特許第6407784号(P6407784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田中央研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許6407784-物理量センサ 図000002
  • 特許6407784-物理量センサ 図000003
  • 特許6407784-物理量センサ 図000004
  • 特許6407784-物理量センサ 図000005
  • 特許6407784-物理量センサ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407784
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】物理量センサ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/12 20060101AFI20181004BHJP
   G01L 9/04 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   G01D5/12 C
   G01L9/04
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-66165(P2015-66165)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-186436(P2016-186436A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2017年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 宏明
(72)【発明者】
【氏名】太田 則一
(72)【発明者】
【氏名】細川 秀記
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 徳之
(72)【発明者】
【氏名】牧野 泰明
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−039830(JP,A)
【文献】 特開昭61−292516(JP,A)
【文献】 実開昭52−160378(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12
G01L 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量に依存したセンサ出力を出力する物理量センサであって、
物理量に依存してインピーダンスが変化する複数のインピーダンス素子がフルブリッジ接続して構成されているインピーダンスブリッジ部と、
前記インピーダンスブリッジ部に並列に接続されており、前記インピーダンスブリッジ部の第1出力ノードと第2出力ノードの間の電位差が零となるように、インピーダンスが調整されるように構成されているインピーダンス調整部と、を備え、
前記インピーダンス調整部の前記インピーダンスを調整するための調整値が前記センサ出力となる、物理量センサ。
【請求項2】
前記インピーダンスブリッジ部は、基準ノード、電源ノード、第1インピーダンス素子、第2インピーダンス素子、第3インピーダンス素子及び第4インピーダンス素子を有し、
前記第1インピーダンス素子と前記第3インピーダンス素子は、前記基準ノードと前記電源ノードの間に直列に接続されており、
前記第2インピーダンス素子と前記第4インピーダンス素子は、前記基準ノードと前記電源ノードの間に直列に接続されており、
前記第1インピーダンス素子と前記第3インピーダンス素子の組と前記第2インピーダンス素子と前記第4インピーダンス素子の組は、前記基準ノードと前記電源ノードの間に並列に接続されており、
前記第1インピーダンス素子と前記第3インピーダンス素子の間に前記第1出力ノードが設けられており、
前記第2インピーダンス素子と前記第4インピーダンス素子の間に前記第2出力ノードが設けられており、
前記インピーダンス調整部は、第1インピーダンス調整部及び第2インピーダンス調整部を有し、
前記第1インピーダンス調整部は、前記基準ノードと前記電源ノードの間に直列に接続されている複数のインピーダンス固定素子を含み、前記調整値に基づいて、前記インピーダンス固定素子間の配線のうちのいずれか1つを前記第1出力ノードに接続するように構成されており、
前記第2インピーダンス調整部は、前記基準ノードと前記電源ノードの間に直列に接続されている複数のインピーダンス固定素子を含み、前記調整値に基づいて、前記インピーダンス固定素子間の配線のうちのいずれか1つを前記第2出力ノードに接続するように構成されている、請求項1に記載の物理量センサ。
【請求項3】
前記インピーダンスブリッジ部の前記第1出力ノードと前記第2出力ノードの電圧を比較するコンパレータと、
前記コンパレータの出力に基づいてカウンタ値を増減させるカウンタと、をさらに備え、
