(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記全体として円筒形の通路は、該通路中に位置決めされた2つ又は3つ以上の外科用器械を互いに対して並進させることができ又は回動させることができるほど十分広い、請求項7記載の調節可能な外科用アクセス器具。
前記管状本体は、比較的軟質の材料で形成され、前記漏斗セグメント及び前記外リングは、比較的硬質の材料で作られている、請求項1記載の調節可能な外科用アクセス器具。
少なくとも1つのトロカール型アクセス器具を更に有し、前記トロカール型アクセス器具は、前記封止可能なアクセス表面を通って位置決めされるようになっている、請求項14記載の調節可能な外科用アクセス器具。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】手術中の患者の側面図であり、腹部上に位置決めされていて使用中におけるアクセス器具の一実施形態を示す図である。
【
図2】膣手技で用いられるアクセス器具の一実施形態を示す断面側面図である。
【
図3】患者の口のところに配備された状態で使用中のアクセス器具の一実施形態を示す正面図である。
【
図4】アクセス器具の一実施形態が患者の肛門のところに配備されて使用されている状態で腹臥位置にある患者を示す平面図である。
【
図5】キャップ付きのアクセス器具の一実施形態の斜視図である。
【
図6A】生まれつきの開口用のアクセス器具の一実施形態の側面図である。
【
図6B】
図6Aの生まれつきの開口用アクセス器具の平面図である。
【
図6C】
図6Aの生まれつきの開口用アクセス器具の部分切除図である。
【
図6D】生まれつきの開口用アクセス器具の別の一実施形態の側面図である。
【
図6E】
図6Dの生まれつきの開口用アクセス器具の平面図である。
【
図6F】
図6Aの生まれつきの開口用アクセス器具の斜視図である。
【
図6G】体の開口、例えば肛門中への生まれつきの開口用アクセス器具の導入を容易にするようになった栓塞子の斜視図である。
【
図6I】体の開口、例えば肛門中への生まれつきの開口用アクセス器具の導入を容易にするようになった真っ直ぐなシャフト部品を有する栓塞子の斜視図である。
【
図6J】
図6Iの栓塞子に設けられたアクセス器具の斜視図である。
【
図7A】
図6Aの生まれつきの開口用アクセス器具の部分側面断面図である。
【
図7B】
図6Dの生まれつきの開口用アクセス器具の側面断面図である。
【
図7C】幾つかの区分から形成された生まれつきの開口用アクセス器具の斜視図であり、このアクセス器具の管状本体に切り欠き部分又は窓が設けられた状態を示す図である。
【
図7D】
図7Cのアクセス器具の切除図であり、これら区分の滑動的係合状態を示す図である。
【
図7E】
図7Cのアクセス器具の切除図であり、幾つかの区分を互いに固定するスナップロック機構体を示す図である。
【
図7F】アクセス器具の管状本体に切り欠き部分又は窓が設けられたアクセス器具の変形実施形態の斜視図及び側面図である。
【
図7G】インフレート可能な部材を有するアクセス器具の変形実施形態の斜視図である。
【
図7I】アクセス器具の上から下へ見た斜視図であり、インフレート可能な部材をインフレートさせる逆止弁ポートを示す図である。
【
図7J】逆止弁及びアクセス器具の管状本体に設けられたチャネルを示す切除側面図である。
【
図7K】逆止弁とインフレート可能な部材との間に設けられたチャネルを示すアクセス器具の側面図である。
【
図7L】
図7J及び
図7Kに示されたインフレーションポートのための隙間を提供する凹みを備えるよう改造されると共に体の開口、例えば肛門中への生まれつきの開口用アクセス器具の導入を容易にするようになった栓塞子の斜視図である。
【
図7M】生まれつきの開口用有孔アクセス器具の斜視図及び側面図である。
【
図8A】
図7Aの生まれつきの開口用アクセス器具の側面図である。
【
図8B】
図7Aに示された生まれつきの開口用アクセス器具の平面図である。
【
図8C】
図7Aに示された生まれつきの開口用アクセス器具の斜視図である。
【
図8D】ゲルキャップを備えた
図6Dの生まれつきの開口用アクセス器具の斜視図である。
【
図9A】複数個のトロカールを挿通させたキャップを含む生まれつきの開口用アクセス器具の一実施形態の斜視図である。
【
図9B】複数個のトロカールを挿通させたキャップを含む生まれつきの開口用アクセス器具の別の実施形態の斜視図である。
【
図9C】トロカール型アクセス器具の一実施形態及びこのアクセス器具システムの幾つかの実施形態の一コンポーネントであるオプションとしての栓塞子の分解組立て図である。
【
図10】クランプ装置を通って設けられたアクセス器具の斜視図である。
【
図11A】ねじ山付き区分で形成された管状本体を有する生まれつき開口用アクセス器具の実施形態の分解組立て図である。
【
図12】ツイストロック(twist-lock)機構体によって互いに連結された区分で作られている管状本体を有する生まれつき開口用アクセス器具の一実施形態の分解組立て図である。
【
図13】
図12の実施形態のツイストロック機構体の拡大図である。
【
図14】押し潰し可能な管状本体を有する生まれつき開口用アクセス器具の一実施形態の斜視図である。
【
図15A】セグメント化チャネルを有する生まれつき開口用アクセス器具の一実施形態の分解組立て側面図である。
【
図15B】
図15Aのアクセス器具を通って設けられたセグメント化チャネルを示す側面図である。
【
図16A】ねじ山設計例により提供される調節可能なチャネル長さを有する生まれつき開口用アクセス器具の実施形態の側面図である。
【
図17A】スナップボタン設計例により提供される調節可能なチャネル長さを有する生まれつき開口用アクセス器具の一実施形態の側面図である。
【
図17C】
図17Bの実施形態の側面図であり、スナップピンの細部を示す図である。
【
図18A】カフピン設計例により提供される調節可能なチャネル長さを有する生まれつき開口用アクセス器具の実施形態の側面図である。
【
図18C】
図18Aの実施形態の側面図であり、スライダピンの細部を示す図である。
【
図19A】スナップボタン設計例により提供される調節可能なチャネル長さを有する生まれつき開口用アクセス器具の実施形態の側面図である。
【
図19C】
図19Aの実施形態の斜視図であり、タブの細部を示すために余分の材料が除かれた状態を示す図である。
【
図20】切欠き部分又は窓を備えた生まれつき開口用アクセス器具に用いられるようになった栓塞子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図中、同じコンポーネントには同じ参照符号が付けられている。
【0016】
外科器械アクセス器具システムの実施形態は、例えば、単一切開創、単一ポート及び/又は制限されたポートを用いる腹腔鏡下外科的処置又は手技、例えば腹部手技(
図1)、経膣手技(
図2)、経口手技(
図3)及び経肛門手技(
図4)に有用である。種々の外科器械アクセス器具が2009年1月22日に出願された米国特許出願公開第2009/0187079号明細書(発明の名称:SURGICAL INSTRUMENT ACCESS DEVICE )及び米国特許第7,727,146号明細書(発明の名称:WOUND RETRACTOR WITH GEL CAP)に記載されており、これら両方の特許文献を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0017】
図5は、レトラクタ5100及びキャップ5500を含むアクセス器具システム5000の一実施形態の斜視図であり、このアクセス器具システムは、単一ポート及び/又は制限されたポートを用いる手技に有用である。レトラクタ又は外科用開創器5100は、外科的創(又は切開創)又は体の開口を拡大し、再形成すると共に/或いは隔離するよう外科的創及び/又は体の開口中に、これらを横切ると共に/或いはこれらを通って配置されると共に/或いは位置決めされる。キャップ5500は、人工的な体壁となり、器械は、この体壁を貫通して患者の体の内部、例えば体腔に接近する。アクセス器具5000のコンポーネントは、任意適当な生物学的に適合性のある材料から成る。
【0019】
図6Aに側面図で示された生まれつきの開口用アクセス器具6100の実施形態は、経肛門的外科的処置に用いられるようになっているのが良い。アクセス器具6100は、内側又は遠位リング6110、外側又は近位リング6120、管状本体6130及び内側リング6110と外側リング6120との間に延びた状態でこれらを結合した漏斗セグメント6140を有する。管状本体6130は、比較的軟質の材料、例えばKRATON(登録商標)材料又はシリコーンゴム材料から成り、この管状本体は、図示の実施形態では、実質的に円筒形である。他の実施形態では、管状本体6130は、別の形状、例えば長円形断面を有する。管状本体6130の幾つかの実施形態は、追加の機能性をもたらす1つ又は2つ以上の被膜、例えば抗菌性被膜を有する。
