易くなる。勿論、この開口部4の形状はこれに限定されるものではなく、開口部4となるスリットの形状は適宜変更でき、また、開口部4として面積を有する切り抜き穴を採用することもできる。
【0062】
(他の実施の形態)
次に、
図4を参照しつつ、本発明の第2の実施の形態について説明する。先の実施の形態は、基板91に突出部92を設けることによって、変形部81を形成したものであるが、この実施の形態では、逆止弁1に変形保持部材82を設けることによって、変形部81を形成するものである。なお、この第2の実施の形態は、逆止弁1や袋シート3の構成は先の実施の形態と実質的に同じであるため、相違する部分のみを説明し、他の部分については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0063】
この実施の形態では、
図4(B)に示すように、流入口11が設けられた領域内において、フィルターシート41の前面と基礎シート31の後面との間に変形保持部材82が配置されている。この変形保持部材82は厚み方向に高さを有する部材によって構成することができ、例えば、合成樹脂製、合成繊維製、天然繊維製、木製、金属製、あるいはこれらの複合材料製の糸や線材を用いることができる。この変形保持部材82は、左右のサイドシール74同士の間に渡されて、その両端がサイドシールによって固定される。変形保持部材82は熱融着可能な合成樹脂又は合成繊維を用いることによって、サイドシール74及び貼り付けシール75を施すことで固定することができるが、熱融着が不可能な素材であっても、サイドシール74及び貼り付けシール75を施すことでシール部分に挟まれた状態となるため、動かない状態で配置することができる。なお、
図4(B)では、重なっている各シートについて間隔を空けた状態で描いているため、楕円形状の断面で変形保持部材82が描かれているが、実際には略円形のものとなる。但し、断面が楕円形状や多角形などの他の形状で実施することができる。
【0064】
この逆止弁1を量産する場合には、通常、各シートを
図4(A)の左右方向に連続したものとして製造され、その際、変形保持部材82も左右方向に連続したものとして製造され、所定のシールが施されて、1つずつの逆止弁毎に切断される。
この逆止弁1は、先の実施の形態で説明した工程と同じ工程によって製造されるものであり、製造工程を示す図は
図3を援用する。具体的には、基板91上に袋シート3が配置され、その上に逆止弁1が配置された状態で、金型93が閉じられることで貼り付けシール75が施される。その際、変形保持部材82の存在によって、流入口11の位置でフィルターシート41が凹んだ状態となる。その結果、袋体2内の圧力が高まっても、フィルターシート41に対して弁シート固定部71によって上端が固定された弁シート51と流路構成シート21との間が拡がりやすい状態を維持することができ、先の実施の形態と同様に、順流時の流体の流れを改善することができる。
【0065】
次に、
図4(C)は、変形保持部材82を流路構成シート21の前面側に配置した例を示すものである。この場合も基板91上に袋シート3が配置され、その上に逆止弁1が配置された状態で、金型93が閉じられることで貼り付けシール75が施される。その際、変形保持部材82の存在によって、流入口11の位置でフィルターシート41及び流路構成シート21が後方に突出した状態となる。その結果、第1の実施の形態と同様、シート同士の間(特に、弁シート51の弁シート固定部71の周辺部分と、流路構成シート21との間)において、隙間が形成される。その結果、この隙間を通って袋体2の内部の流体が弁流路13に導入され、弁シート51と流路構成シート21の下流側領域との間が開かれて、流出口12から円滑に流出する。
なお、図示は省略するが、袋シート3の前面側に変形保持部材82を配置することによって、同様な作用が発揮され得る。
【0066】
このように、
図4に示された各例では、変形保持部材82を逆止弁1の左右方向に連続したものとしているが、その形状は適宜変更することができ、半球状のものや多面体形状のものなどに変更することもできる。また、変形保持部材82の本数を複数本とすることもできる。その際、複数の変形保持部材82は、全てをフィルターシート41の前面と基礎シート31の後面との間に配置することもでき、全てを流路構成シート21の前面側に配置することもできる。また、流路形成部材82を基礎シート31の前面側と後面側との双方の位置に配置することもできる。
【0067】
(変更例)
本発明は、上述の各実施の形態に限定して理解されるべきではない。
例えば、第1の実施の形態に係る突出部92による変形部81の形成と、第2の実施の形態に係る変形保持部材82による変形部81との両方の形態に係る変形部81とを併用することもできる。
【0068】
また、特許文献3や特許文献4に示された形態の逆止弁のように、複数枚の弁シートを流体の流れ方向に配置したものにも適用することもできる。さらにまた、複数枚の弁シートを厚み方向に配置したものにも適用することもできる。また、特許文献4に示された形態の逆止弁のように、弁シート固定部に押し型による導入凹部を流路構成シート21と弁シート51との少なくとも何れか一方に形成するようにしてもよい。
【0069】
さらに、逆止弁1を、袋体を構成する2枚の袋シート3の間に挟んで取り付けることもできる。この場合には、弁シート固定部71の位置にて、2枚の袋シート3に挟まれた状態でヒートシールなどで固定される。
また、先の実施の形態では、袋体2の内側に逆止弁1を配置したが、袋体2の外側に逆止弁1することもできる。また、順流を袋体2の内側から外側に抜ける方向に設定したが、順流を袋体2の外側から内側に入る方向に設定することもできる。