(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
明瞭化のために、同一の要素は様々な図面において同一の参照番号で示されている。
【0031】
以下の説明では、「略」、「約」及び「程度」という用語は「10%の範囲内」を意味する。更に、本発明についての理解に必要な要素のみが示されている。特に、焼入れ装置内の焼入ガス冷却システムは詳述されていない。
【0032】
図1は、ガス焼入れ装置10の例を示す。ガス焼入れ装置10は、ガス焼入れ装置10の内容積部12を画定している筐体11を備えている。筐体11は、水平軸芯を有する円筒状の筐体であってもよい。変形例として、筐体11の軸芯は垂直であってもよい。筐体11は支持体13に載置されている。
図1に概略的に示されている処理される部品を含む搬入物14が、筐体11内のレール15上に導入されてもよい。
【0033】
焼入ガスが、開口部16を介して筐体11内に導入され、攪拌要素17によって筐体11内で循環してもよい。焼入ガスは、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、水素又はこれらのガスの混合物である。焼入れ処理中に、焼入れ装置10内の圧力は、4バール(0.4MPa)及び25バール(2.5MPa)間で維持されてもよく、好ましくは10バール(1MPa)以上であり、より好ましくは15バール(1.5MPa)以上である。攪拌要素17は例えば遠心式プロペラ又はスクリュー遠心式プロペラを有している。例として、2つの攪拌要素17が、
図1に筐体11内の搬入物14の両側に示されている。攪拌要素17は、焼入ガスが搬入物14を通って垂直方向に流れるように焼入ガスを移動させてもよい。
【0034】
焼入れ処理中に、各攪拌要素17は電動機18によって軸芯△を中心として回転する。軸芯△は2つの攪拌要素17に共通であってもよい。例として、軸芯△は水平であり、筐体11の略水平中央面に位置決めされている。電動機18は一般に非同期電動機である。
図1は、非同期電動機18毎に、電動機のステータ及びロータを収容して軸芯△の一般的な円筒状のケーシング19と、ケーシング19の、筐体11とは反対側の端部でケーシング19を軸芯△に略垂直な方向に延ばすことにより形成されて非同期電動機の制御電力電子回路を収容する一般的な円筒状のケーシング20とを示している。非同期電動機毎に、ケーシング19は連結デバイス21に取り付けられており、連結デバイス21自体は、例えば半田付けによって筐体11に取り付けられている。
【0035】
焼入れ装置10は、焼入ガスを冷却するための冷却システム22,24 を更に備えている。例として、冷却システム22は筐体11内の搬入物14の上方に配置されており、冷却システム24は筐体11内の搬入物14の下方に配置されている。焼入れ装置10は、焼入ガスの流れ方向を搬入物14を通るようにする、例えば底部から最上部の方向又は最上部から底部の方向にするためのシステム(不図示)を備えてもよい。
【0036】
焼入ガスの供給回路25が、パイプ27によって開口部16に連結された焼入ガス源26を有している。少なくとも1つの制御可能なバルブ28がパイプ27に設けられている。バルブ28が開いているとき、焼入ガスは焼入れ装置の内容積部12内に運ばれる。バルブ28が閉じているとき、焼入ガスの内容積部12への供給が中断される。焼入ガス源26は、パイプ29によって電動機18に更に連結されている。少なくとも1つの制御可能なバルブ30がパイプ29に設けられている。バルブ30が開いているとき、焼入ガスは電動機18の内容積部内に運ばれる。バルブ30が閉じているとき、焼入ガスの電動機18の内容積部への供給が中断される。
【0037】
供給回路25は、制御可能なバルブ32によってパイプ27に連結された焼入ガスの排出システム31を有している。供給回路25は制御可能なバルブ34によってパイプ27に連結された真空システム33を更に有している。電動機に供給するためのパイプ29は、制御可能なバルブ35によって焼入れ装置の内容積部12に供給するためのパイプ27に連結されている。供給回路25は、焼入れ装置10の内容積部12内の圧力を測定するためのセンサ36を有している。
