(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端が前記蒸気発生手段と前記蒸気発電機との間の前記蒸気供給流路に接続され、他端が前記蒸気発電機と前記バイナリー発電装置との間の前記蒸気供給流路に接続されたバイパス流路を備える、請求項3に記載の発電電力の平滑化システム。
前記蒸気供給流路および前記バイパス流路の少なくとも一方に前記蒸気発生手段からの蒸気を流通させるように切り換え可能な開閉弁を備える、請求項4に記載の発電電力の平滑化システム。
前記第1電力統合手段により統合された電力と前記バイナリー発電装置により発電した第3の発電電力とを統合可能な第2電力統合手段を有する、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の発電電力の平滑化システム。
前記ポンプよりも上流の前記還流流路に設けられた、当該還流流路の前記第1熱媒体と第2熱媒体とを熱交換させる熱交換器を備える、請求項7に記載の発電電力の平滑化システム。
前記蒸気発生手段は、バイオマス燃料、地熱、または太陽熱の少なくとも1つを用いて前記蒸気を発生させる、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の発電電力の平滑化システム。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や太陽熱発電などの太陽エネルギーを利用した発電においては、当日の日照状況に影響されて、その発電出力が大きく変動する。例えば、夜間には発電できないし、雨天や曇天の日には発電出力が大きく減少する。また、数時間をかけて起こる比較的長周期の変動(以下、長周期変動と呼ぶことがある。)の一例である、夜明けから日暮れまでの日照状況や、晴れのち曇りといった日照状況の場合、発電出力が一日のうちで大きく変動する。さらに、数秒から、例えば20分の内に起こる比較的短周期の変動(以下、短周期変動と呼ぶことがある。)の一例である、太陽電池セルが雲の影に入ったり出たりするような場合にも、発電出力が短時間に著しく変動する。
【0003】
日本では、送電系統の末端に近い僻地や離島ほど送電系統(送電線)が弱い。末端に近い送電系統に上記のように変動する発電出力の流れる送電線を連結することは、送電系統が不安定となるため、電力事業者で認められない場合がある。
【0004】
特許文献1には、電力を安定供給する、太陽エネルギーを利用するシステムとして、太陽光レシーバーを有する太陽光発電装置と、太陽熱レシーバーを有する太陽熱発電装置とを備える発電設備が開示されている。
【0005】
この設備では、太陽光の強い時間帯は、太陽光レシーバーに集光した太陽エネルギーで太陽光発電装置による発電を行うとともに、太陽熱レシーバーに集光した太陽エネルギーで熱媒体を加熱し、該熱媒体の熱を蓄熱装置に蓄熱する。太陽光の弱い時間帯は、蓄熱装置の熱により熱媒体を加熱して蒸気を生成し、この蒸気を用いて蒸気タービン発電機によって太陽熱発電装置による発電を行う。
【0006】
したがって、蓄熱装置は、太陽光の強い時間帯に蓄熱状態に切り換え、太陽光の弱い時間帯に、蓄熱した熱を利用する状態に切り換えなければならない。
【0007】
しかし、上記設備において、蓄熱装置を比較的短時間で切り換えて利用することは困難である。また、特許文献1では、太陽光エネルギーの天候の変化などに伴う、短周期変動に対する対策について特に言及されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、太陽光または風力を利用した発電により短周期変動をする発電電力を平滑化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段として、本発明の発電電力の平滑化システムは、太陽光または風力により第1の発電電力を発電する再生可能エネルギー利用発電装置と、蒸気を発生させる蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段から蒸気供給流路を介して供給した前記蒸気により容積型回転機械を駆動して第2の発電電力を発電する蒸気発電機と、前記第1の発電電力と前記第2の発電電力とを統合可能な第1電力統合手段と、前記再生可能エネルギー利用発電装置の前記第1の発電電力を検出する電力トランスデューサと、前記電力トランスデューサにより検出された前記第1の発電電力と前記第2の発電電力との和が予め設定された設定発電電力となるように、前記第1の発電電力の大きさに基づいて前記第2の発電電力の大きさを制御する制御装置と