前記カウンタの前記カウンタ値が、前記インピーダンス調整部の前記インピーダンスを調整するための前記調整値として用いられる、請求項1又は2に記載の物理量センサ。
【請求項4】
前記インピーダンスブリッジ部の前記第1出力ノードと前記コンパレータの間に挿入されている第1ローパスフィルタと、
前記インピーダンスブリッジ部の前記第2出力ノードと前記コンパレータの間に挿入されている第2ローパスフィルタと、
前記カウンタの前記カウンタ値の移動平均を演算する移動平均回路と、をさらに備える、請求項3に記載の物理量センサ。
【請求項5】
物理量に依存したセンサ出力を出力する物理量センサであって、
物理量に依存してインピーダンスが変化する複数のインピーダンス素子がハーフブリッジ接続して構成されているインピーダンスブリッジ部と、
前記インピーダンスブリッジ部に並列に接続されており、その出力ノードと前記インピーダンスブリッジ部の出力ノードの間の電位差が零となるように、インピーダンスが調整されるように構成されているインピーダンス調整部と、を備え、
前記インピーダンス調整部の前記インピーダンスを調整するための調整値が前記センサ出力であり、
前記インピーダンス調整部は、前記調整値を用いたフィードバック制御によって、前記インピーダンスブリッジ部の前記出力ノードの増減する電圧に追随してその出力ノードの電圧が増減するように構成されている、物理量センサ。
【請求項6】
前記インピーダンスブリッジ部は、基準ノード、電源ノード、第1インピーダンス素子及び第2インピーダンス素子を有し、
前記第1インピーダンス素子と前記第2インピーダンス素子は、前記基準ノードと前記電源ノードの間に直列に接続されており、
前記第1インピーダンス素子と前記第2インピーダンス素子の間に前記インピーダンスブリッジ部の前記出力ノードが設けられており、
前記インピーダンス調整部は、前記基準ノードと前記電源ノードの間に直列に接続されている複数のインピーダンス固定素子を含み、前記調整値に基づいて、前記インピーダンス固定素子間の配線のうちのいずれか1つを前記インピーダンス調整部の前記出力ノードに接続するように構成されている、請求項5に記載の物理量センサ。
【請求項7】
前記インピーダンスブリッジ部の前記出力ノードと前記インピーダンス調整部の前記出力ノードの電圧を比較するコンパレータと、
前記コンパレータの出力に基づいてカウンタ値を増減させるカウンタと、をさらに備え、
前記カウンタの前記カウンタ値が、前記インピーダンス調整部の前記インピーダンスを調整するための前記調整値として用いられる、請求項5又は6に記載の物理量センサ。
【請求項8】
前記インピーダンスブリッジ部の前記出力ノードと前記コンパレータの間に挿入されている第1ローパスフィルタと、
前記インピーダンス調整部の前記出力ノードと前記コンパレータの間に挿入されている第2ローパスフィルタと、
前記カウンタの前記カウンタ値の移動平均を演算する移動平均回路と、をさらに備える、請求項7に記載の物理量センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、物理量に依存したセンサ出力を出力する物理量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、インピーダンスブリッジ部を備える物理量センサを開示する。この種の物理量センサは、インピーダンスブリッジ部の2つの出力ノードの電位差を増幅し、その増幅された電圧をセンサ出力として出力するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−110367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような物理量センサでは、インピーダンスブリッジ部の駆動源電力が高周波のノイズで振動することがある。この場合、インピーダンスブリッジ部の2つの出力ノードの電位差がノイズの振幅に比例して振幅するので、センサ出力もノイズの振幅に比例して増幅する。このようなインピーダンスブリッジ部の駆動源電力に混入するノイズに対策する技術が求められている。
【0005】
本願明細書は、インピーダンスブリッジ部の駆動源電力にノイズが混入しても、そのようなノイズの影響が抑えられたセンサ出力を出力することができる物理量センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する物理量センサは、物理量に依存したセンサ出力を出力する。物理量センサの一実施形態は、インピーダンスブリッジ部及びインピーダンス調整部を備える。インピーダンスブリッジ部は、物理量に依存してインピーダンスが変化する複数のインピーダンス素子がフルブリッジ接続して構成されている。インピーダンス調整部は、インピーダンスブリッジ部に並列に接続されており、インピーダンスブリッジ部の第1出力ノードと第2出力ノードの間の電位差が零となるように、インピーダンスが調整されるように構成されている。物理量センサでは、インピーダンス調整部のインピーダンスを調整する調整値がセンサ出力となる。