【0038】
焼入れ装置の動作サイクル中に、焼入れ装置に存在する焼入ガスが排出システム31によって排出され、その後、真空が真空システム33によって焼入れ装置10内に生成される。次に、焼入ガスが非同期電動機18及び焼入れ装置に注入される。その後、非同期電動機18内の圧力が焼入れ装置10の内容積部12内の圧力と略等しい状態で焼入れ処理が行われる。
【0039】
焼入れ装置10によって占める最大の横方向の床面積Dは、筐体11の直径と、各連結デバイス21の軸方向の長さと、各非同期電動機18の軸方向の長さとの合計に相当する。
【0040】
例として、直径が1.8mであり、内容積が3〜4m
3である焼入れ装置では、電動機18は、特には焼入ガスが窒素であるとき、200 kWより大きい電力を伝送するはずである。各非同期電動機18は一般には半径流式電動機である。各非同期電動機18の軸方向の長さは1m程度であってもよい。そのため、焼入れ装置10の底部における最大の横方向の大きさDは、各非同期電動機18へのアクセスのための50cmの経路を考慮すると5mに達する場合がある。
【0041】
特には保守作業のため、例えば各電動機18の載置及び交換のために、電動機18毎に50cm程度の追加の領域を設けることが更に一般に必要である。そのため、アクセス領域を含む焼入れ装置10全体の最大の横方向の大きさは6mに達する場合がある。このように、焼入れ装置10が配置されている敷地の寸法は焼入れ装置10全体の横方向の大きさに適合しているべきであり、このため、焼入れ装置10の使用に関連したコストが上昇する。
【0042】
図2は、ガス焼入れ装置40の本発明に係る実施形態を示す。
【0043】
ガス焼入れ装置40は、
図1に示されている焼入れ装置10の要素を全て備えており、差異は、各非同期電動機18が同期電動機42、好ましくは軸流式同期電動機と置き換えられている点である。
【0044】
本実施形態では、各同期電動機42の真空及び圧力の作用が同期電動機42のフランジによって確保される。
【0045】
実施形態によれば、各同期電動機42は半径流式同期電動機であり、好ましくは2つのステータ間に配置された単一のロータを有する同期電動機である。
【0046】
焼入れ装置40は、同期電動機42の内容積部内の圧力を測定するための圧力センサ43を更に備えている。圧力センサ43は、同期電動機42にガスを供給するためのパイプに配置されてもよい。
【0047】
少なくとも各同期電動機42内の圧力が、工業用の真空、つまり主真空に略相当する0.1 mbar(10Pa)から25バール(2.5MPa)までの範囲内にあるとき、各同期電動機42は焼入れ装置40の外的環境に対して気密である。
【0048】
焼入れ処理中に、同期電動機42の内容積部内の圧力が圧力センサ43によって測定され、焼入れ装置40の内容積部12内の圧力が圧力センサ36によって測定され、焼入れ装置40の内容積部12内の圧力及び各同期電動機42内の圧力を調整するために、バルブ28及びバルブ30を開閉する。
【0049】
実施形態によれば、焼入れ処理中に、同期電動機42の内容積部内の圧力は、焼入れ装置40の内容積部12内の圧力より厳密に高いように維持される。同期電動機42の内容積部内の圧力と焼入れ装置10の内容積部12内の圧力との差は、例えば5ミリバール(500 Pa)以上であり、好ましくは100 ミリバール(0.01MPa )以上であり、より好ましくは500 ミリバール(0.05MPa )以上である。例として、同期電動機42の内容積部内の圧力と焼入れ装置40の内容積部12内の圧力との差は略一定である。
【0050】
別の実施形態によれば、焼入れ処理中に、同期電動機42の内容積部内の圧力は、焼入れ装置40の内容積部12内の圧力と略等しいように維持される。
【0051】