【0020】
内側リング6110の実施形態は、経肛門的外科的手技の際、体の開口、例えば患者の肛門中に挿入可能に圧縮されると共に/或いは変形するのに十分な柔軟性及び応従性を有する。次に、関連の体腔内に放出されると、内側リング6110は、その元の形状又はフットプリントに実質的に戻る。幾つかの実施形態では、内側リング6110は、弛緩状態では、例えば、体腔内に放出されると、実質的に円形の形状を取る。他の実施形態では、内側リング6110は、弛緩状態では別の形状、例えば長円形の形をしている。内側リング6110は、切開創又は体の開口中に挿入可能に圧縮されると、別の形状、例えば、実質的に長円形、全体として直線の形状、涙滴形状又は別の適当な形状を取る。当業者であれば認識されるように、他の実施形態では、内側リング6110は、弛緩状態では、丸形以外の形状、例えば長円形、楕円形又はD字形の形をしている。他の実施形態では、内側リング6110は、これが用いられる普通の条件下においては、実質的に硬質であり、即ち非応従性である。幾つかの実施形態では、内側リングは、例えば
図6Aに示されているように管状本体の表面から外方に延び、それによりアクセス器具を配備した後にアクセス器具を体腔内に保持するのを助ける。
【0021】
内側リング6110の実施形態は、全体として円形の断面を有するのが良い。他の実施形態では、内側リング6110は、別の断面形状、例えば長円形、楕円形、涙滴形及びD字形のうちの少なくとも1つの形を有する。例えば、
図6D〜
図6Fに示された実施形態では、内側リング7110は、本明細書において更に説明するようにアクセス器具7100の管状本体7130と実質的に面一をなす断面形状を有するのが良い。当業者であれば理解されるように、他の実施形態では他の断面が用いられる。内側リング6110の屈曲領域に関して本明細書において更に説明するように、内側リング6110の幾つかの実施形態は、内側リング6110の折り曲げ又は変形を容易にし、それにより内側リング6110の挿入及び/又は取り出しを容易にする少なくとも1つの切り欠き及び/又は弱いスポットを有する。
【0022】
図6Aに戻ってこれを参照すると、外側リング6120は、漏斗区分6140の近位側に位置している。図示の実施形態では、外側リング6120は、実質的に円形のフットプリントを有する。本明細書において更に説明するように、外側リング6120は、これに設けられたキャップ又は他のアクセス器具に密封的に結合するような寸法形状のものであるのが良い。幾つかの実施形態では、1つ又は2つ以上の縫合箇所6160を外側リング6120に隣接してアクセス器具6100に設けるのが良い。
【0023】
図6Bを参照すると、アクセス器具6100の平面図が示されている。図示の実施形態では、外側リング6120は、全体として円形のプロフィールを有する。加うるに、図示の実施形態では、2つの縫合箇所6160が外側リング6120の全体として円形のプロフィールに対して全体として直径方向反対側に位置している。他の実施形態では、アクセス器具は、外側リング6120に対して種々の場所に設けられた3つ以上又は1つ以下の縫合箇所を有する場合がある。
【0024】
引き続き
図6Bを参照すると、管状本体6130は、全体として円筒形の通路6150を画定する全体として円形のプロフィールを有する。全体として円筒形の通路6150は、望ましくは、2つ以上の腹腔鏡器具を挿通状態で受け入れるのに足るほど大径であり、その結果、単一の生まれつきの開口用アクセス器具を用いて体腔内の多数の外科器械のためのアクセスをもたらすことができるようになっている。さらに、全体として円筒形の通路6150は、望ましくは、これを挿通状態で位置決めされた多数の外科器械を互いに対して並進させ又は回動させることができるほど大径であり、かくして、外科医は、外科的処置中、所望に応じて外科器械を操作することができる。全体として円筒形の通路は、外側リング6120に隣接して位置するアクセス器具6100の近位端6152と内側リング6110に隣接して位置するアクセス器具6100の遠位端6154との間に延びている(
図6A)。
【0025】
引き続き
図6Bを参照すると、図示の実施形態では、漏斗セグメント6140は、アクセス器具、例えばキャップに取り外し可能に結合されるような寸法及び形状の外側リング6120の比較的大きな直径と開口の最小限の拡開状態で生まれつきの開口内に嵌まり込むような寸法の通路6150の比較的小さな直径との間で直径の減少をもたらす。漏斗セグメント6140は、アクセス器具6100を体腔内に前進させるために用いられる栓塞子のための支承面となることができる内面6142を有している。幾つかの実施形態では、漏斗セグメント6140は、比較的大きな直径と比較的小さな直径との間に実質的に直線状のテーパを有するのが良く、その結果、内面6142は、切頭円錐形のセグメントである。他の実施形態では、漏斗セグメント6140は、比較的大きな直径と比較的小さな直径との間に湾曲したプロフィールを有しても良い。
【0026】
幾つかの実施形態では、生まれつきの開口用アクセスシステムは、アクセス器具6100及びオプションとしての栓塞子6400を含むのが良い(
図6G及び
図6H)。栓塞子は、漏斗セグメント6140の内面6142に当接するような寸法形状の近位支承面6410及びアクセス器具6100を通過させることができるよう生まれつきの開口を拡張するような寸法形状の遠位拡開面6420を有するのが良い。かくして、生まれつきの開口中へのアクセス器具6100の挿入中、拡開面6420は、体腔内の手術部位への経路を拡張し、その間、栓塞子は、漏斗セグメント6140の内面6142に当接し、それにより、アクセス器具6100を手術部位の所定の位置に前進させる。さらに、幾つかの実施形態では、栓塞子は、その近位端のところに設けられていて、挿入中、栓塞子の長手方向軸線回りの栓塞子の選択的な捩り又は回転を容易にするようになった取っ手6430を有するのが良い。
【0027】
外側リング6120は、アクセス器具6100の比較的可撓性の管状本体6130と比較して比較的剛性であり、その結果、外側リング6120がアクセス器具、例えばキャップに密封的に係合することができるようになっていることが望ましい場合がある。
図6Cを参照すると、外側リング6120が部分的に切除された状態でアクセス器具の斜視図が示されている。図示の実施形態では、外側リング6120には環状溝6122が形成され、補強部材6124がこの環状溝6122内に設けられている。幾つかの実施形態では、補強部材6124は、リングの形に形成された金属製の部材、例えばワイヤから成るのが良い。例えば、幾つかの実施形態では、補強部材6124は、アクセス器具6100の製造中、溝6122内に配置されるステンレス鋼製のリングから成るのが良い。他の実施形態では、補強部材6124は、射出可能な非金属製部材から成っていても良い。例えば、幾つかの実施形態では、ガラス繊維入りポリマー又はポリカーボネート材料をアクセス器具6100の製造中、溝6122中に射出するのが良い。
【0028】
アクセス器具6100の図示の実施形態は、外側リング6120の剛性を高めるために補強部材を有しているが、他の実施形態では、アクセス器具6100をマルチプルショット成形プロセスで形成しても良い。例えば、幾つかの実施形態では、管状本体6130及び内側リング6110で構成されたアクセス器具の内側セグメントは、一成形作業で軟質材料から作られ、漏斗セグメント6140及び外側リング6120で構成されるアクセス器具6100の外側セグメントは、別の成形作業で比較的硬質の材料、例えばポリカーボネート材料又は他の適当な材料から作られる。マルチプルショット成形プロセスで形成された一実施形態としてのアクセス器具7100が
図6D〜
図6F、
図7B、
図8D及び
図9Bに示されている。
【0029】
引き続き
図6Cを参照すると、図示の実施形態は、連続した全体として環状の溝を有する。他の実施形態では、複数個の連続して並んではいない凹部が各々、複数個の補強部材の各々をそれぞれ受け入れることができる。さらに、幾つかの実施形態では、外側リングは、各々が対応の補強部材を受け入れる2つ又は3つ以上の同心状の全体として環状の溝を有するのが良い。
【0030】