【0007】
上記実施形態の物理量センサでは、インピーダンスブリッジ部の第1出力ノードと第2出力ノードの間の電位差が零となるように調整されている。このため、インピーダンスブリッジ部の駆動源電力にノイズが混入しても、第1出力ノードと第2出力ノードの電圧が同時に上下に振幅するので、第1出力ノードと第2出力ノードの間の電位差が零に維持される。したがって、上記実施形態の物理量センサでは、駆動源電力にノイズが混入しても、そのノイズがセンサ出力に反映されない。上記実施形態の物理量センサは、駆動源電力にノイズが混入しても、そのようなノイズの影響が抑えられたセンサ出力を出力することができる。
【0008】
本明細書で開示する物理量センサの他の一実施形態は、インピーダンスブリッジ部及びインピーダンス調整部を備える。インピーダンスブリッジ部は、物理量に依存してインピーダンスが変化する複数のインピーダンス素子がハーフブリッジ接続して構成されている。インピーダンス調整部は、インピーダンスブリッジ部に並列に接続されており、その出力ノードとインピーダンスブリッジ部の出力ノードの間の電位差が零となるように、インピーダンスが調整されるように構成されている。物理量センサでは、インピーダンス調整部のインピーダンスを調整するための調整値がセンサ出力となる。
【0009】
上記他の実施形態の物理量センサでは、インピーダンスブリッジ部の出力ノードとインピーダンス調整部の出力ノードの間の電位差が零となるように調整されている。このため、インピーダンスブリッジ部の駆動源電力にノイズが混入しても、インピーダンスブリッジ部の出力ノードとインピーダンス調整部の出力ノードの電圧が同時に上下に振幅するので、インピーダンスブリッジ部の出力ノードとインピーダンス調整部の出力ノードの間の電位差が零に維持される。したがって、上記他の実施形態の物理量センサでは、駆動源電力にノイズが混入しても、そのノイズがセンサ出力に反映されない。上記他の実施形態の物理量センサは、駆動源電力にノイズが混入しても、そのようなノイズの影響が抑えられたセンサ出力を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施例の物理量センサの回路図の概略を示す。
図2】第1実施例の物理量センサの抵抗DA変換器の回路図の概略を示す。
図3】物理量センサの変形例の回路図の概略を示す。
図4】第2実施例の物理量センサの回路図の概略を示す。
図5】第2実施例の物理量センサの抵抗DA変換器の回路図の概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本明細書で開示される技術の特徴を整理する。なお、以下に記す事項は、各々単独で技術的な有用性を有している。
【0012】
本明細書で開示する物理量センサは、物理量に依存したセンサ出力を出力する。物理量としては、圧力、加速度又は磁気等が例示される。物理量センサの一実施形態は、インピーダンスブリッジ部及びインピーダンス調整部を備えていてもよい。インピーダンスブリッジ部は、物理量に依存してインピーダンスが変化する複数のインピーダンス素子がフルブリッジ接続して構成されている。フルブリッジ接続されるインピーダンス素子については、全てのインピーダンス素子が物理量に依存してインピーダンスが変化するように構成されていてもよく、一部のインピーダンス素子が物理量に依存してインピーダンスが変化するように構成されていてもよい。インピーダンス素子としては、物理量に依存して抵抗値が変化する可変抵抗体、物理量に依存して容量が変化する可変キャパシタが例示される。インピーダンス調整部は、インピーダンスブリッジ部に並列に接続されており、インピーダンスブリッジ部の第1出力ノードと第2出力ノードの間の電位差が零となるように、インピーダンスが調整されるように構成されている。上記実施形態の物理量センサでは、インピーダンス調整部のインピーダンスを調整する調整値がセンサ出力となる。このように、上記実施形態の物理量センサは、零位法を利用して物理量を計測するように構成されている。
【0013】
インピーダンスブリッジ部は、基準ノード、電源ノード、第1インピーダンス素子、第2インピーダンス素子、第3インピーダンス素子及び第4インピーダンス素子を有していてもよい。この場合、第1インピーダンス素子と第3インピーダンス素子は、基準ノードと電源ノードの間に直列に接続されている。第2インピーダンス素子と第4インピーダンス素子は、基準ノードと電源ノードの間に直列に接続されている。第1インピーダンス素子と第3インピーダンス素子の組と第2インピーダンス素子と第4インピーダンス素子の組は、基準ノードと電源ノードの間に並列に接続されている。第1インピーダンス素子と第3インピーダンス素子の間に第1出力ノードが設けられている。第2インピーダンス素子と第4インピーダンス素子の間に第2出力ノードが設けられている。ここで、第1インピーダンス素子と第4インピーダンス素子が物理量の増加に比例してインピーダンスが増加し、第2インピーダンス素子と第3インピーダンス素子が物理量の増加に比例してインピーダンスが低下するように構成されていてもよい。あるいは、第1インピーダンス素子と第4インピーダンス素子が物理量の増加に比例してインピーダンスが増加し、第2インピーダンス素子と第3インピーダンス素子が物理量の変化に依存せずにインピーダンスが固定値となるように構成されていてもよい。
