特許第6407711号(P6407711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407711
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】連続式流動層乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 3/08 20060101AFI20181004BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   F26B3/08
   F26B25/00 J
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-265229(P2014-265229)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-125697(P2016-125697A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】591011384
【氏名又は名称】株式会社パウレック
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】西村 友徳
(72)【発明者】
【氏名】石原 和明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】上開地 宏仁
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩司
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−167676(JP,A)
【文献】 特開2001−219050(JP,A)
【文献】 実開平02−019509(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 3/08
F26B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁によって区画される独立した処理室を複数有し、前記各処理室に投入された粉粒体をそれぞれ流動化気体によって浮遊流動させながら乾燥処理を行う流動層乾燥部と、
前記各処理室に対してそれぞれ個別に前記粉粒体を投入可能な投入機構と、
前記流動層乾燥部の内部に設けられ、前記各処理室からそれぞれ個別に前記粉粒体を排出可能な一つの排出機構と、
前記投入機構の開閉と前記排出機構の開閉を制御する制御手段とを備え、
前記投入機構による前記各処理室への前記粉粒体の投入が、複数の前記各処理室に対して逐次的に順次に行われると共に、該逐次投入の順番に応じて、前記排出機構による前記各処理室からの前記粉粒体の排出が、複数の前記各処理室に対して逐次的に順次に行われるように、前記制御手段により前記投入機構と前記排出機構とが制御され
前記排出機構は、前記各処理室に対してそれぞれ開閉可能な複数の排出口と、該複数の排出口を個別に開閉可能な開閉手段とを備え、前記複数の排出口は、前記流動層乾燥部の底部の外周よりも内側に位置することを特徴とする連続式流動層乾燥装置。
【請求項2】
前記各処理室は、それぞれ、前記粉粒体を流動化気体によって浮遊流動させる流動室と、前記流動室の上方に設けられ、前記流動室内で浮遊流動する前記粉粒体に対して固気分離を行うフィルター室とを備えていると共に、前記フィルター室で固気分離された気体は、前記各処理室からそれぞれ個別に排気されることを特徴とする請求項1に記載の連続式流動乾燥装置。
【請求項3】
前記制御手段は、一の前記各処理室への前記粉粒体の投入が完了した後、該一の前記各処理室に隣接する前記各処理室に前記粉粒体を投入するように、前記投入機構の開閉を順次に切り換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続式流動乾燥装置。
【請求項4】
前記複数の排出口が共通の固定側部材に設けられており、前記開閉手段は、該固定側部材に対して可動で、前記固定側部材に対して移動することにより、前記複数の排出口のうち所定の一の前記排出口を択一的に開口させる可動部材で構成されていることを特徴とする請求項に記載の連続式流動乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品製造、食品製造、農薬製造等の各種分野において、造粒された粉粒体を連続的に乾燥する連続式流動乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顆粒剤や散剤等を造粒する場合には、原材料から造粒処理によって造粒された後、乾燥処理が行われている。造粒処理と乾燥処理とは、同じ装置内で処理される場合や、異なる装置内で処理される場合がある。乾燥処理は、例えば、流動化気体による流動層を形成して乾燥処理を行う流動層乾燥処理が行われ、従来、略矩形の水平断面を有する流動層乾燥装置によって行われていた。この種の流動層乾燥装置は、流動層乾燥室は、仕切板によって複数の処理室に仕切られて、流動層乾燥室の対向する側壁において、一方の側壁には被乾燥物供給口が設けられ、他方の側壁には被乾燥物排出口が設けられる。被乾燥物供給口から供給された被乾燥物は、仕切板の上部を乗り越え、又は下部を潜って隣の処理室に移動し、このような移動の途中で乾燥されて、被乾燥物排出口から排出される。
【0003】
しかし、このとき、被乾燥物は、一定の割合で、短時間に各処理室を通過して十分に乾燥されない状態で、排出されるものが存在する。また、同様に一定の割合で長時間各処理室の滞在することで、高温に加熱されるものも存在する。そのため、一定時間で被処理物の乾燥が行われないため、被処理物の流動不足や乾燥ムラが発生するという問題がある。そこで、流動層乾燥室を円筒形にして、仕切板によって区画して処理室を形成し、各処理室を回転移動することで、乾燥処理を行う乾燥装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−029057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において提案される乾燥装置においては、仕切板によって区画される各処理室は、各処理室の上方は仕切板で区画されることがなく、共通した空間であるため、流動層を形成する流動化気体の流速を大きくすると、処理室内の被処理物が舞い上がって、共通空間を通じて他の処理室に混入するおそれがある。そのため、処理室に供給する気体の流速をあまり大きくすることができなくなり、十分な流動層を形成できないという問題がある。また、仕切板を回転させて各処理室を移動させることで、連続的に乾燥処理を行っている。このとき、回転体である仕切板は、処理室の底面や側壁に対して摺動するため、底面や側壁と仕切板との間の隙間を小さくする必要があるが、底面や側壁と仕切板の間の隙間には、回転の際に粉粒体が噛み込まれる可能性がある。