(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光路切換光学系は、前記回転体の回転によって前記複数の反射鏡が所定の角度位置に位置決めされたときに、これらの反射鏡の内いずれか1つの反射鏡の反射鏡面部で前記入射ビームの略すべてを反射させるように構成されている請求項1に記載のビーム分岐装置。
前記回転体の中心軸と前記入射ビームの中心線とを結ぶ最短の線分に平行な方向に沿って、前記入射ビームの中心線を仮想的に移動して前記回転体の中心軸と交差させたとき、前記回転体の中心軸と前記入射ビームの中心線とのなす仮想交差角度が略45°になるように構成されている請求項1または2に記載のビーム分岐装置。
前記各反射鏡の前記反射鏡面部は、それぞれ、当該反射鏡面部で前記入射ビームを反射させるとき、この入射ビームの入射面と反射面との交線に略一致する長軸を有し、かつ楕円率が略√2の楕円形、または、この楕円形を内包する多角形に形成されている請求項3に記載のビーム分岐装置。
前記光路切換光学系は、前記複数の反射鏡の内いずれの反射鏡の反射鏡面部で前記入射ビームを反射させるときにおいても、その入射ビームおよび反射ビームは、当該反射鏡以外の前記反射鏡によって光路を妨げられないように構成されている請求項1から4までのいずれかに記載のビーム分岐装置。
前記光路切換光学系は、前記回転体を適宜回転させることにより、前記入射ビームが前記複数の反射鏡のいずれの反射鏡面部でも反射せずに直進するように構成されている請求項1から5までのいずれかに記載のビーム分岐装置。
前記光路切換光学系は、前記複数の反射鏡の内、任意の反射鏡から別の任意の前記反射鏡に切り換える途中で、その他の反射鏡が前記入射ビームを反射しないように構成されている請求項1から6までのいずれかに記載のビーム分岐装置。
前記複数の反射鏡は、いずれも、前記回転体の回転角度にかかわらず、前記反射鏡面部以外に前記入射ビームが照射されないように構成されている請求項1から7までのいずれかに記載のビーム分岐装置。
前記光路切換光学系は、前記回転式モータによって回転する構成部材すべての重心が、ほぼ前記回転体の中心軸上にある請求項1から8までのいずれかに記載のビーム分岐装置。
前記光路切換光学系は、前記入射ビームを出射するレーザ装置を制御する数値制御装置または前記反射ビームを加工対象物に照射する加工ヘッドを制御する数値制御装置からの指令に基づき、前記回転体の回転角度が制御されるように構成されている請求項1から10までのいずれかに記載のビーム分岐装置。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光線を出射する加工ヘッドを把持したロボットハンドによる溶接等のレーザ加工においては、ビーム分岐装置を用いることにより、レーザ装置からフィードファイバを伝搬してきたレーザ光線を切り換えて複数のプロセスファイバに分岐し、各プロセスファイバの他端にそれぞれ接続された複数の加工ヘッドでレーザ加工を行うことで、1台のレーザ装置を効率的に使用することが行われている。
【0003】
このようなビーム分岐装置としては、その結合効率(フィードファイバからビーム分岐装置を介してプロセスファイバに伝搬する光エネルギーの比率で、具体的には、プロセスファイバの入射側端面のコア部分に入射した光エネルギーをフィードファイバの出射側端面のコア部分から出射した光エネルギーで除した値)を高めること等を狙って、回転式モータで回転する回転体に対して反射鏡(ミラー)の反射鏡面部を垂直に取り付ける技術(以下、公知技術1という。)が提案されていた(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0004】
すなわち、この公知技術1では、
図17に示すように、反射鏡5、回転体4および回転式モータ2からなる光路切換光学系30を複数(
図17では、2個)装備し、各光路切換光学系30において、それぞれ、回転式モータ2の回転軸に直結された回転体4の回転により反射鏡5の位置を変えて、入射ビーム7が反射鏡5に照射されて反射するか、入射ビーム7が反射鏡5に照射されず直進するかで2方向に分岐することにより、3つ以上(
図17では、2つのプロセスファイバ12と1つのアブソーバ17の合計3つ)に分岐することができる。ここで、各光路切換光学系30は、反射鏡5の反射鏡面部20が回転体4に対して垂直なので、反射鏡5の回転角度が多少ずれても反射ビーム9の位置や方向が変わらないので、プロセスファイバ12の端面のコア径が100μm程度と非常に小さいものであっても、高い結合効率を得ることができるのである。
【0005】
また、こうした公知技術1とは別に、ビーム分岐装置のコストやサイズ・重量の増大を抑制すべく、回転式モータ2の回転軸の半径方向に傾きが異なる複数の反射鏡面部20を反射鏡5に形成することにより、入射ビーム7の分岐数が多くても回転式モータ2を1つで済まそうとする技術(以下、公知技術2という。)も提案されていた(例えば、特許文献4、5参照)。
