(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407965
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】ガラス封着のためのポリ(ブチレンオキシド)ポリオール系ポリウレタンシーラント
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20181004BHJP
C08G 18/66 20060101ALI20181004BHJP
C08G 18/36 20060101ALI20181004BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20181004BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20181004BHJP
E06B 3/667 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
C03C27/06 101Z
C08G18/66
C08G18/36
C08G18/48
C09K3/10 D
E06B3/667
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-505513(P2016-505513)
(86)(22)【出願日】2014年3月21日
(65)【公表番号】特表2016-522132(P2016-522132A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】US2014031521
(87)【国際公開番号】WO2014160617
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年3月17日
(31)【優先権主張番号】61/806,051
(32)【優先日】2013年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ビンドゥー・クリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ローラ・エイ・グリアー
【審査官】
若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/064971(WO,A1)
【文献】
特開平02−219822(JP,A)
【文献】
特表2003−508327(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/078922(WO,A1)
【文献】
特開2010−059006(JP,A)
【文献】
特開昭63−252946(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/000860(WO,A1)
【文献】
特表2008−518058(JP,A)
【文献】
特開2008−133475(JP,A)
【文献】
特表2007−530775(JP,A)
【文献】
特表2001−509829(JP,A)
【文献】
特表2005−511463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00−27/12
C08G 18/36
C08G 18/66
C08G 18/48
C09K 3/10
E06B 3/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスと基材の間にシールを形成するための方法であって、
a)1)少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有する70〜95重量%のポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールと5〜30重量%のヒマシ油との混合物であって、1分子当たり少なくとも2.2個のヒドロキシル基の平均公称官能価を有する、成分1)と、2)少なくとも1つの鎖延長剤と、3)少なくとも1つの有機ポリイソシアネートであって、イソシアネート指数が70〜130である、有機ポリイソシアネートと、を含む成分を組み合わせることによって硬化性反応混合物を形成することと、
b)前記硬化性反応混合物を、前記ガラス及び前記基材との間にあり、前記ガラス及び前記基材の両方に接触する接合面に適用することと、
c)前記硬化性反応混合物を硬化させて、前記ガラス及び前記基材との間にエラストマーシールを形成することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
多層窓ガラスアセンブリのための端部シールを生成するための方法であって、前記多層窓ガラスアセンブリが少なくとも1対の実質的に平行なガラス板を含み、前記1対の前記ガラス板が、前記1対のガラス板の間で、前記ガラス板の少なくとも1つの端部またはその付近に布置される1つ以上のスペーサにより、互いから分離され、前記方法が
a)前記1対のガラス板の前記少なくとも1つの端部へ、かつ前記1対のガラス板及び前記1対のガラス板を分離する前記スペーサ(複数可)のそれぞれと接触するように、硬化性反応混合物を適用することと、
b)前記硬化性反応混合物を硬化して、エラストマー端部シールを前記1対のガラス板の間に、かつ前記1対のガラス板を分離する前記スペーサ(複数可)に付着させて、形成することと、を含み、
前記硬化性反応混合物が、少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有する70〜95重量%のポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールと5〜30重量%のヒマシ油との混合物であって、1分子当たり少なくとも2.2個のヒドロキシル基の平均公称官能価を有する、成分1)と、2)少なくとも1つの鎖延長剤と、3)少なくとも1つの有機ポリイソシアネートであって、イソシアネート指数が70〜130である、有機ポリイソシアネートと、を含む、前記方法。
【請求項3】
前記ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールが、少なくとも2.2の平均公称ヒドロキシル官能価を有し、前記反応混合物中で200以上のヒドロキシル当量重量を有する唯一の前記ポリオールである、請求項1または2に記載の前記方法。
【請求項4】
前記鎖延長剤が、α,ω−アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールである、請求項1〜3のいずれかに記載の前記方法。
【請求項5】
前記反応混合物が、可塑剤を持たない、請求項1〜4のいずれかに記載の前記方法。
【請求項6】
前記反応混合物が、前記反応混合物に提供された可塑剤及び全ての反応性材料を合わせた重量に基づいて、10〜13重量%の前記可塑剤を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の前記方法。
【請求項7】
少なくとも1対の実質的に平行なガラス板であって、前記1対の前記ガラス板が、前記1対のガラス板の間で、前記ガラス板の少なくとも1つの端部またはその付近に布置される1つ以上のスペーサにより、互いから分離される平行なガラス板と、前記ガラス板及び前記スペーサ(複数可)の前記端部に接着されるエラストマー端部シールと、を含む、多層窓ガラスアセンブリであって、
