(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408013
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】連続生地の秤量切断システム
(51)【国際特許分類】
A21C 5/00 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
A21C5/00
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-543882(P2016-543882)
(86)(22)【出願日】2015年7月27日
(86)【国際出願番号】JP2015071209
(87)【国際公開番号】WO2016027622
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2017年3月14日
(31)【優先権主張番号】特願2014-168570(P2014-168570)
(32)【優先日】2014年8月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115924
【氏名又は名称】レオン自動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】樋口 勝道
(72)【発明者】
【氏名】高間 章典
(72)【発明者】
【氏名】上野 博司
【審査官】
礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−185288(JP,A)
【文献】
特公昭63−051931(JP,B2)
【文献】
特開2000−342161(JP,A)
【文献】
特開2004−000301(JP,A)
【文献】
特開平06−189663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/00 − 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続生地を所定の目標切断重量の生地片に切断する秤量切断システムであって、
連続生地を前進させる入口コンベヤと、
前記入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量コンベヤと、
前記入口コンベヤの下流端部に、又は、前記入口コンベヤと前記秤量コンベヤの間に配置された切断装置と、
前記入口コンベヤ、前記秤量コンベヤ、及び前記切断装置に接続されたコントローラと、を有し、
前記コントローラは、前記秤量コンベヤで感知した重量が前記目標切断重量に対応する設定切断重量であるときに、前記切断装置に信号を送信して前記切断装置を作動させ、
前記入口コンベヤは、第1の入口コンベヤと、前記第1の入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量部と、前記秤量部に隣接してその下流側に配置された第2の入口コンベヤと、を有し、
前記コントローラは、前記秤量部を用いて、連続生地における所定の単位長さの重量を連続的に決定し、前記単位長さの重量に基づいて、前記入口コンベヤの前進速度を、単位時間当たり所定の切断回数にするように決定し、
前記前進速度は、切断と次の切断の間、一定であることを特徴とする、秤量切断システム。
【請求項2】
連続生地を所定の目標切断重量の生地片に切断する秤量切断システムであって、
連続生地を前進させる入口コンベヤと、
前記入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量コンベヤと、
前記入口コンベヤの下流端部に、又は、前記入口コンベヤと前記秤量コンベヤの間に配置された切断装置と、
前記入口コンベヤ、前記秤量コンベヤ、及び前記切断装置に接続されたコントローラと、を有し、
前記コントローラは、前記秤量コンベヤで感知した重量が前記目標切断重量に対応する設定切断重量であるときに、前記切断装置に信号を送信して前記切断装置を作動させ、
前記入口コンベヤは、第1の入口コンベヤと、前記第1の入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量部と、前記秤量部に隣接してその下流側に配置された第2の入口コンベヤと、を有し、
前記コントローラは、前記秤量部を用いて、連続生地における所定の単位長さの重量を連続的に決定し、前記単位長さの重量に基づいて、前記入口コンベヤの前進速度を、単位時間当たり所定の切断回数にするように決定し、
前記前進速度は、切断と次の切断の間、比較的速い速度から比較的遅い速度に変化することを特徴とする、秤量切断システム。
