(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408022
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】電気車両の充電ステーションのための制御システムとその方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20181004BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20181004BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20181004BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20181004BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20181004BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20181004BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20181004BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
H02J7/34 B
H02J7/00 P
H02J7/02 F
H02J7/00 302C
H02J3/32
H02J13/00 311R
B60L11/18 C
H01M10/44 A
H01M10/48 301
H01M10/48 P
【請求項の数】31
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-555879(P2016-555879)
(86)(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公表番号】特表2017-500843(P2017-500843A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】CN2014090045
(87)【国際公開番号】WO2016065616
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】505403360
【氏名又は名称】アーベーベー・テヒノロギー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ファン、シン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ロンロン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ゼラヤ・デ・ラ・パラー、ヘクター
【審査官】
坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−085511(JP,A)
【文献】
特開2013−041324(JP,A)
【文献】
特開2002−078227(JP,A)
【文献】
特表2015−510199(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/121291(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0086396(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0200724(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0179061(US,A1)
【文献】
Eric Sortomme et al,Optimal Scheduling of Vehicle-to-Grid Energy and Ancillary Services,IEEE Transactions on SMART GRID,米国,IEEE,2012年 3月 1日,vol. 3, no. 1,pages 351-359,ISSN: 1949-3053
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/34
B60L 11/18
H01M 10/44
H01M 10/48
H02J 3/32
H02J 7/00
H02J 7/02
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、電気車両を充電するためのデバイスである電気車両充電デバイスを複数含む電気車両の充電ステーション(EVCS)のためのコントロールシステムであって、
複数の前記電気車両充電デバイスを制御するよう構成された1つまたは複数のローカルコントローラと、
配電網の系統運用者からアンシラリーサービスオーダーを受け取り、前記1つまたは複数のローカルコントローラに、定期的に、前記アンシラリーサービスオーダーを配布するよう構成され、ここで、前記アンシラリーサービスオーダーは、前記アンシラリーサービスオーダーによって要求されたアンシラリーサービスにおいて、前記EVCSから前記配電網に、または、前記配電網から前記EVCSに、ある量の電力が送られるべきであることを規定する、セントラルコントローラと、
を備え、
前記1つまたは複数のローカルコントローラは、配布された前記アンシラリーサービスオーダーによって要求された量の電力を、前記配電網に、または、前記配電網から送るためのアンシラリーサービスを提供するために、配布された前記アンシラリーサービスオーダーに基づいて、リアルタイムで、複数の前記電気車両充電デバイスを制御するよう構成され、
前記セントラルコントローラは、更に、各電気車両充電デバイスについて、前記アンシラリーサービスオーダーを管理するために設定されるアンシラリーサービス期間の持続時間を、アンシラリーサービス提供の時間期間とバッテリー充電の時間期間とに分割するよう構成され、
前記アンシラリーサービス期間の持続時間は、前記1つまたは複数のローカルコントローラが前記アンシラリーサービスオーダーによって要求された前記アンシラリーサービスに寄与するよう要求される時間期間であり、
前記アンシラリーサービス提供の時間期間は、各電気車両充電デバイスが、配布された前記アンシラリーサービスオーダーに応答し従って前記アンシラリーサービスのために動作するために設定され、
前記バッテリー充電の時間期間は、各電気車両充電デバイスが、電気車両のバッテリーのための充電器として動作するために設定される、
コントロールシステム。
【請求項2】
前記セントラルコントローラは、更に、前記電気車両充電デバイスの各々により各電気車両におけるバッテリーを充電するために要求されるエネルギーの量と、前記アンシラリーサービスのために利用可能である電力容量値とに少なくとも基づいて、アンシラリーサービス期間毎に使用される前記バッテリー充電の時間期間を設定するよう構成される、請求項1に記載のコントロールシステム。
【請求項3】
前記セントラルコントローラは、更に、複数の前記電気車両充電デバイスの各々のアンシラリーサービスのために利用可能である電力容量値に従って、複数の前記電気車両充電デバイスに前記アンシラリーサービスオーダーを配布するよう構成される、請求項1に記載のコントロールシステム。
【請求項4】
アンシラリーサービスのために利用可能である前記電力容量値は、前記アンシラリーサービスのために利用可能である各電気車両における前記バッテリーのエネルギーの量と、前記アンシラリーサービスのために利用可能である各電気車両充電デバイスの電力の量とを備える、請求項2または3に記載のコントロールシステム。
【請求項5】
1回の電気車両駐車時間が、複数のアンシラリーサービス期間に配分され、
前記複数のアンシラリーサービス期間の各々の持続時間は、フレキシブルである、
請求項1に記載のコントロールシステム。
【請求項6】
前記バッテリー充電の時間期間は、各アンシラリーサービス期間の中の任意の場所に設定され、
前記バッテリー充電の時間期間の持続時間は、固定され、または、前記電気車両の前記バッテリーを充電するために必要とされるエネルギーの量に少なくとも基づいて変わる、請求項1に記載のコントロールシステム。
【請求項7】
前記バッテリー充電の時間期間は、前記アンシラリーサービス期間の最後に設けられ、または、前記アンシラリーサービス期間の始めに設けられ、または、前記アンシラリーサービス期間の任意の部分に設けられる、請求項6に記載のコントロールシステム。
【請求項8】
セントラルコントローラは、更に、前記アンシラリーサービス提供の時間期間において、前記アンシラリーサービスオーダーの1つによって規定された電力の量がゼロである場合に、前記セントラルコントローラによって受け取られる1つのアンシラリーサービスオーダーと他のアンシラリーサービスオーダーとの間のインターバルの間に、前記電気車両の前記バッテリーにおいてより多くのまたはより少ないエネルギーを蓄えることによって、アンシラリーサービスのための最大電力を送ること、または、受けることのための準備をするよう構成される、請求項1に記載のコントロールシステム。
【請求項9】
前記セントラルコントローラは、更に、アンシラリーサービス期間毎にバッテリー充電のために用いられる固定された時間を設定するよう構成される、請求項1に記載のコントロールシステム。
【請求項10】
前記固定された時間は、各電気車両のための1回の充電プロセスについて設定され、 前記固定された時間の長さは、顧客により所望される電気車両のバッテリーにおけるエネルギー蓄積の値と、前記バッテリーの充電状態(SOC)と、前記電気車両充電デバイスの最大電力容量と、1つのアンシラリーサービス期間における前記アンシラリーサービスのための数理統計から得られる時間長との関数によって決定される、
