【実施例】
【0065】
以下に、本発明の代表的な実施例と比較例とを挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0066】
<実施例1>
0.1mol/Lの硫酸ニッケル水溶液、0.1mol/Lの硫酸マンガン水溶液を準備した。前記硫酸ニッケル水溶液及び前記硫酸マンガン水溶液をニッケルとマンガンとのモル比がNi:Mn=0.35:0.65となるように混合して、混合溶液を得た。1mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液を準備した。密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。前記混合溶液と前記炭酸ナトリウム水溶液とを、撹拌しながら、前記反応槽に、5mL/mimの速度で連続的に滴下した。同時に、pH=7.80(±0.01)となるように、前記炭酸ナトリウム水溶液を滴下した。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出し、固形分は反応槽に滞留させながら、500rpmで20時間攪拌した。反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。
【0067】
得られた共沈前駆体は、ICP発光分光分析で測定したところ(Ni
0.35Mn
0.65)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で900℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0068】
次に、前記方法にしたがって、正極活物質の粉末について粉末X線回折を行い、得られたデータから、相対高さ強度比及び結晶子サイズを算出した。粉末X線回折パターンを
図1に示す。また、各々前記方法にしたがって、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0069】
<実施例2>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.35:0.01:0.64となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0070】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.35Co
0.01Mn
0.64)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0071】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0072】
<実施例3>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.33:0.03:0.64となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0073】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.33Co
0.03Mn
0.64)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0074】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0075】
<実施例4>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.30:0.06:0.64となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0076】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.30Co
0.06Mn
0.64)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.40となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0077】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0078】
<実施例5>
実施例4と同様にして、共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni
0.30Co
0.06Mn
0.64)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.40となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、リチウム複合酸化物粒子粉末を得た。
【0079】
その後、得られたリチウム複合酸化物粒子粉末100gを、30℃に保持した50mLの純水に攪拌しながら投入し、中間焼成物のスラリーとした。次に、硫酸アルミニウム濃度が1.0mol/Lとなるように調整した該硫酸アルミニウム水溶液6mLを、該中間焼成物のスラリーに滴下し、濾過、水洗後、120℃で乾燥した。これを、電気炉を用いて、空気流通下で400℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。正極活物質に対する硫酸アルミニウムの表面処理量は、0.34wt%であった。
【0080】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0081】
<実施例6>
実施例1において、pH=9.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0082】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.35Mn
0.65)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で900℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0083】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0084】
<実施例7>
実施例2において、pH=9.00(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例2と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0085】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.35Co
0.01Mn
0.64)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0086】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0087】
<実施例8>
実施例3において、pH=8.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例3と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0088】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.33Co
0.03Mn
0.64)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0089】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0090】
<実施例9>
実施例4において、pH=7.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例4と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0091】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.30Co
0.06Mn
0.64)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.40となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0092】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0093】
<実施例10>
実施例9と同様にして、共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni
0.30Co
0.06Mn
0.64)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.40となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、リチウム複合酸化物粒子粉末を得た。
【0094】
その後、得られたリチウム複合酸化物粒子粉末100gを、30℃に保持した50mLの純水に攪拌しながら投入し、中間焼成物のスラリーとした。次に、硫酸アルミニウム濃度が1.0mol/Lとなるように調整した該硫酸アルミニウム水溶液6mLを、該中間焼成物のスラリーに滴下し、濾過、水洗後、120℃で乾燥した。これを、電気炉を用いて、空気流通下で400℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。正極活物質に対する硫酸アルミニウムの表面処理量は、0.34wt%であった。
【0095】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0096】
<比較例1>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.25:0.10:0.65となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0097】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.25Co
0.10Mn
0.65)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.35となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0098】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0099】
<比較例2>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.23:0.10:0.67となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0100】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.23Co
0.10Mn
0.67)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.35となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で910℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0101】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0102】
<比較例3>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.30:0.20:0.50となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0103】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.30Co
0.20Mn
0.50)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.25となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0104】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0105】
<比較例4>
実施例1において、ニッケルとコバルトとマンガンとのモル比がNi:Co:Mn=0.30:0.20:0.50となるように、硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液及び硫酸マンガン水溶液の混合溶液を加えたほかは、実施例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0106】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.30Co