【0006】
すなわち、この公知技術2では、
図18Bに示すように、反射鏡5に複数(
図18では、3つ)の反射鏡面部20が形成されており、これらの反射鏡面部20は、互いに、回転式モータ2の回転軸の半径方向に傾きが異なっている。そして、反射ビーム9の方向に応じて、この反射鏡5を適宜回転させることにより、
図18Aに示すように、入射ビーム7を複数に分岐することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、公知技術1では、回転式モータ2の回転精度をあまり高めなくてもビーム分岐装置の結合効率を高められるものの、入射ビーム7の分岐数に応じた個数の回転式モータ2が必要になるため、入射ビーム7の分岐数が多いと、必然的にビーム分岐装置のコストやサイズ・重量が増大してしまう。
【0009】
また、公知技術2では、公知技術1と異なり、入射ビーム7の分岐数が多くても、回転式モータ2が1つで済むため、ビーム分岐装置のコストやサイズ等の増大を抑制できる反面、回転式モータ2の回転角度が少しでも変わると、反射ビーム9の方向が大きく変わるため、回転式モータ2の回転角度を非常に高精度に制御しない限り、ビーム分岐装置の結合効率が低下する。しかも、回転式モータ2で駆動される反射鏡5が慣性を有するため、この反射鏡5が完全に停止するまでの時間は結合効率が一層低下する。したがって、ビーム分岐装置の実用に際して一定の結合効率を確保しなければならないことを踏まえれば、光路の高速切換はほとんど不可能と言える。
【0010】
以上のように、従来の技術(公知技術1、2)では、入射ビーム7の分岐数が多くてもビーム分岐装置のコストやサイズ等の増大を抑制することと、回転式モータ2の回転精度をあまり高めなくてもビーム分岐装置の結合効率を高め、かつ光路の高速切換にも対応可能とすることとが両立し得なかった。
【0011】
そこで、本発明は、この両立を実現すること、すなわち、入射ビームの分岐数が多くてもコストやサイズ等の増大を抑制することができると同時に、回転式モータの回転精度をあまり高めなくても結合効率を高め、かつ光路の高速切換にも対応可能とすることができるビーム分岐装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るビーム分岐装置(例えば、後述のビーム分岐装置1、21、31、41、51)は、回転式モータ(例えば、後述の回転式モータ2)と、前記回転式モータの回転軸に連動して回転する回転体(例えば、後述の回転体4)と、前記回転体の中心軸(例えば、後述の中心軸6)に対して略垂直な反射鏡面部(例えば、後述の反射鏡面部20)を有し、前記回転体にその軸方向に分離して取り付けられた複数の反射鏡(例えば、後述の反射鏡5)と、を備えた光路切換光学系(例えば、後述の光路切換光学系30)を有し、前記回転式モータの前記回転軸を回転させて前記回転体を前記複数の反射鏡とともに回転させることにより、前記複数の反射鏡の内いずれか1つの反射鏡の反射鏡面部で入射ビームを反射させて、この入射ビームを複数に分岐して反射ビームの光路を切り換えるビーム分岐装置であって、前記光路切換光学系は、前記回転体の中心軸が、前記入射ビームの中心線に対して、ねじれの位置にあるとともに、前記複数の反射鏡が、前記回転体上の位置であって前記入射ビームに最も接近する位置を挟んで当該回転体の軸方向の両側に対向して配置されている。
【0013】
前記光路切換光学系は、前記回転体の回転によって前記複数の反射鏡が所定の角度位置に位置決めされたときに、これらの反射鏡の内いずれか1つの反射鏡の反射鏡面部で前記入射ビームの略すべてを反射させるように構成されていてもよい。
【0014】
前記回転体の中心軸と前記入射ビームの中心線とを結ぶ最短の線分に平行な方向に沿って、前記入射ビームの中心線を仮想的に移動して前記回転体の中心軸と交差させたとき、前記回転体の中心軸と前記入射ビームの中心線とのなす仮想交差角度が略45°になるように構成されていてもよい。
【0015】
前記各反射鏡の前記反射鏡面部は、それぞれ、当該反射鏡面部で前記入射ビームを反射させるとき、この入射ビームの入射面と反射面との交線に略一致する長軸を有し、かつ楕円率が略√2の楕円形、または、この楕円形を内包する多角形に形成されていてもよい。
【0016】
前記光路切換光学系は、前記複数の反射鏡の内いずれの反射鏡の反射鏡面部で前記入射ビームを反射させるときにおいても、その入射ビームおよび反射ビームは、当該反射鏡以外の前記反射鏡によって光路を妨げられないように構成されていてもよい。
【0017】
前記光路切換光学系は、前記回転体を適宜回転させることにより、前記入射ビームが前記複数の反射鏡のいずれの反射鏡面部でも反射せずに直進するように構成されていてもよい。
