【実施例1】
【0220】
ケーブル11402(
図30aを参照)の一般レイアウトを有する、遮蔽電気リボンケーブルを製作した。このケーブルは、信号ワイヤー用の、8つのtwinaxペアへと配置される16個の絶縁32ゲージ(AWG)ワイヤー、及びドレインワイヤー用の、ケーブルの縁部に沿って配置される2つの非絶縁32(AWG)ワイヤーを利用した。使用した16個の信号ワイヤーのそれぞれは、銀メッキを有する銅の中実芯線を有するものとした。2つのドレインワイヤーは、それぞれ、撚り線構造(それぞれ、7つの撚り線)を有するものとし、スズメッキを施した。絶縁ワイヤーの絶縁体は、0.025インチ(0.064cm)の公称外径を有するものとした。16個の絶縁ワイヤー、及び2つの非絶縁ワイヤーを、
図5cに示すデバイスと同様のデバイス内に供給して、2つの遮蔽フィルムの間に挟み込んだ。それらの遮蔽フィルムは、実質的に同一であり、以下の構成体を有するものとした:ポリエステルの基底層(厚さ0.00048インチ(0.0012cm))、その上に配置されたアルミニウムの連続層(厚さ0.00028インチ(0.00071cm))、その上に配置された非導電性接着剤(厚さ0.001インチ(0.0025cm))。遮蔽フィルムは、フィルムの金属コーティングが互いに向き合い、かつ導体セットに面するように、配向した。プロセス温度は、華氏約270度とした。このプロセスによって作製して得られたケーブルを、写真撮影して、
図30fに平面図で示し、ケーブルの末端部の斜め図を
図30gに示す。これらの図では、1804は、twinax導体セットを指し、1812は、ドレインワイヤーを指す。
【0221】
得られたケーブルは、信号ワイヤーに使用される絶縁導体内の、中実芯線の同心性の欠如のために、理想的ではなかった。それにもかかわらず、ケーブルの特定のパラメータ及び特性を計測して、非同心性の問題を斟酌する(補正する)ことが可能であった。例えば、寸法D、d1、d2(
図2cを参照)は、それぞれ、約0.028インチ、0.0015インチ、及び0.028インチ(0.071cm、0.0038cm、及び0.071cm)であった。横断面において、遮蔽フィルムのいずれの一方のどの部分も、ケーブルの幅に沿った任意の地点で、50マイクロメートル未満の曲率半径を有さなかった。所定のドレインワイヤーから、直近のtwinax導体セットの直近の絶縁ワイヤーまでの、中心間の間隔は、約0.83mmであり、各導体セット内部の、絶縁ワイヤーの中心間の間隔(例えば、
図30cのパラメータσ1及びパラメータσ2を参照)は、約0.025インチ(0.64mm)であった。隣接するtwinax導体セットの中心間の間隔(例えば、
図30cのパラメータΣを参照)は、約0.0715インチ(1.8mm)であった。間隔パラメータS(
図30bのS1及びS2を参照)は、約0.0465インチ(1.8mm)であった。縁部から縁部までを測定した、ケーブルの幅は、約16〜17ミリメートルであり、ドレインワイヤー間の間隔は、15ミリメートルであった。このケーブルは、ドレインワイヤーを含めて、容易にマス終端が可能であった。
【0222】
これらの値から、以下のことが認められる:ドレインワイヤーから直近の信号ワイヤーまでの間隔は、各twinaxペア内部のワイヤー間の間隔の約1.3倍であり、それゆえ、ワイヤー間の間隔の0.7倍よりも大きかった;ケーブル密度パラメータΣ/σは、約2.86であり、すなわち2.5〜3の範囲内であった;他のケーブル密度パラメータS/Dminは、約1.7であり、すなわち1.7〜2の範囲内であった;比率d
1/D(遮蔽フィルムの挟まれた部分の最小離隔距離を、遮蔽フィルムのカバー部分間の最大離隔距離で除算)は、約0.05、すなわち0.25未満であり、また0.1未満でもあった;比率d
2/D(絶縁導体間の領域内の、遮蔽フィルムのカバー部分間の最小離隔距離を、遮蔽フィルムのカバー部分間の最大離隔距離で除算)は、約1であり、すなわち0.33よりも大きかった。
【0223】
このケーブルの幅(すなわち、縁部間の約16mm、及びドレインワイヤー間の15mm)は、従来のミニ−SAS内部ケーブルの外側成型終端の幅(典型的には、17.1mm)よりも小さく、ミニ−SASパドルカードの典型的な幅(15.6mm)とほぼ同じであったことにも留意されたい。パドルカードよりも小さい幅は、ワイヤー末端部の横方向の調整を必要としない、ケーブルからパドルカードへの単純な1対1の経路指定を可能にする。ケーブルが、終端の基板又はハウジングよりも若干幅広であった場合であっても、外側のワイヤーを、横方向に経路指定するか、又は屈曲させて、基板の外側縁部上のパッドに適合させることが可能である。物理的に、このケーブルは、他のリボンケーブルと対比して、倍の密度を提供することができ、アセンブリ内で半分の厚さにすることができ(必要とされるリボンが1つ少ないため)、他の一般のケーブルよりも薄いコネクタを可能にし得る。ケーブル末端部は、任意の好適な方式で、終端及び用手操作して、本明細書の他の場所で論じられるような、終端構成要素と接続することができる。
【0224】
ここで、オンデマンドのドレインワイヤー機構を採用することができる、遮蔽リボンケーブルに関する、更なる詳細を提供する。
【0225】
開示される遮蔽電気ケーブルの多くでは、一方又は双方の遮蔽フィルムと、直接的又は間接的に、電気的に接触するドレインワイヤーは、実質的にケーブルの全長にわたって、そのような電気的接触を行なう。ドレインワイヤーは、次いで、終端の場所で外部接地接続に結合され、遮蔽体に接地基準を提供することにより、クロストークを生じさせる恐れがあるいずれの漂遊信号も低減(すなわち「ドレイン」)することができ、電磁干渉(EMI)を低減することができる。「発明を実施するための形態」のこのセクションでは、ケーブルの全長に沿ってではなく、ケーブルの1つ以上の隔離された区域で、所定のドレインワイヤーと所定の遮蔽フィルムとの間に、電気的接触を提供する構成体及び方法を、より完全に説明する。この隔離された区域での電気的接触によって特徴付けられる、構成体及び方法を、オンデマンド技術と称する場合がある。
【0226】
このオンデマンド技術は、本明細書の他の部分で説明される、遮蔽ケーブルを利用することができ、そのケーブルは、少なくとも1つのドレインワイヤーを含むように作製され、そのドレインワイヤーの長さの全て、又は少なくとも相当の部分にわたって、ドレインワイヤーと、少なくとも一方の遮蔽フィルムとの間に、高DC電気抵抗を有する。そのようなケーブルは、オンデマンド技術を説明する目的のために、未処置ケーブルと称することができる。この未処置ケーブルは、次いで、少なくとも1つの特定の局所領域内で処置されることにより、実質的にDC抵抗を低減し、その局所領域内で、ドレインワイヤーと遮蔽フィルムとの間に、電気的接触(直接的であれ、間接的であれ)を提供することができる。局所領域内のDC抵抗は、例えば、10オーム未満、又は2オーム未満、又は実質的に0オームにすることができる。
【0227】
未処置ケーブルは、少なくとも1つのドレインワイヤーと、少なくとも1つの遮蔽フィルムと、高速信号の搬送に関して好適な、少なくとも1つの絶縁導体を含む、少なくとも1つの導体セットとを含み得る。
図31aは、未処置ケーブルの役割を果たし得る、例示的な遮蔽電気ケーブル11902の正面断面図であるが、本明細書で示され、説明される、実質上いずれの他の遮蔽ケーブルもまた、使用することができる。ケーブル11902は、それぞれが1つ以上の絶縁導体を含む、3つの導体セット11904a、11904b、11904cを含み、このケーブルはまた、明示の目的のために様々な位置で示される、6つのドレインワイヤー11912a〜fも有する。ケーブル11902はまた、ケーブルの対向する側に配置され、好ましくは、それぞれのカバー部分、挟まれた部分、及び移行部分を有する、2つの遮蔽フィルム11908も含む。最初は、非導電性の接着剤材料、又は他の柔軟な非導電材料が、一方又は双方の遮蔽フィルムから、各ドレインワイヤーを隔てる。ドレインワイヤー、遮蔽フィルム、及び非導電材料は、局所領域、すなわち処置領域内で、遮蔽フィルムを、オンデマンドで、直接的又は間接的に、ドレインワイヤーと電気的に接触させることができるように、構成される。その後、好適な処置プロセスを使用して、図示のドレインワイヤー11912a〜fのいずれかと、遮蔽フィルム11908との、この選択的な電気的接触を達成する。
【0228】
図31b、
図31c、及び
図31dは、少なくとも一部のそのような処置プロセスを明示する、遮蔽ケーブル又はその諸部分の正面断面図である。
図31b(FIG. 31ba)では、遮蔽電気ケーブル12002の一部分は、対向する遮蔽フィルム12008を含み、遮蔽フィルム12008のそれぞれは、導電層12008a及び非導電層12008bを含み得る。遮蔽フィルムは、各遮蔽フィルムの導電層が、ドレインワイヤー12012及び他方の遮蔽フィルムに面するように、配向される。代替的実施形態では、一方又は双方の遮蔽フィルムの非導電層は、省略することができる。重要なことには、ケーブル12002は、遮蔽フィルム12008の間に非導電材料(例えば、誘電材料)12010を含み、その非導電材料12010が、遮蔽フィルム12008のそれぞれから、ドレインワイヤー12012を隔てる。一部の場合には、材料12010は、非導電性の柔軟な接着剤材料とすることができ、又は非導電性の柔軟な接着剤材料を含み得る。一部の場合には、材料12010は、0.02mm未満の厚さ、若しくは何らかの他の好適な厚さでの、ポリオレフィンなどの熱可塑性の誘電材料とすることができ、又はそのような誘電材料を含み得る。一部の場合には、材料12010は、ケーブルの製造の前に、一方又は双方の遮蔽フィルムを被覆する、薄い層の形態にすることができる。一部の場合には、材料12010は、ケーブルの製造の前に(かつ未処置ケーブル内で)ドレインワイヤーを被覆する、薄い絶縁体層の形態にすることができ、この場合には、そのような材料は、
図31b及び
図31cに示す実施形態とは異なり、ケーブルの挟まれた領域内に延在し得ない。
【0229】
局所的な接続を行なうために、圧縮力及び/又は熱を、限定された区域若しくは区間の範囲内に適用して、材料12010を有効に押し退けることによって、遮蔽フィルム12008を、強制的に、ドレインワイヤー12012と、恒久的に電気的に接触させることができる。この電気的接触は、直接的、又は間接的なものとすることができ、10オーム未満、又は2オーム未満、又は実質的に0オームの、この局所的な処置領域内のDC抵抗によって、特徴付けることができる。(ドレインワイヤー12012の未処置部分は、引き続き、遮蔽フィルムから物理的に隔てられ、高DC抵抗(例えば、>100オーム)によって特徴付けられるが、ただし、当然ながら、このドレインワイヤーの未処置部分は、ドレインワイヤーの処置部分を通じて、遮蔽フィルムに電気的に接続するという事実がある。)この処置手順は、後続の工程で、ケーブルの種々の隔離された区域で繰り返すことができ、かつ/又は任意の所定の単一の工程で、ケーブルの複数の隔離された区域で、実行することができる。遮蔽ケーブルはまた、好ましくは、高速データ通信用の1つ以上の絶縁信号ワイヤーの、少なくとも1つのグループも含む。
図31dでは、例えば、遮蔽ケーブル12102は複数のtwinax導体セット12104を含み、遮蔽フィルム12108によって、遮蔽が提供される。ケーブル12102は、ドレインワイヤー12112を含み、それらのうちの2つ(12112a、12112b)は、処置構成要素12130を使用して、例えば圧力、熱、放射線、及び/又は任意の他の好適な作用因子で、単一の工程で処置されるように示される。処置構成要素は、好ましくは、ケーブル12102の長さと比較して、小さい長さ(図面の平面に垂直な軸に沿った寸法)を有することにより、処置領域は、ケーブルの長さと比較して、同様に小さい。オンデマンドのドレインワイヤー接触のための処置プロセスは、(a)ケーブルの製造中に、(b)ケーブルが、終端プロセスのための長さに切断された後に、(c)終端プロセス中に(更には、ケーブルが終端される際に同時に)、(d)ケーブルが、ケーブルアセンブリへと作製された後に(例えば、ケーブルの両末端部への、終端構成要素の取り付けによって)、又は(a)〜(d)の任意の組み合わせで、実行することができる。
【0230】
ドレインワイヤーと、一方又は双方の遮蔽フィルムとの間に、局所的な電気的接触を提供するための処置は、一部の場合には、圧縮を利用することができる。この処置は、材料を激しく変形させて接触を引き起こす、大きい局所力を使用して、室温で、又は、例えば上述の熱可塑性材料がより容易に流動することができる、高温で、実施することができる。処置はまた、接触させるために、その区域に超音波エネルギーを送達することも含み得る。また、この処置プロセスは、遮蔽フィルムとドレインワイヤーとを隔てる誘電材料内での導電性粒子の使用によって、かつ/又はドレインワイヤー及び/若しくは遮蔽フィルム上に提供される隆起で、支援することもできる。
【0231】
図31e及び
図31fは、遮蔽電気ケーブルアセンブリ12201の平面図であり、ドレインワイヤーと遮蔽フィルムとのオンデマンドの接触を提供するように選択することができる、代替的構成を示す。双方の図面では、遮蔽電気リボンケーブル12202は、その両末端部で、終端構成要素12220、12222に接続される。終端構成要素は、それぞれ、ケーブル12202の、対応するワイヤー及び導体への電気的接続のために、個々の導電経路がその上に提供される、基板を含む。ケーブル12202は、高速データ通信に適合するtwinax導体セットなどの、幾つかの、絶縁導体の導体セットを含む。ケーブル12202はまた、2つのドレインワイヤー12212a、12212bも含む。ドレインワイヤーは、各終端構成要素の、対応する導電経路に接続される、末端部を有する。ドレインワイヤーはまた、ケーブルの少なくとも一方の遮蔽フィルムの付近に位置して(例えば、少なくとも一方の遮蔽フィルムに被覆されて)、好ましくは、例えば、
図31a及び
図31bの断面図に示されるように、そのような2つのフィルムの間に位置する。以下で説明される、局所的な処置区域又は区画を除いて、ドレインワイヤー12212a、12212bは、ケーブルの長さに沿ったいずれの地点でも、遮蔽フィルムと電気的に接触することがなく、このことは、任意の好適な手段によって、例えば、本明細書の他の場所で説明される電気的分離技術のいずれかを採用することによって、達成することができる。未処置区域内の、ドレインワイヤーと遮蔽フィルムとの間のDC抵抗は、例えば、100オームよりも大きくすることができる。しかしながら、このケーブルは、好ましくは、上述のように、選択された区画又は区域で処置され、所定のドレインワイヤーと所定の遮蔽フィルムとの間に、電気的接触が提供される。
図31eでは、ケーブル12202は、局所区域12213a内で処置されて、ドレインワイヤー12212aと遮蔽フィルムとの間に、電気的接触が提供されており、ケーブル12202はまた、局所区域12213b、12213c内でも処置されて、ドレインワイヤー12212bと遮蔽フィルムとの間に、電気的接触が提供されている。
図31fでは、ケーブル12202は、同じ局所区域12213a及び局所区域12213b内で処置されているが、また、異なる局所区域12213d、12213e内でも処置されているように示される。
【0232】
一部の場合には、冗長性又は他の目的のために、単一のドレインワイヤーに関して、複数の処置領域を使用し得ることに留意されたい。他の場合には、所定のドレインワイヤーに関しては、単一の処置区域のみを使用することができる。一部の場合には、第1ドレインワイヤーに関する第1処置区域は、第2ドレインワイヤーに関する第2処置区域と同じ縦方向位置で、配置することができる―例えば、
図31e、31fの、区域12213a、12213bを参照し、また
図31dに示す手順も参照されたい。一部の場合には、1つのドレインワイヤーに関する処置区域は、別のドレインワイヤーに関する処置区域とは異なる縦方向位置で、配置することができる。―例えば、
図31eの、区域12213a(areas 12231a)及び区域12213c、あるいは
図31fの、区域12213d及び区域12213eを参照されたい。一部の場合には、1つのドレインワイヤーに関する処置区域は、別のドレインワイヤーが、遮蔽フィルムとのいずれの局所的な電気的接触も欠いている、ケーブルの縦方向位置で、配置することができる―例えば、
図31eの、区域12213c、あるいは
図31fの、区域12213d又は区域12213eを参照されたい。
【0233】
図31gは、別の遮蔽電気ケーブルアセンブリ12301の平面図であり、ドレインワイヤーと遮蔽フィルムとのオンデマンドの接触を提供するように選択することができる、別の構成を示す。アセンブリ12301内では、遮蔽電気リボンケーブル12302は、その両末端部で、終端構成要素12320、12322に接続される。終端構成要素は、それぞれ、ケーブル12302の、対応するワイヤー及び導体への電気的接続のために、個々の導電経路がその上に提供される、基板を含む。ケーブル12302は、高速データ通信に適応するtwinax導体セットなどの、幾つかの、絶縁導体の導体セットを含む。ケーブル12302はまた、幾つかのドレインワイヤー12312a〜dも含む。ドレインワイヤーは、各終端構成要素の、対応する導電経路に接続される、末端部を有する。ドレインワイヤーはまた、ケーブルの少なくとも一方の遮蔽フィルムの付近に位置して(例えば、少なくとも一方の遮蔽フィルムに被覆されて)、好ましくは、例えば、
図31a及び
図31bの断面図に示されるように、そのような2つのフィルムの間に位置する。以下で説明される、局所的な処置区域又は区画を除いて、ドレインワイヤー12312a、12312bは、ケーブルの長さに沿ったいずれの地点でも、遮蔽フィルムと電気的に接触することがなく、このことは、任意の好適な手段によって、例えば、本明細書の他の場所で説明される電気的分離技術のいずれかを採用することによって、達成することができる。未処置区域内の、これらのドレインワイヤーと遮蔽フィルムとの間のDC抵抗は、例えば、100オームよりも大きくすることができる。しかしながら、このケーブルは、好ましくは、上述のように、選択された区画又は区域で処置され、これらのドレインワイヤーと所定の遮蔽フィルムとの間に、電気的接触が提供される。図では、ケーブル12302は、局所区域12313a内で処置されて、ドレインワイヤー12312aと遮蔽フィルムとの間に、電気的接触が提供されるように示され、また、局所区域12313b、12313c内でも処置されて、ドレインワイヤー2312dと遮蔽フィルムとの間に、電気的接触が提供されるように示される。ドレインワイヤー12313b、12312cの一方又は双方は、局所的な処置に関して好適であるタイプのものにすることができ、あるいは一方又は双方は、それらが、実質的にそれらの全長にそって遮蔽フィルムと電気的に接触する、より標準的な方式で、ケーブル製造の間に作製することができる。
【0234】
(実施例)
2つの実施例を、このセクションで提示する。第1に、2つの実質的に同一の、未処置の遮蔽電気リボンケーブルを、
図31dに示す遮蔽ケーブルと、同じ数及び同じ構成の、導体セット並びにドレインワイヤーで作製した。各ケーブルは、以下の同じ構成体を有する、2つの対向する遮蔽フィルムを使用して作製した:ポリエステルの基底層(厚さ0.00048インチ(0.0012cm))、その上に配置されたアルミニウムの連続層(厚さ0.00028インチ(0.00071cm))、その上に配置された非導電性接着剤(厚さ0.001インチ(0.0025cm))。4つのtwinax導体セットを作製するために各ケーブル内で使用した、8つの絶縁導体は、30ゲージ(AWG)の、中実芯線の、銀メッキを施した銅ワイヤーとした。各ケーブルに関して使用した8つのドレインワイヤーは、32ゲージ(AWG)の、スズメッキを施した、7つの撚り線とした。製造プロセスに関して使用する設定は、接着剤材料(ポリオレフィン)の薄い層(10マイクロメートル未満)が、各ドレインワイヤーと各遮蔽フィルムとの間に残存して、未処置ケーブル内での、それらの間の電気的接触を防ぐように、調整した。2つの未処置ケーブルを、それぞれ、約1メートルの長さに切り出し、一方の末端部でマスストリッピングした。
【0235】
これらの未処置ケーブルのうちの第1の未処置ケーブルを最初に試験して、いずれかのドレインワイヤーが、いずれかの遮蔽フィルムと電気的に接触しているか否かを判定した。このことは、ストリッピングされたケーブルの末端部で、2つのドレインワイヤーの、28通りの可能な組み合わせの全てに、マイクロオーム計を接続することによって行なった。これらの測定では、いずれの組み合わせに関しても、測定可能なDC抵抗が得られなかった―すなわち、全ての組み合わせが、100オームを優に越えるDC抵抗を生じさせた。次いで、2つの隣接するドレインワイヤーを、
図31dに示すように、1つの工程で処置して、それらのドレインワイヤーと2つの遮蔽フィルムとの接触の、局所区域を提供した。別の2つの隣接するドレインワイヤー、例えば、
図31dの左側の、12112で標示される2つの隣接するワイヤーもまた、第2の工程で、同じ方式で処置した。各処置は、長さ約0.25インチ(0.64cm)及び幅0.05インチ(0.13cm)の器具で、ケーブルの一部分を圧縮することによって達成し、この器具の幅は、ケーブルの1つの縦方向位置で、2つの隣接するドレインワイヤーを覆うものであった。各処置部分は、ケーブルの一方の末端部から、約3cmとした。この第1の実施例では、器具の温度は、摂氏220度とし、約75〜150ポンド(34.02〜68.04kg)の力を、各処置に関して、10秒間適用した。次いで、この器具を取り外し、ケーブルを放冷した。次いで、マイクロオーム計を、処置した末端部の反対側の、ケーブルの末端部で接続し、2つのドレインワイヤーの、28通りの可能な組み合わせの全てを、再び試験した。1つのペア(処置したドレインワイヤーのうちの2つ)のDC抵抗が、1.1オームとして測定され、2つのドレインワイヤー他の全ての組み合わせのDC抵抗(処置した末端部の反対側の、ケーブルの末端部で測定した)は、測定可能なものではなく、すなわち、100オームを優に超えていた。
【0236】
未処置ケーブルのうちの第2の未処置ケーブルもまた最初に試験して、いずれかのドレインワイヤーが、いずれかの遮蔽フィルムと電気的に接触しているか否かを判定した。このことも同様に、ストリッピングされたケーブルの末端部で、2つのドレインワイヤーの、28通りの可能な組み合わせの全てに、マイクロオーム計を接続することによって行ない、この測定でも同様に、いずれの組み合わせに関しても、測定可能なDC抵抗が得られなかった―すなわち、全ての組み合わせが、100オームを優に越えるDC抵抗を生じさせた。次いで、2つの隣接するドレインワイヤーを、
図21に示すように、1つの工程で処置して、それらのドレインワイヤーと2つの遮蔽フィルムとの接触の、局所区域を提供した。この処置は、実施例1の場合と同じ器具で行い、処置部分は、ケーブルの第1末端部から、約3cmとした。第2の処置工程では、同じ2つのドレインワイヤーを、第1の工程と同じ条件下ではあるが、第1末端部の反対側の、ケーブルの第2末端部から3cmの部分で処置した。第3の工程では、別の2つの隣接するドレインワイヤー、例えば、
図31dの左側の、12112で標示される2つの隣接するワイヤーを、第1の工程と同じ方式で、同様にケーブルの第1末端部から3cmで処置した。第4の処置工程では、工程3で処置した同じ2つのドレインワイヤーを、同じ条件下ではあるが、ケーブルの第2末端部から3cmの処置場所で処置した。この第2の実施例では、器具の温度は、摂氏210度とし、約75〜150ポンド(34.02〜68.04kg)の力を、各処置工程に関して、10秒間適用した。次いで、この器具を取り外し、ケーブルを放冷した。次いで、マイクロオーム計を、ケーブルの一方の末端部で接続し、2つのドレインワイヤーの、28通りの可能な組み合わせの全てを、再び試験した。0.6オームの平均DC抵抗が、組み合わせのうちの5つ(これらの組み合わせの5つ全ては、処置区域を有する4つのドレインワイヤーに関与する)に関して測定され、21.5オームのDC抵抗が、処置区域を有する4つのドレインワイヤーに関与する、残余の組み合わせに関して測定された。2つのドレインワイヤーの他の全ての組み合わせのDC抵抗は、測定可能なものではなく、すなわち、100オームを優に超えていた。
【0237】
図32aは、これらの実施例に関して製作及び処置された、遮蔽電気ケーブルの1つの写真である。4つの局所的な処置区域を、視認することができる。
図32bは、
図32aの一部分の拡大詳細図であり、局所的な処置区域のうちの2つを示す。
図32cは、
図32aのケーブルの正面断面レイアウトの、正面図の略図である。
【0238】
ここで、複数のドレインワイヤーを採用することができる、遮蔽リボンケーブルに関する更なる詳細、及びケーブルの1つ若しくは2つの末端部での、1つ以上の終端構成要素との、そのようなケーブルの独特の組み合わせを提供する。
【0239】
従来の同軸ケーブル又はtwinaxケーブルは、複数の独立した、ワイヤーのグループを使用し、それぞれのグループは、ケーブルと終端ポイントとの間で接地接続を行なうための、それ自体のドレインワイヤーを有する。本明細書で説明する遮蔽ケーブルの有利な態様は、それらの遮蔽ケーブルが、例えば
図31aに示したように、その構造全体にわたって、複数の場所にドレインワイヤーを含み得ることである。任意の所定のドレインワイヤーは、遮蔽構造に直接的に(DC)接続する場合があり、遮蔽体にAC接続(低インピーダンスAC接続)する場合があり、又は遮蔽体に不十分に接続するか、若しくは全く接続しない場合もある(高ACインピーダンス)。ドレインワイヤーは、細長形の導体であるため、遮蔽ケーブルを越えて延在し、嵌合コネクタの接地終端に接続することができる。開示されるケーブルの有利点は、全般的に、より少ないドレインワイヤーを、一部の用途で使用することができる点であり、これは、遮蔽フィルムによって提供される電気的遮蔽が、ケーブル構造全体に関して共通であるためである。
【0240】
開示される遮蔽ケーブルを使用して、有利には、遮蔽リボンケーブルの導電性遮蔽体を通じて電気的に相互接続することができる、様々な異なるドレインワイヤーの構成を提供し得ることが見出された。単純に言えば、開示される遮蔽ケーブルのいずれもが、少なくとも第1及び第2のドレインワイヤーを含み得る。第1及び第2のドレインワイヤーは、ケーブルの長さに沿って延在することができ、少なくとも、それらのドレインワイヤーの双方が第1の遮蔽フィルムと電気的に接触する結果として、互いに電気的に接続することができる。このケーブルは、ケーブルの第1末端部で、1つ以上の第1終端構成要素と組み合わせることができ、ケーブルの第2末端部で、1つ以上の第2終端構成要素と組み合わせることができる。一部の場合には、第1ドレインワイヤーは、1つ以上の第1終端構成要素と電気的に接続することができるが、1つ以上の第2終端構成要素とは、電気的に接続することができない。一部の場合には、第2ドレインワイヤーは、1つ以上の第2終端構成要素と電気的に接続することができるが、1つ以上の第1終端構成要素とは、電気的に接続することができない。
【0241】
第1及び第2のドレインワイヤーは、ケーブルの長さに沿って延在する複数のドレインワイヤーの部材とすることができ、n1の数のドレインワイヤーが、1つ以上の第1終端構成要素と接続することができ、n2の数のドレインワイヤーが、1つ以上の第2終端構成要素と接続することができる。数n1は、n2とは等しくない場合がある。更には、1つ以上の第1終端構成要素は、m1の数の第1終端構成要素を全体として有し得、1つ以上の第2終端構成要素は、m2の数の第2終端構成要素を全体として有し得る。一部の場合には、n2>n1であり、m2>m1である。一部の場合には、m1=1である。一部の場合には、m1=m2である。一部の場合には、m1<m2である。一部の場合には、m1>1であり、m2>1である。
【0242】
これらのような配置は、1つのドレインワイヤーを、外部接続に接続し、1つ以上の他のドレインワイヤーを、共通の遮蔽体にのみに接続させる能力を提供することによって、それらのドレインワイヤーの全てを、有効に外部の接地に結合させる。それゆえ、有利には、ケーブル内の全てのドレインワイヤーを、外部の接地構造に接続する必要はなく、このことを使用して、コネクタで必要とされる嵌合接続がより少なくなることによって、接続を簡略化することができる。別の潜在的な有利点は、2つ以上のドレインワイヤーが、外部の接地及び遮蔽体に接続される場合には、冗長化接続を作り出すことができる点である。そのような場合には、1つのドレインワイヤーで、遮蔽体又は外部の接地と接触することができない場合があっても、依然として、他のドレインワイヤーを通じて、外部の接地と遮蔽体との電気的接触を成功させることができる。更には、ケーブルアセンブリが、ファンアウト構成を有し、ケーブルの一方の末端部が、1つの外部コネクタ(m1=1)及び共通の接地に接続され、他方の末端部が、複数のコネクタ(m2>1)に結合される場合には、共通の末端部上では、複数のコネクタ末端部に関して使用される(n2)よりも、少ない接続(n1)を行なうことができる。そのような構成によって提供される、この簡略化された接地は、複雑性の低減、及び終端で必要とされる導体パッドの数の低減の点で、利益をもたらし得る。