【請求項3】
連続生地を所定の目標切断重量の生地片に切断する秤量切断システムであって、
連続生地を前進させる入口コンベヤと、
前記入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量コンベヤと、
前記入口コンベヤの下流端部に、又は、前記入口コンベヤと前記秤量コンベヤの間に配置された切断装置と、
前記入口コンベヤ、前記秤量コンベヤ、及び前記切断装置に接続されたコントローラと、を有し、
前記コントローラは、前記秤量コンベヤで感知した重量が前記目標切断重量に対応する設定切断重量であるときに、前記切断装置に信号を送信して前記切断装置を作動させ、
前記入口コンベヤは、第1の入口コンベヤと、前記第1の入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量部と、前記秤量部に隣接してその下流側に配置された第2の入口コンベヤと、を有し、
前記コントローラは、前記秤量部を用いて、連続生地における所定の単位長さの重量を連続的に決定し、前記単位長さの重量に基づいて、前記入口コンベヤの前進速度を、単位時間当たり所定の切断回数にするように決定し、
前記前進速度は、切断と次の切断の間、比較的速い速度からゼロに変化することを特徴とする、秤量切断システム。
【請求項4】
連続生地を所定の目標切断重量の生地片に切断する秤量切断システムであって、
連続生地を前進させる入口コンベヤと、
前記入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量コンベヤと、
前記入口コンベヤの下流端部に、又は、前記入口コンベヤと前記秤量コンベヤの間に配置された切断装置と、
前記入口コンベヤ、前記秤量コンベヤ、及び前記切断装置に接続されたコントローラと、を有し、
前記コントローラは、前記秤量コンベヤで感知した重量が前記目標切断重量に対応する設定切断重量であるときに、前記切断装置に信号を送信して前記切断装置を作動させ、
前記入口コンベヤは、第1の入口コンベヤと、前記第1の入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量部と、前記秤量部に隣接してその下流側に配置された第2の入口コンベヤと、を有し、
前記コントローラは、前記秤量部を用いて、連続生地における所定の単位長さの重量を連続的に決定し、前記単位長さの重量に基づいて、前記入口コンベヤの前進速度を、単位時間当たり所定の切断回数にするように決定し、
連続生地における単位長さの重量は、前記秤量部で感知した連続生地の重量を前記秤量部の設定長さで割り算することによって計算されることを特徴とする、秤量切断システム。
【請求項5】
連続生地を所定の目標切断重量の生地片に切断する秤量切断システムであって、
連続生地を前進させる入口コンベヤと、
前記入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量コンベヤと、
前記入口コンベヤの下流端部に、又は、前記入口コンベヤと前記秤量コンベヤの間に配置された切断装置と、
前記入口コンベヤ、前記秤量コンベヤ、及び前記切断装置に接続されたコントローラと、を有し、
前記コントローラは、前記秤量コンベヤで感知した重量が前記目標切断重量に対応する設定切断重量であるときに、前記切断装置に信号を送信して前記切断装置を作動させ、
前記入口コンベヤは、第1の入口コンベヤと、前記第1の入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量部と、前記秤量部に隣接してその下流側に配置された第2の入口コンベヤと、を有し、
前記コントローラは、前記秤量部を用いて、連続生地における所定の単位長さの重量を連続的に決定し、前記単位長さの重量に基づいて、前記入口コンベヤの前進速度を、単位時間当たり所定の切断回数にするように決定し、
前記入口コンベヤの前進速度を決定することは、前記切断装置を作動させた後、連続的に決定された前記単位長さの重量を用いて、次に切断すべき前記目標切断重量の生地片の予想長さを計算し、前記予想長さの連続生地を前進させる速度を、前記単位時間当たり所定の切断回数になるように計算することによって行われることを特徴とする、秤量切断システム。
【請求項6】
前記コントローラは、実際の切断回数に基づいて、前記秤量部の前記設定長さを補正することを特徴とする請求項4に記載の秤量切断システム。
【請求項7】