このように粉粒体が噛み込まれると、噛み込まれた粉粒体が粉砕されて、微粉となって周囲の処理室に混入したり、微粉が隙間を閉塞したりするおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みて、粉粒体が他の処理室に混入することがなく、かつ十分な流速の気体を用いて流動層乾燥処理を行うことができると共に、処理室を移動させることなく連続的に乾燥処理を行うことができる連続式流動層乾燥装置を提供すること技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る連続式流動層乾燥装置は、隔壁によって区画される独立した処理室を複数有し、各処理室に投入された粉粒体をそれぞれ流動化気体によって浮遊流動させながら乾燥処理を行う流動層乾燥部と、各処理室に対してそれぞれ個別に粉粒体を投入可能な投入機構と、各処理室からそれぞれ個別に粉粒体を排出可能な排出機構と、投入機構の開閉と排出機構の開閉を制御する制御手段とを備え、投入機構による各処理室への粉粒体の投入が、複数の各処理室に対して逐次的に順次に行われると共に、逐次投入の順番に応じて、排出機構による各処理室からの粉粒体の排出が、複数の各処理室に対して逐次的に順次に行われるように、制御手段により投入機構と排出機構とが制御されることを特徴とする。
【0008】
このように構成することによって、隔壁によって区画される各処理室が独室しているため、処理室内で乾燥処理される粉粒体は、他の処理室に混入することがない。そのため、流速の大きい流動化気体で流動層を形成して乾燥を行うことができる。また、各処理室に対して、それぞれ個別に粉粒体を投入して、乾燥処理を行い、排出することができ、各処理室への粉粒体の投入が、複数の各処理室に対して、逐次的に順次に行われると共に、逐次投入の順番に応じて、各処理室からの粉粒体の排出が、各処理室に対して逐次的に順次に行われるように、投入機構と排出機構とが制御されるため、処理室を移動しなくても、各処理室において、連続的に乾燥処理を行うことができる。
【0009】
また、各処理室は、それぞれ、粉粒体を流動化気体によって浮遊流動させる流動室と、流動室の上方に設けられ、流動室内で浮遊流動する粉粒体に対して固気分離を行うフィルター室とを備えていると共に、フィルター室で固気分離された気体は、各処理室からそれぞれ個別に排気されるようにしてもよい。これによって、各処理室の流動室で処理された気体が、各フィルター室で固気分離されてそれぞれ個別に排出されるため、フィルター室で固気分離された気体を区画された処理室毎に排気することができる。また、各フィルター室は、他のフィルター室から独立しているため、一のフィルター室で捕集された粉粒体と、他のフィルター室で捕集された粉粒体との混入を防止することができる。
【0010】
さらに、制御手段は、一の各処理室への粉粒体の投入が完了した後、一の各処理室に隣接する各処理室に粉粒体を投入するように、投入機構の開閉を順次に切り換えることが好ましい。これによって、各処理室への粉粒体の投入を、逐次的に順次に行うことができ、各処理室での乾燥処理を連続して行うことができる
【0011】
また、排出機構は、各処理室に対してそれぞれ開閉可能な複数の排出口と、複数の排出口を個別に開閉可能な開閉手段とを備えていることが好ましい。これによって、開閉手段を駆動させることによって、各処理室に対して備えられる排出口を、個別に開閉することができる。
【0012】
ここで、複数の排出口が共通の固定側部材に設けられており、前記開閉手段は、該固定側部材に対して可動で、前記固定側部材に対して移動することにより、前記複数の排出口のうち所定の一の前記排出口を択一的に開口させる可動部材で構成されていてもよい。これによって、排出口は、共通の固定側部材に設けられた複数の排出口に対して、開閉手段を、固定側部材に対して移動させることによって、複数の排出口のうち所定の一の排出口を択一的に開口させることができる。そのため、逐次的に順次に粉粒体が投入されて乾燥が終了した処理室の排出口を、逐次的に順次に開口させることで、各処理室からそれぞれ個別に粉粒体を排出することができる。
【0013】
以上のように、本発明によれば、粉粒体が他の処理室に混入することがなく、かつ十分な流速の気体を用いて流動層乾燥処理を行うことができると共に、処理室を移動させることなく連続的に乾燥処理を行うことができる連続式流動層乾燥装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る連続式流動層乾燥装置を模式的に示す概略図である。
図2図1の連続式流動層乾燥装置の動作のタイミングを示す概略図である。
図3図1に示す連続式流動層乾燥装置の流動層乾燥室の概略を示す斜視図である。
図4図3のA−A断面を正面から見た要部断面図である。(a)は全ての排出口が閉状態となっており、(b)は一の排出口が開状態となっている状態を示す。
図5図3に示す排出機構の他の態様を示す要部断面図である。(a)は全ての排出口が閉状態となっており、(b)は一の排出口が開状態となっている状態を示す。
図6図3に示す排出機構の他の例の概略を示す斜視図である。
図7図6に示す排出機構の詳細を示す図である。(a)は固定側部材を示す平面図であり、(b)は可動部材を示す平面図である。
図8】(a)は、排出口の開閉状態を示す平面図であり、(b)は(a)のB−B断面を正面から見た要部断面図である。
図9図6に示す排出機構の更に他の例の概略を示す図である。(a)は固定側部材を示す平面図であり、(b)は可動部材を示す平面図である。(c)は排出口の開閉状態を示す平面図である。
図10図3に示す流動層乾燥室の他の実施形態の概略を示す斜視図である。
図11図10に示す排出機構の要部の断面を示す平面図である。(a)は全ての排出口が閉状態となっており、(b)は一の排出口が開状態となっている状態を示す。
図12図10に示す排出機構の他の例の概略を示す斜視図である。
図13図12に示す排出機構の詳細を示す図である。(a)は固定側部材を示す側面図であり、(b)は可動部材を示す側面図である。
図14】(a)は図12に示す排出機構の全ての排出口が閉状態となった状態を示す図である。(b)は(a)のC−C断面を上面から見た平面図である。
図15】(a)は図12に示す排出機構の一の排出口が開状態となった状態を示す図である。(b)は(a)のD−D断面を上面から見た平面図である。
図16】(a)は流動層乾燥室の底部に、指向性を有する通気孔を形成した気体分散板を備えた例を示す概略平面図である。(b)は(a)のE−E断面を正面から見た要部拡大図である。
図17図1に示す気体分散板の他の例の概略を示す斜視図である。
図18図18を上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る連続式流動層乾燥装置の一実施形態について、各図面に基づいて説明する。