【0243】
これらの配置の多くでは、当然ながら、問題となるドレインワイヤーの全てが、遮蔽フィルムと電気的に接触するならば、遮蔽フィルムを通じた、このドレインワイヤーの独特な相互接続の性質は、終端構造を簡略化するために使用され、より緊密な(より狭い)接続ピッチを提供することができる。1つの端的な実施形態は、高速の導体セット及び複数のドレインワイヤーを含む、遮蔽ケーブルが、各末端部での1つのコネクタに、両末端部で終端され、全てよりも少ないドレインワイヤーが、各末端部で終端されるが、一方の末端部で終端される各ドレインワイヤーはまた、他方の末端部でも終端される場合である。終端されないドレインワイヤーは、依然として低電位に維持されるが、これは、それらのドレインワイヤーもまた、直接的又は間接的に接地に結合されるためである。関連する実施形態では、ドレインワイヤーのうちの1つは、一方の末端部では接続されるが、他方の末端部では接続されない(意図的であれ、誤りであれ)場合がある。この状況でも同様に、接地構造は、1つのドレインワイヤーが各末端部で接続される限り、維持される。別の関連する実施形態では、一方の末端部で取り付けられるドレインワイヤーは、他方の末端部で取り付けられるドレインワイヤーとは同じではない。この簡単なバージョンを、
図32dに示す。この図では、ケーブルアセンブリ12501は、一方の末端部で終端構成要素12520に接続され、かつ他方の末端部で終端構成要素12522に接続される、遮蔽電気ケーブル12502を含む。ケーブル12502は、少なくとも1つの遮蔽フィルムに双方とも電気的に接続される、第1ドレインワイヤー12512a及び第2ドレインワイヤー12512bを含む限り、本明細書で示され、説明される、実質上いずれの遮蔽ケーブルとすることができる。図示のように、ドレインワイヤー12512bは、構成要素12520に接続するが、構成要素12522には接続せず、ドレインワイヤー12512aは、構成要素12522に接続するが、構成要素12520には接続しない。接地電位(又は他の制御電位)は、ケーブル12502の、ドレインワイヤー12512a、12512b、及び遮蔽フィルムの間で、それらの相互の電気的接続によって共有されるため、共通の接地により、その構造内では同じ電位が維持される。終端構成要素12520、12522の双方とも、有利には、使用しない導電経路を排除することによって、より小さく(より狭く)作製することができる点に留意されたい。
【0244】
これらの技術を明示する、より複雑な実施形態を、
図32e及び
図32fに示す。それらの図では、遮蔽ケーブルアセンブリ12601は、ファンアウト構成を有する。アセンブリ12601は、第1末端部で終端構成要素12620に接続され、かつ第2末端部(この末端部は、3つの別個のファンアウト部へと分割される)で終端構成要素12622、12624、12626に接続される、遮蔽電気リボンケーブル12602を含む。
図32eの線32g−32gに沿って取った、
図32fの断面図で最良に示されるように、ケーブル12602は、1つが同軸タイプであり、2つがtwinaxタイプである、絶縁導体の3つの導体セット、及び8つのドレインワイヤー12612a〜hを含む。8つのドレインワイヤーは全て、ケーブル12602内の、少なくとも1つ、好ましくは2つの遮蔽フィルムに、電気的に接続される。同軸導体セットは、終端構成要素12626に接続し、一方のtwinax導体セットは、終端構成要素12624に接続し、他方のtwinax導体セットは、終端構成要素12622に接続し、3つの導体セットの全ては、ケーブルの第1末端部で、終端構成要素12620に接続する。ドレインワイヤーの8つ全てを、ケーブルの第2末端部で、終端構成要素に接続することができ、すなわち、ドレインワイヤー12612a、12612b、及びドレインワイヤー12612cは、終端構成要素12626上の適切な導電経路に接続することができ、ドレインワイヤー12612d及びドレインワイヤー12612eは、終端構成要素12624上の適切な導電経路に接続することができ、ドレインワイヤー12612f及びドレインワイヤー12612gは、終端構成要素12622上の適切な導電経路に接続することができる。有利には、しかしながら、8つ全てよりも少ないドレインワイヤーを、ケーブルの第1末端部で、終端構成要素12620に接続することができる。図では、ドレインワイヤー12612a及びドレインワイヤー12612hのみが、構成要素12620上の適切な導電経路に接続されるように示される。ドレインワイヤー12612b〜gと終端構成要素12620との終端接続を省略することによって、アセンブリ12601の製造は、簡略化及び合理化される。しかし、例えば、ドレインワイヤー12612d及びドレインワイヤー12612eは、それらのいずれもが、終端構成要素12620に物理的に接続されない場合であっても、適切に、導電経路を接地電位(又は別の所望の電位)に結合する。
【0245】
上述のパラメータn1、n2、m1、及びm2に関しては、ケーブルアセンブリ12601は、n1=2、n2=8、m1=1、及びm2=3を有する。
【0246】
別のファンアウト遮蔽ケーブルアセンブリ12701を、
図33a及び
図33bに示す。アセンブリ12701は、第1末端部で終端構成要素12720に接続され、かつ第2末端部(この末端部は、3つの別個のファンアウト部へと分割される)で終端構成要素12722、12724、12726に接続される、遮蔽電気リボンケーブル12702を含む。
図33aの線33b−33bに沿って取った、
図33bの断面図で最良に示されるように、ケーブル12702は、1つが同軸タイプであり、2つがtwinaxタイプである、絶縁導体の3つの導体セット、及び8つのドレインワイヤー12712a〜hを含む。8つのドレインワイヤーは全て、ケーブル12702内の、少なくとも1つ、好ましくは2つの遮蔽フィルムに、電気的に接続される。同軸導体セットは、終端構成要素12726に接続し、一方のtwinax導体セットは、終端構成要素12724に接続し、他方のtwinax導体セットは、終端構成要素12722に接続し、3つの導体セットの全ては、ケーブルの第1末端部で、終端構成要素12720に接続する。ドレインワイヤーのうちの6つは、ケーブルの第2末端部で、終端構成要素に接続することができ、すなわち、ドレインワイヤー12712b及びドレインワイヤー12712cは、終端構成要素12726上の適切な導電経路に接続することができ、ドレインワイヤー12712d及びドレインワイヤー12712eは、終端構成要素2724上の適切な導電経路に接続することができ、ドレインワイヤー12712f及びドレインワイヤー12712gは、終端構成要素12722上の適切な導電経路に接続することができる。それらの6つのドレインワイヤーのいずれも、ケーブルの第1末端部に対する終端構成要素12720には接続されない。ケーブルの第1末端部で、他の2つのドレインワイヤー、すなわち、ドレインワイヤー12712a及びドレインワイヤー12712hが、構成要素2720上の適切な導電経路に接続される。ドレインワイヤー12712b〜gと終端構成要素12720との間、ドレインワイヤー12712aと終端構成要素2726との間、及びドレインワイヤー12712hと終端構成要素12722との間の終端接続を省略することによって、アセンブリ12701の製造は、簡略化及び合理化される。
【0247】
上述のパラメータn1、n2、m1、及びm2に関しては、ケーブルアセンブリ12701は、n1=2、n2=6、m1=1、及びm2=3を有する。
【0248】
多くの他の実施形態が可能であるが、一般的には、ケーブルの遮蔽体を利用して、2つの別個の接地接続(導体)を一体に接続することにより、確実に接地を完成させ、かつ少なくとも1つの接地が、ケーブルの各末端部、及びファンアウトケーブルに関しては3つ以上の末端部で、各終端場所に接続されることが、有利であり得る。このことは、各ドレインワイヤーが、各終端ポイントに接続される必要がないことを意味する。2つ以上のドレインワイヤーが、いずれかの末端部で接続される場合には、その接続は冗長化され、故障する傾向が少ない。
【0249】
ここで、混成された導体セット、例えば、高速データ伝送に適合する導体セットと、電力伝送又は低速データ伝送に適合する別の導体セットとを採用することができる、遮蔽リボンケーブルに関する、更なる詳細を提供する。電力伝送又は低速データ伝送に適合する導体セットは、サイドバンドと称することができる。
【0250】
高速信号伝送に関する、一部の相互接続及び定義規格は、高速信号伝送(例えば、twinaxワイヤー又は同軸ワイヤーの配置によって提供される)、及び低速若しくは電力の導体の双方を可能にするが、双方とも、導体に対する絶縁が必要とされる。このことの一例は、SAS規格であり、このSAS規格は、そのミニ−SAS 4i相互接続スキームに含まれる、高速ペア及び「サイドバンド」を規定する。SAS規格は、サイドバンドの使用が、その範囲外であり、ベンダー固有であることを指示するが、一般のサイドバンド使用は、業界の仕様SFF−8485で説明されるような、SGPIO(シリアル汎用入出力)である。SGPIOは、僅か100kHzのクロック速度を有し、高性能の遮蔽ワイヤーを必要としない。
【0251】
このセクションでは、それゆえ、高速信号及び低速信号(若しくは電力伝送)を伝送するように調整されるケーブルの態様に注目し、その態様としては、ケーブルの構成、線形の接点配列への終端、及び終端構成要素(例えば、パドルカード)の構成が挙げられる。全般的には、本明細書の他の部分で論じられる、遮蔽電子リボン状ケーブルを、若干の修正と共に使用することができる。具体的には、開示される遮蔽ケーブルは、高速データ伝送に適合する導体セット、及び同様に含まれ得るドレイン/接地ワイヤーに加えて、低速信号伝送に関して好適な絶縁ワイヤーを構成体内に含むように、修正することができる。遮蔽ケーブルは、それゆえ、データ速度が著しく異なる信号を搬送する、少なくとも2つの、絶縁ワイヤーのセットを含み得る。当然ながら、電力導体の場合には、その線路はデータ速度を有さない。低速導体に関する導電経路が、終端構成要素の両末端部の間で、例えば、終端末端部とコネクタ嵌合末端部との間で、経路変更される、高速/低速組み合わせ遮蔽ケーブルに関する、終端構成要素もまた開示する。
【0252】
換言すれば、遮蔽電気ケーブルは複数の導体セット、及び第1遮蔽フィルムを含み得る。複数の導体セットは、ケーブルの長さに沿って延在し、かつケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されることができ、各導体セットは、1つ以上の絶縁導体を含む。第1遮蔽フィルムは、カバー部分及び挟まれた部分を含み得、これらの部分は、カバー部分が導体セットを被覆し、挟まれた部分が、各導体セットの両側上の、ケーブルの挟まれた部分に配置されるように、配置される。複数の導体セットは、高速データ伝送に適合する、1つ以上の第1導体セット、及び電力伝送若しくは低速データ伝送に適合する、1つ以上の第2導体セットを含み得る。
【0253】
この電気ケーブルはまた、ケーブルの、第1遮蔽フィルムとは反対面上に配置される、第2遮蔽フィルムも含み得る。このケーブルは、第1遮蔽フィルムと電気的に接触し、かつケーブルの長さに沿っても延在する、第1ドレインワイヤーを含み得る。1つ以上の第1導体セットは、σ1の中心間の間隔を有する複数の第1絶縁導体を含む第1導体セットを含み得、1つ以上の第2導体セットは、σ2の中心間の間隔を有する複数の第2絶縁導体を含む、第2導体セットを含み得、σ1は、σ2よりも大きくすることができる。1つ以上の第1導体セットの絶縁導体は、ケーブルが平坦に配置される場合、全て単一平面内に配置することができる。更には、1つ以上の第2導体セットは、ケーブルが平坦に配置される場合、積み重ねられた配置となる複数の絶縁導体を有する、第2導体セットを含み得る。1つ以上の第1導体セットは、少なくとも1Gbps(すなわち、約0.5GHz)、最大で例えば25Gbps(約12.5GHz)以上の最大データ伝送速度に、又は例えば、少なくとも1GHzの最大信号周波数に適合させることができ、1つ以上の第2導体セットは、例えば、1Gbps(約0.5GHz)未満、若しくは0.5Gbps(約250MHz)未満の最大データ伝送速度に、又は例えば、1GHz若しくは0.5GHz未満の最大信号周波数に適合させることができる。1つ以上の第1は、少なくとも3Gbps(約1.5GHz)の最大データ伝送速度に適合させることができる。
【0254】
そのような電気ケーブルは、そのケーブルの第1末端部に配置される第1終端構成要素と組み合わせることができる。第1終端構成要素は、基板、及びその基板上の複数の導電経路を含み得、複数の導電経路は、第1終端構成要素の第1末端部上に配置される、対応する第1終端パッドを有する。第1及び第2の導体セットの遮蔽導体は、ケーブル内の遮蔽導体の配置と一致する規則的な配置にある、第1終端構成要素の第1末端部の第1終端パッドのうちの、対応する1つに接続することができる。複数の導電経路は、第1末端部上の第1終端パッドの配置とは異なる配置にある、第1終端構成要素の第2末端部上に配置される、対応する第2終端パッドを有し得る。
【0255】
電力伝送及び/又は低速データ伝送に適合する導体セットは、必ずしも互いに遮蔽する必要が無く、関連する接地ワイヤー又はドレインワイヤーを必ずしも必要とすることなく、指定インピーダンスを有する必要がない場合がある、絶縁導体のグループ、若しくは個別の絶縁導体を含み得る。高速信号ペアを有するケーブル内に、それらの絶縁導体を一体に組み込むことの利益は、それらを1つの工程で、位置合わせ及び終端することができる点である。このことは、例えば、パドルカードに自動的に位置合わせされることなく、幾つかのワイヤーのグループを取り扱うことが必要とされる、従来のケーブルとは異なる。低速信号及び高速信号の双方に関する、同時のストリッピング及び終端プロセス(単一のパドルカード上の線形配列、又は接点の線形配列への)は、混成信号ワイヤーケーブル自体と同様に、特に有利である。
【0256】
図33c〜fは、混成信号ワイヤー機構を組み込むことができる、例示的な遮蔽電気ケーブル12802a、12802b、12802c、及び遮蔽電気ケーブル12802dの、正面断面図である。各実施形態は、好ましくは、好適なカバー部分及び挟まれた部分を有する、本明細書の他の部分で論じられるような、2つの対向する遮蔽フィルムと、高速データ伝送に適合する導体セット(導体セット12804aを参照)内にグループ化される、幾つかの遮蔽導体と、低速データ伝送又は電力伝送に適合する導体セット(導体セット12804b、12804cを参照)内にグループ化される、幾つかの遮蔽導体とを含む。各実施形態はまた、好ましくは、1つ以上のドレインワイヤー12812も含む。高速導体セット12804aは、twinaxペアとして示されるが、本明細書の他の部分で論じられるような、他の構成もまた可能である。低速絶縁導体は、高速絶縁導体よりも小さい(より小さい直径又は横断寸法を有する)ように示されるが、これは、前者の導体は、制御されたインピーダンスを有する必要がない場合があるためである。代替的実施形態では、同じケーブル内の高速導体と比較して、より大きい絶縁体の厚さを、低速導体の周りに有することが必要であるか、又は有利であり得る。しかしながら、多くの場合スペースは重要であるため、通常は、絶縁体の厚さを可能な限り小さくすることが望ましい。ワイヤーのゲージ及びメッキは、低速線路に関しては、所定のケーブル内の高速線路と比較して異なるものとすることができる点にも留意されたい。
図33c〜fでは、高速絶縁導体及び低速絶縁導体は、全て単一平面内に配置される。そのような構成では、複数の低速絶縁導体を、導体セット12840bのように、単一のセット内に一体にグループ化して、可能な限り小さいケーブル幅を維持することが有利であり得る。
【0257】
低速絶縁導体をセット内にグループ化する場合、ケーブルが概して平面的な構成を保持するために、それらの導体を、正確に同じ幾何学的平面内に配置する必要はない。
図33gの遮蔽ケーブル12902は、例えば、コンパクトなスペース内で一体に積み重ねられた低速絶縁導体を利用して、導体セット12904bを形成し、ケーブル12902はまた、高速導体セット12904a及び高速導体セット12904cも含む。この方式で低速絶縁導体を積み重ねることは、コンパクトかつ狭いケーブル幅を提供することには役立つが、マス終端後に、規則的な線形方式で整列された導体を有する(終端構成要素上の接点の線形配列と嵌合するために)有利点を提供することができない。ケーブル12902はまた、図示のように、対向する遮蔽フィルム12908、及びドレインワイヤー12912も含む。種々の数の低速絶縁導体を伴う、代替的実施形態では、
図33hのセット12904d〜hに示すような、低速絶縁導体に関する積み重ね配置もまた、使用することができる。
【0258】
混成信号ワイヤー遮蔽ケーブルの別の態様は、ケーブルと共に使用される、終端構成要素に関する。具体的には、終端構成要素の基板上の導電経路は、低速信号を、終端構成要素の一方の末端部(例えば、ケーブルの終端末端部)上の1つの配置から、その構成要素の反対側の末端部(例えば、コネクタに関する嵌合末端部)上の異なる配置へと経路変更するように構成することができる。異なる配置は、例えば、終端構成要素の1つの末端部上の、別の末端部と比較した、接点又は導電経路の異なる順序を含み得る。構成要素の終端末端部上の配置は、ケーブル内の導体の順序又は配置と一致するように調整することができるが、構成要素の反対側の末端部上の配置は、ケーブルの配置とは異なる、回路基板又はコネクタの配置と一致するように調整することができる。
【0259】
この経路変更は、任意の好適な技術を利用することによって達成することができ、その技術は、例示的実施形態では、1つ以上のビアを、多層回路基板構成体と組み合わせて使用して、所定の導電経路を、そのプリント回路基板内の第1の層から、少なくとも第2の層に移行させ、所望により、第1の層に移行させて戻すことを含む。一部の実施例を、
図34a及び
図34bの平面図に示す。
【0260】
図34aでは、ケーブルアセンブリ13001aは、基板、及びその基板上に形成された導電経路(例えば、導体パッドを含む)を有する、パドルカード若しくは回路基板などの、終端構成要素に接続される、遮蔽電気ケーブル13002を含む。ケーブル13002は、高速データ通信に適合する、例えばtwinaxペアの形態の、導体セット13004aを含む。ケーブル13002はまた、低速データ及び/又は電力伝送に適合する導体セット13004bを含む、サイドバンドも含み、導体セット13004bは、この実施形態では、4つの絶縁導体を有する。ケーブル13002がマス終端された後、様々な導体セットの導体は、終端構成要素13020上の導電経路の対応する末端部(例えば、導体パッド)に、その構成要素の第1末端部13020a(first end 31020a)で接続される(例えば、はんだ付けによって)、導体末端部を有する。ケーブルのサイドバンドに対応する、導電経路の導体パッド又は他の末端部は、13019a、13019b、13019c、13019dで標示され、それらは、その順序で、終端構成要素13020の上から下へ配置される(しかしながら、高速導体に関連する他の導体パッドは、第1末端部13020a上のサイドバンド導体パッドの、上方及び下方に存在する)。サイドバンド導体パッド13019a〜dに関する導電経路は、図では概略的にのみ示されるが、必要に応じて、構成要素13020のビア及び/又は他のパターン層を利用して、導体パッド13019aを、構成要素の第2末端部13020b上の導体パッド13021aに接続し、導体パッド13019bを、構成要素の第2末端部13020b上の導体パッド13021bに接続し、導体パッド13019cを、構成要素の第2末端部13020b上の導体パッド13021cに接続し、導体パッド13019dを、構成要素の第2末端部13020b上の導体パッド13021dに接続する。この方式で、終端構成要素上の導電経路は、導体セット13004bからの低速信号を、終端構成要素の一方の末端部13020a上の1つの配置(a−b−c−d)から、構成要素の反対側の末端部13020b上の異なる配置(d−a−c−b)へ経路変更するように構成される。
【0261】
図34bは、代替的ケーブルアセンブリ13001bの平面図を示し、同じ部分又は同様の部分を特定するために、同様の参照番号を使用する。
図34bでは、ケーブル13002は、マス終端され、
図34aの終端構成要素13020に設計が類似する、終端構成要素13022に接続される。構成要素13020と同様に、構成要素13022は、ケーブル13102のサイドバンドに対応する、導電経路の導体パッド又は他の末端部を含み、導体パッドは、13023a、13023b、13023c、13023dで標示され、それらは、その順序で、終端構成要素13022の上から下へ配置される(しかしながら、ケーブルの高速導体に関連する他の導体パッドは、構成要素13022の第1末端部13022a上のサイドバンド導体パッドの、上方及び下方に存在する)。サイドバンド導体パッド13023a〜dに関する導電経路は、同様に、図では概略的にのみ示される。それらの導電経路は、必要に応じて、構成要素13022のビア及び/又は他のパターン層を利用して、導体パッド13023aを、構成要素の第2末端部13022b上の導体パッド13025aに接続し、導体パッド13023bを、構成要素の第2末端部13022b上の導体パッド13025bに接続し、導体パッド13023cを、構成要素の第2末端部13022b上の導体パッド13025cに接続し、導体パッド13023dを、構成要素の第2末端部13022b上の導体パッド13025dに接続する。この方式で、終端構成要素上の導電経路は、導体セット3004bからの低速信号を、終端構成要素の一方の末端部13022a上の1つの配置(a−b−c−d)から、構成要素の反対側の末端部13022b上の異なる配置(a−c−b−d)へ経路変更するように構成される。
【0262】
図34a及び
図34bのケーブルアセンブリは、双方の場合とも、終端構成要素が、低速信号に関する導体経路を、他の低速信号に関する他の導体経路には交差させるが、高速信号に関するいずれの導体経路にも交差させずに、物理的に経路変更する点で、互いに類似している。この点に関して、高品質の高速信号を維持するためには、低速信号を高速信号経路に交差させて経路指定することは、通常、望ましくない。一部の状況では、しかしながら、適切な遮蔽(例えば、多層の回路基板、及び適切な遮蔽層)を使用して、このことを、
図34cに示すように、高速信号経路内の限定的な信号劣化を伴って、達成することができる。その場合、マス終端された遮蔽電気ケーブル13102が、終端構成要素13120に接続する。ケーブル13102は、例えば、twinaxペアの形態の、高速データ通信に適合する、導体セット13104aを含む。ケーブル13102はまた、低速データ及び/又は電力伝送に適合する導体セット13104b(conductor set 13004b)を含む、サイドバンドも含み、導体セット13104bは、この実施形態では、1つの絶縁導体を有する。ケーブル13102がマス終端された後、様々な導体セットの導体は、終端構成要素13120上の導電経路の対応する末端部(例えば、導体パッド)に、その構成要素の第1末端部13120aで接続される(例えば、はんだ付けによって)、導体末端部を有する。ケーブルのサイドバンドに対応する、導電経路の導体パッド又は他の末端部は、13119aで標示され、その導体パッド又は末端部は、導体セット13104aの中央の1つに関する導体パッドの直上(
図34cの視点から)に、配置される。サイドバンド導体パッド13119aに関する導電経路は、図では概略的にのみ示されるが、必要に応じて、構成要素13120のビア及び/又は他のパターン層を利用して、導体パッド13119aを、構成要素の第2末端部13120b上の導体パッド13121aに接続する。この方式で、終端構成要素上の導電経路は、導体セット13104bからの低速信号を、終端構成要素の一方の末端部13120a上の1つの配置(導体セット13104aの中央の1つの直上)から、構成要素の反対側の末端部13120b上の異なる配置(導体セット13104aの中央の1つに関する導体パッドの直下)へ経路変更するように構成される。
【0263】
図33cのケーブル12802aの一般設計を有する、混成信号ワイヤー遮蔽電気ケーブルを製作した。
図33cに示すように、このケーブルは、4つの高速twinax導体セット、及びケーブルの中央に配置される1つの低速導体セットを含むものとした。このケーブルは、twinax導体セット内の高速信号ワイヤー用の、30ゲージ(AWG)銀メッキワイヤー、及び低速導体セット内の低速信号用の、30ゲージ(AWG)スズメッキワイヤーを使用して、作製した。高速ワイヤーに使用する絶縁体の外径(OD)は、約0.028インチ(0.071cm)とし、低速ワイヤーに使用する絶縁体のODは、約0.022インチ(0.056cm)とした。ドレインワイヤーもまた、
図33cに示すように、ケーブルの各縁部に沿って含めた。このケーブルをマスストリッピングして、個々のワイヤーを、ミニ−SAS互換パドルカード上の、対応する接点にはんだ付けした。この実施形態では、パドルカード上の全ての導電経路を、互いに交差させることなく、パドルカードのケーブル末端部から、反対側の(コネクタ)末端部へ経路指定したことにより、導体パッドの構成は、パドルカードの両末端部上で同じものであった。得られた終端ケーブルアセンブリの写真を、
図34dに示す。
【0264】
ここで
図35a及び
図35bを参照すると、それぞれの斜視図及び断面図は、本発明の例示低実施形態による、ケーブル構成体を示す。全般的には、電気リボンケーブル20102は、1つ以上の導体セット20104を含む。各導体セット20104は、ケーブル20102の長さに沿って末端部から末端部まで延在する、2つ以上の導体(例えば、ワイヤー)20106を含む。各導体20106は、ケーブルの長さに沿って、第1誘電体20108によって取り囲まれる。導体20106は、ケーブル20102の末端部から末端部まで延在し、かつケーブル20102の対向する側に配置される第1フィルム20110及び第2フィルム20112に付着される。一貫した間隔20114が、各導体セット20104の導体106の第1誘電体20108の間に、ケーブル21102の長さに沿って維持される。第2誘電体20116が、間隔20114の内部に配置される。誘電体20116は、空気のギャップ/ボイド、及び/又は何らかの他の材料を含み得る。
【0265】
導体セット20104の部材間の間隔20114は、ケーブル20102が、終端の容易性及び終端の信号保全性の改善と共に、標準的な巻き付け二芯同軸ケーブルと同等以上の電気的特性を有するように、十分に一貫したものにすることができる。フィルム20110、20112は、金属箔などの遮蔽材料を含み得、フィルム20110、20112は、導体セット20104を実質的に包囲するように、適合可能に成形することができる。図示の実施例では、フィルム20110、20112は、一体に挟み込まれて、導体セット20104の外側かつ/又は導体セット20104の間で、ケーブル20102に沿って縦方向に延在する、平坦部分20118を形成する。平坦部分20118(flat portions 29118)内では、フィルム20110、20112は、導体セット20104を実質的に包囲し、例えば、フィルム20110、20112の小さい層(例えば、絶縁体及び/又は接着剤の)が互いに結合する場所を除いて、導体セット20104の外辺部を包囲する。例えば、遮蔽フィルムのカバー部分は、任意の所定の導体セットの外辺部の、少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%を、全体として取り囲むことができる。フィルム20110、20112は、ここでは(及び本明細書の他の部分では)、別個のフィルム片として示し得るが、当業者には、フィルム20110、20112は、あるいは、単一シートのフィルムから形成して、例えば、導体セット20104を取り囲むように、長手方向の経路/線の周りで折り曲げることができる点が理解されるであろう。
【0266】