請求項9に記載のコントロールシステム。
【請求項11】
前記セントラルコントローラは、周囲の温度とバッテリータイプとに基づいてバッテリー容量を考慮することによって、前記電気車両充電デバイスを定格以下動作モードで動作するよう構成される、請求項1に記載のコントロールシステム。
【請求項12】
前記セントラルコントローラは、複数の負荷が接続される配電網の地点である共通結合点(PCC)における電力変動によって影響を受ける電力供給品質を改善するために、電気エネルギーを蓄積するためのエネルギー蓄積システム(ESS)を用いて、実効および無効電力の閉ループ制御を使用するよう構成される、請求項1に記載のコントロールシステム。
【請求項13】
前記セントラルコントローラは、複数の前記電気車両充電デバイスの1つに設置される、請求項1または2に記載のコントロールシステム。
【請求項14】
前記1つまたは複数のローカルコントローラは、電気車両の充電を必要とする顧客により入力された要求を受け取り、
顧客の前記要求は、アンシラリーサービスへの参加の意思と、電気車両が前記EVCSに留まる予想時間長と、顧客の電気車両が前記EVCSを去る時の電気車両のバッテリーにおけるエネルギー蓄積の所望の値との少なくとも1つを備える、
請求項1または2に記載のコントロールシステム。
【請求項15】
前記セントラルコントローラは、異なる通信プロトコルを用いて前記1つまたは複数のローカルコントローラと通信するよう構成される、請求項1または2に記載のコントロールシステム。
【請求項16】
前記電気車両充電デバイスは、前記アンシラリーサービスのための前記電気車両充電デバイスと前記配電網との間の単方向の電力伝送のための電気車両充電デバイスと、前記アンシラリーサービスのための前記電気車両充電デバイスと前記配電網との間の双方向の電力伝送のための電気車両充電デバイスとを備える、請求項1または2に記載のコントロールシステム。
【請求項17】
少なくとも、電気車両を充電するためのデバイスである電気車両充電デバイスを複数含む電気車両の充電ステーション(EVCS)を制御する方法であって、
セントラルコントローラにより、配電網の系統運用者からアンシラリーサービスオーダーを受け取ることであって、前記アンシラリーサービスオーダーは、前記アンシラリーサービスオーダーによって要求されたアンシラリーサービスにおいて、前記電気車両の充電ステーションから前記配電網に、または、前記配電網から前記電気車両の充電ステーションに、ある量の電力が送られるべきであることを規定することと、
前記セントラルコントローラにより、1つまたは複数の下位レベルコントローラに、定期的に、前記アンシラリーサービスオーダーを配布することと、
配布された前記アンシラリーサービスオーダーによって要求される電力の量を、前記配電網に、または前記配電網から送るためのアンシラリーサービスを提供するために、前記1つまたは複数の下位レベルコントローラにより、配布された前記アンシラリーサービスオーダーに基づいて、リアルタイムで、複数の前記電気車両充電デバイスを制御することと、
前記セントラルコントローラにより、各電気車両充電デバイスについて、前記アンシラリーサービスオーダーを管理するために設定されるアンシラリーサービス期間の持続時間を、アンシラリーサービス提供の時間期間とバッテリー充電の時間期間とに分割することと、
を備え、
前記アンシラリーサービス期間の持続時間は、前記1つまたは複数のローカルコントローラが前記アンシラリーサービスオーダーによって要求された前記アンシラリーサービスに寄与するよう要求される時間期間であり、
前記アンシラリーサービス提供の時間期間は、各電気車両充電デバイスが、配布された前記アンシラリーサービスオーダーに応答し従って前記アンシラリーサービスのために動作するために設定され、
前記バッテリー充電の時間期間は、各電気車両充電デバイスが、電気車両のバッテリーのための充電器として動作するために設定される、
方法。
【請求項18】
各電気車両におけるバッテリーを充電するために要求されるエネルギーの量に少なくとも基づき、アンシラリーサービス期間毎に、前記バッテリー充電の時間期間を設定することを更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1つまたは複数の下位レベルコントローラに、定期的に、アンシラリーサービスオーダーを配布することは、更に、複数の前記電気車両充電デバイスの各々の前記アンシラリーサービスのために利用可能である電力容量値に従って、複数の前記電気車両充電デバイスに前記アンシラリーサービスオーダーを配布することを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記アンシラリーサービスのために利用可能である電力容量値は、前記アンシラリーサービスのために利用可能である各電気車両におけるバッテリーのエネルギーの量と、前記アンシラリーサービスのために利用可能である各電気車両充電デバイスの電力の量とを備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
1回の電気車両駐車時間が、複数のアンシラリーサービス期間に配分され、
前記バッテリー充電の時間期間の持続時間は、固定され、または、前記電気車両のバッテリーを充電するために要求されるエネルギーの量に少なくとも基づいて変わる、
請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記バッテリー充電の時間期間は、各アンシラリーサービス期間の中の任意の場所に設定され、
前記バッテリー充電の時間期間の持続時間は、固定され、または、前記電気車両の前記バッテリーを充電するために必要とされるエネルギーの量に少なくとも基づいて変わる、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記バッテリー充電の時間期間は、前記アンシラリーサービス期間の最後に設けられ、または、前記アンシラリーサービス期間の始めに設けられ、または、前記アンシラリーサービス期間の任意の部分に設けられる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記アンシラリーサービス提供の時間期間において、前記アンシラリーサービスオーダーによって規定される電力の量がゼロの場合に、前記セントラルコントローラによって受け取られる1つのアンシラリーサービスオーダーと他のアンシラリーサービスオーダーとの間のインターバルの間に、前記セントラルコントローラにより、前記電気車両のバッテリーにおいてより多くのまたはより少ないエネルギーを蓄えることによってアンシラリーサービスのための最大電力を送ること、または、受けることの準備をすることを更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記セントラルコントローラにおいて、アンシラリーサービス期間毎にバッテリー充電のために用いられる固定された時間を設定することを更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記固定された時間は、各電気車両のための1回の充電プロセスのために設定され、 前記固定された時間の長さは、顧客によって所望された電気車両のバッテリーにおけるエネルギー蓄積の値と、前記バッテリーの充電状態(SOC)と、前記電気車両充電デバイスの最大電力容量と、1つのアンシラリーサービス期間における前記アンシラリーサービスのための数理統計から得られる時間長との関数によって決定される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記セントラルコントローラにより、周囲の温度とバッテリータイプとに基づいてバッテリー容量を考慮することによって、前記電気車両充電デバイスを定格以下動作モードで動作することを更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記セントラルコントローラにおいて、複数の負荷が接続される配電網の地点である共通結合点(PCC)における電力変動によって影響される電力供給品質を改善するために、電気エネルギーを蓄積するためのエネルギー蓄積システム(ESS)を用いた閉ループ制御を使用することを更に備える、請求項17または18に記載の方法。
【請求項29】
前記1つまたは複数のローカルコントローラにおいて、電気車両の充電を必要とする顧客により入力された要求を受け取ることを更に備え、
顧客の前記要求は、アンシラリーサービスへの参加の意志と、電気車両が前記EVCSに留まる予想時間長と、顧客の電気車両が前記EVCSを去る時の前記電気車両のバッテリーにおけるエネルギー蓄積の所望の値との少なくとも1つを備える、請求項17または18に記載の方法。
【請求項30】
前記セントラルコントローラによって、異なる通信プロトコルを用いて前記複数の電気車両充電デバイスを制御することを更に備える、請求項17または18に記載の方法。
【請求項31】
前記電気車両充電デバイスは、前記アンシラリーサービスのための前記電気車両充電デバイスと前記配電網との間の単方向の電力伝送のための電気車両充電デバイスと、前記アンシラリーサービスのための前記電気車両充電デバイスと前記配電網との間の双方向の電力伝送のための電気車両充電デバイスとを備える、請求項17または18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、概括的に、電気車両の充電ステーションに関係する。より具体的には、本開示の実施形態は、電気車両の充電ステーション(electric vehicle charging station:EVCS)のための制御システムと、電気車両ステーション充電システムを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 緊急な環境のプレッシャーとエネルギー資源の不足に直面し、人々の生活様式を、より環境にやさしく、より資源依存性を少なくする方向にシフトするために、多くの努力がはらわれている。そのような状況下で、電気車両(electric vehicle:EV)は、昨今、多くの国で、新興の戦略的な産業とみなされている。大量のEVの開発が予測され、EVCS設置に対する大きな需要が存在する。
