特許第6408009号(P6408009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408009
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】自動視野計
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/024 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   A61B3/02 F
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-539603(P2016-539603)
(86)(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公表番号】特表2016-529053(P2016-529053A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】FI2014050672
(87)【国際公開番号】WO2015028722
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2017年7月7日
(31)【優先権主張番号】20135885
(32)【優先日】2013年9月2日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】514227519
【氏名又は名称】オキュスペクト オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メンテュサロ、タピオ
(72)【発明者】
【氏名】レイノネン、マルック
【審査官】 佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/094995(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/096473(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/078106(WO,A2)
【文献】 特開2006−267225(JP,A)
【文献】 特開2000−310983(JP,A)
【文献】 特開2011−139914(JP,A)
【文献】 特開2002−209849(JP,A)
【文献】 特表2015−502238(JP,A)
【文献】 特表2015−500732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/12
3/13−3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視の固視像を用いる標準自動視野計(SAP)の視野計または中心視野計において用いられる方法であって、少なくとも以下のステップ、
患者(100)に示される第1の視覚的外観(101a)を有する固視点(101)を生成すること、
所定の場所で、刺激時点に前記患者に示される刺激(105)を生成すること、
応答時点で刺激を知らせるときに、前記患者により応答装置(103)を作動させること
を含み、
前記刺激時点の前の1秒以内に固視点の第2の視覚的外観の時間間隔を開始することにより、固視点の第2の視覚的外観の時間間隔の間、第2の視覚的外観(101b)を有するように、前記刺激時点の近くで前記固視点の視覚的外観前記第1の視覚的外観(101a)から前記第2の視覚的外観(101b)に変更すること、
前記固視点の第2の視覚的外観の時間間隔が終了した後、または患者が応答した後に、前記固視点の前記視覚的外観前記第2の視覚的外観(101b)から前記第1の視覚的外観(101a)戻すように変更すること
を特徴とする方法。
【請求項2】
周囲光センサ(15)が、輝度コントラストが所望のレベルに設定され得るように、視野計表面の輝度に基づき、検査中の刺激および固視点の強度、すなわち輝度を調整するために用いられることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記固視点の第2の視覚的外観の時間間隔を、前記刺激時点の前の200ms未満で開始させるか、時には1秒以内後に開始すること、および/または、
前記固視点の第2の視覚的外観の時間間隔を、前記刺激時点の後、または前記固視点の第2の視覚的外観が示された後、または患者が応答した後、2秒、典型的には0.5〜1秒以内に終了すること
を特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記患者が応答時間間隔の間に前記応答装置を作動させたか否かを記録することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前回の刺激時点または前回の応答時点のいずれかから、刺激時間間隔後に第2の刺激時点で前記患者に示される第2の刺激を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記刺激時間間隔、
前記刺激の光強度、
刺激サイズ、
刺激の色、
刺激の場所
のうち、1つまたは複数を変更することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記患者に示される前記固視点の位置を変更することを特徴とする請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
前記患者が前記刺激を見ても前記応答装置を作動させるべきでない場合に、固視点の第3の視覚的外観の時間間隔の間、第3の視覚的外観(101c)を有するように前記固視点の前記視覚的外観前記第1の視覚的外観から前記第3の視覚的外観に変更することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
可視の固視像を用いる標準自動視野計(SAP)の視野計または中心視野計であって、
患者(100)に示される第1の視覚的外観(101a)を有する固視点(101)を生成するための手段と、
刺激時点に前記患者に示される刺激(105)を生成するための手段と、
応答時点に刺激を知らせるときに前記患者によって作動させられるように構成される応答装置(103)と
を備え、前記固視点を生成するための手段は、
前記刺激時点の前の1秒以内に固視点の第2の視覚的外観の時間間隔を開始して、固視点の第2の視覚的外観の時間間隔の間、第2の視覚的外観(101b)を有するように、前記刺激時点の近くで前記固視点の視覚的外観前記第1の視覚的外観(101a)から前記第2の視覚的外観(101b)に変更し、