前記エラストマー端部シールが、1)少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有する70〜95重量%のポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールと5〜30重量%のヒマシ油との混合物であって、1分子当たり少なくとも2.2個のヒドロキシル基の平均公称官能価を有する、成分1)と、2)少なくとも1つの鎖延長剤と、3)少なくとも1つの有機ポリイソシアネートであって、イソシアネート指数が70〜130である、有機ポリイソシアネートと、を含む成分を組み合わせることによって形成される硬化性反応混合物を硬化することによって形成されるポリマーである、前記多層窓ガラスアセンブリ。
【請求項8】
前記ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールが、2〜2.5の公称官能価及びヒドロキシル基当たり800〜1500の当量重量を有する、請求項7に記載の前記多層窓ガラスアセンブリ。
【請求項9】
前記ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールが、少なくとも2.2の平均公称ヒドロキシル官能価を有し、前記反応混合物中で200以上のヒドロキシル当量重量を有する唯一の前記ポリオールである、請求項7または8に記載の前記多層窓ガラスアセンブリ。
【請求項10】
前記鎖延長剤が、α,ω−アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールである、請求項7〜9のいずれかに記載の前記多層窓ガラスアセンブリ。
【請求項11】
前記反応混合物が、可塑剤を持たない、請求項7〜10のいずれかに記載の前記多層窓ガラスアセンブリ。
【請求項12】
断熱ガラスユニットであり、前記エラストマー端部シールが前記断熱ガラスユニットの二次シーラントである、請求項7〜11のいずれかに記載の前記多層窓ガラスアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス封着のためのポリウレタンシーラント、ガラス表面の封着方法、断熱ガラスユニットを作製するための方法、及びポリウレタンシーラントで封着される断熱ガラスユニットに関する。
【0002】
シーラントは、ガラスを枠組みまたは他の基材に接着し、端部周辺の気体及び水漏れを防止するためにしばしばガラス窓に適用される。この一例が、自動車のフロントガラスである。加えて、多数の建物のガラス工事用途では、ガラスを枠組み構造に接着させるためにシーラントに頼っている。これらの材料に対する一般的な要件は、それらがエラストマーであること、ならびにそれらがガラス及び他の材料に良好に接着することである。加えて、それらは、気体及び液体の浸透に対して良好な障壁を形成する必要がある。これを達成するために、シーラント材料は、シーラントと基材との間の接合面、ならびにシーラント材料自体を通る漏れを防止する必要がある。
【0003】
商業的に意義のあるガラス工事用途は、断熱ガラスユニット(IGU)である。IGUは一般的に、スペーサにより僅かに距離を隔てて保持される、2枚以上の平行な窓ガラスを含む。窓ガラスの間の密閉空間は、典型的には真空を保持するか、または空気もしくはアルゴン、ヘリウム、またはキセノン等の不活性気体で満たされる。真空または閉じ込められた不活性気体は、これらのIGUの断熱特性に大いに貢献する。シーラントは、このユニットをつなぎ止め、窓ガラス間の密閉空間中への及びそれからの気体の通過に対して障壁を提供する。これは、このユニットの断熱特性を維持するために重要である。加えて、このシーラントは、ユニット中に水が透過するのを防止する。これは、曇りを防止する上で役立つ。
【0004】
IGUは、典型的には2つの異なるシーラント材料を利用する。「一次」シーラントは、窓ガラスを直接的にスペーサに封着するために使用され、スペーサはその名前が示す通りに、隣接する窓ガラスとの間に空間を画定し、それにより密閉された真空または気体空間の厚さを画定する。一次シーラントとして選択される材料は、ポリイソブチレンであり、これは、水分及び気体の両方に対して優良な障壁である。しかし、ポリイソブチレンは、必要とされる機械的特性及び接着強度を提供しない。それゆえ、二次シーラントを使用するIGUを製造することが典型的である。この二次シーラントは、必要な接着性及び機械的強度を提供するだけでなく、特に一次シーラントが損傷または経年劣化した場合に、水分及び気体がユニット中へ及びそれから通過することを防止する上でも重要である。
【0005】
現在IGU中で使用されている最も高い性能を持つポリウレタン二次シーラントは、ポリブタジエンポリオール系である。これらのポリウレタンは、優良な水蒸気透過率を有するが、不十分な紫外線安定性に悩まされる。良好でない紫外線安定性に起因して、これらのポリウレタンシーラントは、経年劣化し、IGUの耐用年数は短くなる。これらのポリウレタンは、加水分解不安定性の影響も受け易い。
【0006】
他のポリウレタン二次シーラントの性能は、さらに劣っている。プロピレンオキシドのポリマー系のものは、水蒸気及び気体の両方の高い透過性に悩まされる。それらもまた、良好でない紫外線安定性、及び時として不十分な加水分解安定性を示し、それらを含有するIGUは、短い耐用年数を有する。
【0007】
実質的に非多孔質のポリマーにおいて、低い水透過性は、低い気体透過性に相関しない場合が多い。これは、低い水透過性がシーラントポリマーにおける高いレベルの疎水性によって有利となり、また疎水性が増加することにより、IGUの窓ガラス間の空間を満たすために一般的に使用されるアルゴン等の大気気体及び非極性気体による透過に有利に働く傾向があるためである。それゆえ、水透過性を低下させる傾向がある対策は、気体透過性に悪影響を有することがしばしば見受けられ、逆もまた同様である。
【0008】
ポリウレタンのさらなる別の欠点は、大量の可塑剤化合物が加工理由から配合物中にしばしば含まれざるを得ないことである。ポリウレタンは、典型的には、ポリオール成分とポリイソシアネート化合物とを混合することによって作製される。これらの成分間の粘度における大きな違いは、混合することを困難にし得、それによって、より長時間の混合が必要になる。使用される成分の反応性に起因して、粘度の増加及び発熱性に関連する加工の欠点が存在する。可塑剤は、ポリオール成分の粘度を低減して、混合を促進し、硬化の初期段階における粘度の増加を改良し、かつ吸熱器として作用することによって発熱性を低減するために含まれる。これらの理由から、可塑剤は、当産業で使用される機器によってポリウレタン系を加工するために必要であると幅広く理解される。経年的に、この可塑剤は、窓ガラス間の空間中に浸出し得、曇りを引き起こし得る。この曇りの可能性は、可塑剤のレベルを低減すること、またはそれを完全に排除することによって改良され得る。
【0009】
それゆえ、ガラス設置用の熱硬化性のエラストマーシーラントを提供することが望ましく、このシーラントは、良好な加工特性を有し、ガラスへの良好な接着性を示し、気体及び液体(大気中の水分を含む)に対して必要とされる障壁を提供し、必要な物理的特性、紫外線安定性、及び加水分解安定性を有する。
【0010】
本発明は、一態様において、ガラスと基材の間にシールを形成するための方法であり、