ケーブル20102はまた、1つ以上のドレインワイヤー20120などの、追加的機構も含み得る。ドレインワイヤー20120は、ケーブル20102の長さに沿って、連続的に、又は離散的な場所で、遮蔽フィルム20110、20112と、電気的に結合することができる。全般的には、ドレインワイヤー20120(drain wire 20102)は、遮蔽材料を電気的に終端する(例えば、接地する)ための、ケーブルの一方の末端部又は両末端部での簡便なアクセスを提供する。ドレインワイヤー20120はまた、例えばフィルム20110、20112の双方が、遮蔽材料を含む場合に、フィルム20110、20112の間に、ある程度のレベルのDC結合を提供するように、構成することもできる。
【0267】
ここで
図35a〜eを参照すると、断面図は、様々な代替のケーブル構成体の配置を示し、同様の参照番号を使用して、他の図と類似する構成要素を指示することができる。
図35cでは、ケーブル20202は、
図35a及び
図35bに示すような同様の構成体のものとすることができるが、しかしながら、一方のフィルム20110のみが、導体セットの周りに適合可能に成形されて、挟まれた/平坦部分20204を形成する。他方のフィルム20112は、ケーブル20202の一方の面上で、実質的に平面的である。ケーブル20202(並びに、
図35dのケーブル20212、及び
図35eのケーブル20222)は、ギャップ20114内の空気を、第1誘電体20108の間の第2誘電体として使用し、それゆえ、近接する第1誘電体20108の最接近点間には、明示的な第2誘電材料20116は示されない。更には、これらの代替の配置では、ドレインワイヤーが示されないが、本明細書の他の部分で論じられるようなドレインワイヤーを含むように、適合させることができる。
【0268】
図35d及び
図35eでは、ケーブル配置20212及びケーブル配置20222は、前述のものと同様の構成体のものとすることができるが、ここでは、双方のフィルムが、ケーブル20212、20222の外側表面に沿って、実質的に平面的であるように構成される。ケーブル20212内では、ボイド/ギャップ20214が、導体セット20104の間に存在する。ここで示すように、これらのギャップ20214は、セット20104の部材間のギャップ114よりも大きいが、このケーブル構成は、そのように限定される必要はない。ギャップ20214に加えて、
図35eのケーブル20222は、導体セット20104の間のギャップ20214内、及び/又は導体セット20104の外側(例えば、導体セット20104とケーブルの長手方向縁部との間)に配置される、支持体/スペーサー20224を含む。
【0269】
支持体20224は、フィルム20110、20112に固定的に取り付けられ(例えば、結合され)、ケーブル20222の構造的剛直性を提供し、かつ/又は電気的特性を調整することを、補助することができる。支持体20224は、ケーブル20222の機械的特性及び電気的特性を、必要に応じて調整するための、誘電材料、絶縁材料、及び/又は遮蔽材料の、任意の組み合わせを含み得る。支持体20224は、ここでは、断面が円形として示されるが、卵形及び矩形などの、代替の断面形状を有するように構成される。支持体20224は、別個に形成して、ケーブルの構築中に、導体セット104と共に封入することができる。他の変型では、支持体20224を、フィルム110、112の一部として形成し、かつ/又は液体の形態で(例えば、ホットメルト)ケーブル20222と共に組み立てることができる。
【0270】
上述のケーブル構成体20102、20202、20212、20222は、図示されない他の特徴を含み得る。例えば、信号ワイヤー、ドレインワイヤー、及び接地ワイヤーに加えて、ケーブルは、サイドバンドと称される場合がある、1つ以上の追加的な隔離されたワイヤーを含み得る。サイドバンドを使用して、電力、又は任意の他の関心対象の信号を伝送することができる。サイドバンドワイヤー(並びにドレインワイヤー)は、フィルム110、20112の内部に包み込むことができ、かつ/又は、例えば、フィルムと追加的な材料の層との間に挟み込んで、フィルム20110、20112の外側に配置することができる。
【0271】
上述の変型は、得られるケーブルの、所望のコスト、信号保全性、及び機械的特性に基づく、材料並びに物理的構成の様々な組み合わせを、利用することができる。1つの検討事項は、導体セット20104の間のギャップ20114内に位置する、第2誘電材料20116の選択である。この第2誘電体は、導体セットが、差動ペアを含む場合、1つが接地で1つが信号である場合、かつ/又は2つの干渉信号を搬送する場合には、特に関心の対象となり得る。例えば、第2誘電体としての空気ギャップ20114の使用は、低誘電率及び低損失をもたらし得る。空気ギャップ20114の使用はまた、低コスト、低重量、及びケーブルの可撓性の増大などの、他の有利点も有し得る。しかしながら、空気ギャップ20114を形成する、導体の一貫した間隔を、ケーブルの長さに沿って確保するためには、正確な加工処理を必要とし得る。
【0272】
ここで
図35fを参照すると、導体セット104の断面図は、導体20106の間の一貫した誘電率を維持する際の、関心対象のパラメータを特定する。全般的には、導体セット20104の誘電率は、ここで寸法20300によって表される、セット20104の近接する導体間の、最接近点間の誘電材料に敏感であり得る。それゆえ、一貫した誘電率は、誘電体20108の一貫した厚さ20302、及びギャップ20114(このギャップは、空気ギャップとするか、又は
図35aに示す誘電体20116などの、別の誘電材料で充填することもできる)の一貫したサイズを維持することによって、維持することができる。
【0273】
ケーブルの長さに沿って、一貫した電気的特性を確保するために、導体20106及び導電性フィルム20110、20112の双方の、コーティングの幾何学形状を、厳密に制御することが望ましい場合がある。ワイヤーのコーティングに関しては、このことは、導体20106(例えば、単線)を、均一な厚さの絶縁/誘電材料20108で正確にコーティングすること、及び導体20106を、確実に、コーティング20108内部で十分に中心に配置することを伴い得る。コーティング20108の厚さは、ケーブルに関して所望される具体的な特性に応じて、増大又は減少させることができる。一部の状況では、コーティングを有さない導体が、最適な特性(例えば、誘電率、より容易な終端、及び幾何学形状の制御)を提供し得るが、一部の用途に関しては、業界標準は、最低限の厚さの一次絶縁を使用することを要求する。コーティング20108はまた、裸線よりも良好に、誘電基板材料20110に結合することが可能であり得るため、有益であり得る。それにもかかわらず、上述の様々な実施形態はまた、絶縁体の厚さを有さない構成体も含み得る。
【0274】
誘電体20108は、ケーブルの組み立てに使用されるものとは異なるプロセス/機械装置を使用して、導体20106の上に形成/コーティングすることができる。結果として、最終的なケーブルの組み立ての間、ギャップ20114のサイズの変化(例えば、近接する誘電体20108の間の、最接近点)に対する厳密な制御が、一定の誘電率を確実に維持するための主要な関心事項となり得る。使用される組み立てプロセス及び装置に応じて、導体20106の間の中心線距離304(例えば、ピッチ)を制御することによって、同様の結果を得ることができる。この一貫性は、導体106の外径寸法20306、並びに周囲全体の誘電体の厚さ20302の一貫性(例えば、誘電体20108内部での導体20106の同心性)を、どの程度厳密に維持することができるかに応じて、変化し得る。しかしながら、誘電効果は、導体20106が最近接する区域で最も強いため、厚さ20302を、少なくとも、隣接する誘電体20108が最近接する区域の付近で、制御することができる場合には、ギャップのサイズ20114の制御に重点を置くことによって、最終的な組み立ての間に、一貫した結果を得ることができる。
【0275】
構成体の信号保全性(例えば、インピーダンス及びスキュー)は、信号導体20106の、互いに対する定置の精度/一貫性ばかりではなく、接地平面に対する導体106の定置の精度に応じても、変化し得る。
図35fに示すように、フィルム20110及びフィルム20112は、それぞれの遮蔽層20308及び誘電層20310を含む。遮蔽層20308は、この場合、接地平面として機能し得るため、ケーブルの長さに沿った、寸法20312の厳密な制御が、有利であり得る。この実施例では、寸法20312は、頂部フィルム20110及び底部フィルム20112の双方に関して、同一に示されるが、これらの距離は、一部の配置では、非対称とすることが可能である(例えば、フィルム20110、20112の、異なる誘電体20310の厚さ/誘電率の使用、又はフィルム20110、20112の一方は、誘電層20310を有さない)。
【0276】
図35fに示すようなケーブルを製造する際の1つの課題は、絶縁導体20106、20108を、導電性フィルム20110、20112に取り付ける際、距離20312(及び/又は等価の、導体から接地平面までの距離)を厳密に制御することであり得る。ここで
図35g及び
図35hを参照すると、ブロック図は、本発明の実施形態による、導体から接地平面までの一貫した距離を、製造の間に維持し得る方法の、実施例を示す。この実施例では、フィルム(例として、フィルム20112として示す)は、前述のような遮蔽層20308及び誘電層20310を含む。
【0277】
導体から接地平面までの一貫した距離(例えば、
図35hに示す距離20312)を確保することに役立てるため、フィルム20112は、基底部(例えば、層20308及び層20310)として、多層コーティングフィルムを使用する。既知の制御された厚さの、変形可能材料20320(例えば、ホットメルト接着剤)を、変形性の少ないフィルム基底部20308、20310上に定置する。絶縁ワイヤー20106、20108を、表面内に押圧すると、変形可能材料20320が変形して、最終的に、ワイヤー20106、20108は、
図35hに示すように、変形可能材料20320の厚さによって制御される深さまで、押し下げられる。材料20320、20310、20308の一例は、ポリエステルの裏打ち20308又はポリエステルの裏打ち20310上に定置される、ホットメルト20320を含み得、層20308、20310の他方が、遮蔽材料を含む、あるいは、又はこのことに加えて、器具の機構が、絶縁ワイヤー20106、20108を、制御された深さで、フィルム20112内に押圧することができる。
【0278】
上述の一部の実施形態では、空気ギャップ20114が、絶縁導体20106、20108の間に、導体の中央平面で存在する。このことは、多くの最終用途で有用であり、差動ペア線路の間、接地線路と信号線路との間(GS)、及び/又は加害信号線路と被害信号線路との間を含み得る。接地導体と信号導体との間の空気ギャップ20114は、差動線路に関して説明されるものと同様の利益、例えば、より薄い構成体、及びより低い誘電率を呈し得る。差動ペアの2つのワイヤーに関しては、空気ギャップ20114は、ワイヤーを隔てることができ、このことにより、ギャップが存在しない場合よりも、より小さい結合が提供され、またそれゆえ、より薄い構成体が提供される(より大きい可撓性、より低いコスト、及びより少ないクロストークが提供される)。同様に、差動ペア導体間に、それらの間のこの最も近い到達線で存在する、高電場のために、この場所でのより低い静電容量は、構成体の実効誘電率に寄与する。
【0279】
ここで36aを参照すると、グラフ20400は、本発明の実施形態による構成体の分析を示す。
図36bでは、ブロック図は、
図36aを論じる際に言及される、本発明の実施例による導体セットの幾何学的特徴を含む。全般的には、グラフ20400は、異なるケーブルピッチ20304、絶縁体/誘電体の厚さ20302、及びケーブルの厚さ20402(後者は、外側遮蔽層20308の厚さを除外することができる)に関して得られる、異なる誘電率を示す。この分析は、26AWG差動ペア導体セット20104、100オームのインピーダンス、並びに絶縁体/誘電体20108及び誘電層20310に使用される固体ポリオレフィンを想定する。点20404及び点20406は、それぞれ56ミル及び40ミル(1.02mm)の厚さの20302での、8ミル(0.20mm)の厚さの絶縁体に関する結果である。点20408及び点20410は、それぞれ48ミル及び38ミル(0.97mm)の厚さの20302での、1ミル(0.025mm)の厚さの絶縁体に関する結果である。点20412は、42ミル(1.07mm)の厚さの20302での、4.5ミル(0.11mm)の厚さの絶縁体に関する結果である。
【0280】
グラフ20400に示すように、ワイヤーの周りのより薄い絶縁体は、実効誘電率を低下させる傾向がある。絶縁体が極めて薄い場合には、ワイヤー間の高電場のために、より緊密なピッチは、誘電率を低減させる傾向があり得る。絶縁体が厚い場合には、しかしながら、より大きいピッチは、より多くの空気をワイヤーの周りに提供し、実効誘電率を低下させる。互いに干渉し得る2つの信号線路に関しては、この空気ギャップは、それらの信号線路間の容量性クロストークを制限するための有効な機構である。空気ギャップが十分である場合には、接地ワイヤーは、信号線路間には必要ではない場合があり、このことは、コストの節減をもたらす。
【0281】
グラフ20400に示される誘電損失及び誘電率は、絶縁導体間の空気ギャップの組み込みによって、低減することができる。グラフ400は、これらのギャップによる低減が、ワイヤーの周りに発泡絶縁体を使用する従来の構成体で達成し得る低減と同程度(例えば、ポリオレフィン材料に関しては、1.6〜1.8)であることを明らかにする。発泡一次絶縁体20108はまた、本明細書で説明される構成体と共に使用して、更に低い誘電率及び低い誘電損失を提供することもできる。同様に、裏打ち誘電体20310も、部分的に、又は完全に発泡成形することができる。
【0282】
発泡成形の代わりに、特別設計される空気ギャップ20114を使用することの潜在的利益は、発泡成形は、導体20106に沿って、又は異なる導体20106の間で、一貫性のないものとなり、誘電率の偏差、並びにスキュー及びインピーダンス変化を増大させる伝搬遅延を招く恐れがあることである。固体絶縁20108及び正確なギャップ20114を使用して、実効誘電率をより容易に制御し、同様に、インピーダンス、スキュー、減衰損失、挿入損失などを含めた、電気的性能の一貫性をもたらすことができる。
【0283】
図36g〜37eの断面図は、様々な遮蔽電気ケーブル、又はケーブルの諸部分を表し得る。
図36gを参照すると、遮蔽電気ケーブル21402cは、誘電体ギャップ20114cによって隔てられた2つの絶縁導体21406cを有する、単一の導体セット21404cを有する。所望の場合、ケーブル21402cは、ケーブル21402cの幅にわたって離間し、かつケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット21404cを含むように、作製することができる。絶縁導体21406cは、概して単一平面内に、かつtwinax構成で有効に配置される。
図36gのtwinaxケーブル構成は、差動ペア回路構成内で、又はシングルエンド回路構成内で使用することができる。
【0284】
2つの遮蔽フィルム21408cが、導体セット21404cの対向する側に配置される。ケーブル21402cは、カバー領域21414c及び挟まれた領域21418cを含む。ケーブル21402c(cable 20102c)のカバー領域21414cでは、遮蔽フィルム21408cは、導体セット21404cを被覆するカバー部分21407cを含む。横断面において、カバー部分21407cが組み合わされて、導体セット21404cを実質的に包囲する。ケーブル21402cの挟まれた領域21418cでは、遮蔽フィルム21408cは、導体セット21404cの両側上に、挟まれた部分21409cを含む。
【0285】
任意選択的な接着剤層21410cを、遮蔽フィルム21408cの間に配置することができる。遮蔽電気ケーブル21402cは、接地ワイヤー又はドレインワイヤーを含み得る、接地導体21412と同様の、任意選択的な接地導体21412cを更に含む。接地導体21412cは、絶縁導体21406cから離間し、絶縁導体21406cと実質的に同じ方向に延在する。導体セット21404c及び接地導体21412cは、概して一平面内に位置するように配置することができる。
【0286】
図36gの断面図に示すように、遮蔽フィルム21408cのカバー部分21407cの間に、最大離隔距離Dが存在し、遮蔽フィルム21408cの挟まれた部分21409cの間に、最小離隔距離d1が存在し、絶縁導体21406cの間の遮蔽フィルム21408cの間に、最小離隔距離d2が存在する。
【0287】
図36gでは、接着剤層21410cは、ケーブル21402c(cable 20102c)の挟まれた領域21418c内の、遮蔽フィルム21408cの挟まれた部分21409cの間に配置され、また、ケーブル21402cのカバー領域21414c内の、遮蔽フィルム21408cのカバー部分21407cと絶縁導体21406cとの間に配置されて示される。この配置では、接着剤層21410cは、ケーブル21402cの挟まれた領域21418c内で、遮蔽フィルム21408cの挟まれた部分21409cを一体に結合し、同様にケーブル21402cのカバー領域21414c内で、遮蔽フィルム21408cのカバー部分21407cを絶縁導体21406cに結合する。
【0288】
図36hの遮蔽ケーブル21402dは、
図36gのケーブル21402cと類似しており、同様の要素は、同様の参照番号によって特定されるが、ただしケーブル21402d内では、任意選択的な接着剤層21410dが、ケーブルのカバー領域21414内の、遮蔽フィルム21408cのカバー部分21407cと絶縁導体21406cとの間には存在しない。この配置では、接着剤層21410dは、ケーブルの挟まれた領域21418c内で、遮蔽フィルム21408cの挟まれた部分21409cを一体に結合するが、ケーブル21402dのカバー領域21414c内では、遮蔽フィルム21408cのカバー部分21407cを絶縁導体1406cに結合しない。
【0289】
ここで
図37aを参照すると、
図36gの遮蔽電気ケーブル21402cと多くの点で類似する、遮蔽電気ケーブル21402eの横断面図が示される。ケーブル21402eは、ケーブル21402eの長さに沿って延在する、誘電体ギャップ20114eによって隔てられた2つの絶縁導体21406eを有する、単一の導体セット21404eを含む。ケーブル21402eは、ケーブル21402eの幅にわたって互いに離間し、かつケーブル21402eの長さに沿って延在する、複数の導体セット21404eを有するように、作製することができる。絶縁導体21406eは、ツイストペアケーブルの配置で、有効に配置されることにより、絶縁導体21406eは、互いに撚り合わされて、ケーブル21402eの長さに沿って延在する。
【0290】
図37bでは、同様に
図36gの遮蔽電気ケーブル21402cと多くの点で類似する、別の遮蔽電気ケーブル21402fを示す。ケーブル21402fは、ケーブル21402fの長さに沿って延在する4つの絶縁導体21406fを有する、単一の導体セット21404fを含み、対向する導体は、ギャップ20114fによって隔てられる。ケーブル21402fは、ケーブル21402fの幅にわたって互いに離間し、かつケーブル21402fの長さに沿って延在する、複数の導体セット21404fを有するように、作製することができる。絶縁導体1406fは、カッドケーブルの配置で、有効に配置されることにより、絶縁導体1406fがケーブル21402fの長さに沿って延在する際に、絶縁導体21406fは、互いに撚り合わされる場合があり、又は撚り合わされない場合もある。
【0291】
遮蔽電気ケーブルの更なる実施形態は、概して単一平面内に配置される、複数の離間した導体セット21404、21404e、若しくは導体セット21404f、又はこれらの組み合わせを含み得る。所望により、遮蔽電気ケーブルは、導体セットの絶縁導体から離間し、かつ導体セットの絶縁導体と概して同じ方向に延在する、複数の接地導体21412を含み得る。一部の構成では、導体セット及び接地導体は、概して単一平面内に配置することができる。
図37cは、そのような遮蔽電気ケーブルの例示的実施形態を示す。
【0292】
図37cを参照すると、遮蔽電気ケーブル21402g(shielded electrical cable 20102g)は、概して面内に配置される、複数の離間した導体セット21404、21404gを含む。導体セット21404gは、単一の絶縁導体を含むが、他の方法で、導体セット21404と同様に形成することができる。遮蔽電気ケーブル21402gは、導体セット21404、21404gの間、及び遮蔽電気ケーブル21402gの両側、すなわち両縁部に配置される、任意選択的な接地導体21412を更に含む。
【0293】
第1及び第2の遮蔽フィルム21408が、ケーブル21402gの対向する側に配置され、横断面において、ケーブル21402gが、カバー領域21424及び挟まれた領域21428を含むように、配置される。ケーブルのカバー領域21424内では、第1及び第2の遮蔽フィルム21408のカバー部分21417が、横断面において、各導体セット21404、21404gを実質的に包囲する。第1及び第2の遮蔽フィルム21408の挟まれた部分21419は、各導体セット21404gの両側上に、挟まれた領域21428を形成する。
【0294】
遮蔽フィルム21408が、接地導体21412の周りに配置される。任意選択的な接着剤層21410が、遮蔽フィルム21408の間に配置され、各導体セット21404、21404cの両側上の挟まれた領域21428内で、遮蔽フィルム21408の挟まれた部分21419を互いに結合する。遮蔽電気ケーブル21402gは、同軸ケーブル配置(導体セット21404g)とtwinaxケーブル配置(導体セット21404)との組み合わせを含み、それゆえ、ハイブリッドケーブル配置と称することができる。
【0295】
1つ、2つ、又はそれよりも多くの遮蔽電気ケーブルを、プリント回路基板、パドルカードなどのような、終端構成要素に終端することができる。絶縁導体及び接地導体は、概して単一平面内に配置することができるため、開示される遮蔽電気ケーブルは、マスストリッピング、すなわち、絶縁導体からの遮蔽フィルム及び絶縁体の同時ストリッピング、並びにマス終端、すなわち、絶縁導体及び接地導体のストリッピングされた末端部の同時終端に関して、良好に適しており、このことが、より自動化されたケーブル組み立てプロセスを可能にする。このことは、少なくとも一部の開示される遮蔽電気ケーブルの、有利点である。例えば、絶縁導体及び接地導体のストリッピングされた末端部は、例えばプリント回路基板上の導電経路又は他の要素に接触するように、終端することができる。他の場合には、絶縁導体及び接地導体のストリッピングされた末端部は、例えば電気コネクタの電気接点などの、任意の好適な終端デバイスの任意の好適な個々の接点要素に終端することができる。
【0296】
図38a〜38dでは、プリント回路基板又は他の終端構成要素21514への、遮蔽電気ケーブル21502の例示的な終端プロセスを示す。この終端プロセスは、マス終端プロセスとすることができ、ストリッピングの工程(
図38a及び38bに示す)、位置合わせの工程(
図38cに示す)、及び終端の工程(
図38dに示す)を含む。本明細書で示し、かつ/又は説明される、いずれかのケーブルの形態を全般的に呈し得る、遮蔽電気ケーブル21502を形成する場合、遮蔽電気ケーブル21502の、導体セット21504、21504a(誘電体ギャップを有する)、絶縁導体21506、及び接地導体21512の配置は、プリント回路基板21514上の接点要素21516の配置に一致させることができ、このことにより、位置合わせ又は終端の間の、遮蔽電気ケーブル21502の末端部分のいずれの顕著な用手操作も排除される。
【0297】
図38aに示す工程では、遮蔽フィルム21508の末端部分21508aを除去する。任意の好適な方法、例えば、機械的ストリッピング又はレーザーストリッピングなどを使用することができる。この工程は、絶縁導体21506及び接地導体21512の末端部分を露出させる。一態様では、遮蔽フィルム21508の末端部分21508aのマスストリッピングが可能であるのは、遮蔽フィルム21508が、絶縁導体21506の絶縁体から分離する、一体的に連結された層を形成するためである。絶縁導体21506から遮蔽フィルム21508を除去することにより、これらの場所での電気的短絡に対する防護が可能になり、また絶縁導体1506及び接地導体21512の露出した末端部分の、独立した動きも提供される。
図38bに示す工程では、絶縁導体21506の絶縁体の末端部分21506aを除去する。任意の好適な方法、例えば、機械的ストリッピング又はレーザーストリッピングなどを使用することができる。この工程は、絶縁導体21506の導体の末端部分を露出させる。
図38cに示す工程では、遮蔽電気ケーブル21502の、絶縁導体21506の導体の末端部分、及び接地導体21512の末端部分が、プリント回路基板21514上の接点要素21516と位置合わせされるように、遮蔽電気ケーブル21502を、プリント回路基板21514と位置合わせする。
図38dに示す工程では、遮蔽電気ケーブル21502の、絶縁導体21506の導体の末端部分、及び接地導体21512の末端部分を、プリント回路基板21514上の接点要素21516に終端する。使用することができる好適な終端方法の例としては、例えば、はんだ付け、溶接、圧着、機械的圧締め、及び接着結合などが挙げられる。
【0298】
図39a〜39cは、遮蔽電気ケーブル内の接地導体の定置の実施例を示す、3つの例示的な遮蔽電気ケーブルの断面図である。遮蔽電気ケーブルの一態様は、遮蔽体の適切な接地であり、そのような接地は、数多くの方式で達成することができる。一部の場合には、所定の接地導体が、少なくとも一方の遮蔽フィルムと電気的に接触することにより、所定の接地導体を接地させることはまた、その遮蔽フィルムも接地させることができる。そのような接地導体はまた、「ドレインワイヤー」と称することもできる。遮蔽フィルムと接地導体との電気的接触は、比較的低いDC抵抗、例えば、10オーム未満、又は2オーム未満、又は実質的に0オームのDC抵抗によって特徴付けることができる。一部の場合には、所定の接地導体は、遮蔽フィルムと電気的に接触し得ないが、例えば、プリント回路基板、パドル基板、又は他のデバイスの、導電経路若しくは他の接点要素などの、任意の好適な終端構成要素の任意の好適な個々の接点要素に、独立して終端される、ケーブル構成体内の個別要素とすることができる。そのような接地導体はまた、「接地ワイヤー」と称することもできる。
図39aは、接地導体が、遮蔽フィルムの外部に位置する、例示的な遮蔽電気ケーブルを示す。
図39b及び
図39cは、接地導体が、遮蔽フィルム間に位置し、また導体セット内に含まれ得る、実施形態を示す。1つ以上の接地導体は、遮蔽フィルムの外部、遮蔽フィルム間、又は双方の組み合わせの、任意の好適な位置に定置することができる。
【0299】
図39aを参照すると、遮蔽電気ケーブル21602aは、ケーブル21602aの長さに沿って延在する、単一の導体セット21604aを含む。導体セット21604aは、2つの絶縁導体21606、すなわち、誘電体ギャップ21630によって隔てられる一対の絶縁導体を有する。ケーブル21602aは、ケーブルの幅にわたって互いに離間し、かつケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット21604aを有するように作製することができる。ケーブルの対向する側に配置される2つの遮蔽フィルム21608aは、カバー部分21607aを含む。横断面において、カバー部分21607aが組み合わされて、導体セット21604aを実質的に包囲する。任意選択的な接着剤層21610aが、遮蔽フィルム21608aの挟まれた部分21609aの間に配置され、導体セット21604aの両側上で、遮蔽フィルム21608aを互いに結合する。絶縁導体21606は、概して単一平面内に、かつtwinaxケーブル構成で有効に配置され、このtwinaxケーブル構成は、シングルエンド回路構成又は差動ペア回路構成内で使用することができる。遮蔽電気ケーブル21602aは、遮蔽フィルム21608aの外部に位置する、複数の接地導体21612を更に含む。接地導体21612は、導体セット21604aの上に、導体セット21604aの下に、及び導体セット21604aの両側上に定置される。所望により、ケーブル21602aは、遮蔽フィルム21608a及び接地導体21612を包囲する、保護フィルム21620を含む。保護フィルム21620は、保護層21621、並びに保護層21621を遮蔽フィルム21608a及び接地導体21612に結合する接着剤層21622を含む。あるいは、遮蔽フィルム21608a及び接地導体21612は、例えば導電性編組などの外側導電性遮蔽体、及び外側絶縁ジャケット(図示せず)によって、包囲することができる。
