【実施例】
【0078】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例の態様に限定されない。
【0079】
製造例
以下に、実施例1〜4及び比較例1〜2で使用される等方性ピッチ系炭素繊維マット(マット繊維)の製造例を記載する。まず、石炭系の等方性ピッチ(炭素前駆体)を出発原料とし、渦流法によって前記等方性ピッチに対して紡糸(紡糸処理)を行った。次いで、前記処理で得られたピッチ繊維に対して、空気(大気)雰囲気下で不融化処理を行った。次に、前記処理で得られた不融化繊維(不融化ピッチ繊維)に対して、不活性ガス雰囲気下で900〜1000℃の熱処理を行い、炭素化処理を行った。なお、前記紡糸処理、不融化処理、及び炭素化処理は、連続的に行った。以上により、実施例1〜4及び比較例1〜2で使用される等方性ピッチ系炭素繊維マットが得られた。この手法は、強化プラスチックス(1998年)Vol. 34, No. 3, p. 89-93でも示されている。
【0080】
実施例1(マット繊維)
等方性ピッチ系炭素繊維マット(前駆体繊維、商品名:S-210(DONACARBO(登録商標)カタログに記載)、大阪ガスケミカル(株)製、平均繊維径13μm)125gを黒鉛製の容器(内径160mm、内側の高さ230mmの円筒であり、内容積4622cm
3)に入れ、上記容器に対して黒鉛製の蓋をした。この黒鉛容器のまわりを1mass%(10000massppm)程度ホウ素でドープされた黒鉛粉末で囲った。ホウ素は高温では拡散しやすいので、後述の熱処理により、等方性ピッチ系炭素繊維マットが入った黒鉛容器の開気孔や隙間等から、炭素繊維中にホウ素が侵入される。次に、上記炭素繊維マットが入った上記容器をアチソン炉に入れて、約2900℃(2800〜3000℃)に熱した(熱処理)。この熱処理により、実施例1のピッチ系炭素繊維(等方性ピッチ系炭素繊維)を得た。
【0081】
なお、上記熱処理は、少なくとも5時間以上は2800〜3000℃の温度雰囲気となっている。上記熱処理中、黒鉛製の容器中は上記炭素繊維マットから発生するガス(自己発生ガス)雰囲気となった。つまり、上記熱処理は、自己発生ガス雰囲気下で行った。
【0082】
実施例2(ミルド繊維)
等方性ピッチ系炭素繊維マット(商品名:S-210(DONACARBO(登録商標)カタログに記載)、大阪ガスケミカル(株)製、平均繊維径13μm)を用意した。次に、上記炭素繊維マットを粉砕機で粉砕することにより、ミルド炭素繊維(前駆体繊維、平均繊維長:約0.11mm(約110μm))を得た(以下、ミルド繊維ともいう)。上記ミルド繊維302gを黒鉛製の容器(内径50mm、内側の高さ90mmの円筒であり、内容積177cm
3)に入れ、上記容器に対して黒鉛製の蓋をした。この黒鉛容器のまわりを1mass%(10000massppm)程度ホウ素でドープされた黒鉛粉末で囲った。ホウ素は高温では拡散しやすいので、後述の熱処理により、等方性ピッチ系炭素繊維ミルドが入った黒鉛容器の開気孔や隙間等から、炭素繊維中にホウ素が侵入される。次に、上記ミルド繊維が入った上記容器をアチソン炉に入れて、約2900℃(2800〜3000℃)に熱した(熱処理)。この熱処理により、実施例2のピッチ系炭素繊維(等方性ピッチ系炭素繊維)を得た。
【0083】
なお、上記熱処理は、少なくとも5時間以上は2800〜3000℃の温度雰囲気となっている。上記熱処理中、黒鉛製の容器中は上記炭素繊維ミルドから発生するガス(自己発生ガス)雰囲気となった。つまり、上記熱処理は、自己発生ガス雰囲気下で行った。
【0084】
実施例3(ミルド繊維)
