(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408145
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】妨害因子の差動補償を有する超音波探傷検査の方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/04 20060101AFI20181004BHJP
G01N 29/265 20060101ALI20181004BHJP
G01N 29/44 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
G01N29/04
G01N29/265
G01N29/44
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-518027(P2017-518027)
(86)(22)【出願日】2015年6月30日
(65)【公表番号】特表2017-517755(P2017-517755A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】RU2015000410
(87)【国際公開番号】WO2016003326
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2016年12月12日
(31)【優先権主張番号】2014127346
(32)【優先日】2014年7月4日
(33)【優先権主張国】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】516374093
【氏名又は名称】カシン, アレクセイ ミハイロビチ
【氏名又は名称原語表記】KASHIN, Aleksey Mihaylovich
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】カシン, アレクセイ ミハイロビチ
【審査官】
佐藤 仁美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−106597(JP,A)
【文献】
米国特許第04549437(US,A)
【文献】
特開昭60−029661(JP,A)
【文献】
特開2000−046809(JP,A)
【文献】
特開2008−134209(JP,A)
【文献】
特開2013−36824(JP,A)
【文献】
ソ連国特許発明第564592(SU,A)
【文献】
米国特許第5677490(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00−29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過法のための超音波探傷検査方法であって、
第1と第2の測定チャネルを形成する工程と、
探傷器の探触子システムを移動させる工程と、
試験体に超音波ビームを照射する工程と、
チャネル出力信号を処理する工程とを含み、
両方の測定チャネルの電子音響経路の性質は等しく、前記第2の測定チャネルは前記第1の測定チャネルに対して空間的に前記探触子システムの運動軸に沿って離間され、
前記信号の処理工程は、差動信号の処理工程も含むことを特徴とする超音波探傷検査方法。
【請求項2】
前記両方の測定チャネルの間の距離は、3mmから900mmまでの範囲内で選定される請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記測定チャネルの数Nは、偶数かつN>2の条件で選定されるものである請求項1に記載の検査方法。
【請求項4】
前記測定チャネルを一様に離して、偶数チャネルと奇数チャネルとの間の差を平均化して測定情報信号を得るものである請求項3に記載の検出方法。
【請求項5】
前記測定チャネルを不規則に離して、前記差動信号に重み係数を付けて平均化するものである請求項3に記載の検出方法。
【請求項6】
超音波を発生する発生器および反射した前記超音波を受信する受信器のペアと、入力で前記受信器の出力に接続されるデータ処理装置とを備え、
前記発生器と前記受信器とは、その運動軸に沿って一列に配置され、
データ処理装置は、差動信号を算出する機能を有する超音波探傷器。
