(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜3何れか1項記載の少なくとも一つの化合物または請求項4記載の少なくとも一つのポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーと少なくとも一つの溶媒を含む調合物。
請求項1〜3何れか1項記載の少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれる電子素子。
アノード、カソードと少なくとも一つの発光層を含み、ここで、素子の少なくとも一つの層が、発光層、電子輸送層、電子注入層および正孔ブロック層から選ばれ、請求項1〜3何れか1項記載の少なくとも一つの化合物を含む、有機エレクトロルミッセンス素子から選ばれる請求項6記載の電子素子。
【技術分野】
【0001】
本出願は、分子中にインデノカルバゾール基、カルバゾール基と電子不足ヘテロアリール基を含む式(I)の化合物に関する。化合物は、電子素子で使用することができる。
【0002】
本出願の意味での電子は、特に、機能性材料として有機半導体材料を含むいわゆる有機電子素子の意味で使用される。また、特に、これらは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)と本発明の詳細な説明中で以下に示される他の電子素子の意味で使用される。
【0003】
一般的に、用語OLEDは、少なくとも一つの有機材料を含み、電圧の印加により発光する電子素子の意味で使用される。OLEDの正確な構造は、とりわけ、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。
【0004】
電子素子、特に、OLEDの特性データ、特に、寿命、効率と駆動電圧を改善することに主な関心がある。ここで、有機発光層、特に、そこに存在するマトリックス材料と電子輸送機能を有する有機層によって、重要な役割がなされる。
【0005】
この技術的目的を達成するために、発光層中で、特に、燐光発光層中で、マトリックス材料としての使用に適する新規な材料が、引き続き探索されている。さらに、電子輸送および/または正孔ブロック特性を有する材料が、対応する機能層での使用のために探索されている。
【0006】
本出願の意味で燐光発光層は、少なくとも一つの燐光エミッター化合物を含む有機層である。
【0007】
エミッター層のエミッター化合物は、典型的には、電子素子の駆動時に発光する化合物である。
【0008】
本出願にしたがって、用語燐光エミッターは、その発光が、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または比較的高いスピン量子数を有する状態、たとえば、五重項状態からの遷移により生じる化合物を包含する。
【0009】
2以上の材料を含む系中でマトリックス材料は、混合物中のその割合が、より多い成分の意味で使用される。2以上の材料を含む系中でドーパントは、混合物中のその割合が、より少ない成分の意味で使用される。用語マトリックス材料に代えて、用語ホスト材料も多くの場合に使用される。
【0010】
エミッター化合物が、発光層中で1以上のさらなる化合物と組み合わせて使用されるならば、混合物中のその割合は、典型的にはより小さい。この場合、それは、ドーパント化合物とも称される。1以上のさらなる化合物は、典型的には、混合物中で相対的により多い割合で存在し、したがって、上記定義にしたがい、マトリックス材料と称されることができる。
【0011】
電子素子中に1以上のカルバゾール基を含む化合物の使用は、先行技術、たとえば、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO2008/086851から知られている。
【0012】
電子素子中に1以上のインデノカルバゾール基を含む化合物の使用は、さらに、先行技術、たとえば、WO2010/136109およびWO2011/000455から知られている。
【0013】
電子素子中に1以上の電子不足複素環式芳香族6員環を含む化合物の使用は、さらに、先行技術、たとえば、WO2010/015306、WO 2007/063754およびWO2008/056746から知られている。
【0014】
しかしながら、電子素子での使用のための、特に、有機エレクトロルミッセンス素子の燐光発光層のマトリックス材料としての使用のための代替化合物に対する需要が引き続き存在する。
【0015】
先行技術は、また、さらに、電子素子中に1以上の電子不足複素環式芳香族6員環、1以上のカルバゾール基と1以上のインデノカルバゾール基の両方を含む化合物の使用を開示する。このような化合物と電子素子でのその使用は、たとえば、WO2010/136109、WO2011/000455、WO2012/069121およびWO2012/014500に開示されている。
【0016】
しかしながら、これらの化合物を超える改善、特に、その化合物を含む素子の駆動電圧、パワー効率と寿命に関して、改善に対するニーズが引き続き存在する。
【0017】
驚くべきことに、優れた性能データが、N原子を介して電子不足6員複素環式芳香族環に連結し、その炭素原子の1つを介して結合したカルバゾール置換基を担持するある種のインデノカルバゾール異性体化合物により達成することができることが、今回、見出された。特に、有機エレクトロルミッセンス素子での使用に関して、優れた寿命とパワー効率が、達成される。
【0018】
したがって、本出願は、式(I)の化合物に関し;
【化1】
【0019】
ここで、
Yは、NまたはCR
1であり、ここで、6員環中の少なくとも2つの基YはNであらねばならず;
Zは、CR
1またはNであり;
Vは、CR
2またはNであり;
Ar
1は、1以上の基R
1により置換されてよい6〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Ar
2は、1以上の基R
1により置換されてよい6〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Br、Cl、I、C(=O)R
3、CN、Si(R
3)
3、N(R
3)
2、P(=O)(R
3)
2、S(=O)R
3、S(=O)
2R
3、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
3C=CR
3-、-C≡C-、Si(R
3)
2、C=O、C=NR
3、-C(=O)O-、-C(=O)NR
3-、NR
3、P(=O)(R
3)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2以上の基R
1は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
R
2は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Br、Cl、I、C(=O)R
3、CN、Si(R
3)
3、N(R
3)
2、P(=O)(R
3)
2、S(=O)R
3、S(=O)
2R
3、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
3C=CR
3-、-C≡C-、Si(R
3)
2、C=O、C=NR
3、-C(=O)O-、-C(=O)NR
3-、NR
3、P(=O)(R
3)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;
R
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Br、Cl、I、C(=O)R
4、CN、Si(R
4)
3、N(R
4)
2、P(=O)(R
4)
2、S(=O)R
4、S(=O)
2R
4、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
4により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
4C=CR
4-、-C≡C-、Si(R
4)
2、C=O、C=NR
4、-C(=O)O-、-C(=O)NR
4-、NR
4、P(=O)(R
4)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
4により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造または、1以上の基R
4により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2以上の基R
3は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
R
4は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であって、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここで、2以上の置換基R
4は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
nは、0または1であり;
mは、0または1であり;
ここで、式(I)中で
a)Nである二個を超えない基Yが存在し、および
b)Nであるこれら二個の基Yが、6員環上で互いにメタ位に位置する
の両方であるならば、添え字nは、0である。
【0020】