実施例2において、上記ミルド繊維を上記黒鉛製の容器に入れ、この黒鉛製の容器を、より大きな別の黒鉛製の容器(内径160mm、内側の高さ140mmの円筒)に入れ、二つの容器の隙間を黒鉛粉末で充填したこと以外は同様に処理を行った。これにより、実施例2と比較して、ピッチ系炭素繊維のホウ素ドープ量を低減した。
【0085】
実施例4(ミルド繊維)
実施例2において、上記ミルド繊維を上記黒鉛製の容器に入れ、この黒鉛製の容器を、より大きな別の黒鉛製の容器(内径160mm、内側の高さ140mmの円筒)に入れ、二つの容器の隙間を黒鉛粉末で充填し、さらに、これら二つの容器を、さらに大きな別の黒鉛製の容器(内径240mm、内側の高さ245mmの円筒)に入れ、容器間の隙間を黒鉛粉末で充填したこと以外は同様に処理を行った。これにより、実施例2及び3と比較して、ピッチ系炭素繊維のホウ素ドープ量を低減した。
【0086】
比較例1(マット繊維)
実施例1で使用した等方性ピッチ系炭素繊維マット(前駆体繊維、商品名:S-210)82gを黒鉛製の容器(内径150mm、内側の高さ160mmの円筒であり、内容積2826cm
3)に入れ、上記容器に対して黒鉛製の蓋をした。その黒鉛容器を抵抗加熱炉に入れ、温度及び時間を2400℃且つ2時間として熱処理を行った。また、前記抵抗炉内にはアルゴンガスを流した。これにより、比較例1のピッチ系炭素繊維を得た。
【0087】
比較例2(ミルド繊維)
実施例2で得たミルド炭素繊維(前駆体繊維、平均繊維長:約0.11mm(約110μm))96gを黒鉛製の容器(内径50mm、内側の高さ90mmの円筒であり、内容積177cm
3)に入れ、上記容器に対して黒鉛製の蓋をした。その黒鉛容器を抵抗加熱炉に入れ、温度及び時間を2400℃且つ2時間として熱処理を行った。また、前記抵抗炉内にはアルゴンガスを流した。これにより、比較例2のピッチ系炭素繊維を得た。
【0088】
<分析1:平均繊維径の測定>
実施例及び比較例で得られた各ピッチ系炭素繊維の平均繊維径を測定した。具体的には、以下の(i)〜(iii)の工程を行うことにより測定した。
(i)実施例及び比較例で得られた各ピッチ系炭素繊維を、Hirox製拡大鏡及び画像解析装置を用いて、1000倍に拡大した。
(ii)次いで、各ピッチ系炭素繊維をそれぞれ任意に10点選び出し、上記10点の繊維径を測定した。
(iii)最後に、上記(ii)で得られた10点の繊維径の平均値を算出することにより、各ピッチ系炭素繊維の平均繊維径として決定した。
【0089】
測定された各ピッチ系炭素繊維の平均繊維径は、以下の通り:
・実施例1のピッチ系炭素繊維の平均繊維径:8.7μm
・実施例2のピッチ系炭素繊維の平均繊維径:8.7μm
・実施例3のピッチ系炭素繊維の平均繊維径:7.2μm
・実施例4のピッチ系炭素繊維の平均繊維径:8.5μm
・比較例1のピッチ系炭素繊維の平均繊維径:13.4μm
・比較例2のピッチ系炭素繊維の平均繊維径:13.2μm
・実施例2のピッチ系炭素繊維の拡大鏡写真:
図1
・比較例2のピッチ系炭素繊維の拡大鏡写真:
図2
であった。
【0090】
<分析2:ホウ素ドープ量の測定>
実施例及び比較例で得られた各ピッチ系炭素繊維のホウ素ドープ量を測定した。具体的には、実施例及び比較例で得られた炭素繊維にドープされたホウ素の定量分析は、50程度のサンプルを灰化後、灰分を酸溶解し、ICP−AES(発光法)により行った。
【0091】
測定された各ピッチ系炭素繊維のホウ素ドープ量は、以下の通り:
・実施例1のピッチ系炭素繊維のホウ素ドープ量:300massppm
・実施例2のピッチ系炭素繊維のホウ素ドープ量:300massppm
・実施例3のピッチ系炭素繊維のホウ素ドープ量:40massppm
・実施例4のピッチ系炭素繊維のホウ素ドープ量:6massppm
・比較例1のピッチ系炭素繊維のホウ素ドープ量:なし
・比較例2のピッチ系炭素繊維のホウ素ドープ量:なし