【0003】
[0003] EV充電は、適切な制御のない配電網に劇的に影響を及ぼす。相互接続された送信システムの信頼性のあるオペレーションを維持するために、制御エリアとそれらの制御エリアの中での送電ユーティリティのオブリゲーションがあるとすれば、電気車両のアンシラリーサービス(ancillary service:AS)は、電気車両から配電網への電力の送電をサポートする。しかし、EVCSがEVを充電するために
電力を吸収する他にも配電網へのある種のアンシラリーサービスを提供することができるならば、網上のネガティブなインパクトを緩和することができるだけでなく、配電網運用の安定性を増し、網容量の拡張へ圧力を軽減することもできる。電気車両のアンシラリーサービスによって提供される
電力は、双方向、言い換えれば、
電力は電気車両から配電網に流れ得、時には、
電力は、また、配電網から電気車両に流れる。EVCSがアンシラリーサービスを提供しない場合、EVCSによって吸収された
電力は、電気車両需要の要件によって決定され、このプロセスは受動応答に属し、EVCSにおけるアクティブなレギュレーションはない。さらに、EVCSがアンシラリーサービスを提供する場合、EVCSによって吸収される
電力は、電気車両の要求と配電網のスケジュール要求との両方を考慮すべきであり、この場合、EVCSは
電力システムの安定性を改善するためにアクティブなレギュレーション機能を有する。言い換えれば、EVCSが配電網からの
電力を吸収する場合、配電網の需要の観点で、EVの要求よりも多い
電力または少ない
電力を吸収し得、EVCSが配電網に
電力を供給する場合、それは、また、配電網の需要に従って
電力をレギュレートすることができる。適切に、制御アルゴリズムを設計することとハードウェアに実装することを通して、アンシラリーサービスの提供は、技術的に実施可能である。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 上述のおよび他の潜在的な問題に対処するために、本開示の実施形態は、電気車両ステーション充電システムのための制御システムと電気車両ステーション充電システムを制御するための方法を提案する。
【0005】
[0005] 一態様では、本開示の実施形態は、電気車両充電ステーション(EVCS)のための制御システムを提供する。制御システムは、配電網からアンシラリーサービスオーダーを受け、1つまたは複数のローカルコントローラにアンシラリーサービスオーダーを配布するよう構成されるセントラルコントローラと、配布されたアンシラリーサービスオーダーに基づいて、リアルタイムに、複数の電気車両
充電デバイスを制御するよう構成される1つまたは複数のローカルコントローラとを備える。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態では、セントラルコントローラは、充電について各電気車両におけるバッテリーの要求されるエネルギーとアンシラリーサービスについて利用可能な容量を評価するよう構成される。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、セントラルコントローラは、更に、充電について各電気車両におけるバッテリーの要求されるエネルギーとアンシラリーサービスについて評価された利用可能な容量値とに従って、複数の電気車両
充電デバイにアンシラリーサービスオーダーを配布するように構成される。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、アンシラリーサービスのための利用可能なキャパシティは、各電気車両におけるバッテリーの利用可能なエネルギーと各電気車両
充電デバイスの利用可能な
電力とを備える。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、セントラルコントローラは、更に、アンシラリーサービスの期間を、アンシラリーサービス提供時間と各電気車両
充電デバイスのためのバッテリー充電時間とに分割する。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、アンシラリーサービスの期間は、フレキシブルに構成される。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、各アンシラリーサービスの期間におけるアンシラリーサービス提供時間とバッテリー充電時間とは、フレキシブルに構成される。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態では、バッテリー充電時間は、アンシラリーサービス期間の終わりに、または、アンシラリーサービス期間の始めに、または、アンシラリーサービス期間の任意の部分にある。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態では、セントラルコントローラは、更に、アンシラリーサービスオーダーがアンシラリーサービス提供期間においてゼロであるときのインターバルの間、電気車両のバッテリーにおけるエネルギーをレギュレーとすることによってアンシラリーサービスのための準備をするよう構成される。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態において、セントラルコントローラは、更に、アンシラリーサービス期間毎にバッテリー充電のために用いられる固定の時間を設定するよう構成される。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態では、固定の時間は、顧客による最終のエネルギー要求、バッテリーの充電状態(state of charge:SOC)、電気車両
充電デバイスの最大
電力容量、および、1つのアンシラリーサービス期間におけるアンシラリーサービスのための時間長の数理統計の関数である。
【0016】
[0016] セントラルコントローラは、動作状態とバッテリータイプとに基づいて電池容量を考慮することにより、電気車両
充電デバイスをディレーティングオペレーションモードで動作するよう構成される。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態において、動作状態は、温度とバッテリーの寿命を備える。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態において、セントラルコントローラは、共通接続点(point of common coupling:PCC)における
電力変動によって影響を受ける電力供給品質を改善するために、エネルギー蓄積システム(energy storage system:ESS)を用いて、実効および無効電力の閉ループ制御を使用するよう構成される。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態において、セントラルコントローラは、サブステーションに設置される、または、複数の電気車両
充電デバイスのマスター電気車両
充電デバイスに設置される、または、コントロールルームにまたはコントロールプラットホーム上に設置される。
【0020】
[0020] いくつかの実施形態において、1つまたは複数のローカルコントローラは、入力として顧客の要求をとり、ここで、顧客の要求は、アンシラリーサービスに参加する意志と、EVCSに留まる予想時間と、顧客が去る時の電気車両のバッテリーにおけるエネルギー蓄積の所望の値の少なくとも1つを備える。
【0021】
[0021] いくつかの実施形態において、セントラルコントローラは、異なる通信プロトコルを用いて1つまたは複数のローカルコントローラと通信するよう構成される。
【0022】
[0022] いくつかの実施形態において、電気車両
充電デバイスは、単方向電気車両
充電デバイスと双方向電気車両
充電デバイスとを備える。
【0023】
[0023] 他の態様において、本開示の実施形態は、電気車両充電ステーション(electric vehicle charging station:EVCS)を制御するための方法を提供する。方法は、配電網からアンシラリーサービスオーダーを受けることと、1つまたは複数の下位レベルコントローラに、定期的に、アンシラリーサービスオーダーを配布することと、配布されたアンシラリーサービスオーダーに基づいて、リアルタイムで、複数の電気車両
充電デバイスを制御することと、を備える。
【0024】
[0024] いくつかの実施形態において、方法は、更に、充電のために各電気車両におけるバッテリーの要求されたエネルギーとアンシラリーサービスのために利用可能な容量値を評価することを備える。
【0025】
[0025] いくつかの実施形態において、1つまたは複数の下位レベルコントローラに、定期的に、アンシラリーサービスオーダーを配布することは、更に、充電のための各電気車両におけるバッテリーの要求されたエネルギーとアンシラリーサービスのための評価された利用可能な容量とに従って、複数の電気車両
充電デバイスにアンシラリーサービスオーダーを配布することを備える。
【0026】
[0026] いくつかの実施形態において、アンシラリーサービスのための利用可能な容量は、各電気車両におけるバッテリーの利用可能なエネルギーと各電気車両
充電デバイスの利用可能な
電力とを備える。
【0027】
[0027] いくつかの実施形態において、方法は、更に、各電気車両