【0018】
前記光路切換光学系は、前記複数の反射鏡の内、任意の反射鏡から別の任意の前記反射鏡に切り換える途中で、その他の反射鏡が前記入射ビームを反射しないように構成されていてもよい。
【0019】
前記複数の反射鏡は、いずれも、前記回転体の回転角度にかかわらず、前記反射鏡面部以外に前記入射ビームが照射されないように構成されていてもよい。
【0020】
前記光路切換光学系は、前記回転式モータによって回転する構成部材すべての重心が、ほぼ前記回転体の中心軸上にあってもよい。
【0021】
前記光路切換光学系は、前記入射ビームの光路に沿って複数装備されていてもよい。
【0022】
前記光路切換光学系は、前記入射ビームを出射するレーザ装置を制御する数値制御装置または前記反射ビームを加工対象物に照射する加工ヘッドを制御する数値制御装置からの指令に基づき、前記回転体の回転角度が制御されるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、回転式モータの1個当たり複数の反射鏡を備えているため、入射ビームの分岐数が多くてもコストやサイズ等の増大を抑制することができると同時に、反射鏡の反射鏡面部が回転体の中心軸に対して略垂直であるため、回転式モータの回転精度をあまり高めなくても結合効率を高め、かつ光路の高速切換にも対応可能とすることができる。
【0024】
しかも、複数の反射鏡を支持する回転体の中心軸と入射ビームの中心線とが、ねじれの位置にあるとともに、これらの反射鏡の配置に工夫を凝らしたので、光路切換光学系、ひいてはビーム分岐装置を小型軽量化することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、第2実施形態以後の説明において、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るビーム分岐装置の構成を示す図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係るビーム分岐装置の光路切換光学系を示す斜視図である。
【0028】
ビーム分岐装置1は、
図1および
図2に示すように、レーザ装置24から出射されたレーザ光線を複数(本実施形態では、5つ)に分岐して複数(本実施形態では、4つ)の加工ヘッド25(第1加工ヘッド25−1、第2加工ヘッド25−2、第3加工ヘッド25−3、第4加工ヘッド25−4)に供給するものである。このビーム分岐装置1は、1つの光路切換光学系30を有しており、この光路切換光学系30は、回転式モータ2と、円筒状の回転体4と、複数(本実施形態では、4つ)の反射鏡5(第1反射鏡5−1、第2反射鏡5−2、第3反射鏡5−3、第4反射鏡5−4)と、角度センサ3と、を備えている。
【0029】
ここで、回転体4は、回転式モータ2の回転軸に直結されて、この回転軸に連動して回転する。各反射鏡5は、回転体4にその軸方向に分離して取り付けられており、回転体4の中心軸6に対して略垂直な反射鏡面部20(20−1、20−2、20−3、20−4)を有している。これらの反射鏡5は、反射鏡面部20が回転体4の中心軸6を中心として異なる角度で配置され、かつ反射鏡面部20が回転体4の中心軸6の軸心方向に同じ間隔を置いて互いに平行になっている。角度センサ3は、回転式モータ2の回転軸の回転角度を検出する。
【0030】
さらに詳しく説明すると、ビーム分岐装置1は、六面体の筐体19を有している。筐体19の前面(
図1下面)には、1つの入力ファイバ用のコネクタ15および4つの出力ファイバ用のコネクタ16が取り付けられている。コネクタ15には、レーザ装置24からビーム分岐装置1へレーザ光線を伝搬させるためのフィードファイバ11が接続されている。各コネクタ16には、それぞれ、ビーム分岐装置1から各加工ヘッド25(第1加工ヘッド25−1、第2加工ヘッド25−2、第3加工ヘッド25−3、第4加工ヘッド25−4)へレーザ光線を伝搬させるためのプロセスファイバ12が接続されている。さらに、筐体19の右側面(
図1右側面)には、レーザ光線を吸収するアブソーバ17が取り付けられている。
【0031】
また、筐体19内には、フィードファイバ11から筐体19内に供給されたレーザ光線を平行光線にするためのコリメートレンズ系13が、コネクタ15の近傍に配置されている。また、筐体19内には、筐体19内からプロセスファイバ12に供給されるレーザ光線を集光するための4つの焦点レンズ系14が、4つのコネクタ16の近傍に配置されている。さらに、筐体19内には、コリメートレンズ系13で平行光線にされたレーザ光線を反射させてアブソーバ17側に導く固定反射鏡18が配置されている。
【0032】
