(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によれば、下記の工程
工程1:ナフタレンに硫酸を反応させ、ナフタレンスルホン酸を製造する工程。
工程2:工程1で製造されたナフタレンスルホン酸にホルムアルデヒドを添加し、縮合させ、NSFの粗製品1を得る工程。
工程3:工程2で得られたNSFの粗製品1に、水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムから選ばれる一種以上の化合物を加えて、中和する工程。
工程4:工程3で得られた中和されたNSFの粗製品1に水酸化カルシウム又は酸化カルシウムから選ばれる一種以上の化合物を添加し、沈殿した硫酸カルシウムを濾別し、NSFの粗製品2を得る工程。
工程5:工程4で得られたNSF粗製品2に、アルカノールアミンを添加してpHを9.5以上11以下に調整し、NSF粗製品3を得る工程。
工程6:工程5で得られたNSF粗製品3の残存Fに対して、尿素化合物をF/Uのモル比が1.65以上3.2以下となるように添加し、NSF粗製品4を得る工程。
工程7:工程6で得られたNSF粗製品4に、酸を添加してNSF粗製品4のpHを8以上9以下に調整し、NSF製品を得る工程。
を含むナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の製造方法が提供される。
【0012】
<工程1>
ナフタレンに硫酸を反応させ、ナフタレンスルホン酸を製造する工程1は、常法に従って行うことができる。例えば、ナフタレンスルホン酸を得るために、ナフタレン1モルに対して、硫酸を1.1モル以上、1.5モル以下用い、150℃以上、170℃以下で2時間以上、6時間以下反応させてスルホン化物を得る。
【0013】
反応を十分に進行させる観点から、ナフタレン1モルに対して、硫酸を1.2モル以上が好ましく、また未反応物の削減の観点から1.4モル以下が好ましい。反応温度は、反応を十分に進行させる観点から155℃以上が好ましく、また不純物の発生抑制の観点から165℃以下が好ましい。反応時間は、反応を十分に進行させる観点から3時間以上が好ましく、生産性の観点から5時間以下が好ましい。
【0014】
<工程2>
次いで、工程1で製造されたナフタレンスルホン酸にホルムアルデヒドを添加し、縮合させ、NSFの粗製品1を得る。例えばスルホン化物1モルに対して、ホルムアルデヒドとして0.95モル以上、1モル以下となるようにホルマリンを85℃以上、110℃以下で、3時間以上、6時間以下かけて滴下し、滴下後95℃以上、110℃以下で4時間以上、8時間以下、縮合反応を行うことによりNSFの粗製品1を得ることができる。
【0015】
残存ホルムアルデヒド量を低減する観点から、スルホン化物1モルに対して、ホルムアルデヒド0.97モル以上が好ましく、0.99モル以下が好ましい。滴下温度は、残存ホルムアルデヒド量を低減する観点から、88℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、不純物の発生を抑制する観点から97℃以下が好ましく、92℃以下がより好ましい。滴下時間は、残存ホルムアルデヒド量を低減する観点から、3.5時間以上が好ましく、4時間以上がより好ましく、生産性の観点から5時間以下が好ましい。縮合反応温度は、残存ホルムアルデヒド量を低減する観点から、100℃以上が好ましく、不純物の発生を抑制する観点から105℃以下が好ましい。縮合反応時間は、残存ホルムアルデヒド量を低減する観点から、5時間以上が好ましく、生産性の観点から7時間以下が好ましい。
【0016】
<工程3>
工程2で得られたNSFの粗製品1である縮合物に水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムから選ばれる一種以上の化合物を加え、中和を行う。中和工程は例えば80℃以上、95℃以下で行われ、水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムから選ばれる一種以上の化合物は、ナフタレンスルホン酸と未反応硫酸に対してそれぞれ0.95モル以上、1.15モル以下添加してpHを4以上、10以下に調整する。また中和により生じる水不溶解物を除去、好ましくは濾過により分離しても良い。これらの工程によって、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物水溶性塩の水溶液が得られる。