【0016】
図1には、粉粒体の流動層乾燥処理を行う連続式流動層乾燥装置1を示す。連続式流動層乾燥装置1は、筒状の流動層容器10と、流動層容器10内に気体を供給する給気部11と、流動層容器10内の気体を排気する排気部12とを備えている。
【0017】
流動層容器10は、下から順に、給気室13と、粉粒体の流動層乾燥処理を行う流動層乾燥部としての流動層乾燥室14と、排気室15とに区分される。給気室13と流動層乾燥室14との間は、パンチングメタル等の多孔板(または金網)で構成された気体分散板13Aで仕切られている。給気室13は、給気部11から加熱された気体が供給され、この気体が気体分散板13Aを通して流動層乾燥室14に導入される。
【0018】
流動層乾燥室14には、流動層乾燥室14内を区画する隔壁16が設けられる。隔壁16は、排出機構20の上端から、排気室15を通り、流動層容器10の上端まで達している。また、隔壁16は、流動層乾燥室14の直径方向に延び、流動層乾燥室14内を2個の処理室17(第1処理室17a、第2処理室17b)に区画している(図3参照)。
【0019】
各処理室17には、各処理室17に対してそれぞれ個別に粉粒体を投入可能な投入機構18と、各処理室17からそれぞれ個別に粉粒体を排出可能な排出機構20とが設けられる。投入機構18と排出機構20とは、それぞれの開閉を制御する制御手段Cに接続される(図3参照)。
【0020】
投入機構18は、各処理室17の側壁に形成されて、粉粒体が投入される投入口181(第1投入口181a、第2投入口181b)と、各投入口181の近傍に設けられて、各投入口181を開閉する投入バルブV(第1投入バルブVa、第2投入バルブVb)とが設けられる。一方、詳細は後述するが、排出機構20は、隔壁16の下端部に設けられており、各処理室17に向けて開口する排出口23が形成されている。
【0021】
流動層乾燥室14の各処理室17は、粉粒体を流動化気体によって浮遊流動させる流動室171(第1流動室171a、第2流動室171b)と、流動室171の上方に設けられ、流動室171内で浮遊流動する粉粒体に対して固気分離を行うフィルター室172(第1フィルター室172a、第2フィルター室172b)とを備える。フィルター室172には、固気分離用のフィルター174が配置される。フィルター174は、図示省略のフィルター支持部材によって吊下げ支持されている。また、フィルター室172と排気室15とは、仕切壁173によって仕切られており、フィルター室172は、フィルター174を介して排気室15と連通している。フィルター室172は、フィルター174によって、流動室171の粉粒体を含む固気混合気体から気体を分離した後、その分離した気体を排気室15に導入するようになっている。
【0022】
ここで、給気部11は、吸引される気体(空気)を所定温度に加熱するヒーターを内蔵する加熱ユニット11Aと、加熱ユニット11Aで加熱された気体を流動層容器10の給気室13に流通させる気体供給路11Bとを備える。
【0023】
一方、排気部12は、流動層容器10の排気室15に接続されて、流動層容器10内の気体を排気する排気路121(第1排気路121a、第2排気路121b)を有する。本実施形態においては、隔壁16によって流動層乾燥室14及び排気室15が区画されるため、排気路121は、区画されたそれぞれの排気室15に接続されることで、各処理室17から固気分離された気体を、それぞれ個別に排気する。なお、各排気路121には、図示省略の集塵機や排気ブロアー等が接続される。
【0024】
次に、上記のように構成された連続式流動層乾燥装置1の動作を説明する。
【0025】
連続式流動層乾燥装置1は、図示省略の造粒装置において造粒処理された造粒製品や、コーティング処理されたコーティング製品に対して、流動層乾燥処理(以下、乾燥処理と呼ぶ)を行う。造粒処理及びコーティング処理された粉粒体は、流動層容器10の各処理室17に形成された投入口181から投入される。このとき、粉粒体は、投入口181の近傍に設けられた投入バルブVの開閉の制御によって、各投入口181から各処理室17に逐次的に順次に投入される。このようにして、各処理室17内に乾燥対象の粉粒体を収容する。
【0026】
流動層容器10内で粉粒体の乾燥処理を行う際には、上記のように各処理室17内に収容された粉粒体が、気体分散板13Aを介して流動層乾燥室14内に導入される流動化気体によって浮遊流動されながら流動層を形成して乾燥処理される。なお、乾燥時間は、粉粒体の種類、処理量、及び乾燥温度等に応じて予め設定され、設定された所定時間に応じて流動層乾燥処理が行われる。
【0027】
粉粒体の乾燥処理を行っている間、流動層乾燥室14内で上昇する粉粒体を含む固気混合気体は、フィルター174によって固気分離され、分離された気体が排気室15に導入されると共に、排気路121を通じて流動層容器10の外部に排出される。さらに、上述のような一連の乾燥処理を行った後に、フィルター174に付着した微粉を払い落とす払い落とし操作や洗浄処理が行われる。
【0028】
ここで、図2(a)に基づいて、各処理室17(第1処理室17a、第2処理室17b)において、乾燥処理を連続的に行うための、粉粒体の投入、乾燥、及び排出の各動作のタイミングについて説明する。なお、これらのタイミングは、制御手段C(図3参照)によって制御される。処理室17が2室設けられる場合には、まず、第1処理室17aに粉粒体を投入する。第1処理室17aへの粉粒体の投入が完了すると、第1処理室17aにおいて乾燥処理を開始すると共に、第2処理室17bへの粉粒体の投入を開始する。第2処理室17bへの粉粒体の投入が完了すると、第2処理室17bにおいても乾燥処理が開始される。このとき、しばらくの間は、両方の処理室17において乾燥処理が行われる。第1処理室17aの乾燥処理が終了すると、第1処理室17a内の粉粒体を排出する。その後、次の粉粒体を第1処理室17aに投入する。以下、上記と同様に各処理が行われる。このようにして、各処理室17において、逐次的に順次に粉粒体が投入されて、乾燥処理が行われ、各処理室17からの粉粒体の排出が、逐次的に順次に行われる。その結果、流動層乾燥室14内において、連続的に乾燥処理を行うことができる。
【0029】
次に、図3及び図4に基づいて、流動層乾燥室14内に設けられた排出機構20の詳細について説明する。なお、図3は、流動層乾燥室14の形状を簡略化して示している。排出機構20は、図3に示すように、流動層乾燥室14の直径方向に延びる円筒形状をなしており、隔壁16の下端部に設けられる。図示は省略するが、排出機構20の一端側は、排出した粉粒体を搬送する搬送経路として延びており、粉粒体を吸引する吸引手段が接続されている。また、図4に示すように、排出機構20は、処理室17に対して固定され、各処理室17に対して開閉可能な複数の排出口23が形成される固定側部材21と、排出口23を個別に開閉可能な開閉手段としての可動部材22とを有する。
