特許第6408090号(P6408090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6408090推定装置、推定方法、および推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6408090
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】推定装置、推定方法、および推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20181004BHJP
【FI】
   G06Q30/02 310
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-154655(P2017-154655)
(22)【出願日】2017年8月9日
【審査請求日】2018年3月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 潔
(72)【発明者】
【氏名】田島 玲
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博基
(72)【発明者】
【氏名】中辻 昭宏
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−102849(JP,A)
【文献】 特開2014−229252(JP,A)
【文献】 特開2015−026311(JP,A)
【文献】 特開2002−024472(JP,A)
【文献】 特開2004−038317(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0035986(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が入力した入力情報を収集する収集部と、
前記入力情報に含まれる情報であって供給対象となる製品を示す製品情報と当該製品情報が示す製品の属性を示す属性情報とを抽出し、当該抽出した製品情報が示す製品を製造する際の段階的な製造工程のうち当該抽出した属性情報と対応する工程を特定し、当該抽出した属性情報に基づいて、特定した工程における需要を推定する推定部と
を有することを特徴とする推定装置。
【請求項2】
利用者が入力した入力情報を収集する収集部と、
地域ごとに特定された傾向であって、当該地域と紐付けられる入力情報の内容と、当該入力情報が示す製品に対する需要であって当該入力情報と紐付けられる地域における需要との間の関係性の傾向に基づいて、所定の地域と紐付けられる入力情報であって所定の製品を示す入力情報から、当該所定の地域における当該所定の製品の需要を推定する推定部と
を有することを特徴とする推定装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記製品を供給する工程と対応する需要をそれぞれ推定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の推定装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記製品を供給する工程と対応する需要として、当該製品の生産数に関する需要、当該製品を生産する地域に関する需要、または、生産された前記製品を保管する地域に関する需要の少なくともいずれか1つを推定する
ことを特徴とする請求項に記載の推定装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記入力情報に含まれる情報であって供給対象となる製品を示す製品情報と、当該製品情報が示す製品の属性を示す属性情報とを前記入力情報から抽出し、抽出した製品情報と前記属性情報と前記入力情報に紐付けられる地域とに基づいて、前記製品情報が示す製品のうち前記属性情報が示す属性を有する製品の前記地域における需要を推定する
ことを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記製品を供給する各工程のうち、前記属性情報が示す属性と対応する工程における需要を推定する
ことを特徴とする請求項に記載の推定装置。
【請求項7】
前記推定部は、前記製品の種別を示す文字列を前記入力情報から抽出し、抽出した文字列が示す種別の製品の需要であって、当該入力情報と紐付けられる地域における需要を推定する
ことを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項8】
前記推定部は、前記製品の名称を示す文字列を前記入力情報から抽出し、抽出した文字列が示す名称の製品の需要であって、当該入力情報と紐付けられる地域における需要を推定する
ことを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項9】
前記推定部は、前記入力情報と紐付けられる地域として、当該入力情報を前記利用者が入力した地域に基づいて、前記製品の前記地域における需要を推定する
ことを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項10】
前記推定部は、前記入力情報から地域を示す文字列を抽出し、前記入力情報と紐付けられる地域として、抽出した文字列が示す地域に基づいて、前記製品の前記地域における需要を推定する
ことを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項11】
前記推定部は、地域ごとに、当該地域と紐付けられる入力情報が示す前記製品の需要の傾向を推定し、推定結果に基づいて、前記製品の前記地域における需要を推定する
ことを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項12】
前記推定部は、地域ごとに、前記製品の前記地域における需要を推定し、
前記推定部により前記製品の前記地域における需要が推定された場合は、当該地域において当該製品を供給する供給者に対して、当該推定された需要を提供する提供部
を有することを特徴とする請求項1〜1のうちいずれか1つに記載の推定装置。
【請求項13】
推定装置が実行する推定処理であって、
利用者が入力した入力情報を収集する収集工程と、
前記入力情報に含まれる情報であって供給対象となる製品を示す製品情報と当該製品情報が示す製品の属性を示す属性情報とを抽出し、当該抽出した製品情報が示す製品を製造する際の段階的な製造工程のうち当該抽出した属性情報と対応する工程を特定し、当該抽出した属性情報に基づいて、特定した工程における需要を推定する推定工程と
