(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408047
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】レーザービームを用いて印刷物質を基板に転写する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B41M 5/46 20060101AFI20181004BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20181004BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20181004BHJP
【FI】
B41M5/46 510
B23K26/00 B
B23K26/00 N
B23K26/082
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-23142(P2017-23142)
(22)【出願日】2017年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-149143(P2017-149143A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年2月10日
(31)【優先権主張番号】16401014.2
(32)【優先日】2016年2月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】399007154
【氏名又は名称】エル・ピー・ケー・エフ・レーザー・ウント・エレクトロニクス・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ウード・ビュンティング
(72)【発明者】
【氏名】ロク・ペトコヴシェク
(72)【発明者】
【氏名】ボスジャン・ポドブニク
(72)【発明者】
【氏名】ローマン・オストホルト
【審査官】
樋口 祐介
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第19829684(DE,A1)
【文献】
特開平07−256902(JP,A)
【文献】
特開2010−089505(JP,A)
【文献】
特開2004−136494(JP,A)
【文献】
特開平08−023422(JP,A)
【文献】
特開昭62−242555(JP,A)
【文献】
特開2008−059701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M5/382−5/52
B41J2/315−2/345
2/42−2/425
2/475−2/48
H01S3/00−3/02
3/04−3/0959
3/105−3/131
3/136−3/213
3/23−4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイバ増幅器を備えたレーザービーム源の出力電力(AL)によるレーザービーム(5)を用いて、特に、膜として、支持体(1)上に事前に準備された印刷物質(2)を基板(3)に転写する方法であって、レーザービーム(5)と支持体(1)が互いに相対的に動かされ、その際、動作フェーズ(AP)でのみ印刷物質(2)が転写され、非動作フェーズ(PP)では、印刷物質(2)が転写されないように、レーザービーム源の出力電力(AL)が時間的に変調される方法において、
第一の種レーザー(SL1)と第二の種レーザー(SL2)のレーザービームをファイバ増幅器に入力結合することが可能であり、ファイバ増幅器の出力側では、入力結合された第二の種レーザー(SL2)のレーザービームだけがビームダンプに偏向され、
非動作フェーズ(PP)では、第二の種レーザー(SL2)のレーザービームだけがファイバ増幅器に入力結合され、動作フェーズ(AP)では、第一の種レーザー(SL1)のレーザービームだけがファイバ増幅器に入力結合され、
動作フェーズ(AP)のスタート時における印刷物質(2)を転写する第一の時間期間(ZR1)の間に、レーザービームの上方の電力閾値(OLS)を上回る出力電力(AL)の短時間の超過によって、転写プロセスが作動され、この第一の時間期間(ZR1)に続く動作フェーズ(AP)の第二の時間期間(ZR2)では、この出力電力(AL)が、上方の電力閾値(OLS)と下方の電力閾値(ULS)の間の範囲内で特に一定に設定され、
第一の時間期間(ZR1)の間の出力電力(AL)の超過が、それに先行する、第一の種レーザー(SL1)と第二の種レーザー(SL2)のレーザービームの何れもファイバ増幅器に入力結合されない暗フェーズ(DP)により発生、設定される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