を備え、前記制御装置は、予め設定された第1間隔で検出された前記電力トランスデューサからの複数の検出値により算出した第1平均値に基づいて、前記蒸気発電機の回転数を制御する第1制御部と、前記第1間隔よりも長い間隔に予め設定された第2間隔で検出された前記電力トランスデューサからの複数の検出値により算出した第2平均値に基づいて前記設定発電電力を再設定する第2制御部とを備えるようにした。
【0011】
この構成によれば、太陽光または風力により発電した第1の発電電力の大きさに基づいて、予め設定された設定発電電力となるように、蒸気発電機により発電する第2の発電電力の大きさを制御できるので、安定的に設定発電電力を発電できる。したがって、太陽光または風力を利用した発電により短周期変動をする発電電力を平滑化することができる。
また、予め設定された比較的短い時間が経過する毎に、第1平均値に基づいて、蒸気発電機の回転数を制御することができる。これにより、再生可能エネルギー利用発電装置における実際の発電状態に合わせて、短期的に安定して設定発電電力を発電できる。また、予め設定された比較的長い時間が経過する毎に、第2平均値に基づいて、設定発電電力を再設定することができる。これにより、再生可能エネルギー利用発電装置における実際の発電状態に合わせて、長期的に安定して設定発電電力を発電できる。
【0012】
前記課題を解決するための手段として、本発明の発電電力の平滑化システムは、太陽光または風力により第1の発電電力を発電する再生可能エネルギー利用発電装置と、蒸気を発生させる蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段から蒸気供給流路を介して供給した前記蒸気により容積型回転機械を駆動して第2の発電電力を発電する蒸気発電機と、前記第1の発電電力と前記第2の発電電力とを統合可能な第1電力統合手段と、前記再生可能エネルギー利用発電装置の前記第1の発電電力を検出する電力トランスデューサと、前記電力トランスデューサにより検出された前記第1の発電電力と前記第2の発電電力との和が予め設定された設定発電電力となるように、前記第1の発電電力の大きさに基づいて前記第2の発電電力の大きさを制御する制御装置と、前記蒸気発電機よりも下流の前記蒸気供給流路の蒸気である第1熱媒体を流通させる1次側流路と、作動媒体を流通させる2次側流路とが熱交換可能に構成された蒸発器を有するバイナリー発電装置を備え、前記第1電力統合手段により統合された電力と前記バイナリー発電装置により発電した第3の発電電力とを統合可能な第2電力統合手段を有するようにした。
【0013】
第1熱媒体を流通させる1次側流路と、作動媒体を流通させる2次側流路とが熱交換可能に構成された蒸発器を有するバイナリー発電装置を備え、前記1次側流路の第1熱媒体は前記蒸気発電機よりも下流の前記蒸気供給流路の蒸気であることが好ましい。この構成によれば、蒸気発電機で未利用の蒸気エネルギーをバイナリー発電装置で回収することができ、エネルギー効率を向上させることができる。
【0014】
一端が前記蒸気発生手段と前記蒸気発電機との間の前記蒸気供給流路に接続され、他端が前記蒸気発電機と前記バイナリー発電装置との間の前記蒸気供給流路に接続されたバイパス流路を備えることが好ましい。この構成によれば、蒸気発生手段からの蒸気のうち、蒸気発電機で利用する蒸気を除く余剰蒸気をバイパス流路に流通させることにより、余剰蒸気のエネルギーをバイナリー発電装置で直接回収することができ、エネルギー効率を向上させることができる。
【0015】
前記蒸気供給流路および前記バイパス流路の少なくとも一方に前記蒸気発生手段からの蒸気を流通させるように切り換え可能な開閉弁を備えることが好ましい。この構成によれば、開閉弁の開度を制御して、効果的に発電を行うことができる。
【0016】
前記第1電力統合手段により統合された電力と前記バイナリー発電装置により発電した第3の発電電力とを統合可能な第2電力統合手段を有することが好ましい。この構成によれば、平滑化しつつ総発電電力量を増加することができる。
【0017】
前記1次側流路は、前記蒸気供給流路、及び還流流路を有し、前記還流流路は、一端が前記バイナリー発電装置の蒸発器を介して前記蒸気供給流路と接続されるとともに、他端が前記蒸気発生手段と接続され、前記還流流路は、前記バイナリー発電装置の蒸発器で凝縮した前記第1熱媒体を前記蒸気発生手段へ還流させるポンプを備えることが好ましい。この構成によれば、バイナリー発電装置の蒸発器で凝縮した第1熱媒体をポンプにより蒸気発生手段へ還流させることにより、第1熱媒体が有する熱エネルギーを蒸気発生手段で利用することができる。