【0014】
インピーダンス調整部は、第1インピーダンス調整部及び第2インピーダンス調整部を有していてもよい。第1インピーダンス調整部は、基準ノードと電源ノードの間に直列に接続されている複数のインピーダンス固定素子を含む。第1インピーダンス調整部は、調整値に基づいて、インピーダンス固定素子間の配線のうちのいずれか1つを第1出力ノードに接続するように構成されている。第2インピーダンス調整部は、基準ノードと電源ノードの間に直列に接続されている複数のインピーダンス固定素子を含む。第2インピーダンス調整部は、調整値に基づいて、インピーダンス固定素子間の配線のうちのいずれか1つを第2出力ノードに接続するように構成されている。
【0015】
上記実施形態の物理量センサは、コンパレータ及びカウンタをさらに備えていてもよい。コンパレータは、インピーダンスブリッジ部の第1出力ノードと第2出力ノードの電圧を比較する。カウンタは、コンパレータの出力に基づいてカウンタ値を増減させる。カウンタのカウンタ値が、インピーダンス調整部のインピーダンスを調整するための調整値として用いられる。この物理量センサは、カウンタのカウンタ値を利用して、インピーダンスブリッジ部の第1出力ノードと第2出力ノードの間の電位差が零となるようにフィードバック制御することができる。
【0016】
上記実施形態の物理量センサは、第1ローパスフィルタ、第2ローパスフィルタ及び移動平均回路をさらに備えていてもよい。第1ローパスフィルタは、インピーダンスブリッジ部の第1出力ノードとコンパレータの間に挿入されている。第2ローパスフィルタは、インピーダンスブリッジ部の第2出力ノードとコンパレータの間に挿入されている。移動平均回路は、カウンタのカウンタ値の移動平均を演算する。この実施形態の物理量センサは、ディザリング手法を利用してセンサ出力の分解能を向上させることができる。
【0017】
物理量センサの他の一実施形態は、インピーダンスブリッジ部及びインピーダンス調整部を備えていてもよい。インピーダンスブリッジ部は、物理量に依存してインピーダンスが変化する複数のインピーダンス素子がハーフブリッジ接続して構成されている。ハーフブリッジ接続されるインピーダンス素子については、全てのインピーダンス素子が物理量に依存してインピーダンスが変化するように構成されていてもよく、一部のインピーダンス素子が物理量に依存してインピーダンスが変化するように構成されていてもよい。インピーダンス素子としては、物理量に依存して抵抗値が変化する可変抵抗体、物理量に依存して容量が変化する可変キャパシタが例示される。インピーダンス調整部は、インピーダンスブリッジ部に並列に接続されており、その出力ノードとインピーダンスブリッジ部の出力ノードの間の電位差が零となるように、インピーダンスが調整されるように構成されている。上記他の実施形態の物理量センサでは、インピーダンス調整部のインピーダンスを調整する調整値がセンサ出力となる。このように、上記他お実施形態の物理量センサは、零位法を利用して物理量を計測するように構成されている。
【0018】
インピーダンスブリッジ部は、基準ノード、電源ノード、第1インピーダンス素子及び第2インピーダンス素子を有していてもよい。この場合、第1インピーダンス素子と第2インピーダンス素子は、基準ノードと電源ノードの間に直列に接続されている。第1インピーダンス素子と第2インピーダンス素子の間にインピーダンスブリッジ部の出力ノードが設けられている。インピーダンス調整部は、基準ノードと電源ノードの間に直列に接続されている複数のインピーダンス固定素子を含み、調整値に基づいて、インピーダンス固定素子間の配線のうちのいずれか1つをインピーダンス調整部の出力ノードに接続可能に構成されている。ここで、第1インピーダンス素子が物理量の増加に比例してインピーダンスが増加し、第2インピーダンス素子が物理量の増加に比例してインピーダンスが低下するように構成されていてもよい。あるいは、第1インピーダンス素子が物理量の増加に比例してインピーダンスが増加し、第2インピーダンス素子が物理量の変化に依存せずにインピーダンスが固定値となるように構成されていてもよい。
【0019】
上記他の実施形態の物理量センサは、コンパレータ及びカウンタをさらに備えていてもよい。コンパレータは、インピーダンスブリッジ部の出力ノードとインピーダンス調整部の出力ノードの電圧を比較する。カウンタは、コンパレータの出力に基づいてカウンタ値を増減させる。カウンタのカウンタ値が、インピーダンス調整部のインピーダンスを調整するための調整値として用いられる。この物理量センサは、カウンタのカウンタ値を利用して、インピーダンスブリッジ部の出力ノードとインピーダンス調整部の出力ノードの出力ノードの間の電位差が零となるようにフィードバック制御することができる。