【0300】
図39bを参照すると、遮蔽電気ケーブル21602bは、ケーブル21602bの長さに沿って延在する、単一の導体セット21604bを含む。導体セット21604bは、2つの絶縁導体21606、すなわち、誘電体ギャップ21630によって隔てられる一対の絶縁導体を有する。ケーブル21602bは、ケーブルの幅にわたって互いに離間し、かつケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット21604bを有するように作製することができる。2つの遮蔽フィルム21608bが、ケーブル21602bの対向する側に配置され、カバー部分21607bを含む。横断面において、カバー部分21607bが組み合わされて、導体セット21604bを実質的に包囲する。任意選択的な接着剤層21610bが、遮蔽フィルム21608bの挟まれた部分21609bの間に配置され、導体セットの両側上で、遮蔽フィルムを互いに結合する。絶縁導体21606は、概して単一平面内に、かつ二芯同軸又は差動ペアケーブル配置で有効に、配置される。遮蔽電気ケーブル21602bは、遮蔽フィルムv1608bの間に位置する、複数の接地導体21612を更に含む。接地導体21612のうちの2つは、導体セット21604b内に含まれ、接地導体21612のうちの2つは、導体セット21604bから間隔を置いて配置されている。
【0301】
図39cを参照すると、遮蔽電気ケーブル21602cは、ケーブル21602cの長さに沿って延在する、単一の導体セット21604cを含む。導体セット21604cは、2つの絶縁導体21606、すなわち、誘電体ギャップ21630によって隔てられる一対の絶縁導体を有する。ケーブル21602cは、ケーブルの幅にわたって互いに離間し、かつケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット21604cを有するように作製することができる。2つの遮蔽フィルム21608cが、ケーブル21602cの対向する側に配置され、カバー部分21607cを含む。横断面において、カバー部分21607cが組み合わされて、導体セット21604cを実質的に包囲する。任意選択的な接着剤層21610cが、遮蔽フィルム21608cの挟まれた部分21609cの間に配置され、導体セット21604cの両側上で、遮蔽フィルム21608cを互いに結合する。絶縁導体21606は、概して単一平面内に、かつ二芯同軸又は差動ペアケーブル配置で有効に、配置される。遮蔽電気ケーブル21602cは、遮蔽フィルム21608cの間に位置する、複数の接地導体21612を更に含む。全ての接地導体21612は、導体セット21604c内に含まれる。接地導体21612のうちの2つ、及び絶縁導体21606は、概して単一平面内に配置される。
【0302】
図36cでは、コネクタセット20904内に2つの絶縁導体を含む、例示的な遮蔽電気ケーブル20902を、横断面で示し、個々に絶縁された導体20906はそれぞれ、ケーブル20902の長さに沿って延在し、誘電体/空気ギャップ20944によって隔てられる。2つの遮蔽フィルム20908が、ケーブル20902の対向する側に配置され、組み合わされて、導体セット20904を実質的に包囲する。任意選択的な接着剤層20910が、遮蔽フィルム20908の挟まれた部分20909の間に配置され、ケーブルの挟まれた領域918内の、導体セット20904の両側上で、遮蔽フィルム20908を互いに結合する。絶縁導体906は、概して単一平面内に、かつ二芯同軸ケーブル構成で有効に、配置することができる。この二芯同軸ケーブル構成は、差動ペア回路構成内、又はシングルエンド回路構成内で使用することができる。遮蔽フィルム20908は、導電層908a及び非導電性高分子層20908bを含み得るか、あるいは非導電性高分子層20908bを有さずに、導電層908aを含み得る。図では、各遮蔽フィルムの導電層20908aは、絶縁導体20906に面して示されるが、代替的実施形態では、一方又は双方の遮蔽フィルムは、逆転した配向を有し得る。
【0303】
少なくとも一方の遮蔽フィルム20908のカバー部分20907は、導体セット20904の対応する端部導体20906と実質的に同心である、同心部分20911を含む。ケーブル20902の移行領域では、遮蔽フィルム20908の移行部分20934は、遮蔽フィルム20908の同心部分20911と挟まれた部分20909との間にある。移行部分20934は、導体セット20904の両側上に位置し、そのような部分のそれぞれは、断面移行区域20394aを含む。断面移行区域934aの合計は、好ましくは、導体20906の長さに沿って実質的に同じである。例えば、断面積20934aの合計は、1mの長さにわたって、50%未満で変化し得る。
【0304】
更には、2つの断面移行区域29034aは、実質的に同じであり、かつ/又は実質的に同一とすることができる。この移行領域の構成は、例えば、1mなどの所定の長さにわたって、例えば、標的インピーダンス値の5〜10%の範囲内などの所望の範囲内に双方が留まる、各導体20906(シングルエンド)に関する特性インピーダンス、及び差動インピーダンスに寄与する。更には、この移行領域の構成は、2つの導体20906の、それらの長さの少なくとも一部分に沿ったスキューを、最小限に抑えることができる。
【0305】
ケーブルが、折り曲げられない平面構成にある場合、各遮蔽フィルムは、ケーブル20902の幅にわたって変化する曲率半径によって、横断面において特徴付けることが可能であり得る。遮蔽フィルム20908の最大曲率半径は、例えば、ケーブル20902の挟まれた部分20909で、又は
図36cに示す複数導体ケーブルセット20904のカバー部分20907の中心点付近で生じ得る。これらの位置では、フィルムは、実質的に平坦とすることができ、その曲率半径は、実質的に無限とすることができる。遮蔽フィルム20908の最小曲率半径は、例えば、遮蔽フィルム20908の移行部分20934で生じ得る。一部の実施形態では、ケーブルの幅全体にわたる遮蔽フィルムの曲率半径は、少なくとも約50マイクロメートルであり、すなわち、曲率半径は、ケーブルの縁部間の、ケーブルの幅に沿ったいずれの地点でも、50マイクロメートル未満の大きさを有することがない。一部の実施形態では、移行部分を含む遮蔽フィルムに関しては、遮蔽フィルムの移行部分の曲率半径は、同様に、少なくとも約50マイクロメートルである。
【0306】
折り曲げられない平面構成では、同心部分及び移行部分を含む、遮蔽フィルムは、同心部分の曲率半径R1、及び/又は移行部分の曲率半径r1によって特徴付けることができる。これらのパラメータは、ケーブル20902に関する
図36cに示される。例示的実施形態では、R1/r1は、2〜15の範囲である。
【0307】
図36dでは、誘電体/空気ギャップ1014によって隔てられた2つの絶縁導体21006を有する、導体セットを含む、別の例示的な遮蔽電気ケーブル21002を示す。この実施形態では、遮蔽フィルム21008は、より対称的な実施形態と比較して、移行部分の位置が変化している、非対称の構成を有する。
図36dでは、遮蔽電気ケーブル21002は、絶縁導体21006の対称面から若干オフセットした平面内に位置する、遮蔽フィルム21008の挟まれた部分21009を有する。結果として、移行領域21036は、他に示す実施形態と比較して、多少オフセットした位置及び構成を有する。しかしながら、2つの移行領域21036を、対応する絶縁導体21006に関して(例えば、導体21006の間の垂直面に関して)実質的に対称に位置決めすること、及び移行領域1036の構成を、遮蔽電気ケーブル21002の長さに沿って慎重に制御することを確実にすることによって、遮蔽電気ケーブル21002は、許容可能な電気的特性を依然として提供するように、構成することができる。
【0308】
図36eでは、更なる例示的な遮蔽電気ケーブルを示す。これらの図を使用して、ケーブルの挟まれた部分が、遮蔽電気ケーブルの導体セットを電気的に分離するように構成される方式を、更に説明する。導体セットは、隣接する導体セットから、電気的に分離することができ(例えば、隣接する導体セット間のクロストークを最小限に抑えるため)、又は遮蔽電気ケーブルの外部環境から、電気的に分離することができる(例えば、遮蔽電気ケーブルから逃れる電磁放射を最小限に抑え、外部ソースからの電磁干渉を最小限に抑えるため)。双方の場合とも、挟まれた部分は、電気的分離を実現するための、様々な機械的構造を含み得る。例としては、例えば、遮蔽フィルムの至近性、遮蔽フィルム間の高誘電率材料、少なくとも一方の遮蔽フィルムと直接的若しくは間接的に電気的に接触する接地導体、隣接する導体セット間の延長された距離、隣接する導体セット間の物理的破断、遮蔽フィルムの、長手方向、横断方向のいずれか、若しくは双方での、互いの直接的な時時接触、及び導電性接着剤などが挙げられる。
【0309】
図36eは、遮蔽電気ケーブル21102を断面で示し、この遮蔽電気ケーブル21102は、ケーブル21102(cable 20102)の幅にわたって離間し、かつケーブルの長さに沿って長手方向に延在する、2つの導体セット21104a、21104bを含む。各導体セット21104a、21104bは、ギャップ21144によって隔てられる2つの絶縁導体21106a、21106bを含む。2つの遮蔽フィルム21108が、ケーブル21102の対向する側に配置される。横断面において、遮蔽フィルム21108のカバー部分21107が、ケーブル21102のカバー領域21114内で、導体セット21104a、21104bを実質的に包囲する。ケーブルの挟まれた領域21118では、導体セット21104a、21104bの両側上で、遮蔽フィルム21108は、挟まれた部分21109を含む。遮蔽電気ケーブル21102内では、ケーブル21102が、平面的かつ/又は折り曲げられない配置にある場合、遮蔽フィルム21108の挟まれた部分21109、及び絶縁導体21106は、概して単一平面内に配置される。導体セット21104a、21104bの間に位置する挟まれた部分21109は、導体セット21104a、21104bを互いに電気的に分離するように構成される。
図36eに示すように、概して平面的な、折り曲げられない配置にある場合、導体セット21104a内の第1絶縁導体21106aの、導体セット21104内aの第2絶縁導体21106bに対する高周波電気的分離は、第1導体セット21104aの、第2導体セット21104bに対する高周波電気的分離よりも、実質的に小さい。
【0310】
図36eの断面図に示すように、ケーブル21102は、遮蔽フィルム21108のカバー部分21107の間の、最大離隔距離D、遮蔽フィルム21108のカバー部分21107の間の、最小離隔距離d2、及び遮蔽フィルム21108の挟まれた部分21109の間の最小離隔距離d1によって特徴付けることができる。一部の実施形態では、d1/Dは、0.25未満、又は0.1未満である。一部の実施形態では、d2/Dは、0.33よりも大きい。
【0311】
任意選択的な接着剤層を、図示のように、遮蔽フィルム21108の挟まれた部分21109の間に含めることができる。接着剤層は、連続的とすることができ、又は不連続とすることもできる。一部の実施形態では、接着剤層は、ケーブルv1102のカバー領域21114内で、部分的に、又は完全に、例えば、遮蔽フィルム21108のカバー部分21107と、絶縁導体21106a、21106bとの間で、延在する。接着剤層は、遮蔽フィルム21108のカバー部分21107上に配置することができ、導体セット21104a、21104bの一方の側上の、遮蔽フィルム21108の挟まれた部分21109から、導体セット21104a、21104bの他方の側上の、遮蔽フィルム21108の挟まれた部分21109まで、完全に、又は部分的に延在することができる。
【0312】
遮蔽フィルム21108は、ケーブル21102の幅全体にわたる曲率半径R、及び/又は遮蔽フィルムの移行部分21112の曲率半径r1、及び/又は遮蔽フィルムの同心部分21111の曲率半径r2によって、特徴付けることができる。
【0313】
移行領域21136内では、遮蔽フィルム21108の移行部分21112は、遮蔽フィルム21108の同心部分21111と、遮蔽フィルム21108の挟まれた部分1109との間に、緩やかな移行を提供するように、配置することができる。遮蔽フィルム1108の移行部分21112は、遮蔽フィルム1108の変曲点であり、かつ同心部分21111の端部を指示する、第1移行ポイント21121から、遮蔽フィルム間の離隔距離が、既定の係数で挟まれた部分21109の最小離隔距離d1を超過する、第2移行ポイント21122まで、延在する。
【0314】
一部の実施形態では、ケーブル21102は、少なくとも約50マイクロメートルである、ケーブルの幅全体にわたる曲率半径Rを有する、少なくとも1つの遮蔽フィルムを含み、かつ/又は遮蔽フィルム21102の移行部分21112の最小曲率半径r1は、少なくとも約50マイクロメートルである。一部の実施形態では、同心部分の最小曲率半径と、移行部分の最小曲率半径との比率、r2/r1は、2〜15の範囲である。
【0315】
一部の実施形態では、ケーブルの幅全体にわたる遮蔽フィルムの曲率半径Rは、少なくとも約50マイクロメートルであり、かつ/又は遮蔽フィルムの移行部分の最小曲率半径は、少なくとも約50マイクロメートルである。
【0316】
一部の場合には、説明されるいずれの遮蔽ケーブルの挟まれた領域も、例えば、少なくとも30°の角度αで、横方向に屈曲するように構成することができる。この挟まれた領域の横方向の可撓性は、遮蔽ケーブルが、例えば、丸形ケーブル内で使用することができる構成などの、任意の好適な構成に折り曲げられることを可能にし得る。一部の場合には、挟まれた領域の横方向の可撓性は、2つ以上の比較的薄い個別層を含む遮蔽フィルムによって、可能になる。特に屈曲条件下では、これらの個別層の一体性を保証するために、それらの層の間の結合を、損なわずに維持することが好ましい。挟まれた領域3318は、例えば、約0.13mm未満の最小厚さ、及び加工処理又は使用中の熱暴露後の、少なくとも17.86g/mm(1lbs/インチ)の個別層の間の結合強度を有し得る。
【0317】
図36fでは、1つの遮蔽フィルム21308のみを有する、遮蔽電気ケーブル521302を示す。絶縁導体21306が、2つの導体セット21304内に配置され、それぞれの導体セット21304は、誘電体/ギャップ21344によって隔てられた一対の絶縁導体のみを有するが、本明細書で論じられるような、他の数の絶縁導体を有する導体セットもまた、想到される。遮蔽電気ケーブル21302は、様々な例示的な場所内に、接地導体21312を含むように示されるが、所望の場合、接地導体21312のうちのいずれか、若しくは全てを省略することができ、又は追加的な接地導体を含めることもできる。接地導体21312は、導体セット1304の絶縁導体21306と実質的に同じ方向に延在し、遮蔽フィルム21308と、遮蔽フィルムとしては機能しないキャリアフィルム21346との間に位置する。1つの接地導体21312は、遮蔽フィルム21308の挟まれた部分21309内に含まれ、3つの接地導体21312は、一方の導体セット21304内に含まれる。これらの3つの接地導体21312のうちの1つは、絶縁導体v1306と遮蔽フィルム21308との間に位置し、3つの接地導体21312のうちの2つは、導体セットの絶縁導体21306と、概して共面に配置される。
【0318】
信号ワイヤー、ドレインワイヤー、及び接地ワイヤーに加えて、開示されるケーブルのいずれもが、ユーザーによって定義される任意の目的のための、典型的には絶縁された、1つ以上の個別のワイヤーも含み得る。これらの追加的ワイヤーは、例えば、電力送信又は低速通信(例えば、1MHz未満)には適しているが、高速通信(例えば、1GHz超)には適さない場合があり、サイドバンドと総称することができる。サイドバンドワイヤーを使用して、電力信号、基準信号、又は任意の他の関心対象の信号を伝送することができる。サイドバンド内のワイヤーは、典型的には、直接的又は間接的に、互いに電気的に接触しておらず、少なくとも一部の場合には、それらのワイヤーは、互いに遮蔽されない場合がある。サイドバンドは、2つ以上、又は3つ以上、又は5つ以上などの、任意の数のワイヤーを含み得る。
【0319】
本明細書で説明される遮蔽ケーブルの構成は、信号保全性を促進し、業界標準プロトコルに対応し、かつ/あるいは導体セット及びドレインワイヤーのマス終端を可能にする、導体セット及びドレイン/接地ワイヤーへの簡略化された接続に関する機会を提供する。クロストーク(近端及び遠端)は、ケーブルアセンブル内での信号保全性に関する、重要な検討事項である。ケーブル及び終端区域内の、信号線路間の近接した間隔は、クロストークを発生させやすいが、本明細書で説明される、ケーブル及びコネクタの手法は、クロストークを低減する方法を提供する。例えば、ケーブル内のクロストークは、可能な限り完全な、導体セットを包囲する遮蔽体を形成することによって、低減することができる。クロストークは、遮蔽体間に何らかのギャップが存在し、そのギャップに、可能な限り高アスペクト比を有させる場合に、かつ/又は遮蔽体間での低インピーダンス若しくは直接的な電気的接触を使用することによって、低減される。例えば、遮蔽体を、例えば、直接接触させることができ、ドレインワイヤーを通じて接続させることができ、かつ/又は導電性接着剤を通じて接続させることができる。
【0320】
図40aは、例えば、本明細書で説明されるいずれかのケーブルとすることができる、電気ケーブル7001を含む、コネクタアセンブリ7000を示し、この電気ケーブル7001は、コネクタのハウジング7002内に配置される終端末端部7007を有する。ハウジング7002は、電気的終端7004aを、平面的な、離間した配置に保持する、チャネル7003を含む。電気的終端7004aは、例えば、スナップ嵌め、プレス嵌め、摩擦嵌め、圧着若しくは機械的圧締め、接着剤を使用する結合、又は他の方法などの、任意の好適な方法によって、ハウジング7002内に保持することができる。電気的終端7004aを保持するために使用される方法は、電気的終端7004aを、個々に、若しくはセットで取り外すことを許容することができ、又は電気的終端7004aを保持するために使用される方法は、電気的終端7004aを、ハウジング7002内部に恒久的に固定することができる。
【0321】
ケーブル7001は、ケーブル7001の幅にわたって離間し、かつケーブル7001の長さに沿って延在する、信号導体セット7005を含む。ケーブル7001は、導体セット7005から離間し、かつケーブル7001の長さに沿って延在し得る、接地ワイヤー7006を、所望により含む。この特定の実施例では、ケーブル7001は、2つの二芯同軸導体セット7005、及び3つの接地ワイヤー7006を含むが、ケーブル配置を使用することができる。例えば、ケーブルは、より多くの導体、若しくはより少ない導体を有する、導体セットを使用することができ、かつ/又はケーブルは、より多くの接地ワイヤー、若しくはより少ない接地ワイヤーを有し得る。
【0322】
各電気的終端7004aは、ケーブル7001に向けて配置される末端部、及び嵌合末端部を有する。ケーブルに向けて配置される末端部では、電気的終端7004aは、導体セット7005の導体7008、又は接地ワイヤー7006に、電気的に接続される。嵌合末端部では、各電気的終端7004aは、嵌合コネクタ(図示せず)の嵌合電気的終端と、物理的及び電気的に接触するように構成される。様々な構成では、電気的終端7004aの嵌合末端部は、ソケット、スプリングコネクタ、ピン、ブレード、又は嵌合コネクタの嵌合終端と物理的に係合して電気的に接触するように構成される、任意の他のタイプの接続とすることができる。
【0323】
導体セット7005の導体7008、及び接地ワイヤーは、存在する場合、電気的終端7004aと電気的に接触する。電気的終端7004aと、導体7008又は接地ワイヤー7006との電気的接触は、例えば、圧着接続、はんだ接続、溶接接続、プレス嵌め接続、摩擦嵌め接続、絶縁変位接続、及び/又は電気的終端7004aと、導体7008若しくは接地ワイヤー7006とを直接的に電気的に接触させる、任意の他のタイプの接続によって、達成することができる。
【0324】
図40bに示すように、一部の場合には、導体7008及び/又は接地ワイヤー7006が、コネクタ7090の電気的終端7004bを形成する。これらの場合には、電気的終端7004bは、絶縁体及び遮蔽体がストリッピングされている、導体セット7005の導体7008の裸の末端部、並びに/あるいは裸の接地ワイヤー7006を含み得る。裸の導体末端部及び/又は裸の接地ワイヤーは、嵌合コネクタの端子に係合するように成形することができる。裸の導体末端部及び/又は裸の接地ワイヤーは、スタンプ加工、折り曲げ、硬化、メッキ、及び/又は他の方法で加工処理して、嵌合終端との係合を可能にすることができる。例えば、裸の導体末端部及び/又は裸の接地ワイヤーは、嵌合コネクタの嵌合ソケットと係合する、ピンとしての役割を果たし得る。
【0325】
ハウジング7002は、例えば、成型プラスティックハウジングなどの、絶縁材料で作製することができる。ハウジング7002は、単一部品のハウジング、又は複数部品のハウジングとすることができる。例えば、複数部品のハウジングは、
図40cに示すように、ハウジング基底部7012及び蓋7011を含み得る。単一部品のハウジングは、蓋を有さない(
図40a及び
図40bに示すような)ハウジング7002、又は
図40dに示すような、一体式の蓋を有するハウジング7010を含み得る。
【0326】
図40a及び
図40bに示すように、ハウジング7002は、ケーブル7001の末端部がハウジング7002内に進入することを可能にする、U字形状開口部7021などの、開口部7021を含み得る。ハウジング7002はまた、電気端子7004a、7004bと、嵌合終端(図示せず)との係合を促進する、ハウジング7002の嵌合表面7023内の1つ以上の開口部7022も含み得る。例えば、
図40aに示すように、開口部7022は、嵌合端子ピン(図示せず)が、ハウジング内に進入して、電気端子7004aと物理的及び電気的に接触することを、可能にし得る。
図40bに示すように、開口部7022は、電気端子ピン7004bが、ハウジングから抜け出て、嵌合端子ソケット(図示せず)と係合することを、可能にし得る。
【0327】
図40eは、コネクタアセンブリ7098の横断面図である。この図では、導体7008及び接地ワイヤー7006は、接触部位7040で、絶縁変位電気的終端7009と電気的に接触する。
図40fは、コネクタアセンブリ7098の平面図を示す。この実施例では、導体7008と終端7009との接触部位7040は、列7041に位置合わせされる。
【0328】
図40gは、コネクタアセンブリ7099内の接触部位の代替配置を示す。
図40gによって提供される実施例に示すように、導体7008の接触部位は、実質的に、列7042に位置合わせされる。接地ワイヤー7006の接触部位7040bは、導体7008の接触部位7040aの列7042から、オフセットされる。あるいは、一部の導体の接触部位を、他の導体の接触部位から、オフセットさせることができる。一部の場合には、一部の接触部位のオフセット定置は、高密度用途に関する、より近接した接続間隔を可能にするために有用である。ここでは、コネクタの実装で説明されるが、この手法はまた、プリント回路基板及び/又はパドルカードへのケーブルの接続に関して使用することもでき、かつ/あるいは任意のタイプの接続、例えば、はんだ付け、溶接、圧着などに関して使用することができる。
【0329】
図41a、41b、及び
図41cに示すように、複数のコネクタアセンブリ7000(
図40aを参照)を一体に積み重ねて、コネクタ積み重ね体7100を形成することができる。
図41bは、積み重ねられたコネクタアセンブリ7000の嵌合表面7023を示し、これらの嵌合表面7023が組み合わされて、コネクタ積み重ね体7100の嵌合表面7123を形成する。
図41bで最良に示されるように、各コネクタアセンブリ7000は、電気的終端7004の列を、コネクタ積み重ね体7100の電気的終端7004の2次元配列7101に提供する。コネクタ積み重ね体7100の電気的終端7004は、
図41cに示すように、嵌合コネクタ7102の嵌合電気的終端7104と係合させることができる。
【0330】
コネクタアセンブリ7000は、様々な手段によって、積み重ねられた構成で一体に固定することができる。例えば、保持ロッド7105を、ハウジング7002の側縁部上の嵌合陥凹部7031に係合するように、適合させることができる。保持ロッド7105及び陥凹部7031の構成は、それらの意図する機能を依然として実行しながらも、様々な形状に変更することができる。例えば保持ロッド7105を受容するために、ハウジング7002内に陥凹部7031が提供されるのではなく、突出部(図示せず)が、ハウジングから延出することが可能であり、保持ロッドは、この突出部に係合するように適合させることが可能である。
【0331】
一部の構成では、コネクタ積み重ね体7100の端部の、コネクタアセンブリ7000は、ハウジングの蓋を含み得る。一部の構成では、各ハウジング7002の裏面は、積み重ね体内で隣接するハウジング7002に対する蓋としての役割を果たすように、構成することができる。一部の構成では、
図41a及び
図41cに示すように、スペーサー7110を、積み重ね体7100の端部に配置することができ、かつ/又はコネクタ積み重ね体7100内の1つ以上のコネクタアセンブリ7000の代わりに置くことができる。
【0332】
ハウジング7002は、隣接するコネクタアセンブリ7000を、固定された相対位置に保持するように構成される、少なくとも1セットの、一体的に形成された保持要素7074a、7074bを含み得る。保持要素7074a、7074bの各セットは、例えば、スナップ嵌め、摩擦嵌め、プレス嵌め、及び機械的圧締めなどの、任意の好適な方法によって、隣接するコネクタアセンブリ7000を、固定された相対位置に保持するように構成することができる。図示の実施形態では、保持要素7074a、7074bの各セットは、隣接するコネクタアセンブリ7000を、スナップ嵌めによって、固定された相対位置に保持するように構成される、ラッチ部分7074a及び対応するキャッチ部分7074bを含む。
【0333】
ハウジング7002は、隣接するコネクタアセンブリ7000を、互いに対して位置決めするように構成される、少なくとも1セットの、一体的に形成された位置決め要素7076を含み得る。
図40a、41a、及び
図41cでは、ハウジング7002は、2セットの位置決め要素7076を含む。位置決め要素7076のセットの場所及び構成は、対象用途に応じて選択することができる。図示の実施形態では、位置決め要素7076の各セットは、位置決め支柱(図示せず)に係合するように構成される、位置決め陥凹部を含む。位置決め要素7076の係合により、隣接するコネクタアセンブリ7000が、互いに対して位置決めされる。本明細書で説明される、コネクタアセンブリ7000及び積み重ね方法により、コネクタアセンブリの積み重ね体の全体を、嵌合7102から接続解除することなく、一連の積み重ねられた電気コネクタ内の単一のコネクタアセンブリを交換することが可能になる。
【0334】
図42a〜42dは、ケーブル7200a〜7200d内の、信号導体セット及び接地ワイヤーの幾つかのパターンを示す、ケーブル断面図である。
図42a〜42dに示すケーブルのパターンは、より幅広のケーブル用に、反復及び/又は組み合わせることができる。
図42aに示すケーブル7200aは、同軸導体セット7205aと接地ワイヤー7206aとの交互配置のセットを有する。
図42bは、接地ワイヤー7206aと交互配置される二芯同軸導体セット7205bを有する、ケーブル7200bを示す。
図42cに示すケーブル7200cは、導体7200cの縁部上に位置する接地ワイヤー7206cの間に配置される、複数の二芯同軸導体セット7205cを有する。
図42dに示すケーブル7200dは、3つの接地ワイヤーと交互配置される、2つの二芯同軸導体セット7205dを有する。
図42a〜42dに示す、導体セット及び接地ワイヤーのパターンは、より多くの導体を有する、より幅広のケーブルを作り出すために、所定のケーブルの幅にわたって複数回反復させることができ、かつ/又は他のケーブルパターンと組み合わせることができる。1つ、2つ、又はそれよりも多くの導体を有する導体セット、及び/又は接地ワイヤーの、多種多様なパターンが想到される。
【0335】
