特許第6408134号(P6408134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408134
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】燃焼バーナ及びボイラ
(51)【国際特許分類】
   F23D 1/00 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   F23D1/00 C
【請求項の数】13
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-509377(P2017-509377)
(86)(22)【出願日】2016年2月22日
(86)【国際出願番号】JP2016054978
(87)【国際公開番号】WO2016158079
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2017年7月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-73500(P2015-73500)
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-179763(P2015-179763)
(32)【優先日】2015年9月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松本 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】堂本 和宏
(72)【発明者】
【氏名】冨永 幸洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆一郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 直文
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/137573(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/038426(WO,A1)
【文献】 米国特許第05215259(US,A)
【文献】 特開昭59−205510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料と空気とを混合した燃料ガスを噴出する燃料ノズルと、
前記燃料ノズルの外側から空気を噴出する燃焼用空気ノズルと、
前記燃料ノズル内に配置され、燃料ガス流れに対して傾斜する第1傾斜面および該第1傾斜面の傾斜が終了する第1傾斜終了端を有する第1部材と、
前記第1傾斜終了端よりも燃料ガス流れの下流側に配置され、燃料ガス流れに対して前記第1部材側に傾斜する第2傾斜面および該第2傾斜面の傾斜が終了する第2傾斜終了端を有する第2部材と、
を備え、
前記第2部材は、前記第1部材の両側に配置されるとともに、前記燃料ノズルの内壁面から所定間隔を空けて前記燃料ノズルの開口部の近傍に配置される燃焼バーナ。
【請求項2】
前記第1部材は、前記燃料ガスの噴出方向を少なくとも2方向に拡幅する複数の前記第1傾斜面が設けられ、
前記第2部材は、前記第1部材側だけに前記第2傾斜面が設けられる請求項1に記載の燃焼バーナ。
【請求項3】
複数の前記第1部材の間で、前記第1傾斜終了端よりも燃料ガス流れの下流側に配置され、燃料ガス流れに対して前記第1部材側に傾斜する第3傾斜面および該第3傾斜面の傾斜が終了する第3傾斜終了端を有する第3部材が配置される請求項に記載の燃焼バーナ
【請求項4】
前記第1部材は、燃料ガス流れ方向に沿って位置調整自在に設けられる請求項1から3のいずれか一項に記載の燃焼バーナ。
【請求項5】
前記第1部材及び前記第2部材は、鉛直方向に沿って配置されると共に、水平方向に所定間隔を空けて配置される請求項1から4のいずれか一項に記載の燃焼バーナ。
【請求項6】
前記第1部材及び前記第2部材は、水平方向に沿って配置されると共に、鉛直方向に所定間隔を空けて配置される請求項1から4のいずれか一項に記載の燃焼バーナ。
【請求項7】
前記燃焼用空気ノズルの外側から空気を噴出する2次空気ノズルを有し、前記2次空気ノズルは、少なくとも前記燃料ノズルにおける前記第1部材の前記第1傾斜面が傾斜する方向の両端に配置される請求項5または6に記載の燃焼バーナ。
【請求項8】
前記燃料ノズルの一端部から他端部にわたって設けられた整流板を備えている請求項5または6に記載の燃焼バーナ。
【請求項9】
前記整流板は、前記第1部材及び前記第2部材の燃料ガス流れ方向に交差する方向に位置する両端部のそれぞれに向かい合うように設けられている請求項に記載の燃焼バーナ。
【請求項10】
向かい合う前記整流板の間隔は、燃料ガス流れ下流側方向に向かって漸次拡大されている請求項に記載の燃焼バーナ。
【請求項11】
前記燃料ノズルの上流端に接続される微粉炭管を有し、該微粉炭管の先端部が燃料ガス流れ下流側方向に向かって流路断面積が拡大するように形成され、
前記微粉炭管の先端部には、複数の板部材が設けられている請求項に記載の燃焼バーナ。
【請求項12】
中空形状をなして鉛直方向に沿って設置される火炉と、
前記火炉に配置される請求項1から11のいずれか一項に記載の燃焼バーナと、
前記火炉の上部に配置される煙道と、
を有するボイラ。
【請求項13】
前記火炉の前記燃焼バーナの上部に追加空気供給部を有する請求項12に記載のボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料と空気を混合して燃焼させる燃焼バーナ、この燃焼バーナにより発生した燃焼ガスにより蒸気を生成するボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の石炭焚きボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に複数の燃焼バーナが周方向に沿って配設されると共に、上下方向に複数段にわたって配置されている。この燃焼バーナは、石炭が粉砕された微粉炭(燃料)と1次空気との混合気が供給されると共に、高温の2次空気が供給され、この混合気と2次空気を火炉内に吹き込むことで火炎を形成し、この火炉内で燃焼可能となっている。そして、この火炉は、上部に煙道が連結され、この煙道に排ガスの熱を回収するための過熱器、再熱器、節炭器などの熱交換器が設けられており、火炉での燃焼により発生した排ガスと水との間で熱交換が行われ、蒸気を生成することができる。
【0003】
このような石炭焚きボイラの燃焼バーナとしては、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。特許文献に記載された燃焼バーナは、微粉炭と1次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズルと、この燃料ノズルの外側から2次空気を吹き込み可能な2次空気ノズルとを設けると共に、燃料ノズルの先端部における軸中心側に保炎器を設けることで、この保炎器に微粉炭濃縮流を衝突させ、広い負荷範囲において安定して低NOx燃焼を可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−215362号公報
【特許文献2】特開2012−215363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の燃焼バーナでは、保炎器をスプリッタ形状とし、燃料ノズルの先端部に配置することで、保炎器の下流側に再循環領域を形成し、微粉炭の燃焼を維持している。このスプリッタを内部に設置することでより空気量が少ない火炎内部から着火させ、火炎外周で形成される高温高酸素領域を低減し、NOxの低減を図っている。ところが、保炎器の前端面が燃料ノズルの開口部と燃料ガスの流れ方向における同位置に配置されているため、燃料ノズルの開口部における燃料ガスの流速が高くなり、着火性や保炎性が低下してしまうおそれがある。例えば、特許文献1では、燃料ノズルの内壁面と保炎器との間に整流部材を設けることで、流速を低減させており、特許文献2では、燃料ノズル内を流れる燃料ガスを軸心側に導く案内部材を設けることで、流速を低減させている。しかし、燃料ノズル内に新たな部材としての案内部材をノズル外周に設けることで、燃料ノズルが大型化して製造コストが増加してしまうという問題がある。また、特許文献2では、外周側に着火が起こることで、内部保炎を阻害してしまう可能性がある。なお、特許文献1にて、整流部材を保炎器としての機能を持たせ、短くして上流側へ引いたものが記載されているが、保炎器の外側の整流部材を短くして上流側へ引くため、燃料ノズルの外側での保炎性が向上してしまい、2次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度が高くなり、NOxの発生量が増加してしまう。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、内部保炎性能の向上を図る燃焼バーナ及びボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の一態様に係る燃焼バーナは、燃料と空気とを混合した燃料ガスを噴出する燃料ノズルと、前記燃料ノズルの外側から空気を噴出する燃焼用空気ノズルと、前記燃料ノズル内に配置され、燃料ガス流れに対して傾斜する第1傾斜面および該第1傾斜面の傾斜が終了する第1傾斜終了端を有する第1部材と、前記第1傾斜終了端よりも燃料ガス流れの下流側に配置され、燃料ガス流れに対して前記第1部材側に傾斜する第2傾斜面および該第2傾斜面の傾斜が終了する第2傾斜終了端を有する第2部材とを備えている。
【0008】
燃料ガス流れに対して傾斜する第1部材の第1傾斜面によって燃料ガスが偏向された上で、第1傾斜面の傾斜が終了する第1傾斜終了端で燃料ガス流れが剥離するので、第1部材の下流側に燃料ガスの再循環領域が形成される。この再循環領域で着火されて火炎が形成されることで、保炎が行われる。そして、第1傾斜終了端よりも燃料ガス流れの下流側に配置された第2部材の第2傾斜面によって、燃料ガス流れが第1部材側に偏向されて第1部材によって形成された再循環領域に燃料ガスを導くことができる。この場合、第1部材が保炎器として機能し、第2部材が燃料ガスを案内する案内部材として機能する。これにより、第1部材による保炎が強化される。