Nである基Yが、6員環上で互いにメタ位に位置するという表現は、本出願の目的のために、Nである基Yが、6員環中で隣接せず、その代わりに、正確に1値の他の基Yがそれらの間に位置するという意味で使用される。したがって、Nである基Yは、1つ以外の次の基Yが、各場合にNである基であり、次の基YがCR
1であるように6員環中に配置される。
【0021】
本出願の目的のために、化学基の以下の定義が適用される:
本発明の意味でのアリール基は、6〜60個の芳香族環原子を含み;本発明の意味でのヘテロアリール基は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1つは、ヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選ばれる。これが、基本的な定義である。他の選好が、たとえば、存在する芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して本発明の説明において示されるならば、これらが適用される。
【0022】
ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環すなわちベンゼン、または、簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはチオフェン等、または、縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾールの何れかの意味で使用される。本発明の意味での縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基は、互いに縮合した二以上の単純芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。
【0023】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各場合に、上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基の意味で使用される。
【0024】
本発明の定義にしたがうアリールオキシ基は、酸素を介して結合する上記定義のとおりのアリール基の意味で使用される。同様の定義が、ヘテロアリール基にあてはまる。
【0025】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、sp
3混成のC、Si、NあるいはO原子、sp
2混成のCあるいはN原子もしくはsp混成のC原子のような非芳香族単位(好ましくは、H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により連結されていてもよい構造の意味で使用される。このように、たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用される。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の意味で使用される。
【0026】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれらの基の組み合わせから誘導される基の意味で使用される。
【0027】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0028】
二個以上の基が、互いに環を形成してもよいという表現は、本出願の目的のために、特に、二個の基が化学結合により互いに結合する意味で使用される。これは、以下のスキームにより図解される。
【化2】
【0029】
しかしながら、さらに、上記言及した表現は、二個の基の一つが水素である場合には、第二の基は、水素原子が結合した位置で結合して環を形成する意味で使用される。これは、以下のスキームにより図解される。
【化3】
【0030】
好ましい1態様にしたがうと、添え字mは、0である。
【0031】
さらに、好ましい1態様にしたがうと、6員環中の2個を超えない基YがNであるならば、添え字nは0である。特に、好ましい1態様にしたがうと、6員環中の正確に3個の基YがNであるならば、添え字nは0または1であり、全ての他の場合には添え字nは0である。
【0032】
さらに、好ましい1態様にしたがうと、芳香族環中の最大3個の基ZはNであり、特に、好ましくは、芳香族環中の最大2個の基ZはNであり、非常に、特に、好ましくは、芳香族環中の最大1個の基ZはNである。
【0033】
6員環中の2個を超えない隣接する基ZがNであることが、さらに好ましい。
【0034】
ZがCR
1であることが、特別に好ましい。
【0035】
さらに、好ましい態様にしたがうと、芳香族環中の最大3個の基Vは、Nであり、特に、好ましくは、芳香族環中の最大2個の基Vは、Nであり、非常に、特に、好ましくは、芳香族環中の最大1個の基Vは、Nである。
【0036】
6員環中の1個を超えない2個の隣接する基VがNであることが、さらに好ましい。
【0037】
VがCR
2であることが、特別に好ましい。
【0038】
基Yに対しては、環中の正確に2個または正確に3個の基Yが、Nであり、残る基Yが、CR
1であることが好ましい。環中の正確に3個の基Yが、Nであり、残る基Yが、CR
1であることが、特に、好ましい。基Yに対しては、2個を超えない隣接する基Yが、Nであり、特に、好ましくは、隣接しない基Yが、Nであることが好ましい。
【0039】
さらに、好ましい1態様にしたがうと、CR
1である基Y中の基R
1が、互いに環を形成する。これらは、好ましくは、CR
1である隣接する基Y中の基R
1である。この場合、特に、好ましくは、CR
1である隣接する基Y中の基R
1は、縮合ベンゼン環を形成する。この場合、正確に2個の基Yが、Nであることが、非常に、特に、好ましい。
【0040】
基Ar
1に対しては、Ar
1が、以下の式(Ar
1−1)の基であることが好ましく、
【化4】
【0041】
ここで、破線は、インデノカルバゾール基と基Yを含む6員環への結合であり、
Ar
3は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
1により置換されてよい6〜18個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、R
1は、上記定義されるとおりであり、および
kは、1、2、3または4であり、ここで、添え字kは、全体の基Ar
1中の芳香族環原子の数が、数40を超えないように選ばれる。
【0042】
Ar
3は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、6〜14個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、特に、好ましくは、6〜10個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、および、非常に、特に、好ましくは、6個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、前記基は、1以上の基R
1により置換されてよい。
【0043】
好ましい態様にしたがうと、ここで、基R
1は、それらが結合するアリールもしくはヘテロアリール基Ar
3間に環を形成する。特別に、好ましくは、フェニルである2個の基Ar
3は、結合してフルオレニル基を形成する。
【0044】
添え字kは、好ましくは、1、2または3、特に、好ましくは、1または2である。
【0045】
基Ar
1の好ましい態様は、以下に示される式(Ar
1−I−1)〜(Ar
1−I−26)である
【化5-1】
【化5-2】
【化5-3】
【0046】
ここで、破線はインデノカルバゾール基と基Yを含む6員環への結合であり、基は、全ての遊離位置で基R
1により置換されてよい。
【0047】
Ar
2に対しては、1以上の基R
1により置換されてよい6〜30個の芳香族環原子、特に、好ましくは、6〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれることが好ましい。
【0048】
式(Y)の基の好ましい態様は、
【化6】
【0049】
式(I)の構成成分として、以下の式(Y−1)〜(Y−6)であり、
【化7】
【0050】
式中、波線は化合物の残部への結合であり、R
1とR
3は、上記で定義されるとおりである。
【0051】
これらの中で、式(Y−1)が、特に、好ましい。
【0052】
基R
1は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R
3)
3、N(R
3)
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-C≡C-、-R
3C=CR
3-、Si(R
3)
2、C=O、C=NR
3、-NR
3-、-O-、-S-、-C(=O)O-、-C(=O)NR
3-で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基R
1は、たがいに結合してよく、および環を形成してよい。
【0053】
基R
2は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R
3)
3、N(R
3)
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
3により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-C≡C-、-R
3C=CR
3-、Si(R
3)
2、C=O、C=NR
3、-NR
3-、-O-、-S-、-C(=O)O-、-C(=O)NR