を含むことを特徴とする推定方法。
【請求項14】
利用者が入力した入力情報を収集する収集手順と、
前記入力情報に含まれる情報であって供給対象となる製品を示す製品情報と当該製品情報が示す製品の属性を示す属性情報とを抽出し、当該抽出した製品情報が示す製品を製造する際の段階的な製造工程のうち当該抽出した属性情報と対応する工程を特定し、当該抽出した属性情報に基づいて、特定した工程における需要を推定する推定手順と
を実行させるための推定プログラム。
【請求項15】
推定装置が実行する推定処理であって、
利用者が入力した入力情報を収集する収集工程と、
地域ごとに特定された傾向であって、当該地域と紐付けられる入力情報の内容と、当該入力情報が示す製品に対する需要であって当該入力情報と紐付けられる地域における需要との間の関係性の傾向に基づいて、所定の地域と紐付けられる入力情報であって所定の製品を示す入力情報から、当該所定の地域における当該所定の製品の需要を推定する推定工程と
を含むことを特徴とする推定方法。
【請求項16】
利用者が入力した入力情報を収集する収集手順と、
地域ごとに特定された傾向であって、当該地域と紐付けられる入力情報の内容と、当該入力情報が示す製品に対する需要であって当該入力情報と紐付けられる地域における需要との間の関係性の傾向に基づいて、所定の地域と紐付けられる入力情報であって所定の製品を示す入力情報から、当該所定の地域における当該所定の製品の需要を推定する推定手順と
を実行させるための推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定装置、推定方法、および推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品を生産する際の効率を向上させることで、コストダウンを図る技術が知られている。このような技術の一例として、車両等といった製品を構成する部品の搭載位置の最適化を図ることで、部品や製品の共用化を実現する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−208517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、必ずしも効率化を実現できない場合がある。
【0005】
例えば、上記の従来技術では、車両の種別に寄らず、車体フレームを共用することでコストダウンを図るが、このような技術では、地域ごとに生じる利用者のニーズを生産工程に反映させることができるとは言えない。このため、例えば、ある工場の近くでは赤い車体の車両が所望されているとしても、青い車体の車両を多く生産してしまう恐れがある。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、製品の生産効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る推定装置は、利用者が入力した入力情報を収集する収集部と、前記入力情報に含まれる情報であって供給対象となる製品を示す製品情報と、前記入力情報と紐付けられる地域とに基づいて、前記製品の前記地域における需要を推定する推定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、製品の生産効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る情報提供装置の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る情報提供装置の構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る検索履歴データベースの一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る投稿データベースの一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る需要データベースの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る推定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る推定装置、推定方法、および推定プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る推定装置、推定方法、および推定プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.情報提供装置の一例〕
まず、図1を用いて、実施形態に係る推定装置の一例である情報提供装置10の一例について説明する。図1は、実施形態に係る情報提供装置の一例を示す図である。図1では、推定装置の一例である情報提供装置10によって実行される推定処理の一例として、地域A1や地域A2で生産、保管、販売等される製品(例えば、車両)の需要を地域A1、A2ごとに推定し、推定結果を各地域A1、A2で製品を供給する供給者に対して提供する処理の一例について説明する。
【0012】
図1に示す情報提供装置10は、推定処理を行う情報処理装置であり、例えば、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。例えば、情報提供装置10は、各利用者U1〜U6(以下、「利用者U」と総称する場合がある。)が使用する利用者端末101〜106(以下、「利用者端末100」と記載する場合がある。)とインターネット等のネットワークN(例えば、図2参照)を介して通信可能である。また、情報提供装置10は、供給者F0、F1、F2が使用する供給者端末200(例えば、図2参照)と通信可能である。なお、情報提供装置10は、任意の数の利用者端末100や供給者端末200と通信可能であってよい。
【0013】
利用者端末100は、利用者Uにより利用されるPC(Personal Computer)やスマートフォン等の情報処理端末である。例えば、利用者端末100は、インターネット等のネットワークN(例えば、図2参照)を介して、情報提供装置10と通信可能である。なお、図1での図示は省略しているが、情報提供装置10は、さらに任意の数の利用者端末と通信可能であってもよい。
【0014】
このような利用者端末100は、利用者Uが入力した各種の情報をネットワーク上に出力する機能を有する。例えば、利用者端末100は、利用者Uが入力したテキストや写真等の情報をSNS(Social Networking Service)やマイクロブログ等に投稿する機能を有する。また、利用者端末100は、利用者Uが入力したテキストや写真を検索クエリとし、ウェブ検索を行う検索サーバへと検索クエリを送信することで、検索クエリと対応する各種のウェブコンテンツを取得する機能を有する。