または、燃料ガス流れに対して傾斜する第2部材の第2傾斜面によって燃料ガスが偏向された上で、第2傾斜面の傾斜が終了する第2傾斜終了端で燃料ガス流れが剥離するので、第2部材の下流側に燃料ガスの再循環領域が形成される。この再循環領域で着火されて火炎が形成されることで、保炎が行われる。そして、第2傾斜終了端よりも燃料ガス流れの上流側に配置された第1部材の第1傾斜面によって、燃料ガス流れが第2部材側に偏向されて第2部材によって形成された再循環領域に燃料ガスを導くことができる。この場合、第1部材が燃料ガスを案内する案内部材として機能し、第2部材が保炎器として機能する。これにより、第2部材による保炎が強化される。
または、第1部材および第2部材が、保炎器および案内部材の両方の機能を有する場合もある。これらの機能の使い分けは、第1部材と第2部材との位置関係等によって決まる。例えば、第2部材の第2傾斜面の延長線上に第1部材によって形成された再循環領域が存在していれば、第2部材は案内部材の機能を有することになる。
さらに、第1傾斜面と第2傾斜面とを燃料ガスの流れ方向で異なる位置に配置することで、第1傾斜面および第2傾斜面によって流路を占有する面積を燃料ガス流れ方向にずらすことができるので、流路断面積の減少を可及的に防ぐことができ、燃料ノズルを大型化することなく燃料ガスの流速の増大を抑えることができる。これにより、燃料ガスの流速を燃焼速度に近づけることで、火炎の吹き飛びを抑制できるので、より安定した保炎が可能となる。
以上により、燃料ノズル内で第2部材よりも上流側に配置された第1部材によって燃料ノズルの内側で行われる内部保炎が強化されるので、酸素不足下での還元燃焼が促進され、NOxの低減を図ることができる。
なお、第1傾斜面の傾斜が終了する第1傾斜終了端および第2傾斜面の傾斜が終了する第2傾斜終了端とは、傾斜面に沿って流れる燃料ガスの剥離の起点となる端部を意味し、例えば三角形断面の斜面が終了する端部となる角部や、板状体を折り曲げて形成された傾斜面が終了する板状体の端部を意味する。
また、燃焼用空気ノズルから噴出される空気を、燃料ガスの噴出方向に沿う直進流としても良い。これにより、空気が燃料ノズルの噴出開口部側に流れにくくなり、燃料ノズルにおける外部保炎を抑制し、NOx発生量を減少することができる。
【0009】
さらに、本発明の一態様に係る燃焼バーナによれば、前記第2部材は、前記第1部材の両側に配置される。
【0010】
第1部材の両側に第2部材を配置することで、第1部材の下流側に形成された再循環領域に第2部材から燃料ガスが導かれ、着火及び保炎を強化することができる。
【0011】
さらに、本発明の一態様に係る燃焼バーナによれば、前記第2部材は、前記燃料ノズルの内壁面から所定間隔を空けて前記燃料ノズルの開口部の近傍に配置される。
【0012】
第2部材が燃料ノズルの内壁面から所定間隔を空けて噴出開口部の近傍に配置されることで、燃料ノズルの内壁面に沿って流れる燃料ガスが燃料ノズルの外側を流れる燃焼用空気と着火する外部着火を抑制でき、NOx発生量を減少することができる。
【0013】
さらに、本発明の一態様に係る燃焼バーナによれば、前記第1部材は、前記燃料ガスの噴出方向を少なくとも2方向に拡幅する複数の前記第1傾斜面が設けられ、前記第2部材は、前記第1部材側だけに前記第2傾斜面が設けられる。
【0014】
燃料ガスは、第1部材の複数の第1傾斜面により少なくとも2方向に広がって再循環領域を形成し、第2部材の第2傾斜面により第1部材側だけに広がって再循環領域を形成することとなり、燃料ノズルにおける外部保炎を抑制し、NOx発生量を減少することができる。
なお、第1部材は、所定間隔をおいて並列的に複数設けられても良いし、燃料ノズルの中心軸線に沿って1つ設けられていても良い。
【0015】
さらに、本発明の一態様に係る燃焼バーナによれば、複数の前記第1部材の間で、前記第1傾斜終了端よりも燃料ガス流れの下流側に配置され、燃料ガス流れに対して前記第1部材側に傾斜する第3傾斜面および該第3傾斜面の傾斜が終了する第3傾斜終了端を有する第3部材が配置される。
【0016】
第1部材の間でかつ燃料ガス流れ下流側に第3部材を設けることで、第3部材から第1部材が形成する再循環領域へ燃料ガスが供給されることで、内部保炎性能を向上することができる。
【0017】
さらに、本発明の一態様に係る燃焼バーナによれば、前記第1部材は、燃料ガス流れ方向に沿って位置調整自在に設けられる。
【0018】
第1部材を燃料ガス流れ方向に沿って位置調整自在とすることで、例えば、燃料の種類に応じて第1部材を燃料ガス流れ方向の上流側または下流側に変更することで、良好な内部保炎性能を確保することができる。
【0019】
さらに、本発明の一態様に係る燃焼バーナによれば、前記第1部材及び前記第2部材は、鉛直方向に沿って配置されると共に、水平方向に所定間隔を空けて配置される。
【0020】
第1部材及び第2部材を鉛直方向に沿って配置することで、燃料ノズル内を流れる燃料ガスに含まれる燃料が各部材上に堆積することが抑制され、保炎性能の低下を防止することができる。
【0021】
さらに、本発明の一態様に係る燃焼バーナによれば、前記第1部材及び前記第2部材は、水平方向に沿って配置されると共に、鉛直方向に所定間隔を空けて配置される。
【0022】
第1部材及び第2部材を水平方向に沿って配置することで、上下方向の外部着火を相対的に弱めることができ、上下に2次空気ノズルが配置されている場合には、2次空気ノズルからの空気による高温高酸素領域を軽減することができる。
【0023】
さらに、本発明の一態様に係る燃焼バーナによれば、前記燃焼用空気ノズルの外側から空気を噴出する2次空気ノズルを有し、前記2次空気ノズルは、少なくとも前記燃料ノズルにおける前記第1部材の前記第1傾斜面が傾斜する方向の両端に配置される。
【0024】
外部保炎をしない燃料ノズルの外側に向けて2次空気が噴出されることで、この領域が酸素過剰状態となっても、NOxの発生量が増加することはなく、火炎外周にも空気を供給することができる。微粉炭等の石炭燃料の場合には空気不足になると硫化水素が発生して炉壁を腐食するおそれがあるが、2次空気ノズルによって十分な空気を火炎外周に供給することができるので、硫化水素の発生を抑制することができる。
【0025】
さらに、本発明の一態様に係る燃焼バーナによれば、前記燃料ノズルの一端部から他端部にわたって設けられた整流板を備えている。
【0026】
燃料ノズルの一端部から他端部にわたって整流板が設けられているので、燃焼バーナの角度調整機能によって燃料ノズルが角度調整された場合に、整流板に沿って燃料ガスを導くことができ、所望の流れを得ることができる。
なお、整流板は、燃料ノズルが角度調整される方向に対して交差する方向に延在するように設けることが好ましい。
【0027】
さらに、本発明の一態様に係る燃焼バーナによれば、前記整流板は、前記第1部材及び前記第2部材の燃料ガス流れ方向に交差する方向に位置する両端部に設けられている。
【0028】
第1部材及び第2部材の燃料ガス流れに沿う両端部に設けられているので、両整流板で挟まれた流路に燃料ガスを導くことができ、第1部材及び第2部材による保炎性能を向上させることができる。
【0029】
さらに、本発明の一態様に係る燃焼バーナによれば、向かい合う前記整流板の間隔は、燃料ガス流れ下流側方向に向かって漸次拡大されている。
【0030】
燃料ガス流れ下流側方向に向かって向かい合う整流板の間隔を漸次拡大することとしたので、第1部材及び第2部材を流れる燃料ガスの流速を小さくして、保炎機能をさらに向上させることができる。
【0031】
さらに、本発明の一態様に係る燃料バーナによれば、前記燃料ノズルの上流端に接続される微粉炭管を有し、該微粉炭管の先端部が燃料ガス流れ下流側方向に向かって流路断面積が拡大するように形成され、前記微粉炭管の先端部には、複数の板部材が設けられている。
【0032】
微粉炭管の先端部に複数の板部材を設けることにより、各板部材が微粉炭管の先端部における流路を占有することによって、微粉炭管の先端部の流路断面積を小さくすることができる。これにより、微粉炭管の先端部を流れる流速の低減を抑制することができ、燃料ガス中の固体燃料(微粉炭)が微粉炭管の先端部、または燃料ノズルの燃料ガス流れ上流側内部に堆積することを防止することができる。
【0033】
また、本発明の一態様に係るボイラは、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置される火炉と、前記火炉に配置される上記のいずれかに記載の燃焼バーナと、前記火炉の上部に配置される煙道とを有する。
【0034】
さらに、本発明の一態様に係るボイラは、前記火炉の前記燃焼バーナ上部に追加空気供給部を有する。
【発明の効果】
【0035】
燃料ノズル内の流路断面積の減少を可及的に防ぐことができ、燃料ノズルを大型化することなく燃料ガスの流速の増大を抑えることができる。これにより、燃料ガスの流速を燃焼速度に近づけることで、火炎の吹き飛びを抑制できるので、より安定した保炎が可能となる。そして、燃料ノズル内で内部保炎が強化されるので、酸素不足下での還元燃焼が促進され、NOxの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1実施形態の燃焼バーナの正面図である。
図2】燃焼バーナの断面(図1のII−II断面)図である。
図3】第1実施形態の石炭焚きボイラを表す概略構成図である。
図4】燃焼バーナの配置構成を表す平面図である。
図5】第2実施形態の燃焼バーナの正面図である。
図6】燃焼バーナの縦断面(図5のVI−VI断面)図である。
図7】燃焼バーナの第1変形例を表す正面図である。
図8】燃焼バーナの第2変形例を表す正面図である。
図9】燃焼バーナの第3変形例を表す水平方向に切断した断面図である。
図10図9の燃焼バーナの正面図である。
図11図9の整流板の配置の変形例を示した正面図である。
図12図9の整流板の配置の変形例を示した正面図である。
図13図12の変形例となる燃焼バーナを示した縦断面図である。
図14図13の燃焼バーナのA−A断面を示した横断面図である。
図15図13の燃焼バーナの正面図である。
図16図13の燃焼バーナを鉛直断面で切断した縦断面図である。
図17図13の燃焼バーナの変形例を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る燃焼バーナ及びボイラの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0038】
[第1実施形態]
図3は、第1実施形態の石炭焚きボイラを表す概略構成図、図4は、燃焼バーナの配置構成を表す平面図である。
【0039】
第1実施形態のボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を微粉燃料(固体燃料)として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能な微粉炭焚きボイラである。
【0040】