また、筐体19には、光路切換光学系30が装備されている。そして、ビーム分岐装置1は、この光路切換光学系30を用いて、回転式モータ2の回転軸を回転させて回転体4を複数の反射鏡5とともに回転させることにより、複数の反射鏡5の内いずれか1つの反射鏡5の反射鏡面部20で入射ビーム7を反射させて、この入射ビーム7を複数に分岐して反射ビーム9の光路を切り換える。
【0033】
また、光路切換光学系30は、回転体4の中心軸6が、入射ビーム7の中心線8に対して、ねじれの位置にあるとともに、複数の反射鏡5が、回転体上の位置であって入射ビーム7に最も接近する位置P1を挟んで回転体の軸方向の両側に対向して配置されている。ここで、「ねじれの位置にある」とは、数学(立体幾何学)で定義されているとおり、2直線(ここでは、回転体の中心軸と入射ビーム7の中心線8)が同一平面上に存在しない(換言すれば、2直線が交差せず、かつ平行でもない)位置関係を意味する。
【0034】
ビーム分岐装置1は以上のような構成を有するので、このビーム分岐装置1を用いて、レーザ装置24から任意の加工ヘッド25にレーザ光線を供給してレーザ加工を行う際には、次の手順により、反射ビーム9の光路を切り換える。
【0035】
まず、このレーザ加工を行う前は、
図3A〜
図3Dに示すように、入射ビーム7が、反射鏡5の間を斜めに素通りして、いずれの反射鏡5の反射鏡面部20でも反射されない状態になっている。この状態では、入射ビーム7は、光路切換光学系30のどの部位とも干渉せず、アブソーバ17で吸収されている。
【0036】
そして、第1加工ヘッド25−1でレーザ加工を行う場合は、この状態から、回転式モータ2の回転軸を正方向(この回転軸の先端側から見て反時計方向)に72°回転させる。すると、回転体4が同方向に同じ角度(72°)だけ回転し、
図4A〜
図4Dに示すように、入射ビーム7が第1反射鏡5−1の反射鏡面部20−1に入射した状態になる。その結果、それまでアブソーバ17で吸収されていた入射ビーム7は、第1反射鏡5−1の反射鏡面部20−1で反射して、反射ビーム9として第1加工ヘッド25−1に供給される。したがって、第1加工ヘッド25−1でレーザ加工を行うことができる。このとき、第1反射鏡5−1の反射鏡面部20−1に入射する入射ビーム7も、第1反射鏡5−1の反射鏡面部20−1で反射した反射ビーム9も、その他の反射鏡5(第2反射鏡5−2、第3反射鏡5−3、第4反射鏡5−4)に妨げられないので、第1加工ヘッド25−1でのレーザ加工を支障なく行うことが可能となる。
【0037】
また、第2加工ヘッド25−2でレーザ加工を行う場合は、この状態から、回転式モータ2の回転軸を正方向にさらに72°回転させる。すると、回転体4が同方向にさらに同じ角度(72°)だけ回転し、
図5A〜
図5Dに示すように、入射ビーム7が第2反射鏡5−2の反射鏡面部20−2に入射した状態になる。その結果、それまで第1反射鏡5−1の反射鏡面部20−1で反射していた入射ビーム7は、第2反射鏡5−2の反射鏡面部20−2で反射して、反射ビーム9として第2加工ヘッド25−2に供給される。したがって、第2加工ヘッド25−2でレーザ加工を行うことができる。このとき、第2反射鏡5−2の反射鏡面部20−2に入射する入射ビーム7も、第2反射鏡5−2の反射鏡面部20−2で反射した反射ビーム9も、その他の反射鏡5(第1反射鏡5−1、第3反射鏡5−3、第4反射鏡5−4)に妨げられないので、第2加工ヘッド25−2でのレーザ加工を支障なく行うことが可能となる。
【0038】
また、第3加工ヘッド25−3でレーザ加工を行う場合は、この状態から、回転式モータ2の回転軸を正方向にさらに72°回転させる。すると、回転体4が同方向にさらに同じ角度(72°)だけ回転し、
図6A〜
図6Dに示すように、入射ビーム7が第3反射鏡5−3の反射鏡面部20−3に入射した状態になる。その結果、それまで第2反射鏡5−2の反射鏡面部20−2で反射していた入射ビーム7は、第3反射鏡5−3の反射鏡面部20−3で反射して、反射ビーム9として第3加工ヘッド25−3に供給される。したがって、第3加工ヘッド25−3でレーザ加工を行うことができる。このとき、第3反射鏡5−3の反射鏡面部20−3に入射する入射ビーム7も、第3反射鏡5−3の反射鏡面部20−3で反射した反射ビーム9も、その他の反射鏡5(第1反射鏡5−1、第2反射鏡5−2、第4反射鏡5−4)に妨げられないので、第3加工ヘッド25−3でのレーザ加工を支障なく行うことが可能となる。
【0039】
さらに、第4加工ヘッド25−4でレーザ加工を行う場合は、この状態から、回転式モータ2の回転軸を正方向にさらに72°回転させる。すると、回転体4が同方向にさらに同じ角度(72°)だけ回転し、
図7A〜