0.20Mn
0.50)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.20となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で910℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0107】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0108】
<比較例5>
比較例1において、pH=9.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、比較例1と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0109】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.25Co
0.10Mn
0.65)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.35となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0110】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0111】
<比較例6>
比較例2において、pH=9.00(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、比較例2と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0112】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.23Co
0.10Mn
0.67)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.35となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で910℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0113】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0114】
<比較例7>
比較例3において、pH=8.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、比較例3と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0115】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.30Co
0.20Mn
0.50)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.25となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0116】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0117】
<比較例8>
比較例4において、pH=7.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、比較例4と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0118】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.30Co
0.20Mn
0.50)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.20となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で910℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0119】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0120】
<比較例9>
実施例1と同様にして、共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni
0.35Mn
0.65)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で830℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0121】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0122】
<比較例10>
実施例2と同様にして、共沈前駆体の粉末を得た。得られた共沈前駆体は、(Ni
0.35Co
0.01Mn
0.64)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で1100℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0123】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0124】
<比較例11>
実施例3において、pH=6.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例3と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0125】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.33Co
0.03Mn
0.64)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.30となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で880℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0126】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0127】
<比較例12>
実施例4において、pH=13.50(±0.01)となるように、炭酸ナトリウム水溶液を反応槽に滴下したほかは、実施例4と同様にして共沈前駆体の粉末を得た。
【0128】
得られた共沈前駆体は、(Ni
0.30Co
0.06Mn
0.64)CO
3(炭酸塩前駆体化合物)であった。リチウムと該共沈前駆体との割合(モル比)がLi/(Ni+Co+Mn)=1.40となるように、炭酸リチウム粉末を秤量し、充分に共沈前駆体と混合した。これを、電気炉を用いて、酸化性雰囲気で930℃にて5時間焼成し、正極活物質を得た。
【0129】
得られた正極活物質の粉末について、実施例1と同様にして、相対高さ強度比、結晶子サイズ、BET比表面積、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を求めた。これらの値を後の表2及び表3に示す。さらに、スピネル異相の有無についても、表2に示す。
【0130】
以下の表1に、正極活物質の組成(前記組成式(I)中のx、a、b、及びc)、炭酸塩前駆体化合物の合成時のpH、焼成温度、並びにアルミニウム化合物による表面処理量を纏めて示す。また表2に、スピネル異相の有無、相対高さ強度比、結晶子サイズ、及びBET比表面積を纏めて示し、表3に、サイクル特性、レート特性、及びエネルギー密度を纏めて示す。
【0131】
【表1】
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
実施例1〜10で得られた正極活物質は、いずれもエネルギー密度が880Wh/kg〜1100Wh/kgであり、サイクル特性が93%以上で、かつレート特性が80%以上であった。このことにより、本発明に係る正極活物質は、Cu−Kα線を使用した粉末X線回折パターンの、2θ=20.8±1°における最大回折ピークの高さ強度(a)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの高さ強度(b)との相対高さ強度比=(a)/(b)が、0.015〜0.035の範囲であり、(104)回折線からシェラーの式を用いて計算した結晶子サイズが、25〜40nmの範囲であり、かつ、BET比表面積が、3.5〜8.5m
2/gの範囲であるので、エネルギー密度が高いにも関わらず、サイクル特性及びレート特性も高い値を示すことが分かった。しかも、本発明に係る正極活物質は、レアメタルで高価なCoの含有率が低く、コストの面からも有利な優れた正極材料であるといえる。
【0135】
一方、比較例1、5、6のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015〜0.035の範囲であり、結晶子サイズが25〜40nmの範囲であるが、BET比表面積が8.5m
2/gよりも大きい正極活物質は、エネルギー密度は高いが、サイクル特性及び/又はレート特性が低い値である。
【0136】
比較例2のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015〜0.035の範囲であり、BET比表面積が3.5〜8.5m
2/gの範囲であるが、結晶子サイズが40nmよりも大きい正極活物質は、サイクル特性が高い値であり、エネルギー密度も高いが、レート特性が低い値である。
【0137】
比較例3、7のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015〜0.035の範囲であり、結晶子サイズが25〜40nmの範囲であるが、BET比表面積が8.5m
2/gよりも著しく大きい正極活物質は、エネルギー密度が低い。
【0138】
比較例4のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015〜0.035の範囲であるが、結晶子サイズが40nmよりも大きく、BET比表面積が8.5m
2/gよりも大きい正極活物質は、レート特性は高い値であるが、サイクル特性が低い値であり、エネルギー密度も低い。
【0139】
比較例8のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015〜0.035の範囲であり、BET比表面積が3.5〜8.5m
2/gの範囲であるが、結晶子サイズが40nmよりも著しく大きい正極活物質は、エネルギー密度が低い。
【0140】
比較例9のように、結晶子サイズが25〜40nmの範囲であり、BET比表面積が3.5〜8.5m
2/gの範囲であるが、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015よりも低い正極活物質は、エネルギー密度及びレート特性は高い値であるが、サイクル特性が低い。
【0141】
比較例10のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.035よりも高く、結晶子サイズが40nmよりも著しく大きく、BET比表面積が3.5よりも小さい正極活物質は、レート特性が低い値であり、エネルギー密度も低い。
【0142】
比較例11のように、結晶子サイズが25〜40nmの範囲であり、BET比表面積が3.5〜8.5m
2/gの範囲であるが、相対高さ強度比(a)/(b)が0.035よりも高い正極活物質は、エネルギー密度及びサイクル特性は高い値であるが、レート特性が低い。
【0143】
比較例12のように、相対高さ強度比(a)/(b)が0.015〜0.035の範囲であり、結晶子サイズが25〜40nmの範囲であるが、BET比表面積が8.5m
2/gよりも大きい正極活物質は、エネルギー密度及びレート特性は高い値であるが、サイクル特性が低い。
【0144】
通常、優れたサイクル特性を得ようとして、結晶性を上げるために焼成温度を上昇させると、結晶子サイズが大きくなり、レート特性が低下する。また、優れたレート特性を得ようとして、結晶子サイズを小さくするために焼成温度を低下させると、十分な結晶性が得られず、サイクル特性が低下する。そのため、これまでの知見では、サイクル特性とレート特性との両立が可能な活物質が得られていない。
【0145】
本発明で重要なことは、前記のように優れたサイクル特性と優れたレート特性との両立が可能な各種粉体特性(パラメータ)を発見し、実際に合成するに至ったことにある。
【0146】
以上の結果から、本発明に係る正極活物質は、サイクル特性及びレート特性に優れ、かつエネルギー密度が大きく、非水電解質二次電池用の正極活物質として有効であることが確認された。