前記固視点の第2の視覚的外観の時間間隔が終了した後、または患者が応答した後に、前記固視点の前記視覚的外観前記第2の視覚的外観(101b)から前記第1の視覚的外観(101a)戻すように変更するように構成されることを特徴とする標準自動視野計(SAP)の視野計または中心視野計。
【請求項10】
周囲光センサ(15)が、輝度コントラストが所望のレベルに設定され得るように、視野計表面の輝度に基づき、検査中の刺激および固視点の強度、すなわち輝度を調整するために用いられることを特徴とする請求項9記載の視野計または中心視野計。
【請求項11】
患者を検査するためのスタンドアロン型の医療装置(1)であって、
検査中に前記患者によって見られる第1の面(3)と、検査中は前記患者によって見られない第2の面(4)とを有する視野計表面(2)を備える第1の検査装置と、
a)視力の検査中に前記患者により見られる視力測定装置、
b)コントラスト感度の検査中に前記患者により見られるコントラスト感度検査装置、
c)グレアの検査中に前記患者により見られるグレア減能検査装置、
の群からの1つまたは複数の第2の検査装置(5、7)と、
前記第1および第2の検査装置の使用を制御するためのユーザーインターフェース(7、18)装置と、
請求項9または10記載の視野計または中心視野計と
を一体構造として備えるスタンドアロン型の医療装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標準自動視野計などの自動視野計または中心視野計、ならびにこれらにおいて用いられる新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
他の多くの視野計と同様に、現在の標準自動視野計(SAP)では、患者は固視点を見る。患者は刺激、すなわちキャンバスまたは他の表面上のフラッシュ光を見ると、口頭で、またはボタンを押してそれを示す。患者の応答から、患者が刺激を見たか否かが判断される。刺激の場所および強度を変更することにより、患者に関する視野のマップが形成される。
【0003】
現在の標準自動視野計にはいくつかの問題がある。患者は固視点を注視することに対して容易に興味を失うので、固視は安定しない。眼球は固視点よりも刺激を無意識に追う場合があり、この現象は患者が視覚や神経の問題を有する場合に増加する。一点を注視することは平常ではなく疲労を引き起こし、これにより固視および注意が失われるので、正しくない視野検査結果を引き起こす。
【0004】
特許文献1および特許文献2は、被検者の固視を向上させるためのいくつかの解決策を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008/078106号
【特許文献2】国際公開第2013/094995号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、先行技術に見られた上述の問題を軽減することである。
【0007】
本発明の目的は、特に、標準自動視野計用の快適かつ使用が容易な方法および装置を提供することである。
【0008】
本発明の目的は、標準自動視野計から、より信頼性のある結果を提供することである。
【0009】
本発明の目的は、例えば、緑内障、網膜疾患、場合によっては頭部外傷または脳卒中など、視野の損失を引き起こすおそれのある疾患を検査および把握するために用いられる、視野測定を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
他にも、上述の目的を達成するために、本発明の方法および装置ならびに他の目的は、添付される独立請求項の特徴部に示されるものにより特徴付けられる。
【0011】
本明細書に記される実施形態、実施例および利点は、適用可能な場合、本発明による使用だけでなく任意の装置または方法にも関連するが、これは詳細に記されているとは限らない。
【0012】
可視の固視像を用いる視野計または中心視野計における典型的な方法は、少なくとも以下のステップ、
患者に示される第1の視覚的外観を有する固視点を生成すること、
典型的には患者の視野内の、視野計または中心視野計の所定の場所において、刺激時点で患者に示される刺激を生成すること、
応答時点で刺激を知らせるときに、患者により応答装置を作動させること、
固視点の第2の視覚的外観の時間間隔の間、第2の視覚的外観を有するように、刺激時点の近くで固視点を変更すること
を含む。
【0013】
本発明による典型的な自動視野計は、
患者に示される第1の視覚的外観を有する固視点を生成するための手段と、
刺激時点にあらかじめ定められた視野の場所で患者に示される刺激を生成するための手段と、
応答時点に刺激を知らせるときに患者によって作動させられるように構成される、プッシュボタンなどの応答装置と
を備え、
固視点を生成するための手段は、固視点の第2の視覚的外観の時間間隔の間、第2の視覚的外観を有するように、刺激時点の近くで固視点を変更するように構成される。
【0014】
視覚的刺激は、典型的には、所定の強度、色および持続時間を有する。視覚的刺激は、例えば、小さなフラッシュ光である。視覚的刺激の持続時間は、例えば、10〜300msまたは100msであり得る。
【0015】
固視点の第1および第2の視覚的外観は、任意の具体的な状態に適切であるように選択され得る。一実施形態において第1の視覚的外観は、文字「O」など、輪を含む記号である。一実施形態において第2の視覚的外観は、「+」、すなわち正符号や文字「X」など、交差した線を含む記号である。
【0016】
第1および第2の固視点は、任意の使用可能な形状または色または強度を取り得る。いくつかの実施形態においては、視野の原点(origo)も測定され、その場合固視点の第1および特に第2の視覚的外観は、固視点と同じ視野の場所に後に現れる刺激に場所を与えるために、中空でなければならない(視野の原点は、患者が固視点を注視しているときに固視点にある)。また第1または第2の視覚的外観は、外観において刺激と類似していてもよく、この場合患者への命令は、「刺激」が別の場所にジャンプしているか否かを感知することである。
【0017】
応答装置は、例えば、1つまたは複数のボタンであり得る。ゆえに応答装置を作動させることは、例えば、患者が関連するボタンを押すことを意味し得る。また患者は、例えば、口頭で応答してもよいし、刺激が現れた場所を指すなど、他の手段で応答してもよい(例えば、タッチスクリーンであり得る)。また、例えば、ジョイスティックまたはハンドル(押し引きされる)も応答装置として用いられ得る。
【0018】