【0017】
未反応硫酸を中和して容器の腐食を防止する観点から、水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムから選ばれる一種以上の化合物はナフタレンスルホン酸と未反応硫酸のそれぞれに対して1.0モル以上が好ましく、1.1モル以下が好ましい。中和温度は、未反応硫酸を中和する観点から、85℃以上が好ましく、90℃以下が好ましい。pHは、4以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以下が好ましく、9以下がより好ましい。
【0018】
中和剤としては水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムから選ばれる一種以上の化合物が挙げられるが、中和時に気体の発生を抑制し工程を簡略化する観点から水酸化ナトリウムが好ましい。
【0019】
<工程4>
次いで、工程3で得られた中和されたNSFの粗製品1に水酸化カルシウム又は酸化カルシウムから選ばれる一種以上の化合物を添加し、沈殿した硫酸カルシウムを濾別し、NSFの粗製品2を得る。例えば工程3で得られた、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩の水溶液に5℃以上、95℃以下で水酸化カルシウム又は酸化カルシウムから選ばれる一種以上の化合物をナフタレンスルホン酸1モルに対して0.2モル以上、0.4モル以下添加して、0.1時間以上、2時間以下、反応させて、沈殿した硫酸カルシウムを濾別し、NSFの粗製品2を得る。工程3で得られたナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物水溶性塩の水溶液は、そのまま或いは他の成分を適宜添加してセメント分散剤組成物として使用することができるが、硫酸塩が生成している。硫酸塩は冬季の低温化では溶解度が低下し、沈殿を生じる。このため、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムから選ばれる一種以上の化合物を添加して硫酸カルシウムとして沈殿させ、濾別することで硫酸塩の沈殿を防ぐことができる。
【0020】
硫酸カルシウムとして沈殿させる観点から、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムから選ばれる一種以上の化合物は、ナフタレンスルホン酸1モルに対して、0.25モル以上が好ましく、0.35モル以下が好ましい。反応温度は、硫酸カルシウムとして沈殿させる観点から、5℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、95℃以下が好ましく、85℃以下がより好ましい。反応時間は、硫酸カルシウムとして沈殿させる観点から、0.3時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、2時間以下が好ましく、生産性の観点から1.5時間以下がより好ましい。
【0021】
<工程5>
工程4で得られたNSF粗製品2に、アルカノールアミンを添加してpHを9以上11以下に調整して、0℃以上、95℃以下で混合させると、粗製品3が得られる。ここで添加するアルカノールアミンは、pH緩衝能の観点から、アルキルジエタノールアミン又はトリエタノールアミンが好ましく、N−メチルジエタノールアミンがより好ましい。
【0022】
pHは、本発明のNSF製品の保存後の沈殿生成を抑制する観点から、10以上が好ましく、10.5以上がより好ましい。また、同様の観点から11以下が好ましい。pH調整時の温度は、本発明のNSF製品の保存後の沈殿生成を抑制する観点から、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、95℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。
【0023】
<工程6>
次いで、工程5で得られたNSF粗製品3の残存ホルムアルデヒド量に対して、尿素化合物をホルムアルデヒド(F)/尿素化合物(U)のモル比(以下F/Uという)が1.65以上3.2以下となるように添加して、NSF粗製品4を得る。ここで添加する尿素化合物として、尿素、ジメチル尿素、エチレン尿素等が挙げられるが、経済的な観点から尿素が好ましい。添加後、例えば10℃以上、70℃以下で、0.25時間以上、3.0時間以下反応させると、粗製品4が得られる。