3-で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。
【0054】
基R
3は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R
4)
3、N(R
4)
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
4により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-C≡C-、-R
4C=CR
4-、Si(R
4)
2、C=O、C=NR
4、-NR
4-、-O-、-S-、-C(=O)O-、-C(=O)NR
4-で置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基R
4により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基R
3は、たがいに結合してよく、および環を形成してよい。
【0055】
基Ar
2のインデンノカルバゾールへの結合に関して、これは、以下の式(I−A)中で「a」と「B」で示される位置、特に、好ましくは、「a」で示される位置にあることが好ましい。添え字mが0であるならば、対応する状況が、Ar
2に代え結合したカルバゾールにあてはまる。
【0056】
式(I−A)において、
【化8】
【0057】
破線は、式(I)の残部への結合を示し、上記言及した位置「a」と「b」は、矢により示される。
【0058】
基Ar
2のカルバゾールへの結合に関して、これは、以下の式(I−B)中で「c」と「d」で示される位置、特に、好ましくは、「c」で示される位置にあることが好ましい。添え字mが0であるならば、対応する状況が、Ar
2に代わって結合したインデノカルバゾールにあてはまる。
【0059】
式(I−B)において、
【化9】
【0060】
破線は、式(I)の残部への結合であり、上記言及した位置「c」と「d」は、矢により示される。
【0061】
式(I)の化合物の好ましい態様は、以下の式(I−1)〜(I−2)の1つであり、
【化10】
【0062】
式中、出現する記号は、上記定義のとおりであり、式(I−1)に対しては、Nである2個を超えない基Yが存在し、かつ、Nであるこれら2個の基Yが、6員環上で互いにメタ位に位置する場合が生じてはならない。
【0063】
式(I−1)に対しては、6員環中で2個を超える、特に、好ましくは、正確に3個の基Yが、Nであることが好ましい。
【0064】
式(I−1)と(I−2)に対しては、基Ar
1、Z、V、R
1およびR
2の上記好ましい態様が、さらに、好ましい。
【0065】
さらに、インデノカルバゾールとカルバゾールとの間の結合位置に関する上記好ましい態様が、さらに、同様に好ましい。
【0066】
さらに、好ましくは、式(I−1)と(I−2)中で基Yを含む6員環が、上記言及した式(Y−1)〜(Y−6)の1つ、特に、好ましくは、(Y−1)である。
【0067】
式(I)の化合物の、特に、好ましい態様は、以下の式(I−1−1)〜(I−1−3)および(I−2−1)〜(I−2−3)であり、
【化11-1】
【化11-2】
【0068】
式中出現する記号は、上記定義のとおりであり、6員環上で結合した基R
1またはR
2は、6員環の全ての遊離位置が、それぞれ基R
1またはR
2により置換されてよいことを意味し、
および、ここで、式(I−1−1)〜(I−1−3)に対しては、6員環中で2個を超える、好ましくは、正確に3個の基Yが、Nである。
【0069】
式(I−1−1)〜(I−1−3)および(I−2−1)〜(I−2−3)に対しては、基Ar
1、R
1およびR
2の上記好ましい態様が、さらに、好ましい。
【0070】
上記式中のカルバゾールは、式(I−B)に対して示されるとおりの「c」と「d」の位置の1つ、特に、好ましくは、位置「c」で結合することが、さらに好ましい。
【0071】
さらに、好ましくは、上記言及した式中で基Yを含む6員環が、上記言及した式(Y−1)〜(Y−6)の1つ、特に、好ましくは、(Y−1)である。
【0072】
式(I−1−1)〜(I−1−3)および(I−2−1)〜(I−2−3)の中で、特に、好ましいのは、2つの式(I−1−2)と式(I−2−2)であり、特に、基R
1およびR
2およびAr
1の上記好ましい態様との組み合わせである。
【0073】
以下の表は、式(I)の化合物の例を示す。
【化12-1】
【化12-2】
【化12-3】
【化12-4】
【化12-5】
【化12-6】
【化12-7】
【化12-8】
【化12-9】
【化12-10】
【化12-11】
【化12-12】
【0074】
本発明による化合物を、有機合成化学の知られた合成工程により、調製することができる。これらは、たとえば、スズキおよびブッフバルトカップリング反応、臭素化およびハロゲン化等の遷移金属触媒カップリング反応を含む。
【0075】
本発明の化合物の調製のための例示プロセスが、以下に示される。示されたプロセスは、本発明の化合物の調製のために、特に、適している。しかしながら、代替のプロセスが、ある場合には好ましいと見なされ、可能である。対応して、当業者は、その一般的専門知識の範囲内で上記示されたプロセスを変形することができるであろう。
【0076】
本発明の化合物は、好ましくは、スキーム1に示されるとおりに合成される。スキーム1における化合物は、任意の遊離位置で、任意の所望の有機基Rにより置換されてよい。
【0077】
ここで、インデノカルバゾール化合物が、第1工程で、電子不足ヘテロアリール基を含むハロゲン化アリール化合物と反応する。このタイプのインデノカルバゾール化合物を調製することができる方法は、先行技術から知られ、本出願の実施例で例示される。第1工程は、好ましくは、ブッフバルトカップリングの条件下で反応される。インデノカルバゾール骨格上でのハロゲン化が、引き続き実施される。これは、好ましくは、臭素化、特に、好ましくは、試薬NBSを使用する臭素化である。
【0078】
この工程は、ボロン酸置換基を担持するカルバゾール誘導体へのスズキカップリングに伴われ得る。代替として、第2工程からのハロゲン化生成物は、それ自身ボロン酸に変換されてよく、次いで、スズキカップリングでハロゲン化カルバゾール誘導体と反応される。
【0079】
得られた生成物は、既に目標化合物であり得、式(I)の化合物である。しかしながら、さらなる工程が、たとえば、さらなる官能基または基を導入するために、伴われてよい。
【化13】
【0080】
したがって、本発明は、さらに、インデノカルバゾール化合物が、電子不足ヘテロアリール基を含むハロゲン化アリール化合物と反応し、ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造が、インデノカルバゾールの窒素原子とカップルする。反応は、好ましくは、インデノカルバゾールとハロゲン化化芳香族もしくは複素環式芳香族環構造との間のブッフバルトカップリングである。
【0081】
さらに、反応生成物は、たとえば、ハロゲン化による、またはボロン酸への変換による反応性官能基により、好ましくは、引き続き提供される。さらに、カルバゾール誘導体へのスズキカップリングが、好ましくは、引き続き実施される。
【0082】
上記記載の本発明の化合物、特に、臭素、沃素、塩素、ボロン酸もしくはボロン酸エステル等の反応性脱離基により置換された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの調製のためのモノマーとして使用することができる。適切な反応性脱離基は、たとえば、臭素、沃素、塩素、ボロン酸、ボロン酸エステル、アミン、末端C-C二重結合もしくはC-C三重結合を含むアルケニルまたはアルキニル基、オキシラン、オキセタン、環化、たとえば、1,3-双極子環付加を受ける基、たとえば、ジエンもしくはアジド等、カルボン酸誘導体、アルコールおよびシランである。
【0083】
したがって、本発明は、さらに、一以上の式(I)の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、ここで、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの結合(複数の結合)は、R
1もしくはR
2により置換された式(I)中で任意の所望の位置に位置することができる。式(I)の化合物の結合に応じて、化合物は、オリゴマーもしくはポリマーの側鎖の構成部分または主鎖の構成部分である。本発明の意味でのオリゴマーは、少なくとも三個のモノマー単位から構築される化合物の意味で使用される。本発明の意味でのポリマーは、少なくとも10個のモノマー単位から構築される化合物の意味で使用される。本発明のポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは、共役、部分共役もしくは非共役であってよい。本発明のオリゴマーまたはポリマーは、直鎖、分岐鎖もしくは樹状であってよい。直鎖状に結合した構造においては、式(I)の単位は、たがいに直接結合するか、または二価の基、たとえば、置換もしくは非置換アルキレン基により、ヘテロ原子により、または二価の芳香族もしくは複素環式芳香族基により、たがいに結合してよい。分岐および樹状構造においては、三個以上の式(I)の単位は、三価もしくは多価の基、たとえば、三価もしくは多価の芳香族もしくは複素環式芳香族基により結合してもよく、分岐もしくは樹状オリゴマーまたはポリマーを生じる。
【0084】