【0018】
前記ポンプよりも上流の前記還流流路に設けられた、当該還流流路の前記第1熱媒体と第2熱媒体とを熱交換させる熱交換器を備えることが好ましい。この構成によれば、蒸気発生手段に環流される第1熱媒体が有する熱エネルギーの一部を熱交換器を介して第2熱媒体に伝達することができ、比較的低コストで第2熱媒体を加熱することができる。
【0019】
前記蒸気発生手段は、バイオマス燃料、地熱、または太陽熱の少なくとも1つを用いて前記蒸気を発生させることが好ましい。この構成によれば、未利用のエネルギーを活用して蒸気を発生させることができる。
【0020】
前記蒸気発生手段は木質バイオマス燃料を利用するバイオマスボイラーであることが好ましい。この構成によれば、危険物でない木質バイオマス燃料を蒸気発生手段の燃料とすることができ、燃料の管理を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、太陽光または風力により発電した第1の発電電力の大きさに基づいて、予め設定された設定発電電力となるように、蒸気発電機により発電する第2の発電電力の大きさを制御できるので、安定的に設定発電電力を発電できる。したがって、太陽光または風力を利用した発電により短周期変動をする発電電力を平滑化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0024】
図1は、本発明にかかる発電電力の平滑化システムの概略図を示す。発電電力の平滑化システム10は、蒸気発生手段11、蒸気発電機12、蒸気バイナリー発電装置13A,13B、再生可能エネルギー利用発電装置14、及び制御装置15を備えている。
【0025】
本実施形態の蒸気発生手段は木質バイオマスボイラー11である。木質バイオマスボイラー11は、木質バイオマス燃料を利用して、単位時間当たり一定量の蒸気を発生させる。
【0026】
蒸気発電機12は、木質バイオマスボイラー11の下流の蒸気供給流路16に配置される。蒸気発電機12は、容積型回転機械17、及び発電機本体18を有する。本実施形態の容積型回転機械はスクリュタービンである。スクリュタービン17は、蒸気供給流路16を介して供給された木質バイオマスボイラー11からの蒸気(第1熱媒体)により駆動される。発電機本体18は、スクリュタービン17の回転軸19に連結され、スクリュタービン17の駆動力により電力(第2の発電電力)を発電する。発電機本体18には、第2の発電電力を送電する送電線20が設けられており、送電線20は、後述する第1電力統合盤(第1電力統合手段)50と電気的に接続されている。
【0027】
蒸気供給流路16は、木質バイオマスボイラー11からの蒸気を供給する流路である。蒸気供給流路16は、蒸気発電機12の上流側と下流側に、上流側蒸気供給流路16A、及び下流側蒸気供給流路16Bを有する。上流側蒸気供給流路16Aは、一端が木質バイオマスボイラー11に接続され、他端が蒸気発電機12の蒸気入口17aに接続されている。下流側蒸気供給流路16Bの上流側の端部は、蒸気発電機12の蒸気出口17bと接続されている。下流側蒸気供給流路16Bは下流側に2つの分岐流路(第1分岐流路)21A,21Bを有し、第1分岐流路21A,21Bの下流側の端部は、それぞれ、
図2に示す蒸気バイナリー発電装置13A,13Bの蒸発器22A,22Bの蒸気入口23A,23Bに接続されている。
【0028】
発電電力の平滑化システム10には、蒸気発電機12に対して並列に配置された2つの蒸気バイナリー発電装置13A,13Bが設けられている。
図2に示すように、各蒸気バイナリー発電装置13A,13Bは、発電部24A,24B、凝縮器25A,25B、作動媒体ポンプ26A,26B、及び蒸発器22A,22Bを備えている。蒸気バイナリー発電装置13A,13Bの各構成要素は作動媒体が循環する密閉管路27A,27Bに順に介設されている。密閉管路27A,27Bは蒸発器22A,22Bの2次側流路である。作動媒体は、例えば、HFC245fa(代替フロン)のような有機媒体である。
【0029】
