(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0023】
(全体構成)
図1は、本実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具を例示する構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具1は、ラジオコントロール玩具100を無線操縦するユーザ200に、ラジオコントロール玩具100の動きを体感させるシステムである。ユーザ200は、送信コントローラ110を操作してラジオコントロール玩具100を無線操縦しつつ、そのラジオコントロール玩具100の動きを体感することができる。
【0024】
本実施形態において無線操縦の対象となるラジオコントロール玩具100は、実機または実機相当の移動体(以下、「実機等」と言う。)に対して縮小されたモデルであり、実機等のボディーを模して樹脂、金属、木材等の軽量な材料で作られた玩具である。ラジオコントロール玩具100としては、例えば、マルチコプター、飛行機、自動車、ヘリコプター、船、サーフボード、グライダー、飛行船、キャタピラー車などが挙げられる。
【0025】
ラジオコントロール玩具100は、人を乗せられるような物理的に頑丈な作りにはなっていない。本実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具1は、ユーザ200が自ら無線操縦するラジオコントロール玩具100に搭乗しているかのように、ラジオコントロール玩具100の動きをユーザ200に体感させることができる。
【0026】
体感型ラジオコントロール玩具1は、ユーザ200を搭乗可能な搭乗部10と、搭乗部10を動作させる駆動部20と、ラジオコントロール玩具100の動作情報を無線送信する動作情報送信部30と、動作情報を受信する動作情報受信部40と、動作情報に基づいて駆動部20を制御する駆動制御部50とを備える。
【0027】
搭乗部10は、ユーザ200を搭乗できるキャビン型になっており、ユーザ200を座らせるシート11が設けられる。搭乗部10にシート11が設けられていない場合、ユーザ200の身体を固定できるベルトなどの固定具(図示せず)を設けておくことが望ましい。搭乗部10におけるユーザ200の前方にはディスプレイ72が配置されていてもよい。
【0028】
駆動部20は、支持台25と搭乗部10との間に設けられ、支持台25に対して搭乗部10を動作させることができる。駆動部20には、例えばサーボモータ21と、伸縮動作するロッド22と、センサ23とを備えた駆動機構が用いられる。本実施形態では、一例として、サーボモータ21でネジ機構を回転させてロッド22を伸縮させる3つの駆動機構(第1駆動機構201、第2駆動機構202および第3駆動機構203)が用いられ、互いに異なる軸方向に伸縮する3つのロッド22によって搭乗部10を支持している。
【0029】
サーボモータ21は、サーボコントローラ55によって制御される。サーボコントローラ55は、駆動制御部50から送られる指示信号に基づいて各サーボモータ21に制御信号を送る。この制御信号によってサーボモータ21が回転してロッド22を伸縮させる。本実施形態では3つのロッド22の伸縮のバランスによって搭乗部10が様々な方向に動作することになる。
【0030】
なお、駆動部20はさらなる多軸移動可能に設けられていてもよいし、油圧や空気圧でロッドを伸縮させる構成でもよい。また、多軸移動可能なアームを用いてもよい。また、支持台25と駆動部20との間に回転台(図示せず)を設けておき、搭乗部10の全体を水平方向に回転できるように設けられていてもよい。
【0031】
動作情報送信部30は、ユーザ200によって無線操縦されているラジオコントロール玩具100の動作情報を無線送信する部分である。動作情報としては、動作中のラジオコントロール玩具100の加速度、角速度、モータ回転数などである。動作情報送信部30には動作情報を検知する各種センサが含まれていてもよい。また、動作情報送信部30は、ラジオコントロール玩具100に予め設けられた(内蔵された)センサから動作情報を取得して送信するようにしてもよい。
【0032】
本実施形態では、動作情報送信部30はラジオコントロール玩具100に載せ替え可能に取り付けられる。すなわち、通常は動作情報送信部30が設けられていないラジオコントロール玩具100であっても、簡単に動作情報送信部30を取り付けられるようになっている。動作情報送信部30は小型のパッケージとして構成され、例えば面ファスナ、締結バンド、ゴムバンドなどによってラジオコントロール玩具100に着脱自在に取り付けられる。
【0033】