式(I)の化合物に対する上記記載したとおりの同じ選好が、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマー中の式(I)の繰り返し単位にあてはまる。
【0085】
オリゴマーまたはポリマーの調製のために、本発明によるモノマーは、さらなるモノマーとホモ重合するか共重合する。適切で好ましいコモノマーは、フルオレン(たとえば、EP842208もしくはWO02/22026にしたがう)、スピロビフルオレン(たとえば、EP707020、EP894107もしくはWO06/061181にしたがう)、パラ-フェニレン(たとえば、WO1992/18552にしたがう)、カルバゾール(たとえば、WO04/070772もしくはW02004/113468にしたがう)、チオフェン(たとえば、EP1028136にしたがう)、ジヒドロフェナントレン(たとえば、WO 2005/014689もしくはWO 2007/006383にしたがう)、cis-およびtrans-インデノフルオレン(たとえば、WO2004/041901もしくはWO2004/113412にしたがう)、ケトン(たとえば、WO2005/040302にしたがう)、フェナントレン(たとえば、WO2005/104264もしくはWO2007/017066にしたがう)または複数のこれらの単位から選ばれる。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、また、さらなる単位、たとえば、ビニルトリアリールアミン(たとえば、WO2007/068325にしたがう)もしくは燐光金属錯体(たとえば、WO2006/03000にしたがう)等の発光(蛍光または燐光)単位および/または電荷輸送単位、特に、トリアリールアミン系のものを通常含む。
【0086】
本発明によるポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、有利な特性、特に、長い寿命、高い効率と良好な色座標を有する。
【0087】
本発明によるポリマーおよびオリゴマーは、一以上の型のモノマーの重合により一般的に調製され、少なくとも一つのモノマーは、ポリマー中に式(I)の繰り返し単位を生じる。適切な重合反応は、当業者に知られ、文献に記載されている。C-CまたはC-N結合を生じる、特に、適切で、好ましい重合反応は、以下のものである:
(A)スズキ重合;
(B)ヤマモト重合;
(C)スチル重合および
(D)ハートウイッグ-ブッフバルト重合
重合をこれらの方法により実行することができる方法と次いでポリマーを反応媒体から分離し、精製することができる方法は、当業者に知られており、文献、たとえば、WO 2003/048225、WO 2004/037887およびWO 2004/037887に詳細に記載されている。
【0088】
したがって、本発明は、また、スズキ重合、ヤマモト重合、スチル重合またはハートウイッグ-ブッフバルト重合により調製されることを特徴とする本発明によるポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーの調製方法に関する。本発明によるデンドリマーは、当業者に知られた方法によりもしくはそれに類似して調製することができる。適切な方法は、文献、たとえば、Frechet, Jean M. J.; Hawker, Craig J., "Hyperbranched polyphenylene and hyperbranched polyesters: new soluble, three-dimensional, reactive polymers"、 Reactive & Functional Polymers (1995), 26(1-3), 127-36; Janssen, H. M.; Meijer, E. W.、 "The synthesis and characterization of dendritic molecules", Materials Science and Technology (1999), 20 (Synthesis of Polymers), 403-458; Tomalia, Donald A., "Dendrimer molecules", Scientific American (1995), 272(5), 62-6、WO 2002/067343 A1およびWO 2005/026144 A1に記載されている。
【0089】
液相からの、たとえば、スピンコーティングによるまたは印刷プロセスによる本発明の化合物の加工のためには、本発明の化合物の調合物を必要とする。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはエマルジョンであり得る。この目的のためには、二以上の溶媒の混合物を使用することが好ましい可能性がある。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0090】
したがって、本発明は、さらに、少なくとも一つの式(I)の化合物または少なくとも一つの式(I)の単位を含む少なくとも一つのポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーと少なくとも一つの溶媒、好ましくは、有機溶媒を含む調合物、特に、溶液、分散液もしくはエマルジョンに関する。この型の溶液を調製することができる方法は、当業者に知られており、たとえば、出願WO 2002/072714、WO 2003/019694とそこに引用された文献に記載されている。
【0091】
本発明の式(I)の化合物は、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)での使用のために適している。式(I)の化合物は、置換に応じて、種々の機能と層に使用される。好ましいのは、発光層での、特に、好ましくは、燐光エミッターと組み合わせてのマトリックス材料としての使用および/または電子輸送材料としての使用および/または正孔ブロック材料としての使用である。
【0092】
したがって、本発明は、さらに、式(I)の化合物の電子素子での使用に関する。ここで、電子素子は、好ましくは、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)から選ばれ、特に、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれる。
【0093】
本発明は、さらに、少なくとも一つの式(I)の化合物を含む電子素子に関する。ここで、好ましくは、電子素子は、上記言及した素子から選ばれる。
【0094】
特に、好ましくは、アノード、カソードと少なくとも一つの発光層を含む有機エレクトロルミッセンス素子であり、ここで、素子は、少なくとも一つの式(I)の化合物を含む少なくとも一つの有機層を含むことを特徴とする。好ましくは、アノード、カソードと少なくとも一つの発光層を含む有機エレクトロルミッセンス素子であり、ここで、発光層、電子輸送層、電子注入層および正孔ブロック層から選ばれる少なくとも一つの有機層は、少なくとも一つの式(I)の化合物を含むことを特徴とする。
【0095】
電子輸送層は、カソードと発光層との間に配置され、電子輸送特性を有する任意の所望の有機層の意味で使用される。
【0096】
電子注入層は、カソードと発光層との間に配置され、電子注入特性を有し、カソードに直接隣接する任意の所望の有機層の意味で使用される。
【0097】
正孔ブロック層は、発光層とカソードとの間に配置され、正孔ブロック特性を有する任意の所望の有機層の意味で使用される。本出願にしたがって、正孔ブロック層は、好ましくは、発光層と電子輸送層との間で、特に、好ましくは、カソード側上の発光層に直接隣接する。正孔ブロック層の材料は、典型的には、低いHOMOにより特徴付けられる。
【0098】
カソード、アノードおよび発光層とは別に、電子素子は、さらなる層を含んでよい。これらは、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、励起子ブロック層、中間層、電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および/または有機あるいは無機p/n接合を含んでもよい。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はなく、層の選択は使用される化合物と、特に、エレクトロルミネッセンス素子が蛍光であるか燐光であるかに常に依存することが指摘されねばならない。
【0099】
電子素子の層配列は、好ましくは、以下のとおりである:
−アノード−
−正孔注入層−
−正孔輸送層−
−随意に、さらなる正孔輸送層−
−発光層−
−電子輸送層−
−電子注入層−
−カソード。
【0100】
前記層の全てが必ずしも存在する必要がないことおよび/またはさらなる層が追加的に存在してもよいことをここで、再度指摘する必要がある。
【0101】
本発明の電子素子は、複数の発光層を含んでもよい。この場合に、これらの発光層は、特に、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し、青色もしくは黄色、オレンジ色もしくは赤色発光することができる種々の発光化合物を、発光層に使用することができる。特に、好ましいものは、3層構造であり、すなわち、3個の発光層を有する構造であり、ここで、これらの層の少なくとも一つは、少なくとも一つの式(I)の化合物を含み、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。本発明の化合物は、代替として、および/または追加的に電子輸送層中にまたは別の層中に存在してもよい。白色光の生成のためには、広波長範囲で発光する個々に使用されるエミッター化合物が、色発光する複数のエミッター化合物に代えて適当である可能性があることに注意する必要がある。