前記前進速度は、切断と次の切断の間、変化することを特徴とする、請求項4〜6の何れか1項に記載の秤量切断システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記入口コンベヤに結合されたエンコーダを用いて、前記単位長さを決定することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の秤量切断システム。
【請求項9】
更に、前記秤量コンベヤの下流側に配置され且つ前記コントローラに接続された第2の秤量コンベヤを有し、
前記コントローラは、前記秤量コンベヤから排出された生地片の実際の切断重量を前記第2の秤量コンベヤによって測定し、実際の切断重量に基づいて、前記設定切断重量を補正することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の秤量切断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤによって搬送されるパン等の連続生地を秤量して目標切断重量で切断するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続生地を前進させる入口コンベヤと、入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量コンベヤと、入口コンベヤと秤量コンベヤの間の上方に配置された切断装置を有する秤量切断システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる秤量切断システムでは、秤量コンベヤ上の生地の重量が目標切断重量(実際には、目標切断重量よりも小さい設定切断重量)に達すると、切断装置に信号を送信して、切断装置を作動させる。それにより、目標切断重量の生地片が連続生地から切断される。
【0003】
目標切断重量と設定切断重量の差は、秤量コンベヤで感知していない生地の重量であり、その中には、入口コンベヤと秤量コンベヤの境界から切断装置までの生地の重量、及び、作動信号を送信した瞬間から実際に生地を切断するまでの遅れ時間の間に切断装置を越えて前進した生地の重量を含む。遅れ時間は、コントローラの計算時間、システムの応答時間等によって生じ、システムが定まれば実質的に一定になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−000135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
供給される連続生地は、比較的重い部分と、比較的軽い部分を含んでいる。具体的には、バッチ式に混捏されたパン生地を連続生地にして搬送する場合、パン生地が発酵することにより、後の方で搬送される生地の比重は、前の方で搬送された生地の比重よりも小さくなる。このため、上記遅れ時間の間に前進して切断装置を越える生地の重量がだんだん小さくなり、実際の切断重量が軽くなる傾向があり、その結果、全体的に切断重量のばらつきが生じることがある。
【0006】
また、切断後の生地片の重量を測定して、測定した重量に基づいてフィードバックさせる場合、フィードバックにより、上記遅れ時間の間に進行する生地の比重の緩やかな変化に対応することが可能である。しかしながら、かかる生地の比重が、フィードバックで対応できない程度に比較的急激に変化した場合、実際の切断重量にばらつきが生じることがある。
【0007】
そこで、本発明は、連続生地の重量の変動に対応して、切断される生地片の重量のばらつきを抑制する(秤量精度を向上させる)秤量切断システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、連続生地を所定の目標切断重量の生地片に切断する本発明による秤量切断システムは、連続生地を前進させる入口コンベヤと、入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量コンベヤと、入口コンベヤの下流端部に、又は、入口コンベヤと秤量コンベヤの間に配置された切断装置と、入口コンベヤ、秤量コンベヤ、及び切断装置に接続されたコントローラと、を有し、コントローラは、秤量コンベヤで感知した重量が目標切断重量に対応する設定切断重量であるときに、切断装置に信号を送信して切断装置を作動させ、入口コンベヤは、第1の入口コンベヤと、第1の入口コンベヤに隣接してその下流側に配置された秤量部と、秤量部に隣接してその下流側に配置された第2の入口コンベヤと、を有し、コントローラは、秤量部を用いて、連続生地における所定の単位長さの重量を連続的に決定し、単位長さの重量に基づいて、入口コンベヤの前進速度を、単位時間当たり所定の切断回数にするように決定することを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明による秤量切断システムによれば、入口コンベヤの秤量部を用いて、連続生地における単位長さの重量を連続的に決定することにより、連続生地の重量分布を把握する。次いで、単位長さの重量に基づいて、単位時間当たり所定の切断回数になるように、入口コンベヤの前進速度を決定し変化させる。かかる前進速度により、上記遅れ時間の間に切断装置を越える連続生地の重量が均一化され、結果として、切断される生地片の重量のばらつきを抑制することができる。