【0015】
供給者F0〜F2は、所定の製品を供給する供給者である。例えば、供給者F0は、車両の本体(シャーシやフレーム等)を生産し、供給者F1、F2に対して供給する。また、供給者F1は、地域A1に工場等を有し、供給者F0から供給された車両に各種の色彩の塗装を行い、塗装済みの車両を完成品として保管し、各地のディーラーへと供給する。また、供給者F2は、地域A2に工場等を有し、供給者F0から供給された車両に各種の色彩の塗装を行い、塗装済みの車両を完成品として保管し、ディーラーへと供給する。
【0016】
なお、供給者F0〜F2は、車両以外にも、飲食物等、任意の製品を生産、保管、発送する供給者であってもよい。また、供給者F0〜F2は、倉庫等、製品を生産する機能を有さず、製品を保管する機能のみを有するものであってもよい。
【0017】
なお、以下の説明では、利用者U1、U2は、供給者F1と同じ地域A1に所在し、利用者U3、U4は、供給者F2と同じ地域A2に所在し、利用者U5、U6は、地域A3に所在する利用者であるものとする。
【0018】
〔1−1.推定処理の概要について〕
ここで、従来技術では、供給者F0〜F2による製品の供給を効率化するため、製品を域Aや地域Bで共通化していた。しかしながら、このような技術では、地域ごとに生じる利用者のニーズを生産工程に反映させることができるとは言えない。
【0019】
そこで、情報提供装置10は、以下の推定処理を実行する。まず、情報提供装置10は、利用者Uが入力した入力情報を収集する。そして、情報提供装置10は、入力情報に含まれる情報であって供給対象となる製品を示す製品情報と、入力情報と紐付けられる地域とに基づいて、製品の各地域における需要を推定する。
【0020】
ここで、製品を生産する工程には、階層構造を有する複数の工程が含まれる場合がある。例えば、車両の生産を行う場合には、車両本体を製造する工程、車両の塗装を行う工程、および完成した車両を保管する工程とが含まれる場合がある。このような複数の工程が存在する場合、工程ごとに需要を予測するのが望ましい。例えば、供給者F0が車両本体を製造し、供給者F1、F2が車両の塗装を行う場合、供給者F1に対しては、供給者F1が所在する地域A1における需要であって車両の色彩に関する需要を通知し、供給者F2に対しては、供給者F2が所在する地域A2における需要であって車両の色彩に関する需要を通知し、供給者F0に対しては、供給者F0が車両本体を供給する供給者F1、F2における需要、すなわち、地域A1および地域A2における車両の需要を通知するのが望ましい。
【0021】
そこで、情報提供装置10は、製品を供給する工程と対応する需要をそれぞれ推定する。例えば、情報提供装置10は、製品を供給する工程と対応する需要として、製品の生産数に関する需要、製品を生産する地域に関する需要、または、生産された製品を保管する地域に関する需要の少なくともいずれか1つを推定する。すなわち、情報提供装置10は、各供給者F0〜F3の所在地、生産工程の内容や段階、供給先となる供給者の生産工程に関する需要の内容に応じた需要を推定し、推定した需要を提供する。
【0022】
〔1−2.推定処理の一例について〕
以下、図1を用いて、推定処理の一例について説明する。例えば、情報提供装置10は、地域A1の利用者の投稿や検索クエリを地域A1の地域情報として収集する(ステップS1)。また、情報提供装置10は、地域A2の利用者の投稿や検索クエリを地域A2の地域情報として収集する(ステップS2)。
【0023】
例えば、利用者端末101は、利用者U1が「車は青が良い」といった内容のコンテンツをSNSに投稿した場合、利用者U1が投稿した際の位置をGPS(Global Positioning System)等で特定し、特定した位置を示す位置情報を対応付けたコンテンツをSNSに投稿する。このような場合、情報提供装置10は、利用者U1によって投稿されたコンテンツと対応付けられた位置情報から、利用者U1がコンテンツを投稿した地域A1を特定する。そして、情報提供装置10は、利用者U1によって投稿されたコンテンツを、地域A1と対応する地域情報とする。
【0024】
また、例えば、利用者端末102は、利用者U2が「車 青」といった内容の検索クエリを入力した場合、自装置に割り振られたIP(Internet Protocol)アドレスを用いて、検索クエリ「車 青」を所定の検索サーバ(図示は省略)へと送信する。このような場合、検索クエリのログを保持する検索ログサーバ400は、検索クエリ「車 青」と、利用者端末102に割り振られたIPアドレスとを対応付けて保持する。そこで、情報提供装置10は、検索ログサーバ400から「車 青」といった内容の検索クエリを取得するとともに、検索クエリと対応付けられたIPアドレス、すなわち、利用者U2が検索クエリ「車 青」を入力した際に利用者端末102に割り振られていたIPアドレスを特定する。そして、情報提供装置10は、IPアドレスを用いて、利用者U2が検索クエリ「車 青」を入力した地域A1を特定し、利用者U2によって入力された検索クエリ「車 青」を、地域A1と対応する地域情報とする。
【0025】
なお、利用者端末100は、利用者Uが検索クエリを入力した際に、位置情報を検索クエリと共に検索サーバへと送信する場合がある。このような場合、検索ログサーバ400は、検索クエリと位置情報とを対応付けて保持する。そこで、情報提供装置10は、検索ログサーバ400が保持する位置情報から利用者Uが検索クエリを入力した地域を特定し、利用者Uが入力した検索クエリを特定した地域の地域情報としてもよい。
【0026】
同様に、情報提供装置10は、利用者U3によって投稿された「車は赤が良い」というコンテンツと対応付けられた位置情報から、利用者U3がコンテンツを投稿した地域A2を特定する。そして、情報提供装置10は、利用者U3によって投稿されたコンテンツを、地域A2と対応する地域情報とする。また、情報提供装置10は、利用者U4が検索クエリ「車 赤」を入力したした地域A2を特定し、利用者U4によって入力された検索クエリ「車 赤」を、地域A2と対応する地域情報とする。
【0027】
ここで、利用者Uが投稿したコンテンツや検索クエリ、すなわち、利用者Uが入力した入力情報には、「車」といった製品の種別を示す情報、すなわち、製品情報が含まれる場合がある。また、入力情報には、製品の種別を示す製品情報のみならず、製品の具体的な名称や製品の供給者(すなわち、メーカーやブランド等)を示す製品情報が含まれる場合がある。これら以外にも、入力情報には、例えば「菓子」、「飲み物」、「自動車」、「自転車」等、各種の製品を示す情報が含まれる場合がある。