動作フェーズ(AP)の第一の時間期間(ZR1)が、動作フェーズ(AP)の第二の時間期間(ZR2)よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一の時間期間(ZR1)の時間長が1nsよりも短いことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
動作フェーズ(AP)の時間長が10ns以内であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
ファイバ増幅器内に発生する可能性の有るブリュアン散乱を抑制するために二つの種レーザー(SL1,SL2)が短時間の間スイッチオフされ、その短時間のスイッチオフの時間長が、100ns以内であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
支持体(1)上におけるレーザービーム(5)の衝突点の相対移動速度が10m/s以上であることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
支持体(1)が、レーザービーム(5)の波長の光を部分的に透過することを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
支持体(1)が、ビームのエネルギーを熱に変換する、レーザー波長の光を吸収する膜を塗布されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
レーザービーム(5)が支持体(1)の印刷物質(2)と相互作用する相互作用ゾーンが縞形状であることと、
レーザービーム(5)が、ほぼこの相互作用ゾーンに沿って動かされることと、
を特徴とする請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一つに基づき支持体(1)から基板(3)に印刷物質(2)を転写する方法を実施するための装置であって、印刷物質(2)を塗布された支持体(1)と、レーザービーム(5)を照射する動作フェーズ(AP)及びレーザービーム(5)を照射しない非動作フェーズ(PP)により時間的に変調可能である、ファイバ増幅器を備えたレーザービーム源と、レーザービーム(5)を偏向する光学機器(4)とから構成される装置において、
第一の種レーザー(SL1)と第二の種レーザー(SL2)のレーザービームをファイバ増幅器に入力結合することが可能であり、ファイバ増幅器の出力側では、入力結合された第二の種レーザー(SL2)のレーザービームだけがビームダンプに偏向され、
非動作フェーズ(PP)では、第二の種レーザー(SL2)のレーザービームだけがファイバ増幅器に入力結合され、動作フェーズ(AP)では、第一の種レーザー(SL1)のレーザービームだけがファイバ増幅器に入力結合され、
動作フェーズ(AP)のスタート時における印刷物質(2)を転写する第一の時間期間(ZR1)の間に、レーザービーム(5)の上方の電力閾値(OLS)を上回る出力電力(AL)の短時間の超過によって、転写プロセスが作動され、この第一の時間期間(ZR1)に続く動作フェーズ(AP)の第二の時間期間(ZR2)では、この出力電力(AL)が、上方の電力閾値(OLS)と下方の電力閾値(ULS)の間の範囲内で特に一定であり、
第一の時間期間(ZR1)の間の出力電力(AL)の超過が、それに先行する、第一の種レーザー(SL1)と第二の種レーザー(SL2)のレーザービームの何れもファイバ増幅器に入力結合されない暗フェーズ(DP)により発生、設定される、
ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅器を備えたレーザービーム源のレーザービームを用いて、特に、膜として、支持体上に事前に準備された印刷物質を基板に転写する方法及び装置であって、レーザービームと支持体が互いに相対的に動かされ、その際、レーザービーム源の動作フェーズでのみ、レーザービームを用いて、印刷物質が転写され、レーザービーム源の非動作フェーズでは、印刷物質が転写されないように、レーザービーム源の出力電力が時間的に変調される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記の形式の印刷方法は、例えば、塗料又は糊のデジタル印刷で用いられている。所謂レーザー転写印刷方法では、レーザー装置のレーザービームは、印刷媒体、例えば、カプセル内に収容された糊又はインクの透明な支持体を通過する方向に向けられている。そのエネルギーの投入によって、カプセルの内容物が基板に転写される。
【0003】
そのために、レーザービームは、光学機器を用いて、支持体上を動かされる。それと同時に、レーザービーム源の出力電力は、動作フェーズでのみ印刷物質が転写され、非動作フェーズでは印刷物質が転写されないように時間的に変調される。
【0004】