であった。
【0092】
<分析3:X線回折測定>
実施例2及び比較例2の各ピッチ系炭素繊維に対してX線回折測定を行うことにより、上記各ピッチ系炭素繊維のX線回折図形を得た(
図3)。上記X線回折図形は、Siを標準物質とし、学振法(日本学術振興会第117委員会によってラウンドロビンテストを経て制定された、X線回折装置を用いて炭素材料の格子定数と結晶サイズの測定を行う場合の一般的事項について規定した手法)に準拠して得た。
図3の上側の図形(
図3(a))が実施例2のピッチ系炭素繊維のX線回折図形であり、
図3の下側の図形(
図3(b))が比較例2のピッチ系炭素繊維のX線回折図形である。次いで、実施例2のピッチ系炭素繊維の格子定数、及び結晶サイズ(結晶子サイズ又は結晶子の大きさともいう)等を、Carbon Analyzer Version 4. 10Dを用いて解析した。なお、この手法は、例えば、藤本宏之 炭素No. 206 (2003) p.1-6でも示されている。実施例3〜4も同様に測定した。実施例2〜4のピッチ系炭素繊維の解析結果を以下に示す。
[1]004回折線((004)回折線)から得られるd
002(002面の面間隔)は、実施例2:0.3355nm(=3.355Å)、実施例3及び4:0.3356nm(=3.356Å)であった。
[2]002回折線((002)回折線)から得られるc軸方向の結晶子サイズLcは、実施例2:69nm、実施例3:100nm以上、実施例4:92nmであった。
[3]004回折線から得られるc軸方向の結晶子サイズLcは、実施例2〜4いずれも100nm以上であった。
[4]a軸方向の結晶子サイズLaは、実施例2〜4いずれも100nm以上であった。
[5]112回折線((112)回折線)から得られるL
112は実施例2:15nm、実施例3:22nm、実施例4:11nmであった。この値は、3次元的な規則性を示す。
【0093】
(分析3の考察)
・[1]〜[5]の結果から、実施例2〜4のピッチ系炭素繊維は、黒鉛構造が発達していることがわかった。特に、[1]の結果から得られたd
002の値(0.3355〜0.3356nm)は、黒鉛の単結晶におけるd
002の値(0.3354nm)と近い値であった。
・
図3(a)の図形から示されるように、実施例2のピッチ系炭素繊維は、002回折線のピークが明確に認められた。また、
図3(b)の下側の図形から示されるように、比較例2のピッチ系炭素繊維は、002回折線のピークが明確に認められず、ブロードな回折線しか認められなかった。比較例2のピッチ系炭素繊維における004回折線から得られるd
002は、0.3424nm(=3.424Å)であった。002回折線及び004回折線から得られるc軸方向の結晶子サイズLcは、いずれも10nm以下と見積もられた。また、a軸方向の結晶子サイズLaも10nm以下と見積もられた。
【0094】
<分析4:ラマンスペクトルにおけるID/IGの測定>
実施例2及び比較例2の各ピッチ系炭素繊維に対して、ラマン分光測定を行い、ラマンスペクトル(ラマン散乱スペクトル)を得た(
図4)。ラマン分光測定は、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製のラマン分光装置(Raman DXR microscope)を使用した。条件は、レーザー光の出力:2mW、レーザー光の波長:532nmであった。また、25μmスリットのアパーチャーでレーザー光を絞り、対物レンズは50倍のものを使用して測定した。ラマンスペクトルから、Dバンドと呼ばれる1360cm
−1付近(1320〜1370cm
−1)のバンドのピーク高さI
Dと、Gバンドと呼ばれる1580cm
−1付近(1560〜1610cm