【0028】
また、入力情報には、製品情報とともに「赤」や「青」等といった情報、すなわち、製品情報が示す製品の属性を示す属性情報が含まれる場合がある。例えば、入力情報には、「赤」や「青」といった製品の色を示す属性情報のみならず、「甘い」、「辛い」といった製品の味を示す属性情報、「重い」、「軽い」等といった製品の重量を示す属性情報等が含まれる場合がある。このように、入力情報に製品情報と属性情報とが含まれている場合、その入力情報は、製品情報が示す製品であって、その属性情報が示す属性を有する製品の需要を示唆する情報であると言える。
【0029】
一方、入力情報には、地域を示す情報(以下、「関連地域情報」と記載する。)が含まれる場合がある。例えば、利用者Uが投稿したコンテンツや検索クエリ、すなわち、利用者Uが入力した入力情報には、「地域A1」や「地域A2」といった単語が関連地域情報として含まれる場合がある。このような関連地域情報が入力情報に含まれている場合、その入力情報は、その関連地域情報が示す地域の需要を示唆する地域情報であると言える。
【0030】
そこで、情報提供装置10は、入力情報に関連地域情報が含まれている場合は、その入力情報をその関連地域情報が示す地域の地域情報として収集する。より具体的には、情報提供装置10は、入力情報と対応付けられた位置情報が示す地域や入力情報が入力された際の利用者端末100のIPアドレスが示す地域等、利用者Uが入力情報を入力した地域に係わらず、入力情報に関連地域情報が含まれている場合は、その入力情報をその関連地域情報が示す地域の地域情報として収集する。
【0031】
例えば、情報提供装置10は、地域A1を示す情報を含む検索クエリや投稿を地域A1の地域情報とし、地域A2を示す情報を含む検索クエリや投稿を地域A2の地域情報として収集する(ステップS3)。より具体的な例を挙げると、図1に示す例では、地域A3に所在する利用者U5が検索クエリ「地域A1 車 青」といった情報を入力し、利用者U6が「地域A2は赤い車が似合う」といった情報を入力している。このような場合、情報提供装置10は、利用者U5が入力した検索クエリを、地域A3ではなく地域A1の地域情報として収集し、利用者U6が入力した投稿を、地域A3ではなく地域A2の地域情報として収集する。
【0032】
そして、情報提供装置10は、地域A1の地域情報から地域A1の需要を予測し、地域A2の地域情報から地域A2の需要を予測する(ステップS4)。例えば、情報提供装置10は、地域A1の地域情報とした入力情報から、製品情報と属性情報とを抽出し、抽出した製品情報と属性情報とに基づいて、製品情報が示す製品のうち属性情報が示す属性を有する製品の地域A1における需要を推定する。すなわち、情報提供装置10は、入力情報を用いて、入力情報と紐付けられる地域A1における需要を推定する。
【0033】
例えば、情報提供装置10は、地域A1の地域情報として入力情報から、製品情報として、製品の種別を示す文字列や製品の名称を示す文字列を入力情報から抽出する。また、情報提供装置10は、入力情報から、属性情報として、製品の属性を示す文字列を入力情報から抽出する。なお、このような文字列の抽出は、例えば、予め製品情報や属性情報として登録された文字列とのマッチング、バグオブワーズ、形態素解析やw2v(word2vec)を用いた任意の手法が採用可能である。そして、情報提供装置10は、抽出した文字列が示す製品であって、抽出した文字列が示す属性を有する製品の地域A1における需要を推定する。
【0034】
例えば、図1に示す例では利用者U1による「車は青が良い」といった投稿、利用者U2による「車 青」といった検索クエリ、利用者U5による「地域A1 車 青」といった投稿が地域A1の地域情報として収集される。このような場合、各入力情報には、「車」という製品情報が含まれるとともに、「青」という属性情報が含まれていると言える。そこで、情報提供装置10は、地域A1においては、「青」色の「車」が所望されているといった需要を示す情報を推定する。なお、このような推定は、例えば、連想記憶等を用いて、各種の情報から需要を推定する推定技術が採用可能である。
【0035】
また、例えば、図1に示す例では利用者U3による「車は赤が良い」といった投稿、利用者U4による「車 赤」といった検索クエリ、利用者U6による「地域A2は赤い車が似合う」といった投稿が地域A2の地域情報として収集される。このような場合、各入力情報には、「車」という製品情報が含まれるとともに、「赤」という属性情報が含まれていると言える。そこで、情報提供装置10は、地域A2においては、「赤」色の「車」が所望されているといった需要を示す情報を推定する。
【0036】
このように、情報提供装置10は、入力情報と紐付けられる地域を特定し、特定した地域と紐付られた入力情報から、その入力情報と紐付けられる製品の需要であって、特定した地域における需要を推定する。このため、情報提供装置10は、製品の生産効率を改善することができる。
【0037】
例えば、ある地域に供給者が所在する場合、全ての地域における需要に基づいて製品を生産するよりも、その地域における需要に基づいて製品を生産した方が生産効率が高いと考えられる。例えば、地域A1においては、「青」色の「車」が所望されており、地域A2においては、「赤」色の「車」が所望されているものとする。このような場合に、地域A1で車両の塗装を行う供給者F1と、地域A2で車両の塗装を行う供給者F2とが「赤」色の「車」と「青」色の「車」とを同量だけ生産した場合、地域A1から「青」色の「車」を地域A2へと配送し、地域A2から「赤」色の「車」を地域A1へと配送する手間がかかってしまう。
【0038】
一方、情報提供装置10は、入力情報と紐付けられる地域を特定し、特定した地域における需要を推定する。例えば、情報提供装置10は、地域A1においては、「青」色の「車」が所望されており、地域A2においては、「赤」色の「車」が所望されている旨を特定する。このような需要を供給者F1、F2に提供した場合、供給者F1は、地域A1で所望されている「青」色の「車」を多く生産し、供給者F2は、地域A2で所望されている「赤」色の「車」を多く生産することができる。この結果、供給者F1、F2は、製品を他の地域へと配送する手間を削減することができるので、製品の生産効率を改善することができる。
【0039】