【0010】
本発明の実施形態において、前進速度は、切断と次の切断の間、一定であってもよいし、変化してもよい。前進速度が変化する場合、前進速度は、切断と次の切断の間、比較的速い速度から比較的遅い速度に変化してもよいし、比較的速い速度からゼロに変化してもよい。
【0011】
前進速度が変化する場合、切断装置6を作動させるときに生じる遅れ時間の間に切断装置6を越える連続生地Dの重量が均一化されると共に相対的に少なくすることができるので、結果として、切断される生地片の重量のばらつきを更に抑制することができる。
【0012】
本発明の実施形態において、好ましくは、コントローラは、入口コンベヤに結合されたエンコーダを用いて、単位長さを決定する。
【0013】
本発明の実施形態において、好ましくは、連続生地における単位長さの重量は、秤量部で感知した連続生地の重量を秤量部の設定長さで割り算することによって計算される。
【0014】
本発明の実施形態において、好ましくは、入口コンベヤの前進速度を決定することは、切断装置を作動させた後、連続的に決定された単位長さの重量を用いて、次に切断すべき目標切断重量の生地片の予想長さを計算し、予想長さの連続生地を前進させる速度を、単位時間当たり所定の切断回数になるように計算することによって行われる。
【0015】
本発明の実施形態において、好ましくは、コントローラは、実際の切断回数に基づいて、秤量部の設定長さを補正する。
【0016】
本発明の実施形態において、好ましくは、更に、秤量コンベヤの下流側に配置され且つコントローラに接続された第2の秤量コンベヤを有し、コントローラは、秤量コンベヤから排出された生地片の実際の切断重量を第2の秤量コンベヤによって測定し、実際の切断重量に基づいて、設定切断重量を補正する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の秤量切断システムによれば、連続生地の重量の変動に対応して、切断される生地片の重量のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による秤量切断システムの概略図である。
【
図2】単位長さの重量を決定する仕方を説明する図である。
【
図3】単位長さの重量を決定する仕方を説明する図である。
【
図4】予想長さを決定する仕方を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明による秤量切断システムの実施形態を説明する。
【0020】
連続生地Dを所定の目標切断重量の生地片に切断する本発明による秤量切断システム1は、連続生地Dを前進させる入口コンベヤ2と、入口コンベヤ2に隣接してその下流側に配置された第1の秤量コンベヤ4と、入口コンベヤ2の下流端部2aに配置された切断装置6を有している。好ましくは、秤量切断システム1は、第1の秤量コンベヤ4の下流側に配置された第2の秤量コンベヤ8、及び出口コンベヤ9を有している。
【0021】
入口コンベヤ2は、第1の入口コンベヤ10と、第1の入口コンベヤ10に隣接してその下流側に配置された秤量部12と、秤量部12に隣接してその下流側に配置された第2の入口コンベヤ14を有している。
【0022】
第1の入口コンベヤ10及び第2の入口コンベヤ14は、生地供給機(図示せず)から供給された連続生地Dを前進させるベルトコンベヤであり、それらの前進速度V1が同じであるように構成されている。本実施形態では、第1の入口コンベヤ14の駆動装置10aと第2の入口コンベヤの駆動装置14aは、別々に構成されているが、共通であってもよい。また、第1の入口コンベヤ10は、連続生地Dの搬送距離に対応するパルスを発生させるエンコーダ10bを有している。第2の入口コンベヤ14の長さは、例えば、10cmである。
【0023】
秤量部12は、本実施形態では、3つのフリーローラ12aと、フリーローラ12aを支持するロードセル12bを有している。フリーローラ12aは、第1の入口コンベヤ10及び第2の入口コンベヤ14によって前進させられた連続生地Dがフリーローラ12aの上を移動できるように自由に回転可能である。フリーローラ12aの個数及び径は任意であり、フリーローラ12aの径は、例えば、3cmである。
【0024】