通常、患者による応答装置の作動が通知されない場合、刺激が見えなかったと解釈される。
【0019】
固視点が、刺激が示される時点、またはその時点の近くで異なる視覚的外観のものである場合、患者は固視点に興味を惹かれることが分かっている。これは患者に有意義な情報を提供し、すなわち、刺激が視野計表面に現れるべきときを示す。これは、患者が全ての場合において中心視覚で固視像を見ている可能性を確実にするか、少なくとも増加させる。換言すれば、固視点がより興味を惹くものであるので、疲労を減少させ、眼球の固定および注意力がよくなり、それゆえより正確かつ再現性のある結果という影響を及ぼす。固視点は非常に小さくぼやけたものであるはずなので、辛うじて可視であり、第1および第2の視覚的外観はそのとき初めて、中心(最も正確な)視覚によってのみ可視である。
【0020】
タスクが固視点を見ることであっても、患者の片眼または両眼が無意識に刺激を追い始めることはよく起こる。患者が神経視覚に問題を有する場合、患者は、固視点が視覚的に興味深く有意義である場合には、すなわち、固視点がいつ次の刺激が現れるか(または現れたところであるか)を教える場合には、固視点へと片眼/両眼を戻すことが容易であると感じる。眼球を固視点に容易に戻すことは、疲労も軽減する。
【0021】
緑内障など、視野に問題がある場合には、本発明による視野の検査は通常よりも速い。神経視覚に問題を有する患者であっても、ほとんどの場合、一回で閾値検査を行い得る。今日の自動視野計においては、患者を休ませるために、数回にわたって数分間検査が中断されなければならないことは普通である。そのため本発明は、自動の視野検査に必要な時間も減少させる。
【0022】
固視点および刺激は、視野計表面や適切な電気的ディスプレイまたはプロジェクタなど、任意の適切な表面上に生成される。視野計、ディスプレイ、プロジェクタ、ならびに、コンピュータおよびコンピュータプログラムなどのこれらを使用するための適切な手段は、固視点および刺激を生成するための周知の手段である。時点、視野の場所、時間間隔およびユーザによる応答は、例えば、メモリを備えるコンピュータにおいて処理、記録、管理および計算される。コンピュータは、本発明により用いられる視野計装置の一部であってもよいし、例えば任意の適切な電気およびデータの転送接続部を介して視野計装置および応答装置に接続されてもよい。
【0023】
一実施形態において、固視点が、患者に常に中心窩で見させるのに充分に低い強度であるために、検査順序の最初に、眼球のコントラスト感度が固視点に近い刺激を用いて測定され得る。この値は、固視点の強度およびサイズを計算するために用いられ得る。
【0024】
一実施形態において、固視点を生成するための手段は、固視点の第2の視覚的外観の時間間隔が終了した後、または患者が応答した後に、固視点を第1の視覚的外観へと戻すように変更する。このようにして患者は、少なくとも少しの間、新たな刺激が示されないことがわかる。
【0025】
いくつかの実施形態において、固視点の第2の視覚的外観の時間間隔は、刺激時点の1秒前または200ms前よりも早くには開始されないか、刺激時点の前の100ms未満である。一実施形態において、固視点の第2の視覚的外観の時間間隔は、刺激時点に開始される。いくつかの実施形態において、固視点の第2の視覚的外観の時間間隔は、刺激時点の後、例えば、刺激時点の0〜500ms、0〜1000ms、0〜2000msまたは500〜1000ms後に開始される。これらの時間間隔は、患者の眼球が刺激を探すために固視点から離れて動き始める可能性を減少させる。
【0026】
一実施形態において、固視点の第2の視覚的外観の時間間隔は、刺激時点後、または固視点の第2の視覚的外観が示された後、または患者が応答した後、100ms、500ms、1秒、2秒または3秒よりも早くには終了されない。これは、患者に変更された固視点の視覚的外観を認識するための時間を与えるだけでなく、見た刺激に応答するわずかな切迫感を患者に与えるために行われるので、応答の遅延は、検査の正しさに影響を及ぼさず、および/または、複数のステップを検査するときの合計検査時間を増加させない。いくつかの実施形態において固視点の第2の視覚的外観の時間間隔は、検査を患者または検査の需要を満たすのに適切なものにするために、検査前または検査中に変更され得る。
【0027】
一実施形態において、患者の応答および患者が応答時間間隔の間に応答装置を作動させたか否かについての情報は、記録されない。応答時間間隔は、固視点の第2の視覚的外観の時間間隔と同一であってもよいし、同一の持続時間を有していてもよい。典型的には、応答時間間隔内にもたらされた応答のみが有効な応答と考えられ得る。
【0028】
一実施形態において、固視点は、刺激時点に近い時間間隔の間、第3の視覚的外観、「刺激を見ても応答しない」外観に変更される。第3の視覚的外観が示されると、患者は、刺激を見ても応答するべきではない。これは、患者が本当に固視点を見ているかを確認するために用いられ得る。
【0029】
先行技術から公知のように、検査は通常、患者に対して次から次へと生成される多数の刺激への応答を記録することを含む。一実施形態において、第2の刺激は、刺激と刺激の間の時間間隔の後に、第2の刺激時点で患者に示される。刺激と刺激の間の時間間隔は、前回の刺激時点または前回の応答時点から測定され得る。刺激と刺激の間の時間間隔は、例えば1s〜4sであってもよく、患者の反応時間に依存し、例えば、患者が非常に高い確率で見ることが知られているいくつかの非常に明るい刺激を示して計算され得る。時間間隔は、患者の通常の反応時間よりも長くなるべきであるが、長すぎるべきではない(例えば、通常の反応時間の2倍または3倍未満)ので、完全な検査工程は長くなりすぎない。
【0030】
一実施形態において、あらかじめ定められた強度および持続時間の新たな刺激は、眼球が依然として固視点を見ていることを想定して、視野のあらかじめ定められた場所に示される。
【0031】
一実施形態において、刺激の時間間隔は変更される。変更は、あらかじめ定められた順序で行われてもよいし、ランダム化されてもよい。これにより、刺激の発生時間は予期できず、ユーザは刺激を見る正しいときに応答するために、固視点を間違いなく見なければならないので、準備完了状態の(armed)固視点は、より興味を惹くものとなる。
【0032】
一実施形態において、患者に示される固視点の位置は、検査中に変更される。固視像は、例えば、患者が固視像への固視を続けることを補助するため、および比較的小さな視野計表面を用いてより多くの検査点を検査することを可能にするために、視野計表面においてゆっくりと移動し得るか、または小さなステップを用いて移動し得る。