ここで、供給者F0は、供給者F1、F2に対して車体を供給する供給者であるが、このような供給者に対して、どのような色の車が所望されているかの需要を通知しても、あまり意味がないと考えられる。一方で、供給者F0に対し、各地域A1、A2における車の需要を通知した場合には、どれくらいの数の車体を生産すればいいか、生産した車体をどのように供給者F1、F2に配分すればいいかを最適化することができると考えられる。そこで、情報提供装置10は、地域A1の地域情報と地域A2の地域情報とを用いて、各地域における車の需要を推定し、推定した需要を供給者F0に通知する。
【0040】
すなわち、各供給者F0〜F2が所望する需要の内容は、製品を生産/供給する各工程のうち、各供給者F0〜F2が担当する工程と関連する需要であると言える。また、このような工程は、入力情報に含まれる属性情報が示す属性と対応する工程であるともいえる。例えば、属性情報が示す属性が色彩である場合、その属性情報を含む入力情報は、製品の塗装等色彩に関連する工程と関連する需要を示すと考えられる。また、属性情報が示す属性が味覚に関するものである場合、その属性情報を含む入力情報は、製品の味付けに関連する工程と関連する需要を示すと考えられる。
【0041】
そこで、情報提供装置10は、製品を供給する各工程のうち、属性情報が示す属性と対応する工程における需要を推定する。より具体的には、情報提供装置10は、需要を推定する各供給者F0〜F2における工程と対応する属性情報を含む入力情報を抽出し、抽出した入力情報に基づいて、その工程と関連する需要を推定する。このような処理の結果、情報提供装置10は、各供給者F0〜F2における製品の生産効率を改善することができる。
【0042】
例えば、図1に示す例では、供給者F0は、車体を生産し、供給者F1、F2に対して車体を供給する供給者である。このような供給者F0の工程には、車両の属性に係わらず、各地域A1、A2における需要が関連すると考えられる。そこで、情報提供装置10は、各地域A1、A2の地域情報のうち、供給者F0が生産する製品を示す製品情報を含む地域情報を抽出し、抽出した地域情報を用いて、地域A1、A2における製品の需要を推定する。そして、情報提供装置10は、推定した需要を需要予測として供給者F0に提供する(ステップS5)。この結果、供給者F0は、需要予測に応じて製品を供給することができる(ステップS6)。より具体的には、供給者F0は、地域A1における車の需要と地域A2における車の需要とに基づいて、生産する車体の数を決定するとともに、地域A1に供給する車体の数と、地域A2に供給する車体の数とを決定することができる。
【0043】
また、供給者F1は、地域A1に所在し、車体の塗装を行う供給者である。また、供給者F2は、地域A2に所在し、車体の塗装を行う供給者である。このような供給者F1、F2の工程には、車両の属性として、色彩に関する属性が関連すると考えられる。そこで、情報提供装置10は、地域A1の地域情報のうち、供給者F1が生産する製品であって、色彩に関連する属性情報を含む地域情報を抽出する。そして、情報提供装置10は、抽出した地域情報を用いて、地域A1における需要であって、車体の色彩に関する需要を推定する。そして、情報提供装置10は、推定した需要を需要予測として供給者F1に提供する(ステップS7)。この結果、供給者F1は、需要予測に応じて製品を生産することができる(ステップS8)。例えば、供給者F1は、地域A1において青い車の需要が多い場合、青い車をより多く生産することができる。
【0044】
また、情報提供装置10は、地域A2の地域情報のうち、供給者F2が生産する製品であって、色彩に関連する属性情報を含む地域情報を抽出する。そして、情報提供装置10は、抽出した地域情報を用いて、地域A2における需要であって、車体の色彩に関する需要を推定する。そして、情報提供装置10は、推定した需要を需要予測として供給者F2に提供する(ステップS9)。この結果、供給者F2は、需要予測に応じて製品を生産することができる(ステップS10)。例えば、供給者F2は、地域A2において赤い車の需要が多い場合、赤い車をより多く生産することができる。
【0045】
〔1−3.推定する需要と工程との関連について〕
ここで、情報提供装置10は、製品を生産する工程のうち、各供給者F0〜F2(以下、「供給者F」と記載する場合がある。)が担当する工程と対応する製品の属性を示す属性情報を含む地域情報から、供給者Fに対する需要を推定するのであれば、任意の工程と属性との対応を採用してよい。すなわち、情報提供装置10は、供給者Fが生産する製品そのもの或いは製品の種別を示す製品情報と、その製品を生産する工程のうち供給者Fが担当する工程と対応する製品の属性を示す属性情報とを含む入力情報であって、供給者Fが所在する地域と紐付けられる入力情報から、需要を予測すればよい。
【0046】
例えば、車には、寒冷地仕様の車とそうではない車とが存在する。そこで、情報提供装置10は、供給者F1が寒冷地仕様の車を生産する工程を担う場合、地域A1と紐付られた入力情報から寒冷地仕様の車の需要を推定し、推定した需要を供給者F1に提供してもよい。
【0047】
なお、このような工程と属性との対応は、予め設定された対応付けを採用してもよく、所定のモデルを用いて入力情報から学習されたものであってもよい。例えば、情報提供装置10は、SVM(Support Vector Machine)やDNN(Deep Neural Network)等の各種モデルを用いて、地域A1の地域情報の内容と、供給者F1に対する実際の需要との間の相関性を学習し、学習結果に基づいた工程と属性との対応を採用してもよい。
【0048】
〔1−4.入力情報に基づく需要について〕
ここで、情報提供装置10は、任意の需要推定手法を用いて、入力情報から需要を推定してもよい。例えば、情報提供装置10は、各種の意図解析技術を用いて、入力情報が製品に対して好意的な内容であるか批判的な内容であるかを推定し、推定結果を考慮して、製品の需要を推定してもよい。例えば、情報提供装置10は、「地域A2は赤い車が似合う」といった入力情報が存在する場合は、地域A2の地域情報であって属性が「赤」である製品「車」について好意的な内容の入力情報とする。そして、情報提供装置10は、このような入力情報に基づいて、属性が「赤」である製品「車」の需要が高まると推定する。
【0049】
〔1−5.入力情報が有する地域ごとの傾向について〕