焼入れ処理中に、同期電動機42の内容積部内の圧力が焼入れ装置40の内容積部12内の圧力と略等しいように、又は同期電動機42の内容積部内の圧力が焼入れ装置40の内容積部12内の圧力より厳密に高いように、同期電動機42の内容積部内の圧力は焼入れ装置40の内容積部12内の圧力によって制御されてもよい。
【0052】
焼入れ装置40の動作サイクルの一例として、動作サイクルは、
主真空が、焼入れ装置の内容積部12及び同期電動機42の内容積部内に最初にある状態で、
例えば同期電動機内の圧力が1バールに達すべく、同期電動機42にのみ焼入ガスを注入して、同期電動機42を始動させる工程、
筐体11の扉を開けて筐体11内に搬入物14を導入し、筐体11の扉を閉じる工程、
同期電動機42の内容積部及び焼入れ装置40の内容積部12内の所望の圧力まで、同期電動機42の内容積部及び焼入れ装置40の内容積部12に焼入ガスを注入する工程、
攪拌要素17が搬入物14のレベルで焼入ガスを循環させながら、焼入れする工程、
主真空が焼入れ装置の内容積部12及び同期電動機42の内容積部内に生成されるまで、焼入れ装置の内容積部12及び同期電動機42の内容積部内に存在する焼入ガスを排出する工程、及び
筐体11の扉を開けて筐体から搬入物14を移し、筐体11の扉を閉じる工程
を連続的に有する。
【0053】
例として、焼入れ装置の内容積部12及び同期電動機42の内容積部から焼入ガスを排出する工程を、約1バール(10
5 Pa)の圧力が得られるまでバルブ32及びバルブ35を開けてバルブ28、バルブ30及びバルブ34を閉じ、その後、主真空を得るためにバルブ34及びバルブ35を開けて、バルブ28、バルブ30及びバルブ32を閉じることにより行う。
【0054】
例として、同期電動機42にのみ焼入ガスを注入する工程を、バルブ30を開けて、バルブ28、バルブ32、バルブ34及びバルブ35を閉じることにより行う。
【0055】
変形例として、主真空が、動作サイクル毎に同期電動機42内で生成されず、前記動作サイクルの一部でのみ生成される。この場合、焼入ガスが同期電動機内で例えば4バールより高い圧力で存在してもよい一方、焼入れ装置の内容積部12内は主真空である。
【0056】
筐体11及び同期電動機42に焼入ガスを供給するための供給回路25は、
図2に示されている構造とは異なる構造を有してもよい。例として、同期電動機42内の圧力を測定するための圧力センサ43又は焼入れ装置40の内容積部12内の圧力を測定するための圧力センサ36が、同期電動機42内の圧力と焼入れ装置40の内容積部12内の圧力との差を測定することができるセンサと置き換えられる。別の例によれば、同期電動機42及び焼入れ装置40の内容積部12に、2つの異なる焼入ガス供給回路によって焼入ガスを供給する。
【0057】
図3は、
図2の焼入れ装置40の一部の更に詳細な部分断面図である。
図3は、筐体11の一部、攪拌要素17の内の1つ、連結デバイス21の内の1つ及び同期電動機42の内の1つのみを示している。更に
図3では、同期電動機42に焼入ガスを供給するためのパイプ29が示されていない。
図4及び5は夫々、
図3の同期電動機42の断面図及び斜視図である。連結デバイス21は、例えば互いに溶接された2つの部分45及び部分46から形成されたケース44を有している。ケース44は、溶接又はねじにより筐体11に取り付けられている。攪拌要素17は、同期電動機42の駆動軸48の一端部50に組み立てられている。
【0058】
図4及び5は夫々、同期電動機42の内の1つの横断面図及び斜視図である。
【0059】
同期電動機42は、2つのフランジ56A 及びフランジ56B から主に形成されたケーシング54を有している。各フランジ56A, 56Bは、軸芯△を中心とした回転対称の一般的な構造を有している。好ましくは、フランジ56A 及びフランジ56B は同一の又は略同一の構造を有している。このため、フランジ56A, 56Bの製造コストを下げ得ることが有利である。以下の記載では、フランジ56A, 56Bに関する同一の又は同様の要素を指定する際に、フランジ56A に関する要素には同一の数字の後に接尾語「A」を付与して、フランジ56B に関する要素には同一の数字の後に接尾語「B」を付与する。