図7Dに示すように、入射ビーム7が第4反射鏡5−4の反射鏡面部20−4に入射した状態になる。その結果、それまで第3反射鏡5−3の反射鏡面部20−3で反射していた入射ビーム7は、第4反射鏡5−4の反射鏡面部20−4で反射して、反射ビーム9として第4加工ヘッド25−4に供給される。したがって、第4加工ヘッド25−4でレーザ加工を行うことができる。このとき、第4反射鏡5−4の反射鏡面部20−4に入射する入射ビーム7も、第4反射鏡5−4の反射鏡面部20−4で反射した反射ビーム9も、その他の反射鏡5(第1反射鏡5−1、第2反射鏡5−2、第3反射鏡5−3)に妨げられないので、第4加工ヘッド25−4でのレーザ加工を支障なく行うことが可能となる。
【0040】
なお、この状態から、回転式モータ2の回転軸を正方向にさらに72°回転させると、回転式モータ2の回転軸が一周(360°回転)するので、レーザ加工を行う前の状態(
図3A〜
図3Dの状態)に戻る。
【0041】
このように、ビーム分岐装置1は、回転式モータ2の1個当たり複数の反射鏡5を備えているため、入射ビーム7の分岐数が多くても、ビーム分岐装置1のコストやサイズ等の増大を抑制することができると同時に、反射鏡5の反射鏡面部20が回転体の中心軸に対して略垂直であるため、回転式モータ2の回転精度をあまり高めなくても結合効率を高め、かつ光路の高速切換にも対応可能とすることができる。
【0042】
しかも、複数の反射鏡5を支持する回転体の中心軸と入射ビーム7の中心線8とが、ねじれの位置にあるとともに、これらの反射鏡5の配置に工夫を凝らしたので、焦点レンズ系を配置するために必要な切り換えたレーザ光線間の距離を確保するために複数の反射鏡5の反射鏡面部20間の距離を離しつつも、光路切換光学系30を小型軽量化することができ、ひいてはビーム分岐装置1全体を小型軽量化することが可能となる。
【0043】
また、光路切換光学系30は、回転体の回転によって複数の反射鏡5が所定の角度位置に位置決めされたときに、これらの反射鏡5の内いずれか1つの反射鏡5の反射鏡面部20で入射ビーム7の略すべてを反射させるように構成されている。したがって、入射ビーム7を有効活用することができ、光路切換光学系30を小型軽量化することが可能となる。
【0044】
ビーム分岐装置1は、回転体の中心軸と入射ビーム7の中心線8とを結ぶ最短の線分に平行な方向に沿って、入射ビーム7の中心線8を仮想的に移動して回転体の中心軸と交差させたとき、回転体の中心軸と入射ビーム7の中心線8とのなす仮想交差角度が略45°になるように構成されている。
【0045】
そのため、光路切換光学系30を小型軽量化することができる。これは、焦点レンズ系を配置するのに必要な反射ビーム9間の距離を確保するためには、この仮想交差角度が小さいほど反射鏡5の反射鏡面部20の距離を大きく離す必要があり、逆に、この仮想交差角度が大きいほど反射鏡5の反射鏡面部20を回転体の中心軸から離れた位置に設置する必要があり、いずれの場合も、光路切換光学系30の大型化を招くことから、この仮想交差角度を略45°にすれば、光路切換光学系30のサイズを最小化できるとの考えに基づく。
【0046】
さらに、光路切換光学系30では、複数の反射鏡5の内、最も外側の2枚の反射鏡5(第1反射鏡5−1と第4反射鏡5−4)の反射鏡面部20を延長した平面と入射ビーム7の中心線8との2つ交点の距離ができるだけ小さくなるように、入射ビーム7を入射させることが望ましい。最も外側の2枚の反射鏡5の反射鏡面部20を延長した平面と入射ビーム7の中心線8との2つ交点の距離(d)は、複数の反射鏡5の反射鏡面部20を延長した各平面の間隔が等間隔の場合、上述した仮想交差角度をθとすると、d=分岐した反射ビーム9の中心線10間の間隔×(反射鏡5の数−1)/sin(2θ)で表されるので、分岐した反射ビーム9の中心線10間の間隔と反射鏡5の数が決まっている場合、θ=45°のときに距離(d)が最小になる。したがって、この観点からも、仮想交差角度は略45°とすることが望ましい。
【0047】
しかも、各反射鏡5の反射鏡面部20は、それぞれ、
図8に示すように、この反射鏡面部20で入射ビーム7を反射させるとき、この入射ビーム7の入射面(入射ビームの中心線8と反射ビームの中心線10とを含む平面)と反射面(反射鏡面部20の表面)との交線に略一致する長軸を有し、かつ楕円率(短径に対する長径の比率、長径を短径で除した値)が略√2の楕円形、または、この楕円形を内包する多角形(本実施形態では、八角形)に形成されている。
【0048】
したがって、上記仮想交差角度を略45°にしたときに、反射鏡面部20のサイズを必要以上に大きくしないことで、光路切換光学系30を小型軽量化することができる。これは、上記仮想交差角度を略45°にすると、反射鏡面部20にも約45°の角度で入射するので、入射ビーム7をすべて反射するのに必要な形状は、円柱を円柱の軸に対して略45°の角度で切り取った断面、すなわち、楕円率が略√2の楕円形になるからである。ただし、通常、楕円状に加工するのは加工コストが高くなるので、楕円形に略相似形であって楕円状を内包する形状、例えば八角形等の多角形にすることで加工コストを下げることができる。