また、入力情報の内容と需要の内容とには、地域ごとに異なる傾向があるともいえる。より具体的な例を挙げると、地域A1と紐付けられる入力情報と、地域A2と紐付けられる入力情報とが存在する場合、各入力情報の表現が同じであったとしても、地域A1において生じる需要と、地域A2において生じる需要とに差が生じる場合がある。そこで、情報提供装置10は、地域ごとに、地域と紐付けられる入力情報が示す製品の需要の傾向を推定し、推定結果に基づいて、製品の前記地域における需要を推定してもよい。例えば、情報提供装置10は、地域A1の地域情報の内容と、地域A1における実際の需要との間の相関性をモデルに学習させ、かかるモデルを用いて、地域A1の地域情報から需要を推定してもよい。より具体的には、情報提供装置10は、どのような表現や単語が含まれている場合に需要が増加或いは減少するかをモデルに学習させ、モデルを用いて、地域A1の地域情報から需要を推定してもよい。
【0050】
〔1−6.工程について〕
なお、上述した各供給者F0〜F2が担当する工程は、あくまで一例であり、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、各供給者Fは、製品の生産、部品の取り付け、塗装、梱包、保管等、製品を生成して利用者Uへと供給するまでの各工程のうち任意の工程を担当する供給者であればよい。また、各供給者Fが、製品を生産して利用者への供給までの全工程を担当する供給者であってもよい。
【0051】
このように、各供給者Fが担当する工程が異なる場合であっても、情報提供装置10は、かかる工程と対応する属性を示す属性情報を含んだ入力情報から、その属性を有する製品の需要を推定するので、各供給者Fが担当する工程の効率化を図ることができる。
【0052】
〔1−7.製品情報、属性情報、および関連地域情報について〕
ここで、上述した例では、情報提供装置10は、入力情報に含まれる文字列を製品情報、属性情報、および関連地域情報として抽出した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、情報提供装置10は、利用者Uが画像と共に好意的な印象を示す文字列を投稿した場合、画像解析の技術等を用いて、画像と関連する製品、製品の属性、地域等を特定し、特定した製品を示す製品情報、製品の属性を示す属性情報、地域を示す関連地域情報を生成し、生成した製品情報、属性情報および関連地域情報から需要の推定を行ってもよい。
【0053】
すなわち、情報提供装置10は、利用者Uが入力した情報であれば、任意の情報に基づいて、需要の対象となる製品、製品の属性、若しくは地域の推定を行い、推定結果に基づいて、その地域における製品の需要を推定してよい。
【0054】
〔2.情報提供装置の構成〕
以下、上記した情報提供装置10が有する機能構成の一例について説明する。図2は、実施形態に係る情報提供装置の構成例を示す図である。図2に示すように、情報提供装置10は、通信部20、記憶部30、および制御部40を有する。
【0055】
通信部20は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部20は、ネットワークNと有線または無線で接続され、利用者端末100、供給者が使用する情報処理装置である供給者端末200、SNSサーバ300、および検索ログサーバ400との間で情報の送受信を行う。
【0056】
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、記憶部30は、検索履歴データベース31、投稿データベース32、および需要データベース33(以下「各データベース31〜33」と総称する場合がある。)を記憶する。
【0057】
以下、図3図5を用いて、各データベース31〜33に登録される情報の一例について説明する。図3は、実施形態に係る検索履歴データベースの一例を示す図である。図3に示した例では、検索履歴データベース31は、「クエリID(Identifier)」、「検索クエリ」、「利用者ID」、「検索日時」、「位置情報」等が対応付けて登録されている。なお、検索履歴データベース31には、図3に示す情報以外にも、検索クエリに関する任意の情報が登録されていてもよい。
【0058】
ここで、「クエリID」とは、クエリを識別する識別子である。また、「検索クエリ」とは、入力された検索クエリの内容である。また、「利用者ID」とは、検索クエリを入力した利用者の識別子である。また、「検索日時」とは、検索クエリが入力された日時である。また、「位置情報」とは、検索クエリを入力した際の利用者端末100の位置を示す情報である。
【0059】
例えば、図3に示す例では、クエリID「クエリ#1」、検索クエリ「地域A1 車 青」、利用者ID「U5」、検索日時「2017/08/07/15:25:30」、位置情報「A3」が対応付けて登録されている。このような情報は、クエリID「クエリ#1」が示す検索クエリが「地域A1 車 青」であり、利用者ID「U5」が示す利用者Uにより、検索日時「2017/08/07/15:25:30」に入力され、入力が行われた際の利用者端末100の位置が位置情報「A3」が示す位置である旨を示す。
【0060】
図4は、実施形態に係る投稿データベースの一例を示す図である。図4に示した例では、投稿データベース32は、「投稿ID」、「投稿」、「利用者ID」、「投稿日時」、「位置情報」等が対応付けて登録されている。なお、投稿データベース32には、図4に示す情報以外にも、投稿に関する任意の情報が登録されていてもよい。
【0061】
ここで、「投稿ID」とは、投稿を識別する識別子である。また、「投稿」とは、入力された投稿の内容である。また、「利用者ID」とは、投稿を入力した利用者の識別子である。また、「投稿日時」とは、投稿が行われた日時である。また、「位置情報」とは、投稿が行われた際の利用者端末100の位置を示す情報である。
【0062】
例えば、図4に示す例では、投稿ID「投稿#1」、投稿「車は青が良い」、利用者ID「U1」、投稿日時「2017/08/07/16:25:30」、位置情報「A1」が対応付けて登録されている。このような情報は、投稿ID「投稿#1」が示す投稿の内容が「車は青が良い」であり、かかる投稿が利用者ID「U1」が示す利用者Uにより、投稿日時「2017/08/07/16:25:30」に投稿され、投稿が行われた際の利用者端末100の位置が位置情報「A1」が示す位置である旨を示す。
【0063】
図5は、実施形態に係る需要データベースの一例を示す図である。図5に示した例では、需要データベース33は、「供給者ID」、「地域」、「対象製品」、「生産工程」、「需要内容」等が対応付けて登録されている。なお、需要データベース33には、図5に示す情報以外にも、各供給者Fの需要に関する任意の情報が登録されていてもよい。
【0064】