【0033】
一実施形態において、本発明は、患者を検査するためのスタンドアロン型の医療装置と用いられ、
検査中に患者によって見られる第1の面と、検査中は患者によって見られない第2の面とを有する視野計表面を備える第1の検査装置と、
a)視力の検査中に患者により見られる視力測定装置、
b)コントラスト感度の検査中に患者により見られるコントラスト感度検査装置、
c)グレアの検査中に患者により見られるグレア検査装置、
の群からの1つまたは複数の第2の検査装置と、
第1および第2の検査装置の使用を制御するためのユーザーインターフェース装置と
を一体構造として備える。
【0034】
このスタンドアロン型の医療装置は、本明細書において後述する一体構造のスタンドアロン型の医療装置を用いて患者を検査する方法において用いられ得る。このスタンドアロン型の医療装置は、本発明のSAPの発明なしに使用されてもよいし、および/または、本明細書に記す他の実施形態または特徴と組み合わせて用いられてもよい。このスタンドアロン型の医療装置は、以下のヒトの機能的能力、すなわち、視覚系の機能、視覚、注意力、知覚能力、記憶力、意思決定、および反応時間、の全てが検査されない場合でも、そのいくつかまたはほとんどを測定し得る。このスタンドアロン型の医療装置は、視野、視覚探索能力、視覚意思決定、衝動性眼球運動、視力、コントラスト感度、グレアに対する感度および空間短期記憶などの、視覚系の機能の様々な側面を評価し得る。またスタンドアロン型の医療装置は、ヒトが安全な運転のための運転者要件を満たしているかどうかを検査する、確実かつ使用が容易な方法および装置も提供し得る。
【0035】
固視点の第2の視覚的外観を用いる本発明は、標準自動視野計(SAP)に加えて、固視点を備える様々な種類の視野計、例えば、高解像度の視野計、短波長感受性の視野計、フリッカー視野計、瞳孔視野計、Aulhorn’snowの中心視野計、運動視野計、周波数を2倍にする技術の視野計、Rarebit視野計、多焦点VEP、および複数固視点の視野計いくつかの実施形態において用いられ得る。視野計の理論、使用および機能は当該技術において公知であり、本明細書においては完全に詳細には説明されない。
【0036】
本発明の一態様は、本発明の方法によるコンピュータプロセスを実行するための命令のコンピュータプログラムをコード化するコンピュータプログラムプロダクトである。方法の実施形態はこのようなコンピュータプログラムを使用し、装置の実施形態はこのようなコンピュータプログラムを備える。
【0037】
本発明の一態様は、コンピュータにより読み取り可能な、本発明の方法によるコンピュータプロセスを実行するための命令のコンピュータプログラムをコード化するコンピュータプログラム供給媒体である。
【0038】
本明細書において実施例は、ヒトが安全な運転のための運転手要件を満たしているかどうかを評価することについて述べるが、本発明による医療装置および方法は、例えば、疾病の診断、仕事の選択、視覚的な能力評価、学校やコミュニティでのスクリーニング、軍人の選別、および障害の分類など、様々な状況において用いられ得る。
【0039】
一体構造のスタンドアロン型の医療装置を用いて患者を検査するための1つの方法は、少なくとも以下のステップ、
視野計装置を備える第1の検査装置を用いて患者の視野を検査することと、
第2の検査装置を用いて、
a)視力の検査、
b)コントラスト感度の検査、
c)グレアの検査
の群から選択される1つまたは複数の第2の検査を検査することと、
ユーザーインターフェース装置を用いて第1および第2の検査装置の使用を制御することと
を含む。
【0040】
医療装置がスタンドアロン型であるとは、通常の使用状況において単独で機能することができ、おそらくは電力接続部を省くことができることを意味する。一実施形態において装置は、充電可能なバッテリを備えるので、通常の使用中の電力接続部の必要性も取り除く。
【0041】
医療装置が一体構造であるとは、通常の使用状況において患者を検査するために必要な部品が、1つの単一の実体からなることを意味する。いくつかの部品は回動可能であってもよく、例えばヒンジで連結され、いくつかの部品が互いから接続を外されることが自然と可能となる。一実施形態において医療装置は、通常の使用においては一体構造であるが、実際に使用せずに搬送または保管されるときにも一体構造である。
【0042】
典型的な第1の検査装置は、視野計表面、すなわち、ヒトの視野検査用の医療診断装置である視野計装置を備える。視野計表面は、検査中に患者によって見られる第1の面と、検査中は患者によって見られない第2の面とを有する。また、例えば神経心理学検査などの他の検査も視野計表面に対して実行され得る。一実施形態において視野計表面の第1の面は、湾曲形状を有し、陥凹面は、視野計表面の第1の面に向かって、すなわち、検査されている患者に向かって配置されている。
【0043】
視野計は、視野サイズを測定できるのに充分な大きさであるべきである。視野計およびその用途は当該技術において周知であるので、本明細書においては詳細には説明しない。視野計は例えば、標準的な自動視野計であってもよいし、複数固視点の視野計であってもよい。
【0044】
ここで、1つまたは複数の第2の検査装置が視野計と共に同一のスタンドアロン型の装置に一体化されると、予期し得なかった利点が達成され得ることが分かった。一実施形態において第2の検査装置は、
視力測定装置と、
コントラスト感度検査装置と、
グレア検査装置と
の群から選択される。
【0045】
第2の検査装置は患者によって見られるように配置され、すなわち、第2の検査装置が動作する検査の間、視野計表面の第1の面に対して可視である。第2の検査装置および第2の検査は、例えば神経心理学検査などの他の検査も含み得る。グレア検査は、任意の種類のグレア検査を意味する。本発明の一実施形態においてグレア検査は、以下のグレアの種類、すなわち、減能グレア、不快グレア、適合グレアの1つまたは複数の検査を含む。グレア検査装置は、上述の種類のグレアの1つまたは複数を検査できるように配置される。上述の第2の検査装置および第2の検査、すなわち、視力測定、コントラスト感度検査およびグレア検査は、それ自体が当該技術において公知であるので、本明細書においてはさらに詳細には説明しない。
【0046】
さらに、医療装置は、第1および第2の検査装置の使用を制御するためのユーザーインターフェース装置を備え得る。一実施形態においてユーザーインターフェース装置は、少なくとも限られた時間の間、監督者に対してのみ使用可能および可視であり、すなわち視野計の第2の面に対して可視である。装置がスタンドアロン型の一体装置である場合、全ての検査は、1つの単一のユーザーインターフェース装置を用いて容易に制御され得る。