【請求項7】
前記発生器と前記受信器の前記ペアは、電子音響経路の性質が等しいものである請求項6に記載の探傷器。
【請求項8】
前記受信器の間の距離と、前記発生器の間の距離とは、等しいものである請求項7に記載の探傷器。
【請求項9】
前記発生器と前記受信器の前記ペアは、相互干渉(オーバラップ)するように配置されている請求項6に記載の探傷器。
【請求項10】
前記発生器の間の距離は、3mmから900mmの範囲にある請求項6に記載の探傷器。
【請求項11】
全ての前記発生器及び前記受信器は、同じタイプの機器と一緒にグループ化されるものである請求項6に記載の探傷器。
【請求項12】
前記発生器および前記受信器の前記ペアの数Nは、偶数かつN>2であり、
前記データ処理装置は、交互測定チャネル出力信号に基づいて、前記差動信号を算出する機能を有する請求項6に記載の探傷器。
【請求項13】
前記発生器および前記受信器の前記ペアは、一様に離間され、
前記データ処理装置は、測定結果を平均化する機能を有する請求項12に記載の探傷器。
【請求項14】
前記発生器および前記受信器の前記ペアは、不規則に離間され、
データ処理装置は、前記差動信号に重み係数を付けて平均化する機能を有する請求項12に記載の探傷器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明品は、圧延板や圧延条鋼を含む線状体用の超音波探傷検査機に関係する。技術解法は、供用期間中、軌道の軌条を高速的に検査するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
現在、超音波の振幅減衰検出に基づく透過法の超音波探傷検査が欠陥用に広く使われている(例えば、アリョシン、ベールイ、ヴォピルキンなど、金属の音響検査方法、モスクワ:マシノストロエニエ出版社、1989、94ー96ページ)。
【0003】
RU2340495C1の特許によって、透過法のための第1と第2の測定チャネル形成、探傷装置の探触子システムの移動、試験体の超音波走査とチャネル出力信号の処理を含む超音波探傷検査方法が知られている。その上、RU2340495C1によって、超音波を発生/受信するための発生器と受信器のペアと、受信器の出力に入力で接続されるデータ処理装置を含む超音波探傷検査装置が知られている。
【0004】
しかし、技術的に透過法の実施は、特にRU2340495C1の技術解法は、様々な原因で所望の信号レベルの低下による誤作動によって妨害される。軌条(レール)の探傷面は、磨耗により断面の公称値と違うから、超音波エネルギーの一部が様々な方向に散乱することにより、または受信器に対しての超音波伝搬経路の変化により、電気音響探触子からの探知信号は低下される。
【0005】
軌条(レール)の頭部の反射する側面(外面)の腐食により散乱反射が起きて、どんなタイプの探触子であっても受信信号は減衰する。軌条の頭部の反射の側面の汚れは、超音波の吸収と所望の信号減衰の原因となる。凹凸により、探触子と探傷面とのギャップ(隙間)が変化して、信号の減衰を発生させる。その上、超音波減衰はレールのメーカーやロットによって違うから、或る軌道のレールはメーカーやロットが違えば、欠陥が同じであっても受信信号の振幅は異なる。
【0006】
上記の場合では、受信器で受信される所望の信号レベルは低下して、いずれ不合格判定値を越える。そして、欠陥がなくても、超音波の過度の散乱及び吸収によって、透過超音波の受信レベルが変動するため、誤検出が起きる。この理由で、透過法は、軌道のレールのような重要なものの高速検査に広く使用されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の課題は、探傷器の検出性を落とさず、高速的に超音波探傷検査を行う時に誤検出の数を減らすことにある。
【0008】
確保された肯定的な効果は、特許第RU2340495C1号に比べて、検査の時、超音波検査器の試験体の欠陥に対しての選択性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これは、透過法のための第1と第2の測定チャネルの形成工程、探傷器の探触子システムの移動工程、試験体の超音波ビームによる走査工程及びチャネル出力信号の処理工程を含む超音波探傷検査方法が、両方のチャネルの電子音響経路の性質は同じだが、第2の測定チャネルは第1の測定チャネルに対して空間的に動作軸に沿って離間しており、出力信号の処理が差動信号の処理も含める結果である。