第1の秤量コンベヤ4は、連続生地Dの重量を測定するベルトコンベヤであり、駆動モータ4aを含むベルトコンベヤ部分4bと、ベルトコンベヤ部分4bを支持するロードセル4cを有している。第1の秤量コンベヤ4の速度は、第1の入口コンベヤ10及び第2の入口コンベヤ14の速度と同じである前進速度V1と、それよりも速い搬出速度V2との間の切換えが可能であるように構成されている。第1の秤量コンベヤ4の長さは、例えば、12cmである。
【0025】
第2の秤量コンベヤ8は、切断生地の重量又は第1の秤量コンベヤ4と協働して連続生地Dの重量を測定するベルトコンベヤであり、駆動モータ8aを含むベルトコンベヤ部分8bと、ベルトコンベヤ部分8bを支持するロードセル8cを有している。第2の秤量コンベヤ8の速度は、第1の入口コンベヤ10及び第2の入口コンベヤ14の速度と同じである前進速度V1と、それよりも速い搬出速度V2との間の切換えが可能であるように構成されている。第2の秤量コンベヤ8の長さは、第1の秤量コンベヤ4の長さよりも長いことが好ましく、例えば、30cmである。
【0026】
第1の入口コンベヤ10のうちの下流側部分、秤量部12、及び第2の入口コンベヤ14、第1の秤量コンベヤ4、及び第2の秤量コンベヤ8はそれぞれ、平らなで水平な搬送面を定めるように構成されている。これらの搬送面の高さは、略同じである。しかしながら、生地がフリーローラ12aの上に載ることを確保するために、フリーローラ12aの搬送面の高さが、第1の入口コンベヤ10の下流側部分の搬送面及び第2の入口コンベヤ14の搬送面の高さよりも少し高いことが好ましく、例えば、2〜6mm高いことが好ましい。また、第1の秤量コンベヤ4及び第2の秤量コンベヤ8の上流端のローラは、コンベヤ間の隙間を小さくするために、小径であることが好ましい。これらの構成により、秤量精度を向上させることが可能である。
【0027】
切断装置6は、本実施形態では、第2の入口コンベヤ14の下流端部2aに配置され、連続生地Dを切断するように構成されている。具体的には、切断装置6は、生地流れ方向Aに対して垂直に配置されたカッタブレード6aと、カッタブレード6aを鉛直方向に駆動する駆動装置6bを有している。図示の実施形態では、駆動装置6bは、エア作動式のエアシリンダ6bと、エアシリンダに接続された電磁弁(図示せず)を有している。駆動装置6bは、電気モータ作動式であってもよい。
【0028】
秤量切断システム1は、更に、コントローラ16と、操作パネル等の入力装置18を有している。コントローラ16は、入口コンベヤ2(第1の入口コンベヤ10、秤量部12、及び第2の入口コンベヤ14)、第1の秤量コンベヤ4、切断装置6、第2の秤量コンベヤ8、及び入力装置18に接続されている(図示省略)。コントローラ16は、また、所定の単位長さLUを決定する。本実施形態では、コントローラ16は、入口コンベヤ2に結合されたエンコーダ10bを用いて、単位長さLUを決定する。単位長さLUは、任意であるが、例えば、エンコーダ10bの1パルスに相当する入口コンベヤ2の移動距離である。
【0029】
次に、秤量切断システム1の作動を説明する。
【0030】
目標切断重量WT及び目標生産速度RTを、入力装置18を介して設定しておく。本実施形態では、目標生産速度RTは、単位時間当たり(例えば、1分間当たり)の目標切断回数NTである。その結果、単位時間当たりの目標生産量PTは、WT×NTで計算される。
【0031】
入口コンベヤ2及び第1の秤量コンベヤ4を同じ前進速度V1で作動させ、連続生地Dを、入口コンベヤ2から第1の秤量コンベヤ4に前進させる。第1の秤量コンベヤ4で感知した重量W1が目標切断重量WTに対応する設定切断重量WSであるとき(例えば、設定切断重量WSに達したとき)に、切断装置6に信号を送信して切断装置6を作動させる。目標切断重量WTと設定切断重量WSの差は、第1の秤量コンベヤ4で感知していない生地の重量であり、その中には、入口コンベヤ2と第1の秤量コンベヤ4の境界から切断装置6までの連続生地Dの重量、及び、作動信号を送信した瞬間から実際に生地を切断するまでの時間の間に切断装置6を越えて前進した連続生地Dの重量を含む。設定切断重量WSは、経験的に定められ、後述するように、第2の秤量コンベヤ8によって測定された実際の切断重量WAを用いてフィードバック制御されるのがよい。
【0032】
連続生地Dを切断した後、第1の秤量コンベヤ4及び第2の秤量コンベヤ8の速度を、前進速度V1よりも速い搬出速度V2で作動させ、切断された生地片を第1の秤量コンベヤ4から搬出し、連続生地Dの次の切断に備える。
【0033】
好ましくは、コントローラ16は、切断された生地片が第2の秤量コンベヤ8に移動したら、第1の秤量コンベヤ4及び第2の秤量コンベヤ8の速度を前進速度V1に戻し、第1の秤量コンベヤ4から排出された生地片の実際の切断重量WAを、第2の秤量コンベヤで測定する。