図7Aを参照すると、アクセス器具6100及び取り外し可能なキャップ6200を有する生まれつきの開口用アクセス器具の断面図が示されている。図示の実施形態では、管状本体6130は、所定の固定長さL、内径D及び壁厚Tを有する軟質材料で作られている。固定長さL、内径D及び壁厚Tは、生まれつきの開口の解剖学的構造、例えば多くの患者の開口としての肛門に対応するよう選択されている。アクセス器具6100を種々の年齢の患者について互いに異なるサイズに合わせてスケール変更可能であることが計画される。さらに、幾つかの実施形態では、アクセス器具は、管状本体を患者の解剖学的構造及び体腔内の手術部位の存在場所に応じて種々の長さで選択的に配置できるよう入れ子式の管状本体を有するのが良いことが想定される。望ましくは、管状本体6130の壁厚T及び材料は、管状本体6130が生まれつきの開口内に配置されたときに管状本体を貫通したままの状態に通路6150を維持するのに足るほど弾性であるよう選択される。さらに、望ましくは、内径Dは、多数の外科器械を受け入れるのに十分大きい。例えば、TEMS手技で用いられるようになったアクセス器具6100の実施形態では、内径D及び壁厚Tは、アクセス器具の外径が約30mm〜70mm、望ましくは約35mm〜50mm、一実施形態では、約40mmであるのが良いように寸法決めされているのが良い。加うるに、望ましくは、固定長さLは、内側リング6110を体腔内の手術部位のところに配置することができ、しかも外側リング6120を生まれつきの開口の外側に配置することができるほど十分に長い。幾つかの実施形態では、固定長さLは、器具の近位端6152と遠位端6154との間の全長が約10mm〜100mm、望ましくは約20mm〜80mm、より望ましくは約30mm〜60mm、一実施形態では、約40mmであるような長さのものである。
【0031】
引き続き
図7Aを参照すると、幾つかの実施形態では、環状溝6122は、外側リング6120の内面に対して開いているのが良い。かくして、環状溝6122が開口部を有する状態でアクセス器具6100を単一の成形作業で軟質材料から作るのが良く、その後、補強部材6124を上側溝6122中に挿入するのが良い。
【0032】
引き続き
図7Aを参照すると、幾つかの実施形態では、アクセス器具6100は、管状本体6130と内側リング6110との間に屈曲領域、例えばアンダーカット6170を有するのが良い。有利には、屈曲領域により、内側リング6110は、挿入中、管状本体6130に対して屈曲し又は回転することができ、その結果、内側リング6110は、挿入形態では比較的小さな外径を呈し、非妨げ形態では比較的大きな外径を呈するようになる。
【0033】
図7Gに示されている他の実施形態では、内側リングは、ガス又は流体源に結合されたインフレート可能な部材6132、例えば環状バルーンを有するのが良く、このインフレート可能な部材6132を挿入及び取り出しのためのデフレートされた比較的小さな直径の状態と体腔内に保持可能なインフレートされた比較的大きな直径状態との間で選択的にインフレートさせたりデフレートさせたりすることができる。アクセス器具の漏斗部分6140に取り付けられたインフレーションポート6134、例えば逆止弁が管状本体6130の壁内に設けられたチャネル6136を通ってインフレート可能部材6132に連結されている。インフレーションポートを通って導入された流体又はガスは、チャネルを通ってインフレート可能部材中に流れ、それによりインフレート可能部材をインフレートさせる。
【0034】
チャネル6136は、管状本体の長手方向軸線に全体として平行に管状本体を通って延び、その近位開口部は、インフレーションポート6134と相互作用し、その遠位開口部6139は、インフレート可能部材のところで管状本体の外面内に開口している。一観点では、インフレーションポート6134は、ばね押しプランジャを備えた常閉逆止弁を有するのが良い。別の観点では、逆止弁は、ルアー(Luer)ロックを有するのが良い。当該技術分野においては周知である他のインフレーションポートを使用できることが想定される。
【0035】
この実施形態では、管状本体6130は、好ましくは、比較的硬質の材料、例えばポリカーボネートで構成されている。管状本体は、その遠位端のところに設けられていて、管状本体の外部周りにポリオレフィン管を熱収縮させることによって形成できるインフレート可能部材を有する。管状本体/管組立体の遠位端を次に約30〜40秒間加熱し、次にモールド内に配置し、そして空気を注入してモールドの形態に応じて、インフレート可能部材に
図7Hに見える環状バルーン形状又は任意他の所望の形状を与える。インフレート可能部材6132は、インフレーション用ガス又は流体がインフレート可能部材の壁を通って透過するのを実質的に阻止するほど十分な不透性を有するべきである。
【0036】
一実施形態では、インフレート可能部材6132は、インフレーション時に実質的にドーナツ形を有するのが良い。別の実施形態では、インフレート可能部材は、インフレーション時に円板形状を有しても良い。別の実施形態では、インフレート可能部材6132は、ひだ付きバルーンであっても良い。特定の生まれつきの開口に適した他の形状は、当業者であれば理解されよう。
【0037】
使用にあたり、アクセス器具を生まれつきの開口内に配置した後、注射器を管状本体(
図7I参照)内のチャネルの近位端6138のところに設けられた弁6134中に挿入することによってインフレート可能部材をインフレートさせるのが良い。
図7J及び
図7Kに示されているように、インフレーションポートは、チャネル6136中に通じており、それにより、注射器からの流体又はガスがインフレート可能部材6132まで移動することができる。この実施形態では、オプションとしての栓塞子6400は、
図7Lに示されているようにインフレーションポートのための隙間をもたらすための凹み6139を備えるよう改造されるのが良い。
【0038】
図8Aを参照すると、キャップ6200がアクセス器具6100に取り外し可能に結合された生まれつきの開口用アクセス器具の側面図が示されている。図示の実施形態では、キャップ6200が本明細書において更に詳細に説明するように封止可能なアクセス面部6210、例えばゲルパッド表面を有している。或る特定の実施形態では、キャップ6200は、少なくとも1つのガス又は流体ポート6220,6230を更に有するのが良い。図示の実施形態では、キャップ6200は、2つのガス又は流体ポート6220,6230を有し、従って、例えばアクセス器具を介して電気手術を実施する場合、一方のポートをガス注入に用いることができ、他方のポートを通気に使用することができる。或る特定の実施形態では、ガス又は流体ポート6220,6230のうちの少なくとも一方は、これを通る流体の流量を選択的に制御するために弁、例えばストップコック弁を有する。
【0039】
図8Bを参照すると、生まれつきの開口用アクセス器具の平面図が示されている。封止可能なアクセス面部6210は、環状フレーム6240、例えばクランプ6250を有する割り型リングによって包囲されると共に拘束されるのが良い。クランプ6250は、キャップ6200がアクセス器具6100から選択的に取り外し可能である開き形態とキャップ6200をアクセス器具6100に固定することができるクランプ形態との間で動くことができるのが良い。例えば、クランプ6250が開き形態にある状態で環状フレーム6240を外側リング6120周りに周囲方向に位置決めすることができ、そしてクランプをクランプ形態に動かすと、キャップ6200をアクセス器具6100に密封的に固定することができる。したがって、キャップ6200は、アクセス器具6100を通って手術部位からの切除組織の取り出しを容易にするよう外科的処置中、容易に取り外せる。
【0040】
図8Cを参照すると、生まれつきの開口用アクセス器具の斜視図が示されている。図示の実施形態では、クランプ6250は、クランプがクランプ形態にあるとき、アクセス器具の外側リング6120とインターフェースするよう配置された遠位フランジ6252を有するのが良い。図示のように、クランプ6250は、アクセス器具6100の外側リング6120の遠位表面に係合する。幾つかの実施形態では、環状フレーム6240は、アクセス器具と相互作用するよう寸法決めされると共に配置された少なくとも1つの遠位フランジを更に有するのが良い。図示の実施形態では、環状フレーム6240は、アクセス器具の外側リング6120の遠位表面に係合するよう配置された遠位フランジ6260を有する。図示のように、フランジ6260は、クランプ6250の遠位フランジに対して全体として直径方向反対側に位置している。他の実施形態では、環状フレーム6240は、環状フレーム6240の周囲に沿って実質的に等間隔を置いて配置された状態で又は環状フレームの周囲に沿って不規則な間隔を置いた状態で配置された2つ以上の遠位フランジを有するのが良い。
【0041】
図9Aを参照すると、生まれつきの開口用アクセス器具の別の実施形態が図示されており、キャップ6300が例えば
図6A〜
図6C、
図7A、
図8A〜
図8C及び
図9Aを参照して上述したアクセス器具6100に取り外し可能に結合されている。図示の実施形態では、キャップ6300は、そのアクセス表面6320を通って位置決めされた多数のトロカール型アクセス器具6310を有する。有利には、多数のトロカール型アクセス器具6310は、単一の生まれつきの開口を通って手術部位内における多数の腹腔鏡器械の容易な配置及び操作を可能にする。
【0042】
幾つかの実施形態では、内側リング6110及び外側リング6120は、別個独立に、互いに異なるフットプリント形状及び/又はフットプリント直径を有する。例えば、
図6D〜
図6F、
図7B、
図8D及び