【0030】
固定側部材21は、図4に示すように、本実施形態においては、流動層乾燥室14の底部14a及び隔壁16の一部を形成している。詳しくは、固定側部材21の上半分が流動層乾燥室14に露出しており、固定側部材21の上端に、隔壁16が接続されている。また、固定側部材21の軸方向に延びる排出口23が、各処理室17内に向けて開口するように、2箇所に形成される(第1排出口23a、第2排出口23bで示す)。ここで、図3に示すように、排出口23は、流動層乾燥室14の底部14aよりも上方で、かつ底部14aの外周よりも内側に設けられる。
【0031】
可動部材22は、固定側部材21の内径寸法よりも若干小さい外径寸法を有する円筒形状の部材であり、固定側部材21に軸心周りに回動可能に包套される。なお、可動部材22は一端側が延びており、例えばモーター等の回動駆動手段Mに接続されている。また、可動部材22には、固定側部材21の排出口23と略同形の開口部24が1箇所に形成される。
【0032】
ここで、図3に示すように、各処理室17(第1処理室17a、第2処理室17b)に形成された粉粒体の投入機構18の各投入口181の近傍に設けられる投入バルブV(第1投入バルブVa、第2投入バルブVb)と、粉粒体の排出機構20の可動部材22に接続される回動駆動手段Mとは、それぞれ、制御手段Cに接続されて、制御手段Cによって、各処理室17への粉粒体の投入及び排出のタイミングが制御される。
【0033】
続いて、排出機構20の動作について説明する。排出機構20は、回動駆動手段Mによって、可動部材22が水平な軸心回りに回動することによって、排出口23の開閉動作を行う。詳しくは、図4(a)に示すように、可動部材22が、開口部24が下方を向いた姿勢では、可動部材22の外周部によって各排出口23を閉鎖し、両方の排出口23が閉状態となる。また、可動部材22を回動して、図4(b)に示すように開口部24と第1排出口23aとが一致する姿勢となると、第1排出口23aが開状態となり、粉粒体を排出可能となる。このとき、第2排出口23bは、可動部材22の外周部によって閉鎖された状態が維持される。図示は省略するが、可動部材22の回動によって、可動部材22の開口部24と第2排出口23bとが一致する姿勢となると、第2排出口23bが開状態となる。このとき、第1排出口23aは、可動部材22の外周部によって閉鎖された状態となる。
【0034】
連続式流動層乾燥装置1の動作開始時には、可動部材22は、図4(a)に示す姿勢となっている。各処理室17での処理のタイミングは、上記及び図2に示す通りであり、まずは、第1処理室17aに粉粒体を投入して、乾燥処理が開始される。続いて、第2処理室17bに粉粒体が投入されて、同様に乾燥処理が行われる。ここで、第1処理室17aの流動層乾燥処理が終了すると、回動駆動手段Mの作動によって、可動部材22が図の反時計回りに回動し、図4(b)に示す姿勢となる。この状態で、吸引手段(図示省略)が作動されて、第1処理室17a内の粉粒体が、第1排出口23aから吸引されて排出される。
【0035】
第1処理室17aの排出が終了すると、回動駆動手段Mの作動によって、可動部材22が図の時計回りに回動し、図4(a)の状態となる。続いて、第2処理室17bの乾燥処理が終了すると、可動部材22が図の時計回りに回動して、第2排出口23bと開口部24とが一致した姿勢となる。この状態で、同様に、第2処理室17b内の粉粒体が、第2排出口23bから吸引されて排出される。その後、可動部材22は、図4(a)に示す姿勢となり、同様に各排出口23の開閉動作を繰り返す。このようにして、排出機構20は、各処理室17内の粉粒体を逐次的に順次に排出することができる。
【0036】
なお、排出機構20の固定側部材21を、流動層乾燥室14の底部14aに形成することなく、図5に示すように、隔壁16の一部として形成してもよい。図5(a)に示すように、固定側部材21は、隔壁16の下端付近に設けられ、下端部が底部14aに接続される。このように構成することで、流動層容器10を形成した後に、隔壁16と共に排出機構20を配設することができるため、流動層容器10の加工が容易となる。また、排出機構20の固定側部材21の下端部を、そのまま底部14aに接続してもよい。
【0037】
排出機構20の固定側部材21と可動部材22とは、上記の態様と同じ部材を用いており、本態様においては、排出口23が下方を向くように配置している。そのため、図5(a)に示すように、可動部材22の開口部24が、上方を向いた姿勢とすることで、両方の排出口23を閉状態とすることができ、可動部材22を図の時計回りに回動させることによって、第1排出口23aを開状態とすることができる。なお、乾燥処理における排出機構20の動作については、上記の態様と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0038】
次に、図6図8に基づいて、排出機構20の他の例について説明する。図6に示すように、排出機構30は、流動層乾燥室14の直径方向に延びる円筒形状をなしており、図3と同様に、隔壁16の下端部に設けられる。図示は省略するが、排出機構30の一端側は、排出した粉粒体を搬送する搬送経路として延びており、粉粒体を吸引する吸引手段が接続されている。また、排出機構30は、排出口33が形成される固定側部材31と、排出口33を開閉可能な開閉手段としての可動部材32とを有する。
【0039】
固定側部材31は、上記と同様に、流動層乾燥室14の底部14a及び隔壁16の一部を形成している。固定側部材31が配置される位置及び排出口33の位置は、上記と同様であるため、詳細な説明は省略する。本実施形態においては、図7(a)に示すように、固定側部材31には、内部を仕切る仕切部材34が設けられる。仕切部材34によって、固定側部材31の内部には、粉粒体が通過する、断面が半円形状の第1通路35a及び第2通路35bが形成される。
【0040】
可動部材32は、図6及び図7(b)に示すように、断面が半円形状の、一対の長尺部材で構成される(第1可動部材32a、第2可動部材32bで示す)。第1可動部材32a及び第2可動部材32bは、固定側部材31の内径寸法よりも若干小さい半円の直径寸法を有し、固定側部材31に対して、軸方向に移動可能となるように包套される。なお、図示においては、固定側部材31と、第1可動部材32a及び第2可動部材32bとの寸法の差を誇張して示している。また、図示は省略するが、可動部材32は、一端部が延びており、可動部材32を軸方向に移動させる、例えばシリンダやボールねじ等の直線駆動アクチュエーターに接続されている。
【0041】
なお、各処理室17(第1処理室17a、第2処理室17b)に形成された粉粒体の投入機構18の投入口181の近傍に設けられる投入バルブV(第1投入バルブVa、第2投入バルブVb)と、粉粒体の排出機構30の可動部材32に接続される直線駆動アクチュエーター(図示省略)とは、それぞれ、図示省略の制御手段に接続されて、制御手段によって、各処理室17への粉粒体の投入及び排出のタイミングが制御される。