a)1)少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有するポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオール、または少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有する50〜99重量%のポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールと(i)少なくとも300の当量重量を有するプロピレンオキシドのポリマー及びコポリマーならびに(ii)ヒドロキシル含有脂肪もしくは油から選択される1〜50重量%の少なくとも1つの他のポリオールとの混合物であって、1分子当たり少なくとも2.2個のヒドロキシル基の平均公称官能価を有する、成分1)と、2)少なくとも1つの鎖延長剤と、3)少なくとも1つの有機ポリイソシアネートであって、イソシアネート指数が70〜130である、有機ポリイソシアネートと、を含む成分を組み合わせることによって硬化性反応混合物を形成することと、
b)硬化性反応混合物を、該ガラス及び該基材との間にあり、該ガラス及び該基材の両方に接触する接合面に適用することと、
c)硬化性反応混合物を硬化させて、ガラス及び基材との間にエラストマーシールを形成することと、を含む。
【0011】
特定の実施形態において、本発明は、多層窓ガラスアセンブリのための端部シールを生成するための方法であり、この多層窓ガラスアセンブリが少なくとも1対の実質的に平行なガラス板を含み、該1対のガラス板が、1対のガラス板の間、かつガラス板の少なくとも1つの端部またはその付近に布置される1つ以上のスペーサにより、互いから分離され、
a)1対のガラス板の少なくとも1つの端部へ、かつ1対のガラス板及び1対のガラス板を分離するスペーサ(複数可)のそれぞれと接触するように、硬化性反応混合物を適用することと、
b)硬化性反応混合物を硬化して、エラストマー端部シールを1対のガラス板の間に、かつ1対のガラス板を分離するスペーサ(複数可)に付着させて、形成することと、を含み、
硬化性反応混合物が、少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有するポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオール、または少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有する50〜99重量%のポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールと(i)少なくとも300のヒドロキシル当量重量を有するプロピレンオキシドのポリマー及びコポリマーならびに(ii)ヒドロキシル含有脂肪もしくは油から選択される1〜50重量%の少なくとも1つの他のポリオールとの混合物であって、1分子当たり少なくとも2.2個のヒドロキシル基の平均公称官能価を有する、成分1)と、2)少なくとも1つの鎖延長剤と、3)少なくとも1つの有機ポリイソシアネートであって、前記イソシアネート指数が70〜130である、有機ポリイソシアネートと、を含む。
【0012】
本発明はまた、少なくとも1対の実質的に平行なガラス板であって、該1対のガラス板が、この1対のガラス板の間で、このガラス板の少なくとも1つの端部またはその付近に布置される1つ以上のスペーサによって、互いから分離される、少なくとも1対の実質的に平行なガラス板と、ガラス板及びスペーサ(複数可)の該端部に接着されるエラストマー端部シールと、を含む多層窓ガラスアセンブリであり、このエラストマー端部シールは、1)少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有するポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオール、または少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有する50〜99重量%のポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールと(i)少なくとも300のヒドロキシル当量重量を有するプロピレンオキシドのポリマー及びコポリマーならびに(ii)ヒドロキシル含有脂肪もしくは油から選択される1〜50重量%の少なくとも1つの他のポリオールとの混合物であって、1分子当たり少なくとも2.2個のヒドロキシル基の平均公称官能価を有する、成分1)と、2)少なくとも1つの鎖延長剤と、3)少なくとも1つの有機ポリイソシアネートであって、イソシアネート指数が70〜130である、有機ポリイソシアネートと、を含む成分を組み合わせることによって形成される硬化性反応混合物を硬化することによって形成されるポリマーである。
【0013】
本発明は、ガラス設置のための、容易に加工され得る熱硬化性のエラストマーシーラントを提供する。本シーラント組成物はイソシアネート基、チラム、または二酸化マンガンの存在を必要とせず、これらは好ましくはこの組成物中に存在しない。硬化したシーラントは、ガラスと基材材料との間に、良好な接着性ならびに気体及び液体に対する低透過性をもつ強固なエラストマーシールを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】図は、本発明によるエラストマーシールで封着された多層窓ガラスアセンブリの側面図である。
【0015】
本発明において、シールはガラスと基材の間に形成される。「ガラス」は、少なくとも100℃のガラス転移温度を有する、任意の無機非晶質材料を意味する。ガラスは、好ましくは可視光に対して透明である。ガラスの好ましい形式は、50重量%以上のシリカを含有するガラスを意味する、シリカガラスである。シリカガラスの中には、溶融シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、ナトリウムガラス、酸化鉛ガラス、アルミノシリケートガラス、及びそれに類するものがある。ガラスの別の好ましい形式は、アルミナ及び少量の酸化ゲルマニウムを含有する、いわゆる「酸化物ガラス」である。
【0016】
本ガラスは、1つ以上のコーティングを、その主表面の片方または両方の上に有し得る。このようなコーティングの例としては、赤外線、紫外線、または可視光反射面等を含む様々な形式の反射コーティング、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、色相または他の着色層、及びそれに類するものが挙げられる。
【0017】
本ガラスは、多層構造を有し得る。例えば、本ガラスは、接着性ポリマーの1枚以上の中間層により接着される、2枚以上のガラス層からなってもよい。
【0018】
本基材は、例えば金属、セラミック、別のガラス、有機ポリマー、例えば木材、紙、綿等のリグノセルロース系材料、あるいは別の生体または天然材料を含む、任意の固体材料であり得る。有機ポリマーは、例えば、合成または生体由来ポリマーであってよく、熱可塑性物質または熱硬化性物質であり得る。
【0019】
特定の実施形態において、本ガラスは車輌、建築物、または他の建造物のための窓を形成し、本基材は窓が貼付されるフレーム要素である。フレーム要素は、車輌フレーム構造(またはその一部)であり得る。フレーム要素は、窓が貼付される、窓枠、戸の框、または他の構造用支持材であり得る。
【0020】