−1)のバンドのピーク高さI
Gとの比(即ち、I
D/I
G)を求めた。なお、上記I
D/I
Gについては、(i)前記炭素繊維の側面からのI
D/I
G、及び、(ii)前記炭素繊維の断面からのI
D/I
G、の両者を求めた。実施例3〜4も同様に測定した。
【0095】
ここで、I
Gは、完全な黒鉛構造と関連づけられる比較的シャープなGバンドの強度であり、I
Dは上記構造の乱れの増加と対応しているブロードなDバンドの強度である。即ち、I
D/I
Gは、黒鉛結晶のエッジや結晶粒界の比率を表す値であり、上記I
D/I
G値が大きいほどエッジが多く、また黒鉛構造に乱れが生じているといえる。実施例2〜4及び比較例2のピッチ系炭素繊維における各I
D/I
G値は、以下の通りである。
・実施例2のピッチ系炭素繊維の、炭素繊維側面から得られたI
D/I
G値:0.40
・実施例2のピッチ系炭素繊維の、炭素繊維断面から得られたI
D/I
G値:0.55
・実施例3のピッチ系炭素繊維の、炭素繊維側面から得られたI
D/I
G値:0.42
・実施例3のピッチ系炭素繊維の、炭素繊維断面から得られたI
D/I
G値:0.56
・実施例4のピッチ系炭素繊維の、炭素繊維側面から得られたI
D/I
G値:0.43
・実施例4のピッチ系炭素繊維の、炭素繊維断面から得られたI
D/I
G値:0.60
・比較例2のピッチ系炭素繊維の、炭素繊維側面から得られたI
D/I
G値:1.15
・比較例2のピッチ系炭素繊維の、炭素繊維断面から得られたI
D/I
G値:1.08
・(参考)天然黒鉛(鱗片状黒鉛のベーサル面側)のI
D/I
Gは、0.1以下である。
【0096】
(分析4の考察)
実施例2〜4のピッチ系炭素繊維は、比較例2のピッチ系炭素繊維よりも、結晶表面のエッジや欠陥が少ない。よって、実施例2〜4のピッチ系炭素繊維は、より黒鉛構造が発達していることがこの分析4でもわかった。しかしながら、実施例2〜4のピッチ系炭素繊維のI
D/I
G値は0.40〜0.60であり、天然黒鉛と比較すると大きな値を示している。つまり、結晶子サイズLa及びLcが大きな値を示している割には、エッジや結晶欠陥が多いと考えられる。以上を纏めると、本発明に相当する実施例2〜4のピッチ系炭素繊維は、以下の(1)及び(2):
(1)黒鉛の三次元規則性と、
(2)光学的等方性(即ち、分子又は分子の集団が無秩序に配向する性質)と、
を併せ持つといえる。
【0097】
<分析5:吸脱着等温線の測定>
実施例2〜4及び比較例2の各ピッチ系炭素繊維に対して、以下の(i)〜(v)の工程を行った。
(i)上記各ピッチ系炭素繊維の吸脱着等温線を求めた。具体的には、マイクロトラック・ベル(株)製BELSORP-maxを用いて、N
2(77K)吸着による上記吸脱着等温線を求めた。
(ii)次に、得られた吸脱着等温線に基づいて、BET法にて上記各ピッチ系炭素繊維の比表面積及び全細孔容積を求めた。
(iii)次に、αs法を用いて、上記各ピッチ系炭素繊維のミクロ孔細孔容積の値を算出した。
(iv)次に、t法を用いて、上記各ピッチ系炭素繊維のミクロ孔細孔容積とメソ孔細孔容積とを足し合わせた細孔容積の値を算出した。
(v)最後に、上記(iv)で得られた値から、上記(iii)で得られた値を差し引くことにより、上記各ピッチ系炭素繊維のメソ孔の細孔容積を求めた。
【0098】
測定結果を以下:
・実施例2のピッチ系炭素繊維の吸脱着等温線:
図5
・実施例2のピッチ系炭素繊維の比表面積:3.7m
2/g
・実施例2のピッチ系炭素繊維の全細孔容積:0.0205cm
3/g
・実施例2のピッチ系炭素繊維のメソ孔の細孔容積:0.00424cm
3/g
・実施例3のピッチ系炭素繊維の比表面積:4.0m
2/g
・実施例3のピッチ系炭素繊維の全細孔容積:0.0199cm