発電部24A,24Bは、スクリュタービン28A,28Bとスクリュタービン28A,28Bの回転軸29A,29Bに連結された発電機本体30A,30Bとを有する。発電機本体30A,30Bに、発電電力を送電する送電線35A,35Bが設けられている。発電部24A,24Bにおいて、密閉管路27A,27Bは、スクリュタービン28A,28Bの蒸気入口31A,31B、及び蒸気出口32A,32Bに接続されている。発電機本体30A,30Bは、スクリュタービン28A,28Bの内部に作動媒体の蒸気を通過させてスクリュタービン28A,28Bを駆動することにより第3の発電電力を発電する。
【0030】
凝縮器25A,25Bに、密閉管路27A,27Bの作動媒体と熱交換して加熱される熱媒体(第3熱媒体)を流通させる熱媒体流通路33A,33Bが設けられている。本実施形態では、第3熱媒体はクーリングタワーを介してまたは介さずに熱媒体流通路33A,33Bに供給される水である。
【0031】
作動媒体ポンプ26A,26Bは、凝縮器25A,25Bにおいて凝縮した作動媒体を、断熱状態で膨張気化させて低圧・低温に状態変化させる機能を有する。
【0032】
蒸発器22A,22Bに、蒸気(第1熱媒体)を流通させる下流側蒸気供給流路16Bの第1分岐流路21A,21Bが接続される蒸気入口23A,23Bが設けられている。また、蒸発器22A,22Bに、後述する第3分岐流路37A,37Bが接続される蒸気出口34A,34Bが設けられている。蒸発器22A,22Bは、密閉管路27A,27Bの作動媒体と下流側蒸気供給流路16Bの蒸気である第1熱媒体とが熱交換可能に構成されている。
【0033】
蒸気バイナリー発電装置13A,13Bの下流に還流流路36が設けられている。還流流路36は、上流側に2つの分岐流路(第3分岐流路)37A,37Bを有し、第3分岐流路37A,37Bの上流側の端部は、それぞれ、蒸発器22A,22Bの蒸気出口34A,34Bに接続されている。還流流路36の下流側の端部は、木質バイオマスボイラー11と接続されている。還流流路36、及び蒸気供給流路16は、第1熱媒体を流通させる流路であり、蒸発器22A,22Bの1次側流路である。
【0034】
第3分岐流路37A,37Bの合流部分36aより下流の還流流路36にポンプ38が設けられている。ポンプ38は、蒸気バイナリー発電装置13A,13Bの蒸発器22A,22Bで凝縮した温水である第1熱媒体を木質バイオマスボイラー11へ還流させる。
【0035】
第3分岐流路37A,37Bの合流部分36aより下流、かつポンプ38よりも上流の還流流路36に熱交換器39が設けられている。熱交換器39に、第1熱媒体と熱交換して加熱される熱媒体(第2熱媒体)を流通させる加熱流路40が設けられている。本実施形態では、第2熱媒体は温浴施設から供給される冷泉水である。
【0036】
本実施形態の再生可能エネルギー利用発電装置14は太陽光発電装置である。太陽光発電装置14は、太陽光発電部41、及び電力トランスデューサ42を備えている。
【0037】
太陽光発電部41は、太陽光パネルであり、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換して電力(第1の発電電力)を出力する。太陽光発電部41には、第1の発電電力を送電する送電線43が設けられており、送電線43は、第1電力統合盤50と電気的に接続されている。
【0038】
電力トランスデューサ42は、太陽光発電部41における発電電力を検出し、検出値を制御装置15に送信する。
【0039】
制御装置15は、電力トランスデューサ42からの第1の発電電力の検出値を受信可能に、電力トランスデューサ42と接続されている。制御装置15は、蒸気発電機12、及び蒸気バイナリー発電装置13A,13Bと電気的に接続されている。
【0040】
制御装置15は、第1制御部15a、及び第2制御部15bを備えている。第1制御部15a、及び第2制御部15bは、それぞれ、CPU(図示せず)とメモリ(図示せず)とを備えている。
【0041】
第1制御部15aのメモリ(図示せず)には、予め設定された第1間隔(20分以下の比較的短周期の間隔。例えば、20分間隔)で電力トランスデューサ42からの第1の発電電力の複数の検出値を記憶する第1プログラムが記憶されている。また、第1プログラムには、メモリ(図示せず)に予め設定した個数(本実施形態では5個)のデータが記憶されると、記憶されたデータに基づいて、CPU(図示せず)によって以下で説明する前進移動平均法による演算を実行させるプログラムがさらに含まれている。メモリ(図示せず)には、太陽光発電の発電電力ピーク値Lmax、及び発電電力ピーク値Lmaxと対応する予め設定された年間時間当たり平均発電量Laveについての複数のデータが記憶されている。
