【実施例1】
【0013】
図1に示されるように、センサ駆動回路1は、センサ100に駆動電圧Voutを供給する回路であり、基準電圧配線L1、電源電圧配線L2、出力電圧配線L3、定電流源2、差動対トランジスタ部3、能動負荷トランジスタ部4、抵抗素子R1及び次段回路5を備える。センサ100は、圧力、加速度又は磁気等の物理量に依存してインピーダンスが変化する複数のインピーダンス素子を有し、それらがブリッジ接続されている。センサ駆動回路1とセンサ100は、1チップ化されている。
【0014】
基準電圧配線L1は、基準電圧端子T1に接続されている。基準電圧端子T1には、接地電圧GNDが入力する。電源電圧配線L2は、電源電圧端子T2に接続されている。電源電圧端子T2には、電源電圧Vccが入力する。
【0015】
差動対トランジスタ部3は、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2を有する。第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2は、n型MOSFETである。能動負荷トランジスタ部4は、第3トランジスタTr3及び第4トランジスタTr4を有する。第3トランジスタTr3及び第4トランジスタTr4は、p型MOSFETである。
【0016】
定電流源2、第1トランジスタTr1及び第3トランジスタTr3は、基準電圧配線L1と電源電圧配線L2の間にこの順で直列に接続されている。定電流源2、第2トランジスタTr2及び第4トランジスタTr4は、基準電圧配線L1と電源電圧配線L2の間にこの順で直列に接続されている。定電流源2、第1トランジスタTr1及び第3トランジスタTr3で構成される直列経路は電源電圧配線L2の相対的に上流側に接続され、定電流源2、第2トランジスタTr2及び第4トランジスタTr4で構成される直列経路は電源電圧配線L2の相対的に下流側に接続されている。
【0017】
定電流源2は、一端が基準電圧配線L1に接続され、他端が第1トランジスタTr1のソース及び第2トランジスタTr2のソースの双方に接続されるように構成されている。
【0018】
第1トランジスタTr1は、ソースが定電流源2に接続され、ドレインが中間ノードNintに接続され、ゲートに固定電圧VKが入力するように構成されている。第3トランジスタTr3は、ドレインが中間ノードNintに接続され、ソースが電源電圧配線L2の第1ノードN1に接続され、ゲートが第4トランジスタTr4のゲートに接続されるように構成されている。第3トランジスタTr3は、ドレインとゲートが短絡し、ダイオード接続されている。
【0019】
第2トランジスタTr2は、ソースが定電流源2に接続され、ドレインが出力ノードNoutに接続され、ゲートに固定電圧VKが入力するように構成されている。第4トランジスタTr4は、ドレインが出力ノードNoutに接続され、ソースが電源電圧配線L2の第2ノードN2に接続され、ゲートが第3トランジスタTr3のゲートに接続されるように構成されている。
【0020】
抵抗素子R1は、一端が第1ノードN1に接続され、他端が第2ノードN2に接続され、第1ノードN1と第2ノードN2の間に挿入されるように構成されている。
【0021】
次段回路5は、ソースフォロア回路を構成しており、n型MOSFETの第5トランジスタTr5を有する。第5トランジスタTr5は、ドレインが電源電圧配線L2の第2ノードN2に接続され、ソースがセンサ100に接続され、ゲートが出力電圧配線L3に接続されるように構成されている。
【0022】
次に、センサ駆動回路1が電源電圧Vccに混入する高周波のノイズ(1MHz〜400MHz程度)を抑制する動作を説明する。センサ駆動回路1が抑制する高周波のノイズとしては、放射ノイズ及び誘導ノイズがある。電源電圧端子T2にはワイヤハーネスに組み込まれている外部電線が接続されており、その外部電線を介して電源電圧端子T2に電源電圧Vccが入力する。ワイヤハーネスの外部電線に放射ノイズが侵入すると、電源電圧Vccにノイズが混入することがある。また、ワイヤハーネスには、外部電線の他にも複数の信号線が組み込まれている。このため、電源電圧Vccを入力するための外部電線に他の信号線から誘導ノイズが侵入すると、電源電圧Vccにノイズが混入することがある。