【0047】
第1および第2の検査装置での検査は、医療装置自体のコンピュータを用いずに実施されることが可能である。しかし本発明の一実施形態においては、医療装置は、メモリと、コンピュータメモリ上で実行されるコンピュータプログラムコードとを備えるコンピュータを備える。コンピュータプログラムはその後、第1および/または第2の検査装置で検査を実施するように構成される。コンピュータおよびコンピュータプログラム、ならびに必要なデータ接続部は、当該技術において公知である。コンピュータプログラムは、効果的な検査を実施するように作成され得る。
【0048】
本発明の一実施形態において医療装置は、1つまたは複数の第2の検査装置用のディスプレイユニットを備える。ディスプレイユニットは、検査中に患者によって見られるディスプレイを備える。ディスプレイユニットは、ディスプレイ上に検査されるべき第2の視覚検査の要素を示すように構成される。ディスプレイユニットはゆえに、例えば視力検査、コントラスト感度検査、グレア検査用の、刺激および検査記号(すなわち、視力表)の提示装置として働く。一実施形態においてコンピュータプログラムは、ディスプレイ上に示されるものを制御する。電気的ディスプレイは、上述の検査における要素を示す上で非常に効率的である。ディスプレイユニットのディスプレイは、例えばLCDパネルであってもよい。
【0049】
本発明の一実施形態においてユーザーインターフェース装置は、第2の検査装置としても用いられるディスプレイユニットを備える。
【0050】
本発明の一実施形態においてコンピュータは、本発明の装置、例えば、ディスプレイユニット、または視野計表面の内部に置かれる。
【0051】
本発明の一実施形態において、第1および第2の検査装置の使用を制御するためのユーザーインターフェース装置は、ディスプレイユニットにある。ディスプレイユニットは、機械的ボタン、スイッチまたは同様のものを備えていてもよいが、これらの制御手段をタッチスクリーン内に配置することも可能であって、タッチスクリーンは、スクリーンを1本または複数の指で触れることにより単純またはマルチタッチのジェスチャーを通してユーザが制御し得る電子的な視覚ディスプレイである。ディスプレイユニットのディスプレイは、この、第1および第2の検査装置の使用を制御するためのタッチスクリーンであってもよい。本発明の一実施形態において、同一のディスプレイは、第1および第2の検査装置の使用を制御するためのタッチスクリーンとして、また患者に関して検査されるべき第2の視覚検査の要素を示すディスプレイとして機能する。ディスプレイユニットは、タブレットコンピュータであってもよいし、電話などの別の持ち運び可能な装置であってもよい。
【0052】
本発明の一実施形態においてディスプレイユニットは、少なくとも2つの位置、すなわち、第1の位置と第2の位置との間で回動可能に配置される。第1の位置においてディスプレイは、視野計表面の第1の面から、すなわち、検査される患者によって見られ得る。第2の位置においてディスプレイは、視野計の第2の面から、すなわち検査の監督者によって見られ得る。ディスプレイユニットは、例えば、第1の検査装置、すなわち視野計表面を用いて検査を行うときには、第2の位置に維持され得る。このようにして検査の監督者は、ディスプレイユニットを用いて検査を監督および制御し得る。第1の位置に回動されると、ディスプレイは、患者に対して検査されるべき第2の視覚検査の要素を示すディスプレイとして機能し得る。
【0053】
ディスプレイユニットがタブレットコンピュータや電話などの持ち運び可能な装置である場合、医療装置は、ホルダまたはブラケットあるいはディスプレイユニットが離脱可能に取り付けられ得る支持体などの、1つまたは複数の取り付け点を備え得る。例えば、1つの取り付け点は、視野計表面の第1の面に配置され得るか、ディスプレイが第1の面から可視および使用され得るような方法で配置され得る。また1つの取り付け点は、視野計表面の第2の面に配置され得るか、ディスプレイが第2の面から可視および使用され得るような方法で配置され得る。持ち運び可能な装置用の取り付け点は、持ち運び可能な装置が2つの位置、すなわち、第1の面に向くディスプレイまたは第2の面に向くディスプレイで取り付け点に取り付けられ得るようなものであればよい。
【0054】
一体型および回動可能なディスプレイユニットは、単純性およびコスト効率性を提供する。第2の検査の効率は、ディスプレイが視野計表面の第1の面に回動される場合に向上される。これは、ディスプレイがより大きな視野計表面に取り囲まれ、それにより検査されるヒトの視野は、ディスプレイパネル上に示される検査刺激を干渉し、ヒトの集中力を妨害する妨害視覚オブジェクトから免れるように保たれるからである。
【0055】
本発明の一実施形態において、視野計表面は、少なくとも2つの位置、すなわち、使用位置と搬送位置との間で折曲可能に構成される。使用位置において視野計表面は開いて配置され、視野計表面の第1の面は患者によって見られ得る。搬送位置において視野計表面は折曲されるので、視野計表面の第1の面の少なくとも一部は、患者から見ることができず、より保護されている。また、搬送位置において視野計表面はより少ない空間を取り、これは使用と使用の間の装置の搬送または保管を容易にする。ディスプレイユニットが持ち運び可能な装置である場合、その搬送位置は、その取り付け点に取り付けられるとディスプレイが視野計表面の第1または第2の面に対して回動されるような位置であり得る。
【0056】
本発明の一実施形態において、ディスプレイユニットは、ディスプレイが視野計表面の第1の面に対して配置され患者からは見ることのできない搬送位置へと回動可能に構成される。これはディスプレイを保護し、使用と使用の間の装置の搬送または保管を容易にする。
【0057】
本発明のさらなる実施形態において、医療装置は、容易な携帯性のために、例えば視野計表面の上部にハンドルを有する。一実施形態において、装置が例えば机上の適切な位置に維持されることを可能にするために、支持脚が装置上で回動可能に配置される。回動可能な支持脚は、視野計表面および/またはディスプレイユニットを適切な位置、例えば患者に垂直な位置へと配置することを補助し得る。また支持脚は、把持ハンドルとして、また装置を例えば壁にかけるために用いられるように構成されてもよい。
【0058】
本発明の一実施形態において、医療装置は、装置の周りの照明状態を検知し、第1および/または第2の検査装置ならびに第2の検査を監視および/または調整するように構成される周囲光センサを備える。周囲光センサは、それ自体は周知である。周囲光センサはヒトの眼と同様の方法で光または明るさを検知するために用いられる。周囲光センサは、システムの設定が、ヒトによって知覚される周囲光の条件に調整されなくてはならないときは常に用いられる。周囲光センサは、視野計、ディスプレイユニットまたは装置のどこかに一体化され得る。