他の特定の実施形態において、本基材は、断熱ガラスユニット(IGU)等の多層窓ガラスアセンブリのためのスペーサである。このような多層窓ガラスアセンブリは、少なくとも1対の実質的に平行なガラス板を含む。ガラス板は、ガラス板の間で、少なくとも1つの端部またはその付近に布置される、1つ以上の周辺スペーサによって、互いから分離される。多層窓ガラスアセンブリは、それぞれの隣接する対が周辺スペーサによって分離される、任意のより多数の実質的に平行なガラス板を含有してよい。
【0021】
多層窓ガラスアセンブリの描写が図に示される。図において、実質的に平行な窓ガラス1は、端部11付近のスペーサ2によって分離され、2枚の窓ガラス1の間の空間4を画定する。典型的であるように、スペーサ2は端部11から僅かに内側に入り込み、窓ガラス1のそれぞれの内面10及びスペーサ2の外面9により画定される空洞8を残す。スペーサ2は典型的に、窓ガラス1の端部11の実質的長さに沿って布置され、より典型的には、スペーサ2のようなスペーサは、窓ガラス1の全体の周辺について布置される。本発明のシーラント5は、ガラス板1の該端部11及びスペーサ2へ接着され、窓ガラス1のそれぞれ及びスペーサ2の間、ならびに窓ガラス1の間にシールを形成する。示されるように、シーラント5は、窓ガラス1のそれぞれの内面10及びスペーサ2の外面9により画定され、かつ形成される空洞8を塞ぐ。
【0022】
図に示される特定の実施形態において、スペーサ2は中空であり、任意の乾燥剤6で満たされる。乾燥剤6は、多くの場合、空間4内に含有される気体から水分を吸収するために提供される。空間4は、典型的に、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン等の気体で満たされる。
【0023】
図において一次シーラント3もまた示され、これは任意的ではあるが多くの場合断熱ガラスユニットに含まれる。一次シーラント3は、ガラス板2の間の空隙に最も近接しており、水蒸気及び気体が空間4へ入ること及び空間4から出ることを防ぐために、一般的に存在する。一次シーラント3は好ましくはポリイソブチレンであるが、障壁特性を有する別のポリマーであってよい。
【0024】
シーラント5は、少なくとも以下の成分、
1)少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有するポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオール、または少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有する50〜99重量%のポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールと(i)少なくとも300のヒドロキシル当量重量を有するプロピレンオキシドのポリマー及びコポリマーならびに(ii)ヒドロキシル含有脂肪もしくは油から選択される1〜50重量%の少なくとも1つの他のポリオールとの混合物であって、1分子当たり少なくとも2.2個のヒドロキシル基の平均公称官能価を有する、成分1)と、2)少なくとも1つの鎖延長剤と、3)少なくとも1つのポリイソシアネートであって、イソシアネート指数が70〜130である、ポリイソシアネートと、を組み合わせることによって形成される硬化性反応混合物の反応生成物である。
【0025】
ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールは、1,2−ブチレンオキシドのホモポリマー、または全てのモノマーを合わせた重量に基づいて、最大25%、好ましくは最大10%、及びより好ましくは最大5%の、例えば、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、1,2−ヘキサンオキシド等の共重合性アルキレンオキシドを有するそれらのコポリマーである。ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ホモポリマーが好ましい。ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールは、開始剤化合物の存在下で、1,2−ブチレンオキシドを(単独または記載されるような1つ以上のコモノマーと共に)重合することによって、既知の方法において調製され得る。重合は、概して、水酸化アルカリ金属、複金属シアン化物触媒等の触媒を使用して触媒される。
【0026】
重合において使用される開始剤化合物(複数可)は、アルコキシル化され得る、平均して少なくとも1.8個の基を含有する。ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールの公称官能価は、開始剤化合物上でアルコシキル化可能な部位の数と等しいか、または開始剤化合物の混合物が使用される場合、この混合物中の1分子当たりのアルコシキル化可能な部位の平均数と等しい。好ましい開始剤化合物は2つ以上のヒドロキシル基を含有するが、アミン水素を含有する化合物も有用である。開始剤化合物は、好ましくは、アルコシキル化可能な部位当たり15〜150、及びより好ましくは30〜75の当量重量を有する。好適な開始剤化合物の例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、アニリン、トルエンジアミン等が挙げられる。
【0027】
ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールは、好ましくは2〜3、より好ましくは2〜2.5の公称官能価、及びヒドロキシル基当たり500〜3000、特に800〜2500、及び最も好ましくは800〜1500の当量重量を有する。
【0028】
ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールが、少なくとも2.2の公称官能価を有する場合、ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールは、反応混合物中で唯一の高い当量重量(すなわち、200g/当量以上)のポリオールであり得る。ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールが、2.2未満の公称官能価を有する場合、少なくとも2.2の平均公称官能価を増加させるために第2のポリオールを提供することが必要となる。たとえポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールの公称官能価が2.2以上の場合でも、かかる第2のポリオールも存在し得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、第2のポリオールは、少なくとも300のヒドロキシル当量重量を有するプロピレンオキシドのポリマーまたはコポリマーである。プロピレンオキシドは、1,3−プロピレンオキシドであり得るが、より典型的には1,2−プロピレンオキシドである。コポリマーの場合、コモノマーは、例えば、エチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、1,2−ヘキサンオキシド等の別の共重合性アルキレンオキシドである。コポリマーは、重合アルキレンオキシドの総重量に基づいて、75重量%以上、好ましくは85%以上の重合プロピレンオキシドを含有し得る。コポリマーは、好ましくは15%以下、特に5重量%以下の重合エチレンオキシドを含有する。プロピレンオキシドのポリマーまたはコポリマーは、少なくとも2.0の公称官能価を有するはずである。公称官能価は、好ましくは2.5〜6、より好ましくは2.5〜4または2.5〜3である。プロピレンオキシドのポリマーまたはコポリマーのヒドロキシル当量重量は、少なくとも300、好ましくは少なくとも500、より好ましくは500〜3000、いくつかの実施形態において、800〜2500、及び特定の実施形態において、800〜1500である。