【0042】
続いて、排出機構30の動作について説明する。排出機構30は、直線駆動アクチュエーター(図示省略)によって、可動部材32の第1可動部材32a及び第2可動部材32bを、それぞれ軸方向に移動させて、固定側部材31の第1通路35a及び第2通路35bに挿抜することで、排出口33の開閉を行う。図8(a)には、第2排出口33bが閉状態であり、第1排出口33aが開閉途中の状態を示す。また、この状態の断面図を図8(b)に示す。
【0043】
両方の排出口33を閉状態とする際には、両方の可動部材32を固定側部材31に挿入した状態とする。この状態で、例えば、第1処理室17aの第1排出口33aを開状態とするには、直線駆動アクチュエーターを作動させて、第1可動部材32aを図の右方向(軸方向)に移動させて、第1排出口33aを開状態とする。開状態とした第1排出口33aを再び閉状態とするには、第1可動部材32aを図の左方向に移動させる。また、第2排出口33bの開閉を行う場合も同様に行う。なお、乾燥処理における、各処理室17の排出口33を開閉するタイミングは、上記と同じであるため詳細な説明を省略する。
【0044】
なお、排出機構30の固定側部材31を、流動層乾燥室14の底部14aに形成することなく、図5と同様に、隔壁16の一部として形成してもよい。
【0045】
ここで、本実施形態においては、可動部材32を一対の長尺部材で構成して、固定側部材31に対して挿抜することで排出口33の開閉を行ったが、可動部材32として、膨張及び収縮可能な膨張シールで構成してもよい。膨張シールは、内部に空気や水を供給することで、膨張させることが可能であり、供給した空気や水を排出することで収縮できる。このような膨張シールを、固定側部材31の内部に配置しておくことで、膨張シールを膨張させることで、排出口33を閉状態とすることができると共に、膨張シールを収縮させることで、排出口を開状態とすることができる。なお、膨張シールは、固定側部材31の第1通路35a及び第2通路35b内にそれぞれ配置して、各膨張シールを個別に膨張又は収縮させることによって、各処理室17の排出口33を選択的に開閉することができる。
【0046】
また、図9に示すように、排出機構40の固定側部材41の排出口43を軸方向に複数形成すると共に、可動部材42(第1可動部材42a、第2可動部材42b)を中空として、排出口43と同じ形状の開口部44を、排出口43と同じ位置に形成すように構成してもよい。
【0047】
このとき、固定側部材41に形成される排出口43の軸方向の長さ寸法は、隣り合う排出口43の端部同士の間の距離よりも若干小さくなるように形成される。つまり、隣り合う排出口43は、近接する端部同士の間の距離が、排出口43の長さ寸法よりも長くなるように離れて配置される。なお、図9(a)には、固定側部材41の平面図を示し、図9(b)には、可動部材42の平面図を示す。また、図9(c)には、第2排出口43bが閉状態であり、第1排出口43aが開状態である状態を示す。
【0048】
上記のような長さ寸法と位置関係で、固定側部材41及び可動部材42に、排出口43及び開口部44を形成することで、排出口43と開口部44との相対的な位置を変化させることによって、排出口43の開閉を行う。つまり、図9(c)に示すように、排出口43を閉状態とする際には、開口部44の位置と、排出口43の位置とが一致しないように可動部材42を配置する。これによって、可動部材42の外周部によって、排出口43が閉状態となる。また、排出口43を開状態とする際には、各可動部材42を軸方向に移動して、開口部44の位置と排出口43の位置とを一致させる。
【0049】
なお、乾燥処理における、各処理室17の排出口43を開閉する動作及び動作のタイミングは、上記と同じであるため詳細な説明を省略する。本態様においては、固定側部材41及び可動部材42の軸方向に、排出口43及び開口部44を複数形成し、これらの相対的な位置関係によって、排出口43を開閉することができるため、可動部材42の軸方向の移動距離を少なくすることができる。
【0050】
また、排出機構40の固定側部材41を、流動層乾燥室14の底部14aに形成することなく、図5と同様に、隔壁16の一部として形成してもよいことは上記と同様である。
【0051】
なお、固定側部材に対して、可動部材を軸方向に移動することで排出口の開閉を行う場合には、固定側部材及び可動部材(又は仕切られた通路の形状)が同形状であればよく、断面形状は、円形(または半円形)に限ることはなく、楕円形や多角形(又はこれを半分とした形状)等であってもよい。
【0052】
以下、図10及び図11に基づいて、流動層乾燥室50の他の実施形態について説明する。本実施形態においても、流動層乾燥室50内を区画する隔壁51によって、独立した処理室52が形成され、各処理室52には、各処理室52に対してそれぞれ個別に粉粒体を投入可能な投入機構53と、各処理室52からそれぞれ個別に粉粒体を排出可能な排出機構60とが設けられる。投入機構53と排出機構60とは、それぞれの開閉を制御する制御手段(図示省略)に接続される。
【0053】
隔壁51は、流動層乾燥室50の中央から半径方向に延び、所定角度を隔てて複数の隔壁51が設けられる。本実施形態においては、120度毎に3つの隔壁51が設けられ、流動層乾燥室50を3個の処理室52(第1処理室52a、第2処理室52b、第3処理室52c)に区画している。
【0054】
投入機構53は、各処理室52の側壁に形成されて、粉粒体が投入される投入口531(第1投入口531a、第2投入口531b、第3投入口531c)と、各投入口531の近傍に設けられて、各投入口531を開閉する投入バルブV(第1投入バルブVa、第2投入バルブVb、第3投入バルブVc)とが設けられる。一方、詳細は後述するが、排出機構60は、流動層乾燥室50の中央の隔壁51の下端部に設けられており、各処理室52に向けて開口する排出口63が形成されている。その他の構成は、上記の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0055】