【0059】
本発明の一実施形態において、周囲光センサは、装置によってヒトに対して示される検査刺激の視界を妨害する、試験室内の、例えば窓などの明るすぎる領域や、暗すぎる領域を検知するために、装置の後ろの光を監視するために用いられる。
【0060】
本発明の一実施形態において、周囲光センサは、視野計表面の第1の表面を照射する部屋の周囲照明を監視するために用いられ、これは、装置の表面の他の部分における照明が均一かつ適切なものであるかどうかを検知するためである。
【0061】
本発明の一実施形態において、周囲光センサは、視野計表面の照明に基づき検査中の視野計の刺激および固視像の強度、すなわち輝度を調整するために用いられるので、輝度コントラストは所望のレベルに設定され得る。輝度コントラストCW=(Ls−Lb)/Lbであり、式中、Lsは刺激の輝度、Lbは背景、すなわち視野計表面の輝度である。
【0062】
本発明の一実施形態において、周囲光センサは、視野計表面の照明による検査中の、ディスプレイユニットのディスプレイの明るさ、すなわち輝度およびコントラストを調整するために用いられる。
【0063】
本発明の一実施形態において、周囲光センサは、視野計表面の照明によるグレア光の強度を調整するために用いられる。
【0064】
本発明の一実施形態において、医療装置は、患者の位置を検出し、第1および/または第2の検査装置の性能を監視および/または調整するように構成される近接センサを備える。近接センサは、視野計、ディスプレイユニットまたは装置のどこかに一体化され得る。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態において、視力測定、コントラスト感度検査またはグレア検査を実施するときにディスプレイユニット上で患者に示される視力表のサイズは、近接センサにより測定される患者の距離に応じて自動的に変更される。通常、患者が装置から遠いほど、患者に示される視力表のサイズは大きい。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態において、周囲光センサおよび近接センサは、検査中の測定条件を確認するために用いられる。例えば、患者が無効な位置に移動すると、装置は、患者の位置を直すために、患者または検査オペレータ/監督者に警告またはガイダンスを与え得る。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態において、視野計の測定グリッド、すなわち、視野計表面に例えば光マトリクスにより生成される視野の検査点は、患者の頭の位置、すなわち、視野計表面からの距離に応じて自動的に調整される。
【0068】
本発明の一実施形態において、医療装置は、グレア感度の検査中または他のグレア検査中に患者に向けて照射される1つまたは複数のグレア光またはグレア感度検査光を備える。グレア光は、視野計、ディスプレイユニットまたは装置のどこかに一体化され得る。本発明の一実施形態において、グレア光のスペクトルは、ハロゲンヘッドランプまたはキセノンヘッドランプなどの異なる光源に対して、例えば異なる検査感度に変更されるように構成される。グレア光のスペクトルは、例えば異なる色のLEDなどのランプを用いて例えばグレア光を生成し、その効果を変更することによって変更され得る。
【0069】
本発明の一実施形態において、第1の検査装置は、LED(発光ダイオード)マトリクスまたはOLED(有機発光ダイオード)マトリクスまたはLCD(液晶ディスプレイ)マトリクスなどの、少なくとも1つの光マトリクスを備える。単一または複数の光マトリクスは、視野計の刺激および/または固視像を、視野計表面の第1の面に、すなわち患者から見られるように表示することができるように配置される。視野計の刺激および/または固視像は、検査中に患者によって互いに対して区別され得る図または形状である。視野計表面上の光は、それ自体は公知であるが、光マトリクス(例えばLEDを用いて実施される)はより多くの光出力をもたらすことができ、それゆえダイナミックレンジは市販の大きなディスプレイパネルよりも高くなるので、新たな種類の効果的な検査を可能にする。分離したディスプレイマトリクスユニットで構成される視野計表面の湾曲形状は、視野の測定を固視点から90度を超えて拡張する可能性を提供し、これは1つまたは2つの平らなディスプレイパネルのみを用いる視野計では不可能である。
【0070】
本発明の一実施形態において、視野計表面の第1の面は、例えば適切なプラスチック材料で作製される半透明な層により被覆される。この層は、光マトリクスが点灯されていないときには患者から光マトリクスを隠すように構成される。しかし光マトリクスの光が点灯されると、この層は、視野計の刺激および/または固視像の位置を患者に示すために光を通すように構成される。視野計の半透明な表面が、光沢がなくマットである場合、測定結果を妨害するディスプレイ上への反射のおそれなしに、視野計の検査が通常の部屋の照明の下で実行され得るので、LCDまたはOLEDディスプレイよりも有利である。
【0071】
本発明の一実施形態において、視野計表面は、光開口または追加のLED、あるいはその第2の面に向く他の光源などの光源を有する。これらの光または開口は、光マトリクスの光、例えばLEDが視野計表面の第1の面に置かれる位置に置かれる。このようにして視野計表面の第2の面から検査を監督する医者または他のヒトは、患者が見ている場所と、点灯される光の位置、すなわち、固視像または視覚刺激との両方を同時に見ることができる。
【0072】
本発明の一実施形態において、医療装置、例えば視野計表面は、2つまたは3つ以上のスピーカーを組み込む。スピーカーは、例えば視覚の感覚統合および視覚の眼球運動機能を検査するために用いることができ、聴覚系は、視野計表面のとても小さな固視像を見つけるために注視を導く、装置のスピーカーからの音声定位刺激を用いて評価され得る。またスピーカーは、空間聴覚および感覚統合(すなわち、空間聴覚および空間視覚)を評価するときにも用いられ得る。スピーカーは、中心視覚によってのみ検知可能な固視像を位置決めするために、視野計における被検者のサッケードの聴導を可能にする。スピーカーは、例えば、半透明の層の後ろに隠れて、視野計表面の第1の面に置かれ得る。
【0073】
本発明の一実施形態において、医療装置は、検査中の患者の眼球運動を記録するカメラまたはアイトラッカー用の、少なくとも1つの取り付け点を備える。取り付け点は、例えば、視野計表面の縁に置かれ得る。