第1実施形態において、図3に示すように、石炭焚きボイラ10は、コンベンショナルボイラであって、火炉11と燃焼装置12と煙道13を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁が伝熱管により構成されている。
【0041】
燃焼装置12は、この火炉11を構成する火炉壁(伝熱管)の下部に設けられている。この燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有している。本実施形態にて、この燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って5セット、つまり、5段配置されている。但し、火炉の形状や一つの段における燃焼バーナの数、段数はこの実施形態に限定されるものではない。
【0042】
この各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して粉砕機(微粉炭機/ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この粉砕機31,32,33,34,35は、図示しないが、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブルが駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。従って、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送用空気(1次空気)により分級された微粉炭を微粉炭供給管26,27,28,29,30から第1燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0043】
また、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト37の一端部が連結されており、この空気ダクト37は、他端部に送風機38が装着されている。更に、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置より上方に追加空気供給部(以下、アディショナル空気ノズルと称する。)39が設けられており、このアディショナル空気ノズル39に空気ダクト37から分岐した分岐空気ダクト40の端部が連結されている。従って、送風機38により送られた燃焼用空気(燃料ガス燃焼用空気/2次空気)を空気ダクト37から風箱36に供給し、この風箱36から各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができると共に、送風機38により送られた燃焼用空気(追加空気)を分岐空気ダクト40からアディショナル空気ノズル39に供給することができる。
【0044】
煙道13は、火炉11の上部に連結されている。この煙道13は、排ガスの熱を回収するための過熱器(スーパーヒータ)51,52,53、再熱器(リヒータ)54,55、節炭器(エコノマイザ)56,57が設けられており、火炉11での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0045】
煙道13は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出されるガスダクト58が連結されている。このガスダクト58は、空気ダクト37との間にエアヒータ59が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、ガスダクト58を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
【0046】
なお、ガスダクト58は、図示しないが、脱硝装置、電気集塵機、誘引送風機、脱硫装置が設けられ、下流端部に煙突が設けられている。
【0047】
ここで、燃焼装置12について詳細に説明するが、この燃焼装置12を構成する燃焼バーナ21,22,23,24,25は、それぞれほぼ同様の構成をなしていることから、燃焼バーナ21を代表して説明する。
【0048】
燃焼バーナ21は、図4に示すように、火炉11における4つの壁部にそれぞれ設けられる燃焼バーナ21a,21b,21c,21dから構成されている。各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dは、微粉炭供給管26から分岐した各分岐管26a,26b,26c,26dが連結されると共に、空気ダクト37から分岐した各分岐管37a,37b,37c,37dが連結されている。
【0049】
そのため、各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dは、火炉11に対して、微粉炭と搬送用空気が混合した微粉炭混合気(燃料ガス)を吹き込むと共に、その微粉炭混合気の外側に燃焼用空気(燃料ガス燃焼用空気/2次空気)を吹き込む。そして、この微粉炭混合気に着火することで、4つの火炎F1,F2,F3,F4を形成することができ、この火炎F1,F2,F3,F4は、火炉11の上方から見て(図4にて)反時計回り方向に旋回する火炎旋回流Cとなる。
【0050】
このように構成された石炭焚きボイラ10にて、図3及び図4に示すように、微粉炭機31,32,33,34,35が駆動すると、固体燃料が粉砕され、微粉炭が搬送用空気と共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。一方、加熱された燃焼用空気は、空気ダクト37から風箱36を介して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給されると共に、分岐空気ダクト40からアディショナル空気ノズル39に供給される。すると、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と搬送用空気とが混合した微粉炭混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。また、アディショナル空気ノズル39は、追加空気を火炉11に吹き込み、燃焼制御を行うことができる。この火炉11では、微粉炭混合気と燃焼用空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉11内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス(排ガス)がこの火炉11内を上昇し、煙道13に排出される。
【0051】
即ち、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭混合気と燃焼用空気(2次空気の一部)を火炉11における燃焼領域Aに吹き込み、このときに着火することで燃焼領域Aに火炎旋回流Cが形成される。そして、この火炎旋回流Cは、旋回しながら上昇して還元領域Bに至る。アディショナル空気ノズル39は、追加空気を火炉11における還元領域Bの上方に吹き込む。この火炉11では、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。そして、微粉炭の燃焼により発生したNOxが火炉11で還元され、その後、追加空気(アディショナルエア)が供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるNOxの発生量が低減される。
【0052】
そして、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器56,57によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器51,52,53に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器51,52,53で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器54,55に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉11をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
【0053】
その後、煙道13の節炭器56,57を通過した排ガスは、ガスダクト58にて、図示しない脱硝装置にて、触媒によりNOxなどの有害物質が除去され、電気集塵機で粒子状物質が除去され、脱硫装置により硫黄分が除去された後、煙突から大気中に排出される。
【0054】
ここで、このように構成された燃焼バーナ21(21a,21b,21c,21d)について詳細に説明する。図1は、第1実施形態の燃焼バーナの正面図、図2は、燃焼バーナの断面(図1のII−II断面)図である。
【0055】
燃焼バーナ21は、図1及び図2に示すように、中心側から燃料ノズル61と、燃焼用空気ノズル62と、2次空気ノズル63が設けられると共に、燃料ノズル61内に内部部材64が設けられている。
【0056】
燃料ノズル61は、微粉炭(固体燃料)と搬送用空気(1次空気)とを混合した微粉燃料混合気(以下、燃料ガス)301を噴出可能なものである。燃焼用空気ノズル62は、燃料ノズル61の外側に配置され、燃料ノズル61から噴出された燃料ガス301の外周側に燃焼用空気の一部(燃料ガス燃焼用空気)302を噴出可能なものである。2次空気ノズル63は、燃焼用空気ノズル62の外側に配置され、燃焼用空気ノズル62から噴出された燃料ガス燃焼用空気302の外周側に燃焼用空気の一部(以下、2次空気)303を噴出可能なものである。
【0057】
内部部材64は、燃料ノズル61内であって、燃料ノズル61の先端部、つまり、燃料ガス301の流動方向の下流側に配置されることで、燃料ガス301の着火用及び保炎用又は燃料案内用の部材として機能するものである。この内部部材64は、2個の第1部材71と、2個の第2部材72と、1個の第3部材73とから構成されている。この第1部材71と第2部材72と第3部材73は、鉛直方向に沿って配置されると共に、水平方向に所定間隔を空けて配置されている。この場合、鉛直方向とは、鉛直な方向に対して微小角度だけずれた方向も含むものである。
【0058】
第1部材71は、燃料ノズル61の先端部であって、燃料ガス301の噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oに対して径方向の両側(燃料ノズル61の内壁面61a側)で、且つ、燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔(隙間)を空けて配置されており、鉛直方向に沿うと共に燃料ガス301の噴出方向に沿う板形状をなしている。第2部材72は、燃料ノズル61の先端部であって、各第1部材71に対して水平方向の外側の両側(燃料ノズル61の内壁面61a側)に所定間隔(隙間)を空けて配置されると共に、燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔(隙間)を空けて配置されており、鉛直方向に沿うと共に燃料ガス301の噴出方向に沿う板形状をなしている。第3部材73は、燃料ノズル61の先端部であって、燃料ガス301の噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)O上で、且つ、各第1部材71から所定間隔(隙間)を空けて配置されており、鉛直方向に沿うと共に燃料ガス301の噴出方向に沿う板形状をなしている。