そのような方法の基本原理は特許文献1により周知である。その場合、基板は、レーザービームを透過する成膜された支持体に対向している。その膜は、支持体を通してレーザービームを照射されると、その膜の材料の一部が蒸発する。それが、基板への蒸発しない成分の転写を引き起こす。
【0005】
特許文献2により、多数の小カップを備えた円筒形で透明な印刷フォームに印刷物質を転写する方法が周知である。エネルギー発生機器、例えば、レーザービーム源を用いて、体積又は位置の変化を引き起こすことによって、印刷物質が、小カップから印刷素材に転写される。
【0006】
特許文献3により、レーザー印刷用の装置及び方法が周知である。その場合、例えば、紙から成る印刷支持体が使用され、その表面は、印刷塗料を含有するマイクロカプセルを塗布されている。そのようなマイクロカプセルに当たるレーザービームは、そのカプセルを破裂させる。例えば、ライン形状の走査によって、それに対応する画素が、レーザービームを用いた活性化により作り出されることによって、印刷画像が出現する。各画素において印刷塗料を転写すべきか否かに応じて、相当数の画素では、レーザーが作動され、それ以外では、照射が中断される。
【0007】
それに対して、レーザーの過渡フェーズの間に発生する、スパイク現象とも呼ばれる望ましくない効果が邪魔であることが分かっている。レーザー照射が僅かに数マイクロ秒の時間長の間に中断された後では、第一のパルスは、大きく変化する強度を有し、大抵はスタート時における明らかな急上昇、所謂スパイクによって特徴付けられる。それは、印刷プロセスにおいて、レーザー照射が中断されたか否かに応じて、大きく異なり過ぎる結果を引き起こす。
【0008】
特許文献4により、強度を制御可能な二つのレーザーダイオードのビームが、別個のポンプ源によりポンプされるファイバレーザーに入力結合されるレーザー装置が周知である。変調のために、それらのレーザーダイオードが逆相で、即ち、交互に駆動されており、その結果、レーザーダイオードの電力の合計が一定である。その変調は、一方のレーザーダイオードの制御によって行なわれる一方、他方のレーザーダイオードは、ファイバレーザーの全体的な電力を一定に保つ役割を果たしている。有効なビームを照射する、そのレーザー装置の動作フェーズでは、第一のレーザーダイオードが動作し、出力ビームが、例えば、ビームダンプに偏向されて、レーザービーム源が効果的にスイッチオフされる非動作フェーズでは、第二のレーザーダイオードが動作する。ファイバ増幅器が常に一定の電力を印加され、それにより飽和状態に保持されることによって、ファイバ増幅器の望ましくない自然放出が完全に抑制されて、高いコントラストが得られている。
【0009】
前述したレーザー装置の改善策が、特に、特許文献5に見い出される。そこには、レーザーダイオードから照射されるようなレーザービームの非常に狭い帯域幅における高い電力密度では、光学素子を破壊する可能性が有るブリュアン散乱がファイバ増幅器内に発生すると記載されている。それは、例えば、明らかに広い帯域幅の照射を引き起こす周期的な中断をレーザーダイオードの制御信号に加えることによって防止することができる。
【0010】
支持体から基板に印刷物質を転写するためにレーザービームを使用する場合、先ずはそのプロセスを始動させた後、転写プロセスを維持するために、レーザービーム源の一定の出力電力を保証する必要が有る。研究室の実験において、驚くべきことに、そのためには、レーザービーム源の一定の出力電力が最適でないことが明らかとなった。
【0011】
それは、常に一定の出力電力がプロセスを始動させるには低過ぎるからである。それは、ビーム源の動作フェーズのスタート時に直ぐには転写プロセスが始まらないようにし、それが、転写プロセスの空間分解能を低下させることとなる。さもなければ、一定の出力電力が、動作フェーズのスタート時に直ぐに転写プロセスを作動させるには十分に大きい。しかし、印刷プロセスが作動された後では、その電力は大き過ぎて、それが、印刷物質の不均一な転写を引き起こすこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際特許公開2002第092674号明細書
【特許文献2】ドイツ特許第19746174号明細書
【特許文献3】英国特許公開第2173452号明細書
【特許文献4】ドイツ特許第19829684号明細書
【特許文献5】米国特許公開第2011/0085149号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記の背景技術に鑑みて、本発明の課題は、時間的に一定であるとともに、高い空間分解能を実現可能とする印刷物質の転写を実現することである。更に、本発明の課題は、その方法を実施するための装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の第一の課題は、本発明による請求項1の特徴を有する方法により解決される。本発明の更なる実施形態は、従属請求項から読み取ることができる。