【0060】
フランジ56A 及びフランジ56B は、
図5に示されてケーシング54の周囲に規則的に分散されているねじ58A 及びねじ58B によって互いに取り付けられている。各フランジ56A, 56Bは、軸芯△と平行に延びる軸芯を有するねじ山付開口部60A, 60Bを有しており、ねじ山付開口部は軸芯△の円筒体上に分散されている。フランジ56B は、ねじ山付開口部60B と協働するねじ(不図示)により連結デバイス21に取り付けられている。
【0061】
駆動軸48が、ケーシング54に対して回転自在に組み立てられている。駆動軸48は例えば鋼から形成されている。好ましくは、駆動軸48の回転軸芯は軸芯△と共通である。
【0062】
各フランジ56A, 56Bは、略一定の厚さを有して外周筒状部分72A, 72Bに延びている中央筒状部分70A, 70Bを有している。中央筒状部分70A, 70B及び外周筒状部分72A, 72Bは、例えば鋼から形成されている。中央筒状部分70A, 70Bは内側の円筒状縁部74A, 74Bを有しており、円筒状縁部74A, 74Bは、フランジ56A, 56Bと交差する軸芯△の円筒状開口部76A, 76Bを画定している。外周筒状部分72A, 72Bは環状のハウジング78A, 78Bを有している。
【0063】
図3及び4に概略的に示されている同期電動機42のステータ77A, 77Bがハウジング78A, 78B内に配置されている。好ましくは、同期電動機42は2つの異なるステータ77A, 77Bを有しており、第1のステータ77A はハウジング78A 内に配置されており、第2ステータ77B はハウジング78B 内に配置されている。電気端子がステータに電力を供給するために外周筒状部分72A, 72Bに設けられており、電気端子79B のみが
図5に示されている。
【0064】
各ハウジング78A, 78Bは、パイプ82A, 82Bが配置されている凹部80A, 80Bを有している。例として、パイプ82A, 82Bは、凹部80A, 80B内に螺旋状に配置された中空管を有している。パイプ82A, 82Bは、外周筒状部分72A, 72Bと交差してケーシング54の外側に突出している端部分84A, 84B, 86A, 86Bを更に有している。作動中、端部分84A, 84B, 86A, 86Bは、パイプ82A, 82B内の冷却液を循環させ得る冷却液供給システム(不図示)に連結されている。
【0065】
中央筒状部分70A, 70Bは、軸芯△と平行な軸芯を有する3つの円筒状の開口部88A, 88Bを有している。開口部88A, 88Bの内の1つのみが
図3及び4に示されている。好ましくは、
図5に示されているように、開口部88A, 88Bの軸芯は、互いに略等間隔で軸芯△の円筒体に分散されている。以下に更に詳細に示されているように、作動中、開口部88A はガス供給パイプに連結されてもよい。開口部88A 及び開口部88B は、保守作業中に更に使用されてもよい。各開口部88A, 88Bは、複数の、例えば3つのねじ山付開口部90A, 90Bに囲まれている。焼入れ装置40の作動中、ねじ山付開口部90A は、開口部88A へのガス供給パイプのねじ締めに使用されてもよく、ねじ山付開口部90B はキャップ(不図示)のねじ締めに使用されてもよい。
【0066】
駆動軸48は、軸芯△を中心としてケーシング54に対して駆動軸48を回転可能にする軸受ユニット92A, 92Bによって各フランジ56A, 56Bに連結されている。軸受ユニット92A は、例えばねじ締めによって縁部74A に取り付けられた軸受支持体94A と、駆動軸48と軸受支持体94A との間に配置された2つの隣り合う転がり軸受96A とを有している。軸受ユニット92B は、例えばねじ締めによって縁部74B に取り付けられた軸受支持体94B と、駆動軸48と軸受支持体94B との間に配置された転がり軸受96B とを有している。リング95が軸受支持体94A と縁部74A との間に配置されている。転がり軸受96A, 96Bの軸方向の保持は、一方側では駆動軸48に設けられたストッパ98A, 98Bによって確保されており、他方側では駆動軸48にねじ締めされたリング100A, 100Bによって確保されている。