【0034】
次に、前進速度V1をコントローラ16によって決定する仕方の一例を説明する。
【0035】
コントローラ16は、秤量部12を用いて、連続生地Dにおける所定の単位長さLUの重量WUを連続的に決定する。具体的には、
図2に示すように、秤量部12で感知した連続生地Dの重量W2を秤量部12の設定長さLSで割り算することによって、単位長さLUの重量WUを計算する。本実施形態では、秤量部12の中央における単位長さLUの重量WUを、上記計算された値として決定する。次いで、入口コンベヤ2が単位長さLUだけ前進したら、同様の計算を行う。それを繰返すことにより、
図3に示すように、切断装置6による切断位置P1から秤量部12の中央P2までの距離L1にわたって、単位長さLUに細分化された生地の重量WU1、WU2、…が決定される。設定長さLSは、秤量部12の長さであるが、後述するように、実際の切断回数NAを用いてフィードバック制御されるのがよい。
【0036】
次いで、コントローラ16は、単位長さLUの重量WUに基づいて、入口コンベヤ2の前進速度V1を、連続生地Dの流量を所定の一定流量にするように決定する。具体的には、
図4に示すように、切断装置6を作動させた後、連続的に決定された単位長さLUの重量WUを用いて、次に切断すべき目標切断重量の生地片の予想長さL2を計算し、予想長さL2の連続生地Dを所定の一定流量(生産量)で前進させる速度を計算し、それを前進速度V1とする。更に具体的には、WU1、WU2、…を順番に足していき、目標切断重量WTに達したときの足した個数が、予想長さL2になる。単位時間当たりの目標生産量PTは、上述したように、目標切断重量WT×単位時間当たりの目標切断回数NTである。かくして、前進速度V1は、予想長さL2×目標切断回数NTによって計算される。
【0037】
秤量切断システム1では、入口コンベヤ2の秤量部12を用いて、連続生地Dにおける単位長さLUの重量WUを連続的に決定することにより、連続生地Dの重量分布を把握する。次いで、単位長さLUの重量WUに基づいて、連続生地Dの流量が一定になるように、入口コンベヤ2の前進速度V1を決定し変化させる。かくして、切断装置6を作動させるときに生じる遅れ時間の間に切断装置6を越える連続生地Dの重量が均一化され、結果として、切断される生地片の重量のばらつきを抑制することができる。
【0038】
コントローラ16は、好ましくは、実際の切断回数NAに基づいて、秤量部12の設定長さLSを補正する。具体的には、コントローラ16は、実際の1分間当たりの切断回数NAを計算する。実際の切断回数NAが目標切断回数NTと異なる場合、秤量部12の設定長さLSを補正することにより、実際の切断回数NAを目標切断回数NTに近づける。例えば、実際の切断回数NAが目標切断回数NTより少ない場合、設定長さLSを大きくする。
【0039】
コントローラ16は、好ましくは、生地片の実際の切断重量WAに基づいて、設定切断重量WSを補正する。具体的には、実際の切断重量WAの平均を計算する。実際の切断重量WAが目標切断重量WTと異なる場合、設定切断重量WSを補正することにより、実際の切断重量WAを目標切断重量WTに近づける。例えば、実際の切断重量WAの平均が目標切断重量WTよりも大きい場合、設定切断重量WSを小さくする。
【0040】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0041】
上記実施形態では、前進速度V1は、予想長さL2×目標切断回数NTによって計算した一定の速度であったけれども、予想長さL2のところで目標切断回数NTで切断すれば、前進速度V1を任意に変化させてもよい。例えば、予想長さL2のところで切断するまでの間、最初に、上記前進速度V1よりも速い第1の前進速度V11を採用し、その後、上記前進速度V1よりも遅い第2の前進速度V12を採用してもよい。この場合、切断装置6を作動させるときに生じる遅れ時間の間に切断装置6を越える連続生地Dの重量が均一化されると共に相対的に少なくなるので、結果として、切断される生地片の重量のばらつきを更に抑制することができる。
【0042】
また、予想長さL2のところで切断するまでの間、最初に、上記前進速度V1よりも速い第1の前進速度V11を採用し、その後、上記前進速度V1よりも遅い第2の前進速度V12としてゼロを採用してもよい。この場合、切断装置6を作動させるときに生じる遅れ時間の間に切断装置6を越える連続生地Dの重量がゼロになるので、結果として、切断される生地片の重量のばらつきを更に抑制することができる。
【0043】