ここで、「供給者ID」とは、供給者Fを識別する識別子である。また、「地域」とは、供給者Fが製品を生産する拠点を有する地域を示す情報である。また、「対象製品」とは、供給者Fが生産する製品である。また、「生産工程」とは、供給者Fが製品を生産する工程のうちどの工程を担当しているかを示す情報である。また、「需要内容」とは、各供給者Fごとに推定した需要の内容である。なお、図5に示す例では、需要内容として「需要内容#0」といった概念的な値を記載したが、実際には、需要を示す各種の文字列等が登録される。
【0065】
例えば、図5に示す例では、供給者ID「供給者#0」、地域「A0」、対象製品「車両」、生産工程「製造」、需要内容「需要内容#0」が対応付けて登録されている。このような情報は、供給者ID「供給者#0」が示す供給者Fの生産拠点が地域「A0」に所在しており、その供給者Fが対象製品「車両」を製造している旨を示す。また、このような情報は、その供給者Fが、「車両」を製造する工程のうち、生産工程「製造」が示す工程を担当し、供給者Fに対する需要予測の内容が、需要内容「需要内容#0」である旨を示す。
【0066】
図2に戻って説明を続ける。制御部40は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報提供装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(通知プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部40は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0067】
図2に示すように、制御部40は、収集部41、特定部42、推定部43、および提供部44を有する。
【0068】
収集部41は、利用者Uが入力した入力情報を収集する。例えば、収集部41は、検索ログサーバ400にアクセスし、各利用者Uが入力した検索クエリの履歴や、検索クエリを入力した利用者Uの利用者ID、検索日時、利用者端末100の位置等を収集する。そして、収集部41は、収集した各種の情報を検索履歴データベース31に登録する。
【0069】
また、収集部41は、SNSサーバ300にアクセスし、利用者Uが投稿した内容、利用者Uの利用者ID、投稿日時、利用者端末100の位置等を収集する。そして、収集部41は、収集した情報を投稿データベース32に登録する。
【0070】
特定部42は、利用者が入力した入力情報と紐付けられる地域を特定する。例えば、特定部42は、入力情報に含まれる文字列から、地域を示す文字列を抽出し、抽出した文字列が示す地域をその入力情報と紐付けられる地域とする。また、特定部42は、検索クエリや投稿に地域を示す地域情報が含まれていない場合、入力情報と対応付けられた位置情報が示す地域をその入力情報と紐付けられる地域とする。すなわち、特定部42は、入力情報と紐付けられる地域として、入力情報を利用者Uが入力した地域や、入力情報から抽出した地域を示す文字列が示す地域を特定する。そして、特定部42は、特定結果に基づいて、各地域と対応する地域情報を抽出し、抽出した地域情報を推定部43に通知する。
【0071】
推定部43は、入力情報に含まれる情報であって供給対象となる製品を示す製品情報と、入力情報と紐付けられる地域とに基づいて、その地域における製品の需要を推定する。また、推定部43は、製品を供給する工程と対応する需要をそれぞれ推定する。また、推定部43は、製品情報と、製品情報が示す製品の属性を示す属性情報とを入力情報から抽出し、抽出した製品情報と属性情報と入力情報に紐付けられる地域とに基づいて、製品情報が示す製品のうち属性情報が示す属性を有する製品の地域における需要を推定する。より具体的には、推定部43は、製品を供給する各工程のうち、属性情報が示す属性と対応する工程における需要を推定する。例えば、推定部43は、製品を供給する工程と対応する需要として、製品の生産数に関する需要、製品を生産する地域に関する需要、または、生産された製品を保管する地域に関する需要の少なくともいずれか1つを推定する。
【0072】
例えば、推定部43は、地域A1の地域情報を受付ける。このような場合、推定部43は、地域A1の地域情報から、「車両」や「菓子」等、製品の種別を示す文字列を製品情報として抽出する。なお、推定部43は、例えば、製品の名称を示す文字列を製品情報として抽出してもよい。続いて、推定部43は、地域A1の地域情報から、製品の属性を示す文字列を属性情報として抽出する。
【0073】
続いて、推定部43は、需要データベース33を参照し、地域情報と対応する地域に拠点が所在する供給者F(以下、「推定対象となる供給者F」と記載する。)の対象製品と生産段階とを特定する。また、推定部43は、特定した対象製品と関連性を有する製品情報と、特定した生産段階と対応する属性情報とを含む地域情報を、特定部42から受付けた地域情報から抽出する。そして、推定部43は、抽出した地域情報を用いて、推定対象となる供給者Fと関連する需要を推定する。すなわち、推定部43は、推定対象となる供給者Fが製造する製品であって、その供給者Fが担当する工程と関連する製品に対する地域A1における需要を推定する。
【0074】
なお、推定部43は、地域ごとに、地域と紐付けられる入力情報が示す製品の需要の傾向を推定し、推定結果に基づいて、製品の前記地域における需要を推定してもよい。
【0075】
提供部44は、ある製品のある地域における需要が推定された場合は、その地域においてその製品を供給する供給者に対して、推定された需要を提供する。例えば、提供部44は、地域A1に所在する供給者Fが製造する製品であって、その供給者Fが担当する工程と関連する製品に対する地域A1における需要が推定された場合は、推定された需要の内容をその供給者Fに対して提供する。
【0076】
〔3.処理手順〕
次に、図6を用いて、実施形態に係る情報提供装置10による推定処理の手順について説明する。図6は、実施形態に係る推定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6に示すように、情報提供装置10は、利用者Uにより入力された検索クエリや投稿等の入力情報を収集する(ステップS101)。続いて、情報提供装置10は、入力情報と対応する製品と地域とを特定する(ステップS102)。そして、情報提供装置10は、各地域ごとに、各製品の生産工程に対応する需要を推定する(ステップS103)。そして、情報提供装置10は、推定結果を各製品を提供する供給者に提供し(ステップS104)、処理を終了する。
【0077】
〔4.変形例〕
上述した情報提供装置10は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてもよい。そこで、以下では、情報提供装置10の他の実施形態について説明する。
【0078】
〔4−1.情報提供装置について〕