図9Bに示された実施形態としてのアクセス器具7100に示されている実施形態では、内側リング7110は、管状本体7130と実質的に面一をなすのが良く、他方、外側リング7120は、全体として円形の断面を備えた環状部材であるのが良い。大きな直径を備えた内側リング6110は、大きな拡張力の提供を可能にするが、腹腔に挿入してこれから取り出すのが困難である。
【0043】
図6D〜
図6Fを参照すると、幾つかの実施形態では、生まれつきの開口用アクセスポート又はアクセス器具7100が経肛門的内視鏡顕微手術(TEMS)手技で用いられるように構成されているのが良い。アクセス器具7100は、内側又は遠位リング7110、外側又は近位リング7120、管状本体7130及び内側リング7110と外側リング7120との間に延びた状態でこれらを結合した漏斗セグメント7140を有する。管状本体7130は、比較的軟質の材料、例えばKRATON(登録商標)材料又はシリコーンゴム材料から成り、この管状本体は、図示の実施形態では、実質的に円筒形である。他の実施形態では、管状本体7130は、別の形状、例えば長円形断面を有する。管状本体7130の幾つかの実施形態は、追加の機能性をもたらす1つ又は2つ以上の被膜、例えば抗菌性被膜を有する。
【0044】
図示の実施形態では、内側リング7110は、管状本体7130の遠位端と実質的に面一をなし、アクセス器具7100は、遠位端まで漏斗セグメント7140の遠位側に延びる全体として管状の形態を有する。内側リング7110の実施形態は、経肛門的外科的手技の際、体の開口、例えば患者の肛門中に挿入可能に圧縮されると共に/或いは変形するのに十分な柔軟性及び応従性を有する。次に、関連の体腔内に放出されると、内側リング7110は、実質的にその元の形状又はフットプリントに戻る。幾つかの実施形態では、内側リング7110は、弛緩状態では、例えば、体腔内に放出されると、全体として円形の管状本体7130と実質的に面一をなす実質的に円形の形状を取る。他の実施形態では、内側リング7110は、弛緩状態では別の形状、例えば長円形の形をしている。内側リング7110は、切開創又は体の開口中に挿入可能に圧縮されると、別の形状、例えば、実質的に長円形、全体として直線の形状、涙滴形状又は別の適当な形状を取る。他の実施形態では、内側リング7110は、これが用いられる普通の条件下においては、実質的に硬質であり、即ち非応従性である。
【0045】
引き続き
図6D〜
図6Fを参照すると、幾つかの実施形態では、内側リング7110は、生まれつきの開口を通る挿入を容易にするように形作られると共に構成されているのが良い。例えば、図示の実施形態では、内側リング7110は、生まれつきの開口を通る無傷性の入り込みを用意するよう丸み付き縁部を有するのが良い。他の実施形態では、内側リング7110は、生まれつきの開口を通る入り込みを容易にするよう斜切縁部を有するのが良い。さらに、図示の実施形態では、内側リング7110は、管状本体7130により定められた長手方向軸線に対して横方向の角度をなして形成されるのが良い。有利には、かかる角度の付いた又は斜めの内側リング7110は、生まれつきの開口を通るアクセス器具7100の挿入を容易にすることができる。他の実施形態では、内側リング7110は、管状本体によって定められた長手方向軸線に実質的に垂直であるのが良い。
【0046】
引き続き
図6D〜
図6Fを参照すると、外側リング7120は、漏斗区分7140の近位側に位置している。図示の実施形態では、外側リング7120は、実質的に円形のフットプリントを有する。本明細書において更に説明するように、外側リング7120は、これに設けられたキャップ又は他のアクセス器具に密封的に結合するような寸法形状のものであるのが良い。幾つかの実施形態では、
図6A〜
図6Cを参照して上述したように、1つ又は2つ以上の縫合箇所7160を外側リング7120に隣接してアクセス器具7110に設けるのが良い。
【0047】
引き続き
図6D〜
図6Fを参照すると、管状本体7130は、全体として円筒形の通路7150を画定する全体として円形のプロフィールを有する。全体として円筒形の通路7150は、望ましくは、2つ以上の腹腔鏡器具を挿通状態で受け入れるのに足るほど大径であり、その結果、単一の生まれつきの開口用アクセス器具を用いて体腔内の多数の外科器械のためのアクセスをもたらすことができるようになっている。さらに、全体として円筒形の通路7150は、望ましくは、これを挿通状態で位置決めされた多数の外科器械を互いに対して並進させ又は回動させることができるほど大径であり、かくして、外科医は、外科的処置中、所望に応じて外科器械を操作することができる。全体として円筒形の通路は、外側リング7120に隣接して位置するアクセス器具7100の近位端7152と内側リング7110に隣接して位置するアクセス器具7100の遠位端7154との間に延びている(
図6D)。
【0048】
引き続き
図6Dを参照すると、図示の実施形態では、漏斗セグメント7140は、アクセス器具、例えばキャップに取り外し可能に結合されるような寸法及び形状の外側リング7120の比較的大きな直径と開口の最小限の拡開状態で生まれつきの開口内に嵌まり込むような寸法の通路7150の比較的小さな直径との間で直径の減少をもたらす。漏斗セグメント7140は、アクセス器具7100を体腔内に前進させるために用いられる栓塞子のための支承面となることができる内面7142を有している。幾つかの実施形態では、漏斗セグメント7140は、比較的大きな直径と比較的小さな直径との間に実質的に直線状のテーパを有するのが良く、その結果、内面7142は、切頭円錐形のセグメントである。他の実施形態では、漏斗セグメント7140は、比較的大きな直径と比較的小さな直径との間に湾曲したプロフィールを有しても良い。
【0049】
幾つかの実施形態では、生まれつきの開口用アクセスシステムは、アクセス器具7100及び例えば
図6Gを参照して上述したオプションとしての栓塞子を含むのが良い。栓塞子は、漏斗セグメント7140の内面7142に当接するような寸法形状の近位支承面6410及びアクセス器具7100を通過させることができるよう生まれつきの開口を拡張するような寸法形状の遠位拡開面6420を有するのが良い。かくして、生まれつきの開口中へのアクセス器具7100の挿入中、拡開面は、体腔内の手術部位への経路を拡張し、その間、栓塞子は、漏斗セグメント7140の内面7142に当接し、それにより、アクセス器具7100を手術部位の所定の位置に前進させる。さらに、幾つかの実施形態では、栓塞子は、その近位端のところに設けられていて、挿入中、栓塞子の長手方向軸線回りの栓塞子の選択的な捩り又は回転を容易にするようになった取っ手6430を有するのが良い。
【0050】
図6Iに示された変形実施形態では、栓塞子6405は、遠位拡開面6420と近位支承面6410との間に位置していて、アクセス器具の挿入に先立って生まれつきの開口の拡開を容易にする真っ直ぐなシャフト部品6425を有する。
【0051】
図7Bを参照すると、外側リング7120は、アクセス器具7100の比較的可撓性の管状本体7130と比較して比較的剛性であり、その結果、外側リング7120は、アクセス器具、例えばキャップに密封的に係合することができるようになっている。図示の実施形態では、アクセス器具7100をマルチプルショット成形プロセスで形成しても良い。例えば、幾つかの実施形態では、管状本体7130及び内側リング7110で構成されたアクセス器具の内側セグメントは、一成形作業で軟質材料から作られ、漏斗セグメント7140及び外側リング7120で構成されるアクセス器具7100の外側セグメントは、別の成形作業で比較的硬質の材料、例えばポリカーボネート材料又は他の適当な材料から作られる。
【0052】
他の実施形態では、マルチプルショット成形プロセスは、結果として得られる内側及び外側セグメントが図示の実施形態の内側及び外側セグメントとは異なるように変形可能である。例えば、或る特定の実施形態では、内側セグメントは、管状本体7130、内側リング7110及び漏斗セグメント7140の一部分を有するのが良く、他方、外側セグメントは、漏斗セグメント7140の一部分及び外側リング7120を有するのが良い。或る特定の他の実施形態では、内側セグメントは、内側リング7110及び管状本体7130の一部分を有するのが良く、他方、外側セグメントは、管状本体7130の一部分、漏斗セグメント7140及び外側リング7120を有するのが良い。
【0053】
図6D及び
図7Bを参照すると、マルチプルショット成形プロセスで形成されたアクセス器具7100は、内側セグメント及び外側セグメントに設けられていて、外側セグメントに対する内側セグメントの位置を維持する維持する1つ又は2つ以上の保持部材7160を有するのが良い。例えば、幾つかの実施形態では、外側セグメントの遠位端部は、漏斗セグメント7140から半径方向外方に延びる1つ又は2つ以上の突起7162及びアクセス器具7100の内側セグメントと外側セグメントのインターフェース領域のところで漏斗セグメント7140から半径方向内方に引っ込み状態で設けられた1つ又は2つ以上の凹部7164を有するのが良い。図示の実施形態では、外側セグメントの遠位端部は、複数個の突起7162を有し、これら複数個の突起7162は、これら相互間に複数個の凹部7164と交互に位置している。さらに、幾つかの実施形態では、外側セグメントは、アクセス器具7100の内側セグメントと外側セグメントのインターフェース領域のところで漏斗セグメント7140に形成された環状溝7170を有するのが良い。アクセス器具7100の内側セグメントは、溝7170内に設けられると共にこれと嵌合状態に係合していて、外側セグメントに対する内側セグメントの位置を維持する環状部材7166を有するのが良い。