【0042】
第2制御部15bのメモリ(図示せず)には、第1間隔よりも長い予め設定された第2間隔(比較的長周期の間隔。例えば、6時間間隔)で電力トランスデューサ42からの第1の発電電力の複数の検出値を記憶する第2プログラムが記憶されている。また、第2プログラムには、メモリ(図示せず)に予め設定した個数のデータ(本実施形態では5個)が記憶されると、記憶されたデータに基づいて、CPU(図示せず)によって以下で説明する前進移動平均法による演算を実行させるプログラムがさらに含まれている。メモリ(図示せず)には、太陽光発電の発電電力ピーク値Lmax、及び発電電力ピーク値Lmaxと対応する予め設定された年間時間当たり平均発電量Laveについての複数のデータが記憶されている。
【0043】
前進移動平均法とは、例えば予め設定したデータの個数が5個である場合、電力トランスデューサ42で検出された検出値の過去4回の値(計算値)A1〜A4と、今回の検出値B5とを数(1)に代入して計算値A5を得て、この計算値A5を検出値B5の代わりに採用する方法である。
【0044】
[数1]
A5=(A1+A2+A3+A4+B5)/5 ・・・(1)
【0045】
同様に、A6は、次数(2)で算出される。
【0046】
[数2]
A6=(A2+A3+A4+A5+B6)/5 ・・・(2)
【0047】
第1プログラムには、それぞれ、検出値BXの代わりに採用された計算値AXを第1平均値としてメモリ(図示せず)に記憶させ、最も古い計算値を削除するプログラムが含まれている。
【0048】
第1プログラムには、第1平均値である第1の発電電力と蒸気発電機12が発電する第2の発電電力との和が設定された設定発電電力となるように、蒸気発電機12の回転数を変更するプログラムが含まれている。
【0049】
第2プログラムには、それぞれ、検出値BXの代わりに採用された計算値AXを第2平均値としてメモリ(図示せず)に記憶させ、最も古い計算値を削除するプログラムが含まれている。また、第2プログラムには、それぞれ、計算値AXに一致する発電電力ピーク値Lmaxを読み出し、読み出した発電電力ピーク値Lmaxに対応する平均発電量Laveを設定発電電力に再設定するプログラムが含まれている。
【0050】
第2プログラムには、設定発電電力が再設定されると、第1の発電電力としての第2平均値と蒸気発電機12が発電する第2の発電電力との和が再設定された設定発電電力となるように、蒸気発電機12の回転数を変更するプログラムが含まれている。
【0051】
制御装置15は、蒸気発電機12の運転状態を制御(回転数制御、あるいはロード制御、アンロード制御)する。すなわち、制御装置15は、第1の発電電力と第2の発電電力との和が系統53に出力する予め設定された設定発電電力となるように、第1の発電電力の大きさに基づいて第2の発電電力の大きさを制御する。したがって、第1の発電電力及び第2の発電電力は、互い逆比例の関係となっている。
【0052】
発電電力の平滑化システム10にはバイパス流路46が設けられている。バイパス流路46は下流側に2つの分岐流路(第2分岐流路)47A,47Bを有している。バイパス流路46の上流側の端部は、木質バイオマスボイラー11と蒸気発電機12との間の上流側蒸気供給流路16Aに接続されている。第2分岐流路47A,47Bの端部は、第1分岐流路21A,21Bに接続されている。バイパス流路46には上流側圧力(一次圧)を予め設定した二次圧に減圧する蒸気用の減圧弁48が設けられている。
【0053】
発電電力の平滑化システム10には、送電線43で送電された第1の発電電力と送電線20で送電された第2の発電電力とを統合可能な第1電力統合盤50が設けられている。統合された第1の発電電力と第2の発電電力との和は、系統53に出力する予め設定された設定発電電力である。第1電力統合盤50は、送電線56を介して後述する第2電力統合盤(第2電力統合手段)51と接続されている。
【0054】
発電電力の平滑化システム10には、第1電力統合盤50で統合され送電線56で送電された電力と、蒸気バイナリー発電装置13A,13Bにより発電し、送電線35A,35Bで送電された第3の発電電力とを統合可能な第2電力統合盤51が設けられている。第2電力統合盤51には、統合された発電電力を送電する送電線52が設けられている。送電線52は系統53に連系されている。
【0055】
以上の構成からなる本発明の発電電力の平滑化システム10の動作について説明する。
【0056】