【0015】
本発明では、動作フェーズのスタート時における印刷物質を転写する第一の時間期間の間に、レーザービームの上方の電力閾値を上回る出力電力の短時間の超過によって、転写プロセスが作動され、この短時間の超過後における第一の時間期間に続く動作フェーズの第二の時間期間では、ブリュアン散乱を抑制するための短時間の中断を除いて、出力電力が、上方と下方の電力閾値の間の範囲内で特に一定に設定される方法が規定される。
【0016】
本発明では、レーザービーム源の増幅器内での反転した超過により発生するレーザービームの出力電力の短時間の超過によって、転写プロセスが作動されることにより、印刷物質は、レーザービーム源のレーザービームを用いて、支持体から基板に転写される。この短時間の超過直後における動作フェーズの時間長の間、出力電力が、短時間の超過よりも低いレベルで一定に保持される。
【0017】
このビーム源の出力電力の所望の時間的な推移は、ほぼ互いに逆相に照射する二つの種レーザーからビーム源の増幅器に電力を印加した場合に実現可能となる。第一の種レーザーの増幅されたビームは、転写プロセス用の有効ビームとして使用され、第二の種レーザーの増幅されたビームは、例えば、ビームダンプに偏向される。このビームは、単に、ビーム源の非動作フェーズにおいて、増幅器内での反転を飽和状態で一定に保持する役割を果たす。この転写プロセスの初期化に必要なビーム源の出力電力の時間的な超過は、暗フェーズ後に発生する、増幅器内での反転した超過によって実現される。そのために、ビーム源の二つの種レーザーが動作フェーズのスタート前に短時間スイッチオフされる。動作フェーズのスタート時に、第一の種レーザーが再びスイッチオンされると、増幅器内での超過した反転が解消され、それにより、明らかにより高い出力電力が短時間照射される。本発明では、そのようにして、短時間の超過、即ち、上方の電力閾値を上回る出力電力の振幅が、暗フェーズの時間長によって設定される。
【0018】
この短時間の超過に続いて、増幅器は、更に、第一の種レーザーの一定の出力電力を印加され、それによって、増幅器内での反転が、再び、時間的に一定の値を採る。それにより、レーザービーム源の出力電力も時間的に一定となるが、短時間の超過中のレベルよりも低いレベルで一定となる。
【0019】
それにも関わらず、前述したブリュアン散乱の問題は、レーザーダイオードの駆動の周期的な中断によって抑制することができ、その理由は、その中断が転写プロセスを不活性化させることから、そのプロセスに何らの作用を及ぼさない程短く選定できるからである。
【0020】
レーザービームを支持体上に動かすための光学機器は、例えば、ガルバノメータスキャナ、ポリゴンスキャナ、光電式偏向器又は音響光学式偏向器とすることができる。
【0021】
この光学機器は、ほぼ一つの線に沿ってレーザービームを偏向させる。それによって、レーザービームが支持体の材料又は印刷物質と相互作用する相互作用ゾーンが縞形状に作り出される。この場合、縞形状のゾーンの長さは、その幅よりも明らかに大きい。
【0022】
このレーザービームは、有利には、支持体上を10m/s以上の軌道に沿った速度で動かされる。
【0023】
これらの支持体と縞形状の相互作用ゾーンは、この転写プロセスにより、印刷物質が転写された領域と印刷物質が転写されなかった領域から成る二次元の模様を発生できるように互いに相対的に動かされる。
【0024】
有利には、支持体の移動は、縞形状の相互作用ゾーンが大きく拡大する部分に対して直角に行なわれる。
【0025】
この支持体は、転写プロセスの間に、印刷物質を塗布される。従って、連続した転写を実現可能とするためには、支持体上に印刷物質を再生しなければならない。そのために、例えば、支持体を連続して通過させる、コーティング機が使用される。転写プロセスの高い空間分解能を高い生産性で達成するためには、動作フェーズの最短時間長が10nsを上回らないようにするのが、有利には、約1nsとするのが有利である。
【0026】
それに対応して、出力電力の短時間の超過の時間長を明らかに1nsよりも短くするのが有利である。印刷物質の転写を実現可能とするためには、支持体は、有利には、レーザービームの波長を少なくとも部分的に透過させる。それは、レーザービームと印刷物質の間の最適な相互作用を実現可能とする。そして、印刷物質へのエネルギーの投入によって、転写プロセスが作動される。
【0027】
本発明による別の実施形態は、支持体上に塗布された、レーザー波長を大きく吸収する膜を使用するものである。
【0028】
次に、その膜の上に印刷物質が塗布される。この吸収膜に対するレーザービームの作用によって、この膜が加熱される。そして、印刷物質への熱の伝導が転写プロセスを作動する。
【0029】
この転写プロセスは、一般的にほぼ全ての材料を用いて実施可能である。しかし、本発明では、有利には、粘度が106Ps・s以内の液体の印刷物質が用いられる。
【0030】