図42e〜42hは、様々なケーブルパターン、並びに様々なタイプの導体及び接地ワイヤーを示す。任意の形状の導体又は接地ワイヤーを、ケーブル内で使用することができ、一部の導体及び/又は接地ワイヤーの形状は、ケーブル内の他の導体及び/又は接地ワイヤーの形状とは、異なるものとすることができる。例えば、
図42eに示すケーブル7200eは、長円形の導体7208e有する導体セット、及び矩形の接地ワイヤー7206eを含む。
図42fは、撚り線の導体7208f及び撚り線の接地ワイヤー7206fを有する、ケーブル7200fを示す。ケーブル内の一部の導体及び/又は接地ワイヤーを、撚り線とすることができ、他の導体及び/又は接地ワイヤーを、単線とすることができる。例えば、
図42gは、撚り線の導体7208g及び単線の矩形接地ワイヤー7206gを有する、ケーブル7200gを示す。
図42hは、単線の円形導体7208h及び撚り線の長円形接地ワイヤー7206hを含む、ケーブル7200hを示す。一部の場合には、ドレインワイヤー7206hと遮蔽体との接触は、ドレインワイヤー7206hが、遮蔽フィルム7202hの間で、ある程度まで押し潰される場合に、改善される。例えば、最初は円形の断面を有する撚り線のドレインワイヤーを、ケーブル製造プロセスの間に、楕円形状又は長円形状へと押し潰すことができる。この製造プロセスから得られるケーブルは、
図42h(Fig. 42b)に示すドレインワイヤー7206hと同様の断面を有する、ドレインワイヤーを有し得る。
【0336】
図43a〜43eは、ケーブル7301a〜dの導体7308及び接地ワイヤー7306を、電気端子7304に接続することができる、幾つかの方式を示す。これらの手法は、本明細書で説明されるいずれのケーブルにも適用可能である。
図43aでは、各導体7308及び接地ワイヤー7306は、接地−信号−信号−接地−信号−信号−接地(GSSGSSG)の配置で、電気端子7304に接続される。
図43bでは、中央の接地ワイヤー7306が短く切断され、導体7308及び残余の接地ワイヤー7306は、接地−信号−信号−無接続−信号−信号−接地(GSS−SSG)の配置で、電気端子7304に接続される。
図43cでは、外側の2つの接地ワイヤー7306が短く切断され、導体7308及び残余の接地ワイヤー7306は、無接続−信号−信号−接地−信号−信号−無接続(−−SSGSS−−)の配置で、電気端子7304に接続される。
図43d及び
図43eでは、接地接続は、ケーブルの遮蔽体7305d、7305eによって行なわれる。ケーブル7301d、7301eは、ドレインワイヤーを含む場合も、又は含まない場合もある。
図43eに示すケーブル7301eの遮蔽体7305eは、電気端子7304に接続される遮蔽タブ7507を含む。多くの更なる接続の配置が可能であり、その配置としては、信号接続と接地接続との交互配置、及び接地接続間に配置される複数の信号接続が挙げられるが、これらに限定されない。
【0337】
図44a及び
図44bに示すように、コネクタアセンブリ7400は、一体型ハウジング7402内に配置される、本明細書で説明されるいずれかのケーブルなどの、複数のケーブル7401を含み得る。複数のケーブル7401のそれぞれは、対応する電気端子7404のセットに、電気的に接続される。電気端子7404の各セットは、導体7404の、離間した列7423の形で、一体型ハウジング7402内に保持される。
図44bは、コネクタアセンブリ7404の嵌合表面7420を示し、2次元配列7411を形成する、電気端子7404の複数の列7423を示す。
【0338】
図45aは、本明細書で説明されるいずれかのケーブルなどの、電気ケーブル7501を含む、コネクタアセンブリ7500を示し、電気ケーブル7501は、第1末端部7512及び第2末端部7513を有する、コネクタハウジング7502内に配置される。電気アセンブリ7500は、例えばチャネル7511によって、ハウジング7502の第1末端部7512で、ハウジング7502内に、平面的な、離間した構成に保持される、第1終端7510を含む。電気アセンブリ7500は、例えばチャネル7521によって、ハウジング7502の第2末端部7513で、ハウジング7502内に、平面的な、離間した構成に保持される、第2終端7520を含む。第1終端7510及び第2終端7520は、例えば、スナップ嵌め、プレス嵌め、摩擦嵌め、圧着、又は機械的圧締めなどの、任意の好適な方法によって、ハウジング7502内に保持することができる。電気的終端7510、7520を保持するために使用される方法は、電気的終端7510、7520の、一方又は双方のセットを取り外すことを許容することができ、かつ/又は電気的終端7510、7520を、ハウジング7502から個々に取り外すことを許容することができる。あるいは、電気的終端7510、7520を保持するために使用される方法は、電気的終端7510、7520を、ハウジング7502内部に恒久的に固定することができる。
【0339】
ケーブル7501は、ケーブル7501内で離間し、かつケーブル7501の長さに沿って延在する、信号導体セット7505及び接地ワイヤー7506を含む。導体セット7505は、双対導体の二芯同軸導体セット、単一導体の同軸導体セット、3つ以上の導体を有する導体セット、又は本明細書で論じられる他のケーブル構成を含み得る。
【0340】
各電気的終端7510、7520は、ケーブル7501に向けて配置される末端部、及び嵌合末端部を有する。ケーブル7501に向けて配置される末端部では、電気的終端7510、7520は、導体セット7505の導体7508、又は接地ワイヤー7506に、電気的に接続される。嵌合末端部では、各電気的終端7510、7520は、嵌合コネクタ(図示せず)の嵌合電気的終端と、物理的及び電気的に接触するように構成される。
【0341】
電気的終端7510、7520と、導体7508又は接地ワイヤー7506との電気的接触は、例えば、圧着接続、はんだ接続、溶接接続、プレス嵌め接続、摩擦嵌め接続、絶縁変位接続、及び/又は電気的終端7510、7520と、導体7508若しくは接地ワイヤー7506とを直接的に電気的に接触させる、任意の他のタイプの接続によって、達成することができる。電気的接触部位は、一列に位置合わせすることができ、又は本明細書で論じられるような千鳥配列とすることができる。
【0342】
様々な構成では、電気的終端7510、7520の嵌合末端部は、ソケット、スプリングコネクタ、ピン、ブレード、又は嵌合コネクタの嵌合終端と物理的に係合して、直接的に電気的に接触するように構成される、任意の他のタイプの接続とすることができる。
【0343】
一部の場合には、第1の電気的終端7510のセット及び第2の電気的終端7520のセットの、一方若しくは双方は、導体7508及び/又は接地ワイヤー7506自体である。例えば、電気的終端は、絶縁体及び遮蔽体がストリッピングされている、導体セット7505の導体7508の裸の末端部、並びに/あるいは裸の接地ワイヤー7506とすることができる。導体7508及び/又は接地ワイヤー7506の末端部は、
図40bに関連して前述したように、形成、成形、コーティング、及び/又は他の方法で処理されて、嵌合コネクタ(図示せず)の嵌合終端と係合し、この嵌合終端と、直接的に電気的に接触することができる。
【0344】
ハウジング7506は、例えば、成型プラスティックハウジングなどの、絶縁材料で作製される。ハウジングは、単一部品のハウジング、又は複数部品のハウジングとすることができる。例えば、複数部品のハウジングは、
図45bに示すように、基底ハウジング7502及び蓋7524を含み得る。
【0345】
図46aに示すように、
図45a及び
図45bに示すコネクタアセンブリなどの、複数のコネクタアセンブリ7500を、一体に積み重ねて、2次元コネクタ積み重ね体7600を形成することができる。コネクタ積み重ね体7600の第1末端部7612では、第1の電気的終端7510のセットのそれぞれは、コネクタアセンブリ7500のうちの1つの中で、平面的な、離間した構成に保持される。第1の電気的終端7506のセットは、第1嵌合コネクタ(図示せず)の電気的終端と、電気的に接触するように構成される。コネクタ積み重ね体7600の第2末端部7613では、第2の電気的終端7620のセットのそれぞれは、コネクタアセンブリ7500のうちの1つの中で、平面的な、離間した構成に保持される。第2の電気的終端7620のセットは、第2嵌合コネクタの電気的終端と、電気的に接触するように構成される。
【0346】
図46bは、コネクタ積み重ね体7600の第1末端部7612の端面図を示す。
図46a及び
図46bに示すように、コネクタアセンブリ7500の、第1の電気端子7510のセットは、コネクタ積み重ね体7600の第1末端部7612で、電気端子7510の2次元配列7601の列を形成する。
図46cは、コネクタ積み重ね体7600の第2末端部7613の端面図を示す。
図46a及び
図46cに示すように、コネクタアセンブリ7500の、第2の電気的終端7520のセットは、コネクタ積み重ね体7600の第2末端部7613で、電気端子7620の2次元配列7602の列を形成する。
【0347】
コネクタアセンブリ7500は、様々な手段によって、積み重ねられた構成で一体に固定することができる。前述のように、保持機構を使用して、コネクタアセンブリ7500を位置決め及び/若しくは位置合わせし、かつ/又は積み重ね体7600内での、コネクタアセンブリ7500の間の位置的関係を、保持することができる。
【0348】
様々な構成では、コネクタ積み重ね体7600内の1つ以上のコネクタアセンブリ7500は、蓋を含み得る。例えば、一部の場合には、コネクタ積み重ね体7600の端部の、コネクタアセンブリ7500のみが、ハウジングの蓋を含み得る。一部の構成では、各ハウジング7002の裏面は、積み重ね体内で隣接するハウジング7002に対する蓋としての役割を果たすように、構成することができる。
図41a及び
図41cに関連して前述したスペーサーと一部の点で類似するスペーサーを、コネクタ積み重ね体7600内で使用することができる。
【0349】
図46cに示すように、一部の場合には、コネクタアセンブリ7691は、一体型ハウジング7692を含み、この一体型ハウジング7692は、ハウジング7691の第1末端部で、電気的終端の第1の2次元配列内に、第1の電気的終端7610のセットを保持し、ハウジング7692の第2末端部7613で、第2の2次元配列内に、第2の電気的終端7620のセットを保持するように構成される。
図46aに関連して前述したように、第1の電気的終端7610のセットのそれぞれ、及び第2の電気的終端7620のセットのそれぞれは、電気的終端7610、7630のケーブル末端部で、対応するケーブルに、電気的に接続される。ハウジング7692の第1末端部7612での、第1の電気的終端7610のセットは、第1嵌合コネクタ(図示せず)の電気端子のセットと係合して、電気的に接触するように構成される。ハウジング7692の第2末端部7613での、第2の電気的終端7620のセットは、第2嵌合コネクタ(図示せず)の電気端子のセットと係合して、電気的に接触するように構成される。
【0350】
図47は、直角コネクタアセンブリ7700を示す。コネクタアセンブリは、任意の角度で形成することができる。角度付きコネクタアセンブリ7700は、
図45a及び
図45bに示すコネクタアセンブリ7500、7600と、一部の点で類似している。例えば、コネクタアセンブリ7700は、本明細書で論じられるいずれかの電気ケーブルを含み得る。角度付きアセンブリ7700は、第1末端部7712及び第2末端部7713を有する、ハウジング7702を含む。角度付きハウジング7700は、
図47に示すように、角度付きの蓋7790を含み得る。ハウジング7702、及びハウジング7702内部のケーブルは、ハウジング7700の第1末端部7712と第2末端部7713との間で、角度θを成す。
【0351】
図48aは、複数の電気ケーブル7801a〜dを含む、角度付きコネクタ7800の側面の断面図を示す。ケーブル7801は、任意のタイプの、遮蔽又は遮蔽なし平形ケーブルとすることができる。例えば、ケーブル7801は、本明細書で論じられるいずれかのケーブルとすることができる。コネクタ7800は、多数の積み重ねられたハウジング7802を含み得、各ハウジング7802は、
図47に示すコネクタアセンブリ7700のハウジング7702と類似している。あるいは、複数のケーブル7801は、一体型ハウジングの内部に配置することができる。一部の場合には、ハウジング7702は、チャネル7815を含み、ケーブル7801a〜dを、各チャネル7815内に配置することができる。ハウジング7802は、第1末端部7812及び第2末端部7813を含み、角度θで、第1末端部7812と第2末端部7813との間に角度が付けられている。
【0352】
コネクタ7800内の各電気ケーブル7801は、ハウジング7802の第1末端部7812で、平面的な、離間した構成に保持される、第1の電気的終端7810のセットと、電気的に接触し、また同様に、ハウジング7802の第2末端部7813で、平面的な、離間した構成に保持される、第2の電気的終端7820のセットと、電気的に接触する。第1の電気的終端7810のセットの複数の列は、コネクタ7800の第1末端部7812で、第1の電気的終端のセットの2次元配列を形成する。第1末端部7812での、2次元配列内の第1の電気的終端7810のセットは、第1嵌合コネクタ(図示せず)の電気的終端と係合して、電気的に接触するように構成される。第2の電気的終端7820のセットの複数の列は、コネクタ7800の第2末端部7813で、第2の電気的終端のセットの2次元配列を形成する。第2末端部7813での、2次元配列内の第2の電気的終端7820のセットは、第2嵌合コネクタの電気的終端と係合して、電気的に接触するように構成される。
【0353】
各電気ケーブル7801は、ハウジング7802の内部で折り曲げられて、コネクタハウジング7802の角度θに対応する、折り曲げの曲率半径を有する。各ケーブルの折り曲げ曲率半径は、1つ以上の他の隣接するケーブルの折り曲げ曲率半径とは異なるものとすることができる。例えば、ケーブル7801aは、折り曲げ曲率半径fr
1を有し、ケーブル7801bは、折り曲げ曲率半径fr
2を有し、ケーブル7801cは、折り曲げ曲率半径fr
3を有し、ケーブル7801dは、折り曲げ曲率半径fr
4を有し、fr
1>fr
2>fr
3>fr
4である。一部の場合には、各ケーブル7801は、ハウジング7802内の1つ以上の他のケーブルとは、異なる長さを有し得る。例えば、ケーブル7801aは、長さl
1を有し、ケーブル7801bは、長さl
2を有し、ケーブル7801cは、長さl
3を有し、ケーブル7801dは、長さl
4を有する。一部の実施形態では、l
1>l
2>l
3>l
4である。
【0354】
ケーブルの電気長は、波長で測定される、そのケーブルの長さであり、信号の周波数、及び信号がケーブルに沿って伝搬する速度に関連する。ケーブルの電気長は、次式で表すことができる。
【数1】
[この文献は図面を表示できません]
【0355】
式中、lは、ケーブルの長さであり、fは、信号の周波数であり、V
Fは、ケーブルの速度係数であり、αは、定数である。ケーブルの速度係数は、信号がそのケーブルを通過する速度である。
【数2】
[この文献は図面を表示できません]
【0356】
式中、cは、光の速度であり、L
Sは、ケーブルの単位長当りの直列インダクタンスであり、C
Pは、ケーブルの単位長当りの並列静電容量である。
【0357】
ケーブルの特性インピーダンスは、次式である。
【数3】
[この文献は図面を表示できません]
【0358】
同軸ケーブル及び/又は二芯同軸ケーブルの、直列インダクタンスL
S並びに並列静電容量C
Pは、導体間の材料の誘電率、導体の直径、導体と遮蔽体との距離、及び/又は導体間の離隔距離を含めた、ケーブルの物理的特性及び材料特性に応じて変化する。特定の物理長のケーブルに関しては、ケーブルの物理的特性及び材料特性を調整して、ケーブルの電気長を変化させることができる。
【0359】
異なる電気長を有するケーブルは、所定の周波数の信号に関して、異なる信号伝搬時間を有し得る。複数の導体セットを有するケーブルでは、ケーブル内の任意の2つの導体セット間に許容される、伝搬時間の最大差である、最大ケーブルスキュを指定することができる。
【0360】
図48aに示すコネクタ7800に関しては、ケーブル7801a〜dの、他の物理的特性及び/又は材料特性が実質的に同様である場合には、ケーブル7801a〜dの異なる物理長により、ケーブル7801a〜dが、異なる電気長を有することになり、このことは同様に、コネクタ7800の導体間に、スキューを生じさせることになる。
【0361】
図48bに示す角度付きコネクタ7880によって示されるように、一部の実装では、ハウジング7802内部のケーブル7881a〜dの物理長は、スキューを低減するために、ハウジング7802内のケーブルごとに実質的に同じにすることができる。ケーブル7881a〜dは、主要な折り曲げの曲率半径fr
1、fr
2、fr
3、fr
4が、コネクタ7880内のケーブルごとに変化する場合であっても、余剰の副次的な折り曲げ7882又はうねりを含んで、実質的に同じ物理長を有するケーブル7881a〜dを達成することができる。
【0362】
一部の実装では、ケーブルの物理的特性及び/又は材料特性のうちの1つ以上、例えば、誘電率、導体の直径、導体と遮蔽体との間隔、並びに/あるいは導体セット及び/又はケーブル内部の導体間の離隔距離を調整して、コネクタのケーブルのうちの一部の、導体の電気長を変化させることにより、コネクタのスキューを低減することができる。例えば、
図48aに示すコネクタ7800を参照すると、コネクタ7800内のケーブル7801a〜dの物理的特性及び/又は材料特性を、各ケーブル7801a〜dに関して調整することにより、各ケーブル7801a〜dは異なる物理長を有するが、ケーブル7801a〜dの電気長は実質的に同じにすることができる。別の構成では、各ケーブル7801a〜dの物理的特性及び/又は材料特性を、コネクタ7800内でケーブルごとに異なるように設計することにより、コネクタハウジング7802内部での各ケーブル7801a〜dの電気長は、ハウジング7802内部でのケーブル7801a〜dの様々な物理長を補償し、また同様に、プリント回路基板上のトレースを、コネクタ7802の設置面積から外れて経路指定するために必要な距離も補償することができる。
【0363】
図48a及び
図48bに示すコネクタは、ケーブルの幅にわたって実質的に真直な折り曲げを有する、積み重ねられたケーブルによって形成される、2次元コネクタを示す。2次元コネクタはまた、斜め方向で、例えば、直角コネクタを形成するための90度の斜め方向で、ケーブルの幅にわたって折り曲げられる、積み重ねられたケーブルによっても、形成することができる。ケーブルは、斜め方向で折り曲げてから、積み重ねることができ、又はケーブルは、積み重ねてから、斜め方向で折り曲げることができる。例えば、ケーブルを斜め方向で折り曲げてから、ハウジング内で積み重ねる場合には、各ケーブルの第1面の部分、及び各ケーブルの第2面の部分が、隣接するケーブルの第1面の部分、及び隣接するケーブルの第2面の部分に面する。
【0364】
図49a及び
図49bは、それぞれ、ケーブル7901の積み重ね体を含む2次元コネクタ7900の、平面図及び断面図を示す。ケーブル7901は、本明細書で説明される遮蔽ケーブルを含めた、任意のタイプの平形ケーブルとすることができる。
図49a及び
図49bに示すように、ケーブル7901は、積み重ね体の形に配置され、ハウジング又はフレーム7902内に配置される。ケーブルは、例えばハウジングの両末端部上に配置される、電気的終端の1つ以上のセットと、接触することができる。例えば、
図49a及び
図49bに示すように、一部の場合には、各ケーブル7901は、ハウジング7902の第1末端部7912で、第1の電気的終端7910のセットと、電気的に接触し、ハウジング7902の第2末端部7913で、第2の電気的終端のセットと、電気的に接触する。一部の場合には、前述のように、ケーブルの末端部自体が、電気的終端としての役割を果たし得る。ハウジング7902は、電気的終端7910、7920の各セットを、平面的な、離間した構成に保持するように、構成される。一部の場合には、前述のように、ケーブルの末端部自体が、電気的終端としての役割を果たし得る。導体の末端部が、電気的終端として使用される場合には、導体の末端部は、例えば、スルーホールはんだ付けのために、プリント回路基板若しくはパドルカード内に直接的に挿入することができ、又は表面実装はんだの足へと形成することができる。
【0365】
ケーブル7901を積み重ねることにより、ハウジング7902の第1末端部7912での、第1の電気的終端7910のセットの、第1の2次元配列7922、及びハウジング7902の第2末端部7913での、第2の電気的終端7920のセットの、第2の2次元配列7923が形成される。一部の実施形態では、ケーブル7901は、例えば前述のケーブルなどの、遮蔽ケーブルである。他の実施形態では、ケーブル7901は、遮蔽なしの平形ケーブル又はリボンケーブルである。遮蔽なしのケーブル7901を使用する場合、又は追加的な遮蔽が有益である場合には、任意選択的な遮蔽体7903を、積み重ね体内の隣接するケーブル7901の間に配置することができる。
【0366】
角度付きコネクタは、例えば
図48aに示す幾何学形状と同様の、積み重ね体の幅にわたって真直に折り曲げられた、ケーブルの積み重ね体を使用して、形成することができる。折り曲げられたケーブルの積み重ね体は、コネクタの電気的終端を保持するコネクタハウジング又はフレーム内に、配置することができ、このコネクタハウジング又はフレームは、例えば、ハウジングの第1末端部で、ケーブルに電気的に接続される第1の電気的終端のセットを保持し、ハウジングの第2末端部で、ケーブルに電気的に接続される電気的終端を保持する。折り曲げられたケーブルを、任意の量で組み合わせて、所望の数の横列及び縦列を有するコネクタを、製作することができる。
【0367】
一部の場合には、角度付きコネクタは、
図49cに示すように、斜めの角度で、横断方向に折り曲げられたケーブルを含み得る。この斜めの角度βは、0度よりも大きく、180度よりも小さい、任意の角度とすることができる。例えば、
図49cは、β=90度の斜めの角度で1つの折り曲げを有する、ケーブル7981を示す。一部の構成では、ケーブルは、2回以上折り曲げることができる。
図49dは、2回折り曲げられたケーブル7982を示す。ケーブル7982は、1つの90度の折り曲げ(斜め方向での折り曲げ)、及び第2の180度の真直の折り曲げ(ケーブルの長手方向軸に垂直な線に沿った、真直の折り曲げ)を含む。
【0368】
図49cに示す折り曲げられたケーブル7980は、第1末端部7981、及び第2末端部7982を有する。第1末端部7981では、ケーブル7980は、最も外側の終端位置7983、及び最も内側の終端位置7985を有する。第2末端部7982では、ケーブル7980は、最も外側の終端位置7984、及び最も内側の終端位置7986を有する。ケーブル7980が、斜め方向で折り曲げられる場合には、最も内側の導体位置と、最も外側の導体位置とは、ケーブル7980の一方の末端部から他方の末端部までで、逆転する。ケーブル7980(cable 7890)の第1末端部7981での、最も外側の終端位置7983内の導体7988は、ケーブル7980の第2末端部7982では、最も内側の終端位置7986に切り替わる。同様に、ケーブル7980(cable 7890)の第1末端部7981での、最も内側の終端位置7985内の導体7989は、ケーブル7980の第2末端部7982では、最も外側の終端位置7984に切り替わる。
図49dに示す、2回折り曲げられたケーブル7982では、最も内側の終端位置と、最も外側の終端位置との、幾何学的切り替えが回避される。
【0369】
角度付き2次元コネクタは、斜め方向で折り曲げられたケーブルを使用して、形成することができる。このケーブルは、任意の平形遮蔽ケーブル又は遮蔽なしケーブルを含み得る。一部の場合には、ケーブルは、本明細書で論じられる遮蔽ケーブルとすることができる。角度付き2次元コネクタは、個々に斜め方向で折り曲げてから、積み重ねたケーブルを使用して、形成することができる。更なる実施例としては、角度付き2次元コネクタは、ケーブルを、平坦であるときに積み重ねてから、そのケーブルの積み重ね体をグループとして一体に斜め方向で折り曲げるケーブルを使用して、形成することができる。例えば、ケーブルが、斜め方向で折り曲げられる場合には、各ケーブルの第1面及び第2面の双方の部分は、隣接するケーブルの第1面及び第2面の部分に向けて配向される。折り曲げられたコネクタを、任意の量で組み合わせて、所望の数の横列及び縦列を有するコネクタを、製作することができる。一部の場合には、折り曲げられたケーブルのそれぞれは、モジュラー式ハウジング内に配置することができ、そのハウジングを、積み重ねることができる。この手法により、所望の数の列を達成するために積み重ねられる、同様のコネクタモジュールから、多種多様なサイズのコネクタを構築することが可能になる。
【0370】
図50aは、折り曲げられたケーブルを使用して形成される、角度付き2次元コネクタ8000を示す。ケーブルは、本明細書で説明される遮蔽ケーブルを含めた、任意のタイプの平形ケーブルとすることができる。コネクタ8000aは、一体型ハウジング8002内に配置される、複数の、個々に折り曲げられたケーブル又は全体として折り曲げられたケーブルを含む。各ケーブルは、第1の電気的終端8010のセット、及び第2の電気的終端8020のセットと、電気的に接触する。ハウジング8002は、ハウジング8002の第1末端部8012で、第1の電気的終端8010のセットのそれぞれを、平面的な、離間した構成に保持し、ハウジング8002の第2末端部8013で、第2の電気的終端8020のセットのそれぞれを、平面的な、離間した構成に保持する。第1の電気的終端8010のセットは、ハウジング8002の第1末端部8012で、電気的終端の第1の2次元配列8022を形成する。第2の電気的終端8020のセットは、ハウジング8002の第2末端部8013で、電気的終端8020の第2の2次元配列8023を形成する。
図50bは、折り曲げられたケーブルによって形成される、角度付きコネクタ8000bを示し、各ケーブルは、別個のハウジング8003内に配置され、複数のハウジング8003が積み重ねられて、角度付きコネクタ8001を形成する。
【0371】
図50c及び
図50dは、ハウジングを使用しない、積み重ねられたケーブル8001を示す。
図50cでは、ケーブル8001は、積み重ねられる前に、折り曲げられる。この構成では、折り曲げられ、積み重ねられたケーブル8001は、
図50aに示すような一体型ハウジング内に配置することができ、又は一つ以上の折り曲げられたケーブルを、モジュラー式ハウジング内に配置してから、ハウジングを積み重ねることができる。
図50dに示すように、一部の実装では、2つ以上のケーブル8001を積み重ねてから、共に折り曲げることができる。共に折り曲げられた複数のケーブル、例えば、コネクタ内の全てのケーブル8001を、ハウジング内に配置することができる。1つ以上の遮蔽体8004を、ケーブル8001の間に配置することができる。
【0372】
図42a〜42dに示すパターンを含めた、多種多様なパターンの導体及び/又は接地ワイヤーを使用して、直線状ケーブル又は折り曲げられたケーブルから、直線状コネクタ又は角度付きコネクタを作製することができる。一部の場合には、互いに異なるパターンを有するケーブルを、同じコネクタ内で使用することができる。あるいは、コネクタ内の全てのケーブルは、同じパターンを有し得る。
【0373】
本明細書で説明されるケーブル内に配置される、導体及び接地ワイヤーの平面的構成は、接触点の線形配列への位置合わせ又はマス終端、例えば、プリント導電トレースを有する基板への終端を促進する。プリント回路基板(PCB)は、PCBの1つ以上の平面上に配置される電子的構成要素を含み得、このPCBは、電子的構成要素を、互いに、又はPCB上の他の機構に、電気的に接続する、導電トレースを有する。パドルカードは、PCBであるが、多くの場合、電子的構成要素を有さずに、特定のコネクタのタイプの内部で使用される。本明細書で説明されるケーブルにより、ドレインワイヤーを、信号ワイヤーから、著しい余裕をもって物理的に離隔することが可能になるため、PCBへのケーブルの終端が更に増進される。ケーブルの導体からの、ドレインワイヤーの離隔により、導体及びドレインワイヤーを、マス終端プロセスで、より容易に終端することが可能になる。
【0374】
図51a〜52dは、1つ以上のケーブルを、PCBに電気的に接続するための、様々な手法を示す。ケーブルは、本明細書で説明される、いずれかの遮蔽ケーブルとすることができる。