日中、太陽光が太陽光発電部41に照射されると、太陽光発電部41において第1の発電電力が発電され送電線43に出力される。第1の発電電力は、電力トランスデューサ42により検出され、検出値は制御装置15に送信される。
【0057】
一方、木質バイオマスボイラー11では、木質バイオマスを燃料として水を加熱し、単位時間当たり一定量の水蒸気を発生させる。発生した水蒸気は、上流側蒸気供給流路16A、及びバイパス流路46へ送られる。バイパス流路46へ送られた蒸気は、バイパス流路46の上流側圧力(一次圧)が予め設定された二次圧を超えた場合にのみ、減圧弁48を通過する。すなわち、蒸気発電機12で利用されなかった余剰蒸気のみが減圧弁48を通過する。
【0058】
電力トランスデューサ42から受信した検出値は、制御装置15の第1制御部15aにおいて、予め設定された第1間隔(20分以下の比較的短周期の間隔。例えば、20分間隔)でメモリ(図示せず)に記憶される。メモリ(図示せず)に予め設定した個数(本実施形態では5個、電力トランスデューサ42で検出された検出値の過去4回の値(計算値)A1〜A4、今回の検出値B5)のデータが記憶されると、記憶されたデータに基づいて、CPU(図示せず)によって前進移動平均法による演算が実行される。これにより、第1制御部15aは、計算値A5を得て、この計算値A5を検出値B5の代わりに採用する。その後、第1制御部15aは、計算値A5すなわち第1平均値A5である第1の発電電力と蒸気発電機12が発電する第2の発電電力との和が設定された設定発電電力となるように、蒸気発電機12の回転数を変更する。回転数の変更は、例えば、スクリュタービン(容積型回転機械)17の給気圧力または排気圧力を制御するように図示しないインバータで蒸気発電機12に制動をかけることによって行う。
【0059】
この制御下で、上流側蒸気供給流路16Aへ送られた水蒸気を、蒸気発電機12の内部に通すことにより、スクリュタービン17を駆動させる。これにより、発電機本体18は第2の発電電力を発電する。蒸気発電機12で発電した第2の発電電力は、図示しないインバータおよびコンバータを介して送電線20に出力され、第1電力統合盤50において、送電線43に出力された第1の発電電力と統合される。その後、第1の発電電力と第2の発電電力とが統合された発電電力は、送電線56に送電され、その後、第2電力統合盤51において、発電機本体30A,30Bで発電された第3の発電電力と統合され、送電線52を介して系統53に送電される。
【0060】
蒸気発電機12から吐出された水蒸気は、下流側蒸気供給流路16Bを通り、分岐流路21A,21Bへ送られる。分岐流路21A,21Bの水蒸気は、
図2に示す蒸気バイナリー発電装置13A,13Bの蒸発器22A,22Bに送られる。蒸発器22A,22Bでは、熱交換により、蒸気バイナリー発電装置13A,13Bの密閉管路27A,27Bの作動媒体が気化するとともに、分岐流路21A,21Bから送られた水蒸気が凝縮する。凝縮した温水は、分岐流路37A,37Bへ送られる。分岐流路37A,37Bの温水は、合流部分36aで合流して、還流流路36に流入し、ポンプ38によって木質バイオマスボイラー11に送られる。還流流路36から送られた温水は、バイオマスボイラー11で加熱されて蒸気となり、蒸気は蒸気供給流路16に送られる。
【0061】
熱交換器39では、還流流路36の温水との熱交換により加熱流路40の冷泉水(第2熱媒体)が加熱され温泉水となって図示しない温浴施設に供給される。
【0062】
蒸気バイナリー発電装置13A,13Bの蒸発器22A,22Bで気化した作動媒体をスクリュタービン28A,28Bの内部に通すことにより、発電機本体30A,30Bを駆動し、発電部24A,24Bで第3の発電電力が発電される。発電部24A,24Bで発電した第3の発電電力は、送電線35A,35Bに出力され、送電線56に出力された第1の発電電力と第2の発電電力とが統合された発電電力と第2電力統合盤51において統合される。その後、第2電力統合盤51で統合された発電電力は、送電線52を介して系統53に送電される。
【0063】
太陽が雲に遮られることにより、太陽光量が減少したとき、太陽光発電部41において発電される第1の発電電力量が減少する。そのため、予め設定された第1間隔(例えば、20分間隔)毎に第1制御部15aにより算出される第1の発電電力の第1平均値が低下する。したがって、設定発電電力を維持するために、第2の発電電力を増加させる。すなわち、第1制御部15aは、蒸気発電機12の回転数を上昇させる。