3/g
・実施例3のピッチ系炭素繊維のメソ孔の細孔容積:0.00297cm
3/g
・実施例4のピッチ系炭素繊維の比表面積:8.3m
2/g
・実施例4のピッチ系炭素繊維の全細孔容積:0.0255cm
3/g
・実施例4のピッチ系炭素繊維のメソ孔の細孔容積:0.00664cm
3/g
・比較例2のピッチ系炭素繊維の吸脱着等温線:
図6
・比較例2のピッチ系炭素繊維の比表面積 :0.47m
2/g
・比較例2のピッチ系炭素繊維の全細孔容積:0.00190cm
3/g
に示す。なお、比較例2のピッチ系炭素繊維のメソ孔の細孔容積は、0.001cm
3/g以下と見積もられた。
【0099】
(分析5の考察)
・
図5は、実施例2のピッチ系炭素繊維の吸脱着等温線である。この
図5からも明らかなように、実施例2のピッチ系炭素繊維は、吸着等温線と脱着等温線との間で、毛管凝縮によるヒステリシスな現象がみられた。この現象から、実施例2のピッチ系炭素繊維には、メソ孔が存在することが確認された。
・
図6は、比較例2のピッチ系炭素繊維の吸脱着等温線である。この
図6からも明らかなように、比較例2のピッチ系炭素繊維は、実施例2のピッチ系炭素繊維とは異なり、吸着等温線と脱着等温線との間で、毛管凝縮によるヒステリシスな現象がみられなかった。そのため、メソ孔の顕著な存在は認められなかった。
【0100】
<分析6:抵抗率測定>
実施例1及び比較例1の各ピッチ系炭素繊維に対して、抵抗率測定を行った。具体的には、以下の工程によって抵抗率測定を行った。
(i)
図7に示す穴あき台紙(25±0.5mm)を15枚用意した。
(ii)実施例1及び比較例1の各ピッチ系炭素繊維から、それぞれ5本の単繊維を取り出した。
(iii)前記台紙の中央線に沿って前記単繊維を載置し、前記単繊維をセロテープで固定した。
(iv)所定のゲージ長となるように、
図7に示す箇所(2箇所)に導電塗料を塗布した後、十分に乾燥させる。当該乾燥後の単繊維を試験片とした。
(v)前記試験片の抵抗を、抵抗測定器にて、0.1Ωまで測定する。前記抵抗測定器は、0.5%以上の精度が保証されているものを使用した。また、前記抵抗測定器では、直流を用いた。
(vi)前記試験片の抵抗率を、次式により求めた。
【0101】
【数1】
【0102】
式中、
ρ:繊維の抵抗率(単位:μΩ・m)
R:試験片の抵抗(単位:Ω)
L:試験片の長さ(単位:μm)
D:試験片の繊維径(単位:μm)
である。なお、Dについては、万能投影機にて試験片(実施例1及び比較例1の各ピッチ系炭素繊維)の直径を50点測定し、その50点の平均値を試験片の繊維径とした。前記万能投影機は、倍率400倍で測定した。
(vii)(i)〜(vi)の工程を各5本の単繊維に対して行い、各々得られたρ値の平均値を算出した。前記算出されたρ値の平均値を、ピッチ系炭素繊維の抵抗率とした。
結果を以下:
・実施例1のピッチ系炭素繊維の抵抗率:25μΩ・m
・比較例1のピッチ系炭素繊維の抵抗率:32μΩ・m
に示す。
【0103】
<分析7:見かけ密度測定>
実施例1及び比較例1の各ピッチ系炭素繊維に対して、見かけ密度測定を行った。具体的には、気体置換法によって上記各ピッチ系炭素繊維の見かけ密度を測定した。測定装置は、マイクロメリティックス社製の乾式自動密度計アキュピック1330−03を使用した。測定に使用したガスはヘリウムガスとし、温度は25℃であった。
【0104】
見かけ密度は、試料の質量を、試料の外形容積から開気孔(細孔)を除いた容積で割った値である。この場合、開気孔(細孔)は、ヘリウムガスが浸透する気孔(細孔)と考えられる。測定結果を以下:
・実施例1のピッチ系炭素繊維の見かけ密度:1.71g/cm
3
・比較例1のピッチ系炭素繊維の見かけ密度:1.62g/cm
3
に示す。