上記実施形態では、単位長さをエンコーダ10bの1パルスに相当する入口コンベヤ2の移動距離としたが、単位長さは任意であり、エンコーダの複数のパルスであってもよいし、1mm等の実際の長さであってもよい。
【0044】
上記実施形態では、連続生地Dの単位長さLUの重量を、秤量部12が感知した重量W2を設定長さLSで割り算することによって決定したが、それ以外の方法を採用してもよい。また、割り算によって得られた単位長さの重量を、秤量部12の中心の重量としたが、それ以外の箇所としてもよい。
【0045】
上記実施形態では、第1の入口コンベヤ10及び第2の入口コンベヤ14の前進速度V1が同じになるように構成されていたが、第2の入口コンベヤ14の前進速度V12を第1の入口コンベヤ10の前進速度V11よりも速くしてもよい。例えば、生地が、ペストリー等の冷生地のように比較的硬い場合、第2の入口コンベヤ14の前進速度V12を第1の入口コンベヤ10の前進速度V11よりも速くすることにより、秤量部12上の連続生地を少し引張って、連続生地がフリーローラ12aの上に常に密着させるようにすると、秤量精度を向上させることができる場合がある。第2の入口コンベヤ14の前進速度V12を第1の入口コンベヤ10の前進速度V11に対して、例えば一定の割合で、速くした場合、第2の入口コンベヤ14上の連続生地が滑りなく搬送されていても、滑りながら搬送されていてもよく、いずれの場合においても、上述した制御方法及び補正を採用することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、切断装置6は、入口コンベヤ2の下流端部に配置されていたが、
図5に示す変形例の秤量コンベヤシステム1’のように、変形例の切断装置30が、入口コンベヤ2と第1の秤量コンベヤ4の間に配置されていてもよい。また、上記実施形態では、秤量部12は、フリーローラ12aによって構成されていたが、
図5に示す変形例の秤量コンベヤシステム1’のように、秤量部12が、秤量コンベヤ32によって構成されていてもよい。
【0047】
切断装置30は、
図6及び
図7に示すように、生地流れ方向Aに対して垂直に配置され且つ連続生地の上下にそれぞれ配置されたた上側カッタブレード30a及び下側受け台30bと、上側カッタブレード30a及び下側受け台30bを鉛直方向にそれぞれ駆動する駆動装置30c、30dを有している。図示の実施形態では、駆動装置30c、30dは、エア作動式のエアシリンダ30c、30dと、エアシリンダ30c、30dに接続された電磁弁(図示せず)を有している。切断装置30を作動させるとき、上側カッタブレード30aは、連続生地の上方から下降し、下側受け台30bは、連続生地の下方から上昇し、連続生地のところで又はその近傍で、上側カッタブレード30aの先端部と下側受け台30bの先端部が係合し、それにより、連続生地が切断される(
図6参照)。この変形例において、第1の秤量コンベヤ4の搬送面の高さは、第2の入口コンベヤ14の搬送面よりも高いことが好ましく、例えば、3mm高いことが好ましい。また、上側カッタブレード30aの先端部と下側受け台30bの先端部が係合する位置は、第1の秤量コンベヤ4の搬送面よりも上であることが好ましく、例えば、それよりも1.5mm上であることが好ましい。このような構成により、第1の秤量コンベヤ4と切断装置30の間の距離を小さくして、連続生地を切断したときに第1の秤量コンベヤ4に載っていない生地の量を少なくし、秤量精度を向上させることができる。
【0048】
秤量コンベヤ32は、駆動モータ32aを含むベルトコンベヤ部分32bと、ベルトコンベヤ部分32bを支持するロードセル32cを有している。秤量コンベヤ32の速度は、第1の入口コンベヤ10及び第2の入口コンベヤ14の速度と同じである前進速度V1であることが好ましい。秤量コンベヤ32の搬送面の高さは、第1の入口コンベヤ10の下流側部分の搬送面及び第2の入口コンベヤ14の搬送面の高さよりも少し高いことが好ましく、例えば、2〜6mm高いことが好ましい。
【符号の説明】
【0049】
1、1’ 秤量切断システム
2 入口コンベヤ
2a 下流端部
4 第1の秤量コンベヤ
6、30 切断装置
8 第2の秤量コンベヤ
10 第1の入口コンベヤ
10a エンコーダ
12 秤量部
14 第2の入口コンベヤ
16 コントローラ
32 秤量コンベヤ
D 連続生地
L2 予想長さ
LS 設定長さ
LU 単位長さ
NA 実際の切断回数
NT 目標切断回数
V1、V11、V12 前進速度
V2 搬出速度
W1 秤量コンベヤで感知した連続生地の重量
W2 秤量部で感知した連続生地の重量
WA 実際の切断重量
WT 目標切断重量
WS 設定切断重量
WU 単位長さの重量