【0064】
太陽光量が増加したとき、太陽光発電部41において発電される第1の発電電力量が増加する。そのため、予め設定された第1間隔(例えば、20分間隔)毎に第1制御部15aにより算出される第1の発電電力の第1平均値が増加する。したがって、設定発電電力を維持するために、第2の発電電力を減少させる。すなわち、第1制御部15aは、蒸気発電機12の回転数を低下させる。
【0065】
蒸気発電機12の回転数の低下、すなわち上流側蒸気供給流路16Aへ流入する水蒸気の量の減少により、上流側蒸気供給流路16Aにおいて余剰蒸気が生じる。そのため、余剰蒸気は、蒸気発電機12を迂回するバイパス流路46の減圧弁48を通って分岐流路21A,21Bに送られる。送られた水蒸気は、蒸気発電機12から吐出された水蒸気と合流してバイナリー発電装置13A,13Bの蒸発器22A,22Bに送られる。
【0066】
短時間の間に太陽光量が増減する場合であっても、上述したように、例えば20分間隔で算出された第1の発電電力の第1平均値に基づいて、蒸気発電機12の回転数を変更するので、安定的に設定発電電力を発電できる。したがって、太陽光を利用した発電により短周期変動をする発電電力を平滑化することができる。
【0067】
本実施形態では、
図2に示すように、第1熱媒体を流通させる1次側流路と、作動媒体を流通させる2次側流路とが熱交換可能に構成された蒸発器22A,22Bを有するバイナリー発電装置13A,13Bを備えている。そのため、蒸気発電機12を通過ないしは迂回した蒸気が保有する熱エネルギーをバイナリー発電装置13A,13Bで回収することができ、エネルギー効率を向上させることができる。
【0068】
雨天時、及び夜間で太陽光発電部41における発電電力が無いとき、蒸気発電機12を停止する。これにより、上流側蒸気供給流路16Aの蒸気を蒸気発電機12に通過させずに、バイパス流路46に流入させて減圧弁48を通過させることができる。減圧弁48を通過した蒸気は、分岐流路21A,21Bを通って、バイナリー発電装置13A,13Bの蒸発器22A,22Bに流入する。これにより、太陽光発電の多寡、言い換えれば、蒸気発電機12の発電量に左右されることなく蒸気バイナリー発電装置13A,13Bを駆動させて発電を行い、安定した電力を常時発生させることができる。
【0069】
電力トランスデューサ42から受信した検出値は、制御装置15の第2制御部15bにおいて、予め設定された第2間隔(第1間隔よりも長い比較的長周期の間隔。例えば、6時間間隔)でメモリ(図示せず)に記憶される。メモリ(図示せず)に予め設定した個数(本実施形態では5個、電力トランスデューサ42で検出された検出値の過去4回の値(計算値)A1〜A4、今回の検出値B5)のデータが記憶されると、記憶されたデータに基づいて、CPU(図示せず)によって前進移動平均法による演算が実行される。これにより、第2制御部15bは、計算値A5を得て、この計算値A5を検出値B5の代わりに採用する。そして、第2制御部15bは、計算値A5を第2平均値としてメモリ(図示せず)に記憶させ、計算値A5に一致する発電電力ピーク値Lmaxを読み出す。第2制御部15bは、読み出した発電電力ピーク値Lmaxに対応する平均発電量Laveを設定発電電力に再設定する。その後、第2制御部15bは、計算値A5すなわち第1平均値A5である第1の発電電力と蒸気発電機12が発電する第2の発電電力との和が再設定された設定発電電力となるように、蒸気発電機12の回転数を変更する。このように、太陽光により発電した第1の発電電力の大きさに基づいて、予め設定された設定発電電力となるように、蒸気発電機12により発電する第2の発電電力の大きさを制御装置15により制御できるので、長期間安定的に設定発電電力を発電できる。したがって、太陽光を利用した発電により短周期変動をする発電電力を平滑化することができる。
【0070】
以上のように、短期間及び長期間のいずれにおいても、太陽光を利用した発電により短周期変動をする発電電力を平滑化することができる。
【0071】
木質バイオマスボイラー11からの蒸気のうち、蒸気発電機12で利用する蒸気を除く余剰蒸気をバイパス流路46に流通させることにより、余剰蒸気のエネルギーをバイナリー発電装置13A,13Bで直接回収することができ、エネルギー効率を向上させることができる。
【0072】
設定発電電力と蒸気発電機12を通過した蒸気が保有する熱エネルギーを回収するバイナリー発電装置13A,13Bにより発電した第3の発電電力とを統合可能な第2電力統合盤51を有している。そのため、発電電力を平滑化しつつ総発電電力量を増加することができる。