本実施形態のように、処理室52が3室設けられる場合において、連続的に乾燥処理を行う際の、粉粒体の投入、乾燥、及び排出のタイミングについて、図2(b)に基づいて説明する。なお、これらのタイミングは、制御手段(図示省略)によって制御される。まず、第1処理室52aに粉粒体を投入する。第1処理室52aへの粉粒体の投入が完了すると、第1処理室52aにおいて乾燥処理を開始すると共に、第2処理室52bへの粉粒体の投入を開始する。第2処理室52bへの粉粒体の投入が完了すると、第2処理室52bにおいても乾燥処理を開始すると共に、第3処理室52cへの粉粒体の投入を開始する。ここで、第3処理室52cに粉粒体を投入している間に、第1処理室52aでの乾燥処理が終了するため、第1処理室52a内の粉粒体を排出する。さらに、第3処理室52cへの粉粒体の投入が完了すると、第3処理室52cにおいて乾燥処理を開始すると共に、第1処理室52aへの粉粒体の投入を開始する。このように、他の処理室52に粉粒体の投入を行っている間に、最初に粉粒体を投入した処理室52の乾燥処理が終了するため、各処理室52対して、連続的に粉粒体を投入することができる。このようにして、各処理室52において、逐次的に順次に粉粒体が投入されて、乾燥処理が行われ、各処理室52からの粉粒体の排出が、逐次的に順次に行われる。その結果、流動層乾燥室50内において、連続的に乾燥処理を行うことができる。
【0056】
ここで、図10及び図11に基づいて、流動層乾燥室50に設けられた排出機構60の詳細について説明する。排出機構60は、図10に示すように、上端に半球状部を有する円筒形状をなしており、流動層乾燥室50の底部50aの中央に設けられる。図示は省略するが、排出機構60の下端は、排出した粉粒体を搬送する搬送経路として延びており、粉粒体を吸引する吸引手段が接続されている。また、図11に示すように、排出機構60は、排出口63が形成される固定側部材61と、排出口63を開閉可能な可動部材62とを有する。
【0057】
固定側部材61は、図10示すように、流動層乾燥室50の底部50a及び隔壁51の一部を形成している。詳しくは、固定側部材61の上端の半球状部が流動層乾燥室50に露出しており、半球状部の上方に隔壁51が接続されている。また、隔壁51によって区画される各処理室52に向けて開口するように、排出口63が3箇所に形成される(第1排出口63a、第2排出口63b、第3排出口63cで示す)。ここで、図10に示すように、排出口63は、流動層乾燥室50の底部50aよりも上方で、かつ底部50aの外周よりも内側に設けられる。また、排出口63は、周方向の長さ寸法が、隣り合う排出口63の近接する端部同士の距離よりも若干小さくなるように形成される(図11参照)。
【0058】
可動部材62は、固定側部材61と略同じ形状であり、かつ固定側部材61よりも若干小さいサイズであり、固定側部材61に回転可能に包套される。なお、図示は省略するが、可動部材62は、下端が延びており、例えばモーター等の回動駆動手段に接続されている。また、可動部材62には、固定側部材61の排出口63と略同形の開口部64が1箇所に形成される。
【0059】
ここで、図10に示すように、各処理室52(第1処理室52a、第2処理室52b、第3処理室52c)に形成された粉粒体の投入機構53の各投入口531の近傍に設けられる投入バルブV(第1投入バルブVa、第2投入バルブVb、第3投入バルブVc)と、粉粒体の排出機構60の可動部材62に接続される回動駆動手段(図示省略)とは、それぞれ、図示省略の制御手段に接続され、制御手段によって、各処理室52への粉粒体の投入及び排出のタイミングが制御される。
【0060】
続いて、図11に基づいて、排出機構60の動作について説明する。排出機構60は、回動駆動手段(図示省略)によって、可動部材62が垂直な軸心周りに回動することによって、排出口63の開閉動作を行う。詳しくは、図11(a)に示すように、可動部材62が、開口部64が、隣り合う排出口63(図示では、第3排出口63cと第1排出口63a)の間に位置する姿勢では、可動部材62の外周部によって、排出口63を閉鎖し、全ての排出口63が閉状態となる。また、可動部材62を回動して、図11(b)に示すように開口部64と第1排出口63aとが一致する姿勢となると、第1排出口63aが開状態となり、粉粒体が排出可能となる。このとき、他の排出口63(第2排出口63b及び第3排出口63c)は、可動部材62の外周部によって閉鎖された状態が維持される。さらに、可動部材62を回動することによって、全ての排出口63を閉状態とした状態と、一つの排出口63を選択的に開状態とした状態とすることができる。
【0061】
連続式流動層乾燥装置1(図1参照)の動作時には、可動部材62は、図11(a)に示す姿勢となっており、上記のように、第1処理室52aに粉粒体を投入して、乾燥処理が開始される。続いて、第2処理室52bに粉粒体が投入されて、同様に乾燥処理が行われる。さらに、第3処理室52cに粉粒体が投入されて乾燥処理が行われるが、この間に、第1処理室52aの乾燥処理が終了する。第1処理室52aの乾燥処理が終了すると、回動駆動手段(図示省略)の作動によって、可動部材62が図の時計回りに回動し、図11(b)に示す姿勢となる。この状態で、吸引手段(図示省略)が作動されて、第1処理室52a内の粉粒体が、第1排出口63aから吸引されて排出される。
【0062】
第1処理室52aの排出が終了すると、回動駆動手段の作動によって、可動部材62が図の時計回りに回動し、開口部64が第1排出口63aと第2排出口63bとの間に位置する姿勢で停止し、全ての排出口63を閉状態とする。続いて、第2処理室52bの乾燥処理が終了すると、可動部材62が図の時計回りに回動して、開口部64が、第2排出口63bと一致した状態で停止する。この状態で、同様に第2処理室52b内の粉粒体が、第2排出口63bから吸引されて排出される。その後、同様に可動部材62は、一方向に間欠的に回動することによって、各排出口63の開閉動作を繰り返す。このようにして、排出機構60は、各処理室52内の粉粒体を選択的に排出することができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、処理室52が3室設けられる例を示したが、これに限ることはない。例えば、隔壁を90度ずつ4つの隔壁を設けることによって、流動層乾燥室50を4個の処理室に区画してもよい。この場合には、投入機構53の投入口531、及び排出機構60の排出口63は、各処理室に対応する4箇所に設けられる。
【0064】
また、固定側部材61の内側に仕切部材を設けることで、粉粒体が通過する複数の通路を形成し、各通路内に、各通路を閉鎖可能な形状の可動部材を配置して、可動部材を軸方向(上下方向)に移動させることで、各排出口63を開閉してもよい。さらに、各可動部材を膨張シールで構成してもよい。
【0065】
次に、図12図15に基づいて、流動層乾燥室70の更に他の実施形態について説明する。本実施形態においては、上記の実施形態と同様に、流動層乾燥室70内を区画する隔壁71によって、独立した処理室72が形成され、各処理室72には、各処理室72に対してそれぞれ個別に粉粒体を投入可能な投入機構73と、各処理室72からそれぞれ個別に粉粒体を排出可能な排出機構80とが設けられる。投入機構53と排出機構80とは、それぞれの開閉を制御する制御手段(図示省略)に接続される。
【0066】
投入機構73は、各処理室72の側壁に形成されて、粉粒体が投入される投入口731(第1投入口731a、第2投入口731b、第3投入口731c)と、各投入口731の近傍に設けられて、各投入口731を開閉する投入バルブV(第1投入バルブVa、第2投入バルブVb、第3投入バルブVc)とが設けられる。