【0010】
ある事例では、測定チャネルの間の距離を3mmから900mmまでの範囲から選択する。
【0011】
他の事例では、測定チャネルの数Nは、偶数かつN>2の条件に基づいて選択される。
【0012】
その他の事例では、チャネルを一様に離して、偶数チャネルと奇数チャネルの信号差(偏差)を平均化して測定情報信号を得る(その他の事例では、チャネルを一様に離して、測定情報信号は平均化された偶数チャネルと奇数チャネルの信号差(偏差)として得る。)。または、チャネルを不規則に離して、差動信号に重み係数を付けて平均化する。
【0013】
さらに、超音波の発生と受信のための発生器ー受信器のペアと、受信器の出力に入力で接続されるデータ処理装置とを含む探傷器の構成中には、発生器と受信器が一列に配置されて、データ処理装置は差動信号を計算する機能を有する。
【0014】
ある事例では、発生器と受信器のペアは、電子音響経路の性質が等しい。
【0015】
他の事例では、受信器同士の間の距離は、発生器同士の間の距離と等しい。または、発生器と受信器のペアが相互干渉(オーバラップ)するように配置される。或いは、発生器同士の間の距離は、3mmから900mmまでとされる。
【0016】
ある事例では、全ての発生器及び受信器は、同じタイプの機器と一緒にグループ化されている。
【0017】
他の事例では、発生器ー受信器のペアの数Nは偶数かつN>2であるが、データ処理装置は交互測定チャネル出力に基づいて差動信号を計算する機能を有する。
【0018】
ある事例では、ペアが一様(規則)に離間されており、データ処理装置は測定結果を平均化する機能を有する。
【0019】
他の事例では、発生器ー受信器(素子)のペアを不規則に離間させて、データ処理装置は差動信号に重み係数を付けて平均化する機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は下記の図面で説明される。
【
図1】
図1は、欠陥のないレールでの透過超音波探傷検査法を示す上面図である。
【
図2】
図2は、測定チャネルの出力での信号の波形を示す図である。
【
図3】
図3は、レールの頭部の探傷面近くにある欠陥の透過超音波探傷検査法を示す上面図である。
【
図4】
図4は、測定チャネルの出力での信号の波形を示す図である。
【
図5】
図5は、レールの頭部の中央部にある欠陥の透過超音波探傷検査法を示す上面図である。
【
図6】
図6は、測定チャネルの出力での信号の波形を示す図である。
【
図7】
図7は、レールの頭部の外側にある欠陥の透過超音波探傷検査法を示す上面図である。
【
図8】
図8は、測定チャネルの出力での信号の波形を示す図である。
【
図9】
図9は、より長い欠陥の検出を示す上面図である。
【
図10】
図10は、より長い欠陥の検出により、測定信号の低下後の幅が増加したことを示す図である。
【
図11】
図11は、本発明によるレールの超音波探傷検査を示す上面図である。
【
図12】
図12は、レールの頭部内の欠陥に対しての超音波探触子の一体機構の配置を示す断面図である。
【
図13】
図13は、2チャネルの超音波探触子の一体機構の、レール頭部に対しての配置を示す側面図である。
【
図14】
図14は、超音波探傷検査器の機能ブロック図を示す。
【
図15】
図15は、一体機構が短期的にレールの頭部から離脱した場合の測定チャネル1の出力での信号の波形を示す図である。
【
図16】
図16は、一体機構が短期的にレールの頭部から離脱しなかった場合の測定チャネル1の出力での信号の波形を示す図である。
【
図17】
図17は、一体機構が短期的にレールの頭部から離脱した場合の測定チャネル2の出力での信号の波形を示す図である。
【
図18】
図18は、一体機構が短期的にレールの頭部から離脱しなかった場合の測定チャネル2の出力での信号の波形を示す図である。
【
図19】
図19は、一体機構がレールの探傷面(側面・表面)から離脱した場合の差動信号の波形を示す図である。
【
図20】
図20は、一体機構がレールの探傷面(側面・表面)から離脱しなかった場合の差動信号の波形を示す図である。
【