【0020】
上記他の実施形態の物理量センサは、第1ローパスフィルタ、第2ローパスフィルタ及び移動平均回路をさらに備えていてもよい。第1ローパスフィルタは、インピーダンスブリッジ部の出力ノードとコンパレータの間に挿入されている。第2ローパスフィルタは、インピーダンス調整部の出力ノードとコンパレータの間に挿入されている。移動平均回路は、カウンタのカウンタ値の移動平均を演算する。この実施形態の物理量センサは、ディザリング手法を利用してセンサ出力の分解能を向上させることができる。
【実施例1】
【0021】
図1に示されるように、物理量センサ1は、センサ部2、追従比較型AD変換器4及び抵抗DA変換器6を備える。なお、センサ部2は、特許請求の範囲に記載のインピーダンスブリッジ部の一例である。抵抗DA変換器6は、特許請求の範囲に記載のインピーダンス調整部の一例である。
【0022】
センサ部2は、圧力に依存した電圧を出力する回路を構成しており、基準ノードN11、電源ノードN12及び4つの抵抗素子R1,R2,R3,R4を有する。基準ノードN11は、基準電圧配線L1の第1ノードN1に接続されている。基準電圧配線L1は、接地電圧GNDが入力する基準電圧端子T1に接続されている。電源ノードN12は、電源電圧配線L2の第2ノードN2に接続されている。電源電圧配線L2は、電源電圧Vccが入力する電源電圧端子T2に接続されている。4つの抵抗素子R1,R2,R3,R4は、圧力に応じて抵抗値が変化する可変抵抗体である。第1抵抗素子R1と第4抵抗素子R4は、圧力の増加に比例して抵抗値が増加するように構成されている。第2抵抗素子R2と第3抵抗素子R3は、圧力の増加に比例して抵抗値が低下するように構成されている。
【0023】
第1抵抗素子R1と第3抵抗素子R3は、基準ノードN11と電源ノードN12の間に直列に接続されている。第2抵抗素子R2と第4抵抗素子R4は、基準ノードN11と電源ノードN12の間に直列に接続されている。第1抵抗素子R1と第3抵抗素子R3の組と第2抵抗素子R2と第4抵抗素子R4の組は、基準ノードN11と電源ノードN12の間に並列に接続されている。このように、4つの抵抗素子R1,R2,R3,R4は、フルブリッジ接続されている。
【0024】
4つの抵抗素子R1,R2,R3,R4は、圧力が印加されていないときの抵抗値が同値となるように設定されている。このため、第1抵抗素子R1と第3抵抗素子R3の間の第1出力ノードNout1の電圧VAは、圧力が印加されていないときに、基準ノードN11の電圧と電源ノードN12の電圧の中間の電圧、即ち、Vcc/2となるように調整されている。同様に、第2抵抗素子R2と第4抵抗素子R4の間の第2出力ノードNout2の電圧VBは、圧力が印加されていないときに、基準ノードN11の電圧と電源ノードN12の電圧の中間の電圧、即ち、Vcc/2となるように調整されている。
【0025】
追従比較型AD変換器4は、センサ部2の出力電圧をデジタル値に変換して出力する回路であり、コンパレータ4a及びカウンタ4bを有する。コンパレータ4aでは、非反転端子(+)がセンサ部2の第1出力ノードNout1に接続されており、反転端子(−)がセンサ部2の第2出力ノードNout2に接続されており、出力端子がカウンタ4bに接続されている。コンパレータ4aは、第1出力ノードNout1の電圧VAと第2出力ノードNout2の電圧VBを比較し、電圧VAが電圧VBよりも高いときに出力をハイとし、電圧VBが電圧VAよりも高いときに出力をローにする。カウンタ4bは、nビットカウンタ回路であり、コンパレータ4aの出力がハイのときにカウンタ値を増加させ、コンパレータ4aの出力がローのときにカウンタ値を減少させる。カウンタ4bのカウンタ値は、nビットのデジタル値であり、出力端子T3にセンサ出力として出力される。
【0026】
抵抗DA変換器6は、センサ部2に並列に接続されており、センサ部2の第1出力ノードNout1の電圧VAと第2出力ノードNout2の電圧VBの電位差が零となるように、抵抗値が調整されるように構成されている。
【0027】
図2に示されるように、抵抗DA変換器6は、第1抵抗DA変換器6A及び第2抵抗DA変換器6Bを有する。第1抵抗DA変換器6Aは、固定抵抗素子群6Raとスイッチ素子群6Saを含む。固定抵抗素子群6Raは、2個の固定抵抗素子が直列に接続して構成されており、一端がセンサ部2の基準ノードN11に接続されており、他端がセンサ部2の電源ノードN12に接続されている。固定抵抗素子群6Raの固定抵抗素子の抵抗値は、両端の固定抵抗素子の抵抗値を除いて、いずれも同値である。スイッチ素子群6Saは、(2−1)個のスイッチ素子を有する。複数のスイッチ素子の各々は、固定抵抗素子群6Raの固定抵抗素子間の配線のいずれか1つに対応して配置されており、一端がその固定抵抗素子間の配線に接続されており、他端がセンサ部2の第1出力ノードNout1に接続されている。