【0067】
排出機構80は、流動層乾燥室70の中央に軸方向(図の上下方向)に延びる方向に形成され、隔壁71は、流動層乾燥室70の中央の排出機構80から半径方向に延び、所定角度を隔てて複数の隔壁71が設けられる。なお、本実施形態においては、流動層乾燥室70は、120度毎に3つの隔壁71が設けられ、流動層乾燥室70を3個の処理室72(第1処理室72a、第2処理室72b、第3処理室72c)に区画している。排出機構80の下端部には、各処理室72に向けて開口する排出口63が形成されている。その他の構成は、上記の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0068】
ここで、図12図15に基づいて、流動層乾燥室70に設けられた、排出機構80の詳細について説明する。排出機構80は、図12に示すように、流動層乾燥室70の軸方向に延びる円筒形状をなしており、隔壁71が集中する流動層乾燥室70の中央に設けられる。図示は省略するが、排出機構80の上端側は、排出した粉粒体を搬送する搬送経路として延びており、粉粒体を吸引する吸引手段が接続されている。また、図13に示すように、排出機構80は、排出口83が形成される固定側部材81と、排出口83を開閉可能な可動部材82とを有する。
【0069】
固定側部材81は、図12及び図13(a)に示すように、流動層乾燥室70の隔壁71の一部を形成している。詳しくは、固定側部材81の外周部に隔壁71が接続されている。また、固定側部材81の下端付近には、隔壁71によって区画される各処理室72に向けて開口するように、排出口83が3箇所に形成される(第1排出口83a、第2排出口83b、第3排出口83cで示す)。ここで、排出口83は、流動層乾燥室70の底部70aよりも上方で、かつ底部70aの外周よりも内側に設けられる。
【0070】
可動部材82は、固定側部材81の内径寸法よりも若干小さい外径寸法を有する円筒形状の部材であり、固定側部材81に回動及び軸方向に移動可能に包套される。なお、図示は省略するが、可動部材82は、一端側が延びており、回動駆動手段及び直線駆動アクチュエーターに接続されている。また、可動部材82には、固定側部材81の排出口83と略同形の開口部84が、可動部材82の下端から、排出口83の高さ寸法よりも若干上部の位置において、1箇所に形成される。
【0071】
続いて、排出機構80の動作について説明する。排出機構80は、可動部材82が、垂直な軸心周りに回動すること、及び軸方向に移動することによって、排出口83の開閉動作を行う。図14には、全ての排出口83を閉状態とする状態を示しており、図15には、第1排出口83aを開状態とした状態を示す図を、それぞれの排出口83の断面を上方から見た図と共に示す。
【0072】
ここで、図12に示すように、各処理室72(第1処理室72a、第2処理室72b、第3処理室72c)に形成された粉粒体の投入機構73の各投入口731の近傍に設けられる投入バルブV(第1投入バルブVa、第2投入バルブVb、第3投入バルブVc)と、粉粒体の排出機構80の可動部材82に接続される回動駆動手段及び直線駆動アクチュエーター(共に図示省略)とは、それぞれ、図示省略の制御手段に接続され、制御手段によって、各処理室72への粉粒体の投入及び排出のタイミングが制御される。
【0073】
全ての排出口83を閉状態とする際には、図14(a)に示すように、可動部材82を、固定側部材81に下端の位置が一致するまで挿入した状態とする。可動部材82をこのように挿入することによって、可動部材82に形成される開口部84は、固定側部材81に形成される排出口83までは達しないため、各排出口83は、可動部材82の外周部によって閉鎖される(図14(b)参照)。この状態で、例えば、第1処理室72aの第1排出口83aを開状態とするには、開口部84と第1排出口83aとは、周方向には一致しているため、図示省略の直線駆動アクチュエーターを作動させて、可動部材82を軸方向(図の下方)に移動して、図15(a)に示すように開口部84と第1排出口83aとが一致する状態にする。このとき図15(b)に示すように、他の排出口83(第2排出口83b及び第3排出口83c)は、可動部材82の外周部によって、閉鎖された状態が維持される。
【0074】
再び、全ての排出口83を閉状態とする際には、可動部材82を軸方向(図の上方)に移動することで、図14(a)に示す状態とすることができる。さらに、第2排出口83bを開状態とする際には、可動部材82を、図の時計回りに回動させると共に軸方向(図の下方)に移動させることで、開口部84と第2排出口83bとが一致する状態とすることができる。このように、可動部材82を回動及び軸方向に移動させることによって、各排出口83を選択的に開状態とすることができる。なお、乾燥処理における、各処理室72の排出口83を開閉するタイミングは、上記と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0075】
本実施形態においては、全ての排出口83を閉状態とする際に、可動部材82の開口部84を軸方向に移動させるため、各排出口83の周方向の開口寸法を大きくすることができる。そのため、各処理室72内からの粉粒体の排出を効率的に行うことができる。
【0076】
なお、本実施形態においては、処理室72が3室設けられる例を示したが、これに限ることはない。例えば、隔壁を90度ずつ4つの隔壁を設けることによって、流動層乾燥室70を4個の処理室に区画してもよい。この場合には、投入機構73の投入口731、及び排出機構80の排出口83は、各処理室に対応する4箇所に設けられる。
【0077】
また、上記の実施形態において、図16(a)に示すように、各流動層容器10等の流動層乾燥室14の底部14aには、指向性を有する複数の通気孔91が形成される気体分散板90を備えるように構成してもよい。通気孔91は、指向性を有する開口92(図16(b)参照)を有しており、開口92は、流動層乾燥室14内に配置された排出機構20の排出口23に向けて開口している。なお、図16(a)において、通気孔91が記載されていない領域には、図示省略の貫通孔が多数形成されている。
【0078】
気体分散板90をこのように構成することで、粉粒体の排出の際には、排出機構20の吸引によって、通気孔91の開口92から排出口23に向かう気流が発生するため、粉粒体の排出効率を向上させることができる。また、乾燥処理の際には、給気室13から気体分散板90の開口92を通って供給される気体によって、隔壁16に向かう一定の気流が発生する。そのため、各処理室17内の粉粒体は、隔壁16に向けて吹き付けられることで、効率よく流動層を形成することができる。
【0079】