【0067】
フランジ56A 側では、カバー104 が開口部76A を気密に閉じている。フランジ56B 側では、部分105 が開口部76B を閉じて、駆動軸48の一端部50を通過させるための開口部106 を有している。
【0068】
リップシール108A, 108Bにより、転がり軸受96A, 96Bを潤滑にするために使用される材料が同期電動機42の残りの部分に浸透することを回避できるようになる。カバー104 はねじ(不図示)によって軸受支持体94A に取り付けられてもよく、部分105 はねじ(不図示)によって縁部74B に取り付けられてもよい。
【0069】
同期電動機42は、2つの中間部114 によって駆動軸48に連結されたロータ112 を有している。ロータ112 は永久磁石回転子である。同期電動機42のロータ112 及びステータの構造は、M. Aydin,S. Huang及びT.A. Lipo 著の文献「Axial Flux Permanent Magnet Disc Machines: A Review」(Symposium on Power Electronics, Electrical Drives, Automation, and Motion (SPEEDAM) 2004,カプリ島,イタリア,2004年6月16〜18日)に記載されている構造に相当してもよい。
【0070】
ロータ112 は環状の外側部分116 を有している。環状の外側部分116 は例えば複合材料から形成されている。環状の外側部分116 は複数の貫通開口部118 を有している。永久磁石120 が各貫通開口部118 内に配置されている。永久磁石120 は、特には希土類元素を含む合金を有する永久磁石であってもよい。各永久磁石120 の極は、軸芯△と平行に向いている。軸芯△に沿って測定される各永久磁石120 の厚さは、円筒状の外側部分116 の厚さより僅かに小さい。軸芯△に垂直な面では、各永久磁石120 は環状扇形である。
【0071】
各中間部114 は環状である。中間部114 は、例えばアルミニウムから形成されている。駆動軸48は、ストッパ98A 及びストッパ98B 間にフランジ122 を有している。中間部114 はフランジ122 を挟持しており、例えばねじ締めによってフランジに取り付けられてもよい。変形例として、中間部114 はフランジ122 に溶接されてもよい。中間部114 は、ロータ112 の外側部分116 の内縁部分を挟持しており、例えばねじ締めによって内縁部分に取り付けられてもよい。変形例として、中間部114 はロータ112 の外側部分116 に溶接されてもよい。
【0072】
貫通開口部128 が中間部114 に設けられてもよい。貫通開口部128 の数は開口部88A, 88Bの数と等しい。有利には、貫通開口部128 は夫々、ケーシング54に対する駆動軸48のある角度位置に関して開口部88A, 88Bの内の1つと一度に並ぶように分散されている。
【0073】
同期電動機42の残りの部分から生じる汚染物質によってハウジング78A, 78Bを汚染する危険性を減らすために、フランジ56A, 56Bは、ロータ112 の外側部分116 を通過させるための狭通路130 を画定している。狭通路130 の領域内のフランジ56A, 56B間の間隙は、10分の数ミリメートルであることが好ましい。
【0074】
作動中、ガス供給パイプが開口部88A に連結されており、同期電動機42の開口部88B が
図3〜5に示されていないカバーによって閉じられている。
【0075】
保守作業が同期電動機42に関して行なわれるべきであるとき、例として、軸受ユニット92A, 92Bの交換が行われるべきであるとき、ロータ112 の永久磁石120 と各ステータ77A, 77Bとのエアギャップは維持されるべきである。実際、ロータ112 の永久磁石120 がステータ77A, 77Bの内の1つと接すると、電動機の使用が不可能になる。