【0054】
図7Bを参照すると、アクセス器具7100の断面図が示されている。図示の実施形態では、管状本体7130は、所定の固定長さL2、内径D2及び壁厚T2を有する軟質材料で作られている。固定長さL2、内径D2及び壁厚T2は、生まれつきの開口の解剖学的構造、例えば多くの患者の開口としての肛門に対応するよう選択されている。アクセス器具7100を種々の年齢の患者について互いに異なるサイズに合わせてスケール変更可能であることが計画される。さらに、幾つかの実施形態では、アクセス器具は、管状本体を患者の解剖学的構造及び体腔内の手術部位の存在場所に応じて種々の長さで選択的に配置できるよう入れ子式の管状本体を有するのが良いことが想定される。望ましくは、管状本体7130の壁厚T2及び材料は、管状本体7130が生まれつきの開口内に配置されたときに管状本体を貫通したままの状態に通路7150を維持するのに足るほど弾性であるよう選択される。さらに、望ましくは、内径D2は、多数の外科器械を受け入れるのに十分大きい。例えば、経肛門外科的処置で用いられるようになったアクセス器具7100の実施形態では、内径D2及び壁厚T2は、アクセス器具の外径が約30mm〜70mm、望ましくは約35mm〜50mm、一実施形態では、約40mmであるのが良いように寸法決めされているのが良い。加うるに、望ましくは、固定長さL2は、内側リング7110を体腔内の手術部位のところに配置することができ、しかも外側リング7120を生まれつきの開口の外側に配置することができるほど十分に長い。幾つかの実施形態では、固定長さL2は、器具の近位端7152と遠位端7154との間の全長が約100mm〜約200mm、望ましくは約120mm〜180mm、より望ましくは約140mm〜160mm、一実施形態では、約150mmであるような長さのものである。
【0055】
図8Dを参照すると、
図8A〜
図8Cを参照して説明したキャップと実質的に同一であってアクセス器具7100に取り外し可能に結合されたキャップ6200を有する生まれつきの開口用アクセス器具の斜視図が示されている。図示の実施形態では、キャップ6200が本明細書において更に詳細に説明するように封止可能なアクセス面部6210、例えばゲルパッド表面を有している。或る特定の実施形態では、キャップ6200は、少なくとも1つのガス又は流体ポート6220,6230を更に有するのが良い。図示の実施形態では、キャップ6200は、2つのガス又は流体ポート6220,6230を有し、従って、例えばアクセス器具を介して電気手術を実施する場合、一方のポートをガス注入に用いることができ、他方のポートを通気に使用することができる。或る特定の実施形態では、ガス又は流体ポート6220,6230のうちの少なくとも一方は、これを通る流体の流量を選択的に制御するために弁、例えばストップコック弁を有する。
【0056】
引き続き
図8Dを参照すると、生まれつきの開口用アクセス器具の平面図が示されている。封止可能なアクセス面部6210は、環状フレーム6240、例えばクランプ6250を有する割り型リングによって包囲されると共に拘束されるのが良い。クランプ6250は、キャップ6200がアクセス器具7100から選択的に取り外し可能である開き形態とキャップ6200をアクセス器具7100に固定することができるクランプ形態との間で動くことができるのが良い。例えば、クランプ6250が開き形態にある状態で環状フレーム6240を外側リング6120周りに周囲方向に位置決めすることができ、そしてクランプをクランプ形態に動かすと、キャップ6200をアクセス器具7100に密封的に固定することができる。したがって、キャップ6200は、アクセス器具7100を通って手術部位からの切除組織の取り出しを容易にするよう外科的処置中、容易に取り外せる。
【0057】
図9Bを参照すると、生まれつきの開口用アクセス器具の別の実施形態が示されており、この別の実施形態としての生まれつきの開口用アクセス器具は、
図9Aを参照して上述したキャップと実質的に同一であって、例えば
図6D〜
図6F、
図7B及び
図8Dを参照して上述したアクセス器具7100に取り外し可能に結合されたキャップ6300を有するのが良い。キャップ6300は、そのアクセス表面6320を通って配置された多数のトロカール型アクセス器具6310を有するのが良い。有利には、多数のトロカール型アクセス器具6310は、単一の生まれつきの開口を通って手術部位内への多数の腹腔鏡器械を容易な配置及び操作を可能にする。
【0058】
本明細書において説明したように、
図7A及び
図7Bに示されたアクセス器具は、入れ子式管状本体を有するのが良く、その結果、管状本体を患者の解剖学的構造及び体腔内における手術部位の存在場所に応じて、様々な長さで選択的に配置できるようになっている。変形例として、アクセス器具は、固定長さの管状本体を有しても良いが、
図10に示されている別個のクランプ装置を通って滑動するようになっているのが良い。この実施形態では、縫合タブ8004を有するクランプ装置8000が患者に対して生まれつきの開口周りに縫合されている。アクセス器具の管状本体は、クランプ装置を通って生まれつきの開口中に挿入され、そして開口中に遠位側に動かされ、ついには、遠位端部が手術部位の近くに位置決めされるようになる。次に、クランプ装置に設けられたラッチ8002を開放位置から閉鎖位置に動かすことによってアクセス器具をクランプ装置内に固定し、それによりアクセス器具のそれ以上の運動を阻止する。
【0059】
図7Cに示されている別の実施形態では、管状本体は、様々な長さの区分の状態で形成されるのが良く、これら区分は、選択されると共に組み立てられる区分の数及びサイズに応じて、種々の長さを提供するよう互いに滑動的に係合すると共にスナップロックする。
図7Cを参照すると、アクセス器具6500が3つの区分、即ち、外側リング区分6510、内側リング区分6520及びこれら2つのリング区分相互間に設けられた中間区分6530を有するものとしてその斜視図が示されている。3つの区分は、スナップロック式機構体6540により互いに結合されている。各区分は、遠位端部が環状溝6550で終端しており、環状溝6550は、
図7Dの断面図に最も良く示されているように次の区分の近位端部6560と滑動的に係合している。スナップロック式機構体は、
図7Eに断面で示されている。
図7C〜
図7Eに示された実施形態の管状本体は、好ましくは、比較的硬質の材料、例えばポリカーボネートで作られている。
【0060】
他の実施形態では、管状本体の長さは、ねじ山(
図11)又はツイストロック(twist-lock)機構体(
図12及び
図13)を用いて互いに取り付けられる区分を追加し又は取り外すことによって調節可能である。
図11では、外リング、漏斗セグメント及び管状本体の一部を含むベース8006が好ましくはポリカーボネートから成るねじ山付き部分8008で終端している。1つ又は2つ以上のこれらよりも短いねじ山付き区分8010が管状本体の所望の長さを生じさせるようベースの遠位端部に取り付けられるのが良い。ベース8006のねじ山付き部分及びねじ山付き区分8008は、ベース及びねじ山付き区分を互いにねじ止めすることができるようにするねじ山8012を有する。オプションとして、好ましくはポリカーボネートから成るテーパ付き先端区分8014を管状本体の遠位端部のところに取り付けて患者の体内へのアクセス器具の配置を容易にするのが良い。
【0061】
図12及び
図13では、区分の迅速な追加又は取り外しを容易にするツイストロック機構体により区分を追加することによってベース8006の管状本体を伸長させることができる。テーパ付き先端区分8014も又追加することができる。ツイストロック機構体は、戻り止め8016及び戻り止めを挿入することができるスロット8018を含む。これら2つの部品を捩じることによって、戻り止めがスロット内のロック位置に滑り込んでこれら2つの部品を互いに固定する。
【0062】
長さ調節可能なアクセス器具の別の実施形態が
図14に示されている。この実施形態では、アクセス器具の管状本体8020は、押し潰し可能な管から成る。管状本体を軸方向に押すか引くかのいずれかによって、外科医は、正確な病変深さに達するようチャネル深さを調節することができる。押し潰し可能な管区分は、ポリエチレンから吹き込み成形されるのが良い。オプションとして、好ましくはポリカーボネートで作られたテーパ付き先端部8022が患者の体内への導入を助けるよう押し潰し可能な管状本体の遠位端部に取り付けられるのが良い。押し潰し可能な管は、互いに異なる病変に到達するために手技全体にわたって数回前後に調節可能である。