【0059】
燃料ノズル61及び燃焼用空気ノズル62は、長尺な管状構造をなす。燃料ノズル61は、4個の平坦な内壁面61aにより、長手方向に延びて同一の流路断面形状となる燃料ガス流路P1を形成しており、先端部(下流側端部)に矩形状の開口部61bが設けられている。燃焼用空気ノズル62は、燃料ノズル61の4個の平坦な外壁面61cと、4個の平坦な内壁面62aにより、長手方向に延びて同一の流路断面形状となる燃焼用空気流路P2を形成しており、先端部(下流側端部)に矩形リング形状の開口部62bが設けられている。そのため、燃料ノズル61と燃焼用空気ノズル62は、二重管状構造となっている。
【0060】
2次空気ノズル63は、燃料ノズル61及び燃焼用空気ノズル62の外側に配置される長尺な管状構造をなす。2次空気ノズル63は、4本の矩形断面形状をなす管状構造をなし、燃焼用空気ノズル62の上方、下方、左方、右方に単独で配置された2次空気ノズル本体63a,63b,63c,63dからなり、燃焼用空気ノズル62の外側に所定隙間を空けて配置されている。2次空気ノズル63は、4本の2次空気ノズル本体63a,63b,63c,63dにより、長手方向に延びて同一の流路断面形状となる4個の2次空気流路P31,P32,P33,P34を形成しており、先端部(下流側端部)に矩形リング形状の開口部63eが設けられている。
【0061】
なお、燃料ノズル61、燃焼用空気ノズル62の形状は真四角に限らず、矩形でもよく、この場合、角部に曲率をつけた形状としてもよい。角部に曲率をつけた管状構造とすることで、ノズルの強度を向上することができる。更に、円筒としてもよい。
【0062】
そのため、燃料ノズル61(燃料ガス流路P1)の開口部61bの外側に燃焼用空気ノズル62(燃焼用空気流路P2)の開口部62bが配設され、この燃焼用空気ノズル62(燃焼用空気流路P2)の開口部62bの外側に所定間隔を空けて2次空気ノズル63(2次空気流路P3)の開口部63eが配設されることとなる。燃料ノズル61と燃焼用空気ノズル62と2次空気ノズル63は、各開口部61b,62b,63eが燃料ガス301や空気の流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。
【0063】
なお、2次空気ノズル63は、4本の2次空気ノズル本体63a,63b,63c,63dにより構成せずに、燃焼用空気ノズル62の外側に二重管状構造として矩形状に配置してもよい。また、2次空気ノズル63は、2次空気ノズル本体63a,63b,63c,63dにより構成したが、上下の2次空気ノズル本体63a,63bだけとしたり、左右の2次空気ノズル本体63c,63dだけとしたりしてもよい。更に、2次空気ノズル63は、各2次空気ノズル本体63a,63b,63c,63dにダンパ開度調整機構などを設けることで、2次空気303の噴出量を調整可能としてもよい。
【0064】
第1部材71は、水平方向における断面形状(図2)にて、幅が一定な平坦部81と、この平坦部81の前端部(燃料ガス301の流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部82とから構成されている。平坦部81は、燃料ガス301の流れ方向に沿って幅が一定である。拡幅部82は、燃料ガス301の流れ方向に向かって幅が大きくなる。この拡幅部82は、水平断面が略二等辺三角形状をなし、基端部が平坦部81に連結され、先端部が燃料ガス301の流れ方向の下流側に向かって幅が広くなり、前端がこの燃料ガス301の流れ方向に直交する平面となっている。即ち、拡幅部82は、幅方向の内側(燃料ノズル61の中心線O側)に傾斜する第1ガイド面(第1傾斜面)82aと、幅方向の外側(燃料ノズル61の内壁面61a側)に傾斜する第2ガイド面(第1傾斜面)82bと、前端側の端面82cとを有している。第1ガイド面82aと端面82cによって形成される角部、及び、第2ガイド面82bと端面82cによって形成される角部が、傾斜するガイド面82a,82bの傾斜が終了する傾斜終了端(第1傾斜終了端)となる。これら角部である傾斜終了端にて、燃料ガス流れが剥離する。
拡幅部82は、その長手方向(鉛直方向)に沿って幅が一定となっているが、幅を異ならせてもよい。また、第1ガイド面82aと第2ガイド面82bと端面82cは、平面であることが望ましいが、凹状または凸状に屈曲または湾曲した面であってもよい。また、拡幅部82の水平断面が略二等辺三角形としているが、これに限定されるものではなく、端面82cが凹んだ形状や、Y字形状でもよい。
【0065】
第2部材72は、水平方向に沿って切断した断面形状(図2)にて、幅が一定な平坦部83と、この平坦部83の前端部(燃料ガス301の流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部84とから構成されている。平坦部83は、燃料ガス301の流れ方向に沿って幅が一定である。拡幅部84は、燃料ガス301の流れ方向に向かって幅が大きくなる。この拡幅部84は、水平断面が略直角三角形状をなし、基端部が平坦部83に連結され、先端部が燃料ガス301の流れ方向の下流側に向かって幅が広くなり、前端がこの燃料ガス301の流れ方向に直交する平面となっている。即ち、拡幅部84は、幅方向の内側(燃料ノズル61の中心線O側)に傾斜する第1ガイド面(第2傾斜面)84aと、前端側の端面84cとを有しており、幅方向の外側(燃料ノズル61の内壁面61a側)にはガイド面がなく、平坦部83の端面が継続する平面となっている。第1ガイド面84aと端面84cによって形成される角部が、傾斜するガイド面84aの傾斜が終了する傾斜終了端(第2傾斜終了端)となる。この角部である傾斜終了端にて、燃料ガス流れが剥離する。
拡幅部84は、その長手方向(鉛直方向)に沿って幅が一定となっているが、幅を異ならせてもよい。拡幅部84をより小さくすることで相対的に内部着火を強くすることもできる。また、第1ガイド面84aと端面84cは、平面であることが望ましいが、凹状または凸状に屈曲または湾曲した面であってもよい。また、拡幅部84の水平断面が略直角三角形としているが、これに限定されるものではなく、端面84cが凹んだ形状や、板状体を折り曲げた形状でもよい。
【0066】
第3部材73は、水平方向における断面形状(図2)にて、幅が一定な平坦部85と、この平坦部85の前端部(燃料ガス301の流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部86とから構成されている。平坦部85は、燃料ガス301の流れ方向に沿って幅が一定である。拡幅部86は、燃料ガス301の流れ方向に向かって幅が大きくなる。この拡幅部86は、水平断面が略二等辺三角形状をなし、基端部が平坦部85に連結され、先端部が燃料ガス301の流れ方向の下流側に向かって幅が広くなり、前端がこの燃料ガス301の流れ方向に直交する平面となっている。即ち、拡幅部86は、一方の第1部材71側に傾斜する第1ガイド面(第3傾斜面)86aと、他方の第1部材71側に傾斜する第2ガイド面(第3傾斜面)86bと、前端側の端面86cとを有している。第1ガイド面86aと端面86cによって形成される角部、及び、第2ガイド面86bと端面86cによって形成される角部が、傾斜するガイド面86a,86bの傾斜が終了する傾斜終了端(第3傾斜終了端)となる。これら角部である傾斜終了端にて、燃料ガス流れが剥離する。
拡幅部86は、その長手方向(鉛直方向)に沿って幅が一定となっているが、幅を異ならせてもよい。また、第1ガイド面86aと第2ガイド面86bと端面86cは、平面であることが望ましいが、凹状または凸状に屈曲または湾曲した面であってもよい。また、拡幅部86の水平断面が略二等辺三角形としているが、これに限定されるものではなく、端面86cが凹んだ形状や、Y字形状でもよい。
【0067】
この場合、第1部材71と第2部材72と第3部材73と燃料ノズル61の内壁面とは、前述したように、所定間隔の隙間を空けて配置されているが、この所定間隔とは、少なくとも各部材71,72,73における拡幅部82,84,86の幅以上の隙間、または、少なくとも各部材71,72,73における拡幅部82,84,86が熱延びにより互いにまたは燃料ノズル61の内壁面61aに干渉(接触)しない程度の隙間である。
【0068】
燃料ノズル61は、内部にこの内部部材64として第1、第2、第3部材71,72,73が幅方向(水平方向)に所定間隔を空けて配置されている。そして、第2、第3部材72,73は、先端部に拡幅部84,86がそれぞれ設けられており、この拡幅部84,86は、各端面84c,86cが燃料ノズル61の開口部61bと燃料ガス301の流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。一方、第1部材71は、先端部に拡幅部82が設けられており、この拡幅部82は、端面82cが燃料ノズル61の開口部61bより燃料ガス301の噴出方向の上流側に配置されている。即ち、第2、第3部材72,73は、燃料ガス301の噴出方向にて、拡幅部84,86の端面84c,86cと燃料ノズル61の開口部61bが同位置となっている。第1部材71は、拡幅部82の端面82cが燃料ノズル61の開口部61b(拡幅部84,86の端面84c,86c)に対して燃料ガス301の噴出方向の上流側に所定距離Lだけ離間した位置に配置されている。
【0069】
ここで、所定距離Lは、燃料ノズル61の開口における等価円径をDとすると、0.001D以上1.0D以下、好ましくは0.03D以上0.5D以下、さらに好ましくは0.05D以上0.3D以下とされる。
上記の下限値および上限値は、次の観点から決定される。下限値を下回ると、第1部材71と、第2部材72及び第3部材73との距離が近くなりすぎて、これら部材をずらして流路断面積を確保した利点が得られない。一方、上限値を上回ると、第1部材71によって形成された再循環領域が第2部材72及び第3部材73の手前で消滅してしまい、第1部材71の再循環領域に第2部材72及び第3部材73から燃料(微粉炭)を案内するという利点が得られない。
【0070】