【0049】
光路切換光学系30は、反射鏡5の形状と配置を適正に設計することにより、複数の反射鏡5の内いずれの反射鏡5の反射鏡面部20で入射ビーム7を反射させるときにおいても、その入射ビーム7および反射ビーム9は、この反射鏡5以外の反射鏡5によって光路を妨げられないように構成されている。そのため、レーザ光線の減衰や分岐先以外の光路にレーザ光線が漏れ出すというリスクを回避することができる。
【0050】
光路切換光学系30は、回転体を適宜回転させることにより、入射ビーム7が複数の反射鏡5のいずれの反射鏡面部20でも反射せずに直進するように構成されている。
【0051】
こうすることで、レーザ装置24からレーザ光線が出射されている状態でも、入射ビーム7をアブソーバ17に入射させてレーザ光線を外部に出さないようにして、安全性を確保することができる。また、直進してきた入射ビーム7を次の光路切換光学系30で分岐する構造が可能になり、これによって分岐数を増やすことができる。
【0052】
複数の反射鏡5は、いずれも、回転体の回転角度にかかわらず、反射鏡面部20以外に入射ビーム7が照射されないように構成されている。したがって、照射された部材が損傷したり、予測していない方向に反射した迷光がビーム分岐装置1外に漏れ出したりするリスクを回避することが可能となる。
【0053】
光路切換光学系30は、回転式モータ2によって回転する構成部材すべて(具体的には、反射鏡面部20と、この反射鏡面部20を支持して回転体に取り付けるためのサポート部材の全体)の重心が、ほぼ回転体の中心軸上にある。その結果、回転体を高速で回転しても、この回転体に振動が発生する事態を防ぎ、結合効率の低下を招くことなく高速切換を行うことができる。また、回転体の振動を防ぐことにより、光路切換光学系30の信頼性や耐久性を向上させることが可能となる。
【0054】
光路切換光学系30は、入射ビーム7を出射するレーザ装置24を制御する数値制御装置または反射ビーム9を加工対象物に照射する加工ヘッド25を制御する数値制御装置からの指令に基づき、回転体4の回転角度が制御されるように構成されている。したがって、ビーム分岐装置1によるレーザ光線の切換と、レーザ装置24からのレーザ光線の出射状態、あるいは、加工ヘッド25の位置や姿勢との同期性を高め、レーザ加工の加工速度や加工精度を向上させることができる。
【0055】
さらに、このビーム分岐装置1では、すべてのコネクタ15、16が筐体19の同じ面(
図1下面)に取り付けられているので、ビーム分岐装置1の使い勝手が良好である。
【0056】
[第2実施形態]
図9は、本発明の第2実施形態に係るビーム分岐装置の構成を示す図である。
【0057】
ビーム分岐装置21は、第1実施形態(
図1)と異なっているのは、
図9に示すように、入射ビーム7を反射する固定反射鏡18を省き、その代わりに、分岐された各反射ビーム9を反射する固定反射鏡28を4つ設置することにより、すべてのコネクタ15、16を筐体19の同じ面(
図9左側面)に取り付けた点である。その他の構成については、上述した第1実施形態と基本的に同様である。
【0058】
したがって、この第2実施形態では、上述した第1実施形態と同じ作用効果を奏する。これに加えて、第2実施形態では、4つの固定反射鏡28の位置(
図9上下方向における光路切換光学系30との距離)を適宜設定することにより、光路切換光学系30のサイズを増大させることなく、分岐された反射ビーム9同士の間隔を拡げられるという利点がある。
【0059】
さらに、このビーム分岐装置21では、すべてのコネクタ15、16が筐体19の同じ面(
図9左側面)に取り付けられているので、ビーム分岐装置21の使い勝手が良好である。
【0060】
[第3実施形態]
図10は、本発明の第3実施形態に係るビーム分岐装置の構成を示す図である。
【0061】
ビーム分岐装置31では、第1実施形態(
図1)と比べて、
図10に示すように、回転体4に取り付ける反射鏡5の数を4個から2個に減らすことにより、分岐数が5から3に変更されている。これに伴って、2つの反射鏡5は、反射鏡面部20が回転体4の中心軸6を中心として異なる角度で配置されている。その他の構成については、上述した第1実施形態と基本的に同様である。
【0062】
ビーム分岐装置31は以上のような構成を有するので、このビーム分岐装置31を用いて、レーザ装置24から任意の加工ヘッド25にレーザ光線を供給してレーザ加工を行う際には、次の手順により、反射ビーム9の光路を切り換える。
【0063】
まず、このレーザ加工を行う前は、
図11A〜
図11Dに示すように、入射ビーム7が、反射鏡5の間を斜めに素通りして、いずれの反射鏡5の反射鏡面部20でも反射されない状態になっている。この状態では、入射ビーム7は、光路切換光学系30のどの部位とも干渉せず、アブソーバ17で吸収されている。