図51aは、PCB 8102の表面実装ランド8104で、PCB 8102に電気的に接続される、ケーブル8101を示す。この接続プロセスは、ケーブル遮蔽体8106の除去、及び導体8108からの絶縁体8107のストリッピングを伴い得る。電気的接続は、例えば、はんだ付け又は溶接によって、ケーブルの導体8108とPCBのランド8104との間に行なうことができる。任意選択的なオーバーモールド成形8103を使用して、接触区域を周囲環境から保護し、かつ/又はケーブル8101に、歪みの緩和を提供することができる。
【0375】
1つ以上のケーブルを、PCBのスルーホールに、電気的に接続することができる。
図51bは、PCB 8112のスルーホール8114で、PCB 8112に電気的に接続される、ケーブル8111を示す。電気的接続は、例えば、はんだ付け、溶接、又はプレス嵌めによって、ケーブル導体8118とスルーホール8105との間に行なうことができる。任意選択的なオーバーモールド成形8113を使用して、周囲環境からの保護、及び/又は歪みの緩和を提供することができる。
【0376】
図51c及び
図51dは、それぞれ、角度付きコネクタ8120、及び角度付きコネクタ8130を示す。
図51cのコネクタ8120は、PCB 8122のスルーホール8124に接続される、単一のケーブル8121を含む。ケーブル8121の末端部、及びPCB 8122は、ハウジング8123によって包み込まれる。嵌合終端(図示せず)が、コネクタ8120の嵌合末端部で、PCB 8122上に配置される。
図51dのコネクタ8130は、コネクタ8120と類似しているが、ただし、コネクタ8130は、PCBのスルーホール8124に接続される、複数のケーブル8121を含む。
【0377】
1つ以上のケーブルを、PCB上に実装されるコネクタを通じて、PCBに接続することができる。
図52a〜52dは、様々なPCB、コネクタ、及びケーブルの組み合わせを示す。
図52aは、絶縁変位コネクタ8202を通じて、PCB 8203に接続される、ケーブル8201を示す。本明細書で説明されるいずれかのケーブルとすることができるケーブル8201からの、遮蔽体8204は、ケーブルの絶縁導体8205を絶縁変位終端8206内に押圧する前に、除去されることが必要な場合がある。
【0378】
図52b及び
図52cは、ゼロ挿入力コネクタ8213を通じて、PCB 8212に接続される、ケーブル8211を示す。
図52bでは、遮蔽体8214及び絶縁体8215が、ケーブル8211の導体8216から除去され、裸の導体8216が、PC B8212上に実装されたゼロ挿入力コネクタ8213内に挿入される。ケーブル8211のコネクタ末端部に配置される、オーバーモールド成形8217、ハウジング、又はフレームを使用することができ、コネクタ8213に、導体を位置合わせして、かつ/又はケーブル8211を設置するように、構成することができる。
図52cでは、ケーブル8211の裸の導体8216は、例えば、表面実装ランド、スルーホール、又は他のタイプの終端によって、可撓性又は剛性の回路基板8218に、最初に接続される。可撓性又は剛性の回路基板8218はまた、基板8218の半対側上にも終端を含み、基板8218がコネクタ8213内に挿入される際、この半対側上の終端が、ゼロ挿入力コネクタ8213の終端と接触する。
【0379】
図52dでは、導体8216は、遮蔽体8214及び絶縁体8215の除去の後、嵌合コネクタ8213の終端8219と電気的に接触する、電気的終端として使用される。導体8216の材料は、繰り返される嵌合のサイクルを伴う、信頼性のある接触、及び/又はより大きい硬度を提供して、導体8216が、スプリング接点として機能することが可能になるように、選択することができる。この構成に関する材料の例は、ベリリウム、銅、及び/又はリン青銅材料である。導体8216は、金、銀、スズ、及び/若しくは他の材料でメッキを施すことができ、かつ/又は、平坦に鋳造するか若しくはスタンプ加工して、平坦な嵌合表面を作製することができ、又は他の形状に成形することができる。ケーブル8211のコネクタ末端部に配置される、オーバーモールド成形8217、ハウジング、又はフレームを使用することができ、コネクタ8213に、導体8216を位置合わせして、かつ/又はケーブル8211を設置するように、構成することができる。
【0380】
本明細書で説明される遮蔽ケーブルは、一部には、コネクタ内部で、終端を近接して離間させる能力により、より小さいコネクタの製作を促進する。近接して間隔を置いて配置されている終端は、本開示で説明されるケーブルの幾つかの特長によって、促進される。例えば、本明細書で説明されるケーブルは、より少ないドレインワイヤー(標準的な離散的twinaxでのように、1つのペア当り、少なくとも1つ又は2つのドレインワイヤーではなく)を有する。更には、このケーブルは、隣接する導体セットを電気的に分離する、電気的遮蔽フィルムの挟まれた領域を有する。このケーブルは、より少ない数の層、及び/又はより薄い層を使用することができる。このケーブルの構成は、ケーブルをマスストリッピングして、パドルカード、PCB、又は他の線形の終端配列にマス終端する能力を提供する。二芯同軸ケーブルに関する、マスストリッピング及び/又はマス終端は、ドレインワイヤーと、隣接する導体セットとの間に、最小限の離隔距離を維持することによって促進される。例えば、
図53に示すように、二芯同軸導体セットに関しては、ドレインワイヤー8306と、導体セット8303内の至近の信号導体8304aとの、中心間の間隔である、最小離隔距離σ
1は、
図53に示すように、セット8303の導体8304a、8304bの、中心間の間隔σ
2の0.5倍よりも大きくすることができる。1つの例示的な実装では、σ
1>0.7σ
2である。同軸に関しては、導体ワイヤーの縁部から、ドレインワイヤーの縁部までの距離Aは、縁部から、遮蔽体、例えば、遮蔽体の変曲点までの距離Bの、1よりも大きくすることができ、又は1.4以上よりも大きくすることができる。
【0381】
本明細書で説明されるケーブルは、複数の導体セット全体にわたって連続する、遮蔽フィルムを含む。それゆえ、一部の実装では、各導体セットには、それ自体のドレインワイヤーが必要とされず、ケーブルに関して、より少ないドレインワイヤーを使用することができる。例えばケーブルの各縁部上に位置する、2つのドレインワイヤーを使用することができ、又はケーブルに関して、1つのドレインワイヤーのみを使用することができる。より少ないドレインワイヤーは、パドルカード(又は、他の終端構成要素)上の、より少ない終端パッドをもたらし、ドレインの終端に使用されたであろうパドルカード上のスペースを使用して、代わりに信号導体の密度を増大させることができる。更には、より少ないドレインワイヤーが使用されるため、ケーブルの幅を低減することができる。
【0382】
図54〜63は、ケーブルをパドルカードに接続することができる、様々な方法を示す。パドルカードは、一部のタイプのコネクタ内で使用されるPCBである。パドルカードは、パドルカードの1つの縁部上の電気的終端を、パドルカードの別の縁部上の電気的終端に接続する、導体トレースを含み得る。パドルカードは、互いに、かつ/又は電気的終端に相互接続される、電子的構成要素を有する場合があり、あるいは有さない場合もある。
図54〜64に提示される実施例は、表面実装終端を示すが、しかしながら、他のタイプの終端、例えば、スルーホール終端若しくはプレス嵌め終端を使用することができ、又は終端のタイプの組み合わせを使用することができる。
図54〜63のアセンブリ内のパドルカードに電気的に接続されるケーブルは、本明細書で論じられるいずれかのケーブルとすることができるが、前述の高密度ケーブルで使用する場合、特に有用である。
【0383】
クロストーク(近端及び遠端)は、ケーブルアセンブル内での信号保全性に関する、重要な検討事項である。クロストークを低減するための様々な手法が、
図54〜63を参照して、本明細書で提示される。これらの手法のうちの1つ以上を、ケーブルとPCB又はパドルカードとの組み合わせ内で使用して、クロストークを低減することができる。
【0384】
例えば、ケーブル末端部が適切に遮蔽されていない場合には、ケーブルとPCBとの間の終端場所でのクロストークは、顕著なものとなり得る。1つの手法は、例えば、
図58に示すように、遮蔽構造が、可能な限り終端ポイントに近接して、いずれの電磁場も導体セット内部に抑制するように、維持することである。
【0385】
クロストークを低減するための別の方策は、全ての「送信」導体ペアを、物理的に互いに隣り合わせにグループ化し、かつ「受信」導体ペアを、物理的に互いに隣り合わせにグループ化することである。送信グループ及び受信グループは、ケーブル内で離隔させることができ、それらのグループは、必要な場合には、ドレインワイヤー及び/又は他の分離構造を通じて隔てることができる。例えば、更なるクロストーク分離は、送信グループと受信グループとの間のより大きい間隔、及び/又はグループの間のケーブル内の断続的な破断によって達成することができる。別の手法は、2つのリボンケーブルを使用し、1つずつを各信号タイプ用とすることであるが、例えば、
図62に示すように、それらの2つのリボンケーブルを並列に経路指定することにより、リボンの単一の可撓性平面が維持される。
【0386】
更に別の手法は、送信信号及び受信信号を、PCB又はパドルカード上で、それらの2つの信号を、可能な限り互いに物理的に離間させて終端及び経路指定することによって、電気的に分離することである。別の手法は、パドルカード/PCBの1つの平面上で、送信信号を終端及び経路指定し、パドルカード/PCBの異なる平面上で、受信信号を終端及び経路指定することである。パドルカードの異なる平面上での、送信信号及び受信信号の経路指定の実施例を、
図57〜63に示す。
【0387】
クロストークを低減するための更に別の手法は、
図60〜63に示すように、パドルカード/PCB上で、送信信号及び受信信号を、可能な限り離間させて終端及び経路指定することである。これらの手法のうちの幾つかを、分離の増大のために組み合わせることができる点に留意されたい。本明細書で説明される遮蔽電気ケーブル、特に、高密度バージョンの遮蔽電気ケーブルは、これらの様々な手法を使用して、より小さいサイズの、より小さいパドルカード、及び/又は遮蔽ケーブルの単一平面を、達成することができる。
【0388】
図54a及び
図54bは、それぞれ、ケーブルとパドルカードとの組み合わせ8400の側面図及び平面図を示し、この組み合わせ8400は、ドレイン終端8411の数と比較して増大した数の信号終端8410、例えば、二芯同軸導体セット8404の終端を有する、パドルカード8402を含む。この実施形態では、ケーブル8401は、8つの二芯同軸信号導体セット8404、及び2つのドレインワイヤー8406を含む。8つの信号導体セット8404の導体8405、及び2つのドレインワイヤー8406は、パドルカード8402の第1平面8403上に配置される、対応する8つの信号終端8410のセット、及び2つのドレイン終端8411で終端される。
【0389】
パドルカード8402上の導電トレース8430が、パドルカード8402のケーブル側8440上の、信号終端8410及びドレイン終端8411を、パドルカード8402の反対側8441上の、対応する信号終端のセット8420及びドレイン終端8421に接続する。この実施例では、終端8410、8411、8420、8421、及び導電トレース8430は、全て、パドルカード8402の第1平面8403上に配置される。パドルカードの対向する側にケーブルを終端することと比較する場合、パドルカードの単一平面上に、ケーブルの導体及びドレインワイヤーを終端することを使用して、より薄いコネクタを形成することができる。
【0390】
図55a及び
図55bは、それぞれ、ケーブルとパドルカードとの組み合わせ8500の側面図及び平面図を示し、この組み合わせ8500は、ケーブル8501に至近の、パドルカード8402の縁部8440に沿って、パドルカード8502の第1平面8503上に配置される、信号終端8510及びドレイン終端8511を有する、パドルカード8502を含む。対応する終端8520、8521の一部は、パドルカード8502の第1平面8503上に配置され、対応する終端8520の一部は、パドルカード8502の第2平面8513上に配置される。パドルカード8502の第2平面8513上に経路指定される導電トレース8530は、ビア8531を通じて、ケーブル縁部の終端8510に電気的に接続される。
【0391】
図56a及び
図56bは、それぞれ、ケーブルとパドルカードとの組み合わせ8600の側面図及び平面図を示し、この組み合わせ8600は、ケーブル8601の幅w
cよりも小さい、幅w
pを有する、パドルカード8602を含む。導体8610及びドレインワイヤー8611は、パドルカード8602の縁部8640の付近で屈曲して、パドルカード8602の、より狭い終端間隔に対応する。
【0392】
図57a及び
図57bは、それぞれ、ケーブルとパドルカードとの組み合わせ8700の側面図及び平面図を示し、この組み合わせ8700は、パドルカード8702の第1平面8703上に配置される、信号終端8710a、8720a、及び接地ワイヤー終端8711、8721、並びにパドルカード8702の第2平面8713上に配置される、信号終端8710b、8720bを含む。第1平面8703上の終端8710a、8720aに電気的に接続される、第1の導体セット8704aのグループは、第2平面8713上の終端8710b、8720bに電気的に接続される、第2のグループ内の導体セット8704bと交互に配置される。パドルカード8702のケーブル縁部8740で、第1平面8703上に配置される、信号終端8710a及び接地ワイヤー終端8711は、反対側縁部8741で第1平面8703上に配置される、対応する信号終端8720a及び接地ワイヤー終端8721に、第1平面8703上の導電トレース8730aを通じて、経路指定される。パドルカード8702のケーブル縁部8740で、第2平面8713上に配置される、信号終端8710bは、パドルカード8702の反対側縁部8741で第2平面8713上に配置される、対応する信号終端8720bに、第2平面8713上の導電トレース8730bを通じて、経路指定される。
図57a及び
図57bに示す構成は、パドルカード8702の第1平面8703上に配置される終端8710a、8720a、及び導電トレース8730aによって搬送される、第1の信号のセットと、パドルカード8702の第2平面8713上に配置される終端8710b、8720b、及び導電トレース8730bによって搬送される、第2の信号のセットとの、電気的分離の増大を提供する。これらの信号のグループ間の、電気的分離の増大はまた、パドルカード8702のケーブル縁部8740付近の、導体セット8704a、8704bの横方向の千鳥配列によっても達成される。
【0393】
図58a及び
図58bは、パドルカード8802のケーブル縁部8840付近の、導体セット8804a、8804bの横方向の千鳥配列を示す。ケーブルの遮蔽体8850は、導体セット8804a、8804bの間に、細隙8899を含み、この細隙8899により、遮蔽体8850は、信号分離の増大のために、導体セット8704a、8704bの分離点8751を越えて、パドルカード8702上の終端8710、8711により近接して延在することが可能になる。
【0394】
図59a及び
図59bは、それぞれ、ケーブルとパドルカードとの組み合わせ8900の側面図及び平面図を示し、この組み合わせ8900は、導体セット8904内部の、横方向で千鳥配列される導体8904a、8904bを有する。ケーブル/パドルカードの組み合わせ8900は、パドルカードのケーブル縁部8940で、パドルカード8902の第1平面8903上に配置される、信号終端8910a及び接地ワイヤー終端8711を含む。信号終端8910bは、パドルカード8902のケーブル縁部8940で、パドルカード8902の第2平面8913上に配置される。各導体セット8904内の一方の導体8905aは、第1平面8903上の終端8910aに、電気的に接続される。各導体セット8904内の別の導体8905bは、第2平面8913上の終端8910bに、電気的に接続される。一部の場合には、ケーブルの遮蔽体8950内のスリット8999により、遮蔽体8950は、信号分離の増大のために、導体8905a、8905bの分離点8951を越えて、パドルカード8902の対向する側の終端8910a、8910bの付近まで延在することが可能になる。導体セット8904内部の、横方向で千鳥配列される導体8905a、8905bは、本開示で説明されるケーブルを使用して達成可能であるが、これは、そのケーブルの可撓性の増大によるものである。パドルカード8902上の各導体セット8904の間の間隔Vは、より狭いパドルカードの幅が所望される場合には、更に低減することができる。導電トレース、及びパドルカードの反対側縁部上の対応する端子は、この実施例では示されない。
【0395】
図60a及び
図60bは、それぞれ、ケーブルとパドルカードとの組み合わせ9000の側面図及び平面図を示し、この組み合わせ9000は、パドルカード9002の2つの平面9003、9013に接続される、ケーブル9001を含む。信号終端9010a、9020a、及び接地ワイヤー終端9011a、9021aは、パドルカード9002の第1領域9002a内で、第1平面9003上に配置される。信号終端9010b、9020b、及び接地終端9011b、9021bは、パドルカード9002の第2領域9002b内で、第2平面9013上に配置される。
【0396】
第1の導体セット9004aのグループは、第1平面9003上、かつ第1領域9002a内の、終端9010a、9020aに、電気的に接続される。第2の導体セット9004bのグループは、第2平面9013上、かつ第2領域9002b内の、終端9010b、9020bに、電気的に接続される。ケーブルの遮蔽体9050内のスリット9099により、遮蔽体9050は、信号分離の増大のために、導体セット9004a、9004bの分離点9051を越えて、パドルカード9002の対向する側の終端9010a、9010bの付近まで延在することが可能になる。パドルカード9002のケーブル縁部9040で、第1平面9003上に配置される、信号終端9010a及び接地ワイヤー終端9011は、反対側縁部9041で第1平面9003上に配置される、対応する信号終端9020a及び接地ワイヤー終端9021aに、第1平面9003上の導電トレース9030aを通じて、経路指定される。
【0397】
パドルカード9002のケーブル縁部9040で、第2平面9013上に配置される、信号終端9010bは、パドルカード9002の反対側縁部9041で第2平面9013上に配置される、対応する信号終端9020bに、第2平面9013上の導電トレース9030bを通じて、経路指定される。
図60a及び
図60bに示す構成は、信号のグループを、パドルカード9002の、別個の領域9002a、9002bに、かつ異なる平面9003、9013上に定置することによって、第1の信号のグループと第2の信号のグループとの電気的分離を増大させる。例えば、一部の実装では、第1の導体セット9004aのグループは、送信信号を搬送することができ、第2の導体セット9004bのグループは、受信信号を搬送することができる。
【0398】
図61は、
図60a及び
図60bの構成と、一部の点で類似する構成を示すが、ただし、ケーブル9101は、パドルカード9002の第1領域9002a内で終端される導体セット9004aを、パドルカード9002の第2領域9002b内で終端される導体セット9004bから隔てる、第1ドレインワイヤー9106a及び第2ドレインワイヤー9106bを含む。第1ドレインワイヤー9106aは、第1領域9002a内の、パドルカード9002のケーブル縁部9040で、ドレインワイヤー終端9111aに電気的に接続され、第1平面9003上の導体9130aによって、反対側縁部9041の、対応するドレインワイヤー終端9121aへと経路指定される。第2ドレインワイヤー9106bは、第2領域9002b内の、パドルカード9002のケーブル縁部9040で、ドレインワイヤー終端9111bに電気的に接続され、第2平面9013上の導体9130bによって、反対側縁部9041の、対応するドレインワイヤー終端9121bへと経路指定される。
【0399】
図62は、
図61に示す構成と、一部の点で類似する構成を示すが、ただし、2つのケーブル9201a、9201bが、
図61などの単一のケーブル9101の代わりに使用される。例えば、第1のケーブル9201aは、受信信号を搬送することができ、第2のケーブル9201bは、送信信号を搬送することができる。この設計は、ケーブル9201a、9201bが、物理的に隔てられ、終端ポイント9010a、9010b、9020a、9020b、及び導電トレース9030a、9030bが、パドルカード9002の2つの平面9003、9013上にあることによって隔てられ、終端ポイント9010a、9010b、9020a、9020b、及び導電トレース9030a、9030bが、パドルカード9002の2つの領域9002a、9002b内へと隔てられるために、顕著なクロストーク分離を提供する。任意選択的なクリップ又はテープ9290を使用して、2つのケーブル9201a、9201bを、物理的に連結することができる。
【0400】
図63a及び
図63bは、それぞれ、ケーブルとパドルカードとの組み合わせ9300の側面図及び平面図を示し、この組み合わせ9300は、パドルカード9302の2つの平面9303、9313に接続される、ケーブル9301を含む。信号終端9310a、9320a、及び接地ワイヤー終端9311a、9321aは、パドルカード9302の第1平面9303上に配置される。信号終端9310aは、パドルカード9302のケーブル縁部9340で、パドルカード9302の第1領域9302a内に配置される。パドルカード9302の反対側縁部9341上の、対応する信号終端9320aは、第1領域9302a及び第2領域9302bの双方で、反対側縁部9341に沿って離間している。
【0401】
信号終端9310bは、パドルカード9302のケーブル縁部9340で、パドルカード9302の第2領域9302b内に配置される。パドルカード9302の反対側縁部9341上の、対応する信号終端9320bは、第1領域9302a及び第2領域9302bの双方で、反対側縁部9341に沿って離間している。
【0402】
第1の導体セット9304aのグループは、第1平面9303上、かつ第1領域9302a内の、終端9310aに、電気的に接続される。第2の導体セット9304bのグループは、第2平面9313上、かつ第2領域9302b内の、終端9310bに、電気的に接続される。ケーブルの遮蔽体9350内のスリット9399により、遮蔽体9350は、信号分離の増大のために、導体セット9304a、9304bの分離点9351を越えて、パドルカード9302の対向する側の終端9310a、9310bの付近まで延在することが可能になる。
【0403】
パドルカード9302のケーブル縁部9340で、第1平面9303上に配置される、信号終端9310a及び接地ワイヤー終端9311aは、反対側縁部bで第1平面9303上に配置される、対応する信号終端9320a及び接地ワイヤー終端9321aに、第1領域9302a及び第2領域9302b内の、第1平面9303上の導電トレース9330aを通じて、経路指定される。
【0404】
パドルカード9302のケーブル縁部9340で、第2平面9313上に配置される、信号終端9310b及び接地ワイヤー終端9311bは、パドルカード9302の反対側縁部9341で第2平面9313上に配置される、対応する信号終端9320b及び接地ワイヤー終端9321bに、第1領域9302a及び第2領域9302b内の、第2平面9313上の導電トレース9330bを通じて、経路指定される。一部の実装では、送信信号と受信信号との間のクロストークを更に低減するために、第1の導体セット9304aのグループは、送信信号を搬送することができ、第2の導体セット9304bのグループは、受信信号を搬送することができる。
【0405】
図54〜63及び関連する論考は、パドルカードの終端に関与するが、これらの同じ手法は、PCB上に配置される電子的構成要素、及び/又は他の線形の終端配列を有する、PCBへの終端で使用することができる。本明細書で説明される、いずれのコネクタ、例えば、1次元コネクタ又は2次元コネクタも、同様の手法を使用して、導体のサイズを低減し、かつ/又はクロストークを低減することができる。例えば、本明細書で説明されるコネクタは、ケーブルに接続するための、1つ以上の、平面的な、離間した、終端の列を伴う。
図54〜63に示すパドルカードの終端もまた、パドルカード上に、平面的な、離間した終端を伴う。それゆえ、同様の、千鳥配列、交互配置、及び/又は離隔した終端の方策は、本開示で説明されるいずれのコネクタ、及び本開示で説明されるいずれのケーブルに関しても、採用することができる。
【0406】
上述のケーブル構成では、遮蔽体は、巻き付け構造ではなく、絶縁ワイヤーの周りの、2つの層の形で配置される。この遮蔽構造は、螺旋状に巻き付けられた構成体に問題を引き起こす、共振を排除することができ、また、巻き付けられた構成体よりも剛直性が小さく、かつ鋭い屈曲後の電気的特性の優れた保持を有する、屈曲挙動も呈し得る。これらの特性は、重ね合わせたフィルム、及び追加的な多重巻き付けフィルムよりも、特に、単一プライの薄い遮蔽フィルムの使用によって可能になる。この構成体の1つの有利点は、サーバー、ルーター、又は他の囲い込まれたコンピュータシステムなどの、制約されたスペースの内部で、ケーブルを鋭く屈曲させて、より有効に、ケーブルを経路指定することができる点である。
【0407】
ここで
図64を参照すると、斜視図は、例示的な実施形態による、遮蔽高速電気リボンケーブル31402の適用を示す。ケーブル31402は、本明細書で説明されるいずれかのケーブルを含み得る。リボンケーブル31402を使用して、シャーシ31404又は他の対象物の内部で、信号を搬送する。多くの状況では、シャーシ31404の側面に沿って、ケーブル31402を経路指定することが望ましい。例えば、そのような経路指定は、冷却空気がより自由にシャーシ31404内部に流入することを可能にし、保守点検のためのアクセスを容易にし、より緊密な構成要素の間隔を可能にし、外観を改善することなどが可能である。したがって、ケーブル31402は、例えば、角部屈曲31406及び角部屈曲31408のように鋭く屈曲して、シャーシ31404、及び/又はシャーシ31404内に含まれる構成要素の、構造的特徴に適合することが必要な場合がある。これらの屈曲31406、31408は、直角(90度)の屈曲として示されるが、一部の適用では、ケーブルは、より鋭い角度、又はより広い角度で屈曲させることができる。
【0408】
別の適用では、約180度の折り曲げ31410を使用して、ケーブル31402が、実質的に平面的なスペース内で、方向転換することを可能にすることができる。そのような場合には、ケーブル31402は、ケーブルの長手方向縁部に対して特定の角度である折り曲げ線にわたって、折り曲げられる。図示の実施形態では、折り曲げ線は、そのような縁部に対して約45度であり、ケーブル31402を、90度方向転換させる。必要に応じて、他の折り曲げ角度を使用して、他の転向角度を形成することができる。全般的には、ケーブル31402は、平面表面、例えば、シャーシ31404の側面に対して平坦に、折り曲げ31410の前後の近位領域31412、31414に取り付けることに応えて、所定の転向角度で方向転換するように、構成することができる。
【0409】
ケーブル31402を、図示のように成形するために、屈曲31406、31408の内側半径、及び折り曲げ31410の内側半径を、比較的小さくすることが必要な場合がある。
図65及び
図66では、側面図は、例示的実施形態による、屈曲された/折り曲げられたケーブル31402を示す。
図65では、90度の屈曲を示し、
図66では、180度の屈曲を示す。双方の場合とも、内側屈曲半径31502は、ケーブルがどの程度可撓性であるか、また、そのような屈曲がどの程度性能に影響を及ぼし得るかを判定する場合の、限定因子とすることができる。屈曲半径31502は、ケーブル31402上の折り曲げ線31506と平行、かつ折り曲げ線31506からオフセットする、中心線31504に関連して測定することができる(線31504及び線31506の双方とも、ページから直交方向に突出する)。24AWG以下の導体を有する、ここで説明される構成体のケーブルに関しては、内側半径31502は、電気的性能(例えば、特性インピーダンス、スキュー、減衰損失、挿入損失など)に重大な影響を及ぼすことなしで、5mm〜1mm(又は、一部の場合には、それよりも小さい)の範囲とすることができる。
【0410】