第1、第2、第3部材71,72,73は、後部の上端部と下端部が支持部材87,88を介して燃料ノズル61の内壁面61aに支持されている。各支持部材87,88は、燃料ノズル61の内壁面61aにおける上部と下部に固定されており、第1、第2、第3部材71,72,73の上端部と下端部がこの支持部材87,88に支持されている。
【0071】
この場合、第1、第2、第3部材71,72,73は、燃料ノズル61の内壁面61aに固定された支持部材87,88に対して固定されている。但し、この構成に限定されるものではない。例えば、第1部材71は、拡幅部82の端面82cが燃料ノズル61の開口部61bより所定距離Lだけ後退した位置に配置されている。拡幅部82の位置は、燃料の種類や噴出量などに応じて所定距離Lを変更することが考えられる。そのため、第1部材71を燃料ガス301の噴出方向に沿って位置調整自在に設けることが望ましい。具体的な構成としては、例えば、燃料ノズル61の内壁面61aの支持部材87,88に燃料ガス301の噴出方向に沿ったガイドレール89を固定し、第1部材71(平坦部81)を移動自在に支持すればよい。この場合、ガイドレール89に対して第1部材71を移動調整した後、ボルトなどの治具により拘束すればよい。また、ガイドレール89に対して第1部材71を移動調整する駆動装置(油圧シリンダ、モータなど)を設けてもよい。
【0072】
燃料ノズル61は、内部部材64として第1、第2、第3部材71,72、73が支持部材87,88に支持されていることから、燃料ガス流路P1が6個の領域に分割されることとなる。即ち、燃料ガス流路P1は、第3部材73と各第1部材71との間の第1燃料ガス流路P11と、第1部材71と第2部材72の間の第2燃料ガス流路P12と、第2部材72と燃料ノズル61の内壁面61aとの間の第3燃料ガス流路P13とに分割される。
【0073】
なお、各支持部材87,88は、各部材71,72,73を支持するものであることから、燃料ガス301の流れに影響を与えるものではなく、各部材71,72,73(平坦部81,83,85、拡幅部82,84,86)の幅(厚さ)よりも極力小さい幅(薄い厚さ)に設定されている。また、この実施形態では、支持部材87,88により各部材71,72,73の平坦部81,83,85を支持するようにしたが、拡幅部82,84,86を支持してもよいし、平坦部81,83,85と拡幅部82,84,86の両方を支持してもよい。また、支持部材87,88により各部材71,72,73を支持する周方向の支持位置は、実施形態に限るものではない。
【0074】
このように構成された燃焼バーナ21にて、燃料ガス(微粉炭と1次空気)301は、燃料ノズル61の燃料ガス流路P1を流れ、開口部61bから火炉11(図3参照)内に噴出される。燃料ガス燃焼用空気302は、燃焼用空気ノズル62の燃焼用空気流路P2を流れ、開口部62bから燃料ガス301の外側に噴出される。2次空気303は、2次空気ノズル63の2次空気流路P3を流れ、開口部63eから燃料ガス301燃焼用空気の外側に噴出される。このとき、燃料ガス(微粉炭と1次空気)301、燃料ガス燃焼用空気302、2次空気303は、旋回させずにバーナ軸線方向(中心線O)に沿った直進流として噴出させている。
【0075】
このとき、燃料ガス301は、燃料ノズル61の開口部61bにて、第1部材71と第2部材72と第3部材73により分岐して流れ、ここで着火されて燃焼し、燃焼ガスとなる。また、この燃料ガス301の外周に燃料ガス燃焼用空気302が噴出されることで、燃料ガス301の燃焼が促進される。更に、燃焼火炎の外周に2次空気303が噴出されることで、燃料ガス燃焼用空気302と2次空気303の割合を調整し、最適な燃焼を得ることができる。
【0076】
そして、内部部材64は、第1部材71と第2部材72と第3部材73の各拡幅部82,84,86がスプリット形状をなしているため、燃料ガス301が拡幅部82,84,86の各ガイド面82a,82b,84a,86a,86bに沿って流れ、端面82c,84c,86c側に回り込むことで、この端面82c,84c,86cの前方に再循環領域が形成される。そのため、燃料ガス301は、この再循環領域で着火と保炎が行われることとなり、燃焼火炎の内部保炎(燃料ノズル61における中心線O側の中央領域における保炎)が実現される。すると、燃焼火炎の外周部が低温となり、2次空気303により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度を低くすることができ、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
【0077】
また、第1部材71の拡幅部82は、第2、第3部材72,73の拡幅部84,86より燃料ガス301の噴出方向の上流側に配置されている。そのため、燃料ノズル61の燃料ガス流路P1を閉塞する位置が燃料ガス301の噴出方向にずれることとなり、流路が急激に狭くなる領域が減少し、拡幅部82,84,86の位置での燃料ガス301の流速が低減される。そのため、燃料ノズル61を大型化することなく内部着火及び内部保炎を強化できる。
【0078】
また、燃料ガス301は、まず、第1部材71の拡幅部82における各ガイド面82a,82bにより再循環領域が形成される。この再循環領域は、燃料ノズル61内で形成されることから、炉内での隣接火炎からの輻射熱を受けにくくなり、内部着火及び内部保炎が良好に実施され、燃料ノズル61の内部から空気を効率良く消費させ、外部着火の発生が抑制される。そして、燃料ガス301は、第1部材71の拡幅部82における各ガイド面82a,82bにより再循環領域が形成された後、次に、第2部材72及び第3部材73の拡幅部84,86における各ガイド面84a,86a,86bにより再循環領域が形成される。このように、各部材71,72,73の拡幅部82,84,86は燃料ガス流れ方向に異なる位置に配置されているので、各部材71,72,73の拡幅部82,84,86における燃料ガス301の流速を、各部材の拡幅部を同じ燃料ガス流れ方向位置に配置した場合に比べて低下させることができる。また、ガイド面82a,82bによって案内された微粉炭が下流側の各端面84c,86cに流れ込むことで微粉炭量が増量され、この点でも内部着火及び内部保炎を強化できる。この場合、第1部材71は、保炎器としての機能だけでなく、微粉炭を下流側の第2部材72及び第3部材73側へ案内する案内部材としての機能も有している。
【0079】
更に、第2部材72の拡幅部84は、第1部材71側だけにガイド面84aがあり、燃料ノズル61の内壁面61a側はフラット形状となっている。そのため、燃料ノズル61の内壁面61aと第2部材72との間の第3燃料ガス流路P13では保炎機能がないことから再循環領域が形成されず、外部着火の発生が抑制される。
【0080】
また、2次空気ノズル63は、燃料ノズル61の上下だけでなく左右からも、全周から取り囲むように2次空気303を噴出している。そのため、周方向で部分的な高温高酸素領域が形成されにくくなり、周方向で酸素濃度が均一化されることとなり、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
【0081】
このように第1実施形態の燃焼バーナにあっては、微粉炭と空気とを混合した燃料ガス301を噴出する燃料ノズル61と、燃料ノズル61の外側から空気を噴出する燃焼用空気ノズル62と、燃料ガス301の噴出方向を拡幅する保炎部ないし案内部材としての機能を有する内部部材64とを設け、燃料ノズル61の開口部61bより燃料ガス301の噴出方向上流側に配置される第1部材71と、第1部材71より燃料ガス301の噴出方向下流側で且つ第1部材71の拡幅方向の両側に配置される第2部材72とを設けている。
【0082】
従って、燃料ノズル61内を流れる燃料ガス301は、各部材71,72の下流側に再循環領域が形成されることで燃料ガス301の燃焼を維持することができる。このとき、第1部材71と第2部材72が燃料ガス301の噴出方向にずれて配置されているため、燃料ノズル61の開口部61bでの流速が低下し、燃料ノズル61を大型化することなく、保炎性を向上することができる。また、第2部材72から第1部材71が形成する再循環領域へ燃料ガス301が供給されることで、保炎性を向上することができる。また、燃料ガス301は、第1部材71、第2部材72の順に着火、保炎されることとなり、相対的に燃料ガス流断面の中央部から着火が起こるため、微粉炭を効率良く集めて内部保炎を強化することができる。その結果、内部保炎性能の向上を図ることができる。
【0083】
第1実施形態の燃焼バーナでは、第1部材71は、燃料ノズル61における軸線中心O側及び燃料ノズル61の内壁面61a側に拡幅部82のガイド面82a,82bが設けられ、第2部材72は、燃料ノズル61における軸線中心O側だけに拡幅部84のガイド面84aが設けられている。従って、燃料ガス301は、第1部材71の各ガイド面82a,82bにより両側に広がって再循環領域を形成し、第2部材72のガイド面84aにより第1部材71側だけに広がって再循環領域を形成することとなり、燃料ノズル61における外部保炎を抑制し、NOx発生量を減少することができる。
【0084】
第1実施形態の燃焼バーナでは、第1部材71を所定間隔を空けて複数設け、第2部材72を第1部材71より燃料ノズル61の内壁面61a側の両側に所定間隔を空けて設けている。従って、第1部材71と第2部材72を対向して効率良く配置することで、再循環領域を適正に形成することができる。
【0085】
第1実施形態の燃焼バーナでは、第1部材71の間に第3部材73を配置している。従って、燃料ノズル61の開口部61bに配置される第2部材72と第3部材73との間に燃料ガス301の噴出方向の上流側に位置する第1部材71が配置されることで、各部材71,72,73は、燃料ノズル61内で燃料ガス301の噴出方向の位置が互い違いになる。そのため、燃料ガス301の噴出方向にずれた組み合わせの部材71,72,73を増やすことで、噴出流速を低下し、第3部材73から第1部材71が形成する再循環領域へ微粉炭を供給することで、内部保炎性能を向上することができる。この場合、第3部材73は、第1部材71へ微粉炭を案内する案内部材としても機能する。
【0086】
第1実施形態の燃焼バーナでは、第1部材71を燃料ガス301の噴出方向に沿って位置調整自在に設けている。従って、例えば、微粉炭の種類に応じて第1部材71を燃料ガス301の噴出方向の上流側または下流側に変更することで、微粉炭の種類が変更されても、良好な内部保炎性能を確保することができる。即ち、燃焼しにくい微粉炭(石炭)を用いる場合、第1部材71を燃料ガス301の噴出方向の上流側に移動調整し、燃焼しやすい微粉炭(石炭)を用いる場合、第1部材71を燃料ガス301の噴出方向の下流側に移動調整することが望ましい。
【0087】