【0030】
プロピレンオキシドのポリマーまたはコポリマーは、モノマーの選択を除いて、1,2−ブチレンオキシドポリマーに関して記載されるような同じ一般的な方法で作製され得る。プロピレンオキシドのポリマーまたはコポリマーを生成するために好適な開始剤化合物は、1,2−ブチレンオキシドポリマーに関して上述されるものを含む。
【0031】
他の実施形態において、第2のポリオールは、ヒドロキシル含有脂肪または油である。ヒドロキシル含有脂肪または油は、1分子当たり平均少なくとも2個、好ましくは少なくとも2.2個のヒドロキシル基を含有するはずである。好適なこのような油は、ヒマシ油及びレスケレラ油等の天然植物油を含む。ヒマシ油は、好ましいヒドロキシル含有油である。
【0032】
前述の第2のポリオールのうちの2つ以上の混合物が存在し得る。
【0033】
ポリオールの混合物が使用されるとき、ポリ(1,2−ブチレンオキシド)は、本混合物の50〜99重量%を成し、第2のポリオール(複数可)は、それらの1〜50%を成す。ポリ(1,2−ブチレンオキシド)は、好ましくは本混合物の70〜99重量%、及びより好ましくは本混合物の70〜90重量%を、本混合物の残りの重量に対応して成す第2のポリオール(複数可)と共に成す。
【0034】
成分1)は、少なくとも2.2、及び好ましくは少なくとも2.3の平均公称ヒドロキシル官能価を有する。その平均公称ヒドロキシル官能価は、6程度に高くてもよいが、好ましくは最大4、及びより好ましくは最大3である。成分1)の平均ヒドロキシル当量重量は、約500〜3000であり得、より好ましくは500〜1500、及びさらにより好ましくは600〜1200である。
【0035】
成分1)として、上述される70〜95重量%のポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリマーと5〜30重量%のヒマシ油との混合物が特に好ましい。このように特に好ましい混合物は、85〜95重量%のポリ(1,2−ブチレンオキシド)及び5〜15重量%のヒマシ油を含有し得る。これらの特に好ましい実施形態において、ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールは、好ましくは2〜3、より好ましくは2〜2.5の公称官能価、及びヒドロキシル基当たり500〜3000、特に800〜2500、及び最も好ましくは800〜1500の当量重量を有する。
【0036】
成分2)は、鎖延長剤であり、これは、正確に2個のイソシアネート反応性基、ならびにイソシアネート反応性基当たり最大300、好ましくは30〜150、及びより好ましくは30〜75の重量を有する化合物を意味する。イソシアネート反応性基は、例えば、ヒドロキシル、第一級アミノ基、または第二級アミノ基であり得る。ヒドロキシル基が、概して好ましい。ヒドロキシル含有鎖延長剤の例は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、2−エチルヘキサンジオール、N,N−ビス(2−ヒドロキシルプロピル)アニリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロメタンジメタノール等である。これらの中でも、線状、非環式、ヒドロキシル鎖延長剤が概して好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のα,ω−アルキレングリコール及びα,ω−ポリアルキレングリコールが、特に好ましい。
【0037】
有機ポリイソシアネートは、1分子当たり平均少なくとも2.0個のイソシアネート基を有利に含有する。好ましいイソシアネート官能価は、1分子当たり約2.0〜約3.0個または約2.0〜約2.5個のイソシアネート基である。ポリイソシアネートは、75〜200のイソシアネート当量重量を有利に有する。これは、好ましくは80〜170である。
【0038】
好適なポリイソシアネートは、芳香族、脂肪族、及び脂環式ポリイソシアネートを含む。典型的なポリイソシアネートは、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/または2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の種々の異性体、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI(H
12MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメソキシ−4,4′−ビフェニルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′,4′′−トリフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、水素化ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート、ならびに4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネートを含む。前述のポリイソシアネートのいずれも、尿素、イソシアヌレート、ウレチジンジオン、アロホネート、ビウレット、カルボジイミド、ウレタン、または他の連鎖部を含むように修飾され得る。
【0039】
中でも、好ましいポリイソシアネートは、MDI、「液体MDI」生成物であり、MDIは、20℃未満の融解温度及び135〜170のイソシアネート当量重量を有する、材料及びいわゆるポリマーMDI生成物を生成するための、尿素、ウレトンイミン、アロホネート、ビウレット、カルボジイミド、及び/またはウレタン連鎖部を含有するように修飾され、それらは、モノマーMDI中でポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートの混合物である。
【0040】
ポリイソシアネートは、70〜130のイソシアネート指数を提供するのに十分な量で使用される。イソシアネート指数は、反応混合物に提供される反応性イソシアネート基の数を、反応性混合物に提供されるイソシアネート反応性基の数で除算して、100を乗算したものとして算出される。好ましいイソシアネート指数は、90〜125であり、より好ましいイソシアネート指数は、95〜115である。
【0041】
加えて、ポリイソシアネート及び鎖延長剤(及び存在し得る任意の架橋剤)の量は、ポリウレタンが、10〜50%、好ましくは15〜35%、及びより好ましくは18〜30重量%の堅固なセグメント含有量を有するように、共に選択される。堅固なセグメント含有量は、ポリイソシアネート(複数可)、鎖延長剤(複数可)、及び架橋剤(複数可)(有る場合)を合わせた重量を、反応混合物に提供される全てのポリイソシアネート(複数可)及びイソシアネート反応性材料(有る場合、反応性触媒以外)の総重量で除算することによって算出される。
【0042】
硬化性反応混合物は、既述のものに加えて、他の成分を含有し得る。これらの中でもとりわけ、例えば、触媒、可塑剤、架橋剤、紫外線安定剤、殺生物剤、防腐剤、接着促進剤、着色料、充填剤、乾燥剤、及び水捕捉剤等が挙げられる。
【0043】