【0102】
式(I)の化合物は、好ましくは、電子素子において、発光層でのマトリックス材料として、特に、好ましくは、一以上の燐光エミッター化合物と組み合わせて存在する。エミッター化合物は、好ましくは、ドーパントの形態である。
【0103】
ここで、用語ドーパント、マトリックス材料および燐光エミッター化合物は、上記のとおり定義される。
【0104】
式(I)の化合物と組み合わせてマトリックス材料として使用されるエミッター化合物は、以下に示される燐光エミッター化合物である。
【0105】
電子素子の発光層は、また、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のドーパントを含んでもよい。この場合にも、ドーパントは、一般的に系中でその割合が、より少ない成分であり、マトリックス材料は、系中でその割合が、より多い成分である。しかしながら、個々の場合では、系中の個々のマトリックス材料の割合は、個々のドーパントの割合より少なくてもよい。
【0106】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(I)の化合物は、混合マトリックス系の成分として使用される。混合マトリックス系は、好ましくは、二または三種の異なるマトリックス材料、特に、好ましくは、二種の異なるマトリックス材料を含む。ここで、二種の材料の一つは、好ましくは、正孔輸送特性を有する材料であり他方は電子輸送特性を有する材料である。しかしながら、混合マトリックス成分の所望の電子輸送および正孔輸送特性は、単一の混合マトリックス成分中で主としてまたは完全に結合されてもよく、さらなる混合マトリックス成分が他の機能を果たす。ここで、二種の異なるマトリックス材料は、1:50〜1:1、好ましくは、1:20〜1:1、特に、好ましくは、1:10〜1:1、非常に、特に、好ましくは、1:4〜1:1の比で存在してよい。混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子中で使用される。混合マトリックス系に関するより正確な情報は、特に、出願WO 2010/108579で得られる。
【0107】
混合マトリックス系は、一以上のドーパント、好ましくは、一以上の燐光ドーパントを含んでよい。一般的には、混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子で用いられる。
【0108】
本発明の化合物と組み合わせて混合マトリックス系のマトリックス成分として特に適するマトリックス材料は、どの型のドーパントが混合マトリックス系に使用されるかに応じて、以下に示される燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料または蛍光ドーパントのための好ましいマトリックス材料から選ばれる。
【0109】
混合マトリックス系で使用するための好ましい燐光ドーパントは、上記表で示される燐光ドーパントである。
【0110】
本発明の電子素子における発光層中のマトリックス材料の割合は、蛍光発光層に対しては、好ましくは、50.0〜99.9体積%、特に、好ましくは、80.0〜99.5体積%、非常に、特に、好ましくは、92.0〜99.5体積%であり、燐光発光層に対しては、85.0〜97.0体積%である。対応して、ドーパントの割合は、蛍光発光層に対しては、好ましくは、0.1〜50.0体積%、特に、好ましくは、0.5〜20.0体積%、非常に、特に、好ましくは、0.5〜8.0体積%であり、燐光発光層に対しては、3.0〜15.0体積%である。
【0111】
本発明のさらなる1態様では、式(I)の化合物は、電子輸送層または電子注入層中でまたは正孔ブロック層中で、電子輸送材料として用いられる。
【0112】
本発明の電子素子の上記機能層に好ましくは、存在する材料は、以下に示される。
【0113】
適切な燐光エミッターは、特に、適切な励起により、好ましくは、可視域で発光する化合物であり、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に、好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0114】
すべてのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、本発明の意味で、燐光化合物とみなされる。
【0115】
燐光エミッターの例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373およびUS2005/0258742により明らかにされている。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切である。
【0116】
以下の表により示される化合物が、特に、適する燐光ドーパントである。
【化14-1】
【化14-2】
【化14-3】
【化14-4】
【化14-5】
【化14-6】
【化14-7】
【化14-8】
【化14-9】
【化14-10】
【化14-11】
【0117】
好ましい蛍光エミッターは、アリールアミンのクラスから選ばれる。ここで、本発明の意味でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物の意味で使用される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造であり、特に、好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物を意味するものと解される。芳香族アントラセンジアミンは、二個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物を意味するものと解される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。さらに好ましいエミッター化合物は、たとえば、WO 2006/10849もしくはWO 2006/122630にしたがうインデノフルオレンアミンあるいはインデノフルオレンジアミン、たとえば、WO 2008/006449にしたがうベンゾインデノフルオレンアミンあるいはベンゾインデノフルオレンジアミン、および、たとえば、WO 2007/140847にしたがうジベンゾインデノフルオレンアミンあるいはジベンゾインデノフルオレンジアミンおよび、WO 2010/ 012328に開示された縮合アリール基を含むインデノフルオレン誘導体である。好ましいのは、同様に、WO2012/048780と未公開EP12004426.8に開示されたピレンアリールアミンである。好ましいのは、同様に、未公開EP12006239.3に開示されたベンゾインデノフルオレンアミンである。
【0118】
好ましくは、蛍光エミッターのための適切なマトリックス材料は、本発明の化合物に加えて、種々のクラスの物質からである。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461にしたがう2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 2004/081017にしたがう)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911にしたがう)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082にしたがう)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268にしたがう)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/177052にしたがう)またはベンズアントラセン(たとえば、WO2008/145239)のクラスから選択される。特に、好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選択される。非常に、特に、好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合した化合物の意味で使用される。さらに好ましいのは、WO2006/097208、WO2006/131192、WO2007/065550、WO2007/110129、WO2007/065678、WO2008/145239、WO2009/100925、WO2011/054442およびEP 1553154に開示されたアントラセン誘導体とEP1749809、EP1905754およびUS2012/0187826に開示されたピレン化合物である。
【0119】