【0074】
ディスプレイユニットのディスプレイは、例えば、記憶誘導性サッケード、抗サッケードまたはトレイルメーカー(Trailmaker)検査などの、多くの種類の神経心理学検査に用いられ得る。視野計表面も、記憶誘導性サッケードおよび抗サッケードに用いられ得る。
【0075】
複数固視点の視野計は、ファーストパルス視野計(First Pulse Perimeter)(FPP)としても実施され得るので、患者に対して複数の閾値を超える刺激が点滅され、その中の1つは、早く、例えば20ms〜500ms早く示され、視覚探索タスクは、どの刺激が早く示されたかを認識することである(これにより正しい視覚的キューが見つけられる)。この種の視野計は、例えば緑内障に潜在的に有用な、視覚系の大型細胞の経路を測定する。
【0076】
装置の別の実施形態および可能性のある使用は、例えば、ヒトの視力、コントラスト感度またはグレアに対する感度を検査するときに用いられ得る、いわゆる臨界記号サイズの検査である。この種の検査の先行技術においてヒトは、グレア光の存在下または非存在下でディスプレイ上に見える、異なるサイズまたはコントラストの記号を識別しなければならない。本発明においては、識別されるべき記号がディスプレイパネル上に現れてから開始する、装置上の正しいボタンを押すか、または記号の正しい指示を示す遠隔制御装置を押すまでの反応時間も記録される。反応時間の延長を引き起こさない最小の記号サイズは、識別されるべき記号のサイズを減少させ続ける場合には、「臨界記号サイズ」と呼ばれる。臨界記号サイズは、運転、読書、およびビデオディスプレイターミナル作業などの特定の日常活動に関する個人の能力の重要な指標である。ヒトが延長時間を用いる場合(すなわち、記号の識別のための応答時間が臨界記号サイズの時点よりも長い場合)、ヒトは臨界記号サイズよりも小さい記号さえも識別でき、延長時間を用いて識別され得る、最小記号サイズは、「閾値サイズ」と呼ばれ、これは視力またはコントラスト感度を計算するために用いられる。臨界記号サイズおよび閾値サイズに対する記号サイズの差は、視覚系の様々な条件により変化する。たとえ視力またはコントラスト感度の閾値が通常範囲内であっても、臨界記号サイズの拡大は、眼の疾患(例えば、眼の表面の疾患、すなわち、ドライアイ、軽い白内障または白内障の手術後の後嚢混濁、眼底部の黄斑部の網膜上膜)の指標となり得る。
【0077】
いくつかの実施形態の利点の1つは、どのように歩行用の使用、すなわち、装置の携帯性が可能にされるかであって、例えば、装置は、一体構造からなり、例えば視野計パネル、ディスプレイユニット、支持脚などの装置の部品は、必要な空間を減少し、装置を保護するために、折曲可能にされ得る。装置はバッテリで作動でき、容易に軽量化され(例えば、5kg未満)、支持脚は、装置の保管または容易な持ち運びのために、壁にかけるためのハンドルを形成し得る。
【0078】
いくつかの実施形態の利点の1つは、検査環境の自動の監視が、装置を用いてもたらされる測定結果に影響を及ぼす全ての重要な要因を制御することを可能にすることであって、例えば、結果の精度は以前よりもよくなり、検査工程の自動動作が可能となり、装置は、検査状況が信頼性のある操作の限度から外れる場合には検査の監督者またはオペレータに通知し、これを正すための動作を示唆でき、検査の監督者またはオペレータは、装置が一貫性のない環境により引き起こされるエラーの考えられる原因に対処することから、視覚検査の専門家である必要はない。
【0079】
いくつかの実施形態の利点の1つは、異なる検査および装置を一緒に組み合わせると、予期しえなかった相乗効果をもたらすことであり、例えば、同一の近接センサおよび周囲光センサは、視野計表面を用い、例えばディスプレイユニット上に第2の検査装置を備える検査に用いられ得る。換言すれば、ディスプレイユニットは視野計表面の第1の面に回動され得るので、視野計検査用の近接センサおよび周囲光測定器は、視力、コントラスト感度およびグレアの検査に用いられ得る。
【0080】
いくつかの実施形態の1つの利点は、視野の検査、コントラスト感度の検査およびグレアの検査は自動化され得るということである。換言すれば、被検者は、遠隔制御装置を用いて、または装置自体のボタンやタッチスクリーンを押すことによって視覚的な質問(すなわち、視力表)に応答する。多くの既存の製品は視覚的な質問を示すのみであり、検査のオペレータ/監督者が患者の返答を手動で記録し、返答が正しいか誤っているかを判断し、アルゴリズム内の次の視力表へと進み、最終的に結果を書き留めなければならない。
【0081】
本明細書に記す検査についてのより多くの例および詳細は、本出願人の特許出願PCT/FI2013/050266号明細書に見られ得る。この出願PCT/FI2013/050266号明細書、特にその本文および実施例は、これより参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
本発明は、添付の概略的な図面を参照して以下により詳細に記載される。
【0083】
図1】第1の状態において視野計表面の第1の面から見た、本発明による医療装置を示す図である。
図2】視野計表面の第2の面から見た、図1の医療装置を示す図である。
図3】第2の状態において視野計表面の第1の面から見た、本発明による医療装置を示す図である。
図4】視野計表面の第2の面から見た、図3の医療装置を示す図である。
図5】第3の状態において視野計表面の第1の面から見た、本発明による医療装置を示す図である。
図6】視野計表面の第2の面から見た、図5の医療装置を示す図である。
図7】a〜cは、使用中の本発明による装置および方法を示す図である。
図8】a〜cは、使用中の本発明による装置および方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
明確性のために、異なる実施形態の対応する部品には同一の参照符号が用いられる。
【0085】
図1〜6は、本発明による、患者を検査するためのスタンドアロン型の医療装置1を示す。装置1は、第1の検査装置、すなわち、視野計表面2を備える。視野計表面は、検査中に患者によって見られる第1の面3と、検査中に患者によって見られない第2の面4とを有する。ディスプレイユニット5は、視野計表面の下に、ヒンジ6により回動可能に配置される。ディスプレイユニットはタッチスクリーンディスプレイ7を備え、これはユーザーインターフェース装置としても、いわゆる第2の検査の検査中に患者が見るディスプレイとしても機能する。医療装置の使用を制御するコンピュータは、ディスプレイユニット5または視野計表面2の内部に一体化される。ディスプレイ7上に少なくとも部分的に示されている第2の検査は、例えば、視力測定、コントラスト感度検査またはグレア検査を含み得る。