充電デバイスについて、アンシラリーサービス期間を、アンシラリーサービス提供時間とバッテリー充電時間に分割することを備える。
【0028】
[0028] いくつかの実施形態において、アンシラリーサービス期間はフレキシブルに構成される。
【0029】
[0029] いくつかの実施形態において、各アンシラリーサービス期間におけるアンシラリーサービス提供時間とバッテリー充電時間のシーケンスはフレキシブルに構成される。
【0030】
[0030] いくつかの意思形態において、バッテリー充電時間は、アンシラリーサービス期間の最後にあり、または、アンシラリーサービス期間の始めにあり、または、アンシラリーサービスの任意の部分にある。
【0031】
[0031] いくつかの実施形態において、方法は、更に、アンシラリーサービス提供時間において前記アンシラリーサービスオーダーがゼロのときのインターバルの間に、電気車両のバッテリーにおけるエネルギーをレギュレートすることによってアンシラリーサービスの準備をすることを備える。
【0032】
[0032] いくつかの実施形態において、方法は、更に、アンシラリーサービス期間毎にバッテリー充電のために用いられる固定された時間を設定することを備える。
【0033】
[0033] いくつかの実施形態において、固定された時間は、顧客による最終のエネルギーの要求、バッテリーの充電状態(state of charge:SOC)、電気車両
充電デバイスの最大
電力容量、および、1つのアンシラリーサービス期間におけるアンシラリーサービスのための時間長の数理統計の関数である。
【0034】
[0034] いくつかの実施形態において、方法は、更に、動作状態とバッテリータイプに基づいてバッテリー容量を考慮することによって、電気車両
充電デバイスをディレーティングオペレーションモードで動作することを備える。
【0035】
[0035] いくつかの実施形態において、動作状態は、温度とバッテリーの寿命とを備える。
【0036】
[0036] いくつかの実施形態において、方法は、更に、共通結合点(point of common coupling:PCC)における
電力変動によって影響を受ける電力供給品質を改善するために、エネルギー蓄積システム(energy storage system:ESS)を用いた閉ループ制御を使用することを備える。
【0037】
[0037] いくつかの実施形態において、方法は、更に、入力として顧客の要求をとり、ここで、顧客の要求は、アンシラリーサービスへの参加の意思と、EVCSに留まる予想時間と、顧客が去るときの電気車両のバッテリーにおけるエネルギー蓄積の所望の値との少なくとも1つを備える。
【0038】
[0038] いくつかの実施形態において、方法は、更に、異なる通信プロトコルを用いて複数の電気車両
充電デバイスを制御することを備える。
【0039】
[0039] いくつかの実施形態において、電気車両
充電デバイ
スは、単方向電気車両
充電デバイスと双方向電気車両
充電デバイスを備える。
【0040】
[0040] 本開示の実施形態の他の特徴や利点は、また、本開示の原理を例示的に示す、添付の図面と組み合わせて読まれるとき、特定の例としての実施形態の以下の説明から理解される。
【0041】
[0041] 本開示の実施形態は、例としての意図で提示され、それらの利点は。添付の図面を参照して、
以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】[0042]
図1は、アンシラリーサービスに参加するためのEVCS(または、EVジェネレータ)のアーキテクチャを示す。
【
図2】[0043]
図2は、電気車両制御システムの構成を示す図である。
【
図3】[0044]
図3は、本開示の実施形態に従ったセントラルコントローラを示す図である。
【
図4】[0045]
図4は、アンシラリーサービスを提供することについて1つのAS期間の概略図を示す図である。
【
図5】[0046]
図5は、1つのAS期間における2つのモード定義を示す。
【
図6】[0047]
図6は、本開示の実施形態に従った、AS期間がランダムに到来する場合の複数の電気車両
充電デバイスのAS期間を示す。
【
図7】[0048]
図7は、本開示の実施形態に従った、AS期間が規則的に到来する場合の複数の電気車両
充電デバイスのAS期間を示す。
【
図8】[0049]
図8は、本開示の他の実施形態に従った、複数の電気車両
充電デバイスのAS期間を示す。
【
図9】[0050]
図9は、本開示の実施形態に従った、EVCSを制御するための方法のフローチャートを示す図である。
【
図10】[0051]
図10は、本開示の他の実施形態に従った、EVCSを制御するための方法のフローチャートを示す図である。
【0043】
[0052] 全ての図面は概略図であり、必ずしも縮尺してはおらず、一般的に、開示を説明するために必要であるパーツを示すのみであり、そこで、他のパーツは省略されているか、単に示唆され得る。
【0044】
[0053] これ以降、本開示の原則や精神は、例示の実施形態を参照して説明される。これらの実施形態は、単に、この技術に技量をもった者が、本開示を理解し、更に実施するために与えられたものであり、本開示の範囲を限定するためではない。例えば、1つの実施形態のパーツとして示され、説明された特徴は、更なる実施形態を生むために、他の実施形態で用いられ得る。明瞭化のために、実際の実装の全ての特徴がこの明細書に書かれているわけではない。任意のそのような実際の実施形態を開発するにおいて、数々の実装特有な決定が、1つの実装例から他の実装例にかけて変化するシステム関連およびビジネス関連の制約に合致するなどの開発者の特有のゴールを達成するためになされるべきであることが、勿論、認識される。更に、そのような開発努力は、複雑で時間を費やすものであろうが、それでも、この開示の利益を有する、この技術に習熟した者にとっては決まりきった作業である。
【0045】
[0054] 開示された主題は、ここで、添付の図面を参照して説明される。様々な構造、システム、および、デバイスが、説明の目的にのみのために、当技術に習熟した者に周知である詳細で説明をあいまいにしないように、図面に概略的に示される。しかしながら、添付の図面は、開示された主題の図解の例を記載し、説明するために含まれる。この中で用いられる単語やフレーズは、関連のある技術において技量を有した者によるそれらの単語やフレーズの理解と一致した意味を有すると理解され、解釈されるべきである。用語やフレーズの特別な定義、即ち、当技術において技量を有した者によって理解されるような通常かつ通例の意味とは異なる定義は、この中の用語またはフレーズの一貫した用法によって暗示されるとは意図されない。用語またはフレーズが特別な意味、即ち、当業者によって理解される意味以外の意味を有すると意図される場合には、そのような特別な定義は、直接かつ疑いの余地なく用語またはフレーズの特別の定義を与える定義的な方法で明細書中に明示的に記載される。
【0046】
[0055]
図1は、アンシラリーサービスに参加するためのEVCS(または、EVジェネレータ)のアーキテクチャ、特に、異なるコントローラ間のやり取りの関係と制御レベルを示す。
図1に示されたように、レイヤ1の制御システムは、ISO/TSO(independent system operator/transmission system operator:独立系統運用者/送電事業者)からアンシラリーサービスの要求を受け、アンシラリーサービスに入札(bid)し得る。更に、レイヤ1のコントロールシステムは、レイヤ2のコントロールシステムに、EVCS(または、EVアグリゲータ、ここで、アグリゲータは、複数の電気車両を管理している事業体である)のためのオペレーションリファレンスを送り得る。レイヤ2の制御システムは、EVを充電するために用いられ得る複数の電気車両供給デバイス103
1、103
i...103
nを制御し、複数の電気車両供給デバイスのオペレーションステータスを受け取り得る。この主題は、主に、レイヤ2の制御システムに関し、従って、レイヤ1の制御システムは不明瞭さを避けるためにこの中では省略される。
【0047】
[0056]
図2は、電気車両充電ステーションのためのコントロールシステム200の構成を示す図である。コントロールシステム200は、配電網からのASオーダーのリアルタイム応答でアンシラリーサービスを提供することができる。EVCSコントロールシステム200は、ステーションベースまたはアグリゲータベースであり得、アンシラリーサービス期間毎の間にアンシラリーサービスオーダーを管理することができ、ここで、アンシラリーサービスオーダーは、電力の量が配電網へ/から送られるべきであることを規定する。
図2に示されるように、
コントロールシステム200は、
図3を参照して以下に説明されるセントラルコントローラと、いくつかのローカルコントローラ2011...202n(集合的に「ローカルコントローラ202」と呼ぶ)とを備える。EVCSには複数のEV
充電デバイスが存在し、それは、それぞれ、いくつかのローカルコントローラ2021...202nに対応する。EV
充電デバイスの各々は、バッテリー管理システム(battery management system:BMS)を与えられ得る。
【0048】
[0057] セントラルコントローラ201は、配電網からアンシラリーサービスオーダーを受け、1つまたは複数のローカルコントローラ202
1...202
nに、定期的に、アンシラリーサービスオーダーを配布する。アンシラリーサービスオーダーは、アンシラリーサービスの期間毎に更新される。この期間は、配電網によって、または、EVCSと配電網との間のオブリゲーションによって規定される。いくつかの実施形態において、アンシラリーサービス期間は1時間である。
【0049】
[0058] 1つまたは複数のローカルコントローラ2021...202nは、配布されたアンシラリーサービスオーダーに基づいて、リアルタイムで、複数の電気車両