燐光エミッターのための好ましいマトリックス材料は、本発明の化合物に加えて、芳香族アミン、特に、トリアリールアミン、たとえば、US 2005/0069729にしたがう、カルバゾール誘導体(たとえば、CBP(N.N-ビスカルバゾリルビフェニル)またはWO2005/039246、US2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO2008/086851にしたがう化合物、たとえば、WO2011/088877およびWO2011/128017にしたがう架橋カルバゾール誘導体、たとえば、WO2010/0136109およびWO2011/000455にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO2007/063754もしくはWO2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2004/093207もしくは2010/006680にしたがうケトン、たとえば、WO 2005/003253にしたがうホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン、オリゴフェニレン、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO0205/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 2006/117052にしたがうアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO2010/015306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP652273およびWO 2009/062578にしたがう亜鉛錯体、アルミニウム錯体、たとえば、BAlq、たとえば、WO2010/054729にしたがうジアザシロールおよびテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体である。
【0120】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の正孔注入もしくは正孔輸送層または電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術によりこれらの層に使用される他の材料である。
【0121】
電子輸送層のために使用することのできる材料は、電子輸送層中で電子輸送材料として先行技術にしたがって使用されるとおりのすべての材料である。特に適切なものは、アルミニウム錯体、たとえば、Alq
3、ジルコニウム錯体、たとえば、Zrq
4、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、芳香族ケトン、ラクタム、ボラーン、ジアザホスホール誘導体およびホスフィンオキシド誘導体である。されに、適切である材料は、JP2000/053957、WO2003/060956、WO 2004/028217、WO 2004/080975およびWO 2010/072300に開示されたとおりの上記言及した化合物の誘導体である。
【0122】
本発明のエレクトロルミッセンス素子の正孔輸送もしくは正孔注入もしくは電子ブロック層中で使用することができる好ましい正孔輸送材料は、インデノフルオレンアミン誘導体(たとえば、WO 06/122630もしくはWO06/100896)にしたがう)、EP1661888に開示されたアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(たとえば、WO 01/049806にしたがう)、縮合芳香族環を持つアミン誘導体(たとえば、US5,061,569にしたがう)、WO95/09147に開示されたアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO08/006449にしたがう)、ジベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO 07/140847)にしたがう)、スピロビフルオレンアミン(たとえば、WO2012/034627もしくは未公開EP12000929.5にしたがう)、フルオレンアミン(たとえば、未公開EP12005369.9、EP12005370.7およびEP12005371.5にしたがう)、スピロジベンゾピランアミン(たとえば、WO2013/083216にしたがう)およびジヒドロアクリジン誘導体(たとえば、WO 2012/150001にしたがう)である。
【0123】
有機エレクトロルミッセンス素子のカソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、種々の金属を含む金属合金もしくは多層構造、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド金属(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含む。また、適切なのは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を含む合金と銀、たとえば、マグネシウムと銀とを含む合金である。多層構造の場合、たとえば、AgあるいはAlのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属を前記金属に加えて使用することもでき、その場合、たとえば、Ca/Ag、Mg/AgもしくはAg/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を金属カソードと有機半導体との間に挿入することも好ましい可能性がある。この目的のために適切なものは、たとえば、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物もしくは炭酸塩である(たとえば、LiF、Li
2O、BaF
2、MgO、NaF、CsF、Cs
2CO
3等)。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)をこの目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0124】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料を含む。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVより高い仕事関数を有する。この目的に適切なものは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO
x、Al/PtO
x)も好ましい可能性がある。いくつかの用途のためには、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(有機太陽電池)もしくは光のアウトカップリング(OLED、O−laser)の何れかを可能とするために、透明または部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に、好ましいものは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいものは、伝導性のドープされた有機材料、特に、伝導性のドープされたポリマーである。さらに、アノードは、複数の層、たとえば、ITOの内部層と金属酸化物、好ましくは、タングステン酸化物、モリブデン酸化物またはバナジウム酸化物の外部層から成ってもよい。
【0125】
素子は(用途に応じて)適切に構造化され、接点を供され、本発明による素子の寿命が水および/または空気の存在で短くなることから、最後に封止される。
【0126】
好ましい一態様では、本発明の電子素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積されることを特徴とする。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0127】
同様に好ましい電子素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そしてそれにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0128】
更に、好ましい電子素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷あるいはオフセット印刷、特に、好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の式(I)の化合物が、この目的のために必要である。高い溶解性は、化合物の適切な置換により成し遂げることができる。
【0129】
本発明の電子素子の製造のために、一以上の層を溶液からまた一以上の層を昇華プロセスにより適用することが、さらに、好ましい。
【0130】
本発明にしたがって、一以上の式(I)の化合物を含む電子素子は、照明用途の光源として、医療および/または化粧用途(たとえば、光治療)の光源として、表示装置において使用することができる。
【0131】
例
以下の実施例は、本発明を説明する役目を担う。これらを限定として解釈すべきではない。
【0132】
A)本発明による化合物の合成
以下の合成を、別段の指定がない限り、無水溶媒中で保護ガス雰囲気下で実施する。本発明による化合物は当業者に知られている合成方法によって調製されることができる。
【0133】
I)前駆体の合成:
例1:2-クロロ-4,6-ジフェニルピリミジン
【化15】
【0134】
75g(0.41ミリモル)の1,3,5-トリクロロピリミジンと、100g(0.82モル)のフェニルボロン酸と、625mlの4MのNaHCO
3溶液とを2.5lのエチレングリコールジメチルエーテル中に懸濁させる。2.3g(10.23ミリモル)のPd(OAc)
2と10.35g(34ミリモル)のP(o−Tol)
3とを、この懸濁液に添加し、その反応混合物を還流下で16時間加熱する。その後、混合物を酢酸エチルと水との間で分画し、有機相を水で三度洗浄し、Na
2SO