【0024】
残存ホルムアルデヒド量を低減する観点から、F/Uは、2.5以下が好ましく、2以下がより好ましく、1.8以下が更に好ましく、1.75以下がより更に好ましい。また、保存後の沈殿を抑制する観点から1.65以上が好ましい。反応温度は、残存ホルムアルデヒドを低減する観点から、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、70℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましい。反応時間は、残存ホルムアルデヒドを低減する観点から、0.25時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、生産性の観点から3.0時間以下が好ましく、1.5時間以下がより好ましい。
【0025】
<工程7>
工程6で得られたNSF粗製品4に、酸を添加して、pHを調整し、8以上9以下とする。本発明のNSF製品の保存後の沈殿を抑制する観点から、8.1以上が好ましく、8.5以上がより好ましく、8.7以上がより好ましい。また、8.95以下が好ましい。添加する酸は、リン酸、硝酸、炭酸、アルキルカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸等が挙げられるが、pH緩衝能および凝結遅延抑制の観点からアルキルカルボン酸が好ましく、酢酸がより好ましい。
【0026】
本発明は工程1〜工程7を含む製造方法である。本発明の効果を発現する機構は必ずしも全てが解明されている訳ではないが、以下のように推定される。
【0027】
工程6でNSF粗製品3に特定の割合で尿素化合物を添加することにより、残存ホルムアルデヒドがメチレン基を有しない尿素樹脂の初期縮合物となって捕捉され、粗製品2の残存ホルムアルデヒド量を低減できるものと推定される。この初期縮合物は水溶液中ではホルムアルデヒドと尿素化合物との平衡状態にあると推定される。また、尿素化合物の添加によって発生する沈殿は分析の結果、炭酸カルシウムであることが特定されている。これは、過剰な尿素化合物が分解してアンモニアと二酸化炭素になり、二酸化炭素と粗製品中のカルシウムイオンが反応して、炭酸カルシウムが沈殿するものと推定される。しかしながら工程6では過剰な尿素化合物を加えることがないので、尿素化合物が分解して沈殿を生じることがない。
【0028】
また工程5でNSF粗製品2を特定のpHに制御することにより、工程6において沈殿を生じることなくホルムアルデヒド量を低減できる。これは、pHが高すぎると、NSF粗製品3の残存尿素化合物が分解し、前記と同じように炭酸カルシウムが沈殿すると同時に、カニッツァーロ反応等の副反応が生じることでギ酸塩が生じ、長期的な保存安定性にも悪影響を及ぼす。またpHが低すぎると尿素化合物とホルムアルデヒドが副反応を起こし、メチレン基を有する尿素樹脂前駆体が生成し、これらが縮合することで尿素樹脂となって沈殿するものと推定される。
【0029】
工程7でNSF粗製品4を特定のpHに制御することにより、pHが高すぎると、残存する尿素化合物が分解して、前記同様、炭酸カルシウムが沈殿すると推定される。pHが低すぎると尿素化合物とホルムアルデヒドと初期縮合物が反応し、前記同様、尿素樹脂が沈殿すると推定される。
【0030】
本発明のNSFの精製方法は下記の工程5’〜工程7’を含むものである。
工程5’:NSFに、アルカノールアミンを添加してpHを9.5以上11以下に調整し、NSF粗製品3’を得る工程。
工程6’:NSF粗製品3’の残存ホルムアルデヒド(以下Fという)に対して、尿素化合物(以下Uという)をF/Uのモル比が1.65以上3.2以下となるように添加し、NSF粗製品4’を得る工程。
工程7’:工程6’で得られたNSF粗製品4’に、酸を添加してNSF粗製品4’のpHを8以上9以下に調整し、NSF製品を得る工程。
【0031】
NSFは先に述べた工程1〜工程4により製造したNSF粗製品、又は市販のNSFを使用することができる。工程5’、工程6’、及び工程7’の処理方法、及び好ましい態様は、それぞれ対応する工程5、工程6、及び工程7のNSFの製造方法と同様である。
【0032】
本発明のNSF水溶液の残存ホルムアルデヒドを10000ppm以下に低減する方法は、先に述べた工程1〜工程7を含むものである。好ましい態様はNSFの製造方法と同様である。
【0033】