ラジオコントロール玩具100に内蔵される操縦制御用の基板には拡張ポート(端子)が設けられており、この拡張ポートに動作情報送信部30を接続するようにしてもよい。拡張ポートからは、動作情報送信部30で必要な電源供給を受けたり、ラジオコントロール玩具100に予め設けられたセンサからの情報を受けたりすることができる。動作情報送信部30はバッテリーを内蔵していてもよい。この場合には、拡張ポートから電源供給を受ける必要はない。
【0034】
動作情報送信部30が載せ替え可能になっていることで、ユーザ200は、自らが無線操縦しようとするラジオコントロール玩具100に動作情報送信部30を取り付けることで、ラジオコントロール玩具100の動きを体感できるシステムに容易に参加することができる。
【0035】
ラジオコントロール玩具100に動作情報送信部30を取り付けることで、ユーザ200によって無線操縦されているラジオコントロール玩具100の動きにおける加速度、角速度、モータ回転数などの動作に関する情報(動作情報)が無線通信によって送信される。
【0036】
動作情報受信部40は、動作情報送信部30から送信された動作情報を受信する部分である。動作情報受信部40は動作情報送信部30から無線通信で送信されたラジオコントロール玩具100の動きにおける加速度等の動作情報を受信して、駆動制御部50へ送る。
【0037】
駆動制御部50は、動作情報受信部40で受信した動作情報に基づいて駆動部20を制御する。すなわち、動作情報受信部40で受信したラジオコントロール玩具100の加速度等の動作情報から、そのラジオコントロール玩具100の動きを搭乗部10の動きに変換して、変換した搭乗部10の動きを発生させるための各サーボモータ21の動作量を演算する。そして、駆動制御部50は、演算した結果から各サーボモータ21の動作量の指示(制御信号)をサーボコントローラ55へ送る。サーボコントローラ55は、駆動制御部50から送られた制御信号に基づいて各サーボモータ21を動作させる信号を出力する。
【0038】
このような構成により、ユーザ200によって無線操縦されるラジオコントロール玩具100の動きが駆動部20から搭乗部10に伝達され、搭乗部10に搭乗しているユーザ200に、無線操縦されているラジオコントロール玩具100の動きを体感させることができる。
【0039】
ここで、本実施形態において、動作情報送信部30と動作情報受信部40との間の無線通信は、送信コントローラ110とラジオコントロール玩具100との間の無線操縦についての無線通信とは別系統となっている。例えば、送信コントローラ110からラジオコントロール玩具100へ送信される操縦のための無線通信には、27MHz帯、40MHz帯、72MHz帯、2.4GHz帯といったラジオコントロール玩具100の制御で使用可能な周波数帯の第1電波W1が用いられる。
【0040】
動作情報送信部30と動作情報受信部40との間の無線通信には、第1電波W1とは別系統の第2電波W2が用いられる。第1電波W1と第2電波W2とは同じ帯域であっても、異なる帯域であってもよいが、信号の系統は別になっている。例えば、第1電波W1で搬送される制御信号の符号化および復号化の回路系統と、第2電波W2で搬送される動作情報の信号の符号化および復号化の回路系統とが別になっている。これにより、ユーザ200は、体感型ラジオコントロール玩具1のシステムに参加する際、特別な送信コントローラ110およびラジオコントロール玩具100を用いることなく、普段使用している送信コントローラ110およびラジオコントロール玩具100によって、このシステムに容易に参加することができる。
【0041】
具体的には、ラジオコントロール玩具100に動作情報送信部30を取り付け、搭乗部10に搭乗するだけで、普段使用している送信コントローラ110によってラジオコントロール玩具100を無線操縦すれば、そのラジオコントロール玩具100の動きを搭乗部10で体感できるようになる。
【0042】
本実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具1において、ラジオコントロール玩具100にカメラユニット60を取り付けてよい。カメラユニット60は、ラジオコントロール玩具100の少なくとも進行方向の映像を取得するカメラ61と、カメラ61で取得した映像信号を無線送信する映像送信部62とを有する。カメラユニット60もラジオコントロール玩具100に載せ替え可能に取り付けられていてもよい。
【0043】
カメラユニット60を取り付けることで、ユーザ200によって無線操縦されるラジオコントロール玩具100の例えば進行方向の映像をカメラ61で取得して、映像送信部62からその映像信号を無線送信する。映像信号は第3電波W3によって送信される。第3電波W3は、第1電波W1とは別系統である。第3電波W3は、第2電波W2とは別系統であってもよいし、第2電波W2と同系統であってもよい。同系統の場合、映像信号と動作情報とを合成して送信してもよい。