以下の表1は、24AWG以下の導体の直径を有する生産ケーブルに関する、これらの特性の一部の、予想される最大変化を示す。これらの特性は、導体の差動ペアに関して測定される。ケーブルは、表1に示すものよりも良好な性能が可能であり得るが、これらの値は、少なくとも、システム設計者が、生産環境及び/又は配備環境での性能を評価するために使用可能な、保守的な基準値を表すことができ、同様の環境で一般に使用される、巻き付けtwinaxケーブルに勝る顕著な改善を、依然として表すことができる。
【0411】
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0412】
全般的には、本明細書で論じられる実施形態によるリボンケーブルは、高速データ転送用に設計された、従来の(例えば、巻き付けられた)twinaxケーブルよりも可撓性にすることができる。この可撓性は、数多くの方式で測定することができ、それらの方式としては、所定の導体/ワイヤーの直径に関する最小屈曲半径31520を判定すること、ケーブルを撓ませるために必要な力の量の判定、及び/又は所定の屈曲パラメータのセットに関する、電気的特性に対する影響が挙げられる。これらの特性及び他の特性を、以下でより詳細に論考する。
【0413】
図67を参照すると、ブロック図は、例示的実施形態による、力対ケーブル31402の撓みを測定するための試験用設定31700を示す。この設定では、ケーブル31402は、最初に、破線によって指示されるように、ローラータイプの支持体31702にわたって、平坦に配置される。支持体31702は、下方への動きを防ぐが、他の方法で、左右の方向でのケーブルの自由な動きを可能にする。このことは、単純支持梁、例えば、一方の末端部でのヒンジ接続、及び他方の末端部でのローラー接続を有する梁の拘束条件に類似し得るが、このケーブルの場合には、ヒンジが提供し得るような左右の拘束が存在しない。
【0414】
この試験用設定での支持体31702は、2.0インチ(5.08cm)の直径のシリンダーを含み、それらのシリンダーは、シリンダーの頂部側(例えば、
図37に示される側から見る場合の、12時の位置)の間の、5.0インチ(12.7cm)の一定距離31704によって隔てられる。力31706を、力作動装置31710を介して、支持体31704の間の等距離の地点で、ケーブル31402に適用し、撓み31708を測定する。力作動装置31710は、直径0.375インチ(0.95cm)のシリンダーであり、毎分5.0インチ(0.002m/s)のクロスヘッド速度で駆動される。
【0415】
実施形態によるケーブルに関する、設定31700を使用する第1試験の結果を、
図68のグラフ31800に示す。曲線1802は、2つの中実30AWG導体、固体ポリオレフィン絶縁体、及び2つの32AWGドレインワイヤーを有する、リボンケーブル(例えば、
図2cの構成102cに類似)に関する、力−撓みの結果を表す。最大力は、約0.025lbf(1.11N)であり、約1.2インチ(3.05cm)の撓みで生じる。概略比較として、2つの30AWGワイヤー及び2つの30AWGドレインワイヤーを有する、巻き付けtwinaxケーブルに関して、曲線31804を測定した。この曲線は、1.2インチ(3.05cm)の撓みで、約0.048lbs(2.14N)の最大力を有する。全ての条件が同じであれば、使用された、より太いドレンワイヤー(30AWG対32AWG)のために、若干、このtwinaxケーブルが、より剛直であることが予想されるが、しかしながら、このことは、曲線31802と曲線31804との顕著な差異を十分に説明するものではない。全般的には、支持地点の中間点での、曲線31802によって表される、ケーブルに対する0.03lbf(0.13N)の力の適用は、少なくとも1インチ(2.54cm)の、力の方向での撓みを引き起こすことが予想される。曲線1804によって表されるケーブルは、その約半分の大きさで撓むことが、明白であるはずである。
【0416】
図69では、グラフ31900は、
図67の、力、撓みの設定を使用する、例示的実施形態によるケーブルの後続の試験の結果を示す4つのワイヤーゲージ(24、26、30、及び32AWG)のそれぞれに関して、それぞれが、対応するゲージの2つの単線の導体を有する、4つのケーブルを試験した。ケーブルは、ポリプロピレンの絶縁体を含み、対向する側に遮蔽を有し、ドレインワイヤーを有さないものとした。0.2インチ(0.51cm)の撓みごとに、力を測定した。以下の表2は、24、26、30、及び32AWGの、それぞれの導体のゲージサイズを有する、ケーブルのセットに関する結果に対応する、最大力の点1902、1904、1906、1908での結果の要約である。表2の、第5及び第6の縦列は、各ゲージのグループの範囲内で試験した4つのケーブルの、それぞれの最高の最大力及び最低の最大力に対応する。
【0417】
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0418】
表2のデータに関しては、最大撓み力の対数に対する、導体の直径の対数に基づいて、y=mx+bの形態の直線回帰を実行することが可能である。表2の第3の縦列内の力の自然対数(ln)を、対応する直径の自然対数に対して、
図70のグラフ2000でプロットする。24、26、30、及び32AWGのワイヤーの直径は、それぞれ、0.0201、0.0159、0.010、及び0.008である。グラフ2000内の曲線の、最小2乗法による直線回帰により、次の適合がもたらされる:ln(F
max)=2.96
*ln(直径)+10.0。F
maxについて解き、有効数字2桁まで概算することによって、以下の経験的結果が得られる。
F
max=M
*直径
3、式中、M=22,000lbf/in
3 [4]
【0419】
等式[4]により、2つの28AWG導体(直径=0.0126)を使用して作製される同様のケーブルは、22,000
*0.01263=0.044lbf、すなわち0.196Nの最大力で屈曲することが予測される。そのような結果は、
図19に示す他のゲージに関する結果から考慮して、妥当である。更には、等式[4]を修正して、単一の絶縁導体のそれぞれに関する、個々の最大力(F
max−single)を、次のように表すことができる。
F
max−single=M
*直径
3、式中、M=11,000lbf/in
3 [5]
【0420】
各絶縁導体(及びドレインワイヤー、若しくは他の非絶縁導体)に関して[5]から算出される個々の力を組み合わせて、所定のケーブルに関する、全体としての最大屈曲力を得ることができる。例えば、2つの30AWGワイヤーと、2つの32AWGワイヤーとの組み合わせは、0.0261+0.014=0.0301lbf、すなわち0.134Nの最大屈曲抵抗力を有することが予想される。これは、30AWGの絶縁ワイヤーと、32AWGのドレインワイヤーとの組み合わせを有した試験ケーブルに関して、
図18の曲線1802に示される、0.025lbf(0.111N)の値よりも高い。しかしながら、そのような差異は、予想することができる。試験ケーブル内のドレインワイヤーは、絶縁されていないことにより、その試験ケーブルを、理論上の場合よりも可撓性にさせる。全般的には、等式[4]及び等式[5]の結果は、屈曲力の上限を返すことが予想され、この上限は、従来の巻き付けケーブルよりも、依然として可撓性である。比較として、4つの30AWGワイヤーに関して等式[5]を使用すると、最大力は、4
*11,000
*0.01=0.044lbf、すなわち0.196Nとなり、これは、
図68の従来の巻き付けケーブル試験の曲線31804で示されるものよりも低い。巻き付けケーブル内のドレインワイヤーが絶縁されていた場合であれば(実際はそうではなかったが)、曲線31804は、更に高い最大力を呈することが予想される。
【0421】
数多くの他の要因が、等式[4]及び等式[5]によって予測される結果を変更する可能性があり、それらの要因としては、ワイヤーの絶縁体のタイプ(ポリエチレン及び発泡絶縁体は、剛直性を弱め、フルオロポリマー絶縁体は、剛直性を高める傾向にある)、ワイヤーのタイプ(撚り線は、剛直性が弱まる)などが挙げられる。それにもかかわらず、等式[4]及び等式[5]は、所定のケーブルに関する最大屈曲力の妥当な推定値を提供することができ、そのような特性を呈する本発明のリボンケーブル構成体は、等価の巻き付け構成体よりも、測定可能な程度に可撓性となるはずである。
【0422】
ケーブルの電気的特性(例えば、インピーダンス、クロストーク)に重大な影響を及ぼすことなく、ケーブル31402を屈曲させる/折り曲げることができる、半径31506(
図65及び
図66を参照)の最小サイズもまた、これらのケーブルでの関心対象である。これらの特性は、局所的に、かつ/又はケーブル全体にわたって、測定することができる。ここで
図71を参照すると、グラフ32100は、例示的実施形態による、ケーブルの屈曲性能を示す。グラフ32100は、時間領域反射率計(TDR)を使用して、35psの立ち上がり時間で測定した、代表的なケーブルの特性インピーダンス測定値を表す。区域32102は、
図2cに示すケーブル構成体102cと同様の構成体を有する、100オームの、中実導体、差動ペアの、30AWGリボンケーブルに関する、差動インピーダンスの示度の包絡線を表す。ケーブルのインピーダンスを、初期の、屈曲させない状態で測定し、そのケーブルを、一旦1.0mmの屈曲半径にわたって180度の角度で屈曲させ、再び測定した。屈曲させたケーブルのインピーダンスの測定は、ケーブルを、同じ角度及び同じ半径にわたって10回屈曲させた後に、再度行なった。垂直の破線によって指示される時間領域32104は、この屈曲に概して近位の場所に対応する。
【0423】
包絡線32102は、上述の全ての試験の下で測定されたインピーダンス曲線の極値の輪郭を表す。包絡線32102は、屈曲による、インピーダンスの分散/不連続性32106を含む。分散32106は、約0.5オーム(この場所32104での、公称の96.4オームに対する、ピークインピーダンス95.9オーム)であると推定される。この分散は、第1の屈曲後には認められたが、第10の後には認められなかった。後者の場合には、包絡線32102からの著しい偏差は認められなかった。比較として、従来の、螺旋状に巻き付けられた、30AWGのtwinaxケーブルに対して、包絡線32108によって表される、同様の試験を行なった。この測定値32108は、約1.6オームの局所的なインピーダンスの分散32110を示す。分散32110は、分散32106よりも大きい規模のものであるばかりではなく、時間スケールも、より広いことにより、ケーブルのより大きい領域に影響を及ぼす。この分散32110はまた、従来のケーブルの第1及び第10の屈曲測定の双方でも認められた。
【0424】
同様のインピーダンス測定のセットを、
図2cに示すケーブル構成体102cと同様の構成体であるが、ドレインワイヤー112cを有さない、中実26AWG及び中実24AWGの、100オームのケーブルに関して行なった。26AWGのケーブル及び24AWGのケーブルを、1.0mmの屈曲半径にわたって180度屈曲させた。得られた平均の分散は、26AWGのケーブルに関しては0.71オームであり、24AWGのケーブルに関しては2.4オームであった。更には、24AWGを、2.0mmの半径にわたって180度屈曲させると、平均の分散は、1.7オームであった。それゆえ、この構成体のケーブルは、24AWGの導体の直径に関する2.0mmの屈曲の近位で、僅か2オーム(すなわち、100オームの公称インピーダンスの2%)以下の特性インピーダンスの分散を呈するはずである。更には、この構成体のケーブルは、26AWGの導体の直径に関する1.0mmの屈曲の近位で、僅か1オーム(すなわち、100オームの公称インピーダンスの2%)以下の特性インピーダンスの分散を呈するはずである。
【0425】
グラフ32100に示す測定値は、公称100オームの特性インピーダンスを有するケーブルに関する、差動インピーダンス測定値であるが、偏差/不連続性32106は、他のケーブルのインピーダンス及び測定技術に関して、線形に増減すると予想される。例えば、50オームのシングルエンドインピーダンス測定値(例えば、差動ペアの一方のワイヤーのみを測定する)は、24AWGの導体の直径に関する屈曲の近位で、僅か2%(1オーム)以下、及び26AWGの導体の直径に関して、僅か1%(0.5オーム)以下で、変化すると予想される。同様な増減を、異なる公称値、例えば、100オームに対する75オームの特性差動インピーダンスで、認めることができる。
【0426】
巻き付けケーブルの特性32108と比較した、この代表的なリボンケーブルの、インピーダンス特性2102の改善に関する1つの可能な理由は、外側層を巻き付けケーブル上に形成する方式によるものである。巻き付けられた構成(例えば、個々の層が重なり合って、より多くの被覆の層をもたらす)を有することは、巻き付けの剛直性を増大させる傾向がある。このことは、単一の層を有するリボンケーブルよりも、局所的な屈曲の区域で、ケーブルを挟み込むか、又は「絞め付ける」恐れがある。それゆえ、全ての条件が同じであれば、リボンケーブルは、インピーダンスに対してそれほど影響を及ぼすことなく、従来のケーブルよりも鋭く屈曲させることができる。これらのインピーダンスの不連続性の影響は、同じケーブル内で累積するため、リボンケーブルは、従来の巻き付けケーブルと比較して、より多くの数の屈曲を含み、かつ依然として許容可能に機能することができる。この屈曲性能の改善は、導体セットが単独(離散的)の場合であれ、又は他の導体セットと共にリボンケーブル内にある場合であれ、存在し得る。
【0427】
リボンケーブルタイプの構成体の利益のうちには、ケーブルの終端に関連する労力及びコストの低減がある。高速接続に関して選択される1つのコネクタは、プリント回路基板(PCB)形式の「パドルカード」であり、このパドルカードは、基板の一方の面又は対向する側で、スタンプ加工された接点に接続する。このタイプの終端を促進するため、リボンケーブルの接地平面を、芯線から容易にストリッピング可能にすることができ、芯線を、ワイヤーから容易にストリッピング可能にすることができる。レーザー、固定治具、及び機械的切断を採用して、このプロセスを反復可能かつ高速にすることができる。
【0428】
ケーブルの接地平面へのPCBの接続は、導電性接着剤、導電性テープ、はんだ付け、溶接、超音波、機械的圧締めなどのような、任意の数の方法によって達成することができる。同様に、PCBへの導体の接続は、はんだ、溶接、超音波、及び他のプロセスを使用して達成することができ、最も効率的には、この接続は、全て同時に行なわれる(ギャングボンディング)。これらの構成のうちの多くでは、PCBは、対向する側にワイヤー接続を有し、それゆえ、1つ又は2つのそのようなリボンケーブルを使用することができ(各面に対して1つずつ)、ケーブル内で、互いに積み重ね合わせることができる。
【0429】
パドルカードへのリボンケーブルの終端を使用する場合に認めることができる、時間節約に加えて、いずれのインピーダンスの不連続性若しくはスキューの大きさ及び長さも、終端部位で低減することができる。ケーブルを終端する際に使用される1つの手法は、インピーダンス制御されない、終端での導体の長さを制限することである。このことは、パッドを有するトレースの線形配列をPCB上に含み得るコネクタとほぼ同じ形式で、ワイヤーを接続に提示することによって、達成することができる。ケーブルのピッチを、PCBのピッチと一致させることが可能であることにより、一致するピッチをケーブルが有さない場合に必要となる、不均等で長い露出ワイヤー長を排除することができる。同様に、このピッチは、基板のピッチと一致させることができるため、ケーブルからコネクタへと延びる無制御のワイヤーの長さも、最小限に抑えることができる。
【0430】
本明細書で説明されるケーブルが、終端に関連して呈し得る別の利益は、そのようなケーブルの折り曲げられた部分を、コネクタ内に封入することができる点である。このことにより、安価な角度付きコネクタの形成が、容易に促進される。例示的実施形態によるコネクタの様々な実施例を、
図72〜77に示す。
図72では、コネクタアセンブリ32200は、前述の遮蔽リボンケーブル構成の、2層のケーブル31402を終端する。ケーブル31402の、一部又は全ての導体は、頂部終端区域32204及び底部終端区域32206で、パドルカードに電気的に結合される。ケーブル31402は、パドルカードに対して直角にケーブル31402を経路指定することを促進する、領域32208での屈曲を含む。オーバーモールド成形32210が、少なくとも屈曲領域32208を取り囲み、またパドルカード32202の少なくとも一部分(例えば、終端区域32204、32206付近)を取り囲むことができる。
【0431】
図73では、コネクタアセンブリ32300は、32200と同様の構成要素を含み得るが、ただし、単一の遮蔽リボンケーブル1402が使用される。アセンブリ32300は、この実施例では、屈曲領域32302及び終端区域32204を取り囲む、同様のオーバーモールド成形32210を含み得る。
図74及び
図75は、それぞれ、32300及び31400と同様の、コネクタアセンブリ32400及びコネクタアセンブリ32500を含むが、ただし、それぞれのオーバーモールド成形32402は、約45度の屈曲を有する屈曲領域32404、32502を取り囲む。
【0432】
コネクタ32200、32300、32400、32500は全て、例えばケーブルアセンブリの末端部に位置する、終端コネクタとして示される。一部の状況では、コネクタは、ケーブルアセンブリの中間部分で所望される場合があり、この中間部分は、アセンブリを構成する1つ以上のケーブル31402の、いずれかの非端子部分を含み得る。中間部分のコネクタ32600及びコネクタ32700を、
図76及び
図77に示す。
図76では、それぞれのケーブル31402の一部分を、リボンから離脱させ、屈曲区域32602で屈曲させて、終端区域32204、32206で終端することができる。オーバーモールド成形32604が、少なくとも屈曲区域32602を取り囲み、また、リボンケーブル31402の非屈曲部分が継続して延びる、出口領域32606(例えば、歪み緩和)も含む。ケーブル32700は、ケーブル32600と類似しているが、ただし、リボンケーブル31402の一方が、領域327802で屈曲し、区域32204で完全に終端される。ケーブル31402の他方は、屈曲も終端もされず、領域32606から抜け出る。
【0433】
当業者には、
図72〜77に示す特徴は、説明の目的で提供されるものであって、限定の目的ではないことが、理解されるであろう。
図72〜77に開示される様々な特徴を組み合わせた、多くの変型が存在し得ることが、理解されるであろう。例えば、領域32208、32302、32404、及び領域32502内の屈曲は、ケーブル1402及び等価物に関して本明細書で説明される、いずれの角度並びに屈曲半径をも呈し得る。別の実施例では、説明されるコネクタ32200、32300、32400、32500、32600、及びコネクタ32700は、全て、パドルカード32206を使用して示されるが、他の終端構造(例えば、圧着ピン/ソケット、絶縁変位接続、はんだカップなど)を、これらの実施形態の発明範囲から逸脱することなく、同様の目的に関して使用することができる。更に別の実施例では、コネクタ32200、32300、32400、32500、32600、及びコネクタ32700は、組み立て式の機械的取り付けハウジング、収縮包装構造体、結合/接着剤取り付け被覆などのような、オーバーモールド成形の代わりの、代替ケーシング/被覆を使用することができる。
【0434】
本明細書で説明される遮蔽ケーブルの構成は、信号保全性を促進し、業界標準プロトコルに対応し、かつ/あるいは導体セット及びドレインワイヤーのマス終端を可能にする、導体セット及び/又はドレイン/接地ワイヤーへの簡略化された接続に関する機会を提供する。カバー領域では、導体セットは、遮蔽フィルムによって実質的に包囲され、導体セットは、挟まれた領域によって、互いに隔てられる。これらの回路構成は、例えば、ケーブル内部の導体セット間に、ケーブル内電気的分離を提供し、ケーブルの導体セットと外部環境との間に、ケーブル外分離を提供し、必要とされるドレインワイヤーを、より少なくして、かつ/又はドレインワイヤーを導体セットから離間させることを可能にし得る。
【0435】
上記に示し、かつ/又は説明したように、遮蔽フィルムは、同心領域、挟まれた領域、及び同心領域と挟まれた領域との間で緩やかに移行する移行領域を含み得る。同心領域、挟まれた領域、及び/又は移行領域の、幾何学形状並びに均一性は、ケーブルの電気的特性に影響を及ぼす。これらの領域の幾何学形状の不均一性によって引き起こされる影響を、低減及び/又は制御することが望ましい。ケーブルの長さに沿って、実質的に均一な幾何学形状(例えば、サイズ、形状、内容物、及び曲率半径)を維持することは、ケーブルの電気的特性に好ましい影響を及ぼし得る。移行領域に関しては、サイズを低減し、かつ/又はこれらの領域の幾何学的均一性を制御することが、望ましい場合がある。例えば、移行領域の影響の低減は、移行領域のサイズを低減し、かつ/又は遮蔽電気ケーブルの長さに沿って、移行領域の構成を慎重に制御することによって、達成することができる。移行領域のサイズを低減することが、静電容量の偏差を低減し、複数の導体セット間で必要とされるスペースを低減することにより、導体セットのピッチが低減され、かつ/又は導体セット間の電気的分離が増大する。遮蔽電気ケーブルの長さに沿った、移行領域の構成の慎重な制御は、予測可能な電気的挙動及び一貫性を取得することに寄与し、このことが、高速伝送線路を提供することにより、電気的データをより確実に伝送することができる。遮蔽電気ケーブルの長さに沿った、移行領域の構成の慎重な制御は、移行部分のサイズを、サイズの下限に接近させる際の因子である。
【0436】
ケーブルの電気的特性は、高速信号伝送に関する、ケーブルの適合性を規定する。ケーブルの電気的特性としては、数ある特性の中でもとりわけ、特性インピーダンス、挿入損失、クロストーク、スキュー、アイ開口率、及びジッタが挙げられる。電気的特性は、前述のように、ケーブルの物理的幾何学形状に応じて変化する場合があり、また、ケーブル構成要素の材料特性に応じても変化し得る。それゆえ、ケーブルの長さに沿って、実質的に均一な物理的幾何学形状及び/又は材料特性を維持することが、一般的に望ましい。例えば、電気ケーブルの特性インピーダンスは、ケーブルの物理的幾何学形状及び材料特性に応じて変化する。ケーブルが、その長さに沿って、物理的及び材料的に均一である場合には、そのケーブルの特性インピーダンスもまた、均一となる。しかしながら、ケーブルの幾何学形状及び/又は材料特性の不均一性は、その不均一な地点でのインピーダンスの不整合を引き起こす。このインピーダンス不整合は、信号を減衰させる反射を引き起こし、ケーブルの挿入損失を増大させる恐れがある。それゆえ、ケーブルの長さに沿って、物理的幾何学形状及び材料特性の、ある程度の均一性を維持することにより、そのケーブルの減衰特性を改善することができる。本明細書で説明される例示的電気ケーブルに関する、一部の典型的な特性インピーダンスは、例えば、50オーム、75オーム、及び100オームである。一部の場合には、本明細書で説明されるケーブルの、物理的幾何学形状及び材料特性を制御して、5%未満又は10%未満の、ケーブルの特性インピーダンスの変化を生じさせることができる。
【0437】
ケーブル(又は他の構成要素)の挿入損失は、その構成要素に起因する、信号電力の全損失を特徴付ける。挿入損失という用語は、減衰という用語と互換的に使用される場合が多い。減衰は、インピーダンス不整合損失を除外した、構成要素によって引き起こされる全ての損失として、定義される場合がある。それゆえ、完全に整合された回路に関しては、挿入損失は、減衰に等しい。ケーブルの挿入損失としては、反射損失(特性インピーダンスの不整合による損失)、結合損失(クロストークによる損失)、導体損失(信号導体内の抵抗損失)、誘電損失(誘電材料内の損失)、放射損失(放射エネルギーによる損失)、及び共振損失(ケーブル内の共振による損失)が挙げられる。挿入損失は、次式のように、dBで表すことができる:
【数4】
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【0438】
式中、P
Tは、送信される信号電力であり、P
Rは、受信される信号電力である。挿入損失は、信号周波数に応じて変化する。
【0439】
ケーブル、又は他の可変長の構成要素に関しては、挿入損失は、単位長当りで、例えばdB/メートルとして、表すことができる。
図78及び
図79は、0〜20GHzの周波数範囲にわたる、本明細書で説明される遮蔽ケーブルに関する、挿入損失対周波数のグラフである。試験されるケーブルは、長さ1メートルの、30AWG導体の二芯同軸セット、及び100オームの特性インピーダンスを有するものとした。
図78は、銀メッキを施した30AWG導体を有するケーブル1の、挿入損失(SDD12)のグラフである。
図79は、スズメッキを施した30AWG導体を有するケーブル2の、挿入損失(SDD12)のグラフである。
図40及び
図41に示すように、5GHzの周波数では、ケーブル2(30AWGのスズメッキを施した導体)は、約−5dB/m未満の、又は更に約−4dB/m未満の、挿入損失を有する。5GHzの周波数では、ケーブル1(30AWGの銀メッキを施した導体)は、約−5dB/m未満の、又は約−4dB/m未満の、又は更に約−3dB/m未満の、挿入損失を有する。0〜20GHzの周波数範囲の全体にわたって、ケーブル2(30AWGのスズメッキを施した導体)は、約−30dB/m未満の、又は約−20dB/m未満の、又は更に約−15dB/m未満の、挿入損失を有する。0〜20GHzの周波数範囲の全体にわたって、ケーブル1(30AWGの銀メッキを施した導体)は、約−20dB/m未満の、又は更に約−15dB/m未満の、又は更に約−10dB/m未満の、挿入損失を有する。
【0440】
他の全ての因子が一定であれば、減衰は、導体のサイズに反比例する。本開示で説明される遮蔽ケーブルに関しては、5GHzの周波数では、24AWG以上のサイズのスズメッキを施した単一の導体を有するケーブルは、約−5dB/m未満の、又は更に約−4dB/m未満の、挿入損失を有する。5GHzの周波数では、24AWG以上のサイズの銀メッキを施した単一の導体を有するケーブルは、約−5dB/m未満の、又は約−4dB/m未満の、又は更に約−3dB/m未満の、挿入損失を有する。0〜20GHzの周波数範囲の全体にわたって、24AWG以上のサイズのスズメッキを施した単一の導体を有するケーブルは、約−25dB/m未満の、又は約−20dB/m未満の、又は更に約−15dB/m未満の、挿入損失を有する。0〜20GHzの周波数範囲の全体にわたって、24AWG以上のサイズの銀メッキを施した単一の導体を有するケーブルは、約−20dB/m未満の、又は更に約−15dB/m未満の、又は更に約−10dB/m未満の、挿入損失を有する。
【0441】
カバー部分及び挟まれた部分は、ケーブル内の導体セットを、互いに電気的に分離し、かつ/又は外部環境から、導体セットを電気的に分離するために役立つ。本明細書で論じられる遮蔽フィルムは、導体セットに至近の遮蔽体を提供し得るが、しかしながら、これらの至近の遮蔽フィルムの上に配置される、追加的な補助遮蔽を更に使用して、ケーブル内及び/又はケーブル外の分離を増大させることができる。
【0442】
本明細書で説明されるような、カバー部分及び挟まれた部分を有する、ケーブルの1つ以上の面上に配置される1つ以上の遮蔽フィルムを使用することは対照的に、一部のタイプのケーブルは、導電性フィルムを、至近の遮蔽体として、又は補助遮蔽体として、個々の導体セットの周りに螺旋状に巻き付ける。差動信号を搬送するために使用される二芯同軸ケーブルの場合には、リターン電流の経路は、遮蔽体の両面に沿う。螺旋状の巻き付けは、電流リターン経路の不連続性をもたらす、遮蔽体内のギャップを作り出す。この周期的な不連続性は、導体セットの共振による、信号減衰を生じさせる。この現象は、「信号のサックアウト」として知られており、共振周波数に対応する特定の周波数範囲で発生する、著しい信号減衰を生じさせる恐れがある。
【0443】
図80は、導体セット47205の周りに、至近の遮蔽体として、螺旋状に巻き付けられたフィルム47208を有する、二芯同軸ケーブル47200(本明細書では、ケーブル3と称される)を示す。
図81は、本明細書で前述したケーブル構成を有する、ケーブル47300(本明細書では、ケーブル4と称される)の断面図を示し、このケーブル47300は、30AWGの導体47304を有する二芯同軸導体セット47305、2つの32AWGのドレインワイヤー47306、及びケーブル47300の対向する側の2つの遮蔽フィルム47308を含む。遮蔽フィルム47308は、導体セット47305を実質的に包囲するカバー部分47307、及び導体セット47305の両側上の挟まれた部分47309を含む。ケーブル4は、銀メッキを施した導体、及びポリオレフィンの絶縁体を有する。