第2抵抗DA変換器6Bは、固定抵抗素子群6Rbとスイッチ素子群6Sbを含む。固定抵抗素子群6Rbは、2個の固定抵抗素子が直列に接続して構成されており、一端がセンサ部2の基準ノードN11に接続されており、他端がセンサ部2の電源ノードN12に接続されている。固定抵抗素子群6Rbの固定抵抗素子の抵抗値は、両端の固定抵抗素子の抵抗値を除いて、いずれも同値である。スイッチ素子群6Sbは、(2−1)個のスイッチ素子を有する。複数のスイッチ素子の各々は、固定抵抗素子群6Rbの固定抵抗素子間の配線のいずれか1つに対応して配置されており、一端がその固定抵抗素子間の配線に接続されており、他端がセンサ部2の第2出力ノードNout2に接続されている。
【0028】
第1抵抗DA変換器6A及び第2抵抗DA変換器6Bの各々には、追従比較型AD変換器4のカウンタ4bのカウンタ値が入力する。第1抵抗DA変換器6Aは、カウンタ4bのカウンタ値に基づいて、スイッチ素子群6Saのうちの1つのスイッチ素子を閉じ、固定抵抗素子群6Raを分割する。同様に、第2抵抗DA変換器6Bは、カウンタ4bのカウンタ値に基づいて、スイッチ素子群6Sbのうちの1つのスイッチ素子を閉じ、固定抵抗素子群6Rbを分割する。
【0029】
第1抵抗DA変換器6Aでは、電源ノードN12側のスイッチ素子から順にカウンタ値が割り振られている。例えば、図2は、カウンタ値が「1」の場合を例示する。前記したように、センサ部2では、圧力が増加すると、第1抵抗素子R1の抵抗値が増加するとともに第3抵抗素子R3の抵抗値が低下する。このとき、第1抵抗DA変換器6Aでは、第1抵抗素子R1と並列に接続される固定抵抗素子の数が減少するとともに第3抵抗素子R3と並列に接続される固定抵抗素子の数が増加する。換言すると、第1抵抗DA変換器6Aでは、圧力が増加すると、第1抵抗素子R1と並列に接続される固定抵抗素子群の抵抗値が低下するとともに第3抵抗素子R3と並列に接続される固定抵抗素子群の抵抗値が増加する。このように、第1抵抗DA変換器6Aは、第1抵抗素子と固定抵抗素子群の合成抵抗値を維持するとともに、第3抵抗素子と固定抵抗素子群の合成抵抗値を維持するように働く。このため、センサ部2の第1出力ノードNout1の電圧VAは、基準ノードN11の電圧と電源ノードN12の電圧の中間の電圧、即ち、Vcc/2となるように維持される。
【0030】
一方、第2抵抗DA変換器6Bでは、基準ノードN11側のスイッチ素子から順にカウンタ値が割り振られている。例えば、図2は、カウンタ値が「1」の場合を例示する。前記したように、センサ部2では、圧力が増加すると、第2抵抗素子R2の抵抗値が低下するとともに第4抵抗素子R4の抵抗値が増加する。このとき、第2抵抗DA変換器6Bでは、第2抵抗素子R2と並列に接続される固定抵抗素子の数が増加するとともに第4抵抗素子R4と並列に接続される固定抵抗素子の数が減少する。換言すると、第2抵抗DA変換器6Bでは、圧力が増加すると、第2抵抗素子R2と並列に接続される固定抵抗素子群の抵抗値が増加するとともに第4抵抗素子R4と並列に接続される固定抵抗素子群の抵抗値が低下する。このように、第2抵抗DA変換器6Bは、第2抵抗素子と固定抵抗素子群の合成抵抗値を維持するとともに、第4抵抗素子と固定抵抗素子群の合成抵抗値を維持するように働く。このため、センサ部2の第2出力ノードNout2の電圧VBは、基準ノードN11の電圧と電源ノードN12の中間の電圧、即ち、Vcc/2となるように維持される。
【0031】
このように、抵抗DA変換器6は、追従比較型AD変換器4のカウンタ4bのカウンタ値を利用して、センサ部2の第1出力ノードNout1の電圧VAと第2出力ノードNout2の電圧VBの電位差が零となるようにフィードバック制御する。即ち、物理量センサ1は、追従比較型AD変換器4と抵抗DA変換器6を利用して、センサ部2に印加される圧力を零位法によって計測するように構成されている。
【0032】
物理量センサ1では、電源電圧Vccに高周波のノイズ(1MHz〜400MHz程度)が混入することがある。このような高周波のノイズとしては、放射ノイズ及び誘導ノイズがある。電源電圧端子T2にはワイヤハーネスに組み込まれている外部電線が接続されており、その外部電線を介して電源電圧端子T2に電源電圧Vccが入力する。ワイヤハーネスの外部電線に放射ノイズが侵入すると、電源電圧Vccにノイズが混入することがある。また、ワイヤハーネスには、外部電線の他にも複数の信号線が組み込まれている。このため、電源電圧Vccを入力するための外部電線に他の信号線から誘導ノイズが侵入すると、電源電圧Vccにノイズが混入することがある。
【0033】