図21】
図21は、一様の距離の4チャネルの一体機構を示す図である。
【
図22】
図22は、不規則の距離の4チャネルの一体機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
走行しながら軌道(鉄道)のレールの頭部を探傷するための、透過超音波探傷検査法の探傷器は、
図1に示すように、音響的に接続された第1及び第2の二つの電子音響探触子1、2を備える。探触子1は超音波発生器の機能を果たし、探触子2は反射された超音波の受信器の機能を果たす。両方の探触子1、2は、レール3の列車の車輪と接触する側面側(作業面)に配置される。透過超音波探傷検査法方によって、
図3〜10に示すように、信号の波形でレール内部の欠陥の深さ及び大きさを測定することができる。
【0022】
本発明を実施するための最良の形態は、下記の例で説明される。
【0023】
探傷器は、電磁超音波探触子(EMAT)1、2、5、6を備える。EMAT1、2は、音響的に接続される探触子の第一のペアを形成する。第二のペアは、EMAT5、6で形成される。EMAT1、5は超音波発生器の機能を果たし、EMAT2、6はレール3の頭部の対向面(反射面)から反射する超音波の受信器の機能を果たす。この際、
図11、13に示すように、全てのEMATの音響軸の中心は、1列に並んでおり、線L−Lに沿って構造的に線形一体機構7を形成する。
【0024】
EMAT1、2、5、6の作業面(発生・受信面)は、同一面内にあって、試験体に向いている。第一のペアの探触子と第二のペアの探触子は、交互に配置されるから、EMATのペア(複数)はオーバラップするように配置される。その交互配置のため、発生器(EMAT)1、5は位置的に同じタイプの機器の第一のグループを形成し、受信器(EMAT)2、6は第一のグループから離れた同じタイプの機器の第二のグループを形成する。
【0025】
EMAT1、2の第一のペアは第一測定チャネルの一部であり、EMAT5、6の第二のペアは第二測定チャネルの一部である。両方のチャネルは、同一走査面内にあって、発生器1と受信器2及び発信器5と受信器6は、音響的に結合されるという特徴を有する。これを実施するために、発生器1、5は試験体に超音波ビームを斜めに伝搬させて、受信器2、6はレール3の頭部の幅の距離と、超音波の入射角とに応じて離す。
【0026】
図13に示すように、受信器の中心同士の間の距離dは、発生器の中心同士の間の距離に等しく、100mmである。EMAT1、2、5、6は、同一タイプであって、配置規則も同じであるから、電子音響経路の性質(特性)は完全に同一である。
【0027】
EMAT1、2、5、6は、入力・出力でインターフェース部及び測定信号差動増幅器(減算器)9を含むアナログ機能ユニットを有する一体式デジタル計算器8として機構的に形成された制御装置及びデータ処理装置に電気的に接続される。レール台車に超音波探傷器を付けて、レール3の作業面(接触面)に一体式機構7を近付ける。走査モードに切り替えて、探傷器を軌道に沿って前進させて、超音波ビームで横割れタイプのレール内部欠陥4の有無検出のために、レール頭部3を走査する。図には、移動方向は矢印Vで示されるが、EMAT1、2、5、6の同一性と走査パターンの対称性のため、装置は逆方向に移動される場合にも操作できる。
【0028】
制御装置は、レールの探傷面に対して同じ角度で超音波を発生する発生器1、5に電気パルスを伝搬する。欠陥4が無い場合、受信器2、6は連続的にレール頭部3の反対側面(底面・反射面)から反射された音響信号を受信する。欠陥4があると、所望の信号のレベルの低下を引き起こす。
【0029】
図11に示すように、走査の時は最も密接に類似させた特性を有する同一の2つのチャネルが形成される。この際には、第1のチャネルに対して第2のチャネルが空間的にレール(の前後/縦)軸と一致する運動軸に沿って、距離dで離間される。
【0030】
図15〜18には、受信器2,6の出力からの電気信号の波形が示される。ここで、Aは軽欠陥(軽傷・きず)を示し、Bはレールの頭部3の側面から探触子の一体式機構7の分離を伴う中欠陥(中傷/きず)を示し、Cはレールの継ぎ目を示し、Dは重欠陥(重傷・きず)を示す。
【0031】
差動増幅器9の入力は、測定信号を受信する。
【0032】