【0073】
1次側流路は、蒸気供給流路16、及び還流流路36を有し、還流流路36は、一端がバイナリー発電装置13A,13Bの蒸発器22A,22Bを介して蒸気供給流路16と接続されている。そして、還流流路36は、他端が木質バイオマスボイラー11と接続され、バイナリー発電装置13A,13Bの蒸発器22A,22Bで凝縮した温水を木質バイオマスボイラー11へ還流させるポンプ38を備えている。そのため、バイナリー発電装置13A,13Bの蒸発器22A,22Bで凝縮した還流流路36の温水をポンプ38により木質バイオマスボイラー11へ還流させ、温水が有する熱エネルギーを木質バイオマスボイラー11で再利用することができる。これにより、エネルギー効率を向上させることができる。
【0074】
ポンプ38よりも上流の還流流路36に、還流流路36の温水と加熱流路40の冷泉水とを熱交換させる熱交換器39を備えている。そのため、還流流路36の温水が有する熱エネルギーの一部を熱交換器39を介して加熱流路40の冷泉水に伝達することができ、化石燃料を用いるよりも低コストで冷泉水を加熱して温泉水を得ることができる。例えば、バイナリー発電装置13A,13Bへ流入して復水された90℃程度の温水を温浴施設の25℃程度の冷泉水と熱交換させることにより、60℃程度まで加熱することができ、温泉水として温浴施設に供給できる。なお、温浴施設では冷泉水に温水ボイラーの加熱温水と熱交換して温泉とすることが一般に行われている。温水ボイラーの種類は都市ガスボイラー、灯油ボイラー、LPGボイラー、重油ボイラーなどがあり、その運転費用のうちの多くを燃料代が占める。これらの化石燃料炊きボイラーを上記のような還流流路36に熱交換器39を設けたシステムで代替すると発電電力の売電収入に加え、温浴施設での燃料消費を大幅に削減して、経済的効果を大にすることができる。
【0075】
危険物でない木質バイオマス燃料を蒸気発生手段11の燃料とすることができ、燃料の管理を容易に行うことができる。
【0076】
蒸気タービン発電機12の消費蒸気量は最大でも通過蒸気量の数%(例えば、4%程度)である。蒸気タービン12の回転数が変動すると、蒸気タービン排気蒸気量は大きく変動する。しかし、蒸気供給流路16にバイパス流路46を設けているので、蒸気タービン12をバイパスする減圧弁48から流入する蒸気と蒸気タービン12を通過する蒸気量の合算流量は蒸気タービン12の発電電力の変動によらずほぼ一定となる。したがって、蒸気タービン12の下流の蒸気バイナリー発電装置13A,13Bにおいて、安定して発電でき送電できる。
【0077】
なお、本発明の発電電力の平滑化システム10は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、以下に例示するように、種々の変更が可能である。
【0078】
再生可能エネルギー利用発電装置14は、風力を利用して発電する発電装置であってもよい。
【0079】
蒸気発生手段11は、蒸気を発生させるものであれば、木質バイオマスボイラー以外のボイラーや電気ヒータであってもよい。
【0080】
蒸気発電機12は、スクロール、ロータリ、ツースコンプレッサ、スクリュ等のいずれの容積型回転機械であってもよい。
【0081】
分岐部分よりも下流の上流側蒸気供給流路16Aに開閉弁を設け、制御装置15によって開閉弁の開閉を制御してもよい。あるいは、分岐部分よりも下流の上流側蒸気供給流路16A、及び減圧弁48よりも上流のバイパス流路46のそれぞれに開閉弁を設け、制御装置15によって開閉弁それぞれの開閉を制御してもよい。あるいは、上流側蒸気供給流路16Aの分岐部分に開閉弁として三方弁を設け、制御装置15によって三方弁の流路を切替えることで開閉を制御してもよい。この構成によれば、蒸気発生手段11からの蒸気の全量を蒸気発電機12側へ流通させずにバイパス流路46側のみへ流通させるように流路を切換えることができ、夜間など太陽光発電を行わない場合に蒸気バイナリー発電装置13A,13Bのみで発電することができる。
【0082】
蒸気発生手段11は、バイオマス燃料、地熱、または太陽熱の少なくとも1つを用いて前記蒸気を発生させることが好ましい。この構成によれば、未利用の再生可能エネルギーを活用して蒸気を発生させることができる。森林資源に恵まれておりバイオマス燃料となる間伐材等の調達が容易な日本の山間部等への本発明の装置の設置を好適に行うことができる。