【0444】
図82のグラフは、ケーブル3の共振による挿入損失と、ケーブル4の共振による挿入損失とを比較する。共振による挿入損失は、ケーブル3の挿入損失グラフでは、約11GHzでピークに達する。対照的に、ケーブル4の挿入損失グラフでは、観察可能な、共振による挿入損失は、存在しない。これらのグラフでは、ケーブルの終端による減衰もまた存在することに、留意されたい。
【0445】
ケーブル3の共振による減衰は、公称信号減衰N
SAと、共振による信号減衰R
SAとの比率によって特徴付けることができ、この場合、N
SAは、共振の傾斜のピーク部を結ぶ線であり、R
SAは、共振の傾斜の谷部での減衰である。11GHzでの、ケーブル3に関するN
SAとR
SAとの比率は、約−11dB/−35dB、すなわち約0.3である。対照的に、ケーブル4は、約1(共振によるゼロの減衰に相当する)の、又は少なくとも約0.5よりも大きい、N
SA/R
SA値を有する。
【0446】
ケーブル4の断面幾何学形状を有するケーブルの挿入損失を、3つの異なる長さ、1メートル(ケーブル5)、1.5メートル(ケーブル6)、及び2メートル(ケーブル7)で試験した。これらのケーブルに関する挿入損失グラフを、
図83に示す。0〜20GHzの周波数範囲に関して、共振は認められない。(20GHz付近での若干の傾斜は、終端に関連するものであり、共振損失ではないことに留意されたい。)
【0447】
図84に示すように、螺旋状に巻き付けられた遮蔽体を使用する代わりに、一部のタイプのケーブル47600は、導体セット47605の周りに、長手方向で折り曲げられた、導電材料のシート又はフィルム47608を含み、至近の遮蔽体を形成する。長手方向で折り曲げられた遮蔽フィルム47606の端部47602は、重ね合わせることができ、かつ/又は遮蔽フィルムの端部は、継ぎ目を使用して封止することができる。長手方向で折り曲げられた至近の遮蔽体を有するケーブルに、1つ以上の補助遮蔽体47609を多重に巻き付けることができ、重ね合わせた端部及び/又は継ぎ目が、ケーブルを屈曲させた場合に分離することを防ぐ。長手方向の折り曲げは、螺旋状に巻き付けた遮蔽体によって引き起こされる遮蔽体のギャップの周期性を回避することによって、共振による信号減衰を緩和することができるが、しかしながら、遮蔽体の分離を防ぐための、多重の巻き付けは、遮蔽体の剛直性を増大させる。
【0448】
本明細書で説明されるような、導体セットを実質的に包囲するカバー部分と、導体セットのそれぞれの側で位置する挟まれた部分とを有するケーブルは、螺旋状に巻き付けられる至近の遮蔽体に依存することなく、導体セットを電気的に分離し、導体セットの周りに長手方向で折り曲げられる至近の遮蔽体に依存することなく、導体セットを電気的に分離する。螺旋状に巻き付けられた遮蔽体、及び/又は長手方向で折り曲げられた遮蔽体は、説明されるケーブルの外部の補助遮蔽体として採用される場合があり、又は採用されない場合もある。
【0449】
クロストークは、近傍の電気信号によって生成される磁場の不必要な影響によって引き起こされる。クロストーク(近端及び遠端)は、ケーブルアセンブル内での信号保全性に関する、検討事項である。近端クロストークは、ケーブルの送信端で測定される。遠端クロストークは、ケーブルの受信端で測定される。クロストークは、加害信号からの不必要な結合から、被害信号内に生じるノイズである。ケーブル内、及び/又は終端区域内の、信号線路間の近接した間隔は、クロストークが発生しやすい恐れがある。本明細書で説明されるケーブル及びコネクタは、クロストークの低減に取り組む。例えば、ケーブル内のクロストークは、遮蔽フィルムの同心部分、移行部分、及び/又は挟まれた部分が組み合わされて、可能な限り完全な、導体セットを包囲する遮蔽体を形成する場合に、かつ/又は遮蔽体間での低インピーダンス若しくは直接的な電気的接触を使用することによって、低減することができる。例えば、遮蔽体を、例えば、直接接触させることができ、ドレインワイヤーを通じて接続させることができ、かつ/又は導電性接着剤を通じて接続させることができる。ケーブルの導体とコネクタの終端との、電気的接触部位では、接触点間の離隔距離を増大させることにより、誘導結合及び静電結合を低減することによって、クロストークを低減することができる。
図22は、遠端を示す。
【0450】
図22は、導体セットが完全に分離される、すなわち、共通の接地を有さない、従来の電気ケーブルの2つの隣接する導体セット間の遠端クロストーク(FEXT)の分離(サンプル1)と、遮蔽フィルム2208が、約0.025mm離間される、
図15aに示す遮蔽電気ケーブル2202の2つの隣接する導体セット間の遠端クロストーク(FEXT)の分離(サンプル2)を示し、双方とも約3mのケーブル長を有する。このデータを作成するための試験方法は、当該技術分野において周知である。
【0451】
伝搬遅延及びスキューは、電気ケーブルの更なる電気的特性である。伝搬遅延は、ケーブルの速度係数に応じて変化し、信号が、ケーブルの一方の末端部から、ケーブルの反対側末端部まで移動するためにかかる、時間の量である。ケーブルの伝搬遅延は、システムのタイミング解析での、重要な検討事項であり得る。
【0452】
ケーブル内の2つ以上の導体間の、伝搬遅延の差異は、スキューと称される。シングルエンド回路構成内で使用される導体間、及び差動ペアとして使用される導体間では、低いスキューが、一般に望ましい。シングルエンド回路構成内で使用されるケーブルの、複数の導体間のスキューは、システム全体のタイミングに影響を及ぼし得る。差動ペア回路構成内で使用される2つの導体間のスキューもまた、検討事項である。例えば、異なる長さ(又は異なる速度係数)を有する、差動ペアの導体は、その差動ペアの信号間にスキューをもたらし得る。差動ペアのスキューは、挿入損失、インピーダンス不整合、及び/又はクロストークを増大させる場合があり、かつ/あるいは、より高いビット誤り率及びジッタをもたらす恐れがある。スキューは、差動信号の、コモンモード信号への変換を生じさせ、この信号はソースに反射して戻される恐れがあり、伝送される信号強度を低減して、電磁放射線を生じさせ、ビット誤り率、具体的にはジッタを、大幅に増大させる恐れがある。理想的には、一対の伝送線路は、スキューを有することはないが、対象用途に応じて、−25〜−30dB未満から、例えば6GHzなどの関心対象の周波数までの、差動SパラメータSCD21値又はSCD12値(伝送線路の一方の末端部から他方までの、差動モードからコモンモードへの変換を表す)を許容可能とすることができる。
【0453】
ケーブルのスキューは、単位長当りのケーブル内の導体に関する、1メートル当りの伝搬遅延の差異として、表すことができる。ペア内スキューは、二芯同軸ペア内部でのスキューであり、ペア間スキューは、2つのペア間でのスキューである。2つの単一同軸ワイヤー、又は他の更に遮蔽なしのワイヤーに関するスキューもまた存在する。本明細書で説明される遮蔽電気ケーブルは、最大約10Gbpsのデータ速度で、約20ピコ秒/メートル(p秒/m)未満の、又は約10p秒/m未満のスキュー値を達成することができる。
【0454】
試験される4つのケーブルのタイプに関する電気的仕様を、表1に示す。試験ケーブルのうちの2つ、Sn1、Sn2は、サイドバンド、例えば、低周波信号ケーブルを含む。試験ケーブルのうちの2つ、Sn2、Ag2は、サイドバンドを含まないものとした。
【0455】
【表3】
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【0456】
ジッタは、信号品質を低減する、スキュー、反射、パターン依存性干渉、伝搬遅延、及び結合ノイズを伴う、複合特性である。一部の規格は、ジッタを、制御された信号エッジと、その公称値からの、時間偏差として定義している。デジタル信号では、ジッタは、1つの論理状態から、デジタル状態が不確定である別の論理状態へと切り替わる際の、信号の部分として、見なすことができる。アイパターンは、システム的な歪み及び無秩序な歪みの影響を含むため、全体的な信号品質を測定するための有用な手段である。アイパターンを使用して、論理状態遷移の間に、差動電圧ゼロ交差でのジッタを測定することができる。典型的には、ジッタ測定値は、時間の単位で、又は単位間隔の百分率として与えられる。アイの「開放性」は、信号内に存在する、減衰、ジッタ、ノイズ、及びクロストークのレベルを反映する。
【0457】
前述のように、螺旋状に巻き付けられた遮蔽体、長手方向で折り曲げられた遮蔽体、及び/又は多重に巻き付けられた遮蔽体は、ケーブルの剛直性を不必要に増大させる恐れがある。
図43に示すケーブル構成などの、本明細書で説明されるケーブル構成の一部は、螺旋状に巻き付けられた遮蔽体、長手方向で折り曲げられた遮蔽体、及び/又は多重に巻き付けられた遮蔽体を有するケーブルと同様の、若しくはより良好な、挿入損失特性を提供することができるが、また、剛直性の低減も提供することができる。
【0458】
本開示で論じられる実施形態は、好ましい実施形態の説明を目的として、本明細書で図示され、説明されており、当業者には、同じ目的を達成することが予測される多種多様な代替の実装及び/又は等価の実装を、本発明の範囲から逸脱することなく、図示され、説明される具体的な実施形態と置き換え得ることが理解されるであろう。機械的技術、電気機械的技術、及び電気的技術の当業者には、本発明を、極めて多種多様な実施形態で実装し得ることが、容易に理解されるであろう。本出願は、本明細書で論じられる好ましい実施形態のいずれの適応又は変型をも含むことが意図される。それゆえ、本発明は、特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されることが、明らかに意図される。
【0459】
以下の品目は、本発明の態様による、遮蔽電気ケーブルの例示的実施形態である。
【0460】
品目1は、遮蔽電気ケーブルであって、この遮蔽電気ケーブルは、ケーブルの長さに沿って延在し、かつケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットが、1つ以上の絶縁導体を含む、複数の導体セットと、ケーブルの対向する側に配置される第1及び第2の遮蔽フィルムであって、これらの第1及び第2のフィルムは、カバー部分及び挟まれた部分を含み、横断面において、第1及び第2のフィルムのカバー部分が組み合わされて、各導体セットを実質的に包囲し、第1及び第2のフィルムの挟まれた部分が組み合わされて、各導体セットのそれぞれの側で、ケーブルの挟まれた部分を形成するように配置される第1及び第2の遮蔽フィルムと、ケーブルの挟まれた部分内で、第1遮蔽フィルムを第2遮蔽フィルムに結合する、第1接着剤層とを含み、複数の導体セットは、隣り合う第1及び第2の絶縁導体を含む第1導体セットを含み、第1及び第2の遮蔽フィルムの対応する第1カバー部分と、第1導体セットの一方の側上にケーブルの第1挟まれた領域を形成する、対応する、第1及び第2の遮蔽フィルムの第1挟まれた部分とを有し、第1及び第2の遮蔽フィルムの、第1カバー部分間の最大離隔距離は、Dであり、第1及び第2の遮蔽フィルムの、第1挟まれた部分間の最小離隔距離は、d
1であり、d
1/Dは、0.25未満であり、第1及び第2の絶縁導体間の領域内の、第1及び第2の遮蔽フィルムの、第1カバー部分間の最小離隔距離は、d
2であり、d
2/Dは、0.33よりも大きい。
【0461】
品目2は、品目1のケーブルであり、d
1/Dが、0.1未満である。
【0462】
品目3は、遮蔽電気ケーブルであって、この遮蔽電気ケーブルは、ケーブルの長さに沿って延在し、かつケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットが、1つ以上の絶縁導体を含む、複数の導体セットと、ケーブルの対向する側に配置される第1及び第2の遮蔽フィルムであって、これらの第1及び第2のフィルムは、カバー部分及び挟まれた部分を含み、横断面において、第1及び第2のフィルムのカバー部分が組み合わされて、各導体セットを実質的に包囲し、第1及び第2のフィルムの挟まれた部分が組み合わされて、各導体セットのそれぞれの側で、ケーブルの挟まれた部分を形成するように配置される第1及び第2の遮蔽フィルムと、ケーブルの挟まれた部分内で、第1遮蔽フィルムを第2遮蔽フィルムに結合する、第1接着剤層とを含み、複数の導体セットは、隣り合う第1及び第2の絶縁導体を含む第1導体セットを含み、第1及び第2の遮蔽フィルムの対応する第1カバー部分と、第1導体セットの一方の側上に第1挟まれたケーブル部分を形成する、対応する、第1及び第2の遮蔽フィルムの第1挟まれた部分とを有し、第1及び第2の遮蔽フィルムの、第1カバー部分間の最大離隔距離は、Dであり、第1及び第2の遮蔽フィルムの、第1挟まれた部分間の最小離隔距離は、d
1であり、d
1/Dは、0.25未満であり、第1絶縁導体の、第2絶縁導体に対する高周波電気的分離は、第1導体セットの、隣接する導体セットに対する高周波電気的分離よりも、実質的に小さい。
【0463】
品目4は、品目3のケーブルであり、d
1/Dが、0.1未満である。
【0464】
品目5は、品目3のケーブルであり、第1絶縁導体の、第2導体に対する高周波分離が、3〜15GHzの指定周波数範囲及び1メートルの長さにおいて、第1遠端クロストークC1であり、第1導体セットの、隣接する導体セットに対する高周波分離が、指定周波数での第2遠端クロストークC2であり、C2が、C1よりも、少なくとも10dB低い。
【0465】
品目6は、品目3のケーブルであり、第1及び第2の遮蔽フィルムのカバー部分が組み合わされて、各導体セットの周辺部の少なくとも70%を取り囲むことによって、各導体セットを実質的に包囲する。
【0466】
品目7は、遮蔽電気ケーブルであって、この遮蔽電気ケーブルは、ケーブルの長さに沿って延在し、かつケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットが、1つ以上の絶縁導体を含む、複数の導体セットと、同心部分、挟まれた部分、及び移行部分を含む、第1及び第2の遮蔽フィルムであって、横断面において、同心部分が各導体セットの1つ以上の端部導体と実質的に同心であり、第1及び第2の遮蔽フィルムの挟まれた部分が組み合わされて、導体セットの2つの側に、ケーブルの挟まれた部分を形成し、移行部分が同心部分と挟まれた部分との間に緩やかな移行を提供するように配置される第1及び第2の遮蔽フィルムとを含み、各遮蔽フィルムは、導電層を含み、移行部分のうちの第1移行部分は、1つ以上の端部導体のうちの第1端部導体に近接しており、第1及び第2の遮蔽フィルムの導電層と、同心部分と、第1端部導体に近接する挟まれた部分のうちの第1挟まれた部分との間の面積として定義される、断面積A
1を有し、A
1は、第1端部導体の断面積よりも小さく、各遮蔽フィルムは、ケーブルの幅にわたって変化する曲率半径によって、横断面において特徴付けられ、各遮蔽フィルムに関する曲率半径は、ケーブルの幅にわたって、少なくとも100マイクロメートルである。
【0467】
品目8は、品目7のケーブルであり、断面積A
1が、1つの境界として、第1挟まれた部分の境界を含み、この境界は、第1及び第2遮蔽フィルム間の離隔距離dが、第1挟まれた部分での第1及び第2遮蔽フィルム間の最小離隔距離d
1の約1.2〜約1.5倍である、第1挟まれた部分に沿った位置によって画定される。
【0468】
品目9は、品目8のケーブルであり、断面積A
1が、1つの境界として、第1遮蔽フィルムの変曲点で第1の終端点を有する線分を含む。
【0469】
品目10は、品目8のケーブルであり、この線分が、第2遮蔽フィルムの変曲点で、第2の終端点を有する。
【0470】
品目11は、遮蔽電気ケーブルであって、この遮蔽電気ケーブルは、ケーブルの長さに沿って延在し、かつケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットが、1つ以上の絶縁導体を含む、複数の導体セットと、同心部分、挟まれた部分、及び移行部分を含む、第1及び第2の遮蔽フィルムであって、横断面において、同心部分が各導体セットの1つ以上の端部導体と実質的に同心であり、第1及び第2の遮蔽フィルムの挟まれた部分が組み合わされて、導体セットの2つの側に、ケーブルの挟まれた領域を形成し、移行部分が同心部分と挟まれた部分との間に緩やかな移行を提供するように配置される第1及び第2の遮蔽フィルムとを含み、2つの遮蔽フィルムの一方は、同心部分のうちの第1同心部分、挟まれた部分のうちの第1挟まれた部分、及び移行部分のうちの第1移行部分を含み、第1移行部分は、第1同心部分を第1挟まれた部分に接続し、第1同心部分は、曲率半径R
1を有し、移行部分は、曲率半径r
1を有し、R
1/r
1は、2〜15の範囲である。
【0471】
品目12は、品目1のケーブルであり、ケーブルの特性インピーダンスが、1メートルのケーブル長にわたって、標的特性インピーダンスの5〜10%の範囲内に維持される。
【0472】
品目13は、電気リボンケーブルであって、この電気リボンケーブルは、ケーブルの末端部から末端部まで延在する少なくとも2つの細長形導体を含む、少なくとも1つの導体セットであって、各導体が、対応する第1誘電体によって、ケーブルの長さに沿って取り囲まれる、少なくとも1つの導体セットと、ケーブルの末端部から末端部まで延在して、ケーブルの対向する側に配置される第1及び第2のフィルムであって、導体が、これらの第1及び第2のフィルムに固定的に連結されることにより、一貫した間隔が、ケーブルの長さに沿って、各導体セットの導体の第1誘電体間に維持される、第1及び第2のフィルムと、各導体セットのワイヤーの第1誘電体間の間隔内部に配置される、第2誘電体とを含む。
【0473】
品目14は、遮蔽電気リボンケーブルであって、この遮蔽電気リボンケーブルは、ケーブルに沿って縦方向に延在し、かつケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットが、1つ以上の絶縁導体を含み、導体セットが、第2導体セットに隣接する第1導体セットを含む、複数の導体セットと、ケーブルの対向する側に配置される第1及び第2の遮蔽フィルムであって、これらの第1及び第2のフィルムは、カバー部分及び挟まれた部分を含み、横断面において、第1及び第2のフィルムのカバー部分が組み合わされて、各導体セットを実質的に包囲し、第1及び第2のフィルムの挟まれた部分が組み合わされて、各導体セットのそれぞれの側で、ケーブルの挟まれた部分を形成するように配置される第1及び第2の遮蔽フィルムとを含み、ケーブルが平坦に配置される場合、第1導体セットの第1絶縁導体は、第2導体セットの直近にあり、第2導体セットの第2絶縁導体は、第1導体セットの直近にあり、第1及び第2の絶縁導体は、中心間の間隔Sを有し、第1絶縁導体は、外法寸法D1を有し、第2絶縁導体は、外法寸法D2を有し、S/Dminは、1.7〜2の範囲であり、Dminは、D1及びD2のうちの小さい方である。
【0474】
品目15は、コネクタアセンブリと組み合わせた、品目1〜14のうちのいずれかのケーブルであり、このコネクタアセンブリは、ケーブルの第1末端部でケーブルの導体セットと電気的に接触する、複数の電気的終端であって、これらの電気的終端は、嵌合コネクタの、対応する嵌合電気的終端と、電気的に接触するように構成される、複数の電気的終端と、複数の電気的終端を、平面的な、離間した構成に保持するように構成される、少なくとも1つのハウジングとを含む。
【0475】
品目16は、品目15の組み合わせであり、複数の電気的終端が、導体セットの導体の処理済末端部を含む。
【0476】
品目17は、品目15の組み合わせであり、この組み合わせは、複数のケーブルを更に含み、複数の電気的終端が、電気的終端の複数のセットを含み、電気的終端の各セットが、対応するケーブルの導体セットと電気的に接触し、少なくとも1つのハウジングが、複数のハウジングを含み、各ハウジングが、電気的終端のセットを、平面的な、離間した構成に保持するように構成され、複数のハウジングが、積み重ね体の形に配置されて、電気的終端のセットの2次元配列を形成する。
【0477】
品目18は、品目15の組み合わせであり、この組み合わせは、複数のケーブルを更に含み、複数の電気的終端が、電気的終端の複数のセットを含み、電気的終端の各セットが、対応するケーブルの導体セットと電気的に接触し、少なくとも1つのハウジングが、電気的終端の複数のセットを2次元配列に保持するように構成される、1つのハウジングを含む。
【0478】
品目19は、コネクタアセンブリと組み合わせた、品目1〜14のいずれかのケーブルであり、このコネクタアセンブリは、ケーブルの第1末端部で導体セットと電気的に接触する、第1の電気的終端のセットと、ケーブルの第2末端部で導体セットと電気的に接触する、第2の電気的終端のセットと、少なくとも1つのハウジングとを含み、このハウジングは、第1の電気的終端のセットを、平面的な、離間した構成に保持するように構成される、第1末端部、及び第2の電気的終端のセットを、平面的な、離間した構成に保持するように構成される、第2末端部を含む。
【0479】
品目20は、品目19の組み合わせであり、ハウジングが、第1末端部と第2末端部との間に角度を形成する。
【0480】
品目21は、品目19の組み合わせであり、この組み合わせは、複数のケーブルを更に含み、各ケーブルが、対応する第1の電気的終端のセット、及び対応する第2の電気的終端のセットに、電気的に接続され、少なくとも1つのハウジングが、複数のハウジングを含み、それらの複数のハウジングが、第1の電気的終端のセットを含む第1の2次元配列と、第2の電気的終端のセットを含む第2の2次元配列とを形成する、積み重ね体の形に配置される。
【0481】
品目22は、品目19の組み合わせであり、この組み合わせは、複数のケーブルを更に含み、各ケーブルが、対応する第1の電気的終端のセット、及び対応する第2の電気的終端のセットに、電気的に接続され、ハウジングが、ハウジングの第1末端部で、第1の2次元配列内に、第1の電気的終端のセットのそれぞれを保持し、ハウジングの第2末端部で、第2の2次元配列内に、第2の電気的終端のセットのそれぞれを保持するように構成される、一体型ハウジングを含む。
【0482】
品目23は、その上に導電トレースが配置される基板と組み合わせた、品目1〜14のうちのいずれかのケーブルであり、この導電トレースは、接続部位に電気的に接続され、ケーブルの導体セットが、この接続部位で、基板に電気的に接続される。
【0483】
品目24は、品目23の組み合わせであり、この組み合わせは、複数のケーブルを更に含み、各ケーブルの導体セットが、基板上の対応する接続部位のセットに、電気的に接続される。
【0484】
品目25は、品目23の組み合わせであり、導体セットが、1つ以上の同軸導体セット及び二芯同軸導体セットを含み、1つ以上のドレインワイヤーが、遮蔽フィルムと電気的に接触し、ケーブルが、導体セットよりも少ないドレインワイヤーを含み、ドレインワイヤーが、基板上のドレインワイヤー接続部位と電気的に接触する。
【0485】
品目26は、品目23の組み合わせであり、このケーブルは、少なくとも1つの二芯同軸導体セット、及び隣接するドレインワイヤーを含み、ドレインワイヤーと導体セットの直近の導体との離隔距離が、導体セットの導体の中心間距離の、約0.5倍よりも大きい。
【0486】
品目27は、品目23(claim 23)の組み合わせであり、この組み合わせは、第2縁部接続部位を更に含み、前述の接続部位が、第1縁部接続部位であり、導電トレースが、第1縁部接続部位と、対応する第2縁部接続部位とを電気的に接続して、第1縁部接続部位と第2縁部接続部位との第1セットが、基板の第1平面上に配置され、第1縁部接続部位と第2縁部接続部位との第2セットが、基板の第2平面上に配置される。
【0487】
品目28は、品目27の組み合わせであり、遮蔽フィルムが、第1縁部接続部位の付近の導体セットの分離の点を越えて遮蔽体が連続することを可能にする、スリットを含む。
【0488】
品目29は、品目23の組み合わせであり、この組み合わせは、第2縁部接続部位を更に含み、前述の接続部位が、第1縁部接続部位であり、導電トレースが、第1縁部接続部位と、対応する第2縁部接続部位とを電気的に接続して、第1縁部接続部位、第2縁部接続部位、及び導電トレースの第1セットが、第1縁部接続部位、第2縁部接続部位、及び導電トレースの第2セットから、基板上で物理的に離隔される。
【0489】
品目30は、品目29の組み合わせであり、第1縁部接続部位、第2縁部接続部位、及び導電トレースの第1セットが、送信信号接続であり、第1縁部接続部位、第2縁部接続部位、及び導電トレースの第2セットが、受信接続である。
【0490】
品目31は、コネクタアセンブリであり、このコネクタアセンブリは、積み重ね体の形に配置される複数の平形ケーブルであって、各ケーブルが、第1末端部、第2末端部、第1面、及び第2面、並びに第1末端部から第2末端部まで延在する複数の導体セットを含む、複数の平形ケーブルと、第1の電気的終端のセットであって、第1の電気的終端のセットのそれぞれが、対応するケーブルの第1末端部で、複数の導体セットと電気的に接触する、第1の電気的終端のセットと、第2の電気的終端のセットであって、第2の電気的終端のセットのそれぞれが、対応するケーブルの第2末端部で、複数の導体セットと電気的に接触する、第2の電気的終端のセットと、各ケーブルと隣接するケーブルとの間に配置される、1つ以上の導電性遮蔽体と、第1末端部及び第2末端部を有する、コネクタハウジングであって、このハウジングは、ハウジングの第1末端部で、第1の2次元配列内に、第1の電気的終端のセットを保持し、ハウジングの第2末端部で、第2の2次元配列内に、第2の電気的終端のセットを保持するように構成される、コネクタハウジングとを含む。
【0491】
品目32は、品目31のコネクタアセンブリであり、コネクタハウジングが、第1末端部から第2末端部までに角度を形成する。
【0492】
品目33は、品目32のコネクタアセンブリであり、積み重ね体内のケーブルの物理長が、実質的に、ケーブルごとに変化しない。
【0493】
品目34は、品目31のコネクタアセンブリであり、各ケーブルが、斜め方向で折り曲げられ、各ケーブルの第1面の部分、及び各ケーブルの第2面の部分が、隣接するケーブルの第1面の部分、及び隣接するケーブルの第2面の部分に面するように、ハウジング内に配置される。
【0494】
品目35は、品目31のコネクタアセンブリであり、各ケーブルは、最も内側の終端位置、及び最も外側の終端位置が、ハウジングの第1末端部からハウジングの第2末端部までで逆転しないように、折り曲げられる。
【0495】
品目36は、品目31のコネクタアセンブリであり、複数のケーブルが、品目1〜14のケーブルのうちのいずれかを含む。
【0496】
品目37は、コネクタアセンブリであり、このコネクタアセンブリは、複数のケーブルの折り曲げられた積み重ね体の形に、一体となって配置される、複数のケーブルであって、各ケーブルが、1つ以上の導体セット、及び曲率半径によって特徴付けられる横断方向の折り曲げを有し、このケーブルの折り曲げの曲率半径が、折り曲げられた積み重ね体内のケーブルごとに変化し、導体セットの電気長が、折り曲げられた積み重ね体内のケーブルごとに、実質的に変化することがない、複数のケーブルと、第1の電気端子のセットであって、第1の電気端子のセットのそれぞれが、対応するケーブルの導体セットの第1末端部と電気的に接触する、第1の電気端子のセットと、第2の電気端子のセットであって、第2の電気端子のセットのそれぞれが、対応するケーブルの導体セットの第2末端部と電気的に接触する、第2の電気端子のセットと、折り曲げられた積み重ね体内の隣接するケーブル間に配置される1つ以上の導電性遮蔽体と、ハウジングであって、このハウジングは、ハウジングの第1末端部で、第1の2次元配列内に、第1の電気端子のセットを保持し、ハウジングの第2末端部で、第2の2次元配列内に、第2の電気端子のセットを保持するように構成される、ハウジングとを含む。
【0497】
品目38は、品目37のコネクタアセンブリであり、ケーブルが、品目1〜14のケーブルのうちのいずれかを含む。
【0498】
具体的な実施形態は、好ましい実施形態の説明を目的として、本明細書で図示され、説明されているが、当業者には、同じ目的を達成することが予測される多種多様な代替の実装及び/又は等価の実装を、本発明の範囲から逸脱することなく、図示され、説明される具体的な実施形態と置き換え得ることが理解されるであろう。機械的技術、電気機械的技術、及び電気的技術の当業者には、本発明を、極めて多種多様な実施形態で実装し得ることが、容易に理解されるであろう。本出願は、本明細書で論じられる好ましい実施形態のいずれの適応又は変型をも含むことが意図される。それゆえ、本発明は、特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されることが、明らかに意図される。