【0044】
カメラユニット60から無線送信された映像信号の受信は、ディスプレイユニット70の映像受信部71で行われる。映像受信部71は受信した映像信号をディスプレイ72へ送る。これにより、カメラ61で取得した映像がディスプレイ72に映し出される。ディスプレイ72は搭乗部10に固定されており、搭乗部10とともに動くことになる。
【0045】
(動作方法)
図2は、本実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具の動作方法を例示するフローチャートである。なお、図示の都合上、
図2ではラジオコントロール玩具を「RC玩具」と表記している。
先ず、キャリブレーションを行う(ステップS101)。このキャリブレーションでは、ラジオコントロール玩具100に取り付けた動作情報送信部30によってラジオコントロール玩具100が停止している状態での動作情報を送信し、動作情報の基準を設定する。具体的には、ラジオコントロール玩具100に内蔵されている加速度センサまたは後述する送信ユニット30U(
図4参照)の加速度センサSR1(
図4参照)に対して、ラジオコントロール玩具100を水平な場所に置き、振動が無い状態で重力加速度の方向と大きさとを校正する。これにより、正確な動作情報を駆動制御部50へ入力することができる。
【0046】
次に、ラジオコントロール玩具100を操縦するための制御信号を送信コントローラ110が送信する(ステップS102)。
次に、送信コントローラ110から送信された制御信号に基づきラジオコントロール玩具100を動作させる(ステップS103)。
このステップS102からステップS103までの処理は、ユーザ200による通常のラジオコントロール玩具100の無線操縦の際に行われる処理である。
【0047】
次に、無線操縦されているラジオコントロール玩具100の動作情報(加速度等)を検知し(ステップS104)、検知した動作情報を動作情報送信部30から無線通信によって送信する(ステップS105)。
次に、送信された動作情報を動作情報受信部40で無線通信によって受信する(ステップS106)。
次に、受信した動作情報から駆動部20を駆動させるための信号を駆動制御部50で演算する(ステップS107)。
そして、演算した駆動信号に基づき駆動部20を動作させる(ステップS108)。
これにより、無線操縦されているラジオコントロール玩具100の動きに基づいて搭乗部10が動き、ユーザ200はラジオコントロール玩具100の動きを搭乗部10の動きを通じて体感することができる。
【0048】
次に、ラジオコントロール玩具100の操縦が終了したか否かを判断し(ステップS109)、終了していなければステップS102へ戻り以降の処理を繰り返す。操縦が終了した場合には動作を終了する。
【0049】
(使用状態)
図3は、本実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具の使用状態を例示する模式図である。
図3には、ラジオコントロール玩具100としてマルチコプター100Aが例示される。ユーザ200は搭乗部10に搭乗した状態で、送信コントローラ110を操作してマルチコプター100Aを操縦する。送信コントローラ110は例えばホイールおよびトリガーを有する手持ち型である。ユーザ200は搭乗部10のシート11に座り、送信コントローラ110を手で持ってマルチコプター100Aを無線操縦する。
【0050】
送信コントローラ110からは第1電波W1が送信されて、ユーザ200の操縦指示が第1電波W1によってマルチコプター100Aへ送られる。この第1電波W1によってマルチコプター100Aはユーザ200の無線操縦によって飛行することになる。
【0051】
マルチコプター100Aにはカメラユニット60が取り付けら、搭乗部10にはディスプレイ72が取り付けられている。これにより、飛行中のマルチコプター100Aからの映像がカメラ61で取得され、第3電波W3によって送信される。これを映像受信部71で受信することで、マルチコプター100Aの飛行中の例えば進行方向の映像がディスプレイ72に映し出される。搭乗部10に搭乗したユーザ200は、飛行しているマルチコプター100Aを目視しながら無線操縦してもよいし、ディスプレイ72に映し出されるマルチコプター100Aからの映像を見ながら無線操縦してもよい。
【0052】
ユーザ200が送信コントローラ110を操作してマルチコプター100Aを無線操縦している間、マルチコプター100Aに取り付けた動作情報送信部30から動作情報が第2電波W2によって送信される。この動作情報を動作情報受信部40で受信し、駆動制御部50で演算することで、動作情報に基づき駆動部20の動作が制御される。これにより、マルチコプター100Aの動作情報に基づいて搭乗部10が駆動部20によって動かされ、搭乗部10に搭乗しているユーザ200は、自ら無線操縦するマルチコプター100Aの動きを搭乗部10の動作から体感することができるようになる。