充電デバイスを制御するように構成される。ここで、電気車両
充電デバイスは、対応する電気車両を充電するために用いられる。
【0050】
[0059] いくつかの実施形態において、セントラルコントローラは、異なる通信プロトコルで1つまたは複数のローカルコントローラとやり取りするよう構成される。
【0051】
[0060] いくつかの実施形態において、セントラルコントローラ201は、サブステーションに設置され得る。EVCSが、比較的少数の
充電デバイスをもった小さいものである場合、セントラルコントローラ201は、システムアーキテクチャを簡単にするために、1つのマスターEV
充電デバイスに設置され得る。他の実施形態において、EVCSが、多くの
充電デバイスをもった大きなものである場合、セントラルコントローラ210は、1つのコントロールルーム、または、コントロールプラットホームに設置され得る。この様式では、マスターEV
充電デバイスが故障したとき、システムが遮断されないので、システムはより安定であり得る。
【0052】
[0061] ローカルコントローラ202
1...202
nは、アンシラリーサービスオーダーに寄与している間、EVバッテリー充電要求を満たす。更に、ローカルコントローラ202
1...202
nは、入力として、顧客の要求をとる。例えば、顧客の要求は、ASに参加する意志、充電ステーションに留まる予想時間、および/または、顧客が去る時の電気車両のバッテリーにおけるエネルギー蓄積の所望の値を備え得る。
【0053】
[0062] 一実施形態では、セントラルコントローラは、更に、充電のために各電気車両におけるバッテリーの要求されるエネルギーとアンシラリーサービスのための利用可能な容量とを評価し、充電のために各電気車両におけるバッテリーの要求されるエネルギーとアンシラリーサービスのための評価された利用可能な容量とに従って、複数の電気車両供給デバイスにアンシラリーサービスオーダーを配布するように構成される。更に、アンシラリーサービスのための利用可能な容量は、各電気車両におけるバッテリーの利用可能なエネルギーと電気車両供給デバイスの利用可能な
電力とを備える。
【0054】
[0063] 一台の電気車両におけるバッテリーの要求されるエネルギーは、バッテリーの利用可能な容量によって制限され、セントラルコントローラは、電気車両の所有者(即ち、顧客)によって設定された1台の電気車両におけるバッテリーの要求されるエネルギーが与えられ得るかどうかを判断し、バッテリーの要求されるエネルギーに、バリュー限定オペレーションを与えるべきである。更に、EVバッテリーが要求されるエネルギーを蓄積できない場合、セントラルコントローラはエラー信号を出力し得る。この場合、顧客は、バッテリーの利用可能な容量に合うまで、要求されたバッテリーの交換されるエネルギーを減らすべきである。
【0055】
[0064] 更に、1台の電気車両におけるバッテリーの要求されたエネルギーに基づいて、セントラルコントローラ3011は、電気車両
充電デバイスが要求された
電気エネルギーを与えることができるかどうかを決定する。いくつかの場合には、電気車両によって要求される
電気エネルギーが電気車両
充電デバイスの容量を超している場合、セントラルコントローラは、エラー信号を出力し、電気車両の所有者は要求されたエネルギーを減らすか、または、EVCSに駐車している時間を増やすべきである。
【0056】
[0065] 電気車両
充電デバイスの各々が狙いとしている2つのターゲットがある。ターゲット1は、リアルタイム応答で、AS
電力を提供すること、ターゲット2は、顧客要求に従ってエネルギー蓄積を保証することである。問題は、2つのターゲットがお互いにコンフリクトを有し、それは、電気車両
充電デバイスが2つのターゲットを同時に実現することを困難にしている。従って、いくつかの実施形態において、セントラルコントローラ201は、各電気車両
充電デバイスについて、アンシラリーサービス期間を、アンシラリーサービス提供時間とバッテリー充電時間とに分割するよう構成される。
図5に示されたように、アンシラリーサービス提供時間の間、電気車両
充電デバイスは、「ASサーバー(AS Server)」モードにおいて動作し、他方、バッテリー充電時間の間、電気車両
充電デバイスは、「バッテリー充電器(Battery Charger)」モードで動作する。
【0057】
[0066] アンシラリーサービスは、システムレギュレーションアップとレギュレーションダウンのためのアンシラリーサービスを含む。レギュレーションアップのプロセスの間、EVCSは、配電網の周波数が減少するように吸収される
電力を減らし、レギュレーションダウンのプロセスの間、EVCSは、配電網の周波数が増加するように吸収される
電力を増加する。
図5は、例として、レギュレーションダウンのプロセスを示す。セントラルコントローラ201は、アンシラリーサービスオーダーがゼロのときのインターバルの間にEVバッテリーにおいて多く/少なくエネルギーを蓄える(レギュレーションアッププロセスの間はより多くのエネルギーを蓄え、レギュレーションダウンプロセスの間はより少ないエネルギーを蓄える)ことによって、ASのための準備をするよう構成される。AS期間は、1つのシステムにおいて、例えば1時間に固定され得る。代替的に、この期間は、異なる配電網プロトコルに従って変わり得る。
【0058】
[0067] 本開示のいくつかの実施形態において、電気車両
充電デバイスは単方向または双方向であり得る。従って、ローカルコントローラ202は、双方向EV
充電デバイスのために用いられる1つまたは複数のコントローラと、単方向EV
充電デバイスのために用いられる1つまたは複数のコントローラとを備える。一実施形態において、
図2に示されるように、ローカルコントローラ202iは双方向EV
充電デバイスのために用いられるコントローラであり、ローカルコントローラ202jは単方向EV
充電デバイスのために用いられるコントローラである。
【0059】
[0068] 本開示の一実施形態において、EVCSは、更に、いくつかのエネルギー蓄積システム(energy storage system:ESS)を備え得、それらの各々は、また、BMSを与えられる。ESSは、
電気エネルギーを蓄積し、アンシラリーサービスが必要であるとき、アンシラリーサービスのための
電力を与えるために用いられる。ESSは、アキュムレータ、バッテリー、または、他の好適なデバイスであり得る。
【0060】
[0069] EVCSがESSを備える実施形態に従って、EVCSコントロールシステム200は、更に、ESSのために用いられるコントローラを備える。一実施形態において、セントラルコントローラ210は、共通結合点(point of common coupling:PCC)での
電力変動によって影響される電力供給品質を改善するために、ESSを用いた有効と無効電力の閉ループ制御を用い、ここで、PCCは、複数の負荷が接続される配電網の地点を意味する。ESSのために使用されるコントローラは、セントラルコントローラ201に設置され得、または、ローカルコントローラ202の1つであってもよい。一実施形態において
図2に示されたようなローカルコントローラ202kは、ESSのために用いられるコントローラである。
【0061】
[0070]
図3は本開示の実施形態に従ったセントラルコントローラ201を示す図である。セントラルコントローラ201は、上位レベルコントローラ3011と1つまたは複数の下位レベルコントローラ3012を備える。上記レベルコントローラ3011と下位レベルコントローラ3012は、セントラルコントローラ201のモジュールであり得る。
【0062】
[0071] セントラルコントローラ201において、上位レベルコントローラ3011は、配電網からアンシラリーサービスオーダーを受け、1つまたは複数の下位レベルコントローラにアンシラリーサービスオーダーを配布するよう構成される。1つまたは複数の下位レベルコントローラ3012は、ローカルコントローラ202と通信するように構成される。いくつかの実施形態では、各下位レベルコントローラ3012は、1つまたは複数のローカルコントローラと対応する。
【0063】
[0072] 上位レベルコントローラ3011は、また、以下の機能、充電のための各電気車両におけるバッテリーの要求されたエネルギーとアンシラリーサービスための利用可能な容量を評価すること、充電のために各電気車両におけるバッテリーの要求されたエネルギーとアンシラリーサービスのための評価された利用可能な容量値に従って、複数の電気車両
充電デバイスのための複数の下位レベルコントローラ3012にアンシラリーサービスオーダーを配布すること、を備える。
【0064】
[0073] 更に、下位レベルコントローラ3012は、アンシラリーサービス期間を、アンシラリーサービス提供時間と各電気車両
充電デバイスのためのバッテリー充電時間に分割するように構成される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の下位レベルコントローラ3012は、更に、アンシラリーサービスオーダーがアンシラリーサービス提供時間においてゼロであるときのインターバルの間、電気車両のバッテリーにおけるより多く/より少ないエネルギーを蓄積することによって、アンシラリーサービスのための準備をするように構成される。いくつかの場合には、1つまたは複数の下位レベルコントローラは、更に、アンシラリーサービス期間毎にバッテリー充電のために用いられる固定の時間を設定するよう構成される。固定された時間は、顧客による最終のエネルギー要求、バッテリーの充電状態(state of charge:SOC)、電気車両
充電デバイスの最大
電力容量、および、1つのアンシラリーサービス期間におけるアンシラリーサービスのための時間長の数理統計の関数である。
【0065】
[0074]