【0076】
このために、保守作業中、ロータ112 とステータ77A, 77Bとの間のエアギャップを一定に維持すべく保持具を使用してもよい。このような保持具は、各フランジ56A, 56Bに取り付けられてもよく、開口部88A, 88B内に導入されて中間部114 に当接するピンを有してもよい。貫通開口部128 は、ピンの中心位置調整を容易にし得る。この場合、各開口部88A は、
図4に示されているように開口部88B の内の1つと略並んで配置されてもよい。有利には、各フランジ56A, 56Bは3つの開口部88A, 88Bを有している。このため、フランジ56A, 56B毎に、3本のピンがロータ112 の中間部114 の表面に当接してピンに対してロータを安定して支持することが可能になる。
【0077】
中間部114 がピンの間に挟持されているとき、ピンは所定の位置に固定されている。従って、同期電動機42での保守作業、例えば軸受ユニット92A, 92Bの取外しが、ロータ112 の永久磁石120 とステータ77A, 77Bとのエアギャップを変更する危険性なく行われ得る。
【0078】
焼入れ装置40は複数の利点を有する。
【0079】
焼入れ装置40の、軸芯△に沿って測定される一般的な横方向の大きさが
図1に示されている焼入れ装置10に対して減少しているという利点がある。実際、例えば約200 mmである同期電動機42の軸方向の大きさは、約1mの場合がある非同期電動機18の軸方向の大きさより小さい。
【0080】
同期電動機42が、駆動軸の回転速度の広範囲内で、例えば数毎分回転数〜5,000 回転数/分の範囲内で例えば500 Nm〜800 Nmの範囲内の値、例えば約600 Nmの略一定の駆動トルクを与えることができ、このような電動機は焼入れ装置内のスクリュー遠心式攪拌タービンの回転に適合しているという別の利点がある。
【0081】
従って、同期電動機42の効率が非常に広範囲の速度内で一定のままである一方、非同期電動機18は、通常の動作点で、例えば3,000 〜3,600 の回転数/分の前後でのみ最適効率を有している。その結果、焼入れ装置40の動作サイクル中に節約される消費電力は、焼入れ装置10に対して20%〜50%の範囲内である。
【0082】
処理される部品を焼入れするための実際の条件を正確に決定するために、焼入れ処理中の攪拌要素17の実際の可変回転速度を決定すべきである。同期電動機42によって回転する攪拌要素17の回転速度は、同期電動機の電力供給パラメータ、例えば同期電動機の供給電流及び/又は供給電圧から直接決定されてもよいということが、焼入れ装置40の別の利点である。これは、非同期電動機19のスリップにより焼入れ装置10には該当しない。焼入れ装置10では、焼入れ処理中に攪拌要素17の実際の回転速度を正確に測定するための追加の手段を設けるべきである。
【0083】
別の利点は、各同期電動機42の内容積が15リットル未満であり、好ましくは10リットル未満であるということにある。このため、加圧装置の調整に関して同期電動機42の製造を簡略化し得ることが有利である。
【0084】
超過圧力が筐体11の内容積部12に対して同期電動機42の内容積部内で維持される実施形態の別の利点は、塵埃が焼入れ装置40の内容積部12から同期電動機42の内容積部に向かって通過する危険性が低下するか、又は除去されるということである。
【0085】
同期電動機42に厚い壁を有する鋼のフランジ56A, 56Bを使用することにより、電動機内の高圧にも関わらず電動機を使用することができるということが、別の利点である。
【0086】
本発明の特定の実施形態を記載している。様々な変更及び調整が当業者に想起される。特に、
図2に示されている焼入れ装置40は2つの同期電動機42を備えているが、焼入れ装置は単一の同期電動機又は3以上の同期電動機を備えてもよいことは明らかとすべきである。
【0087】
本特許出願は、参照により本明細書に組み込まれている仏国特許出願第13/50575号明細書の優先権を主張している。