4で脱水させ、ロータリエバポレーター中で蒸発させる。残された残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させる。収率は43g(0.15モル、38%)である。
【0135】
例2:4-(2-ブロモフェニル)-2,6-ジフェニルピリミジン
【化16】
【0136】
23g(409ミリモル)の水酸化カリウムを、500mlのエタノール中で溶解させ、40g(255ミリモル)のベンズアミド塩酸塩と、129g(452ミリモル)の3-(ブロモフェニル)-1-フェニル-2-プロペン-1-オンとを500mlのエタノール中に溶解させたものを室温で添加し、混合物を還流下で3時間撹拌する。室温まで冷却した後、沈殿した固形分を吸引濾過し、少量のエタノールで洗浄し、乾燥させると、無色の結晶の形態である、55g(129ミリモル)の50%の生成物が残る。
【0137】
例3:2,4-ビスビフェニル-3-イル-6-クロロ-1,3,5-トリアジン
【化17】
【0138】
5.2gのマグネシウム(0.215モル)を最初に、500mlの四ツ口フラスコ中に入れ、200mlのTHF中の50gのブロモビフェニル(214ミリモル)の溶液をゆっくりと滴下する。反応混合物を1.5時間、加熱して沸騰させ、その後、室温まで冷却する。150mlのTHF中の塩化シアン(17.2g、93ミリモル)を最初に、第2のフラスコ中へ入れ、0℃まで冷却する。次いで、冷却したグリニャール試液をこの温度で滴下し、混合物を室温で12時間撹拌する。この時間後、150mlのHClをこの反応混合物へ添加し、水相をジクロロメタンで三度抽出する。結合した有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4で脱水させ、蒸発させる。残留物をEtOHから再結晶化させる。収率は32.8g(78ミリモル、84%)である。
【0139】
例4:2-クロロ-4,6-ビス-[1,1’;3’,1’’]テルフェニル-5’-イル-1,3,5-トリアジン
【化18】
【0140】
3.93gのマグネシウム(162ミリモル)を最初に、500mlの四ツ口フラスコ中に入れ、150mlのTHF中の50gの5’-ブロモ[1,1’;3’,1’’]テルフェニル(162ミリモル)の溶液をゆっくりと滴下する。反応混合物を1.5時間、加熱して沸騰させ、その後、室温まで冷却する。150mlのTHF中の塩化シアン(13g、70ミリモル)を最初に、第2のフラスコへ入れ、0℃まで冷却する。冷却したグリニャール試液をこの温度で滴下し、混合物を室温で12時間撹拌する。この時間後、150mlのHClをこの反応混合物へ添加し、水相をジクロロメタンで三度抽出する。結合した有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4で脱水させ、蒸発させる。残留物をEtOHから再結晶化させる。収率は27.8g(49モル、70%)である。
【0141】
例5:2-クロロ-4,6-ビス-(3-([3,1’;5,1’’]テルフェン-1-イル)フェン-1-イル)-1,3,5-トリアジン
【化19】
【0142】
2.0gのマグネシウム(81ミリモル)を最初に、500mlの四ツ口フラスコ中に入れ、100mlのTHF中の31.2gの5’-(3-ブロモフェニル)-[1,1’;3’,1’’]テルフェニル(81ミリモル)の溶液をゆっくりと滴下する。反応混合物を1.5時間、加熱して沸騰させ、その後、室温まで冷却する。50mlのTHF中の塩化シアン(6.4g、35ミリモル)を最初に、第2のフラスコ中へ入れ、0℃まで冷却する。冷却したグリニャール試液をこの温度で滴下し、混合物を室温で12時間撹拌する。この時間後、150mlのHClをこの反応混合物へ添加し、水相をジクロロメタンで三度抽出する。結合した有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4で脱水させ、蒸発させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は6.8g(9.4ミリモル、28%)である。
【0143】
例6:3-ブロモ-9-[1,1;3’,1’’]テルフェニル-5’-イル-9H-カルバゾール
【化20】
【0144】
10g(41ミリモル)の3-ブロモ-9H-カルバゾール(CAS 86−74−8)と、16g(45ミリモル、1.1当量)の5’-ヨード-[1,1’;3’,1’’]テルフェニルとを、9.2g(160ミリモル、4当量)の水酸化カリウムと、300mg(1.6ミリモル、0.04当量)の1,10-フェナントロリンと、160mg(1.6ミリモル、0.04当量)のヨウ化銅(I)と共に、250mlのp-キシレン中に溶解させる。反応が終わると、混合物を水で三度抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで脱水させ、溶媒を真空中で除去し、得られた固形分をカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘプタン)により精製し、17g(36ミリモル、88%)の所望の生成物を得る。
【0145】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化21-1】
【化21-2】
【0146】
例7:9-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9H-カルバゾール-3-ボロン酸
【化22】
【0147】
22.3g(51ミリモル)の3-ブロモ-9-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9H-カルバゾールを600mlの無水THF中に溶解させ、−78℃まで冷却する。この温度で、26.2ml(65.7ミリモル/ヘキサン中2.5M)のn−BuLiを約5分間にわたって滴下し、その後、その混合物を−78℃でさらに2.5時間撹拌する。この温度で、7.3ml(65.7ミリモル)のホウ酸トリメチルを可能な限り迅速に添加し、反応混合物をゆっくりと室温にさせておく(約18時間)。反応溶液を水で洗浄し、沈殿した固形分と有機相とを、トルエンと共弗的に脱水させる。粗生成物をトルエン/塩化メチレンと共に約40℃で撹拌することによって洗浄し、吸引濾過し、白色固形分として17.5g(85%)の生成物を得る。
【0148】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化23】
【0149】
例8:3-(5-ブロモビフェニル-3-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール
【化24】
【0150】
15.5g(43.3ミリモル)の3-ブロモ-5-ヨードビフェニルと、13.7g(48ミリモル)の(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ボロン酸とを、80mlのトルエン中に溶解させ、脱気させる。281mlの脱気した2M K
2CO
3溶液と、2.5g(2.2ミリモル)のPd(OAc)
2とを添加する。その後、保護ガス雰囲気下、80℃で48時間撹拌する。冷却した溶液をトルエンで希釈し、水で複数回洗浄し、乾燥させ、蒸発させる。生成物を、シリカゲルでトルエン/ヘプタン(1:2)と共に、カラムクロマトグラフィにより精製する。純度は98%である。収率:17.6g(37ミリモル)、理論値の78%。
【0151】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化25-1】
【化25-2】
【0152】
例9:3-(5-ブロモビフェニル-3-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール
【化26】
【0153】
110ml(276ミリモル)のn-ブチルリチウム(トルエン中2.5M)を、1500mlのジエチルエーテル中の128g(270ミリモル)の3-(5-ブロモビフェニル-3-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾールの−78℃まで冷却した溶液へ滴下する。反応混合物を−78℃で30分間撹拌する。混合物を室温にさせておき、−78℃まで再度冷却し、次いで、50mlのジエチルエーテル中の40ml(351ミリモル)のホウ酸トリメチルの混合物を迅速に添加する。−10℃まで温めた後、混合物を135mlの2Nの塩酸を使用して加水分解させる。有機相を分離させ、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水させ、蒸発乾固させる。残留物を300mlのn-ヘプタンに取込み、無色の固形分を吸引濾過し、n-ヘプタンで洗浄し、真空中で乾燥させる。収率:112g(256ミリモル)、理論値の95%。
【0154】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化27-1】
【化27-2】
【0155】
例10e:
【化28】
【0156】
22g(79.8ミリモル)の2,12-ジメチル-10-フェニル-10,12-ジヒドロ-10-アザインデノ-[2,1-b]フルオレンと、34g(87ミリモル)のトリアジンと、15.9ml(15.9ミリモル)の1モル/lのトリ-tert-ブチルホスフィンと、1.79g(7.9ミリモル)の酢酸パラジウムとを保護ガス下で120mlのp-キシレン中に懸濁させる。反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、有機相を分離させ、200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物を高温のトルエンで抽出し、トルエンから再結晶化させ、最後に高真空中で昇華させる。純度は99.9%である。収率:38g(64ミリモル)、理論値の80%。