加えて、図17及び図18に示すように、流動層乾燥室14の底部14aに備えられる気体分散板100を、各処理室17の底部にそれぞれ配置して、各気体分散板100を独立して交換可能としてもよい。ここで、図示は省略するが、流動層容器は、給気室(気体導入部110)と流動層乾燥室とを有し、流動層乾燥室は、隔壁によって独立した複数の処理室に区画される。なお、図17には、気体導入部110の一方に、気体分散板100を装着した状態を示す。
【0080】
各気体分散板100は、多数の通気孔を有する略半円形状の薄板の部材であり、パンチングプレートのような多孔板で形成される。また、気体分散板100の上面側には、気体分散板100の通気孔よりも細かい孔部を有するメッシュ板101を重ねて使用される。なお、メッシュ板101は、乾燥する粉粒体の落下を防止するため、孔部の径寸法は、流動層乾燥室内で乾燥処理される粉粒体の粒径よりも小さい径寸法を有する。
【0081】
気体分散板100及びメッシュ板101には、着脱の際の摘み部としてのタブ100a、101aがそれぞれ同じ位置に形成される。なお、タブ100a、101aには、火傷防止のための保護カバーを装着することが好ましい。
【0082】
気体分散板100は、気体導入部110の上面に載置される。気体導入部110には、気体分散板100を押し上げる押上パッキンとしての膨張シール111が配置される溝部112と、気体分散板100及びメッシュ板101の側部を支持し、装着の際にはガイドとして働くガイド部113とを有する。ここで、膨張シール111は、内部に水や空気を供給することで膨張可能な部材であり、気体導入部110に形成される溝部112に沿って配置され、膨張することで気体分散板100を下方から押し上げる。なお、図示のように、膨張シール111は、各処理室毎(2箇所)に配置されるため、各気体分散板100を個別に固定させることができる。
【0083】
以下、図18に基づいて、気体分散板100及びメッシュ板101の着脱について説明する。なお、図18の下方を前方側(又は手前側)と呼び、上方を奥側と呼ぶ。気体分散板100及びメッシュ板101は、予めか重ねた状態で着脱する。気体分散板100及びメッシュ板101を装着する際は、これらを重ねた状態で、斜め前方側より挿入する(図に矢印Fで示す)。気体分散板100及びメッシュ板101の奥側の端部がガイド部113に当接すると、横方向に移動させる(図に矢印Gで示す)。このとき、気体分散板100及びメッシュ板101の奥側の端部は、ガイド部113で支持された状態であり、気体分散板100及びメッシュ板101は、ガイド部113に沿って回転する。気体分散板100及びメッシュ板101を横方向に移動させて、手前側が、手前側のガイド部113に当接すると、装着が完了する。また、他方側の気体分散板100及びメッシュ板101についても、同様に装着する。
【0084】
気体分散板100及びメッシュ板101が気体導入部110上に載置されると、膨張シール111内に、例えば空気を供給することで膨張させて、気体分散板100を押し上げる。なお、膨張シール111は、膨張することによって、気体分散板100及びメッシュ板101を押し上げると共に、気体導入部110の周方向にも膨張し、気体導入部110と各処理室の内壁との間を閉鎖する。これによって、気体導入部110から導入される流動化気体を、気体分散板100の周囲側から流出することを防止し、確実に気体分散板100を通過して、各処理室に導入することができる。
【0085】
一方、気体分散板100及びメッシュ板101を清掃や交換のために取り外す際には、取り外す側の膨張シール111内の空気(または水)を吸引して、押し上げを解除する。次いで、気体分散板100及びメッシュ板101のタブ100a、101aを持って、横方向(図に矢印Hで示す)に移動させる。このとき、装着時と同様に、気体分散板100及びメッシュ板101の奥側が、ガイド部113に沿って回転する。ある程度回転させると、斜め前方に引き抜く(図に矢印Iで示す)ことで、気体分散板100及びメッシュ板101を取り外すことができる。
【0086】
なお、流動層処理室が、3室以上の処理室に区画される場合には、気体分散板及びメッシュ板を3個以上として、それぞれを個別に着脱可能としてもよい。このように、気体分散板及びメッシュ板を複数個所に配置して、それぞれを膨張シールによって固定することによって、各気体分散板及びメッシュ板を個別に取り外したり交換したりすることができる。そのため、例えば、一方の処理室において、乾燥処理を行っている間であっても、他方の処理室の気体分散板を取り外して清掃したり、新たな気体分散板に交換したりすることができる。
【0087】
上記の構成は、下記の発明に基づくものである。
【0088】
すなわち、隔壁によって区画される独立した処理室を複数有し、前記各処理室に投入された粉粒体をそれぞれ流動化気体によって浮遊流動させながら乾燥処理を行う流動層乾燥室を備え、前記各処理室の底部には、前記各処理室に流動化気体を導入するための気体導入部を有し、前記気体導入部は、多数の通気孔を有する気体分散板と、該気体分散板の通気孔よりも細かい孔部を有し、前記気体分散板の上面側に載置されるメッシュ板と、前記気体分散板の下方に配置された膨張シールとを有し、前記膨張シールを膨張させることで、前記気体分散板及びメッシュ板を前記底部に固定すると共に、前記膨張シールを収縮することで、前記導入部から前記気体分散板及び前記メッシュ板を取り外し可能にすることを特徴とする連続式流動層乾燥装置として示される。
【0089】
以上述べてきたように、本発明に係る連続式流動層乾燥装置1は、隔壁16によって区画される独立した処理室17を複数有し、各処理室17に投入された粉粒体をそれぞれ流動化気体によって浮遊流動させながら乾燥処理を行う流動層乾燥室14と、各処理室17に対してそれぞれ個別に粉粒体を投入可能な投入機構18と、各処理室17からそれぞれ個別に粉粒体を排出可能な排出機構20と、投入機構18の開閉と排出機構20の開閉を制御する制御手段Cとを備え、投入機構18による各処理室17への粉粒体の投入が、複数の各処理室17に対して逐次的に順次に行われると共に、逐次投入の順番に応じて、排出機構20による各処理室17からの粉粒体の排出が、複数の各処理室17に対して逐次的に順次に行われるように、制御手段Cにより投入機構18と排出機構20とが制御されることを特徴とする。これによって、粉粒体が他の処理室17に混入することなく、加る十分な流速の気体を用いて流動層乾燥処理を行うことができる。また、各処理室17に、逐次的に順次に粉粒体を投入することによって、処理室17を移動させることなく連続的に乾燥処理を行うことができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0091】
1 連続式流動層乾燥装置
14 流動層乾燥室
16 隔壁
17 処理室
18 投入機構
20 排出機構
C 制御手段
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