図4は、アンシラリーサービスオーダーをもった1つのAS規格の概略図を示す図である。図において、Pavg_acは、アンシラリーサービスオーダーがない場合のACサイドにおける1つの電気車両のバッテリーを充電/放電するために用いられる平均
電力である。Pavg_acは、1台の電気車両のバッテリーの要求されたエネルギーがEVCSに留まった電気車両の時間長を割った結果に等しい。一般に、時間長は、充電プロセスの前に電気車両の所有者によってコントロールシステム200に入力される。更に、S41とS42の領域は、時間インターバルt41とt42におけるアンシラリーサービスオーダーによって要求されるエネルギーを概略的に示し、正の
電力(
図4に示される)または負の
電力を表すことができる。
【0066】
[0075]
図5は、1つのAS期間における2つのモードの定義を示す。アンシラリーサービス期間は、各電気車両
充電デバイスについて、アンシラリーサービス提供時間とバッテリー充電時間に分割される。アンシラリーサービス提供時間の間、電気車両
充電デバイスはASサーバーモードで動作し、他方、バッテリー充電時間の間は、電気車両
充電デバイスはバッテリー充電器モードで動作する。
【0067】
[0076]
図5において、Pas_maxは、アンシラリーサービス
電力の最大値を示す。通常、EVCSが接続される配電網と契約をするとき、レギュレーションのためのアンシラリーサービス
電力の最大値を決める。そして、2つの方向があり、1つは上り(即ち、
電力がEVCSから配電網に送られる)と、もう一つは下り(即ち、
電力が配電網からEVCSに送られる)である。従って、Pas_maxは予め定められ、レギュレーションアップとレギュレーションダウンのそれぞれのためのアンシラリーサービス
電力の最大値を表す。
【0068】
[0077] 一実施形態において、バッテリー充電時間tas_maxは固定されており、配電網によって予め定められている。他の実施形態において、tas_maxは、顧客による最終エネルギー要求、バッテリーの充電状態(state of charge:SOC)、電気車両
充電デバイスの最大
電力容量、および、1つのアンシラリーサービス期間におけるアンシラリーサービスのための時間長の数理統計の関数であり、ここで、SOCは、バッテリーの充電容量と定格容量との間のパーセントである比率を示す。しかし、各電気車両について、tas_maxは1つの充電プロセスにおいて固定される。
【0069】
[0078] ASサーバーモードにおいて、EVは、アンシラリーサービスオーダーに従うために、ASサーバーとして働く。アンシアリーサービスオーダーは、配電網の要求に応じて変化し、それは、リアルタイムで、電気車両
充電デバイスによって従われるべきである。いくつかの場合には、例として上り方向を取ると、ASサーバーは、2つの部分に分割されることができる。
【0070】
[0079] アンシラリーサービスオーダー(Pas_ac)がゼロである場合、電気車両
充電デバイスは、来るべきアンシラリーサービス要求のための準備のために、より少ないエネルギーを充電することによって(S51,S53、S55の領域として示される)ASのための準備をする。アンシラリーサービスオーダー(Pas_ac)がゼロでない場合、電気車両
充電デバイスは、領域S52とS54で示されているように、リアルタイムサプライにおいて、アンシラリーサービスオーダーに従う。
【0071】
[0080] 一実施形態において、コントロールシステム200は、更に、SOCのフィードバック値を検出し、バッテリーのSOCが、SOC≧1 または SOC≦0のときにレンジに到達するか、レンジ外にあることを示すための信号を出力する。
【0072】
[0081] AS期間全体についてASサーバーモードを用い続けるならば、電気車両
充電デバイスは、リアルタイム応答で、AS
電力を提供することができるが、あまりに多すぎるエネルギーがアンシラリーサービスのために用いられるので、顧客によって要求されるエネルギー蓄積を保証することができない。例として、ASレギュレーションアップをとると、上記2つのターゲットを実現するために、電気車両
充電デバイスは、各AS期間の最後の時間(tas_max)の間にバッテリー充電器モードに変わる。
【0073】
[0082] しかし、温度が異なる季節で大きく変わる場合、バッテリー容量は、温度依存性の鉛電池の例では、大きな範囲で変化する。この状況に基づいて、セントラルコントローラ201は、ディレーティングオペレーションモード(de-rating operation mode:定格以下動作モード)で電気車両
充電デバイスを動作するよう構成される。例えば、周囲の温度が<10度Cである場合、電気車両
充電デバイスのオペレーション
電力容量PCAPは、電気車両
充電デバイスの公称容量の20%に等しく、周囲の温度が10度Cより大きく20度Cより少ない場合、PCAPは、電気車両
充電デバイスの公称容量の40%に等しく、周囲の温度が20度Cより高い場合は、PCAPは、電気車両
充電デバイスの公称容量に等しい。このディレーティングオペレーションを用いて、電気車両のバッテリーを保護することができ、その寿命を延ばすことができる。
【0074】
[0083]
図6−8は、本開示の実施形態に従った、複数の電気車両
充電デバイスのAS期間を示す。いくつかの実施形態において、アンシラリーサービス期間は、フレキシブルに構成され得る。
【0075】
[0084]
図6乃至8から、予期される時間は、一般に、いくつかのAS期間と1つのAS期間の断片を備える。これらの場合には、AS期間の区分は、1つの電気車両駐車時間を複数のAS期間に配分するために用いられ、いくつのAS期間の顧客が止まり得るかかかわらず、1つの期間のEVCSコントロール制御ストラテジーの循環使用を実現するために役立ち得る。
【0076】
[0085]
図6に示されるように、顧客駐車時間を、複数の完全なAS期間に分割し、残りの時間を不完全なAS期間として残すことができる。これは、時間期間区分ストラテジーが、EV顧客が到着する時間を彼ら自身のタイムベースとみなす。電気車両がEVCSにランダムに到着する場合の、複数の電気車両
充電デバイスのためのバッテリー充電器(battery charger:BC)モードの配分が
図6に示され得る。複数の電気車両
充電デバイスのためのバッテリー充電器(BC)モードがランダムに分配され、従って、このストラテジーが、任意の時間にアンシラリーサービスに参加する電気車両があることを保証し得ることが、みられ得る。このストラテジーは、ランダムに到着する電気車両にとって好適である。
【0077】
[0086] 他方、電気車両が、ランダム特性なしにEVCSに規則的に到着する場合、
図6におけるアルゴリズムは、任意の時間にアンシラリーサービスに参加する電気車両があることを保証することができない。この場合には、
図7に示されるように、完全なAS期間であり得ないランダム値として、最初のAS期間の時間長を定義することができる。この場合、複数の電気車両
充電デバイスのBCモードは同時には生じない。
【0078】
[0087]
図6と7における2つの時間期間区分ストラテジーは、各AS期間の最後の時間にBCを用いることによって、顧客要求のエネルギー蓄積を保証することができる。しかし、顧客が、エネルギー蓄積上の限定されたエラーを許容する場合、BCモードは、また、
図8に示されているように、1つのAS期間の終わりにおける代わりに、1つのAS期間の始めまたは中間に指定されることができ得る。
【0079】
[0088] 一実施形態において、電気車両
充電デバイスは、単方向または双方向であり得る。単方向の電気車両
充電デバイスのために用いられるコントロールシステムの原理は、双方向電気車両
充電デバイスのために用いられるコントロールシステムのものと同じである。この明細書における説明は、主に、双方向電気車両
充電デバイスのために用いられるコントロールシステムに関する。単方向電気車両
充電デバイスのために用いられるコントロールシステムと双方向電気車両
充電デバイスのために用いられるコントロールシステムとの間に差はない。しかし、コントロールシステムは、単方向の
電力方向のハードウェア制限に注目し、
電力レンジ設定を[−Pa
s_max,Pa
s_max]から[0,Pa
s_max]に変更すべきである。
【0080】
[0089] 異なる容量を持った、ステーションにおけるいくつかの充電器がある場合、EVCSレベルでの総容量は、それら個々の容量の和である。更に、配電網のASルール(レギュレーションアップまたはダウン、レギュレーションアップおよびダウン)に従って、EVCSのAS容量(Pas_up_CAP_EVCS,Pas_down_CAP_EVCSを計算するための式は異なる。ここで、レギュレーションアップまたはダウンは、全ての電気車両
充電デバイスがレギュレーションアップまたはレギュレーションダウンのために働いていることを意味するが、レギュレーションアップおよびダウンは、レギュレーションアップのためにいくつかの電気車両
充電デバイスが働いており、いくつかがレギュレーションダウンのために働いていることを意味する。EVCSのアンシラリーサービス容量は、ASルールがレギュレーションアップ(式1)またはレギュレーションダウン(式2)である場合、以下のように決められる。
【0083】
ここで、nはEVSEの総数であり、Pas_up_CAP_iはi番目の電気車両
充電デバイスのレギュレーションアップのために用いられるアンシラリーサービス容量である。Pas_down_CAP_iは、i番目の電気車両
充電デバイスのレギュレーションダウンのために用いられるアンシラリーサービス容量である。
【0084】
[0090] EVCSのアンシラリーサービス容量は、ASルールがレギュレーションアップおよびダウンである場合、以下のように決定され得る。
【0087】
ここで、aはレギュレーションアップのために用いられる電気車両