【0157】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化29-1】
【化29-2】
【化29-3】
【0158】
例11e:
【化30】
【0159】
23g(40.18ミリモル)の出発材料を、800mlのアセトニトリル中に懸濁させ、7.15g(40.18ミリモル)のN-ブロモスクシンイミドを、反応混合物の温度が−20℃を超えないような速度で、−20℃で小分けして添加する。混合物をさらに18時間撹拌し、温度を室温にさせておく。その後、反応混合物をロータリエバポレータ中で蒸発させ、ジクロロメタン中に溶解させ、水で洗浄する。混合物を乾燥させ、蒸発させ、その後、トルエンから再結晶化させると、純度は99.3%であり、白色固形分として20.8g(80%)の生成物を得る。
【0160】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化31-1】
【化31-2】
【化31-3】
【化31-4】
【0161】
II)本発明による化合物の合成
例12f:
【化32】
【0162】
28.9g(43.3ミリモル)の出発材料と、13.7g(48ミリモル)の9-フェニル-9H-カルバゾール-3-ボロン酸とを80mlのトルエン中に溶解させ、脱気する。2M K
2CO
3の281mlの脱気溶液と、2.5g(2.2ミリモル)のPd(OAc)
2とを添加する。その後、反応混合物を保護ガス雰囲気下で、48時間、80℃で撹拌する。冷却した溶液にトルエンを補充し、水で複数回洗浄し、乾燥させ、蒸発させる。生成物を、シリカゲルでトルエン/ヘプタン(1:2)と共に、カラムクロマトグラフィにより精製し、最後に高真空(p=5×10
−7ミリバール)中で昇華させる。純度は99.9%である。収率:28g(31ミリモル)、理論値の80%。
【化33-1】
【化33-2】
【化33-3】
【化33-4】
【化33-5】
【0163】
B)OLEDにおける本発明による化合物の使用
種々のOLEDについてのデータを以下の例V1〜E9(表1および2を参照)に示す。例V1〜V7は比較例であり、例E1〜E9は本発明による例である。
【0164】
OLEDを以下のように製造する:
厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆された清浄なガラス板が、改善された加工のために、20nmのPEDOT:PSS((ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスホネート)で水性溶液からのスピンコートにより適用、Heraeus Precious Metals GmbH 独からCLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083として購入)で被覆される。これらの被覆されたガラス板はOLEDが適用される基板を形成する。
【0165】
OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/正孔輸送層(HTL)/中間層(IL)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/随意に、正孔ブロック層(HBL)/電子輸送層(ETL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造は、表1に示されている。OLEDの製造のために必要とされる材料は、表3に示されている。
【0166】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一つのマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により一定の体積割合で一種または複数種のマトリックス材料と予備混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここで、SdT1:TEG1(90%:10%)等の表現は、材料SdT1が90体積%の割合で層中に存在し、TEG1が10体積%の割合で層中に在在することを意味する。同様に、電子輸送層もまた、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0167】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)ならびに寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、電流密度1000cd/m
2で測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表2の表現「U10」は、電流密度10mA/cm
2に必要な電圧を示す。CE10とPE10は、10mA/cm
2で実現される電流とパワー効率をそれぞれ示している。最後に、EQE10は、10mA/cm
2の動作電流密度における外部量子効率を示している。
【0168】
寿命LTは、一定電流での駆動で、輝度が、初期輝度から一定の割合L1に低下した後の時間として定義される。表2における表現L0;j0=4000cd/m
2およびL1=80%は、列LTに示される寿命が、初期輝度が4000cd/m
2から3200cd/m
2に低下した後の時間に対応することを意味する。同様に、L0;j0=20mA/cm
2、L1=70%は、20mA/cm
2での駆動でのLT後に、輝度が初期値の70%に低下したことを意味する。
【0169】
製造する種々のOLEDについてのデータが、表2に要約される。
【0170】
いくつかの例を、本発明による化合物の優位性を証明するために、以下、より詳細に説明する。使用するすべての材料は、先行技術からのOLED材料として知られているか、あるいはそれらの合成及び使用が本願明細書に説明されている。
【0171】
燐光OLEDにおける、マトリックス材料としての本発明による化合物の使用
測定を行ったすべての素子では、特に寿命と効率について、非常に良好な性能データが、三重項エミッターと組み合わせて、発光層でマトリックス材料として本発明による化合物を使用して得られた(例E1〜E9、化合物12f、12g、12h、12k、12m、12w)。
【0172】
先行技術による化合物SdT5と比べて、本発明による化合物12wでは非常に改善された効率および寿命が実現される(例V7、E7)。化合物12wは、インデノカルバゾールのCR
2基とNR基が互いにシス型であり、トランス型ではないという特徴により、化合物SdT5とは異なる。
【0173】
カルバゾールにピリミジン基を含んでいる化合物SdT4の使用の場合、良好な性能データが得られる。しかし、化合物12fでのように、ピリミジン基をトリアジン基で置換すると、75%改善された寿命が得られる(例V3、E1)。
【0174】
トリアジン基の存在は、リンカーを介してインデノカルバゾール単位に結合しているピリミジン基と比べて、性能データにおいては驚異的な著しい改善を生じる。
【0175】
化合物12wの使用の場合、トリアジン基ではなくフェニル基を有する比較化合物SdT3と比べて、性能データにおいて改善が得られる(E7、V6)。特に、寿命は著しく改善され、効率はわずかに改善される。
【0176】
よって、インデノカルバゾール基の窒素上で、置換基として、フェニル基ではなくトリアジン基を使用することについては、化合物を含むOLEDの性能データを著しく改善する。
【0177】
さらに、非常に良好な性能データ、特に、非常に良好な寿命および非常に良好な効率が、たとえば5体積%のような低いエミッター濃度においても、本発明による化合物で得られる(例E2、E8、E9)。
【0178】
エミッターで使用する金属、たとえばイリジウムおよび白金は非常に希少であり、高価であるため、エミッター層中の低いエミッター濃度は、OLEDでは高い関心がある。さらに、錯体は多くは低温安定性を有し、よって気相堆積をゆっくりと行わなければならない。気相堆積により適用するエミッターの濃度および、よってその量がさらに低ければ、気相堆積時間を減少することができる。
【0179】
本発明による素子についての性能データは、以下の比較によって示しているように、比較素子と比べて著しく改善されている。たとえば化合物12wについては、カルバゾール置換基が存在しないか、あるいは芳香族環ではなく窒素を介して結合するカルバゾール置換基が存在する比較化合物SdT1とSdT2と比べて、非常に改善された寿命および僅かに改善された効率が得られる(例V2,V5、E8)。非常に良好な性能データがこの場合、特に化合物12fで得られ、ここではインデノカルバゾール単位がフェニル環を介してトリアジン単位に接続されている(E2)。
【0180】
要約すると、インデノカルバゾール単位と芳香族環に結合されているカルバゾール基との組合せが、それにより、優れた性能データを生み、これはカルバゾール置換基が存在しないか、あるいはカルバゾール基が窒素を介して結合する化合物よりも著しい改善を表している。
【0181】
燐光OLEDでマトリックス材料を使用する場合、本発明による材料はしたがって、全てのパラメータについて、特に寿命およびパワー効率に関して、先行技術よりも著しい改善を生じる。
【表1】
【表2】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】