触媒の例として、第三級アミン;スズカルボキシレート;有機スズ化合物;第三級ホスフィン;種々の金属キレート;塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマス及び塩化ビスマス等の強酸の金属塩が挙げられる。第三級アミン及びスズ触媒が、概して好ましい。
【0044】
代表的な第三級アミン触媒は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ−2,2,2−オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、モルホリン,4,4′−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−セチルN,N−ジメチルアミン、N−ココ−モルホリン、N,N−ジメチルアミノメチルN−メチルエタノールアミン、N,N,N′−トリメチル−N′−ヒドロキシエチルビス(アミノエチル)エーテル、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)N−イソプロパノールアミン、(N,N−ジメチル)アミノ−エトキシエタノール、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサンジアミン、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7、N,N−ジモルホリノジエチルエーテル、N−メチルイミダゾール、ジメチルアミノプロピルジプロパノールアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミノ−2−プロパノール、テトラメチルアミノビス(プロピルアミン)、(ジメチル(アミノエトキシエチル))((ジメチルアミン)エチル)エーテル、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ビス(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)アミン、1,2−エチレンピペリジン、及びメチル−ヒドロキシエチルピペラジンを含む。
【0045】
有用なスズ含有触媒の例として、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジメルカプチド、ジアルキルスズジアルキルメルカプト酸、ジブチルスズオキシド、ジメチルスズジメルカプチド、ジメチルスズジイソオクチルメルカプトアセテート等が挙げられる。
【0046】
触媒は、典型的には、ポリオール(複数可)及びポリイソシアネート(複数可)の100重量部当たり0.0015〜5、好ましくは0.01〜1重量部などの少量で使用される。スズ含有触媒は、典型的には、これらの範囲の下限に向いた量で使用される。
【0047】
可塑剤は、存在し得る。可塑剤は存在する場合、好ましくは、ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリマーと混合されて、その粘度を低減し、結果、典型的にはるかに低い粘度を有するポリイソシアネートとの混合を促進する。好適な可塑剤の例として、最大約300の分子量を有する、モノカルボン酸の液体(25℃の)エステル及びジカルボン酸のジエステルが挙げられる。中でも、これらは、例えば、ジアルキルフタル酸エステル、ジアルキルテレフタル酸エステル、トリアルキルトリメリタート、ジアルキルアジピン酸エステル、ジアルキルマレイン酸エステル、ジアルキルセバシン酸エステル、アルキレングリコールのアルカン酸ジエステル、ポリアルキレングリコールのアルカン酸ジエステル等である。好ましい可塑剤は、トリメチルペンチルジイソブチレートである。
【0048】
可塑剤が使用される場合、その量は、反応混合物に提供される可塑剤及び全ての反応性材料(イソシアネート及びイソシアネート反応性材料)を合わせた重量の1〜50%に及び得る。本発明の有利性は、わずかな量の可塑剤がしばしば必要となることである。それゆえ、好ましい量は、前述と同じ基準で、1〜20%、いくつかの実施形態において5〜15%、及び他の実施形態において10〜13重量%である。可塑剤の使用は、引張強度を低減させる傾向にあるが、伸長度を増加させ、垂下度を増加させる。過剰な垂下度が欠点になり得るため、可塑剤(少しでも有る場合)を少量で使用する性能は、本発明の重大な有利性となり得る。加えて、シーラント中のより少量の可塑剤は、可塑剤の浸出に因る曇りのリスクと重大度を低減させる。
【0049】
架橋剤は、1分子当たり少なくとも3個のイソシアネート反応性基及びイソシアネート反応性基当たり200未満、好ましくは30〜150の当量重量を有する、本発明の化合物の目的のためである。架橋剤の例として、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、及び最大300の当量重量を有する、任意の前述の物質のアルコキシレート化合物が挙げられる。少しでも架橋剤が使用される場合、概して、硬化性反応混合物の重量の最大5%等の少量で存在する。
【0050】
充填剤は、所望のレオロジー特性を提供し、費用を低減するために存在し得る。充填剤の例として、滑石、二酸化チタン、炭酸カルシウム、雲母、珪灰石、フライアッシュ等の無機粉粒体;金属粒;カーボンブラック;黒鉛;高融有機ポリマー等が挙げられる。これらの充填剤の粒径(選別法を使用した決定による)は、最大50ミクロン、好ましくは0.2〜30ミクロンであり得る。充填剤は、硬化性反応混合物の最大90重量%、好ましくは25〜80重量%を成し得る。
【0051】
シールは、本発明に従って、硬化性反応混合物を形成し、該ガラス及び該基材の間にあり、それらに接触する接合面にそれを適用し、次に硬化性反応混合物を硬化させて、ガラス及び基材との間でエラストマーシールを形成することによって形成される。
【0052】
反応混合物は、前述の必要な成分及び任意の成分(有る場合)を混合することによって形成される。2つの成分中に出発原料を配合することが、概して好ましい。第1の成分は、成分1)、鎖延長剤(成分2)、及び任意の架橋剤を含む、イソシアネート反応性成分を含む。第2の成分は、ポリイソシアネート化合物(複数可)を含む。触媒(複数可)は、これらの成分の一方または両方中に配合され得るが、好ましくは、第1の成分中に配合される。可塑剤がある場合、好ましくは、第1の成分中に組み込まれる。
【0053】
混合及び適用は、任意の簡便な様式でなされ得る。材料が2つの成分中に配合された、好ましい場合において、これらの成分は単純に周囲温度、または任意の望ましい昇温で組み合わされ、ガラスと基材との間の接合面に堆積され、反応させられる。これらの成分の混合は、特定の用途及び利用可能な設備に依存して、任意の簡便な方法でなされ得る。成分の混合は、手または様々な種類のバッチ混合装置を使用することによりそれらを混合する、バッチ法でなされ得、その後、刷毛塗り、鋳込み、ビーズの適用、及び/または他の好適な様式によって適用される。2つの成分は、別個のカートリッジ内に包装され、混合、及び典型的にはビーズとしての、それらの接合面への適用のための静的混合装置を通じて同時に送出され得る。
【0054】
吹き付け方法もまた有用である。吹き付け方法において、個々の成分または配合された成分は、圧力下で混合ヘッドへ運ばれ、そこでそれらは組み合わされ、圧力下でガラスと基材との間の接合面へ送出される。
【0055】
他の連続的調量及び送出システムもまた、反応混合物を混合及び送出し、それをガラスと基材との間の接合面へ適用するために有用である。
【0056】