物理量センサ1では、センサ部2の第1出力ノードNout1の電圧VAと第2出力ノードNout2の電圧VBの電位差が零となるようにフィードバック制御されている。このため、電源電圧Vccにノイズが混入しても、センサ部2の第1出力ノードNout1の電圧VAと第2出力ノードNout2の電圧VBが同時に上下に振幅するので、センサ部2の第1出力ノードNout1の電圧VAと第2出力ノードNout2の電圧VBの電位差が零に維持される。したがって、物理量センサ1では、電源電圧Vccにノイズが混入しても、そのノイズがセンサ出力に反映されない。物理量センサ1は、電源電圧Vccにノイズが混入しても、そのようなノイズの影響が抑えられたセンサ出力を出力することができる。
【0034】
物理量センサ1では、カウンタ4bのビット数を増加させてセンサ出力の分解能を向上させようとすると、抵抗DA変換器6の回路規模も増加する。このため、物理量センサ1では、カウンタ4bのビット数の増加を抑えながら、センサ出力の分解能を向上させることが望まれる。これを実現するために、物理量センサ1にディザリング手法を利用するのが望ましい。ディザリング手法は、AD変換をするときに、アナログの入力信号に微小なランダムノイズ(ホワイトノイズ)を加算してAD変換し、AD変換されたデジタル信号をデジタルフィルタで平均処理することで、AD変換時に発生する量子化誤差を低減する処理である。これにより、デジタル信号の線形性が向上するので、カウンタ4bのビット数の増加を抑えながら、センサ出力の分解能を向上させることができる。
【0035】
図3に、ディザリング手法が適用された物理量センサ1の変形例を示す。この物理量センサ1は、2つのローパスフィルタLPF1,LPF2及び移動平均回路8を備えることを特徴とする。
【0036】
第1ローパスフィルタLPF1は、センサ部2の第1出力ノードNout1とコンパレータ4aの非反転入力端子(+)の間に挿入されており、第5抵抗素子R5及び第1キャパシタC1を有する。第2ローパスフィルタLPF2は、センサ部2の第2出力ノードNout2とコンパレータ4aの反転入力端子(−)の間に挿入されており、第6抵抗素子R6及び第2キャパシタC2を有する。第5抵抗素子R5及び第6抵抗素子R6の抵抗値は同一である。第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の容量は同一である。
【0037】
第1ローパスフィルタLPF1は、主に第5抵抗素子R5の熱雑音により、センサ部2の第1出力ノードNout1の電圧VAにランダムノイズを加算することができる。加算されるランダムノイズの振幅は、第1キャパシタC1の容量に基づいて調整される。同様に、第2ローパスフィルタLPF2は、主に第6抵抗素子R6の熱雑音により、センサ部2の第2出力ノードNout2の電圧VBにランダムノイズを加算することができる。加算されるランダムノイズの振幅は、第2キャパシタC2の容量に基づいて調整される。
【0038】
例えば、電圧VAが電圧VBよりも高い場合、加算されるランダムノイズによって電圧VAと電圧VBの電位差が増加するとコンパレータ4aの出力はハイとなり、加算されるランダムノイズによって電圧VAと電圧VBの電位差が低下するとコンパレータ4aの出力はハイ又はローとなる。電圧VBが電圧VAよりも高い場合、加算されるランダムノイズによって電圧VBと電圧VAの電位差が増加するとコンパレータ4aの出力はローとなり、加算されるランダムノイズによって電圧VBと電圧VAの電位差が低下するとコンパレータ4aの出力はロー又はハイとなる。このように、ローパスフィルタLPF1,LPF2がランダムノイズを加算することで、コンパレータ4aの出力は、電圧VAと電圧VBのみの判定結果を中心にしてランダムにばらつく。
【0039】
移動平均回路8は、カウンタ4bと出力端子T3の間に挿入されており、カウンタ4bのカウンタ値の移動平均を演算して出力するように構成されている。これにより、移動平均回路8は、カウンタ4bのカウンタ値から量子化誤差を低減することができる。
【0040】
このように、変形例の物理量センサ1は、ディザリング手法を利用して、カウンタ4bのカウンタ値のセンサ出力の分解能を向上させることができる。変形例の物理量センサ1は、カウンタ4bのビット数の増加を抑えながら、即ち、抵抗DA変換器6の回路規模の増加を抑えながら、カウンタ4bのカウンタ値のセンサ出力の分解能を向上させることができる。
【実施例2】
【0041】
図4に、第2実施例の物理量センサ10を示す。なお、第1実施例の物理量センサ1と共通する構成要素については共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
物理量センサ10は、ハーフブリッジ接続されている一対の抵抗素子R11,R12を有するセンサ部12を備えることを特徴とする。なお、センサ部12は、特許請求の範囲に記載のインピーダンスブリッジ部の一例である。第1抵抗素子R11は、圧力の増加に比例して抵抗値が増加するように構成されている。第2抵抗素子R12は、圧力の増加に比例して抵抗値が低下するように構成されている。第1抵抗素子R11と第2抵抗素子R12は、基準ノードN11と電源ノードN12の間に直列に接続されている。
【0043】