【0064】
そして、第1加工ヘッド25−1でレーザ加工を行う場合は、この状態から、回転式モータ2の回転軸を正方向に90°回転させる。すると、回転体4が同方向に同じ角度(90°)だけ回転し、
図12A〜
図12Dに示すように、入射ビーム7が第1反射鏡5−1の反射鏡面部20−1に入射した状態になる。その結果、それまでアブソーバ17で吸収されていた入射ビーム7は、第1反射鏡5−1の反射鏡面部20−1で反射して、反射ビーム9として第1加工ヘッド25−1に供給される。したがって、第1加工ヘッド25−1でレーザ加工を行うことができる。このとき、第1反射鏡5−1の反射鏡面部20−1に入射する入射ビーム7も、第1反射鏡5−1の反射鏡面部20−1で反射した反射ビーム9も、その他の反射鏡5(第2反射鏡5−2)に妨げられないので、第1加工ヘッド25−1でのレーザ加工を支障なく行うことが可能となる。
【0065】
また、第2加工ヘッド25−2でレーザ加工を行う場合は、まず、この状態から、回転式モータ2の回転軸を正方向にさらに90°回転させる。すると、回転体4が同方向にさらに同じ角度(90°)だけ回転し、
図13A〜
図13Dに示すように、入射ビーム7が、反射鏡5の間を斜めに素通りして、いずれの反射鏡5の反射鏡面部20でも反射されない状態になる。
【0066】
次いで、この状態から、回転式モータ2の回転軸を正方向にさらに90°回転させる。すると、回転体4が同方向にさらに同じ角度(90°)だけ回転し、
図14A〜
図14Dに示すように、入射ビーム7が第2反射鏡5−2の反射鏡面部20−2に入射した状態になる。その結果、それまでアブソーバ17で吸収されていた入射ビーム7は、第2反射鏡5−2の反射鏡面部20−2で反射して、反射ビーム9として第2加工ヘッド25−2に供給される。したがって、第2加工ヘッド25−2でレーザ加工を行うことができる。このとき、第2反射鏡5−2の反射鏡面部20−2に入射する入射ビーム7も、第2反射鏡5−2の反射鏡面部20−2で反射した反射ビーム9も、その他の反射鏡5(第1反射鏡5−1)に妨げられないので、第2加工ヘッド25−2でのレーザ加工を支障なく行うことが可能となる。
【0067】
なお、この状態から、回転式モータ2の回転軸を正方向にさらに90°回転させると、回転式モータ2の回転軸が一周(360°回転)するので、レーザ加工を行う前の状態(
図11A〜
図11Dの状態)に戻る。
【0068】
したがって、この第3実施形態では、上述した第1実施形態と同じ作用効果を奏する。これに加えて、第3実施形態では、光路切換光学系30は、2つの反射鏡5(第1反射鏡5−1、第2反射鏡5−2)の内、任意の反射鏡5から別の任意の反射鏡5に切り換える途中で、その他の反射鏡5が入射ビーム7を反射しないように構成されている。そのため、光路切換時に切換元と切換先以外の光路に入射ビーム7が分岐されないので、ビーム分岐装置31の安全性が向上する。その上、入射ビーム7の切換に要する時間も短縮でき、高速切換が可能になる。
【0069】
すなわち、第1実施形態(
図1)や第2実施形態(
図9)では、回転体4に4個の反射鏡5が取り付けられているため、例えば、第1加工ヘッド25−1でのレーザ加工から第2加工ヘッド25−2でのレーザ加工に移行するときには、入射ビーム7を反射させる反射鏡5を第1反射鏡5−1から第2反射鏡5−2に直接(つまり、第3反射鏡5−3や第4反射鏡5−4を経由せずに)切り換えられるが、第1加工ヘッド25−1でのレーザ加工から第3加工ヘッド25−3でのレーザ加工に移行するときには、入射ビーム7を反射させる反射鏡5を第1反射鏡5−1から第3反射鏡5−3に直接切り換えることはできず、必ず第2反射鏡5−2(回転式モータ2の正転時)または第4反射鏡5−4(回転式モータ2の逆転時)を経由しなければならない。
【0070】
これに対して、第3実施形態では、回転体4に2個の反射鏡5しか取り付けられていないため、第1加工ヘッド25−1でのレーザ加工から第2加工ヘッド25−2でのレーザ加工に移行するときには、入射ビーム7を反射させる反射鏡5を第1反射鏡5−1から第2反射鏡5−2に直接切り換えられるとともに、逆に、第2加工ヘッド25−2でのレーザ加工から第1加工ヘッド25−1でのレーザ加工に移行するときには、入射ビーム7を反射させる反射鏡5を第2反射鏡5−2から第1反射鏡5−1に直接切り換えられる。したがって、入射ビーム7の供給を一旦停止しなくても、ビーム分岐装置31の安全性を確保しつつ入射ビーム7の切換作業を高速に実行することができる。
【0071】
[第4実施形態]
図15は、本発明の第4実施形態に係るビーム分岐装置の構成を示す図である。
【0072】
ビーム分岐装置41は、第1実施形態(
図1)と異なっているのは、