【0063】
図15に示された実施形態では、
図6Aに記載されたアクセス器具とほぼ同じアクセス器具8024は、別個のセグメント化チャネル8026をアクセス器具中に滑り込ませることによって長さが伸長可能である。セグメント化チャネルは、アクセス器具の内周部内に嵌まり込むようになった外周部を有し、したがって、セグメント化チャネルは、アクセス器具内に設けられたときに前後に滑動することができるが、意図しない変位を回避するほど十分なしまり嵌め状態で滑動することができるようになっている。アクセス器具を通って所望の場所までセグメント化チャネルをいったん操作すると、アクセス器具の外リングを通って延びる余分のチャネル材料をメス又は他の切断器具で除去するのが良い。
【0064】
本発明の幾つかの実施形態では、アクセス器具は、2つの滑動的に係合可能な部分を有する。かかる一実施形態が
図16Aに示されている。この実施形態では、アクセス器具8032は、内側定着部分8036内に設けられた外側部分8034を有している。外側部分8034は、キャップ部分(図示せず)に係合することができる外リング8038、漏斗部分8040、内側部分8036内に設けることができる管状チャネル8041(
図16Aには示されていないが、
図16Bを参照されたい)及びオプションとして縫合箇所8042を有する。内側部分8036は、管状本体8044及び生まれつきの開口内にアクセス器具を定着させるのを容易にする内リング8046を有している。
【0065】
図16B及び
図16Cで最も良く理解できるように、この実施形態の外側部分は、管状チャネル8041の外面の周りに設けられた外側ねじ山(雄ねじ)8048を有し、外側ねじ山8048は、内側部分8036の管状本体8044の内面の周りに設けられた内側ねじ山(雌ねじ)8050と噛み合っている。アクセス器具の長さを調節するため、ユーザは、外側部分を内側部分に対して回すのが良い。図示の実施形態では、雄ねじを時計回りに回すことにより、アクセス器具が短くなり、雄ねじを反時計回りに回すことにより、アクセス器具が長くなる。
【0066】
2部品構成型アクセス器具の別の実施形態が
図17A〜
図17Cに示されている。この実施形態では、外側部分8052は、管状チャネル8056の外面に設けられた少なくとも1本のピン8054を有している。内側部分8058は、管状本体8062に設けられていてピン8054をスナップ嵌め状態で受け入れるようになった2つ又は3つ以上の穴8060を有している。図示の(
図17B及び
図17Cに最も良く見える)実施形態では、2本のピン8054が管状チャネルの互いに反対側の側部に設けられ、3つで1組をなす2組の穴が管状本体の互いに反対側の側部を貫通して設けられている。アクセス器具の長さを調節するため、ユーザは、外側部分8052を内側部分8058中に挿入し、これら2つの部分を互いに対して滑動させて所望の長さを達成し、次に、これら2つの部分を互いに対して回してピンを穴中に案内し、それによりこれら2つの部分を固定する。
【0067】
2部品構成型アクセス器具の更に別の実施形態が、
図18A〜
図18Cに示されている。この実施形態では、アクセス器具の長さは、ピンと溝の組み合わせを用いて小刻みに調節可能である。外側部分8064は、管状チャネル8068の外面に設けられた少なくとも1本のピン8066を有している。内側部分8070は、ピン8066を受け入れるようになった少なくとも2つの凹みスロット8074を備えた溝8072を有している。アクセス器具の長さを調節するため、ユーザは、外側部分8064を回してピン8066を溝8072内に位置決めし、そしてこれら2つの部分を所望の長さが達成するまで互いに対して滑らせる。次に、外側部分を逆方向に回してピンを最も近くに位置する凹部8074内に固定し、それによりこれら2つの部分をロックしてそれ以上の滑りを阻止する。
【0068】
2部品構成型アクセス器具の別の実施形態が
図19A〜
図19Cに示されている。この実施形態では、外側部分8076は、外リング8078及び漏斗部分8080を有する。1つ又は2つ以上のタブ8081が漏斗部分の内面から内方に突き出ている(
図19Cに示されている)。内側部分8082は、管状本体8084及び内リング8086を有し、2つ又は3つ以上のスロット8088が管状本体を貫通して設けられていてタブ8081を受け入れるようになっている。
【0069】
アクセス器具の長さを調節するため、ユーザは、外側部分8076を内側部分の管状本体8084の外面に沿って滑らせ、ついには、内リング8086と外リング8078との間の所望の距離が達成されるようにする(
図19Bに示されているように)。外側部分を回してタブ8081を切欠き8088中につがい関係をなして係合させ(嵌合させ)、そしてメス又は他の鋭利な器械を用いて外リングからはみ出た余分の管状本体を除去する。変形例として、外側部分を内側部分の周りに設ける前にアクセス器具の所望の長さに近づけても良い。タブを受け入れるために適当な切欠きを無傷なままにするよう注意を払った状態で外側部分の取り付け前に余分の管状本体を切除しても良い。適当な長さに合わせて切断された組み立て状態のアクセス器具が
図19Cに示されている。
【0070】
上述したように、生まれつき開口用のシステムのアクセス器具は、生まれつき開口の種々の部分への接近を容易にすると共に体型及びBMIが互いに異なる患者に対応するために長さの調節を可能にするよう幾つかの上述した実施形態において改造されるのが良い。加うるに、
図7C〜
図7F及び
図20に示されているように、アクセス器具の管状本体は、オプションとして、切欠き部分又は窓6570を有するのが良く、それにより、もしそのように構成されていなければ、アクセス器具が定位置にある状態で管状本体によって覆い隠されてしまう解剖学的構造の領域への接近を可能にする。かくして、アクセス器具を体の開口又は切開創中に挿入してレトラクション(圧排・排除)を可能にすると共に体腔の内張りを保護し、次に、アクセス器具を操作して、外科用器械による接近を可能にするために窓を体内の関心のある部位に整列させる。
【0071】
栓塞子を用いて本発明のアクセス器具を患者の生まれつきの開口内に配置するのが良い。管状本体に切欠き部分を備えたアクセス器具と共に用いられるようになった栓塞子が
図20に示されている。この栓塞子8028は、
図6Iに記載された栓塞子とほぼ同じであるが、アクセス器具6500の切欠き部分6570とインターフェースするようになった1つ又は2つ以上の隆起フランジ8030を更に有している。栓塞子をアクセス器具中に挿入してフランジを切欠き部分に嵌合させると、フランジは、滑らかで且つ一貫した接触面を提供してアクセス器具の回転を容易にし、それにより切欠き部分を手術部位に整列させるようにする。
【0072】
理解されるように、かかる切欠き部分は、硬質構造と軟質構造の両方から成る管状本体並びに単一部品として又は幾つかの区分の状態で形成された管状本体を有するアクセス器具に設けることができる。
図7Mは、側面図と斜視図の両方でアクセス器具の軟質管状本体の一例を示しており、この場合、管状本体は、ミシン目状穴6580を有する。管状本体の長さを変えると共に/或いは切欠き部分を管状本体中に組み込むために管状本体をミシン目状穴のところで切断し又は引き裂くことができる。
図7Mに示されている実施形態の管状本体は、好ましくは、比較的軟質の材料、例えばKRATON(登録商標)又はPELLETHANE(登録商標)で形成される。
【0073】
図9A及び
図9Bの図示の実施形態では、トロカール型アクセス器具6310は、比較的低いプロフィールを有し、即ち、アクセス表面6320の上方に且つ/或いはキャップ6300の遠位表面の下に最小限にわたって突き出ている。したがって、トロカール型アクセス器具6310は、典型的なトロカールの長さよりも短く、かかるトロカール型アクセス器具は、アクセス表面6320の上方に配置されたシール組立体及びキャップ6300のゲルパッドを貫通して延びるカニューレを有している。トロカール型アクセス器具6310の長さを減少させることにより、これを貫通して延びる器械のための角度又は回動運動を増大させることができ、しかも湾曲した且つ/或いは角度のついた器械の使用が可能になる。
【0074】
図9Cは、トロカール型アクセス器具6310の一実施形態及びアクセス器具システムの幾つかの実施形態のコンポーネントであるオプションとしての栓塞子6600の分解組立図である。図示の実施形態では、栓塞子6600は、尖った穿刺先端部6610を有する。
【0075】
トロカール型アクセス器具6310は、近位端部、遠位端部及び長手方向軸線を有する。トロカール型アクセス器具6310は、長手方向軸線に沿って延びるカニューレ6620を有する。トロカールシール6630がハウジング6640内に収納された状態でカニューレ6620の近位端部のところに設けられている。リテーナ6650がカニューレ6620の遠位端部又は先端部のところに設けられている。
【0076】