第1実施形態の燃焼バーナでは、第1部材71と第2部材72と第3部材73を鉛直方向に沿って配置すると共に、水平方向に所定間隔を空けて配置している。従って、燃料ノズル61内を流れる燃料ガス301に含まれる微粉炭が各部材71,72,73上に堆積することが抑制され、保炎性能の低下を防止することができる。
【0088】
第1実施形態の燃焼バーナでは、2次空気ノズル63を燃料ノズル61の上方、下方、左方、右方に配置している。従って、外側に保炎機能がない第2部材72の外側に向けて2次空気が噴出されることで、この領域が酸素過剰状態となっても、NOxの発生量が増加することはなく、火炎外周にも空気を供給することができる。微粉炭等の石炭燃料の場合には空気不足になると硫化水素が発生して炉壁を腐食するおそれがあるが、2次空気ノズル63によって十分な空気を火炎外周に供給することができるので、硫化水素の発生を抑制することができる。
【0089】
第1実施形態のボイラにあっては、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置される火炉11と、火炉11に配置される燃焼バーナ21と、火炉11の上部に配置される煙道13とを設けている。従って、燃焼バーナ21は、内部保炎性能の向上を図ることができ、ボイラ効率を向上することができる。本実施形態では、燃焼バーナ21を火炉11のコーナ部に配置した旋回燃焼型を示しているが、燃焼バーナ21を火炉11に対向配置した、対向燃焼型にも適用することができる。
【0090】
なお、本実施形態では、第1部材71、第2部材72、第3部材73の全てが保炎器として機能する場合について説明したが、それぞれが保炎器として機能せずに微粉炭を他の部材に案内する案内部材として機能する場合もある。例えば、第1部材71から第2部材72及び第3部材73側へと微粉炭を案内する場合は第1部材71が案内部材とされる。この場合、第1部材71は保炎器として機能しない場合もある。また、第2部材72又は第3部材73から第1部材71の再循環領域へ微粉炭を供給する場合は、第2部材72又は第3部材73が案内部材とされる。この場合、第2部材72又は第3部材73は保炎器として機能しない場合もある。
【0091】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の燃焼バーナの正面図、図6は、燃焼バーナの縦断面(図5のVI−VI断面)図である。
【0092】
第2実施形態において、図5及び図6に示すように、燃焼バーナ21Aは、中心側から燃料ノズル101と、燃焼用空気ノズル102と、2次空気ノズル103が設けられると共に、燃料ノズル101内に内部部材104が設けられている。
【0093】
燃料ノズル101は、微粉炭と1次空気とを混合した燃料ガスを噴出可能なものである。燃焼用空気ノズル102は、燃料ノズル101の外側に配置され、燃料ノズル101から噴出された燃料ガスの外周側に燃料ガス燃焼用空気を噴出可能なものである。2次空気ノズル103は、燃焼用空気ノズル102の外側に配置され、燃焼用空気ノズル102から噴出された燃料ガス燃焼用空気の外周側に2次空気を噴出可能なものである。
【0094】
内部部材104は、燃料ノズル101内であって、燃料ノズル101の先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用又は燃料案内用の部材として機能するものである。この内部部材104は、1個の第1部材111と、2個の第2部材112とから構成されている。この第1部材111と第2部材112は、水平方向に沿って配置されると共に、鉛直方向に所定間隔を空けて配置されている。この場合、水平方向とは、水平な方向に対して微小角度だけずれた方向も含むものである。
【0095】
第1部材111は、燃料ノズル101の先端部であって、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル101の中心線)O上で、且つ、燃料ノズル101の内壁面101aから所定間隔(隙間)を空けて配置されており、水平方向に沿うと共に燃料ガスの噴出方向に沿う板形状をなしている。第2部材112は、燃料ノズル101の先端部であって、第1部材111に対して鉛直方向の外側の両側(燃料ノズル101の内壁面101a側)に所定間隔(隙間)を空けて配置されると共に、燃料ノズル101の内壁面101aから所定間隔(隙間)を空けて配置されており、水平方向に沿うと共に燃料ガスの噴出方向に沿う板形状をなしている。
【0096】
燃料ノズル101及び燃焼用空気ノズル102は、長尺な管状構造をなす。燃料ノズル101は、4個の平坦な内壁面101aにより、長手方向に延びて同一の流路断面形状となる燃料ガス流路P1を形成しており、先端部(下流側端部)に矩形状の開口部101bが設けられている。燃焼用空気ノズル102は、燃料ノズル101の4個の平坦な外壁面101cと、4個の平坦な内壁面102aにより、長手方向に延びて同一の流路断面形状となる燃焼用空気流路P2を形成しており、先端部(下流側端部)に矩形リング形状の開口部102bが設けられている。そのため、燃料ノズル101と燃焼用空気ノズル102は、二重管状構造となっている。
【0097】
2次空気ノズル103は、燃料ノズル101及び燃焼用空気ノズル102の外側に配置される長尺な管状構造をなす。2次空気ノズル103は、4本の矩形断面形状をなす管状構造をなし、燃焼用空気ノズル102の上方、下方、左方、右方に単独で配置された2次空気ノズル本体103a,103b,103c,103dからなり、燃焼用空気ノズル102の外側に所定隙間を空けて配置されている。2次空気ノズル103は、4本の2次空気ノズル本体103a,103b,103c,103dにより、長手方向に延びて同一の流路断面形状となる4個の2次空気流路P31,P32,P33,P34を形成しており、先端部(下流側端部)に矩形リング形状の開口部103eが設けられている。
【0098】
そのため、燃料ノズル101(燃料ガス流路P1)の開口部101bの外側に燃焼用空気ノズル102(燃焼用空気流路P2)の開口部102bが配設され、この燃焼用空気ノズル102(燃焼用空気流路P2)の開口部102bの外側に所定間隔を空けて2次空気ノズル103(2次空気流路P3)の開口部103eが配設されることとなる。燃料ノズル101と燃焼用空気ノズル102と2次空気ノズル103は、各開口部101b,102b,103eが燃料ガスや空気の流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。
【0099】
第1部材111は、鉛直方向における断面形状(図6)にて、幅が一定な平坦部121と、この平坦部121の前端部(燃料ガスの流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部122とから構成されている。平坦部121は、燃料ガスの流れ方向に沿って幅が一定である。拡幅部122は、燃料ガスの流れ方向に向かって幅が大きくなる。この拡幅部122は、水平断面が略二等辺三角形状をなし、基端部が平坦部121に連結され、先端部が燃料ガスの流れ方向の下流側に向かって幅が広くなり、前端がこの燃料ガスの流れ方向に直交する平面となっている。即ち、拡幅部122は、幅方向(図5では、高さ方向)の内側(燃料ノズル101の中心線O側)に傾斜する第1ガイド面(第1傾斜面)122aと、幅方向(図5では、高さ方向)の外側(燃料ノズル101の内壁面101a側)に傾斜する第2ガイド面(第1傾斜面)122bと、前端側の端面122cとを有している。第1ガイド面122aと端面122cによって形成される角部、及び、第2ガイド面122bと端面122cによって形成される角部が、傾斜するガイド面122a,122bの傾斜が終了する傾斜終了端(第1傾斜終了端)となる。これら角部である傾斜終了端にて、燃料ガス流れが剥離する。
なお、拡幅部122の鉛直断面が略二等辺三角形としているが、これに限定されるものではなく、端面122cが凹んだ形状や、Y字形状でもよい。
【0100】
第2部材112は、鉛直方向における断面形状(図6)にて、幅が一定な平坦部123と、この平坦部123の前端部(燃料ガスの流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部124とから構成されている。平坦部123は、燃料ガスの流れ方向に沿って幅が一定である。拡幅部124は、燃料ガスの流れ方向に向かって幅が大きくなる。この拡幅部124は、水平断面が略直角三角形状をなし、基端部が平坦部123に連結され、先端部が燃料ガスの流れ方向の下流側に向かって幅が広くなり、前端がこの燃料ガスの流れ方向に直交する平面となっている。即ち、拡幅部124は、幅方向の内側(燃料ノズル101の中心線O側)に傾斜する第1ガイド面(第2傾斜面)124aと、前端側の端面124cとを有しており、幅方向の外側(燃料ノズル101の内壁面101a側)にはガイド面がなく、平坦部123の端面が継続する平面となっている。第1ガイド面124aと端面124cによって形成される角部が、傾斜するガイド面124aの傾斜が終了する傾斜終了端(第2傾斜終了端)となる。この角部である傾斜終了端にて、燃料ガス流れが剥離する。
なお、拡幅部124の水平断面が略直角三角形としているが、これに限定されるものではなく、端面124cが凹んだ形状や、板状体を折り曲げた形状でもよい。
【0101】
燃料ノズル101は、内部にこの内部部材104として第1、第2部材111,112が高さ方向(鉛直方向)に所定間隔を空けて配置されている。そして、第2部材112は、先端部に拡幅部124が設けられており、この拡幅部124は、端面124cが燃料ノズル101の開口部101bと燃料ガスの流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。一方、第1部材111は、先端部に拡幅部122が設けられており、この拡幅部122は、端面122cが燃料ノズル101の開口部101bより燃料ガスの噴出方向の上流側に配置されている。即ち、第2部材112は、燃料ガスの噴出方向にて、拡幅部124の端面124cと燃料ノズル101の開口部101bが同位置となっている。第1部材111は、拡幅部122の端面122cが燃料ノズル101の開口部101b(拡幅部124の端面124c)に対して燃料ガスの噴出方向の上流側に所定距離Lだけ離間した位置に配置されている。
【0102】
ここで、所定距離Lは、燃料ノズル101の開口における等価円径をDとすると、0.001D以上1.0D以下、好ましくは0.03D以上0.5D以下、さらに好ましくは0.05D以上0.3D以下とされる。
上記の下限値および上限値は、次の観点から決定される。下限値を下回ると、第1部材111と、第2部材112との距離が近くなりすぎて、これら部材をずらして流路断面を確保した利点が得られない。一方、上限値を上回ると、第1部材111によって形成された再循環領域が第2部材112の手前で消滅してしまい、第1部材111の再循環領域に第2部材112から燃料(微粉炭)を案内するという利点が得られない。