多くの場合において、硬化は、室温(約20℃)で自然に進行し、このような場合において、熱の適用無しに成し遂げられ得る。硬化反応は一般的に発熱性であり、対応する温度の上昇が起こり得る。
【0057】
より速い、及び/またはより完全な硬化が、より高い温度でしばしば確認され、この理由から、いくつかの実施形態において、適用された反応混合物を加熱することが望ましい場合がある。それゆえ、広範囲の硬化温度、例えば0〜180℃の温度等が使用され得る。より典型的な範囲は、4〜120℃であり、好ましい範囲は10〜80℃である。例えば、(a)他の材料と混合して反応混合物を形成する前に、1つ以上の出発物質を加熱すること、及び/または(b)原材料を混ぜ合わせることにより反応混合物を形成した後に、それを加熱することにより、これはなされ得る。
【0058】
本発明に従って作製される多層窓ガラスアセンブリは、断熱ガラスユニット、太陽モジュール等として有用である。
【0059】
下記の実施例は本発明を説明するために提供されるものであり、その範囲を制限しない。全ての部及びパーセントは、特に指示の無い限り、重量によるものである。
【実施例】
【0060】
実施例1〜4
実施例1を、以下の通りに調製する。50部の2000分子量の二官能性ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ホモポリマーと50部の3000分子量の公称三官能性ポリ(1,2−プロピレンオキシド)ホモポリマーとを混合することによって、ポリオールブレンドを調製する。このブレンドに4.5部の1,4−ブタンジオール及び約0.04部のスズ触媒を添加する。このブレンドを、1.02のイソシアネート指数の143のイソシアネート当量重量の「液体」MDI生成物と混合して、反応混合物を形成する。得られる硬化エラストマーは、25.2%の堅固なセグメントを含有する。反応混合物を、30分間の20,000psi(約140MPa)の加圧下で、50℃で30分間圧縮成形する。引張強度及び伸長度をASTM1708に従って測定し、以下の表1に報告する。結果は表1に示される通りである。
【0061】
表1に示されるように、各事例において、1,4−ブタンジオールを別の鎖延長剤に置き換えることを除いて、実施例2〜6を同じ方法で作製する。エラストマーの鎖延長剤の量及び堅固なセグメント含有量は、表1に示される。実施例3〜6に関して、ショアA硬度をASTM D2240に従って測定する。
【0062】
【表1】
【0063】
実施例1〜6の各々は、多層窓ガラスアセンブリの端部を封着するために使用されるとき、ガラス及びスペーサに対する優良な接着性を示し、高品質なシールを形成する。
【0064】
実施例7〜11
実施例7を、70部の2000分子量の二官能性ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ホモポリマーを30部のヒマシ油と混合することによって調製する。このブレンドに1.5部の1,4−ブタンジオール及び0.04部のスズ触媒を添加する。1,4−ブタンジオールの量を、1.1のイソシアネート指数で硬化させるとき、得られる硬化エラストマーが25%の堅固なセグメントを含有するように選択する。この混合物を、次に、1.1のイソシアネート指数の143のイソシアネート当量重量の「液体」MDI生成物と組み合わせて、反応混合物を形成し、これを実施例1〜6に関して記載されるように硬化させる。引張強度、伸長度、及びショアA硬度を、前述のように測定し、結果を以下の表2に示す。
【0065】
硬化フィルムの供試体を、機械的特性における水浸の効果を評価するために、ドッグボーン形状に切り取る。フィルムの初期重量(W
0)を決定する。続いて、フィルムを、各事例において、25℃に維持されるDI水に24時間か、または沸騰水に1時間浸漬する。指定時間後、次にフィルムをティッシュペーパーで表面の水を取り除いて乾燥させ、重量W
1を取得するために量る。方程式を使って、水の吸収を算出する。
水揚げ=(W
1−W
0)/W
0)×100%
【0066】
ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ホモポリマーとヒマシ油との比を表2に示されるように変化させることを除いて、実施例8〜11を同じ方法で調製し、試験する。
【0067】
【表2】
【0068】
実施例7〜11の各々は、多層窓ガラスアセンブリの端部を封着するために使用されるとき、ガラス及びスペーサに対する優良な接着性を示し、高品質なシールを形成する。
【0069】
実施例12
シーラント組成物を、前述の実施例に記載されるような一般的な方法で作製し、硬化させる。配合は、85部の2000分子量の二官能性ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ホモポリマー、15部のヒマシ油、1.5部の1,4ブタンジオール、0.05部のスズ触媒、及び26.3部の143の当量重量の「液体」MDIである。得られるエラストマーを、50℃で3日間硬化させる。その引張強度は、約200MPa(290psi)であり、その伸長度は、約440である。水揚げは、0.8重量%である。
【0070】
水蒸気透過率(MVTR)を、MOCON Permatran−W3/33水蒸気透過性計器上で分析する。その計器に適用される基準は、ASTM F−1249、TAPPI T557、及びJIS K−7129を含む。水蒸気透過率は、1.6g/(100in
2/日)(0.103g/m
2/日)である。
【0071】
酸素透過率(OTR)を、MOCON Oxtran2/21計器上で分析する。その計器に適用される基準は、ASTM D−3985、ASTM F−1927、DIN53380、JIS K−7126、及びISO CD15105−2を含む。酸素透過率は、80mL/(100in
2/日)(5.16mL/m
2/日)である。
【0072】
水蒸気透過及び酸素透過値は、IGU中の二次シーラントとしての使用に関して、このエラストマーの好適さを示す。
【0073】
実施例13〜18
実施例13を、85部の2000分子量の二官能性ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ホモポリマーを15部のヒマシ油と混合することによって調製する。このブレンドに1.5部の1,4−ブタンジオール及び0.04部のスズ触媒を添加する。50部のトリメチルペンタニルジイソブチレート(Eastman ChemicalsのTXIB可塑剤)と同様に、268.5部の炭酸カルシウム微粒子、2部のシラン接着促進剤、2部の抗酸化剤、及び5重量部の練り顔料を添加する。この得られる混合物を、次に、24.4部の143のイソシアネート当量重量の「液体」MDI生成物と組み合わせて、反応混合物を形成し、これを実施例1〜6に関して記載されるように硬化させる。引張強度、伸長度、及びショアA硬度を、前述のように測定し、結果を以下の表3に示す。
【0074】
可塑剤の量を表3に示されるように変化させることを除いて、実施例14〜18を同じ方法で調製し、試験する。
【0075】
【表3】
【0076】
実施例13〜18の各々は、多層窓ガラスアセンブリの端部を封着するために使用されるとき、ガラス及びスペーサに対する優良な接着性を示し、高品質なシールを形成する。
【0077】
これらの配合物のほとんど、特に実施例18は、わずかな量の可塑剤を含有し、高いレベルの充填剤を有するが、配合物の全ては、容易に加工するのに十分な低い粘度を有する。
なお、本発明には、以下の実施形態が包含される。