【0086】
ディスプレイユニット5は、少なくとも2つの位置、すなわち、第1の位置(図3参照)と第2の位置(図1参照)との間で回動可能に配置される。搬送および保管のために、ディスプレイユニット5が搬送位置(図5参照)までさらに回動されることも可能であるが、これは例えば第1の位置と同じ位置であってもよい。第1の位置においてディスプレイ7は、視野計表面の第1の面3から、すなわち検査される患者から見られ得る。第2の位置においてディスプレイ7は、視野計表面の第2の面4から、例えば検査の監督者によって見られ得る。ディスプレイユニット5は、例えば、第1の検査装置、すなわち視野計表面2を用いた検査を実施するときには、第2の位置に維持され得る。このようにして検査の監督者は、ディスプレイユニット5のユーザーインターフェースにより検査を監督および制御し得る。
【0087】
視野計表面2は、少なくとも2つの位置、すなわち、使用位置(図1参照)と搬送位置(図5参照)との間で、ヒンジ8を中心に折曲可能に構成される。使用位置において視野計表面2は開いて配置され、視野計表面2の第1の面3は患者によって見られ得る。搬送位置において視野計表面3は折曲されるので、視野計表面の第1の面3の側部9は、患者からは見えない。
【0088】
ハンドル10は、視野計表面2の第2の面4の上端の近くに位置付けられる。回動可能な支持脚11は、装置が、例えば机上の適切な位置に維持されることを可能にする。支持脚11は、少なくとも2つの位置、すなわち、使用位置(図1参照)と搬送位置(図5参照)との間で回動され得る。バッテリは、固定脚12内に、蓋13の後ろに位置付けられる。回動可能な支持脚11の動きは、締付ネジ14により制御され得る。周囲光センサ15は、装置1の周囲の照明状態を検知し、第1および/または第2の検査装置2、3の性能を監視および/または調整するために装置内に配置される。近接センサ16は、患者の位置を検知するために装置内に配置される。グレアの検査中に患者に向けて発せられるグレア光17は、ディスプレイユニット5の近くに位置付けられる。ボタン18は、例えば視覚的刺激が見えたことを示すために、いくつかの検査において患者に用いられ得る。
【0089】
第1の検査装置は、少なくとも視野計表面の第1の面に対して視野計の刺激および/または固視像を表示することが可能な、LEDマトリクスまたはOLEDマトリクスまたはLCDマトリクスなどの少なくとも1つの光マトリクス19を備える。図1に示すマトリクス光の位置19は例示的なものであり、光マトリクスの光の位置は様々な方法で選択され得る。視野計表面2の第1の面3は、光マトリクスが点灯されていないときには患者から光マトリクス19を隠す半透明の層20により被覆される。しかし光マトリクスの光が点灯されると、光は半透明の層20を通して見られる。
【0090】
視野計表面2は、その第2の面4に向くいくつかの小さな光開口21を備えている。開口21は、光マトリクス19の光、例えばLEDが視野計表面2の第1の面3に位置付けられる場所に位置付けられる。このようにして視野計表面2の第2の面4から検査を監督するヒトは、固視像または刺激が点灯される場所が分かる。
【0091】
電力のオン/オフスイッチ22およびI/Oソケット23は、視野計表面2の第2の面4に位置付けられる。
【0092】
図7aにおいて患者または被検者100は、丸みを帯びた長方形の、第1の視覚的外観101aを有する固視点101を見ている。固視点101は、ディスプレイスクリーンまたは視野計表面などの、表面102上に表示される。応答装置103、例えば、遠隔制御部または携帯電話またはタブレットコンピュータは、刺激を見たときに被検者によって押されるボタン104を有する。被検者は、刺激が示される前に固視点が外観を変更するかどうかがわかるまで待機する。
【0093】
図7bにおいて被検者100は、固視点101を見ており、固視点101が第2の視覚的外観101bである三角形に変わったことに気付く。そのすぐ後に、刺激105であるフラッシュ光が表面102上に示される。
【0094】
図7cにおいて被検者100は、ボタン104を押すことにより応答する。固視点101は、その最初の視覚的外観101aである丸みを帯びた長方形へと戻っている。ここで被検者100は、新たな検査ラウンド、すなわち、固視点101が外観を変え、刺激フラッシュ光などが示されるまで待機している。
【0095】
図8a〜8cは、固視点が「刺激を見ても応答しない」外観に変更し得る一実施形態を示す。図8aにおいて患者または被検者100は、第1の視覚的外観101aを有する固視点101を見ている。固視点101は、ディスプレイスクリーンまたは視野計表面などの、表面102上に表示される。応答装置103、例えば、遠隔制御部または携帯電話またはタブレットコンピュータは、刺激を見たときに被検者によって押されるボタン104を有する。被検者は、刺激が示される前に固視点が外観を変更するかどうかがわかるまで待機する。被検者は、固視点が三角形101bに変わったときにのみボタン104を押すべきであるということを知っている。固視点がバツ印101cに変わる場合、刺激が示されていてもボタンは押されない。
【0096】
図8bにおいて被検者100は、固視点101を見ており、固視点101が第3の視覚的外観101cであるバツ印に変わったことに気付く。これは、「刺激を見ても応答しない」外観である。ゆえに、刺激105が表面102上に示されても、被検者はボタン104を押すべきではない。
【0097】
図8cにおいて被検者100は、ボタン104を押さない。固視点101は、その最初の視覚的外観101aである丸みを帯びた長方形へと戻っている。ここで被検者100は、新たな検査ラウンド、すなわち、固視点101が外観を変え、刺激フラッシュ光などが示されるまで待機している。
【0098】
図面はいくつかの好ましい実施形態のみを示している。本発明に必要となる可能性のある電力供給源や支持構造など、本発明の主要な考えに対して二次的に重要な事実、それ自体が公知であったり当業者に明らかであったりする事実は、図面において個別に示される必要はない。本発明は上述の実施例だけに限定されるのではなく、以下に示す請求の範囲内において変更し得ることは当業者にとっては明らかである。従属請求項は、本発明の可能性のある実施形態のいくつかを示し、これらは本発明の保護の範囲自体を制限するものとは考えられるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c