カニューレ6620は、1つ又は複数の器械を挿通状態で受け入れるよう寸法決めされた管状本体を有する。図示の実施形態では、カニューレ6620は、実質的に円筒形の管であり、このカニューレは、使用中、キャップ6300を貫通する。図示の実施形態では、カニューレ6620は、比較的短い。というのは、カニューレは、体壁ではなく、既知且つ一貫した厚さを有するキャップ6300(
図9A及び
図9B)を横切って延びる必要があるに過ぎないからである。したがって、カニューレ6620の幾つかの実施形態は、ゲルパッドの厚さよりも約2倍以下長く、約1.5倍以下長く、約1.2倍以下長く又は約1.1倍以下長い。幾つかの実施形態では、カニューレ6620は、ゲルパッドの厚さよりも約20mm未満長く、約10mm未満長く又は約5mm未満長い。幾つかの実施形態では、カニューレ6620は、ゲルパッドの厚さ寸法とほぼ同じ長さ寸法のものである。他の実施形態では、カニューレ6620は、異なる長さ、例えば、体壁を横切るために用いられるカニューレにとって典型的な長さを有する。長さの短いカニューレにより、これを挿通する器械にとって角度に関する自由度を増大させることができる。短いカニューレの実施形態は又、湾曲した器械の使用を許容する。カニューレ6620は、任意適当な生体適合性材料から成る。幾つかの実施形態では、カニューレ6620は、軟質材料から成る。
【0077】
図示のトロカールシール6630は、器械又は隔膜シール6660及びゼロシール6670を有する。オプションとして、シールド6680が器械シール6660内に設けられるのが良い。器械シール6660は、これを通る器械を封止し、それにより体腔内の加圧状態、例えば、気腹状態又は後腹腔気腹状態を維持する。ゼロシール6670は、器械がトロカールシール6630を通っていない場合にシールとなる。器械シール6660及びゼロシール6670は、カニューレ6620の近位端部のところに設けられたハウジング6640内に受け入れられてシールカバー6690によってこの中に固定される。
【0078】
リテーナ6650は、カニューレ6620の遠位端部のところに又はその近くに設けられている。幾つかの実施形態では、リテーナ6650とカニューレ6620は一体化され、他方、他の実施形態では、リテーナ6650とカニューレ6620は、一体化されない。図示の実施形態では、リテーナ6650の近位端部は、全体として平坦であり且つ長手方向軸線に垂直なフランジ6655を有し、遠位端部は、テーパしており、カニューレ6620の遠位端部に向かって細くなっている。フランジ6655は、キャップからのトロカール型アクセス器具6310の偶発的又は不用意な取り外しの恐れを減少させる。フランジ6655の近位側フェースの幾つかの実施形態は、キャップ6300の遠位側フェースに穿刺し又は食い込むよう構成された追加の固定特徴部、例えば刺、スパイク、突条、表面模様等を有する。幾つかの実施形態では、フランジ6655の直径は、カニューレ6620の外径よりも約1.2〜約2.5倍大きく又は約1.5〜約2.0倍大きい。トロカール型アクセス器具6310の幾つかの実施形態は、5mmトロカールであり、この場合、カニューレ6620の外径は、約7mm〜約8mmである。
【0079】
リテーナ6650のテーパ付き端部は、キャップ中へのトロカール型アクセス器具6310のそれ自体の挿入かトロカール型アクセス器具6310を貫通した栓塞子6600との組立て時にキャップ中へのトロカール型アクセス器具6310の挿入かのいずれかを容易にする。例えば、幾つかの実施形態では、リテーナ6650は、キャップ6300に予備形成された開口部中に挿入される。
【0080】
リテーナ6650とカニューレ6620が一体化されておらず、即ち、別々のコンポーネントである幾つかの実施形態では、リテーナ6650は、カニューレ6620をキャップ中に通して挿入した後にカニューレ6620に固定される。幾つかの実施形態では、カニューレ6620とリテーナ6650は、機械的に、例えば、ラッチ、ねじ山、クリップ、ロックリング、ラチェット等を用いて固定される。幾つかの実施形態では、カニューレ6620とリテーナ6650は、接着により固定される。幾つかの実施形態では、リテーナ6650の位置は、例えば互いに異なる厚さのキャップに対応するよう調節可能である。幾つかの実施形態では、カニューレ6620及び/又はリテーナ6650は、例えば接着によりキャップに固定される。
【0081】
図6A〜
図6C、
図7A、
図8A〜
図8C及び
図9Aに示されたアクセス器具6100の実施形態及び
図6D〜
図6F、
図7B、
図8D及び
図9Bに示されたアクセス器具7100の実施形態を参照して体の開口を拡張する手技の実施形態について説明する。ただし、この手技は、本明細書において開示するアクセス器具の実施形態の全てに利用できる。使用にあたり、外科的創アクセス器具6100,7100を体の開口、例えば膣(
図2)、口(
図3)又は肛門(
図4)中に挿入する。内側リング6110,7110を長円形又は他の適当な形状に折り曲げ又は圧縮し、そして切開創又は体の開口を通って関連の体腔中に押し込む。内側リング6110,7110が関連の体腔内にいったん完全に配置されると、内側リングは、その元の弛緩した形状、例えば実質的に円形、長円形又は他の元の形状に戻るようになる。幾つかの実施形態では、次に、例えば外側リング6120を上方に引くことによって内側リング6110を引き上げてこれを体腔の内面に当てる。管状本体6130,7130の外面は、生まれつきの開口を拡張する。
【0082】
図5に示されているように、アクセス器具5000の幾つかの実施形態は、アクセス器具5100の外側リングに結合されたキャップ、カバー又は蓋5500を有し、かかるキャップ、カバー又は蓋は、例えば体腔内の加圧状態、例えば気腹状態又は後腹腔気腹状態を維持するためにアクセス器具5100を封止する。幾つかの実施形態では、蓋5500は、例えば、体腔中へのアクセスを可能にするよう取り外し可能である。蓋5500の幾つかの実施形態は、透明な又は半透明な部分を有し、それによりユーザは、蓋5500を取り外すことなく体腔内を視認することができる。以下に説明するように、蓋5500の幾つかの実施形態は、ゲルキャップである。幾つかの実施形態では、アクセス器具の外側リング6120(
図6A),7120(
図6D)の断面形状は、蓋5500が外科的創アクセス器具の外側リング6120(
図6A),7120(
図6D)に部分的に且つ/或いは不正確に結合する恐れを減少させ又は阻止するよう選択される。かかる断面形状としては、長円形や長方形又は所望の機能をもたらす任意他の適当な断面形状、例えば六角形、八角形等が挙げられる。加うるに、使用及び外科医の好みに応じて、幾つかの実施形態では、外科的創アクセス器具の内側リング6110,7110及び外側リング6120,7120の各々は、別個独立に可変の設計上の形態を有する。例えば、内側リング6110,7110及び/又は外側リング6120,7120の実施形態は、硬質又は軟質であり、意図した使用に応じたフットプリント、断面形状及び/又は寸法、例えば、切開創又は開口の寸法に応じた円形又は長円形フットプリント、直径又は拡張力に応じた断面寸法を有する。幾つかの実施形態では、内側リング6100は、配備時に管状本体6130から半径方向外方に延びるのが良く、それによりアクセス器具を体の開口内に安定化する(
図7A)。他の実施形態では、内側リング7110は、例えば管状本体の長さL2がアクセス器具を体の開口内に安定化するのに十分である場合(
図7B)、管状本体7130と面一をなすのが良い。
【0083】
肛門、膣、及び口腔手技で有用な生まれつき開口外科用システムの種々の実施形態について説明した。これら実施形態は、アクセスチャネルの長さを変えることによって生まれつき開口の部分に対する調節可能な接近を可能にするのに特に有用である。これら実施形態は又、チャネルの調節性により体格の異なる患者の体内へのアクセス器具の固定が容易になるので、高いBMIの患者にも有用である。本発明の例示の実施形態を参照して或る特定の実施形態について具体的に図示すると共に説明したが、当業者であれば理解されるように、以下の特許請求の範囲の記載により定められる本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、これら実施形態に関して形態及び細部の種々の変更を行うことができる。
以下、本発明の実施態様を記載する。
1.生まれつきの開口内に用いられるようになった調節可能な手術用アクセス器具であって、近位端部及び遠位端部を備えた漏斗セグメントと、前記漏斗セグメントの前記近位端部に結合された外リングとを有する外側部分と、内面、外面、近位端部及び遠位端部を備えた管状本体と、前記管状本体の前記遠位端部の外面周りに設けられた内リングとを有する内側部分とを有し、前記外リングは、患者の前記生まれつきの開口の近くに設けられると共に前記開口を実質的に包囲するよう構成され、前記内リングは、前記アクセス器具を定着させるよう前記生まれつきの開口内に設けられるよう構成され、前記外側部分は、前記内側部分と滑動可能に係合し、それにより前記外リングと前記内リングとの間に可変距離をもたらすようになっている、調節可能な外科用アクセス器具。