【0053】
例えば、マルチコプター100Aを浮上させると、第1駆動機構201、第2駆動機構202および第3駆動機構203の3本のロッド22が伸びて搭乗部10を上昇させる。また、マルチコプター100Aを例えば左旋回させると、マルチコプター100Aの左旋回に伴う傾斜に対応して搭乗部10も傾斜する。
ディスプレイ72にはマルチコプター100Aが飛行している進行方向の映像が表示される。
これにより、ユーザ200は、まるで自ら操縦するマルチコプター100Aに搭乗しているかのような感覚を得ることができる。
【0054】
図4は、本実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具のブロック構成図である。
図4には、ラジオコントロール玩具100として自動車模型100Bが例示される。
ラジオコントロール玩具100としての自動車模型100Bは、制御信号受信部1001と、ステアリングサーボ1002と、スピードコントローラ1003とを備えている。
【0055】
自動車模型100Bは、送信コントローラ110から送信された第1電波W1を制御信号受信部1001で受信すると、第1電波W1に含まれる制御信号によってステアリングサーボ1002やスピードコントローラ1003を制御する。ステアリングサーボ1002は自動車模型100Bのステアリングを動作させ、スピードコントローラ1003は自動車模型100Bの駆動源であるモータの回転を制御する。これにより、ユーザ200による送信コントローラ110の操作で自動車模型100Bの操舵およびスピードがコントロールされる。
【0056】
自動車模型100Bには、動作情報送信部30が着脱自在に取り付けられている。本実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具1のシステムに参加する場合には、自動車模型100Bに動作情報送信部30を取り付ける。一般的な自動車模型100Bには加速度センサSR1や回転数センサSR2は設けられていない(内蔵されていない)。そこで、加速度センサSR1および回転数センサSR2と動作情報送信部30とが一体となった送信ユニット30Uを適用して、自動車模型100Bに取り付ける。
【0057】
自動車模型100Bでは、シャシーに制御基板が取り付けられており、この制御基板に拡張ポートが設けられている。送信ユニット30Uはこの拡張ポートと接続され、シャシー上に搭載される。なお、動作情報送信部30にバッテリーが内蔵されている場合には、必ずしも拡張ポートに接続する必要はない。また、動作情報としてジャイロセンサ(図示せず)で検知した角速度を含めてもよい。ジャイロセンサは自動車模型100Bに予め搭載されていてもよいし、送信ユニット30Uに設けられていてもよい。
【0058】
ユーザ200が送信コントローラ110で自動車模型100Bを無線操縦する際、動作情報送信部30は加速度センサSR1および回転数センサSR2によって検知した加速度やモータ回転数は、動作情報として動作情報送信部30から第2電波W2で無線送信される。自動車模型100Bにカメラユニット60が設けられている場合には、カメラ61で取得した映像情報が第3電波W3で無線送信される。
【0059】
搭乗部10側には、動作情報受信部40、駆動制御部50、映像受信部71、ディスプレイ72が設けられる。駆動制御部50は、全体を制御する制御部500に含まれていてもよい。搭乗部10を動作させる駆動部20は、第1駆動機構201、第2駆動機構202および第3駆動機構203を有する。第1駆動機構201、第2駆動機構202および第3駆動機構203のそれぞれは、サーボモータ21と伸縮するロッド22との組を有している。駆動部20は、4つ以上の駆動機構を有していてもよい。
【0060】
本実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具1では、切り替え部80や感度設定部90を備えていてもよい。切り替え部80および感度設定部90については後述する。
【0061】
このような構成により、ユーザ200は自ら無線操縦する自動車模型100Bの動きを搭乗部10の動きを通じて体感することができる。例えば、自動車模型100BのサスペンションSUのセッティングを変更した場合、変更によって自動車模型100Bの動きがどのように変化したかを、ユーザ200はまるで実車を運転しているかのようにロール、ピッチ、振動などを体感することができる。
【0062】
(動作モード)
図5は、動作モードについて説明する図である。