充電デバイスの数であり、bはレギュレーションダウンのために用いられる電気車両
充電デバイスの数であり、nは電気車両
充電デバイスの総数で、n≧a+bである。Pas_up_CAP_iは、i番目の電気車両
充電デバイスのレギュレーションアップのために用いられるアンシラリーサービス容量であり、Pas_down_CAP_iは、i番目の電気車両
充電デバイスのレギュレーションダウンのために用いられるアンシラリーサービス容量である。
【0088】
[0091] EVCSのアンシラリーサービス容量に基づいて、コントロールシステム200は、リアルタイムで電気車両
充電デバイスの中にPCCでのAS
電力リファレンスを配分することができる。
【0089】
[0092] 例えば、アンシラリーサービスルールがレギュレーションアップおよびダウンである場合、いくつかの電気車両
充電デバイスがレギュレーションアップのために働き、いくつかがレギュレーションダウンのために働く。レギュレーションアップのために働く電気車両
充電デバイスについて、それらのリアルタイムの分配は、以下の式によって実行される。
【0091】
ここで、i=1,2、...aで、Pas_up_max_iはi番目の電気車両
充電デバイスのレギュレーションアップのために必要とされる最大アンシラリーサービス容量であり、Pas_up_CAP_iはi番目の電気車両
充電デバイスのレギュレーションアップのために利用可能なアンシラリーサービス容量であり、Pas_up_max_PCCは、PCCにおいてレギュレーションアップのために要求される最大アンシラリーサービスであり、Pas_up_CAP_EVCSは、EVCSのレギュレーションアップのために利用可能な全体のアンシラリーサービス容量である。Pas_down_max_i=0は、i番目の電気車両
充電デバイスがレギュレーションアップのためにだけ要求されることを示す。
【0092】
[0093] レギュレーションダウンのために働く電気車両
充電デバイスについて、それらのリアルタイムの配分は以下である。
【0094】
ここで、j=1、2、...bであり、Pas_down_max_jはj番目の電気車両
充電デバイスのレギュレーションダウンのために必要とされる最大アンシラリーサービス容量であり、Pas_down_CAP_jはj番目の電気車両
充電デバイスのレギュレーションダウンのために利用可能なアンシラリーサービス容量であり、Pas_down_max_PCCは、PCCにおいてレギュレーションダウンのために必要とされる最大アンシラリーサービスであり、Pas_down_CAP_EVCSは、EVCSのレギュレーションダウンのために利用可能な全体のアンシラリーサービス容量である。Pas_up_max_j=0は、j番目の電気車両
充電デバイスがレギュレーションダウンのためにだけ必要とされることを示す。
【0095】
[0094] 全ての電気車両
充電デバイスのためのアンシラリーサービスオーダー(Pas_PCC)のリアルタイム配分は、以下のとおりである。
【0097】
ここで、Pas_ac_iは、配電網のAC側においてi番目の電気車両
充電デバイスからの要求されたアンシラリーサービス
電力であり、Pas_PCCは、リアルタイムでアンシラリーサービスオーダーによって要求された
電力である。
【0098】
[0095] いくつかの実施形態において、電気車両
充電デバイスは、それが「バッテリー充電器(battery charger)」モードで働くとき、アンシラリーサービスを提供できず、EV顧客は、アンシラリーサービスオーダーに従うことなしにEVCSをランダムに去り得るので、エネルギー蓄積システム(energy storage system:ESS)がEVCSの中に加えられ得、コントロールシステム200は、対応して、ESSのために用いられるコントローラを有する。
【0099】
[0096] 例えば、ESSは、電気車両
充電デバイスが十分なAS
電力を提供することができない場合に
電力の損失をカバーするための
電力閉ループ制御を用いることによって、PCCポイントにおける
電力フローを制御するために用いられる。実効電力制御ループの
電力リファレンスPref_ESSは、PCCにおけるアンシラリーサービスオーダーであり、それはリアルタイムで配電網から受け取られる。EVCSの中に複数のESSがある場合、
電力リファレンスは以下の式のように配分され得る。
【0101】
ここで、P
ref_iは、i番目のESSの実効電力リファレンスである。P
ref_ESSは、閉ループの実効電力リファレンスであり、P
CAP_ESS_iはi番目のESSの実効電力の容量であり、Q
ref_iはi番目のESSの無効電力リファレンスであり、Q
ref_ESSは閉ループの無効電力リファレンスであり、Q
CAP_ESS_iはi番目のESSの無効電力の容量であり、nはESSの総数である。
【0102】
[0097]
図9は、本開示の実施形態に従った、EVCSを制御するための方法900のフローチャートを示す図である。方法は、対応するコントローラによって実行され得る。
【0103】
[0098] ステップ901において、方法900は、配電網からアンシラリーサービスオーダーを受け取ることを実行する。アンシラリーサービスオーダーはアンシラリーサービス期間毎に更新される。ここで、アンシラリーサービスオーダーは、接続された配電網へ/から送られるべきである電力の量を規定する。いくつかの実施形態において、ステップ901は、EVCSコントロールシステムにおいて、セントラルコントローラによって実行され得る。
【0104】
[0099] ステップ902において、方法900は、定期的に、1つまたは複数の下位レベルコントローラにアンシラリーサービスオーダーを配布することに進む。いくつかの場合には、方法900は、各電気車両におけるバッテリーの要求されるエネルギーとアンシラリーサービスのために利用可能な容量とを評価する。そして、ステップ902は、更に、各電気車両におけるバッテリーのリバリーされた(reburied)
エネルギー値とアンシラリーサービスのための評価された利用可能な容量に従って、複数の電気車両
充電デバイスにアンシラリーサービスオーダーを配布することを備える。更に、アンシラリーサービスのための利用可能な容量は、各電気車両におけるバッテリーの利用可能なエネルギーと各電気車両
充電デバイスの利用可能な
電力を備える。いくつかの実施形態において、ステップ902は、また、EVCSコントロールシステムにおけるセントラルプロセッサによって実行され得る。
【0105】
[00100] ステップ903において、方法900は、配布されたアンシラリーサービスオーダーに基づいて、複数の電気車両
充電デバイスを制御することを実行する。時には、方法900は、顧客の要求を入力としてとり、顧客の要求は、ASに参加する意志、充電ステーションに留まる予想時間、顧客が去るときの電気車両のバッテリーにおけるエネルギー蓄積の所望の値とを備える。ステップ903を実行するとき、アンシラリーサービス期間は、電気車両
充電デバイスについて、アンシラリーサービス提供時間とバッテリー充電時間とに分割する。
【0106】
[00101]
図10は、本開示の他の実施形態に従った、EVCSを制御するための方法のフローチャートを示す図である。
【0107】
[00102] ステップ1001において、充電のために各電気車両におけるバッテリーの要求されるエネルギーとアンシラリーサービスのために利用可能な容量が評価される。次に、方法はステップ1002に進み、アンシラリーサービスオーダーは、充電のための各電気車両において要求されるエネルギーとアンシラリーサービスのための評価された利用可能な容量値に従って、複数の電気車両
充電デバイスに配布される。ここで、アンシラリーサービスのための利用可能な容量は、各電気車両におけるバッテリーの利用可能なエネルギーと各電気車両
充電デバイスの利用可能な
電力を備える。ステップ1001と1002の両方は、セントラルコントローラの上位レベルコントローラによって実行され得る。
【0108】
[00103] ステップ1003において、アンシラリーサービス期間は、各電気車両
充電デバイスについて、アンシラリーサービス提供時間とバッテリー充電時間とに分割される。ステップ1003は、セントラルコントローラの下位レベルコントローラによって実行され得る。
【0109】
[00104] 一実施形態において、方法は、更に、アンシラリーサービスオーダーがアンシラリーサービス提供時間においてゼロであるときのインターバルの間、電気車両のバッテリーにおけるエネルギーをレギュレートすることによって、アンシラリーサービスの準備をすることを備える。
【0110】
[00105] 一実施形態において、方法は、更に、アンシラリーサービス期間毎に、バッテリー充電のために用いられる固定の時間を設定することを備える。
【0111】
[00106] 一実施形態において、バッテリー充電のために用いられる固定の時間は、電気車両の所有者による最終エネルギー要求、バッテリーの充電状態(state of charge:SOC)、電気車両
充電デバイスの最大
電力容量、1つのアンシラリーサービス期間におけるアンシラリーサービスのための時間長の数理統計の関数である。
【0112】
[00107] 一実施形態において、方法は、更に、EV供給デバイスディレーティングオペレーションを用いることによって、異なる季節におけるバッテリー容量での温度依存性を考慮することを備える。
【0113】
[00108] 一実施形態において、方法は、更に、異なる通信プロトコルを用いて複数の電気車両
充電デバイスを制御することを備える。
【0114】
[00109] 一実施形態において、方法は、更に、共通結合点(point of common coupling:PCC)における
電力変動によって影響される電力供給品質を改善するために、エネルギー蓄積システム(Energy Storage System:ESS)を用いた実効と無効電力の閉ループコントロールを用いることを備える。