NSF水溶液の残存ホルムアルデヒドは、使用時の作業者の安全性の確保、及び臭気低減の観点から、1000ppm以下にすることが好ましく、960ppm以下にすることがより好ましく、920ppm以下にすることが更に好ましく、900ppm以下にすることがより更に好ましく、850ppm以下にすることがより更に好ましい。
【0034】
本発明の先に述べた工程1〜工程4により製造した粗NSF水溶液、又は市販のNSF水溶液の残存ホルムアルデヒドを低減する方法は、先に述べた工程5’〜工程7’を含むものである。工程5’、工程6’、及び工程7’の処理方法、及び好ましい態様は、それぞれ対応する工程5、工程6、及び工程7のNSFの製造方法と同様である。
【0035】
本発明のNSF水溶液の保存安定性を向上させる方法は、先に述べた工程1〜工程7を含むものである。好ましい態様はNSFの製造方法と同様である。
【0036】
本発明の先に述べた工程1〜工程4により得られた粗NSF水溶液、又は市販のNSF水溶液の保存安定性を向上させる方法は、先に述べた工程5’〜工程7’を含むものである。工程5’、工程6’、及び工程7’の処理方法、及び好ましい態様は、それぞれ対応する工程5、工程6、及び工程7のNSFの製造方法と同様である。
【実施例】
【0037】
<ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(NSF粗製品2)の製造>
攪拌機付き反応容器中にナフタレン 128質量部を仕込み、 120℃に昇温し、攪拌しながら98%硫酸128質量部を滴下した。次に、 160℃に昇温し、4時間攪拌してナフタレンスルホン酸を得た(工程1)。その後90℃に冷却、温水56質量部を加えて、攪拌しながら37%ホルマリン80質量部を95℃で4時間かけて滴下した。
次いで、 102℃に昇温して6時間反応させて、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物を得た(工程2)。得られた縮合物に48%水酸化ナトリウムを82質量部添加して中和した(工程3)。その後、水酸化カルシウムを23質量部添加し、75℃で0.5時間反応させ、溶液を濾過後、固形分濃度を40%に調整し、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物水溶液を得た(工程4)。縮合物水溶液のpHはガラス電極型pHメーターにより8.4、ホルムアルデヒド残存量は下記の測定方法により2600ppmであった。
【0038】
<残存ホルムアルデヒドの測定方法>
残存ホルムアルデヒド量はナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物水溶液を10000倍に希釈した水溶液に対しアセチルアセトン誘導体化処理を行い、液体クロマトグラフィーを用いて定量した。液体クロマトグラフィー法の測定条件を下記に示す。
カラム:Hitachi-Initial ODS-3(250×4.6mm, 5μm)
溶離液:6mmol/L Na
2HPO
4水溶液(pH2.1)
反応液:アセチルアセトン溶液
流速:溶離液0.8mL/min、反応液0.5mL/min
カラム温度:20℃
反応温度:90℃
注入量:50μL
検出器:UVD414nm
【0039】
<実施例1>
300ml四つ口フラスコにナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物水溶液100質量部に、アルカノールアミンとして、N−メチルジエタノールアミン0.5質量部(5000ppm)を添加してpHを調製した(工程5)。次いで尿素0.26質量部(2600ppm)を添加し、20℃の室温で1時間撹拌した(工程6)。その後、酸添加物として酢酸を0.17質量部(1700ppm)添加し、pHを調整した後に(工程7)、水溶液を100mlスクリュー管(No.8)に入れ、40℃の恒温槽中で静置した。
【0040】
<実施例2>
添加する酢酸量を0.2質量部(2000ppm)としたほかは、実施例1と同様に行った。
【0041】
<実施例3>
添加する酢酸量を0.23質量部(2300ppm)としたほかは、実施例1と同様に行った。
【0042】
<比較例1>
添加する酢酸量を0.15質量部(1500ppm)としたほかは、実施例1と同様に行った。
【0043】
<比較例2>
添加する酢酸量を0.25質量部(2500ppm)としたほかは、実施例1と同様に行った。
【0044】
<実施例4>