本実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具1に切り替え部80が設けられている場合、切り替え部80によって、ラジオコントロール玩具100の種別に応じた動作モードの選択が可能となる。ラジオコントロール玩具の種別とは、例えば、マルチコプター、飛行機、自動車、ヘリコプター、船、サーフボードなどの形態の区別のことを言う。
【0063】
切り替え部80で選択されたラジオコントロール玩具100の種別に応じた動作モードによって、駆動制御部50は動作情報に基づく駆動部20の動作を切り替える制御を行う。動作モードとは、ラジオコントロール玩具100の動きと搭乗部10の動きとの対応関係を示す情報である。すなわち、ラジオコントロール玩具100が例えばピッチ方向に移動した場合、この移動に対応した搭乗部10の移動量および移動方向を決定するための情報である。ラジオコントロール玩具100の種別によっては、ラジオコントロール玩具100が動いている際の加速度(角速度)の方向および移動量と、体感させるための搭乗部10の加速度(角速度)の方向および移動量とを変えたほうがよい場合もある。このため、ラジオコントロール玩具100の種別に応じて動作モードを切り替えられるようにしておく。
【0064】
例えば、ラジオコントロール玩具100の種別としてマルチコプターが選択された場合、動作モードは「ピッチ:モードMP1」、「ヨー:モードMY1」、「ロール:モードMR1」を選択する。マルチコプターの場合、旋回中は旋回の内側にロールする。この状態をユーザ200に体感させるために最もこの感覚に近い動きを搭乗部10に与える動作モードを設定する。
【0065】
一方、自動車が選択された場合、動作モードは「ピッチ:モードMP3」、「ヨー:モードMY3」、「ロール:モードMR3」を選択する。自動車の場合、旋回中は外側にロールするとともに横方向(外側方向)の加速度が発生する。この状態をユーザ200に体感させるために最もこの感覚に近い動きを搭乗部10に与える動作モードを設定する。すなわち、自動車のロール方向は、先に説明したマルチコプターの例とは逆となる。
【0066】
このように、実際に検知した動作情報と、体感させるための搭乗部10の動作との対応付けが動作モードであり、この動作モードをラジオコントロール玩具100の種別によって変えられるようになっている。
【0067】
動作モードの設定は、ラジオコントロール玩具100の種別ごとのほか、ユーザ設定で登録できるようになっていてもよい。また、
図5ではピッチ、ヨーおよびロールについて個別に動作モードを設定しているが、ラジオコントロール玩具100が動いている際の加速度(角速度)などをパラメータとして、搭乗部10の移動量および移動方向を決定する関数を動作モードとして割り当ててもよい。
【0068】
また、切り替え部80によるラジオコントロール玩具100の種別の切り替えは、ディスプレイ72に表示されたアイコン等によってユーザ200が選択してもよいし、動作情報送信部30から送信される情報に基づいて自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0069】
(動作感度)
図6は、動作感度の設定について説明する図である。
本実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具1に感度設定部90が設けられている場合、感度設定部90によって、駆動部20の動作量に関する係数および動作加速度に関する係数の少なくともいずれかを変化させることができる。
【0070】
感度設定部90では、ラジオコントロール玩具100のスケールサイズに対応して動作情報に基づく駆動部20の動作感度を設定する。ここで、スケールサイズとは、実機等の大きさに対するラジオコントロール玩具100の縮尺を表す数値である。例えば、ラジオコントロール玩具100のスケールサイズには、1/5、1/8、1/10…などがある。
【0071】
また、駆動部20の動作感度は、ラジオコントロール玩具100の動作情報(加速度等)と、搭乗部10の動作量や動作加速度との間の係数である。例えば動作量が1:1の場合には、ラジオコントロール玩具100の移動量と搭乗部10の移動量とが同じであることを示し、1:5の場合には、ラジオコントロール玩具100の移動量に対して搭乗部10の移動量が5倍であることを示す。また、加速度が1:1の場合には、ラジオコントロール玩具100の加速度と搭乗部10の加速度とが同じであることを示し、1:5の場合にはラジオコントロール玩具100の加速度に対して搭乗部10の加速度が5倍であることを示す。
【0072】