2.前記漏斗セグメントの前記遠位端部に結合された外面を備える管状チャネルを更に有し、前記管状チャネルは、前記管状本体内に滑動可能に設けられている、項目1記載の調節可能な外科用アクセス器具。
3.前記管状チャネルの前記外面の周りに設けられた雄ねじと、前記管状本体の前記内面の周りに設けられた雌ねじとを更に有し、前記雄ねじは、前記雌ねじと噛み合っていて、前記雄ねじを一方向に回すと、前記アクセス器具が短くなり、前記雄ねじを逆方向に回すと、前記アクセス器具が長くなる、項目2記載の調節可能な外科用アクセス器具。
4.前記管状チャネルの前記外面に設けられた少なくも1本のピンと、前記管状本体に設けられていて前記ピンをスナップ嵌め状態で受け入れ、それにより前記外リングと前記内リングとの間に選択された距離を設けた状態で前記外側部分を前記内側部分に固定するようになった2つ又は3つ以上の穴とを更に有する、項目2記載の調節可能な外科用アクセス器具。
5.前記管状チャネルの前記外面に設けられた少なくとも1本のピンと、前記管状本体に設けられた溝とを更に有し、前記溝は、前記ピンを受け入れるようになっており、前記溝は、少なくとも2つの凹みスロットを有し、前記ピンを凹みスロット内に滑り込ませると、前記外リングと前記内リングとの間に選択された距離を設けた状態で前記外側部分が前記内側部分に固定されるようになっている、項目2記載の調節可能な外科用アクセス器具。
6.前記漏斗セグメントから内方に突き出た少なくとも1つのタブと、前記管状本体に設けられた2つ又は3つ以上のスロットとを更に有し、前記スロットは、前記内リングから互いに異なる距離を置いたところに位置決めされ且つ前記タブを受け入れるようになっており、前記外側部分は、前記内側部分の前記管状本体の周りに設けられ、前記外側部分を前記タブがスロット内に挿入されるまで前記管状本体の軸線に沿って動かすことができ、それにより前記外リングと前記内リングとの間に選択された距離を設けた状態で前記外側部分を前記内側部分に固定することができるようになっている、項目1記載の調節可能な外科用アクセス器具。
7.前記管状本体は、実質的に軟質の材料から成る、項目1記載の調節可能な外科用アクセス器具。
8.前記軟質材料は、KRATON(登録商標)材料、PELLETHANE(登録商標)材料及びシリコーンゴム材料から成る群から選択される、項目項7記載の調節可能な外科用アクセス器具。
9.前記管状本体は、ポリカーボネートから成る、項目1記載の調節可能な外科用アクセス器具。
10.前記管状本体は、少なくとも1つの腹腔鏡器械を挿通状態で受けるのに十分広い全体として円筒形の通路を備えている、項目1記載の調節可能な外科用アクセス器具。
11.前記全体として円筒形の通路は、該通路中に位置決めされた2つ又は3つ以上の外科用器械を互いに対して並進させることができ又は回動させることができるほど十分広い、項目10記載の調節可能な外科用アクセス器具。
12.前記管状本体は、1つ又は2つ以上の被膜を有する、項目1記載の調節可能な外科用アクセス器具。
13.前記被膜は、抗菌被膜から成る、項目7記載の調節可能な外科用アクセス器具。
14.前記管状本体は、比較的軟質の材料で形成され、前記漏斗セグメント及び前記外リングは、比較的硬質の材料で作られている、項目1記載の調節可能な外科用アクセス器具。
15.前記外リングに隣接して前記外側部分に設けられた少なくとも1つの縫合箇所を更に有する、項目1記載の調節可能な外科用アクセス器具。
16.取り外し可能なキャップを更に有し、前記キャップは、前記外リングに密封的に係合するようになっている、項目1記載の調節可能な外科用アクセス器具。
17.前記キャップは、封止可能なアクセス表面を有する、項目16記載の調節可能な外科用アクセス器具。
18.前記封止可能なアクセス表面は、ゲルパッドである、項目17記載の調節可能な外科用アクセス器具。
19.少なくとも1つのトロカール型アクセス器具を更に有し、前記トロカール型アクセス器具は、前記封止可能なアクセス表面を通って位置決めされるようになっている、項目17記載の調節可能な外科用アクセス器具。
20.前記トロカール型アクセス器具のうちの少なくとも1つは、薄型のものである、項目19記載の調節可能な外科用アクセス器具。
21.生まれつきの開口内に用いられるようになった調節可能な外科用アクセス器具であって、患者の前記生まれつきの開口の近くに設けられると共に前記開口を実質的に包囲するよう構成された外リングを有し、2つ又は3つ以上の区分を備えた管状本体を有し、前記区分は、選択されると共に組み立てられた前記区分の数及びサイズに応じて、種々の管状本体長さを提供するよう互いに噛み合うねじ山を有し、前記外リングと前記管状本体の間に延びると共に前記外側リングと前記管状本体を結合した漏斗セグメントを有し、前記漏斗セグメントは、前記外リングの比較的大きな直径と前記管状本体の比較的小さな直径との間に直径の減少をもたらす、調節可能な外科用アクセス器具。
22.前記管状本体の遠位端部のところに取り付けられたテーパ付き先端区分を更に有する、項目21記載の調節可能な外科用アクセス器具。
23.生まれつきの開口内に用いられるようになった調節可能な外科用アクセス器具であって、患者の前記生まれつきの開口の近くに設けられると共に前記開口を実質的に包囲するよう構成された外リングを有し、2つ又は3つ以上の区分を備えた管状本体を有し、前記区分は、選択されると共に組み立てられた前記区分の数及びサイズに応じて、種々の管状本体長さを提供するようツイストロック機構体により互いに係合するようになっており、前記外リングと前記管状本体の間に延びると共に前記外側リングと前記管状本体を結合した漏斗セグメントを有し、前記漏斗セグメントは、前記外リングの比較的大きな直径と前記管状本体の比較的小さな直径との間に直径の減少をもたらす、調節可能な外科用アクセス器具。
24.前記管状本体の第1の区分は、戻り止めを有し、前記管状本体の第2の区分は、スロットを有し、前記スロットは、前記第1の区分の前記戻り止めを前記第2の区分の前記スロット中に挿入し、それにより前記2つの区分を互いにロックすることができるよう前記戻り止めを受け入れるようになっている、項目23記載の調節可能な外科用アクセス器具。
25.前記管状本体の遠位端部のところに取り付けられたテーパ付き先端区分を更に有する、項目23記載の調節可能な外科用アクセス器具。
26.生まれつきの開口内に用いられるようになった調節可能な外科用アクセス器具であって、患者の前記生まれつきの開口の近くに設けられると共に前記開口を実質的に包囲するよう構成された外リングを有し、押し潰し可能な管を備えた管状本体を有し、前記押し潰し可能な管は、圧縮され又は軸方向に引かれ、それにより前記管状本体の長さを調節するようになっており、前記外リングと前記管状本体の間に延びると共に前記外側リングと前記管状本体を結合した漏斗セグメントを有し、前記漏斗セグメントは、前記外リングの比較的大きな直径と前記管状本体の比較的小さな直径との間に直径の減少をもたらす、調節可能な外科用アクセス器具。
27.前記管状本体の遠位端部のところに取り付けられたテーパ付き先端区分を更に有する、項目26記載の調節可能な外科用アクセス器具。
28.生まれつきの開口内に用いられるようになった調節可能な外科用アクセス器具であって、患者の前記生まれつきの開口の近くに設けられると共に前記開口を実質的に包囲するよう構成された外リングを有し、管状本体を有し、前記外リングと前記管状本体の間に延びると共に前記外側リングと前記管状本体を結合した漏斗セグメントを有し、前記漏斗セグメントは、前記外リングの比較的大きな直径と前記管状本体の比較的小さな直径との間に直径の減少をもたらし、セグメント化管状チャネルを有し、前記セグメント化管状チャネルは、前記管状チャネルの長さを延ばすよう前記管状本体を通って設けられ、前記セグメント化管状チャネルは、前記管状本体中における滑動運動を可能にするよう選択されているが、意図しない変位を回避するのに十分ぴったりとした直径を有する、調節可能な外科用アクセス器具。
29.前記管状本体の遠位端部の周りに設けられた内リングを更に有する、項目28記載の調節可能な外科用アクセス器具。
30.生まれつきの開口内に用いられるようになった調節可能な外科用アクセス器具であって、外リングを有し、管状本体を有し、前記外リングと前記管状本体との間に延びると共に前記外リングと前記管状本体を結合した漏斗セグメントを有し、前記漏斗セグメントは、前記外リングの比較的大きな直径と前記管状本体の比較的小さな直径との間に直径の減少をもたらし、ラッチ及び少なくとも1つの縫合タブを備えたクランプを有し、前記クランプは、患者の前記生まれつきの開口の近くに設けられるよう構成され、前記管状本体は、前記クランプ内に滑動可能に設けられ、前記ラッチは、前記管状本体が前記クランプを通って自由に動く開放位置と前記管状本体が定位置にロックされる閉鎖位置との間で動くことができる、調節可能な外科用アクセス器具。