更に、本発明の課題は、レーザービームを用いて印刷物質を転写する装置において、支持体に印刷物質を塗布して、レーザービームを照射する動作フェーズとレーザービームを照射しない非動作フェーズにより時間的に変調されたレーザービーム源を用いて転写を作動する装置によっても解決される。
【0031】
このレーザービームは、光学機器を用いて、支持体上を動かされる。動作フェーズのスタート時に短い遅延で転写プロセスを作動するために、動作フェーズのスタート時には、レーザービーム源が、より大きな出力電力で短時間照射する。それに続いて、ビーム源は、動作フェーズの時間長の間、より小さい一定の電力で照射する。
【0032】
本発明は、様々な実施構成を許容する。以下では、その基本原理を更に明らかにするために、それらの中の幾つかを図面に図示して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】支持体から基板に印刷物質を転写する装置の基本構成図
【
図2】エンドレスに巡回する支持体を備えた、
図1に図示された装置の変化形態の図
【
図3】
図1及び2に図示された装置の二つの種レーザーの各出力電力の推移の模式的なグラフ
【
図4】
図3に図示された推移から得られる、本装置の全体出力電力の推移の模式的なグラフ
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明による転写プロセスを実施するための装置の簡単な実施構成を図示している。静止した、或いは固定位置の支持体1は、印刷物質2から成る膜を有する。この印刷物質2を基板3に転写するために、光学機器4は、図示されていないレーザービーム源のレーザービーム5を印刷物質2を有する支持体1に偏向させる。この熱エネルギーの投入の結果、印刷物質は、選択的に、或いは位置分解された形で、例えば、点形状又は線形状で支持体1から基板3に転写される。レーザービーム5の偏向に追加して、更に、特に、並進的に動くように、支持体1及び/又は基板3を構成し、そのようにして、利用可能な動作空間を拡大することもできる。
【0035】
図2は、本装置の別の実施構成を図示している。この場合、支持体1は、エンドレスに巡回するベルトとして構成され、特に、4つのリターンローラ6を介して連続して案内されている。この支持体1は、その基板3の方を向いた側に、印刷物質2を全面に塗布される。連続した転写を実現可能にするとともに、特に、本装置の動作時の望ましくない停止状態を防止するために、支持体1上における印刷物質2は、周期的に、或いは連続して再生される。支持体1を連続して通過させるコーティング機7が、その役割を果たす。
【0036】
基板3への転写は、又もや、光学機器4により支持体1の膜と逆側に偏向されるレーザービーム5の熱エネルギーの投入によって作動され、そのようにして、印刷物質2が基板3に転写される。
【0037】
図3は、別に図示されていないレーザービーム源を共に構成する、動作フェーズAPと非動作フェーズPPで交互に動作する二つの種レーザーSL
1,SL
2の各出力電力の推移を模式的に図示している。これら二つの種レーザーSL
1,SL
2の少なくともほぼ同じ出力電力AL
1又はAL
2によるほぼ逆相の動作によって、レーザービーム源の増幅器での反転が飽和状態で一定に保持される。
【0038】
動作フェーズAPのスタート前に、二つの種レーザーSL
1,SL
2は、短時間スイッチオフされ、それは、増幅器がレーザービームを印加されない暗フェーズDPを発生させる。動作フェーズAPのスタート時に、第一の種レーザーSL
1がスイッチオンされる。その結果得られる、
図1及び2に図示されている通り、印刷物質2を有する支持体1にレーザービーム5として偏向される、レーザービーム源の増幅器の全体出力電力ALは
図4に図示されている。
【0039】
この先行する暗フェーズDPは、動作フェーズAPのスタート時における第一の時間期間ZR
1の間に、上方の電力閾値OLSを上回る増幅器の全体出力電力ALの超過を引き起こし、それにより、転写時に遅延が避けられない従来技術に対して、動作フェーズAPのスタート時に早くも印刷物質2の転写を実施することとなる。
【0040】
この第一の時間期間ZR
1に続く、全体出力電力ALの短時間の超過後の動作フェーズAPの第二の時間期間ZR
2では、全体出力電力は、上方の電力閾値OLSと下方の電力閾値ULSの間の範囲内で極めて一定に保持される。本発明では、この電力の超過は、暗フェーズDPの時間長によって設定される。
【符号の説明】
【0041】
1 支持体
2 印刷物質
3 基板
4 機器
5 レーザービーム
6 リターンローラ
7 コーティング機
AP 動作フェーズ
PP 非動作フェーズ
DP 暗フェーズ
ZR
1 第一の時間期間
ZR
2 第二の時間期間
SL
1 種レーザー
SL
2 種レーザー
AL 全体出力電力
AL
1 出力電力
AL
2 出力電力
OLS 上方の電力閾値
ULS 下方の電力閾値