感度設定部90は、ラジオコントロール玩具100のスケールサイズに対応して駆動部20の動作感度を選択する。例えば、スケールサイズ1/5が選択された場合、動作感度は「感度SV1」を選択する。また、スケールサイズ1/27が選択された場合、動作感度は「感度SV7」を選択する。スケールサイズの母数が大きいほど動作感度は低くなる。すなわち、スケールサイズの母数の大きいほど動きが機敏になる傾向にあるため、ユーザ200が搭乗する搭乗部10の動きを緩慢にする調整が必要となる。
【0073】
スケールサイズに対応して動作感度を設定することにより、ラジオコントロール玩具100が実機等であった場合の動きに合わせて搭乗部10を動かし、ユーザ200にラジオコントロール玩具100が実機等であった場合の動きを体感させることができる。
【0074】
スケールサイズに対応した動作感度の設定は、ユーザによって登録されてもよい。また、大きさに関するスケールサイズのほか、実機等とラジオコントロール玩具100との重量の比率に応じて動作感度を設定できるようにしてもよい。
【0075】
図7は、他の動作感度の設定について説明する図である。
図7では、一例として自動車模型100Bのラジオコントロール玩具100についての動作感度の設定を示している。
感度設定部90は、オンロードおよびオフロードのそれぞれについて、「イージー」、「ノーマル」、「スポーツ」、「レーシング」の4段階の動作感度を選択可能となっている。すなわち、「イージー」から「レーシング」にかけて段階的に動作感度が高くなる。動作感度の設定によって、自動車模型100Bの動作情報(加速度等)が同じ値であっても、動作感度の設定に応じて搭乗部10が鈍い動きから鋭い動きまで変化することになる。
【0076】
なお、
図7では自動車模型100Bについての動作感度の設定について例示したが、マルチコプター100Aやその他のラジオコントロール玩具100であっても、同様な段階的な動作感度の選択を行えるようにしてもよい。
【0077】
(他の送信コントローラ)
図8(a)〜(c)は、他の送信コントローラを例示する模式図である。
図8(a)にはスティック型の送信コントローラ110Bが示され、
図8(b)にはハンドルおよびペダル型の送信コントローラ110Cが示され、
図8(c)には操縦桿およびペダル型の送信コントローラ110Dが示される。
【0078】
図8(a)に示すスティック型の送信コントローラ110Bは、ユーザ200による手持ち型である。
図8(b)に示すハンドルおよびペダル型の送信コントローラ110C、
図8(c)に示す操縦桿およびペダル型の送信コントローラ110Dは、手持ち型ではなく搭乗部10に固定された据置型である。このように、本実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具1では、各種の送信コントローラ110を適用できるが、手持ち型の場合には、ユーザ200の使い慣れた送信コントローラ110によって体感型ラジオコントロール玩具1のシステムへ参加することができる。
【0079】
(他のディスプレイ)
図9は、ゴーグル型のディスプレイを例示する模式図である。
ディスプレイ72は、搭乗部10に取り付けられていてもよいし、ユーザ200に装着するゴーグル300に取り付けられていてもよい。これにより、ユーザ200はゴーグル300を装着することで視界の広範囲にわたりラジオコントロール玩具100から送られてきた映像を見ることができ、より臨場感を増加させることができる。
【0080】
以上説明したように、実施形態に係る体感型ラジオコントロール玩具1によれば、ラジオコントロール玩具100を遠隔操作して楽しむとともに、ラジオコントロール玩具100の動作中の動きをユーザ200に体感させることが可能となる。
【0081】
なお、上記に本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、上記では、ラジオコントロール玩具100を操作するユーザ200が搭乗部10に搭乗する例を示したが、ユーザ200以外の人に搭乗部10に搭乗してもらい、ユーザ200の操作するラジオコントロール玩具100の動きをその人(搭乗者)に体験してもらうようにしてもよい。また、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【解決手段】ユーザにラジオコントロール玩具の動きを体感させる体感型ラジオコントロール玩具1であって、ユーザを搭乗可能な搭乗部10と、搭乗部10を動作させる駆動部20と、ユーザによって無線操縦されているラジオコントロール玩具の動作情報を無線送信する動作情報送信部30と、送信された動作情報を受信する動作情報受信部40と、受信した動作情報に基づいて駆動部20を制御する駆動制御部50と、を備え、動作情報送信部30は、ラジオコントロール玩具に載せ替え可能に取り付けられ、動作情報送信部30と動作情報受信部40との間の無線通信は、送信コントローラとラジオコントロール玩具との間の無線操縦についての無線通信とは別系統に設けられている。