図19又は20に示すように、計算された差動信号は、増幅器9の出力から、計算された差動信号のレベルを合否判定レベルと比較するまたは他の入力された測定処理アルゴリズムを実装する計算器8の入力に伝搬される。もし差動信号レベルの低下が合否判定レベルを越えると、超音波探傷器がレールの頭部3に欠陥4があると言うことをオペレーターに表示する。発生器と受信器は一列に一線に沿って配置されるから、第2の測定チャネルは第1のチャネルに対して空間的に運動軸に沿って距離dで離間される。
【0033】
図11に示すような機構の場合、欠陥4は、最初に第1の超音波ビームと交差し、しばらくしてから第2の超音波ビームと交差する。受信器2と6の出力からの低下した信号の間の時間差(ギャップ)δtは下記の数式によって算出される。
【0034】
δt=d/v
d:チャネルの間の距離
v:試験体に対しての探触子の速度
【0035】
測定チャネルの間の時間差によって、欠陥4での反射された信号の全振幅は、差動信号の場合ほとんど2倍になる。ただし、受信信号レベルを低下させるどの妨害因子(探触子と探傷面とのギャップ変化、散乱、腐食、レール断面の変化、(実物)レールと標準試験レールとの性質の相違など)も、同時及び同じ程度で両方の測定チャネルに影響するから、妨害因子による測定信号の変化は時間差を有しない。その結果として、信号差は0に近く、軽欠陥(軽傷)だけでなく、中欠陥(中傷)のスキップももたらす探傷器の増幅を上げることで因子に対処する代わりに、この因子で発生した雑音信号をフィルターすることができる。
【0036】
図15及び16に示すように、短期的に一体式機構7とレール頭部3とのギャップ変化(がたつき)が発生した場合の第1の測定チャネルの出力信号の波形は、ギャップ変化がなかった場合の信号の波形とかなり違う。
図17及び18に示すように、第2のチャネルにしても同様のことである。
【0037】
しかし、差動信号の曲線は、ギャップ変化(がたつき)の発生の場合(
図19)とギャップ変化のない場合(
図20)とほぼ同一である。それ故に、一体式機構7とレール頭部3とのギャップ変化は、チャネル毎に重要であるが、結果の信号差に影響はあまりしない。これは、走査中に試験体の欠陥に対しての超音波探傷器の選択性増加を意味し、探傷器の感度が高いままで高速超音波探傷検査中の誤検出の数を減らすことができる。
【0038】
走査中の測定チャネルの電子音響経路の性質(特性)が等しければ等しいほど、超音波探傷器の試験体の欠陥に対しての選択性が向上する。これ(経路の同一性)は、発生器の間の距離と受信器の間の距離との差の精度に大きく影響される。
【0039】
距離dは、検出速度及び検出欠陥の寸法(大きさ)などの要件によって、実験に基づいて決定される。実際には、走査中に、距離dが3mmから900mmまでの範囲内に収まることにより、超音波検出器の試験体の欠陥に対しての選択性の向上を達成することができる。
【0040】
d値が一つのチャネルの発生器と受信器の間の距離を超えてはならない場合、全ての発生器と受信器が同じタイプの機器と一緒にグループ化される、相互干渉(オーバラップ)した発生器・受信器のペアの配置が必要である。走査中、測定情報を得るチャネルの数を増やすことで、超音波探傷器の試験体の欠陥に対しての選択性をさらに向上させることができる。
【0041】
発生器・受信器のペアの数を決める条件は、チャネル数Nが偶数かつN>2である。チャネル数Nが偶数かつN>2という条件によって、発生器・受信器のペア数を決めることができる。この際に、発生器・受信器のペアの可能な配置パターンは、規則配置と不規則配置との二つ選択肢がある。
【0042】
図21に示すように、探触子ペアの相互の規則配置の場合、測定情報信号は平均化された奇数チャネルと偶数チャネルとの信号の差の形で得ることができる。それによって、ランダムノイズを除去できる。
【0043】
図22に示すように、チャネル配置が不規則である場合は、より正確な(高精度)選択性のため、差動信号に重み係数を付けて平均化する。
【0044】
この発明の潜在的用途は、上記の例に限定されない。技術解法は、頭頂部面からの(軌道)レール全体の検出及び腹部の検出にも適応することができる。また、受信器が、発生器からの、試験体の平行面(探傷面かつ底面)から多数回反射された信号を受信する距離に配置される多数回反射法の選択性の向上もまた可能である。