【0115】
[00110] 一実施形態において、電気車両
充電デバイスは、単方向電気車両
充電デバイスと双方向電気車両
充電デバイスを備える。
【0116】
[00111] また、上述の実施形態は、開示を限定するのではなく、説明のために与えられていることが注記され、本技術に習熟した者は容易に理解するように、修正や変化は、本開示の精神や範囲から逸脱することなくとられ得ることが理解されるべきである。当該修正や変化は本開示や添付の「特許請求の範囲」の範囲の中に入るとみなされる。本開示の保護範囲は、添付の「特許請求の範囲」によって規定される。加えて、「特許請求の範囲」における参照符号のどれも、「特許請求の範囲」の限定として解釈されるべきではない。動詞「備える(comprise)」とその活用形の使用は、請求項に述べられたもの以外の要素やステップの存在を排除しない。要素またはステップに先行する不定冠詞「a」または「an」は、複数の当該要素またはステップの存在を排除しない。
以下に、本願出願当初に添付された特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
電気車両の充電ステーション(EVCS)のための制御システムであって、
配電網からアンシラリーサービスオーダーを受け、1つまたは複数のローカルコントローラに、定期的に、前記アンシラリーサービスオーダーを配布するよう構成されるセントラルコントローラと、
前記配布されたアンシラリーサービスオーダーに基づいて、リアルタイムで、複数の電気車両供給デバイスを制御するよう構成される前記1つまたは複数のローカルコントローラと、
を備え、
前記セントラルコントローラは、更に、各電気車両供給デバイスについて、アンシラリーサービス期間を、アンシラリーサービス提供時間とバッテリー充電時間とに分割するよう構成される、
コントロールシステム。
[C2]
前記セントラルコントローラは、更に、充電のための各電気車両におけるバッテリーの要求されたエネルギーとアンシラリーサービスのための利用可能な容量とを評価するよう構成される、[C1]に記載のコントロールシステム。
[C3]
前記セントラルコントローラは、更に、充電のための各電気車両におけるバッテリーの要求されたエネルギーとアンシラリーサービスのための前記評価された利用可能な容量値に従って、前記複数の電気車両供給デバイスに前記アンシラリーサービスオーダーを配布するよう構成される、[C2]に記載のコントロールシステム。
[C4]
アンシラリーサービスのための前記利用可能な容量は、各電気車両におけるバッテリーの利用可能なエネルギーと各電気車両供給デバイスの利用可能なパワーとを備える、[C2]または[C3]に記載のコントロールシステム。
[C5]
前記アンシラリーサービス期間はフレキシブルに構成される、[C1]に記載のコントロールシステム。
[C6]
各アンシラリーサービス期間における前記アンシラリーサービス提供時間と前記バッテリー充電時間のシーケンスは、フレキシブルに構成される、[C1]に記載のコントロールシステム。
[C7]
前記バッテリー充電時間は、前記アンシラリーサービス期間の最後にあり、または、前記アンシラリーサービス期間の始めにあり、または、前記アンシラリーサービス期間の任意の部分にある、[C6]に記載のコントロールシステム。
[C8]
セントラルコントローラは、更に、前記アンシラリーサービス提供時間において前記アンシラリーサービスオーダーがゼロのときのインターバルの間に、前記電気車両のバッテリーにおけるエネルギーをレギュレートすることによってアンシラリーサービスの準備をするよう構成される、[C1]に記載のコントロールシステム。
[C9]
前記セントラルコントローラは、更に、アンシラリーサービス期間毎にバッテリー充電のために用いられる固定された時間を設定するよう構成される、[C1]に記載のコントロールシステム。
[C10]
前記固定された時間は、顧客による最終エネルギー要求、バッテリーの充電状態(SOC)、前記電気車両供給デバイスの最大パワー容量、および、1つのアンシラリーサービス期間におけるアンシラリーサービスのための時間長の数理統計の関数である、[C9]に記載のコントロールシステム。
[C11]
前記セントラルコントローラは、動作状態とバッテリータイプに基づいてバッテリー容量を考慮することによって、前記電気車両供給デバイスをディレーティングオペレーションモードで動作するよう構成される、[C1]に記載のコントロールシステム。
[C12]
前記動作状態は、温度とバッテリーの寿命とを備える、[C11]に記載のコントロールシステム。
[C13]
前記セントラルコントローラは、共通結合点(PCC)におけるパワー変動によって影響を受ける電力供給品質を改善するために、エネルギー蓄積システム(ESS)を用いて、実効および無効電力の閉ループ制御を使用するよう構成される、[C1]に記載のコントロールシステム。
[C14]
前記セントラルコントローラは、サブステーションに設置され、または、マスター電気車両供給デバイスに設置され、または、コントロールルームまたはコントロールプラットホームに設置される、[C1]または[C2]に記載のコントロールシステム。
[C15]
前記1つまたは複数のローカルコントローラは、入力として顧客の要求をとり、前記顧客の要求は、アンシラリーサービスへの参加の意思と、前記EVCSに留まる予想時間と、顧客が去る時の電気車両のバッテリーにおけるエネルギー蓄積の所望の値との少なくとも1つを備える、[C1]または[C2]に記載のコントロールシステム。
[C16]
前記セントラルコントローラは、異なる通信プロトコルを用いて前記1つまたは複数のローカルコントローラと通信するよう構成される、[C1]または[C2]に記載のコントロールシステム。
[C17]
前記電気車両供給デバイスは、単方向電気車両供給デバイスと双方向電気車両供給デバイスを備える、[C1]または[C2]に記載のコントロールシステム。
[C18]
電気車両の充電ステーション(EVCS)を制御する方法であって、
配電網からアンシラリーサービスオーダーを受けることと、
1つまたは複数の下位レベルコントローラに、定期的に、前記アンシラリーサービスオーダーを配布することと、
前記配布されたアンシラリーサービスオーダーに基づいて、リアルタイムで、複数の電気車両供給デバイスを制御することと、
各電気車両供給デバイスについて、アンシラリーサービス期間を、アンシラリーサービス提供時間とバッテリー充電時間とに分割することと、
を備える方法。
[C19]
充電のために各電気車両におけるバッテリーの要求されたエネルギーとアンシラリーサービスのための利用可能な容量値を評価することを更に備える、[C18]に記載の方法。
[C20]
1つまたは複数の下位レベルコントローラに、定期的に、アンシラリーサービスオーダーを配布することは、更に、充電のための各電気車両におけるバッテリーの要求されたエネルギーとアンシラリーサービスのための前記評価された利用可能な容量とに従って、複数の電気車両供給デバイスに前記アンシラリーサービスオーダーを配布することを備える、[C19]に記載の方法。
[C21]
アンシラリーサービスのための前記利用可能な容量は、各電気車両における前記バッテリーの利用可能なエネルギーと各電気車両供給デバイスの利用可能なパワーとを備える、[C19]または[C20]に記載の方法。
[C22]
前記アンシラリーサービス期間はフレキシブルに構成される、[C18]に記載の方法。
[C23]
各アンシラリーサービス期間における前記アンシラリーサービス提供時間と前記バッテリー充電時間のシーケンスは、フレキシブルに構成される、[C18]に記載の方法。
[C24]
前記バッテリー充電時間は、アンシラリーサービス期間の最後にあり、または、前記アンシラリーサービス期間の始めにあり、または、前記アンシラリーサービス期間の任意の部分にある、[C23]に記載の方法。
[C25]
前記アンシラリーサービス提供時間において前記アンシラリーサービスオーダーのときのインターバルの間、前記電気車両のバッテリーにおけるエネルギーをレギュレートすることによってアンシラリーサービスの準備をすることを更に備える、[C18]に記載の方法。
[C26]
アンシラリーサービス期間毎にバッテリー充電のために用いられる固定された時間を設定することを更に備える、[C18]に記載の方法。
[C27]
前記固定された時間は、顧客による最終エネルギー要求、バッテリーの充電状態(SOC)、前記電気車両供給デバイスの最大パワー容量、および、1つのアンシラリーサービス期間におけるアンシラリーサービスのための時間長の数理統計の関数である、[C26]に記載の方法。
[C28]
動作状態とバッテリータイプに基づいてバッテリー容量を考慮することによって、前記電気車両供給デバイスをディレーティングオペレーションモードで動作することを更に備える、[C18]に記載の方法。
[C29]
前記動作状態は、温度とバッテリーの寿命を備える、[C28]に記載の方法。
[C30]
共通結合点(PCC)におけるパワー変動によって影響される電力供給品質を改善するために、エネルギー蓄積システム(ESS)を用いた閉ループ制御を使用することを更に備える、[C18]または[C19]に記載の方法。
[C31]
入力として顧客の要求をとることを更に備え、顧客の前記要求は、アンシラリーサービスへの参加の意志と、前記EVCSに留まる予想時間と、顧客が去る時の前記電気車両のバッテリーにおけるエネルギー蓄積の所望の値との少なくとも1つを備える、[C18]または[C19]に記載の方法。
[C32]
異なる通信プロトコルを用いて前記複数の電気車両供給デバイスを制御することを更に備える、[C18]または[C19]に記載の方法。
[C33]
前記電気車両供給デバイスは、単方向電気車両供給デバイスと双方向電気車両供給デバイスを備える、[C18]または[C19]に記載の方法。