例えば、情報提供装置10は、入力情報を収集する収集装置と、上述した推定処理を実行する推定装置とが協調して動作することにより、上述した処理を実現してもよい。このような場合、収集装置は、図2に示す収集部41とを有し、推定装置は、特定部42、推定部43、および提供部44を有することとなる。
【0079】
〔4−2.インセンティブについて〕
なお、情報提供装置10は、需要の推定に対するインセンティブを設定してもよい。例えば、情報提供装置10は、需要を提供した供給者F1や供給者F2や配送業者等から、製品を他の地域へと配送する配送負荷の軽減に対するインセンティブを取得してもよい。
【0080】
〔4−3.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、逆に、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0081】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0082】
また、上記してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0083】
〔4−4.プログラム〕
また、上述した実施形態に係る情報提供装置10は、例えば図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0084】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0085】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0086】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0087】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0088】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0089】
例えば、コンピュータ1000が情報提供装置10として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部40の機能を実現する。
【0090】
〔5.効果〕
上述してきたように、情報提供装置10は、利用者Uが入力した入力情報を収集する。そして、情報提供装置10は、入力情報に含まれる情報であって供給対象となる製品を示す製品情報と、入力情報と紐付けられる地域とに基づいて、製品の地域における需要を推定する。このため、情報提供装置10は、各地域における製品の需要を推定することができるので、各地域で製品を生産する供給者Fの生産効率を改善することができる。
【0091】
また、情報提供装置10は、製品を供給する工程と対応する需要をそれぞれ推定する。例えば、情報提供装置10は、製品を供給する工程と対応する需要として、製品の生産数に関する需要、製品を生産する地域に関する需要、または、生産された製品を保管する地域に関する需要の少なくともいずれか1つを推定する。このように、情報提供装置10は、製品を生産/供給する工程のうち、各供給者Fが行う工程と対応する需要を推定することができるので、各供給者Fが担当する工程の効率を改善することができる。
【0092】
また、情報提供装置10は、製品情報と、製品情報が示す製品の属性を示す属性情報とを入力情報から抽出し、抽出した製品情報と属性情報と入力情報に紐付けられる地域とに基づいて、製品情報が示す製品のうち属性情報が示す属性を有する製品の地域における需要を推定する。このため、情報提供装置10は、各供給者Fが生産する製品の属性に応じた需要を推定することができるので、供給者Fの生産効率を改善することができる。
【0093】
また、情報提供装置10は、製品を供給する各工程のうち、属性情報が示す属性と対応する工程における需要を推定する。このため、情報提供装置10は、各供給者Fの工程に応じた属性を有する製品の需要を推定することができるので、供給者Fの生産効率を改善することができる。
【0094】
また、情報提供装置10は、製品情報として、製品の種別を示す文字列を入力情報から抽出し、抽出した文字列が示す種別の製品の地域における需要を推定する。また、情報提供装置10は、製品情報として、製品の名称を示す文字列を入力情報から抽出し、抽出した文字列が示す名称の製品の地域における需要を推定する。また、情報提供装置10は、入力情報と紐付けられる地域として、入力情報を利用者Uが入力した地域に基づいて、製品の地域における需要を推定する。また、情報提供装置10は、入力情報から地域を示す文字列を抽出し、入力情報と紐付けられる地域として、抽出した文字列が示す地域に基づいて、製品の地域における需要を推定する。このため、情報提供装置10は、入力情報から各地域における様々な製品の需要であって、様々な属性を有する製品の需要を推定することができる。
【0095】
また、情報提供装置10は、地域ごとに、その地域と紐付けられる入力情報が示す製品の需要の傾向を推定し、推定結果に基づいて、製品の地域における需要を推定する。このため、情報提供装置10は、例えば、地域ごとに存在する入力情報と需要との間の傾向を反映させた状態で、需要の推定を行うことができる。
【0096】
また、情報提供装置10は、製品の地域における需要が推定された場合は、その地域においてその製品を供給する供給者に対して、推定された需要を提供する。このため、情報提供装置10は、各供給者Fにおける生産効率を向上させることができる。
【0097】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0098】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0099】
10 情報提供装置
20 通信部
30 記憶部
31 検索履歴データベース
32 投稿データベース
33 需要データベース
40 制御部
41 収集部
42 特定部
43 推定部
44 提供部
100 利用者端末
200 供給者端末
300 SNSサーバ
400 検索ログサーバ
【要約】
【課題】製品の生産効率を改善すること。
【解決手段】本願に係る推定装置は、利用者が入力した入力情報を収集する収集部と、前記入力情報に含まれる情報であって供給対象となる製品を示す製品情報と、前記入力情報と紐付けられる地域とに基づいて、前記製品の前記地域における需要を推定する推定部とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7