図15に示すように、回転体4に取り付ける反射鏡5の数を4個から2個に減らして光路切換光学系30を構成するとともに、この光路切換光学系30を入射ビーム7の光路に沿って2つ並べて装備した点である。なお、いずれの光路切換光学系30においても、2つの反射鏡5は、上述した第3実施形態(
図10)と同様、反射鏡面部20が回転体4の中心軸6を中心として異なる角度で配置されている。また、2個の回転式モータ2は、それぞれ独立して回転軸を回転させることができる。その他の構成については、上述した第1実施形態と基本的に同様である。
【0073】
したがって、この第4実施形態では、上述した第1実施形態と同じ作用効果を奏する。また、2個の回転式モータ2の回転軸は、上述したとおり、それぞれ独立して回転可能となっているので、入射ビーム7の切換作業を円滑に実行することができる。
【0074】
しかも、分岐数が同じ5であっても、第1実施形態のように、1本の回転体4に取り付ける反射鏡5の枚数を増やして分岐数を増やすと、光路切換光学系30の大型化を招くのに対して、第4実施形態のように、回転体4の本数を増やして、1本の回転体4に取り付ける反射鏡5の枚数を減らせば、分岐数を増やしても、光路切換光学系30の大型化を抑制することができる。
【0075】
なお、第4実施形態では、第1実施形態と比べて、回転式モータ2の所要個数は2倍になるが、従来の構造(
図17)に比べれば、同じ分岐数(5)であるにもかかわらず、回転式モータ2の所要個数が半分で済む。
【0076】
[第5実施形態]
図16は、本発明の第5実施形態に係るビーム分岐装置の構成を示す図である。
【0077】
ビーム分岐装置51は、第4実施形態(
図15)と異なっているのは、
図16に示すように、ギヤ等の伝動装置を使用して、1つの回転式モータ2で複数の回転体4を回転させている点である。その他の構成については、上述した第4実施形態と基本的に同様である。
【0078】
したがって、この第5実施形態では、上述した第4実施形態と同じ作用効果を奏する。さらに、第4実施形態と比べて、同じ分岐数(5)であるにもかかわらず、回転式モータ2の所要個数が半分で済む。
【0079】
なお、本発明は上記第1実施形態〜第5実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
【0080】
第1実施形態〜第5実施形態では、反射ビーム9の光路を切り換える際に、回転式モータ2の回転軸を正方向に回転させる場合について説明したが、必要に応じて回転式モータ2の回転軸を逆方向に反転させてもよいことは言うまでもない。
【0081】
第1実施形態〜第5実施形態では、回転式モータ2の回転軸に複数の反射鏡5がその取付角度を円周方向にずらして取り付けられている場合について説明したが、複数の反射鏡5の取付角度は必ずしもずらす必要はない。すなわち、回転体4の中心軸6と入射ビーム7の中心線8とが、ねじれの位置にあれば、複数の反射鏡5が円周方向の同じ位置に配置されていても、回転体4を適宜回転させることにより、複数の反射鏡5の内いずれか1つの反射鏡5の反射鏡面部20で入射ビーム7を反射させるように設計することは可能である。
【0082】
第1実施形態〜第5実施形態では、回転体4の中心軸6が回転式モータ2の回転軸の中心軸に一致または平行している場合について説明した。しかし、回転体4の中心軸6と回転式モータ2の回転軸の中心軸とは必ずしも一致または平行させる必要はなく、例えば、かさ歯車や自在軸継手(ユニバーサルジョイント)等の結合部材を用いて回転体4に回転式モータ2の回転軸を連結することにより、これら2本の中心軸を交差させるようにしても構わない。
【0083】
第1実施形態〜第5実施形態では、筐体19内に固定反射鏡18、28を適宜配置することで、ビーム分岐装置1、21、31、41、51に入射したビームがUターンしてビーム分岐装置1、21、31、41、51から出射される構造になっている。しかし、固定反射鏡18、28を省いたり、その配置の方向を変更したりすることにより、これ以外の構造を付与したビーム分岐装置にも、本発明を同様に適用することができる。
【0084】
第1実施形態、第3実施形態〜第5実施形態では、筐体19内で入射ビーム7の光路を変更すべく、筐体19内に固定反射鏡18を配置し、第2実施形態では、筐体19内で反射ビーム9の光路を変更すべく、筐体19内に固定反射鏡28を配置したが、これらの固定反射鏡18、28に代えてプリズムなどの光路変換デバイスを用いてもよい。
【0085】
第4実施形態では、光路切換光学系30を2つにしたが、無論、光路切換光学系30を3つ以上にしても構わない。
【0086】
第1実施形態〜第5実施形態では、レーザ光線を複数に切り換える場合について説明したが、レーザ光線以外のビームを複数に切り換える場合に本発明を同様に適用することも勿論できる。