【0103】
第1、第2部材111,112は、後部の左右端部が支持部材125,126を介して燃料ノズル101の内壁面101aに支持されている。各支持部材125,126は、燃料ノズル101の内壁面101aにおける左部と右部に固定されており、第1、第2部材111,112の左端部と右端部がこの支持部材125,126に支持されている。
【0104】
燃料ノズル101は、内部部材104として第1、第2部材111,112が支持部材125,126に支持されていることから、燃料ガス流路P1が4個の領域に分割されることとなる。即ち、燃料ガス流路P1は、第1部材111と第2部材112の間の第1燃料ガス流路P11と、第2部材112と燃料ノズル101の内壁面101aとの間の第2燃料ガス流路P12とに分割される。
【0105】
このように構成された燃焼バーナ21Aにて、燃料ガスは、燃料ノズル101の燃料ガス流路P1を流れ、開口部101bから火炉11(図3参照)内に噴出される。燃料ガス燃焼用空気は、燃焼用空気ノズル102の燃焼用空気流路P2を流れ、開口部102bから燃料ガスの外側に噴出される。2次空気は、2次空気ノズル103の2次空気流路P3を流れ、開口部103eから燃料ガス燃焼用空気の外側に噴出される。このとき、燃料ガス(微粉炭と1次空気)、燃料ガス燃焼用空気、2次空気は、旋回させずにバーナ軸線方向(中心線O)に沿った直進流として噴出させている。
【0106】
このとき、燃料ガスは、燃料ノズル101の開口部101bにて、第1部材111と第2部材112により分岐して流れ、ここで着火されて燃焼し、燃焼ガスとなる。また、この燃料ガスの外周に燃料ガス燃焼用空気が噴出されることで、燃料ガスの燃焼が促進される。更に、燃焼火炎の外周に2次空気が噴出されることで、燃料ガス燃焼用空気と2次空気の割合を調整し、最適な燃焼を得ることができる。
【0107】
そして、内部部材104は、第1部材111と第2部材112の各拡幅部122,124がスプリット形状をなしているため、燃料ガスが拡幅部122,124の各ガイド面122a,122b,124aに沿って流れ、端面122c,124c側に回り込むことで、この端面122c,124cの前方に再循環領域が形成される。そのため、燃料ガスは、この再循環領域で着火と保炎が行われることとなり、燃焼火炎の内部保炎が実現される。すると、燃焼火炎の外周部が低温となり、2次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度を低くすることができ、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
【0108】
また、第1部材111の拡幅部122は、第2部材112の拡幅部124より燃料ガスの噴出方向の上流側に配置されている。そのため、燃料ノズル101の燃料ガス流路P1を閉塞する位置が燃料ガスの噴出方向にずれることとなり、拡幅部122,124の位置での燃料ガスの流速が低減される。そのため、燃料ノズル101を大型化することなく内部着火及び内部保炎を強化できる。また、燃料ガスは、まず、第1部材111の拡幅部122における各ガイド面122a,122bにより再循環領域が形成される。この再循環領域は、燃料ノズル101内で形成されることから、炉内での隣接火炎からの輻射熱を受けにくくなり、内部着火及び内部保炎が良好に実施され、燃料ノズル101の内部から空気を効率良く消費させ、外部着火の発生が抑制される。そして、燃料ガスは、第1部材111の拡幅部122における各ガイド面122a,122bにより再循環領域が形成された後、次に、第2部材112の拡幅部124における各ガイド面124aにより再循環領域が形成される。そのため、各部材111,112の拡幅部122,124間での燃料ガスの流速が低下し、各端面122c,124cに流れ込む微粉炭量が増量され、この点でも内部着火及び内部保炎を強化できる。
【0109】
更に、第2部材112の拡幅部124は、第1部材111側だけにガイド面124aがあり、燃料ノズル101の内壁面101a側はフラット形状となっている。そのため、燃料ノズル101の内壁面101aと第2部材112との間の第2燃料ガス流路P12では保炎機能がないことから再循環領域が形成されず、外部着火の発生が抑制される。また、2次空気ノズル103は、燃料ノズル101の上下だけでなく左右からも、全周から取り囲むように2次空気を噴出している。そのため、周方向で部分的な高温高酸素領域が形成されにくくなり、周方向で酸素濃度が均一化されることとなり、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
【0110】
このように第2実施形態の燃焼バーナにあっては、微粉炭と空気とを混合した燃料ガスを噴出する燃料ノズル101と、燃料ノズル101の外側から空気を噴出する燃焼用空気ノズル102と、燃料ノズル101における軸線中心O側で燃料ノズル101の開口部101bより燃料ガスの噴出方向の上流側に配置される第1部材111と第1部材111より燃料ノズル101の内壁面101a側の両側で内壁面101aから所定間隔を空けて開口部101bに配置される第2部材112とを有する内部部材104とを設けている。
【0111】
従って、燃料ノズル101内を流れる燃料ガスは、各部材111,112の下流側に再循環領域が形成されることで燃料ガス(微粉炭)の燃焼を維持することができる。このとき、第1部材111と第2部材112が燃料ガスの噴出方向にずれて配置されているため、燃料ノズル101の開口部101bでの流速が低下し、燃料ノズル101を大型化することなく、保炎性を向上することができる。また、燃料ガスは、第1部材111、第2部材112の順に着火、保炎されることとなり、微粉炭を効率良く集めて内部保炎を強化することができる。その結果、内部保炎性能の向上を図ることができる。
【0112】
第2実施形態の燃焼バーナでは、第1部材111及び第2部材112を水平方向に沿って配置すると共に、鉛直方向に所定間隔を空けて配置している。従って、第1部材111及び第2部材112を水平方向に沿って配置することで、上下方向の外周着火を相対的に弱めることができ、通常、上下に配置される2次空気ノズル103からの空気による高温高酸素領域を軽減することができる。第1部材111及び第2部材112を水平方向に沿って配置することで、旋回燃焼では、通常、上下に配置される2次空気ノズル本体103a,103bを燃料ノズル101から離間させて配置することができ、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量を低減することができる。
【0113】
第2実施形態の燃焼バーナでは、2次空気ノズル103を燃料ノズル101の上方及び下方に配置している。従って、外側に保炎機能がない第2部材112の外側に向けて2次空気が噴出されることで、この領域が酸素過剰状態となっても、NOxの発生量が増加することはなく、火炎外周にも空気を供給することができる。微粉炭等の石炭燃料の場合には空気不足になると硫化水素が発生して炉壁を腐食するおそれがあるが、2次空気ノズル103によって十分な空気を火炎外周に供給することができるので、硫化水素の発生を抑制することができる。なお、この場合、2次空気ノズル103を燃料ノズル101の上方及び下方だけに設け、左方及び右方をなくしてもよい。
【0114】
なお、本実施形態では、第1部材111及び第2部材112の両方が保炎器として機能する場合について説明したが、それぞれが保炎器として機能せずに微粉炭を他の部材に案内する案内部材として機能する場合もある。例えば、第1部材111から第2部材112側へと微粉炭を案内する場合は第1部材111が案内部材とされる。この場合、第1部材111は保炎器として機能しない場合もある。また、第2部材112から第1部材111の再循環領域へ微粉炭を供給する場合は、第2部材112が案内部材とされる。この場合、第2部材112は保炎器として機能しない場合もある。
【0115】
[変形例]
図7は、燃焼バーナの第1変形例を表す正面図、図8は、燃焼バーナの第2変形例を表す正面図である。
【0116】
上述した第1、第2実施形態では、内部部材64,104を正面視が棒状をなす形状としたが、この形状に限定されるものではない。以下に説明するようなリング形状や井桁形状などとしてもよい。また、内部部材を、鉛直方向や水平方向のみでなく、相対的に内側が上流側に設置されていることが望ましい。
【0117】
図7に示すように、燃料ノズル151は、矩形状をなし、先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に内部部材152が配置されている。この内部部材152は、燃料ノズル151の燃料ガスの着火用及び保炎用又は燃料案内用の部材として機能するものである。この内部部材152は、第1部材161と、第2部材162と、第3部材163とから構成されている。第2部材162は、燃料ノズル151の先端部にこの燃料ノズル151の内壁面から所定間隔(隙間)を空けて配置されており、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル151の中心線)Oを中心とする円形のリング形状をなしている。第1部材161は、第2部材162の内側に所定間隔(隙間)を空けて配置されており、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oを中心とする円形のリング形状をなしている。第3部材163は、第1部材161の内側に所定間隔(隙間)を空けて配置されており、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線O上に位置する円柱形状をなしている。
【0118】
第2部材162は、外周部が複数(本変形例では、4個)の支持部材171を介して燃料ノズル151の内壁面に支持されている。第1部材161は、外周部が複数(本変形例では、4個)の支持部材172を介して第2部材162に支持されている。第3部材163は、外周部が複数(本変形例では、4個)の支持部材173を介して第1部材161に支持されている。
【0119】
第1、第2、第3部材161,162、163は、図示しないが、先端部に拡幅部がそれぞれ設けられている。そして、第1、第2実施形態と同様に、第2、第3部材162,163は、拡幅部の各端面が燃料ノズル151の開口部と燃料ガスの流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。一方、第1部材161は、拡幅部の端面が燃料ノズル151の開口部より燃料ガスの噴出方向の上流側に所定距離だけ離間した位置に配置されている。
【0120】