【0023】
第3トランジスタTr3がダイオード接続されているので、中間ノードNintの電圧Vd1は、第3トランジスタTr3の略閾値電圧分が下がりながら、電源電圧Vccに追随する。第2ノードN2の電圧V1は、抵抗素子R1に電流が流れることにより、抵抗素子R1での電圧降下分が下がりながら、電源電圧Vccに追随する。このため、第4トランジスタTr4のゲート・ソース間電圧は、電源電圧Vccが変動しても、即ち、電源電圧Vccにノイズが混入しても、略一定となる。また、抵抗素子R1での電圧降下により、第2ノードN2の電圧V1が第1ノードN1の電源電圧Vccよりも低くなるので、定電流源2、第2トランジスタTr2及び第4トランジスタTr4の直列経路を流れる電流Id2は、定電流源2、第1トランジスタTr1及び第3トランジスタTr3の直列経路を流れる電流Id1よりも小さくなる。
【0024】
図2に、第2トランジスタTr2に対する第4トランジスタTr4の負荷線を示す。第2ノードN2の電圧V1は、電源電圧Vccの変動に追随して変動する。このため、電流Id2の立ち上がり電圧は、即ち、電流Id2が流れ始めるときの第4トランジスタTr4の負荷線の立ち上がり電圧は、第2ノードN2の電圧V1の変動範囲に対応して大きく変動する。一方、第4トランジスタTr4のゲート・ソース間電圧が一定となっているので、p型MOSFETである第4トランジスタTr4を流れる電流Id2は、ドレイン・ソース間電圧(V1−Vd2)の増加に対して飽和するような特性となる。このため、
図2に示されるように、第2トランジスタTr2と第4トランジスタTr4の特性の交点である出力ノードNoutの出力電圧Vd2の変動が、第2ノードN2の電圧V1の変動に比して小さくなる。このように、電源電圧Vccにノイズが混入し、第2ノードN2の電圧V1が大きく変動しても、出力ノードNoutに出力される出力電圧Vd2の変動は小さい。
【0025】
図1に示されるように、次段回路5のトランジスタTr5は、駆動能力を増加させるだけでなく、出力電圧Vd2の変動をさらに抑え、安定した駆動電圧Voutを生成するように動作する。次段回路5のトランジスタTr5は、出力電圧Vd2が増加しようとすると電源電圧配線L2からの引き込み電流Id3を増加させる。これにより、抵抗素子R1での電圧降下が大きくなり、第2ノードN2の電圧V1が低下し、出力電圧Vd2の増加が抑えられる。一方、次段回路5のトランジスタTr5は、出力電圧Vd2が低下しようとすると電源電圧配線L2からの引き込み電流Id3を低下させる。これにより、抵抗素子R1での電圧降下が小さくなり、第2ノードN2の電圧V1が増加し、出力電圧Vd2の低下が抑えられる。このように、次段回路5のトランジスタTr5は、抵抗素子R1が第1ノードN1と第2ノードN2の間に挿入されていることにより、出力電圧Vd2の変動を抑えるようにフィードバック制御することができる。次段回路5は、駆動能力を増加するとともに、フィードバック制御による出力電圧Vd2の変動抑制を実現することができる。この結果、センサ駆動回路1は、電源電圧Vccにノイズが混入しても、ノイズの影響が抑えられた駆動電圧Voutをセンサ100に供給することができる。
【0026】
上記したように、出力ノードNoutの出力電圧Vd2の変動を抑えるためには、第2トランジスタTr2に対する負荷抵抗を大きくするのが望ましい。例えば、第2トランジスタTr2に対する負荷抵抗を大きくするために、第4トランジスタTr4のゲート長(L)とゲート幅(W)の形状比(L/W)が、第3トランジスタTr3のゲート長(L)とゲート幅(W)の形状比(L/W)よりも大きくなるようにしてもよい。また、
図3に示されるように、第2トランジスタTr2に対する負荷抵抗を大きくするために、第4トランジスタTr4のドレインと第2ノードN2の間に抵抗素子R2を挿入してもよい。あるいは、これらを組合せることで、第2トランジスタTr2に対する負荷抵抗を大きくしてもよい。
【0027】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。