[1] ガラスと基材の間にシールを形成するための方法であって、
a)1)少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有するポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオール、または少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有する50〜99重量%のポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールと(i)少なくとも300の当量重量を有するプロピレンオキシドのポリマー及びコポリマーならびに(ii)ヒドロキシル含有脂肪もしくは油から選択される1〜50重量%の少なくとも1つの他のポリオールとの混合物であって、1分子当たり少なくとも2.2個のヒドロキシル基の平均公称官能価を有する、成分1)と、2)少なくとも1つの鎖延長剤と、3)少なくとも1つの有機ポリイソシアネートであって、前記イソシアネート指数が70〜130である、有機ポリイソシアネートと、を含む成分を組み合わせることによって硬化性反応混合物を形成することと、
b)前記硬化性反応混合物を、前記ガラス及び前記基材との間にあり、前記ガラス及び前記基材の両方に接触する接合面に適用することと、
c)前記硬化性反応混合物を硬化させて、前記ガラス及び前記基材との間にエラストマーシールを形成することと、を含む、前記方法。
[2] 多層窓ガラスアセンブリのための端部シールを生成するための方法であって、前記多層窓ガラスアセンブリが少なくとも1対の実質的に平行なガラス板を含み、前記1対の前記ガラス板が、前記1対のガラス板の間で、前記ガラス板の少なくとも1つの端部またはその付近に布置される1つ以上のスペーサにより、互いから分離され、前記方法が
a)前記1対のガラス板の前記少なくとも1つの端部へ、かつ前記1対のガラス板及び前記1対のガラス板を分離する前記スペーサ(複数可)のそれぞれと接触するように、硬化性反応混合物を適用することと、
b)前記硬化性反応混合物を硬化して、エラストマー端部シールを前記1対のガラス板の間に、かつ前記1対のガラス板を分離する前記スペーサ(複数可)に付着させて、形成することと、を含み、
前記硬化性反応混合物が、少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有するポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオール、または少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有する50〜99重量%のポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールと(i)少なくとも300のヒドロキシル当量重量を有するプロピレンオキシドのポリマー及びコポリマーならびに(ii)ヒドロキシル含有脂肪もしくは油から選択される1〜50重量%の少なくとも1つの他のポリオールとの混合物であって、1分子当たり少なくとも2.2個のヒドロキシル基の平均公称官能価を有する、成分1)と、2)少なくとも1つの鎖延長剤と、3)少なくとも1つの有機ポリイソシアネートであって、前記イソシアネート指数が70〜130である、有機ポリイソシアネートと、を含む、前記方法。
[3] 前記ポリ(1,2−ブチレンオキシド)が、少なくとも2.2の平均公称ヒドロキシル官能価を有し、前記反応混合物中で200以上のヒドロキシル当量重量を有する唯一の前記ポリオールである、[1]または[2]に記載の前記方法。
[4] 成分1)が、前記ポリ(1,2−ブチレンオキシド)とヒドロキシル含有脂肪または油との混合物である、[1]または[2]に記載の前記方法。
[5] 成分1)が、70〜95重量%の前記ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリマーと5〜30重量%のヒマシ油との混合物である、[4]に記載の前記方法。
[6] 前記鎖延長剤が、α,ω−アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールである、[1]〜[5]のいずれかに記載の前記方法。
[7] 前記反応混合物が、可塑剤を持たない、[1]〜[6]のいずれかに記載の前記方法。
[8] 前記反応混合物が、前記反応混合物に提供された可塑剤及び全ての反応性材料を合わせた重量に基づいて、10〜13重量%の前記可塑剤を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の前記方法。
[9] 少なくとも1対の実質的に平行なガラス板であって、前記1対の前記ガラス板が、前記1対のガラス板の間で、前記ガラス板の少なくとも1つの端部またはその付近に布置される1つ以上のスペーサにより、互いから分離される平行なガラス板と、前記ガラス板及び前記スペーサ(複数可)の前記端部に接着されるエラストマー端部シールと、を含む、多層窓ガラスアセンブリであって、
前記エラストマー端部シールが、1)少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有するポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオール、または少なくとも500のヒドロキシル当量重量を有する50〜99重量%のポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールと(i)少なくとも300のヒドロキシル当量重量を有するプロピレンオキシドのポリマー及びコポリマーならびに(ii)ヒドロキシル含有脂肪もしくは油から選択される1〜50重量%の少なくとも1つの他のポリオールとの混合物であって、1分子当たり少なくとも2.2個のヒドロキシル基の平均公称官能価を有する、成分1)と、2)少なくとも1つの鎖延長剤と、3)少なくとも1つの有機ポリイソシアネートであって、前記イソシアネート指数が70〜130である、有機ポリイソシアネートと、を含む成分を組み合わせることによって形成される硬化性反応混合物を硬化することによって形成されるポリマーである、前記多層窓ガラスアセンブリ。
[10] 前記ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリオールが、好ましくは、2〜2.5の公称官能価及びヒドロキシル基当たり800〜1500の当量重量を有する、[9]に記載の前記多層窓ガラスアセンブリ。
[11] 前記ポリ(1,2−ブチレンオキシド)が、少なくとも2.2の平均公称ヒドロキシル官能価を有し、前記反応混合物中で200以上のヒドロキシル当量重量を有する唯一の前記ポリオールである、[9]または[10]に記載の前記多層窓ガラスアセンブリ。
[12] 成分1)が、70〜95重量%の前記ポリ(1,2−ブチレンオキシド)ポリマーと5〜30重量%のヒマシ油との混合物である、[10]に記載の前記多層窓ガラスアセンブリ。
[13] 前記鎖延長剤が、α,ω−アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールである、[9]〜[12]のいずれかに記載の前記多層窓ガラスアセンブリ。
[14] 前記反応混合物が、可塑剤を持たない、[9]〜[13]のいずれかに記載の前記多層窓ガラスアセンブリ。
[15] 断熱ガラスユニットであり、前記シーラントが二次シーラントである、[9]〜[14]のいずれかに記載の前記多層窓ガラスアセンブリ。