一対の抵抗素子R11,R12は、圧力が印加されていないときの抵抗値が同値となるように設定されている。このため、第1抵抗素子R11と第2抵抗素子R12の間の第1出力ノードNout11の電圧VAは、圧力が印加されていないときに、基準ノードN11の電圧と電源ノードN12の電圧の中間の電圧、即ち、Vcc/2となるように調整されている。
【0044】
図5に示されるように、抵抗DA変換器16は、固定抵抗素子群16Raとスイッチ素子群16Saを含む。なお、抵抗DA変換器16は、特許請求の範囲に記載のインピーダンス調整部の一例である。固定抵抗素子群16Raは、2個の固定抵抗素子が直列に接続して構成されており、一端がセンサ部12の基準ノードN11に接続されており、他端がセンサ部12の電源ノードN12に接続されている。固定抵抗素子群16Raの固定抵抗素子の抵抗値は、両端の固定抵抗素子の抵抗値を除いて、いずれも同値である。スイッチ素子群16Saは、(2−1)個のスイッチ素子を有する。複数のスイッチ素子の各々は、固定抵抗素子群16Raの固定抵抗素子間の配線のいずれか1つに対応して配置されており、一端がその固定抵抗素子間の配線に接続されており、他端が追従比較型AD変換器4のコンパレータ4aの反転端子(−)に接続されている。
【0045】
抵抗DA変換器16には、追従比較型AD変換器4のカウンタ4bのカウンタ値が入力する。抵抗DA変換器16は、カウンタ4bのカウンタ値に基づいて、スイッチ素子群16Saのうちの1つのスイッチ素子を閉じ、固定抵抗素子群16Raを分割する。
【0046】
抵抗DA変換器16では、基準ノードN11側のスイッチ素子から順にカウンタ値が割り振られている。例えば、図5は、カウンタ値が「1」の場合を例示する。前記したように、センサ部12では、圧力が増加すると、第1抵抗素子R11の抵抗値が増加するとともに第2抵抗素子R12の抵抗値が低下する。このとき、抵抗DA変換器16では、第1抵抗素子R11と並列に接続される固定抵抗素子の数が増加するとともに第2抵抗素子R12と並列に接続される固定抵抗素子の数が減少する。換言すると、抵抗DA変換器16では、圧力が増加すると、第1抵抗素子R11と並列に接続される固定抵抗素子群の抵抗値が増加するとともに第2抵抗素子R12と並列に接続される固定抵抗素子群の抵抗値が低下する。このように、抵抗DA変換器16は、第1抵抗素子R11と第2抵抗素子R12をミラーするように、固定抵抗素子群16Raを分割する。このため、抵抗DA変換器16の出力ノードNout12の電圧VBは、センサ部12の出力ノードNout11の電圧VAと等しくなるように維持される。
【0047】
このように、抵抗DA変換器16は、追従比較型AD変換器4のカウンタ4bのカウンタ値を利用して、出力ノードNout12の電圧VBとセンサ部12の出力ノードNout11の電圧VAの電位差が零となるようにフィードバック制御する。即ち、物理量センサ10は、追従比較型AD変換器4と抵抗DA変換器16を利用して、センサ部12に印加される圧力を零位法によって計測するように構成されている。
【0048】
物理量センサ10では、センサ部12の出力ノードNout11の電圧VAと抵抗DA変換器16の出力ノードNout12の電圧VBの電位差が零となるようにフィードバック制御されている。このため、電源電圧Vccにノイズが混入しても、センサ部12の出力ノードNout11の電圧VAと抵抗DA変換器16の出力ノードNout12の電圧VBが同時に上下に振幅するので、センサ部12の出力ノードNout11の電圧VAと抵抗DA変換器16の出力ノードNout12の電圧VBの電位差が零に維持される。したがって、物理量センサ10では、電源電圧Vccにノイズが混入しても、そのノイズがセンサ出力に反映されない。物理量センサ10は、電源電圧Vccにノイズが混入しても、そのようなノイズの影響が抑えられたセンサ出力を出力することができる。
【0049】
物理量センサ10の抵抗DA変換器16は、第1実施例の物理量センサ1の抵抗DA変換器6に比して回路規模が略半分となる。このため、物理量センサ10は、物理量センサ1に比して、小型化及び低消費電力の点で有用である。さらに、物理量センサ10においても、図3に例示するディザリング手法を利用するのが望ましい。この場合、物理量センサ10は、カウンタ4bのビット数の増加を抑えながら、即ち、抵抗DA変換器16の回路規模の増加を抑えながら、カウンタ4bのカウンタ値のセンサ出力の分解能を向上させることができる。
【0050】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0051】
1,10:物理量センサ 2,12:センサ部 4:追従比較AD変換器 4a:コンパレータ 4b:カウンタ 6,16:抵抗DA変換器 6A:第1抵抗DA変換器 6B:第2抵抗DA変換器: L1:基準電圧配線 L2:電源電圧配線 N11:基準ノード N12:電源ノード Nout1:第1出力ノード Nout2:第2出力ノード R1,R11:第1抵抗素子 R2,R12:第2抵抗素子 R3:第3抵抗素子 R4:第4抵抗素子
図1
図2
図3
図4
図5