第1変形例にあっては、上下方向と左右方向を同様に、燃焼バーナの内部から外部に向かって内部着火を広げる(伝播)ことができ、内部保炎を効率的に行うことができる。
【0121】
なお、内部部材の形状は、円形リング形状に限定されるものではなく、四角リング形状などの多角形リング形状や楕円リング形状などであってもよい。また、各部材の組み合わせは、同形状の組み合わせに限定されるものではなく、四角リング形状と円形リング形状との異形の組み合わせであってもよい。更に、内部部材は3個の組み合わせに限らず、1個または2個、4個以上組み合わせてもよいものである。
【0122】
また、図8に示すように、燃料ノズル201は、矩形状をなし、先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に内部部材202が配置されている。この内部部材202は、燃料ノズル201の燃料ガスの着火用及び保炎用又は燃料案内用の部材として機能するものである。この内部部材202は、第1部材211と、第2部材212とから構成されている。第2部材212は、正面視が燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル201の中心線)Oを中心とする矩形のリング形状をなす枠体213と、この枠体213の内側に一体に設けられて正面視が十字形状をなす連結体214とから構成される。枠体213は、燃料ノズル201の先端部にこの燃料ノズル201の内壁面から所定間隔(隙間)を空けて配置されている。第1部材211は、第2部材212における枠体213の内側に所定間隔(隙間)を空けて配置された枠体215を有し、枠体215は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oを中心とする矩形のリング形状をなしている。この場合、第1部材211と第2部材212の連結体214が交差することとなる。
【0123】
第2部材212は、外周部が複数(本変形例では、8個)の支持部材221を介して燃料ノズル201の内壁面に支持されている。第1部材211は、外周部が複数(本変形例では、8個)の支持部材222を介して第2部材212の枠体213に支持されている。
【0124】
第1、第2部材211,212は、図示しないが、先端部に拡幅部がそれぞれ設けられている。そして、第1、第2実施形態と同様に、第2部材212は、拡幅部の各端面が燃料ノズル201の開口部と燃料ガスの流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。一方、第1部材211は、拡幅部の端面が燃料ノズル201の開口部より燃料ガスの噴出方向の上流側に所定距離だけ離間した位置に配置されている。
【0125】
第2変形例にあっては、上下方向と左右方向を同様に、燃焼バーナの内部から外部に向かって内部着火を広げる(伝播)ことができ、内部保炎を効率的に行うことができる。
【0126】
このように本発明の燃焼バーナは、内部部材の形状に左右されるものではなく、複数の部材が燃料ノズル内の幅方向または高さ方向、更に、中心軸に対して径方向に配列されていてもよいものである。
【0127】
次に、第3変形例について説明する。本変形例では、図9及び図10に示すように、燃料ノズル61内に整流板120が設けられている。本変形例において、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
図9及び図10に示されているように、整流板120は、燃料ノズル61の高さ方向における中央位置にて水平方向にわたって、燃料ノズル61の燃料ガス流れ上流側である左側部(一端部)から下流側である右側部(他端部)にわたって設けられた板状体である。これにより、整流板120は、燃料ノズル61内の流路を上下方向に2分割している。また、図9に示すように、整流板120の燃料ガス流れ方向における下流端(同図において右端)は、第1部材71の下流端と同一位置とされている。
このように整流板120を配置することで、燃料ノズル61が鉛直方向(図10において上下方向)に角度調整された場合でも、燃料ガスの流れも整流板120に沿って角度調整することができ、所望の流れを得ることができる。
なお、整流板120の下流端位置は、さらに燃料ガス流れの下流側(図9において右側)に移動させても良い。これにより、燃料ガス流れを下流側までガイドでき、さらに所望の流れを得ることができる。ただし、整流板120の下流端位置が下流側に位置すると、着火位置に近くなり焼損するおそれがあるので、焼損が生じない位置に整流板120の下流端位置を決定する必要がある。
【0128】
なお、整流板120は、燃料ノズル61の高さ方向における中央位置における1箇所に限定されるものではなく、図11に示すように燃料ノズル61の高さ方向における中央位置から上下に振り分けて2つ設けることとしても良く、また、図12に示すように各部材71,72,73の上下端の位置に揃えて2つ設けても良く、また図示しないが、3つ以上であっても良い。
【0129】
なお、上述した第1実施形態では、内部部材として、2個の第1部材と2個の第2部材と1個の第3部材を設け、第2実施形態では、内部部材として、1個の第1部材と2個の第2部材を設けたが、この構成に限定されるものではない。第1部材の数は、1個または2個に限らず、3個以上設けてもよい。第2部材は、燃料ノズル内で、内部部材の中でも最も外側に設けることが望ましく、2個以上設けてもよい。第3部材は、あってもなくてもよく、燃料ノズル内で、内部部材の中で最も内側に設けることが望ましく、2個以上設けてもよい。また、第3部材は、燃料ガスの噴出方向にて、第1部材と同じ位置に設けてもよく、この場合、内部保炎効果を高めることができる。
【0130】
また、上述した実施形態では、内部部材のそれぞれの部材を平坦部と拡幅部とから構成したが、この構成に限定されるものではなく、拡幅部だけで構成してもよい。
【0131】
また、上述した実施形態では、燃料ノズルと燃焼用空気ノズルと2次空気ノズルを矩形状としたが、この形状に限るものではなく、円形状としてもよい。
【0132】
また、図12に示すように各部材71,72,73の上下端の位置に揃えて整流板120を2つ設けた場合、図13乃至図16のような構造に変形にしてもよい。
図13に示すように、燃料ノズル61の燃料ガス流れ方向の上流側には、微粉炭管90の下流端となる先端部が接続されている。燃料ノズル61は、図16に示すように、水平軸線H周りに揺動可能となっている。
微粉炭管90の先端部には、図13に示すように、複数の板部材91が設けられている。複数の板部材91は、図14及び図15に示すよう、各部材71,72,73と同様に鉛直方向に沿って水平方向に所定の間隔を有して配置されている。各板部材91は、微粉炭管90の鉛直方向の流路幅の略全体にわたって設けられている。このように複数の板部材91を微粉炭管90の先端部に配置することによって、燃料ガス流れを整流するだけでなく、各板部材91が微粉炭管90の先端部における流路を占有することによって、微粉炭管90の流路断面積を小さくすることができる。これにより、微粉炭管90を大型化しても微粉炭管90の先端部を流れる流速の低減を抑制することができ、燃料ガス中の固体燃料(微粉炭)が微粉炭管90の先端部、または燃料ノズルの燃料ガス流れ上流側内部に堆積することを防止することができる。
【0133】
特に、燃料ノズル61の流路断面積を拡大する場合には、図16に示すように、微粉炭管90の先端部を下流側に向かって拡大する構造を採用することがある。このように微粉炭管90の先端部を拡大した場合であっても、上述のように複数の板部材91を設置することによって流路断面積を調整し、燃料ガスの流速を所望値に設定することができる。
【0134】
また、図17に示すように、燃料ノズル61内に配置された各部材71,72,73を燃料ガス流れの下流側に向かって拡大するようにしてもよい。これに伴い、上下の整流板120も燃料ガス流れの下流側に向かって拡大するように配置する。これにより、各部材71,72,73を流れる燃料ガス流速が小さくなるため、保炎機能をさらに向上させることができる。
【0135】
なお、図13乃至図17に示した板部材91及び各部材71,72,73は、鉛直方向に向けて設置することとしたが、これらを水平方向に向けて設置することとしても良い。この場合、整流板120は、鉛直方向に向けて設置することになる。
【0136】
また、上述した実施形態では、本発明のボイラを石炭焚きボイラとしたが、固体燃料としては、バイオマスや石油コークス、石油残渣などを使用するボイラであってもよい。また、燃料として固体燃料に限らず、重質油などの油焚きボイラにも使用することができる。さらには、これら燃料の混焼焚きにも適用することができる。
【0137】
また、本発明の燃焼バーナは、燃料ノズルと燃焼用空気ノズルと2次空気ノズルは、必ずしも平行に配置する必要はなく、燃焼バーナの先端部に向かって燃料ノズルと2次空気ノズルとが次第に離間するように2次空気ノズルを斜めに配置してもよい。この場合、燃料ノズルと2次空気ノズルとの燃料ノズルの噴出開口部の近傍での距離は、燃料ガスの流れを乱さない程度に距離が保たれていればよい。2次空気ノズルを斜めに配置することで、着火部の外周における空気量を減らして燃料ノズルにおける外部保炎を抑制することで、より低NOxを実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0138】
10 石炭焚きボイラ
11 火炉
12 燃焼装置
13 煙道
21,21A,22,23,24,25 燃焼バーナ
26,27,28,29,30 微粉炭供給管
31,32,33,34,35 微粉炭機
36 風箱
37 空気ダクト
39 アディショナル空気ノズル
40 分岐空気ダクト
51,52,53 過熱器
54,55 再熱器
56,57 節炭器
61,101,151,201 燃料ノズル
61a,101a 内壁面
61b,62b,63e,101b,102b,103e 開口部(噴口開口部)
62,102 燃焼用空気ノズル
63,103 2次空気ノズル
64,104,152,202 内部部材
71,111,161,211 第1部材
72,112,162,212 第2部材
73,163 第3部材
81,83,85,121,123 平坦部
82,84,86,122,124 拡幅部(保炎部)
82a,84a,86a,122a,124a 第1ガイド面
82b,86b,122b 第2ガイド面
82c,84c,86c,122c,124c 端面
87,88,125,126,171,172,173,221,222 支持部材
120 整流板
P1 燃料ガス流路
P11 第1燃料ガス流路
P12 第2燃料ガス流路
P13 第3燃料ガス流路
P2 燃焼用空気流路
P3 2次空気流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17