添加する尿素の量を0.306質量部(3060ppm)(モル比F/U=1.7)としたほかは、実施例1と同様に行った。
【0045】
<実施例5>
添加する尿素の量を0.29質量部(2900ppm)(モル比F/U=1.8)としたほかは、実施例1と同様に行った。
【0046】
<実施例7>
添加する尿素の量を0.173質量部(1730ppm)(モル比F/U=3)としたほかは、実施例1と同様に行った。
【0047】
<比較例3>
添加する尿素の量を0.325質量部(3250ppm)(モル比F/U=1.6)としたほかは、実施例1と同様に行った。
【0048】
<実施例6>
N−メチルジエタノールアミンの代わりに、アルカノールアミンとしてトリエタノールアミンを用いたほかは、実施例1と同様に行った。
【0049】
<比較例4>
実施例1で尿素を添加するが(工程6)、アルカノールアミンの添加(工程56)と酢酸の添加(工程7)を行わないものを比較例4とした。
【0050】
<比較例5>
実施例1で先に工程6と工程7を実施し、その後工程5の順に行ったものを比較例5とした。
すなわち、NSF水溶液に尿素0.26質量部(2600ppm)と酢酸0.17質量部(1700ppm)を添加し、20℃で1時間攪拌した。その後、N−メチルジエタノールアミンを0.5質量部(5000ppm)添加した。
【0051】
<比較例6>
実施例1の工程5でN−メチルジエタノールアミンの代わりに、アルカリ添加物として水酸化ナトリウム0.2質量部(2000ppm)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
【0052】
<実施例8>
実施例1で用いたNSF水溶液にパラホルムアルデヒドを加えて、ホルムアルデヒド量を2質量部(20000ppm)とし、尿素を2質量部(20000ppm)(モル比F/U=2.0)としたほかは、実施例1と同様に行った。
【0053】
<比較例7>
実施例8で尿素を添加するが(工程6)、アルカノールアミンの添加(工程5)と酢酸の添加(工程7)を行わないものを比較例7とした。
【0054】
<比較例8>
実施例8で先に工程6と工程7を実施し、その後工程5の順に行ったものを比較例8とした。
すなわち、NSF水溶液に尿素2.0質量部(20000ppm)と酢酸0.17質量部(1700ppm)を添加し、20℃で1時間攪拌した。その後、N−メチルジエタノールアミンを0.5質量部(5000ppm)添加した。
【0055】
<比較例9>
実施例8の工程5で、N−メチルジエタノールアミンの代わりに、アルカリ添加物として、水酸化ナトリウム0.2質量部(2000ppm)を用いた以外は、実施例8と同様に行った。
【0056】
<比較例10>
実施例8の工程5で、N−メチルジエタノールアミンの代わりに、アルカリ添加物として、アンモニアを0.35質量部(3500ppm)用い、工程7で酢酸を0.05質量部(500ppm)用いた以外は、実施例8と同様に行った。
【0057】
各実施例と比較例について、工程5、工程7のpHの結果、全工程処理後におけるNSF水溶液のホルムアルデヒド最終残存量、及びNSF水溶液を40℃で4ヶ月間、保存した後、水溶液中の沈殿の有無を目視で確認した保存試験の各結果を表1、表2、及び表3に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
表1、表2、及び表3中の各添加物は、以下の通りである。
・MDEA:N−メチルジエタノールアミン
・TEA:トリエタノールアミン
【0062】
実施例1と比較例4を比べ、また実施例8と比較例7を比べると、40℃4ヶ月の保存では、比較例4と比較例8で沈殿が生じており、工程5と工程7が必要なことが分かる。
実施例1と比較例5を比べ、また実施例8と比較例8を比べると、工程5と工程7はこの順序で実施しなければ、40℃4ヶ月の保存では沈殿が生じることが分かる。
実施例1と比較例6を比べ、また実施例8と比較例9を比べると、工程5ではpHが請求項の範囲内でないと、40℃4ヶ月の保存では沈殿が生じることが分かる。
実施例1〜3と比較例3を比べることにより、工程6での尿素の添加量は請求項の範囲内でないと、40℃4ヶ月の保存では沈殿が生じることが分かる。
比較例10では、40℃4ヶ月の保存では沈殿が生じているのは、アンモニアにはアルカノールアミンのような緩衝能がなく、ホルムアルデヒドの分解で生じた蟻酸によって、水溶液のpHが下がり、尿素と尿素樹脂初期縮合物の反応が起こり、沈殿が生じたものと考えられる。